JP2007157752A - 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機TFTにおいて、金属電極と有機薄膜とのエネルギー障壁を効率的に低減させることで、デバイス特性を向上することを課題とする。
【解決手段】基体上の有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とソース/ドレイン電極との間に、有機シラン化合物から形成されエネルギー障壁を低減する機能を有する単分子膜からなる緩衝膜とを備えたことを特徴とする有機TFTにより上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ソース/ドレイン電極と有機薄膜の間に緩衝膜を介した有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
近年、有機半導体を利用したトランジスタを使用するIC技術が提案されている。上記技術の主な利点は、簡単な製造方法及び柔軟な基板との互換性である。これらの利点は、スマート・カード、電子タグ及びディスプレイのような用途に適する、コストの安いIC技術に使用されることが期待される。
ここで、有機半導体で薄膜トランジスタ(TFT)を形成する際に用いる成膜方法として真空蒸着法や塗布法等が知られている。これら成膜方法によれば、コストアップを抑えつつ素子の大型化が実現可能になり、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることができる。このため、有機半導体を用いたTFT(以下、有機TFTと呼ぶ)では、基板に用いる材料の制限が少ないといった利点がある。
有機TFTの例が、特開2003−258265号公報(特許文献1)等に記載されている。この公報に記載された有機TFTの構造を図3に示す。図3は、基板1上に、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、ソース/ドレイン電極(5、7)及び半導体層(有機薄膜)6を有するTFTが記載されている。このTFTは、基板1上の一部にゲート電極2を設け、ゲート電極2及び基板1をゲート絶縁膜3により覆い、ゲート絶縁膜3上であってゲート電極2に対応する領域を挟むようにソース/ドレイン電極(5、7)を設け、ソース/ドレイン電極(5、7)及びゲート絶縁膜3を半導体層6により覆うことで得られている。
ここで用いられる半導体層用の材料としては、p型の半導体層用の材料としてペンタセン、ナフタセン、チオフェン、フタロシアニン及びこれらの末端が置換された誘導体並びにポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン及びこれらの末端もしくはその側鎖が置換された誘導体のポリマーの中から選択された材料が挙げられる。また、n型の半導体層用の材料としては、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、フッ素化フタロシアニン及びこれらの末端が置換された誘導体の中から選択された材料が挙げられる。
一般的に、有機TFTの動作は次のように考えられている。
ゲート電極に電圧を印加した場合、ゲート電圧はゲート電極のフェルミ準位変化を通じて、ゲート絶縁膜の界面側の半導体層にバンドの曲がりが引き起こされる。このバンドの曲がりは、ソース/ドレイン電極から多数のキャリアである正電荷の注入を引き起こし、ゲート絶縁膜界面側の半導体層に高い表面電荷密度領域、すなわちキャリアの蓄積層が形成される。このキャリア蓄積層の厚みは、ゲート絶縁膜界面から10数nmの領域に形成されると言われている。
一方、ゲート電極への逆バイアス印加によって、ゲート絶縁膜界面側の半導体層に電荷を排除した空乏層が形成される。
有機TFTは、こうしたゲート電圧によるチャネルのコンダクタンス制御によって、ソース電極とドレイン電極間を流れる電流値を変化させることにより動作させる。
一般的に、これら有機TFTにおいては、ソース/ドレイン電極と有機薄膜の異なる材料が直接接触する界面においては、エネルギー障壁が発生する。このため、ソース/ドレイン電極を構成する電極材料には、有機薄膜と比較的エネルギー障壁の小さな材料である金を用いる場合が多い。
しかしながら、実際の有機TFTを作製する場合、ゲート絶縁膜材料として、SiO2のような無機の酸化物を用いる場合、絶縁膜と前記金との密着不良による電極剥がれが生じる。そのため、通常、両者の密着性を確保することを目的として、金の下地膜として、TiやCr等からなる膜が用いられている。
この場合の下地膜の膜厚は、一般的に5〜10nm程度である。前記有機TFTのメカニズムにおいて、キャリアの蓄積層が形成される有機薄膜の領域が絶縁膜界面から10数nm以下であることを考えれば、実際には下地膜と有機薄膜のエネルギー障壁が支配的となる。
ここで、ソース/ドレイン電極と有機薄膜界面でのエネルギー障壁を緩和する手法として、次の2つの提案がある。
電極材料として導電性を有する有機材料(PEDOT/PSS)を用いる提案がなされている(応用物理,70,12,1452,2001:非特許文献1)。実際にデバイス作製を行い、動作することが確認されているが、やはり金属を電極材料として用いた場合に比べ、抵抗値が高いという欠点を有している。
上記課題を解決するため、下地膜にメルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTS)からなる有機単分子膜を用いることで、下地膜の膜厚を2nm以下とし、実効的に電極である金と有機薄膜をキャリア蓄積層の領域に近づけることで、特性を改善する方法が提案されている(2004 IEEE International Solid-State Circuits Conference 715〜718:非特許文献2)。しかしながらこの方式においても、完全にエネルギー障壁が緩和されているわけではなく、また電極材料として金を用いることは実用性の面においても、コストの点から不利となる。
特開2003−258265号公報 応用物理,70,12,1452,2001 2004 IEEE International Solid-State Circuits Conference 715〜718
有機TFTにおいて、金属電極材料と有機半導体薄膜材料という異なる2種類の材料が直接接触する界面には、キャリア移動障壁が生じる。この障壁は、デバイス特性が大きな影響を受ける要因となることがある程度示唆されていた。しかしながら、上記報告に記載の例は、あくまで絶縁膜の影響を抑制しただけのものであり、ソース/ドレイン電極界面でのエネルギー障壁の低減及び電気的性質まで制御したものではなかった。
更に、ゲート絶縁膜上に蒸着、塗布・焼成等の方法により形成された半導体層は、ソース/ドレイン電極との界面の均一性が考慮されていなかったために、本来半導体層が有するキャリア輸送特性を十分に発揮できていないという課題があった。
かくして本発明によれば、有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とソース/ドレイン電極との間に、エネルギー障壁を緩和する機能を有する緩衝膜とを備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタが提供される。
また、本発明によれば、有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とソース/ドレイン電極との間に、エネルギー障壁を緩和する機能を有する緩衝膜とを備えた有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
有機薄膜のソース/ドレイン電極接触面を緩衝膜で覆った後、ソース/ドレイン電極を形成するか、又はソース/ドレイン電極の有機薄膜接触面を緩衝膜で覆った後、有機薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
本発明の有機TFTは、ソース/ドレイン電極と有機薄膜と間のエネルギー障壁を低減させる緩衝層が含まれているために、異種固体界面でのキャリア輸送を効率的に行うことができる。したがって、本発明の有機TFTにより低駆動電圧及び高いキャリア移動特性が実現できる。
(構成及び駆動原理)
本発明の有機薄膜トランジスタの構成の説明の前に、界面におけるキャリア移動障壁について簡単に説明する。
2種類の異なる材料を直接接触させるとその界面にキャリア移動障壁が発生する。前記キャリア移動障壁は有機薄膜/有機薄膜界面、金属/有機薄膜界面等、異なる材料を接触させた界面では常に発生するが、特に金属/有機薄膜におけるキャリア移動障壁は大きな値を有している。キャリア移動障壁はデバイス中のキャリア移動を妨げる大きな要因であり、特に金属/有機薄膜界面におけるキャリア移動障壁はデバイス中を流れる電流の大きさ、しいてはデバイス特性に大きな影響を与える。キャリア移動障壁の大きさは金属のFermi準位と有機薄膜に含まれる電荷移動に利用される軌道とのエネルギーレベルの差の大きさに依存する。ここで、キャリアが正孔(電子)の場合、有機薄膜に含まれる電荷移動に利用される軌道はHOMO(LUMO)である。
上記内容を踏まえ、本発明の有機薄膜トランジスタを図1にしたがって説明する。
図1は本発明の有機TFTの一例の概念図である。図1の有機TFTはボトムゲート及びボトムコンタクト型の構造である。図1に示すように、ソース/ドレイン電極(5、7)と有機薄膜6とが緩衝膜4を介して形成されることが本発明の有機TFTの特徴である。図1中、1は基板、2はゲート電極、3はゲート絶縁膜を意味する。
ここで、この構成における最大の利点は、ソース電極、ドレイン電極又は両電極としての金属電極と有機薄膜との間に、有機シラン化合物から形成されキャリア輸送機能を有する緩衝膜を形成したことである。この緩衝膜は、金属電極と有機薄膜間という異種固体間のキャリア輸送を向上させる機能等を有する。すなわち、異種固体間では、前述の通り、Fermi準位と有機薄膜の準位との間隔の大きさに付随したキャリア輸送障壁が形成され、この障壁がデバイス駆動の課題となる。
これに対し、発明者等は、異種固体間のギャップを小さくすることで、キャリア輸送障壁を低減化できることを見出した。具体的には、上記の異種固体間のギャップの中間値を電荷移動に利用できる分子軌道として有する緩衝膜を金属電極と有機薄膜間に挿入することで、異種固体間のキャリア輸送機能が向上した有機TFTを見出している。
また、本発明の有機TFTは金属/有機薄膜間のキャリア輸送を効率化させることができれば、図1に限定されるわけではなく、いずれの形態であってもよい。すなわち、ソース/ドレイン電極と有機薄膜の間に緩衝膜が含まれていればよく、例えば図2のように、緩衝膜がソース/ドレイン電極間をすべて覆う形であってもよい。
上記以外の構造としては、例えば、
(1)基板上に有機薄膜、緩衝膜及びソース/ドレイン電極をこの順で備え、ソース/ドレイン電極間の有機薄膜上にゲート絶縁膜及びゲート電極をこの順で備えた構成(有機薄膜の上面を一表面とし、一表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
(2)基板上にゲート電極、ゲート絶縁膜、有機薄膜、緩衝膜及びソース/ドレイン電極をこの順で備えた構成(有機薄膜の下面を一表面とし、有機薄膜の上面である他表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
(3)基板上にソース/ドレイン電極を備え、ソース/ドレイン電極を覆うように緩衝膜、有機薄膜及びゲート絶縁膜をこの順で備え、ゲート絶縁膜上にゲート電極を備えた構成(有機薄膜の上面を一表面とし、有機薄膜の下面である他表面側にソース/ドレイン電極が形成された例)
が挙げられる。
以下、本発明の有機TFTの構成要素を具体的に説明する。
(ゲート、ソース/ドレイン電極)
ゲート、ソース/ドレイン電極材料は、特に限定されず、当該分野で公知の材料をいずれも使用できる。具体的には、金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属;チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属;高融点金属とのシリサイド、ポリサイド等;p型又はn型ハイドープシリコン;ITO、NESA等の導電性金属酸化物;PEDOTのような導電性高分子が挙げられる。この内、ソース/ドレイン電極材料は、表面に酸化膜形成可能な金属材料であることが好ましい。
膜厚は、特に限定されるものではなく、通常トランジスタに使用される膜厚(例えば30〜60nm)に適宜調整することができる。
これら電極の製造方法は、電極材料に応じて適宜選択できる。例えば、蒸着、スパッタ、塗布等が挙げられる。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜は、特に限定されず、当該分野で公知の膜をいずれも使用できる。具体的には、シリコン酸化膜(熱酸化膜、低温酸化膜:LTO膜等、高温酸化膜:HTO膜)、シリコン窒化膜、SOG膜、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等の絶縁膜;PZT、PLZT、強誘電体又は反強誘電体膜;SiOF系膜、SiOC系膜もしくはCF系膜又は塗布で形成するHSQ(hydrogen silsesquioxane)系膜(無機系)、MSQ(methyl silsesquioxane)系膜、PAE(polyarylene ether)系膜、BCB系膜、ポーラス系膜もしくはCF系膜又は多孔質膜等の低誘電体膜等が挙げられる。
膜厚は、特に限定されるものではなく、通常トランジスタに使用される膜厚(例えば100〜500nm)に適宜調整することができる。
ゲート絶縁膜の製造方法は、その種類に応じて適宜選択できる。例えば、蒸着、スパッタ、塗布等が挙げられる。
(緩衝膜)
緩衝膜材料としては、成膜後にキャリア移動機能を有する有機シラン化合物であることが好ましい。有機シラン化合物の具体例を下記する。
有機シラン化合物としては、式(1)
1−SiZ123・・・(1)
にて表される化合物が使用できる。
式中、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくは塩素原子である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(構造異性体を含む)、ブトキシ基(構造異性体を含む)、ペントキシ基(構造異性体を含む)が挙げられる。
1は、π電子共役系の化合物に由来するπ電子共役系分子を含む有機基であることが好ましい。この有機基は、導電性を制御可能な基(ユニット)を少なくとも1つ含むことが好ましい。例えば、単環の芳香族化合物、縮合芳香族化合物、単環の複素環化合物、縮合複素環化合物に由来する基から選択された基が挙げられる。
単環の芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン等が挙げられる。縮合芳香族化合物としては、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、オクタセン、ノナセン、アズレン、フルオレン、ピレン、アセナフテン、ペリレン、アントラキノン等が挙げられる。単環の複素環化合物としては、フラン、チオフェン、ピリジン、ピリミジン等が挙げられる。縮合複素環化合物としては、インドール、キノリン、アクリジン、ベンゾフラン等が挙げられる。
まず、単環の芳香族化合物、単環の複素環化合物としては、ベンゼン及び/又はチオフェンに由来するユニットからなる化合物が好ましい。このユニットは、2〜8個結合して化合物を構成することが好ましい。上記ユニットは、結合している場合、収率、経済性、量産化を考慮すると、2〜6個結合していることがより好ましい。
これらユニットは、複数個、分岐状に結合していてもよいが、直線状に結合していることが好ましい。また、化合物は、同じユニットが結合していてもよいし、すべて異なるユニットが結合していてもよいし、複数種類のユニットが規則的に又はランダムな順序で結合していてもよい。また、結合の位置は、ユニットの構成分子がチオフェンの場合には、2,5−位、3,4−位、2,3−位、2,4−位等のいずれでもよいが、なかでも、2,5−位が好ましい。ベンゼンの場合には、1,4−位、1,2−位、1,3−位等のいずれでもよいが、なかでも、1,4−位が好ましい。
例えば、単環の芳香族化合物として、下記一般式(2);
Figure 2007157752
(式中、mは1〜8、好ましくは1〜6の整数である)で表されるベンゼン化合物が挙げられる。フェニレン基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
また、単環の複素環化合物として、下記一般式(3);
Figure 2007157752
(式中、nは1〜8、好ましくは1〜6の整数である)で表されるチオフェン化合物が挙げられる。チオフェンジイル基は、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
より具体的には、単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物として、ビフェニル、ビチオフェニル、ターフェニル(式1の化合物)、ターチエニル(式2の化合物)、クォーターフェニル、クォーターチオフェン、クィンケフェニル、クィンケチオフェン、ヘキシフェニル、ヘキシチオフェン、チエニル−オリゴフェニレン(式3の化合物参照)、フェニル−オリゴオリゴチエニレン(式4の化合物参照)、ブロックコオリゴマー(式5又は6の化合物参照)、ビ(ジチオフェニルビニル)フェニル(式7の化合物参照)に由来の基が挙げられる。
Figure 2007157752
(式中、nは1〜6、mは1〜3、a+bは2〜6である。)
更に、縮合芳香族化合物としては、下記式8〜10
Figure 2007157752
から選択される化合物(nは0〜4)が挙げられる。式8は、アセン骨格を含む化合物であり、式9は、アセナフテン骨格を含む化合物であり、式10は、ペリレン骨格を含む化合物である。
上記式8のアセン骨格を含む化合物を構成するベンゼン環の数は2〜8個であることが好ましい。特に、合成の工程数や生成物の収率を考慮すると、ベンゼン環の数が2〜6であるナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセンが特に好ましい。なお、上記式8では、ベンゼン環が直線状に縮合している化合物を形式上示しているが、例えば、フェナントレン、クリセン、ピセン、ペンタフェン、ヘキサフェン、ヘプタフェン、ベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、アントラナフタセン等のように非直線状に縮合している分子も式8の化合物に含まれる。
また、縮合複素環化合物としては、下記式11〜16
Figure 2007157752
から選択される化合物が挙げられる。
式11中、X1は炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であり、X2は炭素原子又は窒素原子である(ただし、X1及びX2が同時に炭素原子の場合は除く);n1は0〜4の整数である。
式12中、X3は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である;n2及びn3は0≦n2+n3≦2を満たす整数である。
式13中、X4及びX5はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X4及びX5が同時に炭素原子の場合は除く);n4は0〜4の整数である。
式14中、X6及びX7はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X6及びX7が同時に炭素原子の場合は除く);n5は0〜4の整数である。
式15中、X8及びX9はそれぞれ独立して炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である(ただし、X8及びX9が同時に炭素原子の場合は除く);n6及びn7は0≦n6+n7≦2を満たす整数である。
式16中、X10及びX11はそれぞれ独立して炭素原子又は窒素原子である(ただし、X10及びX11が同時に炭素原子の場合は除く);n8及びn9は0≦n8+n9≦2を満たす整数である。
上記から好適なR1としては、
(1)ベンゼンを2〜8個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基、2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基、及びそれらの組み合わせから選択されたπ電子共役系分子
(2)チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基からなるπ電子共役系分子
(3)2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基からなるπ電子共役系分子
(4)ベンゼンを2〜8個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基及び2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基から選択される基を少なくとも2種以上含むπ電子共役系分子
に由来する基が挙げられる。
更に、ユニット間には、ビニレン基が位置していてもよい。ビニレン基を与える炭化水素としては、アルケン、アルカジエン、アルカトリエン等が挙げられる。アルケンとしては、炭素数2〜4の化合物、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。なかでも、エチレンが好ましい。アルカジエンとしては、炭素数4〜6の化合物、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられる。アルカトリエンとしては、炭素数6〜8の化合物、例えば、ヘキサトリエン、ヘプタトリエン、オクタトリエン等が挙げられる。
更に、有機基R1を得るための化合物は、縮合芳香族化合物に由来するユニットが2以上結合した化合物であってもよく、縮合芳香族化合物に由来するユニットと単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物に由来するユニットとが結合した化合物であってもよい。
これら有機基は、末端に官能基を有していてもよい。具体的な官能基としては、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又は、カルボキシル基、エステル基、トリアルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基のなかでも、立体障害により有機薄膜の結晶化を阻害しないという観点から、炭素数1〜30の直鎖アルキル基が特に好ましく、炭素数1〜3の直鎖アルキル基が更に好ましい。
また、官能基は、5員環及び/又は6員環で構成される縮合環数2〜8の縮合複素環化合物に由来する1価の基であってもよい。縮合複素環化合物としては、以下の一般式(a)〜(f)の化合物が挙げられる。
一般式(a);
Figure 2007157752
(式中、X1、X2、n1は同上)
一般式(b);
Figure 2007157752
(式中、X3、n2、n3は同上)
一般式(c);
Figure 2007157752
(式中、X4、X5、n4は同上)
一般式(d);
Figure 2007157752
(式中、X6、X7、n5は同上)
一般式(e);
Figure 2007157752
(式中、X8、X9、n6、n7は同上)
一般式(f);
Figure 2007157752
(式中、X10、X11、n8、n9は同上)
また、有機基R1は、側鎖を有していてもよい。ここで側鎖としては、隣接分子と反応しなければどのような基であってもかまわない。側鎖としては、置換又は無置換のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ジアリールアミノ基、ジ又はトリアリールアルキル基、アルコキシ基、オキシアリール基、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、フェニル基、アセン基が挙げられる。中でも、有機薄膜材料として使用することを考え、隣接分子との分子間相互作用を大きく作用させることを考慮すると、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基でシリル基を置換したトリアルキルシリル基、炭素数1〜4のアルキル基を有する2級及び3級炭化水素、ベンゼン環数が1〜4のフェニル基、ナフタレン及びアントラセン、炭素数1〜4のアルキル基を含む3級アミノ基等が好ましい。
有機基R1に対するシリル基(SiZ123)の結合位置は、特に限定されず、結合することができる限りどこの位置でもよい。
有機シラン化合物の特に好適な例を下記する。
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
Figure 2007157752
以下に有機シラン化合物の合成方法を説明する。
有機シラン化合物は上記の有機基R1を含有する分子にシリル基を導入することによって合成可能である。シリル基の導入部位は得られる単分子膜が、分子が規則的に配列される分子結晶性を確保できる限り特に制限されない。
有機基R1含有分子のシリル化は、種々の公知の手法によって達成可能である。例えば、(1)対応する臭素や、塩素、又はヨウ素等のハロゲン原子を有する化合物から得られるグリニヤール試薬やリチウム試薬とハロゲンやアルコキシを有する有機シラン化合物との反応、(2)対応する炭素−炭素多重結合を有する化合物と少なくとも一つの水素をケイ素原子上に有する有機シラン化合物とを塩化白金酸等の触媒存在下で加熱攪拌することによるハイドロサイレーション反応、(3)パラジウム触媒を用い、対応するビニルホウ素化合物と有機ハロゲン化シラン化合物をクロスカップリングさせて、置換オレフィンを合成する反応を利用できる。
より具体的には(1)の方法としての以下の方法を利用できる。
(式) R1−MgX (2)
(式中、R1は上記参照、Xはハロゲン原子である)で示される化合物と、
(式) Y1−SiZ123 (3)
(式中、Y1はハロゲン原子であり、Z1〜Z3は上記と同じ)で示される化合物(例えば、テトラクロロシラン、トリエトキシハロゲノシラン)とを反応させて、
(式) R1−SiZ123(4)
有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。上記方法中、ハロゲン原子とは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記合成時の反応温度は、例えば、−100〜150℃が好ましく、より好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、工程毎に、例えば、0.1〜48時間程度である。反応は、通常、無水条件下、反応に影響のない有機溶媒中で行われる。反応に悪影響のない有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等の脂肪族又は芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系炭化水素等が挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。なかでも、ジエチルエーテルとTHFが好適である。反応は、任意に触媒を用いてもよい。触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触媒等、触媒として公知のものを用いることができる。
次に、有機基R1の前駆体として好適な、単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物又はアセン骨格を含む化合物の合成方法の一例を記載する。
(1)単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物
単環の芳香族化合物であるベンゼン又は複素環化合物であるチオフェンに由来するユニットから構成される化合物の合成方法としては、まず、ベンゼン又はチオフェンの反応部位をハロゲン化させた後に、グリニヤール反応を利用する方法が有効である。この方法を使用すれば、ベンゼン又はチオフェンの数を制御した化合物を合成することができる。また、グリニヤール試薬を適用する方法以外にも、適当な金属触媒(Cu、Al、Zn、Zr、Sn等)を利用したカップリングによっても合成することができる。
更に、チオフェンについては、グリニヤール試薬を利用する方法以外に、下記合成方法を利用することができる。
すなわち、まず、チオフェンの2位又は5位をハロゲン化(例えば、ブロモ化、クロロ化)させる。ハロゲン化させる方法としては、例えば、1当量のN−クロロスクシンイミド(N−Chlorosuccinimide:NCS)又はN−ブロモスクシンイミド(N−Bromosuccinimide:NBS)処理や、オキシ塩化燐(phosphorus oxychloride:POCl3)処理が挙げられる。このときの溶媒としては、例えばクロロホルム・酢酸(AcOH)混合液、DMF、四塩化炭素が使用できる。また、ハロゲン化したチオフェン同士を、DMF溶媒中でトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(tris(triphenylphosphine)Nickel:(PPh3)3Ni)を触媒として反応させることによって、結果的にハロゲン化させた部分でチオフェン同士を直接結合できる。
更に、ハロゲン化したチオフェンに対して、ジビニルスルホンを加え、カップリングさせることにより1,4−ジケトン体を形成させる。続いて、乾燥トルエン溶液中で、ローウェッソン剤(Lawesson Regent:LR)又はP410を加え、前者の場合一晩、後者の場合3時間程度還流させることによって、閉環反応を起こさせる。その結果、カップリングしたチオフェンの合計数よりもひとつチオフェンの数が多い化合物を合成できる。
チオフェンの上記反応を利用して、チオフェン環の数を増加させることができる。
なお、上記化合物は、その合成に使用した原料と同じく、末端をハロゲン化させることができる。そのため、化合物をハロゲン化させた後、例えばSiCl4と反応させることによって、末端にシリル基を有し、かつベンゼン又はチオフェンに由来するユニットのみからなる有機残基を備えたシラン化合物(単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物)を得ることができる。
更に、ベンゼン又はチオフェンのみからなる化合物の合成例を以下の(A)〜(C)に示す。なお、下記チオフェンのみからなる化合物の合成例(A)では、チオフェンの3量体から6又は7量体への反応のみを示した。しかし、ユニット数の異なるチオフェンと反応させれば、前記6又は7量体以外の化合物を形成できる。例えば、2−クロロチオフェンをカップリングした後にNCSによりクロロ化させた2−クロロビチオフェンに下記と同様の反応をさせることによって、チオフェン4又は5量体を形成できる。更に、チオフェン4量体をNCSによりクロロ化させれば更にチオフェン8又は9量体も形成することができる。
Figure 2007157752
所定数のチオフェンとベンゼン由来のユニットがそれぞれ結合した単位を直接結合することにより、ブロック型の化合物を得る方法としては、例えば、グリニヤール反応を使用する方法がある。この場合の合成例としては、以下の方法が適用できる。
まず、単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物の所定位置をハロゲン化(例えば、ブロモ化)した後に、n−BuLi、B(O−iPr)3を付与することによって脱ブロモ化及びホウ素化できる。このときの溶媒は、エーテルが好ましい。また、ホウ素化させる場合の反応は、2段階であり、初期は反応を安定化させるために、1段階目は−78℃で行い、2段階目は−78℃から室温に徐々に温度を上昇させることが好ましい。一方で、両端にハロゲン基(例えば、ブロモ基)を有するベンゼン又はチオフェンを用いてグリニヤール反応からブロック型化合物の中間体を作製しておく。
この状態で、未反応のブロモ基と上記のホウ素化された化合物を、例えばトルエン溶媒中に展開させ、Pd(PPh34、Na2CO3の存在下、85℃の反応温度にて、反応を完全に進行させれば、カップリングを起こさせることが可能である。結果的に、ブロック型の化合物を合成することができる。
このような反応を用いた化合物(D)及び(E)の合成例を以下に示す。
Figure 2007157752
ベンゼン又はチオフェンに由来するユニットとビニル基が交互に結合される化合物の合成方法としては、例えば以下の方法が適用できる。すなわち、ベンゼン又はチオフェンの反応部位にメチル基を有する原料を準備した後に、その両端を2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びNBSを用いてブロモ化させる。この後、ブロモ体にPO(OEt)3を反応させ、中間体を形成させる。つづいて、末端にアルデヒド基を有する化合物と、中間体とを、例えばDMF溶媒中でNaHを用いて反応させることによって、上記の化合物は形成できる。なお、得られた化合物は、末端にメチル基を有するため、例えばこのメチル基を更にブロモ化させ、上記合成ルートを再度適用すれば、更にユニット数の多い化合物を形成できる。
このような反応を用いて長さの異なる化合物(F)〜(H)の合成例を以下に示す。
Figure 2007157752
いずれの化合物についても、所定の位置に側鎖(例えばアルキル基)を有する原料を用いることもできる。すなわち、例えば、原料として2−オクタデシルターチオフェンを用いれば、上記の合成ルートにより化合物(A)として2−オクタデシルセクシチオフェンを得ることができる。同様に、所定の位置にあらかじめ官能基や側鎖を有する原料を用いれば、上記(A)〜(H)のいずれの化合物でかつ、官能基や側鎖を有する化合物を得ることができる。
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。以下に原料のCASナンバー、及び、試薬メーカーとして例えばキシダ化学より入手した場合の試薬の純度を示しておく。
Figure 2007157752
なお、上記単環の芳香族化合物及び/又は単環の複素環化合物が2個以上結合した化合物の合成方法に準じて、縮合芳香族化合物及び縮合複素環化合物も、単環の芳香族化合物、単環の複素環化合物、縮合芳香族化合物及び縮合複素環化合物と結合させることができる。
(2)アセン骨格、アセナフテン骨格、ペリレン骨格を含む化合物
アセン骨格を含む化合物の合成方法としては、例えば(1)原料化合物の所定位置の2つの炭素原子に結合する水素原子をエチニル基で置換した後に、エチニル基同士を閉環反応させる工程を繰り返す方法、(2)原料化合物の所定位置の炭素原子に結合する水素原子をトリフラート基で置換し、フラン又はその誘導体と反応させ、続いて酸化させる工程を繰り返す方法等が挙げられる。これらの方法を用いたアセン骨格を有する化合物(I)〜(J)の合成例を以下に示す。
方法(1)
Figure 2007157752
方法(2)
Figure 2007157752
また、上記方法(2)では、アセン骨格のベンゼン環を一つずつ増やす方法であるため、例えば原料化合物の所定部分に反応性の小さな側鎖又は保護基が含まれていても同様にアセン骨格を含む化合物(K)を合成できる。この場合の合成例を以下に示す。
Figure 2007157752
なお、Ra、Rbは、炭化水素基やエーテル基等の反応性の小さな側鎖又は保護基であることが好ましい。
また、上記方法(2)の反応式中、2つのアセトニトリル基及びトリメチルシリル基を有する出発化合物を、これら基が全てトリメチルシリル基である化合物に変更してもよい。また、上記反応式中、フラン誘導体を使用した反応後、反応物をヨウ化リチウム及びDBU(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)下で、還流させることで、出発化合物よりベンゼン環数が1つ多く、かつヒドロキシル基が2つ置換した化合物を得ることができる。
アセナフテン骨格及びペリレン骨格を有する化合物(L)〜(M)は、例えば以下のように合成できる。
Figure 2007157752
また、側鎖として、窒素原子が2個の芳香族環基で置換された2級アミノ基をペリレン骨格に挿入する手法としては、あらかじめ側鎖の挿入部分をハロゲン化させた後に、金属触媒存在下で上記2級アミノ基をカップリングさせる手法が挙げられる。例えば上記ペリレン分子の場合、例えば以下の手法により2級アミノ基を挿入できる。
Figure 2007157752
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。例えばナフタセンは東京化成より純度97%以上で入手できる。
有機シラン化合物は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等により反応溶液から単離、精製することができる。
緩衝膜の形成方法は、単分子膜を形成することができさえすれば特に限定されない。緩衝膜表面の均一性を考慮すると、LB法、浸漬法、CVD法の順に均一性の高い膜を形成することができる。また、蒸着法を用いてもよい。
例えば、有機シラン化合物をヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素等の無水の有機溶媒に溶解する。得られた溶液(例えば、1mM〜100mM程度の濃度)中に、薄膜を形成しようとする基板を浸漬して、引き上げる。又は、得られた溶液を基板表面に塗布してもよい。その後、非水系有機溶媒で洗浄し、水洗し、放置するか加熱することにより乾燥して、有機薄膜を定着させる。この薄膜は、そのまま有機薄膜として用いてもよいし、更に電解重合等の処理を施して用いてもよい。
有機シラン化合物がシラノール結合を介して結合するためには、シリル基に結合する官能基が脱離して水酸基又はプロトンに置換される必要がある。置換されたシリル基は、ゲート絶縁膜表面の水酸基(又はカルボキシル基)と反応し、シラノール結合が形成される。
また、隣り合う式(1)におけるSiがそのまま、又は酸素原子を介して架橋する場合には、例えば、Si−O−Siネットワークに制御されて、隣り合うユニット間距離が小さく、かつより高度に結晶化される。特に、ユニットが、直鎖に配置されている場合には、隣り合うユニット同士は結合せずに、隣り合うユニット間距離を最小限にして、高度に結晶化された材料を得ることができる。このようなユニットの配向により、基板の表面方向にキャリア移動機能を示す緩衝膜を得ることができる。言い換えると、基板表面に対して、垂直方向と表面方向で、電気特性が異なる電気的異方性を有する緩衝膜を得ることができる。
緩衝膜を形成した後は、非水系溶媒を用いて緩衝膜から未反応の有機シラン化合物を洗浄除去することが好ましい。
(有機薄膜)
有機薄膜の材料は、当該分野で公知の材料や上記有機シラン化合物からシリル基を除いた化合物を使用できる。有機薄膜材料としては、トランジスタ駆動又は材料供給を考慮すると以下の低分子化合物ならびに高分子化合物が好ましい。
低分子化合物としては、分子量1,000未満の化合物が好ましく、具体的には、3〜10個のベンゼン環を縮合させたアセン、チオフェンを3〜10個繰り返したオリゴチオフェン、ベンゼンを3〜10個繰り返したオリゴフェニレン、ベンゼン及びビニレンを1〜10個繰り返したオリゴフェニレンビニレン、ベンゼン及びチオフェンを1〜10個繰り返したオリゴフェニレンチオフェンが挙げられる。
高分子化合物としては、数平均分子量1,000以上の化合物が好ましく、繰り返しユニットが、チオフェン系、フェニレンビニレン系、アセン系である化合物が挙げられる。中でもナフタセン、ペンタセン、ペリレン、ルブレン、クィンケチオフェン(α−5T)、セクシチオフェン(α−6T)、セクシフェニレン、ユニット数3のオリゴフェニレンビニレン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリフェニレンビニレン(PPV)及びそれらの誘導体が特に好ましい。
更に、フラーレン(C60)、C60−フューズド ピロリジン−メタ−C12フェニル(C60MC12)、[6、6]−フェニルC61−ブタン酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン系化合物も使用できる。
有機薄膜の製造方法としては、SAM法(例えば、LB法、蒸着、ディップ、浸漬、キャスト、CVD法等)のような有機薄膜を形成しうる一般的な手法がすべて適用できるが、材料・量産のコストを勘案して適宜設定される。
なお、本明細書における、SAM法、LB法、蒸着、ディップ、浸漬、キャスト、CVD法の定義を下記する。
SAM法は、Self−Assembled Monolayerの略であり、自己組織化可能な材料を用いて膜を形成する手法を指しており、LB法/浸漬法(ディップ法)/キャスト法/CVD法いずれの方法も含まれる。
LB法は、Langmuir−Blodgett法の略であり、水面上に疎水基と親水基のバランスのとれた両親媒性の物質を水面上に展開し、単分子膜といわれる分子一層の膜を作製、さらにそれを基板に転写する手法である。
蒸着法は、原料を加熱することにより蒸気とし、それを所望の領域に堆積させる方法であり、例えば有機半導体材料の場合には、抵抗加熱による蒸着法が使用できる。
浸漬法(ディップ法)は、ある溶液に対して、基板を漬け、次いで引上げることで膜を形成する方法であり、結晶性を有する材料の場合、特有の構造の結晶を成長させることができる。
キャスト法は、所望の領域に対して原料を含む溶液を滴下、乾燥することにより膜を形成する方法を意味し、インクジェットも含まれる。
CVD法は、密閉容器や密閉空間内で、溶液を加熱/蒸発させ、気化された分子を基板表面に気相で吸着させる方法を意味する。
なお、有機TFTの製造方法としては、有機薄膜のソース/ドレイン電極接触面を緩衝膜で覆った後、ソース/ドレイン電極を形成するか、又はソース/ドレイン電極の有機薄膜接触面を緩衝膜で覆った後、有機薄膜を形成する工程を含みさえすれば特に限定されない。
例えば、
(1)基板上にゲート電極を形成する工程と、該ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア移動機能を有する単分子膜からなる緩衝膜を形成する工程と、該緩衝膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程と、該ソース/ドレイン電極間の前記該緩衝膜上に有機薄膜を形成する工程とを含む
(2)基板上にソース/ドレイン電極を形成する工程と、該ソース/ドレイン電極上に有機シラン化合物から形成されキャリア移動機能を有する単分子膜からなる緩衝膜を形成する工程と、緩衝膜上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程とを含む
(3)基板上に有機薄膜を形成する工程と、該有機薄膜上に有機シラン化合物から形成されキャリア移動機能を有する単分子膜からなる緩衝膜を形成する工程と、該緩衝膜上にソース/ドレイン電極を形成する工程と、該ソース/ドレイン電極間の緩衝膜上にゲート絶縁膜を形成する工程と、該ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程とを含む
方法が挙げられる。上記方法の内、緩衝膜による有機薄膜の結晶性の調整が容易である方法(1)及び(2)が好ましい。
(仕事関数確認)
実施例1
まず、シリコン基板上に、スパッタにより銅の薄膜を形成し、続いて、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、親水化処理を行った。その後、得られた基板を嫌気条件において、ナフタセントリエトキシシランの非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解した20mM溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、緩衝膜を形成した。上記により得られた基板について、ケルビン法にて仕事関数を測定したところ、5.1eVであった。
実施例2〜12
表2に示したように緩衝膜の原料を変更すること以外は、実施例1と同様にして基板/銅/緩衝膜の系を得た。得られた系の仕事関数を実施例1と同様にして測定し、結果を表2に示した。
Figure 2007157752
表2中の緩衝膜の原料の製造方法は、実施例の最後に合成例としてまとめて記載する。
(TFT製造及び特性確認)
実施例13
図1に示す有機TFTを作製するために、まず、シリコンからなる基板1上に、20wt%の銀を分散させたエタノール溶液を塗布し、300℃、1時間焼成することでゲート電極2を形成した。
次に、プラズマCVD法によりチッ化シリコン膜からなるゲート絶縁膜3を堆積した後、再度20wt%の銀を分散させたエタノール溶液を塗布し、300℃、1時間焼成することでソース/ドレイン電極(5、7)(仕事関数4.3eV)を形成した。
続いて、得られた基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、ゲート絶縁膜3表面を親水化処理した。その後、得られた基板を嫌気条件において、ナフタセントリエトキシシランを非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解した20mM溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、緩衝膜4を形成した。
続いて、上記基板を真空中に導入し、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でナフタセン薄膜を100nm蒸着して有機薄膜6を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で得られた有機TFTは、電界効果移動度が5.5×10-2cm2/Vsで、オン/オフ比が約4桁であり、良好な性能が得られた。
実施例14
まず、実施例13と同様に基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース/ドレイン電極を形成し、得られた基板の親水化処理を行った。その後、得られた基板を嫌気条件において、20mMペンタセントリエトキシシランを非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解させた溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、緩衝膜を形成した。続いて、上記基板を真空中に導入し、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でナフタセン薄膜を100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で得られた有機TFTは、電界効果移動度が7.1×10-2cm2/Vsで、オン/オフ比が約5桁であり、良好な性能が得られた。
実施例15
まず、実施例13と同様に基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース及びドレイン電極を形成し、得られた基板の親水化処理を行った。その後、得られた基板を嫌気条件において、10mMナフタセントリエトキシシラン、10mMペンタセントリエトキシシランを非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解させた溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、緩衝膜を形成した。続いて、上記基板を真空中に導入し、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でナフタセン薄膜を100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で得られた有機TFTは、電界効果移動度が8.5×10-2cm2/Vsで、オン/オフ比が約5桁であり、さらに良好な性能が得られた。
比較例1
実施例13と同様に基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース及びドレイン電極を形成した。この後、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でナフタセンを100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で得られた有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が8.3×10-3cm2/Vsで、オン/オフ比が約3桁であった。
比較例1と実施例13とを比較すると、実施例13のように、緩衝膜を含む方が高い特性が得られることが確認できる。このことより緩衝膜を介することで電極から有機薄膜への効率的にキャリアを輸送できることがわかる。
実施例13と実施例14を比較すると、有機薄膜(実施例ではナフタセン)と電極(実施例ではソース/ドレイン電極)との間の仕事関数を有する緩衝膜を含む方がさらによい特性を得られることが確認できる。
また、実施例15では実施例14の材料よりも仕事関数が小さいにもかかわらず、実施例15の系における特性の方が高くなることが確認できる。実施例15では緩衝膜がナフタセントリエトキシシランとペンタセントリエトキシシランの混合系であり、見かけ上は前記2種類の仕事関数の中間値となるが、実際は薄膜中のキャリアが電極からペンタセントリエトキシシラン、ナフタセントリエトキシシラン、ナフタセンの順に輸送されているためと考えられる。このように、緩衝膜を混合系にすることによって、さらに高い特性を有する有機TFTを実現することができる。
実施例16
まず、シリコンからなる基板上にタンタルを蒸着し、ゲート電極を形成した。
次に、プラズマCVD法によりチッ化シリコン膜からなるゲート絶縁膜を堆積した後、スパッタにより銅(仕事関数4.7eV)の薄膜を形成し、通常のリソグラフィー技術によりソース/ドレイン電極を形成した。
続いて、実施例13と同様に、得られた基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、ゲート絶縁膜表面を親水化処理した。その後、得られた基板を嫌気条件において、20mMアントラセントリエトキシシランを非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解させた溶液に5分間浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、緩衝膜を形成した。
この後、真空度1×10-6Torr、蒸着速度10Å/minの条件でアントラセンを100nm蒸着して有機薄膜を形成することで、有機TFTを形成した。
上記で得られた有機TFTは、電界効果移動度が8.5×10-4cm2/Vsで、オン/オフ比が約4桁であった。
実施例17〜22及び比較例2〜8
表2に示したように電極、緩衝膜及び有機薄膜の原料及び両膜の形成方法を変更すること以外は、実施例13と同様にして有機TFTを得た。得られた有機TFTの移動度及びオン/オフ比を実施例13と同様にして測定し、結果を表3に示した。
Figure 2007157752
表3中、P3はナフタセントリエトキシシランを、P4はアントラセントリエトキシシランを、P5はペンタセントリエトキシシランを、P6はヘキサセントリエトキシシランを、4Tはクォーターチオフェントリクロロシランを、5Tはクィンケチオフェントリエトキシシランを、6Tは2−メチルゼクシチオフェントリメトキシシランを、7Tは2−メチルヘプタチオフェントリメトキシシランを、8Tは2−メチルオクタチオフェントリメトキシシランを意味する。
実施例16〜22及び比較例2〜8を各々比較すると、実施例13〜15及び比較例1との関係と同様に、緩衝膜のない系、有機薄膜と同程度の仕事関数を有する緩衝膜を含む系、有機薄膜と電極の中間値の仕事関数を有する緩衝膜を含む系、有機薄膜と電極の中間値の仕事関数を有する緩衝膜を複数混合して含む系の順に特性が大きくなることが確認できる。すなわち、緩衝膜を使用すると特性の高い有機TFTを実現できること、このとき緩衝膜が有機薄膜と電極の仕事関数の中間値の仕事関数を有すると、さらに高い特性を得ることができること、さらに、緩衝膜が有機薄膜と電極の仕事関数の中間値の仕事関数を有する複数材料の混合系であれば、さらに高い特性を得ることができることがわかる。
合成例1:クォーターチオフェントリクロロシランの合成
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、クォーターチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモクオーターチオフェンを得た。続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモクオーターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにSiCl4(テトラクロロシラン)1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1060cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長390nmに吸収が観測された。更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。この化合物は、直接NMR測定することが、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.30ppm(m) (1H チオフェン環由来)
7.20ppm〜7.00ppm(m) (8H チオフェン環由来)
2.20ppm(m) (3H エトキシ基由来)
これらの結果から、この化合物がクォーターチオフェントリクロロシランであることを確認した。
合成例2:クィンケチオフェントリエトキシシランの合成
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ビチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモビチオフェンを得た。
続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ターチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモターチオフェンを得た。
上記ブロモターチオフェン0.5モル、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
さらに前記ブロモビチオフェン0.5モルを加え、50度4時間反応させることで、クィンケチオフェンを合成した。続いて、前記クィンケチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることでブロモクィンケチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリエトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
6.6ppm(m) (8H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
1.2ppm(m)(9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例3:2−メチルゼクシチオフェントリメトキシシランの合成
まず、合成例2と同様にしてブロモターチオフェンを合成した。
続いて、前記ブロモターチオフェン1.0モルを、ブロモメタン1.0モルと60℃、3時間反応させることで、メチルターチオフェンを合成した。続いて、前記メチルターチオフェン0.7モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’−ブロモターチオフェンを合成した。
一方、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
続いて、前記2−メチル−5’’−ブロモターチオフェンをさらに加え、60℃、4時間反応させることで、2−メチルゼクシチオフェンを合成した。さらに、前記2−メチルゼクシチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’’’’’−ブロモゼクシチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリメトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
7.1ppm(m) (10H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.6ppm(m) (3H メチル基由来)
1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例4:2−メチルヘプタチオフェントリメトキシシランの合成
まず、合成例2と同様にして、中間体であるブロモターチオフェン及びブロモクオーターチオフェンを合成した。
続いて、ブロモクオーターチオフェン1.0モルを、ブロモメタン1.0モルと60℃、3時間反応させることで、メチルクオーターチオフェンを合成した。続いて、前記メチルクオーターチオフェン0.7モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’’−ブロモクオーターチオフェンを合成した。
一方、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
続いて、前記2−メチル−5’’’’−ブロモクオーターチオフェンをさらに加え、60℃、4時間反応させることで、2−メチルヘプタチオフェンを合成した。さらに、前記2−メチルヘプタチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’’’’’’−ブロモヘプタチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリメトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて5時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
7.1ppm(m) (12H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.6ppm(m) (3H メチル基由来)
1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例5:2−メチルオクタチオフェントリメトキシシランの合成
まず、合成例2と同様にして、ブロモクオーターチオフェンを、合成例4と同様にして、2−メチル−5’’’−ブロモクオーターチオフェンを合成した。
一方、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモクオーターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
続いて、前記2−メチル−5’’’’−ブロモクオーターチオフェンをさらに加え、60℃、4時間反応させることで、2−メチルオクタチオフェンを合成した。さらに、前記2−メチルオクタチオフェン0.2モルをAIBN存在下でNBSと反応させることで2−メチル−5’’’’’’’’−ブロモオクタチオフェンを合成した後、金属マグネシウムと反応させ、グリニヤール試薬を合成し、さらに、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにトリメトキシクロロシラン1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて5時間成熟を行った。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応物をストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1050cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.3ppm(m) (2H チオフェン環由来)
7.1ppm(m) (14H チオフェン環由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.6ppm(m) (3H メチル基由来)
1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例6:アントラセントリエトキシシランの合成
アントラセントリエトキシシランは以下の手法により合成した。
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたアントラセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモアントラセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、クロロトリエトキシシランの四塩化炭素溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率15%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.60ppm(m)(9H 芳香族由来)
3.8ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.5ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例7:ナフタセントリエトキシシランの合成
ナフタセントリエトキシシランは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたナフタセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモナフタセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、H−Si(OC253のクロロホルム溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率10%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。化合物を含むクロロホルム溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長481nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるナフタセン骨格のπ→π*遷移に起因しており、化合物がナフタセン骨格を含むことが確認できた。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)(11H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例8:ペンタセントリエトキシシランの合成
ペンタセントリエトキシシランは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたペンタセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ブロモペンタセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、H−Si(OC253のクロロホルム溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率10%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1050nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)(13H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
合成例9:ヘキサセントリエトキシシランの合成
(1)2,3,6,7−テトラ(トリメチルシリル)ナフタレンの合成
まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた200mlガラスフラスコに、マグネシウム0.4M、HMPT(Hexamethyl phosphorous triamide)100mL、THF20mL及びI2(触媒)、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン(例えばキシダ化学より純度99%で購入できる)0.1Mを加えた後、温度80℃にて、クロロトリメチルシラン0.4Mを滴下し、30分間攪拌した後、130℃にて4日間還流させることにより、1,2,4,5−テトラ(トリメチルシリル)ベンゼンを合成した。
続いて、200mLナスフラスコに、i−Pr2NH20mM、PhI(OAc)2[(ジアセトキシヨード)ベンゼン((diacetoxyiodo)benzene)]50mM、ジクロロメタン50mLを加えた後、0℃にてCF3CO2H(TfOH)50mMを滴下し、2時間攪拌した。続いて前記1,2,4,5−テトラ(トリメチルシリル)ベンゼン50mMを含むジクロロメタン溶液10mLを0℃にて滴下し、室温にて2時間攪拌することにより、フェニル[2,4,5−トリス(トリメチルシリル)フェニル]ヨードニウム トリフレート(phenyl[2,4,5−tris(trimethylsilyl)phenyl]iodonium Triflateを)合成した。
さらに続いて、50mLナスフラスコに、Bu4NF2.0MのTHF溶液を仕込み、前記フェニル[2,4,5−トリス(トリメチルシリル)フェニル]ヨードニウム トリフレート5mM及び3,4−ジ(トリメチルシリル)フラン10mMを含むジクロロメタン溶液10mLを0℃にて滴下し、30分間攪拌することで反応を進行させた。反応終了後、ジクロロメタン及び水にて抽出を行ない、カラムクロマトグラフにて精製を行うことで、1,4−ジヒドロ−1,4−エポキシナフタレン誘導体を合成した。
その後、前記1,4−ジヒドロ−1,4−エポキシナフタレン誘導体をヨウ化リチウム1mM,DBU(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene)10mMを含むTHF溶液10mLを、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた50mlガラスフラスコに仕込み、前記1,4−ジヒドロ−1,4−エポキシナフタレン誘導体1mMを加えた後、窒素雰囲気下にて3時間還流させることで、反応を進行させた。反応終了後、抽出及びMgSO4による水分除去を行うことで、標記の2,3,6,7−テトラ(トリメチルシリル)ナフタレンを合成した。
(2)ヘキサセンの合成
まず、2,3,6,7−テトラ(トリメチルシリル)ナフタレンを出発原料として使用し、合成手法は、準備例1の、1,2,4,5−テトラ(トリメチルシリル)ベンゼンから2,3,6,7−テトラ(トリメチルシリル)ナフタレンを合成する手法と同様の手法にて、4回繰り返すことで、2,3,10,11−テトラ(トリメチルシリル)−ヘキサセンを合成した。
続いて、前記2,3,10,11−テトラ(トリメチルシリル)−ヘキサセン1mMを少量の水及びPhNMe3Fを含むTHF溶媒に溶解させた後、攪拌することで、2,3,10,11−テトラ(トリメチルシリル)−ヘキサセンを合成した。
合成した化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行ったところ、以下のスペクトルの確認ができた。
8.1ppm 4H 7.9ppm 8H 7.4ppm 4H
この結果より、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
(3)ヘキサセントリエトキシシランの合成
ヘキサセントリエトキシシランは以下の手法により合成した。まず、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた100mlナスフラスコに四塩化炭素50mLに溶解させたヘキサセン1mM及びNBSを加え、AIBN存在下で1.5時間反応させた。未反応物及びHBrをろ過により除去した後、カラムクロマトグラフを用いて、1箇所のみがブロモ化された貯留物を取り出すことにより、9−ヘキサペンタセンを得た。続いて、金属マグネシウムと反応させグリニヤール試薬を形成した後、H−Si(OC253のクロロホルム溶液中に溶解、60℃2時間反応させることにより、標記の化合物を合成した(収率10%)。
得られた化合物について、赤外吸収測定を行ったところ、波長1060nmにSi−O−Cの吸収が見られた。このことより、得られた化合物にシリル基が含まれることが確認された。
更に、化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。
7.80ppm〜7.30ppm(m)(15H 芳香族由来)
3.6ppm(m) (6H エトキシ基メチレン基由来)
1.4ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果から、この化合物が標記の化合物であることを確認した。
本発明の有機薄膜トランジスタの概略構成図である。 本発明の別の有機薄膜トランジスタの概略構成図である。 従来の有機薄膜トランジスタの概略構成図である。
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 緩衝膜
5、7 ソース/ドレイン電極
6 半導体層(有機薄膜)

Claims (13)

  1. 有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とソース/ドレイン電極との間に、エネルギー障壁を緩和する機能を有する緩衝膜とを備えたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記ソース/ドレイン電極が、表面に酸化膜形成可能な金属材料からなることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記緩衝膜は、有機シラン化合物から形成された単分子膜であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記緩衝膜が、0.5nm〜5nmの厚さであることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記有機シラン化合物が、π電子共役系分子を含むことを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、ベンゼンを2〜8個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基、2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基、及びそれらの組み合わせから選択されたπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基からなるπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基からなるπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 前記有機シラン化合物が、式(1)
    1−SiZ123・・・(1)
    (R1は、ベンゼンを2〜8個繰り返した1価の基、チオフェンを2〜8個繰り返した1価の基及び2〜6個のベンゼン環を縮合させたアセンからなる1価の基から選択される基を少なくとも2種以上含むπ電子共役系分子を含み、Z1〜Z3は、同一又は異なって、ハロゲン原子もしくは炭素数1〜5のアルコキシ基である)
    にて表されることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ。
  10. 前記有機薄膜が、低分子化合物又は高分子化合物を成膜してなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  11. 有機薄膜と、該有機薄膜の一表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、該ゲート電極の両側であって、前記有機薄膜の一表面又は他表面に接触して形成されたソース/ドレイン電極と、前記有機薄膜とソース/ドレイン電極との間に、エネルギー障壁を緩和する機能を有する緩衝膜とを備えた有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
    有機薄膜のソース/ドレイン電極接触面を緩衝膜で覆った後、ソース/ドレイン電極を形成するか、又はソース/ドレイン電極の有機薄膜接触面を緩衝膜で覆った後、有機薄膜を形成する工程を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  12. 前記緩衝膜が、浸漬法又はLB法により形成されることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  13. 前記有機薄膜が、溶液塗布法により形成されることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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