JP2012142373A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】静電容量、等価直列抵抗等の電気特性に優れ、かつ、高耐電圧特性を有する固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーの重合体を固体電解質として含むことを特徴とする固体電解コンデンサとその製造方法。該固体電解コンデンサは、静電容量、等価直列抵抗等の電気特性に優れ、かつ、高耐電圧特性を有しているため、高周波領域で使用するデジタル電子機器等に好適に利用することができる。
【化1】
Figure 2012142373

【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質層を有する固体電解コンデンサに関し、重合性モノマーの重合体からなる導電性高分子層を固体電解質層として具備し、電気特性に優れた固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
固体電解コンデンサに用いられる固体電解質形成用材料としては、二酸化マンガン等に代表される無機導電性材料や、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体等の有機導電性材料が知られている。
さらに、それらの固体電解質形成用材料より電気電導性に優れる重合体からなる導電性高分子材料を固体電解質として用いた固体電解コンデンサが広く実用化されている。
この導電性高分子材料においては、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、「EDOT」と略記する。)を重合性モノマーとして重合した重合体が広く知られている(特許文献1)。
このEDOTは、重合の反応速度が穏やかであり、陽極の誘電体酸化皮膜との密着性に優れた重合体を形成できるため、固体電解コンデンサの固体電解質層形成材料として有用である。
しかし、近年の電子機器は、より省電力化、高周波数化への対応を求められており、それらの電子機器に用いられる固体電解コンデンサにおいても、小型大容量化や低等価直列抵抗(以下、「ESR」と略記する。)化等、電気特性のさらなる向上が求められている。
固体電解コンデンサの電気特性は、用いる固体電解質形成材料種や形成方法に大きく依存するが、従来公知である3,4−エチレンジオキシチオフェンを凌駕する優れた重合性モノマーの開発や、新しい固体電解質層の形成方法に期待が持たれている。
このような背景の中、特許文献2には、3−アルキル−4−アルコキシチオフェンの重合体を固体電解質とする固体電解コンデンサが開示されており、該重合体を用いることによって、高周波領域でも優れた電気特性を有する固体電解コンデンサが得られることが開示されている。
また、特許文献3には、アルコキシ基で置換された部位を有するアルキレンジオキシチオフェン誘導体重合体を固体電解質とする固体電解コンデンサが開示されている。
該重合体を採用することにより、重合体中に残留する重合用酸化剤の結晶化を抑制でき、得られる固体電解コンデンサの漏れ電流を低減できることが開示されている。
しかし、上記文献に開示されている重合体をもってしてもなお十分な電気特性を得ることが困難であり、さらなる固体電解コンデンサの電気特性の向上が要望されている。
特開平02−15611号公報 特開2001−332453号公報 特開2004−096098号公報
本発明の目的は、静電容量、等価直列抵抗等の電気特性に優れ、かつ、高耐電圧特性を有する固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーの重合体を固体電解質として含む固体電解コンデンサが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下に示すものである。
第一の発明は、JIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーの重合体が、固体電解質層として弁作用金属上に形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサである。
Figure 2012142373
(式(1)において、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。)
第二の発明は、一般式(1)で表される化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン、2−メチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−エチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシンから選ばれる1種であることを特徴とする第一の発明に記載の固体電解コンデンサである。
第三の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に重合体からなる固体電解質層を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
誘電体皮膜層が形成された弁作用金属に、JIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーを用いて、酸化重合させた重合体を形成する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
Figure 2012142373
(式(1)において、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。)
第四の発明は、一般式(1)で表される化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン、2−メチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−エチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシンから選ばれる1種であることを特徴とする第三の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
第五の発明は、誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に重合体からなる固体電解質層を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
重合性モノマー、ドーパント及び酸化剤を、液相にて接触させることにより重合を行ない、得られた重合体を誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に形成する工程を有することを特徴とする第三又は第四の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
第六の発明は、ドーパント及び酸化剤が、ドーパント兼酸化剤を含有する溶液であることを特徴とする第五の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
第七の発明は、ドーパント兼酸化剤を含有する溶液が、有機スルホン酸第二鉄塩を20〜90質量%の範囲で有機溶媒中に溶解された溶液であることを特徴とする第六の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
第八の発明は、重合性モノマーとドーパント兼酸化剤の質量比が、40:1〜1:40であることを特徴とする第六又は第七の発明に記載の固体電解コンデンサの製造方法である。
本発明によれば、静電容量、等価直列抵抗等の電気特性に優れ、かつ、高耐電圧特性を有する固体電解コンデンサを得ることが出来る。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明は、重合性モノマーの重合体が、固体電解質層として弁作用金属上に形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサである。
<重合性モノマー>
まず、重合性モノマーについて説明する。
本発明に用いる重合性モノマーは、JIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2012142373
前記一般式(1)において、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。
炭素数が1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、さらに好ましくは重合性の面から、メチル基、エチル基、n−プロピル基である。
Zは、酸素原子又は硫黄原子を示し、特に酸素原子が好ましく挙げられる。
前記一般式(1)により表される化合物として、具体的には、下記化合物(A)〜(H)等が挙げられ、これらの中でも2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT:化合物B)、2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT:化合物C)、2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT:化合物D)等が好ましく挙げられる。
Figure 2012142373
一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーは、JIS K0071−2で規定された方法により測定して得られたガードナー色数が、21未満が好ましく挙げられる。
ガードナー色数の測定方法は、JIS K0071−2にしたがって測定する。すなわち、まずガードナー色数標準液を調整し、一般式(1)で表される化合物を加熱溶融して比色計により測定し、標準液と色度を比較することによりガードナー色数を決定することができる。なお、ガードナー色数が小さいほど色は薄く、大きいほど色が濃い。
本発明に用いる重合性モノマーは、色数を小さく、つまり無色透明にすることで、重合速度を遅くすることができ、重合性に富むため、多孔質で複雑な形状を有している弁作用金属の孔奥深くまで浸透して重合することが可能となる。
ガードナー色数が21以上では、重合が非常に速く、制御が困難である。着色が顕著に抑制された一般式(1)で表される化合物を重合した重合体を用いた固体電解コンデンサは、静電容量、等価直列抵抗等の電気特性、かつ耐電圧特性に優れている。
<重合性モノマーの製造方法>
重合性モノマーの製造方法について説明する。
本発明に用いる重合性モノマーは、下記一般式(2)で表されるハロゲン化チオフェンを原料として製造することができる。
Figure 2012142373
一般式(2)中、Xはそれぞれ独立し、互いに同じであっても異なってもよく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれかを表す。
具体的には、例えば、3,4−ジフルオロチオフェン、3,4−ジクロロチオフェン、3,4−ジブロモチオフェン、3,4−ジヨードチオフェン、3−クロロ−4−フルオロチオフェン、3−ブロモ−4−フルオロチオフェン、3−ヨード−4−フルオロチオフェン、3−ブロモ−4−クロロチオフェン等が挙げられ、これらの中でも、取扱の面で、3,4−ジフルオロチオフェン、3,4−ジクロロチオフェン、3,4−ジブロモチオフェン、3,4−ジヨードチオフェンがより好ましく挙げられ、3,4−ジブロモチオフェンが特に好ましく挙げられる。
合成方法は、まず、前記一般式(2)により表されるハロゲン化チオフェンとアルカリ金属アルコキシドとを、アルコール溶媒中で反応させる工程により、下記一般式(3)により表されるジアルコキシチオフェンを得る。
Figure 2012142373
一般式(3)中、R、Rはそれぞれ独立し、互いに同じであっても異なってもよく、鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましく挙げられる。
ジアルコキシチオフェンとしては、具体的に、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、リチウムメトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシド等が挙げられる。
アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、メタノールが特に好ましく挙げられる。
一般式(2)で表されるハロゲン化チオフェンとアルカリ金属アルコキシドとをアルコール溶媒中での反応時にアルコール溶媒を反応系外へ留去させてもよい。
一般式(2)で表されるハロゲン化チオフェンとアルカリ金属アルコキシドとの反応は、前記一般式(2)により表されるハロゲン化チオフェンとアルカリ金属アルコキシドとを混合することにより実施することができるが、具体的には、反応容器に前記アルコール溶媒とアルカリ金属アルコキシドとを予め入れておき、前記一般式(2)により表されるハロゲン化チオフェンを連続的又は断続的に加える操作、反応容器に前記アルコール溶媒を入れておき、前記アルカリ金属アルコキシドと前記一般式(2)により表されるハロゲン化チオフェンを連続的又は断続的に反応容器に加える操作等により実施することができる。
また、前記一般式(2)により表されるハロゲン化チオフェンと前記アルカリ金属アルコキシドとの反応温度は、40〜200℃の範囲が好ましく、60〜150℃の範囲であればより好ましい。
反応時間は1〜20時間の範囲が好ましく、2〜8時間の範囲がより好ましく挙げられる。
前記アルカリ金属アルコキシドのアルコール溶媒に対する濃度は、反応前のアルカリ金属アルコキシドの全量を基準として、15〜55質量%の範囲であることが好ましく、20〜50質量%の範囲であればより好ましく挙げられる。
また、反応には触媒を使用してもよい。触媒としては、例えば、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等のハロゲン化銅を挙げることができる。
反応後、水洗等をしてろ過した後、粗生成物を有機溶媒により抽出し、得られた有機溶液層を水洗し、乾燥させる。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶液等が挙げられる。
乾燥後、有機溶媒を除去することにより、一般式(3)で表されるジアルコキシチオフェンを得ることができる。
前記一般式(3)により表されるジアルコキシチオフェンと下記一般式(4)で表される化合物とを反応させ、一般式(1)で表される化合物の粗生成物の溶液を得る工程について説明する。
Figure 2012142373
一般式(4)中、Zはそれぞれ独立して酸素原子又は硫黄原子であり、Rが水素、鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基である。
鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物としては、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール等が挙げられる。
一般式(3)で表されるジアルコキシチオフェンと一般式(4)で表される化合物とを反応させる工程は、反応容器に予め入れておいた溶媒中で、一般式(3)で表されるジアルコキシチオフェンと一般式(4)で表される化合物とを混合することによって実施することができる。溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒を挙げることができる。
さらに反応させる際に酸触媒を使用することが好ましい。酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホニルイミド酸等のハロゲン化アルキル置換有機スルホン酸、カンファースルホン酸等の環状スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸等のアルキル置換ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキル置換ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ビフェニルスルホン酸、アルキルビフェニルスルホン酸等が挙げられる。
また、一般式(3)により表されるジアルコキシチオフェンと一般式(4)で表される化合物との反応温度は、40〜200℃の範囲が好ましく、80〜150℃の範囲であればより好ましい。
反応時間は1〜20時間の範囲が好ましく、2〜8時間の範囲がより好ましく挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の粗生成物の溶液を、減圧下(1〜300Torr)において、温度80〜250℃の範囲で単蒸留し、蒸留した溶液を濃縮する工程について説明する。
単蒸留する際の、粗生成物が含有する容液の温度を調節することで、ガードナー色数の調整をすることができる。
単蒸留する際の温度は、減圧下(1〜300Torr)が好ましく、減圧下(1〜200Torr)がより好ましく、減圧下(1〜100Torr)が特に好ましく挙げられる。
単蒸留する際の温度は、温度80〜250℃が好ましく、100〜200℃がより好ましく挙げられる。80℃未満では、蒸留速度が非常に遅く歩留まりが悪いという欠点があり、250℃超では、着色してしまい、ガードナー色数が21以上となる欠点がある。
減圧下(1〜300Torr)、温度80〜250℃の範囲で単蒸留することで、ガードナー色数21未満の一般式(1)で表される化合物を製造することができる。
<固体電解コンデンサ及びその製造方法>
次にJIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーを用いて製造した固体電解コンデンサについて説明する。
一般式(1)で表される化合物を用いて酸化重合させた重合体は、以下に示す重合方法で得ることが出来る。例えば、上記重合性モノマーを、酸化剤を用いて化学酸化重合することによっても重合体を得ることができ、また、電気化学的な酸化重合によっても重合体を得ることができる。
化学酸化重合における前記酸化剤としては、ヨウ素、臭素、ヨウ化臭素、二酸化塩素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、亜塩素酸等のハロゲン化物、5フッ化アンチモン、5塩化リン、5フッ化リン、塩化アルミニウム、塩化モリブデン等の金属ハロゲン化物、あるいは過マンガン酸塩、重クロム酸塩、無水クロム酸、第二鉄塩、第二銅塩などの高原子価状態遷移金属イオン又はその塩、硫酸、硝酸、トリフルオロメタン硫酸等のプロトン酸、三酸化硫黄、二酸化窒素等の酸素化合物、過酸化水素、過硫酸アンモニム、過ホウ酸ナトリウム等のペルオキソ酸及び塩、モリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸及び塩が挙げられる。
また、電気化学的な酸化重合としては、一般式(1)で表される化合物と、ドーパントを放出可能な支持電解質とを、溶媒に溶解した電解液中にて、電解酸化することによって重合体を得ることが出来る。
上記ドーパントとしては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン、ヘキサフルオロヒ素、ヘキサフルオロアンチモン、テトラフルオロホウ素、過塩素酸等のハロゲン化物イオン、又はメタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等のアルキル置換有機スルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン等の環状スルホン酸イオン、又はベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のベンゼンモノもしくはジスルホン酸イオン、2−ナフタレンスルホン酸、1,7−ナフタレンジスルホン酸等のスルホン酸基を1〜4個置換したナフタレンスルホン酸のアルキル置換もしくは無置換イオン、アントラセンスルホン酸イオン、アントラキノンスルホン酸イオン、アルキルビフェニルスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸等のアルキル置換もしくは無置換のビフェニルスルホン酸イオン、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合体等の高分子スルホン酸イオン等、モリブドリン酸、タングストリン酸、タングストモリブドリン酸等のヘテロポリ酸イオンが挙げられ、これらの各種塩を支持電解質として用いることができる。
上記溶媒としては、水、テトラヒドロフラン(THF)やジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、あるいはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド(DMF)やアセトニトリル、ベンゾニトリル、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の非プロトン性溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、クロロホルムや塩化メチレン等の非芳香性の塩素化合物系溶媒、ニトロメタンやニトロエタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物系溶媒、あるいはメタノールやエタノール、プロパノール等のアルコール類、又は蟻酸や酢酸、プロピオン酸等の有機酸又は該有機酸の酸無水物(無水酢酸等)を挙げることができる。
上記溶媒は、単独で使用できるのは勿論のこと、上記した溶媒の複数種を混合した混合溶媒として使用することもできる。
電気化学的な重合方法としては、上記電解液中で、電解酸化することで、陽極上に重合体を形成することができる。
また、固体電解コンデンサの製造方法は、誘電体酸化皮膜を形成させた弁作用金属上に、上記一般式(1)で表される化合物の重合体を、形成する工程を有することを特徴とする。
弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、チタン、ニオブ又はこれらの合金を用いることができ、より好ましくは、アルミニウム、タンタル、ニオブが挙げられる。
これら弁作用金属の形態は、金属箔、あるいはこれらを主成分とする粉末の焼結体等のものが好適に使用できる。
化学酸化重合により重合体を形成する好ましい工程としては、上記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーと、ドーパント及び酸化剤を、液相にて接触させることにより弁作用金属上に重合体を形成する方法である。
重合性モノマーと、ドーパント及び酸化剤とを、液相にて接触させる方法としては、
1.一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーと、ドーパント及び酸化剤を含む溶液とを混合した溶液を調整し、該液を弁作用金属に塗布あるいは浸漬によって接触させ、重合体を得る方法。
2.前記重合性モノマー液を準備し、別途ドーパント及び酸化剤を含有する溶液を準備して、上記モノマー液を含浸保持させた弁作用金属を、前記酸化剤溶液中に塗布あるいは浸漬し、接触させ重合体を得る方法。
3.ドーパント及び酸化剤を含有する溶液を、塗布あるいは含浸して保持させた弁作用金属に、前記重合性モノマー液を塗布あるいは浸漬し、接触させ重合体を得る方法。
が挙げられる。
弁作用金属上に重合体を形成する方法としては、弁作用金属上に保持された重合性モノマー、ドーパント及び酸化剤を含む液を所定温度にて所定時間保持することにより形成することができる。
ここで、所定温度とは、0〜200℃の範囲で任意に選択することができ、所定時間とは1分から24時間の範囲で任意に選択することができる。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法のより好ましい形態として、ドーパント兼酸化剤である化合物の溶液を使用することができる。
ドーパント兼酸化剤である化合物とは、重合体のドーパントとなるアニオン成分を含む酸化剤化合物であり、そのような化合物を用いることにより、化学重合の際に、アニオン成分が重合体に取り込まれてドーパントとして機能し、導電性を向上させた重合体を形成することができる。
好ましいアニオン成分としては、有機スルホン酸イオン、カルボン酸イオン等の有機酸イオン、ホウ素化合物イオン、リン酸化合物イオン、過塩素酸イオン等の無機酸イオンなどが挙げられる。
そのようなアニオン成分を含む酸化剤として特に好適なものとしては、塩化第二鉄や過塩素酸第二鉄等の無機酸の鉄(III)塩、ベンゼンスルホン酸第二鉄やp−トルエンスルホン酸第二鉄塩、アルキルナフタレンスルホン酸第二鉄塩等の有機酸の鉄(III)塩を挙げることができ、最も好適なものとして、有機スルホン酸第二鉄塩を挙げることができる。
ドーパント兼酸化剤の溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒が好適である。
これらの中で特に好適なものは、上記有機スルホン酸鉄(III)が上記アルコール系溶媒に、20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%溶解されたものである。
この様な濃度に溶解されたドーパント兼酸化剤を用いることで、電気特性に優れた重合体を、複雑な形状を有する弁作用金属上に、緻密に形成することが可能となる。
重合性モノマーとドーパント兼酸化剤の質量比は40:1〜1:40、より好ましくは30:1〜1:30、さらに好ましくは20:1〜1:20の範囲とする。重合性モノマーの量がこの範囲よりも少なくければ、ポリマーの生成量は低減し、静電容量が低下し、ESRは増大する問題があり、重合性モノマーの量がこの範囲よりも多ければ静電容量が低下し、ESRは増大する問題がある。
以下、本発明の固体電解コンデンサの製造方法について、アルミニウム巻回型コンデンサを作製する方法を具体例に挙げ説明する。
まず、陽極となるアルミニウム箔表面を、エッチングして粗面化させた後、陽極リードを接続し、ついでアジピン酸二アンモニウム等の水溶液中で化成処理して、誘電体酸化皮膜を形成させる。本発明を実施する上で、エッチング倍率の大きな箔を用いることにより、静電容量の大きなコンデンサを得ることができるため、好ましく挙げられる。
別途、陰極リードを接続した対向陰極アルミニウム箔と、上記陽極アルミニウム箔との間に、マニラ紙等のセパレータを挟み込み、円筒状に巻き取り、ついで熱処理によりセパレータを炭化させて、巻回型のコンデンサ素子を準備する。
次に、上記コンデンサ素子の陽極箔上に、重合体からなる固体電解質層を形成させる。該固体電解質層を形成させる方法としては、コンデンサ素子に一般式(1)で表される化合物を含む重合性モノマーの溶液を浸漬、塗布、吹き付けなどの方法により含浸させ、ついで、含浸させた重合性モノマーに、酸化剤を接触させることによって重合反応させて固体電解質層を形成する。なお、先に酸化剤を含浸させ、その後、重合性モノマーを接触させて重合する方法や、重合性モノマーと酸化剤と混合した溶液を一度に含浸させて重合する方法も適用でき、特に限定されない。また、化学酸化重合は、0〜250℃の温度下、好ましくは液相中で行われる。0℃未満では、重合反応が生じにくくなり、250℃を越える温度では、コンデンサ特性が悪化する場合がある。
上記含浸、加熱工程は複数回繰り返してもよい。
上記工程により、陽極アルミニウム箔の微細なエッチング孔内に、重合体を十分に充填させた固体電解質層を形成することができる。
ついで、エポキシ樹脂等を用いて、コンデンサケースを封口し、電圧を印加してエージングを行い、本発明の固体電解コンデンサを完成させる。
本発明の固体電解コンデンサは、一般式(1)で表される化合物の重合体を含む固体電解質層を具備しており静電容量、ESR、耐電圧特性に優れた電気特性を有している。
以下、本発明を実験例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実験例により何ら限定されるものではない。なお、実験例中、「%」は、「質量%」を表し、静電容量(C)及び誘電損失(tanδ)は周波数120Hzで、等価直列抵抗(ESR)は周波数100kHzで測定した。また、容量含浸率は、固体電解質層形成前のコンデンサ素子を15%アジピン酸アンモニウム水溶液中で測定した静電容量に対し、得られた固体電解コンデンサの静電容量を百分率で示したものである。
さらに、得られた固体電解コンデンサ素子の耐電圧は、以下のような方法にて測定した。すなわち、0Vより印加電圧を0.5V刻みで段階的に昇圧していき、各電圧で1分間保持した後の漏れ電流を測定し、コンデンサの漏れ電流が100mA以下となる最大電圧を耐電圧として評価した。
(実験例1)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を用いた固体電解コンデンサの製造方法
<3,4−ジブロモチオフェンから3,4−ジメトキシチオフェンの製造>
100ml四つ口フラスコにナトリウムメトキシド21g、メタノール72gを入れ、アルゴン雰囲気下で70℃にて溶解させた。
臭化第一銅0.83gを入れた後、3,4−ジブロモチオフェン15gを滴下する。滴下後、メタノール50gを留去し、97℃にて加熱還流を行い反応させた。
反応混合物に水を加えてろ過した後、トルエンにて粗生成物を抽出し、トルエン層を水洗後、トルエン層を硫酸マグネシウムにより乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除去した後、トルエン層を減圧留去して、3,4−ジメトキシチオフェン7.28gを得た。
<3,4−ジメトキシチオフェンから2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)の製造>
100ml四つ口フラスコに3,4−ジメトキシチオフェン2.01g、ブタン−1,2−ジオール1.34g、p−トルエンスルホン酸1水和物0.2g及びトルエン11.83gを入れ、14時間加熱還流させて反応した。反応混合物を水で希釈してから不溶物をろ過により除き、トルエンにて粗生成物を抽出し、トルエン層を水洗後、炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄してから硫酸マグネシウムにより乾燥した。
得られた粗生成物を減圧下(10Torr)において、110℃にて3時間単蒸留を行った。JIS K0071−2で規定された方法測定し、ガードナー色数1である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を得た。
<固体電解コンデンサの製造>
アルミニウム箔の表面をエッチングして粗面化させた後、カシメ付けにより、陽極リードを接続させ、ついで、10%アジピン酸二アンモニウム水溶液中、電圧4Vで化成処理して、表面に誘電体酸化皮膜を形成させた。
ついで、上記陽極箔と、陰極リードとを抵抗溶接により接続させた対向陰極アルミニウム箔との間に、厚さ50μmのマニラ紙をセパレータとして挟み込み、円筒状に巻き取り、次いで、温度400℃で4分間、熱処理して、マニラ紙を炭化させて、コンデンサ素子を準備した。得られたコンデンサ素子の15%アジピン酸二アンモニウム水溶液中での静電容量は200μFであった。
次に、ガードナー色数1である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)と、酸化剤である50%p−トルエンスルホン酸第二鉄/n−ブタノール溶液とを準備し、両者の質量比率を1:5に調合した溶液に当該コンデンサ素子を100秒間浸漬後、45℃で1時間、200℃で20時間加熱して、化学酸化重合を行い、コンデンサ素子中にポリ−2−エチル−EDOTを形成させた。
ついで、エポキシ樹脂を用いて、該コンデンサケースを封口し、両極に電圧4Vを印加させてエージングを行い、固体電解コンデンサを完成させた。
(実験例2)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)(ガードナー色数3)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載の単蒸留の温度を120℃に代えた以外は、実験例1と同様の方法で、ガードナー色数3である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を得て、固体電解コンデンサを作製した。
(実験例3)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)(ガードナー色数10)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載の単蒸留の温度を140℃に代えた以外は、実験例1と同様の方法で、ガードナー色数10である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を得て、固体電解コンデンサを作製した。
(実験例4)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)(ガードナー色数20)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載の単蒸留の温度を170℃に代えた以外は、実験例1と同様の方法で、ガードナー色数20である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を得て、固体電解コンデンサを作製した。
(実験例5)
3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(ガードナー色数3)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載のブタン−1,2−ジオールの代わりにエチレングリコールを用いた以外は、実験例1と同様な方法で処理を行い、固体電解コンデンサを作製した。
(実験例6)
2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)(ガードナー色数3)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載のブタン−1,2−ジオールの代わりにプロパン−1,2−ジオールを用いた以外は、実験例1と同様な方法で処理を行い、固体電解コンデンサを作製した。
(実験例7)
2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)(ガードナー色数3)を用いた固体電解コンデンサの作製方法
実験例1に記載のブタン−1,2−ジオールの代わりにペンタン−1,2−ジオールを用いた以外は、実験例1と同様な方法で処理を行い、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)(ガードナー色数21)の製造
実験例1の単蒸留の蒸留温度を260℃にした以外は、実験例1と同様にして、ガードナー色数21である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)(ガードナー色数21)の製造
実験例6の単蒸留の蒸留温度を255℃にした以外は、実験例6と同様にして、ガードナー色数21である2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)(ガードナー色数21)の製造
実験例7の単蒸留の蒸留温度を270℃にした以外は、実験例7と同様にして、ガードナー色数21である2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例4)
2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−エチル−EDOT)(ガードナー色数30)の製造
実験例1の単蒸留の蒸留温度を290℃にした以外は、実験例1と同様にして、ガードナー色数30である2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例5)
2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)(ガードナー色数30)の製造
実験例6の単蒸留の蒸留温度を280℃にした以外は、実験例6と同様にして、ガードナー色数30である2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−メチル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
(比較例6)
2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)(ガードナー色数30)の製造
実験例7の単蒸留の蒸留温度を285℃にした以外は、実験例7と同様にして、ガードナー色数30である2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン(2−プロピル−EDOT)を製造し、固体電解コンデンサを作製した。
それぞれ実験例1〜7と比較例1〜6にて得られた固体電解コンデンサの初期電気特性、容量含浸率を表1に示す。
(重合速度の評価)
6mlバイアルに酸化剤である40%p−トルエンスルホン酸第二鉄/n−ブタノール溶液0.3g取り、20℃で30分保温した。
次に実験例1〜7及び比較例1〜6に使用した化合物を0.1g取り、バイアルに添加して計測を開始した。
添加してから5秒経過後、10秒間バイアル中の内容物をスパチュラにて激しく攪拌した。
攪拌を終了してからバイアル中に固形が析出し始めるまでの時間を計測した。この結果を表1にまとめた。
Figure 2012142373
表中の略語を以下の通りである。
色数:ガードナー色数
表1に示すように、実験例1〜7は、比較例1〜6より電気特性に優れていることがわかった。同じ重合性モノマーを用いた場合、ガードナー色数を比較すると、ガードナー色数が小さいほど重合速度が遅くなり、固体電解コンデンサの電気特性に優れる結果となった。これは、重合速度が速過ぎると素子内にうまく含浸されず、固体電解コンデンサの特性が悪くなると考えられる。
以上より、重合性モノマーのガードナー色数は、固体電解コンデンサの電気特性に大きく影響することがわかった。
本発明の固体電解コンデンサは、小型大容量、低ESRかつ高耐電圧の固体電解コンデンサを提供することができる。そのような固体電解コンデンサは、高周波領域で使用するデジタル電子機器等に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. JIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーの重合体が、固体電解質層として弁作用金属上に形成されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
    Figure 2012142373
    (式(1)において、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。)
  2. 一般式(1)で表される化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン、2−メチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−エチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシンから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に重合体からなる固体電解質層を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
    誘電体皮膜層が形成された弁作用金属に、JIS K0071−2で規定された方法で測定して得られたガードナー色数が21未満である下記一般式(1)で表される化合物からなる重合性モノマーを用いて、酸化重合させた重合体を形成する工程を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
    Figure 2012142373
    (式(1)において、Rは水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。Zはそれぞれ同一でも異なっていても良い酸素原子又は硫黄原子を示す。)
  4. 一般式(1)で表される化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェン、2−メチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−エチル−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、2−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシンから選ばれる1種であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属上に重合体からなる固体電解質層を具備した固体電解コンデンサの製造方法において、
    重合性モノマー、ドーパント及び酸化剤を、液相にて接触させることにより重合を行ない、得られた重合体を誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属に形成する工程を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. ドーパント及び酸化剤が、ドーパント兼酸化剤を含有する溶液であることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. ドーパント兼酸化剤を含有する溶液が、有機スルホン酸第二鉄塩を20〜90質量%の範囲で有機溶媒中に溶解された溶液であることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 重合性モノマーとドーパント兼酸化剤の質量比が、40:1〜1:40であることを特徴とする請求項6又は7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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