JP2007332057A - 銀担持ゼオライトを有効成分として含有する水稲種子消毒剤および該消毒剤による稲病害の防除方法 - Google Patents

銀担持ゼオライトを有効成分として含有する水稲種子消毒剤および該消毒剤による稲病害の防除方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糸状菌性、細菌性病害および線虫の何れに対しても高い防除効果を発揮し、作物に対する薬害安全性も高く、省力的かつ廃液のでない処理方法を可能とする新しい種子消毒剤および該消毒剤を用いた種子、特に水稲種子に対する病害の防除方法を提供すること。
【解決手段】ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオンで置換することにより得られ、得られた銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量[測定法:「原子吸光法」と「蛍光X線法」]が0.1〜15.0重量%である銀イオンを担持した銀担持
ゼオライトを有効成分として含有する水稲種子消毒剤。上記消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量が10〜70重量%であることが好ましく、また、上記消毒剤が稲病害の糸状菌性病害用、細菌性病害用または線虫による病害用であることが好ましく、また、水中浸種後であって催芽処理前の水稲種子用であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀担持ゼオライトを有効成分として含有する水稲種子消毒剤および該消毒剤による稲病害の防除方法に関する。
銀イオン等の金属イオンが、ばか苗病、いもち病、ごま葉枯病、苗立枯病等を発症する糸状菌に対する抗菌性、および、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病、褐条病等を発症する細菌に対する抗菌性を有することは従来から知られている。
例えば、農園芸分野の殺菌剤として特開平4−36208号公報(特許文献1)には、銀イオンを含むアルミノ珪酸塩(ゼオライト)を有効成分として含有(例:5.4wt%、1
5.2wt%等)する農園芸用殺菌剤が開示され、稲苗のイネもみ枯細菌病等の防除に効
果がある旨記載されている。
また、特開平4−46106号公報(特許文献2)には、銀イオン等の金属イオンを保持したアルミノ珪酸塩(ゼオライト)の抗菌、殺菌性皮膜を有する農園芸用殺菌性組成物が開示され、イネ白葉枯病等の植物病害対策に有効である旨記載されている。
また、特開2002−80302号公報(特許文献3)には、ゼオライトに銀イオンを20〜40%担持させた銀担持ゼオライトを有効成分とする農園芸用水中懸濁製剤が開示され、この薬剤は、農園芸植物に害を加える線虫や、ゴルフ場のグリーンなどに発生する藻類、苔類、及び植物病原菌に対して防除活性を示し、イネ白葉枯病、イネばか苗病、イネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病等の植物病害を防除できる旨記載されている。
さらにこの特許文献3(試験例7)では、
(i)銀濃度が25〜100ppmの上記銀担持ゼオライト含有懸濁液に、イネもみ枯細菌病菌液を添加して得られた液体に、水稲種子を32℃で24時間浸漬した後、育苗箱に播種し、発病程度を試験したこと;
(ii)イネ苗立枯細菌が含まれた菌液に水稲種子を浸漬し該細菌病を接種した後、この水稲種子を上記水中懸濁製剤に浸漬処理あるいは、この水稲種子に水中懸濁製剤を吹付け処理した後、育苗箱に播種し、32℃で2日間育苗して出芽させたのち、ハウスに移して育苗し、発病程度を試験したこと;
(iii)イネばか苗病に自然感染した籾に、上記(ii)の試験を行ったこと;などが記載されている。
しかしながら、該特許文献3には、浸種処理を行った水稲種子に薬剤を処理するとの技術的思想は存在しない。
また、これら公報には、実質上廃液が出ない処理方法については全く言及されていない。
なお、銀が作物に対して薬害を発生させ得ることも広く知られており、それを防止するには、植物病害防除剤として、ナイロン繊維に鍍金させたりするなどの薬害対策方法も提案されている[「農薬ハンドブック2005年版」(社団法人 日本植物防疫協会、平成
17年10月11日発行)の第289〜290頁(非特許文献1)]。
ところで、稲育苗箱に発生する病害は、さまざまな植物病原菌により引き起こされ、こ
れらの病害を防除することは健全な苗生産をするために極めて重要な課題である。種子伝染性病害の防除では、糸状菌性および細菌性病害を同時に防除する必要がある。しかしながら、細菌性病害の防除においては、従来、通常、無機系銅化合物を有効成分とする無機系銅種子消毒剤、有機系銅を有効成分とする有機系銅種子消毒剤、TMTD(チウラム)剤、オキソリニック酸剤およびカスガマイシン剤が広く使用されているが、これらの種子消毒剤には、イネ苗立枯細菌病などの細菌性病害の防除に対しては必ずしも十分でないか、ヒトや魚類、作物に対する安全性が不十分であるか、あるいは継続使用すると薬剤耐性菌が発生してしまい十分な防除効果が発揮できないなどの問題点がある。
また、近年消費者の食に対する安全志向の高まりから、作物栽培において使用される農薬数(種類)、農薬の使用回数、あるいは農薬中の有効成分含有量などの低減が求められており、種子消毒剤としても、有効成分数(種類)や量の少ない種子消毒剤の開発が求められている。
種子消毒剤について、現在広く実施されている種子消毒方法は、浸種前消毒方法、すなわち、乾籾を種子消毒剤で処理した後、停滞水中に浸種し、種籾に十分吸水させる方法である。この薬剤処理法としては、種籾を水で所定濃度に希釈した薬液中に一定時間浸漬処理する方法、種籾に一定量の薬剤を粉衣あるいは塗抹処理する方法、あるいは高濃度薬液を種籾に吹き付け処理する方法などがある。
しかし、この浸漬処理方法は、多量の薬液を使用するため、処理後の薬液の廃棄が環境面から問題となる。また、粉衣処理、塗抹処理、吹き付け処理においても、各処理籾は、停滞水中で浸種する必要があり、種籾に付着した薬剤が浸種水中に溶出し、この浸種水をこのまま廃棄することは環境面から好ましくない。
一方、浸種して十分に吸水させた種籾に対し、種子消毒剤を粉衣処理するか、薬液を吹き付け処理あるいは塗沫処理し、処理された種籾を稲苗用育苗箱に播種し、覆土する方法が提案され、廃液が出ない種子消毒方法として知られている(特開平11−28006号公報)。
しかしながら、現在種子消毒の際に多く使用されているDMI剤(EBI剤ともいい、病原糸状菌の代謝の一部を阻害する殺菌剤の総称であり、「ステロール生合成阻害剤」ともいう。)では、薬剤処理に適した催芽状態(ハト胸状態)での処理を行うと、育苗環境によっては薬害を生じる危険性があるためほとんど実施されていない。
これまで述べてきたように種子伝染性病害防除においては、細菌性および糸状菌性病害の同時防除が必要であるが、特に細菌性病害防除においては、防除効果、作物等への安全性および薬剤耐性の面から適用可能な薬剤が少なく、有効な薬剤の開発が急務となっている。
また、近年食への安全志向の高まりから、使用農薬数、使用農薬回数あるいは使用農薬中の有効成分の低減要望が高く、低成分数且つ広い防除スペクトラムを有する薬剤の開発も求められている。さらに、従来からの種子消毒法である、種籾を薬液中に浸漬したり、予め高濃度の薬液を乾籾に吹き付けて保存したり、乾籾に薬剤を粉衣するなどの種子消毒法は、一般にこれらの作業の後、均一な出芽状態を確保する観点より停滞水中に浸漬する必要があるなど、作業が煩雑であり、大量の廃液が生じる。
このため、より省力的な種子消毒方法の確立が望まれており、その解決法の一つとして、(水に)浸種後の籾に、種子消毒剤による処理を施す方法が、廃液が出ない種子消毒方法として知られているが、防除効果および作物への薬害安全の面から現状では実施されて
いない。
特開平04−36208号公報 特開平04−46106号公報 特開2002−80302号公報 「農薬ハンドブック2005年版」(社団法人 日本植物防疫協会、平成17年10月11日発行)の第289〜290頁
本発明はこのような現状に鑑み、1成分で糸状菌性、細菌性病害および線虫の何れに対
しても高い防除効果を発揮し、作物に対する薬害安全性も高く、省力的かつ廃液のでない処理方法を可能とする新しい種子消毒剤および該消毒剤を用いた種子、特に水稲種子に対する病害の防除方法を提供することを目的としている。
本発明は、特に、稲種籾などを水に浸種し吸水させた後、催芽処理前に薬剤を施用すると、糸状菌性病害、細菌性病害および線虫による病害などの発病苗率(%)あるいは発病度(%)が低く、薬害の発生がなく、防除価(%)が高く、廃液量が少ないなどの効果を有するような種子消毒剤を提供することを目的としている。
また、本発明は、上記効果、すなわち糸状菌性病害、細菌性病害および線虫の何れの病害に対してもこれら病害の発病苗率が低く、薬害の発生がなく、防除価が高く、廃液量が極めて少ないなどの効果が得られるような稲などの病害の防除方法を提供することを目的としている。
本発明に係る水稲種子消毒剤は、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオンで置換することにより得られ、銀イオンを担持した銀担持ゼオライトを有効成分として含有する。
本発明では、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量[測定法:「原子吸光法」と「蛍光X線法」]が通常0.1〜15.0重量%、好ましくは、1〜10重量%であることが
抗菌力が安定し、根上がり症状の薬害が発生しない、著しい生育抑制が発生しないなどの点で望ましい。
また、種子消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量が10〜70重量%、好ましくは30〜50重量%であることが優れた種子消毒効果が得られる、製剤作業性が良好である、高い薬害安全性が得られるなどの点で望ましい。
本発明に係る水稲種子消毒剤は、上記水稲種子消毒剤が稲病害の糸状菌性病害用または細菌性病害用として好適である。
本発明に係る水稲種子消毒剤は、その好適態様では、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量が上記のように少なく、さらには、種子消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量も上記範囲にあると、特に水中浸種後に催芽処理して播種される、水中浸種後催芽処理前の水稲種子用として使用すれば、処理すべき廃液量が少なく環境への負荷が少なくでき、作業者の安全性に優れ、十分な防除効果が発揮される、作業の省略化・効率化に有効であるなどの点で好適である。
本発明に係る稲病害の防除方法では、稲種籾などの種子を水中に浸種し吸水させた後、上記何れかに記載の種子消毒剤にて粉衣処理、(該消毒剤(その薬液)にて)吹き付け処理あるいは塗抹処理の何れかの処理を行い、その後、必要により催芽処理し、次いで、処
理された稲種籾を育苗箱に播種し、覆土することを特徴とする。
上記稲病害の防除方法は、上記稲病害が糸状菌性病害、細菌性病害または線虫による病害である場合に好適である。
この本発明に係る水稲種子消毒剤を用いて、稲種子を水に浸種した後で消毒することにより、種子に寄生する植物病原菌を殺滅し、あるいは稲種子の播種後に土壌中に生息しており、種子、幼苗に侵入して被害をもたらす土壌伝染性病原菌から種子を効果的に保護できる。また、この水稲種子消毒剤は、作物に対する薬害安全性も高く、省力的かつ廃液の出ない処理方法を可能とする。ゆえに、この水稲種子消毒剤は、農園芸分野で有効に使用しうるものである。
特に、本発明の好適態様では、銀イオン濃度が0.1〜15%の銀担持ゼオライトを10〜70%含有する種子消毒剤を、浸種後の稲種籾に粉衣処理するか、または該消毒剤の薬液で吹き付け処理あるいは塗抹処理し、その処理した稲種籾を育苗箱に播種し、覆土することにより、1成分により主要な種子伝染性の糸状菌性および細菌性病害を効果的に防
除できる。
本発明の処理方法では、浸種前の処理による従来の種子消毒方法の場合より明らかに優る種子消毒効果が発揮される。
また、本発明の種子消毒剤および処理方法によれば、稲に薬害を与えることもなく、従来の種子消毒に比べて薬液への浸漬、風乾などの作業も不要であり、これまでの種子消毒のように薬液に浸漬しないため種子消毒液の残液が生じないので廃液処理も不要であるなど、環境への安全性向上と作業の省略化を図ることができる。
以下、本発明に係る水稲種子消毒剤および該消毒剤による稲病害の省力防除方法について具体的に述べる。
[水稲種子消毒剤]
本発明に係る水稲種子消毒剤は、銀イオンを担持したゼオライトである「銀担持ゼオライト」を有効成分として含有するが、この銀担持ゼオライトは、(銀を担持していない)ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオンで置換することにより得られる。
本発明では、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量が通常0.1〜15.0重量%、好ましくは、1〜10重量%であると抗菌力が安定し、根上がり症状の薬害が発生しない、著しい生育抑制が発生しないなどの点で望ましい。なお、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量は、「原子吸光法」と「蛍光X線法」の何れの測定法による値であっても上記
範囲内にあればよいが、好ましくは、両方の測定法による「銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量」が何れも上記範囲にあることが望ましい。
この銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量が上記範囲より少ないと、薬害はより低減されるものの、十分な防除効果などが得られず、また上記範囲を超えると、著しい生育抑制、根上り症状の薬害が発生する恐れが高くなる。
また、種子消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量が10〜70重量%、好ましくは30〜50重量%であると優れた種子消毒効果が得られる、製剤作業性が良好、高い薬害安全性が得られるなどの点で望ましい。
この銀担持ゼオライトの含有量が上記範囲より少ないと、防除効果が十分でなく、また、上記範囲より多いと、製剤化が困難となる傾向がある。
本発明に係る水稲種子消毒剤は、上記水稲種子消毒剤が稲病害の糸状菌性病害用または細菌性病害用として好適である。本発明に係る水稲種子消毒剤が好適に適用可能な糸状菌性病害としては、イネいもち病、イネばか苗病、イネごま葉枯病などが挙げられ、また細菌性病害としては、イネ苗立枯細菌病、イネもみ枯細菌病、イネ褐条病などが挙げられる。
本発明に係る水稲種子消毒剤は、その好適態様では、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量が上記のように少なく、さらには、種子消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量も上記範囲にあると、特に(水中浸種後に催芽処理して播種される、)水中浸種後催芽処理前の水稲種子用として使用すれば、処理すべき廃液量が少なく環境への負荷が少なくでき、作業者の安全性に優れ、十分な防除効果が発揮される、作業の省略化・効率化が図られるなどの点で好適である。
この水稲種子消毒剤は、水稲種子1kg当たり、通常1〜50gの量で、好ましくは、2〜20gの量で用いられる。
(銀担持ゼオライト)
この水稲種子消毒剤に配合されている銀担持ゼオライトは、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオンで置換等したものであるが、使用されるゼオライトとしては、天然ゼオライトおよび合成ゼオライトのいずれも用いることができる。ゼオライトは一般に三次元骨格構造を有するアルミノシリケートであり、一般式としてXM2/nO・Al23・YSiO2・ZH2Oで表示される。ここでMはイオン交換可能なイオン
を表し、通常は1又は2価の金属イオンである。nは(金属イオン)の原子価である。X
およびYはそれぞれの金属酸化物、シリカ係数、Zは結晶水の数を示している。
ゼオライトの具体例としては例えばA−型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライト、チヤパサイト、エリオナイト等を挙げることができる。ただしこれらに限定されるものではない。
銀イオン量としては、稲に対する薬害安全面より、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量[原子吸光法と蛍光X線法の何れかによる測定値、好ましくは、両者による測定値]
が、上記したように、通常0.1〜15重量%、さらには1〜10重量%であるものが好ましい。
(銀担持ゼオライトの調製)
上記銀担持ゼオライトは、例えば、以下の方法により製造される。
先ず、予め調製した銀イオンを含有する水溶液(銀イオン含有液)にゼオライトを接触させて、ゼオライト中のイオン交換可能なイオンと銀イオンを置換させる。接触は、通常10〜70℃、好ましくは40〜60℃の温度で、通常3〜24時間、好ましくは10〜24時間、バッチ式または連続式(例えばカラム法)によって行うことができる。
なお、ゼオライトと接触させる際のこの銀イオン含有液のpHは通常3〜10、好ましくは5〜7に調整することが望ましい。該調整により、銀の酸化物等のゼオライト表面または細孔内への析出を防止できるので好ましい。また、水溶液の銀イオンは、通常いずれも塩として供給される。例えば、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、ジアンミン銀硫酸塩等を用いることができる。
銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量は前記水溶液中の銀イオン(塩)濃度を調節する
ことによって適宜制御することができる。例えば、銀担持ゼオライトの銀イオン含有量としては、前期水溶液中の銀イオン濃度を0.002M/リットル〜0.15M/リットルとすることによって、銀イオン含有量が0.1〜5%の銀担持ゼオライトを得ることができる。
イオン交換が終了したゼオライトは、十分に水洗した後、乾燥させることが望ましい。
乾燥は、常圧下で105℃〜115℃の温度に保持するか、または減圧(1〜30to
rr)下に70〜90℃の温度に保持して行うのが好ましい。
このようにして得られた銀担持ゼオライトは、以下に述べる本発明の水稲種子消毒剤の調製に好適に用いることができる。
<水稲種子消毒剤の調製(製剤化方法)>
本発明の水稲種子消毒剤は、好適には上記製法で調製された銀担持ゼオライトを1種又
は2種以上用い、前述したような従来より公知の方法を適宜利用することにより調製でき
る。
また、本発明では、例えば、市販の銀担持ゼオライト(商品名:「ゼオミック」、製造販売会社:株式会社シナネンゼオミック、銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量:4.45重量%、同じく銀イオンの含有量2.20重量%)などを1種または2種以上組み合わせて用いることにより本発明の水稲種子消毒剤を製造できる。
なお、本発明では、銀イオン含量の異なる銀担持ゼオライトを2種以上組み合わせる場合には、銀担持ゼオライト中、あるいは水稲種子消毒剤中の銀イオン量はそれらの平均値で示す。
本発明では、上記銀担持ゼオライトを薬効成分として用いて、適当な担体および補助剤、例えば、界面活性剤、結合剤、有効成分の安定剤などを配合し、常法によって水和剤、フロアブル剤、水和顆粒剤等の種々の剤型に製剤化できる。
使用できる担体としては、農薬製剤に増量剤、賦型剤等として常用されているものであれば、固体または液体の何れでも使用でき、特に限定されない。
例えば、固体担体としては、鉱物質粉末(例:カオリン、ベントナイト、クレー、タルク、けいそう土、シリカ、バーミュキュライト、炭酸カルシウムなど)、天然高分子(例:小麦粉、でんぷん、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチンなど)、糖類(例:グルコース、マルトース、ラクトース、シュークロースなど)、硫安、尿素などが挙げられる。
また、液体担体としては、水、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、キシレン、メチルナフタレン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサン、石油エーテル、ソルベントナフサ、灯油、軽油などが挙げられる。
また、水和剤、フロアブル剤などへの製剤化に際して、分散、可溶化、湿潤化、発泡、拡展などの目的で、界面活性剤が使用される。このような界面活性剤としては、非イオン型、陰イオン型、陽イオン型、両性イオン型など、例えば、特許公開2002−80313号公報の[0011]〜[0014]に記載のものなどが使用できる。
具体的には、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、リグニンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンひまし油エーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシ
プロピレンブロックポリマー、ラウリル硫酸ナトリウムなどが使用される。
水和剤
例えば、水和剤では、上記銀担持ゼオライト100重量部に対して、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの非イオン型界面活性剤を1〜1000重量部の量で、また、リグニンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン型界面活性剤を1〜1000重量部の量で、ホワイトカーボン、クレーなどの固体担体、増量剤を1〜10000重量部の量で用い、各成分を一度に、あるいは任意の順序で少しずつ配合し、均一になるまで混合、粉砕することにより、所望の水和剤が得られる。
このような水和剤における上記銀イオン含量の銀担持ゼオライトの含有量は、通常10〜70重量%、好ましくは30〜50重量%程度が望ましい。また、このような水和剤では、水和性を3分以内又は2分以内、見掛け比重を0.4以上に調整することが望ましい。
フロアブル剤
例えば、フロアブル剤では、上記銀イオン含量の上記銀担持ゼオライト100重量部に対して、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの非イオン型界面活性剤を1〜1000重量部の量で、また、リグニンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン型界面活性剤を1〜1000重量部の量で、キサンタンガムなどの増粘剤を0.1〜100重量部の量で、水を100〜10000重量部の量で一度に、あるいは任意の順序で少しずつ配合し、均一になるまで混合、分散することにより、所望のフロアブル剤が得られる。
このようなフロアブル剤における上記銀イオン含量の銀担持ゼオライトの含有量は、通常10〜60重量%、好ましくは30〜50重量%程度が望ましい。
[稲病害の防除方法]
本発明に係る稲病害の防除方法では、水中に浸種した後、上記何れかに記載の種子消毒剤にて粉衣処理、(該消毒剤(の薬液)にて)吹き付け処理あるいは塗抹処理の何れかの処理を行い、その後、そのままあるいは催芽処理し、次いで、処理された稲種籾を育苗箱に播種し、覆土することを特徴とする。
水中への浸種条件としては、例えば、10〜15℃[例:15℃]水中×6〜9日間[例:6日間]程度が均一な発芽状態を確保するなどの点で望ましい。
また、催芽処理条件としては、例えば、30〜32℃[例:32℃]×15〜18時間[例:15時間]程度が育苗初期の生育の勢いを確保するなどの点で望ましい。
上記稲病害の防除方法は、上記稲病害が前述したような糸状菌性病害、細菌性病害、およびイネシンガレセンチュウ病である場合に好適である。
以下、上記稲病害の防除方法についてさらに具体的に説明する。
本発明では、上記薬剤(水稲種子消毒剤)を用いて種籾に処理する方法は次のようにして行う。すなわち、粉衣方法は、回転式ドラムに稲種籾と種子消毒剤を入れ、ドラムを回転することにより種籾に薬剤を均一に粉衣する。また薬液の吹き付け方法としては、例えば(1)ホッパーから落下する種籾に適当なノズルを用い直接に薬液を吹き付ける方法、(2)ホッパーから育苗箱に振動するガイド板を取り付け、その上を跳びはねながら種籾が通過する時に適当なノズルを用い薬液を吹き付ける方法、(3)ホッパーから育苗箱上に通じるドラムを取付け、その中を通過する種籾に薬液を吹き付ける方法などが使用できる。
なお、上述の吹き付け機には、種籾に吹き付けられなかった薬液を回収する薬液受けを取付け、ポンプにより再び薬液タンクに戻るようにする。小規模な種籾への薬液の吹き付け法としては、モルタルミキサーのような回転する機械の中に種籾を入れ、適当な散布器
で所定薬量を均一に吹き付ければよい。
塗抹方法は粉衣処理と同様に回転式ドラムに水で希釈した薬液と種籾を入れ、ドラムを回転させることにより、薬液を種籾に均一に塗抹する。
稲種籾は水中に浸種することにより十分吸水(積算温度60〜100℃)させた後、次の方法により本発明の種子消毒剤で処理することが望ましい。
すなわち、種子消毒剤(水和剤)を用いて粉衣処理する場合は、浸種後の種籾に重量比で種籾の0.1%〜5%、好ましくは0.2%〜2%の量の該消毒剤(水和剤)を粉衣する。
塗抹処理する場合は、水中浸種後の種籾に消毒剤を水で1〜100倍に希釈し、薬液を種籾1kg当り1〜50mlの量を加え混和することにより塗抹処理する。
また吹き付け処理する場合は、消毒剤を水で1〜1000倍に希釈し、得られた薬液を上記の方法により種籾1kg当り1〜100ml、好ましくは10ml〜30mlの量を吹き付け処理する。
上記何れかの方法で種子消毒剤処理して得られた種籾は、そのままか、催芽させて育苗箱(縦×横×高さ=60cm×30cm×3cm)に播種し、覆土すればよい。
また、本発明の稲病害の省力防除方法は、上記の種子消毒剤をその他の殺菌剤、やその他の殺虫剤、植物成長調節剤、肥料などと混合して用いることができる。
次に、本発明の省力防除方法に使用する種子消毒剤について実施例を示すが、本発明に使用される剤型は特に限定されるものではない。また、補助剤も適宜変更して用いることができる。
[発明の効果]
本発明の稲病害の省力防除方法は、浸種後の稲種籾に、種子消毒剤を粉衣するか、該消毒剤の薬液を用いて、吹き付け処理するか、または塗抹処理するだけでよい。そのため、従来の薬液に浸漬して風乾する種子消毒法に比べて防除作業が簡単である。また種籾を薬液に浸漬しないし、消毒剤を処理した種籾を水に浸種することもない。そのため、廃液処理を必要とせず、環境汚染の心配がない。
また、本発明の種子消毒剤は、通常の浸種前処理に優る高い種子消毒効果が得られ、1
成分により主要な種子伝染病害であるイネばか苗病、イネごま葉枯病、イネいもち病、イネ苗立枯細菌病、イネ褐条病、イネもみ枯細菌病、イネ苗立枯病(リゾプス等)などに対して効果的な防除が可能である。
また、本発明では、ゼオライトへの銀イオンの担持量を0.1〜15%とすることにより、銀の稲に対する薬害を回避させることができ、該処理方法によっても稲に対して薬害を与えることもない。
さらに、本発明の種子消毒剤は、耐性菌による植物病害にも有効である。すなわち、本発明の活性成分である銀と、現在問題となっているベノミル、チオファネートメチルなどのベンズイミダゾール系薬剤、オキソリニック酸、カスガマイシンなどの薬剤とは作用性が全く異なるものである。そのためベンズイミダゾール系薬剤耐性イネばか苗病菌、オキソリニック酸耐性イネもみ枯細菌病菌、カスガマイシン耐性イネ褐条病菌などの耐性菌には、感受性菌と同等かあるいはむしろ有効に作用する。
以上述べたことからも本発明の種子消毒剤および防除方法は、環境保全型の水稲種子消毒剤および防除方法として有効であることがわかる。
次に、本発明に係る水稲種子消毒剤とその調製例、並びにこの消毒剤を用いた稲病害の省力防除方法の有用性を示すため好適な試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<種子消毒剤の調製例および試験例>
なお、実施例、試験例中で使用されている水稲種子消毒剤中の銀担持ゼオライトの銀イオン含有量は4.45重量%である。
また、実施例中で「部」とあるものは、すべて「重量部」表示である。
(a)銀担持ゼオライトの調製
種子消毒効果および薬害試験に供した銀担持ゼオライト中の銀イオン含有量は5%であり、以下のようにして調製したものを用いた。
ゼオライトはA−型ゼオライト(Na2O・Al23・1.9SiO2・XH2O:平均粒径1.5μm)を使用し、銀イオンを提供するための塩としてAgNO3を使用した。
110℃で加熱乾燥したゼオライト粉末1kgに水を加えて、1.3リットルのスラリーとし、その後攪拌して脱気し、さらに適量の0.5N硝酸溶液と水とを加えて、pHを6.1に調整し、全容を1.8リットルのスラリーとした。
次に、銀イオン交換のため、0.15Mの硝酸銀溶液3リットルを加えて全容を4.8リットルとし、このスラリー液を40〜60℃に保持し、10〜24時間攪拌しつつ平衡状態に到達させた状態に保持した。
イオン交換終了後のゼオライト相をろ過し室温の水または温水でゼオライト相中の過剰の銀イオンがなくなるまで水洗した。これを110℃で加熱乾燥し、上記銀担持ゼオライト(サンプル(a1))を得た。
(b)水稲種子消毒剤の調製
[実施例1](水和剤)
上記銀担持ゼオライト(a1)50部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部、リグニンスルホン酸ナトリウム3部、ホワイトカーボン5部、クレー40部を準備し、これらを均一に混合し、粉砕して本発明の水稲種子消毒剤(水和剤)を得た。
[実施例2](水和剤)
上記銀担持ゼオライト(a1)50部、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル3部、リグニンスルホン酸ナトリウム5部、ホワイトカーボン10部、クレー32部を準備し、これらを配合して均一に混合し、粉砕して本発明の水稲種子消毒剤(水和剤)を得た。
[実施例3](水和剤)
上記銀担持ゼオライト(a1)50部、ポリオキエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー5部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、ホワイトカーボン10部、クレー33部を準備し、これらを均一に混合し、粉砕して本発明の水稲種子消毒剤(水和剤)を得た。
[実施例4](フロアブル剤)
上記銀担持ゼオライト(a1)45部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1部、リグニンスルホン酸ナトリウム1部、キサンタンガム2%水溶液5部、水48部を準備し、これらをホモミキサーで均一に混合分散させ、フロアブル剤を得た。
[試験例]
<試験例1> (イネばか苗病防除効果試験)
イネばか苗病自然感染罹病籾〔品種「新潟早生」〕を15℃で6日間、水に浸種した。そして次の(a)〜(c)の何れかの方法によって稲種籾を種子消毒した。
(a)粉衣処理法は、浸種後の種籾150gと実施例に準じて調製した水和剤、あるいは市販の薬剤の所定薬量を、三角フラスコに入れて粉衣処理した。
(b)吹き付け処理法は、浸種後の種籾150gに対し、実施例に準じて調製した薬剤、
あるいは市販の薬剤を水で希釈し、所定濃度とした薬液4.5ml(種籾重量の3%相当量)が種籾に均一に付着するように小型エアースプレーヤーを用いて吹き付け処理した。(c)塗抹処理法は、浸種後の種籾150gと実施例に準じて調製した薬剤、あるいは市販の薬剤を水で希釈し、所定濃度とした薬液4.5ml(種籾重量の3%相当量)を、三角フラスコに入れ、種籾を薬液とよく混和させ、塗抹処理した。
このようにそれぞれ薬剤処理した種籾150gのうち15g量を、通常の育苗箱(縦×横×高さ=60cm×30cm×3cm)の10分の1の大きさの育苗箱(縦×横×高さ=12cm×15cm×3cm)に播種し、直ちに覆土した。そして覆土後は、32℃で2日間保持し出芽処理(催芽処理)し、出芽後2日間は温室内の寒冷紗で遮光し、その後は寒冷紗を除去し、通常のガラス製温室内で栽培管理をした。
なお、育苗培土は市販のくみあい合成培土3号(三井東圧肥料社製)を使用した。
従来の種子消毒方法による対照区の浸種前の種子消毒方法は、次の(a1)〜(c1)の何れかのように行った。
(a1)粉衣処理法では、浸種前の種籾150gと市販の薬剤の所定薬量を、三角フラスコに入れて粉衣処理した。
(b1)吹き付け処理法は、浸種前の種籾150gに対し、市販の薬剤を水で希釈し、所定濃度とした薬液4.5ml(種籾重量の3%相当量)が種籾に均一に付着するように小型エアースプレーヤーを用いて吹き付け処理した。
(c1)塗抹処理法は、浸種前の種籾150gと市販の薬剤を水で希釈し、所定濃度とした薬液4.5ml(種籾重量の3%相当量)を、三角フラスコに入れ、種籾を薬液とよく混和させ、塗抹処理した。
上記(a1)〜(c1)の何れかの方法で消毒処理された種籾を、次いで、15℃で6日間水に浸漬(浸種)し、水を切って32℃で一夜催芽処理し、ハト胸状態を呈する種籾を育苗箱に播種した。播種後は覆土し、本発明区の育苗箱と同様に管理した。
播種30日後に育苗箱の全苗について、徒長、枯死などのイネばか苗病症状を示した発病苗数と無病徴の苗数について調査し、下記式によって発病苗率(%)、防除価(%)を求めた。また、薬害については出芽程度、生育程度などについて観察し、下記の評価基準で薬害程度を示した。
Figure 2007332057
Figure 2007332057
薬害程度 −:無、 ±:微、 +:小、 ++:中、 +++:大
さらに、種子消毒時から播種時までの間に種子消毒に使用され、不要となった種子消毒廃液の量を計測し、また廃液中の有効成分濃度をHPLCにより測定した。
結果は表1に示す。
Figure 2007332057
<試験例2>( イネいもち病防除効果試験)
イネいもち病自然感染罹病籾〔品種「コシヒカリ」〕を15℃で6日間、水に浸種した。そして試験例1と同様の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
播種30日後に育苗箱の全苗について、イネいもち病の発病苗数と無発病の苗数について調査し、上記式によって発病苗率(%)を求め、防除価(%)を求めた。また、薬害については出芽程度、生育程度などについて観察し、前記の評価基準で薬害程度を示した。
結果は表2に示す。
Figure 2007332057
<試験例3> (イネごま葉枯病防除効果試験)
イネごま葉枯病開花期接種罹病籾〔品種「日本晴」〕を15℃で6日間、水に浸種した。そして試験例1と同様の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
播種30日後に育苗箱の全苗について、発病による著しい生育抑制を発病指数5、第1葉での発病を発病指数3、葉鞘での発病を発病指数1とし、下記式により発病度を求め、防
除価(%)を算出した。また、薬害については、出芽程度、生育程度などについて観察し、前記の評価基準で薬害程度を示した。
Figure 2007332057
Figure 2007332057
結果は表3に示す。
Figure 2007332057
<試験例4> (イネ苗立枯細菌病防除効果試験
供試籾としては、品種「キヌヒカリ」の開花期に、イネ苗立枯細菌病菌を噴霧接種して得た罹病籾を使用した。
このイネ苗立枯細菌病罹病籾を、15℃で6日間、水に浸種した。そして、試験例1と
同様の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
播種21日後に育苗箱の全苗について、著しい生育抑制あるいは枯死苗を発病指数3、第1葉白化苗および生育抑制苗を発病指数2とし、第2葉白化苗を発病指数1とし、下記
式[数5]により発病度を求め、防除価(%)を算出した。
また、薬害については出芽程度、生育程度などについて観察し、前記の評価基準で薬害
程度を示した。
Figure 2007332057
結果は表4に示す。
Figure 2007332057
<試験例5> (イネもみ枯細菌病防除効果試験)
供試籾としては、品種「キヌヒカリ」の開花期に、イネもみ枯細菌病菌を噴霧接種して得た罹病籾を使用した。
このイネもみ枯細菌病菌罹病籾を、15℃で6日間、水に浸種した。そして、試験例1
と同様の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
播種21日後に育苗箱の全苗について、著しい生育抑制あるいは腐敗枯死苗を発病指数3、第1葉白化苗および生育抑制苗を発病指数2とし、第2葉白化苗を発病指数1とし、
式[数5]により発病度を求め、防除価(%)を算出した。
また、薬害については出芽程度、生育程度などについて観察し、前記の評価基準で薬害程度を示した。
結果は表5に示す。
Figure 2007332057
<試験例6> (イネ褐条病防除効果試験)
供試籾は、品種「キヌヒカリ」の開花期に、イネ褐条病菌を噴霧接種して得た罹病籾を使用した。
このイネ褐条病菌罹病籾を、15℃で6日間、水に浸種した。そして、試験例1と同様
の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
播種21日後に育苗箱の全苗について、枯死苗あるいは第2葉での発病を発病指数3、第1葉での発病を発病指数2とし、不完全葉鞘での発病を発病指数1とし、式[数5]に
より発病度を求め、防除価(%)を算出した。
また、薬害については出芽程度、生育程度などについて観察し、前記の評価基準で薬害程度を示した。
結果は表6に示す。
Figure 2007332057
<試験例7>(耐性菌に対する防除効果試験)
供試籾は、品種「キヌヒカリ」の開花期に、カスガマイシン耐性イネ褐条病菌、オキソリニック酸耐性イネ褐条病菌、オキソリニック酸耐性イネもみ枯細菌病菌をそれぞれ噴霧接種して得た罹病籾を使用した。
このカスガマイシン耐性イネ褐条病菌罹病籾、オキソリニック酸耐性イネ褐条病菌罹病籾、オキソリニック酸耐性イネもみ枯細菌病菌罹病籾を、それぞれ15℃で6日間、水に浸種した。そして、試験例1と同様の方法により稲種籾を種子消毒し、育苗管理した。
結果を表7に示す。
Figure 2007332057
<試験例8> (イネシンガレセンチュウ防除効果試験)
供試籾としては、稲籾(品種:コシヒカリ)でイネシンガレセンチュウ自然感染籾を用いた。
以下の浸漬処理法によって種子消毒した。
浸漬処理法では、所定濃度の薬液270mlに種籾150gを24時間浸漬したのち、15℃で6時間陰干した。この薬剤処理した籾を、種籾容量の2倍量の水道水に15℃で5日間浸種した。
このようにそれぞれ薬剤処理した種籾150gのうち15g量を、通常の育苗箱(縦×横×高さ=60cm×30cm×3cm)の10分の1の大きさの育苗箱(縦×横×高さ=12cm×15cm×3cm)に播種し、直ちに覆土した。そして覆土後は、32℃で2日間出芽処理し、出芽後2日間は温室内の寒冷紗で遮光し、その後は寒冷紗を除去し、通常の栽培管理をした。
なお、育苗培土は市販のくみあい合成培土3号(三井東圧肥料社製)を使用した。
播種28日後の苗を水田に移植し、常法により約3ヶ月間栽培した。収穫期に慣行の方法により収穫した。
収穫後脱穀を行い、この脱穀粒5000粒について、被害粒数を調査し、下記式により被害粒率(%)を求め、防除価(%)を算出した。
結果を表8に示す。
Figure 2007332057
Figure 2007332057
Figure 2007332057
<試験例10>(各銀担持セ゛オライトの浸種後催芽前処理による水稲薬害)
各銀担持ゼオライトを浸種後(15℃×6日間)の種籾に所定量粉衣処理した。これを32℃×15時間催芽処理を行い育苗箱に播種した。
次いで、出芽処理(32℃×2日間)後、ガラス製温室内で育苗管理した。薬害は随時肉眼観察により行った。
結果を表9に示す。
Figure 2007332057
(各銀担持セ゛オライトの希釈液中の銀イオン濃度)
次に、各銀担持ゼオライトの希釈液中の銀イオン濃度を表10に示す。
(試験方法)
各銀担持ゼオライトを各希釈倍数の溶液になるように水で希釈した。攪拌後2時間静置し、比色法により溶液中の銀イオン濃度を分析した。
Figure 2007332057

Claims (6)

  1. ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部を銀イオンで置換することにより得られ、得られた銀担持ゼオライト中の銀イオンの含有量[測定法:「原子吸光法」と「蛍光X線法」]が0.1〜15.0重量%である銀イオンを担持した銀担持ゼオライト
    を有効成分として含有する水稲種子消毒剤。
  2. 上記消毒剤中の銀担持ゼオライトの含有量が10〜70重量%である請求項1に記載の水稲種子消毒剤。
  3. 上記消毒剤が稲病害の糸状菌性病害用、細菌性病害用または線虫による病害用である請求項1〜2の何れかに記載の水稲種子消毒剤。
  4. 上記消毒剤が、水中浸種後であって催芽処理前の水稲種子用である請求項1〜3の何れかに記載の水稲種子消毒剤。
  5. 水中に浸種し吸水させた後、請求項1〜4の何れかに記載の種子消毒剤にて粉衣処理、
    該消毒剤の薬液にて吹き付け処理あるいは塗抹処理の何れかの処理を行い、その後、必要により催芽処理し、次いで、処理された稲種籾を育苗箱に播種し、覆土することを特徴とする稲病害の防除方法。
  6. 上記稲病害が糸状菌性病害、細菌性病害または線虫による病害である請求項5に記載の稲病害の防除方法。
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