JP2005246055A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、反発性、耐擦過傷性、成形性などを犠牲にすることなく繰り返し打撃耐久性を改善したゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】 コアと、該コアを被覆する1層以上のカバー層とを備えたゴルフボールにおいて、上記カバー層の少なくとも1層が、(a)オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体及びこれら共重合体の金属イオン中和物から選ばれる成分、及び(b)ポリオレフィン成分とポリアミド成分からなる二元共重合体を必須成分とする樹脂組成物によって形成されたゴルフボールを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゴルフボール、特にソリッドゴルフボールに関する。
従来より、種々のゴルフボールが提案され、商品化されているが、最近の傾向としてはコアのソフト化が求められている。しかし、単にコアをソフト化した場合、繰り返し打撃による割れ耐久性に難点が生じる。
このため、カバーをオレフィン系樹脂とゴム成分/ポリオレフィン成分/ポリアミド(ナイロン)成分の三元複合体とからなる樹脂組成物にて形成することが提案されている(特開2002−102390号、特開2003−175128号、特開2003−180870号、特開2003−180877号、特開2003−190329号、特開2003−210615号公報、米国特許第6688992号明細書)が、繰り返し打撃耐久性が、なお十分でない。
特開2002−102390号公報 特開2003−175128号公報 特開2003−180870号公報 特開2003−180877号公報 特開2003−190329号公報 特開2003−210615号公報 米国特許第6688992号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、反発性、耐擦過傷性、成形性などを犠牲にすることなく繰り返し打撃耐久性を改善したゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、カバー材料としてポリオレフィン成分とポリアミド成分からなる二元共重合体をオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体及びこれら共重合体の金属イオン中和物から選ばれる成分と併用することにより、繰り返し打撃耐久性が改善されることを知見した。
従って、本発明は、
コアと、該コアを被覆する1層以上のカバー層とを備えたゴルフボールにおいて、上記カバー層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体及びこれら共重合体の金属イオン中和物から選ばれる成分、及び
(b)ポリオレフィン成分とポリアミド成分からなる二元共重合体
を必須成分とする樹脂組成物によって形成されたゴルフボール
を提供する。
本発明によれば、上記(b)成分を使用することにより、ソフトフィーリングを含む他の性能(反発・耐擦過傷性・成形性)などを犠牲にすることなく繰り返し打撃耐久性を改善することができる。
本発明のゴルフボールは、ソリッドコアと、このコアを被覆するカバーが1層のツーピースソリッドゴルフボール、1層以上のソリッドコアと該コアを被覆するカバーが1層又は2層以上のマルチピースソリッドゴルフボール等のソリッドゴルフボールとして構成することができる。
この場合、ソリッドコアは、例えば共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、有機硫黄化合物等を含有するゴム組成物を用いて形成することができる。該ゴム組成物の基材ゴムとしては、ポリブタジエンを主材とするものが好ましく用いられる。なお、ここでいう「主材」とは、基材ゴムに占めるポリブタジエンの割合が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%であることを意味する。
ポリブタジエンに特に制限はなく、従来よりゴルフボール用コアに用いられているものを使用することができるが、例えばシス構造を少なくとも40質量%以上含有する1,4−シスポリブタジエンが好ましく用いられる。上記基材ゴムとしては、ポリブタジエンに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等を配合したものを用いてもよい。
共架橋剤としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の金属塩等が挙げられる。
不飽和カルボン酸として具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。
不飽和カルボン酸の金属塩としては特に限定されるものではないが、例えば上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常10質量部以上、好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、上限として通常60質量部以下、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、最も好ましくは40質量部以下配合する。配合量が多すぎると、硬くなりすぎて耐え難い打感になる場合があり、配合量が少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
上記有機過酸化物としては市販品を用いることができ、例えば、パークミルD(日本油脂(株)製)、パーヘキサ3M(日本油脂(株)製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等を好適に用いることができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。
上記有機過酸化物は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、最も好ましくは0.7質量部以上、上限として通常5質量部以下、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2質量部以下配合する。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な打感、耐久性及び反発性を得ることができない場合がある。
不活性充填剤としては、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
不活性充填剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常1質量部以上、好ましくは5質量部以上、上限として通常50質量部以下、好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、最も好ましくは20質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
更に、必要に応じて老化防止剤を配合することができ、例えば、市販品としてはノクラックNS−6、同NS−30(大内新興化学工業(株)製)、ヨシノックス425(吉富製薬(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
該老化防止剤の配合量は上記基材ゴム100質量部に対し、通常0質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、最も好ましくは0.2質量部以上、上限として通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0.5質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な反発性、耐久性を得ることができない場合がある。
上記コアには、ゴルフボールの反発性を向上させ、ゴルフボールの初速度を大きくするため、有機硫黄化合物を配合することが好ましい。
有機硫黄化合物としては、ゴルフボールの反発性を向上させ得るものであれば特に制限されないが、例えばチオフェノール類、チオナフトール、ハロゲン化チオフェノール類又はそれらの金属塩等が挙げられる。より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタフルオロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタブロモチオフェノールの亜鉛塩、パラクロロチオフェノールの亜鉛塩、硫黄数が2〜4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等が挙げられ、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ジフェニルジスルフィドが好適に用いられる。
このような有機硫黄化合物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、上限として通常5質量部以下、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2.5質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎると効果が頭打ちとなり、それ以上の効果が見られなくなる場合があり、配合量が少なすぎると、その配合効果が十分達成されない場合がある。
上記コアの直径は通常36.5mm以上、特に37.0mm以上とすることが好ましく、一方、上限としては通常40.0mm以下、特に39.5mm以下とすることが好ましい。また、重さは通常30〜39g、特に32〜37gであることが好ましい。
この場合、本発明のコアは、上記直径範囲において、初期荷重10kgから終荷重130kgを負荷した場合の変形量が2.6mm以上、好ましくは3.0mm以上、特に3.5mm以上で、6.0mm以下、好ましくは5.3mm以下、特に4.7mm以下の範囲であることがよい。硬すぎると、打感が悪くなると共に、特にドライバーなどのボールに大変形が生じるロングショット時にスピンが増えすぎて飛ばなくなることがある。軟らかすぎると、打感が鈍くなると共に、反発が十分でなくなり、飛ばなくなることがある。また、繰り返し打撃による割れ耐久性も悪くなることがある。
上記コアは、上記各成分を含有するゴム組成物を、公知の方法で加硫硬化させることにより製造することができ、例えばバンバリーミキサーやロール等の混練機を用いて混練し、コア用金型にて圧縮成形又は射出成形し、成形体を有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度、例えば有機過酸化物としてジクミルパーオキサイドを用い、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛を用いた場合には、通常約130〜170℃、特に150〜160℃で10〜40分、特に12〜20分の条件にて適宜加熱することにより、成形体を硬化させて製造することができる。
この場合、コアの配合材料、有機過酸化物、共架橋剤の種類や量、加硫条件などを適宜選定することにより、コアの変形量を上述した範囲内に調整可能である。
本発明のゴルフボールは上記コアを1種又は2種以上のカバー層で被覆するが、この場合、少なくとも1層のカバー層を、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体及びこれら共重合体の金属イオン中和物から選ばれる成分、及び
(b)ポリオレフィン成分とポリアミド成分からなる二元共重合体
を必須成分とする樹脂組成物によって形成する。
上記(a)成分は、オレフィン−不飽和カルボン酸二元ランダム共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸二元ランダム共重合体の金属イオン中和物、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル三元ランダム共重合体、及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル三元ランダム共重合体の金属イオン中和物から選ばれるが、上記共重合体中のオレフィンは、炭素数が、通常2以上、上限として8以下、特に6以下のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
更に、不飽和カルボン酸エステルとしては、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが好適で、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等を挙げることができ、特にアクリル酸ブチル(n−アクリル酸ブチル、i−アクリル酸ブチル)であることが好ましい。
本発明の(a)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸二元ランダム共重合体(i)及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル三元ランダム共重合体(ii)(以下、これら共重合体を総称してランダム共重合体という)は、それぞれ、上述した材料を調整し、公知の方法によりランダム共重合させることにより得ることができる。
上記ランダム共重合体は、不飽和カルボン酸の含量(酸含量)が調整されたものであることが推奨される。ここで、ランダム共重合体(i)に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、通常4質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、上限としては30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下であることが推奨される。
他方、ランダム共重合体(ii)に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、通常4質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、上限としては15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下であることが推奨される。ランダム共重合体の酸含量が少なすぎると反発性が低下する場合があり、多すぎると加工性が低下する場合がある。また、不飽和カルボン酸エステルの配合量は、通常10〜50質量%、好ましくは12〜45質量%、より好ましくは15〜40質量%であることが推奨される。
本発明の(a)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸二元ランダム共重合体の金属イオン中和物、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル三元ランダム共重合体の金属イオン中和物(以下、これらの共重合体の金属イオン中和物を総称してランダム共重合体の金属イオン中和物という)は、上記ランダム共重合体中の酸基を金属イオンで部分的に中和することにより得ることができる。
ここで、酸基を中和する金属イオンとしては、例えば、Na+、K+、Li+、Zn++、Cu++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Pb++等を挙げることができ、好ましくはNa+、Li+、Zn++、Mg++等であり、更に好ましくはZn++である。
本発明のランダム共重合体の金属イオン中和物を得るには、上記ランダム共重合体に対して、上記金属イオンで中和すればよく、例えば、上記金属イオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物及びアルコキシド等の化合物を使用して中和する方法などを採用することができる。これら金属イオンのランダム共重合体に対する中和度は特に限定されるものではない。
本発明において、ランダム共重合体の金属イオン中和物としては、亜鉛イオン中和型アイオノマー樹脂を好適に使用でき、材料のメルトフローレートを増加させ、後述する最適なメルトフローレートに調整することが容易で、成形性を改良することができる。
本発明の(a)成分は、市販品を使用してもよく、例えば、二元ランダム共重合体として、ニュクレル1560、同1214、同1035(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR5200、同5100、同5000(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、三元ランダム共重合体として、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR ATX325、同ATX320、同ATX310(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を挙げることができる。
また、二元ランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同AM7311(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン7930(米国デュポン社製)、アイオテック3110、同4200(EXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、三元ランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同8320、同9320、同8120(いずれも米国デュポン社製)、アイオテック7510、同7520(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等をそれぞれ挙げることができる。上記ランダム共重合体の金属イオン中和物として好適な亜鉛中和型アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1706、同1557、同AM7316等を挙げることができる。
一方、(b)成分のポリオレフィン成分として、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン又はポリスチレン等が使用できるが、中でもポリエチレン、更には結晶性の高い低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリアミド成分として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、共重合ナイロン、ナイロンMXD6、ナイロン46、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が使用できるが、物性と価格のバランスからナイロン6が好ましい。また、ポリアミド成分としては、ナイロン繊維が好ましく、この場合、ナイロン繊維の平均径は10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下であり、0.01μm以上であることが配合量に対する効果的な補強性能発現の点で好ましい。なお、ここでの平均径は、透過型電子顕微鏡を利用したサンプル断面観察による測定値である。
本発明における(b)成分の態様としては、特にナイロン繊維表面に結晶性ポリオレフィン成分が結合しているものが好ましい。なお、ここでの「結合」とは、結合剤の添加によりポリアミド成分とポリオレフィン成分がグラフト結合していることを意味する。結合剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、有機過酸化物等が用いられる。
上記(b)成分において、ポリオレフィン成分(b−1)とポリアミド成分(b−2)との割合は、質量比として、(b−1)/(b−2)が25/75〜95/5、より好ましくは30/70〜90/10、更に好ましくは40/60〜85/15であることが好ましく、ポリアミド成分が少なすぎると、十分な効果が発現されない。多すぎると、二軸押し出し機等で(a)成分との混練の際に混ざり難い。
また、上記(a)成分と(b)成分との割合は、質量比として(a)/(b)が100/0.1〜100/50、より好ましくは100/1〜100/40、更に好ましくは100/2〜100/30であることが好ましく、配合量が少なすぎると、十分な効果が発現されない。配合量が多すぎると、混練又はゴルフボールカバーへの成型が困難になる。
(a),(b)成分の混練温度は、ポリアミド成分の形状を可能な限り維持するために、ポリオレフィン成分の融点以上、好ましくは融点より10℃以上で、かつ、ポリアミド成分の融点以下、好ましくはポリアミド成分の融点の10℃以下で行うのが好ましいが、必ずしもこの限りではない。
また、ゴルフボールへの成型時の樹脂温度は、上記温度範囲が好ましいが、必要に応じてこの範囲を超えても構わない。
上記(a),(b)成分を必須成分とする樹脂組成物には、上記樹脂分に加えて、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、離型剤、可塑剤、無機充填剤(酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン等)等を挙げることができる。なお、上記(a),(b)成分は、その合計として、樹脂組成物中に30質量%以上、特に60〜100質量%含まれることが本発明の効果を発揮させる点から好ましい。
なお、この樹脂組成物を用いて形成されるカバー層のショアD硬度は、高硬度樹脂の耐久性を改良するという目的の点で通常50〜70、好ましくは55〜65、特に58〜63であることが好ましい。この場合、このショアDはJIS K−7215に基づくタイプDデュロメーターによる測定値である。
また、このカバー層の厚さは、0.5〜3.5mm、好ましくは1.0〜2.5mm、特に1.5〜2.2mmであることが本発明の目的を達成する上で好ましい。
本発明において、カバーは1層でも複数層でもよく、カバー層が1層の場合はこれを上記樹脂組成物によって形成する。また、カバー層が2層の場合、その最外カバー層を上記樹脂組成物によって形成しても、内側カバー層を上記樹脂組成物によって形成してもよい。なお、カバー層が2層以上の場合、他のカバー層は従来公知のカバー材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、熱硬化型ポリウレタンエラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、バラタ組成物等により形成することができる。この場合、表面硬度や厚さは適宜選定することができる。
本発明のゴルフボールの表面には、通常270〜500個、好ましくは330〜450、特に360〜440個程度のディンプルが形成される。更に、本発明のゴルフボールの表面には必要に応じてマーキング、塗装、表面処理を施すことができる。
また、本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、その直径としては、通常42.60〜42.80mm、質量としては通常45.0〜45.93gに形成することができる。
以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例、比較例]
下記のコア配合、加硫方法にて、直径39.0mm、重さ36.4g、初期荷重10kgfから終荷重130kgfまで負荷したときの圧縮たわみ量(硬度10−130kgf)4.5mmのソリッドコアを作成した。
コア配合
ポリブタジエン*1 100質量部
アクリル酸亜鉛*2 22質量部
有機過酸化物(1)*3 0.6質量部
有機過酸化物(2)*4 0.6質量部
老化防止剤*5 0.1質量部
酸化亜鉛*6 23.8質量部
ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩 0.3質量部
注 *1 ポリブタジエン:BR01(JSR社製)
*2 アクリル酸亜鉛:85%品(残部はステアリン酸亜鉛他:日本触媒(株)製

*3 有機過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、パークミルD(商品名、日
本油脂(株)製)
*4 有機過酸化物(2):1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、パーヘキサ3M−40(商品名、日本油脂(株
))
*5 老化防止剤:ノクラックNS−6(商品名、大内新興化学工業(株)製)
*6 酸化亜鉛:3種酸化亜鉛(商品名、堺化学工業(株)製)
加硫条件
加硫温度 157℃
加硫時間 15分
次に、上記コアに表1に示す組成A〜Fの樹脂組成物を用いてショアD硬度60、厚さ1.9mm、ディンプル数392個のカバーを形成し、ツーピースソリッドゴルフボールを得た。これらのボールにつき、繰り返し打撃耐久性及び初速度を下記方法により評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005246055
*1 アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、Zn中和アイオノマー)
*2 アイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製、Na中和アイオノマー)
*3 低密度ポリエチレン(東ソー(株)製ペトロセン219、密度0.932)
*4 ポリオレフィン/ポリアミド二元共重合体(1)[大和ポリマー(株)製、
LA0010、ポリオレフィン(低密度ポリエチレン)/ポリアミド(ナイロン6
)の成分比(質量比)=50/50]
*5 ポリオレフィン/ポリアミド二元共重合体(2)[ポリオレフィン(低密度
ポリエチレン)/ポリアミド(ナイロン6)の成分比(質量比)=80/20]
*6 ゴム/ポリオレフィン/ポリアミド三元共重合体(大和ポリマー(株)製、
LA1060)
繰り返し打撃耐久性
ヘッドスピード43m/sにて打撃を繰り返し、ボールに割れが生じ始めた回数を測定し、比較例1の回数を100とした場合の指数を求めた。
○:指数110以上
△:指数101〜109
×:指数100以下
初速
初速は、R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて測定した。ボールは23±1℃の温度で3時間以上温調し、室温23±2℃の部屋でテストされた。250ポンド(113.4kg)のヘッド(ストライキングマス)を使って打撃速度143.8ft/s(43.83m/s)にてボールを打撃した。1ダースのボールを各々4回打撃して6.28ft(1.91m)の間を通過する時間を計測し、初速を計算した。約15分間でこのサイクルを行った。
Figure 2005246055

Claims (9)

  1. コアと、該コアを被覆する1層以上のカバー層とを備えたゴルフボールにおいて、上記カバー層の少なくとも1層が、
    (a)オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体及びこれら共重合体の金属イオン中和物から選ばれる成分、及び
    (b)ポリオレフィン成分とポリアミド成分からなる二元共重合体
    を必須成分とする樹脂組成物によって形成されたゴルフボール。
  2. 上記(b)成分がポリオレフィン成分とナイロン繊維からなる二元共重合体である請求項1記載のゴルフボール。
  3. ナイロン繊維表面に結晶性ポリオレフィン成分が結合している請求項2記載のゴルフボール。
  4. 上記(b)成分のポリオレフィン成分が低密度ポリエチレンである請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール。
  5. 上記(b)成分のポリアミド成分がナイロン6である請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール。
  6. (a)成分と(b)成分の質量配合比が(a)/(b)=100/0.1〜100/50である請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボール。
  7. (b)成分中のポリオレフィン成分(b−1)とポリアミド成分(b−2)の質量配合比が(b−1)/(b−2)=25/75〜95/5である請求項1〜6のいずれか1項記載のゴルフボール。
  8. 上記樹脂組成物によって形成されるカバー層が最外カバー層である請求項1〜7のいずれか1項記載のゴルフボール。
  9. 上記樹脂組成物によって形成されるカバー層が2層以上のカバー層における内側カバー層である請求項1〜8のいずれか1項記載のゴルフボール。
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