JP2005255636A - π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶剤への溶解性が向上したπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を提供することを課題とする。
【解決手段】式(I):
【化1】
Figure 2005255636

(式中、R1は複数のπ電子共役系を構成するユニットが2個以上結合してなる有機基であり、R2は疎水基であり、X1〜X3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基もしくは、水素原子である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法に関する。更に詳しくは、電気材料として有用な、導電性又は半導電性の新規物質であるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法に関する。
近年、無機材料を用いた半導体に対し、製造が簡単で加工しやすく、デバイスの大型化にも対応でき、かつ量産によるコスト低下が見込め、無機材料よりも多様な機能を有した有機化合物を合成できることから、有機化合物を用いた半導体(有機半導体)の研究開発が行われ、その成果が報告されている。
なかでも、π電子共役系分子を含有する有機化合物を利用することにより、大きな移動度を有するTFTを作製できることが知られている。この有機化合物としては、代表例としてペンタセンが報告されている(例えば、IEEE Electron Device Lett.,18,606−608(1997):非特許文献1)。ここでは、ペンタセンを用いて有機半導体層を作製し、この有機半導体層でTFTを形成すると、電界効果移動度が1.5cm2/Vsとなり、アモルファスシリコンよりも大きな移動度を有するTFTを構築することが可能であるとの報告がなされている。
しかし、上記に示すようなアモルファスシリコンよりも高い電界効果移動度を得るための有機半導体層を作製する場合、抵抗加熱蒸着法や分子線蒸着法等の真空プロセスを必要とするため、製造工程が煩雑となるとともに、ある特定の条件下でしか結晶性を有する膜が得られない。また、基板上への有機化合物膜の吸着が物理吸着であるため、膜の基板への吸着強度が低く、容易に剥がれるという問題がある。更に、膜中での有機化合物の分子の配向をある程度制御するために、通常、あらかじめ膜を形成する基板にラビング処理等による配向制御が行われているが、物理吸着による成膜では、物理吸着した有機化合物と基板との界面での化合物の分子の整合性や配向性を制御できるとの報告は未だなされていない。
一方、このTFTの特性の代表的な指針となる電界効果移動度に大きな影響を及ぼす膜の規則性、結晶性については、近年、その製造が簡便なことから、有機化合物を用いた自己組織化膜が着目され、その膜を利用する研究がなされている。
自己組織化膜とは、有機化合物の一部を、基板表面の官能基と結合させたものであり、きわめて欠陥が少なく、高い秩序性すなわち結晶性を有した膜である。この自己組織化膜は、製造方法がきわめて簡便であるため、基板への成膜を容易に行うことができる。通常、自己組織化膜として、金基板上に形成されたチオール膜や、親水化処理により表面に水酸基を突出可能な基板(例えば、シリコン基板)上に形成されたケイ素系化合物膜が知られている。なかでも、耐久性が高い点で、ケイ素系化合物膜が注目されている。ケイ素系化合物膜は、従来から撥水コーティングとして使用されており、撥水効果の高いアルキル基や、フッ化アルキル基を有機官能基として有するシランカップリング剤を用いて成膜されていた。
しかし、自己組織化膜の導電性は、膜に含まれるケイ素系化合物中の有機官能基によって決定されるが、市販のシランカップリング剤には、有機官能基にπ電子共役系分子が含まれる化合物はなく、そのため自己組織化膜に導電性を付与することが困難である。従って、TFTのようなデバイスに適した、π電子共役系分子が有機官能基として含まれるケイ素系化合物が求められている。
このようなケイ素系化合物として、分子の末端に官能基としてチオフェン環を1つ有し、チオフェン環が直鎖炭化水素基を介してケイ素原子と結合した化合物が提案されている(例えば、特許第2889768号公報:特許文献1)。
また更に、有機分子を用いた自己組織化法として、例えば、化学吸着法によって帯電防止膜を形成する方法が提案されている(例えば、特開平5−202210号公報:特許文献2)。この方法は、シロキサン系単分子膜を介して導電性の化学吸着膜を表面に形成させ、導電性が10-10S/cm以下の基材の表面に10-5S/cm以上の導電性化学吸着膜を形成するものである。
IEEE Electron Device Lett.,18,606−608(1997) 特許第2889768号公報 特開平5−202210号公報
しかしながら、上記に提案されている化合物は、基板との化学吸着可能な自己組織化膜は作製可能であるが、TFT等の電子デバイスに使用できる高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する薄膜を必ずしも作製できなかった。
高い秩序性、すなわち、高い結晶性を得るためには、分子間に高い引力相互作用が働く必要がある。分子間力とは、引力項と反発項により構成されており、前者は分子間距離の6乗に、後者は分子間距離の12乗に反比例する。従って、引力項と反発項を足し合わせた分子間力は図1に示す関係を有する。ここで、図1での極小点(図中の矢印部分)が、引力項と反発項との兼ね合いから最も分子間に高い引力が作用するときの分子間距離である。すなわち、より高い結晶性を得るためには、分子間距離を極小点にできる限り近づけることが重要である。従って、本来、抵抗加熱蒸着法や分子線蒸着法等の真空プロセスにおいては、ある特定の条件下においてのみ、π電子共役系分子同士の分子間相互作用をうまく制御することで、高い秩序性、すなわち結晶性が得られている。このように分子間相互作用により構築される結晶性でのみ、高い電気伝導特性を発現することが可能となる。
一方、上記化合物は、Si−O−Siの2次元ネットワークを形成することで基板と化学吸着し、かつ、特定の長鎖アルキル同士の分子間相互作用による秩序性が得られる可能性はあるが、官能基である1つのチオフェン分子がπ電子共役系に寄与するのみであるため、分子間の相互作用が弱く、また電気伝導性に不可欠なπ電子共役系の広がりが非常に小さいという問題があった。仮に、上記官能基であるチオフェン分子の分子数を増やすことができたとしても、膜の秩序性を形成する因子が、長鎖アルキル部とチオフェン部との間で、分子間相互作用を整合一致させることは困難である。
更に、電気伝導特性としては、官能基である1つのチオフェン分子では、HOMO−LUMOエネルギーギャップが大きく、有機半導体層としてTFT等に使用しても、十分なキャリア移動度が得られないという課題が存在していた。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、溶液プロセスを用いた簡便な製造方法により容易に結晶化させて薄膜を形成できるとともに、得られた薄膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止して、かつ、高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する薄膜を作製するための化合物を提供することを目的とし、更に、TFTのような電子デバイスとして用いた場合に、十分なキャリア移動度を確保できる新規なπ電子共役分子を含む有機ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、TFTのような電子デバイスに適応可能な薄膜を作製するには、Si−O−Siの2次元ネットワークを形成して、基板と強固に化学結合が可能であると同時に、その薄膜の秩序性(結晶性)はSi−O−Siの2次元ネットワーク上に形成した分子(ここではπ電子共役分子)の相互作用すなわち分子間力によって制御が可能であることを見いだし、新規なπ電子共役分子を含む有機ケイ素化合物を発明するに至った。更に、本発明の発明者等は、構造中に疎水基を導入することにより、有機溶剤への溶解性を向上させるとともに、その化合物を用いた場合に自己組織化膜を均一に形成できることも見出している。
かくして本発明によれば、式(I):
Figure 2005255636
(式中、R1は複数のπ電子共役系を構成するユニットが2個以上結合してなる有機基であり、R2は疎水基であり、X1〜X3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基もしくは水素原子である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物が提供される。
更に、本発明によれば、式(II):
Figure 2005255636
(式中、R1、R2、X1〜X3は上記と同一であり、R3は疎水基である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物が提供される。
また、本発明によれば、式(III) R2−R1−Zあるいは
式(IV) R2−R1−R3−Z
(式中、R1〜R3は、上記と同義であり、ZはMgX(Xはハロゲン原子)又はLiである)
で表される化合物と、
Figure 2005255636
(式中、X1〜3は、上記と同義であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
で表される化合物とを、反応させることによって、
Figure 2005255636
(式中、R1〜R3及びX1〜3は、上記と同義である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を製造することを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法が提供される。
本発明の有機ケイ素化合物は、疎水基を有しているため、非水系溶媒に比較的高い溶解性をもつ。従って、例えば薄膜を形成する場合に、比較的簡便な手法である溶液プロセスを適用できる。
また、本発明の有機ケイ素化合物は、π電子共役系分子を有する有機ケイ素化合物間で形成されるSi−O−Siの2次元ネットワーク化により、基板に化学吸着すると共に、膜の結晶化に必要な近距離力である、π電子共役系分子同士に作用する分子間相互作用が、効率的に働くため、非常に高い安定性を有し、且つ、高度に結晶化された薄膜を構成できる。従って、基板に物理吸着により作製した膜と比較して、得られた膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止できる。
しかも、上記のような化合物を簡便に製造することが可能になる。
また、薄膜を構成する有機ケイ素化合物由来のネットワークと上部を構成する有機残基が直接結合しており、かつ有機ケイ素化合物由来のネットワークとπ電子共役系分子の分子間相互作用によって、高い秩序性(結晶性)を有する薄膜を形成できる。これにより、分子平面と垂直な方向へのホッピング伝導により、キャリアの移動がスムーズに行われる。また、分子軸方向へも高い導電性が得られることで、導電性材料として、有機薄膜トランジスタ材料のみならず、太陽電池、燃料電池、センサー等のデバイスに広く応用することが可能となる。
本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物は、下記式
Figure 2005255636
(式中、R1は複数のπ電子共役系を構成するユニットが2個以上結合してなる有機基であり、R2は疎水基であり、R3は疎水基であり、X1〜X3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基もしくは、水素原子である。)
で表される。
通常、π電子共役系が広がった分子の多くは有機溶剤にすら難溶性を示す。これに対し本発明の化合物は、上記式(I)及び(II)に示すように、疎水基R2とR3の存在によって、有機溶剤への溶解性が高められるため、溶液プロセスに適用できる。
以下、式(I)及び(II)の各構成の説明を行う。
まず、R1は複数のπ電子共役系を構成するユニットが2個以上結合してなる有機基である。通常、共役二重結合は、1つのσ電子による結合と1つのπ電子による結合を有しているため、π電子共役系を構成するユニットとは、少なくとも1つの共役二重結合を有する化合物を意味する。具体的には、このユニットは、芳香族炭化水素、縮合多環式炭化水素、単環式複素環化合物、縮合複素環化合物、アルケン、アルカジエン及びアルカトリエンに由来する基からなる群から選択できる。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、シメン、スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なかでも、ベンゼンが好ましい。
縮合多環式炭化水素としては、インデン、ナフタレン、アズレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフチレン、ビフェニレン、ナフタセン、ピレン、ペンタレン、フェナレン等が挙げられる。
単環式複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリン等が挙げられる。特に、硫黄原子が1以上含有されている化合物が好ましい。なかでも、チオフェンが特に好ましい。
縮合複素環化合物としては、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリジン、クロメン、キノリン、イソキノリン、プリン、インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン等が挙げられる。
アルケンとしては、炭素数2〜4の化合物、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。なかでも、エチレンが好ましい。
アルカジエンとしては、炭素数4〜6の化合物、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられる。
アルカトリエンとしては、炭素数6〜8の化合物、例えば、ヘキサトリエン、ヘプタトリエン、オクタトリエン等が挙げられる。
上記例示から由来する基、すなわちユニットは、複数個結合していてもよく、直線状及び/又は分岐状に結合していてもよい。この内、直線状に結合していることが好ましい。ユニットは、収率を考慮して、3〜10個結合していることが好ましい。更に、経済性、量産化を考慮すると、3〜8個結合していることが更に好ましい。また、ユニットは、同じ基が結合していてもよいし、すべて異なる基が結合していてもよいし、複数種類の基が規則的に又はランダムな順序で結合していてもよい。
また、ユニットが5員環からなる基の場合、結合の位置は、2,5−位、3,4−位、2,3−位、2,4−位等のいずれでもよい。なかでも、2,5−位が好ましい。6員環の場合には、1,4−位、1,2−位、1,3−位等のいずれでもよい。なかでも、1,4−位が好ましい。例えば、この5員環及び6員環のユニットの具体例としては、ビフェニル(a)、SC55−C55S(b)、ビチエニル(c)、ターフェニル(d)、ターチエニル(e)、クォーターフェニル(f)、クォーターチオフェン(g)、クィンターフェニル(h)、クィンターチオフェン(i)、セクスターフェニル(j)、セクスターチオフェン(k)、チエニル−オリゴフェニレン(l)、フェニル−オリゴチエニレン(m)、フェニレン−チエニレンブロックコオリゴマー(n)等に由来する基が挙げられる。これら具体例(a)〜(n)の構造式の例を下記する。上記ユニット中、a及びbは2以上、dとeは1以上、cとfは0以上(但し、同時に0にならない)の整数である。
Figure 2005255636
更に、隣り合う5員環及び6員環の間に、エチレン、ブタジエン等の共役二重結合を1又は2以上含む化合物に由来する基を有していてもよい。
また、有機溶剤への溶解性向上のために導入される疎水基R2としては、親水性であるか疎水性であるかを判定する値であるHLB(Hydrophibic−Lypophibic Balance)が、7よりも小さいことが好ましい。ここで、HLBは経験式によって数値化されており、HLB=7+11.7・log(MW/MO)(式中、MW:親水基の分子量、MO:疎水基の分子量)で表される。また、結晶性の高い有機薄膜を作製することを考慮すると、疎水基の分子体積が、骨格であるπ電子共役系分子よりも小さいことが好ましい。
具体的なR2としては、例えばアルキル基、オキシアルキル基、フルオロアルキル基、フッ素原子等が挙げられる。それらは、複数個、分岐状に結合していてもよいが、直線状に結合していることが好ましい。特に、本発明の化合物を膜形成材料として使用する場合、炭素数1〜30の直鎖炭化水素が好ましく、より好ましくは2〜18である。
また、疎水基R2はπ電子共役系分子のいずれの部分に結合されていてもよく、また、導入疎水基の数も、一つ以上であればいくつであってもかまわない。更に導入疎水基が複数の場合、それぞれの疎水基の種類が同じであっても、異なっていてもかまわない。
本発明の化合物は末端にSiX1X2X3で表されるシラノール誘導体を含む。ここで、X1、X2及びX3は、加水分解により水酸基を与える基であるが、その基としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素等の原子が挙げられる。低級アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。また、前記アルコキシ基の一部が更に別の官能基(トリアルキルシリル基、他のアルコキシ基等)で置換されていてもよい。
X1、X2及びX3は、全て同一であってもよく、異なっていてもよく、その内の2つが同一で他の1つが異なっていてもよい。なかでも、全てが同一であることが好ましい。
また、本発明の化合物は、π電子共役系分子とシラノール基の間に疎水基R3を有していてもかまわない。この疎水基R3としては、R2と同様の基を使用できる。
本発明の好ましい化合物は、
R1:2〜6個のチエニレン基が2,5位で直線状に結合した有機基、2〜6個のフェニレン基が1,4位で直線状に結合した有機基、又は2,5位に結合手をもつチエニレン基と1,4位に結合手をもつフェニレン基とがそれぞれ1個以上、両基の合計6個以下で直線状に結合した有機基であり、チエニレン基及び/又はフェニレン基は、任意にハロゲン原子で置換された炭素数1〜8までのアルキル基又はフェニレン基から選択される置換基を有していてもよく、チエニレン基及び/又はフェニレン基間にビニレン基を有していてもよい)
R2及びR3:炭素数1〜18のアルキル基
X1〜X3:ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基
である。
本発明の特に好ましい化合物A〜Mを下記する。
Figure 2005255636
本発明の化合物は、例えばπ電子共役系分子より作製したグリニヤール試薬又はリチウム化合物とシラノール誘導体とのグリニヤール反応又はリチウム脱離反応により作製することができる。具体的には、
式(III) R2−R1−Z あるいは
式(IV) R2−R1−R3−Z
(式中、R1〜R3は、上記と同義であり、ZはMgX(Xはハロゲン原子)又はLiである)
で表される化合物と、
Figure 2005255636
(式中、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
で表される化合物とを、反応させることによって、式(I)あるいは式(II)で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を製造することができる。この製造方法において、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等の原子が挙げられ、低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等が挙げられる。
グリニヤール反応又はリチウム脱離反応の温度は、例えば、−100〜150℃であり、好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、例えば、0.1〜48時間程度である。反応は、通常、反応に影響のない有機溶剤中で行われる。反応に影響のない有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。なかでも、ジエチルエーテル、THFが好適である。反応は、任意に触媒を用いてもよい。触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触媒等、触媒として公知のものを用いることができる。
本発明のケイ素化合物の合成方法をより具体的に以下に説明する。以下の合成方法における反応温度や反応時間は上記内容と同様であり、例えば−100〜150℃、0.1〜48時間である。
以下では、単環式芳香族炭化水素の例であるベンゼンに由来するユニットと、単環式複素環化合物の例であるチオフェンに由来するユニットから構成される有機基(R1)の前駆体の合成例を示す。ただし、チオフェンのような硫黄含有複素環化合物と同様の方法で、窒素原子、酸素原子を含む複素環化合物についても、前駆体を形成することができる。
ベンゼン又はチオフェンに由来するユニットから構成される前駆体の合成方法としては、まず、ベンゼン又はチオフェンの反応部位をハロゲン化させた後に、グリニヤール反応を利用する方法が有効である。この方法を使用すれば、ベンゼンあるいはチオフェンの数を制御した前駆体を合成することができる。また、グリニヤール試薬を適用する方法以外にも、適当な金属触媒(Cu、Al、Zn、Zr、Sn等)を利用したカップリングによっても合成することができる。
更に、チオフェンについては、グリニヤール試薬を利用する方法以外に、下記合成方法を利用することができる。
すなわち、まず、チオフェンの2’位あるいは5’位をハロゲン化(例えば、クロロ化)させる。ハロゲン化させる方法としては、例えば、1当量のN−クロロスクシンイミド(N−Chlorosuccinimide:NCS)処理や、オキシ塩化燐(phosphorus oxychloride:POCl3)処理が挙げられる。このときの溶媒としては、例えばクロロホルム・酢酸(AcOH)混合液やDMFが使用できる。また、ハロゲン化したチオフェン同士を、DMF溶媒中でトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(tris(triphenylphosphine)Nickel:(PPh3)3Ni)を触媒として反応させることによって、結果的にハロゲン化させた部分でチオフェン同士を直接結合できる。
更に、ハロゲン化したチオフェンに対して、ジビニルスルホンを加え、カップリングさせることにより1,4−ジケトン体を形成させる。続いて、乾燥トルエン溶液中で、ローウェッソン剤(Lawesson Regent:LR)あるいはP410を加え、前者の場合一晩、後者の場合3時間程度還流させることによって、閉環反応を起こさせる。その結果、カップリングしたチオフェンの合計数よりもひとつチオフェンの数が多い前駆体を合成できる。
チオフェンの上記反応を利用して、チオフェン環の数を増加させることができる。
上記前駆体は、その合成に使用した原料と同じく、末端をハロゲン化させることができる。そのため、前駆体をハロゲン化させた後、例えばSiCl4と反応させることによって、末端にシリル基を有し、かつベンゼン又はチオフェンに由来するユニットのみからなる有機基(R1)を備えたケイ素化合物(単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物)を得ることができる。
一例として、ベンゼン又はチオフェンのみからなる有機基の前駆体の合成方法と、前駆体のシリル化の方法の一例を以下の(A)〜(D)に示す。なお、下記チオフェンのみからなる前駆体の合成例では、チオフェンの3量体から6あるいは7量体への反応のみを示した。しかし、ユニット数の異なるチオフェンと反応させれば、前記6あるいは7量体以外の前駆体を形成できる。例えば、2−クロロチオフェンをカップリングした後にNCSによりクロロ化させた2−クロロビチオフェンに下記と同様の反応をさせることによって、チオフェン4あるいは5量体を形成できる。更に、チオフェン4量体をNCSによりクロロ化させれば更にチオフェン8あるいは9量体も形成することができる。
Figure 2005255636
所定数のチオフェンとベンゼン由来のユニットがそれぞれ結合した単位を直接結合することにより、ブロック型の有機基の前駆体を得る方法としては、例えば、グリニヤール反応を使用する方法がある。なお、前駆体をSiCl4やHSi(OEt)3と反応させれば、目的のケイ素化合物を得ることができる。また、上記化合物のうち、末端アルコキシ基のシリル基を有する化合物については、比較的反応性が低いため、あらかじめ原料に結合された状態で合成できる。この場合の合成例としては、以下の方法が適用できる。
まず、単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物のシリル基と逆末端をハロゲン化(例えば、ブロモ化)した後に、グリニヤール反応によって、シリル基と結合する官能基をハロゲンからアルコキシ基に変換させる。続いて、n−BuLi、B(O−iPr)3を付与することによって脱ブロモ化及びホウ素化できる。このときの溶媒は、エーテルが好ましい。また、ホウ素化させる場合の反応は、2段階であり、初期は反応を安定化させるために、1段階目は−78℃で行い、2段階目は−78℃から室温に徐々に温度を上昇させることが好ましい。一方で、両端にハロゲン基(例えば、ブロモ基)を有するベンゼンあるいはチオフェンを用いてグリニヤール反応からブロック型化合物の中間体を作製しておく。
この状態で、未反応のブロモ基と上記のホウ素化された化合物を、例えばトルエン溶媒中に展開させ、Pd(PPh34、Na2CO3の存在下、85℃の反応温度にて、反応を完全に進行させれば、カップリングを起こさせることが可能である。結果的に、ブロック型化合物の末端にシリル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
このような反応を用いたケイ素化合物(E)及び(F)の合成ルートの一例を以下に示す。なお、ベンゼンあるいはチオフェンに由来するユニットの両末端にそれぞれハロゲン基(例えば、ブロモ基)及びトリクロロシリル基を有する化合物は、p−フェニレンあるいは2,5−チオフェンジイルとハロゲン化剤(例えば、NBS)との反応により両末端をハロゲン化させたのち、SiCl4と反応させ、一方をトリクロロシリル化させることにより形成することができる。
Figure 2005255636
ベンゼンあるいはチオフェンに由来するユニットとビニル基が交互に結合される前駆体の合成方法としては、例えば以下の方法が適用できる。すなわち、ベンゼンあるいはチオフェンの反応部位にメチル基を有する原料を準備した後に、その両端を2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びN−ブロモスクシンイミド(N―bromosuccinimide:NBS)を用いてブロモ化させる。この後、ブロモ体にPO(OEt)3を反応させ、中間体を形成させる。つづいて、末端にアルデヒド基を有する化合物と、中間体とを、例えばDMF溶媒中でNaHを用いて反応させることによって、上記の前駆体は形成できる。なお、得られた前駆体は、末端にメチル基を有するため、例えばこのメチル基を更にブロモ化させ、上記合成ルートを再度適用すれば、更にユニット数の多い前駆体を形成できる。
得られた前駆体を、例えばNBSを用いてブロモ化すれば、その部分とSiCl4とを反応させることが可能となる。よって、末端にSiCl3を有するケイ素化合物を形成できる。このような反応を用いて長さの異なる前駆体(G)〜(I)とケイ素化合物(J)の合成ルートの一例を以下に示す。
Figure 2005255636
いずれの化合物についても、所定の位置に側鎖(例えばアルキル基)を有する原料を用いることもできる。すなわち、例えば、原料として2−オクタデシルターチオフェンを用いれば、上記の合成ルートにより前駆体(A)として2−オクタデシルセクシチオフェンを得ることができる。したがって、ケイ素化合物(C)として、2−オクタデシルセクシチオフェントリクロロシランを得ることができる。同様に、所定の位置にあらかじめ側鎖を有する原料を用いれば、上記(A)〜(J)のいずれの化合物でかつ、側鎖を有する化合物を得ることができる。
次に、側鎖(疎水基:R2)の導入方法について述べる。本発明の化合物のように、末端に反応性の高い官能基を有する場合、上記の通り、側鎖は原料あるいは中間体に導入するか、あるいは、比較的反応性の小さなアルコキシ基を有するシリル基に変換した後に導入することが好ましい。導入される側鎖としては、主に溶解性を向上させることを目的とする場合は、アルキル鎖が好ましい。導入方法としては、有機基の導入を所望する箇所をハロゲン化させた後、グリニヤール反応をはじめとした金属触媒を用いたカップリング反応が適用できる。一例として、側鎖がアルキル鎖の場合の本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の合成方法以下に示す。
Figure 2005255636
なお、上記構成方法では、側鎖としてアルキル鎖のみの場合を示したが、同様の手法によりアルコキシ基を導入できる。
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。以下に原料のCASナンバー、及び、試薬メーカーとして例えばキシダ化学より入手した場合の試薬の純度を示しておく。
Figure 2005255636
このようにして得られる化合物(I)及び(II)は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等により反応溶液から単離、精製してもよい。
本発明の化合物は、例えば、以下のように、薄膜とすることができる。まず、本発明の化合物をヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素等の非水系有機溶剤に溶解する。得られた溶液中に、薄膜を形成しようとする基体(好ましくは、水酸基、カルボキシル基等の活性水素を有する基体)を浸漬して、引き上げる。あるいは、得られた溶液をスピンコート法、インクジェット法等の塗布法を利用して基体表面に塗布してもよい。その後、非水系有機溶剤で洗浄し、水洗し、放置するか加熱することにより乾燥して、薄膜を定着させる。この薄膜は、直接電気材料として用いてもよいし、更に電解重合等の処理を施してもよい。このような方法により本発明の化合物は、容易に、自己組織化された薄膜(例えば、単分子膜)とすることができる。
本発明の化合物は、ケイ素原子及び酸素原子から網目状構造のネットワークが構成され、隣り合うπ電子共役系分子間距離が小さく、高度に結晶化されている。また、ユニットが、直鎖に配置されている場合には、更に、隣り合うπ電子共役系分子間距離が小さく、高度に結晶化された有機薄膜を形成しうる材料を得ることができる。
このとき、π電子共役系分子とシラノール基の間に疎水基R3があれば、この部分での疎水性相互作用によって、膜がより密にパッキングされる。これは、特にR3が直鎖の炭化水素基のときに顕著である。
以下に、本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の合成例を記載する。以下、直鎖アルキルユニットを、その炭素数で表す。例えばオクタデシル基はC18と示す。また、フェニレンユニットあるいはチオフェンユニットはそれぞれP、Thで表し、記号の後ろ部分の数字が直鎖に結合したフェニレン及びチオフェンユニット数を示す。例えばターチオフェン分子はTh3と標記する。
合成例1
1−オクタデカンとターフェニルを用いたC18−P3の合成及びC18−P3とテトラクロロシランを用いたC18−P3−SiCl3の合成
C18−P3は以下の手法により合成した。
まず、所定量の1−オクタデカンと、それと当量のブチルリチウムとをTHF中で反応させ、オクタデカンのリチウム付加を行った。続いて、リチウム付加1−オクタデカンを1−ブロモターフェニルとTHF中で反応させることでC18−P3を合成した。
更に、C18−P3をブロモ化させた後、SiCl4と反応させることで、下記C18−P3−SiCl3を合成した(収率45%)。
Figure 2005255636
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1062cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長280nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるターフェニル分子のπ→π*遷移に起因しており、化合物がターフェニル分子を含むことが確認できた。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。但し、この化合物は、反応性が高いため、直接NMR測定することが困難であるため、化合物をエタノールと反応させ(この際、塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。その結果、以下のピークが得られた。
7.90ppm〜7.25ppm(m)
(12H 芳香族由来)
2.60ppm〜2.5ppm(m)(6H エトキシ基エチル基由来)
1.40ppm〜1.3ppm(m)(9H エトキシ基メチル基由来、37H メチレン及びメチル基由来)
これらの結果から、この化合物がC18−P3−SiCl3であることを確認した。
また、得られた化合物は、化合物の1mlのTHFへの溶解性がP3−SiCl3(溶解性約2.0mg/ml)と比較して、約2.8倍であり、有機溶剤に対する高い溶解性を示した。
合成例2
1−オクタデカンとクォーターチオフェンを用いたC18−Th4の合成及びC18−Th4とテトラメトキシシランを用いたC18−Th4−Si(OCH33の合成
C18−Th4は以下の手法により合成した。まず、合成例1と同様の手法によりリチウム付加1−オクタデカンを合成した。続いて、リチウム付加1−オクタデカンを1−ブロモクォーターチオフェンとTHF中で反応させることでC18−Th4を合成した。
更に、C18−Th4をブロモ化した後、テトラメトキシシランと反応させることで、下記C18−Th4−Si(OCH33を合成した。
Figure 2005255636
この化合物を実施例1と同様に、赤外スペクトル測定、紫外−可視スペクトル測定、NMR測定を行うことでC18−Th4−Si(OCH33であることが確認できた。
また、得られた化合物は、化合物の1mlのトルエンへの溶解性がTh4−SiCl3(溶解性約1.0mg/ml)と比較して、約9.5倍であり有機溶剤に対する高い溶解性を示した。
合成例3
1−オクタデカンとクォーターチオフェンを用いたC18−Th4の合成及びC18−Th4とテトラエトキシシランを用いたC18−Th4−Si(OC253の合成
C18−Th4は実施例2と同様の方法により合成した。続いて、C18−Th4のチオフェン部分をブロモ化した後、テトラエトキシシランと反応させることにより下記C18−Th4−Si(OC253を合成した。
Figure 2005255636
この化合物を実施例1と同様に、赤外スペクトル測定、紫外−可視スペクトル測定、NMR測定を行うことでC18−Th4−Si(OC253であることが確認できた。
また、得られた化合物は、化合物の1mlのトルエンへの溶解性がTh4−SiCl3(溶解性約1.0mg/ml)と比較して、約10倍であり、有機溶剤に対する高い溶解性を示した。
合成例4〜13
上記合成例1〜3では、C18−P3−SiCl3、C18−Th4−Si(OCH33及びC18−Th4−Si(OC253の合成方法のみを示したが、同様の方法により、ケイ素にアルキル(又はアルコキシ)基及び芳香族基が直接結合してなる上記構造式D〜Mの有機ケイ素化合物を合成することができる。
本発明の有機シラン化合物を溶解可能な有機溶剤としては、当該化合物が有する機能性基およびシリル基等によっても異なるが、上記合成例に含まれるTHFあるいはトルエン以外としては例えば、ヘキサン、n−ヘキサデカン、メタノール、エタノール、IPA、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、DMSO、キシレン、ベンゼン等の非水系有機溶剤が挙げられる。
上記合成例1〜13で得られた化合物はいずれも、疎水基を有していない化合物と比較すると高い溶解性を有しており、例えば溶液系を利用した成膜において、汎用性が高いという特徴を有している。
このように作成したπ電子共役系分子含有ケイ素化合物は、側鎖に疎水基を含むため、疎水性有機溶剤への溶解度が向上する利点を有する。したがって、従来溶液プロセスに使用できなかったπ電子共役系のユニット数が長い材料であっても、適用が可能になり、より導電性の高い機能性有機薄膜を提供することが可能となる。
特に、疎水基、π電子共役系分子及びシラノール誘導体部分が、直列に結合されてなる場合は、構成分子の立体障害が非常に小さくなるため、分子間距離が小さく、高度に配向した有機薄膜が提供できる。
また、本発明のπ電子共役系分子は疎水基及び親水基の両方を有する両親媒性分子であり、例えば有機溶剤中に分散させることで、エマルジョン粒子を得ることができる。この粒子は、π電子共役系分子を含むため、導電性を有する。この粒子は、溶媒中に水分をあらかじめ含ませることでシラノール基を結合させることも可能であり、必要に応じてエマルジョン粒子を封入することも可能である。このように本発明のπ電子共役系分子はカプセル化技術にも応用できる。
実施例3
以下に、本発明の化合物を用いた機能性有機薄膜の形成例を示す。
合成例3のC18−Th4−Si(OC253を用いて、機能性薄膜を以下のように形成した。
まず、石英基板を、過酸化水素と濃硫酸との混合溶液(混合比3:7)中で1時間浸漬し、石英基板表面を親水化処理した。その後、C18−Th4−Si(OC253を非水系有機溶剤(例えば、THF)に溶解し、10mMのC18−Th4−Si(OC253溶液を得、その溶液に得られた基板を不活性雰囲気下において30分間浸漬させた。次いで、基板をゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行うことで、石英基板上に膜を形成した。
膜を形成した石英基板の紫外可視吸収分光測定及びエリプソメトリーによる膜厚測定より、石英基板上にC18−Th4−Si(OC253を含む単分子膜が形成されていることが確認できた。
また、形成した単分子膜をSPM装置よる表面観察に付したところ、周期構造が観測された。この周期構造を有する単分子膜をSPM装置のカンチレバーによる引っかき強度試験に付したところ、単分子膜(C18−Th4−Si(OC253薄膜)の周期構造を乱すために必要なカンチレバーの応力が、Th4−Si(OC253と比較して、約1.2倍であることが確認された。これは、側差に直鎖炭化水素基がつくことにより、単分子膜が形成された場合の隣接分子との分子間相互作用が大きくなることが原因であると考えられる。したがって、本発明の化合物を用いることによって、より耐久性が強く、しかも強固な相互作用によって、密にパッキングされた有機薄膜を形成することができた。
分子間距離と分子間力との関係を説明するための図である。

Claims (12)

  1. 式(I):
    Figure 2005255636
    (式中、R1は複数のπ電子共役系を構成するユニットが2個以上結合してなる有機基であり、R2は疎水基であり、X1〜X3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基もしくは水素原子である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  2. 式(II):
    Figure 2005255636
    (式中、R1、R2、X1〜X3は上記と同一であり、R3は疎水基である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  3. 前記式(I)中R2が、又は式(II)中R2及びR3が、炭素数1〜30の直鎖炭化水素基である請求項1又は2に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  4. 前記R3が、炭素数1〜30の直鎖アルキル基である請求項3に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  5. 前記R1が、3〜10個のπ電子共役系を構成するユニットが直線状に結合した有機基である請求項1〜4のいずれか1つに記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  6. 前記複数のπ電子共役系を構成するユニットが、単環式芳香族炭化水素、縮合多環式炭化水素、単環式複素環化合物、縮合複素環化合物、アルケン、アルカジエン及びアルカトリエンに由来する基からなる群から選択され、前記R1が、前記群から選択される1種以上のユニットが直線状に結合した有機基である請求項1〜5のいずれか1つに記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  7. 前記π電子共役系を構成するユニットが、ベンゼン又はチオフェンに由来する基である請求項6に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  8. 式(III) R2−R1−Zあるいは
    式(IV) R2−R1−R3−Z
    (式中、R1〜R3は、上記と同義であり、ZはMgX(Xはハロゲン原子)又はLiである)
    で表される化合物と、
    Figure 2005255636
    (式中、X1〜3は、上記と同義であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
    で表される化合物とを、反応させることによって、
    Figure 2005255636
    (式中、R1〜R3及びX1〜3は、上記と同義である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を製造することを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  9. 基Rが、単環式芳香族炭化水素及び単環式複素環化合物から選択される原料化合物の所定の結合位置をハロゲン化し、次いでグリニヤール反応に付す工程を1回以上繰り返すことにより、所定数の原料化合物を結合させて得られた化合物に由来する請求項8に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  10. 基Rを構成するユニットがチオフェンに由来し、基Rが、チオフェンの所定の結合位置をハロゲン化し、次いで得られたハロゲン化チオフェン同士をNCS又はPOCl3の存在下で反応させて結合させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数のチオフェンを結合させて得られた化合物に由来する請求項8に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  11. 基Rを構成するユニットがチオフェンに由来し、基Rが、チオフェンの所定の結合位置をハロゲン化し、次いで得られたハロゲン化チオフェンとジビニルスルホンとを反応させることで、スクシニル基の両側にチオフェンが結合した1,4−ジケトン体を得、次いで、1,4−ジケトン体をローウェッソン剤又はP410の存在下で閉環反応させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数のチオフェンを結合させて得られた化合物に由来する請求項8に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  12. 基Rが、所定の結合位置にメチル基を有する単環式芳香族炭化水素及び単環式複素環化合物から選択される原料化合物のメチル基をハロゲン化し、次いで、そのハロゲンを5価のリン化合物で置換した後、得られた化合物と所定の結合位置にアルデヒド基を有する単環式芳香族炭化水素及び単環式複素環化合物から選択される原料化合物とを反応させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数の原料化合物を結合させて得られた化合物に由来する請求項8に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
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