JPH0682588B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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JPH0682588B2
JPH0682588B2 JP5784589A JP5784589A JPH0682588B2 JP H0682588 B2 JPH0682588 B2 JP H0682588B2 JP 5784589 A JP5784589 A JP 5784589A JP 5784589 A JP5784589 A JP 5784589A JP H0682588 B2 JPH0682588 B2 JP H0682588B2
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通之 河野
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は導電性高分子を固体電解質として用いたコンデ
ンサに関する。
(従来の技術) 皮膜形成性金属表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この誘
電体酸化皮膜上に7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン
(TCNQと略す)錯塩層を形成し固体電解質とする構造の
固体電解コンデンサが提案されている。また、誘電体酸
化皮膜上に化学酸化重合による導電性高分子膜を形成
し、さらにこの導電性高分子膜の上にピロール、チオフ
ェンまたはアニリンなどの電解重合による導電性高分子
膜を積層して固体電解質層とする構造の固体電解コンデ
ンサが提案されている。これらのコンデンサは、従来の
固体電解コンデンサに比べて、優れた特性を持つが、等
価直列抵抗(ESR)が大きい。特にタンタル固体電解コ
ンデンサの場合は、従来の二酸化マンガンを固体電解質
として用いたコンデンサと比べてもESRの値はやや低く
なる程度であった。またアルミニウム固体電解コンデン
サの場合にもさらにESRの低いコンデンサが望まれると
ころであった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的とするところは、皮膜形成性金属表面に形
成された誘電体酸化皮膜の上に固体電解質層を形成せし
めた構造の固体電解コンデンサにおいて、ESRをさらに
低くすることにより、回路の高周波化に対し十分な性能
を有する固体電解コンデンサを提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記問題点を解決するため種々検討した結
果、上記目的を達成し得る固体電解コンデンサを完成す
るに至った。
すなわち皮膜形成性金属に、誘電体酸化皮膜と、酸化剤
を用いて化学酸化重合した導電性高分子膜と、電解酸化
重合により得られる導電性高分子膜とを順次形成せしめ
た構造の固体電解コンデンサにおいて、電解酸化重合に
より得られる導電性高分子として、従来用いられたポリ
ピロール、ポリチオフェンまたはポリアニリンの代わり
に更に高導電性を有する3−メチルチオフェン、3−エ
チルチオフェン、3−プロピルチオフェン、α−ビチオ
フェン、α−ターチエニルのごときチオフェン誘導体の
電解重合によって得られる導電性高分子を用いる固体電
解コンデンサである。
本発明を第1図により更に詳しく説明すると、エッチン
グして表面を粗した皮膜形成性金属(1)の上に電解酸
化により該金属の酸化物を生成させ、誘電体酸化皮膜
(2)とする。ついでこの誘電体酸化皮膜(2)上に、
酸化剤を0.001mol/l〜2mol/l含む溶液を塗布または噴霧
などの方法により均一に分散した後、導電性高分子の単
量体を少なくとも0.01mol/l含む溶液または無溶媒で接
触させるか、または逆に導電性高分子の単量体を誘電体
表面上に均一に分散した後酸化剤を接触させて、誘電体
酸化皮膜層(2)上に化学酸化重合による導電性高分子
膜(3)を形成し、表面を導電化する。ついで表面を導
電化した皮膜形成性金属を陽極とし、支持電解質を0.01
mol/l〜2mol/lおよびチオフェン誘導体を0.01mol/l〜5m
ol/l含む電解液中にて電解酸化重合を行なうと、酸化剤
を用いて重合した導電性高分子膜(3)の上に、チオフ
ェン誘導体の電解酸化重合体より成る強靱な導電性高分
子膜(4)が得られる。更に一般的に用いられている銀
ペーストなどにより対極リードを取り出し、エポキシ樹
脂などにより外装すると本発明のコンデンサとなる。
本発明の皮膜形成性金属はアルミニウムまたはタンタル
を用いる。本発明の化学的酸化重合に用いられる酸化剤
は、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素などのハロゲン、五フッ
化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ケイ素、五塩化
リン、五フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデ
ンなどの金属ハロゲン化物、硫酸、硝酸、フルオロ硫
酸、トリフルオロメタン硫酸、クロロ硫酸などのプロト
ン酸、三酸化イオウ、二酸化窒素などの含酸素化合物、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ムなどの過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、ジフルオロス
ルホニルパーオキサイドなどの過酸化物などの酸化剤を
用いる。本発明の化学酸化重合により形成される導電性
高分子膜は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニ
リン、ポリフランまたはそれらの誘導体を用い、特に好
ましくはポリピロールを用いる。
電解重合によりチオフェン誘導体を形成するさいに用い
る支持電解質は、陰イオンがヘキサフロロリン、ヘキサ
フロロヒ素、テトラフロロホウ素などのハロゲン化物ア
ニオン、ヨウ素、臭素、塩素などのハロゲンアニオン、
過塩素酸アニオン、アルキルベンゼンスルホン酸、ニト
ロベンゼンスルホン酸、アミノベンゼンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸等のスル
ホン酸アニオンである。また陽イオンがリチウム、ナト
リウム、カリウムなどのアルカリ金属カチオン、アンモ
ニウム、テトラアルキルアンモニウムなどの四級アンモ
ニウムカチオンである。化合物としては、LiPF6、LiAs
F6、LiClO4、NaI、NaPF6、NaClO4、KI、KPF6、KAsF6、KCl
O4、LiBF4、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエン
スルホン酸テトラブチルアンモニウムなどを挙げること
ができる。
本発明における電解重合時の温度は電解重合液の凝固点
以上でかつできる限り低いことが望ましい。
(作用) 電解酸化重合により得られる導電性高分子として従来用
いられてきたポリピロールについては、電解重合時のピ
ロール単量体の酸化電位がチオフェン(+0.8VvsSCE)
と比べはるかに低いものの、ピロール環の3位における
重合も一部起きるために結果的に高分子鎖内での共役系
の発達を阻害する。その結果導電率は延伸などの特別な
処理を施さない限り、たかだか一般に100S/cm程度であ
る。またポリチオフェンの場合には、チオフェン単量体
の酸化電位がピロールの単量体の酸化電位と比べはるか
に高い(1.6VvsSCE)ためにピロール単量体の重合の場
合よりもチオフェン環の3位での重合が起こりやすく、
結果として得られるポリチオフェンの導電率は一般的に
数十S/cmであった。さらにポリアニリンの場合には成膜
性が悪く、また電解重合によって得られるものの導電率
は一般に数十S/cmであった。
本発明で固体電解質の原料として用いるチオフェン誘導
体、例えば3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェ
ンまたは3−プロピルチオフェンは、電解重合における
単量体の酸化電位が前記無置換チオフェン単量体の酸化
電位よりも僅かに低いかほぼ同等であるが、3位にアル
キル基が置換しているために、規則正しく2位で重合の
起きる確率が高いので電解重合によって得られる導電性
高分子の導電率はポリチオフェンの10倍近い。さらに本
発明で用いるα−ビチオフェンまたはα−ターチエニル
は単量体酸化電位が低く(α−ビチオフェン−1.3VvsSC
E、α−ターチエニル1.1VvsSCE)、また単量体の一部が
既に2位で結合した構造をもつために、得られた高分子
の導電率が高い。これらのごとき高導電率の導電性高分
子を固体電解質として用いることによりESRの低い固体
電解コンデンサが得られるものである。
同様な理由により上記例示したチオフェン誘導体の他に
3,4位に置換基を持つチオフェン誘導体、たとえば3,4−
ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェンなども
好適に使用できる。
(実施例) 以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 電解酸化により化成処理を施して表面に酸化アルミニウ
ム誘電体皮膜を形成させた厚さ60μmのアルミニウム陽
極箔を、過硫酸アルミニウム0.04mol/lの水溶液に減圧
下で10分間浸漬したのち、乾燥した。これをピロール単
量体2mol/lを含むアセトニトリル溶液に減圧下で10分間
浸漬して、酸化アルミニウム誘電体上にポリピロール薄
膜を化学酸化重合法により形成させた。
ついで上記処理を行なったアルミニウム陽極箔を3−メ
チルチオフェン単量体0.2mol/l、シュウ酸0.02mol/lお
よび支持電解質としてテトラエチルアンモニウムテトラ
フルオロボレート0.05mol/lを含む水溶液中に浸漬し
た。このアルミニウム陽極箔を陽極とし、ステンレス板
を陰極として電流密度0.5mA/cm2の条件下で150分間定電
流電解を行なった結果、均一な黒色のポリ(3−メチル
チオフェン)の薄膜が表面に生成した。ついでこの表面
に銀ペーストを用いて対極リードを取り出し、エポキシ
樹脂により外装しコンデンサを完成させた。得られたコ
ンデンサの特性を第1表に示す。なお第1表中、静電容
量およびtanδは120Hzにおける値、ESRは100kHzにおけ
る値である。
実施例2 化成処理を施して表面に酸化タンタル誘電体皮膜を形成
させたタンタル焼結体を過硫酸アンモニウム0.04mol/l
の水溶液に減圧下で5分間浸漬したのち、乾燥した。こ
れをピロール単量体0.2mol/lおよびアジピン酸0.02mol/
lを含む水溶液に減圧下で10分間浸漬して、酸化タンタ
ル誘電体上にポリピロール薄膜を化学酸化重合法により
形成させた。ついで上記処理を行なったタンタル焼結体
を3−メチルチオフェン単量体0.2mol/l、支持電解質と
してテトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフ
ェート0.05mol/lを含む水溶液中に浸漬した。該タンタ
ル焼結体を陽極とし、ステンレス板を陰極として、電流
密度0.5mA/cm2の条件下で30分間、定電流電解を行なっ
た結果、均一な黒色のポリ(3−メチルチオフェン)の
薄膜が表面に生成した。ついでこの表面に銀ペーストを
用いて対極リードを取り出し、エポキシ樹脂により外装
しコンデンサを完成させた。得られたコンデンサの特性
を第1表に示す。
実施例3 電解重合の単量体を3−エチルチオフェンに代えた他は
実施例2と全く同様にしてコンデンサを得た。このコン
デンサの特性を第1表に示す。
実施例4 電解重合の単量体を3−プロピルチオフェンに代えた他
は実施例2と全く同様にしてコンデンサを得た。このコ
ンデンサの特性を第1表に示す。
実施例5 電解重合の単量体をα−ビチオフェンに代えた他は実施
例2と全く同様にしてコンデンサを得た。このコンデン
サの特性を第1表に示す。
実施例6 電解重合の単量体をα−ターチエニルに代えた他は実施
例2と全く同様にしてコンデンサを得た。このコンデン
サの特性を第1表に示す。
比較例1 電解重合の単量体をピロールに代えた他は実施例1と全
く同様にしてコンデンサを得た。このコンデンサの特性
を第1表に示す。
比較例2 電解重合の単量体をピロールに代えた他は実施例2と全
く同様にしてコンデンサを得た。このコンデンサの特性
を第1表に示す。
比較例3 電解重合の単量体をチオフェンに代えた他は実施例2と
全く同様にしてコンデンサを得た。このコンデンサの特
性を第1表に示す。
(発明の効果) 本発明により電気的特性に優れ、特にESRの低い固体電
解コンデンサを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の固体電解コンデンサの構成を示す概略
断面図である。 1……皮膜形成性金属、2……誘電体酸化皮膜、3……
化学酸化重合により形成した導電性高分子膜、4……電
解重合により得られたポリチオフェン誘導体導電性高分
子膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膜形成性金属に、誘電体酸化皮膜と、酸
    化剤を用いて化学酸化重合した導電性高分子膜と、チオ
    フェン誘導体の電解重合により得られる導電性高分子膜
    とを順次形成せしめたこと特徴とする固体電解コンデン
    サ。
  2. 【請求項2】皮膜形成性金属がアルミニウムまたはタン
    タルである請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】チオフェン誘導体が3−メチルチオフェ
    ン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、
    α−ビチオフェンまたはα−ターチエニルである請求項
    1記載の固体電解コンデンサ。
  4. 【請求項4】酸化剤を用いて化学酸化重合した導電性高
    分子膜がポリピロール、ポリチオフェンまたはポリアニ
    リンである請求項1記載の固体電解コンデンサ。
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