JP2005259809A - レーザ熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 細長断面のレーザビームをその細長断面の長手方向に交差する方向にスキャンすることにより非晶質シリコン膜を多結晶化し、レーザ光の重ね部が人間の目によって認識できないようにできるレーザ熱処理方法を提供する。
【解決手段】 細長断面で、390nm-640nmの波長域のレーザ光を用い、第1のスキャン工程の後、第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねながら、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンする第2スキャン工程を備え、予備測定工程で得た、レーザ出力とキャリア移動度との関係において、最大の移動度をもたらすレーザ出力に対して80%以上の移動度が得られるレーザ出力の下限の値をElow、上限の値をEhighとするとき、Elow≦E≦(Ehigh+Elow)/2を満足するレーザ出力Eを、第1スキャンにおいて用いる。
【選択図】 図6

Description

本発明はレーザ熱処理方法に関し、より具体的には非晶質シリコンを結晶化するレーザ熱処理方法に関するものである。
現在、液晶パネルの画素部では、ガラス製または合成石英製基板上の非晶質または多結晶のシリコン膜に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)によるスイッチングにより、画像を構成している。現在は主として外部に独立して設置しているが、この液晶パネルに、画素トランジスタを駆動するドライバ回路を同時に構成することができれば、液晶パネルの製造コストや信頼性等の面で飛躍的なメリットを得ることができる。現在は、TFTの能動層を構成するシリコン膜の結晶性が悪いために、キャリアの移動度に代表されるTFTの性能が低く、高速性および高機能性が要求される集積回路の作製は困難である。高移動度のキャリアを有するTFTを実現することを目的として、シリコン膜の結晶性を改善するために、レーザによる熱処理が一般に行なわれている。
シリコン膜の結晶性とTFTにおけるキャリア移動度との関係は以下のように説明される。非晶質シリコン膜をレーザ熱処理することにより得られるシリコン膜は一般に多結晶体である。多結晶体の結晶粒界には結晶欠陥が局在しており、これがTFTの能動層のキャリア移動を阻害する。したがって、TFTにおける移動度を高くするには、キャリアが能動層を移動中に結晶粒界を横切る回数を少なくし、かつ結晶欠陥密度を小さくすればよい。レーザ熱処理の目的は、結晶粒径が大きくかつ結晶粒界における結晶欠陥が少ない多結晶シリコン膜を形成することにある。
次に、従来の多結晶シリコン膜の製造方法を説明する。まず、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相蒸着法)により、ガラス基板上にシリコン酸化膜を形成する。このシリコン酸化膜上にたとえばCVDにより非晶質シリコン膜を堆積する。
次いでエキシマレーザ(XeCl(波長:308nm)、またはKrF(波長:248nm))を非晶質シリコン膜に照射する。このエキシマレーザの照射により、エキシマレーザが照射された部分が溶融する。その後、温度が低下するに従って溶融したシリコンが結晶化して、多結晶シリコン膜を形成する。
このあと一部分にだけ上記の多結晶シリコン膜を残存させるように、その多結晶シリコン膜をパターニングする。次に、多結晶シリコン膜上にシリコン酸化膜および金属膜(Ta、CrおよびAl等の低電気抵抗の金属膜)を形成する。
次いで金属膜とシリコン酸化膜とをパターニングすることにより、p導電型チャネルのトランジスタとn導電型チャネルのトランジスタとがペアをなすように、ゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する。これにより能動領域を形成する。次に、ゲート電極をマスクとして、イオンドーピング法によりソースおよびドレイン領域を自己整合的に形成する。これによりTFTが完成する。
上記のようにレーザ照射されて形成された多結晶シリコン膜を用いてTFTパネルは形成される。このとき重要なポイントは、たとえば携帯電話用のTFTパネルの場合、少なくともレーザの細長断面ビームの長さは、そのTFTパネルの短辺より長くする点にある。これは、エキシマレーザ等の紫外レーザ光でビームの端を重ねさせた場合には、その重ねた照射部分(重ね照射部)において大きく特性が劣化し、TFT特性(移動度、しきい値電圧)が低下するためである。ただし通常のTV用パネルでは、パネルサイズが大きいため上記条件を満たすことが困難になる。
上記の重ね照射部の特性を改善するため、非晶質シリコン膜の第1の領域に波長が390nm以上640nm以下のレーザを照射して第1の多結晶シリコン膜部分を形成し、次いで、第1の多結晶シリコン膜部分の端と、その第1の多結晶シリコン膜部分に接する非晶質シリコン膜の第2の領域とに波長が390nm以上640nm以下のレーザを照射して、第1の多結晶シリコン膜部分に接するように第2の多結晶シリコン膜部分を形成する方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。上記の波長範囲のレーザ光を用いる理由は次のとおりである。
非晶質シリコン膜および多結晶シリコン膜においてレーザの吸収率はその波長によってさまざまに変化する。上記特許文献1によれば、レーザの波長を390nm以上640nm以下とする。多結晶シリコン膜の上記390nm以上の波長域のレーザ光の吸収率は、非晶質シリコン膜のそれの60%以下である。そのため、非晶質シリコン膜にレーザが照射されてひとたび多結晶シリコン膜が形成されれば、その多結晶シリコン膜に上記波長域のレーザを、再度、照射しても、多結晶シリコン膜はレーザ光のエネルギを非晶質シリコン膜ほど多くは吸収しない。その結果、多結晶シリコン膜は中途半端に溶融することはなく、その特性はレーザの再照射によってあまり大きく変化しない。このため、多結晶シリコン膜全体でほぼ均質な特性を得ることができる。
さらに、上述のようにレーザ光の波長域を640nm以下としているので、非晶質シリコン膜の吸収率は10%以上を確保できる。その結果、非晶質シリコン膜はレーザ光のエネルギを吸収しやすくなり、溶融を経て容易に多結晶化することができる。
なお、波長が500nm以上550nm以下であれば、非晶質シリコン膜と多結晶シリコン膜との吸収率の差がより大きくなるため好ましい。波長が520nm以上550nm以下であれば、非晶質シリコン膜と多結晶シリコン膜との吸収率の差が特に大きくなるためより好ましい。
上記特許文献1では、ネオジウムレーザ(Nd:YAGの第2高調波(波長λ=532nm))を用いているので、シリコン膜の厚さをさまざまに設定した場合でも、多結晶シリコン膜における吸収率は非晶質シリコン膜の吸収率よりも小さい。
TFTの画素駆動トランジスタは、上述のようにnチャネル型トランジスタとpチヤネル型トランジスタとで構成される。これらトランジスタにおけるキャリアの移動度およびしきい値電圧が、TFTパネル全体でどの程度変動するか検討する必要がある。レーザが二度照射された部分(重なり部)では、nチヤネル型トランジスタおよびpチヤネル型トランジスタのいずれも、移動度はほぼ一定に保たれる。また、重なり部であっても移動度はその他の部分とほぼ等しい。
さらに、nチヤネル型トランジスタおよびpチヤネル型トランジスタのいずれにおいても、あらゆる位置において、しきい値電圧がほぼ等しい。これは、レーザが二度照射された部分(重なり部)と、レーザが一度しか照射されない部分とで、しきい値電圧がほぼ等しいことを意味する。
上記のように、波長532nmのレーザ光を用いた例では、レーザ光の波長を適切な範囲に設定しているため、レーザ光が一度照射された部分および二度照射された部分のいずれにおいても、移動度およびしきい値電圧が一定であり、高品質の半導体装置を提供することができる。
WO 02/31871 A1
薄膜トランジスタを形成する場合に、シリコン膜の膜厚は通常100nm以下であるが、その領域では、非晶質シリコン膜および多結晶シリコン膜の吸収率は大きく異なり、多結晶シリコン膜の吸収率は非晶質シリコン膜の吸収率に比べて小さい。その結果、非晶質シリコン膜に最適な照射エネルギ密度を用いてスキャンした場合、上記重なり部において多結晶シリコン膜で吸収されるエネルギが小さいために、多結晶シリコン膜は溶融しない。つまり、非晶質シリコン膜の部分のみが選択的にレーザのエネルギを吸収するため、二度のレーザ熱処理を受ける部分(重なり部)と一度のレーザ熱処理のみを受ける部分とでトランジスタ特性の変動が起こらず、基板全域で均一な特性の多結晶シリコン膜を形成することができる。また同様の効果は、レーザ光を照射する膜として、結晶欠陥が多く吸収率が高い多結晶シリコン膜を用いる場合にも得ることができる。
一方、上記の波長域(390〜640nm)を外れたエキシマレーザ(KrF(波長248nm))を用いた場合、多結晶シリコン膜および非晶質シリコン膜の吸収率は同程度である。このようなレーザ光を用いた場合、一度レーザを照射されて多結晶シリコン膜に変化した場合でも、その後その多結晶シリコン膜に、再度、レーザが照射されることにより、その多結晶シリコン膜はレーザのエネルギを相当量吸収する。これにより、その多結晶シリコン膜は再度溶融し、このため多結晶シリコン膜の特性が変化する。この結果、一度レーザを照射された部分と二度レーザを照射された部分とにおいて多結晶シリコン膜の特性が異なり、膜全体にわたって均一な特性の多結晶シリコン膜を得ることができない。
つまり、エキシマレーザ光(KrF波長:248nm)を非晶質シリコン膜および多結晶シリコン膜に照射した揚合には、非晶質シリコン膜と多結晶シリコン膜との吸収率の差は約7%程度しかない。この場合、非晶質シリコン膜のレーザ熱処理時には、照射エネルギ密度は、非晶質シリコン膜の最適値に設定される。
上記の波長248nmのエキシマレーザによる熱処理では、照射エネルギ密度の最適値の許容幅が非常に狭くなり、非晶質シリコンと多結晶シリコンとで吸収率が7%程度しか異ならないため問題となる。つまり、多結晶シリコン膜の部分はエキシマレーザ照射により一旦溶融した後、二度目の照射により再び溶融し再結晶成長を行なう。このとき、照射エネルギ密度は多結晶シリコン膜にとって最適範囲の外にあるため、二度のレーザ照射を受けた領域は特性が悪い多結晶シリコン膜に変化する。すなわち、エキシマレーザを用いた場合、一度生成した多結晶シリコン膜は、二度目のレーザ照射により溶融するものの、その二度目のレーザ照射条件が多結晶シリコン膜にとって最適でないため上記重なり部のトランジスタ特性は劣化する。その結果、波長域が上記範囲外のエキシマレーザを用いた場合、一度レーザが照射された部分と二度レーザが照射された部分とではトランジスタ特性が異なる。すなわち、nチヤネル型トランジスタの移動度などが変動し、多結晶シリコン膜の全体で均一な特性を得ることができない。その結果、好ましい特性のTFTを得ることができない。
以上から、非晶質シリコン膜の吸収率が多結晶シリコン膜のそれに比べて明瞭に大きい波長領域(波長390nmから640nmの領域)のレーザ光を用いた場合、上記重ね領域におけるトランジスタ特性(移動度、しきい値電圧等)はほとんど変化しない利点を有することが分かる。
しかしながら、上記の好ましい波長範囲のレーザ光を用いて実際にTFTを製作してみると、人間の目には微妙に重ね領域が認識されることが判明した。その理由は、人間は、非常に微妙な1/256の諧調差を認識するからである。このように人間の目の識別能力は高いため、わずかな光学特性の相違であっても、細長断面長手方向に直角な方向にスキャンされることによって形成される重ね照射部がひも状または直線状にできると、そのひも状部分が人間の眼に認識されてしまう。上記重ね照射部におけるトランジスタ特性の差は、各トランジスタ特性のばらつきの範囲内にあり、もしランダムに配置されていれば認識できない程度である。しかしながら人の目に上記重なり部が認識されれば、たとえそれが表示性能に影響しなくても商品価値に影響する可能性がある。
本発明は、390nm-640nmの波長の細長断面のレーザビームをその断面長手方向に交差する方向にスキャンしながら照射することにより非晶質シリコン膜を多結晶化するレーザ熱処理方法において、レーザ照射の重なり部が人間の目によって認識されないようにできるレーザ熱処理方法を提供することを目的とする。
本発明のレーザ熱処理方法は、390nm-640nmの波長範囲内で、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法である。このレーザ熱処理法では、非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンしながら照射して多結晶シリコン膜のうちの第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、第1のスキャン工程の後、第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを有する。また、非晶質シリコン膜と同じ非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンしながら照射することにより形成される多結晶シリコン膜におけるキャリアの移動度と、そのときのレーザ光の出力との関係を予備的に求める予備測定工程とを備える。そして、予備測定工程において求められる移動度とレーザ出力との関係において、最大の移動度をもたらすレーザ出力に対して80%以上の移動度が得られるレーザ出力の下限の値をElow、上限の値をEhighとして、Elow≦E≦(Ehigh+Elow)/2を満足するレーザ出力Eを用いて少なくとも第1スキャン工程を行なう。
上記の予備測定工程は、同じ熱処理機会ごとに行なう必要はなく、利用できる予備測定が既に行なわれていればその結果を用いることができる。たとえば何年も以前の測定結果がありそれが利用できれば、その結果を用いてもよい。それがメモや一枚のグラフのみであってもよい。
本発明の他のレーザ熱処理方法は、390nm-640nmの波長範囲内で、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法である。このレーザ熱処理方法は、非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンしながら照射して多結晶シリコン膜のうちの第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、第1のスキャン工程の後、第1の多結晶シリコン膜の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜にレーザ光をスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備える。そして、第1および第2スキャン工程において、レーザ光の断面の長手方向の光強度分布がほぼ台形であり、その台形の端の傾斜部において、台形トップ部の平均光強度の10%位置と90%位置との間の距離を3mm以下とする。
本発明のさらに別のレーザ熱処理方法は、390nm-640nmの波長範囲内で、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向にレーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法である。このレーザ熱処理法は、非晶質シリコン膜にレーザ光を第1のレーザ出力でスキャンしながら照射して第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、第1のスキャン工程の後、第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に、第1のレーザ出力よりも大きい第2のレーザ出力でスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備える。
本発明の上記のいずれとも相違する別のレーザ熱処理方法は、390nm-640nmの波長範囲内で、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向にレーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法である。このレーザ熱処理法は、非晶質シリコン膜にレーザ光を第1のレーザ出力でスキャンしながら照射して第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、第1のスキャン工程の後、第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に、第2のレーザ出力でスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備える。そして、第2スキャン工程においてレーザ光が重なる第1の多結晶シリコン膜部分の端へのレーザ光の照射エネルギを第1スキャン工程のそれより大きくする。
上記のいずれの方法によっても、第1の多結晶シリコン膜部分の端の第2スキャンでの重なり部において、多結晶シリコン膜が溶融しやすくなり、このため非晶質シリコン膜から一度のレーザ熱処理で形成された多結晶シリコン膜と同等の性質を示す。この結果、その重なり部が人間の眼に識別されず、また当然、トランジスタ特性においても他の部分と同じ優れた性能を得ることができる。
なお上記のレーザはパルス状発振であってもまた連続発振するものでもよい。
次に本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(基本的原理)
重ね部の第1スキャン端の傾斜領域においてTFT特性がわずかに低下する原因を追求した結果、次のことが判明した。すなわち、細長断面のレーザ光の断面長手方向の光強度分布は台形状であり、その端では幅をもって減衰し、傾斜領域を形成する。そのような断面光強度分布を有するビームを、図1に示すごとく(1)、(2)、(3)の順番で端部を重ねて照射した場合、TFT特性は、図2に示すように、第1スキャン端の第2スキャン側傾斜領域の所定光強度以上の部分においてわずかに劣化することが判明した。その原因は次のとおりである。すなわち、第1スキャン工程において、上記傾斜領域の溶融しきい値を超える光強度のレーザ光を受けた非晶質シリコン膜は、微細結晶であるが多結晶シリコン膜に変化し、それより高い光強度のレーザ光を受けた非晶質シリコン膜の部分は、光強度の増大に応じて移動度を増大させる。
実際に非晶質薄膜にレーザを照射する装置の構成を図3に示す。ここにおいて20はYAG2ω等の390-640nm領域で発振するレーザ発振器であり、10はレーザ発振器20から発振したレーザを基板の上に形成された非晶質シリコン膜に照射する照射手段、30は照射手段に対して基板を移動させる移動手段、また40はレーザを走査させる移動手段30を制御する制御手段である。
照射手段10は、ミラー11とビーム成形光学系12とにより構成される。ビーム成形光学系12は、レーザ発振器20から射出されたレーザビームを所定の形状(例えばビームの送り方向には数百μmから数十μmオーダーのビーム幅で、それに直交する方向には数百mmの長さを有する極細の細長断面ビーム)に成形する。そして、ビーム成形光学系12から射出されたレーザはミラー11で反射して非晶質シリコン膜33に照射される。ビーム成形光学系12およびミラー11は、ともに非晶質シリコン膜33上に位置決めされる。
移動手段30は、可動ステージ1と、可動ステージ1を駆動させる駆動モータ2とにより横成される。可動ステージ1は、ガラス基板31を支持し、レーザ発振器20および照射手段10に対して移動することも可能である。そのため、可動ステージ1が動くと、その上に載置されているガラス基板31および非晶質シリコン膜33も動く。
可動ステージ1は駆動モータ2に接続されており、駆動モータ2が可動ステージ1を駆動させる。なお、可動ステージ1は、所定の平面上であらゆる方向に移動することが可能である。
制御手段40は、駆動モータ32およびレーザ発振器20に接続されている。制御手段40は、駆動モータ2に対して所定の時期に可動ステージ1を駆動させるように信号を送る。この信号を受けた駆動モータ2は可動ステージ1を所定の方向に移動させる。また制御手段40はレーザ発振器20に信号を送り、レーザ発振器20から出射されるレーザ光をビーム成形光学系12の方に導く。
レーザ発振器20がレーザを発振させ、このレーザをビーム成形光学系12およびミラー11を介して非晶質シリコン膜33の一定領域を。この状態で制御手段40が駆動モータ32に信号を送り、駆動モータ2が可動ステージ1を矢印1aで示す方向に移動させる。この際、細長に成形されたビーム35が非晶質シリコン膜33に照射され、その部分が多結晶シリコン膜34になっていく(図4)。
図5は、YAG2ωレーザにおけるレーザ出力と移動度との関係を示す図である。非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成して最高の移動度を得ることができる最適レーザ出力に対して80%以上の移動度を得ることができるレーザ出力範囲はElow-Ehighである。
上記のレーザ出力はレーザ発振装置の出力目盛であってもよいし、実際のレーザ光の出力を測定したものであってもよい。また、実際に照射される部分のレーザ光のエネルギ密度であってもよい。すなわちレーザ出力を照射部分の面積で除したエネルギ密度と解してもよい。また、最適レーザ出力範囲はフラット状で所定の範囲にわたってもよいし、一点だけでもよい。
図6は、多結晶シリコン膜のキャリアの移動度と、照射エネルギ密度との関係を例示する図である。この例では、0.6J/cm2-0.8J/cm2の領域(フラット領域)でほぼ最大の移動度が得られる。また、0.5J/cm2-0.9J/cm2のエネルギ領域では、上記最大値の80%以上の移動度が得られることがわかる。上記レーザビームの断面端部において、実効的に0.6J/cm2のエネルギ密度を下回るとその部分で移動度が低下し、一方、しきい値電圧としては増大する。このとき、第2スキャンにおいて再度、重ね部で溶融すればよいが、実際は完全に多結晶化した領域では、非晶質シリコン膜と多結晶シリコン膜におけるレーザの波長と吸収率との関係を示す図7に示すように、吸収率が低下し同じエネルギ密度のレーザを照射している限り再溶融しない。
上記性質は完全に多結晶化した領域では、一度できた結晶に悪影響を与えないため有利な性質であるが、中途半端に多結晶化した領域では、特性を劣化させる原因となる。現実的には、結晶ができはじめの状態では、まだ非晶質シリコンが混在した微結晶領域であり、その領域が溶融する上で問題とならない。しかし、第1スキャンで80%以上の移動度がでている領域では、非晶質シリコンは混在せず同一のエネルギ密度では再溶融が難しい。このため、多結晶シリコン膜では非晶シリコン膜より吸収率が減ることにより、生成当初の多結晶シリコン膜に比べて微細な結晶粒の多結晶シリコン膜しか得られない。
本発明の実施の形態では、上記重ね部における特性を改善し、重ね領域における特性のわずかな特性の相違がパネル上で認識できないようにする。その改善のポイントは以下の通りである。
(1)TFT作成可能エネルギ密度領域に対し、その照射エネルギ密度を極力低い範囲に設定してアニールを行う。
(2)光ビーム端の傾斜領域の長さL(台形トップ平均強度に対し10%-90%の領域)を短く制限する。すなわち少なくとも現実的に光学設計が可能な3mm以下とする。
(3)光ビーム端の傾斜領域における第2スキャンのレーザ光強度を第1スキャンに比べ増大する。
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1におけるレーザ出力範囲を示す図である。また、図6は本発明の実施の形態1におけるレーザ照射エネルギ密度範囲を示す図である。本実施の形態ではレーザ発振装置として、YAG2ωレーザを用いた。図5および図6については上述のように既に説明しているが、重要な個所については説明を繰り返す。
本発明の実施の形態では、第2スキャンのレーザ出力EがElow-(Elow+Ehigh)/2、すなわちW1、の範囲内とする。さらに上記範囲内のなかのElow-(3×Elow+Ehigh)/4、すなわちW2、の範囲内としてもよい。
本実施の形態において重要なポイントなので繰り返すが、上記のレーザ出力はレーザ発振装置の出力目盛であってもよいし、実際のレーザ光の出力を測定したものであってもよい。また、実際に照射される部分のレーザ光のエネルギ密度であってもよい。すなわちレーザ出力を照射部分の面積で除したエネルギ密度と解してもよい。また、最適レーザ出力範囲はフラット状で所定の範囲にわたってもよいし、一点だけでもよい。
図4における照射エネルギ密度をTFT作成可能エネルギ密度領域において、比較的低エネルギ領域W1に設定する。このようなエネルギ密度で照射を行うことにより、重ね領域の所定部分が目立ちにくいことが実験的に明らかとなった。これは、照射エネルギ密度を高くするほど結晶粒径が大きくなる傾向にあることからきている。また一方で、結晶を再溶融しようとすると必ず一つの結晶に対し周辺部から中心に向かって溶融する現象が認められる。このため、エネルギ密度を比較的小さな値に設定し、相対的に小さな結晶粒径を生成した方が二回目の照射によって実効的に結晶を溶融し易いと考えられる。エネルギ密度の設定においてはレーザ出力変動に対するマージンも考慮しなくてはいけないため、最高移動度の80%以上の移動度をもたらすエネルギ密度範囲で、かつ前記エネルギ密度範囲の中心エネルギ密度以下のエネルギ密度範囲、すなわち範囲W1に設定する。さらに、レーザ出力の安定性が十分安定である系においては、最高移動度の80%以上の移動度をもたらすエネルギ密度範囲で、かつ前記エネルギ密度範囲の小さい側1/4以下のエネルギ密度範囲、すなわち範囲W2に設定してもよい。
上記のようにレーザ出力を比較的低い範囲内に設定することにより、上記重ね領域の所定部分において第1スキャンで既に形成されている多結晶シリコンを小さくできる。このため、第2スキャンにおいてその多結晶シリコン膜を容易に再溶融でき、上記重ね領域所定部分において移動度およびしきい値電圧が少しも劣化しない多結晶シリコン膜を得ることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における照射ビームの断面長手方向の光強度分布を示す図である。図8において、断面がほぼ矩形で、その断面長手方向の光強度分布がトップフラット部5を有する台形である。このとき、少なくとも端部の傾斜領域7において、ピーク強度に対し10%-90%の領域の長さLを極力小さく、3mm以下に設定する。このような設定を行うことにより、最高の移動度の80%以上の領域、図6におけるエネルギ密度0.5J/cm2以上0.6J/cm2以下の領域が狭くなる。
このため、図9に示すように重ね領域における第1スキャンの傾斜領域7内の多結晶化領域を狭くすることができる。この結果、多結晶シリコン膜から形成されたTFTにおいて、図10に示すAの部分のサイズを小さくすることができる。すなわち、重ね領域の影響を少なくでき、目視しても目立たなくなる利点を得ることができる。光学設計上、現実的に設定しやすい傾斜領域の長さLは3mm以下である。光学的な工夫を行い1.5mm以下にできればさらに効果が増大することはいうまでもない。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3におけるレーザビーム断面の長手方向の光強度分布を示す図である。図11において、細長断面の長手方向に沿う光強度分布は、一定な移動度が得られる範囲内でトップ部15に傾きが付けられている。また、トップ部15に連続する端辺には、トップ部の端の低いほうに連続する低強度端辺17および高いほうに連続する高強度端辺16とが配置される。
第1スキャンにおいて上記の強度分布のレーザ光をスキャンし、第2スキャンでは、第1スキャンにおいて低強度端辺17が照射された端部に、高強度端辺16が重なるように、上記レーザビームを照射する(図11)。このように低強度端辺16に高強度端辺が重なるように、レーザビームを照射することにより、第1スキャンで形成された多結晶シリコン膜が第2スキャンにおいて溶融しやすくなる。この結果、図12に示すように、重ね部の所定範囲のトランジスタ特性が均質に改善され、また人間の眼に識別できにくくなる。
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4におけるレーザ熱処理方法を示す図である。本実施の形態では、図13において第1スキャン(1)および(3)をほぼ同じエネルギ密度で照射したあとに、その間を埋めるように第2スキャン(2)を第1スキャンのどのレーザビームよりもエネルギ密度を高くしてスキャンする。ただし、いずれのレーザビームもその光強度が概ね一定の移動度となる範囲内とする。このようなレーザビームを照射することにより、第1スキャンの端の領域に対し、第2スキャンではより光強度の高いビームが照射される。この結果、図14に示すように重ね部の所定領域において、TFT特性の特性、たとえば移動度が他の部分とほとんど同じとなり、TFT全体にわたって特性が均質化しやすくなる。
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5におけるレーザ熱処理方法を示す図である。図15において、可動ステージ1の上には蒸着されたCr等の反射膜71が形成されている。このように重ね合わせ部に反射膜71を蒸着することにより、図15において、例えば(1)、(2)の順番に照射した場合、第2スキャンにおける重ね合わせ部分にのみ光強度を増大させることができる。
上記のレーザ熱処理方法により、第2スキャンにおいて、第1スキャン端の傾斜部の所定領域の多結晶シリコン膜の溶融が容易になる。このため、図16に示すように上記第2スキャンにおける重ね合わせ部におけるTFT特性の微妙な劣化を限定的にすることができ。TFT全体にわたってその特性をほぼ均質に揃えることができる。
(実施の形態6)
図17は、本発明の実施の形態6におけるレーザ熱処理方法を示す図である。本実施の形態では可動テーブル1上において重ね部に相当する部分のみに、波長390nm-640nmのレーザ光に対し比較的反射率の高い反射層81を設ける。これらは例えばAl、Cu、Ag、Pt、または誘電体多層膜を蒸着、めっきしてもよいし、または帯状のプレートを埋め込んだものでもよい。このような反射手段を設けることにより、第2スキャンにおける重ね部分のレーザビーム照射強度を増大することができる。第2スキャンの際に第1スキャンで形成された多結晶シリコン幕の端部分の結晶を溶融しやすくなる。その結果、図18に示すように、上記第2スキャンにおける重ね合わせ部におけるTFT特性の微妙な劣化を限定的にすることができ。TFT全体にわたってその特性をほぼ均質に揃えることができる。
次に上記実施の形態も含めて本発明の実施における変形例を羅列的に説明する。
上記予備測定工程の結果を用いる方法において、レーザ光の出力Eを、さらに、Elow≦E≦(3×Elow+Ehigh)/4を満たすレーザ出力を用いてもよい。
この方法によれば第1の多結晶シリコン膜部分の結晶粒は一層微細になり第2スキャンで重なる端において多結晶シリコンであっても一層溶融しやすくなる。この結果、第2スキャンによる熱履歴を受けても、重なる部分でより確実に他と遜色のない多結晶シリコン膜を確保することができる。
上記レーザビーム端の光強度傾斜部の所定部の長さを限定する方法において、台形トップ部の平均光強度の10%位置と90%位置との間の距離を1.5mm以下とすることができる。
上記のように距離Lを短くすることにより、重ね部は人間の目に認識しにくくなる。
次に第2スキャンにおける上記重ね部における光強度を第1スキャンにおけるそれより大きくする方法における変形例について説明する。
上記細長断面の長手方向の光強度分布がほぼ台形であり、第2スキャン工程における台形トップ部の光強度を、第1スキャン工程のそれより大きくすることができる。
この方法により、第1の多結晶シリコン膜部分を第2スキャン工程において溶融しやすくなり、重なり部の特性は良好に維持される。
上記の細長断面の長手方向の光強度分布が3辺からなる山形状であり、その山形状の一方の端辺における低強度端辺と、それに連続して漸増する中央辺と、それに連続する他方の端辺における高強度端辺とを有し、第1スキャン工程において低強度端辺側に形成された第1の多結晶シリコン膜部分の端に、高強度端辺が重なるように第2スキャン工程を行なう。
上記の方法によれば、第1スキャンと第2スキャンとを同じ出力としても上記重なり部の多結晶シリコン膜を容易に溶融することが可能になる。
上記の第2スキャン工程では、隣接する非晶質シリコン膜を照射したレーザ光を反射する反射手段を用いて、重ねた部分におけるレーザ光の光強度を増すことができる。
この方法によれば、レーザ光の断面光強度分布を精密にコントロールしなくても反射手段を用いて上記重なり部の溶融を容易に行なうことが可能になる。
上記非晶質シリコン膜を透明基板に形成し、透明基板の下方の重ねた部分に対応する位置に、レーザ光に対し反射性を有する材料を配置することができる。
この方法によれば簡単にかつ効果的に反射性材料により重なり部における多結晶シリコン膜を溶融することが可能になる。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
上記のレーザ熱処理方法を用いることにより、人間の目によっても識別されにくいスキャン重なり部を有する多結晶シリコン膜からなるTFTを形成することができる。
本発明の実施の形態においてレーザビームの重なりを示す図である。 第1スキャンと第2スキャンとの重なり部で移動度が低下する部分を示す図である。 本発明の実施の形態におけるレーザスキャン装置を示す図である。 レーザスキャン方法を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1におけるレーザ出力と移動度(相対値)との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1における照射エネルギ密度と移動度(相対値)との関係を示す図である。 非晶質シリコン膜および多結晶シリコン膜の吸収率とレーザ光波長との関係を示す図である。 本発明の実施の形態2におけるレーザビーム断面の長手方向の光強度分布を示す図である。 図8のレーザビームを用いて行なうレーザスキャン方法を示す図である。 本発明の実施の形態2におけるTFTのキャリア移動度の分布を示す図である。 本発明の実施の形態3におけるレーザビーム断面の長手方向の光強度分布を示す図である。 本発明の実施の形態3におけるTFTのキャリア移動度の分布を示す図である。 本発明の実施の形態4におけるレーザビーム断面の長手方向の光強度分布を示す図である。 本発明の実施の形態4におけるTFTのキャリア移動度の分布を示す図である。 本発明の実施の形態5において、反射体を設けたレーザスキャン方法を示す図である。 本発明の実施の形態5におけるTFTのキャリア移動度の分布を示す図である。 本発明の実施の形態6において、反射体を設けたレーザスキャン方法を示す図である。 本発明の実施の形態6におけるTFTのキャリア移動度の分布を示す図である。
符号の説明
1 可動テーブル、1a 駆動方向、2 駆動モータ、5 レーザ断面長手方向の台形状光強度分布のトップフラット部、7 レーザ断面長手方向の光強度分布の端の傾斜部、
10 照射手段、11 ミラー、12 ビーム成形光学系、15 3辺山形の光強度分布の中央辺、16 3辺山形の光強度分布の低強度端辺、17 3辺山形の光強度分布の高強度端辺、20 レーザ発振器、30 移動手段、31 ガラス基板、32 シリコン酸化膜、33 非晶質シリコン膜、34 多結晶シリコン膜、35 レーザビーム、40 制御手段、71,84 反射体、s 第1スキャンの台形状光強度分布の端点、L トップ強度の10%位置と90%位置との距離、A 重ね部所定範囲の特性劣化部。

Claims (10)

  1. 390nm-640nmの波長範囲内の、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法であって、
    前記非晶質シリコン膜に前記レーザ光をスキャンしながら照射して前記多結晶シリコン膜のうちの第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、
    前記第1のスキャン工程の後、前記第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に前記レーザ光をスキャンしながら照射する第2スキャン工程と、
    上記非晶質シリコン膜と同じ非晶質シリコン膜に前記レーザ光をスキャンしながら照射することにより形成される多結晶シリコン膜におけるキャリアの移動度と、そのときの前記レーザ光の出力との関係を予備的に求める予備測定工程とを備え、
    前記予備測定工程において求められる前記移動度とレーザ出力との関係において、最大の移動度をもたらすレーザ出力に対して80%以上の移動度が得られるレーザ出力の下限の値をElow、上限の値をEhighとして、Elow≦E≦(Ehigh+Elow)/2を満足するレーザ出力Eを用いて少なくとも前記第1スキャン工程を行なう、レーザ熱処理方法。
  2. 前記レーザ光の出力Eを、さらに、Elow≦E≦(3×Elow+Ehigh)/4を満たすレーザ出力を用いる、請求項1に記載のレーザ熱処理方法。
  3. 390nm-640nmの波長範囲内の、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法であって、
    前記非晶質シリコン膜に前記レーザ光をスキャンしながら照射して前記多結晶シリコン膜のうちの第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、
    前記第1のスキャン工程の後、前記第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねて、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に前記レーザ光をスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備え、
    前記第1および第2スキャン工程において、前記レーザ光の断面の長手方向の光強度分布がほぼ台形であり、その台形の端の傾斜部において、前記台形トップ部の平均光強度の10%位置と90%位置との間の距離を3mm以下とする、レーザ熱処理方法。
  4. 前記台形トップ部の平均光強度の10%位置と90%位置との間の距離を1.5mm以下とする、請求項3に記載のレーザ熱処理方法。
  5. 390nm-640nmの波長範囲内の、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法であって、
    前記非晶質シリコン膜に前記レーザ光を第1のレーザ出力でスキャンしながら照射して第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、
    前記第1スキャン工程の後、前記第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねながら、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に、前記第1のレーザ出力よりも大きい第2のレーザ出力でスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備える、レーザ熱処理方法。
  6. 390nm-640nmの波長範囲内の、断面が細長に成形されたレーザ光を用い、その細長断面の長手方向に交差する方向に前記レーザ光をスキャンしながら照射して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成するレーザ熱処理法であって、
    前記レーザ光を第1のレーザ出力でスキャンしながら照射して第1の多結晶シリコン膜部分を形成する第1スキャン工程と、
    前記第1スキャン工程の後、前記第1の多結晶シリコン膜部分の端に重ねながら、その第1の多結晶シリコン膜部分に隣接する非晶質シリコン膜に、第2のレーザ出力でスキャンしながら照射する第2スキャン工程とを備え、
    前記第2スキャン工程において前記第1の多結晶シリコン膜部分の端への前記レーザ光の照射エネルギを第1スキャン工程のそれより大きくする、レーザ熱処理方法。
  7. 前記細長断面の長手方向の光強度分布がほぼ台形であり、前記第2スキャン工程における前記台形トップ部の光強度が、前記第1スキャン工程のそれより大きい、請求項5または6に記載のレーザ熱処理方法。
  8. 前記細長断面の長手方向の光強度分布が、3辺からなる山形状であり、その山形状の一方の端辺における低強度端辺と、それに連続して漸増する中央辺と、それに連続する他方の端辺における高強度端辺とを有し、前記第1スキャン工程において前記低強度端辺側に形成された第1の多結晶シリコン膜部分の端に、前記第2スキャン工程において前記高強度端辺が重なるように照射する、請求項6に記載のレーザ熱処理方法。
  9. 前記第2スキャン工程では、前記隣接する非晶質シリコン膜を照射したレーザ光を反射する反射手段を用いて、前記重ねた部分におけるレーザ光の光強度を増す、請求項6に記載のレーザ熱処理方法。
  10. 前記非晶質シリコン膜を透明基板上に形成し、前記透明基板の下方の前記重ねた部分に対応する位置に、前記レーザ光に対し反射性を有する材料を配置する、請求項9に記載のレーザ熱処理方法。
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