JP2005057925A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期整流回路を備える複合共振形コンバータとして、高い電力変換効率を得ることと、回路の簡易化による回路規模の縮小、及び低コスト化を図ることとの両立を図る。
【解決手段】複合共振形コンバータの二次側に巻線電圧検出方式の同期整流回路を備える。そして、絶縁コンバータトランスPITのギャップ長を1.5mm程度として結合係数を0.79にまで低下させると共に、二次巻線の1ターン(T)あたりの誘起電圧レベルが2V/Tとなるように一次巻線N1、二次巻線N2のターン数を設定する。これにより、絶縁コンバータトランスPITのコアの磁束密度が一定以下となることで、重負荷の条件でも二次側整流電流を連続モードとすることができる。また、同期整流回路に対して、インダクタL11,L12を追加することで倍電流整流回路を組み合わせる。
【選択図】図1
【解決手段】複合共振形コンバータの二次側に巻線電圧検出方式の同期整流回路を備える。そして、絶縁コンバータトランスPITのギャップ長を1.5mm程度として結合係数を0.79にまで低下させると共に、二次巻線の1ターン(T)あたりの誘起電圧レベルが2V/Tとなるように一次巻線N1、二次巻線N2のターン数を設定する。これにより、絶縁コンバータトランスPITのコアの磁束密度が一定以下となることで、重負荷の条件でも二次側整流電流を連続モードとすることができる。また、同期整流回路に対して、インダクタL11,L12を追加することで倍電流整流回路を組み合わせる。
【選択図】図1
Description
本発明は、各種電子機器に電源として備えられるスイッチング電源回路に関するものである。
スイッチング電源回路として、例えばフライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知られている。これらのスイッチングコンバータはスイッチング動作波形が矩形波状であることから、スイッチングノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、電力変換効率の向上にも限界があることがわかっている。
そこで、共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案され、実用化されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
そこで、共振形コンバータによるスイッチング電源回路が各種提案され、実用化されている。共振形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノイズが実現される。また、比較的少数の部品点数により構成することができるというメリットも有している。
図11の回路図は、従来としての、共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一例を示している。この図に示す電源回路は、他励式による電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされている。
この図に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源ACに対して、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が備えられる。そして、これらブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiの全波整流動作によって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。この整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチングする電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続している。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、例えば汎用のICによる発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路回路を有している。そして、発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送する。この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一端は、一次側並列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。
また、一次巻線N1の他端は、一次側アースに接続される。
ここで、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1を含む絶縁コンバータトランスPITのリーケージインダクタンスL1によっては、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成する。
また、一次巻線N1の他端は、一次側アースに接続される。
ここで、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1を含む絶縁コンバータトランスPITのリーケージインダクタンスL1によっては、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成する。
上記説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた形式を採っていることになる。本明細書では、このようなスイッチングコンバータについて、複合共振形コンバータということにする。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた形式を採っていることになる。本明細書では、このようなスイッチングコンバータについて、複合共振形コンバータということにする。
ここでの図示による説明は省略するが、絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、次に説明する二次巻線(N2A,N2B)を、EE型コアの中央磁脚に対して、巻装している。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線としては、センタータップが施されたことで2つに分割された二次巻線N2A,N2Bが巻装されている。これらの二次巻線N2A,N2Bには、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。
この場合、上記二次巻線N2A,N2Bのセンタータップは二次側アースに対して接続される。そして、この二次巻線N2A,N2Bに対して、図示するようにして整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCOから成る全波整流回路を接続する。これにより、平滑コンデンサCOの両端電圧として二次側直流出力電圧EOが得られる。この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷側に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧EOのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにして、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このようにしてスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、二次側直流出力電圧のレベルが安定化されることになる。
この図に示す回路構成による電源回路として、低電圧大電流としての負荷条件に対応させた場合の動作波形を、図12に示す。図12に示す動作波形は、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=125Wの条件で測定を行って得られたものである。また、ここでの低電圧大電流の状態としては、二次側直流電圧Eo=5Vで、一次側スイッチングコンバータのスイッチング電流である一次側直列共振電流Io=25Aとなる状態である。
また、図12に示す動作波形による実験結果を得るのにあたっては、次のような条件と、電源回路における部品素子等の選定を行っている。
先ず、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルが、5V/Tとなるようして、二次巻線N2A,N2B及び一次巻線N1のターン数を設定することとして、具体的には、二次巻線N2A=N2B=1T、一次巻線N1=30Tとしている。
そして、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしている。これによって、一次巻線N1と二次巻線N2A,N2Bとで、0.85程度の結合係数を得るようにしている。
また、一次側直列共振コンデンサC1=0.068μF、部分電圧共振コンデンサCp=330pFを選定し、整流ダイオードDo1,Do2には、50A/40Vのショットキーダイオードを選定している。
先ず、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルが、5V/Tとなるようして、二次巻線N2A,N2B及び一次巻線N1のターン数を設定することとして、具体的には、二次巻線N2A=N2B=1T、一次巻線N1=30Tとしている。
そして、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしている。これによって、一次巻線N1と二次巻線N2A,N2Bとで、0.85程度の結合係数を得るようにしている。
また、一次側直列共振コンデンサC1=0.068μF、部分電圧共振コンデンサCp=330pFを選定し、整流ダイオードDo1,Do2には、50A/40Vのショットキーダイオードを選定している。
図12に示す波形図において、スイッチング素子Q2の両端電圧V1は、スイッチング素子Q2のオン/オフ状態に対応している。つまり、スイッチング素子Q2がオンとなる期間T2では0レベルで、オフとなる期間T1では所定レベルでクランプされた矩形波となる。そして、スイッチング素子Q2//ダンパーダイオードDD2に流れるスイッチング電流IDS2としては、期間T2に示されるように、ターンオン時においては、ダンパーダイオードDD2を流れることで負極性となり、これが反転して正極性によりスイッチング素子Q2のドレイン→ソースを流れ、期間T1でオフとなって0レベルとなる波形が得られる。
また、スイッチング素子Q1は、上記スイッチング素子Q2に対して交互にオン/オフするようにしてスイッチングを行う。このため、スイッチング素子Q1//ダンパーダイオードDD1に流れるスイッチング電流IDS1は、スイッチング電流IDS2に対して180°位相がシフトした波形となっている。
また、スイッチング素子Q1は、上記スイッチング素子Q2に対して交互にオン/オフするようにしてスイッチングを行う。このため、スイッチング素子Q1//ダンパーダイオードDD1に流れるスイッチング電流IDS1は、スイッチング電流IDS2に対して180°位相がシフトした波形となっている。
そして、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点と一次側アース間に接続される一次側直列共振回路(C1−L1)に流れる一次側直列共振電流Ioは、スイッチング電流IDS1とスイッチング電流IDS2との合成波形に対応する、一次側直列共振回路(C1−L1)の共振電流としての正弦波成分と、一次巻線N1の励磁インダクタンスにより発生する鋸歯状波成分とが合成された波形となる。
そして、このときの測定条件である、負荷電力Po=125Wは、図11に示す電源回路が対応する負荷条件としては、最大に近い重負荷の条件となるのであるが、このようにして対応負荷電力範囲において重負荷の傾向となる条件では、二次側の整流電流は不連続モードとなる。
つまり、二次巻線N2Aに発生する二次巻線電圧V2は、図12に示すようにして、一次側直列共振電流Ioが正弦波状で流れる期間のみ、所定の絶対値レベルでクランプされる波形が生じ、その間の一次側直列共振電流Ioとして励磁インダクタンスによる鋸歯状波成分が流れる期間は0レベルとなる。二次巻線N2Bには、二次巻線電圧V2を反転させた波形が発生する。
このために、整流ダイオードDo1を流れる整流電流I1と、整流ダイオードDo2を流れる整流電流I2は、それぞれ、一次側直列共振電流Ioが正弦波状で流れる期間DON1、DON2においてのみ流れ、これ以外の期間においては共に流れない。つまり、二次側の整流電流は不連続で平滑コンデンサに流入している。
つまり、二次巻線N2Aに発生する二次巻線電圧V2は、図12に示すようにして、一次側直列共振電流Ioが正弦波状で流れる期間のみ、所定の絶対値レベルでクランプされる波形が生じ、その間の一次側直列共振電流Ioとして励磁インダクタンスによる鋸歯状波成分が流れる期間は0レベルとなる。二次巻線N2Bには、二次巻線電圧V2を反転させた波形が発生する。
このために、整流ダイオードDo1を流れる整流電流I1と、整流ダイオードDo2を流れる整流電流I2は、それぞれ、一次側直列共振電流Ioが正弦波状で流れる期間DON1、DON2においてのみ流れ、これ以外の期間においては共に流れない。つまり、二次側の整流電流は不連続で平滑コンデンサに流入している。
ショットキーダイオードである整流ダイオードDo1,Do2の順方向電圧降下は0.6Vであり、上記したような二次側の動作では、図示もしているように、整流電流I1,I2は35Apという相応に高いレベルとなるので、これらの整流ダイオード素子による導通損が顕著となって電力損失が大きくなる。実際の測定結果として、直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)=130VのときのDC→DC電力変換効率は86%程度にとどまる。
そこで、二次側における整流電流の導通損を低減する技術として、低オン抵抗のMOS−FETにより整流を行うようにした、同期整流回路が知られている。このような同期整流回路として、巻線電圧検出方式による構成を例を図13に示す。
なお、図13においては、絶縁コンバータトランスPITの二次側の構成のみを示している。一次側の構成は、図11と同様であるものとする。また、定電圧制御方式としても、二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、一次側スイッチングコンバータのスイッチング周波数を可変制御するスイッチング周波数制御方式を採る。
また、この図13に示す二次側の構成を採る電源回路としても、図11の場合と同様の低電圧大電流(VAC=100V、負荷電力Po=125W、Eo=5V、Io=25A)の条件に対応するものとされる。
なお、図13においては、絶縁コンバータトランスPITの二次側の構成のみを示している。一次側の構成は、図11と同様であるものとする。また、定電圧制御方式としても、二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、一次側スイッチングコンバータのスイッチング周波数を可変制御するスイッチング周波数制御方式を採る。
また、この図13に示す二次側の構成を採る電源回路としても、図11の場合と同様の低電圧大電流(VAC=100V、負荷電力Po=125W、Eo=5V、Io=25A)の条件に対応するものとされる。
この場合にも、二次巻線としては、同じ巻数の二次巻線N2A、N2Bの各一端はセンタータップにより接続されるが、このセンタータップ出力は、平滑コンデンサCoの正極端子に接続される。二次巻線N2Aの他端は、NチャネルのMOS−FETQ3のドレイン→ソースを介して、二次側アース(平滑コンデンサCoの負極端子側)に接続される。同様にして、二次巻線N2Bの他端も、NチャネルのMOS−FETQ4のドレイン→ソースを介して、二次側アース(平滑コンデンサCoの負極端子側)に接続される。つまり、この場合には、二次巻線N2A、N2Bの各整流電流経路において、MOS−FETQ3,Q4を負極側に直列に挿入した構造となっている。なお、MOS−FETQ3,Q4のドレイン−ソースに対しては、それぞれ、ボディダイオードDD3,DD4が接続される。
そして、MOS−FETQ3を駆動する駆動回路は、二次巻線N2BとMOS−FETQ4のドレインとの接続点とMOS−FETQ3のゲートの間に、ゲート抵抗Rg1を接続すると共に、MOS−FETQ3のゲートと二次側アースとの間に抵抗R11を接続して形成される。
同様に、MOS−FETQ4を駆動する駆動回路は、二次巻線N2AとMOS−FETQ3のドレインとの接続点とMOS−FETQ4のゲートの間に、ゲート抵抗Rg2を接続すると共に、MOS−FETQ4のゲートと二次側アースとの間に抵抗R12を接続して形成される。
同様に、MOS−FETQ4を駆動する駆動回路は、二次巻線N2AとMOS−FETQ3のドレインとの接続点とMOS−FETQ4のゲートの間に、ゲート抵抗Rg2を接続すると共に、MOS−FETQ4のゲートと二次側アースとの間に抵抗R12を接続して形成される。
MOS−FETは、ゲートにオン電圧を印加すると、ドレイン−ソース間は、単なる抵抗体と等価となるので、電流は双方向に流れる。これを二次側の整流素子として機能させようとすれば、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向のみに電流を流さなければならない。これとは逆方向に電流が流れると、平滑コンデンサCoから絶縁コンバータトランスPIT側に放電電流が流れて、負荷側に有効に電力を伝達することができなくなる。また、逆電流によるMOS−FETの発熱、ノイズなどが生じて、一次側におけるスイッチング損失も招く。
上記した駆動回路は、二次巻線の電圧を検出することに基づいて、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向(つまり、ドレイン→ソース方向)にのみ電流が流れるように、MOS−FETQ3,Q4をスイッチング駆動するための回路である。
上記した駆動回路は、二次巻線の電圧を検出することに基づいて、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向(つまり、ドレイン→ソース方向)にのみ電流が流れるように、MOS−FETQ3,Q4をスイッチング駆動するための回路である。
図14の波形図は、上記図13に示す二次側の構成を採る電源回路(一次側は図11と同様)として、負荷電力Po=125W時の動作を示している。前述もしたように、この場合における負荷電力Po=125Wは、ほぼ最大負荷の条件となる。
この図において、スイッチング素子Q2の両端電圧V1と、これに応じた二次巻線N2A−N2Bの両端に得られる二次巻線電圧V2は、図11と同様のタイミングとなっているものである。なお、図14に示す二次巻線電圧V2は、二次巻線N2Aとゲート抵抗Rg2との接続点側からみた場合の極性となっており、二次巻線N2Bとゲート抵抗Rg1との接続点側からみた場合には逆極性となる。
MOS−FETQ4の駆動回路は、この図に示す極性の二次巻線電圧V2が負極性の所定レベルでクランプされる期間に至ると、MOS−FETQ4のゲートに対して、ゲート抵抗Rg2と抵抗R12とにより設定されるレベルのオン電圧を印加するように動作することになる。
同様にして、MOS−FETQ3の駆動回路(ゲート抵抗Rg1,抵抗R11)は、この図とは反転した極性の二次巻線電圧(V2)が負極性の所定レベルでクランプされる期間に至ると、MOS−FETQ3のゲートに対してオン電圧を印加するように動作することになる。
この図において、スイッチング素子Q2の両端電圧V1と、これに応じた二次巻線N2A−N2Bの両端に得られる二次巻線電圧V2は、図11と同様のタイミングとなっているものである。なお、図14に示す二次巻線電圧V2は、二次巻線N2Aとゲート抵抗Rg2との接続点側からみた場合の極性となっており、二次巻線N2Bとゲート抵抗Rg1との接続点側からみた場合には逆極性となる。
MOS−FETQ4の駆動回路は、この図に示す極性の二次巻線電圧V2が負極性の所定レベルでクランプされる期間に至ると、MOS−FETQ4のゲートに対して、ゲート抵抗Rg2と抵抗R12とにより設定されるレベルのオン電圧を印加するように動作することになる。
同様にして、MOS−FETQ3の駆動回路(ゲート抵抗Rg1,抵抗R11)は、この図とは反転した極性の二次巻線電圧(V2)が負極性の所定レベルでクランプされる期間に至ると、MOS−FETQ3のゲートに対してオン電圧を印加するように動作することになる。
これにより、MOS−FETQ3,Q4には、それぞれ、図示するようにして、期間DON1,DON2において、正極性の整流電流I1,I2が流れる。図示する二次巻線電圧V2が正/負でクランプされる期間に流れる整流電流I1,I2は、図11の回路の場合(図12の波形図の整流電流I1,I2)と同様に、35Apである。しかしながら、MOS−FETQ3,Q4は低オン抵抗であり、ショットキーダイオードによる整流ダイオードDo1,Do2と比較すれば、整流電流の導通損は著しく低いものとすることができる。また、駆動回路が抵抗素子のみから成ることからも理解されるように、巻線電圧検出方式は、駆動回路系が簡単な構成であることもメリットとなっている。
しかしながら、この図14に対応する場合のような重負荷(負荷電力Po=125W)とされる条件では、この電源回路も二次側整流電流は不連続モードとなる。これは、図14においても期間DON1,DON2が不連続であることにより示されている。
この不連続モードでは、整流電流I1,I2として、平滑コンデンサCoへの充電電流が0レベルになったとしても、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1には同じ方向に電流が流れている。これは、先の図12の波形図において、期間DON1,DON2以外の期間において、一次側直列共振電流Ioとして、一次巻線N1の励磁インダクタンス成分がその直前タイミングと同じ極性で流れていることを指している。このために、実際としては、二次巻線N2A,N2Bに誘起される電圧の極性が反転しないために、その間、MOS−FETQ3、Q4は完全にオフにならずにオン状態を維持する。これにより、図示するようにして、期間DON1,DON2以外では、整流電流I1,I2として逆方向の電流が流れてしまう。この期間DON1,DON2以外における逆方向の整流電流I1,I2は、無効電力を生じさせるが、このときの整流電流I1,I2のレベルは、8Apと比較的高いために、その無効電力量も相応に大きなものとなる。
このように、同期整流回路として巻線電圧検出方式を採る場合、整流電流の導通損は低減されるものの、上記のようにして無効電力が発生するために、全体として電力変換効率の有効な向上は図ることが難しいというのが現状である。
この不連続モードでは、整流電流I1,I2として、平滑コンデンサCoへの充電電流が0レベルになったとしても、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1には同じ方向に電流が流れている。これは、先の図12の波形図において、期間DON1,DON2以外の期間において、一次側直列共振電流Ioとして、一次巻線N1の励磁インダクタンス成分がその直前タイミングと同じ極性で流れていることを指している。このために、実際としては、二次巻線N2A,N2Bに誘起される電圧の極性が反転しないために、その間、MOS−FETQ3、Q4は完全にオフにならずにオン状態を維持する。これにより、図示するようにして、期間DON1,DON2以外では、整流電流I1,I2として逆方向の電流が流れてしまう。この期間DON1,DON2以外における逆方向の整流電流I1,I2は、無効電力を生じさせるが、このときの整流電流I1,I2のレベルは、8Apと比較的高いために、その無効電力量も相応に大きなものとなる。
このように、同期整流回路として巻線電圧検出方式を採る場合、整流電流の導通損は低減されるものの、上記のようにして無効電力が発生するために、全体として電力変換効率の有効な向上は図ることが難しいというのが現状である。
図15の波形図は、図13に示した二次側の構成を採る電源回路についての軽負荷とされる条件での動作を示している。
図13に示す電源回路の実際としても、先に図11に示す電源回路の構成として説明したようにスイッチング周波数制御による定電圧制御を行うが、軽負荷の条件となって二次側直流出力電圧が上昇すると、スイッチング周波数を高くするようにして二次側直流出力電圧を低下させ、これにより安定化を図るように動作する。
そして、このような軽負荷の状態では、図15に示すスイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して、二次側巻線電圧V2はほぼ同じタイミングで反転するようになり、これに応じて、二次側の整流電流I1、I2としては、期間DON1,DON2との間に休止期間が無く平滑コンデンサCoに連続して充電されるようにして流れる。つまり、連続モードとなる。このときには、上記図14の重負荷時の動作として示したような逆方向の整流電流I1、I2が流れる期間は存在しなくなって、これに応じた無効電力も生じていない。
このように、二次側整流回路系を巻線電圧検出方式による同期整流回路に置き換えた構成の電源回路も、重負荷時における電力変換効率の低下が依然として問題となる。
図13に示す電源回路の実際としても、先に図11に示す電源回路の構成として説明したようにスイッチング周波数制御による定電圧制御を行うが、軽負荷の条件となって二次側直流出力電圧が上昇すると、スイッチング周波数を高くするようにして二次側直流出力電圧を低下させ、これにより安定化を図るように動作する。
そして、このような軽負荷の状態では、図15に示すスイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して、二次側巻線電圧V2はほぼ同じタイミングで反転するようになり、これに応じて、二次側の整流電流I1、I2としては、期間DON1,DON2との間に休止期間が無く平滑コンデンサCoに連続して充電されるようにして流れる。つまり、連続モードとなる。このときには、上記図14の重負荷時の動作として示したような逆方向の整流電流I1、I2が流れる期間は存在しなくなって、これに応じた無効電力も生じていない。
このように、二次側整流回路系を巻線電圧検出方式による同期整流回路に置き換えた構成の電源回路も、重負荷時における電力変換効率の低下が依然として問題となる。
そこで、上記図14に示されるような、逆方向の整流電流による無効電力の発生の問題を解消する技術としては、整流電流検出方式による同期整流回路が知られている。この整流電流検出方式は、平滑コンデンサCoに充電される整流電流が0レベルになる前にMOS−FETをオフさせる技術である。
この整流電流検出方式による同期整流回路の構成例を、図16に示す。なお、この図においては、説明を簡単なものとするために、半波整流による構成を示している。
この整流電流検出方式による同期整流回路の構成例を、図16に示す。なお、この図においては、説明を簡単なものとするために、半波整流による構成を示している。
整流電流検出方式としては、二次巻線N2に流れる電流を検出するためにカレントトランスTRを設ける。カレントトランスの一次巻線Naは、二次巻線N2の端部と、MOS−FETQ4のドレインと接続される。MOS−FETQ4のソースは、平滑コンデンサCoの負極端子に接続している。
カレントトランスの二次巻線Nbに対しては、抵抗Raが並列に接続されるとともに、相互に順電圧方向が逆となるようにして、ダイオードDa、Dbが並列に接続されて並列接続回路を形成する。また、この並列接続回路に対して、コンパレータ20が接続される。コンパレータ20の反転入力には、基準電圧Vrefが入力される。なお、基準電圧Vrefとコンパレータ20の反転入力との接続点には、上記並列接続回路においてダイオードDaのアノードとダイオードDbのカソードが接続されている側の端部と接続される。また、コンパレータ20の非反転入力には、上記並列接続回路においてダイオードDaのカソードとダイオードDbのアノードが接続されている側の端部が接続される。
この場合、コンパレータ20の出力は、バッファ21により増幅されてMOS−FETQ4のゲートに印加されるようになっている。
カレントトランスの二次巻線Nbに対しては、抵抗Raが並列に接続されるとともに、相互に順電圧方向が逆となるようにして、ダイオードDa、Dbが並列に接続されて並列接続回路を形成する。また、この並列接続回路に対して、コンパレータ20が接続される。コンパレータ20の反転入力には、基準電圧Vrefが入力される。なお、基準電圧Vrefとコンパレータ20の反転入力との接続点には、上記並列接続回路においてダイオードDaのアノードとダイオードDbのカソードが接続されている側の端部と接続される。また、コンパレータ20の非反転入力には、上記並列接続回路においてダイオードDaのカソードとダイオードDbのアノードが接続されている側の端部が接続される。
この場合、コンパレータ20の出力は、バッファ21により増幅されてMOS−FETQ4のゲートに印加されるようになっている。
上記図16に示す構成による回路の動作を、図17に示す。
二次巻線N2に誘起される電圧が、平滑コンデンサCoの両端電圧(Eo)よりも大きくなると、先ず、MOS−FETQ4のボディダイオードのアノード→カソードの方向により、平滑コンデンサCoへ充電するようにして整流電流Idが流れ始める。この整流電流Idは、カレントトランスの一次巻線Naに流れるので、カレントトランスの二次巻線Nbには、一次巻線Naに流れる整流電流Idに応じた電圧Vnbが誘起される。コンパレータ20では、基準電圧Vrefと電圧Vnbとを比較して、電圧Vnbが基準電圧Vrefを越えるとHレベルを出力する。このHレベルの出力がバッファ21からオン電圧としてMOS−FETQ4のゲートに対して印加され、MOS−FETQ4をオンさせる。これにより、整流電流IdがMOS−FETQ4のドレイン→ソース方向により流れることになる。図17では、正極性により流れる整流電流Idとして示されている。
二次巻線N2に誘起される電圧が、平滑コンデンサCoの両端電圧(Eo)よりも大きくなると、先ず、MOS−FETQ4のボディダイオードのアノード→カソードの方向により、平滑コンデンサCoへ充電するようにして整流電流Idが流れ始める。この整流電流Idは、カレントトランスの一次巻線Naに流れるので、カレントトランスの二次巻線Nbには、一次巻線Naに流れる整流電流Idに応じた電圧Vnbが誘起される。コンパレータ20では、基準電圧Vrefと電圧Vnbとを比較して、電圧Vnbが基準電圧Vrefを越えるとHレベルを出力する。このHレベルの出力がバッファ21からオン電圧としてMOS−FETQ4のゲートに対して印加され、MOS−FETQ4をオンさせる。これにより、整流電流IdがMOS−FETQ4のドレイン→ソース方向により流れることになる。図17では、正極性により流れる整流電流Idとして示されている。
そして時間経過に応じて整流電流Idのレベルが低下し、これに応じて、電圧Vnbが基準電圧Vrefよりも低くなると、コンパレータ20は出力を反転させる。この反転出力がバッファ21を介して出力されることで、MOS−FETQ4のゲート容量を放電させて、MOS−FETQ4をオフとする。なお、この時点で、残りの整流電流IdはボディダイオードDD4を経由して短時間のうちに流れる。
このような動作とされることで、MOS−FETQ4は、整流電流Idが0レベルとなる前のタイミングでオフされることになる。これにより、図14に示したように、整流電流が不連続となる期間において、MOS−FETに逆方向電流が流れることが無くなって無効電力が生じなくなり、その分の電力変換効率は高くなる。
例えば、図11に示した電源回路の二次側の構成を、上記図16に示した構成に基づく、全波整流の整流電流検出方式による同期整流回路とした場合のDC→DC電力変換効率としては、先の図12、図14などと同様の条件の下で測定したところ、90%程度にまで向上するという測定結果が得られた。
例えば、図11に示した電源回路の二次側の構成を、上記図16に示した構成に基づく、全波整流の整流電流検出方式による同期整流回路とした場合のDC→DC電力変換効率としては、先の図12、図14などと同様の条件の下で測定したところ、90%程度にまで向上するという測定結果が得られた。
しかしながら、上記した整流電流検出方式の同期整流回路では、図16からも分かるように、1つのMOS−FETに対応して、少なくとも1組のカレントトランスと、このカレントトランスの出力によりMOS−FETを駆動するための比較的複雑な駆動回路系が必要となる。これにより、回路構成が複雑になり、これが製造能率の低下、コストアップ、回路基板サイズの拡大などにつながるという不都合が生じることになる。
特に、図6に示した一次側のスイッチングコンバータの構成を基本として整流電流検出方式の同期整流回路を二次側に備えることとした場合、二次側には全波整流回路を備える必要がある。従って、上記したカレントトランス及び駆動回路系は、MOS−FETQ3,Q4ごとに対応して2組必要とされることになり、上記した問題がさらに大きくなる。
このようにして、巻線電圧検出方式と整流電流検出方式とでは、巻線電圧検出方式のほうが、無効電力により電力変換効率の面で不利ではあるが、回路構成が簡略であるのに対して、整流電流検出方式のほうは、無効電力が生じないので電力変換効率の面では有利であるが、回路構成が複雑になる、というトレードオフの関係にある。
特に、図6に示した一次側のスイッチングコンバータの構成を基本として整流電流検出方式の同期整流回路を二次側に備えることとした場合、二次側には全波整流回路を備える必要がある。従って、上記したカレントトランス及び駆動回路系は、MOS−FETQ3,Q4ごとに対応して2組必要とされることになり、上記した問題がさらに大きくなる。
このようにして、巻線電圧検出方式と整流電流検出方式とでは、巻線電圧検出方式のほうが、無効電力により電力変換効率の面で不利ではあるが、回路構成が簡略であるのに対して、整流電流検出方式のほうは、無効電力が生じないので電力変換効率の面では有利であるが、回路構成が複雑になる、というトレードオフの関係にある。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成することとした。
つまり、入力された直流入力電圧を断続するようにしてスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動する駆動手段とを備える。
また、スイッチング手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するものであり、少なくとも一次巻線と二次巻線が巻装される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、自己のキャパシタンスとによってスイッチング手段の動作を共振形とするための一次側共振回路を形成するようにして、一次側の所定の部位に接続される一次側共振コンデンサと、スイッチング手段を形成するスイッチング素子のうち、少なくとも一方のスイッチング素子に対して並列に接続される部分共振コンデンサのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、スイッチング手段を形成するスイッチング素子のターンオフ期間に部分電圧共振動作を行う一次側部分電圧共振回路とを備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を全波整流して二次側平滑コンデンサに整流電流を充電することで、二次側平滑コンデンサの両端電圧として二次側直流出力電圧を得るようにされた同期整流回路と、倍電流整流回路とが組み合わされた二次側整流回路を備える。
そして、上記二次側整流回路は、絶縁コンバータトランスに巻装された1組の二次巻線の一方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第1のMOS型トランジスタと、二次巻線の他方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第2のMOS型トランジスタと、第1のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、第1のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第1の駆動回路と、第2のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、第2のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第2の駆動回路と、第1のインダクタと第2のインダクタとを直列接続して形成されるインダクタ直列回路であり、二次巻線に対して並列に接続されると共に、これら第1のインダクタと第2のインダクタの接続点が二次側平滑コンデンサの正極端子と接続されるインダクタ直列回路とから成るものとして構成する。
そして、絶縁コンバータトランスの磁束密度は、二次側直流電圧に接続される負荷条件の変動にかかわらず、全波整流動作により同期整流回路に流れる二次側整流電流が連続モードとなるようにして所定以下となるように設定することとした。
つまり、入力された直流入力電圧を断続するようにしてスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動する駆動手段とを備える。
また、スイッチング手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するものであり、少なくとも一次巻線と二次巻線が巻装される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、自己のキャパシタンスとによってスイッチング手段の動作を共振形とするための一次側共振回路を形成するようにして、一次側の所定の部位に接続される一次側共振コンデンサと、スイッチング手段を形成するスイッチング素子のうち、少なくとも一方のスイッチング素子に対して並列に接続される部分共振コンデンサのキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、スイッチング手段を形成するスイッチング素子のターンオフ期間に部分電圧共振動作を行う一次側部分電圧共振回路とを備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を全波整流して二次側平滑コンデンサに整流電流を充電することで、二次側平滑コンデンサの両端電圧として二次側直流出力電圧を得るようにされた同期整流回路と、倍電流整流回路とが組み合わされた二次側整流回路を備える。
そして、上記二次側整流回路は、絶縁コンバータトランスに巻装された1組の二次巻線の一方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第1のMOS型トランジスタと、二次巻線の他方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第2のMOS型トランジスタと、第1のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、第1のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第1の駆動回路と、第2のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、第2のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第2の駆動回路と、第1のインダクタと第2のインダクタとを直列接続して形成されるインダクタ直列回路であり、二次巻線に対して並列に接続されると共に、これら第1のインダクタと第2のインダクタの接続点が二次側平滑コンデンサの正極端子と接続されるインダクタ直列回路とから成るものとして構成する。
そして、絶縁コンバータトランスの磁束密度は、二次側直流電圧に接続される負荷条件の変動にかかわらず、全波整流動作により同期整流回路に流れる二次側整流電流が連続モードとなるようにして所定以下となるように設定することとした。
上記構成によるスイッチング電源回路は、一次側スイッチングコンバータとしては、共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた複合共振形コンバータとしての構成を採る。そして、二次側には、巻線電圧検出方式による全波整流の同期整流回路と、倍電流整流回路とが組み合わされた整流回路を備える。
そのうえで、絶縁コンバータトランスの磁束密度が所定以下となるようにしていることで、負荷変動にかかわらず、二次側整流電流が常に連続モードとなるようにしている。二次側整流電流が連続モードとなれば、巻線電圧検出方式による同期整流回路において問題となる、二次側整流電流の不連続期間においてMOS型トランジスタに逆方向電流が流れることに依る無効電力は生じないことになる。
また、二次側の整流回路としては倍電流整流回路の動作も得られるが、これにより、二次巻線に流れる電流は、二次側平滑コンデンサへの充電電流レベルの約1/2となる。また、倍電流整流回路の回路構成上、二次巻線としては、全波整流でありながらセンタータップを施さない1組の巻線を用いることができる。
そのうえで、絶縁コンバータトランスの磁束密度が所定以下となるようにしていることで、負荷変動にかかわらず、二次側整流電流が常に連続モードとなるようにしている。二次側整流電流が連続モードとなれば、巻線電圧検出方式による同期整流回路において問題となる、二次側整流電流の不連続期間においてMOS型トランジスタに逆方向電流が流れることに依る無効電力は生じないことになる。
また、二次側の整流回路としては倍電流整流回路の動作も得られるが、これにより、二次巻線に流れる電流は、二次側平滑コンデンサへの充電電流レベルの約1/2となる。また、倍電流整流回路の回路構成上、二次巻線としては、全波整流でありながらセンタータップを施さない1組の巻線を用いることができる。
このことから、本発明としては、巻線電圧検出方式の同期整流回路を備えながらも、二次側整流電流の不連続期間に対応した無効電力は生じないこととなり、例えば、整流電流検出方式による同期整流回路を備えた場合と同等程度にまで電力変換効率を向上させることができる。そして、なおかつ、同期整流回路の回路構成自体は巻線電圧検出方式であることで、整流電流検出方式よりも簡易な構成を採ることができる。
つまり、本発明によっては、同期整流回路を備える複合共振形コンバータとして、高い電力変換効率を得ることと、回路の簡易化による回路規模の縮小、及び低コスト化を図ることとの両立が図られるものであり、特に、定電圧大電流とされるような条件に電源回路を使用する場合に有利となるものである。
さらに本発明においては、同期整流回路に対して倍電流整流回路が組み合わされていることで、さらに電力変換効率を高いものとすることが可能であり、また、二次巻線が1組とされることによる製造効率の向上、回路設計の容易化なども促進することができる。
つまり、本発明によっては、同期整流回路を備える複合共振形コンバータとして、高い電力変換効率を得ることと、回路の簡易化による回路規模の縮小、及び低コスト化を図ることとの両立が図られるものであり、特に、定電圧大電流とされるような条件に電源回路を使用する場合に有利となるものである。
さらに本発明においては、同期整流回路に対して倍電流整流回路が組み合わされていることで、さらに電力変換効率を高いものとすることが可能であり、また、二次巻線が1組とされることによる製造効率の向上、回路設計の容易化なども促進することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、基本構成として、他励式によるハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
この図に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側並列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。
また、一次巻線N1の他方の端部は、一次側アースに接続される。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側並列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。
また、一次巻線N1の他方の端部は、一次側アースに接続される。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、後述する構造により、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に所要のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。そして、直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、上記リーケージインダクタンスL1によっては、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成する。
上記説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた、複合共振形コンバータとしての構成を採っている。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた、複合共振形コンバータとしての構成を採っている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線には一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。そして、この場合の二次巻線としては、所定巻数による1組の二次巻線N2が設けられる。
本実施の形態としては、この二次巻線N2を含んで、倍電流整流回路或いは電流ダブラ整流回路などといわれる全波整流動作の整流回路が形成される。そしてさらに、この倍電流整流回路に対して、電圧検出方式による同期整流回路が組み合わされる。
本実施の形態としては、この二次巻線N2を含んで、倍電流整流回路或いは電流ダブラ整流回路などといわれる全波整流動作の整流回路が形成される。そしてさらに、この倍電流整流回路に対して、電圧検出方式による同期整流回路が組み合わされる。
二次巻線N2の一方の端部Paは、NチャンネルのMOS−FETQ3のドレイン→ソースを介して二次側アース(平滑コンデンサCoの負極端子側)と接続される。このMOS−FETQ3に対しては、ドレイン→ソースに対して逆並列接続されるようにしてボディダイオードDD3が接続される。
また、二次巻線N2の他方の端部Pbは、同じくNチャンネルのMOS−FETQ4のドレイン→ソースを介して二次側アースと接続される。このMOS−FETQ4に対しても、ドレイン→ソースに対して逆並列接続されるようにしてボディダイオードDD4が接続される。
つまり、この場合には、二次側整流回路系の整流電流経路において、MOS−FETQ3,Q4を平滑コンデンサCoの負極側に直列に挿入した構造となっている。
また、これらMOS−FETQ3,Q4には、例えば低耐圧のトレンチ構造のものを選定することで、低オン抵抗を得るようにされる。
また、二次巻線N2の他方の端部Pbは、同じくNチャンネルのMOS−FETQ4のドレイン→ソースを介して二次側アースと接続される。このMOS−FETQ4に対しても、ドレイン→ソースに対して逆並列接続されるようにしてボディダイオードDD4が接続される。
つまり、この場合には、二次側整流回路系の整流電流経路において、MOS−FETQ3,Q4を平滑コンデンサCoの負極側に直列に挿入した構造となっている。
また、これらMOS−FETQ3,Q4には、例えば低耐圧のトレンチ構造のものを選定することで、低オン抵抗を得るようにされる。
また、二次巻線N2の端部Paと、MOS−FETQ3のドレインとの接続点に対しては、インダクタL11の一端が接続され、インダクタL11の他端は二次側の平滑コンデンサCoの正極端子に接続される。
また、二次巻線N2の上記端部Pbと、MOS−FETQ4のドレインとの接続点に対しては、インダクタL12の一端が接続され、インダクタL12の他端も二次側の平滑コンデンサCoの正極端子に接続される。
また、二次巻線N2の上記端部Pbと、MOS−FETQ4のドレインとの接続点に対しては、インダクタL12の一端が接続され、インダクタL12の他端も二次側の平滑コンデンサCoの正極端子に接続される。
そして、MOS−FETQ3を駆動する駆動回路は、二次巻線N2の端部Pb側と、MOS−FETQ3のゲートの間に、ゲート抵抗Rg1を接続すると共に、MOS−FETQ3のゲートと二次側アースとの間に抵抗R11を接続して形成される。
同様に、MOS−FETQ4を駆動する駆動回路は、二次巻線N2の端部Pa側と、MOS−FETQ4のゲートの間に、ゲート抵抗Rg2を接続すると共に、MOS−FETQ4のゲートと二次側アースとの間に抵抗R12を接続して形成される。
同様に、MOS−FETQ4を駆動する駆動回路は、二次巻線N2の端部Pa側と、MOS−FETQ4のゲートの間に、ゲート抵抗Rg2を接続すると共に、MOS−FETQ4のゲートと二次側アースとの間に抵抗R12を接続して形成される。
MOS−FETは、ゲートにオン電圧を印加すると、ドレイン−ソース間は、単なる抵抗体と等価となるので、電流は双方向に流れる。これを二次側の整流素子として機能させようとすれば、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向のみに電流を流さなければならない。これとは逆方向に電流が流れると、平滑コンデンサCoから絶縁コンバータトランスPIT側に放電電流が流れて、負荷側に有効に電力を伝達することができなくなる。また、逆電流によるMOS−FETの発熱、ノイズなどが生じて、一次側におけるスイッチング損失も招く。
上記した駆動回路は、二次巻線の電圧を検出することに基づいて、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向(つまり、ドレイン→ソース方向)にのみ電流が流れるように、MOS−FETQ3,Q4をスイッチング駆動するための回路である。つまり、この場合における同期整流回路の回路構成としては、巻線電圧検出方式により、整流電流に同期させてMOS−FETQ3,Q4をオン/オフ駆動する構成を採っているものである。
上記した駆動回路は、二次巻線の電圧を検出することに基づいて、平滑コンデンサCoの正極端子に充電する方向(つまり、ドレイン→ソース方向)にのみ電流が流れるように、MOS−FETQ3,Q4をスイッチング駆動するための回路である。つまり、この場合における同期整流回路の回路構成としては、巻線電圧検出方式により、整流電流に同期させてMOS−FETQ3,Q4をオン/オフ駆動する構成を採っているものである。
また、上述のようにして、インダクタL11−L12の直列接続を、1組の二次巻線N2に対して並列接続し、なおかつ、インダクタL11−L12の接続点を平滑コンデンサCoの正極端子に接続している構成を付加することで、この巻線電圧検出方式による同期整流回路は、倍電流整流回路としての構成も有することになる。なお、以降において、このようにして倍電流整流回路と同期整流回路を組み合わせた構成については、倍電流/同期整流回路ともいうことにする。
上記した回路構成による倍電流/同期整流回路によっては、平滑コンデンサCOに対して全波整流により整流して得られる整流電流を充電する動作が得られ、これにより、平滑コンデンサCOの両端電圧として二次側直流出力電圧EOが得られる。この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷側に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧EOのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにして、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する。スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御することで、二次側直流出力電圧Eoを上昇させる。これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することで、二次側直流出力電圧Eoを低下させる。
例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御することで、二次側直流出力電圧Eoを上昇させる。これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することで、二次側直流出力電圧Eoを低下させる。
本実施の形態としては、この図に示す電源回路の回路構成の下で、低電圧、大電流とされる負荷条件に対応させることとしている。ここでの低電圧大電流の状態としては、二次側直流電圧Eo=5Vで、一次側スイッチングコンバータのスイッチング電流である一次側直列共振電流Io=25Aとなる状態であるとする。
このような条件を前提として、図1に示す電源回路としては、次のようにして各部所要の部品を構成し、また、選定している。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、図2に示す構造を採ることとしている。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。この場合のEE型コアのサイズは例えばEER−35としている。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、図2に示す構造を採ることとしている。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。この場合のEE型コアのサイズは例えばEER−35としている。
EE型コアの中央磁脚に対しては、図のようにして、例えばギャップ長1.5mm程度のギャップGを形成するようにしている。これによって、結合係数kとしては、k=0.8以下(実施の形態としてはk=0.79)による疎結合の状態を得るようにしている。つまり、従来例として図11に示した電源回路の絶縁コンバータトランスPITよりも、さらに疎結合の状態としているものである。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することが出来る。
そのうえで、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルとしても、図11に示した電源回路よりも低くなるように、一次巻線N1と二次巻線N2の巻線数(ターン数)を設定する。例えば、一次巻線N1=60T、二次巻線N2=6Tとすることで、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルを、2V/T以下としている。
このような絶縁コンバータトランスPIT及び一次巻線N1、二次巻線N2の巻線数設定とすることで、絶縁コンバータトランスPITのコアにおける磁束密度が低下して、図11に示す電源回路よりも、絶縁コンバータトランスPITにおけるリーケージインダクタンスは増加する。
また、一次側直列共振コンデンサC1には、0.033μFを選定した。また、二次側の同期整流回路を形成するMOS−FETQ3,Q4については、30A/20Vを選定しており、そのオン抵抗は5mΩである。さらに、インダクタL11,L12については、47μHを選定している。
このような構成による図1に示す電源回路の動作波形を、図3及び図4に示す。図3は、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=125Wのときの動作を示し、図4は、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=25W時の動作を示している。図1に示す電源回路の対応負荷電力範囲において、負荷電力Po=125Wは重負荷とされる条件であり、負荷電力Po=25Wは軽負荷の条件となる。
図3に示す波形図において、スイッチング素子Q2の両端電圧V1は、スイッチング素子Q2のオン/オフ状態に対応している。つまり、スイッチング素子Q2がオンとなる期間T2では0レベルで、オフとなる期間T1では所定レベルでクランプされた矩形波となる。そして、スイッチング素子Q2//ダンパーダイオードDD2に流れるスイッチング電流IDS2としては、期間T2に示されるように、ターンオン時においては、ダンパーダイオードDD2を流れることで負極性となり、これが反転して正極性によりスイッチング素子Q2のドレイン→ソースを流れ、期間T1でオフとなって0レベルとなる波形が得られる。
また、スイッチング素子Q1は、上記スイッチング素子Q2に対して交互にオン/オフするようにしてスイッチングを行う。このため、スイッチング素子Q1//ダンパーダイオードDD1に流れるスイッチング電流IDS1は、スイッチング電流IDS2に対して180°位相がシフトした波形となる。また、図示してはいないが、スイッチング素子Q1の両端電圧としても、スイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して180°位相がシフトした波形となる。
また、スイッチング素子Q1は、上記スイッチング素子Q2に対して交互にオン/オフするようにしてスイッチングを行う。このため、スイッチング素子Q1//ダンパーダイオードDD1に流れるスイッチング電流IDS1は、スイッチング電流IDS2に対して180°位相がシフトした波形となる。また、図示してはいないが、スイッチング素子Q1の両端電圧としても、スイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して180°位相がシフトした波形となる。
そして、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点と一次側アース間に接続される一次側直列共振回路(C1−L1)に流れる一次側直列共振電流Ioは、スイッチング電流IDS1とスイッチング電流IDS2とが合成されたものとなる。これにより、図示するようにして、一次側直列共振電流Ioは正弦波状となる。この波形を、図11に示した従来の電源回路の一次側直列共振電流Ioの波形(図12参照)と比較すると、本実施の形態の一次側直列共振電流Ioとしては、一次巻線N1の励磁インダクタンスにより発生する鋸歯状波成分がほとんど含まれていないことが分かる。これは、絶縁コンバータトランスPITの結合係数をより疎結合な状態としたことで、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1が増加した分、相対的に一次巻線N1の励磁インダクタンスが小さくなったことに依る。
そして、このような一次側直列共振電流Ioの波形が得られるのに応じて、二次巻線N2の電圧V2としては、一次側直列共振電流Ioが正極性/負極性で反転するのに応じて同様に反転し、二次側直流出力電圧Eoに対応する絶対値レベルでクランプされた波形となる。
ここで、図12に示す電圧V2と比較して分かるように、この図3に示す電圧V2は、0レベルの区間を挟むことなく正/負で反転する波形となっていることが分かる。
ここで、図12に示す電圧V2と比較して分かるように、この図3に示す電圧V2は、0レベルの区間を挟むことなく正/負で反転する波形となっていることが分かる。
そして、二次側の倍電流/同期整流回路についての電圧検出方式による同期整流回路の動作としては、抵抗Rg1−R11、及び抵抗Rg2−R12から成る各駆動回路により上記電圧V2を検出し、それぞれMOS−FETQ3,Q4に対してオンレベルのゲート電圧を出力することになる。これにより、MOS−FETQ3,Q4の各ゲート−ソース間に生じるゲート−ソース間電圧VGS3,VGS4は、それぞれ、電圧V2が正/負となるパルス期間に応じてオン電圧レベルを生じる。
ゲート−ソース間電圧VGS3は、二次巻線電圧V2について二次巻線N2の端部Pb側が正極性となったときに対応してオン電圧となり、MOS−FETQ3をオンとさせる。このときに流れる整流電流I1は、MOS−FETQ3のソース→ドレインからインダクタL11に流れる成分と、二次巻線N2の端部Pa側から流入する成分とに分岐する。
整流電流I1として、インダクタL11に流れた成分は、そのまま平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入し、二次巻線N2の端部Pa側から流入した成分はインダクタL12に流入した後に、平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入する。
整流電流I1として、インダクタL11に流れた成分は、そのまま平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入し、二次巻線N2の端部Pa側から流入した成分はインダクタL12に流入した後に、平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入する。
これに対して、ゲート−ソース間電圧VGS4は、二次巻線電圧V2について二次巻線N2の端部Pa側が正極性となったときに対応してオン電圧となり、MOS−FETQ4をオンとさせる。このときに流れる整流電流I2は、MOS−FETQ4のソース→ドレインからインダクタL12に流れる成分と、二次巻線N2の端部Pb側から流入する成分とに分岐する。
整流電流I2として、インダクタL12に流れた成分は、そのまま平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入し、二次巻線N2の端部Pb側から流入した成分はインダクタL11に流入した後に、平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入する。
このようにして流れる整流電流I1,I2は、それぞれ、図示する波形により期間DON1,DON2において流れるものとなる。
整流電流I2として、インダクタL12に流れた成分は、そのまま平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入し、二次巻線N2の端部Pb側から流入した成分はインダクタL11に流入した後に、平滑コンデンサCoの正極端子に充電電流として流入する。
このようにして流れる整流電流I1,I2は、それぞれ、図示する波形により期間DON1,DON2において流れるものとなる。
このことから、整流動作としては、二次巻線電圧V2が正/負となる各半波の期間で平滑コンデンサCoに対して充電する全波整流動作が得られていることがわかる。
また、二次巻線電圧V2が正/負となる各半波の期間において流れる整流電流は、二次巻線N2と、インダクタL11又はインダクタL12とに分岐して流れるようにされている。インダクタL11及びインダクタL12には、定常的に同じ方向で平滑コンデンサCoへの充電電流が流れているようにされる。
つまり、平滑コンデンサCoへの充電電流量に対して、二次巻線N2に流れる電流量が1/2となる倍電流整流回路としての動作が得られていることが分かる。
また、二次巻線電圧V2が正/負となる各半波の期間において流れる整流電流は、二次巻線N2と、インダクタL11又はインダクタL12とに分岐して流れるようにされている。インダクタL11及びインダクタL12には、定常的に同じ方向で平滑コンデンサCoへの充電電流が流れているようにされる。
つまり、平滑コンデンサCoへの充電電流量に対して、二次巻線N2に流れる電流量が1/2となる倍電流整流回路としての動作が得られていることが分かる。
そして、前述したように、二次巻線電圧V2が0レベルとなる期間を挟むことなく正/負で反転するのに応じて、ゲート−ソース間電圧VGS3,VGS4がそれぞれオン電圧として正極性となる期間も連続することになり、従って、平滑コンデンサCoに対する充電電流としての整流電流I1,I2も連続して流れることになる。
つまり、本実施の形態としては、重負荷とされてスイッチング周波数が低くなるようにして制御されているときにも、二次側整流電流としては連続モードが得られていることになる。なお、この場合、整流電流I1,I2としては30Apとなっており、例えば従来の図12に示した整流電流I1,I2よりも低減している。これは、例えば、同等のスイッチング周波数に対応する周期内において、整流電流の導通期間が従来よりも拡大したことに依るものである。
つまり、本実施の形態としては、重負荷とされてスイッチング周波数が低くなるようにして制御されているときにも、二次側整流電流としては連続モードが得られていることになる。なお、この場合、整流電流I1,I2としては30Apとなっており、例えば従来の図12に示した整流電流I1,I2よりも低減している。これは、例えば、同等のスイッチング周波数に対応する周期内において、整流電流の導通期間が従来よりも拡大したことに依るものである。
このようにして、重負荷の条件でも連続モードが得られているのは、これまでの説明から理解されるように、ギャップ長の設定により絶縁コンバータトランスPITの結合係数を0.8程度までに低下させてより疎結合の状態とし、また、例えば二次巻線の1ターンあたりの誘起電圧レベルが2V/T程度に低下するようにして一次巻線N1と二次巻線N2の巻数(ターン数)設定を行い、これにより、絶縁コンバータトランスPITのコアに生じる磁束密度を所要以下にまで低下させたことにより得られるものである。
従来でも述べたように、同期整流回路は、低オン抵抗で低耐圧のMOS−FETを整流用素子として用いるために、整流用素子にダイオード素子を用いる場合よりも導通損を低減することができる。
しかしながら、二次側整流電流が不連続モードで流れる場合において、同期整流回路として巻線電圧検出方式を採る場合、平滑コンデンサCoへの充電電流が0レベルとなってもMOS−FETがオンを維持して逆方向電流が流れ、これが無効電力を生じていた。
この無効電力を解消しようとすれば、整流電流検出方式の同期整流回路を採用することになる。しかしながら、整流電流検出方式では、カレントトランス及びコンパレータを備える駆動回路系などが必要であり、回路構成が複雑で大規模化する。
しかしながら、二次側整流電流が不連続モードで流れる場合において、同期整流回路として巻線電圧検出方式を採る場合、平滑コンデンサCoへの充電電流が0レベルとなってもMOS−FETがオンを維持して逆方向電流が流れ、これが無効電力を生じていた。
この無効電力を解消しようとすれば、整流電流検出方式の同期整流回路を採用することになる。しかしながら、整流電流検出方式では、カレントトランス及びコンパレータを備える駆動回路系などが必要であり、回路構成が複雑で大規模化する。
これに対して本実施の形態では、重負荷時においても二次側整流電流を連続モードとしていることで、電圧検出方式による同期整流回路であっても、上記のような電流不連続期間の無効電力が生じることはない。
このことから本実施の形態としては、同期整流回路として電圧検出方式による構成を採ることで、簡単な回路構成として回路規模の拡大を抑制し、さらにコストアップを避けるようにしていながら、なおかつ、電流不連続期間の無効電力による電力変換効率の低下の問題を解消していることになる。
このことから本実施の形態としては、同期整流回路として電圧検出方式による構成を採ることで、簡単な回路構成として回路規模の拡大を抑制し、さらにコストアップを避けるようにしていながら、なおかつ、電流不連続期間の無効電力による電力変換効率の低下の問題を解消していることになる。
さらに図1に示す実施の形態の回路では、二次側の同期整流回路の構成について、倍電流整流回路としての動作を基としている。倍電流整流回路では、絶縁コンバータトランスPITにより伝達される電流レベルとして、二次巻線N2側に得られる電流レベルが、平滑コンデンサCoへの充電電流レベルの1/2倍となるので、その分の、二次側巻線における損失を低減することができる。このために、本実施の形態としては、より向上された電力変換効率を得ることができる。
また、倍電流整流回路は、その回路構成上、全波整流回路の動作でありながら、二次巻線N2をセンタータップする必要がないので、その分のトランスの構造が簡単なものとなって、例えば製造効率も向上するという効果も得られる。
また、倍電流整流回路は、その回路構成上、全波整流回路の動作でありながら、二次巻線N2をセンタータップする必要がないので、その分のトランスの構造が簡単なものとなって、例えば製造効率も向上するという効果も得られる。
また、図4には、図3と同一部位についての軽負荷時(Po=25W時)の動作が示されている。
図1に示す電源回路では、これまでの説明から理解されるように、二次側直流出力電圧Eoの安定化のために、スイッチング周波数制御による定電圧制御を行う。この定電圧制御は、軽負荷の条件となって二次側直流出力電圧が上昇すると、スイッチング周波数を高くするようにして二次側直流出力電圧を低下させ、これにより安定化を図るように動作する。
このような軽負荷の状態では、図示するスイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して、二次側巻線電圧V2はほぼ同じタイミングで反転するようになり、これに応じて、二次側の整流電流I1、I2としては、期間DON1,DON2との間に休止期間が無く平滑コンデンサCoに連続して充電されるようにして流れる。つまり、連続モードとなる。
図1に示す電源回路では、これまでの説明から理解されるように、二次側直流出力電圧Eoの安定化のために、スイッチング周波数制御による定電圧制御を行う。この定電圧制御は、軽負荷の条件となって二次側直流出力電圧が上昇すると、スイッチング周波数を高くするようにして二次側直流出力電圧を低下させ、これにより安定化を図るように動作する。
このような軽負荷の状態では、図示するスイッチング素子Q2の両端電圧V1に対して、二次側巻線電圧V2はほぼ同じタイミングで反転するようになり、これに応じて、二次側の整流電流I1、I2としては、期間DON1,DON2との間に休止期間が無く平滑コンデンサCoに連続して充電されるようにして流れる。つまり、連続モードとなる。
図5は、これまでに説明した構成による図1に示す電源回路と、従来例である図11の電源回路との比較として、負荷電力変動に対する、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)、一次側直列共振電流レベルIo、スイッチング周波数fsの特性を示している。図1の電源回路の特性を実線で示し、図11の電源回路の特性を破線で示す。
図5によると、先ず、スイッチング周波数としては、図1及び図11の回路とで共に、負荷電力の増加に応じて低くなるようにして変化しており、何れの回路においても、スイッチング周波数制御による安定化動作が得られていることが示されている。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、図1に示す回路のほうが図11に示す電源回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって高くなっていることが分かる。図11に示す回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=85.3%、Po=25W時には77.5%であるのに対して、図1に示す電源回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=90.1%、Po=25W時には90.8%である。つまり、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)として、負荷電力Po=125W時には4.8%向上し、負荷電力Po=25W時には13.3%向上している。また、これに応じた交流入力電力としては、負荷電力Po=125W時には7.8W低減し、負荷電力Po=25W時には4.8W低減する。
このような電力変換効率の向上は、図5に示す一次側直列共振電流Ioのレベルについて、図1に示す回路のほうが、図11に示す回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって低減されていることによっても示されている。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、図1に示す回路のほうが図11に示す電源回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって高くなっていることが分かる。図11に示す回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=85.3%、Po=25W時には77.5%であるのに対して、図1に示す電源回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=90.1%、Po=25W時には90.8%である。つまり、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)として、負荷電力Po=125W時には4.8%向上し、負荷電力Po=25W時には13.3%向上している。また、これに応じた交流入力電力としては、負荷電力Po=125W時には7.8W低減し、負荷電力Po=25W時には4.8W低減する。
このような電力変換効率の向上は、図5に示す一次側直列共振電流Ioのレベルについて、図1に示す回路のほうが、図11に示す回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって低減されていることによっても示されている。
図6は、本発明の第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
また、この図に示す電源回路としても、絶縁コンバータトランスPITについては、図2にて説明した構造としていることで、結合係数kとしては、k=0.8以下(実施の形態としてはk=0.79)による疎結合の状態を得るようにしている。また、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルとしても、2V/Tとなるように、一次巻線N1、二次巻線N2の各巻線数(ターン数)を、N1=60T、N2=6Tとしている。
また、一次側直列共振コンデンサC1には0.033μFを選定している。MOS−FETQ3,Q4については、30A/20Vを選定しており、そのオン抵抗は5mΩである。なお、インダクタL11,L12のインダクタンスは、本実施の形態においては、後述するようにして、二次側直流出力電圧Eoの安定化のために、可変制御されることになる。
また、この図に示す電源回路としても、絶縁コンバータトランスPITについては、図2にて説明した構造としていることで、結合係数kとしては、k=0.8以下(実施の形態としてはk=0.79)による疎結合の状態を得るようにしている。また、二次側巻線の1T(ターン)あたりの誘起電圧レベルとしても、2V/Tとなるように、一次巻線N1、二次巻線N2の各巻線数(ターン数)を、N1=60T、N2=6Tとしている。
また、一次側直列共振コンデンサC1には0.033μFを選定している。MOS−FETQ3,Q4については、30A/20Vを選定しており、そのオン抵抗は5mΩである。なお、インダクタL11,L12のインダクタンスは、本実施の形態においては、後述するようにして、二次側直流出力電圧Eoの安定化のために、可変制御されることになる。
この図に示す電源回路において、二次側には、定電圧制御のために直交型制御トランスPRTが備えられる。そして、先の第1の実施の形態の電源回路において倍電流/同期整流回路を形成していたインダクタL11,L12は、図1と同様の接続形態を採ったうえで、それぞれ、直交型制御トランスPRTに対して被制御巻線NR1,NR2として巻装される。
さらに、直交型制御トランスPRTの巻線としては制御巻線Ncが巻装される。
さらに、直交型制御トランスPRTの巻線としては制御巻線Ncが巻装される。
直交型制御トランスPRTの構造例を、図7に示す。
この図に示すようにして、直交型制御トランスPRTとしては、4本の磁脚を有する2つのダブルコの字型コアCR11、CR12の互いの磁脚の端部を接合するようにして、立体型のコアが形成される。この場合において、この立体型コアのサイズとしては、図示するようにして、例えば高さa=15mm、奥行きb=15mm、幅c=20mmとなるように形成される。また、この場合においては、ダブルコの字形コアCR11、CR12の互いの磁脚の接合部分については、ギャップは形成しないこととしている。
そして、この立体型のコアの所定の2本の磁脚に対して、被制御巻線NR1,NR2を巻装し、さらに、制御巻線NCを、被制御巻線NR1,NR2に対して直交する巻回方向となるようにして所定の2本の磁脚に対して巻装する。なお、このときには、図1に示されているように、被制御巻線NR1と被制御巻線NR2は、その巻方向が互いに逆となるようにして巻装される。
このような構造により、直交型制御トランスPRTとしては制御巻線Ncに流れる電流の増加により飽和状態となる、可飽和リアクトルとして構成される。
また、この場合における制御巻線NCと被制御巻線NR1,NR2とのターン数(巻線数)としては、NC=1000T、NR1=NR2=4Tとしている。
この図に示すようにして、直交型制御トランスPRTとしては、4本の磁脚を有する2つのダブルコの字型コアCR11、CR12の互いの磁脚の端部を接合するようにして、立体型のコアが形成される。この場合において、この立体型コアのサイズとしては、図示するようにして、例えば高さa=15mm、奥行きb=15mm、幅c=20mmとなるように形成される。また、この場合においては、ダブルコの字形コアCR11、CR12の互いの磁脚の接合部分については、ギャップは形成しないこととしている。
そして、この立体型のコアの所定の2本の磁脚に対して、被制御巻線NR1,NR2を巻装し、さらに、制御巻線NCを、被制御巻線NR1,NR2に対して直交する巻回方向となるようにして所定の2本の磁脚に対して巻装する。なお、このときには、図1に示されているように、被制御巻線NR1と被制御巻線NR2は、その巻方向が互いに逆となるようにして巻装される。
このような構造により、直交型制御トランスPRTとしては制御巻線Ncに流れる電流の増加により飽和状態となる、可飽和リアクトルとして構成される。
また、この場合における制御巻線NCと被制御巻線NR1,NR2とのターン数(巻線数)としては、NC=1000T、NR1=NR2=4Tとしている。
この第2の実施の形態における制御回路1では検出電圧として入力された二次側直流出力電圧Eoのレベルの誤差に応じて、直交型制御トランスPRTの制御巻線Ncに流すべき制御電流としての直流電流レベルを可変して出力するように構成される。
このようにして、直交型制御トランスPRTの制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが可変されることに応じては、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスが変化することになる。この場合には、制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが大きくなるのに応じて、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスは大きくなるようにして変化する。また、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスは、被制御巻線NR1,NR2に流れる電流レベルの絶対値が大きくなるのに応じて小さくなるようにも変化する。
このようにして、直交型制御トランスPRTの制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが可変されることに応じては、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスが変化することになる。この場合には、制御巻線Ncに流れる制御電流レベルが大きくなるのに応じて、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスは大きくなるようにして変化する。また、被制御巻線NR1,NR2の各インダクタンスは、被制御巻線NR1,NR2に流れる電流レベルの絶対値が大きくなるのに応じて小さくなるようにも変化する。
このようにして被制御巻線NR1,NR2(インダクタL11,L12)のインダクタンスが変化するのに応じては、二次巻線N2に得られる交番電圧を整流する整流素子としてのMOS−FETQ4,Q3の各ドレイン−ソース間電圧が変化する。MOS−FETQ4,Q3の各ドレイン−ソース間電圧が変化することによっては、二次側直流出力電圧Eoのレベルもこれに応じて変化することになる。このようにして、二次側直流出力電圧Eoのレベル誤差に応じて被制御巻線NR1,NR2のインダクタンスを可変することによっては、二次側直流出力電圧Eoのレベルが安定化されるように制御されることになる。
なお、上記のようにして二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られることで、この図に示す電源回路においては、制御回路1の検出出力を、発振・ドライブ回路2に対して入力する構成は採らない。従って、図6に示す電源回路では、スイッチング周波数制御による安定化制御は行われない。
なお、上記のようにして二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られることで、この図に示す電源回路においては、制御回路1の検出出力を、発振・ドライブ回路2に対して入力する構成は採らない。従って、図6に示す電源回路では、スイッチング周波数制御による安定化制御は行われない。
図8及び図9の波形図は、上記図6に示す構成による電源回路の動作を示している。図8は、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=125W(重負荷時)のときの動作を示し、図9は、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=25W時(軽負荷時)の動作を示している。
ここで、図8に示す重負荷時の各部の波形としては、先の第1の実施の形態に対応する図3の波形図とほぼ同様の動作が示されていることから、ここでの詳しい説明は省略するが、この図8に示す波形によっても、図6に示す回路では、二次側整流電流が連続モードとなっていることが分かる。
ここで、図8に示す重負荷時の各部の波形としては、先の第1の実施の形態に対応する図3の波形図とほぼ同様の動作が示されていることから、ここでの詳しい説明は省略するが、この図8に示す波形によっても、図6に示す回路では、二次側整流電流が連続モードとなっていることが分かる。
また、図9に示す波形としては、軽負荷の条件となったことに対応して各部に流れる電流のレベルが抑制されていることが分かる。
そして、上記したように、図6に示す電源回路では、スイッチング周波数制御による安定化を行わないことから、一次側スイッチングコンバータのスイッチング周波数は固定である。従って、図8に示した重負荷時の動作波形と、軽負荷時の図9の動作波形とでは、スイッチング周波数に対応する期間T1,T2、また期間DON1,DON2は、上記固定のスイッチング周波数に応じた同一の時間長となる。
そして、上記したように、図6に示す電源回路では、スイッチング周波数制御による安定化を行わないことから、一次側スイッチングコンバータのスイッチング周波数は固定である。従って、図8に示した重負荷時の動作波形と、軽負荷時の図9の動作波形とでは、スイッチング周波数に対応する期間T1,T2、また期間DON1,DON2は、上記固定のスイッチング周波数に応じた同一の時間長となる。
図10は、上記図6に示した第2の実施の形態としての電源回路と、従来例である図11の電源回路との比較として、負荷電力変動に対する、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)、一次側直列共振電流レベルIoの特性を示している。図6の電源回路の特性を実線で示し、図11の電源回路の特性を破線で示す。
なお、スイッチング周波数fsについては、図11に示す電源回路の特性のみを示している。図6に示す第2の実施の形態としては、スイッチング周波数は、負荷変動にかかわらず一定であるからここでは図示していない。
なお、スイッチング周波数fsについては、図11に示す電源回路の特性のみを示している。図6に示す第2の実施の形態としては、スイッチング周波数は、負荷変動にかかわらず一定であるからここでは図示していない。
この場合にも、図10に示される一次側直列共振電流Ioのレベルを比較すると、図1に示す回路と同様にして、図6に示す回路のほうが、図11に示す回路よりも、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって低減している。つまり、従来に対して電力変換効率の向上が図られているということが導かれる。
AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)の特性そのものを参照しても、第2の実施の形態である図6に示す回路のほうが、図11に示す電源回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって、高いAC→DC電力変換効率を得ていることが分かる。
図11に示す回路は、前述したように、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=85.3%、Po=25W時には77.5%である。
これに対して、図6に示す電源回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=90.7%、Po=25W時には91.5%である。つまり、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)として、負荷電力Po=125W時には4.8%向上し、負荷電力Po=25W時には13.3%向上している。また、これに応じた交流入力電力としては、負荷電力Po=125W時には8.7W低減し、負荷電力Po=25W時には5.0W低減する。この結果は、図1の電源回路と比較しても、より高いAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)が得られていることを示す。
AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)の特性そのものを参照しても、第2の実施の形態である図6に示す回路のほうが、図11に示す電源回路に対して、負荷電力Po=0W〜125Wの範囲にわたって、高いAC→DC電力変換効率を得ていることが分かる。
図11に示す回路は、前述したように、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=85.3%、Po=25W時には77.5%である。
これに対して、図6に示す電源回路では、負荷電力Po=125W時にはηAC→DC=90.7%、Po=25W時には91.5%である。つまり、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)として、負荷電力Po=125W時には4.8%向上し、負荷電力Po=25W時には13.3%向上している。また、これに応じた交流入力電力としては、負荷電力Po=125W時には8.7W低減し、負荷電力Po=25W時には5.0W低減する。この結果は、図1の電源回路と比較しても、より高いAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)が得られていることを示す。
なお、本発明としては、これまでに説明した電源回路の構成に限定されるものではない。
例えば、本発明に基づいた倍電流整流回路、及び巻線電圧検出方式の同期整流回路の細部の構成については適宜変更されてよい。また、一次側スイッチングコンバータのスイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。
また、本発明としては、自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能とされる。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。さらには、4石のスイッチング素子をフルブリッジ結合した電流共振形コンバータにも適用できる。
また、商用交流電源を入力して直流入力電圧を得る整流回路としても、例えば倍電圧整流回路などが備えられた構成とすることが考えられる。
例えば、本発明に基づいた倍電流整流回路、及び巻線電圧検出方式の同期整流回路の細部の構成については適宜変更されてよい。また、一次側スイッチングコンバータのスイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。
また、本発明としては、自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能とされる。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。さらには、4石のスイッチング素子をフルブリッジ結合した電流共振形コンバータにも適用できる。
また、商用交流電源を入力して直流入力電圧を得る整流回路としても、例えば倍電圧整流回路などが備えられた構成とすることが考えられる。
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1,Q2 スイッチング素子、DD1,DD2 ダンパーダイオード、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp 部分電圧共振コンデンサ、PIT 絶縁コンバータトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻線、Q3,Q4 MOS−FET、DD3,DD4 ボディダイオード、Rg1,Rg2 ゲート抵抗、R11,R12 抵抗、Co (二次側)平滑コンデンサ、L11,L12 インダクタ、PRT 直交型制御トランス、Nc 制御巻線、NR1,NR2 被制御巻線
Claims (5)
- 入力された直流入力電圧を断続するようにしてスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
上記スイッチング素子をスイッチング駆動する駆動手段と、
上記スイッチング手段のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するものであり、少なくとも一次巻線と二次巻線が巻装される絶縁コンバータトランスと、
少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、自己のキャパシタンスとによって上記スイッチング手段の動作を共振形とするための一次側共振回路を形成するようにして、一次側の所定の部位に接続される一次側共振コンデンサと、
上記スイッチング手段を形成するスイッチング素子のうち、少なくとも一方のスイッチング素子に対して並列に接続される部分共振コンデンサのキャパシタンスと、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分によって形成され、上記スイッチング手段を形成するスイッチング素子のターンオフ期間に部分電圧共振動作を行う一次側部分電圧共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を全波整流して二次側平滑コンデンサに整流電流を充電することで、上記二次側平滑コンデンサの両端電圧として二次側直流出力電圧を得るようにされた同期整流回路と、倍電流整流回路とが組み合わされた二次側整流回路を備え、
上記二次側整流回路は、
上記絶縁コンバータトランスに巻装された1組の二次巻線の一方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第1のMOS型トランジスタと、
上記二次巻線の他方の端部と二次側アースとの間に直列接続される第2のMOS型トランジスタと、
上記第1のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、上記第1のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第1の駆動回路と、
上記第2のMOS型トランジスタが整流電流を流すべき半波の期間に対応する二次巻線電圧を抵抗素子により検出して、上記第2のMOS型トランジスタをオンとするためのゲート電圧を出力するようにされた第2の駆動回路と、
第1のインダクタと第2のインダクタとを直列接続して形成されるインダクタ直列回路であり、上記二次巻線に対して並列に接続されると共に、上記第1のインダクタと第2のインダクタの接続点が上記二次側平滑コンデンサの正極端子と接続されるインダクタ直列回路と、から成り、
上記絶縁コンバータトランスの磁束密度は、上記二次側直流電圧に接続される負荷条件の変動にかかわらず、上記全波整流動作により同期整流回路に流れる二次側整流電流が連続モードとなるようにして、所定以下となるように設定した、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。 - 上記絶縁コンバータトランスの磁束密度を一定以下とするために、絶縁コンバータトランスに形成するギャップ長を所定以上とすることで、一次側と二次側の結合係数を所定以下に設定している、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記絶縁コンバータトランスの磁束密度を一定以下とするために、上記第1の二次巻線及び第2の二次巻線における1ターンあたりの誘起電圧レベルが所要以下となるように、上記一次巻線と、上記第1の二次巻線及び第2の二次巻線のターン数を設定している、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変制御することで、上記二次側直流出力電圧についての定電圧制御を行うようにされた定電圧制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記第1のインダクタと第2のインダクタを被制御巻線として、この被制御巻線と制御巻線が巻装された可飽和リアクトルとしての制御トランスを備え、
上記二次側直流出力電圧レベルに応じて、上記制御巻線に流すべき制御電流レベルを可変して上記被制御巻線のインダクタンスを可変することで、制御対象である二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003287890A JP2005057925A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | スイッチング電源回路 |
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JP2003287890A Pending JP2005057925A (ja) | 2003-08-06 | 2003-08-06 | スイッチング電源回路 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100732612B1 (ko) * | 2006-02-07 | 2007-06-27 | 학교법인 포항공과대학교 | 하이브리드 자동차용 고효율 강압형 직류-직류 컨버터 |
JP2011087367A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Fujitsu Telecom Networks Ltd | 配線パターン長の増大を低減した電源装置 |
JP2011225384A (ja) * | 2010-04-15 | 2011-11-10 | Hoya Corp | 光学ガラス、精密プレス成形用プリフォーム、光学素子とその製造方法 |
KR101341915B1 (ko) | 2011-03-09 | 2013-12-17 | 주식회사 만도 | 콘덴서 일체형 트랜스포머 소자 및 그 제조방법 |
-
2003
- 2003-08-06 JP JP2003287890A patent/JP2005057925A/ja active Pending
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