JP2005259807A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性及び電気特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供。
【解決手段】
誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、順次、固体電解質及び陰極導電層が形成されてなる固体電解コンデンサにおいて、一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有するポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子を固体電解質として形成させた固体電解コンデンサであり、該導電性高分子を、化学重合法または電解重合法によって形成させる固体電解コンデンサの製造方法である。
(式中、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
【解決手段】
誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、順次、固体電解質及び陰極導電層が形成されてなる固体電解コンデンサにおいて、一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有するポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子を固体電解質として形成させた固体電解コンデンサであり、該導電性高分子を、化学重合法または電解重合法によって形成させる固体電解コンデンサの製造方法である。
(式中、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。)
Description
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
従来、誘電体酸化皮膜を形成させた多孔質表面を有する弁作用金属表面に、固体電解質として導電性高分子を形成させてなる固体電解コンデンサが各種提案されている。
上記導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリアセチレンまたはポリチオフェンなどが知られており、これら導電性高分子の形成方法としては、各導電性高分子ポリマーに対応するモノマーを、酸化剤と接触させて重合する化学重合法や、導電性高分子モノマーを含有した電解液中で電解酸化させて重合する電解重合法があげられる。
化学重合法は、操作が簡便で経済性に優れるが、導電性高分子の耐熱性や電導度の点では、電解重合法が優れ、電解重合法により形成させた導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、周波数特性、電気特性及び耐熱性に優れたコンデンサである。
絶縁性の誘電体酸化皮膜上に、電解重合法により導電性高分子を形成させるには、予め誘電体酸化皮膜上に予備導電層を形成させ、導電性高分子モノマーを含有させた電解液中、該予備導電層を陽極として電解重合させる方法が提案されている。(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。
一般に、導電性高分子は、該導電性高分子に含有されるドーパントの種類により、電導度や耐熱性が大きく変化し、従って、この導電性高分子を固体電解質として用いた固体電解コンデンサは、導電性高分子中に含まれるドーパントの種類によって、電気特性や耐熱性が大きく影響を受けることが知られている。
従来、上記ドーパントとしては、導電性高分子の電導度や耐熱性の点から、ベンゼンスルホン酸やパラトルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸アニオンが用いられているが、
該ドーパントを用いてもなお、満足し得る性能を有する導電性高分子は得られず、改善すべき点が残されていた。
該ドーパントを用いてもなお、満足し得る性能を有する導電性高分子は得られず、改善すべき点が残されていた。
本発明の目的は、導電性高分子の耐熱性及び電導度を向上させ、ひいては、耐熱性及び電気特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る固体電解コンデンサ及びその製造方法を完成するに至った。
すなわち、本発明は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、順次、固体電解質及び陰極導電層が形成されてなる固体電解コンデンサにおいて、該固体電解質が、一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有する導電性高分子からなることを特徴とする固体電解コンデンサである。
一般式〔1〕中、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、フルオロアルキル基を示す。
また本発明は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンの存在下、導電性高分子モノマー及び酸化剤を接触させて、化学重合させることにより、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
さらに本発明は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、予備導電層を形成させ、ついで、少なくとも一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる電解液中、該予備導電層を陽極として電解重合させることにより、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
以下、本発明の固体電解コンデンサについて詳細に説明する。
本発明の固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を形成させた陽極弁作用金属表面に、順次、固体電解質及び陰極導電層が形成されてなる固体電解コンデンサにおいて、該固体電解質が、前記一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する導電性高分子からなることを特徴とする固体電解コンデンサである。
本発明に用いられる弁作用金属としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ニオブ、及びそれらの合金があげられ、平板状または焼結体等の該弁作用金属を、エッチング処理により表面粗面化させた後、化成処理を施して、誘電体酸化皮膜が形成される。
上記弁作用金属の誘電体酸化皮膜上には、固体電解質として、前記一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有する導電性高分子が形成される。
上記導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリチオフェンまたはこれらの誘導体ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられ、該誘導体ポリマーとしては、例えば、ポリ(3−アルキルピロール)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3,4−アルキレンジオキシピロール)、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)などがあげられ、これらの導電性高分子の中でも、ポリピロールまたはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、電導度及び耐熱性に優れ、好ましく、特に、ポリピロールは、電導度やコスト的にも優位であり、より好ましい。
本発明の固体電解コンデンサに用いられる固体電解質は、上記導電性高分子に前記一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンがドーパントとして含有されてなり、該ドーパントを含有する導電性高分子は、従来のドーパント、すなわちベンゼンスルホン酸やパラトルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸アニオンを含有する導電性高分子に比べて、耐熱性及び導電性に優れている。
本発明には、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを有する化合物が用いられ、該アニオン成分としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド及びビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドなどがあげられる。
上記導電性高分子中に含まれるドーパント含有量としては、通常、5〜60質量%である。
次に、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、固体電解質として、前記一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有する導電性高分子が形成されてなり、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、導電性高分子の形成方法の相違により、化学重合法と電解重合法に分類することができる。
化学重合法による、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンの存在下、導電性高分子モノマー及び酸化剤を接触させて、化学重合させることにより、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成するものである。
上記製造方法において、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンは、気相中または液相中における導電性高分子モノマーと酸化剤との反応系に共存させておく必要があり、該方法としては、例えば、酸化剤溶液中にビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド化合物を含有させるか、または、導電性高分子モノマー中に該化合物を含有させるか、あるいは、該化合物含有溶液を化学重合反応時に添加する等があげられ、特に限定されない。
上記ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド化合物のアニオン成分としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド及びビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドなどがあげられ、また、カチオン成分としては、水素イオン、アルカリ金属イオン(リチウム、カリウム、ナトリウム等)、アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオン(テトラアルキルアンモニウム等)等があげられ、これら両成分を組み合わせてなる化合物の少なくとも1種を用いることができる。
本発明に用いられる導電性高分子モノマーとしては、前記した導電性高分子に対応するモノマー、すなわち、ピロール、アニリン、フラン、チオフェンまたはこれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種があげられる。
化学重合に用いられる酸化剤としては、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、二酸化塩素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、亜塩素酸などのハロゲン化物、5フッ化アンチモン、5塩化リン、5フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデンなどの金属ハロゲン化物、あるいは過マンガン酸塩、重クロム酸塩、無水クロム酸、第二鉄塩、第二銅塩などの高原子価状態金属イオンの塩、硫酸、硝酸、トリフルオロメタン硫酸などのプロトン酸、三酸化硫黄、二酸化窒素などの酸素化合物、過酸化水素、過硫酸アンモニム、過ホウ酸ナトリウムなどのペルオキソ酸及びその塩、モリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸及びその塩があげられる。
また、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドの第二鉄塩や第二銅塩は、カチオン成分が酸化力を有し、酸化剤としても使用することができる。
また、本発明の導電性高分子には、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン以外に、他のドーパント成分を含有させてもよく、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロヒ酸、ヘキサフロロアンチモン酸、テトラフロロホウ酸、過塩素酸等のハロゲン化物イオン、またはメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン、カンファースルホン酸などの環状スルホン酸イオン、またはベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノもしくはジスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1〜4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換もしくは無置換イオン、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等、置換または無置換の芳香族スルホン酸イオン、またはビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等の有機ホウ素錯体イオン、またはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオンアニオンを有する酸または塩を用いることができ、これらのドーパントを含有する導電性高分子は、耐熱性の点でやや劣るものの、コスト的に安価であり、高度の耐熱性が要求されない使用場面では、十分適用することができる。
化学重合により導電性高分子を形成させた後、カーボンペースト及び導電性ペーストにより陰極導電層を形成させ、その後、樹脂モールドあるいはステンレスケース等を用いて外装を施した後、エージングさせて、本発明の固体電解コンデンサを完成する。
電解重合法による、本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、予備導電層を形成させ、ついで、少なくとも一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる電解液中、該予備導電層を陽極として電解重合させることにより、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成させるものである。
上記製造方法において、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、電解重合により導電性高分子を形成させるには、まず、誘電体酸化皮膜表面に予備導電層を形成させる必要がり、該予備導電層は、従来公知の方法により、例えば、導電性高分子モノマーを化学重合させて導電性高分子膜を形成させるか、または、マンガン塩を熱分解させて二酸化マンガンからなる導電性金属酸化物薄膜を形成させればよい。
ついで、予備導電層を形成させた上記素子を、導電性高分子モノマー及び支持電解質として少なくともビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンを含有する電解重合液中に浸漬させ、ついで、前記予備導電層に外部からステンレスワイヤ等の給電電極を接触または近傍に配置させて陽極とし、外部に設けた陰極との間で電解重合させることにより、予備導電層上に少なくともビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する導電性高分子が形成される。
また、電解液の支持電解質として、他成分を添加させてもよく、例えば、アニオン成分としては、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロヒ酸、ヘキサフロロアンチモン酸、テトラフロロホウ酸、過塩素酸等のハロゲン化物イオン、またはメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン、カンファースルホン酸などの環状スルホン酸イオン、またはベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノもしくはジスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1〜4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換もしくは無置換イオン、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等、置換または無置換の芳香族スルホン酸イオン、またはビスサルチレートホウ素、ビスカテコレートホウ素等の有機ホウ素錯体イオン、またはモリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオンがあげられ、また、カチオン成分としては、水素イオンの他、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、3級アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウム等の4級アンモニウムイオンがあげられ、これら両成分を組み合わせてなる化合物の少なくとも1種が用いられる。
電解重合液としては、アセトニトリル等の溶媒に、少なくともビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド化合物を支持電解質として0.01〜2mol/L及び導電性高分子モノマーを0.01〜5mol/Lとなるように溶解させた溶液が用いられる。
なお、各重合工程後、損傷を受けた誘電体酸化皮膜を修復するため、再化成処理を施してもよい。
電解重合により導電性高分子を形成させた後、カーボンペースト及び導電性ペーストにより陰極導電層を形成させ、その後、樹脂モールドあるいはステンレスケース等を用いて外装を施した後、エージングさせて、本発明の固体電解コンデンサを完成する。
本発明の固体電解コンデンサは、固体電解質が、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する導電性高分子からなり、従来のドーパントを含有する導電性高分子を固体電解質とする固体電解コンデンサに比較して、耐熱性及び電気特性(静電容量、誘電損失及び等価直列抵抗等)に優れ、長寿命で信頼性の高いコンデンサである。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法によれば、耐熱性及び電気特性に優れ、長寿命で信頼性の高いコンデンサを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づき説明する。なお、実施例中、「%」は、「質量%」を表す。また、電気特性の測定において、静電容量(C)及び誘電損失(tanδ)については、周波数120Hzで、また等価直列抵抗(ESR)は周波数100kHzで測定した。
実施例1
表面にエッチング処理を施した5mm×10mm×厚さ100μmのアルミニウム箔に、コンデンサの陽極リードとなるアルミニウムワイヤ(直径0.5mm)を溶接し、該アルミニウム箔をアジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧10Vで化成処理して誘電体酸化皮膜を形成させた。
表面にエッチング処理を施した5mm×10mm×厚さ100μmのアルミニウム箔に、コンデンサの陽極リードとなるアルミニウムワイヤ(直径0.5mm)を溶接し、該アルミニウム箔をアジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧10Vで化成処理して誘電体酸化皮膜を形成させた。
上記箔を、室温下、10%ピロール含有メタノール溶液に1分間浸漬させた後、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に5分間浸漬させて化学重合させ、ついで、水及びメタノールで洗浄、乾燥させた。この操作を10回繰り返して、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有するポリピロール膜を形成させた。
上記ポリピロール膜上に、コロイダルカーボン及び銀ペーストを塗布して陰極導電層を形成し、その一部から陰極リードを取り出した後、エポキシ樹脂でモールドし、ついで、漏れ電流を低減させるため、電圧印加によるエージングを施し、定格電圧4V、定格静電容量47μFの固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
実施例2
実施例1と同様のアルミニウム箔に、実施例1と同様にして誘電体酸化皮膜を形成させた。
実施例1と同様のアルミニウム箔に、実施例1と同様にして誘電体酸化皮膜を形成させた。
上記箔を、室温下、10%ピロール含有メタノール溶液に1分間浸漬させた後、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に5分間浸漬させて化学重合させ、ついで、水及びメタノールで洗浄、乾燥させた。この操作を2回繰り返して、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有するポリピロール膜を形成し、予備導電層とした。
上記素子をアジピン酸アンモニウム水溶液中に浸漬させ、電圧10Vで再化成処理を施し、誘電体酸化皮膜を修復させた。
ついで、上記素子を、0.5mol/Lピロールモノマー及び0.3mol/Lビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含むアセトニトリル電解液中に浸漬させ、給電電極(ステンレスワイヤ)を予備導電層に接触させ、外部電極との間で定電流電解重合(0.5mA、60分)を行い、その後、給電電極を慎重に取り外した後、水及びメタノールで洗浄、乾燥させて、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する電解重合ポリピロール膜を形成させた。
上記ポリピロール膜上に、コロイダルカーボン及び銀ペーストを塗布して陰極導電層を形成させ、その一部から陰極リードを取り出した後、エポキシ樹脂でモールドし、ついで、漏れ電流を低減させるため、電圧印加によるエージングを施し、定格電圧4V、定格静電容量47μFの固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
実施例3
実施例1と同様のアルミニウム箔に、実施例1と同様にして誘電体酸化皮膜を形成させた。
実施例1と同様のアルミニウム箔に、実施例1と同様にして誘電体酸化皮膜を形成させた。
上記箔を、3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液に1分間浸漬させ、ついで、20%塩化第二鉄及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水/ブタノール(体積比1:2 以下同様。)溶液に1分間浸漬させ、さらに、該素子を、温度80℃のオーブン中で10分間保持して化学重合させた。この操作を8回繰り返して、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)膜を形成させた。
上記ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)膜上に、コロイダルカーボン及び銀ペーストを塗布して陰極導電層を形成させ、その一部から陰極リードを取り出した後、エポキシ樹脂でモールドし、ついで、漏れ電流を低減させるため、電圧印加によるエージングを施し、定格電圧4V、定格静電容量47μFの固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
比較例1
実施例1において、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に代えて、5%過硫酸アンモニウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを得た。
実施例1において、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に代えて、5%過硫酸アンモニウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
比較例2
実施例2において、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に代えて、5%過硫酸アンモニウム及び10%パラトルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液を用いた以外は、実施例2と同様にして固体電解コンデンサを得た。
実施例2において、5%過硫酸アンモニウム及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液に代えて、5%過硫酸アンモニウム及び10%パラトルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウムを含有する水溶液を用いた以外は、実施例2と同様にして固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
比較例3
実施例3において、20%塩化第二鉄及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水/ブタノール溶液に代えて、20%塩化第二鉄及び10%パラトルエンスルホン酸テトラエチルアンモニムを含有する水/ブタノール溶液を用いた以外は実施例3と同様にして固体電解コンデンサを得た。
実施例3において、20%塩化第二鉄及び10%ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸テトラエチルアンモニウムを含有する水/ブタノール溶液に代えて、20%塩化第二鉄及び10%パラトルエンスルホン酸テトラエチルアンモニムを含有する水/ブタノール溶液を用いた以外は実施例3と同様にして固体電解コンデンサを得た。
得られた固体電解コンデンサの初期電気特性及び温度135℃の高温雰囲気中に1000時間保持した後の電気特性を測定した。結果を、表1に示す。
表1の結果から、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する導電性高分子を形成させた本発明の固体電解コンデンサ(実施例1〜3)は、従来用いられている硫酸イオン(比較例1)や芳香族スルホン酸イオン(比較例2及び3)をドーパントとして含有する導電性高分子を形成させた固体電解コンデンサに比較して、コンデンサの電気特性に優れ、かつ耐熱性に優れていることが分かる。
本発明の固体電解コンデンサに用いられる固体電解質は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンをドーパントとして含有する導電性高分子からなり、該導電性高分子は、導電性及び耐熱性に優れ、コンデンサ用途の他に、導電性樹脂や、透明導電性薄膜としても適用可能である。
Claims (5)
- 導電性高分子がポリピロール及び/またはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンの存在下、導電性高分子モノマー及び酸化剤を接触させて、化学重合させることにより、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属表面に、予備導電層を形成させ、ついで、少なくとも一般式〔1〕で表されるビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる電解液中、該予備導電層を陽極として電解重合させることにより、固体電解質として、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが含有されてなる導電性高分子を形成させることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
- 導電性高分子がポリピロール及び/またはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)からなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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