JP4617099B2 - 有機性廃水の処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
そして、ISO14000等の規定では、環境負荷の低減が更に要求され、また、排出基準も益々厳しくなっており、例えば東京湾等の特定の閉鎖海域では濃度基準による規制だけでなく、排出量の総量規制も実施されるに至っている。
例えば従来知られている化学的な処理技術としては、過マンガン酸カリウムを用いて主としてCOD及びBOD負荷物質である有機物を分解する技術が知られている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。尚、「COD」と「BOD」は過マンガン酸カリウムに代表される過マンガン酸塩に対しては同列と判断できるので、本明細書では、以後「BOD」も含めて「COD」負荷物質と記述する。
Mn7++3e → Mn4+ … (1)
Mn4++2e → Mn2+ … (2)
すなわち、有機物成分を含んだ有機性廃水に7価のマンガンとして例えば過マンガン酸カリウムを添加すると、先ず最初に酸化され易いCOD負荷物質が酸化され、この時、この7価のマンガンは4価に還元される。
本発明は以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、過マンガン酸塩(例えば過マンガン酸カリウム)を有効に且つ高い効率で使用して有機物成分を分解することが可能な有機性廃水の処理方法及び処理装置を提供することにある。
また、前記第1の反応処理工程及び前記第2の反応処理工程は、前記混合液に硫酸を加えてpHを3.0以下に調整して反応を進める構成とすることが好ましい(請求項2)。
また、前記第2の反応処理工程にて生じた二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を濾過分離し、この二酸化マンガン含有物を前記第1の反応処理工程にて再利用する構成とすることが好ましい(請求項3)。
また、前記二酸化マンガン含有物貯槽は、前記濾過分離機により濾過分離された二酸化マンガン含有物を含む構成とすることが好ましい(請求項5)。
本発明では、有機物成分を含んだ有機性廃水を処理する有機性廃水の処理方法において、前記有機性廃水に、例えば過マンガン酸塩(例えば過マンガン酸カリウム)が還元されることによって生ずる二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を加えて第1の反応を行う第1の反応処理工程を行い、次に、前記第1の反応処理工程を行った後に、反応後の前記有機性廃水中に過マンガン酸塩(例えば過マンガン酸カリウム)を主成分とする過マンガン酸塩含有物を加えて第2の反応を行う第2の反応処理工程を行うようにしたので、過マンガン酸塩を有効に且つ高い効率で使用して有機物成分を分解することができる。
図1は本発明に係る有機性廃水の処理装置の第1実施例を示すブロック構成図、図2は本発明に係る有機性廃水の処理装置の第2実施例を示すブロック構成図である。尚、ここでは過マンガン酸塩の一例として過マンガン酸カリウムを用いる場合を例にとって説明する。
図1中において、この有機性廃水の処理装置2は、有機性廃水を貯留する例えば2つの有機性廃水貯槽4A、4Bと、過マンガン酸塩である過マンガン酸カリウムを主成分とする過マンガン酸カリウム含有物(過マンガン酸塩含有物)を貯留する過マンガン酸カリウム含有物貯槽(過マンガン酸塩含有物貯槽)6とを有している。ここでは一方の有機性廃水貯槽4Aには有機性廃水として例えばアルカリ性を示すアルカリ廃水が貯留され、他方の有機性廃水貯槽4Bには有機性廃水として例えば酸性を示す酸廃水が貯留される。また上記過マンガン酸カリウム含有物貯槽6には、過マンガン酸カリウム含有物として例えば過マンガン酸廃水が貯留されている。尚、上記過マンガン酸カリウム含有物として、過マンガン酸カリウム自体を用いていもよい。
本願発明の特徴は、有機性廃水を、最初に比較的酸化力の弱い二酸化マンガンで処理し、次に、この有機性廃水を比較的酸化力の強い過マンガン酸カリウムで処理した点にある。すなわち、本願の方法発明は、有機物成分を含んだ有機性廃水を処理する有機性廃水の処理方法において、前記有機性廃水に、例えば過マンガン酸カリウムが還元されることによって生ずる二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を加えて両者の反応(第1の反応)を行う第1の反応処理工程と、前記第1の反応処理工程を行った後に、反応後の前記有機性廃水中に過マンガン酸カリウムを主成分とする過マンガン酸カリウム含有物を加えて両者の反応(第2の反応)を行う第2の反応処理工程と、を有するものである。
次にこの有機性廃水に4価のマンガンを主成分とする二酸化マンガン汚泥(二酸化マンガン)を添加して反応させる。この二酸化マンガン汚泥は後述する工程で発生するものである。この時、比較的酸化され易いCOD負荷物質が、比較的酸化力の弱い4価のマンガン(二酸化マンガン)によって酸化され、これにより二酸化マンガンは2価のマンガンに還元される(第1の反応処理工程)。
2Mn7++3Mn2+ → 5Mn4+ … (3)
ここで酸化力の強さを示す指標の1つとして標準電極電位(E゜)を下記化学式4、5に示す(非特許文献2)。
7価 (MnO4 )− +4H+ +3e→MnO2 +2H2 O E゜=1.695
…(4)
4価 2MnO2 +2H+ +2e →Mn2 O3+H2 O E°=0.98
…(5)
上記化学式4、5からも7価のマンガンの方が酸化力が強いことが推定できる。
図3は図1に示す処理装置を用いて行う処理方法を示すフローチャート、図4は図2に示す処理装置を用いて行う処理方法を示すフローチャート、図5は従来の処理方法を示すフローチャートである。
まず処理すべき有機性廃水としては以下のものを用いた。
(1)アルカリ廃水 … pH:約13、COD:4800mg/L
カセイソーダ水溶液にプリント基板用のフォトレジストが溶解したもの(有機性廃水貯槽4Aに貯留)。
(2)酸廃水 … pH:1以下、COD:4600mg/L
プリント基板用の酸処理廃液(主成分:硫酸)(有機性廃水貯槽4Bに貯留)。
(3)過マンガン酸廃水 …pH:約13、主成分:過マンガン酸カリウム
プリント基板用の処理廃液(過マンガン酸カリウム含有物貯留槽6に貯留)。
また二酸化マンガン汚泥としては以下のものを用いた。
(4)二酸化マンガン汚泥 … 前回の処理で濾別したマンガン汚泥。
主成分:二酸化マンガン、含水率:75%(汚泥槽18B(図1の場合)或いは汚泥槽18C(図2の場合)に貯留)。
図1及び図3を参照して第1実施例を説明する。
まず、前処理として混合槽8A内において、例えば100リットルのアルカリ廃水に酸廃水を加えて撹拌し、pHを5.0に調整する(S1)。そして、更にこの混合槽8A内に凝集剤として10%PAC(ポリ塩化アルミニウム)を500ミリリットル加え、カセイソーダでpHを7.0に調整して撹拌する。
そして、この混合液を前段の濾過分離機10Aに送り、ここで濾過しつつプレスすることにより濾水と汚泥とに分離する(S2)。この濾水は濾水槽16A内に溜められ、汚泥は汚泥槽18A内に溜められる。これにより前処理が終了する。また上記濾水が次工程で処理されることになる。ここでの濾水のCODは、1980mg/リットルであった。
これにより、第2の反応処理工程が完了することになる。このステップS6では、濾水中に残存している比較的酸化され難いCOD負荷物質が比較的酸化力の強い7価のマンガンにより酸化されて分解されることになる。
図2及び図4を参照して第2実施例を説明する。
ここでは、ステップS1、S2の前処理工程及びステップS3、S4の第1の反応処理工程までは図3に示す第1実施例と同様なので、ここではこの説明を省略する。尚、第1の反応処理工程では、二酸化マンガン汚泥としては最後段の濾過分離機10Cの汚泥槽18C内の汚泥を用いる。
これにより、第2の反応処理工程が完了することになる。このステップS6では、前述したように濾水中に残存している比較的酸化され難いCOD負荷物質が比較的酸化力の強い7価のマンガンにより酸化されて分解されることになる。
次に、この第2の反応処理工程が完了した上記混合液中にカセイソーダを加えてpH10.0に調整し(S7)、この混合液を後段の濾過分離機10Cに送り、ここで濾過しつつプレスすることにより、濾水と反応生成物である汚泥とに分離する(S8)。この濾水は濾水槽16C内に溜められ、汚泥は二酸化マンガン汚泥として汚泥槽18C内に溜められる。そして、この二酸化マンガン汚泥は上述のように、必要に応じて混合槽8Bでの反応に利用されることになる。
次に比較例として従来の処理方法(従来方法)を行った。
図5はこの従来の処理方法の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、この従来方法では、ステップS21、S22に示す前処理は、先の第1実施例のステップS1、S2と同じであり、次に、ステップS22で得られた濾水中に直接的に過マンガン酸廃水を例えば20リットル加えて混合する(S23)。そして、この混合液を50℃に加温した後に硫酸をゆっくり加えて混合液をpH3.0に調整し、温度50℃を保ったまま2時間反応させることによって有機物成分を分解して除去する(S24)。
これは二酸化マンガン汚泥が比較的酸化し易いCOD負荷成分を酸化分解したからであると推測される。また本発明では、従来方法ではそのまま廃棄されていた二酸化マンガン汚泥を用いてCOD負荷成分の一部を酸化分解するようにしているので、その分、高価な過マンガン酸カリウムの使用量を削減でき、ランニングコストも減少させることができる。
また第1及び第2実施例で二酸化マンガン汚泥による処理時間を2時間に延長することを実施したが、結果は1時間の場合とほとんど変わらなかった。
さらに第1及び第2実施例で過マンガン酸廃水による処理時間を3時間に延長することも実施したが、これも1.5時間の場合とほとんど変わらなかった。これは7価のマンガンが消費されて、4価のマンガンに還元され、しかしこの残ったCOD成分が4価のマンガンでは処理されないことを示している。
またマンガン(汚泥及び廃液)による反応条件として、今回はpH3.0、温度50℃で実施したが、pHは更に低いほうが、また温度は更に高いほうが反応性は良いが、設備の耐食性、耐熱性の関係で実用的なレベルとして、今回の条件を採用した。
また過マンガン酸塩として、過マンガン酸カリウムに替えて他の過マンガン酸塩、例えば過マンガン酸ナトリウム等も用いることができる。
尚、上記実施例では、濾過分離機10A〜10Cを2基、或いは3基設けたが、これに替えて1基のみ設けてこの1基を共有するようにしてもよく、その場合には、3方弁等で流れ方向を切り替えればよく、ただし、濾水は互いに混合すると好ましくないので濾水槽16A〜16C及び汚泥槽18A〜18Cは、それぞれ2基、或いは3基設ける。
Claims (5)
- プリント基板の製造工程から排出される廃水であって、それぞれが有機物成分を含むアルカリ性及び酸性の廃水を処理する有機性廃水の処理方法であって、
前記アルカリ性の廃水と前記酸性の廃水とを混合した混合液を準備する前処理工程と、
前記混合液に二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を加えて第1の反応を行う第1の反応処理工程と、
前記第1の反応処理工程を行った後、前記混合液中に過マンガン酸塩を主成分とする過マンガン酸塩含有物を加えて第2の反応を行う第2の反応処理工程とを備え、
前記第1の反応処理工程及び前記第2の反応処理工程は、前記混合液を強酸性に調整して反応を進めることを特徴とする有機性廃水の処理方法。 - 前記第1の反応処理工程及び前記第2の反応処理工程は、前記混合液に硫酸を加えてpHを3.0以下に調整して反応を進めることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃水の処理方法。
- 前記第2の反応処理工程にて生じた二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を濾過分離し、この二酸化マンガン含有物を前記第1の反応処理工程にて再利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性廃水の処理方法。
- プリント基板の製造工程から排出される廃水であって、それぞれが有機物成分を含むアルカリ性及び酸性の廃水を処理する有機性廃水の処理装置であって、
前記アルカリ性の廃水を貯留する第1の有機性廃水貯槽と、
前記酸性の廃水を貯留する第2の有機性廃水貯槽と、
前記アルカリ性の廃水と前記酸性の廃水とを混合する混合槽と、
二酸化マンガンを主成分とする二酸化マンガン含有物を貯留する二酸化マンガン含有物貯槽と、
過マンガン酸塩を主成分とする過マンガン酸塩含有物を貯留する過マンガン酸塩含有物貯槽と、
前記混合槽から得た混合液に前記二酸化マンガン含有物を混合させて第1の反応をさせた後、第1の反応後の混合液に前記過マンガン酸塩含有物を加えて第2の反応をさせる反応処理槽であって、前記混合液を強酸性に調整して前記第1の反応及び前記第2の反応を進める反応処理槽と、
前記反応処理槽内の第2の反応後の反応処理液より反応生成物である二酸化マンガン含有物を濾過分離する濾過分離機と、
を備えたことを特徴とする有機性廃水の処理装置。 - 前記二酸化マンガン含有物貯槽は、前記濾過分離機により濾過分離された二酸化マンガン含有物を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機性廃水の処理装置。
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