JP2005281531A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【構成】ゴム強化スチレン系樹脂(a)とα,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)および官能基含有樹脂(c)からなるゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)と、オレフィン系樹脂(d)とα,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)および官能基含有樹脂(c)からなるオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を別々に溶融混練した後、次いでゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を溶融混合した熱可塑性樹脂組成物。
【効果】 耐表層剥離性、耐薬品性が良好で、耐衝撃性と加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物であり、耐薬品性が必要な車両部品、弱電部品などの材料として有用。またABS樹脂、AES樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂のリサイクル手法としても有効。

Description

本発明は、耐表層剥離性、耐薬品性が良好で、耐衝撃性と加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
ABS、AES、ASA樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性、加工性、耐熱性に優れる代表的汎用樹脂として広く用いられているが、耐薬品性が充分でないという問題点がある。一方、オレフィン系樹脂は耐薬品性に優れるものの、耐衝撃性、耐熱性に劣るといった問題を有している。
このようなゴム強化スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、耐衝撃性、加工性、耐熱性、耐薬品性に優れる組成物が期待されているが、相溶性が悪いため、両樹脂の特長が発揮されない。すなわち、かかる組成物は層状剥離を起こし、耐衝撃性、加工性、耐熱性、耐薬品性のバランスに劣るという問題点がある。そこで、該組成物の相溶性を改善すべく各種相溶化剤を使用することが試みられているが、未だ十分とはいえないのが現状である。
その中で、α,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂・ポリアミド樹脂・α,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂からなる相溶化剤が比較的層状剥離を起こし難い優れた相溶化剤であることが確認されているが、さらなる相溶性の改善が望まれている。
特公平7−47679号公報 特開平6−192503号公報 特開2003−335903号公報
本発明は、ゴム強化スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂からなる組成物の相溶性を改善することにより、層状剥離を起こさず、かつ優れた耐薬品性と耐衝撃性−加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、ゴム強化スチレン系樹脂(a)、α,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)、官能基含有樹脂(c)、オレフィン系樹脂(d)およびα,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)をそれぞれ特定の組合せにて2種類の組成物を一旦溶融混練した後、さらにその組成物を溶融混練してなる熱可塑性樹脂組成物が、層状剥離のない優れた耐薬品性と耐衝撃性−加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを見出した。
耐表層剥離性、耐薬品性が良好で、耐衝撃性と加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物であり、耐薬品性が必要な車両部品、弱電部品などの材料として有用である。
すなわち本発明は、下記のゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)をそれぞれ別々に溶融混練した後、次いでゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を溶融混合してなる熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
<ゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)>
ゴム強化スチレン系樹脂(a)とα,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)および官能基含有樹脂(c)からなるゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)。
<オレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)>
オレフィン系樹脂(d)とα,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)および官能基含有樹脂(c)からなるオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明に用いるゴム強化スチレン系樹脂(a)とは、ゴム質重合体の存在下にスチレン系単量体とシアン化ビニル系単量体および他の共重合可能な単量体の1種または2種以上とを共重合してなる樹脂である。
ゴム強化スチレン系樹脂(a)を構成することのできるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンースチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等)共重合体などのエチレン−プロピレン系ゴム、ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム、さらにはこれらの2種以上のゴムからなる複合ゴム等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
スチレン系単量体と共に用いるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、スチレン系単量体とシアン化ビニル系単量体と共に用いることのできる他の共重合可能な単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体などが挙げられ、それらはそれぞれ一種又は二種以上用いることができる。
ゴム強化スチレン系樹脂(a)を構成するゴム質重合体と単量体合計(スチレン系単量体、シアン化ビニル系単量体および他の共重合可能な単量体)との組成比率には制限はないが、最終樹脂組成物の耐表層剥離性および耐衝撃性、加工性、耐薬品性のバランス面、特に耐衝撃性の面より、ゴム状重合体5〜70重量%、単量体合計95〜30重量%であることが好ましい。
このようなゴム強化スチレン系樹脂(a)の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム−スチレン重合体(ABS)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレン系ゴム−スチレン重合体(AES)、アクリロニトリル−アクリル酸エステル系ゴム−スチレン重合体(AAS)等の“ゴム強化スチレン系樹脂”、さらには該“ゴム強化スチレン系樹脂”とスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体(αMS−ACN)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチルーアクリロニトリル−スチレン共重合体(MAS)、スチレンーN−フェニルマレイミド共重合体(S−NPMI)、スチレン−N−フェニルマレイミド−アクリロニトリル共重合体(S−A−NPMI)等の“非ゴム強化スチレン系樹脂”との“混合物”が例示される。
本発明にて使用される上記のゴム強化スチレン系樹脂(a)の製造方法には特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせの方法により得ることができる。
α、β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)〔以下、酸変性スチレン系樹脂と記す〕としては、前述したスチレン系単量体と必要に応じてシアン化ビニル系単量体および他の共重合可能な単量体の1種または2種以上と更に必須成分としてα、β−不飽和カルボン酸とからなる共重合体樹脂である。
酸変性スチレン系樹脂(b)における各単量体の組成比率は、スチレン系単量体20〜99.5重量%、シアン化ビニル系単量体および他の共重合可能な単量体0〜60重量%、α、β−不飽和カルボン酸0.5〜20重量%であることが好ましい。α、β−不飽和カルボン酸が0.5重量%未満では最終樹脂組成物が表層剥離を起こし、20重量%を超えると加工性が低下する。最終組成物の耐表層剥離性および耐衝撃性、加工性、耐熱性、耐薬品性のバランス面より、スチレン系単量体40〜90重量%、シアン化ビニル系単量体および他の共重合可能な単量体の1種または2種以上10〜50重量%、α、β−不飽和カルボン酸1〜10重量%が特に好ましい。
なお、これら単量体の具体例としては前記ゴム強化スチレン系樹脂(a)の項で述べたものと同一のものを使用することができる。
また、本発明における酸変性スチレン系樹脂(b)は、必要に応じてゴム強化されていてもよく、例えばゴム強化スチレン系樹脂(a)の項で述べられたゴム質重合体の存在下で前記各単量体を重合されたものを使用することを何ら妨げるものではない。
酸変性スチレン系樹脂(b)の製造方法には特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせの方法により得ることができる。
官能基含有樹脂(c)としては、アミド基(結合)、ウレタン基(結合)、エステル基(結合)、エーテル基(結合)、カーボネート基(結合)、イミド基(結合)、水酸基を含有した樹脂などが挙げられる。
アミド基(結合)を有する樹脂としては、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−シリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミドなどが挙げられる。なお、上記“I”は、イソフタル酸成分、“T”は、テレフタル酸成分を示す。
ウレタン基(結合)を有する樹脂としては、ポリイソシアネート化合物(イソシアネート成分)とポリヒドロキシル化合物(高分子ポリオールおよび/または低分子量ポリオール)とを反応してなるポリウレタン樹脂である。
該ポリウレタンの製造に用いられるポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートおよびこれらのジイソシアネートの変性物が挙げられる。このようなジイソシアネートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられる。
ポリウレタンの製造に用いられるポリヒドロキシル化合物としての高分子ポリオールは、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネート類、ポリエステルポリエーテル共重合物およびこれらの混合物が好ましい。
低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のグリコール等の多価アルコールが使用できる。
エステル基(結合)を有する樹脂としては、主にポリエステル類が挙げられ、具体的には多価アルコールと多塩基性カルボン酸の縮合物、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等が挙げられ、多価アルコールとしては例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のグリコール単独あるいは混合物が挙げられる。多塩基性カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の2塩基酸が例示される。ヒドロキシカルボン酸と多価アルコールの縮合物としては、ひまし油、ひまし油とエチレングリコール、プロピレングリコール等の反応物も使用できる。
さらに、ポリエステル類としては、ε−カプロラクトン等の環状エステルをグリコール等の存在下で開環付加重合したポリカプロラクトンジオール類も用いることができる。このカプロラクトンジオール類としては、先に述べた多価アルコール類にε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン等の1種または2種以上を付加重合させたものを使用することができる。
また、エステル基(結合)を有する樹脂としては、置換基としてエステル基を有するものも同様に使用できる。例えば、プロピレン単量体および/またはエチレン単量体とα、β−不飽和カルボン酸エステル、またはカルボン酸α、β−不飽和アルキルエステルから成る共重合体樹脂が挙げられる。
ここでα、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
さらにカルボン酸α、β−不飽和アルキルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
エーテル基(結合)を有する樹脂としては、ポリエーテル類が挙げられる。ポリエーテル類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させた生成物であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリメチレングリコール等が例示される。ここで2個以上の活性水素を有する化合物としては例えば先に述べた多価アルコール、多塩基性カルボン酸の他、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミン類、レゾルシン、ビスフェノール等の多価フェノール類、ひまし油等が挙げられる。
カーボネート基(結合)を有する樹脂としては、多価アルコール例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオールとホスゲン、クロル酢酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートとの縮合により得られる数平均分子量300〜30000程度のポリカーボネート類である。
イミド基(結合)を有する樹脂としては、主にポリイミド樹脂が挙げられ、例えば二官能カルボン酸無水物とジアミンとから重合できる。二官能カルボン酸無水物としては、ピロメリト酸二無水物等が挙げられる。ジアミンとしては、へキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,3−、1,4−フェニレンジアミン、メチレンジアニリン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル等が使用できる。
水酸基を有する樹脂としては、低分子量ポリオールと高分子量ポリオールがあり、低分子量ポリオールとしては、前記ポリウレタンの原料である多価アルコールが使用できる。高分子量ポリオールとしては、ビニルアルコールの重合物、およびエチレンとビニルアルコールとの共重合物等が挙げられる。
ゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)にて使用される官能基含有樹脂(c)は、それぞれ同一のもの、または、同種のものを使用することが望ましいが、相溶性があれば、異種のものでも問題はなく、さらには、それぞれ、2種以上用いることができる。
オレフィン系樹脂(d)としては、一般的にポリオレフィンと呼ばれるポリプロピレン(ホモタイプ、ランダムタイプ、ブロックタイプ)、ポリエチレン(高密度、中密度、直鎖状低密度、超低密度、高圧法低密度)等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。
α、β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)〔以下、酸変性オレフィン系樹脂と記す〕としては、プロピレン単量体および/またはエチレン単量体とα、β−不飽和カルボン酸から成る共重合体樹脂または、上記オレフィン系樹脂(d)にて例示したポリオレフィン100重量部に対し、α、β−不飽和カルボン酸をグラフト反応せしめることにより得られる共重合体樹脂である。
ここでα、β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アニコット酸等が挙げられ、一種または二種以上用いることができる。特に無水マレイン酸が好ましい。
また、α、β−不飽和カルボン酸の使用割合は、プロピレン単量体および/またはエチレン単量体の合計量100重量部またはポリオレフィン100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。α、β−不飽和カルボン酸の使用割合が0.01重量部未満では使用する酸変性オレフィン系樹脂(e)とポリアミド樹脂(c)の反応が充分ではなく、親和性不足のため得られる最終樹脂組成物の表面外観が悪く、表層剥離が起こり好ましくない。一方、20重量部を超えると得られる最終樹脂組成物の加工性が劣るため好ましくない。
酸変性オレフィン系樹脂(e)の製造法には何ら制限はないが、例えばポリオレフィン、α、β−不飽和カルボン酸および少量の有機過酸化物をヘンシェルミキサーなどを用いて混合した混合物を単軸または2軸の押出機に供給し、180〜250℃の温度で溶融混練する方法、ポリオレフィンを適当な溶剤に溶解し、これにα、β−不飽和カルボン酸および有機過酸化物を添加して溶液状態でグラフト反応せしめる方法などが挙げられる。
本発明における上記各成分の混合割合については特に制限はないが、上記熱可塑性樹脂組成物において、ゴム強化スチレン系樹脂(a)100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)1〜30重量部、および官能基含有樹脂(c)1〜30重量部からなるゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂(d)100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)1〜30重量部、官能基含有樹脂(c)1〜30重量部からなるオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)をそれぞれ別々に溶融混練した後で、ゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)を1〜99重量部とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を99〜1重量部を溶融混合することが好ましい。
また、本発明において公知の添加剤、例えば酸化防止剤〔フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が例示される。〕、紫外線吸収剤〔p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が例示される。〕、滑剤〔パラフィンワックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケトンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等が例示される。〕、着色剤〔例えば酸化チタン、カーボンブラック〕、充填剤〔例えば炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カーボン繊維等が例示される。〕、難燃剤〔例えばテトラブロムビスフェノールA、ヘキサブムシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ポリブロムヂフェニルオキサイド、ポリ−ジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロムビスフェノールAカーボネートオリゴマー、テトラブロムビスフェノールAエポキシオリゴマー、ブロム化フェノキシ、ブロム化ポリスチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、酸化アンチモン等が例示される。〕等を必要に応じて添加することができる。
さらに、本発明においては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレートなどの他の熱可塑性樹脂を配合することも可能である。
次に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。尚、部数および%についてはいずれも重量基準で示した。実施例および比較例で用いられた各種樹脂は以下のとおりである。
ゴム強化スチレン系樹脂(a)
a−1:ABS樹脂(日本エイアンドエル社製 商品名:クララスチックS−3710)
a−2:HIPS樹脂(日本ポリスチレン社製 商品名:H554)
酸変性スチレン系樹脂(b)
b−1:スチレン70部、アクリロニトリル25部およびアクリル酸5部を公知の乳化重合法により重合した。その後、得られた重合体ラテックスを塩析、脱水、乾燥処理し、酸変性スチレン系樹脂(b−1)を得た。
官能基含有樹脂(c)
c−1:ナイロン6(ユニチカ社製 商品名:A1030BRL)
c−2:ポリエチレンオキシド(明成工業製 商品名:アルコックスR−1000)
c−3:ポリウレタン(ダウケミカル社製 商品名:ペレセン2012−80A)
オレフィン系樹脂(d)
d−1:ポリプロピレン(住友化学工業社製 商品名:ノーブレンW531D)
酸変性オレフィン系樹脂(e)
e−1:ポリプロピレン(住友化学工業社製 商品名:ノーブレンW531D)100部、無水マレイン酸1部およびジクミルパーオキサイド0.2部をベント付押出機で混練(220℃)し、酸変性オレフィン系樹脂(無水マレイン酸含有量0.2%)(e−1)を得た。
スチレン系樹脂(f)
f−1:スチレン70部、アクリロニトリル30部を公知の乳化重合法により重合した。その後、得られた重合体ラテックスを塩析、脱水、乾燥処理し、スチレン−アクリロニトリル共重合体(f−1)を得た。
ゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)
ゴム強化スチレン系樹脂(a)、酸変性スチレン系樹脂(b)、ポリアミド樹脂(c)を表1の配合比率で配合し、ヘンシェルミキサーにてブレンドした後、2軸押出機で溶融混練(220℃)し、各種熱可塑性樹脂組成物(A)のペレットを得た。
オレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)
オレフィン系樹脂(d)、および酸変性オレフィン系樹脂(e)、官能基含有樹脂(c)を表1の配合比率で配合し、ヘンシェルミキサーにてブレンドした後、2軸押出機で溶融混練(220℃)し、各種熱可塑性樹脂組成物(B)のペレットを得た。
〔実施例1〜6、比較例1〜5〕
上記にて得られたゴム強化スチレン系含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を表2の配合比率で配合し、ヘンシェルミキサーにてブレンドした後、2軸押出機で溶融混練(220℃)し、各種熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、比較例1、2、4、5はそれぞれ表2に示す(a)〜(e)成分をヘンシェルミキサーにてブレンドした後、2軸押出機で溶融混練(220℃)し、各種熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、射出成形機(シリンダー温度220℃)により、下記の試験に必要な試験片を作成した。各試験片から各種性能を以下に示す方法に従って測定した。
耐表層剥離性:厚さ2.0mmの平板成形品(100mm×150mm)のゲート部からの表層剥離性を評価した。評価は目視による3点法とし、最高を3点、最低を1点とした。即ち、数字が大きいほど耐表層剥離性に優れていることを示す。
耐衝撃性:ASTM D−256規格に基づきアイゾッド衝撃試験で評価した。単位:J/m。
耐薬品性:射出成形した角板(50mm×70mm×3mm)をガソリンまたはジオクチルフタレートに23℃で24時間浸漬して角板表面を目視で観察し、変化の有無を判定した。変化有りを×、変化無しを○とした。
加工性:ASTM D−1238に基づきメルトインデックス(220℃、10Kg)を測定した。単位:g/10分。
Figure 2005281531
Figure 2005281531
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来の組成物に比べ、耐表層剥離性、耐薬品性が良好で、耐衝撃性と加工性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物であり、耐薬品性が必要な車両部品、弱電部品などの材料として有用である。また、ABS樹脂、AES樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂のリサイクル手法としても有効である。

Claims (3)

  1. 下記のゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)をそれぞれ別々に溶融混練した後、次いでゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を溶融混合してなる熱可塑性樹脂組成物。
    <ゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)>
    ゴム強化スチレン系樹脂(a)とα,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)および官能基含有樹脂(c)からなるゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)。
    <オレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)>
    オレフィン系樹脂(d)とα,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)および官能基含有樹脂(c)からなるオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)。
  2. ゴム強化スチレン系樹脂(a)100重量部に対してα,β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂(b)1〜30重量部、および官能基含有樹脂(c)1〜30重量部からなるゴム強化スチレン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(A)とオレフィン系樹脂(d)100重量部に対して、α,β−不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂(e)1〜30重量部、官能基含有樹脂(c)1〜30重量部からなるオレフィン系樹脂含有熱可塑性樹脂組成物(B)を使用してなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 官能基含有樹脂(c)が、アミド基(結合)、ウレタン基(結合)、エステル基(結合)、エーテル基(結合)、カーボネート基(結合)、イミド基(結合)、水酸基を含有した樹脂である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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