JP2005262489A - 印刷用ブランケット - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機溶剤による膨潤を抑制した印刷用ブランケットを提供すること。
【解決手段】 基布16にゴム糊を含浸させてなる基布層18を含む支持体14と、表面印刷層12と、を備える印刷用ブランケット10であって、表面印刷層形成用または基布層形成用のゴム組成物として、結合アクリロニトリルの含有量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、結合アクリロニトリルの含有量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を配合してなり、かつ、当該ゴム組成物の総体積に占める、加硫済みの高または極高ニトリルNBR微粉末の体積割合を、20〜70体積%に設定してなるものを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷用ブランケットに関し、より詳しくは、有機溶剤による膨潤を抑制した印刷用ブランケットに関する。
近年、オフセット印刷時の作業環境を改善する観点から、インキの溶剤として、揮発性の少ない有機溶媒が使用されている。しかしながら、このような溶媒は、概ね、印刷用ブランケットに対する膨潤性が高いものである。また、ブランケットの洗浄液についても、印刷用ブランケットを膨潤させ易い溶媒が多用されている。それゆえ、印刷処理の実行に伴って印刷用ブランケットが膨潤する問題は、近年特に顕著となっており、印刷用ブランケットの耐久性が低下するという、好ましくない事態を招いている。しかも、表面印刷層(表面ゴム層)の膨潤が顕著になると、印刷精度の低下を招くという問題があり、洗浄液が印刷用ブランケットの裏面から浸透するなどして、ブランケット全体が膨潤すると、印刷障害を招くという問題がある。
ところで、印刷用ブランケットの形成には、一般に、耐油性に優れたアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が用いられている。このNBRについては、結合アクリロニトリルの含有量(AN量)が大きいものほど耐油性に優れているが、その一方で、AN量が36%以上、43%未満である、いわゆる高ニトリルNBRや、AN量が43%以上(50%未満)である、いわゆる極高ニトリルNBRは、加工性、永久歪み特性、印刷特性等の点で劣っており、しかも、有機溶剤に溶けにくいためにゴム糊を調製しにくいという問題がある。また、溶剤の使用量を増やすことで高または極高ニトリルNBRのゴム糊を調製することが可能であるものの、この場合も、糊引き処理の作業性は依然として低く、しかも、溶剤量が増えることで、糊引き処理時の作業環境が悪化する。さらに、糊引きにより得られる未加硫のゴム層から、全ての溶剤を揮散、除去するのが困難になり、AN量が大きいNBRのガス透過性が低いことも相俟って、ゴム層内に残留した溶剤が、加硫後のゴム層内にてエアー穴を形成するという問題も生じる。
一方、特許文献1に記載の印刷用ブランケットでは、NBRの耐油性を向上させるために、所定の粘度範囲に調整された中高ニトリルゴムと極高ニトリルゴムとを、いずれも未加硫の原料ポリマーの状態で混合し、これを加硫することで表面印刷層を形成している。しかしながら、極高ニトリルNBRを未加硫状態で含むことから、依然としてゴム糊の調製や糊引き作業の作業性が良好ではない。また、加硫後のエアー穴の発生を抑制する効果が十分ではなく、歩留まりが低いという問題がある。
また、特許文献2に記載の印刷用ブランケットでは、ブランケットの洗浄液等が浸透するのを防止するために、印刷用ブランケットの裏面に、フッ素やケイ素を有するアクリル樹脂またはメタクリル樹脂からなる撥油性の被覆層を設けている。しかしながら、かかる被覆層は硬度が高く、印刷用ブランケット全体の柔軟性が低下することから、ブランケット胴への装着が困難になる等の、別の問題が生じる。また、フッ素やケイ素を有する化合物は、本来、離型性が高く、印刷用ブランケットから脱離し易いものであって、脱離した化合物が印刷用ブランケットの表面に付着、残存することにより、印刷処理時に異物となる問題もある。さらに、上記の被覆層は材料コストが高く、しかも、連続加硫によって長尺状の印刷用ブランケットを形成する用途に適さず、生産性が低いことから、製造コストが増加する。
特開平3−126595号公報 特開平11−91259号公報
本発明の目的は、有機溶剤による膨潤を抑制した印刷用ブランケットを提供することである。
本発明の第1の印刷用ブランケットは、基布にゴム糊を含浸させてなる基布層を含む支持体と、表面印刷層と、を備えるものであって、
上記表面印刷層形成用のゴム組成物として、
結合アクリロニトリルの含有量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、結合アクリロニトリルの含有量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を配合してなり、かつ、当該ゴム組成物の総体積に占める、加硫済みの高または極高ニトリルNBR微粉末の体積割合を、20〜70体積%に設定してなるもの
を用いることを特徴とする。
また、本発明の第2の印刷用ブランケットは、基布にゴム糊を含浸させてなる基布層を含む支持体と、表面印刷層と、を備えるものであって、
上記基布層形成用のゴム組成物として、
結合アクリロニトリルの含有量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、結合アクリロニトリルの含有量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を配合してなり、かつ、当該ゴム組成物の総体積に占める、加硫済みの高または極高ニトリルNBR微粉末の体積割合を、20〜70体積%に設定してなるもの
を用いることを特徴とする。
第1の印刷用ブランケットによれば、表面印刷層を形成するゴム組成物として、結合アクリロニトリルの含有量(以下、「AN量」という。)が36%以上である高または極高ニトリルNBRを含むものを用いることから、表面印刷層の耐油性を高くすることができる。また、第2の印刷用ブランケットによれば、基布層を形成するゴム組成物として、AN量が36%以上である高または極高ニトリルNBRを含むものを用いることから、当該ゴム組成物を用いて形成される基布層の耐油性を高くすることができる。それゆえ、第1および第2の印刷用ブランケットのいずれにおいても、印刷インキやブランケットの洗浄液等に用いられる溶媒、とりわけ低揮発性の有機溶媒に対する膨潤性を低くすることができる。
しかも、第1および第2の印刷用ブランケットでは、高または極高ニトリルNBRを、加硫し、かつ、微粉末状にした上で、表面印刷層形成用または基布層形成用ゴム組成物の基材ゴム(中または中高ニトリルNBR)に配合していることから、中または中高ニトリルNBRに、高または極高ニトリルNBRを、未加硫の状態で混合する場合とは異なり、基材ゴムである中または中高ニトリルNBRの加工性を維持することができる。また、高または極高ニトリルNBRは、加硫された微粉末として基材ゴムに配合されることから、基材ゴム中での分散性や基材ゴムとの親和性も良好である。
従って、本発明に係る第1および第2の印刷用ブランケットは、有機溶剤による膨潤を抑制し、膨潤に伴う印刷精度や耐久性の低下、印刷障害の発生等を抑制するものであって、オフセット印刷方式による印刷での使用に好適である。
本発明に係る第2の印刷用ブランケットの好適態様としては、支持体が基布層を2層以上積層してなるものであり、かつ、前述の基布層形成用ゴム組成物を用いて形成された基布層を、少なくとも印刷用ブランケットの最下層をなす基布層として用いてなるものが挙げられる。
上記好適態様に示すように、印刷用ブランケットの最下層をなす基布層として、前述の基布層形成用ゴム組成物を用いることによって、印刷用ブランケットの裏面から洗浄液が浸透し、膨潤するのを、より一層確実に抑制することができる。
なお、本発明において「アクリロニトリルブタジエンゴム」には、アクリロニトリルブタジエン共重合体(NBR)だけでなく、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエン共重合体(XNBR)や水素化アクリロニトリルブタジエン共重合体(HNBR)を含むものとする。また、特に断らない限り、XNBRやHNBRを含む、アクリロニトリルブタジエンゴム全体を、NBRと略して示す。
本発明に係る印刷用ブランケットは、これに限定されるものではないが、例えば図1に示す層構成を有するものが挙げられる。図1に示す印刷用ブランケット10は、インキ担持面をなす表面印刷層12と、その支持体14とを備えるものである。図1に示す支持体14は、綿布等の基布16にゴム糊を含浸させてなる基布層18を合計4枚積層したものである。基布層18の積層体中には、多孔質の弾性部材からなる圧縮性層20が配置されている。
(表面印刷層)
本発明の第1の印刷用ブランケットにおいて、表面印刷層の形成に用いられるゴム組成物としては、結合アクリロニトリルの含有量(以下、「AN量」という。)が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、AN量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を、所定の割合で配合してなるものが挙げられる。
表面印刷層形成用ゴム組成物の基材ゴムであるNBRのAN量が25%を下回ると、表面印刷層の耐油性が低下して、印刷インキやブランケットの洗浄液によって膨潤し易くなる。逆に、AN量が36%以上であると、加工性が低下して、表面にひびが入り易くなったり、エアー穴が顕著に発生したりする。基材ゴムについてのAN量は、上記範囲の中でも特に、26〜35%であるのが好ましい。
基材ゴムに配合される、加硫済みの高または極高ニトリルNBRの微粉末(以下、「加硫NBR微粉末」という。)について、NBRのAN量が36%を下回ると、表面印刷層の耐油性を向上させる効果が得られない。加硫NBR微粉末についてのAN量は、上記範囲の中でも特に、40〜50%であるのが好ましい。
加硫NBR微粉末の粒径については特に限定されるものではないが、表面印刷層形成用ゴム組成物の基材ゴム中での分散性を良好なものとし、かつ、ブランケットの表面にて異物となるのを防止する観点から、1〜200μm、好ましくは5〜50μmの範囲に設定される。
本発明の第2の印刷用ブランケットにおいて、表面印刷層の形成に用いられるゴム組成物は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の配合を採用することができる。表面印刷層の耐油性および加工性の観点からは、第1の印刷用ブランケットに用いるのと同様の配合組成のものを用いるのが好ましい。なお、NBR以外のゴムとしては、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、これらの混合物、多硫化ゴムとの混合物といった、耐油性に優れたゴムを採用するのが好適である。
表面印刷層形成用ゴム組成物には、例えば、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の公知の添加剤が、必要に応じて配合される。これらの添加剤の配合割合は特に限定されるものではなく、常法に従って設定すればよい。
表面印刷層は、未加硫のゴム組成物をトルエン、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶剤に溶かしてゴム糊を調製し、これをブレードコーティング等によって、予め形成された支持体上に、所定の厚みになるまで糊引きした後、有機溶剤の揮散・除去処理と、連続加硫機や加硫缶による加硫処理とを施すことによって得られる。
表面印刷層の硬度は特に限定されるものではないが、一般に、JIS A硬度で50〜70°であるのが適当である。硬度が上記範囲を下回ると、印刷時のひずみが大きくなりすぎて、印刷品質の低下や印刷障害を招くおそれがある。逆に、上記範囲を下回ると、表面印刷層の柔軟性が低下して、印刷精度の低下を招くおそれがある。
表面印刷層の表面粗さは特に限定されるものではないが、10点平均粗さRzで1.0μm以下であるのが好ましい。表面粗さが上記範囲を超えて大きくなると、印刷精度の低下を招くおそれがある。
表面印刷層の厚みは特に限定されるものではないが、通常、0.05〜2.0mm、好ましくは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.4mmである。厚みが上記範囲を下回ると、基布の模様が印刷画像に現れるといった不具合を招くおそれがある。逆に、厚みが上記範囲を超えると、印刷時のひずみが大きくなって印刷品質の低下や印刷障害を招くおそれがある。
(基布層)
本発明の第2の印刷用ブランケットにおいて、基布層の形成に用いられるゴム組成物としては、AN量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、AN量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を、所定の割合で配合してなるものが挙げられる。
基布層形成用ゴム組成物の基材ゴムであるNBRのAN量が25%を下回ると、基布層の耐油性が低下して、印刷インキやブランケットの洗浄液によって膨潤し易くなる。逆に、AN量が36%以上であると、加工性が低下して、表面にひびが入り易くなったり、エアー穴が顕著に発生したりする。AN量は、上記範囲の中でも特に、26〜35%であるのが好ましい。
基材ゴムに配合される、加硫済みの高または極高ニトリルNBRの微粉末(以下、「加硫NBR微粉末」という。)について、NBRのAN量が36%を下回ると、表面印刷層の耐油性を向上させる効果が得られない。加硫NBR微粉末についてのAN量は、上記範囲の中でも特に、40〜50%であるのが好ましい。
加硫NBR微粉末の粒径については特に限定されるものではないが、基布層形成用ゴム組成物の基材ゴム中での分散性を良好なものとし、かつ、ブランケットの表面にて異物となるのを防止する観点から、1〜200μm、好ましくは5〜50μmの範囲に設定される。
本発明の第1の印刷用ブランケットにおいて、基布層の形成に用いられるゴム組成物は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の配合を採用することができる。基布層の耐油性および加工性の観点からは、第2の印刷用ブランケットに用いるのと同様の配合組成のものを用いるのが好ましい。なお、NBR以外のゴムとしては、ACM、CR、ウレタンゴム、これらの混合物、多硫化ゴムとの混合物といった、耐油性に優れたゴムを採用するのが好適である。
基布層形成用ゴム組成物には、例えば、加硫剤、加硫促進剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の公知の添加剤が、必要に応じて配合される。これらの添加剤の配合割合は特に限定されるものではなく、常法に従って設定すればよい。
基布層は、未加硫のゴム組成物をトルエン、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶剤に溶かしてゴム糊を調製し、これを基布に含浸させることによって得られる。基布層は、2〜5層程度積層して使用するのが好ましく、中間に、圧縮性層を介在させてもよい。
基布層を形成する基布としては、綿、ポリエステル、レーヨン等の織布または不織布が挙げられる。この基布は、伸び取り加工が施された織布であるのが好ましい。
基布層の厚みは特に限定されるものではないが、通常、0.15〜0.5mm、好ましくは0.25〜0.45mmである。基布層の積層数は、印刷用ブランケットに要求される硬度、総厚み等の特性等に応じて適宜設定すればよい。また、支持体全体の厚みは、基布層の厚みと積層数、圧縮性層の厚み等に応じて設定されるものであって、特に限定されるものではないが、通常1.45〜1.85mm、好ましくは1.55〜1.75mmである。
(圧縮性層)
圧縮性層を形成するゴム組成物については、特に限定されるものではないが、例えばNBR、ACM、CR、ウレタンゴム等の、耐油性のゴムを基材ゴムとして用いるのが好適である。
圧縮性層は、例えば(i)基材ゴムに、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤等を配合し、さらに、発泡剤、中空状(または加熱処理後に中空状となる)微粒子を配合したものや、(ii)基材ゴムに、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤等を配合し、さらに、食塩等の微粒子を配合したものを用いて形成される。
(i)に示す配合を採用する場合、加硫処理等での加熱によって、発泡剤や中空状微粒子が膨張することから、独立気泡構造を備える圧縮性層を形成することができる(いわゆるマイクロバルーン法等)。一方、(ii)に示す配合を採用する場合、加硫処理後に微粒子を抽出する(食塩粒子の場合は、水で抽出する)ことによって、連続気泡構造を備える圧縮性層を形成することができる(いわゆるリーチング法)。圧縮性層は、独立気泡構造と連続気泡構造のいずれであってもよく、両方の構造を併用してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例等に限定されるものではない。
〔表面印刷層形成用ゴム組成物に加硫NBR微粉末を配合した例〕
下記の実施例1〜18と比較例1〜14は、加硫NBR微粉末を配合してなるゴム組成物を用いて、表面印刷層を形成した例である。
(実施例1〜9、比較例2〜3)
(1)加硫NBR微粉末の作製
AN量50%のNBR(商品名「Nipol DN009」、日本ゼオン(株)製)100重量部に対して、下記の表1に示す成分(NBRを除く。)を同表に示す量で配合して混練した後、シート状に成形した。次いで、このNBRのシートを、幅、長さ各500mm、厚さ0.4mmの基布(綿布)上に貼り付けて、160℃で15分間プレス加硫した。さらに、こうして加硫されたNBRのシート(ゴム厚み50mm)を、平面研削盤の定盤上に両面粘着テープで固定し、当該シートを研磨することによって、平均粒径が20μmである加硫NBR微粉末を得た。
Figure 2005262489
(2)表面印刷層形成用ゴム組成物の調製
AN量26%のNBR(商品名「Nipol N240S」、日本ゼオン(株)製)100重量部に対して、表2に示す成分(NBRを除く。)を同表に示す量で配合した。さらに、この混合物に、(1)で得られた加硫NBR微粉末を、下記の表3に示す割合で配合し、混練することにより、表面印刷層形成用のゴム組成物を得た。
Figure 2005262489
(3)印刷用ブランケットの製造
(2)で得られた表面印刷層形成用ゴム組成物を、2倍量のトルエンに溶解させて、ゴム糊とした。次いで、このゴム糊を、あらかじめ作製しておいた印刷用ブランケットの支持体(幅1m、長さ10m)上に、ドクターブレードによって糊引きし、連続加硫機で加硫(加硫温度150℃)を施した。さらに、表面印刷層の表面にバフ研磨を施して、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。
上記支持体には、3枚の基布(幅1m、長さ10m、厚み0.4mmの綿布)のそれぞれに基布層形成用のゴム糊を含浸させて、こうして得られた基布層(厚み50mm)を互いに貼り合わせたものと、1枚の基布(上記の綿布)に基布層形成用のゴム糊を含浸させて、圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートに貼り合わせてなるものとを、圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートの表面で貼り合わせてなる積層体を使用した。この積層体には、150℃で20分間の加熱処理を施した。こうして得られた支持体は、計4層の基布層と、独立気泡構造を有する圧縮性層とを備える、総厚み1.65mmの積層体である。
なお、上記基布層形成用のゴム糊には、表2と同じ配合のゴム組成物をトルエンに溶解させたものを使用した。圧縮性層形成用ゴム組成物には、表2と同じ配合のゴム組成物に、熱膨張樹脂微小球(粒径30〜150μmのアクリロニトリル系樹脂微小球、商品名「マツモトマイクロスフェアーF−100D」、松本油脂製薬(株)製)を配合したものを使用した。当該圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートは、上記加熱処理によって熱膨張樹脂微小球が膨張し、内部に気泡を形成した。
(4)印刷用ブランケットの特性評価
A) 膨潤率
(3)で得られた印刷用ブランケットの表面印刷層から、厚さ0.3mm、縦および横各30mmのシートを切り出して、サンプルとした。次いで、このサンプルを、常温でトルエンに24時間浸漬して、浸漬前と浸漬後の体積変化量を算出し、当該体積変化量が浸漬前の体積に占める割合、すなわち膨潤率ΔV(%)を算出した。膨潤率ΔV(%)が100%であるときは、浸漬前と浸漬後とで、サンプルの体積が2倍になったことを示す。表面印刷層の耐久性やブランケットの印刷特性を良好なものとするには、膨潤率ΔVが130%以下、好ましくは110%以下であることが求められる。結果を表3に示す。
B) 加硫後の表面状態
(3)で得られた印刷用ブランケットについて、表面印刷層の表面状態(加硫後)を目視で観察して、下記の基準で評価を行った。結果を表3に示す。
良好:表面印刷層形成用ゴム組成物と、加硫NBR微粉末との一体化が良好であって、表面にひび割れ等の不具合は観察されなかった。
不良:表面印刷層形成用ゴム組成物と、加硫NBR微粉末との一体化が不十分であって、表面にひび割れ、微粉末の脱落に伴う凹凸等の不具合が観察された。
C) エアー穴の発生数
(3)で得られた印刷用ブランケットについて、その表面(表面印刷層側)を目視で観察して、直径1mm以上のエアー穴の数を計測した。エアー穴の数は少ないほど好ましく、幅1m、長さ10mの表面印刷層全体でエアー穴が10個を超えると、生産に支障をきたすおそれがある。エアー穴の数は、好ましくは5個以下である。結果を表3に示す。
(比較例1)
表面印刷層形成用ゴム組成物として、加硫NBR微粉末を配合していないものを用いた以外は、実施例1の(3)と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2005262489
表3中、加硫NBR微粉末の配合割合は、表面印刷層形成用ゴム組成物と加硫NBR微粉末との総体積に占める、加硫NBR微粉末の体積割合(体積%)である。
表3より明らかなように、極高ニトリルNBR(AN量50%)からなる加硫NBR微粉末を、中ニトリルNBR(AN量26%)中に、所定の割合で配合してなるゴム組成物を用いた実施例1〜6によれば、膨潤率やエアー穴の発生数を低く抑えることができ、加硫後の表面状態も良好であった。これに対し、加硫NBR微粉末を配合しなかった比較例1や、配合割合が低すぎる比較例2では、膨潤率を低く抑えることができなかった。一方、配合割合が高すぎる比較例3では、表面印刷層の膨潤率が低いものの、加硫後の表面状態に実用上の問題が生じた。
(実施例7〜12、比較例5〜6)
AN量50%のNBRに代えて、AN量40.5%のNBR(商品名「Nipol DN1041」、日本ゼオン(株)製)を使用し、AN量26%のNBRに代えて、AN量31%のNBR(商品名「Nipol DN202」、日本ゼオン(株)製)を使用した以外は、実施例1〜9および比較例2〜3の(1)〜(3)と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表4に示す。
(比較例4)
表面印刷層形成用ゴム組成物として、加硫NBR微粉末を配合していないものを用いた以外は、実施例7における「(3)印刷用ブランケットの製造」と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表4に示す。
Figure 2005262489
表4中、加硫NBR微粉末の配合割合は、表面印刷層形成用ゴム組成物と加硫NBR微粉末との総体積に占める、加硫NBR微粉末の体積割合(体積%)である。
表4より明らかなように、高ニトリルNBR(AN量40.5%)からなる加硫NBR微粉末を、中高ニトリルNBR(AN量31%)中に、所定の割合で配合してなるゴム組成物を用いた実施例7〜12によれば、膨潤率やエアー穴の発生数を低く抑えることができ、加硫後の表面状態も良好であった。これに対し、加硫NBR微粉末を配合しなかった比較例4や、配合割合が低すぎる比較例5では、膨潤率を低く抑えることができなかった。一方、配合割合が高すぎる比較例6では、表面印刷層の膨潤率が低いものの、加硫後の表面状態に実用上の問題が生じた。
(実施例13〜18、比較例8〜9)
AN量50%のNBRに代えて、AN量40.5%のNBR(Nipol DN1041)を使用し、AN量26%のNBRに代えて、AN量35%のNBR(商品名「N232S」、JSR(株)製)を使用した以外は、実施例1〜9および比較例1〜3の(1)〜(3)と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表5に示す。
(比較例7)
表面印刷層形成用ゴム組成物として、加硫NBR微粉末を配合していないものを用いた以外は、実施例13における「(3)印刷用ブランケットの製造」と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表5に示す。
Figure 2005262489
表5中、加硫NBR微粉末の配合割合は、表面印刷層形成用ゴム組成物と加硫NBR微粉末との総体積に占める、加硫NBR微粉末の体積割合(体積%)である。
表5より明らかなように、高ニトリルNBR(AN量40.5%)からなる加硫NBR微粉末を、中高ニトリルNBR(AN量35%)中に、所定の割合で配合してなるゴム組成物を用いた実施例13〜18によれば、膨潤率やエアー穴の発生数を低く抑えることができ、加硫後の表面状態も良好であった。これに対し、加硫NBR微粉末を配合しなかった比較例7や、配合割合が低すぎる比較例8では、膨潤率を低く抑えることができなかった。一方、配合割合が高すぎる比較例9では、表面印刷層の膨潤率が低いものの、加硫後の表面状態に実用上の問題が生じた。
(比較例10および11)
AN量26%のNBRに代えて、比較例10では、AN量37%のNBR(商品名「N224SH」、JSR(株)製)を使用し、比較例11では、AN量50%のNBR(Nipol DN009)を使用した以外は、比較例1と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表6に示す。
(比較例12〜14)
AN量26%のNBRに代えて、AN量35%のNBR(N232S)と、AN量43%のNBR(商品名「N220L」、JSR(株)製)との混合物を用いた以外は、比較例1と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。AN量が35%であるNBRと、AN量が43%であるNBRとの混合割合(重量比)は、比較例12で50:50、比較例13で30:70、比較例14で10:90となるように設定した。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記A)、B)およびC)の各項目の特性評価を実施した。結果を表6に示す。
Figure 2005262489
表6より明らかなように、加硫NBR微粉末を含まない中または中高ニトリルNBRを用いた比較例1、4および7では、膨潤率を低く抑えることができなかった。一方、加硫NBR微粉末を含まない高ニトリルNBRまたは極高ニトリルNBRを用いた比較例10〜14では、膨潤率が低く抑えることができ、加硫後の表面状態に実用上の問題を生じなかったものの、エアー穴の発生が顕著という問題があった。
〔基布層形成用ゴム組成物に加硫NBR微粉末を配合した例〕
下記の実施例19〜30と比較例15〜23は、加硫NBR微粉末を配合してなるゴム組成物を用いて、印刷用ブランケットの最下層をなす基布層を形成した例である。
(実施例19〜24、比較例16〜17)
(I)加硫NBR微粉末の作製
加硫NBR微粉末用ゴム組成物の配合として、表1に示す配合に代えて、表7に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様にして加硫NBR微粉末を得た。
Figure 2005262489
(II)基布層形成用ゴム組成物の調製
AN量が26%のNBR(Nipol N240S)100重量部に対して、下記の表8に示す成分(NBRを除く。)を同表に示す量で配合した。さらに、この混合物に、(I)で得られた加硫NBR微粉末を、下記の表9に示す割合で配合し、混練することにより、加硫NBR微粉末入りの基布層形成用ゴム組成物を得た。
また、表8に示す成分(NBRを含む。)の混合物を、そのまま混練して、加硫NBR微粉末を含まない基布層形成用ゴム組成物を得た。
Figure 2005262489
(III)印刷用ブランケットの製造
(II)で得られた加硫NBR微粉末入りの基布層形成用ゴム組成物を、2倍量のトルエンに溶解させてゴム糊とした後、このゴム糊を、1枚の基布(幅、長さ各500mm、厚み0.4mmの綿布)に含浸させて、加硫NBR微粉末入りの基布層を得た。一方、(II)で得られた加硫NBR微粉末を含まない基布層形成用ゴム組成物を、2倍量のトルエンに溶解させてゴム糊とした後、このゴム糊を、上記基布と同じもの2枚にそれぞれ含浸させて、加硫NBR微粉末を含まない基布層を得た。次いで、こうして得られた計3枚の基布層を、加硫NBR微粉末入りの基布層が外側となるように貼り合わせた。
次に、上記の加硫NBR微粉末を含まない基布層形成用ゴム組成物からなるゴム糊を、上記基布と同じもの1枚に含浸させた後、こうして得られた基布層を、圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートに貼り合わせた。さらに、当該シートを有する基布層と、前述の3枚の基布層からなる積層体とを貼り合わせて、150℃で20分間の加熱処理を施すことによって、支持体を得た。両基布層を貼り合わせる際には、加硫NBR微粉末入りの基布層が最下層となるように、かつ、圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートを有する基布層が最上層となるように設定した。こうして得られた支持体は、計4層の基布層と、独立気泡構造を有する圧縮性層とを備える、総厚み1.65mmの積層体である。
さらに、上記支持体の最上層をなす基布層の表面に、表面印刷層形成用ゴム組成物からなるゴム糊を、ドクターブレードによって糊引きし、連続加硫機で加硫(150℃)を施した。さらに、表面印刷層の表面にバフ研磨を施して、印刷用ブランケットを得た。
なお、圧縮性層形成用ゴム組成物には、(II)で得られた「加硫NBR微粉末を含まない基布層形成用ゴム組成物」と同じ配合からなるゴム組成物に、熱膨張樹脂微小球(マツモトマイクロスフェアーF−100D)を配合したものを使用した。この圧縮性層形成用ゴム組成物からなるシートは、上記加熱処理によって熱膨張樹脂微小球が膨張し、内部に気泡を形成した。また、表面印刷層形成用ゴム組成物には、(II)で得られた「加硫NBR微粉末を含まない基布層形成用ゴム組成物」と同じ配合からなるゴム組成物を使用し、そのゴム糊は、トルエンに溶解させることによって調製した。
(IV)印刷用ブランケットの特性評価
a) 厚みの増加量
(III)で得られた印刷用ブランケットの裏面(最下層の基布層側)を、ブランケットの洗浄液(トルエンを主たる溶媒とするもの、商品名「ダイクリン」、大日本インキ化学工業(株)製)に、常温で24時間浸漬した後、浸漬前と浸漬後とでの印刷用ブランケット全体の厚みの増加量(mm)を算出した。印刷用ブランケットの耐久性を良好なものとするには、裏面からの有機溶剤の浸透に伴う厚みの増加量が、0.04mm以下、好ましくは0.03mm以下であることが求められる。結果を表9に示す。
b) エアー穴の発生数
(III)で得られた印刷用ブランケットについて、その裏面(最下層の基布層側)を目視で観察して、直径1mm以上のエアー穴の数を計測した。エアー穴の数は少ないほど好ましく、幅1m、長さ10mの裏面全体でエアー穴が10個を超えると、生産に支障をきたすおそれがある。エアー穴の数は、好ましくは5個以下である。結果を表9に示す。
c) 基布層間の接着力
(III)で得られた印刷用ブランケットから、幅25mm、長さ300mmのサンプルを切り出した。このサンプルの最下層の基布層と、その直上の基布層との間に、サンプルの幅全体にわたって長さ約40mmの切り込みを設けた後、最下層の基布層を、それ以外の部分に対して直角となるように引っ張って、両者を剥離するのに要する力、すなわち基布層間の接着力(kg/cm)を測定した。基布層間の接着力は、実用上、1.5kg/cm以上であることが求められる。結果を表9に示す。
d) 柔軟性・装着性
(III)で得られた印刷用ブランケットを、実際にブランケット胴に装着して、印刷用ブランケットの柔軟性と、ブランケット胴に装着する際の装着性を評価した。ブランケット胴(シリンダ)のエッジ部で、印刷用ブランケットとシリンダ表面との間の浮きを視認できない場合は、柔軟性および装着性が良好であるとした。結果を表9に示す。
(比較例15)
最下層の基布層形成用のゴム組成物として、加硫NBR微粉末を配合していないものを用いた以外は、実施例19の(III)と同様にして、印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記a),b),c)およびd)の各項目の特性評価を実施した。結果を表9に示す。
Figure 2005262489
表9中、加硫NBR微粉末の配合割合は、基布層形成用ゴム組成物と加硫NBR微粉末との総体積に占める、加硫NBR微粉末の体積割合(体積%)である。
表9より明らかなように、極高ニトリルNBR(AN量50%)からなる加硫NBR微粉末を、中ニトリルNBR(AN量26%)中に、所定の割合で配合してなるゴム組成物を用いた実施例19〜24によれば、厚みの増加量やエアー穴の発生数を少なく抑え、かつ、基布層間の接着力を維持することができ、しかも、柔軟性および装着性が良好であった。これに対し、加硫NBR微粉末を含まない比較例15や、配合割合が低すぎる比較例16では、厚みの増加量を少なく抑えることができなかった。一方、配合割合が高すぎる比較例17では、厚みの増加量が少なく抑えられたものの、基布層間の接着力に実用上の問題が生じた。
(実施例25〜30、比較例19〜20)
AN量50%のNBRに代えて、AN量40.5%のNBR(Nipol DN1041)を使用し、AN量26%のNBRに代えて、AN量31%のNBR(Nipol DN202)を使用した以外は、実施例19〜24および比較例16〜17の(1)〜(3)と同様にして、印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記a),b),c)およびd)の各項目の特性評価を実施した。結果を表10に示す。
(比較例18)
最下層の基布層形成用のゴム組成物として、加硫NBR微粉末を配合していないものを用いた以外は、実施例25における「(III)印刷用ブランケットの製造」と同様にして、厚さ約0.3mmの表面印刷層を備える印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記a),b),c)およびd)の各項目の特性評価を実施した。結果を表10に示す。
Figure 2005262489
表10中、加硫NBR微粉末の配合割合は、基布層形成用ゴム組成物と加硫NBR微粉末との総体積に占める、加硫NBR微粉末の体積割合(体積%)である。
表10より明らかなように、高ニトリルNBR(AN量40.5%)からなる加硫NBR微粉末を、中高ニトリルNBR(AN量35%)中に、所定の割合で配合してなるゴム組成物を用いた実施例25〜30によれば、厚みの増加量やエアー穴の発生数を少なく抑え、かつ、基布層間の接着力を維持することができ、しかも、柔軟性および装着性が良好であった。これに対し、加硫NBR微粉末を含まない比較例18や、配合割合が低すぎる比較例19では、厚みの増加量を少なく抑えることができなかった。一方、配合割合が高すぎる比較例20では、厚みの増加量が少なく抑えられたものの、基布層間の接着力に実用上の問題が生じた。
(比較例21)
AN量26%のNBRに代えて、AN量50%のNBR(Nipol DN009)を用いた以外は、比較例15と同様にして、印刷用ブランケットを得た。また、得られた印刷用ブランケットについて、上記a),b),c)およびd)の各項目の特性評価を実施した。結果を表11に示す。
(比較例22および23)
比較例18と同様にして、印刷用ブランケットを製造した。次いで、この印刷用ブランケットの裏面(最下層の基布層側)に、撥水性の被覆層を形成した。
比較例22では、まず、アクリル樹脂100重量部に対して、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するアクリルモノマー(商品名「DEFENSA MCF300」、DIC社製)20重量部を配合して、トルエンに溶解させてなる被覆層用塗布液を調製した。次いで、この塗布液を、印刷用ブランケットの裏面(最下層の基布層側)に塗布して、150℃で5分間加熱することにより、厚さ0.05mmの被覆層を形成した。
比較例23では、まず、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)と、フッ素化ポリオレフィンと、パーフルオロアルキル基を側鎖に有するポリマーとの混合物(商品名「DEFENSA TR310」、DIC社製)をトルエンに溶解させ、当該混合物100重量部に対して、架橋剤(イソシアナート基を12.6%の割合で含有するシアノ系架橋剤、商品名「バーノックDN−950」、DIC社製)6重量部を配合して、塗布液を調製した。次いで、この塗布液を、印刷用ブランケットの裏面(最下層の基布層側)に塗布して、150℃で5分間加熱することにより、厚さ0.05mmの被覆層を形成した。
また、得られた印刷用ブランケットについて、上記a),b),c)およびd)の各項目の特性評価を実施した。結果を表11に示す。
Figure 2005262489
表11より明らかなように、加硫NBR微粉末を含まない中または中高ニトリルNBRを用いた比較例15および18では、厚みの増加量を少なく抑えることができなかった。一方、加硫NBR微粉末を含まない極高ニトリルNBRを用いた比較例21では、厚みの増加量を少なく抑えることができたものの、エアー穴の発生が顕著であった。
印刷用ブランケットの一実施形態を示す断面図である。
符号の説明
10 印刷用ブランケット
12 表面印刷層
14 支持体
18 基布層

Claims (3)

  1. 基布にゴム糊を含浸させてなる基布層を含む支持体と、表面印刷層と、を備える印刷用ブランケットであって、
    上記表面印刷層形成用のゴム組成物として、
    結合アクリロニトリルの含有量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、結合アクリロニトリルの含有量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を配合してなり、かつ、当該ゴム組成物の総体積に占める、加硫済みの高または極高ニトリルNBR微粉末の体積割合を、20〜70体積%に設定してなるもの
    を用いることを特徴とする印刷用ブランケット。
  2. 基布にゴム糊を含浸させてなる基布層を含む支持体と、表面印刷層と、を備える印刷用ブランケットであって、
    上記基布層形成用のゴム組成物として、
    結合アクリロニトリルの含有量が25%以上、36%未満である中または中高ニトリルNBR中に、あらかじめ加硫された、結合アクリロニトリルの含有量が36%以上である高または極高ニトリルNBRの微粉末を配合してなり、かつ、当該ゴム組成物の総体積に占める、加硫済みの高または極高ニトリルNBR微粉末の体積割合を、20〜70体積%に設定してなるもの
    を用いることを特徴とする印刷用ブランケット。
  3. 上記支持体が基布層を2層以上積層してなるものであり、かつ、上記基布層形成用ゴム組成物を用いて形成された基布層を、少なくとも印刷用ブランケットの最下層をなす基布層として用いてなる、請求項2記載の印刷用ブランケット。
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