JP2005281705A - ポリエチレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートの製造方法 Download PDF

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Yoshinao Matsui
義直 松井
Koji Yoshida
孝次 吉田
Itsuki Yamauchi
一城 山内
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Abstract

【課題】 成形品中に気泡やフィッシュアイが発生し難く、成形品の結晶化コントロール性が良好で透明性に優れ、また成形時での金型汚れを発生させにくいポリエチレンテレフタレートを提供すること。
【解決手段】 溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをダイヘッドからストランド状に吐出し、冷却、固化後チップ状に切断するポリエチレンテレフタレートの製造方法において、特定の式を満足する条件下でチップ状に切断し、さらに切断後に特定の式を満足する条件下でチップを冷却することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。

Description

本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエチレンテレフタレートの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形品中に気泡やフィッシュアイが発生し難く、成形品の結晶化コントロール性に優れ、また成形時に金型汚れが発生し難いポリエチレンテレフタレートの製造方法に関するものである。
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエチレンテレフタレートは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材として最適である。
このようなポリエチレンテレフタレートは射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形される。
また、殺菌のために中空容器に充填する際に高温充填されることや、あるいは充填後に高温のシャワー水で殺菌処理される場合がある。このような中空容器には高耐熱性が求められる為に、延伸ブロー成形した後にボトル胴部を熱処理(ヒートセット)して中空容器に成形されるのが一般的である。また、ボトル口栓部
を熱処理(口部結晶化処理)させるのが一般的である。
ところが、従来の溶融重合で得たポリエチレンテレフタレートをチップ化する場合では、双子(二つのチップが融着したもの)や三つ子(3つのチップが融着したもの)のような連なったチップの発生、多量のファイン(ポリエチレンテレフタレートの微粉末)の発生、及びせん断による高配向結晶化領域の発生などの問題があった。
双子や三つ子のような連チップが混入したポリエチレンテレフタレートを用いて射出成形すると、空気を巻き込みプリフォーム及びボトルに気泡が残るという問題があった。
また、ポリエチレンテレフタレートチップ中に配向結晶化による高結晶化領域が存在すると、射出成形によりプリフォームを溶融成形した場合は、高結晶化領域の溶融が不完全となり易く、それにより不完全な溶融領域を起点とてして結晶化が起こり、プリフォームの透明性が低下したり、また延伸ブロー成形時に結晶化が促進されボトルがヘイジーになったり、未溶融物がゲル状異物として残り、ボトル外観が損なわれる問題が生じることがあった。またプリフォームの結晶化特性が変化して口部結晶化における口栓部の収縮量が変化し、口栓部の結晶化後の寸法が変わり、キャッピング不良あるいはシール不良等の問題が生じた。
ポリエチレンテレフタレートチップの高結晶部分を完全に溶融させるためには、より高温での溶融成形が必要となるが、高温溶融条件下ではポリエチレンテレフタレートは熱分解が促進され、ボトル強度低下や延伸性不良につながる分子量の低下やフレーバー性に悪影響を及ぼすアセトアルデヒド等の副生物の増加を起こし好ましくない。
さらに、従来のポリエチレンテレフタレートには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着することによる金型の汚れが発生しやすかった。
このような金型の汚れは、得られるボトルの表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化してしまうと、そのボトルの商品価値が低下し、廃棄しなければならない。このため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの生産性が低下してしまうという問題点があった。
これらの解決方法として、ポリエチレンテレフタレートを水処理する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、水処理の段階において、ポリエチレンテレフタレートチップに付着しているファイン(樹脂の微粉末)が処理水に浮遊、沈殿し処理槽壁や配管壁に付着して配管を詰まらせたり、処理槽や配管の洗浄を困難にさせる等の問題が生じた。
さらには処理水に浮遊、沈殿し処理槽壁や配管壁に付着したファインがポリエチレンテレフタレートチップに再度付着して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなり、また口栓部結晶化における口栓部の収縮が大きくなってキャッピング不良となる問題等が生じた。
特開平10−114819号公報
本発明は、成形品中に気泡やフィッシュアイが発生し難く、成形品の結晶化コ
ントロール性に優れ、ボトル等成形品の透明性が良好であり、またさらには成形
時での金型汚れを発生させ難いポリエチレンテレフタレートの製造方法を提供することを目的と
している。
上記目的を達成するために本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法は、溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをダイヘッドからストランド状に吐出し、冷却、固化後、ストランドをカッターで切断する直前にカッター部分にさらに冷却水を追加して、切断したチップについて冷却水を冷却及び移動媒体として脱水機まで送り冷却・排出した後、脱水機で冷却水とチップを分離する方法であって、下記の式(1)式を満足する条件下でチップ状に切断した後、式(2)式を満足する条件下でチップを冷却することを特徴とする。

0.02≦(V1/S1)×t1×ΔT≦0.35 (1)式

ここで、
ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
Tg=ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度(℃)
Text=ポリエチレンテレフタレートをダイヘッドよりストランド状に吐出させる際の温度Text(℃)
T=冷却水温(℃)(但しTは5≦T≦95(℃)且つT<Tgを満たす。)
V1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
S1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するストランドの表面積(cm2/sec)
t1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於けるストランドと冷却水が接触している時間(sec)

0.20≦(V2/S2)×t2×ΔT (2)式
ここで、
ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
V2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
S2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するチップ表面積(cm2/sec)
t2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於けるチップと冷却水に接触している時間(sec)を示す。
この場合において、冷却水が粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含み、ナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(3)〜(6)式の少なくとも一つを満足する水を使用することができる。
N ≦ 1.0(ppm) (3)式
M ≦ 0.5(ppm) (4)式
S ≦ 2.0(ppm) (5)式
C ≦ 1.0(ppm) (6)式
この場合において、冷却水の少なくとも一部を繰り返し使用することができる。
この場合において、(1)ダイヘッドより溶融重合ポリエチレンテレフタレートをストランド状に吐出し、(2)ストランドガイドセクションでストランドを水で冷却し、(3)ストランドを冷却水の存在下でチップ状に切断し、(4)切断されたチップを更にクーリングパイプ中で水冷し、(5)脱水機により冷却水とチップを分離することができる。
この場合において、ポリエチレンテレフタレートを予備結晶化、固相重合処理を行うことができる。
この場合において、ポリエチレンテレフタレートと処理水を処理槽に供給してポリエチレンテレフタレートの水処理を行うことができる。
また処理槽中でポリエチレンテレフタレートを水処理する際に、該処理槽からポリエチレンテレフタレートと共に排出する処理水中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(7)〜(11)式の少なくとも一つを満足させて水処理を行うことができる。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (7)式
0.005 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (8)式
0.01 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (9)式
0.01 ≦ C ≦ 1.0 (ppm) (10)式
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (11)式
また、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度が0.55〜1.3dl/gであることができる。
かかる本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法によれば、プリフォームやボトル中に気泡やフィッシュアイが発生し難く、さらにボトルの透明性や口栓部結晶化が良好となり、またポリエチレンテレフタレートチップの水処理を行った場合には処理槽や配管の汚れを少なくし、さらにはボトル等の成形時での金型汚れを発生させ難いポリエチレンテレフタレートを有利に製造することができる。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートはエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエチレンテレフタレートであり、特に好ましいのは、エチレンテレフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエチレンテレフタレートである。
前記ポリエチレンテレフタレート中に共重合して使用されるジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニール−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエチレンテレフタレート中に共重合して使用されるグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエチレンテレフタレート中の多官能化合物からなるその他の共重合成分としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使量は、ポリエチレンテレフタレートが実質的に線状を維持する程度でなければならない。
また本発明に係るポリエチレンテレフタレートの極限粘度は0.55〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.60〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.65〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.55デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.30デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
ポリエチレンテレフタレートのチップの形状は、シリンダー型、角型、または扁平な板状等の何れでもよく、その大きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5〜4mmの範囲である。例えばシリンダー型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的である。
また、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートのアセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。本発明で用いるポリエチレンテレフタレートのアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエチレンテレフタレートを減圧下または不活性ガス雰囲気下において170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙げることが出来る。
また、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート中のジエチレングリコール量はグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなる場合や、またアセトアルデヒド含量やホルムアルデヒド含量の増加量が大となり好ましくない。
また、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートの環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエチレンテレフタレートから耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
上記のポリエチレンテレフタレートは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられる。好ましくは、Ge、Sb化合物が良く、更に好ましくはGe化合物が良い。Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウムファインまたはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエチレンテレフタレートを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエチレンテレフタレート中のGe残存量として20〜150ppm、好ましくは23〜100ppm、更に好ましくは25〜70ppmである。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。
ポリエチレンテレフタレート中のDEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、とえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
このようにして得られた溶融重合ポリエチレンテレフタレートを重縮合反応缶に接続されたダイヘッドより溶融ポリエチレンテレフタレートをストランド状に吐出し、冷却・固化した後、ストランドを切断してチップを製造する。
ところが、従来の溶融重合ポリエチレンテレフタレートをチップ化する方法では、双子や三つ子のような連なったチップ、ファインの発生、及びチップ中にせん断による高配向結晶化領域の発生などの問題があった。
双子や三つ子のような連チップが混入したポリエチレンテレフタレートを用いて射出成形すると、空気を巻き込みプリフォーム及びボトルに気泡が残るという問題があった。
また、ポリエチレンテレフタレートチップ中に配向結晶化による高結晶化領域が存在すると、射出成形によりプリフォームを溶融成形した場合は、高結晶化領域の溶融が不完全となり易く、それにより不完全な溶融領域を起点とてして結晶化が起こり、プリフォームの透明性が低下したり、また延伸ブロー成形時に結晶化が促進されボトルがヘイジーになったり、未溶融物がゲル状異物として残り、ボトル外観が損なわれる問題が生じることがあった。またプリフォームの結晶化特性が変化して口部結晶化における口栓部の収縮量が変化し、口栓部の結晶化後の寸法が変わり、キャッピング不良あるいはシール不良等の問題が生じた。
高結晶化したポリエチレンテレフタレートを完全に溶融させるためには、より高温・高背圧での溶融成形が必要となるが、そのような下ではポリエチレンテレフタレートは熱分解を起こし、ボトル強度低下や延伸性不良につながる分子量の低下やフレーバー性に悪影響を及ぼすアセトアルデヒド等の副生物の増加を起こし好ましくない。
このような問題点を解決するために鋭意検討した結果、本発明に達した。すなわち本発明は、溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをダイヘッドからストランド状に吐出し、冷却、固化後チップ状に切断するポリエチレンテレフタレートの製造方法において、下記の(1)式を満足する条件下でチップ状に切断することによって前記の問題点を解決するものである。
0.02≦(V1/S1)×t1×ΔT≦0.35 (1)式
ここで、
ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
Tg=ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度(℃)
Text=ポリエチレンテレフタレートをダイヘッドよりストランド状に吐出させる際の温度(℃)
T=平均冷却水温(℃)を示す(但しTは5≦T≦95(℃)且つT<Tgを満たす。)
V1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
S1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するストランドの表面積(cm2/sec)
t1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於けるストランドと冷却水が接触している時間(sec)
(1)式において、下限を外れた場合にはストランドの冷却不足による切断不良、チップの融着などの問題があり、また上限を外れた場合には過冷却による粉体の発生、切断面の高配向化などの問題及び、エネルギーコストの面で好ましくない。
またこの場合において、溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをチップ状に切断した後に、下記の(2)式を満足する条件下でチップを冷却することが望ましい。
0.20≦(V2/S2)×t2×ΔT (2)式
ここで、
ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
V2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
S2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するチップ表面積(cm2/sec)
t2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於けるチップが冷却水に接触している時間(sec)を示す。
(2)式において下限を外れた場合においては切断されたチップが冷却不足になりがちで好ましくない。(2)式において特に上限は定めないが、(V2/S2)×t2×ΔT≦35となる場合には、エネルギーコストの点で好ましくなく、あまり実用的ではない。
溶融重合ポリエチレンテレフタレートのダイヘッドからの吐出温度(Text)は、ポリエチレンテレフタレートの融点Tmに対し、Tm+10≦Text≦Tm+65℃、好ましくはTm+20≦Text≦Tm+45(℃)、更に好ましくはTm+25≦Text≦Tm+35(℃)の範囲を用いることが望ましい。本発明にかかる主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエチレンテレフタレートについての押出温度Textは、好ましくは260〜305℃、更に好ましくは265〜295℃でストランド状に押し出される。
一般的にストランドの冷却は、ダイヘッドと水冷装置の間に間隔が設けてあるため、溶融ポリエチレンテレフタレートは一端空冷されてから、水冷装置に入る。その空冷時間は一般的には数秒以下の事が多い。またストランドを水冷するための冷却装置は、ストランドが水平方向に移動する装置や、縦方向に移動する装置、あるいは斜め下方向に移動しながら、冷却水により冷却される。冷却水は、シャワー状、霧状で冷却するストランドに接触させても良いし、水槽中に貯めた冷却水にストランドを浸漬させて冷却しても良い。また、各々単独あるいは併用してストランドを冷却しても良い。
ストランドの冷却方法として望ましくは、ダイヘッド下方に設置する傾斜したストランド冷却用プレート上に沿って流す冷却水(以下滑り台水と呼ぶ)とプレート傾斜に対して垂直方向からプレートにシャワー状にして流す冷却水(以下シャワー水と呼ぶ)等を用いてストランドを冷却する。
冷却したストランドをチップ状に切断する方法としては、公知のカッターを用いてチップ状に切断できるが、切断の際は冷却水の存在下で行うことが望ましい。本発明では、ストランド切断時のせん断配向を低減するためにストランドを冷却しすぎないで切断する必要があるので、切断したチップ同士の付着を防止するのに都合が良い。
また、ストランドをカッターで切断する直前にカッター部分にさらに冷却水(以下コンベア水と呼ぶ)を追加して、切断したチップについて冷却水を冷却及び移動媒体として脱水機まで送り冷却・排出した後、脱水機で冷却水とチップを分離する方法が望ましい。
すなわち、本発明では溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをダイヘッドからストランド状に吐出し、冷却・固化後、チップ状に切断してチップを製造する方法において、(1)溶融重合ポリエチレンテレフタレートをストランド状に吐出させるダイヘッド、(2)ストランドを冷却するストランドガイドセクション、(3)ストランドを冷却水の存在下でチップ状に切断するカッター(4)切断されたチップを更に水冷しながら脱水機まで排出させるクーリングパイプ、(5)冷却水とチップを分離する脱水機を用いる事が望ましい。
ストランドを冷却しチップ状に切断する際の条件としては、冷却水の平均温度Tは基本的にポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgより低温にすることが必要であり、5℃≦T≦80℃且つ30℃≦Tg−T≦80℃の範囲で常に一定に保つ事が望ましく、更に好ましくは、10℃≦T≦30℃、50℃≦Tg−T≦70℃の範囲であることが望ましい。
更に、溶融重合ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度、押出し温度、ストランド表面積、冷却水供給量及び冷却時間等の条件により異なるが、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tg(℃)、ダイヘッドより押出す際のポリエチレンテレフタレート温度Text(℃)、冷却水平均水温T(℃)、ΔT=(Tg−T)/(Text−T)とした場合に0.10≦ΔT≦0.35にする。好ましくは0.15≦ΔT≦0.30にすることが望ましい。
ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgやダイヘッドからの溶融重合ポリエチレンテレフタレートの押出し温度Textに対して、冷却水温Tが高すぎた場合には、ストランドの冷却が不十分となり、ストランドの粘着性が高くなり、ストランドがカッターの刃に融着してして切断不能になり、ストランドをチップ状に切断後にチップ同士が融着して双子、三つ子のような連なったチップとなるような問題が生じる。
一方、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgやダイヘッドからの溶融ポリエチレンテレフタレートの押出し温度Textに対して冷却水温Tを極端に低温とした場合には、冷却水温を下げるのに必要なエネルギーコストが高くなるだけでなく、表層部が硬くなり過ぎ切断時にファインが多く発生する。
このファインは、ストランドのチップにした後に、予備結晶化工程、固相重合工程時に、通常のチップに比べ高結晶化するために通常のチップに比べ融解し難くなる。このようなファインが通常のチップに多量に含まれると、例えばボトル用プリフォームや中空成形体の溶融成形時に完全に溶融され難いファインが結晶核剤となって成形品の結晶速度を早くして、成形品が結晶化し白く濁ったり、また延伸ブローする際に延伸温度可能領域までプリフォーム温度を高くした場合に結晶化が起こりボトルが白化する問題が生じる。
また、固相重合後の水処理槽まで持ち込まれた場合には、粉体は表面積が大きいために処理水中に含まれる結晶核剤となり得る微量の有機物や無機物を吸着し、高濃度に濃縮する。このようなファインが、通常のチップに多量に含まれると、例えばボトル用プリフォームや中空成形体の溶融成形時に結晶核剤となって成形品の結晶速度を早くして、成形品が結晶化し白く濁ったり、また延伸ブローする際に延伸温度可能領域までプリフォーム温度を高くした場合に結晶化が起こりボトルが白化する問題が生じる。
更に硬くなったストランドをカッターで切断する際に、切断表面にせん断により、ポリエチレンテレフタレート分子鎖が配向による結晶化を起こす程度が強くなる。配向結晶化が強くなった切断面は、非晶であるチップ他の部分に比べ、加熱した場合でもポリエチレンテレフタレート分子鎖の熱結晶化が阻害され易くなる。そのため予備結晶化工程、結晶化工程や固相重合工程において熱結晶化が阻害され切断面の結晶化度はチップの他部分に比べ若干小さくなる傾向がある。
一般的に、結晶化度の高いポリエチレンテレフタレートチップにくらべ低結晶化度のチップの方が完全溶融し易い傾向があるが、熱結晶化による結晶化度は低いが、配向による結晶化が進んでいるチップの切断面は、他の部分に比べ溶融し難くなる。
従って中空成形体用プリフォームの溶融成形時には、チップの切断面はそれ以外の部分よりも溶融し難くなり、不完全溶融によるプリフォームの透明性低下等の問題を引き起こす原因となる。
また、ストランドの冷却水量は溶融重合ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度、押出し温度、冷却水平均水温、冷却時間等の条件により異なるが、ストランドの冷却用の冷却水量(滑り台水、シャワー水)は単位時間当たりのストランドの冷却水接触面積S1(cm2)に対する冷却水供給量V1(cm3について、0.1≦(V1/S1)≦2.0、好ましくは、0.5≦(V1/S1)≦1.5を用いることが望ましい。
冷却水量が上記範囲量より少ない多い場合には、ストランドから受ける熱量によって冷却水温が上昇し易く安定した冷却ができなくなるだけでなく、ストランドの冷却不足によるストランドの粘着性が高くなり、ストランドがカッターの刃に融着してして切断不能になったり、ストランドをチップ状に切断後にチップ同士が融着して双子、三つ子のような連なったチップとなるような問題が起きやすい。
一方、冷却水量が上記範囲より多い場合には冷却水温を下げるのに必要なエネルギーコストが高くなり実用上問題がある。
ストランドをカッターによりチップ状に切断した後、引き続いて該チップを冷却水(コンベア水)を追加してチップを冷却・脱水機まで排出する条件として、冷却水の平均温度Tは基本的にポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgより低温にすることが必要であり、5℃≦T≦80℃且つ30℃≦Tg−T≦80℃の範囲で常に一定に保つ事が望ましく、更に好ましくは、10℃≦T≦30℃、50℃≦Tg−T≦70℃の範囲であることが望ましい。
更に、溶融重合ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度、押出し温度、ストランド表面積、冷却水量及び冷却時間等の条件により異なるが、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tg(℃)、ダイヘッドより押出す際のポリエチレンテレフタレート温度Text(℃)、冷却水平均水温T(℃)、ΔT=(Tg−T)/(Text−T)とした場合に0.10≦ΔT≦0.35にする。好ましくは0.15≦ΔT≦0.30にすることが望ましい。
ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgやダイヘッドからの溶融重合ポリエチレンテレフタレートの押出し温度Textに対して、冷却水温Tが高すぎた場合には、チップの冷却が不十分となり、チップの粘着性が高くなり、チップ同士が融着して双子、三つ子のような連なったチップとなるような問題が生じることがある。
一方、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tgやダイヘッドからの溶融ポリエチレンテレフタレートの押出し温度Textに対して冷却水温Tを極端に低温とした場合、には、冷却水温を下げるのに必要なエネルギーコストが高くなる。
また、チップへの冷却水量は溶融重合ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度、押出し温度、冷却水平均水温、冷却時間等の条件により異なるが、チップの冷却用の冷却水量(滑り台水、シャワー水、コンベア水)は単位時間当たりのストランドの冷却水接触面積S2(cm2)に対する冷却水量V2(cm3)について0.2≦(V2/S2)≦2.5、好ましくは0.5≦(V2/S2)≦2.0を用いることが望ましい。
冷却水量が上記範囲量より少ない多い場合には、ストランドやチップから受ける熱量によって冷却水温が上昇し易く安定した冷却ができなくなり、冷却不足によりにチップ同士が融着して双子、三つ子のような連なったチップとなるような問題が起きやすい。
一方、冷却水量が上記範囲より多い場合には冷却水温を下げるのに必要なエネ
ルギーコストが高くなり実用上問題がある。
冷却時間に関して、ストランドを冷却する冷却時間t1、すなわち、ストランドを冷却水に接触させる時間t1は、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度、ダイヘッドからのポリエチレンテレフタレート押出し温度、冷却水の平均温度、冷却水量、ストランドの表面積により異なるが、0.1〜10秒間、好ましくは0.1〜5秒間とするのが適当である。また、ストランドを切断しチップ状にした後の冷却時間t2、すなわちチップを冷却水に接触させる時間においても、ポリエチレンテレフタレートガラス転移温度等の条件により異なるが、3〜60秒間が適当である。好ましくは、5〜30秒間が好ましい。
t1、t2各々について冷却時間があまり短いとストランド及びチップを十分冷却することができず、また長すると冷却冷却装置自体を大きくする必要があるため実用的ではない。また、特にt1については、過冷却に伴う粉体の発生や、切断面の高配向化を引き起こす問題が発生し易い。
ストランドの冷却に用いる冷却水は、常に新規の冷却水を用いても良く、また少量部分を入れ替えながら循環させる方法を用いてもよい。一般的には、処理に用いる水が大量であることから天然水(工業用水)の少なくとも一部を循環利用して使用することが多い。通常この天然水は、河川水、地下水などから採取したもので、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去等の処理をしたものを言う。
また、一般的に工業用に用いられる天然水にはナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素等の金属含有物質を多く含有している。天然水を用いて水処理を行うと、ポリエチレンテレフタレートチップに付着、浸透して結晶核となり、このようなポリエチレンテレフタレートチップを用いた中空成形容器の透明性が非常に悪くなる。したがって、これらの天然水をイオン交換装置等によって処理し、金属含有物質の含有量を低下させた水を使用する事が望ましい。
しかし、ポリエチレンテレフタレートの溶融重縮合直後にチップ化する工程で使用する冷却水の水質が悪い場合には、透明性の悪いボトル等の成形体しか得られない。
本発明では溶融重縮合後のチップ化工程に於いて粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含む水によって冷却しながらチップ化したポリエチレンテレフタレートを水処理することが望ましい。冷却水中の粒径1〜25μmの粒子個数は、好ましくは10000個/10ml以下、さらに好ましくは1000個/10ml以下である。処理水中の粒径25μmを越える粒子は、特に規定するものではないが、好ましくは2000個/10ml以下、より好ましくは500個/10ml以下、さらに好ましくは100個/10ml、特に好ましくは10個/10ml以下である。
なお、処理水中の粒径1μm未満の粒子に関しては、本発明で特に規定するものではないが、透明な樹脂や適正な結晶化速度の樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ましくは100000個/10ml以下、より好ましくは50000個/10ml以下、さらに好ましくは20000個/10ml以下、特に好ましくは10000個/10ml以下である。1μm以下の粒子を水中から除去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機膜等の膜を用いた精密濾過法や限外濾過法等を用いることができる。
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水をチップ化工程に供給するまでの少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記したチップ化工程に至るまでに粒子を除去する装置を設置し、チップ化工程に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を50000個/10ml以下にすることが好ましい。
粒子を除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。
中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れを効率良く行うため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
またチップ化工程の冷却水中のナトリウム含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(4)式〜(7)式の少なくとも一つを満足することにより上記の問題を解決するものである。
N ≦ 1.0(ppm) (4)式
M ≦ 0.5(ppm) (5)式
S ≦ 2.0(ppm) (6)式
C ≦ 1.0(ppm) (7)式
チップ冷却水中のナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量を上記範囲に設定することにより、ポリエチレンテレフタレートチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことができる。
なお、それぞれの下限は経済的制限や生産性の面から、0.005(ppm)≦N、0.01(ppm)≦0.5、0.01(ppm)≦C、0.01(ppm)≦Sであることが好ましい。これら以下の冷却水を使用するためには、蒸留、逆浸透膜、高次のイオン交換樹脂処理等による水の精製を行う必要がある。
上記のようにして溶融重合ポリエチレンテレフタレートからのストランドを冷却、カットして得られたチップを必要に応じて公知の方法により予備結晶化、固相重合を行いポリエチレンテレフタレートの分子量の増加、アセトアルデヒドの低減化、及びオリゴマーの低減化を行っても良い。
また、環状三量体等のオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガス排気口、排気管等に付着することによる金型汚れを防止するために、上記のようにして得られた溶融重合後チップ、や予備結晶化後のチップ、或いは固相重合後のチップについて更に水との接触処理を実施しても良い。
水との接触処理の方法としては、水中に浸ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
水処理の方法が連続的に、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。
即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大による環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水の流量を上げることができ、結果としてポリエチレンテレフタレートチップに付着したファインを洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生まれる。
ポリエチレンテレフタレートのチップを連続的に水処理する場合は、塔型の処理槽に継続、あるいは断続的にポリエチレンテレフタレートのチップを上部より受け入れ、並流又は向流で水を連続供給して水処理させることができる。処理されたポリエチレンテレフタレートチップは処理層の下部から継続、あるいは断続的に抜き出す。
ポリエチレンテレフタレートチップをバッチ方式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわち、バッチ方式でポリエチレンテレフタレートのチップをサイロへ受け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の処理槽にポリエチレンテレフタレートのチップを受け入れ、回転させながら水処理を行い水との接触をさらに効率的にすることもできる。
この場合、ポリエチレンテレフタレートチップは全量を処理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水は必要により継続的又は断続的(総称して連続的ということがある)に循環し、また、継続的又は断続的に一部の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。水処理後はポリエチレンテレフタレートチップの全量を処理層から抜き出す。
そして、水処理方法が連続方式の場合であってもバッチ的の場合であっても、系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(8)式〜(12)式の少なくとも一つを満足させて水処理を行う。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (8)式
0.005 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (9)式
0.01 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (10)式
0.01 ≦ C ≦ 1.0 (ppm) (11)式
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (12)式
水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記範囲に設定することにより、スケールと呼ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエチレンテレフタレートチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことができる。
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法を例示する。
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでに粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10mlにすることが好ましい。処理槽内の処理水の粒子を除去する装置としては前記の水中のファイン除去装置を使用することができる。
また、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素等を除去する装置としては、イオン交換装置等が挙げられる。
また、水処理において処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエチレンテレフタレートチップを受け入れる段階で既にポリエチレンテレフタレートチップに付着しているファインや、水処理時にポリエチレンテレフタレートチップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエチレンテレフタレートのファインが含まれている。
従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含まれているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせることがある。
また処理水中に含まれているファインが再びポリエチレンテレフタレートチップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエチレンテレフタレートチップにファインが静電効果により付着するため、ポリエチレンテレフタレートのファイン含量が非常に多くなる。
ポリエチレンテレフタレート製造工程において発生するファインには結晶化促進効果があるが、水処理工程を経たポリエチレンテレフタレートチップから前記のような工程で発生したファインの結晶化促進効果は非常に高いことが判明した。
このようなファインによりポリエチレンテレフタレートの結晶性が促進されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピング不良、したがって内容物の漏れの原因になる。
また本発明において、ポリエチレンテレフタレートチップの連続式水処理法の場合は処理槽からポリエチレンテレフタレートチップと共に排水する処理水の微粉量を1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下に維持しながら処理槽から排出される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使用するのが望ましい。またバッチ式水処理法の場合は、水処理の終了時点での水中の微粉量は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下にするように処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用する。ここで、微粉量は下記の測定法によって求めたものである。
処理槽内の処理水中の微粉量増加を抑えるために、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインを除去する装置を設置する。ファインを除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。
例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行うため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
水処理したポリエチレンテレフタレートチップは振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエチレンテレフタレートチップと分離された水は前記のファイン除去の装置へ送られ、再度水処理に用いることができる。
ポリエチレンテレフタレートチップの乾燥は通常用いられるポリエチレンテレフタレートチップの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエチレンテレフタレートチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。
乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給した粒状ポリエチレンテレフタレートチップを間接的に乾燥することができる。
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエチレンテレフタレートの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
(1)ポリエチレンテレフタレートの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
(2)密度
25℃に保った硝酸カルシウム/混合溶媒の密度勾配管を用いて測定した。
(3)ポリエチレンテレフタレートの環状3量体の含量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリエチレンテレフタレートを沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固した後、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
(4)ファインの含量測定
樹脂約0.5kgをJIS−Z−8801による呼び寸法1.7mmの金網を張った篩(直径30cm)の上に乗せ、上から0.1%のカチオン系界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウムクロライド)水溶液を2L/分の流量でシャワ−状にかけながら、全振幅幅約7cm、60往復/1分で1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計10〜30kg篩った。
篩い落とされたファインは界面活性剤水溶液と共に岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−(細孔100〜120μm)で濾過して集め、イオン交換水で洗った。これをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含量は、ファイン量/篩にかけた全樹脂量重量、である。
(5)ヘイズ(霞度%)
中空成形容器の胴部(肉厚約0.45mm)切り出した試料あるいは2〜11mm厚の成形板より切り取った5mm厚の試料について、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−(NDH2000型)で測定した。
(6)処理水中の微粉量(ppm)
処理槽の処理水中の排出口からJIS規格20メッシュのフィルターを通過した処理水を1000cc採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、100℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出する。
(7)水中の粒子径および粒子数測定
光遮光式の粒子測定器パシフィックサイエンティフィックカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
(8)ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度Tg及び融点Tm
ストランドを切断しチップ状にした試料について、セイコー電子工業製ロボットDSC装置(RDC−220)を用いて、20℃/minの昇温速度で、ポリエチレンテレフタレートチップのガラス転移温度Tgおよび融点Tmを評価した。
(9)成形板の成形
名機製作所製M150C(DM)射出成形機を用いて、フィードスクリュウ回転数=70%、スクリュウ回転数120rpm、成形温度285℃、金型冷却水温度10℃、サイクルタイム=約55秒で、1mm毎に2mm〜9mmの厚さの変化する重さ146gの成形板を成形した。
(10)ボトルの成形
名機製作所製M−150C(DM)射出成形機により、射出成形温度290℃、フィードスクリュウ回転数70%、スクリュウ回転数120rpm、金型冷却水温度18℃、サイクルタイム=約45秒で、胴部厚さ約3.8mm、重さ約58gのボトルの予備成形体を成形した。次にこの予備成形体の口栓部を、近赤外線ヒーター方式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して口栓部を結晶化した。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製LB−01E成形機で縦方法に約2.3倍、周方向に約3.8倍の倍率に二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で約6.5秒間熱固定し、容量が1500ccの容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
実施例1〜6及び比較例1〜4
溶融重合により得られた固有粘度IV=0.71dl/g、ガラス転移温度Tg=78℃、融点Tm=255℃のポリエチレンテレフタレートをダイヘッド(1)よりストランド状に吐出させ、冷却槽(2)に導入した。ストランドは冷却槽(2)中のストランドガイドセクション(3)に沿って冷却水(9)と共に流下し、且つガイドプレートに向けてシャワー状に冷却水(10)を吹き付けて冷却した。ストランドをチップ状に切断する直前にコンベア水(11)を追加し、冷却水の存在下でカッター(4)によりチップ状に切断した。該チップをクーリングパイプ(5)中で流水により更に冷却しながら脱水機(6)へ運ぶ形式の装置を用いてチップ状にした。
この時のダイヘッド(1)より吐出する際のポリエチレンテレフタレート温度Text、平均冷却水温T、各々ストランドがチップ状に切断されるまで工程におけるの単位時間当たりの冷却水供給量V1(cm3)、単位時間当たりの冷却水へのストランドの接触表面積S1(cm2)及びストランドが冷却水に接触している時間t1(sec)及び、ストランドがチップ状に切断された後、チップが冷却水と分離されるまでの単位時間当たりの冷却水量V2(cm3)、単位時間当たりの冷却水へのストランドの接触表面積S2(cm2)及びチップが冷却水に接触している時間t2を表1の条件下で実施した。
また、工業用水(河川伏流水由来)はイオン交換装置で処理した、粒径1〜25μmの粒子が約2550個/10ml、ナトリウム含有量が0.05ppm、マグネシウム含有量が0.03ppm、カルシウム含有量が0.03ppm、珪素含有量が0.13ppmの冷却水を用いた。
得られたPETチップを60℃で72時間減圧乾燥し、名機製作所製M−150C(DM)射出成形機により厚さ2〜9mmの成形板を成形した。射出成形温度は285℃とした。5mm厚の部分を切り出し、ヘーズメーターでHAZEを測定した。また、チップについて連チップ発生状況及びファイン量を観察した結果を表1及び表2に示す。
Figure 2005281705
Figure 2005281705
実施例7〜9及び比較例5〜6
溶融重合により得られた固有粘度IV=0.56dl/g、ガラス転移温度Tg=78℃、融点Tm=255℃のポリエチレンテレフタレートについて、実施例1〜6で用いた装置を使用して同様に表3に示す条件下してチップ状にした。
また、工業用水(河川伏流水由来)はイオン交換装置で処理した、粒径1〜25μmの粒子が約2550個/10ml、ナトリウム含有量が0.05ppm、マグネシウム含有量が0.03ppm、カルシウム含有量が0.03ppm、珪素含有量が0.13ppmの冷却水を用いた。
この樹脂をひきつづき窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下、約205℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およびファイン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。
得られたPET樹脂の極限粘度は0.75デシリットル/グラム、環状3量体の含量は0.30重量%、密度は1.400g/cm3であった。
ISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエチレンテレフタレートフェルト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置(22)を設置し、この装置(22)を経由したイオン交換水の導入口(21)、処理槽上部の原料チップ供給口(14)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(15)、処理槽下部のポリエチレンテレフタレートチップと処理水の混合物の排出口(16)、オーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポリエチレンテレフタレートチップの水切り装置である(連続式遠心分離機)(17)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmのベルト式フィルターである濾過装置(18)を経由して再び水処理槽へ送る配管(19)、これらのファイン除去済み処理水の導入口(20)およびファイン除去済み処理水中のアセトアルデヒドやグリコ−ル等を吸着処理させる吸着塔(23)を備えた内容量500リットルの塔型の、図2に示す処理槽を使用して上記のPETチップを水処理した。
水処理装置のイオン交換水の導入口(21)で採取した水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約2500(個/10ml)であった。
PETチップを処理水温度95℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽の上部(14)から連続投入を開始した。投入開始から5時間経過後に、PETチップの水処理槽への投入を続けたまま水処理槽の下部(16)からPETチップを50kg/時間の速度で処理水ごと抜出しを開始すると共に、風力を利用した連続式遠心脱水装置(17)を経由した処理水を濾過装置(18)を経由して再び水処理槽に戻して繰り返し使用を開始した。なお、処理槽より排出する処理水中の微粉量は約30ppmであった。
100時間連続運転後の水処理したPETチップ(ファイン含量は約5ppm)を減圧乾燥し、名機製作所製M−150C(DM)射出成形機によりボトルの予備成形体を成形した。射出成形温度は290℃とした。次にこの予備成形体の口栓部を、近赤外線ヒーター方式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して口栓部を結晶化した。次にこの予備成形体をCORPOPLAST社製のLB−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5倍の倍率に二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で約6.5秒間熱固定し、容量が1500ccの容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
得られた容器のヘイズは0.7%で優れた透明性を示す。
Figure 2005281705
本発明は、成形品中に気泡やフィッシュアイが発生し難く、成形品の結晶化コントロール性が良好で透明性に優れ、またポリエチレンテレフタレートチップの水処理を行った場合には処理槽や配管の汚れを少なくし、ボトル等の成形時での金型汚れを発生させ難いポリエチレンテレフタレートを有利に製造することができる。
本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法に用いる装置の概略図1 本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法に用いる装置の概略図。
符号の説明
1 ダイヘッド
2 冷却槽
3 ストランドガイドセクション
4 カッター
5 クーリングパイプ
6 脱水機
7 濾過器
8 熱交換機
9 滑り台水
10 シャワー水
11 コンベア水
12 ストランド
13 処理水導入部
14 原料チップ供給口
15 オーバーフロー排出口
16 ポリエチレンテレフタレートチップと処理水との排出口
17 連続式遠心脱水装置
18 ファイン除去濾過装置
19 配管
20 処理水導入口
21 イオン交換水導入口
22 粒子除去装置
23 吸着塔

Claims (8)

  1. 溶融重合により得られたポリエチレンテレフタレートをダイヘッドからストランド状に吐出し、冷却、固化後、ストランドをカッターで切断する直前にカッター部分にさらに冷却水を追加して、切断したチップについて冷却水を冷却及び移動媒体として脱水機まで送り冷却・排出した後、脱水機で冷却水とチップを分離する方法であって、下記の式(1)式を満足する条件下でチップ状に切断した後、式(2)式を満足する条件下でチップを冷却することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。

    0.02≦(V1/S1)×t1×ΔT≦0.35 (1)式

    ここで、
    ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
    Tg=ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度(℃)
    Text=ポリエチレンテレフタレートをダイヘッドよりストランド状に吐出させる際の温度Text(℃)
    T=冷却水温(℃)(但しTは5≦T≦95(℃)且つT<Tgを満たす。)
    V1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
    S1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するストランドの表面積(cm2/sec)
    t1=ストランドがチップ状に切断されるまでの工程に於けるストランドと冷却水が接触している時間(sec)

    0.20≦(V2/S2)×t2×ΔT (2)式
    ここで、
    ΔT=(Tg−T)/(Text−T)
    V2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水量(cm3/sec)
    S2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於ける単位時間当たりの冷却水が接触するチップ表面積(cm2/sec)
    t2=ストランドがチップ状に切断された後から、チップと冷却水が分離されるまでの工程に於けるチップと冷却水に接触している時間(sec)を示す。
  2. 請求項1のポリエチレンテレフタレートの製造方法において、冷却水の中に存在する粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含み、ナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(3)〜(6)式の少なくとも一つを満足する水を使用することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
    N ≦ 1.0(ppm) (3)
    M ≦ 0.5(ppm) (4)
    S ≦ 2.0(ppm) (5)
    C ≦ 1.0(ppm) (6)
  3. 請求項1又は2記載の方法によってポリエチレンテレフタレートを製造する際に、使用する冷却水の少なくとも一部を繰り返し使用することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  4. 請求項1、2又は3記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法に於いて、(1)ダイヘッドより溶融重合ポリエチレンテレフタレートをストランド状に吐出し、(2)ストランドガイドセクションでストランドを水で冷却し、(3)ストランドを冷却水の存在下でチップ状に切断し、(4)切断されたチップを更にクーリングパイプ中で水冷し、(5)脱水機により冷却水とチップを分離することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の方法により得られたポリエチレンテレフタレートを予備結晶化、固相重合処理を行うことを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の方法により得られたポリエチレンテレフタレートと処理水を処理槽に供給してポリエチレンテレフタレートの水処理を行うことを特徴とするポリエチレンテレフタレートの製造方法。
  7. 処理槽からポリエチレンテレフタレートと共に排出する処理水中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(7)〜(11)の少なくとも一つを満足させて水処理を行うことを特徴とする請求項6記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
    1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml)……………(7)
    0.005 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) ……………(8)
    0.01 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) ……………(9)
    0.01 ≦ C ≦ 1.0 (ppm) ……………(10)
    0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) ……………(11)
  8. 極限粘度が0.55〜1.3dl/gであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポリエチレンテレフタレートの製造方法。
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