JP2004277413A - π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法 - Google Patents

π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な製造方法により容易に結晶化させて膜を形成することができるとともに、得られた膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止し、更に、大きなπ電子共役系を有することにより、電子材料、特に導電性材料として用いた場合に、十分なキャリア移動度を確保することができる新規なπ電子共役分子含有ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 式 R−SiX123 (I)(式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよく、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基である。)で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、π電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法に関し、更に詳しくは、電気材料として有用な、導電性又は半導電性の新規物質であるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物及びその製造方法に関する。
近年、無機材料を用いた半導体に対し、製造が簡単で加工しやすく、デバイスの大型化にも対応でき、かつ量産によるコスト低下が見込め、無機材料よりも多様な機能を有した有機化合物を合成できることから、有機化合物を用いた半導体(有機半導体)の研究開発が行われ、その成果が報告されている。
なかでも、π電子共役系分子を含有する有機化合物を利用することにより、大きな移動度を有するTFTを作製することができることが知られている。この有機化合物としては、代表例としてペンタセンが報告されている(例えば、IEEE Electron Device Lett.,18,606−608(1997):非特許文献1)。ここでは、ペンタセンを用いて有機半導体層を作製し、この有機半導体層でTFTを形成すると、電界効果移動度が1.5cm2/Vsとなり、アモルファスシリコンよりも大きな移動度を有するTFTを構築することが可能であるとの報告がなされている。
しかし、上記に示すようなアモルファスシリコンよりも高い電界効果移動度を得るための有機半導体層を作製する場合、抵抗加熱蒸着法や分子線蒸着法などの真空プロセスを必要とするため、製造工程が煩雑となるとともに、ある特定の条件下でしか結晶性を有する膜が得られない。また、基板上への有機化合物膜の吸着が物理吸着であるため、膜の基板への吸着強度が低く、容易に剥がれるという問題がある。更に、膜中での有機化合物の分子の配向をある程度制御するために、通常、あらかじめ膜を形成する基板にラビング処理等による配向制御が行われているが、物理吸着による成膜では、物理吸着した有機化合物と基板との界面での化合物の分子の整合性や配向性を制御できるとの報告は未だなされていない。
一方、このTFTの特性の代表的な指針となる電界効果移動度に大きな影響を及ぼす膜の規則性、結晶性については、近年、その製造が簡便なことから、有機化合物を用いた自己組織化膜が着目され、その膜を利用する研究がなされている。
自己組織化膜とは、有機化合物の一部を、基板表面の官能基と結合させたものであり、きわめて欠陥が少なく、高い秩序性すなわち結晶性を有した膜である。この自己組織化膜は、製造方法がきわめて簡便であるため、基板への成膜を容易に行うことができる。通常、自己組織化膜として、金基板上に形成されたチオール膜や、親水化処理により表面に水酸基を突出可能な基板(例えば、シリコン基板)上に形成されたケイ素系化合物膜が知られている。なかでも、耐久性が高い点で、ケイ素系化合物膜が注目されている。ケイ素系化合物膜は、従来から撥水コーティングとして使用されており、撥水効果の高いアルキル基や、フッ化アルキル基を有機官能基として有するシランカップリング剤が用いて成膜されていた。
しかし、自己組織化膜の導電性は、膜に含まれるケイ素系化合物中の有機官能基によって決定されるが、市販のシランカップリング剤には、有機官能基にπ電子共役系分子が含まれる化合物はなく、そのため自己組織化膜に導電性を付与することが困難である。したがって、TFTのようなデバイスに適した、π電子共役系分子が有機官能基として含まれるケイ素系化合物が求められている。
このようなケイ素系化合物として、分子の末端に官能基としてチオフェン環を1つ有し、チオフェン環が直鎖炭化水素基を介してケイ素原子と結合した化合物が提案されている(例えば、特許第2889768号公報:特許文献1)。
IEEE Electron Device Lett.,18,606−608(1997) 特許第2889768号公報
しかしながら、上記に提案されている化合物は、基板との化学吸着可能な自己組織化膜は作製可能であるが、TFTなどの電子デバイスに使用できる高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する有機薄膜を必ずしも作製できなかった。
高い秩序性、すなわち、高い結晶性を得るためには、分子間に高い引力相互作用が働く必要がある。分子間力とは、引力項と反発項により構成されており、前者は分子間距離の6乗に、後者は分子間距離の12乗に反比例する。したがって、引力項と反発項を足し合わせた分子間力は図11に示す関係を有する。ここで、図11での極小点(図中の矢印部分)が、引力項と反発項との兼ね合いから最も分子間に高い引力が作用するときの分子間距離である。すなわち、より高い結晶性を得るためには、分子間距離を極小点にできる限り近づけることが重要である。したがって、本来、抵抗加熱蒸着法や分子線蒸着法等の真空プロセスにおいては、ある特定の条件下においてのみ、π電子共役系分子同士の分子間相互作用をうまく制御することで、高い秩序性、すなわち結晶性が得られている。このように分子間相互作用により構築される結晶性でのみ、高い電気伝導特性を発現することが可能となる。
一方、上記化合物は、Si−O−Siの2次元ネットワークを形成することで基板と化学吸着し、かつ、特定の長鎖アルキル同士の分子間相互作用による秩序性が得られる可能性はあるが、官能基である1つのチオフェン分子がπ電子共役系に寄与するのみであるため、分子間の相互作用が弱く、また電気伝導性に不可欠なπ電子共役系の広がりが非常に小さいという問題があった。仮に、上記官能基であるチオフェン分子の分子数を増やすことができたとしても、膜の秩序性を形成する因子が、長鎖アルキル部とチオフェン部との間で、分子間相互作用を整合一致させることは困難である。
更に、電気伝導特性としては、官能基である1つのチオフェン分子では、HOMO−LUMOエネルギーギャップが大きく、有機半導体層としてTFT等に使用しても、十分なキャリア移動度が得られないという課題が存在していた。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡便な製造方法により容易に結晶化させて有機薄膜を形成することができるとともに、得られた有機薄膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止して、かつ、高い秩序性、結晶性、電気伝導特性を有する有機薄膜を作製するための化合物を提供することを目的とし、更に、TFTのような電子デバイスとして用いた場合に、十分なキャリア移動度を確保することができる新規なπ電子共役分子含有ケイ素化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、TFTのような電子デバイスに適応可能な有機薄膜を作製するには、Si−O−Siの2次元ネットワークを形成して、基板と強固に化学結合が可能であると同時に、その有機薄膜の秩序性(結晶性)はSi−O−Siの2次元ネットワーク上に形成した分子(ここではπ電子共役分子)の相互作用すなわち分子間力によって制御が可能であることを見いだし、新規なπ電子共役分子含有ケイ素化合物を発明するに至った。
すなわち、本発明によれば、式 R−SiX123 (I)
(式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよく、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物が提供される。
このように、π電子共役系を構成するユニットが結合してなる有機残基を有し、かつ、水分と反応しうる官能基である−SiX123を有した化合物は、例えば、化学吸着法により、Si−O−Siの2次元ネットワークを形成させることができるため、高度に秩序性(結晶性)を有した有機薄膜を形成できる利点がある。
また、本発明によれば、式 R−Li (II)
(式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよい。)
で表される化合物と、
式 Y−SiX123 (III)
(式中、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
で表される化合物とを反応させて、
式 R−SiX123 (I)
(式中、R、X1、X2、X3は上記と同義である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を得ることを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、式 R−MgX (IV)
(式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよい。)
で表される化合物と、
式 Y−SiX123 (III)
(式中、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
で表される化合物とを、グリニヤール反応に付して、
式 R−SiX123 (I)
(式中、R、X1、X2、X3は上記と同義である。)
で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を得ることを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法が提供される。
本発明によれば、式(I)の化合物は、π電子共役系分子を有するケイ素化合物間で形成されるSi−O−Siの2次元ネットワーク化により、基板に化学吸着すると共に、膜の結晶化に必要な近距離力である、π電子共役系分子同士に作用する分子間相互作用が、効率的に働くため、非常に高い安定性を有し、且つ、高度に結晶化された有機薄膜を構成することができる。したがって、基板に物理吸着により作製した膜と比較して、得られた膜を基板表面に強固に吸着させて、物理的な剥がれを防止することができる。
しかも、上記のような化合物を簡便に製造することが可能になる。
また、有機薄膜を構成するケイ素化合物由来のネットワークと上部を構成する有機残基が直接結合しており、かつケイ素化合物由来のネットワークとπ共役系分子の分子間相互作用によって、高い秩序性(結晶性)を有する有機薄膜を形成することができる。これにより、分子平面と垂直な方向へのホッピング伝導により、キャリアの移動がスムーズに行われる。また、分子軸方向へも高い導電性が得られることで、導電性材料として、有機薄膜トランジスタ材料のみならず、太陽電池、燃料電池、センサー等に広く応用することが可能となる。
本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物(以下、単にケイ素化合物と称する)は、式(I)、すなわちR−SiX123で表される。
式(I)中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基であり、末端に官能基を有していてもよい。
上記ユニットを構成する単環の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、シメン、スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なかでも、ベンゼンが特に好ましい。
単環の複素環化合物に含まれる複素原子としては、酸素、窒素及び硫黄が挙げられる。具体的な複素環化合物としては、フランのような酸素原子含有化合物、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリン等の窒素原子含有化合物、チオフェンのような硫黄原子含有化合物、オキサゾール、イソキサゾール等の窒素及び酸素原子含有化合物、チアゾール、イソチアゾール等の硫黄及び窒素原子含有化合物等が挙げられ、なかでも、チオフェンが特に好ましい。
上記ユニットは、3〜10個結合してπ電子共役系の有機残基となる。更に、上記ユニットは、収率、経済性、量産化を考慮すると、3〜8個結合していることがより好ましい。
これらユニットは、複数個、分岐状に結合していてもよいが、直線状に結合していることが好ましい。また、有機残基は、同じユニットが結合していてもよいし、すべて異なるユニットが結合していてもよいし、複数種類のユニットが規則的に又はランダムな順序で結合していてもよい。また、結合の位置は、ユニットの構成分子が5員環の場合には、2,5−位、3,4−位、2,3−位、2,4−位等のいずれでもよいが、なかでも、2,5−位が好ましい。6員環の場合には、1,4−位、1,2−位、1,3−位等のいずれでもよいが、なかでも、1,4−位が好ましい。
例えば、Rの具体例としては、ビフェニル、ビチオフェニル、ターフェニル、ターチエニル、クォーターフェニル、クォーターチオフェン、クィンケフェニル、クィンケチオフェン、ヘキシフェニル、ヘキシチオフェン、チエニル−オリゴフェニレン(式(3)の化合物参照)、フェニル−オリゴオリゴチエニレン(式(4)の化合物参照)、ブロックオリゴマー(式(5)又は(6)の化合物参照)に由来の基が挙げられる。
有機残基は、末端に官能基を有していてもよい。具体的な官能基としては、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又は、カルボキシル基、エステル基等が挙げられる。これらの官能基のなかでも、立体障害により有機薄膜の結晶化を阻害しない官能基が好ましく、したがって、上記官能基の中でも炭素数1−30の直鎖アルキル基が特に好ましい。
更に、ユニット間には、ビニレン基が位置していてもよい。ビニレン基を与える炭化水素としては、アルケン、アルカジエン、アルカトリエン等が挙げられる。アルケンとしては、炭素数2〜4の化合物、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。なかでも、エチレンが好ましい。アルカジエンとしては、炭素数4〜6の化合物、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン等が挙げられる。アルカトリエンとしては、炭素数6〜8の化合物、例えば、ヘキサトリエン、ヘプタトリエン、オクタトリエン等が挙げられる。
1、X2及びX3における加水分解により水酸基を与える基としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素原子が挙げられる。低級アルコキシ基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられ、その一部が更に別の官能基(トリアルキルシリル基、他のアルコキシ基等)で置換されたものでもよい。X1、X2及びX3は、同一であってもよいが、必ずしも全てが同一でなくてもよく、その内の2つ又は全てが異なっていてもよい。なかでも、全てが同一であることが好ましい。
本発明のケイ素化合物の具体例としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2004277413
Figure 2004277413
(式中、nは2〜8、mは2〜5、a+bは3〜10である。)
以下に本発明のケイ素化合物の合成方法を説明する。
本発明のケイ素化合物は、
・式 R−Li (II)で表される化合物と、 式 Y−SiX123 (III)(式中、X1、X2、X3及びYは上記と同義である。)で表される化合物とを反応させるか、又は、
・式 R−MgX (IV)(式中、R及びXは上記と同義である。)で表される化合物と、上記式(III)で表される化合物とをグリニヤール反応させることにより得ることができる。
式(II)又は(IV)の化合物は、例えば、RHで表される化合物を、アルキルリチウムと反応させて得るか、あるいはR−X(Xはハロゲン原子)で表される化合物をアルキルマグネシウムハライド又は金属マグネシウム等と反応させて得ることができる。
この反応で用いられるアルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等の低級(炭素数1〜4程度)アルキルリチウムが挙げられる。その使用量は化合物R−X1モルに対して1〜5モルが好ましく、より好ましくは1〜2モルである。アルキルマグネシウムハライドとしてはエチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド等が挙げられる。その使用量は原料化合物RH1モルに対して1〜10モルが好ましく、より好ましくは1〜4モルである。
反応温度は、例えば、−100〜150℃が好ましく、より好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、例えば、0.1〜48時間程度である。反応は、通常、反応に影響のない有機溶媒中で行われる。反応に悪影響のない有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン等脂肪族又は芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒等が挙げられ、これらは単独で又は混合液として用いることができる。なかでも、ジエチルエーテルとTHFが好適である。反応は、任意に触媒を用いてもよい。触媒としては、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触媒等、触媒として公知のものを用いることができる。
本発明のケイ素化合物の合成方法をより具体的に以下に説明する。以下の合成方法における反応温度や反応時間は上記内容と同様であり、例えば−100〜150℃、0.1〜48時間である。
以下では、単環の芳香族炭化水素の例であるベンゼンに由来するユニットと、単環の複素環化合物の例であるチオフェンに由来するユニットから構成される有機残基の前駆体の合成例を示す。ただし、チオフェンのような窒素含有複素環化合物と同様の方法で、窒素原子、酸素原子を含む複素環化合物についても、前駆体を形成することができる。
ベンゼン又はチオフェンに由来するユニットから構成される前駆体の合成方法としては、まず、ベンゼン又はチオフェンの反応部位をハロゲン化させた後に、グリニヤール反応を利用する方法が有効である。この方法を使用すれば、ベンゼンあるいはチオフェンの数を制御した前駆体を合成することができる。また、グリニヤール試薬を適用する方法以外にも、適当な金属触媒(Cu、Al、Zn、Zr、Sn等)を利用したカップリングによっても合成することができる。
更に、チオフェンについては、グリニヤール試薬を利用する方法以外に、下記合成方法を利用することができる。
すなわち、まず、チオフェンの2’位あるいは5’位をハロゲン化(例えば、クロロ化)させる。ハロゲン化させる方法としては、例えば、1当量のN−クロロスクシンイミド(N−Chlorosuccinimide:NCS)処理や、オキシ塩化燐(phosphorus oxychloride:POCl3)処理が挙げられる。このときの溶媒としては、例えばクロロホルム・酢酸(AcOH)混合液やDMFが使用できる。また、ハロゲン化したチオフェン同士を、DMF溶媒中でトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(tris(triphenylphosphine)Nickel:(PPh3)3Ni)を触媒として反応させることによって、結果的にハロゲン化させた部分でチオフェン同士を直接結合できる。
更に、ハロゲン化したチオフェンに対して、ジビニルスルホンを加え、カップリングさせることにより1,4−ジケトン体を形成させる。続いて、乾燥トルエン溶液中で、ローウェッソン剤(Lawesson Regent:LR)あるいはP410を加え、前者の場合一晩、後者の場合3時間程度還流させることによって、閉環反応を起こさせる。その結果、カップリングしたチオフェンの合計数よりもひとつチオフェンの数が多い前駆体を合成できる。
チオフェンの上記反応を利用して、チオフェン環の数を増加させることができる。
上記前駆体は、その合成に使用した原料と同じく、末端をハロゲン化させることができる。そのため、前駆体をハロゲン化させた後、例えばSiCl4と反応させることによって、末端にシリル基を有し、かつベンゼン又はチオフェンに由来するユニットのみからなる有機残基を備えたケイ素化合物(単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物)を得ることができる。
一例として、ベンゼン又はチオフェンのみからなる有機残基の前駆体の合成方法と、前駆体のシリル化の方法の一例を以下の(A)〜(D)に示す。なお、下記チオフェンのみからなる前駆体の合成例では、チオフェンの3量体から6あるいは7量体への反応のみを示した。しかし、ユニット数の異なるチオフェンと反応させれば、前記6あるいは7量体以外の前駆体を形成できる。例えば、2−クロロチオフェンをカップリングした後にNCSによりクロロ化させた2−クロロビチオフェンに下記と同様の反応をさせることによって、チオフェン4あるいは5量体を形成できる。更に、チオフェン4量体をNCSによりクロロ化させれば更にチオフェン8あるいは9量体も形成することができる。
Figure 2004277413
所定数のチオフェンとベンゼン由来のユニットがそれぞれ結合した単位を直接結合することにより、ブロック型の有機残基の前駆体を得る方法としては、例えば、グリニヤール反応を使用する方法がある。なお、前駆体をSiCl4やHSi(OEt)3と反応させれば、目的のケイ素化合物を得ることができる。また、上記化合物のうち、末端アルコキシ基のシリル基を有する化合物については、比較的反応性が低いため、あらかじめ原料に結合された状態で合成できる。この場合の合成例としては、以下の方法が適用できる。
まず、単純ベンゼン又は単純チオフェン化合物のシリル基と逆末端をハロゲン化(例えば、ブロモ化)した後に、グリニヤール反応によって、シリル基と結合する官能基をハロゲンからアルコキシ基に変換させる。続いて、n−BuLi、B(O−iPr)3を付与することによって脱ブロモ化及びホウ素化できる。このときの溶媒は、エーテルが好ましい。また、ホウ素化させる場合の反応は、2段階であり、初期は反応を安定化させるために、1段階目は−78℃で行い、2段階目は−78℃から室温に徐々に温度を上昇させることが好ましい。一方で、両端にハロゲン基(例えば、ブロモ基)を有するベンゼンあるいはチオフェンを用いてグリニヤール反応からブロック型化合物の中間体を作製しておく。
この状態で、未反応のブロモ基と上記のホウ素化された化合物を、例えばトルエン溶媒中に展開させ、Pd(PPh34、Na2CO3の存在下、85℃の反応温度にて、反応を完全に進行させれば、カップリングを起こさせることが可能である。結果的に、ブロック型化合物の末端にシリル基を有するケイ素化合物を合成することができる。
このような反応を用いたケイ素化合物(E)及び(F)の合成ルートの一例を以下に示す。なお、ベンゼンあるいはチオフェンに由来するユニットの両末端にそれぞれハロゲン基(例えば、ブロモ基)及びトリクロロシリル基を有する化合物は、p−フェニレンあるいは2,5−チオフェンジイルとハロゲン化剤(例えば、NBS)との反応により両末端をハロゲン化させたのち、SiCl4と反応させ、一方をトリクロロシリル化させることにより形成することができる。
Figure 2004277413
ベンゼンあるいはチオフェンに由来するユニットとビニル基が交互に結合される前駆体の合成方法としては、例えば以下の方法が適用できる。すなわち、ベンゼンあるいはチオフェンの反応部位にメチル基を有する原料を準備した後に、その両端を2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びN−ブロモスクシンイミド(N―bromosuccinimide:NBS)を用いてブロモ化させる。この後、ブロモ体にPO(OEt)3を反応させ、中間体を形成させる。つづいて、末端にアルデヒド基を有する化合物と、中間体とを、例えばDMF溶媒中でNaHを用いて反応させることによって、上記の前駆体は形成できる。なお、得られた前駆体は、末端にメチル基を有するため、例えばこのメチル基を更にブロモ化させ、上記合成ルートを再度適用すれば、更にユニット数の多い前駆体を形成できる。
得られた前駆体を、例えばNBSを用いてブロモ化すれば、その部分とSiCl4とを反応させることが可能となる。よって、末端にSiCl3を有するケイ素化合物を形成できる。このような反応を用いて長さの異なる前駆体(G)〜(I)とケイ素化合物(J)の合成ルートの一例を以下に示す。
Figure 2004277413
いずれの化合物についても、所定の位置に側鎖(例えばアルキル基)を有する原料を用いることもできる。すなわち、例えば、原料として2−オクタデシルターチオフェンを用いれば、上記の合成ルートにより前駆体(A)として2−オクタデシルセクシチオフェンを得ることができる。したがって、ケイ素化合物(C)として、2−オクタデシルセクシチオフェントリクロロシランを得ることができる。同様に、所定の位置にあらかじめ側鎖を有する原料を用いれば、上記(A)〜(J)のいずれの化合物でかつ、側鎖を有する化合物を得ることができる。
また、上記合成例で使用した原料は、汎用の試薬であり、試薬メーカーより入手、利用できる。以下に原料のCASナンバー、及び、試薬メーカーとして例えばキシダ化学より入手した場合の試薬の純度を示しておく。
Figure 2004277413
このようにして得られるケイ素化合物は、公知の手段、例えば転溶、濃縮、溶媒抽出、分留、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー等により反応溶液から単離、精製することができる。このケイ素化合物は、例えば、以下のように膜とすることができる。
まず、ケイ素化合物をヘキサン、クロロホルム、四塩化炭素等の非水系有機溶媒に溶解する。得られた溶液中に、有機薄膜を形成しようとする基板(好ましくは、水酸基、カルボキシル基等の活性水素を有する基板)を浸漬して、引き上げる。あるいは、得られた溶液を基板表面に塗布してもよい。その後、非水系有機溶媒で洗浄し、水洗し、放置するか加熱することにより乾燥して、有機薄膜を定着させる。
この有機薄膜は、直接電気材料として用いてもよいし、更に電解重合等の処理を施して用いてもよい。この材料を用いることで、Si−O−Siネットワーク化とともに、隣り合うπ電子共役系分子間距離が小さく、高度に秩序化(結晶化)した有機薄膜が得られる。また、ユニットが、直鎖に配置されている場合には、隣り合うユニット同士は結合せず、更に、隣り合うユニット間距離が小さく、高度に結晶化された有機薄膜を得ることができる。
以下に、本発明のケイ素化合物及びその製造方法を実施例により具体的に説明する。
実施例1:グリニヤール法によるターフェニルトリクロロシランの合成
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ターフェニル1.5モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、3時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモターフェニルを得た。続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターフェニル0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコに、SiCl4(テトラクロロシラン)1.0モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後、30℃にて1時間成熟を行った(グリニヤール反応)。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液からトルエン及び未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を50%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1080cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長280nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるターフェニル分子のπ→π*遷移に起因しており、化合物がターフェニル分子を含むことが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。得られた化合物を直接NMR測定することは、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に変換した後、測定を行った。
7.95ppm〜7.35ppm(m) (13H 芳香族由来)
2.60ppm(m) (3H エトキシ基由来)
これらの結果から、得られた化合物が式(1)に示すターフェニルトリクロロシランであることを確認した。
実施例2:グリニヤール法によるターチオフェントリクロロシランの合成
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、ターチオフェン1.0モルを四塩化炭素に溶解させた後、NBS、AIBNを加え、2.5時間攪拌した後に減圧濾過することによって、ブロモターチオフェンを得た。続いて、
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに、金属マグネシウム0.5モル、THF(テトラヒドロフラン)300mlを仕込み、前記ブロモターチオフェン0.5モルを50〜60℃にて滴下ロートから2時間かけて滴下し、滴下終了後65℃にて2時間成熟させ、グリニヤール試薬を調製した。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコにSiCl4(テトラクロロシラン)1.5モル、トルエン300mlを仕込み、氷冷し、内温20℃以下にて、前記グリニヤール試薬を2時間かけて加え、滴下終了後30℃にて1時間成熟を行った(グリニヤール反応)。
次いで、反応液を減圧にてろ過し、塩化マグネシウムを除いた後、ろ液よりトルエン及び未反応のテトラクロロシランをストリップし、この溶液を蒸留して、標題化合物を55%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1060cm-1にSiC由来の吸収が観測され、化合物がSiC結合を有することが確認できた。
また、化合物を含む溶液の紫外−可視吸収スペクトル測定を行ったところ、波長360nmに吸収が観測された。この吸収は、分子に含まれるターチオフェン分子のπ→π*遷移に起因しており、化合物がターチオフェン分子を含むことが確認できた。
更に化合物の核磁気共鳴(NMR)測定を行った。この化合物は、直接NMR測定することが、化合物の反応性が高いことより不可能であるため、化合物をエタノールと反応させ(塩化水素の発生を確認した)、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.50ppm〜7.00ppm(m) (7H チオフェン環由来)
2.20ppm(m) (3H エトキシ基由来)
これらの結果から、この化合物が式(2)で示されるターチオフェントリクロロシランであることを確認した。
実施例3:Liを利用したターチオフェントリクロロシランの合成
攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコに1.0モルのターチオフェンを含む300mlのテトラヒドロフラン溶液を仕込み、−78℃に冷却したのちに、1.0モルのn−ブチルリチウムをゆっくりと滴下し、その後、1時間攪拌することで、式(8)に示す構造を有したターチオフェンのリチウム塩を作製した。
Figure 2004277413
次いで、テトラクロロシランのテトラヒドロフラン溶液を加え、一晩攪拌したのち、反応液中から塩化リチウム、トルエン及び未反応のテトラクロロシランを除去した。その後、この溶液を蒸留することで標題化合物を45%の収率で得た。
得られた化合物について、赤外吸収スペクトル及び核磁気共鳴を測定したところ、これらはいずれも実施例2で示した化合物と同じ位置に吸収が見られたため、この化合物が実施例2で作製した式(2)で示されるターチオフェントリクロロシランであることを確認した。
実施例4:有機薄膜の作製及び半導体特性の測定
実施例2で得られたπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を含むトルエン溶液を調製し、あらかじめ親水化処理により表面に水酸基を突出させたシリコン基板をトルエン溶液に浸漬することで、有機薄膜を成膜した。
紫外−可視吸収スペクトルにおいて、波長360nmにターチオフェン吸収が見られたことより、基板表面にケイ素化合物が吸着していることを確認できた。
また、X線回折において2θ=22.7°にピークが確認され、面間隔0.392nmの結晶性膜が形成されていることがわかった。このことは、本発明のターチオフェントリクロロシランが、ケイ素化合物間で形成されるSi−O−Siの2次元ネットワーク化により、基板に化学吸着すると共に、膜の結晶化に必要な近距離力である、π電子共役系分子同士に作用する分子間相互作用が、効率的に働くため、非常に高い安定性を有し、且つ、高度に結晶化された有機薄膜を構成していると予想できる。
この結果、本発明の化合物が結晶性の高い有機薄膜形成材料として利用可能であることが示された。
また、作製した有機薄膜が有する半導体特性を調べるため、図4に示すように、有機薄膜23の両側にブロッキング電極21と対極22を備えたものを作製した。この系において、電極21−電極22間に電圧を加えた状態で、矢印に示す方向からブロッキング電極に光パルスを加えると、電極21側でキャリアが生成され、順次電極22に移動する。これを検出器24により検出すれば、キャリアの移動時間や、キャリアの分布状態より移動度を評価することができる(過渡光電流測定法)。この測定法を用いてターチオフェントリクロロシラン有機薄膜の移動度を測定した結果、1×10-1cm2/Vsであった。
この結果から、本発明の化合物が半導体特性を有する材料として利用可能であることが示された。また、上述した(1)〜(7)の化合物についても、同様に移動度を測定したところ、同様の半導体特性を有することを確認した。
実施例5:ターチオフェントリクロロシランによる有機薄膜の電気伝導度測定(基板に対して垂直方向)
ハイドープすることにより導電性(0.1〜0.2Ω・cm)を付与したシリコン基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液(混合比3:7)中において1時間浸漬し、基板表面を親水化処理した。その後、不活性雰囲気下において、非水系溶媒(例えば、n−ヘキサデカン)に溶解させた溶液濃度10mMのターチオフェントリクロロシラン溶液に、得られた基板を5分間浸漬し、ゆっくりと引き上げた後、溶媒洗浄を行い、基板上に膜を形成した。
得られた有機薄膜について、SPM(走査型プローブ顕微鏡)を用いて、有機薄膜の膜厚方向(基板に対して垂直方向)の電気伝導度を測定した結果、10-4S/cm以上と高い値が得られた。
これにより、有機薄膜を構成する分子軸方向への導電性が得られるものと予測できる。
実施例6:クオーターチオフェントリクロロシランによる有機薄膜の電気伝導度測定(基板に対して平行方向)
図1に示すように石英基板1上にAuの蒸着によって電極端子2a、2bを作製した。その後、両端子2a、2b間に所定の電圧を印加するための直流電源と、両端子2a、2b間の電流を検知するための電流計導電率測定手段4を設け、有機薄膜3の電気伝導度を測定した。
このように作製した電極端子での電気伝導度測定の結果、10-5〜10-7S/cmという値を示した。
実施例4と同様の方法、すなわち過渡光電流測定法による移動度の測定の結果、クオーターチオフェントリクロロシラン有機薄膜の移動度は1×10-1cm2/Vsであった。
これらの結果より、この有機薄膜が基板に対して垂直方向に優れた導電性を有し、かつ、平面方向に優れた半導体特性を有する。つまり、垂直方向と平面方向で電気特性として異方性を有していることが明白となった。
実施例7:有機薄膜トランジスタの作製
図2に示す有機薄膜トランジスタを作製するために、まず、シリコン基板10上にクロムを蒸着し、ゲート電極15を形成した。
次に、プラズマCVD法によりチッ化シリコン膜による絶縁膜16を堆積した後、クロム、金の順に蒸着を行い、通常のリソグラフィー技術によりソース電極13及びドレイン電極14を形成した。
続いて、得られた基板を、過酸化水素と濃硫酸の混合溶液中に浸漬することにより表面親水化処理をした後、この基板を嫌気条件において20mMターチオフェントリクロロシラン溶液に浸漬させ、ゆっくりと引き上げ、溶媒洗浄を行って、有機半導体層12を形成した。
得られた有機半導体層12について、紫外−可視吸収スペクトルで、波長360nmにターチオフェン吸収が見られたことより、基板表面にケイ素化合物が吸着していることを確認できた。また、X線回折において2θ=22.7°にピークが確認され、面間隔0.392nmの結晶性膜を形成していることがわかった。したがって、この結晶性膜は、例えば、図3に示すように、隣接するターチオフェン分子が規則的に形成されていると言える。つまり、絶縁膜16の表面に、シロキサン結合を介してπ共役系分子が結合されているが、隣接した有機分子間においては、結合していない。すなわち、実施例4で示したように、隣接するターチオフェン分子が互いの分子間相互作用によって高い秩序性を有した結晶性膜を形成できたと推察するのが妥当である。
これにより、作製した有機薄膜トランジスタにおいて、外部より電圧を印加したときにホッピング伝導が起こりやすくなるため、オン電流を大きくすることが可能となる。つまり、オン時には、誘起双極子間の相互作用により隣接分子間が小さいため、ホッピング伝導の起こりやすい環境になり、オン電流を高めることができる。
また、Si−O−Siの二次元ネットワークに含まれるSiと結合したπ電子共役系分子間(隣接する分子間)において、直接的に共有結合を持たないため、オフ時の漏れ電流を軽減することが可能である。
上記で得られた有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1×10-1cm2/Vsで、オン/オフ比が約6桁であり、良好な性能が得られた。
以上のことから、本発明による新規物質によって、分子軸方向及び分子平面と垂直な方向に異方性のある導電性を有するとともに、且つ、高い結晶性を有した有機薄膜を提供することが可能になる。
実施例8:2−オクチル−キンクケチオフェントリエトキシシランを用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、5mMの2−オクチル−キンククインケチオフェントリエトキシシランのトルエン及び塩酸混合溶液中に一定時間(例えば10分)浸漬することによって、2−オクチル−クインケチオフェントリエトキシシラン膜を形成させることにより、有機半導体層を形成させ、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図5に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1.5×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例9:2−ドデシル−セプチチオフェントリクロロシランを用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、2mMの2−ドデシル−セプチチオフェントリエトキシシランのトルエン溶液中に一定時間(例えば5分)浸漬することによって、2−ドデシル−セプチチオフェントリクロロシラン膜を形成させ、有機半導体層を形成させることで、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図6に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1.7×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例10:2−ヘキサデシル−クオーターフェニルトリメトキシシランを用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、3mMの2−ヘキサデシル−クオーターフェニルトリメトキシシランのトルエン溶液中に一定時間(例えば60分)浸漬することによって、2−ヘキサデシル−クオーターフェニルトリメトキシシラン膜を形成させることにより、有機半導体層を形成させ、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図7に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1.3×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例11:2−ヘキサデシル−オクチフェニルトリメトキシシランを用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、3mMの2−ヘキサデシル−オクチフェニルトリメトキシシラントルエン溶液中に一定時間(例えば60分)浸漬することによって、2−ヘキサデシル−オクチフェニルトリメトキシシラン膜を形成させることにより、有機半導体層を形成させ、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図8に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1.6×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例12:有機ケイ素化合物(化E:但しn1=n3=2、n2=1)を用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、1mMの濃度で(化E)にて表される有機ケイ素化合物のTHF溶液中に一定時間(例えば15分)浸漬することによって、前記化合物薄膜を形成させた。このようにして、有機半導体層を形成させ、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図9に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が1.1×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例13:有機ケイ素化合物(化F:但しn4=n6=2、n5=3)を用いた有機薄膜トランジスタの作製
実施例7と同様に、準備した電極付き基板を、1mMの濃度で(化F)にて表される有機ケイ素化合物のキシレン溶液中に一定時間(例えば10分)浸漬することによって、前記化合物膜を形成させた。このようにして、有機半導体層を形成させ、有機薄膜トランジスタを形成した。形成した有機薄膜トランジスタの特性を図10に示す。この結果より形成した有機薄膜トランジスタは、電界効果移動度が2.2×10-1cm2/Vsであり、オン/オフ比が約6桁であった。
実施例14 下記構造式の有機ケイ素化合物(化E;但しn1=n3=2、n2=3)の合成
Figure 2004277413
前記化合物については、以下の手法により合成を行った。すなわち、ジブロモジフェニルから中間体1、中間体2を形成する。また、ターチオフェン及びグリニヤール試薬(下記内容参照)から中間体3を形成する。これらをカップリング反応させることにより、目的化合物を形成する。具体的には以下のとおりである。
中間体1の形成
まず、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに1.5モルの金属マグネシウム及びトルエン200mlを仕込み、0.5モルのジブロモビフェニルのトルエン溶液を30分かけて加え、滴下終了後65℃にて、2時間成熟させることにより、1つのブロモ基が置換されたグリニヤール試薬を調製した。続いて、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた1リットルガラスフラスコに、1.0モルのテトラクロロシラン及びトルエン200mlを仕込み、氷冷し、内温15℃にて、前記グリニヤール試薬を1時間かけて加え、滴下後、1時間成熟させた。つづいて、反応液を減圧濾過することによって未反応物を除去したのち、ジエチルエーテルに溶解させた後に、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに仕込み、1.0モルのCH3−CH2−O−MgBrのエーテル溶液を1時間かけて滴下した後に、70℃にて12時間還流させ、中間体1を形成した(収率60%)。
中間体2の形成
まず、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに0.5モルのn−ブチルリチウムを仕込み、−78℃に冷却した後に中間体1を滴下ロートを用いて30分かけて加え、続いて、1.5モルのビス(ピナコラト)ジボロンを加えた後、12時間かけて、−78℃から室温まで容器の内温を上昇させることにより反応を進行させた。反応終了後、2M塩酸を加えることにより、中間体2を形成させた(収率60%)。
中間体3の形成
まず、1.0モルのターチオフェンを四塩化炭素に溶解させた後、NBSを加え、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、6時間攪拌したのち、減圧濾過することでジブロモターチオフェンを得た。
また、1.0モルのビフェニルを四塩化炭素に溶解させた後、NBSを加えAIBN存在下で、2時間攪拌することにより、ブロモビフェニルを形成し、続いて、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに1.5モルの金属マグネシウム及びトルエン200mlを仕込み、0.5モルのブロモジフェニルのトルエン溶液を30分かけて加え、滴下終了後65℃にて、2時間成熟させることにより、グリニヤール試薬を調製した。
続いて、ジブロモターチオフェンをジエチルエーテルに溶解させ、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに仕込み、前記グリニヤール試薬を2時間かけて滴下し、その後18時間還流することで、反応を進行させた。その後、減圧濾過し、未反応物をストリップすることで中間体3を得た(収率50%)。
目的化合物の形成
前記中間体2のトルエン溶液、3モル%Pd(PPh)3及び少量の炭酸ナトリウム水溶液を順次、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに仕込み、続いて、前記中間体3のトルエン溶液を滴下ロートを用いて加えた後、85℃で12時間反応させることにより目的化合物を形成した(Suzukiカップリング)。
形成した目的化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1065cm-1にSiC由来の吸収が確認され、化合物がSiC結合が含まれることが確認できた。更に、化合物の核磁気共鳴測定を行った。
7.5ppm〜7.2ppm(m) (17H フェニル骨格由来)
7.1ppm〜6.9ppm(m) (6H チオフェン骨格由来)
3.8ppm〜3.7ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
1.4ppm〜1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果からこの化合物が、上記構造式にて表される化合物であることが確認できた。
実施例15
下記構造式の有機ケイ素化合物(化J;但しnγ=2)の化合物の合成
Figure 2004277413
前記化合物については、以下の手法により合成を行った。
まず、200mlナスフラスコに、α―ブロモキシレン(50mM)とトリエチルホスファイト(60mM)を仕込み、攪拌しながら、140℃まで温度を上昇させることにより反応を進行させた。更に180℃まで温度を上げ、トリエチルホスファイトの残存物を破壊した後、冷却することによって4−(メチル−ベンジル)−フォスホン酸(4−(Methyl−benzy)−phosphonic acid)を形成した。続いて、攪拌器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに水酸化ナトリウム10mMをアルゴン雰囲気中で乾燥DMFに加え、溶液温度を0℃とした後に、前記4−(メチル−ベンジル)−フォスホン酸(4−(Methyl−benzy)−phosphonic acid)(8mM)とトランス−4−スチルベンカルボキシアルデヒド(trans−4−stilbenecarboxaldehyde)(7mM)のDMF溶液(50ml)をゆっくりと加え、24時間攪拌し、反応を進行させた。反応終了後、生成物をエタノールで抽出することにより、4−[(E)−2−[4−{(E)−2−フェニルビニル}−フェニル]−ビニル]−フェニルメタン(4−{(E)−2−[4−{(E)−2−phenylvinyl}−phenyl]−vinyl}−phenylmethane)(化合物G)を合成した。更に、前記化合物Gを四塩化炭素に溶解させた後、NBSを加え、AIBNを加え、2時間攪拌したのち、減圧濾過し、下記構造式にて示される中間体4を合成した。
Figure 2004277413
更に続いて、攪拌器、還流冷却器、温度計、滴下ロートを備えた500mlガラスフラスコに中間体4を仕込み、1.0モルのテトラクロロシラン及びトルエン200mlを仕込み、氷冷し、内温10℃にて、前記中間体4を1時間かけて加え、滴下後、1時間成熟させることより、上記構造式で示される化合物を合成した。
形成した目的化合物について、赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、1070cm-1にSiC由来の吸収が確認され、化合物がSiC結合が含まれることが確認できた。更に、化合物の核磁気共鳴測定を行った。この化合物は反応性が高く、直接NMR測定できないため、エタノールと反応させ、末端の塩素をエトキシ基に交換した後に測定を行った。
7.4ppm〜7.2ppm(m) (12H フェニル骨格由来)
7.1ppm〜7.0ppm(m) (4H ビニル基骨格由来)
3.8ppm〜3.7ppm(m) (6H エトキシ基メチレン由来)
2.5ppm〜2.4ppm(m) (3H メチル基由来)
1.4ppm〜1.2ppm(m) (9H エトキシ基メチル基由来)
これらの結果からこの化合物が、上記構造式にて表される化合物であることが確認できた。
本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を用いた膜の電気伝導度を評価するための構造を示す図である。 本発明のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を用いた有機薄膜トランジスタの概略断面図である。 図2における有機膜部分の分子配列を示す概念図である。 過渡光電流測定法による移動度の測定を説明するための概略図である。 本発明の第8の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 本発明の第9の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 本発明の第10の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 本発明の第11の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 本発明の第12の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 本発明の第13の実施例における有機薄膜トランジスタの特性図である。 分子間距離と分子間力との関係を説明するための図である。
符号の説明
1 石英基板
2a、2b 電極端子
3 有機薄膜
4 電流計導電率測定手段
10 シリコン基板
12 有機半導体層
13 ソース電極
14 ドレイン電極
15 ゲート電極
16 絶縁膜
21 ブロッキング電極
22 対極
23 有機薄膜
24 検出器

Claims (10)

  1. 式 R−SiX123 (I)
    (式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよく、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  2. 前記Rが、ユニット間にビニレン基を含む有機残基である請求項1に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  3. 前記単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物が、ベンゼン又はチオフェンである請求項1に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  4. 前記X1、X2及びX3が、いずれも同種のハロゲン原子又は低級アルコキシ基である請求項1に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物。
  5. 式 R−Li (II)
    (式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよい。)
    で表される化合物と、
    式 Y−SiX123 (III)
    (式中、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
    で表される化合物とを反応させて、
    式 R−SiX123 (I)
    (式中、R、X1、X2、X3は上記と同義である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を得ることを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  6. 式 R−MgX (IV)
    (式中、Rは、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物に由来する基から選択されるユニットが3〜10個結合したπ電子共役系の有機残基でありかつ末端に官能基を有していてもよい。)
    で表される化合物と、
    式 Y−SiX123 (III)
    (式中、X1、X2及びX3は、同一又は異なって、加水分解により水酸基を与える基であり、Yは水素原子、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基である。)
    で表される化合物とを、グリニヤール反応に付して、
    式 R−SiX123 (I)
    (式中、R、X1、X2、X3は上記と同義である。)
    で表されるπ電子共役系分子含有ケイ素化合物を得ることを特徴とするπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  7. 基Rが、単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物から選択される原料化合物の所定の結合位置をハロゲン化し、次いでグリニヤール反応に付す工程を1回以上繰り返すことにより、所定数の原料化合物を結合させて得られた化合物に由来する請求項5又は6に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  8. 基Rを構成するユニットがチオフェンに由来し、基Rが、チオフェンの所定の結合位置をハロゲン化し、次いで得られたハロゲン化チオフェン同士をNCS又はPOCl3の存在下で反応させて結合させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数のチオフェンを結合させて得られた化合物に由来する請求項5又は6に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  9. 基Rを構成するユニットがチオフェンに由来し、基Rが、チオフェンの所定の結合位置をハロゲン化し、次いで得られたハロゲン化チオフェンとジビニルスルホンとを反応させることで、スクシニル基の両側にチオフェンが結合した1,4−ジケトン体を得、次いで、1,4−ジケトン体をローウェッソン剤又はP410の存在下で閉環反応させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数のチオフェンを結合させて得られた化合物に由来する請求項5又は6に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
  10. 基Rが、所定の結合位置にメチル基を有する単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物から選択される原料化合物のメチル基をハロゲン化し、次いで、そのハロゲンを5価のリン化合物で置換した後、得られた化合物と所定の結合位置にアルデヒド基を有する単環の芳香族炭化水素及び単環の複素環化合物から選択される原料化合物とを反応させる工程を1回以上繰り返すことにより、所定数の原料化合物を結合させて得られた化合物に由来する請求項5又は6に記載のπ電子共役系分子含有ケイ素化合物の製造方法。
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