JP3630223B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時に金型汚れが発生しにくく、かつ成形品に残留異味、異臭が発生しにくく、成形品の結晶化コントロール性に優れたポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレ−トなどのポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フイルム、シ−ト、ボトルなどとして広く使用されている。
【0003】
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
【0004】
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材として最適である。
【0005】
このようなポリエステルは射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般的である。
【0006】
ところが、従来のポリエステルには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着することによる金型汚れが発生しやすかった。
【0007】
また、ポリエステルは、副生物であるアセトアルデヒドを含有する。ポリエステル中のアセトアルデヒド含量が多い場合には、これから成形された容器やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含量も多くなり、該容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。したがって、従来よりポリエステル中のアセトアルデヒド含量を低減させるために種々の方策が採られてきた。
【0008】
近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル製容器は、ミネラルウオ−タやウ−ロン茶等の低フレ−バ−飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したりまたは充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド含量の低減だけではこれらの内容物の風味や臭いが改善されないことがわかってきた。
【0009】
また、飲料用金属缶については、工程簡略化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステルフイルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際アセトアルデヒド含量の低いフイルムを使用しても内容物の風味や臭いが改善されないことが分かってきた。
【0010】
このような問題点を解決する方法として、特開平3−47830号公報にはポリエチレンテレフタレ−トを水処理する方法が提案されているが、水処理設備を長時間運転すると処理槽や配管等の汚れが激しくなり、又得られたポリエステルからの成形品に残留異味や異臭が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を解決することにあり、ポリエステルチップの水処理時の処理槽や配管の汚れを少なくし、かつポリエステルチップから成形品を製造した際にも残留異味、異臭が少ないポリエステルを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のポリエステルの製造方法は、処理槽中でポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下に維持して水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法である。
【0013】
このときに、処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することをができる。
【0014】
このときに、処理槽から排出された処理水を処理槽に戻さずに排出することができる。
【0015】
さらに、ポリエステルチップを、処理槽に継続的に、または間欠的に供給し、抜き出すことをが出来る。
【0016】
さらに、ポリエステルチップの全量を処理に充填し、水処理終了後ポリエステルチップの全量を抜き出すことが出来る。
【0017】
処理槽からの処理水の排出および排出した処理水の処理槽への戻りが継続的、または間欠的であることが出来る。
【0018】
系外から導入する処理水、処理槽中の処理水または処理槽から排出され繰り返し使用される処理水の少なくとも1種の水を窒素ガスまたは炭酸ガスで脱気処理して溶存酸素を低減さすことが出来る。
【0019】
処理槽から排出された処理水を活性炭吸着方式の処理装置により処理後、処理槽に戻して繰り返し使用することが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリエステルは、好ましくは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分とから得られる結晶性ポリエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
【0021】
本発明に用いられるポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
【0022】
また本発明に用いられるポリエステルを構成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
【0023】
前記ポリエステル中に共重合して使用される酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0024】
前記ポリエステル中に共重合して使用されるグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
【0025】
更にポリエステルが実質的に線状である範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0026】
本発明に用いられるポリエステルの好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称)である。
【0027】
また本発明に用いられるポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンナフタレ−トである。
【0028】
上記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
【0029】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0030】
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都合である。
【0031】
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として20〜150ppm、好ましくは23〜100ppm、更に好ましくは25〜70ppmである。
【0032】
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0033】
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として5〜100ppmの範囲になるように添加する。
また、ポリエステル中に共重合したDEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
【0034】
本発明に用いられるポリエステル、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルの極限粘度は0.50〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.30デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0035】
また本発明に用いられるポリエステル、特に、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−フタレートから構成されるポリエステルの極限粘度は0.40〜1.00デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜0.95デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.45〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.40デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.00デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0036】
ポリエステルチップの形状は、シリンダー型、角型、または扁平な板状等の何れでもよく、その大きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5〜4mmの範囲である。例えばシリンダー型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的である。
【0037】
また、本発明に用いられるポリエステルのアセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。本発明で用いられるポリエステルのアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステルを減圧下または不活性ガス雰囲気下において170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙げることが出来る。
【0038】
また本発明に用いられるポリエステル中に共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含量やホルムアルデヒド含量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0039】
また、本発明に用いられるポリエステルの環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0040】
本発明においては、ポリエステルは、環状三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することによる金型汚れや成形品の残留異味、異臭の発生等を防止するために、前記の固相重合の後に水との接触処理を行なう。水との接触処理の方法としては、水中に浸ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0041】
ポリエステルチップは、ポリエステル製造中に生成したアセトアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物、原料であるグリコ−ル、反応生成物である芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−や芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成るダイマ−等の低分子化合物を含んでおり、水処理時にこれらのアルデヒド化合物、グリコ−ル、芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−やダイマ−等が処理水中に溶出する。水処理槽中の処理水に含まれるこれらの低分子化合物の含量がそれぞれ100ppm以下の場合は、水処理によりチップ中のこれらの残留低分子化合物含量が低減され、得られた成形体の残留異味、異臭が改良されるが、水処理時間が長くなったり、水処理温度が非常に高くなったりすると残留異味、異臭が逆に強くなることが判った。
【0042】
本発明者らは前記の問題点を鋭意検討した結果、水処理に使用する処理水中の溶存酸素が関係していることをつきとめ、本発明に到達した。
【0043】
すなわち、本発明においては、連続水処理方式の場合は系外から導入される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下に維持して水処理し、またバッチ方式の場合は系外から充填される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下に維持して水処理することによって上記の問題点を解決する。
【0044】
また、同時に、処理中の処理水の溶存酸素濃度をYmg/l、処理水の温度をX℃とした場合、好ましくはY≦17.5−0.165X、より好ましくはY≦17.0−0.165X、さらに好ましくはY≦16.5−0.165X、最も好ましくはY≦16.0−0.165Xの関係を満たす(ただし、式でYが0.5以下の値になる領域では、溶存酸素濃度は0.5mg/l以下である)。なお、通常水に対する酸素溶解度は、1気圧、80℃で2.9mg/l程度、90℃で1.65mg/l程度であるが、水を加熱する場合では酸素が抜け切らずに過飽和になり溶解度以上に酸素が溶存したり、処理底部では水の自重による圧力でこれ以上の酸素が溶解することになる。また、重縮合後長時間放置したポリエステルチップを水処理する場合にはチップに吸収された酸素が処理水中に放出され、過飽和の状態になる。特に、このように80℃を越える高温で水処理する場合には、温度と過飽和等の酸素の影響で後述する不純物の酸化反応が進み、残留異味、異臭が強くなっていたと考えられる。
【0045】
水処理方法が連続的に、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大よる環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来る。さらには、再利用することにより、水処理槽中に流す処理水の流量を上げることができ、処理槽中の水が不均一になることを防げるため、効率よく水処理を行うことが出来、品質の安定した樹脂が得られる。さらには、水処理にはポリエステルチップに付着したファインを洗い流す効果もあるが、流量を上げることが出来るため、ファインの少ない品質の安定した樹脂が得られる。
【0046】
経済的な観点および環境上の観点より、バッチ方式の水処理の場合は処理水を繰り返し使用し、また連続式水処理の場合は水処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用するが、いずれの場合も処理槽中に溶解した低分子化合物や系外から導入される処理水中の有機化合物等が溶存する酸素によって酸化され、これがポリエステルチップに付着、または吸着して残留異味、異臭に影響を及ぼすのではないかと考えられる。
【0047】
以下に水処理を工業的に行なう方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行なうためには連続方式の方が好ましい。
【0048】
ポリエステルチップをバッチ方式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわち、バッチ方式でポリエステルチップをサイロへ受け入れ水処理を行なう。あるいは回転筒型の処理槽にポリエステルチップを受け入れ、回転させながら水処理を行ない水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0049】
この場合、ポリエステルチップは処理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水は必要により継続的又は断続的(総称して連続的ということがある)に循環し、また、継続的又は断続的に一部の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。そして、系外から導入される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下、好ましくは2.5mg/l以下、さらに好ましくは2.0mg/l以下に維持して水処理することにより上記の問題点を解決する。
【0050】
ポリエステルチップを連続的に水処理する場合は、塔型の処理槽に継続、あるいは断続的にポリエステルチップを上部より受け入れ、並流又は向流で水を連続供給して水処理させることができる。
【0051】
しかし、状況によっては処理槽からの処理水を処理槽に戻さないでポリエステルチップを連続式に処理することも出来る。
【0052】
本発明は、系外から連続的に導入される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下、好ましくは2.5mg/l以下、さらに好ましくは2.0mg/l以下に維持して連続式に水処理することにより上記の問題点を解決するものである。
【0053】
系外から導入される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度が3mg/リットル以下にすることにより、水処理したポリエステルチップからの成形体の残留異味、異臭を押さえることが出来る。
【0054】
以下に水処理槽に供給する処理水及び水処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下にする方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。水処理槽に供給する処理水中の溶存酸素濃度を抑えるためには処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ケ所以上に、また処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を抑えるためには水処理槽から処理水が排出して再び水処理槽に循環水が戻されるまでの工程中の少なくとも1カ所以上に、そして処理槽中の溶存酸素濃度を抑えるためには水処理槽中に、溶存酸素を低減さすための適切な装置を設置する。溶存酸素を低減さす装置としては、窒素ガスまたは炭酸ガス等の不活性気体吹き込み脱気装置、真空加熱式脱気装置、加熱式脱気装置等が挙げられる。
【0055】
また本発明において、系外から導入する処理水として、有機体炭素(TOC)を0.3〜100mg/リットル、好ましくは0.5〜50mg/リットル、さらに好ましくは1.0〜10mg/リットルに維持した水を利用するが望ましい。系外から導入する処理水の有機体炭素が100mg/リットルを越えると、水処理したポリエステルチップからの成形体の残留異味、異臭が問題となる。また、系外から導入する処理水の有機体炭素(TOC)を0.3mg/リットル未満にするためには、水を蒸留したり、逆浸透膜による濾過を繰り返す必要があり、これでは水のコストが高くなり、経済的に好ましくない。
【0056】
系外から導入する処理水の有機体炭素(TOC)を上記の範囲に維持する方法としては、濾過、凝集沈殿、活性炭処理、イオン交換処理等の方法が挙げられる。
【0057】
ポリエステルチップを工業的に水処理する場合、処理に用いる水が大量であることから天然水(工業用水)や排水を再利用して使用することが多い。通常この天然水は、河川水、地下水などから採取したもので、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去等の処理をしたものを言う。また、一般に工業的に用いられる天然水には、自然界由来の、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩等の粘土鉱物を代表とする無機粒子や細菌、バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機粒子を多く含有している。これらの天然水を用いて水処理を行うと、ポリエステルチップに粒子が付着、浸透して結晶核となり、このようなポリエステルチップを用いた中空成形容器の透明性が非常に悪くなる。
【0058】
したがって、ポリエステルチップを水処理するために系外から導入する水として、粒径1〜25μmの粒子を10〜50000個/10cc含む水を利用することが必要である。処理水中の粒径25μmを越える粒子は、特に規定するものではないが、好ましくは2000個/10cc以下、より好ましくは500個/10cc以下、さらに好ましくは100個/10cc、特に好ましくは10個/10cc以下である。
【0059】
なお、処理水中の粒径1μm未満の粒子に関しては、本発明で特に規定するものではないが、透明な樹脂や適正な結晶化速度の樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ましくは100000個/10cc以下、より好ましくは50000個/10cc以下、さらに好ましくは20000個/10cc以下、特に好ましくは10000個/10cc以下である。1μm以下の粒子を水中から除去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機膜等の膜を用いた精密濾過法や限外濾過法、等を用いることができる。
【0060】
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を10〜50000個/10cc含む水を得る方法を例示する。
【0061】
水中の粒子数を50000個/10cc以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を10〜50000個/10ccにすることが好ましい。粒子を除去する装置としては、フィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0062】
また天然水には、Na、Mg、Ca等の金属イオンを大量に含んでいる場合があり、このような天然水を用いて水処理を行うと、これらがポリエステルチップに付着、浸透して結晶化促進剤として作用し、このようなポリエステルチップを用いた中空成形容器の透明性が非常に悪くなる。
【0063】
したがって、天然水を水処理に使用する場合は、イオン交換装置や蒸留装置によってこれらの金属イオンを約1.0mg/リットル以下に低減させておくことが必要である。
【0064】
また処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエステルのチップを受け入れる段階で既にポリエステルのチップに付着しているファインや、水処理時にポリエステルのチップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれている。従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含まれているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせることがある。また処理水中に含まれているファインが再びポリエステルのチップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステルのチップにファインが静電効果により付着するため、乾燥後にファイン除去を行なっても除去が困難となる。そのため、ポリエステルの結晶性が促進されて、透明性の悪いボトルとなったり、また口栓部結晶化時の結晶化度が過大となり、口栓部の寸法が規格に入らなくなり、口栓部のキャッピング不良となることがある。
【0065】
従って、ポリエステルチップの連続式水処理法の場合は処理槽からポリエステルチップと共に排水する処理水の微粉量を1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下に維持しながら処理槽から排出される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使用するこのが望ましい。またバッチ式水処理法の場合は、水処理の終了時点での水中の微粉量は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下にするように処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用する。処理槽内の処理水の微粉量を低減する方法としては前記の水中の粒子除去方法を適用することができる。ここで、微粉量は下記の測定法によって求めたものである。
【0066】
水処理したポリエステルチップは振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエステルチップと分離された水はフィルタ−式濾過装置、遠心分離器等のファイン除去の装置へ送られ、再度水処理に用いることができる。
【0067】
また、容器等の内容物が、風味や臭いが非常に厳しく管理されるミネラルウオ−タ−等の場合は、水処理したポリエステルチップを加熱した新しいイオン交換水で洗浄してチップ表面に付着している芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとからなるモノマ−等を落とし、乾燥工程へ移送することもできる。洗浄後のイオン交換水は前記の水処理槽に戻して再度使用される。
【0068】
ポリエステルチップの乾燥は通常用いられるポリエステルチップの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエステルチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給した粒状ポリエステルチップを間接的に乾燥することができる。
【0069】
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
【0070】
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
【0071】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0072】
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0073】
(2)密度
四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25℃で測定した。
【0074】
(3)ポリエステルの環状3量体の含量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
【0075】
(4)ポリエステルチップのアセトアルデヒド含有量(以下「チップ中AA含量」という)
チップ試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。
【0076】
(5)ファインの含量測定
樹脂約0.5kgをJIS−Z8801による呼び寸法1.7mmの金網をはった篩い(直径30cm)の上に乗せ、上から0.1%のカチオン系界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウムクロライド)水溶液水を2リットル/分の流量でシャワー状にかけながら、全振幅幅約7cm、60往復/1分で1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計10〜30kg篩った。
ふるい落とされたファインは界面活性剤水溶液と共に岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過して集め、イオン交換水で洗った。これをガラスフィルターごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルターの重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含量は、ファイン量/篩いにかけた全樹脂重量、である。
【0077】
(6)処理水中の微粉量処理の処理水排出口からJIS−Z8801による呼び寸法850μmの網ふるいを通過した処理水を1000cc採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−で濾過後、100℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出する。
【0078】
(7)溶存酸素濃度
工業用水試験方法、JIS−K0101の「24.溶存酸素」の項に記載された溶存酸素測定法(ウインクラ−法)によって測定する。なお、系外から導入される処理水は水処理槽のイオン交換水導入口の近くに設置した採取口より、また処理槽中の処理水は処理水排出口より採取する。ただし、水採取時には空気が混入しないように注意し、水温を室温より1〜2℃低くなるように冷却管を通して試料採取器に採る。
【0079】
(8)有機体炭素(以下「TOC」という)
JIS−K0557の方法による。
【0080】
(9)金型汚れの評価
ポリエステルを窒素を用いた乾燥機で乾燥し、名機製作所製M−100射出成型機により樹脂温度290℃でプリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コ−ポプラスト社製LB−01延伸ブロー成型機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き約155℃に設定した金型内で10秒間熱固定し、500ccの中空成形容器を得た。同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、目視で判断して容器の透明性が損なわれるまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、ヘイズ測定用試料としては、5000回連続成形後の容器の胴部を供した。
【0081】
(10)ヘイズ(霞度%)
上記(9)の中空成形容器の胴部(肉厚約4mm)より試料を切り取り、東洋製作所製ヘイズメ−タ−で測定。
【0082】
(11)官能試験
二軸延伸ブロー成形した中空容器に90℃の蒸留水を入れ密栓後30分保持し、室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後風味、臭い等の試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を使用。官能試験は10人のパネラーにより次の基準により実施し、平均値で比較した。
(評価基準)
0:異味、臭いを感じない
1:ブランクとの差をわずかに感じる
2:ブランクとの差を感じる
3:ブランクとのかなりの差を感じる
4:ブランクとの非常に大きな差を感じる
【0083】
(実施例1)
処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出され水切り装置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmの連続式フィルターであるファイン除去装置(5)を経由して再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入口(7)、ファイン除去済み処理水中のアセトアルデヒドやグリコ−ル等を吸着処理させる吸着塔(10)、新しいイオン交換水の導入口(8)および窒素ガス吹き込み式脱気装置(12)を備えた内容量約500リットルの塔型の、図1に示す処理槽を使用して、窒素ガス吹き込み加熱式脱気装置(9)および活性炭処理装置(11)を経由したイオン交換水を連続的に導入してPETチップを水処理した。
【0084】
極限粘度が0.74デシリットル/グラムであり、密度が1.401グラム/cm、環状3量体含量が0.32重量%、AA含有量が5.2ppmであるPETチップを、溶存酸素濃度が0.5mg/l以下、温度が85℃にコントロールされた処理水を入れた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、水処理時間7時間で処理槽下部の排出口(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜きだした。また、水処理槽のオーバーフロー排出口(2)より絶えず水がオ−バ−フロ−するように、溶存酸素濃度が0.5mg/lでTOCが0.5mg/リットルの新しいイオン交換水を導入口(8)より供給した。
(10)で得られた中空容器のヘイズは0.8%と透明性に優れ、金型汚れまでの成形回数は11000回と問題なかった。官能試験の結果は0.5と良好で、本発明の製造方法によると内容物の味覚に影響を与えない中空成形容器、フィルム、シート等用のPETチップを製造可能であることが分かる。
【0085】
(実施例2)
実施例1と同一の装置を使用し、同一の方法により、微粉含有量約100ppmの処理水で実施例1と同じPETチップを水処理した。得られたPETチップのファイン含量は約20ppmであった。このPETを用いて前記(10)で得られた中空容器のヘイズは0.6%と透明性に優れ、金型汚れまでの成形回数は13000回と問題なかった。官能試験の結果は0.6と良好で、本発明の製造方法によると内容物の味覚に影響を与えない中空成形容器、フィルム、シート等用のPETチップを製造可能であることが分かる。
【0086】
(比較例1)
実施例1で使用した窒素ガス吹き込み加熱式脱気装置(9)、活性炭処理装置(11)および窒素ガス吹き込み式脱気装置(12)を使用せず、それ以外は実施例1と同様に水処理を行った。処理槽へ導入するイオン交換水の溶存酸素濃度が3.8mg/lでTOCが140mg/リットル、また水処理槽の処理水の溶存酸素濃度が3.3mg/lであった。
(10)で得られた中空成形容器の官能試験結果は、3.5と非常に悪かった。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステルチップ及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法であって、系外から導入される処理水及び/又は処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下に維持して水処理し、処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴としており、水処理時での処理槽や配管の汚れを少なくし、さらには成形時での金型汚れを発生させにくく、またさらにはポリエステルチップから成形品を製造した際にも残留異味、異臭が少ない優れたポリエステルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの製造方法に用いる装置の一例の略図である。
【符号の説明】
1 原料チップ供給口
2 オーバーフロー排出口
3 ポリエステルチップと処理水との排出口
4 水切り装置
5 ファイン除去装置
6 配管
7 処理水導入口
8 イオン交換水導入口
9 イオン交換装置
10 吸着塔
11 脱気装置
12 窒素吹き込み式脱気装置

Claims (8)

  1. 処理中でポリエステルチップを水処理するポリエステルの製造方法において、処理槽中の処理水の溶存酸素濃度を3mg/l以下に維持して水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 請求項1に記載のポリエステルの製造方法であって、処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリエステルの製造方法であって、処理槽から排出された処理水を処理槽に戻さずに排出することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  4. ポリエステルチップを、処理槽に継続的に、または間欠的に供給し、抜き出すことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  5. ポリエステルチップの全量を処理に充填し、水処理終了後ポリエステルチップの全量を抜き出すことを特徴とした請求項1、2、3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法
  6. 処理槽からの処理水の排出および排出した処理水の処理槽への戻りが継続的、または間欠的であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステルの製造方法。
  7. 系外から導入する処理水、処理槽中の処理水または処理槽から排出され繰り返し使用される処理水の少なくとも1種の水を窒素ガスまたは炭酸ガスで脱気処理して溶存酸素を低減さすことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6のいずれか記載のポリエステルの製造方法。
  8. 処理槽から排出された処理水を活性炭吸着方式の処理装置により処理後、処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴とする請求項2記載のポリエステルの製造方法。
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