JP4627135B2 - 半導体装置の生産方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶構造を有する半導体膜を用いて構成される半導体装置に係り、絶縁表面上に結晶成長させた結晶性半導体膜を用い、電界効果型トランジスタ、特に薄膜トランジスタを用いた半導体装置に関する。また本発明は、半導体膜をレーザ光を用いて結晶化又はイオン注入後の活性化をする半導体装置の生産システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスなどの基板上に形成した非晶質半導体膜を、レーザ処理により結晶化させる技術が知られている。レーザ処理とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層や非晶質層を再結晶化する技術、絶縁表面上に形成された非晶質半導体膜を結晶化させる技術、又は結晶構造を有する半導体膜(結晶性半導体膜)の結晶性を向上させる技術等を指している。このようなレーザ処理に使われるレーザ発振装置は、エキシマレーザに代表される気体レーザや、YAGレーザに代表される固体レーザが通常用いられている。
【0003】
レーザビームを用いることの特徴は、輻射加熱又は伝導加熱を利用する加熱処理と比較して、レーザビームが照射されそのエネルギーを吸収した領域のみを選択的に加熱することができる点にある。例えば、波長400nm以下の紫外光を発振するエキシマレーザ発振装置を用いたレーザ処理は半導体膜を選択的且つ局所的に加熱して、ガラス基板に殆ど熱的損傷を与えずに、半導体膜の結晶化や活性化処理を実現している。
【0004】
レーザー処理は、例えば特許文献1で開示されているように、レーザービームの走査速度をビームスポット径×5000/秒以上として高速走査により非晶質半導体膜を完全な溶融状態に至らしめることなく多結晶化するものや、例えば特許文献2に開示されているように、島状に形成された半導体領域に、引き延ばされたレーザービームを照射して実質に単結晶領域を形成するものがある。或いは特許文献3に開示されているように、レーザー処理装置のように光学系にて線状にビームを加工して照射する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−104117号公報(第92頁)
【特許文献2】
米国特許第4,330,363号明細書(Fig.4)
【特許文献3】
特開平8−195357号公報(第3−4頁、第1−5図)
【0006】
さらに、Nd:YVO4レーザーなど固体レーザー発振装置を用いた結晶化技術は、例えば特許文献4に開示されている。同公報では、当該固体レーザー発振装置から放射されるレーザービームの第2高調波を使うことにより、従来に比べ結晶粒径の大きい結晶性半導体膜が得られ、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)への適用が示されている。
【0007】
【特許文献4】
特開2001−144027号公報(第4頁)
【0008】
また、このような固体レーザー発振装置を用いた結晶化技術における薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)への応用は、例えば非特許文献1でも報告されている。ここでは、ダイオード励起の固体連続発振レーザー(YVO4)の第2高調波を用いて、非晶質珪素膜を結晶化し、それを用いてTFTを作製した結果が示されている。
【0009】
【非特許文献1】
A. Hara, F. Takeuchi, M. Takei, K. Yoshino, K. Suga and N. Sasaki,"Ultra-high Performance Poly-Si TFTs on a Glass by a Stable Scanning CW Laser Lateral Crystallization", AMLCD '01 Tech. Dig.,2001,pp.227-230.
【0010】
そもそも、TFTの特性を向上させるために、その活性層(ここではチャネル形成領域やソース及びドレイン領域を形成する半導体膜を指していう)の結晶性の向上が不可欠であると考えられて来た。
【0011】
絶縁表面上に単結晶半導体膜を形成する試みは古くから成され、より積極的な試みとしてグラフォエピタキシー(graphoepitaxy)という技術が考案されている。グラフォエピタキシーは石英基板の表面に段差を形成し、この上に非晶質半導体膜又は多結晶半導体膜を形成してから、レーザービームやヒーターで加熱させ、石英基板上に形成された段差形状を核として、エピタキシャル的な成長層を形成するという技術である。この技術は例えば非特許文献2等に開示されている。
【0012】
【非特許文献2】
J. Vac. Sci. Technol.,"Grapho-epitaxy of silicon on fused silica using surface micropatterns and laser crystallization", 16(6),1979,pp1640-1643.
【0013】
また、例えば非特許文献3にも、グラフォーエピタキシーと呼ばれる半導体膜の結晶化技術について開示されている。これは人為的に作られた非晶質基板表面のレリーフ格子(surface relief grating)の誘導によって半導体膜のエピ成長を試みるものであった。上記非特許文献3には、グラフォーエピタキシーの技術とは、絶縁膜の表面に段差を設け、該絶縁膜上に形成された半導体膜に加熱又はレーザー光の照射等の処理を施すことで、該半導体膜の結晶をエピタキシャル成長させることが開示されている。
【0014】
【非特許文献3】
M. W. Geis, et al.,"CRYSTALLINE SILICON ON INSULATORS BY GRAPHOEPITAXY" Technical Digest of International Electron Devices Meeting, 1979, pp.210.
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、欠陥や結晶粒界が少なく、且つ、配向の揃った高品質の結晶性半導体膜、特に単結晶半導体膜を絶縁表面上に形成しようとするには、帯域溶融法などとして知られているように、半導体膜を高温に加熱して溶融状態としてから再結晶化する方法が主流であった。
【0016】
公知のグラフォエピタキシー技術にあっては下地の段差を利用しているので、その段差に沿って結晶が成長し、形成された単結晶半導体膜の表面にその段差が残ることが問題であると考えられていた。また、歪み点が比較的低い大型のガラス基板上にグラフォエピタキシーを用いて単結晶半導体膜を形成することは出来なかった。
【0017】
いずれにしても、結晶化によって起こる半導体の体積収縮、下地との熱応力や格子不整合などにより欠陥の少ない結晶性半導体膜を形成することは出来なかった。また、歪みが蓄積され、欠陥が生成される領域を決めて、それを素子形成領域以外に形成されるように位置制御をすることは出来なかった。以上のような理由により、張り合わせSOI(Silicon on Insulator)を省いては、絶縁表面上に形成された結晶性半導体膜をもって、単結晶基板に形成されるMOSトランジスタと同等の品質を得ることはできなかった。
【0018】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、歪み点の低いガラス基板上に均一な結晶性半導体膜、特に好ましくは単結晶半導体膜を形成し、高速で電流駆動能力の高い半導体素子により構成される半導体装置を提供することを目的とする。
【0019】
また近年、基板上にTFTを形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の半導体表示装置への応用開発が進められている。特に、多結晶半導体膜を用いたTFTは、従来の非晶質半導体膜を用いたTFTよりも電界効果移動度(モビリティともいう)が高いので、高速動作が可能である。そのため、従来基板の外に設けられた駆動回路で行っていた画素の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことが可能である。
【0020】
ところで半導体装置に用いる基板は、コストの面から単結晶シリコン基板よりも、ガラス基板が有望視されている。ガラス基板は耐熱性に劣り、熱変形しやすい。そのため、ガラス基板上にポリシリコンTFTを形成する場合において、半導体膜の結晶化にレーザアニールを用いることは、ガラス基板の熱変形を避けるのに非常に有効である。
【0021】
レーザアニールの特徴は、輻射加熱或いは伝導加熱を利用するアニール法と比較して処理時間を大幅に短縮できることや、半導体又は半導体膜を選択的、局所的に加熱して、基板に殆ど熱的損傷を与えないことなどが上げられている。
【0022】
なお、ここでいうレーザーアニール法とは、半導体基板又は半導体膜に形成された損傷層を再結晶化する技術や、基板上に形成された半導体膜を結晶化させる技術を指している。また、半導体基板又は半導体膜の平坦化や表面改質に適用される技術も含んでいる。適用されるレーザー発振装置は、エキシマレーザーに代表される気体レーザー発振装置、YAGレーザーに代表される固体レーザー発振装置であり、レーザー光の照射によって半導体の表面層を数十ナノ〜数十マイクロ秒程度のごく短時間加熱して結晶化させるものとして知られている。
【0023】
レーザはその発振方法により、パルス発振と連続発振の2種類に大別される。パルス発振のレーザは出力エネルギーが比較的高いため、レーザビームの大きさを数cm2以上として量産性を上げることができる。特に、レーザビームの形状を光学系を用いて加工し、長さ10cm以上の線状にすると、基板へのレーザ光の照射を効率的に行うことができ、量産性をさらに高めることができる。そのため、半導体膜の結晶化には、パルス発振のレーザを用いるのが主流となりつつあった。
【0024】
しかし近年では、半導体膜の結晶化においてパルス発振のレーザよりも連続発振のレーザを用いる方が、半導体膜内に形成される結晶の粒径が大きくなることが見出された。半導体膜内の結晶粒径が大きくなると、該半導体膜を用いて形成されるTFTの移動度が高くなり、粒界によるTFTの特性のばらつきが抑えられる。そのため、連続発振のレーザはにわかに脚光を浴び始めている。
【0025】
パルス発振と連続発振とに大別されるレーザアニール法を用いて作製される結晶性半導体膜は、一般的に複数の結晶粒が集合して形成される。その結晶粒の位置と大きさはランダムなものであり、結晶粒の位置や大きさを指定して結晶性半導体膜を形成する事は難しい。そのため前記結晶質半導体を島状にパターニングすることで形成された活性層中には、結晶粒の界面(粒界)が存在することがある。
【0026】
結晶粒内と異なり、粒界には非晶質構造や結晶欠陥などに起因する再結合中心や捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアがトラップされると、粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。よって、TFTの活性層、特にチャネル形成領域中に粒界が存在すると、TFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、また粒界において電流が流れるためにオフ電流が増加したりと、TFTの特性に重大な影響を及ぼす。また同じ特性が得られることを前提に作製された複数のTFTにおいて、活性層中の粒界の有無によって特性がばらついたりする。
【0027】
半導体膜にレーザ光を照射したときに、得られる結晶粒の位置と大きさがランダムになるのは、以下の理由による。レーザ光の照射によって完全溶融した液体半導体膜中に固相核生成が発生するまでには、ある程度の時間が掛かる。そして時間の経過と共に、完全溶融領域において無数の結晶核が発生し、該結晶核からそれぞれ結晶が成長する。この結晶核の発生する位置は無作為であるため、不均一に結晶核が分布する。そして、互いの結晶粒がぶつかり合ったところで結晶成長が終了するため、結晶粒の位置と大きさは、ランダムなものとなる。
【0028】
よって、TFTの特性に重大な影響を及ぼすチャネル形成領域を、粒界の影響を排除して単一の結晶粒で形成することが理想的であるが、粒界の存在しない非晶質珪素膜をレーザアニール法で形成するのは殆ど不可能であった。そのためレーザアニール法を用いて結晶化された結晶質珪素膜を活性層とするTFTで、単結晶シリコン基板に作製されるMOSトランジスタの特性と同等なものは、今日まで得られていない。
【0029】
本発明は上述した問題に鑑み、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぎ、粒界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができるレーザ結晶化法を用いた、半導体装置の生産システムの提供を課題とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明は、絶縁膜を複数積層させ、又は絶縁膜を蝕刻して形成された矩形又は帯状の段差形状を有する下地絶縁膜上に、非晶質半導体膜又は結晶性半導体膜を形成し、レーザビームの照射により結晶化させ、少なくとも下地絶縁膜の凸上部に形成された結晶性半導体膜を残存させ、その結晶性半導体膜にチャネル形成領域が配設されるようにTFTを形成するものである。当該チャネル形成領域は、矩形又は帯状の段差形状の凸上部において長手方向に延在させて設けられたものである。
【0031】
段差形状を有する下地絶縁膜は、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素又は酸窒化珪素を用いて形成する。段差形状は、当該被膜をエッチングして形成しても良いし、複数の被膜を積層させて形成しても良い。尚、本発明において、窒酸化珪素は、含有する酸素濃度が20atomic%以上30atomic%以下、窒素濃度が20atomic%以上30atomic%以下、水素濃度が10atomic%以上20atomic%以下のものであるとして扱う。また、酸窒化珪素は、含有する酸素濃度が55atomic%以上65atomic%以下、窒素濃度が1atomic%以上20atomic%以下、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下のものとして扱う。
【0032】
矩形又は帯状の段差形状を形成する構成としては、基板全面に窒化珪素又は窒酸化珪素からなる第1絶縁膜を形成し、その上に矩形又は帯状のパターンで酸化珪素又は酸窒化珪素からなる第2絶縁膜を形成する。或いは、窒化珪素、酸化珪素、窒酸化珪素、酸窒化珪素から成る矩形又は帯状のパターンで形成された第1絶縁膜の上に、酸窒化珪素膜で全面に形成される第2絶縁膜を形成する。
【0033】
本来、窒化珪素膜は不純物イオン等に対して良好なブロッキング性を有するが、応力が大きいのでこの上に結晶性半導体膜を形成すると応力の作用により歪みが形成され好ましくない。酸化珪素膜は内部応力が比較して小さいので、結晶性半導体膜と界面の密接性が良く、界面準位密度を小さくすることができるが、不純物に対する遮蔽効果がない。窒酸化珪素膜は窒素の含有比率を高めてブロッキング性を持たせつつ、酸素を含有することで応力を緩和している。酸窒化珪素は酸化珪素の特性に窒化珪素に見られる不純物のブロッキング性を兼ね備えた性質を有し、内部応力も比較的小さく制御できるので半導体膜と接する下地絶縁膜として適している。
【0034】
段差形状は基板面上のTFTの配列に合わせて形成され、それは必ずしも規則的な周期パターンである必要はない。本発明において、下地絶縁膜に形成される段差形状は結晶化に伴う体積収縮における応力を局部的に集中させ、半導体素子の活性層、特にチャネル形成領域に応力歪みがかからないようにする目的において有効に作用する。
【0035】
非晶質半導体膜の結晶化の過程においては、原子の再配列や含有水素の離脱により体積収縮が起こることが知られている。その割合は非晶質半導体膜の作製条件にもよるが、0.1〜1%程度であるとされている。その結果結晶性半導体膜には引張り応力が発生し、その大きさは約1×1010dyn/cm2に及ぶこと推定されている。これは水素を含有する非晶質珪素膜等で顕著であり、結晶性半導体膜を再結晶化させる場合にも同様な現象が発生することが考慮される。結晶化に伴う応力は段差部に集中し、内部応力として蓄積されるか、或いはクラックとして確認することができる。
【0036】
勿論、この歪みが蓄積された部分が一切適用できない訳ではなく、複数の矩形又は帯状の段差形状を有する下地絶縁膜上の、それぞれの凸上部に形成された結晶性半導体にチャネル形成領域が設けられ、ソース又はドレイン領域はそれ以外の結晶性半導体を用いて形成された構成としても良い。このような形態により、一つのTFTに複数のチャネル形成領域が設けられたマルチチャネルTFTが形成される。
【0037】
下地絶縁膜に形成された段差形状を利用した結晶化には線状に集光される連続発振レーザ発振装置を光源とするレーザビームを照射する。そのレーザビームは、強度分布が長手方向において均一なエネルギー密度分布を有していることが望ましい。短手方向には任意の分布で良く、例えば、ガウス分布等分布を持っていても良い。レーザ処理は、線状に集光される連続発振レーザビームの長手方向と交差する方向に走査して成されるが、この時、長手方向において均一な強度分布を有していることにより、走査方向と平行に延びる結晶成長を可能にしている。つまり、長手方向に不均一なエネルギー密度分布があると照射領域内で温度勾配が生じ、それに依存して結晶粒界が延在する結晶が形成されてしまう。即ち、走査方向と平行な方向に結晶粒界を延在させることができなくなる。
【0038】
連続発振レーザビームの光源は、矩形ビーム固体レーザ発振装置であり、代表的にはスラブレーザ発振装置を適用することができる。
【0039】
レーザビームの照射により半導体膜はその光吸収係数によっては、ほぼ選択的に加熱される。レーザビームの照射により溶融した半導体は、固化の過程で結晶化するが、下地絶縁膜に段差形状があることにより熱容量が異なり、凸上部の方が冷却速度が遅くなる。これにより結晶の大粒径化を図ることができる。
【0040】
チャネル形成領域が設けられる矩形状の半導体領域の結晶は、該チャネル長方向と平行な方向に延在するものであり、又は結晶方位が揃っているという特徴がある。
【0041】
即ち、TFTのチャネル形成領域を形成する領域は、下地絶縁膜の凸上部に形成されるようにすることで、良質な結晶を選択的に使用することができる。或いは、段差部において最も応力が集中する歪み領域をチャネル形成領域から除外することができる。
【0042】
このような構成とし、複数の矩形状の半導体領域を複数個並列に配設し、一対のソース及びドレイン領域間に設け、一つのトランジスタを形成することで、素子間の特性の分散を小さくすることができる。また、良質な結晶のみを使うことで、電界効果移動度を向上させることができる。
【0043】
尚、本発明でいう非晶質半導体膜とは、狭義の意味で完全な非晶質構造を有するものだけではなく、微細な結晶粒子が含まれた状態、又はいわゆる微結晶半導体膜、局所的に結晶構造を含む半導体膜を含む。代表的には非晶質シリコン膜が適用され、その他に非晶質シリコンゲルマニウム膜、非晶質シリコンカーバイト膜などを適用することもできる。
【0044】
また本発明者らは、半導体膜がレーザ光の照射により結晶化する過程において、半導体膜に生じる応力の向きが粒界の位置及び向きと密接に関係することを発見した。図1に、200nmの非晶質半導体膜に連続発振のレーザ光を、走査速度が5cm/secとなるように照射したときの、レーザ光の走査方向と垂直な方向におけるTEMの断面像を示す。図1(A)において、10a、10b、10cは結晶の粒界であり、走査方向と垂直な方向におけるその幅はランダムである。
【0045】
図1(B)に、図1(A)に示したTEMの断面像を模式的に図示する。図1(B)に示すとおり、粒界10aと粒界10bの間、粒界10bと粒界10cの間において、半導体膜102に盛り上がるが見られる。本発明者らは、これは矢印に示す通り、粒界の近傍から結晶粒の中央部分に向かって基板と平行な方向に応力がかかっているためではないかと考えた。
【0046】
そこで本発明者らは、意図的に該半導体膜に応力が集中的にかかる部分を形成することで、粒界が形成される位置を選択的に定めることができるのではないかと考えた。本発明では、基板上に凹凸を設けた絶縁膜を形成し、該絶縁膜上に半導体膜を形成することで、レーザ光による結晶化の際に、該半導体膜に応力が集中的にかかる部分を選択的に形成する。具体的には、該半導体膜にストライプ状(縞状)または矩形の凹凸を設ける。そして、該半導体膜に形成されたストライプの凹凸に沿って、または矩形の長軸か短軸の方向に沿って、連続発振のレーザ光を照射する。なおこのとき、連続発振のレーザ光を用いるのが最も好ましいが、パルス発振のレーザ光を用いても良い。なおレーザ光の走査方向に対して垂直な方向における断面は、矩形、三角形または台形であっても良い。
【0047】
レーザ光の照射による結晶化の際、半導体膜の凹部のエッジ近傍または凸部のエッジ近傍において応力集中が起こり、粒界が選択的に形成される。そして半導体膜の凸部の中央付近または凹部の中央付近は、半導体膜の凹部のエッジ近傍または凸部のエッジ近傍と比べて応力が小さいため、比較的粒界が形成されにくい、または形成されても結晶粒が大きくなるので、より優れた結晶性を得ることができる。
【0048】
本発明では、レーザ光による結晶化の後、半導体膜の凹部のエッジ近傍または凸部のエッジ近傍をパターニングにより除去し、凸部の中央付近の結晶性が優れている部分をTFTの活性層として積極的に用いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凸部のエッジ近傍としてパターニングで除去するかは、設計者が適宜定めることができる。
【0049】
なお、レーザ光のレーザビームのエッジの近傍は、中央付近に比べて一般的にエネルギー密度が低く、半導体膜の結晶性も劣る場合が多い。そのためレーザ光を走査する際に、後にTFTのチャネル形成領域となる部分、より好ましくは半導体膜の凸部と、その軌跡のエッジとが重ならないようにする必要がある。
【0050】
そこで本発明の生産システムでは、まず設計の段階で得られた、基板上面から見た絶縁膜または半導体膜の形状のデータ(パターン情報)を記憶手段に記憶する。そしてそのパターン情報と、レーザ光のレーザビームの走査方向と垂直な方向における幅とから、少なくともTFTのチャネル形成領域となる部分と、レーザ光の軌跡のエッジとが重ならないように、レーザ光の走査経路を決定する。そして、マーカーを基準として基板の位置を合わせ、決定された走査経路にしたがってレーザ光を基板上の半導体膜に対して照射する。
【0051】
上記構成により、基板全体にレーザ光を照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分にのみレーザ光を走査するようにすることができる。よって、不必要な部分にレーザ光を照射するための時間を省くことができ、よって、レーザ光照射にかかる時間を短縮化することができ、なおかつ基板の処理速度を向上させることができる。また不必要な部分にレーザ光を照射し、基板にダメージが与えられるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、マーカーは、基板を直接レーザ光等によりエッチングすることで形成しても良いし、凹凸を有する絶縁膜を形成する際に、同時に絶縁膜の一部にマーカーを形成するようにしても良い。また、実際に形成された絶縁膜または半導体膜の形状をCCD等の撮像素子を用いて読み取り、データとして第1の記憶手段に記憶し、第2の記憶手段に設計の段階で得られた絶縁膜または半導体膜のパターン情報を記憶し、第1の記憶手段に記憶されているデータと、第2の記憶手段に記憶されているパターン情報とを照合することで、基板の位置合わせを行うようにしても良い。
【0053】
半導体膜の形状を読み取る場合、半導体膜自身が膜厚を有しているので、必ずしも半導体膜の形状と絶縁膜のマスクとは一致しない。よって半導体膜の膜厚を計算に入れてパターン情報との照合を行なうようにする。また必ずしもCCDを用いて形状を把握するのではなく、例えばレーザーダイオードから発せられるレーザー光を絶縁膜または半導体膜に照射し、反射してきた光をモニターすることで、形状を把握するようにしても良い。
【0054】
絶縁膜の一部にマーカーを形成したり、絶縁膜の形状をマーカーとして用いることで、マーカー用のマスクを1枚減らすことができ、なおかつ基板にレーザ光で形成するよりもよりも、正確な位置にマーカーを形成することができ、位置合わせの精度を向上させることができる。
【0055】
なお、レーザ光のエネルギー密度は、一般的には完全に均一ではなく、レーザビーム内の位置によりその高さが変わる。本発明では、最低限チャネル形成領域となる部分、より好ましくは凸部の平らな面全体に、一定のエネルギー密度のレーザ光を照射することが必要である。よって本発明では、レーザ光の走査により、均一なエネルギー密度を有する領域が、最低限チャネル形成領域となる部分、より好ましくは凸部の平らな面全体と完全に重なるような、エネルギー密度の分布を有するレーザビームを用いることが必要である。上記エネルギー密度の条件を満たすためには、レーザビームの形状を、矩形または線形等にすることが望ましいと考えられる。
【0056】
さらにスリットを介し、レーザビームのうちエネルギー密度の低い部分を遮蔽するようにしても良い。スリットを用いることで、比較的均一なエネルギー密度のレーザ光を凸部の平らな面全体に照射することができ、結晶化を均一に行うことができる。またスリットを設けることで、絶縁膜または半導体膜のパターン情報によって部分的にレーザビームの幅を変えることができ、チャネル形成領域、さらにはTFTの活性層のレイアウトにおける制約を小さくすることができる。なおレーザビームの幅とは、走査方向と垂直な方向におけるレーザビームの長さを意味する。
【0057】
また複数のレーザ発振装置から発振されたレーザ光を合成することで得られた1つのレーザビームを、レーザ結晶化に用いても良い。上記構成により、各レーザ光のエネルギー密度の弱い部分を補い合うことができる。
【0058】
また半導体膜を成膜した後、大気に曝さないように(例えば希ガス、窒素、酸素等の特定されたガス雰囲気または減圧雰囲気にする)レーザ光の照射を行い、半導体膜を結晶化させても良い。上記構成により、クリーンルーム内における分子レベルでの汚染物質、例えば空気の清浄度を高めるためのフィルター内に含まれるボロン等が、レーザ光による結晶化の際に半導体膜に混入するのを防ぐことができる。
【0059】
なお、上記非特許文献2または非特許文献3に記載されているグラフォーエピタキシー(graphoepitaxy)と呼ばれる半導体膜の結晶化技術において、エピタキシャル成長に必要な温度は、少なくとも700℃程度は必要であり、ガラス基板上においてエピタキシャル成長を行おうとすると、絶縁膜の凸部のエッジ近傍において半導体膜に粒界が形成されてしまう。本発明では、アイランドのマスクをレイアウトして、該アイランドとなる部分における結晶性を高められるように、絶縁膜の凸部の形状及びエッジの位置を、アイランドのレイアウトに合わせて設計する。具体的には凸部のエッジとアイランドとが重ならないように、凸部の形状、サイズ等を定める。そしてアイランドのレイアウトに合わせて設計された絶縁膜を用い、敢えてエッジ近傍に粒界が形成された半導体膜を形成する。そして該半導体膜の、エッジ近傍における粒界が多く存在する部分をパターニングにより除去し、結晶性の比較的優れている部分をアイランドとして用いる。よって本発明において開示する技術は、従来のグラフォーエピタキシーと、段差を設けた絶縁膜上に半導体膜を形成し、該段差を用いて半導体膜を結晶化させる点では一致しているが、従来のグラフォーエピタキシーには段差を用いて粒界の位置を制御し、アイランド内の粒界を少なくするという概念は含まれておらず、本発明とは似て非なるものである。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の態様について説明する。図28において示す斜視図は、基板9101上に下地絶縁膜として第1絶縁膜9102と帯状にパターン形成された第2絶縁膜9103〜9105が形成された形態を示している。ここでは、第2絶縁膜による帯状のパターンが3本示されているが、勿論その数に限定されることはない。基板は市販の無アルカリガラス基板、石英基板、サファイア基板、単結晶又は多結晶半導体基板の表面を絶縁膜で被覆した基板、金属基板の表面を絶縁膜で被覆した基板を適用することができる。
【0061】
帯状に形成される第2絶縁膜の幅W1は1〜10μm、隣接する第2絶縁膜の間隔W2は0.5〜10μm、厚さdは0.05〜0.5μmとすることが適している。この段差形状は規則的な周期パターンである必要はなく、TFT等の半導体素子に合わせて任意に配置すれば良いものである。第2絶縁膜の長さLもその長さに限定はなく、例えばTFTのチャネル形成領域を形成することができる長さがあれば良い。
【0062】
第1絶縁膜の材料は、窒化珪素又は窒酸化珪素が適用される。窒酸化珪素膜においては、含有する酸素濃度が20atomic%以上30atomic%以下、窒素濃度が20atomic%以上30atomic%以下、水素濃度が10atomic%以上20atomic%以下とする。或いは、酸素に対する窒素の組成比を0.6以上1.5以下とする。また、密度が8×1022/cm3以上2×1023/cm3以下とし、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチングレートは60〜70nm/min(500℃、1時間+550℃、4時間の熱処理後では、40〜50nm/min)であるものを適用する。このような窒酸化珪素膜はSiH4、NH3、N2Oを原料として用い、プラズマCVD法で形成することができる。
【0063】
第2絶縁膜の材料は、酸化珪素又は酸窒化珪素が適用される。酸化珪素はオルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Ortho Silicate:TEOS)とO2とを混合しプラズマCVD法で形成することができる。酸窒化珪素膜においては、含有する酸素濃度を55atomic%以上65atomic%以下、窒素濃度を1atomic%以上20atomic%以下、水素濃度は0.1atomic%以上10atomic%以下とし、密度が6×1022/cm3以上9×1022/cm3以下、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合水溶液の20℃におけるエッチングレートは110〜130nm/min(500℃、1時間+550℃、4時間の熱処理後では、90〜100nm/min)とする。尚、ここで定義したエッチングレートはエッチング溶液として、NH4HF2を7.13%、NH4Fを15.4%を含む水溶液を用い、20℃のときに得られる値である。このような酸窒化珪素膜は、SiH4、N2Oを原料として用い、プラズマCVD法で形成することができる。
【0064】
第2絶縁膜で形成される段差部の側壁の角度は5〜120度の範囲で適宜設定すれば良い。またその断面形状において、矩形の凹凸形状のみでなく鋸刃状の凹凸形状としても良い。
【0065】
図29で示すように、この第1絶縁膜9102と第2絶縁膜9103〜9105から成る下地絶縁膜上に凸上部、凹底部、および段差部の側面を覆う非晶質半導体膜9106を50〜200nmの厚さに形成する。非晶質半導体膜は、珪素、珪素とゲルマニウムの化合物又は合金、珪素と炭素の化合物又は合金を適用することができる。この中で最も適した材料は珪素である。
【0066】
そして、この非晶質半導体膜9106に連続発振レーザビーム9107を照射して結晶化を行う。9108は結晶化された半導体膜である。適用されるレーザビームは、光学系にて線状に集光されたものであり、その強度分布が長手方向において均一な領域を有し、短手方向に分布を持っていても良く、光源として用いるレーザ発振装置は、矩形ビーム固体レーザ発振装置が適用され、特に好ましくは、スラブレーザ発振装置が適用される。或いは、Nd、Tm、Hoをドープしたロッドを用いた固体レーザ発振装置であり、特にYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にNd、Tm、Hoをドープした結晶を使った固体レーザ発振装置にスラブ構造増幅器を組み合わせたものでも良い。そして、図中に矢印で示すように、線状の長手方向に対し交差する方向に走査する。この時、下地絶縁膜に形成される帯状のパターンの長手方向と平行な方向に走査することが最も望ましい。尚、ここでいう線状とは、短手方向の長さに対し、長手方向の長さの比が1対10以上のものをもって言う。
【0067】
スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)等の結晶が使用される。スラブレーザでは、この板状のレーザ媒質の中を、全反射を繰り返しながらジグザグ光路で進む。
【0068】
また、連続発振レーザビームの波長は、非晶質半導体膜の光吸収係数を考慮して400〜700nmであることが望ましい。このような波長帯の光は、波長変換素子を用いて基本波の第2高調波、第3高調波を取り出すことで得られる。波長変換素子としてはADP(リン酸二水素化アンモニウム)、Ba2NaNb515(ニオブ酸バリウムナトリウム)、CdSe(セレンカドミウム)、KDP(リン酸二水素カリウム)、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)、Se、Te、LBO、BBO、KB5などが適用される。特にLBOを用いることが望ましい。代表的な一例は、Nd:YVO4レーザ発振装置(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)を用いる。また、レーザの発振モードはTEM00モードであるシングルモードを適用する。
【0069】
最も適した材料として選ばれる珪素の場合、吸収係数が103〜104cm-1である領域はほぼ可視光域にある。ガラスなど可視光透過率の高い基板と、珪素により30〜200nmの厚さをもって形成される非晶質半導体膜を結晶化する場合、波長400〜700nmの可視光域の光を照射することで、当該半導体領域を選択的に加熱して、下地絶縁膜にダメージを与えずに結晶化を行うことができる。具体的には、非晶質珪素膜に対し、波長532nmの光の侵入長は概略100nm〜1000nmであり、膜厚30nm〜200nmで形成される非晶質半導体膜9106の内部まで十分達することができる。即ち、半導体膜の内側から加熱することが可能であり、レーザビームの照射領域における半導体膜のほぼ全体を均一に加熱することができる。
【0070】
図32はこの結晶化の過程を縦断面図により説明するものであり、図32(A)で示すように基板9101上に第1絶縁膜9102、第2絶縁膜9103〜9105、非晶質半導体膜9106が形成された後、図32(B)で示すようにレーザビーム9107の照射により結晶化を行う。結晶化においては、第1絶縁膜9102と第2絶縁膜9103〜9105の側壁が接する境界部における半導体膜が最も早く冷却し固化が始まると考えられる。結晶化はそこを端として始まり、凸上部にかけて結晶成長する。凸上部では第1絶縁膜と第2絶縁膜とが積層されているので、他の領域と比較して熱容量が大きくなり冷却速度が遅くなり大粒径の結晶成長を可能としている。段差部においては結晶成長方向に引っ張られ、また、その形状的な要因により歪みが集中して内部応力が蓄積される。
【0071】
この様子は模式的に図32(C)で示しているが、結晶性半導体膜9108において、比較的冷却速度が速い凹底部9502では結晶の品質が悪く、段差部において歪みが蓄積され、ひいてはクラック等が形成されることがある。その一方で凸上部9501に形成される結晶は歪みが緩和された結晶性半導体膜が形成される。この凸上部に形成される結晶性半導体膜は実質的に単結晶又は単結晶領域が形成されたものと見なすことができる。
【0072】
結晶化終了した後、図30で示すようにエッチングにより結晶性半導体膜から成る活性層9109を形成する。活性層9109においてチャネル形成領域9120〜9122(概略点線で囲む領域)は下地絶縁膜の凸上部、即ち第2絶縁膜上に設けられる。凹底部から延びる結晶粒界や歪みが蓄積された段差部の領域を除去して、結晶がチャネル形成領域にかからないようにしている。
【0073】
図30で示す活性層9109は、並列に配置された複数の矩形状の半導体領域と、該矩形状の半導体領域を連接する一対の半導体領域が一体形成された形状と見ることができる。活性層における複数の矩形状の半導体領域のそれぞれにおいて、絶縁膜を介して重なる電極を設けることによりチャネル形成領域をそこに形成することができる。そして、複数の矩形状の半導体領域は、チャネル長方向と平行な方向に延在している。或いはチャネル形成領域において結晶方位が揃っているという特徴を有している。
【0074】
その他の形態として、図31(A)で示すように、第2絶縁膜9103〜9105上に結晶性半導体膜9110〜9112を対応させて形成しても良い。TFTにおいては、ゲート電極の配置により、そこにチャネル形成領域9123〜9125を配設することができる。また、図31(B)で示すように結晶性半導体膜9113、9114を形成しても良い。この場合もゲート電極の配置により、そこにチャネル形成領域9126〜9131を配設することができる。
【0075】
図33は、結晶化に際し適用することのできるレーザ処理装置の構成の一例を示す。図33はレーザ発振装置9301、シャッター9302、高変換ミラー9303〜9306、スリット9307、シリンドリカルレンズ9308、9309、載置台9311、載置台9311をX方向及びY方向に変位させる駆動手段9312、9313、当該駆動手段をコントロールする制御手段9314、予め記憶されたプログラムに基づいてレーザ発振装置9301や制御手段9314に信号を送る情報処理手段9315等から成っているレーザ処理装置の構成を正面図と側面図により示すものである。
【0076】
シリンドリカルレンズ9308、9309により照射面の断面形状において線状に集光されるレーザビームは、載置台9311上の基板9320表面に対し斜めに入射させる。これは、非点収差などの収差により焦点位置がずれ、照射面またはその近傍において線状の集光面を形成することができる。シリンドリカルレンズ9308、9309は合成石英製とすれば、高い透過率が得られ、レンズの表面に施されるコーティングは、レーザビームの波長に対する透過率が99%以上を実現するために適用される。勿論、照射面の断面形状は線状に限定されず、矩形状、楕円形又は長円形など任意な形状としても構わない。いずれにしても、短軸と長軸の比が、1対10〜1対100の範囲に含まれるものを指している。また、波長変換素子9310は基本波に対する高調波を得るために備えられている。
【0077】
上述の如く、レーザ発振装置は矩形ビーム固体レーザ発振装置が適用され、特に好ましくは、スラブレーザ発振装置が適用される。或いは、YAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にNd、Tm、Hoをドープした結晶を使った固体レーザ発振装置にスラブ構造増幅器を組み合わせたものでも良い。スラブ材料としては、Nd:YAG、Nd:GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、Nd:GsGG(ガドリニウム・スカンジウム・ガリウム・ガーネット)等の結晶が使用される。その他にも、連続発振可能な気体レーザ発振装置、固体レーザ発振装置を適用することもできる。連続発振固体レーザ発振装置としてはYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使ったレーザ発振装置を適用する。発振波長の基本波はドープする材料によっても異なるが、1μmから2μmの波長で発振する。より高い出力を得る為には、ダイオード励起の固体レーザ発振装置が適用され、カスケード接続されていても良い。
【0078】
また、載置台9311を駆動手段9312、9313により二軸方向に動かすことにより基板9320のレーザ処理を可能としている。一方の方向への移動は基板9320の一辺の長さよりも長い距離を1〜200cm/sec、好ましくは5〜50cm/secの等速度で連続的に移動させることが可能であり、他方へは線状ビームの長手方向と同程度の距離を不連続にステップ移動させることが可能となっている。レーザ発振装置9301の発振と、載置台9311は、マイクロプロセッサを搭載した情報処理手段9315により同期して作動するようになっている。
【0079】
載置台9311は図中で示すX方向に直線運動をすることにより、固定された光学系から照射されるレーザビームで基板全面の処理を可能としている。位置検出手段9316は基板9320におけるレーザビームの照射位置を検出し、その信号を情報処理手段9315に伝送することができる。
【0080】
このような構成のレーザ照射装置により基板9320に照射されるレーザビームは、図中に示すX方向又はY方向に相対移動させることにより半導体膜の所望の領域または全面を処理することができる。
【0081】
このように、非晶質半導体膜に連続発振レーザビームを照射する結晶化において、下地絶縁膜に段差形状を設けることにより、その部分に結晶化に伴う歪み又は応力を集中させることができ、活性層とする結晶性半導体にその歪み又は応力がかからないようにすることができる。歪み又は応力から開放された結晶性半導体膜にチャネル形成領域が配設されるようにTFTを形成することにより、高速で電流駆動能力を向上させることが可能となり、素子の信頼性を向上させることも可能となる。
【0082】
次に、図2を用いて、本発明で用いられるレーザ光の照射方法について説明する。
【0083】
まず、図2(A)に示すように基板100上に絶縁膜101を形成する。絶縁膜101はストライプ状の凸部101aを含んでいる。なおこの凹凸の形成の仕方については、後段において詳しく説明する。絶縁膜101は酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜等を用いることができる。なお、アルカリ金属などの不純物が後に形成される半導体膜内に取り込まれるのを防ぐことができ、後の処理温度に耐え得る絶縁性を有する膜で、なおかつ凹凸を形成することができるのであれば、これらの他の絶縁膜を用いても良い。また2つ以上の膜の積層構造であってもよい。
【0084】
このとき、絶縁膜101と同時に、絶縁膜の一部を利用してマーカーを形成するようにしても良い。
【0085】
基板100は、後の工程の処理温度に耐えうる材質であれば良く、例えば石英基板、シリコン基板、バリウムホウケイ酸ガラスまたはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成した基板を用いることができる。また、処理温度に耐えうる程度に耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0086】
次に、絶縁膜101を覆うように、半導体膜102を形成しする。半導体膜102は、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により成膜することができる。なお、半導体膜は非晶質半導体膜であっても良いし、微結晶半導体膜、結晶性半導体膜であっても良い。また珪素だけではなくシリコンゲルマニウムを用いるようにしても良い。
【0087】
このとき、絶縁膜101の凹凸に沿って、半導体膜102にも凹凸が現れる。なお、絶縁膜101の凸部101aは、後に形成される半導体膜102の表面に凹凸が現れるように、半導体膜102の膜厚を考慮して形成する必要がある。
【0088】
次に、図2(A)に示すように、半導体膜102にレーザ光を照射し、結晶性が高められた半導体膜(LC後)103を形成する。レーザ光のエネルギー密度は、レーザビーム104のエッジの近傍において低くなっており、そのためエッジの近傍は結晶粒が小さく、結晶の粒界に沿って突起した部分(リッジ)が出現する。そのため、レーザ光のレーザビーム104の軌跡のエッジと、チャネル形成領域となる部分または半導体膜102の凸部の平らな面とが重ならないようにする。
【0089】
なおレーザ光の走査方向は、矢印に示すように、凸部101aの方向と平行になるように定める。
【0090】
本発明では公知のレーザを用いることができる。レーザ光は連続発振であることが望ましいが、パルス発振であっても本発明の効果を得ることができると考えられる。レーザは、気体レーザもしくは固体レーザを用いることができる。気体レーザとして、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザなどがあり、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザー、Y23レーザーなどが挙げられる。固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザが適用される。当該レーザの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザ光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0091】
またさらに、固体レーザから発せられらた赤外レーザ光を非線形光学素子でグリーンレーザ光に変換後、さらに別の非線形光学素子によって得られる紫外レーザ光を用いることもできる。
【0092】
なお、図2(A)の、結晶化される前のA−A’における断面図が図2(B)に相当し、結晶化された後のB−B’における断面図が図2(C)に相当する。レーザ光の照射によって結晶化された半導体膜(LC後)103では、凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍において応力集中が起こり、粒界105が生じやすくなる。図2(D)に、結晶化後の半導体膜103の凸部の拡大図を示す。矢印が内部応力の向きであり、半導体膜の凸部のエッジ近傍106及び凹部のエッジ近傍107において応力集中が起こり、粒界105が生じると考えられる。しかし、凸部101aの上部の平坦な部分においては、凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍に比較して応力が小さいため、粒界ができにくい、またはできても比較的大きな結晶粒が得られる。
【0093】
次に、図3(A)に示すように、粒界が多く形成されていると考えられる凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍と、凹部とを除去するように、結晶化後の半導体膜103をパターニングし、結晶性の優れている凸部101aの上部に位置する平坦な部分を用い、島状の半導体膜(アイランド)108を形成する。
【0094】
なお本実施例では、凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍と、凹部とを一部残す様に半導体膜103をパターニングすることで、図3(A)に示すような、チャネル形成領域の部分のみ分離したスリット状の活性層として用いるアイランド108を形成した。アイランド108のA−A’における断面図を図3(B)に、B−B’における断面図を図3(C)に示す。ソース領域またはドレイン領域となる部分はチャネル形成領域ほど半導体膜の結晶性によるTFTの特性への影響が大きくない。そのため、結晶性が芳しくない凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍を残しておいても然程問題にはならない。
【0095】
次に図4(A)に示すように、少なくともアイランド108のチャネル形成領域となる部分を覆うように、ゲート絶縁膜110を形成する。なお図4(A)では、ソース領域またはドレイン領域となる部分が露出しているが、ゲート絶縁膜110でアイランド108全体を覆うようにしても良い。
【0096】
次に、導電性を有する膜を成膜し、パターニングすることで、ゲート電極111を形成する。なお、図4(A)のA−A’における断面図を図4(B)に示す。ゲート電極111は全てのチャネル形成領域と重なっている。
【0097】
上記作製工程によって、互いに分離した複数のチャネル形成領域を有するTFTが完成する。このような構成にすることで、チャネル形成領域のチャネル幅を長くすることでオン電流を確保しつつ、TFTを駆動させることで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0098】
各チャネル形成領域のチャネル幅をWST、各チャネル形成領域間の幅をWSOとすると、WSTとWSOとの比は設計者が適宜設定することができるが、より好ましくは、3WST≒WSOとするのが望ましい。
【0099】
次に、本発明の生産システムについて説明する。図5に本発明の生産システムのフローチャートを示す。まずアイランドのマスクを設計し、次に絶縁膜の形状をストライプ状または矩形状の凹凸を有するように設計する。このとき、該アイランドの1つまたは複数が絶縁膜の凸部の平らな面にレイアウトされるようにする。そして、アイランドをTFTの活性層として用いる場合、チャネル形成領域のキャリアが移動する方向と、絶縁膜のストライプの向きまたは矩形の長辺か短辺方向に揃えるようにすることが望ましいが、用途に応じて意図的に方向を揃えない様にしても良い。
【0100】
また、このとき絶縁膜の一部にマーカーが形成されるように、絶縁膜の形状を設計するようにしても良い。
【0101】
そして、設計された絶縁膜の形状に関する情報(パターン情報)を、レーザ照射装置が有するコンピューターに入力し、その記憶手段に記憶する。コンピューターでは、入力された絶縁膜のパターン情報と、レーザビームの走査方向に対して垂直な方向における幅とに基づき、レーザ光の走査経路を定める。このとき、レーザ光の軌跡のエッジと、絶縁膜の凸部の平らな面とが重ならないように、走査経路を定めることが重要である。なお、絶縁膜のパターン情報に加えて、アイランドのパターン情報をコンピュータの記憶手段に記憶させ、レーザ光の軌跡のエッジとアイランドまたはアイランドのチャネル形成領域とが重ならないように、走査経路を定めるようにしても良い。
【0102】
なお、スリットを設けてレーザビームの幅を制御する場合、コンピューターでは入力された絶縁膜のパターン情報に基づき、走査方向に対して垂直方向における、絶縁膜の凸部の幅を把握する。そして、絶縁膜の凸部の幅を考慮して、レーザ光の軌跡のエッジと、絶縁膜の凸部の平らな面とが重ならないように、走査方向に対して垂直方向におけるスリットの幅を設定する。
【0103】
一方基板上に、設計したパターン情報に従って絶縁膜を形成し、次に、該絶縁膜上に半導体膜を成膜する。そして、半導体膜を成膜した後、基板をレーザ照射装置のステージに設置し、基板の位置合わせを行なう。図5ではCCDカメラを用いてマーカーを検出し、基板の位置合わせを行う。なおCCDカメラとは、CCD(電荷結合素子)を撮像素子として用いたカメラを意味する。
【0104】
なお、ステージに設置された基板上の絶縁膜または半導体膜のパターン情報をCCDカメラ等により検出し、コンピュータにおいてCADによって設計された絶縁膜または半導体膜のパターン情報と、CCDカメラによって得られる、実際に基板上に形成された絶縁膜または半導体膜のパターン情報とを照らし合わせ、基板の位置合わせを行うようにしても良い。
【0105】
そして、定められた走査経路にしたがってレーザ光を照射し、半導体膜を結晶化する。
【0106】
次に、レーザ光を照射した後、レーザ光照射により結晶性が高められた半導体膜をパターニングし、アイランドを形成する。以下、アイランドからTFTを作製する工程が行われる。TFTの具体的な作製工程はTFTの形状によって異なるが、代表的にはゲート絶縁膜を成膜し、アイランドに不純物領域を形成する。そして、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆うように層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜にコンタクトホールを形成し、不純物領域の一部を露出させる。そして該コンタクトホールを介して不純物領域に接するように層間絶縁膜上に配線を形成する。
【0107】
次に、本発明のレーザ照射装置の構成について説明する。
【0108】
次に、本発明において用いられるレーザ照射装置の構成について、図6を用いて説明する。151はレーザ発振装置である。図6では4つのレーザ発振装置を用いているが、レーザ照射装置が有するレーザ発振装置はこの数に限定されない。
【0109】
なお、レーザ発振装置151は、チラー152を用いてその温度を一定に保つようにしても良い。チラー152は必ずしも設ける必要はないが、レーザ発振装置151の温度を一定に保つことで、出力されるレーザ光のエネルギーが温度によってばらつくのを抑えることができる。
【0110】
また154は光学系であり、レーザ発振装置151から出力された光路を変更したり、そのレーザビームの形状を加工したりして、レーザ光を集光することができる。さらに、図6のレーザ照射装置では、光学系154によって、複数のレーザ発振装置151から出力されたレーザ光のレーザビームを互いに一部を重ね合わせることで、合成することができる。
【0111】
なお、レーザー光の進行方向を極短時間で変化させることができるAO変調器153を、被処理物である基板156とレーザ発振装置151との間の光路に設けても良い。また、AO変調器の代わりに、アテニュエイター(光量調整フィルタ)を設けて、レーザ光のエネルギー密度を調整するようにしても良い。
【0112】
また、被処理物である基板156とレーザ発振装置151との間の光路に、レーザ発振装置151から出力されたレーザ光のエネルギー密度を測定する手段(エネルギー密度測定手段)165を設け、測定したエネルギー密度の経時変化をコンピューター160において監視するようにしても良い。この場合、レーザ光のエネルギー密度の減衰を補うように、レーザ発振装置151からの出力を高めるようにしても良い。
【0113】
合成されたレーザビームは、スリット155を介して被処理物である基板156に照射される。スリット155は、レーザ光を遮ることが可能であり、なおかつレーザ光によって変形または損傷しないような材質で形成するのが望ましい。そして、スリット155はスリットの幅が可変であり、該スリットの幅によってレーザビームの幅を変更することができる。
【0114】
なお、スリット155を介さない場合の、レーザ発振装置151から発振されるレーザ光の基板156におけるレーザビームの形状は、レーザの種類によって異なり、また光学系により成形することもできる。
【0115】
基板156はステージ157上に載置されている。図6では、位置制御手段158、159が、被処理物におけるレーザビームの位置を制御する手段に相当しており、ステージ157の位置が、位置制御手段158、159によって制御されている。
【0116】
図6では、位置制御手段158がX方向におけるステージ157の位置の制御を行っており、位置制御手段159はY方向におけるステージ157の位置制御を行う。
【0117】
また図6のレーザ照射装置は、メモリ等の記憶手段及び中央演算処理装置を兼ね備えたコンピューター160を有している。コンピューター160は、レーザ発振装置151の発振を制御し、レーザ光の走査経路を定め、なおかつレーザ光のレーザビームが定められた走査経路にしたがって走査されるように、位置制御手段158、159を制御し、基板を所定の位置に移動させることができる。
【0118】
なお図6では、レーザビームの位置を、基板を移動させることで制御しているが、ガルバノミラー等の光学系を用いて移動させるようにしても良いし、その両方であってもよい。
【0119】
さらに図6では、コンピューター160によって、該スリット155の幅を制御し、マスクのパターン情報に従ってレーザビームの幅を変更することができる。なおスリットは必ずしも設ける必要はない。
【0120】
さらにレーザ照射装置は、被処理物の温度を調節する手段を備えていても良い。また、レーザ光は指向性およびエネルギー密度の高い光であるため、ダンパーを設けて、反射光が不適切な箇所に照射されるのを防ぐようにしても良い。ダンパーは、反射光を吸収させる性質を有していることが望ましく、ダンパー内に冷却水を循環させておき、反射光の吸収により隔壁の温度が上昇するのを防ぐようにしても良い。また、ステージ157に基板を加熱するための手段(基板加熱手段)を設けるようにしても良い。
【0121】
なお、マーカーをレーザで形成する場合、マーカー用のレーザ発振装置を設けるようにしても良い。この場合、マーカー用のレーザ発振装置の発振を、コンピューター160において制御するようにしても良い。さらにマーカー用のレーザ発振装置を設ける場合、マーカー用のレーザ発振装置から出力されたレーザ光を集光するための光学系を別途設ける。なおマーカーを形成する際に用いるレーザは、代表的にはYAGレーザ、CO2レーザ等が挙げられるが、無論この他のレーザを用いて形成することは可能である。
【0122】
またマーカーを用いた位置合わせのために、CCDカメラ163を1台、場合によっては数台設けるようにしても良い。なおCCDカメラとは、CCD(電荷結合素子)を撮像素子として用いたカメラを意味する。
【0123】
なお、マーカーを設けずに、CCDカメラ163によって絶縁膜または半導体膜のパターンを認識し、基板の位置合わせを行うようにしても良い。この場合、コンピューター160に入力されたマスクによる絶縁膜または半導体膜のパターン情報と、CCDカメラ163において収集された実際の絶縁膜または半導体膜のパターン情報とを照らし合わせて、基板の位置情報を把握することができる。この場合マーカーを別途設ける必要がない。
【0124】
また、基板に入射したレーザ光は該基板の表面で反射し、入射したときと同じ光路を戻る、いわゆる戻り光となるが、該戻り光はレーザの出力や周波数の変動や、ロッドの破壊などの悪影響を及ぼす。そのため、前記戻り光を取り除きレーザの発振を安定させるため、アイソレータを設置するようにしても良い。
【0125】
なお、図6では、レーザ発振装置を複数台設けたレーザ照射装置の構成について示したが、レーザ発振装置は1台であってもよい。図7にレーザ発振装置が1台の、レーザ照射装置の構成を示す。図7において、201はレーザ発振装置、202はチラーである。また215はエネルギー密度測定装置、203はAO変調器、204は光学系、205はスリット、213はCCDカメラである。基板206はステージ207上に設置し、ステージ207の位置はX方向位置制御手段208、Y方向位置制御手段209によって制御されている。そして図6に示したものと同様に、コンピューター210によって、レーザ照射装置が有する各手段の動作が制御されており、図6と異なるのはレーザ発振装置が1つであることである。また光学系204は図6の場合と異なり、1つのレーザ光を集光する機能を有していれば良い。
【0126】
このように本発明では、レーザ光による結晶化の後、半導体膜の凹部のエッジ近傍または凸部のエッジ近傍をパターニングにより除去し、凸部の中央付近の結晶性が優れている部分をTFTの活性層として積極的に用いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凸部のエッジ近傍としてパターニングで除去するかは、設計者が適宜定めることができる。
【0127】
また、半導体膜全体にレーザ光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザ光を走査することで、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザ光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0128】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、段差形状を有する下地絶縁膜上で結晶性半導体膜を形成し、凸上部に形成された結晶性半導体膜にチャネル形成領域が配設されるTFTを作製する一例を示す。
【0129】
図34において、ガラス基板9601上に100nmの窒酸化珪素膜でなる第1絶縁膜9602を形成する。その上に酸化珪素膜を形成し、写真蝕刻により矩形状のパターンを有する第2絶縁膜9603〜9606を形成する。酸化珪素膜はプラズマCVD法でTEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.6W/cm2で放電させ150nmの厚さに堆積し、その後矩形状のエッチングする。
【0130】
そして、第1絶縁膜9602及び第2絶縁膜9603〜9606を覆う非晶質珪素膜9607を100nmの厚さで形成し、連続発振レーザビームを照射して結晶化させる。図36はその上面図を示すものであり、A−A'線に対応する縦断面図が図34(A)に対応している。また、第2絶縁膜9603〜9606に重ねて一点差線で示す9610〜9612はTFTの活性層が形成される位置を示している。
【0131】
長手方向に均一なエネルギー密度分布を有する線状レーザビーム9608を走査しながら照射することにより図34(B)で示すように結晶性半導体膜9609が形成される。均一なエネルギー密度分布とは、完全に一定であるもの以外を排除することではなく、エネルギー密度分布において許容される範囲は±20%である。このようなレーザビームの照射は、図33で示す構成のレーザ処理装置を適用することができる。光学系にて集光したレーザビームは、その強度分布が長手方向において均一な領域を有し、短手方向に分布を持っていても良い。結晶化はこの強度分布が長手方向において均一な領域で成されるようにし、これによりレーザビームの走査方向と平行な方向に結晶成長する効力を高めることができる。
【0132】
その後、第2絶縁膜9603〜9606上に結晶性半導体膜9609を残存させる形でエッチング処理を施し、活性層9610〜9612を形成する。図37はこの状態の上面図を示している。
【0133】
図34(D)で示すようにゲート絶縁膜9613を酸化珪素膜で、ゲート電極を形成する導電膜9614をタングステン又はタングステンを含有する合金で形成する。そして、写真蝕刻により図34(E)に示すようにゲート電極9615、9616を形成する。
【0134】
さらに、ドーピング処理を行い各活性層にソース及びドレイン領域を形成し、パッシベーション膜9617及び平坦化膜9618を形成する。コンタクトホールを形成した後、平坦化膜9618上に形成される配線9619〜9623はアルミニウム、チタンなどを適宜組み合わせて形成する。こうしてシングルチャネルのnチャネル型TFT9630、pチャネル型TFT9631、及びマルチチャネルのnチャネル型TFT9632が形成される。図38はこの状態での上面図を示したものであり、同図に示すA−A'線に対応する縦断面図が図34(F)に対応している。ここでは、シングルチャネルのnチャネル型TFT9630、pチャネル型TFT9631によりインバータ回路を構成した一例を示している。また、図38で示すB−B'線に対応する縦断面図は図35に示されている。
【0135】
尚、図39は、シングルチャネルのnチャネル型TFT9630、pチャネル型TFT9631、及びマルチチャネルのnチャネル型TFT9632の等価回路を示す。マルチチャネルのnチャネル型TFT9632は、ソース及びドレイン領域の間に複数のチャネルが並列して設けられ一つのトランジスタを形成している。このように、チャネル形成領域を並列に設けることにより、ソース及びドレイン領域の抵抗、及び/又は低濃度ドレイン領域の抵抗により帰還がかかり、各チャネル間に流れる電流を平準化することができる。このような構成のトランジスタにより、複数の素子間での特性のバラツキを小さくすることができる。
【0136】
(実施例2)
本実施例は、実施例1とは異なる方向からレーザビームを照射する一例を示すものであり、その態様を図40を用いて説明する。
【0137】
図40(A)は、第2絶縁膜9203、9204上に非晶質珪素膜9207が形成され、連続発振レーザビーム9205により結晶化をする段階を示している。また、第2絶縁膜9203、9204に重ねて一点差線で示す9210〜9212はTFTの活性層が形成される位置を示している。
【0138】
活性層9210〜9212は全体が第2絶縁膜と重なっている必要はなく、少なくともチャネル形成領域となる領域がその上に位置するように配設する。歪みが蓄積された結晶領域がチャネル形成領域と重ならなければ、図40(A)で示すような配置としても構わない。
【0139】
TFTを完成させるには、図40(B)に示すように活性層にソース及びドレイン領域等を形成し、パッシベーション膜や平坦化膜の形成、配線9219〜9225を形成すれば良い。このような第2絶縁膜と活性層との配列によっても、実施例1と同様なTFTを完成させることができる。
【0140】
(実施例3)
活性層の形成においては、実施例1で示すように非晶質半導体膜にレーザビームを照射して結晶化させても良いが、一旦、多結晶化した後、さらにレーザビームを照射してその結晶性を高めても良い。このような二段階の結晶化処理は、実施例1と比較して比較的歪みの少ない結晶性半導体膜を形成することを可能にする。
【0141】
図41はその工程を示す縦断面図である。図41(A)において、ガラス基板9401上に100nmの酸窒化珪素膜でなる第1絶縁膜9402を形成する。その上に酸化珪素膜を形成し、写真蝕刻により矩形状のパターンを有する第2絶縁膜9403〜9405を形成する。そして、その上に非晶質珪素膜9406を150nmの厚さで形成する。
【0142】
非晶質半導体膜9406の全面に、珪素の結晶化温度を低温化させ、配向性を向上させることが可能な触媒元素としてNiを添加する。Niの添加法に限定はなく、スピン塗布法、蒸着法、スパッタ法などを適用するこができる。スピン塗布法による場合には酢酸ニッケル塩が5ppmの水溶液を塗布して触媒元素含有層9407を形成する。勿論、触媒元素はNiに限定されるものではなく、他の公知の材料を用いても良い。
【0143】
その後、図41(B)で示すように580℃、4時間の加熱処理により非晶質珪素膜9406を結晶化させる。こうして結晶性珪素膜9411を得ることができる。この結晶性珪素膜9411も同様に、棒状または針状の結晶が集合して成り、その各々の結晶は巨視的にはある特定の方向性をもって成長しているため、結晶性が揃っている。また、特定方位の配向率が高いという特徴がある。
【0144】
図41(C)で示すように、加熱処理により結晶化した結晶性半導体膜に対し、連続発振レーザビームを照射して結晶性を向上させる。長手方向に均一なエネルギー密度分布を有する線状レーザ9413を走査しながら照射することにより結晶性半導体膜9411を溶融させ、再結晶化させる。また、結晶性半導体膜9411において残存する非晶質領域もこの処理により結晶化させることができる。この再結晶化処理により大粒径化及び配向の制御が成される。また、結晶化の段階で、若干の堆積収縮は発生し、その歪みは段差部に蓄積され、第2絶縁膜上の結晶性半導体膜には作用しない形で結晶性半導体膜9412を形成することができる。
【0145】
以降は、実施例1と同様な処理によりTFTを完成させることができる。
【0146】
(実施例4)
段差形状を有する下地絶縁膜の作製方法は、実施例1に従えば、図42(A)で示すようにガラス基板9701上に窒酸化珪素膜で形成される第1絶縁膜9702、酸化珪素膜で形成される第2絶縁膜9703を積層形成した後、図42(B)で示す様にマスク9704を形成して、第2絶縁膜9703を9705〜9707で示すパターンに形成する。エッチング方法の一例はウエットエッチングであり、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液で第1絶縁膜9702に対して比較的選択性良くエッチングすることができる。
【0147】
この上に非晶質半導体膜9709を形成する段階では、下地絶縁膜との界面の汚染の影響を避けるため、プラズマCVD装置の中で酸窒化珪素膜9708と非晶質半導体膜9709を大気開放することなく連続的に形成すると良い。このような処理方法により清浄な界面を形成することができ、結晶化に際して、界面不純物に起因するような制御されない結晶核の発生を防止することができる。
【0148】
以降は実施例1または実施例2と同様な処理によりTFTを完成させることができる。
【0149】
(実施例5)
段差形状を有する下地絶縁膜の他の作製方法として、図43(A)に示すように、ガラス基板9701上に酸化珪素膜を形成した後、マスク9710を用いた写真蝕刻により酸化珪素膜から成り、矩形又は帯状にパターン形成された第1絶縁膜9711〜9713を形成する。
【0150】
その後、マスク9710を剥離した後、酸窒化珪素膜を第1絶縁膜9711〜9713を覆う形で形成し、第2絶縁膜9714とする。この第2絶縁膜上に非晶質半導体膜9715を形成する。第2絶縁膜として形成する酸窒化珪素膜は、ガラス基板9701が含有するアルカリ金属等に対しブロッキング性があり、かつ、内部応力が比較的低いので、半導体膜と接する下地絶縁膜として適している。
【0151】
以降は実施例1〜3のいずれか一と同様な処理によりTFTを完成させることができる。
【0152】
(実施例6)
本発明は様々な半導体装置に適用できるものであり、実施例1〜5に基づいて作製される表示パネルの形態を図44と図45を用いて説明する。
【0153】
図44は基板9900には画素部9902、ゲート信号側駆動回路9901a、9901b、データ信号側駆動回路9901c、入出力端子9935、配線又は配線群9917が備えられている。シールドパターン9940はゲート信号側駆動回路9901a、9901b、データ信号側駆動回路9901c及び当該駆動回路部と入出力端子9935とを接続する配線又は配線群9917と一部が重なっていても良い。このようにすると、表示パネルの額縁領域(画素部の周辺領域)の面積を縮小させることができる。入出力端子9935には、FPC9936が固着されている。
【0154】
実施例1、2で示すTFTは画素部9902のスイッチング素子として、さらにゲート信号側駆動回路9901a、9901b、データ信号側駆動回路9901cを構成する能動素子として適用することができる。
【0155】
図45は画素部9902の一画素の構成を示す一例であり、TFT9801〜9803が備えられている。これらは、画素に備える発光素子や液晶素子を制御するそれぞれスイッチング用、リセット用、駆動用のTFTである。
【0156】
これらのTFTの活性層9812〜9814は、その下層に形成されている下地絶縁膜の凸上部に配置されており、活性層を形成する結晶性半導体膜は実施例1〜5に基づいて形成することができる。活性層9812〜9814の上層には、ゲート配線9815〜9817が形成され、パッシベーション膜及び平坦化膜を介して信号線9818、電源線9819、その他各種配線9820、9821、及び画素電極9823が形成されている。
【0157】
(実施例7)
本発明を用いて作製されるTFTを搭載した半導体装置は、様々な適用が可能である。その一例は、携帯情報端末(電子手帳、モバイルコンピュータ、携帯電話等)、ビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ受像器、携帯電話、投影型表示装置等が挙げられる。それらの一例を図46、図47に示す。
【0158】
図46(A)は本発明を適用してテレビ受像器を完成させる一例であり、筐体3001、支持台3002、表示部3003等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3003に適用され、本発明によりテレビ受像器を完成させることができる。
【0159】
図46(B)は本発明を適用してビデオカメラを完成させた一例であり、本体3011、表示部3012、音声入力部3013、操作スイッチ3014、バッテリー3015、受像部3016等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3012に適用され、本発明によりビデオカメラを完成させることができる。
【0160】
図46(C)は本発明を適用してノート型のパーソナルコンピュータを完成させた一例であり、本体3021、筐体3022、表示部3023、キーボード3024等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3023に適用され、本発明によりパーソナルコンピュータを完成させることができる。
【0161】
図46(D)は本発明を適用してPDA(Personal Digital Assistant)を完成させた一例であり、本体3031、スタイラス3032、表示部3033、操作ボタン3034、外部インターフェース3035等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3033に適用され、本発明によりPDAを完成させることができる。
【0162】
図46(E)は本発明を適用して音響再生装置を完成させた一例であり、具体的には車載用のオーディオ装置であり、本体3041、表示部3042、操作スイッチ3043、3044等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3042に適用され、本発明によりオーディオ装置を完成させることができる。
【0163】
図46(F)は本発明を適用してデジタルカメラを完成させた一例であり、本体3051、表示部(A)3052、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部(A)3052および表示部(B)3055に適用され、本発明によりデジタルカメラを完成させることができる。
【0164】
図46(G)は本発明を適用して携帯電話を完成させた一例であり、本体3061、音声出力部3062、音声入力部3063、表示部3064、操作スイッチ3065、アンテナ3066等により構成されている。本発明により作製されるTFTは表示部3064に適用され、本発明により携帯電話を完成させることができる。
【0165】
図47(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。図47(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。
【0166】
尚、図47(C)は、図47(A)及び図47(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図47(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0167】
また、図47(D)は、図47(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図47(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0168】
尚、ここで示す装置はごく一例であり、これらの用途に限定するものではない。
【0169】
(実施例8)
本実施例では、凹凸を有する絶縁膜の形成の仕方について説明する。
【0170】
まず、図8(A)に示すように、基板250上に第1の絶縁膜251を成膜する。第1の絶縁膜251は本実施例では酸化窒化珪素を用いるがこれに限定されず、第2の絶縁膜とエッチングにおける選択比が大きい絶縁膜であれば良い。本実施例では第1の絶縁膜251をCVD装置でSiH4とN2Oを用いて50〜200nmの厚さになるように形成した。なお第1の絶縁膜は単層であっても、複数の絶縁膜を積層した構造であってもよい。
【0171】
次に、図8(B)に示すように、第1の絶縁膜251に接するように第2の絶縁膜252を形成する。第2の絶縁膜252は後の工程においてパターニングし、凹凸を形成したときに、その後に成膜される半導体膜の表面に凹凸が現れる程度の膜厚にする必要がある。本実施例では第2の絶縁膜252として、プラズマCVD法を用いて30nm〜300nmの酸化珪素を形成する。
【0172】
次に、図8(C)に示すようにマスク253を形成し、第2の絶縁膜252をエッチングする。なお本実施例では、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製、商品名LAL500)をエッチャントとし、20℃においてウエットエッチングを行う。このエッチングにより、矩形状またはストライプ状の凸部254が形成される。本明細書では、第1の絶縁膜251と凸部254とを合わせて1つの絶縁膜とみなす。
【0173】
次に、第1の絶縁膜251と凸部254を覆うように半導体膜を形成する。本実施例では凸部の厚さが30nm〜300nmであるので、半導体膜の膜厚を50〜200nmとするのが望ましく、ここでは60nmとする。なお、半導体膜と絶縁膜との間に不純物が混入すると、半導体膜の結晶性に悪影響を与え、作製するTFTの特性バラツキやしきい値電圧の変動を増大させる可能性があるため、絶縁膜と半導体膜とは連続して成膜するのが望ましい。そこで本実施例では、第1の絶縁膜251と凸部253とからなる絶縁膜を形成した後は、酸化珪素膜255を薄く該絶縁膜上に成膜し、その後大気にさらさないように連続して半導体膜256を成膜する。酸化珪素膜の厚さは設計者が適宜設定することができるが、本実施例では5nm〜30nm程度とした。
【0174】
なお、第2の絶縁膜252をエッチングする際に、凸部をテーパー状にエッチングするようにしても良い。凸部をテーパー状にすることで、絶縁膜状に形成される半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極などが凸部のエッジにおいて膜切れするのを防ぐことができる。
【0175】
次に、図8とは異なる絶縁膜の形成の仕方について説明する。まず図9(A)に示すように基板260上に第1の絶縁膜261を形成する。第1の絶縁膜は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜などで形成する。
【0176】
酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法で、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Orthosilicate:TEOS)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。酸化窒化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化珪素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化珪素膜で形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2で形成することができる。また、SiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化珪素膜を適用しても良い。窒化珪素膜も同様にプラズマCVD法でSiH4、NH3から作製することが可能である。
【0177】
第1の絶縁膜は20〜200nm(好ましくは30〜60nm)の厚さに基板の全面に形成した後、図9(B)に示すように、フォトリソグラフィーの技術を用いマスク262を形成する。そして、エッチングにより不要な部分を除去して、ストライプ状または矩形状の凸部263を形成する。第1の絶縁膜261に対してはフッ素系のガスを用いたドライエッチング法を用いても良いし、フッ素系の水溶液を用いたウエットエッチング法を用いても良い。後者の方法を選択する場合には、例えば、フッ化水素アンモニウム(NH4HF2)を7.13%とフッ化アンモニウム(NH4F)を15.4%含む混合溶液(ステラケミファ社製、商品名LAL500)でエッチングすると良い。
【0178】
次いで、凸部263及び基板260を覆うように、第2の絶縁膜264を形成する。この層は第1の絶縁膜261と同様に酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜などで50〜300nm(好ましくは100〜200nm)の厚さに形成する。
【0179】
上記作製工程によって、凸部263及び第2の絶縁膜264からなる絶縁膜が形成される。なお、第2の絶縁膜264を形成した後、大気に曝さないように連続して半導体膜を成膜するようにすることで、半導体膜と絶縁膜の間に大気中の不純物が混入するのを防ぐことができる。
【0180】
次に、レーザ光の走査方向に対して垂直な方向における断面において、三角形状の凸部を有する絶縁膜について説明する。図10(A)と(B)に、絶縁膜の凸部のエッジの角度が異なる絶縁膜の断面図を示す。図10(A)では絶縁膜270の凸部のエッジの角度θAが70.5°であり、図10(B)では絶縁膜271の凸部のエッジの角度θBが109.5°である。図10(A)では、半導体膜の基板と平行な面において(100)面の比率が高くなり、図10(B)では(110)面の比率が高くなる。
【0181】
図10に示した三角形状の絶縁膜は、ドライエッチング法を用いてエッチングする際に、半導体膜と共にマスクをエッチングすることで得られる。
【0182】
図11を用いて図10に示した絶縁膜の作製方法について説明する。図11(A)に示すように、基板272上に絶縁膜273を成膜する。そして絶縁膜273上にマスク274を形成する。次に、マスク274を用いてドライエッチング法によりエッチングすることで、図11(B)に示すように絶縁膜273がエッチングされ、絶縁膜テーパー形状を有する絶縁膜276となる。このとき、マスク274もエッチングされ、ひとまわり小さいマスク275となる。
【0183】
そしてドライエッチングを続行するにつれ、図11(C)に示すように絶縁膜276がエッチングされ、基板に対するテーパーの角度が小さくなり、絶縁膜279となる。このとき、マスク275もエッチングされ、ひとまわり小さいマスク278となる。
【0184】
そして、マスク278がエッチングにより完全に除去されるまでエッチングを進めることで、図11(C)に示すような三角形状の断面を有する絶縁膜280を形成することができる。なお、凸部のエッジの角度は、エッチング前の絶縁膜の膜厚と、エッチング前のマスク274の、レーザ光の走査方向に対してと垂直な方向における幅と、エッチングにおける絶縁膜とマスクとの選択比によって調整することが可能である。
【0185】
なお、図10に示した絶縁膜上に形成された半導体膜を、レーザ光により結晶化することで、絶縁膜の平坦な部分に接している領域よりも、凸部のエッジ及び凹部のエッジの近傍に粒界が形成されやすいため、凸部のエッジ及び凹部のエッジの近傍の半導体膜をパターニングにより除去し、残りの結晶性の比較的優れている部分を活性層として用いるのが望ましい。
【0186】
(実施例9)
本実施例では、ストライプ状の絶縁膜上に形成された半導体膜を、レーザ光照射により結晶化した後、凸部の基板と平行な面上に、互いに分離されたアイランドを形成し、該アイランドを用いてTFTを作製する例について説明する。
【0187】
図12(A)に、本実施例のTFTの構造を示す。図12(A)では、基板150状にストライプ状の凸部151を有する絶縁膜152が形成されている。そして、凸部151の上面に、互いに分離された複数のアイランド153が形成されている。そして、アイランド153に接するようにゲート絶縁膜154が形成されている。なお、ゲート絶縁膜154は、図12(A)ではアイランドの不純物領域となる部分を露出するように形成されているが、アイランド154全体を覆うように形成されていても良い。
【0188】
そして、ゲート絶縁膜154上に、複数の各アイランド153と重なるように複数のゲート電極155が形成されている。複数のゲート電極155は、回路構成によっては互いに接続されていても良い。
【0189】
なお、図12(A)のA−A’における断面図が図12(B)に相当し、図12(A)のB−B’における断面図が図12(C)に相当する。図12(C)に示すように、各ゲート電極155は、ゲート絶縁膜154を間に挟んでアイランド153のチャネル形成領域156と重なっている。チャネル形成領域156は同じくアイランド153に含まれる2つの不純物領域157に挟まれている。
【0190】
本実施例は実施例8と組み合わせて実施することが可能である。
【0191】
(実施例10)
本実施例では、絶縁膜の形状のバリエーションについて説明する。
【0192】
図13(A)に、本発明の絶縁膜の形状の、一実施例を示す。図13(A)では、基板170上に絶縁膜171が形成されており、該絶縁膜171は複数の凸部172を有している。各凸部172は上面から見た形状が矩形である。そして全ての凸部は、その矩形の長辺方向または短辺方向が、矢印で示したレーザ光の走査方向と平行である。
【0193】
また、各凸部172はレーザ光の走査方向における幅と、走査方向に対して垂直な方向における幅が、互いに全て同じになっているわけではない。所望のアイランドの形状に合わせて絶縁膜の形状を設計することが望ましい。
【0194】
図13(B)に、本発明の絶縁膜の形状の、一実施例を示す。図13(B)では、基板180上に絶縁膜181が形成されており、該絶縁膜181は上面から見てスリット状の開口部を有する矩形状の凸部182が形成されている。凸部182は、そのスリットの長辺方向または短辺方向が、矢印で示したレーザ光の走査方向と平行である。
【0195】
次に、図13(B)に示したスリット状の開口部を有する絶縁膜を用いて形成された、TFTの構成の一例について説明する。
【0196】
図14(A)に本実施例のTFTの上面図を示す。図14(A)に示すように、本実施例では内部にスリット状の開口部を有した矩形状の凸部160を有する絶縁膜を用いた。凸部160を覆うように半導体膜を成膜し、該スリット状の開口部の長軸方向に沿ってレーザ光を矢印に示す方向に走査し、該半導体膜を結晶化させる。そして、該半導体膜をパターニングし、凸部の上面に形成された開口部を有するアイランド161を形成する。
【0197】
そして、該アイランド161に接するようにゲート絶縁膜162を形成する。なお、図14(A)のA−A’における断面図を図14(B)に、B−B’における断面図を図14(C)に、C−C’における断面図を図14(D)に示す。
【0198】
そしてゲート絶縁膜162上に導電性を有する膜を成膜し、該導電膜をパターニングすることでゲート電極163が形成されている。なおゲート電極163は、ゲート絶縁膜162を間に挟んで、アイランド161のチャネル形成領域164と重なっており、チャネル形成領域164はアイランド161に含まれる2つの不純物領域165に挟まれている。
【0199】
そしてゲート電極163、アイランド161及びゲート絶縁膜162を覆うように、第1の層間絶縁膜166が形成されている。第1の層間絶縁膜166は無機絶縁膜からなり、アイランド161にアルカリ金属などのTFTの特性に悪影響を与える物質が混入するのを防ぐ効果がある。
【0200】
そして、第1の層間絶縁膜166上に有機樹脂からなる第2の層間絶縁膜167が形成されている。そして第2の層間絶縁膜167、第1の層間絶縁膜166及びゲート絶縁膜162は、エッチングにより開口部が形成されており、該開口部を介して2つの不純物領域165と、ゲート電極163とにそれぞれ接続された配線168から169が第2の層間絶縁膜167上に形成されている。
【0201】
本実施例においては、チャネル形成領域164が複数形成されており、かつ複数のチャネル形成領域が互いに分離しているので、チャネル形成領域のチャネル幅を長くすることでオン電流を確保しつつ、TFTを駆動させることで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0202】
(実施例11)
本実施例では、本発明のレーザ結晶化法を用いた、アクティブマトリクス基板の作製方法について、図15〜図18を用いて説明する。本明細書ではCMOS回路、及び駆動回路と、画素TFT、保持容量とを有する画素部を同一基板上に形成された基板を、便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0203】
まず、本実施例ではバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板600を用いる。なお、基板600としては、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0204】
次いで、基板600上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る絶縁膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により、100〜300nmの厚さで形成する。
【0205】
次に、この絶縁膜に膜厚の厚い部分と薄い部分を形成するために、本実施例では写真蝕刻(フォトリソグラフィー)技術によりレジストのマスク693を形成し、エッチング処理を施す。エッチング量によって段差が決まるが、本実施例では概ね50〜100nmとする。例えば、150nm酸化窒化シリコン膜を75nmエッチングするには、フッ酸を含む溶液を用いたウエットエッチングを用いても良いし、CF4を用いたドライエッチングなどを適用することができる。このよう、凸形状が形成された絶縁膜601を形成する。このとき凸領域のレーザ光の走査方向に対して垂直な方向における幅は、作製するTFTの大きさを考慮して適宣決めれば良いが、結晶核の生成数を制御する目的においては2〜6μm程度の大きさ(直径若しくは対角線長さ)が好ましい(図15(A))。
【0206】
次いで、絶縁膜601上に、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで非晶質半導体膜692を形成する(図15(B))。なお、本実施例では非晶質半導体膜を成膜しているが、微結晶半導体膜、結晶性半導体膜であっても良い。また、非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜を用いても良い。
【0207】
次に、非晶質半導体膜692をレーザ結晶化法により結晶化させる。レーザ光の走査方向は、絶縁膜601におけるストライプ状の凸部の延長方向に平行になるようにする。なお、絶縁膜601における凸部が、基板上から見たとき矩形である場合は、該矩形の長辺方向または短辺方向と平行になるように、レーザ光の走査方向を定める。具体的には、レーザ照射装置のコンピューターに入力されたマスクの情報に従って、選択的にレーザ光を照射する。もちろん、レーザ結晶化法だけでなく、他の公知の結晶化法(RTAやファーネスアニール炉を用いた熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いた熱結晶化法等)と組み合わせて行ってもよい。なお本実施例では、スリットを用いてレーザビームの幅を、絶縁膜の走査方向に対して垂直な方向における幅に合わせて変える例を示すが、本発明はこれに限定されず、スリットは必ずしも用いる必要はない。
【0208】
非晶質半導体膜の結晶化に際し、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を用いることで、大粒径の結晶を得ることができる。代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いるのが望ましい。具体的には、連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換し、出力10Wのレーザー光を得る。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射する。
【0209】
なおレーザ照射は、パルス発振または連続発振の気体レーザもしくは固体レーザを用いることができる。気体レーザとして、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザなどがあり、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y23レーザーなどが挙げられる。固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti、Yb又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザ等も使用可能である。またスラブレーザも用いることができる。当該レーザの基本波はドーピングする材料によって異なり、1μm前後の基本波を有するレーザ光が得られる。基本波に対する高調波は、非線形光学素子を用いることで得ることができる。
【0210】
上述したレーザ結晶化によって、結晶性が高められた結晶性半導体膜694が形成される(図15(C))。結晶性半導体膜は、凸部のエッジ近傍または凹部のエッジ近傍において、粒界が発生しやすい。
【0211】
次に、結晶性が高められた結晶性半導体膜694を所望の形状にパターニングして、結晶化されたアイランド602〜606を形成する(図15(D))。
【0212】
また、アイランド602〜606を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行ってもよい。
【0213】
次いで、アイランド602〜606を覆うゲート絶縁膜607を形成する。ゲート絶縁膜607はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0214】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0215】
次いで、ゲート絶縁膜607上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜608と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜609とを積層形成する(図16(A))。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜608と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜609を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタする。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0216】
なお、本実施例では、第1の導電膜608をTaN、第2の導電膜609をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜をWとする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。
【0217】
また、2層構造に限定されず、例えば、タングステン膜、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、タングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、アルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
【0218】
なお、導電膜の材料によって、適宜最適なエッチングの方法や、エッチャントの種類を選択することが重要である。
【0219】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク610〜615を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う(図16(B))。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
【0220】
この後、レジストからなるマスク610〜615を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0221】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層617〜622(第1の導電層617a〜622aと第2の導電層617b〜622b)を形成する。616はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層617〜622で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。
【0222】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う(図16(C))。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層628b〜633bを形成する。一方、第1の導電層617a〜622aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層628〜633を形成する。
【0223】
そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、アイランドにn型を付与する不純物元素を低濃度に添加する。ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を40〜80kVとして行う。本実施例ではドーズ量を1.5×1013atoms/cm2とし、加速電圧を60kVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層628〜633がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に不純物領域623〜627が形成される。不純物領域623〜627には1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。
【0224】
レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク634a〜634cを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で第2のドーピング処理を行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜1×1015 atoms/cm2とし、加速電圧を60〜120kVとして行う。ドーピング処理は第2の導電層628b〜632bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層のテーパー部の下方のアイランドに不純物元素が添加されるようにドーピングする。続いて、第2のドーピング処理より加速電圧を下げて第3のドーピング処理を行って図17(A)の状態を得る。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1015〜1×1017 atoms/cm2とし、加速電圧を50〜100kVとして行う。第2のドーピング処理および第3のドーピング処理により、第1の導電層と重なる低濃度不純物領域636、642、648には1×1018〜5×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加され、高濃度不純物領域635、641、644、647には1×1019〜5×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加される。
【0225】
もちろん、適当な加速電圧にすることで、第2のドーピング処理および第3のドーピング処理は1回のドーピング処理で、低濃度不純物領域および高濃度不純物領域を形成することも可能である。
【0226】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク650a〜650cを形成して第4のドーピング処理を行う。この第4のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となるアイランドに前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域653、654、659、660を形成する。第2の導電層628a〜632aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域653、654、659、660はジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する(図17(B))。この第4のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成するアイランドはレジストからなるマスク650a〜650cで覆われている。第1乃至第3のドーピング処理によって、不純物領域653と654、また659と660にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019〜5×1021atoms/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0227】
以上までの工程で、それぞれのアイランドに不純物領域が形成される。
【0228】
次いで、レジストからなるマスク650a〜650cを除去して第1の層間絶縁膜661を形成する。この第1の層間絶縁膜661としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを50〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。勿論、第1の層間絶縁膜661は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0229】
次いで、図17(C)に示すように、活性化処理としてレーザ照射方法を用いる。レーザアニール法を用いる場合、結晶化の際に用いたレーザを使用することが可能である。活性化の場合は、移動速度は結晶化と同じにし、0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.01〜10MW/cm2)のエネルギー密度が必要となる。また結晶化の際には連続発振のレーザを用い、活性化の際にはパルス発振のレーザを用いるようにしても良い。
【0230】
また、第1の層間絶縁膜を形成する前に活性化処理を行っても良い。
【0231】
そして、加熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行うと水素化を行うことができる。この工程は第1の層間絶縁膜661に含まれる水素によりアイランドのダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)や、3〜100%の水素を含む雰囲気中で300〜650℃で1〜12時間の加熱処理を行っても良い。この場合は、第1の層間絶縁膜の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
【0232】
次いで、第1の層間絶縁膜661上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜662を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成した。次に、第2の層間絶縁膜662を形成した後、第2の層間絶縁膜662に接するように、第3の層間絶縁膜672を形成する。本実施例では第3の層間絶縁膜672として、窒化珪素膜を用いた。
【0233】
そして、駆動回路686において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線663〜667を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、二層構造に限らず、単層構造でもよいし、三層以上の積層構造にしてもよい。また、配線の材料としては、AlとTiに限らない。例えば、TaN膜上にAlやCuを形成し、さらにTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成してもよい(図18)。
【0234】
また、画素部687においては、画素電極670、ゲート配線669、接続電極668を形成する。この接続電極668によりソース配線(633aと633bの積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線669は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極670は、画素TFTのドレイン領域644と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能するアイランド606と電気的な接続が形成される。また本願では画素電極と接続電極とを同じ材料で形成しているが、画素電極670としてAlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。
【0235】
以上の様にして、nチャネル型TFT681とpチャネル型TFT682からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT683を有する駆動回路686と、画素TFT684、保持容量685とを有する画素部687を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。
【0236】
駆動回路686のnチャネル型TFT681はチャネル形成領域637、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層628aと重なる低濃度不純物領域636(GOLD(Gate Overlapped LDD)領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域652を有している。このnチャネル型TFT681と電極666で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT682にはチャネル形成領域640、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域653と、p型を付与する不純物元素が導入された不純物領域654を有している。また、nチャネル型TFT683にはチャネル形成領域643、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層630aと重なる低濃度不純物領域642(GOLD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域656を有している。
【0237】
画素部の画素TFT684にはチャネル形成領域646、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域645(LDD領域)、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域644を有している。また、保持容量685の一方の電極として機能するアイランドには、n型を付与する不純物元素およびp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量685は、絶縁膜616を誘電体として、電極(632aと632bの積層)と、アイランド606とで形成している。
【0238】
本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。
【0239】
なお本実施例では液晶表示装置に用いられるアクティブマトリクス基板の構成について説明したが、本実施例の作成工程を用いて発光装置を作製することもできる。発光装置とは、基板上に形成された発光素子を該基板とカバー材の間に封入した表示用パネルおよび該表示用パネルにTFT等を実装した表示用モジュールを総称したものである。なお、発光素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(発光層)と陽極層と、陰極層とを有する。
【0240】
なお本実施例で用いられる発光素子は、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層または電子輸送層等が、無機化合物単独で、または有機化合物に無機化合物が混合されている材料で形成されている形態をも取り得る。また、これらの層どうしが互いに一部混合していても良い。
【0241】
(実施例12)
本実施例では、半導体膜の結晶化に際し、レーザ光の照射の工程と、触媒を用いて半導体膜を結晶化させる工程とを組み合わせた例について説明する。触媒元素を用いる場合、特開平7−130652号公報、特開平8−78329号公報で開示された技術を用いることが望ましい。
【0242】
まず、図19(A)に示すように基板500上に、凸部502を有する絶縁膜501を形成する。そして該絶縁膜501上に半導体膜503を形成する。
【0243】
次に触媒元素を用いて半導体膜503を結晶化させる(図19(B))。例えば特開平7−130652号公報に開示されている技術を用いる場合、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液を半導体膜503に塗布してニッケル含有層504を形成し、500℃、1時間の脱水素工程の後、500〜650℃で4〜12時間、例えば550℃、8時間の熱処理を行い、結晶性が高められた半導体膜505を形成する。尚、使用可能な触媒元素は、ニッケル(Ni)の以外にも、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素を用いても良い。
【0244】
そして、レーザ光照射により、NiSPCにより結晶化された半導体膜505から、結晶性がさらに高められた半導体膜506が形成される。レーザ光照射により得られた半導体膜506は触媒元素を含んでおり、レーザ光照射後にその触媒元素を半導体膜506から除去する工程(ゲッタリング)を行う。ゲッタリングは特開平10−135468号公報または特開平10−135469号公報等に記載された技術を用いることができる。
【0245】
具体的には、レーザ照射後に得られる半導体膜506の一部にリンを添加した領域507を形成する。、窒素雰囲気中で550〜800℃、5〜24時間、例えば600℃、12時間の熱処理を行う。すると半導体膜506のリンが添加された領域507がゲッタリングサイトとして働き、半導体膜506中に存在する触媒元素を、リンが添加された507領域に偏析させることができる(図19(D))。
【0246】
その後、半導体膜506のリンが添加された507領域をパターニングにより除去することで、触媒元素の濃度を1×1017atoms/cm3以下好ましくは1×1016atoms/cm3程度にまで低減されたアイランド508を得ることができる(図19(E))。
【0247】
なお、結晶化前の半導体膜に触媒元素を含む溶液を塗布した後に、SPCではなく、レーザ光の照射により結晶成長を行うようにしても良い。
【0248】
本実施例は実施例8〜11と組み合わせて実施することが可能である。
【0249】
(実施例13)
本実施例では、複数のレーザビームを重ね合わせることで合成される、レーザビームの形状について説明する。
【0250】
図20(A)に、複数のレーザ発振装置からそれぞれ発振されるレーザ光の、スリットを介さない場合の被処理物におけるレーザビームの形状の一例を示す。図20(A)に示したレーザビームは楕円形状を有している。なお本発明において、レーザ発振装置から発振されるレーザ光のレーザビームの形状は、楕円に限定されない。レーザビームの形状はレーザの種類によって異なり、また光学系により成形することもできる。例えば、ラムダ社製のXeClエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅30ns)L3308から射出されたレーザ光の形状は、10mm×30mm(共にビームプロファイルにおける半値幅)の矩形状である。また、YAGレーザから射出されたレーザ光の形状は、ロッド形状が円筒形であれば円状となり、スラブ型であれば矩形状となる。このようなレーザ光を光学系により、さらに成形することにより、所望の大きさのレーザ光をつくることもできる。
【0251】
楕円形状のレーザビームのエネルギー密度の分布は、楕円の中心Oに向かうほど高くなっている。このように図20(A)に示したレーザビームは、中心軸方向におけるエネルギー密度がガウス分布に従っており、エネルギー密度が均一だと判断できる領域が狭くなる。
【0252】
次に、図20(A)に示したレーザビームを有するレーザ光を合成したときの、レーザビームの形状を、図20(C)に示す。なお図20(C)では4つのレーザ光のレーザビームを重ね合わせることで1つの線状のレーザビームを形成した場合について示しているが、重ね合わせるレーザビームの数はこれに限定されない。
【0253】
図20(C)に示すように、各レーザビームは、各楕円の長軸が一致し、なおかつ互いにレーザビームの一部が重なることで合成され、1つのレーザビーム360が形成されている。なお以下、各楕円の中心Oを結ぶことで得られる直線をレーザビーム360の中心軸とする。
【0254】
なお、図20(C)に示すレーザビームは、図20(B)におけるエネルギー密度のピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域に相当する。合成前の各レーザビームが重なり合っている部分において、エネルギー密度が加算される。例えば図示したように重なり合ったビームのエネルギー密度E1とE2を加算すると、ビームのエネルギー密度のピーク値E3とほぼ等しくなり、各楕円の中心Oの間においてエネルギー密度が平坦化される。
【0255】
なお、E1とE2を加算するとE3と等しくなるのが理想的だが、現実的には必ずしも等しい値にはならない。E1とE2を加算した値とE3との値のずれの許容範囲は、設計者が適宜設定することが可能である。
【0256】
レーザビームを単独で用いると、エネルギー密度の分布がガウス分布に従っているので、絶縁膜の平坦な部分に接している半導体膜またはアイランドとなる部分全体に均一なエネルギー密度のレーザ光を照射することが難しい。しかし、図20(D)からわかるように、複数のレーザ光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザ光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、エネルギー密度が均一とみなせる領域が拡大され、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる。
【0257】
なお、計算によって求めた図20(C)のB−B’、C−C’におけるエネルギー密度の分布を、図21に示す。なお、図21は、合成前のレーザビームの、ピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域を基準としている。合成前のレーザビームの短軸方向の長さを37μm、長軸方向の長さを410μmとし、中心間の距離を192μmとしたときの、B−B’、C−C’におけるエネルギー密度は、それぞれ図21(A)、図21(B)に示すような分布を有している。B−B’の方がC−C’よりも弱冠小さくなっているが、ほぼ同じ大きさとみなすことができ、合成前のレーザビームのピーク値の1/e2のエネルギー密度を満たしている領域における、合成されたレーザビームの形状は、線状と言い表すことができる。
【0258】
図22(A)は、合成されたレーザビームのエネルギー分布を示す図である。361で示した領域はエネルギー密度が均一とみなせる領域であり、362で示した領域はエネルギー密度が低い領域である。図22において、レーザビームの中心軸方向の長さをWTBWとし、エネルギー密度が均一とみなせる領域361における中心軸方向の長さをWmaxとする。WTBWがWmaxに比べて大きくなればなるほど、結晶化に用いることができるエネルギー密度が均一な領域361に対する、半導体膜の結晶化に用いることができないエネルギー密度が均一ではない領域362の割合が大きくなる。エネルギー密度が均一ではない領域362のみが照射された半導体膜は、微結晶が生成し結晶性が芳しくない。よって半導体膜のアイランドとなる領域と、領域362のみを重ねないように、走査経路及び絶縁膜の凹凸のレイアウトを定める必要が生じ、領域361に対する領域362の比率が高くなるとその制約はさらに大きくなる。よってスリットを用いて、エネルギー密度が均一ではない領域362のみが絶縁膜の凸部上に形成された半導体膜に照射されるのを防ぐことは、走査経路及び絶縁膜の凹凸のレイアウトの際に生じる制約を小さくするのに有効である。
【0259】
本実施例は実施例1〜12と組み合わせて実施することが可能である。
【0260】
(実施例14)
本実施例では、本発明に用いられるレーザ照射装置の光学系と、各光学系とスリットとの位置関係について説明する。
【0261】
図23は、レーザビームを4つ合成して1つのレーザビームにする場合の光学系を示している。図23に示す光学系は、6つのシリンドリカルレンズ417〜422を有している。矢印の方向から入射した4つのレーザ光は、4つのシリンドリカルレンズ419〜422のそれぞれに入射する。そしてシリンドリカルレンズ419、421において成形された2つのレーザ光は、シリンドリカルレンズ417において再びそのレーザビームの形状が成形されて、スリット424を通って被処理物423に照射される。一方シリンドリカルレンズ420、422において成形された2つのレーザ光は、シリンドリカルレンズ418において再びそのレーザビームの形状が成形されて、スリット424を通って被処理物423に照射される。
【0262】
被処理物423における各レーザ光のレーザビームは、互いに一部重なることで合成されて1つのレーザビームを形成している。
【0263】
各レンズの焦点距離及び入射角は設計者が適宜設定することが可能であるが、被処理物423に最も近いシリンドリカルレンズ417、418の焦点距離は、シリンドリカルレンズ419〜422の焦点距離よりも小さくする。例えば、被処理物423に最も近いシリンドリカルレンズ417、418の焦点距離を20mmとし、シリンドリカルレンズ419〜422の焦点距離を150mmとする。そしてシリンドリカルレンズ417、418から被処理物400へのレーザー光の入射角は、本実施例では25°とし、シリンドリカルレンズ419〜422からシリンドリカルレンズ417、418へのレーザー光の入射角を10°とするように各レンズを設置する。なお、戻り光を防ぎ、また均一な照射を行なうために、レーザー光の基板への入射角度を0°より大きく、望ましくは5〜30°に保つのが望ましい。
【0264】
図23では、4つのレーザビームを合成する例について示しており、この場合4つのレーザ発振装置にそれぞれ対応するシリンドリカルレンズを4つと、該4つのシリンドリカルレンズに対応する2つのシリンドリカルレンズとを有している。合成するレーザビームの数はこれに限定されず、合成するレーザビームの数は2以上8以下であれば良い。n(n=2、4、6、8)のレーザビームを合成する場合、nのレーザ発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応するn/2のシリンドリカルレンズとを有している。n(n=3、5、7)のレーザビームを合成する場合、nのレーザ発振装置にそれぞれ対応するnのシリンドリカルレンズと、該nのシリンドリカルレンズに対応する(n+1)/2のシリンドリカルレンズとを有している。
【0265】
そして、レーザビームを5つ以上重ね合わせるとき、光学系を配置する場所及び干渉等を考慮すると、5つ目以降のレーザ光は基板の反対側から照射するのが望ましく、その場合スリットを基板の反対側にも設ける必要がある。また、基板は透過性を有していることが必要である。
【0266】
なお、戻り光がもときた光路をたどって戻るのを防ぐために、基板に対する入射角は、0より大きく90°より小さくなるように保つようにするのが望ましい。
【0267】
また、均一なレーザー光の照射を実現するためには、照射面に垂直な平面であって、かつ合成前の各ビームの形状をそれぞれ長方形と見立てたときの短辺を含む面または長辺を含む面のいずれか一方を入射面と定義すると、前記レーザー光の入射角度θは、入射面に含まれる前記短辺または前記長辺の長さがW、前記照射面に設置され、かつ、前記レーザー光に対して透光性を有する基板の厚さがdであるとき、θ≧arctan(W/2d)を満たすのが望ましい。この議論は合成前の個々のレーザー光について成り立つ必要がある。なお、レーザー光の軌跡が、前記入射面上にないときは、該軌跡を該入射面に射影したものの入射角度をθとする。この入射角度θでレーザー光が入射されれば、基板の表面での反射光と、前記基板の裏面からの反射光とが干渉せず、一様なレーザー光の照射を行うことができる。以上の議論は、基板の屈折率を1として考えた。実際は、基板の屈折率が1.5前後のものが多く、この数値を考慮に入れると上記議論で算出した角度よりも大きな計算値が得られる。しかしながら、ビームスポットの長手方向の両端のエネルギーは減衰があるため、この部分での干渉の影響は少なく、上記の算出値で十分に干渉減衰の効果が得られる。
【0268】
なお本発明に用いられるレーザ照射装置が有する光学系は、本実施例で示した構成に限定されない。
【0269】
本実施例は実施例1〜13と組み合わせて実施することが可能である。
【0270】
(実施例15)
楕円形状のレーザビームは、走査方向と垂直な方向におけるエネルギー密度の分布がガウス分布に従っているので、エネルギー密度の低い領域の全体に占める割合が、矩形または線形のレーザビームを有するレーザ光に比べて高い。そのため本発明では、レーザ光のレーザビームが、エネルギー密度の分布が比較的均一な矩形または線形であることが望ましい。
【0271】
矩形または線形のレーザビームを得られるガスレーザとして代表的なのはエキシマレーザであり、固体レーザとして代表的なのはスラブレーザである。本実施例では、スラブレーザについて説明する。
【0272】
図24(A)にスラブ型のレーザ発振装置の構成を一例として示す。図24(A)に示すスラブ型のレーザ発振装置は、ロッド7500と、反射ミラー7501と、出力ミラー7502と、シリンドリカルレンズ7503を有している。
【0273】
ロッド7500に励起光を照射すると、ロッド7500内のジグザグの光路をたどって、反射ミラー7501または出射ミラー7502側にレーザ光が出射する。反射ミラー7501側に出射したレーザ光は、反射されて再びロッド7500内に入射し、出射ミラー7502側に出射する。ロッド7500は板状のスラブ媒質を用いたスラブ式であり、出射段階で比較的長い矩形または線形のレーザビームを形成することができる。そして、出射したレーザ光はシリンドリカルレンズ7503においそのレーザビームの形状がより細くなるよう加工され、レーザ発振装置から出射される。
【0274】
次に、スラブ型のレーザ発振装置の、図24(A)に示したものとは異なる構成を、図24(B)に示す。図24(B)では、図24(A)に示したレーザ発振装置に、シリンドリカルレンズ7504を追加したものであり、シリンドリカルレンズ7504によって、レーザビームの長さを制御することができる。
【0275】
なおコヒーレント長を10cm以上、好ましくは1m以上であると、レーザビームをより細くすることができる。
【0276】
また、ロッド7500の温度が過剰に上昇するのを防ぐために、例えば冷却水を循環させるなど、温度の制御をする手段を設けるようにしても良い。
【0277】
図24(C)に、シリンドリカルレンズの形状の、一実施例を示す。7509は本実施例のシリンドリカルレンズであり、ホルダー7510により固定されている。そしてシリンドリカルレンズ7509は、円柱面と矩形の平面とが互いに向き合った形状を有しており、円柱面の2本の母線と、向かい合った矩形の2本の辺とが互いに全て平行である。そして、円柱面の2つの母線と、平行な該2つの辺とでそれぞれ形成される2つの面は、該矩形の平面と0より大きく90°よりも小さい角度で交わっている。このように平行な該2つの辺とでそれぞれ形成される2つの面は、該矩形の平面と90°未満の角度で交わることで、90°以上のときと比べて焦点距離を短くすることができ、よりレーザビームの形状を細くし、線形に近づけることができる。
【0278】
本実施例は、実施例1〜14と組み合わせて実施することが可能である。
【0279】
(実施例16)
本実施例では、レーザビームを重ね合わせたときの、各レーザビームの中心間の距離と、エネルギー密度との関係について説明する。
【0280】
図25に、各レーザビームの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を実線で、合成されたレーザビームのエネルギー密度の分布を破線で示す。レーザビームの中心軸方向におけるエネルギー密度の値は、一般的にガウス分布に従っている。
【0281】
合成前のレーザービームにおいて、ピーク値の1/e2以上のエネルギー密度を満たしている中心軸方向の距離を1としたときの、各ピーク間の距離をXとする。また、合成されたレーザービームにおいて、合成後のピーク値と、バレー値の平均値に対するピーク値の割増分をYとする。シミュレーションで求めたXとYの関係を、図26に示す。なお図26では、Yを百分率で表した。
【0282】
図26において、エネルギー差Yは以下の式1の近似式で表される。
【0283】
【式1】
Y=60−293X+340X2(Xは2つの解のうち大きい方とする)
【0284】
式1に従えば、例えばエネルギー差を5%程度にしたい場合、X≒0.584となるようにすれば良いということがわかる。なお、Y=0となるのが理想的だが、実際には実現するが難しく、エネルギー差Yの許容範囲を設計者が適宜設定する必要がある。Y=0となるのが理想的だが、それではビームスポットの長さが短くなるので、スループットとのバランスでXを決定すると良い。
【0285】
次に、Yの許容範囲について説明する。図27に、レーザービームが楕円形状を有している場合の、中心軸方向におけるビーム幅に対するYVO4レーザーの出力(W)の分布を示す。斜線で示す領域は、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲であり、3.5〜6Wの範囲内に合成したレーザー光の出力エネルギーが納まっていれば良いことがわかる。
【0286】
合成後のビームスポットの出力エネルギーの最大値と最小値が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギー範囲にぎりぎりに入るとき、良好な結晶性が得られるエネルギー差Yが最大になる。よって図27の場合は、エネルギー差Yが±26.3%となり、上記範囲にエネルギー差Yが納まっていれば良好な結晶性が得られることがわかる。
【0287】
なお、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲は、どこまでを結晶性が良好だと判断するかによって変わり、また出力エネルギーの分布もレーザビームの形状によって変わってくるので、エネルギー差Yの許容範囲は必ずしも上記値に限定されない。設計者が、良好な結晶性を得るために必要な出力エネルギーの範囲を適宜定め、用いるレーザの出力エネルギーの分布からエネルギー差Yの許容範囲を設定する必要がある。
【0288】
本実施例は、実施例1〜8と組み合わせて実施することが可能である。
【0289】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、段差形状を有する下地絶縁膜のパターンに従って、その凸上部に結晶性半導体膜を残存させ、それをTFTの活性層とすることにより、良質な結晶を選択的に使用することができる。即ち、段差部に集中する歪み領域をチャネル形成領域から除外することができる。
【0290】
即ち、非晶質半導体膜に連続発振レーザビームを照射する結晶化において、下地絶縁膜に段差形状を設けることにより、その部分に結晶化に伴う歪み又は応力を集中させることができ、活性層とする結晶性半導体にその歪み又は応力がかからないようにすることができる。歪み又は応力から開放された結晶性半導体膜にチャネル形成領域が配設されるようにTFTを形成することにより、高速で電流駆動能力を向上させることが可能となり、素子の信頼性を向上させることも可能となる。
【0291】
また本発明では、レーザ光による結晶化の後、半導体膜の凹部のエッジ近傍または凸部のエッジ近傍をパターニングにより除去し、凸部の中央付近の結晶性が優れている部分をTFTの活性層として積極的に用いることで、TFTのチャネル形成領域に粒界が形成されるのを防ぐことができ、粒界によってTFTの移動度が著しく低下したり、オン電流が低減したり、オフ電流が増加したりするのを防ぐことができる。なお、どこまでを凸部のエッジ近傍としてパターニングで除去するかは、設計者が適宜定めることができる。
【0292】
また、半導体膜全体にレーザ光を走査して照射するのではなく、少なくとも必要不可欠な部分を最低限結晶化できるようにレーザ光を走査する。上記構成により、半導体膜を結晶化させた後パターニングにより除去される部分にレーザ光を照射する時間を省くことができ、基板1枚あたりにかかる処理時間を大幅に短縮することができる。
【0293】
また、複数のレーザ光を重ね合わせてエネルギー密度の低い部分を互いに補い合うようにすることで、複数のレーザ光を重ね合わせないで単独で用いるよりも、半導体膜の結晶性を効率良く高めることができる。
【0294】
なお、絶縁膜に凹凸を形成するのではなく、エッチングにより基板自体に凹凸を設けることで、その上に形成される半導体膜に凹凸を設けて、応力集中が起こる部分を意図的に形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶化された半導体膜のTEMの断面像と、断面図を模式的に示した図。
【図2】 半導体膜にレーザ光を照射している様子を示す図
【図3】 結晶化された半導体膜をパターニングすることで形成されたアイランドの図。
【図4】 図3に示したアイランドを用いて形成されたTFTの構造を示す図。
【図5】 本発明の生産システムのフローチャートを示す図。
【図6】 レーザ照射装置の図。
【図7】 レーザ照射装置の図。
【図8】 凹凸を有する絶縁膜の作製方法を示す図。
【図9】 凹凸を有する絶縁膜の作製方法を示す図。
【図10】 凹凸を有する絶縁膜の形状を示す図。
【図11】 凹凸を有する絶縁膜の作製方法を示す図。
【図12】 結晶化された半導体膜をパターニングすることで形成されたアイランドの図。
【図13】 凹凸を有する絶縁膜の形状を示す図。
【図14】 図13(B)に示した絶縁膜を用いて形成されたTFTの上面図及び断面図。
【図15】 本発明を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図16】 本発明を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図17】 本発明を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図18】 本発明を用いた半導体装置の作製方法を示す図。
【図19】 半導体膜の結晶化の方法を示す図。
【図20】 レーザビームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図21】 レーザビームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図22】 レーザビームのエネルギー密度の分布を示す図。
【図23】 光学系の図。
【図24】 光学系の図。
【図25】 重ね合わせたレーザビームの中心軸方向におけるエネルギー密度の分布を示す図。
【図26】 レーザビームの中心間の距離とエネルギー差の関係を示す図。
【図27】 レーザビームの中心軸方向における出力エネルギーの分布を示す図。
【図28】 本発明の半導体装置の構成とその作製方法について説明する斜視図。
【図29】 本発明の半導体装置の構成とその作製方法について説明する斜視図。
【図30】 本発明の半導体装置の構成とその作製方法について説明する斜視図。
【図31】 本発明の半導体装置の構成とその作製方法について説明する斜視図。
【図32】 本発明に係る結晶化工程の詳細を説明する縦断面図。
【図33】 本発明に適用するレーザ照射装置の一態様を示す配置図。
【図34】 本発明の半導体装置の作製方法について説明する縦断面図。
【図35】 本発明の半導体装置の作製方法について説明する縦断面図。
【図36】 本発明に係る結晶化工程の詳細を説明する上面図。
【図37】 本発明の半導体装置の作製方法について説明する上面図。
【図38】 本発明の半導体装置の作製方法について説明する上面図。
【図39】 図38に示すTFTの上面図に対応する等価回路図。
【図40】 本発明の半導体装置の作製方法について説明する上面図。
【図41】 本発明に係る結晶化工程の詳細を説明する縦断面図。
【図42】 本発明に係る下地絶縁膜と非晶質半導体膜の作製方法を説明する縦断面図。
【図43】 本発明に係る下地絶縁膜と非晶質半導体膜の作製方法を説明する縦断面図
【図44】 表示パネルの外観図。
【図45】 表示パネルの画素部の構造を説明する上面図。
【図46】 半導体装置の一例を示す図。
【図47】 プロジェクターの一例を示す図。

Claims (9)

  1. 基板表面上に、凸部と凹部が交互に配設された断面形状を有し、前記断面形状で交互に配設された前記凸部と前記凹部により複数の縞状の上面形状を有し、前記凸部の平坦な上面が矩形である絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜を覆うように前記絶縁膜の前記凸部と前記凹部に沿って半導体膜を形成し、
    前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記半導体膜の平坦な矩形状の面の長軸方向を短手方向とし、前記短手方向に垂直な方向を長手方向とする矩形状のレーザビームの幅情報と、に基づき、前記レーザビームの短手方向と平行であり、前記半導体膜の平坦な矩形状の面が前記レーザビームの短手方向におけるエッジと重ならない走査経路を定め、
    前記走査経路にしたがい、前記長手方向におけるエネルギー密度分布が基準から±20%の範囲である前記矩形状のレーザビームを照射することにより前記半導体膜を結晶化させ、
    前記結晶化させた半導体膜の凹底部及び段差部の一部をエッチングにより除去することによって、並列に配置された上面が矩形状である複数の第1の半導体領域と、前記複数の第1の半導体領域を連接する一対の第2の半導体領域とが一体形成されたアイランドを形成し、
    前記第1の半導体領域にチャネル形成領域を形成し、前記第2の半導体領域にソース領域又はドレイン領域を形成する
    ことからなることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  2. 基板表面上に、凸部と凹部が交互に配設された断面形状を有し、前記断面形状で交互に配設された前記凸部と前記凹部により複数の縞状の上面形状を有し、前記凸部の平坦な上面が矩形である絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜を覆うように前記絶縁膜の前記凸部と前記凹部に沿って半導体膜を形成し、
    前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記半導体膜の平坦な矩形状の面の長軸方向を短手方向とし、前記短手方向に垂直な方向を長手方向とする矩形状のレーザビームの幅情報と、に基づき、前記レーザビームの短手方向と平行であり、前記半導体膜の平坦な矩形状の面が前記レーザビームの短手方向におけるエッジと重ならない走査経路を定め、
    前記走査経路にしたがい、前記長手方向におけるエネルギー密度分布が基準から±20%の範囲である前記矩形状のレーザビームを照射することにより前記半導体膜を結晶化させ、
    前記結晶化させた半導体膜の凹底部及び段差部の一部をエッチングにより除去することによって、並列に配置された上面が矩形状である複数の第1の半導体領域と、前記複数の第1の半導体領域を連接する一対の第2の半導体領域とが一体形成されたアイランドを形成し、
    前記第1の半導体領域のチャネル形成領域となる領域上にゲート絶縁膜を形成し、
    前記第1の半導体領域のチャネル形成領域となる領域上に前記ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、
    前記第1の半導体領域にチャネル形成領域を形成し、前記第2の半導体領域にソース領域又はドレイン領域を形成する
    ことからなることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  3. 基板表面上に、凸部と凹部が交互に配設された断面形状を有し、前記断面形状で交互に配設された前記凸部と前記凹部により複数の縞状の上面形状を有し、前記凸部の平坦な上面が矩形である絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜を覆うように前記絶縁膜の前記凸部と前記凹部に沿って半導体膜を形成し、
    設計段階の前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記半導体膜の平坦な矩形状の面の長軸方向を短手方向とし、前記短手方向に垂直な方向を長手方向とする矩形状のレーザビームの幅情報と、に基づき、前記レーザビームの短手方向と平行であり、前記半導体膜の平坦な矩形状の面が前記レーザビームの短手方向におけるエッジと重ならない走査経路を定め、
    撮像素子を用いて前記絶縁膜上に形成された前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報を検出し、
    前記設計段階の前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記撮像素子を用いて検出した前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報とを照らし合わせることで前記基板の位置合わせを行い、
    前記走査経路にしたがい、前記長手方向におけるエネルギー密度分布が基準から±20%の範囲である前記矩形状のレーザビームを照射することにより前記半導体膜を結晶化させ、
    前記結晶化させた半導体膜の凹底部及び段差部の一部をエッチングにより除去することによって、並列に配置された上面が矩形状である複数の第1の半導体領域と、前記複数の第1の半導体領域を連接する一対の第2の半導体領域とが一体形成されたアイランドを形成し、
    前記第1の半導体領域にチャネル形成領域を形成し、前記第2の半導体領域にソース領域又はドレイン領域を形成する
    ことからなることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  4. 基板表面上に、凸部と凹部が交互に配設された断面形状を有し、前記断面形状で交互に配設された前記凸部と前記凹部により複数の縞状の上面形状を有し、前記凸部の平坦な上面が矩形である絶縁膜を形成し、
    前記絶縁膜を覆うように前記絶縁膜の前記凸部と前記凹部に沿って半導体膜を形成し、
    設計段階の前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記半導体膜の平坦な矩形状の面の長軸方向を短手方向とし、前記短手方向に垂直な方向を長手方向とする矩形状のレーザビームの幅情報と、に基づき、前記レーザビームの短手方向と平行であり、前記半導体膜の平坦な矩形状の面が前記レーザビームの短手方向におけるエッジと重ならない走査経路を定め、
    撮像素子を用いて前記絶縁膜上に形成された前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報を検出し、
    前記設計段階の前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報と、前記撮像素子を用いて検出した前記半導体膜の平坦な矩形状の面に関するパターン情報とを照らし合わせることで前記基板の位置合わせを行い、
    前記走査経路にしたがい、前記長手方向におけるエネルギー密度分布が基準から±20%の範囲である前記矩形状のレーザビームを照射することにより前記半導体膜を結晶化させ、
    前記結晶化させた半導体膜の凹底部及び段差部の一部をエッチングにより除去することによって、並列に配置された上面が矩形状である複数の第1の半導体領域と、前記複数の第1の半導体領域を連接する一対の第2の半導体領域とが一体形成されたアイランドを形成し、
    前記第1の半導体領域のチャネル形成領域となる領域上にゲート絶縁膜を形成し、
    前記第1の半導体領域のチャネル形成領域となる領域上に前記ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、
    前記第1の半導体領域にチャネル形成領域を形成し、前記第2の半導体領域にソース領域又はドレイン領域を形成する
    ことからなることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
    前記矩形状のレーザビームの照射は減圧雰囲気下または不活性ガス雰囲気下において行われることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
    前記矩形状のレーザビームは、YAGレーザ、YVO4 レーザ、YLFレーザ、YAlO3 レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザまたはNd:YVO4 レーザから選ばれた一種または複数種を用いて出力されていることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
    前記矩形状のレーザビームは、スラブレーザを用いて出力されていることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
    前記矩形状のレーザビームは連続発振であることを特徴とする半導体装置の生産方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
    前記矩形状のレーザビームは第2高調波であることを特徴とする半導体装置の生産方法。
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