本発明は、光源装置、画像表示装置及びプロジェクタ、特に、固体発光素子を用いる光源装置の技術に関する。
照明光を供給する光源装置に、固体発光素子である発光ダイオード素子(以下、適宜「LED」という。)が用いられる。LEDは、発光部であるチップから略全ての方向へ照明光を供給する。LEDは、発光部から拡散する照明光を被照明物の方向へ導く構成とすることで、照明光を効率良く供給することができる。LEDからの照明光を効率良く利用するための技術としては、例えば、特許文献1に提案されているものがある。
プロジェクタの空間光変調装置に特定の振動方向の偏光光を供給する場合、例えば、反射型偏光板が用いられる。反射型偏光板を用いる場合、特定の振動方向の偏光光のみを空間光変調装置の方向へ透過させ、特定の振動方向以外の振動方向の偏光光を反射する構成にすることができる。このとき、反射型偏光板で反射されて光源装置の方向へ戻る光を、特定の振動方向の光に変換して再び反射型偏光板に入射させる構成とすると、照明光を効率良く利用することが可能となる。
しかし、光源装置から供給される照明光のうち光軸に対して大きな角度を持つ光は、光源装置と反射型偏光板との間の光路を循環(リサイクル)する過程において拡散してしまう。光学系において拡散する光は、空間光変調装置の方向に戻せず有効に利用することが困難である。このことから、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減するためには、発光部から拡散する照明光を被照明物の方向へ導くだけでなく、できるだけ光軸に対して小さい角度となるように進行方向を揃えた照明光を供給する必要がある。また、プロジェクタでは、光源装置と空間光変調装置とを含めた光学系において、有効に扱える光束が存在する空間的な広がりを面積と立体角の積(エテンデュー、Geometrical Extent)として表すことができる。この面積と立体角の積は、光学系において保存される。空間光変調装置は、有効に変調可能な光の取り込み角度に限りがある。このため、光源からの光束を有効に用いるためには、照明光の射出面積をできるだけ小さくすることが必要となる。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給可能な光源装置、この光源装置を用いる画像表示装置及びプロジェクタを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、照明光を供給する発光部と、発光部からの照明光のうち特定の振動方向の偏光光を透過し、特定の振動方向とは異なる他の振動方向の偏光光を反射する反射型偏光板と、反射型偏光板で反射された光を反射する、少なくとも第1の反射部と第2の反射部と、を有し、第1の反射部は、反射型偏光板から第1の反射部の方向へ進行する光を第2の反射部の方向へ反射し、第2の反射部は、第1の反射部から第2の反射部の方向へ進行する光を反射型偏光板の方向、又は第1の反射部の方向へ反射し、発光部は、第1の反射部と第2の反射部との少なくとも一方に積層して設けられることを特徴とする光源装置を提供することができる。
発光部からの照明光は、発光部から直接、あるいは反射部にて反射した後、反射型偏光板の方向へ進行する。反射型偏光板は、特定の振動方向の偏光光を透過する。特定の振動方向とは異なる他の振動方向の偏光光は、反射型偏光板で反射して第1の反射部及び第2の反射部の方向へ戻る。反射型偏光板で反射した光は、第1の反射部、第2の反射部で反射して再び反射型偏光板の方向へ進行する。このようにして、光源装置は、反射部と反射型偏光板との間にて光を循環(リサイクル)させる。
第1の反射部からの光を第2の反射部で反射して再び反射型偏光板の方向へ進行させるために、少なくとも第1の反射部は、光軸に対して傾けて設けられる。そして、発光部も、光軸に対して傾けて設けられる第1の反射部及び第2の反射部の少なくとも一方に積層して設けられる。発光部も、光軸に対して傾けて設けられる。発光部からの照明光は、直接あるいは反射部で反射した後、反射型偏光板の方向に進行する。このようにして発光部からの照明光を進行させると、照明光の進行方向を光軸に対して小さい角度とするように揃えることができる。照明光の進行方向を光軸に対して小さい角度に揃えると、反射型偏光板で反射して発光部の方向へ進行する光の拡散を低減することができる。照明光の拡散を低減することで照明光の損失を低減し、効率良く光をリサイクルすることができる。
また、発光部を光軸に対して傾くように設ける構成とすることにより、発光部の発光面積に関わらず光源装置における照明光の射出面積を小さくすることができる。光源装置における照明光の射出面積を小さくすることで、照明光を空間光変調装置で有効に利用することができる。これにより、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給可能な光源装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、発光部と反射型偏光板との間に、位相板をさらに有することが望ましい。反射型偏光板で反射して第1の反射部及び第2の反射部の方向へ進行する光は、位相板で偏光状態が変換される。そして、第1の反射部又は第2の反射部で反射して再び反射型偏光板の方向へ進行する光も、位相板で偏光状態が変換される。偏光状態を変換する構成とすることで、反射型偏光板に入射する光の一部を特定の振動方向の偏光光に変換することが可能となる。従って、位相板を設けることにより、照明光が反射型偏光板を透過する機会を増加し、反射型偏光板を透過する光の光量を増加することができる。これにより、照明光の利用効率をさらに向上することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、反射型偏光板からの特定の振動方向の偏光光のうち特定の波長領域の光を透過し、特定の波長領域とは異なる他の波長領域の光を反射するカラーフィルタをさらに有することが望ましい。例えば、カラーフィルタに、第1の波長領域の光を透過する第1の透過カラーフィルタと、第1の波長領域とは異なる第2の波長領域の光を透過する第2の透過カラーフィルタとが設けられているとする。第1の透過カラーフィルタに光が入射した場合、カラーフィルタに入射した光のうち、第1の波長領域の光は、カラーフィルタを透過する。これに対して、第1の波長領域とは異なる他の波長領域の光は、カラーフィルタで反射されて第1の反射部及び第2の反射部の方向に戻る。
このとき第1の反射部又は第2の反射部からカラーフィルタの方向に進行した光が、今度は第2の透過カラーフィルタに入射したとする。カラーフィルタに入射した光のうち、第2の波長領域の光は、カラーフィルタを透過する。カラーフィルタに入射した光のうち、第2の波長領域とは異なる他の波長領域の光は、カラーフィルタで反射されて、上述の循環を繰り返す。これにより、光源装置は、第1の反射部、第2の反射部、及びカラーフィルタの間の光路を光が循環(リサイクル)する過程において、第1の波長領域の光と第2の波長領域の光とを次々と取り出すことで色分離を行うことができる。カラーフィルタで反射する光についても、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給することができる。
また、本発明の好ましい態様としては、発光部と反射型偏光板との間に、発光部からの照明光の強度分布を略均一にする導光光学系をさらに有することが望ましい。導光光学系を設けると、さらに照明光の強度分布を略均一にする構成にできる。導光光学系を発光部と反射型偏光板との間に設ける構成とすると、導光光学系を発光部から近い位置に設ける構成となる。発光部から近い位置に導光光学系を設けると、導光光学系を小型な構成とすることができる。また、発光部と反射型偏光板との間に導光光学系を設ける構成とすると、熱源である発光部と、熱に弱い位相板とを隔離する構成にできる。
さらに、本発明によれば、照明光を供給する発光部を有する光源装置と、光源装置からの照明光のうち特定の波長領域の光を透過し、特定の波長領域とは異なる他の波長領域の光を反射するカラーフィルタと、光源装置からの照明光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、を有し、光源装置は、カラーフィルタで反射された光を反射する、少なくとも第1の反射部と第2の反射部と、をさらに有し、第1の反射部は、カラーフィルタから第1の反射部の方向へ進行する光を第2の反射部の方向へ反射し、第2の反射部は、第1の反射部から第2の反射部の方向へ進行する光を反射型偏光板の方向、又は第1の反射部の方向へ反射し、発光部は、第1の反射部と第2の反射部との少なくとも一方に積層して設けられることを特徴とする画像表示装置を提供することができる。光源装置は、第1及び第2の反射部とカラーフィルタとの間の光路を光が循環(リサイクル)する過程において、第1の波長領域の光と第2の波長領域の光とを次々と取り出すことで色分離を行うことができる。カラーフィルタで反射する光についても、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給することできる。これにより、明るい画像の画像表示装置を得られる。
さらに、本発明によれば、特定の振動方向の偏光光である照明光を供給する光源装置と、光源装置からの照明光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置と、空間光変調装置からの光を投写する投写レンズと、を有し、光源装置は、上記の光源装置であることを特徴とするプロジェクタを提供することができる。また、本発明によれば、画像信号に応じた光を供給する画像表示装置と、画像表示装置からの光を投写する投写レンズと、を有し、画像表示装置は、上記の画像表示装置であることを特徴とするプロジェクタを提供することができる。上記の光源装置もしくは画像表示装置を用いるため、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給することできる。これにより、明るい投写像のプロジェクタを得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクタ100の概略構成を示す。本実施例では、まずプロジェクタ100の概略構成を説明し、次いで、光源装置の構成を詳細に説明する。プロジェクタ100は、R光用光源装置101Rと、G光用光源装置101Gと、B光用光源装置101Bとを有する。R光用光源装置101Rは、照明光であるR光を供給する。G光用光源装置101Gは、照明光であるG光を供給する。B光用光源装置101Bは、照明光であるB光を供給する。各色光用光源装置101R、101G、101Bは、制御部103によって駆動を制御される。各色光用光源装置101R、101G、101Bの構成の詳細については後述する。
各色光用光源装置101R、101G、101Bは、それぞれ、クロスダイクロイックプリズム104の入射面に対向する位置に設けられている。R光用光源装置101Rとクロスダイクロイックプリズム104との間には、R光用の空間光変調装置であるR光用液晶ライトバルブ102Rが設けられている。R光用液晶ライトバルブ102Rは、R光用光源装置101RからのR光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。R光用液晶ライトバルブ102Rで変調された光は、クロスダイクロイックプリズム104に入射する。
G光用光源装置101Gとクロスダイクロイックプリズム104との間には、G光用の空間光変調装置であるG光用液晶ライトバルブ102Gが設けられている。G光用液晶ライトバルブ102Gは、G光用光源装置101GからのG光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。G光用液晶ライトバルブ102Gで変調された光は、R光とは異なる入射面からクロスダイクロイックプリズム104に入射する。
B光用光源装置101Bとクロスダイクロイックプリズム104との間には、B光用の空間光変調装置であるB光用液晶ライトバルブ102Bが設けられている。B光用液晶ライトバルブ102Bは、B光用光源装置101BからのB光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。B光用液晶ライトバルブ102Bで変調された光は、R光及びG光とは異なる入射面からクロスダイクロイックプリズム104に入射する。
なお、各色光用液晶ライトバルブ102R、102G、102Bは、特定の振動方向の偏光光を画像信号に応じて変調する。このため、各色光用光源装置101R、101G、101Bは、特定の振動方向の偏光光に変換された照明光を供給する。各色光用光源装置101R、101G、101Bから特定の振動方向の偏光光に変換された照明光を供給することにより、各色光用液晶ライトバルブ102R、102G、102Bへ入射させる光を増加できる。従って、各色光を効率良く利用し、明るい画像を得られる。各色光用光源装置101R、101G、101Bが特定の振動方向の偏光光に変換された照明光を供給するための構成については後述する。
クロスダイクロイックプリズム104は、第1のダイクロイック膜104aと第2のダイクロイック膜104bとをX字状に配列して構成されている。第1のダイクロイック膜104aは、R光を反射し、G光及びB光を透過する。第2のダイクロイック膜104bは、B光を反射し、G光及びR光を透過する。クロスダイクロイックプリズム104に入射したR光は、第1のダイクロイック膜104aで反射して、投写レンズ105の方向へ進行する。
クロスダイクロイックプリズム104に入射したG光は、第1のダイクロイック膜104a及び第2のダイクロイック膜104bを透過して、投写レンズ105の方向へ直進する。クロスダイクロイックプリズム104に入射したB光は、第2のダイクロイック膜104bで反射して、投写レンズ105の方向へ進行する。これにより、変調された各色光は合成されて、投写レンズ105の方向へ射出される。投写レンズ105は、変調された各色光をスクリーン106に投写する。
次に、各色光用光源装置101R、101G、101Bの構成を詳細に説明する。本発明において、各色光用光源装置101R、101G、101Bの特徴的部分の構成は同一である。従って、本実施例、及び以下の実施例において、R光用光源装置の構成を例として説明を行うものとする。図2は、R光用光源装置101Rの断面構成を示す。R光用光源装置101Rは、発光部であるLEDチップ202、212を有する。2つのLEDチップ202、212は、いずれも照明光であるR光を供給する。
LEDチップ202は、第1の透明電極層201及び第2の透明電極層203に挟まれて、第2の反射部である金属電極204の斜面S1に積層して設けられている。金属電極204の斜面S1の上に設けられる第1の透明電極層201は、例えばITO増反射膜により構成される。ITO増反射膜により構成される第1の透明電極層201は、LEDチップ202に電流を供給する。さらに、第1の透明電極層201は、所定の厚みで設けることで、後述の金属電極204による光の反射効率を向上することができる。LEDチップ202の射出側に設けられる第2の透明電極層203は、例えばITO膜により構成される。
LEDチップ212は、第1の透明電極層211及び第2の透明電極層213に挟まれて、第1の反射部である金属電極214の斜面S2に積層して設けられている。金属電極214の斜面S2の上に設けられる第1の透明電極層211は、第1の透明電極層201と同様、ITO増反射膜により構成される。LEDチップ212の射出側に設けられる第2の透明電極層213は、第1の透明電極層203と同様、ITO膜により構成される。
金属電極204、214は、それぞれLEDチップ202、212に電流を供給する。金属電極204、214は、高反射性の金属部材、例えばアルミニウムや銀により構成できる。第2の反射部である金属電極204は、光軸AXに対して傾斜する斜面S1を有する。斜面S1は、R光用光源装置101Rの射出側の斜め方向を向くように設けられている。斜面S1を設けることで、金属電極204は、金属電極214から金属電極204の方向へ進行する光を反射型偏光板222の方向へ反射する。
第1の反射部である金属電極214は、光軸AXに対して傾斜する斜面S2を有する。斜面S2は、R光用光源装置101Rの射出側の斜め方向を向くように設けられている。斜面S2を設けることで、金属電極214は、反射型偏光板222から金属電極214の方向へ進行する光を金属電極204の方向へ反射する。さらに、斜面S1、斜面S2は、いずれも光軸AXの方向を向くように設けられている。このため、図2の断面に示すように、金属電極204、金属電極214は、斜面S1と斜面S2との間の空間がR光用光源装置101Rの射出側へ拡がりを持つように配置されている。
第2の透明電極層203及び第2の透明電極層213の間には、電極層210が設けられる。金属電極204と電極層210との間、金属電極214と電極層210との間には、それぞれ不図示の外部電源が接続されている。LEDチップ202は、電極層210と金属電極204との間に電圧を印加することにより照明光を供給する。また、LEDチップ212は、電極層210と金属電極214との間に電圧を印加することにより照明光であるR光を供給する。
金属電極204及び金属電極214の上の、R光用光源装置101Rの射出側には、λ/4位相板220、反射型偏光板222が順次積層されている。R光用光源装置101Rは、金属電極204の斜面S1と、金属電極214の斜面S2とで挟まれる空間を、λ/4位相板220及び反射型偏光板222で蓋をするように設けられている。
反射型偏光板222としては、グリッド型偏光子を用いることができる。グリッド型偏光子は、光透過性の基板上にアルミニウム等からなるストライプを数百nm程度のピッチで周期的に形成して構成されている。そして、グリッド型偏光子は、入射光のうち所定方向の偏光光のみを選択的に透過させるとともに残りを反射させる。このように、グリッド型偏光子は、吸収による光量損失が少ないという利点を有する。
次に、LEDチップ202、212からの照明光の光路について説明する。上述のように、LEDチップ212は、R光用光源装置101Rの射出側の斜め方向を向く斜面S2に積層して設けられている。このため、例えば、LEDチップ212から金属電極204の方向へ進行する光L1は、第2の透明電極層203、LEDチップ202、第1の透明電極層201を透過して、斜面S1に入射する。上述のように、第1の透明電極層201がITO増反射膜で構成されることから、金属電極204は、斜面S1において高い効率で光L1を反射する。斜面S1で反射された光L2は、λ/4位相板220を透過して反射型偏光板222に入射する。
反射型偏光板222は、光L2のうち特定の振動方向の偏光光、例えばp偏光光を透過する。また、反射型偏光板222は、特定の振動方向とは異なる他の振動方向の偏光光、例えばp偏光光以外の偏光光を反射する。反射型偏光板222を透過したp偏光光は、R光用液晶ライトバルブ102R(図1参照)で画像信号に応じて変調される。このように、反射型偏光板222を設けることで、R光用液晶ライトバルブ102Rに特定の振動方向の偏光光のみを選択的に供給することができる。
p偏光光以外の偏光光は、反射型偏光板222で反射された後、例えば、金属電極214の方向に進行する。金属電極214の方向に進行する光L3は、第2の透明電極層213、LEDチップ212、第1の透明電極層211を透過して、斜面S2に入射する。上述のように、第1の透明電極層211がITO増反射膜で構成されることから、金属電極214は、斜面S2において高い効率で光L3を反射する。斜面S2で反射された光L4は、再び金属電極204の方向へ進行して斜面S1に入射する。
斜面S1で反射された光L5は、再びλ/4位相板220を透過する。ここまでの光路において、LEDチップ212から供給された照明光は、反射型偏光板222で反射された後にλ/4位相板220を2回透過している。λ/4位相板220を2回透過することで、反射型偏光板222に入射する光L5は、その前に反射型偏光板222で反射されたときから位相がλ/2変化している。このため、例えば反射型偏光板222で反射された光のうちのs偏光光は、位相がλ/2変化することで今度はp偏光光となって反射型偏光板222に入射する。反射型偏光板222のうちのp偏光光は、反射型偏光板222を透過する。λ/4位相板220を透過することによりp偏光光以外の他の振動方向に変換された偏光光は、反射型偏光板222で反射され、上述の循環を繰り返す。
ここでは、LEDチップ212から金属電極204の方向に供給された照明光L1の進行について説明した。LEDチップ212に着目すると、LEDチップ212が設けられる金属電極214は第1の反射部として、金属電極204は第2の反射部として機能する。第1の反射部である金属電極214は、反射型偏光板222から金属電極214の方向に進行する光L3を第2の反射部である金属電極204の方向へ反射する。第2の反射部である金属電極204は、金属電極214から金属電極204の方向へ進行する光L4を反射型偏光板222の方向へ反射する。
これとは逆に、LEDチップ202に着目すると、LEDチップ202が設けられる金属電極204は第1の反射部として、金属電極214は第2の反射部として機能する。第1の反射部である金属電極204は、反射型偏光板222から金属電極204の方向へ進行する光を第2の反射部である金属電極214の方向へ反射する。第2の反射部である金属電極214は、金属電極204から金属電極214の方向へ進行する光を反射型偏光板222の方向へ反射する。
R光用光源装置101Rは、LEDチップ212、LEDチップ202から直接λ/4位相板220へ入射する照明光についてもこれと同様にして、特定の振動方向の偏光光に変換して射出する。このように、金属電極204及び金属電極214と、反射型偏光板222との間の光路を偏光光が循環(リサイクル)する過程において、反射型偏光板222で特定の振動方向の偏光光を次々と取り出すことにより、偏光変換を行う。反射型偏光板222で反射される光は、斜面S1、S2、反射型偏光板222で囲まれる空間に閉じ込められ、リサイクルを繰り返すうち特定の振動方向の偏光光となって射出する。
LEDチップ202、212から反射型偏光板222の方向へ供給される照明光は、直接反射型偏光板222に入射する。LEDチップ202から金属電極214の方向へ進行する光は、斜面S2において反射型偏光板222の方向へ反射する。LEDチップ212から金属電極204の方向へ進行する光は、斜面S1において反射型偏光板222の方向へ反射する。このようにして、LEDチップ202、212から金属電極214、204の方向へ進行する光は、進行方向が変換される。これにより、LEDチップ202、212からの照明光は、反射型偏光板222の方向へ進行方向を変換される。このようにして、斜面S1、S2にLEDチップ202、212を設けることにより、LEDチップ202、212からの照明光の進行方向を、光軸AXに対して小さい角度となるように揃えられる。
反射型偏光板222で反射してLEDチップ202に戻る光は、斜面S1、斜面S2で反射した後反射型偏光板222に入射する。反射型偏光板222で反射してLEDチップ212に戻る光は、斜面S2、斜面S1で反射した後反射型偏光板222に入射する。このようにして、反射型偏光板222からLEDチップ202、212の方向に進行する光は、再び反射型偏光板222の方向へ進行方向を変換される。
このようにして、反射型偏光板222からLEDチップ202、212の方向へ戻る光についても、進行方向を光軸AXに対して小さい角度に揃えることができる。照明光の進行方向を光軸AXに対して小さい角度に揃えると、反射型偏光板222で反射してLEDチップ202、212の方向へ進行する光の拡散を低減することができる。照明光の拡散を低減することで照明光の損失を低減し、効率良く光をリサイクルすることができる。
また、R光用光源装置101Rからの照明光の射出面積は、反射型偏光板222の面積と略同一となる。ここで、LEDチップ202、212を光軸AXに対して傾くように設けることで、反射型偏光板222は、2つのLEDチップ202、212の合計面積より小さい面積にできる。従って、LEDチップ202、212の発光面積に関わらず、R光用光源装置101Rにおける照明光の射出面積を小さくすることができる。
R光用光源装置101Rにおける照明光の射出面積を小さくすることで、照明光をR光用液晶ライトバルブ102R(図1参照)で有効に利用することができる。これにより、照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減でき、かつ照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給できるという効果を奏する。G光用光源装置101G、B光用光源装置101Bについても、R光用光源装置101Rと同様に照明光の損失を低減でき、かつ効率良く照明光を供給する構成にすることができる。以上により、明るい投写像のプロジェクタ100を得られるという効果を奏する。
なお、光源装置は、LEDチップ202、212は、少なくとも一方が設けられた構成であっても良い。LEDチップ202、212のいずれか一方のみが設けられている場合であっても、光源装置は、効率良く照明光を供給可能な構成にできる。また、光源装置に設けるLEDチップは、2つに限らず3つ以上であっても良い。例えば、実施例1の光源装置において、図2の紙面手前、奥にも1つずつLEDチップを設けることで、合計4つのLEDチップを設けることができる。このようにしてLEDチップの数量を増加することで、さらに明るい照明光を得られる。
金属電極204、214は、膜状のものを用いる構成としても良い。例えば、基板の斜面上にLEDチップ202、212を実装する構成とし、基板の斜面とLEDチップ202、212との間に膜状の金属電極204、214を設けることもできる。膜状の金属電極204、214としては、高反射性の金属部材、例えば、アルミニウム、銀、金を用いることができる。
(変形例)
図3は、実施例1の変形例に係るR光用光源装置301Rの断面構成を示す。本変形例のR光用光源装置301Rは、実施例1のプロジェクタ100に適用することができる。本変形例のR光用光源装置301Rは、1つのLEDチップ202を有する。そして、第2の金属電極214に代えて、光軸に略平行な反射板314が設けられている。反射板314は、反射型偏光板222から反射板314の方向へ進行する光を金属電極204の方向へ反射する第1の反射部である。また、金属電極204は、反射板314から金属電極204の方向へ進行する光を反射型偏光板222の方向、又は反射板314の方向へ反射する第2の反射部である。
LEDチップ202は、第2の反射部である金属電極204の斜面S1に設けられている。反射型偏光板222で反射される光は、斜面S1、反射板314、反射型偏光板222で囲まれる空間に閉じ込められる。そして、照明光は、閉じ込められた空間でリサイクルを繰り返すうちに特定の振動方向の偏光光となって、さらにR光用光源装置301Rから射出する。これにより、実施例1と同様に、LEDチップ202からの照明光を効率良く利用することができる。
図4は、本発明の実施例2に係る光源装置であるR光用光源装置401Rの断面構成を示す。R光用光源装置401Rは、上記実施例1のプロジェクタ100に適用することができる。上記実施例1のプロジェクタ100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の光源装置は、導光光学系を有することを特徴とする。導光光学系であるロッドインテグレータ424は、第1の金属電極204及び第2の金属電極214の上に設けられる。ロッドインテグレータ424は、LEDチップ202、212からの照明光の強度分布を略均一にする。
ロッドインテグレータ424は、断面が略矩形の透明な硝子部材からなる。ロッドインテグレータ424に入射した照明光は、硝子部材と空気との界面において全反射を繰り返しながらロッドインテグレータ424の内部を進行する。ロッドインテグレータ424としては、硝子部材から構成するものに限らず、内面を反射面で構成する中空構造としても良い。内面を反射面とするロッドインテグレータの場合、ロッドインテグレータに入射した光は、反射面において反射を繰り返しながらロッドインテグレータの内部を進行する。また、ロッドインテグレータは、硝子部材と反射面とを組み合わせる構成としても良い。
R光用光源装置401Rは、第1の金属電極204の斜面S1と、第2の金属電極214の斜面S2とで挟まれる空間を、ロッドインテグレータ424の入射側端面で蓋をするように設けられている。また、ロッドインテグレータ424の射出端面側には、λ/4位相板220及び反射型偏光板222が順次積層されている。
例えば、LEDチップ212から供給され、斜面S1で反射型偏光板222の方向へ反射した光L6は、ロッドインテグレータ424で略均一な強度分布の光に変換されて反射型偏光板222に入射する。反射型偏光板222で反射された光L7は、ロッドインテグレータ424を透過して斜面S2に入射する。斜面S2でLEDチップ202の方向に反射した光L8は、斜面S1で反射型偏光板222の方向へ反射する。そして、反射型偏光板222の方向へ進行する光L9は、再びロッドインテグレータ424を進行して反射型偏光板222に入射する。
ロッドインテグレータ424を設けると、さらに照明光の強度分布を略均一にする構成にできる。ロッドインテグレータ424をLEDチップ202、212と反射型偏光板222との間に設ける構成とすると、ロッドインテグレータ424をLEDチップ202、212から近い位置に設ける構成となる。LEDチップ202、212から近い位置にロッドインテグレータ424を設けると、光軸方向の長さが短いロッドインテグレータ424であっても照明光の強度分布を略均一にすることが十分可能になる。ロッドインテグレータ424の光軸方向の長さを短くすることで、ロッドインテグレータ424を小型な構成とすることができる。これにより、小型な構成で照明光の強度分布を略均一にすることができるという効果を奏する。
また、LEDチップ202、212と反射型偏光板222との間にロッドインテグレータ424を設ける構成とすると、熱源であるLEDチップ202、212と、熱に弱いλ/4位相板220とを隔離する構成にできる。なお、導光光学系として、ロッドインテグレータ424に代えてフライアイレンズを用いても良い。また、ロッドインテグレータ424に代えて、照明光を略平行にするコリメータレンズを用いても良い。コリメータレンズを用いても、光源装置において照明光をリサイクルする構成とすることができる。また、光源装置は、上記実施例1の変形例に係る光源装置の構成と導光光学系とを組み合わせた構成としても良い。上記実施例1の変形例に係る光源装置の構成と導光光学系とを組み合わせると、さらに小型な構成にできる。
図5は、本発明の実施例3に係る光源装置であるR光用光源装置501Rの断面構成を示す。R光用光源装置501Rは、上記実施例1のプロジェクタ100に適用することができる。上記実施例1のプロジェクタ100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の光源装置は、照明光の射出側とは反対側に電極を設ける、いわゆるフリップチップ構造のLEDを用いることを特徴とする。LEDチップ502、512は、発光面が斜面側となるように設けられている。
LEDチップ502は、金属電極504、505の斜面S1に積層して設けられている。LEDチップ502と金属電極504との間には、第2の反射部である電極層501が設けられている。LEDチップ502と金属電極505との間には、第2の反射部である電極層503が設けられている。電極層501と電極層503との間の隙間に対応して、金属電極504と金属電極505との間には絶縁層506が設けられている。LEDチップ502は、金属電極504と金属電極505との間に電圧を印加することで、照明光であるR光を供給する。
LEDチップ512は、金属電極514、515の斜面S2に積層して設けられている。LEDチップ512と金属電極514との間には、第1の反射部である電極層511が設けられている。LEDチップ512と金属電極515との間には、第1の反射部である電極層513が設けられている。電極層511と電極層513との間の隙間に対応して、金属電極514と金属電極515との間には絶縁層516が設けられている。LEDチップ512は、金属電極514と金属電極515との間に電圧を印加することで、照明光であるR光を供給する。なお、絶縁層506、516を反射性部材で構成することで、反射型偏光板222から絶縁層506、516に入射する光も反射可能な構成にできる。
LEDチップ502からの照明光は、直接、又は電極層501、電極層503で反射した後、上記実施例1のLEDチップ202からの照明光と同様に進行する。また、LEDチップ512からの照明光は、直接、又は電極層511、電極層513で反射した後、上記実施例1のLEDチップ212からの照明光と同様に進行する。第1の反射部である電極層511、513は、反射型偏光板222から電極層511、513の方向へ進行する光を電極層501、503の方向へ反射する。第2の反射部である電極層501、503は、電極層511、513から電極層501、503の方向へ進行する光を反射型偏光板222の方向へ反射する。
このように、LEDチップ502、512からの照明光が上記実施例1と同様に進行することから、本実施例のR光用光源装置501Rも効率良く照明光を供給することができる。なお、第1及び第2の反射部は、電極層503、513及び電極層501、511に代えて、金属電極514、515、504、505としても良い。例えば、電極層501、511、電極層503、513を透明電極層として、反射型偏光板222からの光を金属電極504、505、514、515で反射させる構成にすることもできる。
また、絶縁層506とLEDチップ502との間、及び絶縁層516とLEDチップ512との間に、絶縁性多層膜を設ける構成としても良い。絶縁性多層膜を設けることで、反射型偏光板222からの光を効率良く反射する構成にできる。さらに、電極層501、511、電極層503、513を透明電極層とする場合に、電極層501、503と斜面S1との間、電極層511、513と斜面S2との間に、高反射性の誘電性多層膜を設ける構成としても良い。
図6は、本発明の実施例4に係るプロジェクタ600の概略構成を示す。本実施例のプロジェクタ600は、カラーフィルタを用いて照明光をリサイクルすることを特徴とする。上記実施例1のプロジェクタ100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。プロジェクタ600は、画像表示装置630と投写レンズ105とを有する。画像表示装置630は、光源装置601と、カラーフィルタ605と、液晶ライトバルブ602とを有する。
図7は、画像表示装置630の断面構成を示す。光源装置601は、発光部であるLEDチップ710R、710G、710Bを有する。LEDチップ710Rは、照明光であるR光を供給する。LEDチップ710Gは、照明光であるG光を供給する。LEDチップ710Bは、照明光であるB光を供給する。各LEDチップ710R、710G、710Bは、上記実施例のLEDチップ202、212(図2参照)と同様に、いずれも第1の透明電極層及び第2の透明電極層に挟まれて設けられている。
LEDチップ710Rは、斜面S3に設けられている。LEDチップ710Bは、斜面S4に設けられている。LEDチップ710Gの1つは、LEDチップ710Rに並んで斜面S3に設けられている。また、LEDチップ710Gの1つは、LEDチップ710Bに並んで斜面S4に設けられている。このように、本実施例の光源装置601は、R光用、B光用に1つずつ、G光用に2つのLEDチップが設けられている。
第2の反射部である金属電極704、705は、それぞれLEDチップ710R、710Gに電流を供給する。金属電極704、705は、高反射性の金属部材、例えばアルミニウムや銀により構成できる。金属電極704及び金属電極705の間には、LEDチップ710R及びLEDチップ710Gの隙間に対応して、絶縁層706が設けられている。金属電極704、絶縁層706、金属電極705で、上記実施例1の光源装置の斜面S1と同様の斜面S3が構成されている。
第1の反射部である金属電極714、715は、それぞれLEDチップ710B、710Gに電流を供給する。金属電極714、715は、高反射性の金属部材、例えばアルミニウムや銀により構成できる。金属電極714及び金属電極715の間には、LEDチップ710B及びLEDチップ710Gの隙間に対応して、絶縁層716が設けられている。金属電極714、絶縁層716、金属電極715で、上記実施例1の光源装置の斜面S2と同様の斜面S4が構成されている。
2つのLEDチップ710Gは、電極層210と金属電極705、715との間に電圧を印加することにより、照明光を供給する。また、LEDチップ710R、710Bは、いずれも射出側の透明電極層に不図示のボンディングワイヤが設けられている。LEDチップ710R、710Bは、それぞれ金属電極704、714とボンディングワイヤとの間に電圧を印加することにより、照明光を供給する。
金属電極704、714の上には、ロッドインテグレータ624が設けられている。導光光学系であるロッドインテグレータ624は、上記実施例2のロッドインテグレータ424(図4参照)と同様の構成を有する。画像表示装置630は、斜面S3と、斜面S4とで挟まれる空間を、ロッドインテグレータ624の入射側端面で蓋をするように設けられている。
ロッドインテグレータ624の射出側端面には、カラーフィルタ605が設けられている。カラーフィルタ605は、R光透過カラーフィルタと、G光透過カラーフィルタと、B光透過カラーフィルタとをアレイ状に配置している。カラーフィルタ605の各色光透過カラーフィルタは、それぞれ特定の波長領域の光を透過し、特定の波長領域とは異なる他の波長領域の光を反射する。
カラーフィルタ605の射出側には、液晶ライトバルブ602が設けられている。液晶ライトバルブ602は、光源装置601からの各色光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。液晶ライトバルブ602は、カラーフィルタ605の各色光透過カラーフィルタに対応して、R光用液晶層と、G光用液晶層と、B光用液晶層とが設けられている。カラーフィルタ605を透過した各色光は、それぞれの色光に対応する液晶層で画像信号に応じて変調される。従って、R光用液晶層、G光用液晶層、B光用液晶層は、それぞれR光用画素、G光用画素、B光用画素に対応している。なお、液晶ライトバルブ602は、上記実施例1の液晶ライトバルブと同様に、特定の振動方向の偏光光を供給する構成とすることで、明るい画像を得ることができる。
次に、画像表示装置630における照明光の光路について説明する。ここでは、斜面S3に積層されたLEDチップ710Rからの照明光であるR光を例として説明する。例えば、LEDチップ710Rからカラーフィルタ605の方向へ進行するR光L10は、ロッドインテグレータ624を透過してカラーフィルタ605に入射する。ここで、R光L10がカラーフィルタ605のB光透過カラーフィルタに入射したとする。B光透過カラーフィルタは、特定の波長領域の光であるB光のみを透過し、特定の波長領域以外の波長領域の光を反射する。従って、R光L10はB光透過カラーフィルタで反射して、射出側端面からロッドインテグレータ624に入射する。
B光透過カラーフィルタからロッドインテグレータ624を透過するR光L11は、次に斜面S4の方向へ進行する。斜面S4の方向へ進行するR光L11は、透明電極層及びLEDチップ710Gを透過して、例えば金属電極715に入射する。そして、金属電極715に入射したR光は、金属電極715において今度は斜面S3の方向へ反射される。斜面S3の方向へ進行するR光は、次に例えば金属電極705で反射して、再びカラーフィルタ605の方向へ進行する。
金属電極705からカラーフィルタ605の方向へ進行するR光L12は、ロッドインテグレータ624を透過して、再びカラーフィルタ605に入射する。ここで、今度はR光L12がカラーフィルタ605のR光透過カラーフィルタに入射したとする。R光透過カラーフィルタは、特定の波長領域の光であるR光のみを透過し、特定の波長領域以外の波長領域の光を反射する。従って、R光L12はR光透過カラーフィルタを透過して、液晶ライトバルブ602に入射する。
ここでは、LEDチップ710Rからカラーフィルタ605の方向に供給された照明光L10の進行について説明した。LEDチップ710Rからカラーフィルタ605の方向へ進行するR光の光路について説明したが、その他の方向へ進行するR光やLEDチップ710G、710BからのG光、B光の光路も同様である。カラーフィルタ605で反射される各色光は、斜面S3、斜面S4とカラーフィルタ605との間の光路を循環(リサイクル)する過程において、カラーフィルタ605上のさまざまな位置に入射する。そして、カラーフィルタ605のうち対応する色光を透過するカラーフィルタに入射することにより、カラーフィルタ605を透過する。このようにして、カラーフィルタ605は、液晶ライトバルブ602の液晶層に特定の波長領域の光を供給する。そして、カラーフィルタ605は、各色光をリサイクルする過程において、特定の波長領域の光を次々と取り出すことで色分離を行う。
本実施例の画像表示装置630は、上記実施例1の光源装置と同様にして、カラーフィルタ605で反射する照明光をリサイクルする構成において照明光の損失を低減できる。また、画像表示装置630は、上記実施例1の光源装置と同様にして、照明光の射出面積を小さくすることで効率良く照明光を供給することできる。これにより、プロジェクタ600の投写像を明るくすることができるという効果を奏する。
R光、G光、B光により全体として白色の投写像を得るためには、G光の光束量が全体の光束量のうち60〜80%であることを要する。このため、本実施例のプロジェクタ600のように、G光を供給するLEDチップ710Gの数量をR光、B光を供給するLEDチップ710R、710Bの数量より多くすることで、G光の光束量を容易に増加して良好なカラーバランスを得ることができる。
また、カラーフィルタ605のG光透過カラーフィルタを他の色光を透過するカラーフィルタより面積を大きくして開口率を向上することにより、G光の光束量を増加しても良い。さらに、G光を供給する2つのLEDチップ710G、R光を供給する1つのLEDチップ710R、B光を供給する1つのLEDチップ710Bを設ける構成に限らず、LEDチップの数量は適宜変更することができる。
本実施例のプロジェクタ600は、上記実施例1のプロジェクタと同様に、光源装置ごとに1つの色光のみを供給する構成とすることもできる。この場合、光源装置には同一色光を供給するLEDチップのみを設ける構成となるため、カラーフィルタ605が不要となる。また、LEDチップは、それぞれR光、G光、B光を供給するLEDチップに代えて、白色光を供給するLEDチップを用いても良い。
図8は、本発明の実施例5に係るプロジェクタ800の概略構成を示す。本実施例のプロジェクタ800は、R光及びB光を供給する第1の光源装置801RBと、G光を供給する第2の光源装置801Gとを有することを特徴とする。上記実施例1のプロジェクタ100と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第1の光源装置801RBは、特定の振動方向の偏光光であるR光及びB光を供給する。第2の光源装置801Gは、特定の振動方向の偏光光であるG光を供給する。
第1の光源装置801RBは、R光を供給する不図示のLEDチップと、B光を供給する不図示のLEDチップとを有する。これらのLEDチップの配置は、上記の各実施例と同様である。例えば、第1の光源装置801RBは、図7に示す実施例4の画像表示装置630のLEDチップと同様に設けることができる。第1の光源装置801RBは、ロッドインテグレータ824、カラーフィルタ805を有する点で、図7に示す実施例4の画像表示装置630と同様である。
また、第1の光源装置801RBは、ロッドインテグレータ824、λ/4位相板820、反射型偏光板822を有する点で、図4に示す実施例2のR光用光源装置401Rと同様である。第1光源装置801RBからのR光、B光は、空間光変調装置である液晶ライトバルブ802RBに入射する。液晶ライトバルブ802RBは、R光及びB光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。液晶ライトバルブ802RBで変調された光は、ダイクロイックプリズム804に入射する。
第2の光源装置801Gは、G光を供給する不図示のLEDチップを有する。LEDチップの配置は、上記の各実施例と同様である。例えば、第2の光源装置801Gは、図2に示す実施例1の光源装置のLEDチップと同様に設けることができる。第2の光源装置801Gは、実施例1の光源装置と同様の構成を有する。第2の光源装置801GからのG光は、空間光変調装置である液晶ライトバルブ802Gに入射する。液晶ライトバルブ802Gは、G光を画像信号に応じて変調して射出する透過型の液晶表示装置である。液晶ライトバルブ802Gで変調された光は、R光及びB光とは異なる入射面からダイクロイックプリズム804に入射する。
ダイクロイックプリズム804は、ダイクロイック膜804aを斜めに配置して構成されている。ダイクロイック膜804aは、R光及びB光を透過し、G光を反射する。ダイクロイック膜804aを透過したR光及びB光と、ダイクロイック膜804aを反射したG光とは、ダイクロイックプリズム804を射出して投写レンズ105の方向へ進行する。第2の光源装置801GによりG光のみを供給し、第1の光源装置801RBによりR光及びB光を供給する構成とすることで、G光を供給するLEDチップを容易に増加することができる。また、G光の開口率を、R光及びB光の開口率より容易に大きくすることができる。このため、G光のみを単独の光源装置801Gから供給する構成とすることで、容易に良好なカラーバランスの投写像を得ることができる。
カラーフィルタ805は、R光透過カラーフィルタと、B光透過カラーフィルタとを有する。第1の光源装置801RBにおいてカラーフィルタ805を用いることによる照明光のリサイクルについては、上記実施例4の画像表示装置630と同様である。また、λ/4位相板820及び反射型偏光板822を用いることによる照明光のリサイクルについては、上記実施例2の光源装置と同様である。第1の光源装置801RBは、特定の振動方向を有し、かつ特定の波長領域の光を効率良く取り出すことができる。また、第2光源装置801Gについても、特定の振動方向のG光を効率良く取り出すことができる。これにより、プロジェクタ800の投写像を明るくすることができるという効果を奏する。
第1の光源装置801RBのλ/4位相板820は、偏光光の変換が照明光の波長に依存する場合がある。カラーフィルタ805をλ/4位相板820の射出側に設けることで、照明光は、特定の振動方向の偏光光に変換した後色分離する構成とすることが望ましい。また、第1の光源装置はR光及びB光を供給する構成に限らず、他の2色を供給することとしても良い。この場合、第2の光源装置は、第1の光源装置が供給する2色以外の色光を供給することで、カラー画像を得られる。
プロジェクタ800は、ダイクロイックプリズム804を用いて色合成を行う構成に限られない。ダイクロイックプリズム804に代えて、例えば、特定の振動方向の偏光光を透過し、特定の振動方向とは異なる他の振動方向の偏光光を反射する偏光ビームスプリッタを用いても良い。偏光ビームスプリッタを用いる場合、液晶ライトバルブ802RB及び液晶ライトバルブ802Gについて、変調により互いに異なる振動方向の偏光光を射出する構成とすることで、カラー画像を得ることができる。
なお、光源装置に用いるLEDチップは、3色以外に、4色以上を用いることもできる。また、光源装置に用いる固体発光素子としては、LEDに限らず、例えば、半導体レーザやエレクトロ・ルミネッセンス(EL)であっても良い。さらに、空間光変調装置としては透過型液晶表示装置を用いる構成に限らず、反射型液晶表示装置を用いても良い。
以上のように、本発明に係る光源装置は、プロジェクタの光源装置として用いる場合に適している。
本発明の実施例1に係るプロジェクタの概略構成図。
実施例1の光源装置の断面図。
実施例1の変形例の光源装置の断面図。
実施例2の光源装置の断面図。
実施例3の光源装置の断面図。
本発明の実施例4に係るプロジェクタの概略構成図。
実施例4の画像表示装置の断面図。
本発明の実施例5に係るプロジェクタの概略構成図。
符号の説明
100 プロジェクタ、101R R光用光源装置、101G G光用光源装置、101B B光用光源装置、102R R光用液晶ライトバルブ、102G G光用液晶ライトバルブ、102B B光用液晶ライトバルブ、103 制御部、104 クロスダイクロイックプリズム、104a、104b ダイクロイック膜、105 投写レンズ、106 スクリーン、201、203、211、213 透明電極層、202、212 LEDチップ、204、214 金属電極、210 電極層、220 λ/4位相板、222 反射型偏光板、301R R光用光源装置、314 反射板、401R R光用光源装置、424 ロッドインテグレータ、501R R光用光源装置、501、503、511、513 電極層、502、512 LEDチップ、504、505、514、515 金属電極、506、516 絶縁層、600 プロジェクタ、601 光源装置、602 液晶ライトバルブ、605 カラーフィルタ、624 ロッドインテグレータ、630 画像表示装置、704、705、714、715 金属電極、706、716 絶縁層、710R、710G、710B LEDチップ、800 プロジェクタ、801RB、801G 光源装置、802RB、802G 液晶ライトバルブ、804 ダイクロイックプリズム、804a ダイクロイック膜、805 カラーフィルタ、820 λ/4位相板、822 反射型偏光板、824 ロッドインテグレータ、AX 光軸、S1、S2、S3、S4 斜面