JP2005276641A - マトリックス材料の製造方法ならびにマトリックス型陰極構体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (a)球形または無定形金属粒からなる1次粒子と、該1次粒子より粒径の小さい金属粒とをバインダと共に混合し、(b)前記混合した混合物を乾燥、固化し、(c)前記固化した混合物を粉砕して、2個以上の前記1次粒子と前記粒径の小さい金属粒が接合した粉体を形成し、(d)少なくとも前記1次粒子の粒径より大きい前記粉体をふるい分けることにより、前記1次粒子間の接合部を前記粒径の小さい金属粒が覆う2次粒子を形成する。陰極構体にするには、さらにこのマトリックス材料を陰極基体の表面に焼結して固着する。
【選択図】 図1
Description
すことにより、1次粒子間の接合が強くなり、機械的強度を向上できる。また、この結合部を粒径の小さい金属粒が覆っているので、粒径の小さい金属粒と1次粒子とが一体化して、さらに機械的強度の向上を図ることができる。さらに、一定の気孔率の空孔に電子放射物質が充填されているため、長時間に亘って非常に安定した電子放射を得ることができ、非常に長寿命で高特性の陰極が得られ、高出力用のマグネトロンの長寿命化に大いに寄与する。同時に、クラスター状の2次粒子をマトリックス材料としているので、1次粒子のみをマトリックス材料として充填したときよりも充填時の粒子の移動度の自由度が小さくなり、振動の条件を厳密に管理しなくても安定に気孔率を上げることができる。
集体である。粒径の小さい金属粒3は、金属塩を熱分解して形成される。0.5〜5μm
程度の微粉末としたのは、焼結性が良く1次粒子同士の接合をしっかりと補強することができ、かつ、酸化物陰極材のサイズ(約10μm長の扇状または針状)よりも小さい空隙を形成するので、1次粒子間の接合箇所と電子放射物質である酸化物陰極材との接触を防ぐことができるからである。
m程度の微粉末で構成された粒径が38〜45μm程度の無定形のニッケル微粉末を10wt%加えて、混合粉体を準備する。そしてこの混合粉体に、たとえばポリビニルブチラール(PVB)をエタノールに溶かしたバインダー溶液をPVBが3wt%となるように添加して混合する。
作製するには、従来の製造方法と同様に、図7(a)に示されるように、外直径がφ2.
74mmの陰極スリーブ5と内直径φ3.4mmの凹部16を有する筒状焼結治具15を
組み合せる(S5)。そして、陰極スリーブ5と焼結治具15との間隙部に前述の2次粒子1を充填する(S6)。この2次粒子1の充填は、従来と同様に振動をさせながらしっかりと充填する。その後、この治具ごと水素雰囲気中で、たとえば1100℃、30分程度の予備焼結を行う(S7)。さらに、治具を外して(S8)マトリックス注入口(マトリックス部)の成形を行い(S9)、その後に、水素雰囲気中で1200℃程度、20分程度の本焼結を行う(S10)。その結果、陰極スリーブ5の周囲に所定の寸法でマトリックスを形成することができる。なお、焼成治具16の内直径をφ3.4mmとしたのは
、本例の場合、焼結収縮率が約3%強だからである。
陰極構体を作製することにより、マトリックスを形成する際の粉体の移動の自由度が下がり、粉末充填の際の振動などの条件が厳格でなくても、65〜75%の気孔率を安定に実現することができる。さらに、粒径の大きい1次粒子の接合部に粒径の小さい金属粒が付着して接合しているため、1次粒子の接合部が補強され、また、1次粒子同士の接合部に酸化物陰極材が直接接触するのを避けることができるため、接合箇所が保護され、陰極の高温使用に対しても強度劣化を防止することができる。前述の具体例で陰極構体を製造した結果、気孔率が71%、陰極の直径がφ3.29mmの陰極構体が得られた。
覆して形成した2次粒子を用いて、図3に示されるように陰極スリーブ5の表面に2次粒子を焼結させ、マトリックス6を形成した状態で、空気中の雰囲気で1000℃程度、15分程度の酸化処理を行い、引き続き水素雰囲気中で1250℃程度、20分程度の還元処理を行う。この条件で、酸化還元処理を行った場合と、還元処理のみしかしなかった場合とで寸法変化率を調べた。その結果が図4に示されるように、酸化還元処理をすると、還元処理のみしかしなかった場合と比較して寸法変化率が大きくなっている。これは、本実施例のように、酸化、還元処理を行った方が、焼成反応が進んでいることを示している。焼成反応が進めば、接合部の密着性が向上し、接合強度が増す。また粒径の小さいニッケル粒を接合部に付けておくことにより、接合強度をさらに増すことができる。この酸化還元処理を行った陰極構体では、マトリックス部の断面写真で見ても、ニッケル1次粒子間の焼結反応が進み、粒子間接合が促進されていることを確認することができた。
構体の例であったが、陰極の直径や形状は用途に応じて種々変えて同様に形成することができる。この場合、用途に応じて1次粒子と2次粒子の粒度を選択し、その焼成寸法の変化に応じた焼結治具の大きさを選択すればよい。またタングステン、モリブデンを用いた場合も、同様に、酸化、還元処理が有効である。すなわち、1.3×10-7Pa程度のH2O雰囲気で、1600〜1800℃に加熱すると、粒界成長が促進され、粒子間の接合強度が高くなる。
、図3に示されるように、陰極基体(陰極スリーブ5)の表面にマトリックス6が形成され、そのマトリックス6は、1次粒子同士が接合し、その接合部に1次粒子より粒径の小さい金属粒が接合した2次粒子により形成されていることを特徴としている。
2 1次粒子
3 粒径の小さい金属粒
5 陰極スリーブ
6 マトリックス
7 陰極構体
Claims (4)
- (a)球形または無定形金属粒からなる1次粒子と、該1次粒子より粒径の小さい金属粒とをバインダと共に混合し、
(b)前記混合した混合物を乾燥、固化し、
(c)前記固化した混合物を粉砕して、2個以上の前記1次粒子と前記粒径の小さい金属粒が接合した粉体を形成し、
(d)少なくとも前記1次粒子の粒径より大きい前記粉体をふるい分けることにより、前記1次粒子間の接合部を前記粒径の小さい金属粒が覆う2次粒子を形成することを特徴とするマトリックス材料の製造方法。 - 球形または無定形金属粒からなる1次粒子と、該1次粒子より粒径の小さい金属粒とをバインダと共に混合し、前記混合した混合物を乾燥、固化し、前記固化した混合物を粉砕して、2個以上の前記1次粒子と前記粒径の小さい金属粒が接合した粉体を形成し、少なくとも前記1次粒子の粒径より大きい前記粉体をふるい分けることにより、前記1次粒子間の接合部を前記粒径の小さい金属粒が覆う2次粒子を形成し、前記2次粒子を陰極基体表面に焼結して固着することを特徴とするマトリックス型陰極構体の製造方法。
- ニッケル、タングステン、モリブデンまたはこれらを主成分とする金属のいずれかからなる前記1次粒子および粒径の小さい金属粒を用いて前記2次粒子を形成し、前記2次粒子を陰極基体表面に焼結して固着した後、前記金属の酸化処理を行い、引き続き還元処理を行うことを特徴とする請求項2記載のマトリックス型陰極構体の製造方法。
- 陰極基体の表面にマトリックスが形成されたマトリックス型陰極構体において、前記マトリックスは、球体または無定形金属粒からなる1次粒子が隣接する1次粒子と接合し、少なくとも前記1次粒子間の接合部に前記1次粒子より粒径の小さい金属粒が接合していることを特徴とするマトリックス型陰極構体。
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