JP2005287140A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力回生方式による力率改善を行う電源回路に対して過電流保護機能を設ける場合において、電力変換効率の低下を抑止し、また、電源回路基板の大型、重量化、コストアップの問題を回避する。
【解決手段】電力回生方式の力率改善回路10内に備えられる高周波インダクタL10に対して密結合となるようにして電流検出巻線NADを巻装する。また、電流検出巻線NADの一端はアース接地しておくことで、その両端電圧がアース(基準電位)に対する電位差として得られるようにしておく。発振・ドライブ回路2は、この電流検出巻線NADの両端電圧V3に基づいて負荷電流レベルを検出して過電流保護動作を行うようにされる。この構成であれば、二次側において負荷電流レベルを検出する構成を採る必要はなくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、力率改善回路を備えたスイッチング電源回路に関するものである。
先に本出願人は、一次側に共振形コンバータを備えた電源回路を各種提案している。また、共振形コンバータに対して力率改善を図るための力率改善回路を備えて構成した電源回路も各種提案している。
図10は、先に本出願人により出願された発明に基づいて構成される、力率改善機能を有するスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。
図10に示す電源回路は、他励式による電流共振形のスイッチングコンバータに対して力率改善回路20を備えた構成を採る。この電源回路におけるスイッチングコンバータは、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータと、半導体スイッチ(スイッチング素子)のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振回路を組み合わせたスイッチングコンバータとされている。
この図10に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源ACに対し、2組のフィルタコンデンサCL、CL及び1組のコモンモードチョークコイルCMCから成るコモンモードノイズフィルタが接続されている。
そして、商用交流電源ACから直流入力電圧を生成する整流平滑回路としては、上記コモンモードノイズフィルタの後段に対して、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。
この場合、ブリッジ整流回路Diの全波整流動作により得られた整流出力は、力率改善回路20を介して平滑コンデンサCiに充電される。これにより、平滑コンデンサCiの両端には、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。
力率改善回路20については後述する。
上記直流入力電圧を入力してスイッチングする電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続している。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、例えば汎用のICによる発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有している。そして、発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPIT (Power Isolation Transformer)は、スイッチング素子Q1 、Q2 のスイッチング出力を二次側に伝送する。
この絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1 の一端は、スイッチング素子Q1 のソースとスイッチング素子Q2 のドレインの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が得られるようにされる。
また、一次巻線N1 の他端は、直列共振コンデンサC1 を介するようにして、力率改善回路20内の高速リカバリ型ダイオードD1のカソードと高周波インダクタL10の接続点に対して接続されている。
この場合、直列共振コンデンサC1 及び一次巻線N1 は直列に接続されているが、この直列共振コンデンサC1 のキャパシタンス、及び一次巻線N1 (直列共振巻線)を含む絶縁コンバータトランスPITの漏洩インダクタンス(リーケージインダクタンス)成分L1により、スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成している。
上記説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた形式を採っていることになる。本明細書では、このようなスイッチングコンバータについて、複合共振形コンバータということにする。
ここでの図示による説明は省略するが、絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2(N2A,N2B)を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2としては、センタータップが施されたことで2つに分割された、同じ所定巻数による二次巻線N2A,N2Bが巻装されている。これらの二次巻線N2A,N2Bには、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。
そして、これら二次巻線N2A,N2Bに対しては、図示するように整流用素子としてNチャネルのMOS−FETQ3,Q4,Q5,Q6、ゲート抵抗Rg1,Rg2、及び二次側平滑コンデンサCoを備えて形成される、巻線電圧検出方式による同期整流回路が接続される。なお、MOS−FETQ3,Q4、Q5、Q6のドレイン−ソースに対しては、それぞれ、ボディダイオードDD3,DD4、DD5、DD6が並列に接続される。
このようにして形成される同期整流回路では、二次巻線N2に励起される交番電圧が反転するタイミングに応じて、MOS−FETQ3//Q5の組と、MOS−FETQ4//Q6の組が交互にオン/オフするようにして両波整流動作(スイッチング動作)を行う。
同期整流回路が上記のようにして整流動作を行うことで、平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給されると共に、分岐して制御回路1に対しても入力される。
この場合の制御回路1は、例えば二次側直流出力電圧Eoの変動に対応したレベルの制御信号を発振・ドライブ回路2に出力する。発振・ドライブ回路2では制御回路1から供給された制御信号に基づいて、発振・ドライブ回路2からスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに供給するスイッチング駆動信号の周波数を変化させて、スイッチング周波数を可変するようにしている。このように、二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じてスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変制御されることで、一次側直列共振回路を形成する一次巻線N1から二次側に伝送されるエネルギーも可変され、二次側直流出力電圧Eoのレベルが可変制御される。これにより、二次側直流出力電圧の定電圧制御が図られることになる。
なお、以降は、上記のようにしてスイッチング周波数を可変制御することによって直流安定化を図る定電圧制御方式を「スイッチング周波数制御方式」ということにする。
なお、図10に示す同期整流回路について、上記のようにして整流素子としてのMOS−FETを並列に接続しているのは、図10の電源回路として実際に対応すべき負荷条件が、例えば二次側直流出力電圧Eo=5Vに対して、負荷電流が30A〜0Aで変動する、いわゆる低電圧/大電流といわれる負荷条件であることに依る。このような負荷条件は、実質的には相当に変動幅が広範囲となるものであり、従って、負荷が重くなる傾向では、二次側整流回路にも相当に大きな電流が流れる。そこで、整流素子であるMOS−FETについて、複数本を並列接続しているものである。
また、この二次側の同期整流回路において、MOS−FETQ3//Q5の組に整流電流が流れる整流電流経路と、MOS−FETQ4//Q6の組に整流電流が流れる整流電流経路とで共通の経路となる、MOS−FETQ3//Q5のソースと、MOS−FETQ4//Q6のソースとの接続点と二次側アースとの間のラインには、電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路が直列に挿入される。
なお、この電流検出抵抗R1A,R1Bを含む過電流保護のための構成については後述する。
続いて、力率改善回路20の構成について説明する。
この力率改善回路20は磁気結合形による電力回生方式としての構成を採る。
力率改善回路20においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子間に対して、高速リカバリ型ダイオードD1−高周波インダクタL10が直列接続されて挿入される。
フィルタコンデンサCN は高速リカバリ型ダイオードD1 のアノード側と平滑コンデンサCiの正極端子間に対して挿入されることで、ノーマルモードノイズ(スイッチング周期の交番成分)を吸収するフィルタとして機能する。
そして力率改善回路20に対しては、高速リカバリ型ダイオードD1 のカソードと高周波インダクタL10の接続点に対して、上述した一次側直列共振回路(C1−N1(L1))が接続されて、この直列共振回路に得られるスイッチング出力が帰還されるようにしている。
このような構成による力率改善回路20においては、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力に応じて、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))に流れる一次側直列共振電流を電力として回生して、高周波インダクタL10を介するようにして平滑コンデンサCiに帰還していることになる。これによって、交流入力電圧VACの正負の絶対値が1/2以上のときに高速リカバリ型ダイオードD1をスイッチングさせるように動作することになって、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされる。
この結果、交流入力電流IACの平均的な波形が交流入力電圧の波形に近付くようにして交流入力電流の導通角が拡大される結果、力率改善が図られることになる。
また、前述もしたように、図10に示す電源回路は、例えば二次側直流出力電圧Eo=5Vに対して、負荷電流が30A〜0Aとなる低電圧/大電流の負荷条件であり、最大負荷電力Pomax=150Wで、交流入力電圧VAC=230Vの条件では、二次側整流回路に流れる二次側整流電流Ioのレベルは約42Apとなる。
このような電源回路では、負荷短絡時に対応した回路保護のために過電流保護(OCP:Over Current Protekution)機能を負荷することが行われる。
例えば共振形コンバータなどでは、過電流保護のための過電流検出は、一次側共振回路に流れる一次側直列共振電流のレベルを検出することがしばしば行われる。しかしながら、図10に示す電源回路のようにして、力率改善のために、一次側直列共振電流を電力回生して整流電流経路に帰還する構成を採る場合には、一次側直列共振電流のレベルにより過電流状態を検出する構成を採ることが困難になる。
つまり、発振・ドライブ回路2の過電流検出端子に対して検出出力を入力させることを前提として過電流検出のために過電流検出抵抗を挿入しようとすれば、その挿入位置は、アース(基準電位)に対するものであるべきこととなる。
電力回生方式による力率改善のための構成を備えない場合、一次側直列共振回路は、スイッチング出力点と一次側アース間に挿入されるのが一般的であるので、過電流検出抵抗は、一次側直列共振回路と一次側アース間に対して直列に挿入すればよい。
これに対して、電力回生方式による力率改善のための構成を備える場合には、図10にも示すようにして、一次側アースに対して接地されるべき一次側直列共振回路の端部は、力率改善回路20を介して平滑コンデンサCiの正極端子に接続されることで、平滑コンデンサCiを介在して一次側アースに接地されるものとなる。つまり、この場合は、一次側直列共振回路の端部が直接的に一次側アースに接続される回路形態と成らないために、過電流検出抵抗を挿入することができなくなる。
そこで、図10に示す電源回路について過電流保護機能を付加するのにあたっては、二次側整流電流(負荷電流に相当する)のレベルを検出することにより過電流状態を検出するようにしている。
つまり、前述したように、二次側両波整流回路において、両波の期間で共通となる整流電流経路のライン(MOS−FETQ3//Q5のソースと、MOS−FETQ4//Q6のソースとの接続点と二次側アースとの間のライン)に対して、電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路を形成する。
この場合、電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路の両端電圧V3は、二次側整流電流レベルに応じたものとなるが、この電圧V3が、二次側に在るとされる検出回路3に対して入力される。
この場合の検出回路3は、電圧V3を入力して増幅動作を行ってフォトカプラPCのフォトダイオードに検出電流を流すために設けられる。
実際において、電圧V3としてのレベルは、負荷電力Po=150W時において、0.2V程度しかない。例えば二次側整流電流(負荷電流)のレベルが35A(Po=175W時)以上となったときに過電流保護回路系が保護動作が得られるように構成することとしても、上記した電圧V3のレベルのままでは、必要充分な電力でフォトカプラPCを駆動することができないために、保護動作を確実に得るのは困難となる。
そこで、検出回路3により電圧V3を増幅して、フォトカプラPCのフォトダイオードに対して、二次側整流電流(負荷電流)レベルに対応する十分な電流を流すようにしているものである。
フォトカプラPCのフォトトランジスタ側では、上記のようにして、フォトカプラPCのフォトダイオードに流れる検出電流に応じたレベルのコレクタ電流を出力することになる。つまり、二次側整流電流(負荷電流)レベルに応じた検出電流を出力する。この検出電流に基づいて得られる検出出力は、電源回路の一次側に在るとされる発振・ドライブ回路2の過電流保護用端子(OCP端子)に入力される。フォトカプラPCは、二次側整流電流に基づいて得られる検出出力を二次側から一次側に伝送するのにあたって、一次側と二次側とを直流的に絶縁するために設けられる。
発振・ドライブ回路2では、過電流保護用端子に入力される検出出力として、例えばその電圧レベルを監視しており、この電圧レベルが、例えば上記したように二次側整流電流(負荷電流)のレベルが35A以上の過電流の状態に対応する所定以上になったとされると、発振回路の発振動作を停止させるように動作する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作が停止されることになって過電流に対する回路の保護が図られることになる。
図11は、図10に示す電源回路の過電流保護動作として、負荷電力変動に応じた二次側直流出力電圧Eo、力率PF、及びスイッチング周波数fsの特性を示している。
この図に示すようにして、例えば最小負荷電力Po=0Wから、過電流とされる負荷電力Po=175Wよりも軽いとされる負荷の範囲では、二次側直流出力電圧Eo、力率PF、及びスイッチング周波数fsは、それぞれ通常動作に対応する特性を示している。つまり、二次側直流出力電圧Eoは定電圧制御が行われていることで、例えば5.0Vでほぼ一定となるように維持されている。力率PFは、電力回生方式による力率改善回路20の動作として、重負荷の傾向となるのに従って、図示する曲線によりPF=0.8以上まで高くなっていく傾向を有する。また、スイッチング周波数fsは、安定化のためのスイッチング周波数制御が行われるのに応じて、重負荷の傾向となるのに従って図示する傾きにより低下していく特性となる。
そして、図10の電源回路における過電流の状態に対応する負荷電力Po=175W以上の状態になったとされると、前述のようにしてスイッチング動作が停止されることになる。これにより、図11に示すようにして、スイッチング周波数fsは、0にまで垂下する。また、スイッチング動作の停止に応じて力率改善回路20への電力回生も停止されるので、力率PFとしても垂下する特性となる。また、スイッチング動作の停止に応じて、二次側直流出力電圧Eoはいわゆるフの字特性により低下する。
図12の回路図は、先に本出願人により出願された発明に基づいて構成される、力率改善機能を有するスイッチング電源回路の他の例を示している。なお、この図において、図10と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
図12に示す電源回路は、他励式による電流共振形のスイッチングコンバータに対して、磁気結合形の電力回生方式による力率改善回路21を備えた構成を採る。また、この電源回路におけるスイッチングコンバータは、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータと、半導体スイッチ(スイッチング素子)のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振回路を組み合わせた複合共振形コンバータである。これらの点では、図10に示す電源回路と同様であるが、図12に示す電源回路は、商用交流電源ACから整流平滑電圧Eiを生成する整流電流回路系について倍電圧整流回路としている。
図12に示す力率改善回路21は、整流ダイオードD11,D12、平滑コンデンサCi1,Ci2、高周波インダクタL10、及びフィルタコンデンサCNから成る。整流ダイオードD11,D12、平滑コンデンサCi1,Ci2は、上記倍電圧整流回路を形成する回路部品であり、従って、力率改善回路21としては倍電圧整流回路と組み合わされた構成を有するものとなる。
この場合、コモンモードノイズフィルタとしては、各1組のコモンモードチョークコイルCMC、及びフィルタコンデンサCLから成るものとされて図示するようにして商用交流電源ACに対して接続される。
力率改善回路21においては、上記コモンモードノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACの一方のラインに対して高周波インダクタL10の一端が接続される。高周波インダクタL10の他端は、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して接続される。
整流ダイオードD11のカソードは、平滑コンデンサCi1の正極端子に接続され、整流ダイオードD12のアノードは、一次側アースに接続される。
2組の平滑コンデンサCi1,Ci2は直列接続される。そのうえで、平滑コンデンサCi1の正極端子は、上記もしているように整流ダイオードD11のカソードと接続され、また、スイッチング素子Q1のドレイン側とも接続される。平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースと接続される。平滑コンデンサCi1の負極端子と平滑コンデンサCi2の正極端子との接続点は、コモンモードノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACの他のラインに対して接続される。ここで、整流ダイオードD11,D12には高速リカバリ型ダイオードを選定している。
フィルタコンデンサCNは、高周波インダクタL10と商用交流電源ACとのラインとの接続点と、平滑コンデンサCi1−平滑コンデンサCi2の接続点との間に挿入される。
そして、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))の端部は、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して接続される。
上記した接続形態により構成される力率改善回路21内において形成される倍電圧整流回路は、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が一方の半周期となる期間においては、整流ダイオードD11が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi1がその整流出力を平滑化することで、平滑コンデンサCi1の両端電圧として、商用交流電源ACの等倍に対応する整流平滑電圧を生成する。同様に、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が他方の半周期となる期間においては、整流ダイオードD12が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi2がその整流出力を平滑化することで、平滑コンデンサCi2の両端電圧として、商用交流電源ACの等倍に対応する整流平滑電圧を生成する。これにより平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、商用交流電源ACのレベルの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られ、この整流平滑電圧Eiが直流入力電圧として後段のスイッチングコンバータに供給される。
また、力率改善回路21においては、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して一次側直列共振回路(C1−N1(L1))の端部が接続されている。このために、力率改善回路21としても、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))に流れる一次側直列共振電流を電力として回生して、高周波インダクタL10を介するようにして平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られるものとなる。
これにより、力率改善回路21においては、交流入力電圧VACが正/負となる各半周期期間において、高速リカバリ型の整流ダイオードD11,D12が、交流入力電圧VACの絶対値が1/2以上のときにスイッチング動作を行って、整流電流を断続するようにして流す動作が得られる。この結果、図10の力率改善回路20と同様にして、整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされ、交流入力電流IACの導通角が拡大されて力率改善が図られることになる。
また、図12における過電流保護のための構成は、図10に示した電源回路と同様であることからここでの説明は省略する。因みに、電流検出抵抗R1A、R1Bを二次側に設ける構成としているのも、図10の電源回路の場合と同様の理由による。
図13は、図12の電源回路の過電流保護動作を、負荷電力変動に対する二次側直流出力電圧Eo、力率PF、及びスイッチング周波数fsの特性として示している。この図から分かるように、例えば負荷電力Po=175Wとされて過電流の状態となったときに応じた過電流保護動作としては、図10の電源回路と同様であることが分かる。
特開2003−189614号公報
上記図10及び図12に示す電源回路では、電力回生方式により力率改善を図る構成を採っていることから、過電流保護のために負荷電流レベルを検出するのに二次側整流電流を利用することとしているが、このために下記のような問題を有している。
先ず、二次側の整流電流経路に挿入される過電流検出抵抗による電力損失が比較的大きくなってしまうということが挙げられる。
具体例として、上記しているように、図10及び図12に示す電源回路として、二次側直流出力電圧Eo=5Vで負荷電流が最大で30Aとされる負荷条件を設定した場合には、電流検出抵抗R1AとR1Bについて、それぞれ0.01Ω/5Wのセメント抵抗を選定することで、電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路の抵抗値としては5mΩを設定するようにされる。このような設定とした場合において、最大負荷電力時には例えば30Aの負荷電流に対応する二次側整流電流が電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路に流れることになる。このために、上記5mΩという相当に低い抵抗値を設定したとしても、このときの電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路による電力損失は4.5Wであり、また、これに伴う電流検出抵抗R1A,R1Bの発熱温度も相当に高いものとなる。これにより、電源回路としての総合的なAC→DC電力変換効率は、電流検出抵抗R1A//R1Bを挿入しない場合(過電流保護機能を設けない場合)と比較して2.8W低下し、また、交流入力電力は5.3W増加する。
また、電力損失との兼ね合いから、上記のように電流検出抵抗R1A//R1Bの並列接続回路としての抵抗値は5mΩ程度の低抵抗値にとどめることになるが、このために、最大負荷電力時にあっても、二次側整流電流のピーク値が42Apであるとして、ほぼ0.2V程度の非常に低いレベルの検出電圧(V3)しか得られない。このために、検出電圧を増幅する検出回路3が必要であることになる。
また、この過電流保護回路系としては、二次側で得られた検出出力を一次側の発振・ドライブ回路2に伝達する構成となるので、フォトカプラPCなどのようにして一次側と二次側とについて直流的に絶縁するための部品素子なども必要になってしまう。
このようにして、電力回生方式による力率改善を行う電源回路に対して過電流保護機能を設ける場合には、電力変換効率が低下し、また、増幅回路や直流絶縁のための部品が必要になるなどして電源回路基板の大型、重量化や、コストアップを招くという問題を有している。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が励起される二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に励起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段を備える。
また、スイッチング手段のスイッチング動作により一次側直列共振回路に得られる一次側直列共振電流を電力回生するようにして、整流平滑手段を形成する平滑コンデンサに帰還するようにされており、この帰還された電力に応じて、整流平滑手段による整流動作によって得られる整流電流を断続するようにしてスイッチングする力率改善用スイッチング素子と、整流平滑手段の整流電流経路において力率改善用スイッチング素子と直列に接続される高周波インダクタとを備えて構成される力率改善手段を備える。
また、上記高周波インダクタとしての巻線に対して磁気結合されると共に、その両端電圧として基準電位に対する電圧レベルが得られるようにして設けられる電流検出巻線と、この電流検出巻線の両端電圧に基づいて所定の過電流保護動作を実行する過電流保護手段とを備える。
上記構成による本発明のスイッチング電源回路は、一次側スイッチングコンバータとして、電流共振形コンバータを備えていることになる。また、力率改善は、一次側直列共振回路に得られる一次側直列共振電流を電力として回生して整流電流経路に対して帰還する電力回生方式により行う構成を採る。
そのうえで、過電流保護のために負荷電流を検出する素子として電流検出巻線を備えることとしている。この電流検出巻線は、高周波インダクタに対して磁気結合するようにして設けられるもので、高周波インダクタに流れる電流に応じたレベルの電圧が、電流検出巻線側にて励起(誘起)される。また、電流検出巻線は、その両端電圧が基準電位に対する電位差として得られるようにして備えられる。これにより、電流検出巻線の両端電圧に基づき、一次側直列共振電流のレベルを適正に検出できることになる。
因みに、電力回生方式では、力率改善手段に対して一次側直列共振電流を電力として回生帰還していることから、力率改善手段内の高周波インダクタにも一次側直列共振電流に応じたレベルの電流が流れる。一次側直列共振電流のレベルは負荷電流レベルに応じて変化する。このことから、高周波インダクタにより誘起される電流検出巻線の両端電圧レベルとしては、負荷電流レベルに対応して変動するものとなる。
このようにして本発明によっては、電流共振形スイッチングコンバータを基として電力回生方式により力率改善を図るスイッチング電源回路として、一次側において一次側直列共振電流を検出することによって負荷電流が過電流となる状態を適正に検出して過電流保護動作を実行可能とされる。換言すれば、従来のようにして、二次側の整流電流経路に対して過電流検出抵抗を挿入する必要はなくなる。
これにより、二次側整流電流経路に対して過電流検出抵抗を挿入する場合と比較して、過電流検出抵抗に依る電力損失分を低減することが可能となり、電源回路全体としても電力変換効率の向上が図られることになる。
また、二次側整流電流経路に対して過電流検出抵抗を挿入した場合のようにして、二次側から一次側に対して検出出力を伝送するのにあたって直流分を絶縁するための部品(フォトカプラなど)や、フォトカプラを駆動するための二次側の増幅回路も不要となるので、例えばその分の電源回路基板の小型軽量化、及び低コスト化を図ることが可能となる。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)として、第1の実施の形態のスイッチング電源回路の構成例を示した回路図である。この図に示す電源回路は、一次側の基本構成として、他励式によるハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
この図1に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源ACに対し、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di(整流回路部)及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。この全波整流回路は、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子に対して商用交流電源ACの正極ラインを接続し、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子に対して商用交流電源ACの負極ラインを接続している。また、ブリッジ整流回路の正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子とを接続している。そして、本実施の形態の場合には、ブリッジ整流回路の負極出力端子は、力率改善回路10を介するようにして平滑コンデンサCiの負極端子に対して接続される。
この場合、平滑コンデンサCiの負極端子は、一次側アースと接続されていることでアース電位(基準電位)となっている。つまり、この場合の力率改善回路10は、ブリッジ整流回路Diの負極出力ラインと基準電位との間に挿入される形態となる。
なお、力率改善回路10の構成及びその動作については後述する。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端にはブリッジ整流回路Diの整流出力を平滑化した整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。また、この場合においては、ブリッジ整流回路Diを形成する4本の整流ダイオードには、低速リカバリ型を選定している。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、力率改善回路10における高周波インダクタL10と、スイッチングダイオードD1のアノードとの接続点に対して接続される。また、一次巻線N1の他方の端部は、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。なお、スイッチングダイオードD1は、高速型として高速リカバリ型を選定する。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、後述する構造により、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に所要のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。そして、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、上記リーケージインダクタンスL1によっては一次側直列共振回路を形成する。上記した接続態様によればスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力は、この一次側直列共振回路に伝達されることとなる。この一次側直列共振回路が、伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
上記説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた、複合共振形コンバータとしての構成を採っている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線には一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。そして、この場合の二次巻線N2としては、センタータップが施されたことで2つに分割された二次巻線N2A,N2Bが設けられる。この場合、二次巻線N2A,N2Bは同じ所定のターン数を有する。
そして、これら二次巻線N2A,N2Bに対しては、図示するように整流用素子としてNチャネルのMOS−FETQ3,Q4,Q5,Q6を備える、両波整流による同期整流回路が備えられる。
これらMOS−FETQ3〜Q6は、例えば低耐圧のトレンチ構造のものを選定することで、低オン抵抗を得るようにされる。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2のセンタータップ出力は、図示するようにインダクタLdの直列接続を介して、平滑コンデンサCoの正極端子の接続点と接続される。
そして、上記二次巻線N2の一方の端部(二次巻線N2B側の端部)は、MOS−FETQ3のドレインとMOS−FETQ5のドレインとの接続点に対して接続される。そして、これらMOS−FETQ3、Q5の各ソースの接続点が、二次側アースに接続される。
同様に、二次巻線N2の他方の端部(二次巻線N2A側の端部)は、MOS−FETQ4のドレインとMOS−FETQ6のドレインとの接続点に対して接続され、これらMOS−FETQ4、Q6の各ソースの接続点が二次側アースに接続されている。
なお、MOS−FETQ3,Q4,Q5,Q6のドレイン−ソースに対しては、それぞれ、ボディダイオードDD3,DD4,DD5,DD6が並列に接続される。
このような接続形態によれば、二次巻線N2Bを含む整流電流経路においては、整流素子であるMOS−FETQ3//MOS−FETQ5の並列接続回路が直列に挿入されることになる。また、二次巻線N2Aを含む整流電流経路においては、同じく整流素子であるMOS−FETQ4//MOS−FETQ6の並列接続回路が直列に挿入された構成となっている。
また、この図に示される同期整流回路において、MOS−FETQ3とMOS−FETQ5を駆動する駆動回路は、二次巻線N2Aのセンタータップしていない側の端部とMOS−FETQ3、Q5のゲートとの間に共通に挿入されるようにして、ゲート抵抗Rg1を接続して形成される。
同様に、MOS−FETQ4、Q6を駆動する駆動回路は、二次巻線N2Bのセンタータップしていない端部とMOS−FETQ4、Q6のゲートとの間に共通となるようにして挿入された、ゲート抵抗Rg2を備えて形成される。
つまりこの場合、上記MOS−FETQ3,Q5は、上記二次巻線N2Aに励起される交番電圧が上記ゲート抵抗Rg1により検出されることで、同じタイミングでオン(導通)/オフ(非導通)するようにされ、MOS−FETQ4,Q6も、二次巻線N2Bに励起される交番電圧が上記ゲート抵抗Rg2により検出されることで、同じタイミングでオン(導通)/オフ(非導通)するようにされているものである。
また、MOS−FETQ3,Q5の組が、二次巻線N2Aのセンタータップされていない端部の電圧に応じてオン/オフし、MOS−FETQ4,Q6の組が二次巻線N2Bのセンタータップされていない端部の電圧に応じてオン/オフするということは、互いのMOS−FETの組が、逆極性となる交番電圧に応じてオン/オフするということになる。つまり、MOS−FETQ3,Q5の組と、MOS−FETQ4,Q6の組とでは、二次巻線N2に励起される交番電圧が反転するタイミングに応じて、交互にオン/オフするようにして整流動作(スイッチング動作)を行う。
ここで、MOS−FETは、ゲートにオン電圧を印加すると、ドレイン−ソース間は単なる抵抗体と等価となるので、電流は双方向に流れる。これを二次側の整流素子として機能させようとすれば、二次側平滑コンデンサ(平滑コンデンサCo1〜Co4)の正極端子に充電する方向のみに電流を流さなければならない。これとは逆方向に電流が流れると、二次側平滑コンデンサから絶縁コンバータトランスPIT側に放電電流が流れて、負荷側に有効に電力を伝達することができなくなる。また、逆電流によるMOS−FETの発熱、ノイズなどが生じて、一次側におけるスイッチング損失も招く。
上記した駆動回路は、二次巻線の電圧を検出することに基づいて、二次側平滑コンデンサの正極端子に充電する方向(つまり、この場合ではソース→ドレイン方向)の電流のみが流れるように、MOS−FETQ3〜Q6をスイッチング駆動するための回路である。つまり、この場合における同期整流回路の回路構成としては、巻線電圧検出方式により、整流電流に同期させてMOS−FETをオン/オフ駆動する構成を採っているものである。
なお、この場合、MOS−FETQ3,Q5の組の駆動回路系を形成するとされるゲート抵抗Rg1と、MOS−FETQ4,Q6の組の駆動回路系を形成するとされるゲート抵抗Rg2に対しては、それぞれ並列にショットキーダイオードDg1、ショットキーダイオードDg2を図示する方向により接続するようにしている。このようにしてショットキーダイオードDg1,Dg2を挿入することによっては、それぞれMOS−FETQ3,Q5,Q4,Q6のゲート入力容量の蓄積電荷を、これらのターンオフ時に対応して、ショットキーダイオードDg1、ショットキーダイオードDg2を経由して放電するための経路が形成される。そして、これによってこれらMOS−FETを確実にターンオフさせて、良好なスイッチング特性を得るようにしているものである。
また、上述もしたように、この図1に示す電源回路では、二次巻線N2のセンタータップと二次側平滑コンデンサとの間に、インダクタLdを直列に挿入している。すなわちこの場合、インダクタLdを、二次側の整流電流経路において二次側交番電圧が正/負の各期間で共通に整流電流が流れるラインに対して挿入しているものである。
このようにしてインダクタLdを挿入することによっては、二次側直流出力電圧Eoに発生するとされていたノイズの抑制を図ることができる。
二次側の整流回路として、MOS−FETによる同期整流回路を備えた場合、これらMOS−FETによるスイッチングノイズ等の影響により二次側直流出力電圧Eoには高周波ノイズが重畳し易くなる。そこで、このように整流電流経路に対してインダクタLdを挿入することで、高周波のノイズ成分について、そのインピーダンス成分によって平滑化することで抑制するようにしている。
また、このように整流電流経路に挿入されたインダクタLdによっては二次側整流電流に生じるとされる逆方向電流の発生を抑制するようにもされる。
これまでに説明した回路構成による同期整流回路によっては、二次側平滑コンデンサに対して両波整流により整流して得られる整流電流を充電する動作が得られる。
すなわち、二次側に励起される交番電圧の一方の半周期には、二次巻線N2Bから流れる電流が、MOS−FETQ3//Q5の並列接続回路をソース→ドレイン方向に導通し、平滑コンデンサCoに対して充電される。また、交番電圧の他方の半周期には、二次巻線N2Aに流れる電流がMOS−FETQ3//Q5の並列接続回路をソース→ドレイン方向に導通し、平滑コンデンサCoに対して充電される。これによって、上記交番電圧が正/負の期間で平滑コンデンサCoに充電する両波整流動作が得られるものである。
そして、このような平滑コンデンサの両端電圧として、図のような二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
なお、本実施の形態において、同期整流回路について、上記のようにして、整流素子としてのMOS−FETを並列に接続しているのは、次のような理由による。
ここでの例として、本実施の形態の電源回路が実際に対応すべき負荷条件としては、二次側直流出力電圧Eo=5Vに対して、負荷電流が30A〜0Aで変動するものとしている。これは、いわゆる低電圧/大電流といわれる、実質的には相当に変動幅が広範囲となる負荷条件であり、従って、負荷が重くなる傾向では、二次側整流回路にも相当に大きな電流が流れる。そこで、整流素子であるMOS−FETについて、複数本を並列接続した構成とすることで、大電流が流れるときの素子への負担を軽減して、高い信頼性を確保することとしているものである。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにして、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する。スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2(N2A,N2B)側に伝送される電力量も変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御するが、これは共振インピーダンスを小さくすることとなり、このために二次側直流出力電圧Eoを上昇させる。これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御することで、共振インピーダンスを大きくし、二次側直流出力電圧Eoを低下させる。
続いて、力率改善回路10の構成について説明する。
前述もしたように、この力率改善回路10は、商用交流電源ACから直流入力電圧(Ei)を得るための整流平滑回路における整流電流経路に対して挿入されるようにして設けられるもので、電力回生方式として磁気結合形による力率改善回路の構成を採る。
力率改善回路10においては、先ず、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に対して、高速リカバリ型であるスイッチングダイオード(力率改善用スイッチング素子)D1のカソードが接続される。スイッチングダイオードD1のアノードは、高周波インダクタL10の巻始め端部と接続され、高周波インダクタL10の巻終わり端部は一次側アースに接続される。
これにより、力率改善回路10においては、スイッチングダイオードD1−高周波インダクタL10による直列接続回路が形成され、この直列接続回路がブリッジ整流回路Diの負極出力端子と一次側アース間に挿入されるものとなる。
ただし、本実施の形態においては、過電流保護機能に対応して負荷電流検出を行なうためのものとして、力率改善回路内に、電流検出巻線NADを設けることとしている。この電流検出巻線NADは、高周波インダクタL10に対して磁気結合されるようにようにして巻装される。また、電流検出巻線NADと高周波インダクタL10は密結合するようにして巻装する。つまり、高周波インダクタl10としてのコイル部品は、一次側に対して本来の高周波インダクタL10としての巻線を巻装し、二次側に対しては、この一次側の巻線と密結合となるようにして電流検出巻線NADを巻装した構造を有する。なお、この場合における電流検出巻線NADの巻数(ターン数)としては1T(ターン)でよいものとされる。また、一次側の高周波インダクタL10の巻線と、電流検出巻線NADの巻方向(極性)は相互に同じとなるようにしている。
この場合、電流検出巻線NADの巻始め端部側を発振・ドライブ回路2の過電流保護用端子(OCP端子)に接続し、巻終わり端部を一次側アース(基準電位)に接続している。これにより、発振・ドライブ回路2の過電流保護用端子(OCP端子)に対しては、電流検出巻線NADの両端電圧(検出電圧)V3が入力されることになる。電流検出巻線NADの端部が一次側アースに接地されていることで、この検出電圧V3は、基準電位(アース電位)に対する電位差として得られる。発振・ドライブ回路2は、このようにして入力される検出電圧V3のレベル値に基づいて、後述するようにして過電流検出を行う。
フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1のスイッチング動作により生じるスイッチング周期の交番成分を吸収することでノーマルモードノイズを抑制するために設けられるもので、図示するようにして、スイッチングダイオードD1−高周波インダクタL10の直列接続回路に対して並列に接続される。
そして、一次側直列共振回路(L1−C1)の端部を、スイッチングダイオードD1のアノードと高周波インダクタL10との接続点に対して接続するようにされる。
このような力率改善回路10の回路構成では、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流I1)を電力として回生して、高周波インダクタL10の磁気結合を介するようにして平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られているということがいえる。
図3の波形図は、力率改善回路10による力率改善動作を、商用交流電源周期により示している。なお、この図に示す特性は、交流入力電圧VAC=230Vで、負荷電力Po=150Wの最大負荷電力の条件のもとで得られたものである。
ここで、図示するようにして50Hzで325Vpの交流入力電圧VACが入力されていることを前提として、上記のようにして力率改善回路10側に対して、一次側直列共振回路から電力回生が行われているものとする。
これに応じて、高周波インダクタL10の両端電圧V2は、スイッチング周期による交番電圧として、図示するようにして、+100Vと−200Vの範囲でエンベロープが変化する波形が得られることになる。高速リカバリ型のスイッチングダイオードD1には、この電圧V2が印加されることになる。そして、電圧V2が負極性方向で略凹字状のエンベロープとなって負極性の絶対値レベルが一定以上となっている期間において、この電圧V2によりスイッチングダイオードD1をオン/オフさせる動作が得られる。これにより、例えば交流入力電圧VACの正/負の絶対値が、そのピーク値の約1/2以上のときにもスイッチングダイオードD1がスイッチング動作を行い、電流検出巻線NAD−高周波インダクタL10を介して平滑コンデンサCiからブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流入しようとする整流電流を断続するようにされる。
このときにスイッチングダイオードD1に流れる整流電流I11は、図示するようにして、正極性による略正弦波の半波のエンベロープを有する、スイッチング周期による交番電流となる。この場合において、交流入力電圧VACがピークとなる時点に対応する整流電流I11のレベルは、4Aとなる。
また、高周波インダクタL10に流れる電流I12は、例えば±2.2Aの振幅範囲において、図示するようにしてエンベロープが変化する交番波形となる。本実施の形態の場合、一次側直列共振電流I1は、整流電流I11の交番周期成分と、この電流I12の成分とで分岐して流れることになる。
また、フィルタコンデンサCNの両端電圧V1は、電圧V2の正極性のエンベロープを有する波形となる。
上記のようにしてスイッチングダイオードD1が整流電流を断続するようにしてスイッチングすることで得られる整流電流I11の導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなっており、同じ図3に示す交流入力電流IACの導通期間も、この整流出力電流I1の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。なお、交流入力電流IACのピークレベルは、この場合2Aとなっている。
また、電流検出巻線NADは、高周波インダクタL10の巻線と密結合の状態で磁気結合していることで、電流検出巻線NADには、高周波インダクタL10の両端電圧である電圧V2に応じた交番電圧が誘起されるが、この交番電圧(電流検出巻線NADの両端電圧)が、検出電圧V3となる。この検出電圧V3は、図示するようにして、電圧V2と相似したもので、±4Vの範囲で振幅する波形となる。
ここで、高周波インダクタL10に流れる電流I12は、上記もしているように、一次側直列共振電流I1の成分が分岐して流れるものであり、従って、一次側直列共振電流I1に対応したレベルを有する。そして、この電流I12が流れるのに応じて高周波インダクタL10の両端に発生する得られる電圧V2も、電流I12に応じたレベルを有することになる。このことから、電圧V2によって誘起される検出電圧V3としても一次側直列共振電流I1に対応するレベルが得られるものとなることが分かる。
そして、最大負荷電力時における一次側直列共振電流I1のレベルに応じて、検出電圧V3としては、上記のようにして±4Vの振幅が得られている。この振幅レベルは、特に増幅を行わなくとも、発振・ドライブ回路2が適正に過電流検出を行うのには充分なレベルとされる。
なお、先にも述べたように、電流検出巻線NADの巻数は1Tである。また、高周波インダクタL10のインダクタとしては92μHを設定している。
ここで、本実施の形態における過電流保護動作についても説明しておく。
上記のようにして、発振・ドライブ回路2は、OCP端子に入力される検出電圧V3(電流検出巻線NADの両端電圧)のレベルについて、負荷電流が過電流とされる状態に対応する所定以上となるか否かについての判定を行うようにされる。例えば本実施の形態としても、最大負荷電力Po=150Wをオーバーして、負荷電力Poが175W以上になった状態を過電流の状態とみなすこととしている。
また、確認のために述べておくと、上記説明から理解されるように、電流検出巻線NADの両端電圧(検出電圧V3)として得られるのは、一次側直列共振電流I1に対応するレベルであり、一次側直列共振電流I1のレベルは、負荷電流レベルに対応するものとなる。従って、検出電圧V3は、二次側直流出力電圧Eoの負荷に流れる負荷電流のレベル(電流量)を示していることになる。また、電流検出巻線NADの一端は一次側アース(基準電位)に対して接続されており、従って、その両端電圧(検出電圧V3)としても、この基準電位に対する電位差を有している。発振・ドライブ回路2もアース電位を基準電位として動作しているから、検出電圧V3により、適正にレベル検出が行えることが理解される。
そして、発振・ドライブ回路2は、過電流保護動作として、検出電圧V3が所定レベル以上になったことを判定すると、内部の発振回路の発振動作を停止させる。これにより、スイッチング素子Q1,Q2を駆動するためのドライブ信号としても周期的なものではなくなるために、スイッチング素子Q1,Q2についてのスイッチング動作が停止されることになる。これにより、過電流に対する保護が図られることとなる。なお、このようなスイッチング動作の停止に応じた動作としては、先に図11に示した特性と同様となる。つまり、二次側直流出力電圧Eoはフの字特性となり、力率PF、及びスイッチング周波数fsは、垂下する特性となる。
また、先に図3によっても説明したように、電流検出巻線NADにて得られる検出レベルは、最大負荷電力時においても4Vという高いレベルである。つまり、本実施の形態としては、増幅を必要としない程度に充分な検出電圧V3のレベルが得られている。これにより、増幅回路(検出回路3)を追加する必要はないこととなる。
また、一次側にて電流検出を行うようにしたことによっては、検出出力を二次側から一次側の発振・ドライブ回路に伝達する必要はない。このために、フォトカプラなどに代表される、直流的絶縁を行って検出出力の伝送を行なうための部品素子も必要ないこととなる。
また、先の図10のようにして二次側にて過電流検出を行う場合、負荷電流に応じて流れる二次側整流電流のレベルが比較的大きいことから、電流検出抵抗R1A//R1Bによる電力損失としては比較的大きなものとなっていた。特に、図10に示した電源回路は、二次側直流出力電圧Eo=5V、負荷電流0〜30Aとされる定電圧/大電流の負荷条件なので、この問題が特に顕著であり、例えば、最大負荷電力Po=150W時においては、4.5Wの電力損失が生じていたものである。
これに対して、本実施の形態では、図3にも示したように、電流検出素子としては、1Tの電流検出巻線NADであり、この両端電圧である検出電圧V3は、高周波インダクタL10により誘起される電圧である。従って、電流検出巻線NADにおける電力損失は0であるということがいえる。
このようにして、本実施の形態においては、電力回生方式による力率改善の構成を採りながらも、高周波インダクタL10に対して電流検出巻線NADを密結合させて巻装して、この電流検出巻線NADに誘起される両端電圧を検出電圧V3として利用することで、一次側直列共振電流レベル(つまり負荷電流レベル)について、一次側のアース電位を基準に検出することが可能とされる。
このような本実施の形態の構成は、高周波インダクタL10を一次側とし、電流検出巻線NADを二次巻線とする構成は、カレントトランスとして機能しているものであると捉えることができる。つまり、本実施の形態では、電力回生方式の力率改善回路として必須的に備えられる高周波インダクタを、カレントトランスの一次側巻線としても機能させることとしているということがいえる。
この結果、上記しているように、増幅回路及びフォトカプラなどの直流分絶縁用部品が省略されることになって、例えば電源回路基板の小型軽量化及び低コスト化を図ることができる。また、電流検出部品である電流検出巻線NADにおける電力損失は0とされることで、電源回路全体としてみた場合のAC→DC電力変換効率の向上も図られることとなる。
ところで、先に図10に示した電源回路におけるようなスイッチングコンバータの構成では、一次側のスイッチング素子のスイッチング周波数の可変制御により、二次側直流出力電圧の安定化を図るようにされている。このような構成を採る場合において、例えば軽負荷の傾向となっている状態では、スイッチング周波数を高くするように制御して安定化を図ることになる。この状態では、二次側の整流回路において、二次側整流電流が二次側平滑コンデンサに流れる期間が連続し、休止する期間が存在しない、いわゆる連続モードの動作となる。
これに対して、重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧が低下するのに応じて一次側のスイッチング周波数を低くするように制御していくと、二次側平滑コンデンサに対して二次側整流電流が連続して流れなくなって電流不連続期間が生じる、いわゆる不連続モードに移行する。つまり、二次側の両波整流動作として、負荷変動に応じて不連続モードとなる状態が存在する。
なお、二次側直流出力電圧は、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)に応じても変動し、これに応じた定電圧制御動作も行われるから、交流入力電圧VACのレベルに応じても不連続モードとなる状態が存在することになる。
図10に示した電源回路のようにして、電力回生方式により力率改善を行う構成では、一次側直列共振電流に商用交流電源周期のリップルが重畳することにより、二次側直流出力電圧に重畳される商用交流電源周期のリップル電圧が、力率改善回路を備えない構成とした場合よりも大幅に増加する。
これは、上記のようにして、例えば負荷変動、交流入力電圧VACの変動により、二次側整流動作が不連続モードとなることが主たる原因となっている。このことは、換言すれば、負荷変動、交流入力電圧VACの変動にかかわらず、二次側整流動作として連続モードが維持されるようにすれば、その原因が無くなるのであるから、上記した二次側直流出力電圧に重畳する商用交流電源周期のリップル電圧の増加を有効に抑制できるということを意味する。
そのために本実施の形態としては、図1に示す電源回路において次のような構成を採ることとしている。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2(N2A,N2B)を巻装する。このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの中央磁脚に対しては、図のようにして、例えばギャップ長1.4mm程度のギャップGを形成する。これによって、結合係数kとしては、例えばk=0.8以下による疎結合の状態を得るようにしている。つまり、従来例として図10及び図11に示した電源回路の絶縁コンバータトランスPITよりも、さらに疎結合の状態としているものである。なお、実際の結合係数kとしては、k=0.75を設定した。また、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することが出来る。
さらに、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルとしても、図10及び図11に示した電源回路よりも低くなるように、一次巻線N1と二次巻線N2A,N2Bの巻線数(ターン数)を設定する。例えば、一次巻線N1=60T、二次巻線N2A=N2B=2Tとすることで、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルを、2.5V/T以下としている。
このような絶縁コンバータトランスPITの構造、及び一次巻線N1、二次巻線(N2A,N2B)の巻線数設定とすることで、この場合の絶縁コンバータトランスPITのコアにおける磁束密度は低下して、図10に示した電源回路よりも、絶縁コンバータトランスPITにおけるリーケージインダクタンスは増加する。
上記のような構成による絶縁コンバータトランスPITを備えた、図1に示す回路の動作について、図4の波形図により説明する。
図4の波形図は、スイッチング素子Q2の両端電圧VQ2、スイッチング素子Q2に流れるスイッチング電流IQ2、一次側直列共振電流I1、及び整流電流Ioをスイッチング周期により示している。ここで、整流電流Ioは、二次側において、二次巻線N2のセンタータップからインダクタLdを経由して、平滑コンデンサCoに流れる電流である。この整流電流Ioが示されるラインは、二次側整流電流経路において、二次巻線N2に励起される交番電圧が正極/負極の両期間において、整流電流が流れるラインとなる。
ここで、図1に示す電源回路が対応すべき負荷条件としては、これまでにも述べているように、二次側直流出力電圧Eo=5Vで、負荷に流れる電流は30A〜0Aの範囲で変動するものとする。つまり、負荷条件としては、最大負荷電力(Po=150W)〜最小負荷電力(Po=0W)の範囲で対応するものとされる。また、交流入力電圧VACについては、いわゆる200V系といわれる、180V〜288Vの範囲を保証するものとしている。
前述もしたように、図1に示す電源回路ではスイッチング周波数制御方式により安定化を図るが、重負荷の条件となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じて、スイッチング周波数を低くするように制御する。図4の波形図としては、負荷状態として、ほぼ最大負荷電力の状態であるPo=150W時の動作を示している。つまり、スイッチング周波数としては、制御範囲においてほぼ最低となっているものである。
図4に示す電圧VQ2は、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示すものとなる。スイッチング素子Q2は、電圧VQ2が0レベルのときにオンで、所定レベルで矩形波状に立ち上がっているときにオフとなる。
このようなスイッチング素子Q2のオン/オフに応じて、スイッチング素子Q2には、図示する波形によるスイッチング電流IQ2が流れる。
ここで、一方のスイッチング素子Q1のオン/オフタイミングとしては、電圧VQ2について180°移相させた波形に対応したものとなる。従って、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流IQ1としても、スイッチング電流IQ2について180°移相された波形を有するものとなる。
一次側直列共振電流I1は、上記スイッチング電流IQ1,IQ2が合成されて得られるもので、図示する波形として得られる。
また、二次側の整流電流Ioの波形は、上記した一次側のスイッチング周期のタイミングに応じて、正極性側の半波の正弦波が続く波形となっている。このような波形は、例えば二次巻線N2に励起される交番電圧の半周期で、MOS−FETQ3//Q5の並列接続回路により整流された整流電流が正極性で流れ、次の半周期でMOS−FETQ4//Q6の並列接続回路により整流された整流電流が正極性で流れる、という動作が繰り返されることで得られる。
そして、この場合において、上記のようにして流れる整流電流Ioとしては、隣り合う半波の正弦波の間に、0レベルが継続する電流不連続期間を生じていないことが分かる。つまり、整流電流Ioは連続的に流れている状態となっている。
このようにして、図4によっては、例えば重負荷、もしくは交流入力電圧VACの低下に応じて二次側直流出力電圧Eoが低下したことで、スイッチング周波数が低くなるようにして制御されているときにも、二次側整流電流としては連続モードが得られていることが示される。
上述のようにして、重負荷(及び低交流入力電圧)の条件でも連続モードが得られているのは、これまでの説明から理解されるように、ギャップ長の設定により絶縁コンバータトランスPITの結合係数を所要値にまで低下させてより疎結合の状態とし、また、例えば二次巻線の1ターンあたりの誘起電圧レベルも所要以下となるようにして一次巻線N1と二次巻線N2A,N2Bの巻数(ターン数)設定を行い、これにより、絶縁コンバータトランスPITのコアに生じる磁束密度を所要以下にまで低下させたことにより得られるものである。
そして、このようにして、重負荷、低交流入力電圧の状態においても連続モードが得られているということは、負荷変動、交流入力電圧変動等による二次側直流出力電圧Eoの変動にかかわらず、常に連続モードで二次側の整流動作が行われるということになる。これにより、本実施の形態のようにして、電力回生方式による力率改善回路を備える構成を採る場合において、一次側直列共振電流に重畳される商用交流電源周期のリップルの増加は、大幅に抑制されることになる。この結果、二次側直流出力電圧に重畳される商用交流電源周期のリップル電圧のレベルも低下することとなって、二次側の平滑コンデンサのキャパシタンスを従来と同等にまで増加させる必要もなくなる。つまり、電力回生方式による力率改善回路を備えるスイッチング電源回路の実用化を容易に実現できることになる。例えば図10に示す電源回路では、力率改善回路を備えない場合と比較して、上記リップル電圧は、5倍〜6倍の増加となっていたが、本実施の形態では、2倍程度に抑えられる。
また、このようにしてスイッチング電源回路において、電力回生方式による力率改善回路を採用することが実現化されることで、力率改善のための手段として、商用交流電源ラインにパワーチョークコイルを挿入する必要が無くなるが、これは、先ず、電力変換効率の低下の問題が解消されることにつながる。また、パワーチョークコイルは、電源回路部品のなかでも相当に大型であり、かつ、漏洩磁束の影響も無視できなかったことから、電源回路基板の大型化、重量増加の問題、基板上の配置設計の問題等も解消される。
具体例として、例えば図10に示したスイッチングコンバータの構成を基として、力率改善回路20に代えて、パワーチョークコイルを挿入する構成とした場合、パワーチョークコイルの重量は153g程度であり、占有体積は32.4立方センチメートル、プリント基板への実装面積は10.8平方センチメートルとなる。
これに対して本実施の形態では、力率改善回路10を構成する部品の具体例として、高周波インダクタL10には、例えばEER−19の小型フェライトコアを用いることができる。また、フィルタコンデンサCNは、共に200Vの耐圧品でよい。そして、上記高周波インダクタL10と、スイッチングダイオードD1とを合計した重量は20g程度であり、実装面積は8平方センチメートルとなる。このようにして、図1に示す電源回路の場合、力率改善回路10を形成する各部品は、何れも小型、軽量であり、力率改善回路10全体でも、上記したパワーチョークコイルの重量、占有体積、実装面積を大きく下回る。
また、高周波インダクタL10に用いられる上記EER−19のフェライトコアは、閉磁路であり、従ってパワーチョークコイルPCHのように漏洩磁束の影響を考慮して基板上の配置設計をする必要もなく、また、磁気シールドなどを施す必要もない。これによっても電源回路基板の小型軽量化が促進できる。
また、本実施の形態では、二次側の整流回路として低オン抵抗のMOS−FETを整流素子として用いた同期整流回路を備えているが、これは、上記したようにして、負荷変動、交流入力電圧VACのレベル変動にかかわらず二次側の両波整流動作を連続モードとしたことと密接に関連している。この点について説明する。
スイッチング周波数制御方式を採る電源回路では、例えば重負荷の傾向となったり、あるいは、交流入力電圧VACが低下傾向にあるときに、二次側の両波整流回路に流れる二次側整流電流が連続して流れない不連続モードとなる。
このような不連続モードの状態は、二次側整流電流が、一次側直列共振電流の流れる期間よりも短い期間で流れるような状態であるといえる。そして、このように整流電流が短期間で流れることで、このときの整流電流のピークレベルは比較的高いものとなり、これに伴って二次側の各整流ダイオードの導通損が比較的大きなものとなってしまう。
スイッチング周波数制御方式を採ったうえで、二次側整流回路として例えばショットキーダイオードなどの高速型の整流ダイオード素子を備える通常の両波整流回路とした構成では、このような不連続モードとされることによる整流ダイオードの導通損により、二次側においても相応の電力損失が生じていたものである。
そこで、このような整流ダイオードの導通損による二次側の電力損失を低減するための技術の1つとして、二次側両波整流回路について、低オン抵抗のMOS−FETを整流素子とする同期整流回路とすることが知られている。例えば、ショットキーダイオードなどと比較すれば、トレンチ構造によるMOS−FETなどのほうが、オン抵抗ははるかに小さい。従って、二次側整流回路を同期整流回路とすることで、整流素子における導通損を低減し、二次側の電力損失を低減することが可能となる。
このような同期整流回路としては、例えば絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2(二次巻線N2A、N2B)に得られる交番電圧を検出する抵抗素子等を設け、その検出電圧により整流素子としてのMOS−FETをオン/オフ駆動するようにされる。これは、巻線電圧検出方式ともいわれる。
図10に示した電源回路では、この巻線電圧検出方式による同期整流回路を採用している。巻線電圧検出方式は、図10からも分かるように、駆動回路としては、基本的には抵抗素子を備えればよいために、回路構成が簡略になるという利点がある。
しかしながら、不連続モードの状態では、平滑コンデンサに対する充電電流が0レベルとなった以降も、その不連続期間で一次巻線N1に同極性による一次側直列共振電流が流れていることから、二次巻線N2の誘起電圧としてもその極性が反転することはなく、この期間ではMOS−FETは完全にオフにならずにオン状態を維持する。
そして、このように平滑コンデンサに対する充電電流が0レベルとなった以降もMOS−FETがオン状態とされることにより、この期間では整流電流として逆方向の電流が流れて、この逆方向電流による無効電力が生じてしまう。
このことから、例えば図10に示したように、巻線電圧検出方式を採る同期整流回路の場合、整流素子における導通損は低減されるものの、このような逆方向電流による無効電力の発生によって、全体として電力変換効率の有効な向上を図ることは難しい。
そこで、上記したような逆方向の整流電流による無効電力の発生の問題を解消する技術としては、整流電流検出方式による同期整流回路が知られている。この整流電流検出方式は、二次側の平滑コンデンサCoに充電される整流電流が0レベルになる前にMOS−FETをオフさせる技術である。
このための回路構成としては、例えば二次巻線N2に流れる電流(整流電流)をカレントトランスなどにより検出するようにされる。カレントトランスにより検出された電流は、電圧(検出電圧)として出力されるが、この検出電圧を、コンパレータにより所定の基準電圧と比較するようにされる。
ここで、平滑コンデンサCoへ充電するようにして整流電流が流れ始めると、この整流電流がカレントトランスにより検出されて、この整流電流レベルに応じた検出電圧がコンパレータに入力される。コンパレータでは、基準電圧と検出電圧とを比較して、例えば検出電圧が基準電圧を越えるとHレベルを出力する。このHレベルの出力がバッファからオン電圧として、整流素子であるMOS−FETのゲートに対して印加され、MOS−FETをオンさせる。これにより、整流電流がMOS−FETのソース→ドレイン方向により流れることになる。
そして時間経過に応じて整流電流のレベルが低下し、これに応じて、カレントトランスの出力である検出電圧が基準電圧よりも低くなると、コンパレータは出力を反転させる。この反転出力がバッファを介して出力されることで、整流素子であるMOS−FETのゲート容量を放電させて、そのMOS−FETをオフとする。
このような動作とされることで、整流素子であるMOS−FETは、整流電流が0レベルとなる前のタイミングでオフされることになる。これにより、巻線電圧検出方式による同期整流回路のようにして、整流電流が不連続となる期間において、MOS−FETに逆方向電流が流れることが無くなって無効電力が生じなくなり、その分の電力変換効率は高くなる。
しかし、上記した整流電流検出方式の同期整流回路では、上記説明からも分かるように、1つのMOS−FETに対応して、少なくとも1組のカレントトランスと、このカレントトランスの出力によりMOS−FETを駆動するための比較的複雑な駆動回路系が必要となる。これにより、回路構成が複雑になり、これが製造能率の低下、コストアップ、回路基板サイズの拡大などにつながるという不都合が生じる。
特に、例えば図10に示した電源回路のように、電流共振形のスイッチングコンバータの構成を基本としている場合、同期整流回路としても両波整流回路とする必要がある。従って、上記したカレントトランス及び駆動回路系は、半波の期間ごとに対応して2組必要とされることになり、上記した問題がさらに大きくなる。
このようにして、二次側整流動作として不連続モードとなる状態があることを前提として、同期整流回路を採用することを考えると、巻線電圧検出方式と整流電流検出方式とでは、そのメリットがトレードオフの関係にならざるを得ない。つまり、巻線電圧検出方式のほうが、電力変換効率の面で不利ではあるが、回路構成は簡略となる。これに対して、整流電流検出方式のほうは、無効電力が生じないので電力変換効率の面では有利であるが、回路構成が複雑になる。換言すれば、二次側整流動作として不連続モードとなる条件が存在する以上、例えば電力変換効率のことを考慮して同期整流回路を採用しようとしても、整流電流検出方式を採らざるを得ないために、回路構成が複雑化するという問題を抱えることになってしまう。
しかしながら、本実施の形態としては、先に説明した絶縁コンバータトランスPITの構成とすることで、負荷変動及び交流入力電圧の変動等にかかわらず、二次側の両波整流動作を連続モードとしている。
前述したように、図1に示す電源回路に備えられる同期整流回路は巻線電圧検出方式を採っているが、上記のようにして常に連続モードが得られていることで、電流不連続期間の無効電力が生じることはない。つまり、本実施の形態としては、巻線電圧検出方式の同期整流回路を備えることで、簡単な回路構成として回路規模の拡大を抑制し、さらにコストアップを避けるようにしていながら、なおかつ、電流不連続期間の無効電力に起因する電力変換効率の低下の問題を有効に解消しているものである。
以上、本実施の形態において、二次側整流動作を連続モードとしていることに関連したことをまとめると、先ずは、電力回生方式による力率改善回路を備えた場合におけるリップル増加の問題について、二次側両波整流動作を不連続モードとすることで解決しており、また、チョークインプット方式と比較した場合には高い電力変換効率を得ているということがいえる。
そしてさらに、二次側両波整流動作を不連続モードとしたことで、二次側整流回路において電流不連続期間の無効電力が生じなくなることに着眼し、二次側には巻線電圧検出方式による同期整流回路を備えることしている。これにより、小数の部品追加で、二次側整流回路における電力損失の低減を有効に図り、電源回路全体としての電力変換効率をさらに促進させているものである。
なお、本実施の形態においては、二次側の整流電流経路にインダクタLdを挿入しているが、そのインダクタンス値を適正に設定することで、インダクタLdのインピーダンス成分により整流電流に生じるとされる逆方向電流の成分を抑制する動作が得られる。つまり、インダクタLdの挿入により、電流不連続期間の逆方向電流の抑制は、さらに強化される。
図5及び図6は、本発明の第1の実施の形態としての力率改善回路の変形例を示している。
なお、これらの図において図示されていない他の電源回路部分は、図1と同様であるものとされる。
先ず、図5に示す力率改善回路10Aとしては、整流平滑電圧Eiを生成する整流回路系において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間となる整流電流経路に挿入されているということがいえる。これは、第1の実施の形態として整流電流経路において力率改善回路が挿入される位置は、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子側であっても、正極出力端子側であっても、何れでも良いということがいえる。
そして、この場合の力率改善回路10Aにおいては、高周波インダクタL10における所定の巻線位置に対してタップが設けられることで、高周波巻線部L10A(第1インダクタ部:第1巻線部),L10B(第2インダクタ部:第2巻線部)の2つの巻線部に分割される。つまり、ここでは、高周波インダクタL10全体としてのインダクタンス成分を、高周波巻線部L10A,L10Bの各インダクタンスにより形成されるものとしている。とそして、高周波巻線部L10Aの巻始め側となる端部をスイッチングダイオードD1のアノードに接続し、高周波巻線部L10Aの巻終わり側となる端部を一次側直列共振回路(C1−N1(L1))と接続するようにしている。
また、この場合においても、電流検出巻線NADは、高周波インダクタL10(L10A−L10B)に対して密結合となるようにして1Tの巻数で巻装される。
上記力率改善回路10Aの接続形態では、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成する整流回路系において、商用交流電源ACが正極性/負極性となる半周期ごとに形成される整流電流経路において、高周波巻線部L10AがスイッチングダイオードD1と直列に接続される回路形態が得られることになる。
また、一次側直列共振回路を形成するとされる一次側直列共振コンデンサC1と一次巻線N1の直列接続回路は、さらに高周波巻線部L10Bの直列接続を介して、高周波巻線部L10Aに対して接続されることになる。つまり、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成するための全波整流回路の整流電流経路に対して挿入されるものとなる。このことを、一次側直列共振回路経由でスイッチング出力の帰還を受ける力率改善回路10Aからみた場合、一次側直列共振回路としては、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1に加え、高周波巻線部L10Bのインダクタンスも含んで形成されるものとして扱うことができる。
なお、この場合のフィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−高周波巻線部L10Aが直列接続された整流電流経路部分に対して並列に接続される。また、ここでは図示していないが、スイッチング素子Q1,Q2のハーフブリッジ接続は、図1と同様にして平滑コンデンサCiに対して並列に接続される。
このような接続態様に依れば、高周波インダクタL10においては、高周波巻線部L10B側にて、一次側直列共振回路のスイッチング出力が入力される動作と、高周波巻線部L10A側にて、電力回生されたスイッチング出力に商用交流電源が重畳される動作とが複合的に得られることになる。高周波巻線部L10A,L10Bは、本来は同じインダクタにタップを形成することで分割されたものであるから、高周波巻線部L10A,L10Bは直列接続の関係にあって、相互に密結合である。従って、上記した高周波巻線部L10A,L10Bの動作は、これら高周波巻線部L10A,L10Bが密結合となっている状態下で行われるものとなる。
このような動作が得られる結果として、高周波インダクタL10を含む力率改善回路10Aにて流れるとされる整流電流は、より完全な正弦波形状に近づくことが実験で確認された。そして、このようにして整流電流が正弦波状となるのに応じて、交流入力電流IACとしても、同様にしてほぼ完全な正弦波状に近づくこととなる。これによっては、交流入力電流IACの波形において発生しているとされる、9次、11次、13次などの、高次、かつ、奇数次の歪みレベルが低減されることになる。
例えば上記したような高奇数次の歪みは、電源高調波歪み規制が規定する規制値に対するマージンを小さくしてしまうという不都合を生じる可能性があるが、図5に示す力率改善回路10Aとしての構成を採れば、交流入力電流IACの波形がより完全な正弦波状となるために、上記しているような電源高調波歪み規制が規定する規制値に対するマージンを充分に得ることが可能となる。そして、このような効果を得るのにあたっては、力率改善のための構成として特に部品素子を追加することなく、高周波インダクタL10についてタップを設けたうえで、図5に示されるように、その両端部及びタップの接続を行なうのみでよい。
また、このような構成においても、先ず、電流検出巻線NADには、高周波インダクタL10に得られる交番電圧V2により励起された交番電圧(検出電圧V3)が得られるようにされる。電流検出巻線NADは、この場合にも一次側アースと発振・駆動回路2のOCP端子との間に挿入されるようにして設けられるから検出電圧V3は一次側アース基準の電位である。また、図5に示す接続態様においては、一次側直列共振電流I1は、平滑コンデンサCiから高周波巻線部L10Bを介して一次側直列共振回路に流入する交番成分と見ることができる。従って、高周波インダクタL10の巻線全体としてみた場合にも一次側直列共振電流I1に応じたレベルの電流が流れるものと見ることができる。
従って、検出電圧V3としては、図1の場合と同様にして、一次側直列共振電流I1のレベル、つまり負荷電流レベルに応じた電位を示すことになるから、この場合にも、図1にて説明したのと同様の過電流保護動作が得られることになる。
なお、図5においては、高周波インダクタL10と電流検出巻線NADの巻方向(極性)が逆極性となっているものとして示されているが、このように逆極性とされても構わない。電圧V3としては、図3に示したようにしてアース電位を0レベルとして正/負に振幅する波形となるからである。
続いて、図6に示す変形例について説明する。
この図6には、力率改善回路10Bが示されている。この力率改善回路10Bも、図5の場合と同様にして、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間に挿入される形態を採る。
この図6に示す回路においては、先ず、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1についてタップを形成することで、一次巻線部N1A,N1Bの2つの巻線部に分割している。そして、力率改善回路10Bにおいては、スイッチングダイオードD1のアノードに対して一次巻線N1のタップ(一次巻線部N1A,N1Bの接続点)を接続し、一次巻線N1において一次巻線部N1B側となる端部と平滑コンデンサCiの正極端子との間に、図示するようにして、1つの独立したインダクタ素子としての部品である高周波インダクタL10を直列に挿入するようにされる。
つまり、この場合の力率改善回路10Bとしては、商用交流電源ACから整流平滑電圧を得るための整流回路系の整流電流経路において、スイッチングダイオードD1−一次巻線部N1B−高周波インダクタL10の直列接続回路を挿入していることになる。
なお、この場合には、高周波インダクタL10と一次巻線部N1Bとについて、後述するようにして密結合の状態を形成することを目的として直列に接続していることに応じて、一次側直列共振回路コンデンサC1は、一次巻線N1とスイッチング出力点との間に挿入する形態としている。
上記のようにして形成される力率改善回路10Bの力率改善動作について説明する。
先に図5に示した力率改善回路10Aの場合、高周波インダクタL10にタップを施して形成される高周波巻線部L10A(第1インダクタ部),L10B(第2インダクタ部)のうち、高周波巻線部L10Bは、整流電流経路内には挿入されてはいないものの、一次巻線N1と直列共振コンデンサC1を介して直列接続される関係にある。従って、一次側直列共振回路を形成するインダクタンス成分として機能するものとされていた。そして、高周波巻線部L10Bは、密結合の関係にあるとされる高周波巻線部L10Aに対して、一次側直列共振回路のスイッチング出力を伝達するようにしており、これにより、力率改善回路10A内で、スイッチング出力に商用交流電源を重畳させる電力回生動作を得ていたものである。
図6に示す力率改善回路10Bにおいても、一次巻線部N1Bは、一次側直列共振回路を形成するインダクタンス成分を有するものであり、高周波インダクタL10と直列接続されていることで、高周波インダクタL10に対してほぼ密結合とすることができる。なお、このことは、一次巻線部N1Bのインダクタンスが、力率改善のための高周波インダクタを成すインダクタンス成分の一部であるとみてよいことを意味する。そして、このような関係が得られているもとで、一次巻線部N1Bから高周波インダクタL10に対してスイッチング出力を伝達することで、上記図1の力率改善回路10と同様の電力回生動作を得るようにしている。
このような動作からすれば、図5に示した力率改善回路10Aにおける高周波巻線部L10Aと、高周波巻線部L10Bとの関係は、この図6に示される力率改善回路10Bにおける高周波インダクタL10(第1インダクタ部)と一次巻線部N1B(第2インダクタ部)の関係と等価であるということがいえる。
図5において説明したように、力率改善回路10Aにおける高周波巻線部L10A、高周波巻線部L10Bの動作によっては整流電流はより完全な正弦波形に近づくものであり、これに応じて交流入力電流IACも完全な正弦波形に近づく。従って、図6に示す力率改善回路10Bの力率改善結果としても、整流電流I11及び交流入力電流IACは、正弦波状となる。
つまり、図6に示す変形例としても、奇数高調波の歪みがレベルが抑制されることとなって、例えば電源高調波歪み規制が規定する規制値に対するマージンを充分に得ることが可能となる。また、この図6に示す変形例においても、このような効果を得るのにあたっては、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対してタップを設けたうえで、図6に示した回路が形成されるように接続を行うのみでよく、特に部品素子を追加する必要はない。
また、このような構成においても、電流検出巻線NADは、一次側アースと発振・駆動回路2のOCP端子との間に挿入されており、高周波インダクタL10に得られる交番電圧V2により励起された、一次側アース基準の交番電圧(検出電圧V3)をOPC端子に印加する。
図6に示す接続態様では、一次側直列共振電流I1は、平滑コンデンサCiから高周波インダクタL10を介して一次側直列共振回路に流入する交番成分となるから、高周波インダクタL10には、一次側直列共振電流I1に応じたレベルの電流が流れる。つまり、この場合にも、検出電圧V3としては、図1の場合と同様にして一次側直列共振電流I1(負荷電流レベル)に応じた電位を示すものであり、従って、図1にて説明したのと同様の過電流保護動作が得られる。
なお、上記図5、図6に示した力率改善回路10A、10Bのように、第1インダクタと第2インダクタを設けるようにした回路構成は、これら力率改善回路10A、10Bをブリッジ整流回路Diの負極出力端子側に接続することとした場合にも適用できるものである。
図7は、本発明の第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1,図5及び図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路において、商用交流電源ACから整流平滑電圧Eiを生成する整流回路としては、倍電圧整流回路を備える。そして、この図に示される力率改善回路11としては、倍電圧整流回路に対して、磁気結合形の電力回生方式による力率改善のための構成が組み合わされて形成されるものとなる。
この図に示す力率改善回路11においては、倍電圧整流回路を形成するものとして、整流ダイオードD11,D12(第1の整流素子,第2の整流素子)、及び平滑コンデンサCi1,Ci2(第1の平滑コンデンサ,第2の平滑コンデンサ)を備える。また、力率改善のためには、高周波インダクタL10と、フィルタコンデンサCNを備えると共に、力率改善用のスイッチング素子としては、上記整流ダイオードD11,D12を備えることになる。つまり、整流ダイオードD11,D12は、倍電圧整流回路において整流出力を得るための整流ダイオードとしての機能と、整流電流をスイッチングする力率改善用スイッチング素子としての機能を兼ねる。整流ダイオードD11,D12は、整流電流をスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周期でスイッチングするので、高速型のダイオード素子として、高速リカバリ型を選定するようにされる。
この場合、商用交流電源ACに対して設けられるコモンモードノイズフィルタとしては、各1組のコモンモードチョークコイルCMC、及びフィルタコンデンサCLから成るものとされて図示するようにして商用交流電源ACのラインに対して接続される。
また、この力率改善回路11の高周波インダクタL10は、図5と同様にして、所定の巻線位置に対してタップが設けられることで、高周波巻線部L10A(第1インダクタ部:第1巻線部),L10B(第2インダクタ部:第2巻線部)の2つの巻線部に分割することとしている。この場合には、高周波インダクタL10全体としては高周波巻線部L10A側の端部が巻始めとなる。
高周波巻線部L10Aの巻始め端部は、上記コモンモードノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACの一方のラインに対して接続される。高周波インダクタL10のタップ(L10Aの巻終わり端部とL10Bの巻始め端部との接続点となる)は、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して接続される。
整流ダイオードD11のカソードは平滑コンデンサCi1の正極端子に接続され、整流ダイオードD12のアノードは、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))の端部と接続される。
2組の平滑コンデンサCi1,Ci2は直列接続される。そのうえで、平滑コンデンサCi1の正極端子は、上記もしているように整流ダイオードD11のカソードと接続され、また、スイッチング素子Q1のドレイン側とも接続される。平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースと接続される。平滑コンデンサCi1の負極端子と平滑コンデンサCi2の正極端子との接続点は、コモンモードノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACの他のラインに対して接続される。
フィルタコンデンサCNは、高周波巻線部L10A側の端部と商用交流電源ACとのラインとの接続点と、平滑コンデンサCi1−平滑コンデンサCi2の接続点との間に挿入される。
そして、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))の端部は、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して接続される。
また、この場合にも、高周波インダクタL10に対しては1Tの電流検出巻線NADを密結合で巻装し、一次側アースと、発振・ドライブ回路2のOCP端子との間に挿入している。
上記した接続形態により構成される力率改善回路11内において形成される倍電圧整流回路は、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が一方の半周期となる期間においては、商用交流電源AC→(CMCの巻線)→高周波巻線部L10A→整流ダイオードD11→平滑コンデンサCi1→(CMCの巻線)→商用交流電源ACの経路で整流電流が流れる。つまり、整流ダイオードD11が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi1がその整流出力を平滑化することで、平滑コンデンサCi1の両端電圧として、商用交流電源ACの等倍に対応する整流平滑電圧を生成する。
同様に、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が他方の半周期となる期間においては、商用交流電源AC→(CMCの巻線)→平滑コンデンサCi2→整流ダイオードD12→高周波巻線部L10A→(CMCの巻線)→商用交流電源ACの経路で整流電流が流れる。つまり、整流ダイオードD12が商用交流電源ACを整流し、平滑コンデンサCi2がその整流出力を平滑化することで、平滑コンデンサCi2の両端電圧として、商用交流電源ACの等倍に対応する整流平滑電圧を生成する。
これにより平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、商用交流電源ACのレベルの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiが直流入力電圧として後段のスイッチングコンバータに供給される。
また、上記説明に依れば、高周波インダクタL10Aとしては、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)の半周期ごとに形成される整流電流経路において、共通となるラインに挿入されているものとなる。
そして、力率改善回路11においては、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードとの接続点に対して、高周波巻線部L10Bを介して一次側直列共振回路(C1−N1(L1))の端部が接続されている。これにより、力率改善回路21としても、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))に流れる一次側直列共振電流を電力として回生して、高周波インダクタL10(L10A)の磁気結合を介して、さらに整流ダイオードD11または整流ダイオードD12の整流電流経路を経て、平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られるものとなる。
つまり、この力率改善回路11としても磁気結合形の電力回生方式による力率改善回路としての動作が得られているものである。さらに、この場合には、高周波インダクタL10についてタップを施して高周波巻線部L10A,L10Bに分割し、これら高周波巻線部L10A,L10Bを図示するようにして接続していることで、先に図5に示した力率改善回路10Aと同様にして、交流入力電流IACの波形は、より完全な正弦波に近いものとなるようにされる。
図8の波形図は、力率改善回路10による力率改善動作を、商用交流電源周期により示している。なお、この図に示す特性は、交流入力電圧VAC=100Vで、負荷電力Po=150Wの最大負荷電力の条件のもとで得られたものである。
ここで、図示するようにして50Hzで140Vpの交流入力電圧VACが入力されていることを前提として、上記のようにして力率改善回路10側に対して、一次側直列共振回路から電力回生が行われているものとする。
これに応じて、整流ダイオードD11,D12のアノード、カソードの接続点と一次側アースとの間の電圧V1は、ピークが270Vとされて図示する波形による交番電圧として得られる。また、高周波巻線部L10Aと一次側直列共振回路(C1−N1(L1))との接続点と、一次側アース間の電圧V2は、図示するようにして、交流入力電流IACの非導通期間において、交番成分が重畳した波形が得られることとなる。
また、一次側直列共振回路(C1−N1(L1))に流れる一次側直列共振電流I1は、図示するようにして、±2.5Vでほぼ一定となるエンベロープで流れる交番波形となる。この一次側直列共振電流I1は、高周波巻線部L10Bを介して整流電流I11として流れようとする成分と、電流I12の電流成分のうちで、高周波巻線部L10Bからさらに高周波巻線部L10Aを介してフィルタコンデンサCNに流入しようとする電流成分とから成るものとみることができる。なお、整流電流I11と電流I12は、図示するようにして±5Aのピークレベルを有する。
このようにして、整流電流経路においては、スイッチング出力が帰還されていることでスイッチング周期に応じた交番波形成分が生じる。そして、このような交番波形の電圧成分により、高速リカバリ型の整流ダイオードD11,D12をオン/オフさせる動作が得られることになる。この結果、商用交流電源ACの半周期ごとにおいて、整流ダイオードD11,D12は、それぞれ整流電流I11をスイッチングするように動作することになる。
のレベルは、5Aとなる。
この場合にも、上記のようにしてスイッチングダイオードD1が整流電流を断続するようにしてスイッチングすることで得られる整流電流I11の導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなっている。同図に示す交流入力電流IACの導通期間は、この整流電流I11の導通期間にほぼ一致したものとなるので、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されることとなって、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くものとなっている。このようにして、力率改善回路11としても力率改善が図られていることが示されている。なお、交流入力電流IACのピークレベルは、この場合4Aとなっている。
また、この場合にも、電流検出巻線NADは、高周波インダクタL10の巻線と密結合の状態で磁気結合していることで、電流検出巻線NADの両端には、高周波インダクタL10の両端電圧である電圧V2に応じた検出電圧V3が得られる。この場合の検出電圧V3も±4Vの範囲で振幅する波形となる。
上記もしているように、高周波インダクタL10に流れる電流I12には、一次側直列共振電流I1の電流成分を含むので、そのレベルは一次側直列共振電流I1に対応するものであるといえる。この電流I12が流れるのに応じて高周波インダクタL10の両端には電圧V2が発生し、さらに電圧V2によって検出電圧V3が誘起される、従って、検出電圧V3としては、一次側直列共振電流I1に対応するレベルが得られるものとなることが分かる。
そして、この場合にも、最大負荷電力時における一次側直列共振電流I1のレベルに応じた検出電圧V3としては、第1の実施の形態に対応する図3と同様にして、±4Vの振幅が得られている。この振幅レベルが、発振・ドライブ回路2において適正に過電流検出を行うのには充分なレベルであることは図3において述べたとおりである。このことから、本実施の形態においても、発振・ドライブ回路2は、検出電圧V3のレベルに基づいて適正に過電流保護動作を実行できることになる。
そして、この図7に示す電源回路としても、図1に示す第1の実施の形態の電源回路と同様にして、過電流保護のための電流検出は一次側で行っていることになる。また、この場合にも、電流検出部品である電流検出巻線NADにおける電力損失は0である。つまり、第2の実施の形態としても、電源回路基板の小型軽量化及び低コスト化を図ることができ、また、電源回路全体としてみた場合のAC→DC電力変換効率の向上が図られる。
さらに、この第2の実施の形態としても、図2により説明した絶縁コンバータトランスPITの構造を採用することで、二次側直流出力電圧Eoの変動にかかわらず二次側整流動作として連続モードが得られるようにしており、そのうえでさらに、二次側整流回路として巻線電圧検出方式による同期整流回路としている。これにより、第1の実施の形態と同様に、できるだけ簡略な構成で電力変換効率に有利な二次側整流回路の構成を得ているものである。
ところで、先の第1の実施の形態としては、図1により、高周波インダクタL10を分割しない基本的な構成の力率改善回路10を示し、図5,図6の変形例により、高周波インダクタL10を高周波巻線部L10A,L10Bに分割した構成と、高周波インダクタL10を分割する代わりに絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1を分割した構成とを示した。
上記図7に示した第2の実施の形態は、図5の高周波インダクタL10を高周波巻線部L10A,L10Bに分割した力率改善回路の構成を、倍電圧整流回路の構成を採る場合に適用したものと考えることができる。
第2の実施の形態としては、図7に示した力率改善回路10の構成だけではなく、図1に示した高周波インダクタL10を分割しない力率改善回路の構成と、図6に示したように一次巻線N1を分割して得られた巻線部を整流電流経路に含めるような力率改善回路の構成も適用することが可能である。
図9には、第2の実施の形態の電源回路(力率改善回路)の変形例として、高周波インダクタL10を分割しない基本的な力率改善回路の構成を適用した構成を示している。なお、この図において、図1、図5、図6及び図7と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
高周波インダクタL10を分割しない場合には、力率改善回路11Aとして図示するようにして、高周波インダクタL10の一端を整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して接続する。他端は、商用交流電源ACの一方のライン(平滑コンデンサCi1−Ci2の接続点が接続されない側のライン)に接続するようにされる。一次側直列共振回路(C1−N1(L1))も、高周波巻線部L10Bを介することなく、直接、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して接続する。
また、ここでの図示は省略しているが、図6の変形例に準じて一次巻線N1を分割した構成を適用する場合には、次のようにすればよい。
先ず、一次巻線N1の所定の巻線位置にタップを施して一次巻線部N1A,N1Bに分割する。タップを、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して接続する。そして、タップとは反対側の一次巻線部N1Bの端部を高周波インダクタL10と接続する。これにより、倍電圧整流回路の整流電流経路において、交流入力電圧VACの一方の半周期では、整流ダイオードD11−一次巻線部N1B−高周波インダクタL10の直列接続回路が挿入され、交流入力電圧VACの他方の半周期では、整流ダイオードD12−一次巻線部N1B−高周波インダクタL10の直列接続回路が挿入されるようにする。つまり、一次巻線部N1B−高周波インダクタL10直列接続回路は、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)の半周期ごとに形成される整流電流経路において共通となるラインに挿入されるものとなる。
また、この場合、一次側直列共振回路としては、整流ダイオードD11のアノードと整流ダイオードD12のカソードの接続点に対して一次巻線部N1Aの端部が接続されることになるので、一次側直列共振コンデンサC1は、タップとは反対側の一次巻線部N1Aの端部と、スイッチング出力点との間に挿入するようにされる。
なお、本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、電流検出巻線NADの巻数は、必要に応じて1T以上が設定されてもよい。
また、電流検出巻線NADの両端電圧である検出電圧V3に基づいた過電流保護動作としては、例えばスイッチング動作は継続させた上で負荷電流量を制限するなど、実施の形態として説明したもの以外の動作を実行するように構成してもよい。
また、上記第1及び第2の実施の形態において備えられる力率改善回路10、11は、それぞれ電力回生方式における磁気結合形とされているが、磁気結合形の他にはコンデンサのキャパシタンスを介して電力回生する構成の静電結合形なども存在する。本発明は、このような静電結合形による電力回生方式の力率改善回路を備える場合にも適用可能である。さらには、これ以外にも、これまでに本出願人が提案してきた各種の電力回生(帰還)方式による回路形態を基とした構成を採用することも可能である。
また、絶縁コンバータトランスPITについてであるが、例えばコア形式などをはじめとして、その構造については、所要以下の磁束密度となるようにされていれば、適宜変更されて構わない。
また、例えば、上記各実施の形態としてのスイッチングコンバータは、他励式による電流共振形コンバータをその基礎としているが、自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能とされる。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。さらには、4石のスイッチング素子をフルブリッジ結合した電流共振形コンバータにも適用できる。また、例えばスイッチングコンバータの一次側のスイッチング素子(Q1,Q2)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。
また、二次側両波整流回路である、巻線電圧検出方式の同期整流回路の細部の構成についても適宜変更されてよい。
さらには、力率改善回路としても実施の形態として示したものに限定されるものではなく、これまでに本出願人が提案してきた各種の電力回生(帰還)方式による回路形態を基とした構成を採用することも可能である。
本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 本実施の形態の電源回路に備えられる絶縁コンバータトランスの構造例を示す図である。 第1の実施の形態の電源回路の力率改善動作、及び過電流検出動作に対応する要部の動作を示す波形図である。 第1の実施の形態の電源回路における、重負荷時の二次側両波整流回路の整流動作を示す波形図である。 第1の実施の形態の変形例を示す回路図である。 第1の実施の形態の変形例を示す回路図である。 第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 第2の実施の形態の電源回路の力率改善動作、及び過電流検出動作に対応する要部の動作を示す波形図である。 第2の実施の形態の変形例を示す回路図である。 従来例としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 図10に示す電源回路における過電流保護動作について、負荷変動に応じた二次側直流出力電圧、力率、及びスイッチング周波数特性を示す図である。 従来例としてのスイッチング電源回路の他の構成例を示す回路図である。 図12に示す電源回路における過電流保護動作について、負荷変動に応じた二次側直流出力電圧、力率、及びスイッチング周波数特性を示す図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、10,10A,10B,11,11A 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、D11,D12 整流ダイオード(高速リカバリ型)、Ci,Ci1,Ci2 平滑コンデンサ、Q1,Q2 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp 部分共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2(N2A,N2B) 二次巻線、CN フィルタコンデンサ、L10 高周波インダクタ、D1 スイッチングダイオード、Q3〜Q6 MOS−FET、Rg1、Rg2 ゲート抵抗、Dg1,Dg2 ショットキーダイオード、Ld インダクタ、Co (二次側)平滑コンデンサ、L10A,L10B 高周波巻線部、N1A,N1B 一次巻線部、NAD 電流検出巻線

Claims (7)

  1. 商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、
    上記整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が励起される二次巻線とを巻装して形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に励起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により一次側直列共振回路に得られる一次側直列共振電流を電力回生するようにして、上記整流平滑手段を形成する平滑コンデンサに帰還するようにされており、この帰還された電力に応じて、上記整流平滑手段による整流動作によって得られる整流電流を断続するようにしてスイッチングする力率改善用スイッチング素子と、上記整流平滑手段の整流電流経路において上記力率改善用スイッチング素子と直列に接続される高周波インダクタとを備えて構成される力率改善手段と、
    上記高周波インダクタとしての巻線に対して磁気結合されると共に、その両端電圧として基準電位に対する電圧レベルが得られるようにして設けられる電流検出巻線と、
    上記電流検出巻線の両端電圧に基づいて所定の過電流保護動作を実行する過電流保護手段と、
    を備えていることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記整流平滑手段は、
    上記商用交流電源の一方の半周期に対応して商用交流電源を整流する第1の整流素子と、この第1の整流素子の整流出力を平滑化して直流電圧を生成する第1の平滑コンデンサと、上記商用交流電源の他方の半周期に対応して商用交流電源を整流する第2の整流素子と、この第2の整流素子の整流出力を平滑化して直流電圧を生成する第2の平滑コンデンサとを備え、
    上記第1の平滑コンデンサと上記第2の平滑コンデンサの直列接続の両端電圧を上記整流平滑電圧として生成するように構成され、
    上記力率改善用スイッチング素子は、高速型のダイオード素子による上記第1の整流素子及び第2の整流素子とされ、
    上記高周波インダクタは、上記商用交流電源の一方の半周期に対応して形成される上記整流平滑手段の整流電流経路と、上記商用交流電源の他方の半周期に対応して形成される上記整流平滑手段の整流電流経路とにおいて、共通となるラインに対して挿入される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 上記力率改善手段は、
    上記高周波インダクタのインダクタンス成分として、
    ブリッジ整流回路とされる上記整流回路部の負極出力端子側の上記整流電流経路に対して直列に挿入されると共に、上記力率改善用スイッチング素子と直列接続回路を形成するようにして備えられる第1インダクタ部と、この第1インダクタ部とは直列に接続される接続関係を有すると共に、上記一次側直列共振回路を形成するためのインダクタンス成分に含まれるようにして挿入される第2インダクタ部とを備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 上記第1インダクタ部及び上記第2インダクタ部は、それぞれ、1つの高周波インダクタの巻線についてタップを設けたことで、このタップにより上記高周波インダクタの巻線を分割するようにして形成される第1巻線部と第2巻線部である、
    ことを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源回路。
  5. 上記第1インダクタ部は、1つのインダクタ素子として備えられると共に、
    上記第2インダクタ部は、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線についてタップを設けたことで、このタップにより上記一次巻線を分割するようにして形成される巻線部の1つである、
    ことを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源回路。
  6. 上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランスの磁束密度を、上記二次側直流出力電圧の変動にかかわらず、二次側整流電流が連続モードとなるようにして、所定以下となるように設定した、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  7. 上記二次側直流出力電圧生成手段を形成する整流回路として、巻線電圧検出方式による同期整流回路を備える、
    ことを特徴とする請求項6に記載のスイッチング電源回路。
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