JP2005275258A - ホログラム記録材料、ホログラム記録方法及び光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発色反応または消色反応のいずれかと重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行うホログラム記録方法。
【選択図】 なし
Description
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書
(2)少なくとも、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、色素前駆体群、バインダーを有し、(1)記載の発色反応と重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行えることを特徴とするホログラム記録材料。
(3)(2)にて、発色色素の吸収スペクトルが、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、かつホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする(1)または(2)記載のホログラム記録材料。
(4)(2)にて、ホログラム再生波長における屈折率が、バインダーよりも重合性化合物の方が大きいことを特徴とする(2)または(3)記載のホログラム記録材料。
(5)(4)にて、重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことを特徴とする、(4)記載のホログラム記録材料。
(6)(2)〜(5)に記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム記録光照射により光を吸収して生成した増感色素励起状態が、電子移動またはエネルギー移動により色素前駆体群から発色色素を生成し、また重合開始剤を活性化して重合性化合物の重合を起こす反応がホログラム記録材料にて起こる際、光がより強い干渉明部にて発色反応がより多く起こって屈折率が上昇し、かつバインダーよりも屈折率の大きい重合性化合物が主に移動して重合が起こり、光がより弱い干渉暗部により屈折率の低いバインダーが主に追いやられることにより、ホログラム再生波長にて干渉明部の屈折率が高く、干渉暗部の屈折率が低くなる屈折率変調方法により、干渉縞を記録することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(7)少なくとも、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、消色性色素、消色剤前駆体、バインダーを有し、(1)記載の消色反応と重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行えることを特徴とするホログラム記録材料。
(8)(7)にて、消色性色素の吸収スペクトルが、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、かつホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする(1)または(7)記載のホログラム記録材料。
(9)(7)にて、ホログラム再生波長における屈折率が、バインダーよりも重合性化合物の方が小さいことを特徴とする(1)、(7)または(8)記載のホログラム記録材料。
(11)(7)に記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム記録光照射により光を吸収して生成した増感色素励起状態が、電子移動またはエネルギー移動により消色剤前駆体を活性化して消色性色素を消色し、また重合開始剤を活性化して重合性化合物の重合を起こす反応がホログラム記録材料にて起こる際、光がより強い干渉明部にて消色反応がより多く起こって屈折率が下降し、かつバインダーよりも屈折率の小さい重合性化合物が主に移動して重合が起こり、光がより弱い干渉暗部にバインダーが主に追いやられることにより、ホログラム再生波長にて干渉明部の屈折率が低く、干渉暗部の屈折率が高くなる屈折率変調方法により、干渉縞を記録することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(12)(2)〜(5)、(7)〜(10)にて、重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする(2)〜(5)、(7)〜(10)記載のホログラム記録材料。
(13)(1)にて、重合反応がラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれかであることを特徴とする(1)、(6)、(11)記載のホログラム記録方法。
(14)(2)、(7)記載の重合性化合物の重合性基が、重合がラジカル重合の時は、重合性基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基部分を有し、重合がカチオン重合またはアニオン重合の時は重合性基としてオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N-ビニルカルバゾール部位のいずれかを有することを特徴とする(6)、(11)、(13)記載のホログラム記録方法。
(15)(2)、(7)にて、重合開始剤が1)ケトン系重合開始剤、2)有機過酸化物系重合開始剤、3)ビスイミダゾール系重合開始剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤、5)ジアゾニウム塩系重合開始剤、6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤、7)スルホニウム塩系重合開始剤、8)トリフェニルアルキルホウ酸塩系重合開始剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系重合開始剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系重合開始剤、13)金属アレーン錯体系重合開始剤、14)スルホン酸エステル系重合開始剤、のいずれかであることを特徴とする(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)記載のホログラム記録材料。
(17)(15)にて、重合開始剤が酸を発生するカチオン重合開始剤であり、4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤、5)ジアゾニウム塩系重合開始剤、6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤、7)スルホニウム塩系重合開始剤、13)金属アレーン錯体系重合開始剤、14)スルホン酸エステル系重合開始剤のいずれかであることを特徴とする(15)記載のホログラム記録材料。
(18)(13)にて重合がアニオン重合であるとき、光塩基発生剤を含むことを特徴とする(13)記載のホログラム記録方法。
(19)前記色素前駆体群が酸発色色素前駆体と酸発生剤を含むことを特徴とする(2)〜(5)、(12)、(15)〜(17)記載のホログラム記録材料。
(20)前記消色剤前駆体が酸発生剤、塩基発生剤、ラジカル発生剤のいずれかであることを特徴とする(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)記載のホログラム記録材料。
(21)(20)にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、消色性色素が解離型アリーリデン色素解離体、解離型オキソノール色素解離体、解離型アゾ色素解離体、解離型キサンテン色素解離体のいずれかであることを特徴とする(20)記載のホログラム記録材料。
(22)(2)、(7)にて、増感色素のホログラム記録波長でのモル吸光係数が1以上2000以下であることを特徴とする(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(21)記載のホログラム記録材料。
(23)(2)、(7)にて、ホログラム記録材料の膜厚が100μm以上であり、かつホログラム記録波長の光の透過率が10%以上99%以下となるように増感色素が添加されていることを特徴とする(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(22)記載のホログラム記録材料。
(24)ホログラム記録波長と再生波長が同じであることを特徴とする(1)、(6)、(11)、(13)、(14)、(18)記載のホログラム記録方法。
(26)(24)にて、ホログラム記録再生波長が405−415nmの範囲であることを特徴とするホログラム記録方法。
(27)(1)〜(26)記載のホログラム記録材料またはホログラム記録方法を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法。
(28)(1)〜(27)にて、ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とする(1)〜(27)記載のホログラム記録材料またはホログラム記録方法。
(29)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重ホログラム記録を行うことを特徴とする(1)、(6)、(11)、(13)、(14)、(18)、(24)、(25)記載のホログラム記録方法。
(30)(1)〜(29)にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする(1)〜(29)記載のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(32)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)、(31)記載のホログラム記録材料が、記録光及び再生光以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることを特徴とする(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)、(31)記載のホログラム記録材料。
(33)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)、(31)記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体。
(34)(1)〜(32)記載のホログラム記録再生方法を用いる光記録媒体への記録再生方法。
(35)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)〜(33)記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(36)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)〜(32)記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム及び(1)、(6)、(11)、(13)、(14)、(18)、(24)、(25)〜(31)記載のホログラム記録方法を用いる3次元ディスプレイホログラムの製造方法。
(37)(2)〜(5)、(7)〜(10)、(12)、(15)〜(17)、(19)〜(23)、(28)、(30)〜(32)記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子及び(1)、(6)、(11)、(13)、(14)、(18)、(24)、(25)〜(31)記載のホログラム記録方法を用いるホログラフィック光学素子の製造方法。
本発明のホログラム記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
さらに、本発明の化学作用放射線としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、405〜415nm付近のGaNレーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または405〜415nm付近のGaNレーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
特に本発明のホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折されない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、1J/cm2以下であることが好ましく、500mJ /cm2以下であることがより好ましく、200mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、100mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
一般に、色素の屈折率は、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、さらには2.5を超えるような高い値をとる。
一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
したがって、本発明のホログラム記録材料では、屈折率変調に屈折率の大きい色素の発色を用いるため、高感度化の点で有利である。また、高感度化のためには、発色色素は、好ましくは吸収スペクトルにおいて、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、より好ましくは30〜130nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、より好ましくは20000以上であることが好ましい。
さらに、高い回折効率のためには、ホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下、より好ましくは10以下であり、最も好ましくは0であることが好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、本発明の増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光源となる輻射線の波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
したがって、モル吸光係数の高い増感色素を用いた場合は、そのような厚いホログラム記録材料を記録光が透過するためには増感色素量をかなり減らす必要が生じてしまい、その結果記録感度の著しい低下を招いてしまい問題である。したがって、ホログラフィックメモリ用増感色素としてはεが極力低く、添加量を多くできる方が感度及び多重記録特性の点で好ましい。
ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数は1以上10000以下であることが好ましく、1以上5000以下であることがより好ましく、5以上2000以下であることがさらに好ましく、10以上1000以下であることが最も好ましい。
その際、重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことがより好ましい。
さらに、重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特願2003−182849号に記載されている例が挙げられる。
酸発生剤としてはジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、スルホン酸エステルが好ましく、先述の酸発生剤(カチオン重合開始剤)を好ましく用いることができる。
酸発色型色素前駆体から生成する発色体はキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素が好ましい。酸発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
塩基発生剤としては、先述の塩基発生剤(アニオン重合開始剤)が好ましく挙げられ、塩基発色型色素前駆体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体が挙げられる。
ここで解離型色素とは−OH基、−SH基、−COOH基、−NHSO2R基や−CONHSO2 R基等、pKaが2〜14程度の範囲内にある活性水素を有し、プロトンが解離することによって、吸収が長波長化または高ε化する色素の総称である。
したがって、解離型色素は、塩基により発色することができる。
塩基発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
1)色素前駆体群として酸発色型色素前駆体+酸発生剤
カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤として酸発生剤(共通)
2)色素前駆体群として酸発色型色素前駆体+酸発生剤
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤
3)色素前駆体群として塩基発色型色素前駆体+塩基発生剤
アニオン重合性化合物、アニオン重合開始剤として塩基発生剤(共通)
4)色素前駆体群として塩基発色型色素前駆体+塩基発生剤
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤
5)色素前駆体群として解離型色素放出剤、
アニオン重合性化合物、アニオン重合開始剤として塩基発生剤
6)色素前駆体群として解離型色素放出剤、
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤
一般に、色素の屈折率は、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、さらには2.5を超えるような高い値をとる。
一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
したがって、本発明のホログラム記録材料では、屈折率変調に屈折率の大きい色素の消色を用いるため、高感度化の点で有利である。また、高感度化のためには、消色性色素は、好ましくは吸収スペクトルにおいて、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、より好ましくは30〜130nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、より好ましくは20000以上であることが好ましい。
さらに、高い回折効率のためには、ホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下、より好ましくは10以下であり、最も好ましくは0であることが好ましい。
その際、バインダーが、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、重合性化合物はそれらを含まないことがより好ましい。
酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特願2003−182849号に記載されている例が挙げられる。
消色剤前駆体が酸発生剤の場合、好ましい例としては前述のカチオン重合開始剤の例が挙げられる。ラジカル発生剤の場合、好ましい例としては前述のラジカル重合開始剤の例が挙げられる。塩基発生剤の場合、好ましい例としては前述のアニオン重合開始剤の例が挙げられる。
1)解離型色素解離体+酸発生剤
カチオン重合性化合物、カチオン重合開始剤として酸発生剤(共通)
2)解離型色素解離体+酸発生剤
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤
3)酸発色性色素発色体+塩基発生剤
アニオン重合性化合物、アニオン重合開始剤として塩基発生剤(共通)
4)酸発色性色素発色体+塩基発生剤
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤
5)消色性色素+消色剤前駆体としてラジカル発生剤
ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤(共通)
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が増感色素及び発色体の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特願2003−300057号に記載されている例が挙げられる。
そのため、例えば本発明のホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
それに対し、本発明の発色反応、消色反応は物質移動を伴わない反応であるため、これを重合反応に併用することにより、前記タイムラグが無くなって記録感度が向上し、また露光初期から、露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、多重記録適性の点でも有利である。
これは、高容量化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
[発色反応と重合反応を併用するホログラム記録方法]
その結果、比較試料1(比較1)では、30mJ/cm2の露光開始と記録開始のタイムラグを観測したのに対し、本発明のホログラム記録材料101〜103はいずれもタイムラグは観測されず、露光量に対しリニアーに回折効率が増加していった。また、比較試料1にて最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを1とした所、101〜103における露光エネルギーは0.52、0.61、0.65とすべて小さく高感度であり、本発明のホログラム記録材料は公知のフォトポリマー方式よりも高感度であることがわかった。
以上より、本発明の発色反応と重合反応を併用した本発明のホログラム記録材料は公知のフォトポリマー方式に対し、感度及び多重記録適性に優れることがわかる。
また、試料101、103にて、ラジカル重合開始剤をI−1、I−11〜I−20等に変更しても同様な効果が得られる。
また、試料102にて電子供与体をA-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-10、A-11に変更しても同様な効果が得られる。
さらに、試料101〜103にてバインダーをポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)共重合体、ポリ(メチルメタクリレート−エチルアクリレート)共重合体、ポリビニルアセテート等に変更しても同様な効果が得られる。
[消色反応と重合反応を併用するホログラム記録方法]
その結果、比較試料1では、20mJ/cm2の露光開始と記録開始のタイムラグを観測したのに対し、本発明のホログラム記録材料201〜203はいずれもタイムラグは観測されず、露光量に対しリニアーに回折効率が増加していった。また、比較試料2にて最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを1とした所、201〜203における露光エネルギーは0.42、0.52、0.60とすべて小さく高感度であり、本発明のホログラム記録材料は公知のフォトポリマー方式よりも高感度であることがわかった。
以上より、本発明の発色反応と重合反応を併用した本発明のホログラム記録材料は公知のフォトポリマー方式に対し、感度及び多重記録適性に優れることがわかる。
さらに試料201〜203にて酸消色性色素をG−13、G−14、G−15、G−17、G−18、G−19、G−21、G−22、G−23、G−24、G−25、G−26に変更しても同様な効果が得られる。
さらに、試料203にて電子供与体をA−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−10、A−11に変更しても同様な効果が得られる。
12 レーザービーム
14 鏡
20 ビームスプリッター
22 ビームセグメント
24 鏡
26 空間フィルター
40 ビームエキスパンダー
30 ホログラム記録材料
28 試料
32 He−Neレーザービーム
34 He−Neレーザー
36 検出器
38 回転ステージ
Claims (21)
- 発色反応または消色反応のいずれかと重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行うことを特徴とするホログラム記録方法。
- 少なくとも、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、色素前駆体群、バインダーを有し、請求項1記載の発色反応と重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行えることを特徴とするホログラム記録材料。
- 発色反応により生成する発色色素の吸収スペクトルが、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、かつホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする請求項2記載のホログラム記録材料。
- 前記ホログラム再生波長における屈折率が、バインダーよりも重合性化合物の方が大きいことを特徴とする請求項2または3記載のホログラム記録材料。
- 請求項4にて、重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことを特徴とする、請求項4記載のホログラム記録材料。
- 請求項2〜5に記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム記録光照射により光を吸収して生成した増感色素励起状態が、電子移動またはエネルギー移動により色素前駆体群から発色色素を生成し、また重合開始剤を活性化して重合性化合物の重合を起こす反応がホログラム記録材料にて起こる際、光がより強い干渉明部にて発色反応がより多く起こって屈折率が上昇し、かつバインダーよりも屈折率の大きい重合性化合物が主に移動して重合が起こり、光がより弱い干渉暗部により屈折率の低いバインダーが主に追いやられることにより、ホログラム再生波長にて干渉明部の屈折率が高く、干渉暗部の屈折率が低くなる屈折率変調方法により、干渉縞を記録することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
- 少なくとも、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、消色性色素、消色剤前駆体、バインダーを有し、請求項1記載の消色反応と重合反応を併用して屈折率変調によるホログラム記録を行えることを特徴とするホログラム記録材料。
- 請求項7にて、消色性色素の吸収スペクトルが、ホログラム再生波長よりも10〜200nm短波長であるλmaxを有し、εが10000以上であり、かつホログラム再生波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする請求項1または7記載のホログラム記録材料。
- 請求項7にて、ホログラム再生波長における屈折率が、バインダーよりも重合性化合物の方が小さいことを特徴とする請求項7または8記載のホログラム記録材料。
- 請求項9にて、バインダーが、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、重合性化合物はそれらを含まないことを特徴とする、請求項9記載のホログラム記録材料。
- 請求項7に記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム記録光照射により光を吸収して生成した増感色素励起状態が、電子移動またはエネルギー移動により消色剤前駆体を活性化して消色性色素を消色し、また重合開始剤を活性化して重合性化合物の重合を起こす反応がホログラム記録材料にて起こる際、光がより強い干渉明部にて消色反応がより多く起こって屈折率が下降し、かつバインダーよりも屈折率の小さい重合性化合物が主に移動して重合が起こり、光がより弱い干渉暗部にバインダーが主に追いやられることにより、ホログラム再生波長にて干渉明部の屈折率が低く、干渉暗部の屈折率が高くなる屈折率変調方法により、干渉縞を記録することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
- 請求項2〜5、7〜10にて、重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする請求項2〜5、7〜10記載のホログラム記録材料。
- 前記重合反応がラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれかであることを特徴とする請求項1、6、または11記載のホログラム記録方法。
- 前記重合開始剤が1)ケトン系重合開始剤、2)有機過酸化物系重合開始剤、3)ビスイミダゾール系重合開始剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤、5)ジアゾニウム塩系重合開始剤、6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤、7)スルホニウム塩系重合開始剤、8)トリフェニルアルキルホウ酸塩系重合開始剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系重合開始剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系重合開始剤、13)金属アレーン錯体系重合開始剤、14)スルホン酸エステル系重合開始剤、のいずれかであることを特徴とする請求項2〜5、7〜10、12記載のホログラム記録材料。
- 請求項6にて、色素前駆体群が酸発色色素前駆体と酸発生剤を含むことを特徴とする請求項2〜6、12、14記載のホログラム記録材料。
- 前記消色剤前駆体が酸発生剤、塩基発生剤、ラジカル発生剤のいずれかであることを特徴とする請求項7〜10、12、14記載のホログラム記録材料。
- ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とする請求項2〜5、7〜10、12、14〜16記載のホログラム記録材料。
- 請求項2〜5、7〜10、12、14〜17記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重記録を行うことを特徴とする請求項1、6、11、13記載のホログラム記録方法。
- 請求項18にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする請求項18記載のホログラム記録方法。
- 請求項2〜5、7〜10、12、14〜17記載のホログラム記録材料から成ることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項2〜5、7〜10、12、14〜17、20記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
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