JP2005163049A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボトルの透明性や口栓部結晶化が良好で、成形時での金型汚れを発生させにくいポリエステルを提供すること。
【解決手段】 ポリエステル樹脂を溶融重縮合後チップ化する工程に於いて、粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含み、かつナトリウム、マグネシウム、珪素およびカルシウムの各含有量が極めて少ない水によって冷却しながらポリエステル樹脂をチップ化することによりポリエステル樹脂を製造する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエステル樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時に金型汚れが発生しにくく、透明性に優れた成形品を与えるポリエステル樹脂の製造方法に関する。
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材として最適である。
このようなポリエステルは射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般的である。
ところが、従来のポリエステルには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着することによる金型汚れが発生しやすかった。
このような金型汚れは、得られるボトルの表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化してしまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。このため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの生産性が低下してしまうという問題点があった。
これらの解決方法として、ポリエステルを水処理する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法を工業的に実施する場合には、処理用の水として蒸留水を用いるとコストの面から不利であるため、河川からの水や地下水、排水等を簡易処理した工業用水を用いることが一般的である。しかしながら、工業用水を用いて水処理をした場合、得られた成形容器の内容物の風味や香りが非常に悪くなるという問題が起こる場合が多々あり、この解決が待たれていた。また、このような水処理の場合、得られたポリエステルの成型時での結晶化が早過ぎ、透明性の悪いボトルになったり、また口栓部結晶化による口栓部の収縮が規格内に納まらずにキャッピング不良となる問題もあった。
本発明者らの検討結果によると、これは水処理の段階において、工業用水に含まれている自然界由来の細菌、バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機粒子や有機化合物等の含有量が一定値以上の場合、これらの物質がポリエステルチップの表面に吸着、浸透して成形容器の風味や臭い等に悪影響を与えていることが判った。また、工業用水に含まれているナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素(珪酸)等の金属含有物質の含有量が一定値より多い場合、これらの金属の酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることがわかった。さらには金属含有物質が配管を詰まらせたり、処理槽や配管の洗浄を困難にさせる等の問題が生じた。特にナトリウムの含有はスケールの発生は起こらないものの、ナトリウムイオンがチップ表面層に浸透し、このナトリウムイオンを核として結晶化が進むため、ボトルを白化させる大きな要因となっていた。
特に大型の耐熱PETボトルの場合、PETチップに付着している前期の金属の含有量が多くなると、その結晶化促進効果のために、肉厚の予備成形体は射出成形金型内で冷却される際に白化し、透明性が悪くなる。また、この予備成形体を予熱し、次いで二軸延伸ブロ−及び熱処理するが、これらの処理時に結晶化がさらに促進されるため、得られたボトルの透明性がより一層悪くなる。これらの有機物質や金属含有物質の含有量は雨の後に増加したり、季節により変動し、しばしば非常に大きな値となることもあった。さらには、工業用水の水源をどこに求めるかで大きく異なるものであった。
また、前記の工業用水をイオン交換処理装置により処理することにより、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素(珪酸)等の金属含有物質の含有量を低下させた水でポリエステル樹脂を水処理する場合でも、ポリエステル樹脂の溶融重縮合直後にチップ化する工程で使用する冷却水の水質が悪い場合には、透明性の悪いボトル等の成形体しか得られないという問題も発生した。特に、固相重合工程を経たチップを水処理して得たポリエステル樹脂からの成形体の透明性の悪化が激しい。この原因は定かではないが、チップ化工程においてポリエステル樹脂チップの表面に付着したナトリウム、マグネシウム、カルシウムまたは珪素等の金属含有物質が固相重合時の約190℃以上の高温度での長時間加熱によって、より大きな結晶化促進作用を発揮する物質に変質し、このような物質と、触媒として樹脂に含有されているゲルマニウム化合物等が水と反応して失活することにより生成した樹脂に不溶な粒子による結晶化促進作用との相乗効果ではないかと考えられる。
また、チップ表面に付着して固相重合反応器に持ち込まれた前記の金属含有物質は、ポリエステル樹脂ペレットの表面層の一部と共に器壁に固着し、前記の高温度でスケ−ルとなって器壁に付着し、これが時々剥離してポリエステル樹脂中に混入し、ボトル等成形体中の異物となって商品価値を低下さす場合があった。
特開平3−174441号公報
本発明は、従来技術の問題点を解決することにあり、成形時での金型汚れを発生させにくく、またさらにはボトル等成形品の透明性の良好なポリエステル樹脂を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、チップ化工程の冷却水中のナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足することを特徴とする。
N ≦ 1.0(ppm) (1)
M ≦ 0.5(ppm) (2)
S ≦ 2.0(ppm) (3)
C ≦ 1.0(ppm) (4)
上記方法において、溶融状態のポリエステル樹脂を水中に開口部を持つダイスから直接冷却水中に押し出し、半固化状態のポリエステル樹脂を冷却水中で切断することによりチップ化することができる。
上記方法において、溶融状態のポリエステル樹脂をダイスから大気もしくは不活性ガス雰囲気中に押し出し、押し出された樹脂に冷却水をシャワー状に浴びせて冷却後、チップ化することができる。
さらに、上記方法によりチップ化されたポリエステル樹脂を処理層中で水処理することができる。
この場合において、処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することができる。この場合において、ポリエステルチップの全量を処理層に充填し、水処理終了後ポリエステルチップの全量を抜き出すことができる。
この場合において、チップ化工程の冷却水として、少なくともイオン交換装置で処理した水を使用することができる。この場合において、水処理用水として少なくともイオン交換装置で処理した水を処理槽に導入することができる。
この場合において、ポリエステル樹脂が固相重合したものであることができる。またこの場合において、ポリエステル樹脂が、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成される、極限粘度が0.55〜1.30デシリットル/グラムのポリエステルであることができる。またポリエステル樹脂が、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートから構成される、極限粘度が0.40〜1.00デシリットル/グラムのポリエステルであることができる。
本発明は、ポリエステル樹脂及び処理水を処理槽に供給してポリエステル樹脂を水処理するポリエステル樹脂の製造方法であって、該ポリエステル樹脂が、溶融重縮合後のチップ化工程に於いて粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含む水によって冷却しながらチップ化したものであるため、成形時での金型汚れを発生させにくく、またさらにはボトルの透明性が良好となるポリエステルを有利に得ることができる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、好ましくは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分とから得られる結晶性ポリエステル樹脂であり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステル樹脂であり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステル樹脂である。
本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
また本発明に用いられるポリエステル樹脂を構成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂中に共重合して使用される酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂中に共重合して使用されるグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
更にポリエステル樹脂が実質的に線状である範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂であり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル樹脂、即ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称)である。
また本発明に用いられるポリエステル樹脂の好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成されるポリエステル樹脂であり、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、特に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル樹脂、即ち、ポリエチレンナフタレ−トホモポリマ−またはコポリマ−である。
上記のポリエステル樹脂は、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都合である。
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステル樹脂を得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として10〜150ppm、好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として5〜100ppmの範囲になるように添加する。
また、ポリエステル樹脂に共重合されたジエチレングリコ−ル含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
本発明に用いられるポリエステル樹脂、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステル樹脂の極限粘度は0.50〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.30デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
また本発明に用いられるポリエステル樹脂、特に、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−フタレートから構成されるポリエステル樹脂の極限粘度は0.40〜1.00デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜0.95デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.45〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.40デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.00デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
ポリエステルチップの形状は、シリンダ−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよい。その平均粒径は通常1.5〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲が実用的である。
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。本発明で用いられるポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステル樹脂を減圧下または不活性ガス雰囲気下において170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙げることが出来る。
また、本発明に用いられるポリエステル樹脂に共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含量やホルムアルデヒド含量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。また、本発明に用いられるポリエステル樹脂の環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステル樹脂から耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
ポリエステル樹脂は、環状三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することによる金型汚れ等を防止するために、前記の溶融重縮合または固相重合の後に水との接触処理を行なう。
水との接触処理の方法としては、水中に浸ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
ポリエステル樹脂チップを工業的に水処理する場合、処理に用いる水が大量であることから天然水(工業用水)や排水を再利用して使用することが多い。通常この天然水は、河川水、地下水などから採取したもので、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去等の処理をしたものを言う。また、一般的に工業用に用いられる天然水にはナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素等の金属含有物質を多く含有している。天然水を用いて水処理を行うと、ポリエステル樹脂チップに付着、浸透して結晶核となり、このようなポリエステル樹脂チップを用いた中空成形容器の透明性が非常に悪くなる。したがって、これらの天然水をイオン交換装置等によって処理し、前記の金属含有物質の含有量を低下させた水を使用する。
しかし、ポリエステル樹脂の溶融重縮合直後にチップ化する工程で使用する冷却水の水質が悪い場合には、透明性の悪いボトル等の成形体しか得られないという問題が発生した。特に、固相重合を経たチップを水処理して得たポリエステル樹脂からの成形体の透明性の悪化が激しい。
溶融重縮合後のポリエステル樹脂のチップ化工程に於いて粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含む水によって冷却しながらチップ化することにより上記の問題を解決できる。冷却水中の粒径1〜25μmの粒子の個数は、好ましくは10000個/10ml以下、さらに好ましくは1000個/10ml以下である。処理水中の粒径25μmを越える粒子は、特に規定するものではないが、好ましくは2000個/10ml以下、より好ましくは500個/10ml以下、さらに好ましくは100個/10ml、特に好ましくは10個/10ml以下である。
なお、処理水中の粒径1μm未満の粒子に関しては、本発明で特に規定するものではないが、透明な樹脂や適正な結晶化速度の樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ましくは100000個/10ml以下、より好ましくは50000個/10ml以下、さらに好ましくは20000個/10ml以下、特に好ましくは10000個/10ml以下である。1μm以下の粒子を水中から除去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機膜等の膜を用いた精密濾過法や限外濾過法等を用いることができる。以下にチップ化工程で使用する冷却水中の、粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下に制御する方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水をチップ化工程に供給するまでの少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記したチップ化工程に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、チップ化工程に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を50000個/10ml以下にすることが好ましい。粒子を除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
本発明は、チップ化工程の冷却水中のナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足することにより上記の問題を解決するものである。
N ≦ 1.0(ppm) (1)
M ≦ 0.5(ppm) (2)
S ≦ 2.0(ppm) (3)
C ≦ 1.0(ppm) (4)
チップ冷却水中のナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量を上記範囲に設定することにより、ポリエステル樹脂チップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことができる。
冷却水中のナトリウム含有量Nは、好ましくはN≦0.5(ppm)であり、さらに好ましくはN≦0.3(ppm)である。
冷却水中のマグネシウム含有量Mは、好ましくはM≦0.3(ppm)であり、さらに好ましくはM≦0.1(ppm)である。
また、冷却水中の珪素の含有量Sは、好ましくはS≦0.5(ppm)であり、さらに好ましくはS≦0.3(ppm)である。
さらに、冷却水中のカルシウム含有量Cは、好ましくはC≦0.5(ppm)であり、さらに好ましくはC≦0.3(ppm)である。
以下にチップの冷却水のナトリウム含量、マグネシウム含量、珪素含量、カルシウム含量を前記の範囲に抑える方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
冷却水のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を低減させるために、チップ冷却工程に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置や逆浸透膜装置などが挙げられる。
また、チップの冷却水は繰り返しリサイクルしながら使用することが経済的な面、生産性を向上させる点から好ましい。冷却水の繰り返し工程中に、フィルターや温度調節器、アルデヒド等の不純物除去装置、後述する水処理で使用した水のリサイクル工程で設けられ得る各種装置を設けることができる、また、上記の粒子やナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置を設けることもできる。
ポリエステルのチップ化を行う方法としては、溶融したポリエステルをダイスでストランド状に大気中、または不活性ガス中に押し出し、冷却水で冷却する。不活性ガスとしては、窒素ガス等が挙げられる。冷却水で冷却する際は、ストランドを冷却水が貯まった水槽に落とし込む方法、冷却水をストランドにシャワー状に浴びせる方法等が挙げられるが、冷却水をシャワー状に浴びせる方法が好ましい。
また、溶融状態のポリエステル樹脂を水中に開口部を持つダイスから直接冷却水中に押し出し、半固化状態のポリエステル樹脂を冷却水中で切断することによりチップ化する、水中カット方も好ましい。水中カット方を用いることで、略球形のチップを得たり、非常に小さなチップを得ることが出来る。
また、このようにして得られたポリエステルチップは水処理されることが好ましい。ここで言う水処理とは、ポリエステルチップを水と接触させ、ポリエステルチップ中の触媒活性を低下させる工程を言う。以下に水処理を工業的に行なう方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行なうためには連続方式の方が好ましい。
水処理の方法が連続的に、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大による環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水の流量を上げることができ、結果としてポリエステル樹脂チップに付着したファインを洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生まれる。
ポリエステル樹脂のチップを連続的に水処理する場合は、塔型の処理槽に継続、あるいは断続的にポリエステル樹脂のチップを上部より受け入れ、並流又は向流で水を連続供給して水処理させることができる。処理されたポリエステル樹脂チップは処理層の下部から継続、あるいは断続的に抜き出す。
ポリエステル樹脂チップをバッチ方式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわち、バッチ方式でポリエステル樹脂のチップをサイロへ受け入れ水処理を行なう。あるいは回転筒型の処理槽にポリエステル樹脂のチップを受け入れ、回転させながら水処理を行ない水との接触をさらに効率的にすることもできる。
この場合、ポリエステル樹脂チップは全量を処理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水は必要により継続的又は断続的(総称して連続的ということがある)に循環し、また、継続的又は断続的に一部の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。水処理後はポリエステル樹脂チップの全量を処理層から抜き出す。そして、水処理方法が連続方式の場合であってもバッチ的の場合であっても、系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(1)〜(5)の少なくとも一つを満足させて水処理を行う。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml)
0.005 ≦ N ≦ 1.0 (ppm)
0.01 ≦ M ≦ 0.5 (ppm)
0.01 ≦ C ≦ 1.0 (ppm)
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm)
水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記範囲に設定することにより、スケールと呼ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステル樹脂チップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことができる。
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法を例示する。水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10mlにすることが好ましい。処理槽内の処理水の粒子を除去する装置としては前記の水中のファイン除去装置を使用することができる。
また、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素等を除去する装置としては、イオン交換装置等が挙げられる。
水処理において処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエステル樹脂チップを受け入れる段階で既にポリエステル樹脂チップに付着しているファインや、水処理時にポリエステル樹脂チップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエステル樹脂のファインが含まれている。従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含まれているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせることがある。また処理水中に含まれているファインが再びポリエステル樹脂チップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステル樹脂チップにファインが静電効果により付着するため、ポリエステル樹脂のファイン含量が非常に多くなる。
ポリエステル樹脂製造工程において発生するファインには結晶化促進効果があるが、水処理工程を経たポリエステル樹脂チップから前記のような工程で発生したファインの結晶化促進効果は非常に高いことが判明した。このようなファインによりポリエステル樹脂の結晶性が促進されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピング不良、したがって内容物の漏れの原因になる。
また本発明において、ポリエステル樹脂チップの連続式水処理法の場合は処理槽からポリエステル樹脂チップと共に排水する処理水の微粉量を1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下に維持しながら処理槽から排出される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使用するのが望ましい。またバッチ式水処理法の場合は、水処理の終了時点での水中の微粉量は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下にするように処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用する。ここで、微粉量は下記の測定法によって求めたものである。
処理槽内の処理水の微粉量の増加を抑えるために、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインを除去する装置を設置する。ファインを除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
水処理したポリエステル樹脂チップは振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエステル樹脂チップと分離された水は前記のファイン除去の装置へ送られ、再度水処理に用いることができる。
ポリエステル樹脂チップの乾燥は通常用いられるポリエステル樹脂チップの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエステル樹脂チップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給した粒状ポリエステル樹脂チップを間接的に乾燥することができる。
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステル樹脂の加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
(1)ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
(2)密度
四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25℃で測定した。
(3)ポリエステル樹脂の環状3量体の含量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
(4)ファインの含量
測定樹脂約0.5kgをJIS−Z−8801による呼び寸法1.7mmの金網を張った篩(直径30cm)の上に乗せ、上から0.1%のカチオン系界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウムクロライド)水溶液を2L/分の流量でシャワ−状にかけながら、全振幅幅約7cm、60往復/1分で1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計10〜30kg篩った。篩い落とされたファインは界面活性剤水溶液と共に岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−(細孔100〜120μm)で濾過して集め、イオン交換水で洗った。これをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含量は、ファイン量/篩にかけた全樹脂量重量、である。
(5)ヘイズ(霞度%)
中空成形容器の胴部(肉厚約0.45mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−で測定。
(6)処理水中の微粉量(ppm)
処理槽の処理水中の排出口からJIS規格20メッシュのフィルターを通過した処理水を1000cc採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、100℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出する。
(7)水中の粒子径および粒子数測定
光遮光式の粒子測定器パシフィックサイエンティフィックカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
(8)チップ化工程の冷却水および水処理工程の導入水中のナトリウム含有量、カルシウム含有量、マグネシウム含有量および珪素含有量
冷却水または導入水を採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−で濾過後、濾液を島津製作所製誘導結合プラズマ発光分析装置で測定した。
(実施例1)
ストランド状に押出した溶融重縮合PETを、工業用水(河川伏流水由来)をイオン交換装置およびISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)で処理した、粒径1〜25μmの粒子が約2550個/10ml、ナトリウム含有量が0.05ppm、マグネシウム含有量が0.03ppm、カルシウム含有量が0.03ppm、珪素含有量が0.13ppmの冷却水で冷却しながらチップ化装置でチップ状に切断した。
ストランドはダイスの2mm×3mmの穴(12個)から押し出し、ダイスを出た後、0.3秒後に斜めにセットしたSUS板の上でシャワー状に冷却水が降りかかるようにした。なお、冷却水は、温度20℃の温調設備のついたにリザーブタンクとの間で循環して用いた。循環ライン中にもISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)を設置した。この樹脂をひきつづき窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約205℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およびファイン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。得られたPET樹脂の極限粘度は0.75デシリットル/グラム、環状3量体の含量は0.30重量%、密度は1.400g/cm3であった。
ISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置(9)を設置し、この装置(9)を経由したイオン交換水の導入口(8)、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、オーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポリエステルチップの水切り装置である(連続式遠心分離機)(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmのベルト式フィルターである濾過装置(5)を経由して再び水処理槽へ送る配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入口(7)およびファイン除去済み処理水中のアセトアルデヒドやグリコ−ル等を吸着処理させる吸着塔(10)を備えた内容量500リットルの塔型の、図1に示す処理槽を使用して上記のPETチップを水処理した。
水処理装置のイオン交換水の導入口(8)で採取した水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約2500(個/10ml)であった。PETチップを処理水温度95℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽の上部(1)から連続投入を開始した。投入開始から5時間経過後に、PETチップの水処理槽への投入を続けたまま水処理槽の下部(3)からPETチップを50kg/時間の速度で処理水ごと抜出しを開始すると共に、風力を利用した連続式遠心脱水装置(4)を経由した処理水を濾過装置(5)を経由して再び水処理槽に戻して繰り返し使用を開始した。なお、処理槽より排出する処理水中の微粉量は約30ppmであった。
100時間連続運転後の水処理したPETチップ(ファイン含量は約5ppm)を減圧乾燥し、名機製作所製M−150C(DM)射出成形機によりボトルの予備成形体を成形した。射出成形温度は295℃とした。次にこの予備成形体の口栓部を、近赤外線ヒーター方式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して口栓部を結晶化した。次にこの予備成形体をCOPOPLAST社製のLB−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5倍の倍率に二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で約10秒間熱固定し、容量が2000ccの容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。得られた容器のヘイズは0.7%で優れた透明性を示す。
(実施例2)
溶融したポリエステル樹脂をGALA社製水中カッターModel5を用いてダイから冷却水中に押し出しながらダイ出口にセットした回転歯でカットし、平均重量0.015g/1個の略球形のチップを得た。冷却水は、粒径1〜25μmの粒子が約2300個/10ml、ナトリウム含有量が0.04ppm、マグネシウム含有量が0.04ppm、カルシウム含有量が0.05ppm、珪素含有量が0.15ppmであった。また、水中カッターの運転条件は、穴型φ2.4mm×4つ穴のダイを用い、ダイス温度245℃、吐出量100kg/hr、冷却水温45℃、冷却水循環量200リットル/分で行い、循環ライン中にもISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2Sを取り付けた。実施例2と同様にして、固相重合を行い、極限粘度は0.78デシリットル/グラム、環状3量体の含量は0.28重量%、密度は1.400g/cm3のポリエステルを得た。
さらに、同様にして水処理を行った。なお、処理槽より排出する処理水中の微粉量は約21ppmであった。100時間連続運転後の水処理したPETチップ(ファイン含量は約3ppm)を減圧乾燥し、得られた樹脂を用いて実施例1と同様にして容器を得た。得られた容器のヘイズは0.5%で優れた透明性を示す。
(比較例1)
実施例1で使用したイオン交換装置、濾過装置、循環装置を使用せずに工業用水をそのままチップ化時の冷却水として使用する以外は実施例1と同様にして固相重合PETを得た後、同様の方法で水処理を実施した。チップ化時の冷却水として使用した工業用水中に含まれる粒径1〜25μmの粒子は約492300個/10ml、ナトリウム含有量が7.5ppm、マグネシウム含有量が2.0ppm、カルシウム含有量が6.5ppm、珪素含有量が12.0ppmであった。実施例1と同様にして得られた容器のヘイズは40.6%と非常に悪かった。
本発明は、ポリエステル樹脂及び処理水を処理槽に供給してポリエステル樹脂を水処理するポリエステル樹脂の製造方法であって、該ポリエステル樹脂が、溶融重縮合後のチップ化工程に於いて粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下含む水によって冷却しながらチップ化したものであるため、成形時での金型汚れを発生させにくく、またさらにはボトルの透明性が良好となるポリエステルを有利に得ることができる。
実施例で使用した水処理装置の概略図
符号の説明
1 原料チップ供給口
2 オーバーフロー排出口
3 ポリエステルチップと処理水の排出口
4 連続式遠心脱水装置
5 ファイン除去濾過装置
6 配管
7 処理水導入口
8 イオン交換水導入口
9 粒子除去装置
10 吸着塔

Claims (4)

  1. チップ化工程の冷却水中のナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
    N ≦ 1.0(ppm) (1)
    M ≦ 0.5(ppm) (2)
    S ≦ 2.0(ppm) (3)
    C ≦ 1.0(ppm) (4)
  2. 請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法であって、溶融状態のポリエステル樹脂を水中に開口部を持つダイスから直接冷却水中に押し出し、半固化状態のポリエステル樹脂を冷却水中で切断することによりチップ化することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリエステルの製造方法であって、溶融状態のポリエステル樹脂をダイスから大気もしくは不活性ガス雰囲気中に押し出し、押し出された樹脂に冷却水をシャワー状に浴びせて冷却後、チップ化することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  4. チップ化工程の冷却水として、少なくともイオン交換装置で処理した水を使用することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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