JP2005272412A - 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用 - Google Patents

苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2005272412A
JP2005272412A JP2004091367A JP2004091367A JP2005272412A JP 2005272412 A JP2005272412 A JP 2005272412A JP 2004091367 A JP2004091367 A JP 2004091367A JP 2004091367 A JP2004091367 A JP 2004091367A JP 2005272412 A JP2005272412 A JP 2005272412A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active compound
bactericidal active
seedling
benzimidazole
cell division
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004091367A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Kimura
教男 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2004091367A priority Critical patent/JP2005272412A/ja
Publication of JP2005272412A publication Critical patent/JP2005272412A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

【課題】
育苗期のいもち防除策として、苗いもちを抑制すると同時に、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による苗の葉いもちをも防除対象とする防除方法が望まれている。
【解決手段】
苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物、育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除する方法であって種子の播種時から苗の移植までに期間において当該殺菌活性化合物を有効成分として含有する潅注処理用薬液を育苗箱内の床土に対して当該育苗箱内の床土の最大容水量を100としたときにその土壌の容水量が50から100までの範囲になる液量の潅注処理を施すことを特徴とする方法、及び、当該殺菌活性化合物を有効成分として含有することを特徴とする育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除するための潅注処理用薬液等。
【選択図】 なし







Description

本発明は、苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用等に関する。
イネいもち病はイネの栽培において最も恐れられている病害(以下、本病害と記すこともある。)である。本病害が大発生する要因の一つとして育苗期にいもち病に感染した苗を本田に移植することがあげられる。育苗期のいもち病は、「苗いもち」と「苗の葉いもち」とが存在しており、1898年の農商務省農事試験場特別報告1において堀は、苗の立枯、枯死、腐敗を示すものを「苗いもち」と定義し、育苗期でも葉身に病斑を生ずるものを「苗の葉いもち」と定義することで両者を明確に分けている。
現在、育苗期のいもち防除策として様々な薬剤を種子消毒して種子伝染性のいもち病を防除することが実施されている。これらの方法により「苗いもち」を抑制することができるが、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による「苗の葉いもち」までは防除できるものではなかった。それ故、飛散してきたいもち病菌によって汚染された苗を本田に持ち込み、いもち病の大発生をまねく事例も散見される。
特開昭54−158104号公報 北日本病虫研報 1985年36:p122-p124 北日本病虫研報 1997年48:p213 日本植物病理学会報 2001年68:p297-p304 北日本病虫研報 1976年
育苗期のいもち病防除策として、「苗いもち」を抑制すると同時に、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による「苗の葉いもち」をも防除対象とする防除方法が望まれている。
本発明者等は、かかる状況下に鋭意検討した結果、種子の播種時から苗の移植までに期間において、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物を有効成分として含有する潅注処理用薬液を、育苗箱内の床土に対して、当該育苗箱内の床土の最大容水量を100としたときにその土壌の容水量が50から100までの範囲になる液量の潅注処理を施すことにより、「苗いもち」を抑制すると同時に、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による「苗の葉いもち」を抑制することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物(以下、本殺菌活性化合物と記すこともある。)の使用(以下、本発明使用と記すこともある。);
2.細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物が、メチル1-(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−イルカーバメート、メチルベンズイミダゾール−2−イルカーバメート、ジメチル[(1,2-フェニレン)ビス−(イミノカルボノチオイル)]ビス[カーバメート]又は2,4−チアゾール−1H−ベンズイミダゾールであることを特徴とする前項1記載の使用;
3.育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除する方法であって、種子の播種時から苗の移植までに期間において、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物を有効成分として含有する潅注処理用薬液を、育苗箱内の床土に対して、当該育苗箱内の床土の最大容水量を100としたときにその土壌の容水量が50から100までの範囲になる液量の潅注処理を施すことを特徴とする方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
4.細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物を有効成分として含有することを特徴とする育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除するための潅注処理用薬液(以下、本発明薬液と記すこともある。);
5.潅注処理用薬液が、さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする前項1又は2記載の使用;
6.潅注処理用薬液が、さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする前項3記載の方法;
7.細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物が、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド及び/又はテトラクロロイソフタロニトリルを含有することを特徴とする前項6記載の方法;
8.さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする前項4記載の潅注処理用薬液;
9.細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物が、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド及び/又はテトラクロロイソフタロニトリルを含有することを特徴とする前項8記載の潅注処理用薬液;
等を提供するものである。
本発明により、苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用等を提供することが可能になり、そして「苗いもち」を抑制すると同時に、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による「苗の葉いもち」をも防除することが可能となった。
本発明において、有効成分として用いられる殺菌活性化合物(即ち、本殺菌活性化合物)は、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物である。当該化合物は、一般には、ベンズイミダゾール系化合物と称される殺菌活性化合物であり、具体的には例えば、2003年度版のCrop Protection Handbook C72-C73等に記載されるメチル1-(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−イルカーバメート(以下、ベノミルと記すこともある。)、2003年度版のCrop Protection Handbook C100-C102等に記載されるメチルベンズイミダゾール−2−イルカーバメート(以下、MBCと記すこともある。)、2003年度版のCrop Protection Handbook C456-C457等に記載されるジメチル[(1,2-フェリレン)ビス−(イミノカーボノチオイル)]ビス[カーバメート](以下、チオファネートメチルと記すこともある。)、2003年度版のCrop Protection Handbook C452等に記載される2-4チアゾール−1H-ベンズイミダゾール(以下、チアベンダゾールと記すこともある。)等をあげることができる。
これらの殺菌活性化合物は、既に市販されている殺菌剤の有効成分として使用されている。例えば、ベノミルの場合はベンレート水和剤として市販されている。
本殺菌活性化合物を用いる場合には、他の何らの成分も加えず、そのまま本化合物と希釈液(即ち、水)とを混合して潅注処理用薬液を調製してもよいが、通常は本殺菌活性化合物に固体坦体、液体坦体等、必要により界面活性剤、その他の製剤用補助剤を加えることにより、水和剤、顆粒水和剤、水中懸濁剤等のフロアブル剤等の各種製剤にした後、当該製剤を希釈液(即ち、水)に混合して潅注処理用薬液を調製する。尚、上記の製剤には、有効成分として本殺菌活性化合物を、通常、重量比で約0.01〜95%含有させることがよい。尚、上記の製剤形態以外にも水に懸濁することにより本発明薬剤が提供できるようなものであれば如何なる製剤形態であってもよい。
製剤化の際に用いられる固体坦体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク類、セラミック類、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末や粒状物があげられる。液体坦体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、植物油(大豆油、綿実油等)等があげられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化合物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等があげられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールおよび3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール)、植物油、鉱物油、界面活性剤、脂肪酸、脂肪酸エステル等が挙げられる。
水中懸濁剤等のフロアブル剤は、通常、約1〜75重量%の有効成分化合物を、約0.5〜15重量%の懸濁補助剤(例えば保護コロイドやチクソトロピー性を付与しうる物質)、約0〜10重量%の補助剤(例えば消泡剤、防錆剤、安定剤、展着剤、浸透助剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤等)を含む水中で、微少に分散させることにより得ることができる。
本発明は、さらに殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、他の殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤、動物用飼料等を混用又は併用することもできる。具体的には、本発明薬液がさらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有する場合には、例えば、2003年度版のCrop Protection Handbook C458-C459等に記載されるビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド(以下、チラムと記すこともある。)及び/又は2003年度版のCrop Protection Handbook C117-C118等に記載されるテトラクロロイソフタロニトリル(以下、クロロタロニルと記すこともある。)等を好ましくあげることができる。
混用する場合において、本発明薬液において有効成分として含有される本殺菌活性化合物と他の殺菌活性化合物との混合比としては、例えば、重量比で1:10000〜10000:1の割合、好ましくは1:1000〜5:1の割合、より好ましくは1:20〜2:1の割合等をあげることができる。
尚、上記において具体的に例示された他の殺菌活性化合物との混合物は、既に市販されている殺菌剤の有効成分として使用されている。例えば、ベノミルとクロロタロニルとの混合物の場合にはダコレート水和剤として市販されており、またベノミルとチラムとの混合物の場合にはベンレートT水和剤として市販されている。
また、併用する場合において、例えば、種々の種子消毒剤を用いてイネ種子を浸漬処理や粉衣処理等により消毒した後、さらに当該イネ種子又は生育したイネ苗に対して本発明を適用することでより効果的にかつ安定した苗の葉いもちの防除を期待することができる。
本発明薬液を施用するには、イネ種子の播種時からイネ苗の移植までに期間において、育苗箱内の床土に対して、当該育苗箱内の床土の最大容水量を100としたときにその土壌の容水量が50から100までの範囲になる液量を、潅注処理すればよい。このような潅注処理は、一般的には如雨露や潅注処理機等を用いて行われるが、床土が上記のような土壌の容水量になるのであれば如何なる方法を用いて行ってもよい。尚、土壌の容水量は以下の式から算出される。

土壌の容水量=100×処理後の土壌水分含量/土壌の飽和水分含量

通常、土壌水分含量は、サンプル土壌の重量(W1とする。)を測定した後、105℃下で一昼夜置き、土壌中の水分を完全に蒸発させた後の土壌の重量(W2)を測定する。その後、以下の式により算出する。

土壌含水量=100×(W1-W2)/W1
本発明方法における本殺菌活性化合物の有効量又は施用量は、本殺菌活性化合物の種類、気象条件、被害程度等の状況によっても異なり、下記の範囲に関わることなく増減して適宜選択することができるが、通常、約60cm×30cmの育苗箱1枚当たりの施用量で約0.01〜10gである。より具体的には、本殺菌活性化合物としてベノミルを用いる場合には、約60cm×30cmの育苗箱1枚当たり約0.05g〜5g程度であり、好ましくは約0.1g〜2g程度である。MBCを用いる場合には、約60cm×30cmの育苗箱1枚当たり約0.05g〜5g程度であり、好ましくは約0.1g〜2g程度である。チオファネートメチルを用いる場合には、約60cm×30cmの育苗箱1枚当たり約0.05g〜10g程度であり、好ましくは約0.1g〜5g程度である。チアベンダゾールを用いる場合には、約60cm×30cmの育苗箱1枚当たり約0.05g〜10g程度であり、好ましくは約0.1g〜5g程度である。
以下、本発明を薬液調製例及び試験例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に限定されるものではない。
薬液調製例1 水和剤に基づき調製された本発明薬液
本殺菌活性化合物であるベノミル50部を、ラウリル硫酸ナトリウム4部リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末22部及び珪藻土22部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。得られた水和剤1gと500mLの水とをよく混合することにより、本発明薬液を調製する。
薬液調製例2 水和剤に基づき調製された本発明薬液
本殺菌活性化合物であるベノミル20部と、他の殺菌活性化合物であるクロロタロニル50部とを、ラウリル硫酸ナトリウム4部リグニンスルホン酸カルシウム2部、合成含水酸化珪素微粉末12部及び珪藻土12部を混合した中に加え、よく攪拌混合して水和剤を得る。得られた水和剤1gと400mLの水とをよく混合することにより、本発明薬液を調製する。
薬液調製例3 フロアブル剤に基づき調製された本発明薬液
本殺菌活性化合物であるMBC10部とソルビタントリオエレート1.5部とを、ポリビニルアルコール2部を含む水溶液27部中に加え、よく攪拌混合し、次いでこれらの混合物をサンドグライダーで微粉砕(粒径3μm以下)した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液48部を加え、さらにプロピレングリコール15部を加えて攪拌混合してフロアブル剤を得る。得られたフロアブル剤5gと500mLの水とをよく混合することにより、本発明薬液を調製する。
薬液調製例4 フロアブル剤に基づき調製された本発明薬液
本殺菌活性化合物であるMBC3部及び他の殺菌活性化合物であるクロロタロニル8部と、ソルビタントリオエレート1.5部とを、ポリビニルアルコール2部を含む水溶液26部中に加え、よく攪拌混合し、次いでこれらの混合物をサンドグライダーで微粉砕(粒径3μm以下)した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液48部を加え、さらにプロピレングリコール15部を加えて攪拌混合してフロアブル剤を得る。得られたフロアブル剤10gと500mLの水とをよく混合することにより、本発明薬液を調製する。
次に本発明薬液が、育苗期のイネ苗に発生する葉いもちに対して優れた防除効果を示すことを試験例により示す。
試験例1 (本発明薬液を用いた潅注処理による苗の葉いもち防除効果)
プラスチックカップに床土を詰め、イネ(コシヒカリ)種子の播種時に所定濃度に希釈された薬液を、育苗箱内の床土に対して、育苗箱当たり500mL換算量の液量(床土の最大容水量を100としたときにその土壌容水量が約100に相当する液量)の潅注処理を施した直後に、イネ種子を播種した。その後、当該イネを温室内で育成した。播種15日後に、外部からの飛散を想定していもち病菌胞子(5×103 spores/ml)をイネ苗に噴霧接種した。接種後は、イネ苗を多湿下に保ち、苗の葉いもちの発病を促した。接種12日後に、苗の葉いもちの発病苗率を調査し、各薬液における苗の葉いもちに対する防除価を算出した。
尚、比較対照として、ベノミル又はプロクロラズを用いた種子浸漬処理による種子消毒方法、及び、ベノミル(1000ppm)の代わりにプロクロラズ(250ppm)を用いたこと以外は上記と同様な育苗箱潅注処理による防除方法も同時に試験した。尚、後者の防除方法における殺菌活性化合物の供試濃度は、24時間種子浸漬処理における農薬登録上での当該殺菌活性化合物の濃度を基準とした。その結果を表1に示した。
本発明における方法は、比較対照における方法に比べて顕著に優れた苗の葉いもちに対する防除価を示した。つまり、育苗箱潅注処理による苗の葉いもちの防除効果は、種子消毒剤の有効成分として用いられる殺菌活性化合物であれば何でも併せ持つ性質ではなく、特定な殺菌活性化合物(即ち、本殺菌活性化合物)に特異的に存在する性質であることが明らかになった。
Figure 2005272412
試験例2 (種子浸漬処理による種子消毒方法と育苗箱潅注処理による防除方法との併用効果)
種子浸漬処理による種子消毒方法では、プロクロラズのフロアブル製剤が1000倍希釈された薬液に、いもち病菌保菌イネ(ヒノヒカリ)種子を24時間浸漬した後、当該イネ種子を1日間風乾することにより、消毒済みイネ種子を調製した。これを以下の試験で用いた。
プラスチックカップに床土を詰め、イネ(ヒノヒカリ)種子の播種時に所定濃度に希釈された薬液を、育苗箱内の床土に対して、育苗箱当たり500mL換算量の液量(床土の最大容水量を100としたときにその土壌容水量が約100に相当する液量)の潅注処理を施した直後に、上記の消毒済みイネ種子又は未消毒のいもち病菌保菌イネ種子を播種した。その後、当該イネを夜間のみ多湿条件(湿度90%以上)という環境条件下のもと自動開閉式発病装置内で育成した。播種37日後に、任意の60枚の葉を選抜して、当該葉における苗の葉いもちによる病斑数を調査し、各体系処理方法における1葉当たりの苗の葉いもちによる病斑数を算出した。その結果を表2に示した。
本発明における方法は、比較対照における方法に比べて顕著に優れた苗の葉いもちに対する防除効果を示した。さらに、種子消毒剤を用いてイネ種子を浸漬処理により消毒した後、さらにイネ種子に対して本発明を適用することでより効果的にかつ安定した苗の葉いもちの防除が得られることが判った。
Figure 2005272412
試験例3 (本殺菌活性化合物と他の殺菌活性化合物とを含有する本発明薬液を用いた潅注処理による苗の葉いもち防除効果)
プラスチックカップに床土を詰め、イネ(ヒノヒカリ)種子の播種時に所定濃度に希釈された薬液を、育苗箱内の床土に対して、育苗箱当たり500mL換算量の液量(床土の最大容水量を100としたときにその土壌容水量が約100に相当する液量)の潅注処理を施した直後に、未消毒のいもち病菌保菌イネ種子を播種した。その後、当該イネを夜間のみ多湿条件(湿度90%以上)という環境条件下のもと自動開閉式発病装置内で育成した。
一方、プラスチックカップに床土を詰め、薬液の潅注処理を施すことなく、未消毒のいもち病菌保菌イネ種子を播種した。その後、当該イネを夜間のみ多湿条件(湿度90%以上)という環境条件下のもと自動開閉式発病装置内で育成した。播種7日後に、イネ苗に所定濃度に希釈された薬液を、育苗箱内の床土に対して、育苗箱当たり500mL換算量の液量(床土の最大容水量を100としたときにその土壌容水量が約100に相当する液量)の潅注処理を施した。
上記のいずれの試験系においても、播種37日後に、任意の60枚の葉を選抜して、当該葉における苗の葉いもちによる病斑数を調査した。両処理方法における1葉当たりの苗の葉いもちによる病斑数を算出した。その結果を表3に示した。
いずれの本発明における方法でも、苗の葉いもちに対する優れた防除効果が判明した。つまり、本殺菌活性化合物と他の殺菌活性化合物とを含有する本発明薬液を用いた潅注処理も、本殺菌活性化合物のみを含有する本発明薬液を用いた潅注処理と同様な苗の葉いもち防除効果を期待できることが確認された。
Figure 2005272412
本発明により、苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用等を提供することが可能になり、そして「苗いもち」を抑制すると同時に、外部から飛散してきたいもち病菌胞子による「苗の葉いもち」をも防除することが可能となった。


Claims (9)

  1. 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としての、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用。
  2. 細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物が、メチル1-(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−イルカーバメート、メチルベンズイミダゾール−2−イルカーバメート、ジメチル[(1,2-フェニレン)ビス−(イミノカルボノチオイル)]ビス[カーバメート]又は2,4−チアゾール−1H−ベンズイミダゾールであることを特徴とする請求項1記載の使用。
  3. 育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除する方法であって、種子の播種時から苗の移植までに期間において、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物を有効成分として含有する潅注処理用薬液を、育苗箱内の床土に対して、当該育苗箱内の床土の最大容水量を100としたときにその土壌の容水量が50から100までの範囲になる液量の潅注処理を施すことを特徴とする方法。
  4. 細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物を有効成分として含有することを特徴とする育苗期のイネ苗に発生する葉いもちを防除するための潅注処理用薬液。
  5. 潅注処理用薬液が、さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の使用。
  6. 潅注処理用薬液が、さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする請求項3記載の方法。
  7. 細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物が、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド及び/又はテトラクロロイソフタロニトリルを含有することを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. さらに他の殺菌活性化合物として、細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物を含有することを特徴とする請求項4記載の潅注処理用薬液。
  9. 細胞分裂阻害作用を有するベンズイミダゾール系殺菌活性化合物以外の殺菌活性化合物が、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド及び/又はテトラクロロイソフタロニトリルを含有することを特徴とする請求項8記載の潅注処理用薬液。


JP2004091367A 2004-03-26 2004-03-26 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用 Pending JP2005272412A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091367A JP2005272412A (ja) 2004-03-26 2004-03-26 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004091367A JP2005272412A (ja) 2004-03-26 2004-03-26 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005272412A true JP2005272412A (ja) 2005-10-06

Family

ID=35172451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004091367A Pending JP2005272412A (ja) 2004-03-26 2004-03-26 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005272412A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04173703A (ja) * 1990-11-06 1992-06-22 Hokko Chem Ind Co Ltd 稲病害の省力防除方法
JPH06256120A (ja) * 1993-03-05 1994-09-13 Nippon Bayeragrochem Kk 農園芸用殺菌剤組成物
JP2004189601A (ja) * 2002-12-06 2004-07-08 Nippon Soda Co Ltd イネ種子伝染性病害防除方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04173703A (ja) * 1990-11-06 1992-06-22 Hokko Chem Ind Co Ltd 稲病害の省力防除方法
JPH06256120A (ja) * 1993-03-05 1994-09-13 Nippon Bayeragrochem Kk 農園芸用殺菌剤組成物
JP2004189601A (ja) * 2002-12-06 2004-07-08 Nippon Soda Co Ltd イネ種子伝染性病害防除方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2004084632A1 (fr) Fongicides contenant un compose d'ester methyle d'acide acrylique methoxy
JPH01502028A (ja) 殺菌剤組成物
TWI565409B (zh) 預防移栽稻米疾病之方法
JP2001508409A (ja) 2―イミダゾリン―5―オンを成分とする新規な殺菌剤組成物
JP2916736B2 (ja) 種子消毒剤
JP2006520340A (ja) 植物有害生物の防除のための組成物
JP2004250378A (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
JP2929213B2 (ja) 畑作用除草剤組成物及び除草方法
WO2009042567A1 (en) Solid formulations of hydrogen cyanamide for agricultural applications
CN110150306B (zh) 一种活性成分组合物
JP2005272412A (ja) 苗の葉いもち防除のための潅注処理用薬液における有効成分としてのベンズイミダゾール系殺菌活性化合物の使用
JP5546912B2 (ja) 除草性組成物
JP2022537465A (ja) 相乗的殺菌組成物
JP3869063B2 (ja) 農園芸用殺菌組成物
JP2017078026A (ja) 害虫の防除方法及び防除剤
JPS6144805A (ja) 殺菌組成物
JP3648608B2 (ja) 植物用防カビ剤及びカビ発生防止方法
JPH05155718A (ja) 種子消毒剤
RU2815385C2 (ru) Синергическая фунгицидная композиция
JPH02104506A (ja) 農業用種子消毒剤の効力増強法
JP4385692B2 (ja) 農園芸用殺菌剤組成物
JP3066516B2 (ja) イネ種子用消毒剤
JPH03284601A (ja) 農園芸用殺菌組成物
JP2007332057A (ja) 銀担持ゼオライトを有効成分として含有する水稲種子消毒剤および該消毒剤による稲病害の防除方法
JP4964508B2 (ja) 種子消毒剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070126

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080130

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100420

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100831