JP2005246474A - バーリング加工用プレス金型 - Google Patents

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山崎  勝也
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Abstract

【課題】 バーリング部の先端にカスが除去されずに未切断のまま残るのを確実に防止したバーリング加工用プレス金型を提供すること。
【解決手段】 上金型1に固定された雄型としてのバーリング加工用パンチ11と、下金型2に固定されたメス型としてのダイ21とを備え、前記パンチ11は、バーリング加工用の大径パンチ部16と、この大径パンチ部16の下端に突出して形成された下穴加工用の小径パンチ部17とを備え、ダイ21は、上方開口に連続して形成された所定高さ寸法のバーリング加工用の大径穴部25と、この大径穴部25の下側に同心に連続して形成された、大径パンチ部16と略同寸直径の小径穴部26とを備えていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、板金材料に穴加工を施す所謂バーリング加工用プレス金型に係り、特に、バーリング加工を行ったときのカス(スクラップ)を確実に除去できるようにしたバーリング加工用プレス金型に関する。
従来の一般的なバーリング加工は、例えば特許文献1の段落番号0002及び図5に記載されているものである。
この従来のバーリング加工の加工状態を図10及び図11に示す。図10は従来例に係るバーリング加工用プレス金型のバーリング加工途中における要部断面図であり、図11は同バーリング加工用プレス金型によりバーリング加工された後のバーリング部の状態を示すものである。
上金型に固定された雄型としてのバーリング加工用パンチ101は、1回のプレス工程で下穴加工とバーリング加工とを行うようにするために、バーリング加工用の大径パンチ部102と、この大径パンチ部102の下端に突出して形成された下穴加工用の小径パンチ部103とを備えている。また、下金型に固定されたメス型としてのダイ105は、バーリング加工用穴部106とこのバーリング加工用穴部に連続する排出孔107とを備えている。
板金材料(ワーク)108は、下穴加工用の小径パンチ部103により下穴が空けられ、その後大径パンチ部102によりバーリング加工が行われる。下穴が明けられたときのカス109は、本来排出孔107を通って下方に落下させるのであるが、図11に示すように、カス109がバーリング部110から完全に切断されずに垂れ下がり状態で、バーリング部の先端に残ることが多かった。このようなカス109は、バーリング加工製品として完成させるために除去される必要があり、その処理に予想外の手間が係るという問題があった。なお、このようにカス109が残る原因としては、小径パンチ部103と大径パンチ部102との極僅かな芯ずれ、バーリング加工用パンチ101とダイ105との極僅かな芯ずれ、使用によるバーリング加工用パンチ101の切れ味低下、バーリング加工用パンチ101の各部に不均一な力が作用した場合などの使用状態における微妙な変化や調整不足が考えられる。このため、従来のバーリング加工においては、バーリング部110にカス109が切断されずに残るのを完全に避けることは困難であった。
なお、特許文献1に記載されているようなスクラップレスバーリング装置は、現在まで実用化されていない。
特開平09−108745号公報
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、バーリング部の先端にカスが除去されずに未切断のまま残るのを確実に防止したバーリング加工用プレス金型を提供することを目的とする。
また、本発明に係るバーリング加工用プレス金型は、上金型に固定された雄型としてのバーリング加工用パンチと、下金型に固定されたメス型としてのダイとを備え、前記パンチは、バーリング加工用の大径パンチ部と、この大径パンチ部の下端に突出して形成された下穴加工用の小径パンチ部とを備え、ダイは、上方開口に連続して形成された所定高さ寸法のバーリング加工用の大径穴部と、この大径穴部の下側に同心に連続して形成された、大径パンチ部と略同寸直径の小径穴部と、下穴加工により生じるカスを排出するように小径穴部に連続して形成された排出孔とを備えていることを特徴とする。
また、本発明において、小径穴部は、大径パンチ部の直径より約0.1mm大きく形成されていることが好ましい。
また、バーリング加工用の大径穴部は、バーリング部の高さ寸法に略同寸の高さに形成されていることが好ましい。
また、小径パンチ部は、先端の切刃部の一部分に小さな溝が形成されてなることが好ましい。
本発明のバーリング加工用プレス金型では、バーリング加工用の大径パンチ部の下端に下穴加工用の小径パンチ部を突出して形成されているので、バーリング加工用パンチがダイの大径穴部内へ下降することにより下孔が開けられる。引き続き大径パンチ部がダイ内の大径穴部内に挿入されることにより、所定高さ寸法のバーリング部が形成される。下孔加工時のカスが完全に切断された場合は、このカスが排出孔から排出されるが、カスが完全に切断されずにバーリング部に残っている場合は、バーリング部が加工されることによりカスが小径穴部内に垂れ下がる状態となる。そこで、引き続きバーリング加工用パンチが小径穴部内に下降されることにより、バーリング加工用パンチによりカスがバーリング部の先端から確実に除去される。また、切断されたカスが小径穴部及び排出孔を介して下方に排出される。
このように本発明によるバーリング加工用プレス金型によれば、1回のプレス工程で下孔加工とバーリング部の加工とを行いながら、カスがバーリング部の先端から確実に除去される。したがって、従来のようなカス除去作用を不要とする。また、カスが手作業でなく金型により除去されるため、カス除去後のバリなどの発生が少なくなり、良好な仕上がりのバーリング加工製品を得ることができる。
また、本発明において、小径孔部を大径パンチ部の直径より約0.1mm大きく形成した場合は、バーリング部の先端におけるカス除去後の仕上がり品質がより良好となる。
また、本発明において、バーリング加工用の大径穴部の高さ寸法を、バーリング部の高さ寸法に略同寸の高さに形成することにより、バーリング部の先端におけるカス除去後の仕上がり品質がより良好となる。
また、本発明において、小径パンチ部の先端切刃部に部分的に小さな溝を形成すると、より確実に一定の状態でカスを残すことができ、一定品質のバーリング加工部を得ることが容易になる。
以下、各実施例について図面に基づき説明する。
図1〜図5に基づき本発明の実施例1を説明する。
図1は実施例1に係るバーリング加工用プレス金型の要部断面図であり、図2は板金材料(ワーク)を下金型に載置した状態におけるバーリング加工用パンチとダイ部の拡大図である。
これら図に示すように、同バーリング加工用プレス金型における上金型1は、バーリング加工用パンチ11を取り付けたパンチプレート12とストリッパプレート13とがボルト締め等によりパンチホルダー14に取り付けられている。なお、ストリッパプレート13は、パンチプレート12に対しコイルスプリング15により所定の力で下方に付勢されている。また、バーリング加工用パンチ11は工具鋼からなり、先端部にバーリング加工用の大径パンチ部16が形成され、さらに、その先端に同心状に突出した下孔加工用の小径パンチ部17が形成されている。
なお、大径パンチ部16の先端角部及び小径パンチ部17の先端角部は、それぞれ切刃部を形成している。
このように形成された上金型1は、従来のものと同一である。
下金型2は、雌型としてのダイ21を取り付けたダイプレート22、ダイプレート22をボルト止めにより取り付けたダイホルダ23などから構成されている。ダイ21は、工具鋼からなる。また、ダイ21は、この上端開口に連続してバーリング加工用の大径穴部25が形成され、さらに、この大径穴部25の下方に、この大径穴部25に連続して同心状に小径穴部26が形成され、さらにその下方にカス32を排出する排出孔27が連続して形成されている。
大径穴部25は、バーリング部31の高さより若干高い寸法の高さに形成されている。また、小径穴部26は、大径穴部25より小径の、略大径パンチ部16と同径に形成されており、小径穴部26の上端角部は、切刃部26aに形成されている。
次に、上記のように構成された本同バーリング加工用プレス金型の動作について、図2〜図5に基づいて説明する。図2は前述のように板金材料を下金型に載置した状態図であり、図3はバーリング加工工程を示す状態図であって、小径パンチ部により下穴加工した後に大径パンチ部によりバーリング加工が行われ始めた状態を示す。図4は同じくバーリング加工工程を示す状態図であって、バーリング加工完了状態を示す図である。図5は同じくバーリング加工工程を示す状態図であって、バーリング部の先端に残っていたカスを切断した直後の状態を示す。
図2に示すように、金属板や樹脂シート等のフープ状の材料(ワーク)3を上金型1と下金型2との間に通し、上金型1を下方に動かしてストリッパプレート13で押さえた状態とする。次いで、バーリング加工用パンチ11の先端部に形成された小径パンチ部17をダイ21上端の開口内に挿入することにより下穴加工をする。次いで、大径パンチ部16が大径穴部25内に挿入されることにより、バーリング部31が形成される。さらに、大径パンチ部16が大径穴部25内より下方に降下されると、バーリング部31の先端に未切断のまま残っていたカス32が切刃部26aで切断され、カス32が排出孔27から下方に排出される。
本発明のバーリング加工用プレス金型によれば、1回のプレス加工で下孔加工とバーリング加工とを行うことができる。しかも、上金型1は従来のままとし、ダイを変更するだけで、カス32がバーリング部31の先端から確実に除去される。これにより、カス32を手作業で除去する必要がなくなる。また手作業でカス32を除去すると、カス32を取った後にバリが形成され易く一定品質を得ることが困難となるが、本発明のようにパンチ16でカス32を除去するとバリの形成も少なくなり、かつ一定状態の仕上げを確保することができる。
また、小径穴部26は、大径パンチ部16の直径より約0.1mm大きくするのが好ましい。このような寸法にすると、カス切断後の仕上げ状態を良好なものとすることができることが実験上確認された。
また、バーリング加工用の大径穴部25の高さは、バーリング部31の所定高さ寸法が1.3mmの場合0.7mm加えた約2mmの寸法にすると、カス切断後の仕上げ状態を最も良好なものとすることができることが実験上確認された。
次ぎに実施例2について図6〜図9に基づき説明する。
実施例1はバーリング部31の先端にカス32が残っていた場合にこのカス32を、大径パンチ部16と小径穴部26との間で切断するように形成していたが、実施例2では、バーリング部31の先端にカス32が一定状態で未切断のまま必ず残るようにしている。
図6は実施例2に係るバーリング加工用プレス金型におけるバーリング加工用パンチの側面図であり、図7は同バーリング加工用パンチの底面図である。また、図8は同バーリング加工用パンチの小径パンチ部17における先端部の拡大側面図であり、図9は同小径パンチ部17の平面図である。
これら図に示すように、実施例2では、小径パンチ部17の先端の切刃部の一部分に断面3角形状の小さな溝17aが切刃部をコーナカットするように形成されている。この結果、溝17a部ではカス32が切断されなくなり、下孔加工後にカス32がバーリング部31の先端に必ず残るようになっている。このようにしてバーリング部31の先端に未切断のまま残ったカス32は、前記図3のように大径パンチ部16が小径穴部26に挿入されることにより切断されて除去される。
実施例2では,上記のように、下穴加工時にカス32を一定状態で残存させることにより、カス切断後の切断部の状態の一定化が図られ、品質の向上及び均一化が図られる。
本発明の実施例1に係るバーリング加工用プレス金型の要部断面図である。 同バーリング加工用プレス金型において、板金材料(ワーク)を下金型に載置した状態におけるバーリング加工用パンチとダイ部の拡大図である。 同バーリング加工用プレス金型におけるバーリング加工工程を示す状態であって、小径パンチ部により下穴加工した後に大径パンチ部によりバーリング加工が行われ始めた状態を示す。 同じくバーリング加工工程を示す状態図であって、バーリング加工完了状態を示す図である。 同じくバーリング加工工程を示す状態図であって、バーリング部の先端に未切断のまま残ったカスを切断した直後の状態を示す。 本発明の実施例2に係るバーリング加工用プレス金型におけるバーリング加工用パンチの側面図である。 同バーリング加工用パンチの底面図である。 同バーリング加工用パンチの小径パンチ部における先端部の拡大側面図である。 同小径パンチ部における先端部の拡大平面図である。 従来例に係るバーリング加工用プレス金型のバーリング加工途中における要部断面図である。 同バーリング加工用プレス金型によりバーリング加工された後のバーリング部の状態を示すものである。
符号の説明
1 上金型
2 下金型
11 バーリング加工用パンチ
16 大径パンチ部
17 小径パンチ部
21 ダイ
25 大径穴部
26 小径穴部
26a 切刃部
27 排出孔
31 バーリング部
32 カス

Claims (4)

  1. 上金型に固定された雄型としてのバーリング加工用パンチと、下金型に固定されたメス型としてのダイとを備え、前記パンチは、バーリング加工用の大径パンチ部と、この大径パンチ部の下端に突出して形成された下穴加工用の小径パンチ部とを備え、ダイは、上方開口に連続して形成された所定高さ寸法のバーリング加工用の大径穴部と、この大径穴部の下側に同心に連続して形成された、大径パンチ部と略同寸直径の小径穴部と、下穴加工により生じるカスを排出するように小径穴部に連続して形成された排出孔とを備えていることを特徴とするバーリング加工用プレス金型。
  2. 前記小径穴部は、大径パンチ部の直径より約0.1mm大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載のバーリング加工用プレス金型。
  3. 前記バーリング加工用の大径穴部は、バーリング部の高さ寸法に略同寸の高さに形成されていることを特徴とする請求項1記載のバーリング加工用プレス金型。
  4. 前記小径パンチ部は、先端の切刃部の一部分に小さな溝が形成されてなることを特徴とする請求項1記載のバーリング加工用プレス金型。
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