JP2005273707A - 積層型免震装置及びこれに用いる金属プラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】 鉛プラグを使用せず、一般構造用鋼材にて金属プラグを成形し、水平方向への変位を許容しつつ、当該水平方向への振動エネルギーを吸収することができる積層ゴム型免震装置を提供すること。
【解決手段】 弾性材層11と鋼板12とが交互に積層された積層体Aと、この積層体Aの内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグ13と、を備え、この金属プラグ13の表面に凹部13aを形成した、という構成を採っている。
【選択図】図1
【解決手段】 弾性材層11と鋼板12とが交互に積層された積層体Aと、この積層体Aの内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグ13と、を備え、この金属プラグ13の表面に凹部13aを形成した、という構成を採っている。
【選択図】図1
Description
本発明は、積層型免震装置にかかり、特に、積層ゴムと鋼板とから成る積層体の中心に柱状の金属プラグが封入された積層型免震装置に関する。
図6に示すように、積層ゴム型免震装置100(積層ゴム支承)は、ゴム弾性層101と鋼板102とが交互に上下方向(鉛直方向)に積層されてなる積層体100Aと、この積層体100Aの周囲を取り巻く被覆ゴム104と、積層体100Aを上下から挟んで配置されたフランジ105とから成る。そして、円柱状である積層体100Aの中心に、塑性変形部として円柱状の金属プラグ103が封入されている。
この積層ゴム型免震装置100は、上下のフランジ105に形成されたボルト穴を介して、建物と基礎(地面)との間に設置されることにより、建物自身の加重を支持すると共に、地震などによる水平方向の変位に対しては横方向にせん断変形することで、建物に振動エネルギーが印加されることを抑制することができる。
特に、近年では、金属プラグの材料として鉛(Pb)が用いられているが、鉛は軟らかく展延性に優れているため、積層ゴム101及び鋼板102によって拘束された鉛プラグ103が免震装置自体のせん断変形に追従するよう変形することで、振動エネルギーを吸収するよう作動する。換言すると、積層ゴムにて水平方向への変位を許容しつつ、鉛プラグの粘性特性によりその変形を減衰させることができ、揺れを迅速に抑制することができる。このような鉛プラグを用いた積層ゴム型免震装置が、特許文献1に開示されている。
しかしながら、近年、環境や健康への関心が高まると共に、鉛(Pb)の人体への有毒性については医科学的に調査が進められており、鉛の使用が建築物やその他各種産業分野で制限される傾向となっている。すなわち、プラグ材として鉛を使用することは環境面において有害であるという問題が生じている。
このような事情から鉛に代替可能な金属プラグが望まれているが、鉛と同等の特性を有する材料として、AlZn材や超塑性材が上げられるものの、剛性や粘性のバランスが鉛ほどプラグ材としての使用に優れておらず、高価でもある。また、一般構造用鋼材をプラグ材に使用することも考えられるが、粘性特性が十分でない。従って、代替材料を用いたとしても、水平方向の振動エネルギーを吸収するに至らず、鉛プラグを用いたときほどの減衰特性を発揮することができない、という問題が生じる。
このため、本発明では、鉛プラグを使用せず、一般構造用鋼材にて金属プラグを成形し、水平方向への変位を許容しつつ、当該水平方向への振動エネルギーを吸収することができる積層ゴム型免震装置を提供することをその目的とする。
そこで、本発明である積層型免震装置は、弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体と、この積層体の内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグと、を備え、この金属プラグの表面に凹部を形成した、という構成を採っている。
このような構成にすることにより、建物と基礎(地面)との間に設置された免震装置は、まず、弾性材層と鋼板との積層構造により建物自身の加重を支持する。そして、水平方向の変位に対しては弾性材層が横方向にせん断変形し、これと共に水平方向に移動した鋼板により金属プラグが押圧され、当該金属プラグに水平方向のせん断応力が印加される。このとき、このせん断応力は金属プラグに形成された凹部に集中し、当該凹部に変形が生じる。従って、金属プラグが塑性材料である一般構造用鋼材であっても、凹部部分のみが塑性変形するため、この塑性変形により水平方向への振動エネルギーを吸収することができ、横方向への振動を効果的に減衰させることができる。
ここで、特に、上記金属プラグに形成した凹部を、積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行に金属プラグの表面を取り巻くよう環状に形成すると望ましく、さらには、この環状凹部を複数形成するとなお望ましい。これにより、あらゆる方向からの振動に対しても環状凹部の所定箇所に的確に応力が集中することとなり、確実に振動エネルギーを減衰させることができる。そして、複数の環状凹部を形成することで、振動によりプラグにかかるせん断応力が分散されると共に、これによって生じる塑性変形が多くの箇所で発生する。従って、大きな振動エネルギーをも吸収することができる。
また、上記金属プラグを、形成された環状凹部にて分離されて形成される少なくとも2箇所の柱状体部分の断面形状を、それぞれ異なる形状に形成してもよい。さらに、同様に、環状凹部にて分離されて形成される少なくとも2箇所の柱状体部分を、積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行方向におけるその形成位置が異なるよう形成してもよい。これにより、金属プラグとこれが封入される積層体の貫通穴との間に隙間が生じる箇所があるため、その振動方向や振幅に応じて金属プラグの特定箇所が鋼板にて押圧されせん断応力が生じることとなる。従って、金属プラグ内における応力集中が生じる箇所、すなわち、塑性変形箇所やその範囲を、振動の大きさや方向に応じて予め設定することができるため、振動エネルギーに応じて当該エネルギーを適切に吸収することができる。
なお、上記構成において、環状凹部を形成しなくてもよい。すなわち、金属プラグは、複数の柱状体をその高さ方向に積み重ねた状態で一体的に連結形成して成ると共に、少なくとも2つの柱状体の断面形状を、それぞれ異なる形状に形成してもよい。また、少なくとも2箇所の柱状体部分を積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行方向におけるその形成位置が異なるよう形成してもよい。これにより、形状や形成位置の異なる柱状体の連結部分にせん断応力が集中するため、上述同様に所定箇所にのみ塑性変形が生じるため、これによって振動エネルギーを吸収することができる。
また、上記効果を発揮させるためには、せん断応力に対して応力集中がかかる箇所を金属プラグに形成すればよい。従って、上記環状凹部を螺旋状に形成したり、凹部を、積層体に封入された状態で積層方向に沿って複数形成してもよい。さらには、金属プラグの内部に中空部を形成してもよい。これにより、中空部の周囲にせん断応力が集中するため、かかる箇所が塑性変形し、上記同様の効果を発揮することができる。
積層型免震装置に封入される金属プラグを粘性の優れた材料ではない塑性材料である一般構造用鋼材にて形成した場合であっても、積層体が水平方向に変形することで免震効果を発揮しつつ、このとき金属プラグにかかるせん断応力により当該金属プラグに形成した凹部部分のみが塑性変形するため、水平方向への振動エネルギーを吸収することができ、その振動を効果的に減衰させることができる。すなわち、環境面から使用することが望ましくないとされる鉛をプラグ材料をして使用しなくても、安価な一般構造用鋼材で上記効果を発揮することができる。
本発明である積層型免震装置は、積層ゴム層と鋼板との積層体の中心に金属プラグが封入されており、この金属プラグの形状に特徴を有する。特に、金属プラグの表面に凹部を形成するなど、水平方向に押圧されることで応力集中が生じる箇所を形成しておく。これにより、水平方向への振動が生じたときに当該振動による移動を許容しつつ、この振動によって生じる応力集中によるプラグの塑性変形により振動エネルギーを吸収する、というものである。以下、各実施例にて詳述する。なお、各実施例においては、本発明の特徴である金属プラグの形状を変えて説明する。
本発明の第1の実施例を、図1を参照して説明する。図1(a)は、本発明の構成を示す部分断面図であり、図1(b)は、その動作を説明する説明図である。
〈構成〉
図1(a)に示すように、本発明である積層型免震装置1は、弾性材層である積層ゴム層11と硬質材である鋼板12とが交互に積層された積層体Aと、その中心内部に封入された金属プラグ13と、積層体Aの積層方向の両端(図1(a)の上下端)に備えられたフランジ15とを備えた、という構成を採っている。そして、フランジ15に形成されたボルト穴15aを介して両フランジ15が建物T1と基礎T2(地面)とに固定され、当該建物T1と基礎T2との間に免震装置1自体が配置される。なお、本実施例では、積層体Aの積層方向を上下方向として説明する。但し、本発明である積層型免震装置1は積層方向を上下方向に向けて使用されることに限定されない。すなわち、図1(a)に示す積層型免震装置1が横向きに配置されて使用されてもよい。以下、各構成について詳述する。
図1(a)に示すように、本発明である積層型免震装置1は、弾性材層である積層ゴム層11と硬質材である鋼板12とが交互に積層された積層体Aと、その中心内部に封入された金属プラグ13と、積層体Aの積層方向の両端(図1(a)の上下端)に備えられたフランジ15とを備えた、という構成を採っている。そして、フランジ15に形成されたボルト穴15aを介して両フランジ15が建物T1と基礎T2(地面)とに固定され、当該建物T1と基礎T2との間に免震装置1自体が配置される。なお、本実施例では、積層体Aの積層方向を上下方向として説明する。但し、本発明である積層型免震装置1は積層方向を上下方向に向けて使用されることに限定されない。すなわち、図1(a)に示す積層型免震装置1が横向きに配置されて使用されてもよい。以下、各構成について詳述する。
積層体Aは、上述したように、積層ゴム層11と鋼板12とが交互に積層され、これらは所定の接着剤にて接着されている。なお、鋼板12は、積層ゴム層11間に位置する太線にて図示している(各図において同じ)。そして、積層ゴム層11及び鋼板12は円形状に形成されていて、積層体Aは円柱形状に形成されている。また、その周囲は被覆ゴム14にて覆われている。なお、本実施例では、積層体Aを構成する弾性材層に積層ゴムを用いることを例示したが、これに限定されるものではない。また、鋼板12は、後述する金属プラグと同程度の強度を有する硬質材であり、例えば、一般構造用鋼材である。
また、円柱形状である積層体Aの中心には、その軸方向である積層方向に向かって円柱形状の貫通穴16が形成されている。この貫通穴16には、ほぼ同一形状の金属プラグ13が封入される。そして、金属プラグ13が封入された状態で積層体Aの両端面に、積層体Aよりも径の大きい円盤状のフランジ15が接着固定される。なお、積層体A自体の形状は、必ずしも円柱形状であることに限定されない。また、金属プラグ13もフランジ15にて積層体A内部に封入されてしまうことに限定されず、着脱自在に挿入されていてもよい。
ここで、上記金属プラグ13は、鉛(Pb)といった環境に悪影響を与える材料にて形成されたものではなく、安価な塑性材料である一般構造用鋼材にて形成されたものである。そして、本実施例では略円柱状であるが、その側面である表面には、当該側面を取り巻く環状凹部13aが複数形成されている。換言すると、円柱状である金属プラグ13には、その軸方向に向かって所定の間隔でくびれ部13aが形成されていることとなる。さらに換言すると、この環状凹部13aは、積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行に形成された、金属プラグ13の中心に向かって凹む円環状の溝形状になっている。なお、この凹部13aの深さ方向の形状は、図1(a)に示す例では円弧状であるが、コ字状であってもよく、その形状は限定されない。
また、本実施例では、上記複数の環状凹部13a間に形成されたプラグの本端部分を柱状体部分13bと呼ぶ。そして、図1(a)に示す例では、金属プラグ13に環状凹部13aを4つ形成することで、柱状体部分13bが5つ形成されることとなる。なお、金属プラグ13は、図1(a)に示す形状に限定されるものではない。
〈動作〉
次に、図1(b)を参照して、本実施例における積層型免震装置1の動作を説明する。この図においては、免震装置1の上端が固定された建物T1が矢印Y1方向(図1(b)で右方向)に振動により変位した場合を示す。
次に、図1(b)を参照して、本実施例における積層型免震装置1の動作を説明する。この図においては、免震装置1の上端が固定された建物T1が矢印Y1方向(図1(b)で右方向)に振動により変位した場合を示す。
この場合において、まず、建物T1自身の加重を積層体Aにて支持する。そして、矢印Y1に示す水平方向の変位に対しては、積層ゴム層11が水平方向にせん断変形することにより図1(b)に示すように円柱形状の積層体Aが斜めに変形する。これにより、水平方向への移動を許容し、免震作用を発揮する。このとき、積層ゴム層11に一体となって接着されている鋼板12も変形方向(矢印Y1方向)に移動することとなる。
すると、変形方向に移動した鋼板12が、積層体Aの中心に位置する金属プラグ13の柱状体部分13bを変形方向(矢印Y1方向)に押圧することとなり、これにより当該金属プラグ13に水平方向のせん断応力が印加される。すると、このせん断応力は金属プラグ13内において比較的強度の弱い環状凹部13aに集中することとなり、当該環状凹部13a(図1(b)の網掛け部分)に塑性変形が生じる。
従って、金属プラグ13に粘性の低い塑性材料を用いた場合であっても、免震効果を発揮しつつ、当該プラグ13に形成された凹部部分のみが塑性変形するため、水平方向への振動エネルギーを吸収することができ、当該振動を効率よく減衰することができる。
次に、本発明の第2の実施例を、図2を参照して説明する。図2(a)は、本実施例における金属プラグの形状を示す図であり、図2(b)は、その動作を説明する説明図である。本実施例では、上述した積層型免震装置1とほぼ同様の構成を採っているが、金属プラグ23の形状が異なる。
図2(a)には、左側に金属プラグ23の正面図を示し、右側のその平面図(上面図)を示す。この図に示す本実施例における金属プラグ23には、円柱形状である金属プラグの高さ方向、すなわち、軸方向に沿って溝状の凹部23aがその表面に形成されている。換言すると、円柱状の両端面を結ぶよう、複数本の直線上の凹部23aが形成されている。なお、凹部23aである溝の形状や深さ、幅などは任意である。
そして、この金属プラグ23が上述同様に積層体Aに封入された状態で免震装置として使用され、図2(b)に示すように、水平方向(矢印Y2)への振動によりせん断応力がかかり変形する際には、そのせん断応力が凹部23a(図2(b)の網掛け部分)に集中することとなる。従って、当該凹部23aが塑性変形し、これにより振動エネルギーが吸収され、横方向への振動が減衰されることとなる。
なお、この図においては、凹部23aを金属プラグ23aの軸方向に沿って直線上に形成したものを例示したが、金属プラグ23aの表面に形成する凹部23aの形状はこれに限定されるものではない。溝状の凹部23aが曲線状に形成されていてもよく、例えば、円柱状である金属プラグ23を取り巻くよう螺旋状に形成してもよい。
さらに、金属プラグ23の表面に形成される凹部23aは、必ずしも線状であることに限定されない。その表面に、円形の凹部を点在させてもよい。
次に、本発明の第3の実施例を図3乃至図5を参照して説明する。図3乃至図5は、それぞれ実施例3における金属プラグの形状の一例を示すと共に、その動作を説明する図である。本実施例では、上述した積層型免震装置1とほぼ同様の構成を採っているが、金属プラグ33,43,53の形状が異なる。また、これに伴い、各図における金属プラグ33,43,53が挿入可能なよう、積層体Aに貫通穴16が形成される。
まず、図3(a)に示すように、本実施例における金属プラグ33は、上述同様に円柱形状であり、複数の環状凹部33aが形成されたものである。そして、さらに、形成された環状凹部33aによって分離された状態となる柱状体部分33bの少なくとも2つの形状が、それぞれ異なった形状に形成されている。具体的には、図3(a)に示すものは、金属プラグ33の下端から上端に向かうにつれて段階的に、その断面形状である円の径が小さくなるよう形成されている。換言すると、径の異なる円柱部材(柱状体部分33b)が小さいものが上に来るよう積み重ねられた状態に一体的に形成されており、それら円柱部材間には環状凹部33aであるくびれ部が形成されている。
このような形状の金属プラグ33を積層体A内部に挿入したときの免震装置の動作を、図3(b),(c)を参照して説明する。なお、積層体Aの貫通穴16は、径が一様の円柱形状であるため、その上部側は金属プラグ33との間に隙間が生じる。
まず、図3(b)に示すように、矢印Y3に示す方向に振動が生じると、積層体Aも矢印Y3方向に移動するよう変形する。なお、図3(b)の仮想線(二点鎖線)は変形前の貫通穴16の位置を示している。このとき、上部側では、金属プラグ33と積層体Aとの間に空間があるために当接しないが、下部側では鋼板がプラグの一部に当接して矢印Y3方向に押圧することとなる。従って、図3(b)の例では、下から2番目に位置する柱状体部分33bが押圧されるため、当該柱状体部分33bが矢印Z1方向に移動可能なよう、その上下に位置する環状凹部33a(図3(b)の網掛け部分)に応力集中が生じて塑性変形が生じ、これにより振動エネルギーが吸収される。
その後、図3(c)に示すように、矢印Y3方向にさらに振動による変位が大きくなると、積層体Aの鋼板が、下から3番目に位置する柱状体部分33bにも当接して押圧することとなり、当該柱状体部分33bが矢印Z2方向に移動可能なよう、その上下に位置する環状凹部33a(図3(c)の網掛け部分)に応力集中が生じて塑性変形が生じる。
このように、振動の変位の大きさに応じて、積層体Aの鋼板が押圧する金属プラグ33の領域が大きくなり、これに伴い、塑性変形する領域が大きくなる。従って、振動エネルギーの大きさに比例して当該振動エネルギーの吸収力が生じるため、適切な減衰を実現することができる。
なお、上記では、柱状体部分33bの径が徐々に小さくなるよう柱状体部分33bの形状が異なる場合を例示したが、必ずしもこのような場合に限定されない。断面形状の大きさだけでなく、その形状そのものが異なるよう形成されていてもよい。
また、本実施例における金属プラグ43の形状の他の例を、図4に示す。この例における金属プラグ43は、図4(a)に示すように、環状凹部43aにて分離された状態の柱状体部分43bが全てほぼ同一形状であるが、その配置位置が一定の方向に段階的に移動して連結したように形成されている。具体的には、各柱状体部分43bが、図4(a)の右側に順に少しずつずれて積み重なるよう形成されている。すなわち、金属プラグ43が積層体Aに封入された状態で積層面に対してほぼ平行方向における柱状体部分43bの形成位置が異なるよう形成されている。なお、積層体Aの貫通穴16は円柱状であるので、この貫通穴16は金属プラグ43が封入可能な径に形成されている。従って、貫通穴16と金属プラグ43との間には間隙が形成されることとなる。
そして、図4(b)に示すように、矢印Y4方向に振動エネルギーが加えられた際には、その上部側に位置する積層体Aの鋼板が金属プラグ43最上部の柱状体部分33bを押圧することとなるため、当該柱状体部分33bが矢印Z3方向に移動可能なようその下部に位置する環状凹部33a(図4(b)の網掛け部分)に応力集中が生じて塑性変形が生じる。これにより、矢印Y4方向への振動エネルギーが吸収され、その振動が減衰されることとなる。その後、さらに振動が大きくなると、上から2番目の柱状体部分33bもZ3方向に移動するようせん断応力がかかり、さらに大きな振動吸収力を発生することができる。
なお、金属プラグをこの図4に示すような形状にするのは、例えば、予め振動エネルギーが生じる方向が判っている場合に有効である。例えば、矢印Y4方向に振動が生じることが判っている場合には、その反対方向に金属プラグ43の柱状部分43bが段階的にずれて配置されるよう形成することで、振動を効果的に吸収することができる。
さらに、本実施例における金属プラグ53の形状の他の例を、図5に示す。図5(a)は、金属プラグ53が封入された状態における積層体Aの貫通穴16を上方から見たときの図であり、図5(b)は、積層体Aを正面から見たときの部分断面図である。この例における金属プラグ53は、図5(b)に示すように、環状凹部53aにて分離された状態の柱状体部分53bが全てほぼ同一形状であるが、その配置位置が任意の方向に段階的に移動して連結したように形成されている。具体的には、各柱状体部分53bが、順に螺旋状にずれて積み重なるよう形成されている(図5(a)参照)。
このような形状にすることにより、全ての柱状体部分53bが積層体Aの貫通穴に接した状態になっており、しかも、ある方向の振動に対しては、1つあるいは2つの柱状体部分53bのみが鋼板によって押圧される構造になっている。従って、あらゆる方向に発生する振動エネルギーに有効に吸収することができる。
ここで、上記図3乃至図5に示す例では、金属プラグ33,43,53に環状凹部33a,43a,53aが形成されている場合を例示したが、当該環状凹部が形成されていなくてもよい。例えば、図3に示す金属プラグ33では、環状凹部33aであるくびれ部を形成せずに、段階的にその径が小さくなるよう削り出した部材を用いてもよい。図4乃至図5の場合も同様である。このようにすることで、形状や形成位置の異なる柱状体の連結部分である段状部分にせん断応力が集中するため、上述同様に所定箇所にのみ塑性変形が生じるため、これによって振動エネルギーを吸収することができる。
次に、本発明の第4の実施例を説明する。本実施例では、金属プラグの内部に中空部を形成した、という構成を採っている。例えば、円柱状の金属プラグである場合には、その両端面を連結するよう軸に沿って貫通する貫通穴を複数設けることで、中空部を形成する。
これにより、振動によって積層体が変形することにより、金属プラグが鋼板に押圧されてせん断応力が生じると、中空部が形成された周囲の部分は強度が弱いためせん断応力が集中し、かかる箇所が塑性変形することとなる。従って、上述同様に所定箇所にのみ塑性変形が生じるため、これによって振動エネルギーを吸収することができ、金属プラグに粘性を有しない塑性材料を用いた場合であっても優れた制振作用を発揮することができる。
本発明である金属プラグは積層型免震装置に封入することができると共に、この積層型免震装置は建物を地震などの振動から守る免震装置として、当該建物と基礎との間に設置可能であり、産業上の利用可能性を有する。
1 積層型免震装置
11 積層ゴム層
12 鋼板
13 金属プラグ
14 被覆ゴム
15 フランジ
16 貫通穴(金属プラグ用)
23,33,43,53 金属プラグ
13a 環状凹部
13b 柱状体部分
23a,33a,43a,53a 環状凹部
23b,33b,43b,53b 柱状体部分
A 積層体
T1 建物
T2 基礎(地面)
11 積層ゴム層
12 鋼板
13 金属プラグ
14 被覆ゴム
15 フランジ
16 貫通穴(金属プラグ用)
23,33,43,53 金属プラグ
13a 環状凹部
13b 柱状体部分
23a,33a,43a,53a 環状凹部
23b,33b,43b,53b 柱状体部分
A 積層体
T1 建物
T2 基礎(地面)
Claims (11)
- 弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体と、この積層体の内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグと、を備えた積層型免震装置において、
前記金属プラグの表面に凹部を形成した、ことを特徴とする積層型免震装置。 - 前記金属プラグに形成した凹部を、前記積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行に金属プラグの表面を取り巻くよう環状に形成した、ことを特徴とする請求項1記載の積層型免震装置。
- 前記金属プラグに形成した環状凹部を複数形成した、ことを特徴とする請求項2記載の積層型免震装置。
- 前記金属プラグに形成した環状凹部にて分離されて形成される少なくとも2箇所の柱状体部分の断面形状を、それぞれ異なる形状に形成した、ことを特徴とする請求項2又は3記載の積層型免震装置。
- 前記金属プラグに形成した環状凹部にて分離されて形成される少なくとも2箇所の柱状体部分を、前記積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行方向におけるその形成位置が異なるよう形成した、ことを特徴とする請求項2,3又は4記載の積層型免震装置。
- 前記金属プラグに形成した環状凹部を螺旋状に形成した、ことを特徴とする請求項2記載の積層型免震装置。
- 前記金属プラグに形成した凹部を、前記積層体に封入された状態で積層方向に沿って複数形成した、ことを特徴とする請求項1記載の積層型免震装置。
- 弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体と、この積層体の内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグと、を備えた積層型免震装置において、
前記金属プラグの内部に中空部を形成した、ことを特徴とする積層型免震装置。 - 弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体と、この積層体の内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグと、を備えた積層型免震装置において、
前記金属プラグは、複数の柱状体をその高さ方向に積み重ねた状態で一体的に連結形成して成ると共に、少なくとも2つの柱状体の断面形状を、それぞれ異なる形状に形成した、ことを特徴とする積層型免震装置。 - 弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体と、この積層体の内部に当該積層体を積層方向に貫通して封入された金属プラグと、を備えた積層型免震装置において、
前記金属プラグは、複数の柱状体をその高さ方向に積み重ねた状態で一体的に連結形成して成ると共に、少なくとも2箇所の柱状体部分を前記積層体に封入された状態で積層面に対してほぼ平行方向におけるその形成位置が異なるよう形成した、ことを特徴とする積層型免震装置。 - 積層型免震装置を構成する弾性材層と鋼板とが交互に積層された積層体の内部にその積層方向に貫通して封入される金属プラグにおいて、
当該金属プラグの表面に凹部を形成した、ことを特徴とする金属プラグ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2015132303A (ja) * | 2014-01-10 | 2015-07-23 | 住友金属鉱山シポレックス株式会社 | 鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承 |
CN114856001A (zh) * | 2022-04-28 | 2022-08-05 | 广州大学 | 一种低频隔振支座 |
-
2004
- 2004-03-23 JP JP2004084800A patent/JP2005273707A/ja not_active Withdrawn
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JP2015132303A (ja) * | 2014-01-10 | 2015-07-23 | 住友金属鉱山シポレックス株式会社 | 鉛プラグ入り積層ゴム型免震支承 |
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