JP2005272946A - 誘電体膜用の複合焼結ターゲット材とその製造方法 - Google Patents

誘電体膜用の複合焼結ターゲット材とその製造方法 Download PDF

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昌二 高梨
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Abstract

【課題】相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができるとともに、光記録媒体用誘電体膜として良好な膜質を得ることができる複合焼結ターゲット材、及びそのターゲット材を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される、屈折性が優れた酸化物相(a)と熱軟化性が優れた酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材であって、酸化物相(a)は、Nb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、一方、酸化物相(b)は、主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことを特徴とする複合焼結ターゲット材など。
【選択図】なし

Description

本発明は、誘電体膜用の複合焼結ターゲット材とその製造方法に関し、さらに詳しくは、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材であって、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができるとともに、光記録媒体用誘電体膜として良好な膜質を得ることができる複合焼結ターゲット材、及びそのターゲット材を効率的に製造する方法に関する。
従来、高屈折率を有する酸化物膜の光学的な応用としては、単層の熱線反射膜及び反射防止膜等があり、さらに、特定の波長の光が選択的に反射又は透過するように設計される多層の反射防止膜、反射増加膜、干渉膜、偏光膜などの多分野にわたっている。
多層膜の分光特性は、各層の屈折率と膜厚とをパラメータとして光学的設計される。一般的に、高屈折率膜と低屈折率膜とを組み合わせて用いることによって、より優れた光学特性を実現することができる。例えば、高屈折率(n=2.0以上)膜としては酸化チタン又は酸化ニオブ、低屈折率膜としては酸化ケイ素が主流であり、これらのスパッタリングターゲットを用いて成膜されていた。
また、高屈折率膜の他の応用として、書き換え可能な相変化型光記録媒体の誘電体膜がある。例えば、一般的な相変化型光記録媒体は、プラスチック基板上に第一誘電体膜、記録膜、第二誘電体膜及び金属反射膜をスパッタリング法で順次積層した構造からなる。ここで、光記録媒体の記録と再生は、基板側から照射するレーザ光の熱により記録膜を結晶相と非晶質相の間で相変化させ、その際の反射率の差を読みとることによって行われる。そして読みとりを容易にするため、記録膜における屈折率の相変化に伴う変化率を大きくする必要があり、誘電体膜には高屈折率材が用いられる。
前記誘電体膜用の高屈折率膜としては、例えば、ZnS−SiO(ZnSとSiOの混合物)膜(例えば、特許文献1参照。)が知られているが、レーザ光照射の際の加熱によってZnSのS成分が前記金属反射膜と反応して腐食が起こり、光記録媒体の信頼性が損なわれてしまうという問題がある。
近年、この問題を回避するために、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素、さらに、これらに炭化物や窒化物を混合したターゲット材が提案されている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照。)。
しかしながら、相変化型光記録媒体に用いられる誘電体膜としては、高屈折率の特性だけでは不十分であり、光記録媒体の記録・再生時に生じるレーザ光の熱により、誘電体膜の記録膜からの剥離や、誘電体膜の割れが起きるという問題が指摘されている。この原因は、酸化チタン、酸化ニオブ等の誘電体膜の膜質が硬いこと、及び該誘電体膜と記録膜とに熱膨脹差があることが一因であると考えられている。
この解決策として、前述したように優れた光学特性が得られる、酸化ケイ素を含有する誘電体膜が注目されている。すなわち、酸化ケイ素を誘電体膜中に含有すると、記録加熱された際に酸化ケイ素膜自体が柔軟性を示し、熱膨張により加わる引張り応力に対しても剥離及び膜割れが緩和される効果があるといわれている。
そのため、酸化ケイ素を含有する誘電体膜のスパッタリング用の焼結ターゲット材が開発されているが、ここで、酸化ケイ素を多く含むターゲット材を高密度化するために焼結法として熱間加圧成形を用いると、冷却時にターゲット外周がひび割れてしまうという問題が起る。また、特に、酸化ニオブに酸化ケイ素を加えた系では、カーボン製ダイス型が割れる問題が発生する。これはカーボンに比べて、酸化ニオブ、特に酸化ケイ素の熱膨脹係数が非常に小さいため、焼結後の冷却時に生じるダイス型の収縮を押さえつけ、これにより割れが起こるものと思われる。
なお、本明細書中では、本発明において用いる電子線微小部分析装置(EPMA)線分析、熱軟化性、及び熱膨張係数は、後述の実施例において説明する評価方法によるものである。
また、本明細書中では、本発明において用いる酸化物換算は、用いる元素についてそれぞれNb、Ta、CeO、SiO、In、ZnO、Al、MgO、BaO、SrOの形態であることを意味する。
特開平11−278936号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−13201号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−67974号公報(第1〜3頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材であって、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができるとともに、光記録媒体用誘電体膜としての良好な膜質を得ることができる複合焼結ターゲット材、及びそのターゲット材を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用するスパッタリングターゲットについて、鋭意研究を重ねた結果、ターゲット材組成において、屈折性が優れた酸化物相(a)と熱軟化性が優れた酸化物相(b)を特定成分から構成される複合焼結ターゲット材としたところ、光記録媒体用誘電体膜としての良好な膜質を損なうことなく成膜することができ、かつターゲットの製造において熱膨張係数がカーボンに近くなり、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される、屈折性が優れた酸化物相(a)と熱軟化性が優れた酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材であって、
酸化物相(a)は、Nb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、一方、酸化物相(b)は、主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことを特徴とする複合焼結ターゲット材
が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記酸化物相(b)は、Si酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%の副成分を含むことを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記副成分は、Si酸化物に対して4〜12重量%のIn酸化物と、Si酸化物に対して0〜6重量%のZn、Al、Mg又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2の発明において、前記副成分は、Si酸化物に対して4〜12重量%のZn酸化物と、Si酸化物に対して1〜6重量%のAl又はMgの酸化物からなることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第2の発明において、前記副成分は、Si酸化物に対して17〜26重量%のBa酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のZn、Al又はMgから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第2の発明において、前記副成分は、Si酸化物に対して17〜26重量%のSr酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のAl又はMgの酸化物からなることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、前記酸化物相(a)は、酸化物換算で、ターゲットを構成する成分全量に対して75〜95重量%であることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、前記酸化物相(b)は、ターゲット材のEPMA線分析で、3〜30μmの凝集体として検出されることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、熱膨脹係数が、500℃で2×10−6/℃以上であることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1の発明において、前記酸化物相(b)用の原料粉末は、真球状粒子であるとともに、その熱軟化性評価は、変形度が縦/横比0.9以下であることを特徴とする複合焼結ターゲット材が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第1〜10いずれかの発明において、酸化物相(a)用の原料粉末と酸化物相(b)用の原料粉末を、10−3トル以下の真空下又は500トル以下の不活性ガス雰囲気下、950〜1200℃の温度に加熱し、15MPa以上の圧力を加えて熱間加圧成形することを特徴とする複合焼結ターゲット材の製造方法が提供される。
本発明の誘電体膜用の複合焼結ターゲット材は、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される複合焼結ターゲット材であって、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定して焼結させることができるとともに、光記録媒体用誘電体膜としての良好な膜質を得ることができる複合焼結ターゲット材である。また、本発明の製造方法は、上記ターゲット材を効率的に製造することができる方法である。したがって、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の誘電体膜用の複合焼結ターゲット材とその製造方法を詳細に説明する。
1.複合焼結ターゲット材
本発明の誘電体膜用の複合焼結ターゲット材は、相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される、屈折性に優れた酸化物相(a)と熱軟化性に優れた酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材であって、酸化物相(a)はNb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなるとともに、酸化物相(b)は主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことを特徴とする。
本発明において、酸化物相(b)が、主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む熱軟化性に優れる酸化物であることに重要な意義がある。これによって、熱膨張係数が高く、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定して焼結させることができる複合焼結ターゲット材が得られる。
すなわち、酸化物相(b)の主成分であるSi酸化物の熱軟化性を改善して、焼結に際して酸化物相(b)を軟化させることで焼結体強度を高めるとともに、Si酸化物単独のときよりも高い熱膨張係数を有するターゲット材を得る。また、本発明のターゲット材は、Nb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる屈折性に優れた酸化物相(a)と熱軟化性に優れた酸化物相(b)からなる複合焼結体であるので、これをスパッタリングターゲットとして使用し成膜すると、光記録媒体用誘電体膜として良好な膜質を得ることができる。
本発明のターゲット材の組織は、特に限定されるものではなく、屈折性に優れた酸化物相(a)中に熱軟化性に優れた酸化物相(b)が分散した複合酸化物であって、各々の相同士は、適度に相分離し、かつ反応していないものが好ましい。すなわち、高屈折率の相と熱軟化性に優れる相の効力を発揮させるには、それぞれが独立した相を形成することが重要である。また、形成された膜において、高屈折率相と熱軟化相に分かれた組織であることが、各々の働きを十分に生かすために好ましい。これらの分離した膜を得るには、ターゲット材においても分離した相である方が効率よく形成しやすい。
本発明のターゲット材の熱膨脹係数は、特に限定されるものではなく、500℃での測定で2×10−6/℃以上であることが好ましい。
すなわち、Si酸化物、例えばSiOの熱膨張係数は、温度500℃で0.6×10−6/℃程度であることが知られている。このような低膨張係数の材料を熱間加圧成形して焼結体を得ることは非常に難しい。すなわち、熱間加圧に用いられる型は、通常、カーボン質からなる。そのため、その熱膨張係数は密度及び材質によって2〜5×10−6/℃(温度500℃)であり、SiOの熱膨張係数と比較すると大きな値を示す。これらを用いて焼結すれば、冷却時において収縮量は型の方が大きいために焼結体は拘束され、焼結体は大きく割れてしまう。特に、直径150mmを越えるサイズになるとこの現象が顕著に現われる。この現象はSi酸化物以外にもNb(温度500℃での熱膨張係数1.2×10−6/℃)にも見られる。このため冷却時に割れない焼結体を作製するには、焼結体の熱膨張係数をカーボン型より大きいか、またはその差を少なくすることが望ましい。
また、酸化物相(a)と酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材では、2相間の熱膨脹差もまた割れが生じる原因となる。
酸化物相(a)の成分としては、Nb酸化物、Ta酸化物及びCe酸化物を用いるが、Taの熱膨張係数は4×10−6/℃(温度500℃)でありカーボンとほぼ同じであるため問題はない。CeOの熱膨張係数は13×10−6/℃(温度500℃)と大きな値を示すが、CeOは単独で使用するとSi酸化物と反応を示すために、好ましくは、Nb酸化物やTa酸化物と併用して使われる。例えば、Nb−20重量%CeOであれば、熱膨張係数は5×10−6/℃(温度500℃)まで上昇する。このように、2種類以上を適切に調合することによって、酸化物相(a)の熱膨張係数を調整することができるので焼結割れを防止できる。
しかしながら、酸化物相(a)の成分として多くのNb酸化物を用いたり、またはターゲット中に多量のSi酸化物を含む場合においては、熱膨張係数はカーボンの2×10−6/℃(温度500℃)を下回り、前述したような原因で焼結割れが生じる。したがって、適切な組成の酸化物相(a)と酸化物相(b)を選ぶことによって、酸化物相(b)の熱膨張係数を2×10−6/℃(温度500℃)を上回るようにすることが好ましい。
(1)酸化物相(a)
上記酸化物相(a)は、Nb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる屈折性に優れるものである。
上記酸化物相(a)のターゲット中での存在割合は、特に限定されるものではなく、ターゲットを構成する成分の酸化物換算で、全体に対して75〜95重量%であることが好ましく、77〜91重量%であることがより好ましい。
すなわち、前記存在割合が75〜95重量%の範囲を外れるとスパッタリング成膜で得られる膜の光学特性が低下し好ましくない。例えば、前記存在割合が95重量%を超えると、膜の屈折率は高いものが得られるが、酸化ケイ素が少ないために記録媒体の加熱時に剥離及び割れが生じてしまう。一方、前記存在割合が75重量%未満では、膜の屈折率が低くなり、光記録媒体用誘電体膜としての特性が満たされず使用できない。
上記スパッタリング成膜で得られる膜の屈折率は、Nb、Ta又はCe酸化物の組成、スパッタリング時に導入する酸素分圧等で制御される。例えば、Nb酸化物膜の膜厚は50〜150nmが最適とされ、酸素分圧が3×10―3〜1×10―2Paで、2.3以上の屈折率が得られる。酸素分圧が3×10―3Pa未満では膜に吸収が生じて透光性が悪化する。一方、1×10―2Paを超えると成膜速度が大きく低下するために好ましくない。
ところで、相変化記録媒体に使われる誘電体膜は、短波長側の透光性を必要とするため、比較的多くの酸化ケイ素を含む組成のものが選ばれる。このとき、上記副成分を含まないSi酸化物を用いる際は、屈折率2.0以上を確保するためには、誘電体膜中のSiO濃度を20重量%以下にすることが不可欠である。これに対して、上記副成分を含むSi酸化物を用いれば、誘電体膜中のSiO濃度が20〜25重量%の範囲においても屈折率が2.0以下にならず誘電体膜として好適に使用することができる。
(2)酸化物相(b)
上記酸化物相(b)は、主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む熱軟化性に優れたものである。これによって、酸化物相(b)がSi酸化物単独の場合に比べて、熱軟化性の向上、高熱膨脹、及び高屈折率が達成される。
すなわち、Si酸化物、例えば、SiOを用いた場合の問題点として、熱間加圧焼結に際してSiOは硬いため変形せず、熱膨張係数が小さいこと、及び相変化記録媒体の誘電体膜としては熱軟化性が不十分であることが挙げられる。これを解決するために、Si酸化物に上記副成分を加えることが有効である。これによって、Si酸化物は弾性率と軟化温度の低下により、熱変形しやすくなる。したがって、熱間加圧成形に際して、粒子変形により粒界が強化され、焼結体強度は向上して割れが生じなくなる。さらに、このターゲット材から形成した誘電体膜を相変化記録媒体に使用した場合、熱軟化性の向上により、繰返しの記録と加熱に対しても剥離及び膜割れが生じなくなる。
また、副成分の作用によって熱膨張係数や屈折率も上昇するので、Si酸化物を多量に含んだ膜でも高屈折率が得られる。
上記酸化物相(b)の副成分のターゲット中での存在割合は、特に限定されるものではなく、Si酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%であることが好ましい。すなわち、前記存在割合が4重量%未満では、熱軟化性の効果が見られない。一方、前記存在割合が31重量%を超えると、熱膨脹係数や屈折率はより高まるが、高屈折率である酸化物相(a)との焼結反応やスパッタリング成膜での膜質に問題が生じる。
最近の相変化記録媒体は、記録再生を速やかに行なうためにより高速化されている。そのため、誘電体膜においても瞬時にかかる熱に鋭敏に反応することが要求される。特に、熱軟化性が記録膜との密着性に関係する誘電体膜中の酸化ケイ素相は、より低温で熱軟化性を示すことが求められる。
上記酸化物相(b)の副成分の中で、熱軟化性の改善に対して、特に、In酸化物とZn酸化物が効果的であり少量の添加でも有効である。Al酸化物及びMg酸化物は、これら成分の補助成分として顕著に作用する。例えば、In酸化物は単独でも有効であり、Zn酸化物、Al酸化物、Mg酸化物及びBa酸化物が補助成分として有効である。また、Zn酸化物は、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。また、Ba酸化物は、Zn酸化物、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。また、Sr酸化物は、Al酸化物又はMg酸化物を補助成分として同時に含むとき特に有効である。
したがって、酸化物相(b)の副成分の配合としては、特に限定されるものではないが、以下の(イ)〜(ニ)示す四つの配合のものが特に好ましい。
(イ)Si酸化物に対して4〜12重量%のIn酸化物と、Si酸化物に対して0〜6重量%のZn、Al、Mg又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなる配合。
(ロ)Si酸化物に対して4〜12重量%のZn酸化物と、Si酸化物に対して1〜6重量%のAl又はMgの酸化物からなる配合。
(ハ)Si酸化物に対して17〜26重量%のBa酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のZn、Al又はMgから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物とからなる配合。
(ニ)Si酸化物に対して17〜26重量%のSr酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のAl又はMgの酸化物からなる配合。
上記酸化物相(b)の大きさは、特に限定されるものではないが、ターゲット材のEPMA線分析で3〜30μmの凝集体として検出されることが好ましい。これは、焼結に際して原料として用いる酸化物相(b)粉末の粒子径に相当する径であることを意味する。つまり、酸化物相(b)の原料粒子は焼結により変形は見られるが、酸化物相(a)との反応はない。
2.製造方法
本発明の複合焼結ターゲット材の製造方法としては、特に限定されるものではないが、酸化物相(a)用の原料粉末と酸化物相(b)用の原料粉末を、10−3トル以下の真空下又は500トル以下の不活性ガス雰囲気下、950〜1200℃の温度に加熱し、15MPa以上の圧力を加えて熱間加圧成形することが好ましい。これによって、上記複合焼結ターゲット材を効率的に製造することができる。
本発明の製造方法としては、特に限定されるものではなく、通常の酸化物粉末の焼結法による焼結ターゲット材の製造方法を用いることができる。例えば、原料粉末の混合/解砕工程及び熱間加圧成形工程を含む。
(1)酸化物原料粉末
上記酸化物相(a)に用いる酸化物原料粉末としては、特に限定されるものではなく、その純度は好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上である。ニオブ酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、化学量論組成から酸素の欠損したNbOxを用いることもできるが、Nb粉末が取り扱いやすく、かつ安価であるために好ましい。タンタル酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、Ta粉末を用いることができる。また、セリウム酸化物粉末としては、特に限定されるものではなく、CeO粉末を用いることができる。また、これらの混合物やニオブ酸化物との複合粉末を用いることができる。また、これらの金属アルコキシドを精製した粉末、水酸化物等を熱分解により調製した粉末を用いることもできる。
上記酸化物相(b)に用いる酸化物原料粉末としては、特に限定されるものではなく、その純度は好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上である。また、これらの酸化物原料粉末を事前に合成した合成原料粉末が好ましい。
上記酸化物相(b)に用いるSi酸化物としては、特に限定されるものではなく、化学量論組成から酸素の欠損したSiOxを用いることができるが、特に、純度が高く、また取り扱いやすい真球状の合成体からなるSiOが好ましい。また、誘電体膜中にNa、K、B及びPbが含まれると、相変化型光記録媒体の記録膜を劣化させるため、上記Si酸化物のNa、K、B及びPbの含有濃度は、各々10ppm以下が好ましい。
上記酸化物相(b)用の合成原料粉末の合成方法としては、特に限定されるものではなく、乾式法又は湿式法が用いられるが、湿式法が好ましい。
例えば、乾式法として、SiOを高温で溶融し、これに副成分の酸化物を加えて反応させ、冷却後に粉砕し微粉末を得る方法では、SiOの融点が高いために溶融反応を行うことが難しく、また冷却後は硬質なために粉砕が難しく微粉を得るためにコストかかるという問題がある。加えて、粉砕時に不純物が混入する問題が生じる。例えば、不純物としてFeが混入すると膜の光透過性が劣ってしまう。一方、一般に、ガラス融点の低下や粉砕を容易にするため、Na、K、B、Pb等を加えることがあるが、これらの元素が含まれると誘電体膜を形成した際に、記録膜を劣化させるため好ましくない。
前記湿式法による酸化物相(b)用の粉末の合成方法としては、例えば、以下の方法が選ばれる。まず、真球状合成SiO粒子を80〜90℃に加熱した純水中で撹拌する。これに、上記副成分を含む化合物を純水に溶解して得た水溶液を所定量滴下しながら、1〜3hr加熱し、加水分解反応を起こさせる。ここで、SiO粒子表面に上記副成分を含む水酸化物等を析出させ、沈着させる。次に、これらを熟成した後に、洗浄ろ過、乾燥及び仮焼の工程を順次行って、SiO粒子表面に上記副成分の沈着物を形成させた合成粉末を得る。
前記副成分を含む化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、純水を溶媒に用いるため、硝酸、塩酸、硫酸塩類等の水溶性のものが選ばれる。前記水溶液を滴下する際には、少量の硫酸アンモニウムやアンモニア水を加えることが好ましい。これにより沈着物の凝集及び偏析を防ぎ、粒子表面に均一に沈着することができる。多量に加えると粒子表面に沈着されず、沈殿が生じる。
前記熟成工程は、沈着物の安定化を目的とした工程である。その熟成期間としては、1〜3日を要し、溶液状態のまま静止状態で行う。熟成が不十分であると、沈着物はその後の洗浄において容易に剥離してしまう。
前記仮焼工程は、特に限定されるものではなく、乾燥後の粉末を大気中で800〜1100℃の温度に加熱することが好ましい。これにより沈着物はSiO粒子と反応して、非晶質又はケイ酸塩の合成酸化物粒子となる。ここで、仮焼による粒子同士の接着もなく、解砕の必要はない。
その他の湿式法として、有機溶媒中に金属アルコキシドを添加し、加水分解する方法も同様に表面沈着を行うことができるが、金属アルコキシドと溶媒のコスト及び環境面で不利となる。
上記酸化物相(b)用の原料粉末は、特に限定されるものではないが、真球状粒子であるとともに、その熱軟化性評価は、真空中、加熱温度1100℃、及び面圧35Mpaによる熱間加圧で得られる焼結体の粒子寸法から求めた変形度が縦/横比0.9以下であることが好ましい。
すなわち、通常、熱的な機械強度の測定は、剛体を試験片として高温下で引張り、もしくは圧縮して行なわれる。しかし、本発明のようなガラス質の粉末を用いて試験片を作製することは困難である。例えば、粉末を溶融し形状を整えれば、試験片は作製可能だが、融解することでの材質の特性変化、加工することによる歪等の問題があるので現実的な方法ではない。また、粉末自体を焼結することも可能だが、焼結体中の粒界の存在やこの加工の問題が生じる。
そのため、上記湿式法で合成した酸化物相(b)用の原料粉末は、真球状であることに着目し、上下の2軸加圧からなる熱間加圧で評価することを試みた。ここで、加圧方向が制約されるために粒子は上下方向のみで変形される。変形した粒子をSEM等で観察して、粒子の縦横寸法から縦/横比を求めた。加熱温度を変えて、35MPaで加圧すると、前記原料粉末では900℃から粒子の変形が認められ、950℃以上になると縦/横比が0.9以下になることがわかった。副成分を含有しないSi酸化物粒子は1100℃に達しても変形は観察されない。この評価方法は、Si酸化物と高温中で反応しにくく、Si酸化物が変形しない温度域で焼結及び緻密化が可能である、例えばNbやTi酸化物粉末中に埋没させて加圧しても同様な評価は行なえる。
(2)混合/解砕工程
上記混合/解砕工程は、上記酸化物相(a)用の酸化物原料粉末と上記酸化物相(b)用の酸化物原料粉末を混合し、かつ解砕する工程である。
上記混合/解砕工程に用いる装置は、特に限定されるものではないが、Vブレンダ、ボールミル、媒体撹拌ミル、振動ミル等を用いることができるが、簡便な乾式ボールミルを用いることが好ましい。この際に、混合/解砕の条件は、特に限定されるものではないが、直径5〜10mmのZrOボールを用い、回転数100rpm程度で3〜36時間の解砕を行うことが好ましい。すなわち、解砕時間が短いと混合/解砕が不十分となる。また、ボールの充填率は60%程度が好ましい。
混合/解砕後の粉末を混合乾燥後、36mesh(425μm)の篩い通しを行い、混合粉末を得る。
(3)熱間加圧成形工程
上記熱間加圧成形工程は、上記混合粉末を用いて、熱間加圧成形法によって焼結体を得る工程である。例えば、混合粉末をカーボン製又は化合物で覆われたカーボン製のダイスとパンチ内に充填し、10−3トル以下に保たれた真空下、または500トル以下まで不活性ガス導入した還元性雰囲気下で焼結を行う。
この際の加圧力は、特に限定されるものではないが、15MPa以上が好ましく、25〜35MPaがより好ましい。すなわち、焼結温度が950℃の場合、加圧力が15MPa未満では、SiO粒子が熱変形しにくく緻密化しない。
この際の焼結温度は、特に限定されるものではないが、950〜1200℃が好ましく、1000〜1100℃がより好ましい。すなわち、焼結温度が950℃未満では、SiO粒子が熱変形しにくく緻密化しない。一方、焼結温度が1200℃を超えると、高屈折率相と熱軟化相が反応するため、好ましくない。また、焼結温度までの昇温速度は、特に限定されるものではないが、5〜20℃/minが好ましい。すなわち、加圧下での焼結であるので、昇温速度は均熱性が低下しない範囲が選ばれる。これにより、焼結体が割れることなく焼結させることができるのでコスト的に有利である。また、焼結保持時間は、特に限定されるものではないが、0.5〜3時間が好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析、焼結体のEPMA線分析、熱軟化性、熱膨張係数、焼結密度、及び抗折強度の評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)焼結体のEPMA線分析:焼結体の表面を深さ方向に0.5mmGC系砥粒(#800)で研削して洗浄後、日本電子製EPMA−2300装置にてビーム径を1μmに絞り、場所を変えた3箇所の測定を行い、検出元素分布より前記酸化物相(b)の各元素の凝集部の大きさを求めた。
(3)焼結体の熱軟化性評価:平均粒径2μmからなるNb粉末に、粒径3〜30μmからなる真球状のSiO粒子を20重量%加えて混合し、上下の2軸加圧からなる熱間加圧でその変形度を評価した。真空中、1100℃に加熱し35MPaで加圧しながら1時間保持し、冷却後に得た焼結体の破断面を研磨(#800)して変形した粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。観察結果から求めた粒子の縦横寸法から縦/横比を算出した。場所を変えた10箇所の測定を行った。
(4)焼結体の熱膨張係数の測定:焼結体中央を切断、研磨して直径5mm長さ15mmの円柱状試料を作製し、リガク製CN8223A熱機械分析装置にてAr中で500℃での熱膨張係数を求めた。
(5)焼結体の焼結密度の測定:焼結体中央を切断して東洋精機製高精度比重計で焼結密度を求めた。
(6)焼結体の抗折強度の測定:焼結体の抗折強度の測定法は、JIS規格R1601に準じて行われ、得焼結体から幅10mm、厚さ5mm、長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を測定し、その平均値を求めた。
また、実施例及び比較例で酸化物粉末として、Nb粉末(平均粒径2μm、純度99.9重量%、三井金属製)、Ta(平均粒径2μm、純度99.9重量%、三井金属製)及びCeO(平均粒径1μm、純度99.9重量%、第一稀元素製)を用いた。
(実施例1〜17)
酸化物相(a)原料として上記Nb粉末を、酸化物相(b)原料として下記の[酸化物相(b)用の原料粉末の合成方法]に基づいて作製した合成粉末を用いて、下記の[焼結体の製造方法と評価]に基づいて焼結を行い得られた焼結体を評価した。さらに、下記の[スパッタリング方法と評価]に基づいて焼結体からスパッタリングターゲットを作製し成膜を行い、膜形成評価を行った。
表1、表2、表3に、それぞれ酸化物相(b)用の合成粉末の配合率と組成、焼結体特性、及び膜形成評価結果を示す。なお、仮焼で得られた合成粉末はさらさらしており、流動性が損なわれていることはなかった。また、仮焼処理によりSiO粒子は、粒径3〜30μm(平均粒径10μm)に収縮した。。
[酸化物相(b)用の原料粉末の合成方法]
まず、粒径5〜50μm(平均粒径16μm)の真球状SiO粒子(旭ガラス製)40gを、90℃に沸騰させた純水2Lをいれたフラスコ中に投入した。次に、スターラで1hr撹拌した後、超音波洗浄機で5分間洗浄した。次に、液を真空ろ過後、固形物を取り出して、さらに90℃に沸騰させた純水2Lをいれたフラスコ中に投入し、スターラで撹拌してSiO粒子の分散液を作製した。
一方、副成分を含む化合物の所定量を純水50mL中に入れて溶解した。この溶液の全量を、沸騰した前記SiO粒子の分散液中に1hrかけて滴下した。この間に、アンモニア水(NH濃度20重量%)を2mL加えた。滴下終了後、さらに液を90℃に保ちながら1hr撹拌を続けた。その後、撹拌を停止して静止させ、室温で1日間の熟成を行なった。熟成後、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出し、純水2Lをいれたフラスコ中に投入した。スターラで1hr撹拌した後、再度、液を5Aのろ紙にて真空ろ過して固形物を取り出した。これを2度繰返した。その後、固形物を120℃で6hr乾燥した。つぎに、乾燥物をアルミナ製の坩堝に入れ、大気中、1000℃で2hrの仮焼を行った。
なお、副成分を含む化合物として、試薬1級の硝酸インジウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化バリウム及び硝酸ストロンチウムを用いた。
[焼結体の製造方法と評価]
上記酸化物相(a)原料に所定配合率(重量%)の酸化物相(b)原料を添加した。これを、直径10mmのZrOボールを用いてボールミル(回転数100rpm)で6hrの解砕を行って混合粉末を得た。この混合粉末をBN被覆したカーボン製のダイス及びパンチ内に充填し、10−3トル以下に保たれた真空中で焼結を行った。ここで、焼結条件としては、昇温速度10℃/min、圧力35MPa、焼結温度1100℃、及び焼結時間1hrとした。
以上の方法によって、直径150mm及び厚さ6mmの焼結体を2枚得た。1枚の焼結体中央を切断して焼結密度と、幅10mm、厚さ5mm、長さ30mmの試験片を10個作製し、3点曲げ強さ試験から抗折強度を求めた。また、焼結体の表面を研削し、一部をEPMA面分析で2相の反応状態を調べた。試料の残部はSEMで変形粒子を観察し熱軟化性を評価した。さらに、焼結体中央を切断・研磨してφ5×15mmの試料を作製し、熱膨張係数を求めた。
[スパッタリング方法と評価]
上記焼結体に加工を施して5インチ径(直径128mm)のスパッタリングターゲットを作製し、ガラス上(MATUNAMI製S−1111)にRF300W、酸素分圧4×10―3Pa、及びArを含む全圧0.1Paの条件で、膜厚100nmになるよう成膜した。その後、エリプソメータ(溝尻光学製:波長633nm)を用いて、膜の屈折率を測定した。また、分光光度計(島津製作所製UV−4000)で、波長250〜1000nm間の透過率を測定した。さらに、Si基板上に記録層(50nm)/Ag4In7Sb60Te29合金膜/誘電体層(100nm)の順に積層後、Ar雰囲気中700℃で1分間の加熱投入し、冷却後にセロテープで剥離試験を行なった。記録層と誘電体層との界面での剥離状態を判定した。
(実施例18)
酸化物相(a)原料として、Nb95重量%及びCeO5重量%の組成の配合物を用いた以外は実施例4と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
(実施例19)
酸化物相(a)原料として、Nb95重量%及びCeO5重量%の組成の配合物を用いた以外は実施例6と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
(実施例20)
酸化物相(a)原料として、Nb80重量%及びTa20重量%の組成の配合物を用いた以外は実施例6と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
(実施例21)
酸化物相(a)原料として、Nb95重量%及びCeO5重量%の組成の配合物を用いた以外は実施例9と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
(実施例22)
酸化物相(a)原料として、Nb95重量%及びCeO5重量%の組成の配合物を用いた以外は実施例17と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
(比較例1)
酸化物相(b)原料として、副成分を添加していない上記真球状SiO粒子を用いたは実施例1と同様に行い、焼結体と成膜の評価を行った。結果をそれぞれ表2、表3に示す。
Figure 2005272946
Figure 2005272946
Figure 2005272946
表1、表2、表3より、実施例1〜22では、酸化物相(a)原料と酸化物相(b)原料の組成で、本発明の方法に従って行われたので、2×10−6/℃以上の熱膨張係数、3〜30μmのEPMA線分析平均凝集径、縦/横比0.9以下の熱軟化性評価での変形度等の優れた焼結体特性が得られ、焼結体及びカーボン製ダイス型を破損することなく安定した焼結を行うことができること、また膜形成評価では2.0以上の屈折率と光記録媒体用誘電体膜として良好な膜質が得られることが分かる。これに対して、比較例1では、酸化物相(b)原料の組成がこれらの条件に合わないので、焼結体特性及び屈折率によって満足すべき結果が得られないことが分かる。

Claims (11)

  1. 相変化型光記録媒体の誘電体膜の形成に使用される、屈折性が優れた酸化物相(a)と熱軟化性が優れた酸化物相(b)からなる複合焼結ターゲット材であって、
    酸化物相(a)は、Nb、Ta又はCeから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含み、一方、酸化物相(b)は、主成分としてSi酸化物を含み、かつ副成分としてIn、Zn、Al、Mg、Ba又はSrから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含むことを特徴とする複合焼結ターゲット材。
  2. 前記酸化物相(b)は、Si酸化物に対して酸化物換算で4〜31重量%の副成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合焼結ターゲット材。
  3. 前記副成分は、Si酸化物に対して4〜12重量%のIn酸化物と、Si酸化物に対して0〜6重量%のZn、Al、Mg又はBaから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の複合焼結ターゲット材。
  4. 前記副成分は、Si酸化物に対して4〜12重量%のZn酸化物と、Si酸化物に対して1〜6重量%のAl又はMgの酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の複合焼結ターゲット材。
  5. 前記副成分は、Si酸化物に対して17〜26重量%のBa酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のZn、Al又はMgから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の複合焼結ターゲット材。
  6. 前記副成分は、Si酸化物に対して17〜26重量%のSr酸化物と、Si酸化物に対して1〜5重量%のAl又はMgの酸化物からなることを特徴とする請求項2に記載の複合焼結ターゲット材。
  7. 前記酸化物相(a)は、酸化物換算で、ターゲットを構成する成分全量に対して75〜95重量%であることを特徴とする請求項1に記載の複合焼結ターゲット材。
  8. 前記酸化物相(b)は、ターゲット材のEPMA線分析で、3〜30μmの凝集体として検出されることを特徴とする請求項1に記載の複合焼結ターゲット材。
  9. 熱膨脹係数は、500℃で2×10−6/℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合焼結ターゲット材。
  10. 前記酸化物相(b)用の原料粉末は、真球状粒子であるとともに、その焼結体の熱軟化性評価による変形度が縦/横比0.9以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合焼結ターゲット材。
  11. 酸化物相(a)用の原料粉末と酸化物相(b)用の原料粉末を、10−3トル以下の真空下又は500トル以下の不活性ガス雰囲気下、950〜1200℃の温度に加熱し、15MPa以上の圧力を加えて熱間加圧成形することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の複合焼結ターゲット材の製造方法。
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