JP2005279321A - 過マンガン酸含有廃液の処理方法 - Google Patents

過マンガン酸含有廃液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 過マンガン酸含有廃液から簡便にマンガンを除去する処理方法を提供する。
【解決手段】 pH10以上にした過マンガン酸含有廃液にORP値が−100mV〜250mVになるまで硫化剤を加え、前記廃液中のマンガンを二酸化マンガンとして不溶化し除去することを特徴とする過マンガン酸含有廃液の処理方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、プリント基板のエッチングなどで生ずる過マンガン酸含有廃液からマンガンを除去する方法に関する。
プリント基板メーカー等ではエッチングと呼ばれる工程で過マンガン酸系の薬液を使用するが、その更新液(薬液自体)及び一次洗浄水(薬液に浸けた金属板を洗浄した水)はマンガン濃度が高く、廃棄のためにはマンガン除去の処理が必要となる。
従来の過マンガン酸含有濃厚廃液の処理方法は、弱酸性にした廃液に還元剤を加え、不溶性の二酸化マンガンを析出させて除去するものである。例えば、廃液を水で希釈したのち希硫酸でpHを5程度まで下げ、亜硫酸水素ナトリウムを加えて撹拌し、二酸化マンガンを含む褐色のスラッジを沈殿させる。このとき、反応中に液のpHがアルカリ側に移行しないよう、希硫酸でpH5以下に保って反応させる。その後、水酸化ナトリウムでpHを約10まで上げて液をろ過する。スラッジは二酸化マンガン、銅などを含むので、産業廃棄物として法令に定められた処理を行い、ろ液は、マンガンは除去されているが亜硫酸イオンを含むので、排水処理設備で処理する。
過マンガン酸含有廃液の処理は、このように複雑であるため、処理を専門の業者に委託することが多い。しかし、廃液を排出するメーカーなどでISO14000の取得が主流となり、廃液処理を自社内で行いたいという要請が生じていた。
また、上記のような処理方法では、一般的にアルカリ性のものが多い過マンガン酸含有廃液の処理においては多量の酸の添加が必要であり、また、処理中の液のpHの管理、ORP(酸化還元電位)値の管理も行わなければならず、処理コスト上問題がある。さらに、使用する還元剤の種類によっては処理時に腐食性のガスが発生するなどの設備面での問題もあった。
本発明は、過マンガン酸含有廃液から簡便にマンガンを除去する処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究した結果、水硫化ソーダ(硫化水素ナトリウム)などの硫化剤を用いてマンガン除去を行うと、アルカリ性の領域で処理を行うことが可能であり、かつ、ORP値の管理のみでマンガンが除去できることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに到った。
すなわち本発明は、pH10以上にした過マンガン酸含有廃液にORP値が−100mV〜250mVになるまで硫化剤を加え、前記廃液中のマンガンを二酸化マンガンとして不溶化し除去することを特徴とする過マンガン酸含有廃液の処理方法である。
本発明方法によれば、廃液をアルカリ性側で処理できるため、従来多量に使用していた酸の添加が不要であり、また、ORP値の管理のみで処理が行えるため、処理コストが低減できる。また、処理中に腐食性ガスが発生することもなく、安全かつ簡便に廃液中のマンガン除去が行える。
本発明においては、pH10以上にした過マンガン酸含有廃液に、ORP値が−100mV〜250mV、好ましくは−50mV〜100mVになるまで硫化剤を加え、前記廃液中のマンガンを二酸化マンガンとして不溶化し除去する。硫化剤の添加により、廃液のORP値は低下するが、上記のような値となるまで硫化剤の添加を行えば、廃液中のマンガン量を0.1mg/L以下とすることができ、かつ、添加する硫化剤の量について経済的な無駄がない。
本発明方法において行われる反応は次の反応式で表される。
8MnO4 -+3S2-+10H2O → 8MnO2+3SO4 2-+8OH-
(MnO4 -:過マンガン酸塩、S2-:硫化剤)
本発明における硫化剤とは、pH10以上とした廃液中でS2-を供給するものをいう。
本発明で用いることのできる硫化剤としては、アルカリ金属水硫化物、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属多硫化物、例えば水硫化ソーダ、硫化ソーダ、多硫化ソーダからなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。
本発明方法で処理しうる廃液は、上記反応を阻害するものでなければ、過マンガン酸以外の他の成分を含有していてもよい。
過マンガン酸含有廃液は通常アルカリ性である場合が多く、この場合はそのまま硫化剤の添加が行えるが、廃液のpHが10を下回る場合には水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどの添加によりpH調整を行う。
廃液の過マンガン酸含有量は特に制限はないが、100〜10,000mg/Lの廃液が特に好ましい。また、添加する硫化剤は、例えば水硫化ソーダを用いるのであれば0.5〜45wt%の水溶液が好ましい。
以下に実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
過マンガン酸濃度100mg/LのA液と1000mg/LのB液の2種類の過マンガン酸含有廃液に対し、水酸化ナトリウムを用いて反応pHを10とし、ORP値を計測しながら25wt%の水硫化ソーダ水溶液を添加した。このときの水硫化ソーダ水溶液の添加量に対するORP値を示すグラフは、図1のとおりである。
このグラフでA1、A2、B1、B2として示した4点で処理液中に残存するマンガン濃度を測定したところ表1の通りであった。本発明で規定するORP値の範囲内にあるA2及びB2点では、マンガンイオンのほとんどが不溶化されていることがわかる。
Figure 2005279321
(実施例2及び比較例1)
過マンガン酸濃度100mg/LのA液と1000mg/LのB液の2種類の過マンガン酸含有廃液に対し、水酸化ナトリウム及び硫酸を用いて反応pHを4、6、8、10又は12とし、ORP値を計測しながら25wt%の水硫化ソーダ水溶液を添加した。このときの水硫化ソーダ水溶液の添加量に対するORP値を示すグラフは、A液については図2、B液については図3のとおりである。
これらのグラフにおいて矢印で示した点において処理液中に残存するマンガン濃度を測定した。得られた結果をpH値に対するマンガン濃度のグラフとして図4に示す。廃液中のマンガンの不溶化が十分に促進されるのは反応pHが10以上であるときであることがわかる。
(実施例3)
過マンガン酸濃度2500mg/L、pH13の過マンガン酸含有廃液に対し、pH調整を行わず25wt%の水硫化ソーダ水溶液を添加した。このときの水硫化ソーダ水溶液の添加量に対するORP値を示すグラフは、図5のとおりである。
ORP値が10mVになったところ(図5のグラフで矢印で示したポイント)で処理液及び析出物を採取し、不溶解分を、5種Aろ紙にてろ別し、得られた処理液中のマンガンイオン濃度を測定したところ、0.04mg/Lであった。
(実施例4)
過マンガン酸濃度400mg/L、pH12の過マンガン酸含有廃液に対し、pH調整を行わず25wt%の水硫化ソーダ水溶液を添加した。このときの水硫化ソーダ水溶液の添加量に対するORP値を示すグラフは、図6のとおりである。
ORP値が220mVになったところ(図6のグラフで矢印で示したポイント)で処理液及び析出物を採取し、不溶解分を、5種Aろ紙にてろ別し、得られた処理液中のマンガンイオン濃度を測定したところ、0.02mg/Lであった。
水硫化ソーダ水溶液の添加量とORP値の関係を示すグラフである。(実施例1) A液における水硫化ソーダ水溶液の添加量とORP値の関係を示すグラフである。(実施例2) B液における水硫化ソーダ水溶液の添加量とORP値の関係を示すグラフである。(実施例2) 反応時pHと残存マンガン濃度の関係を示すグラフである。(実施例2) 水硫化ソーダ水溶液の添加量とORP値の関係を示すグラフである。(実施例3) 水硫化ソーダ水溶液の添加量とORP値の関係を示すグラフである。(実施例4)

Claims (1)

  1. pH10以上にした過マンガン酸含有廃液にORP値が−100mV〜250mVになるまで硫化剤を加え、前記廃液中のマンガンを二酸化マンガンとして不溶化し除去することを特徴とする過マンガン酸含有廃液の処理方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006517511A (ja) * 2003-01-28 2006-07-27 エンバイロスクラブ テクノロジーズ コーポレイション 連続流動反応器において処理されるマンガン酸化物

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