JP2013230361A - ゴルフボール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備し、上記カバーは、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とを含むものであり、上記コアの断面硬度において、コアの半径をR(mm).コア中心のJIS−C硬度をA,コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS−C硬度をEとする場合、(1)B−A<D−B、(2)C−A≦8、及び(3)E−B≧15の数式を満たし、且つ、中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度、の数式を満足するゴルフボールを提供する。
【効果】本発明のゴルフボールは、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、I#6等のミドルアイアンの飛距離を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性に優れている。
【選択図】図1
【効果】本発明のゴルフボールは、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、I#6等のミドルアイアンの飛距離を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性に優れている。
【選択図】図1
Description
本発明は、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備し、上記カバーは、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とを含むゴルフボールに関し、更に詳述すると、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、ミドルアイアンの飛距離の両方を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性についても優れたゴルフボールに関するものである。
ソリッドゴルフボールの内部構造は、コアとカバーとの比較的単純な構造ではあるが、ゴルフボールの反発性、打感、アプローチスピン及び耐久性等の諸特性は、コアとカバーとの相乗効果に因るところが大きい。コアの断面硬度を細かく特定することにより、ボールの反発性や打感、更にはアプローチスピンに適量化を図った技術が多数提案されている。例えば、特開2011−136020号公報(対応する米国特許出願公開第2011/0159999号明細書)、特開2011−136021号公報(対応する米国特許出願公開第2011/0159998号明細書)、特開2007−152090号公報(対応する米国特許第7273425号明細書)、特開2008−194473号公報(対応する米国特許第7481722号明細書)、特開2010−214105号公報(対応する米国特許第7909710号明細書)などの技術文献に記載されている。
また、コア用ゴム組成物において、ゴム配合の面からコアの硬度分布を特定した技術が多数提案されている。例えば、特開2006−312044号公報(対応する米国特許第7278929号明細書)には、コアの中心と表面との硬度差を一定以上に大きくするために粉末硫黄を添加する技術が記載されている。その他、コアの硬度分布を調整するためにゴム配合を工夫した技術文献としては、例えば、特開2006−167452号公報(対応する米国特許第7276560号明細書)、特開2006−289074号公報(対応する米国特許第7381776号明細書)、特開2002−000765号公報(対応する米国特許第6679791号明細書)、特開2010−188199号公報(対応する米国特許第6679791号明細書、前記と同じ)、特開2007−167257号公報、特開2008−68077号公報(対応する米国特許第7335115号明細書)、特開2008−119461号公報(対応する米国特許第7300362号明細書)などが挙げられる。
しかしながら、従来のゴム配合やコア硬度分布については一定の改善効果は期待できるが、更なる飛距離増大や耐久性の改善が望まれている。即ち、近年ではゴルフボールの研究開発は熾烈を極め、ゴルフボールによる競技上の優位性を確保するためには、ボール物性全体のレベルアップが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、ミドルアイアンの飛距離の両方を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、コアの断面硬度分布において、コア中心から所定度離れた位置までの断面硬度は、比較的軟らかく、且つ大きな硬度変動は無いが、それ以降のコア表面までの断面硬度は、急勾配に増加し、実施例の図3及び図4に示すような断面硬度を有するコアを開発した。このような断面硬度を有するコアを具備したゴルフボールは、特に、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、6番アイアン(I#6)等のミドルアイアンの飛距離の両方を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性も改善し得ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
特に、最近のゴルフボールは、プロや上級者が使用するボールとして、ウレタンカバーを主体としたスリーピースソリッドゴルフボールやフォーピースソリッドゴルフボールが広く用いられている。本発明は、上記のボールのコアの内部硬度形状を最適化することによって、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離だけではなく、6番アイアン(I#6)等のミドルアイアンの飛距離を更に伸ばすことを目的として改良を重ねた結果なし得たものである。また、本発明は、飛距離性能の改善と同時に、繰り返し打撃時の割れ耐久性も優れており、過酷な使用条件においても耐え得るボールを提供するものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
[1]コアと、少なくとも1層のカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーは、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とを含むものであり、上記コアの断面硬度において、コアの半径をR(mm),コア中心のJIS−C硬度をA,コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS−C硬度をEとする場合、下記の(1)〜(3)の数式
(1)B−A<D−B
(2)C−A≦8
(3)E−B≧15
を満足し、且つ、上記中間層と上記最外層との硬度関係において、下記の数式
中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度
を満足することを特徴とするゴルフボール。
[2]上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したアイオノマー樹脂成分と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した材料で形成される[1]記載のゴルフボール。
[3]上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(c)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜120質量部
と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜17質量部
とを必須成分として配合した材料で形成される[1]記載のゴルフボール。
[4]ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5,880N(600kgf)を負荷したときまでのたわみ量が10mm〜13mmである[1]、[2]又は[3]記載のゴルフボール。
[5]上記コアがゴム組成物にて形成されるものであり、該ゴム組成物は、1分間半減期温度が約165℃〜185℃である有機過酸化物と硫黄とを含有する[1]〜[4]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[6]上記コアを上記中間層で被覆した球体の表面におけるJIS−C硬度が90以下である[1]〜[5]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[7]上記カバーの最外層の基材樹脂がアイオノマーからなり、該アイオノマーの材料硬度がショアDで50〜70である[1]〜[6]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[8]上記コアの直径が32mm〜41mmである[1]〜[7]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[9]上記コアが単層からなる[1]〜[8]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[1]コアと、少なくとも1層のカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーは、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とを含むものであり、上記コアの断面硬度において、コアの半径をR(mm),コア中心のJIS−C硬度をA,コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS−C硬度をEとする場合、下記の(1)〜(3)の数式
(1)B−A<D−B
(2)C−A≦8
(3)E−B≧15
を満足し、且つ、上記中間層と上記最外層との硬度関係において、下記の数式
中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度
を満足することを特徴とするゴルフボール。
[2]上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したアイオノマー樹脂成分と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した材料で形成される[1]記載のゴルフボール。
[3]上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(c)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜120質量部
と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜17質量部
とを必須成分として配合した材料で形成される[1]記載のゴルフボール。
[4]ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5,880N(600kgf)を負荷したときまでのたわみ量が10mm〜13mmである[1]、[2]又は[3]記載のゴルフボール。
[5]上記コアがゴム組成物にて形成されるものであり、該ゴム組成物は、1分間半減期温度が約165℃〜185℃である有機過酸化物と硫黄とを含有する[1]〜[4]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[6]上記コアを上記中間層で被覆した球体の表面におけるJIS−C硬度が90以下である[1]〜[5]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[7]上記カバーの最外層の基材樹脂がアイオノマーからなり、該アイオノマーの材料硬度がショアDで50〜70である[1]〜[6]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[8]上記コアの直径が32mm〜41mmである[1]〜[7]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[9]上記コアが単層からなる[1]〜[8]のいずれか1項記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールは、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、I#6等のミドルアイアンの飛距離を満足させるとともに、繰り返し打撃時の割れ耐久性に優れるものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備する構造を有する。上述したように、コアは単層のほか、2層以上の複数層に形成することができるが、本発明においては、コアは単層であることが好ましい。また、本発明において、上記の「カバー」とは、コアよりも外側に形成される層の総称を意味し、少なくとも1層からなる。更に、上記カバーには、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とが含まれる。従って、中間層が単層の場合、上記カバーの構成は、1層の中間層(第1中間層)及び最外層の2層となる。更に、コアと上記中間層(第1中間層)との間には、第2の中間層を設けることができ、この場合、上記カバーは、2層の中間層及び最外層の3層構造となる。なお、通常、カバーの最外層の外表面には多数のディンプルが形成され、また、中間層が複数層ある場合、最も内側に位置し、コアと接する中間層を特に包囲層と呼ぶこともある。
本発明のゴルフボールは、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備する構造を有する。上述したように、コアは単層のほか、2層以上の複数層に形成することができるが、本発明においては、コアは単層であることが好ましい。また、本発明において、上記の「カバー」とは、コアよりも外側に形成される層の総称を意味し、少なくとも1層からなる。更に、上記カバーには、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とが含まれる。従って、中間層が単層の場合、上記カバーの構成は、1層の中間層(第1中間層)及び最外層の2層となる。更に、コアと上記中間層(第1中間層)との間には、第2の中間層を設けることができ、この場合、上記カバーは、2層の中間層及び最外層の3層構造となる。なお、通常、カバーの最外層の外表面には多数のディンプルが形成され、また、中間層が複数層ある場合、最も内側に位置し、コアと接する中間層を特に包囲層と呼ぶこともある。
本発明で使用するコアについて説明すると、上記コアは、ゴム材を主材とするゴム組成物を加硫することにより得られる。このゴム組成物として、特に制限はなく、好適な実施形態としては、例えば、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、硫黄、有機硫黄化合物、充填材及び老化防止剤を含有するゴム組成物を用いて形成することが挙げられる。そして、このゴム組成物の基材ゴムとしては、ポリブタジエンを用いることが好ましい。
上記ポリブタジエンは、シス−1,4−結合を60%(質量%、以下同じ)以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上有するものであることが必要である。シス−1,4−結合が少なすぎると反発性が低下する。また、1,2−ビニル結合の含有量が2%以下、より好ましくは1.7%以下、更に好ましくは1.5%以下であることが好ましい。
上記ポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、好ましくは30以上、好ましくは35以上、上限として好ましくは100以下、より好ましくは90以下である。
なお、本発明でいうムーニー粘度とは、いずれも回転可塑度計の1種であるムーニー粘度計で測定される工業的な粘度の指標(JIS K6300)であり、単位記号としてML1+4(100℃)を用いる。また、Mはムーニー粘度、Lは大ロータ(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ロータの回転時間は4分間を示し、100℃の条件下にて測定したことを示す。
上記ポリブタジエンとしては、良好な反発性を有するゴム組成物の加硫成形物を得る観点から、希土類元素系触媒又はVIII族金属化合物触媒で合成されたものであることが好ましい。
上記の希土類元素系触媒としては、特に限定されるものではないが、ランタン系列希土類元素化合物を用いたものを好適に使用することができる。また、必要に応じて、ランタン系列希土類元素化合物に有機アルミニウム化合物、アルモキサン、ハロゲン含有化合物、及びルイス塩基を組み合わせて使用することができる。上記で例示した各種化合物は、特開平11−35633号公報、特開平11−164912号公報、特開2002−293996号公報に記載されているものを好適に採用することができる。
上記の希土類元素系触媒の中でも、ランタン系列希土類元素であるネオジム、サマリウム、ガドリニウムを用いた触媒が好適であり、特にネオジム系触媒を使用することが推奨され、この場合、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得ることができる。
上記ポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.3以上であり、上限としては、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下であることが好ましく、Mw/Mnが小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下する場合がある。
基材ゴムとして上記ポリブタジエンを用いるものであるが、この場合、ゴム全体に占めポリブタジエンの割合は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、基材ゴムの100質量%が上記ポリブタジエンであってもよく、98質量%以下が好ましく、より好ましくは95質量%以下である。
具体的には、シス−1,4−ポリブタジエンゴムとしては、日本合成ゴム社製(JSR社製)の高シスBR01、BR11、BR02、BR02L、BR02LL、BR730、BR51等を用いることができる。
なお、上記ゴム基材には、上記ポリブタジエン以外にも他のゴム成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を挙げることができる。
共架橋剤としては、本発明では、特に制限はないが、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸として、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。不飽和カルボン酸の金属塩としては、具体的には、上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。これらの不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、上限としては、好ましくは45質量部以下、より好ましくは43質量部以下、更に好ましくは41質量部以下である。
架橋開始剤としては、有機過酸化物を使用することが好適である。具体的には、熱分解温度が比較的高温な有機過酸化物を使用することが好適であり、具体的には、1分間半減期温度が約165℃〜185℃の高温な有機過酸化物を使用するものであり、例えば、ジアルキルパーオキサイド類を挙げることができる。ジアルキルパーオキサイド類として、例えば、ジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油社製「パーヘキサ25B」)、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(日油社製「パーブチルP」)等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドを好適に用いることができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。半減期は、有機過酸化物の分解速度の程度を表す指標の一つであり、もとの有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が1/2になるまでに要する時間によって示される。コア用ゴム組成物における加硫温度は、通常、120〜190℃の範囲内であり、その範囲内では、1分間半減期温度が約165℃〜185℃と高温な有機過酸化物は比較的遅く熱分解する。本発明のゴム組成物によれば、加硫時間の経過とともに増加する遊離ラジカルの生成量を調整することにより特定の内部硬度形状を有するゴム架橋物であるコアを得るものである。
架橋開始剤は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、上限として、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下、最も好ましくは2.0質量部以下配合する。配合量が多過ぎると、硬くなり過ぎて耐え難い打感となると共に、割れ耐久性も大きく低下する。逆に、配合量が少な過ぎると、軟らかくなり過ぎて耐え難い打感となると共に、大きく生産性が低下する場合がある。
充填材としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。充填剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上とすることができる。また、配合の上限は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下とすることができる。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
老化防止剤としては、例えば、ノクラックNS−6、同NS−30、同200(大内新興化学工業(株)製)等の市販品を採用することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤の配合量については、特に制限はないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、上限として好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、更に好ましくは0.4質量部以下である。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると、適正なコア硬度傾斜が得られずに好適な反発性、耐久性及びフルショット時の低スピン効果を得ることができない場合がある。
上記ゴム組成物には、必要に応じて硫黄を配合することができる。具体的には、商品名「サルファックス−5」(鶴見化学工業社製)等が例示される。硫黄の配合量は、0超とすることができ、好ましくは上記基材ゴム100質量部に対して0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は特に制限されないが、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.4質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下とすることができる。硫黄の添加によりコアの硬度差を大きくすることができる。なお、硫黄の配合量が多すぎた場合、加熱成形の際、ゴム組成物が爆発するなどの不具合を生じたり、反発性が大きく低下したりするおそれがある。
更に、上記ゴム組成物には、優れた反発性を付与するために有機硫黄化合物を配合することができ、具体的には、チオフェノール、チオナフトール、ハロゲン化チオフェノール又はそれらの金属塩を配合することが推奨され、より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール等の亜鉛塩、硫黄数が2〜4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等が挙げられるが、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ジフェニルジスルフィドを好適に用いることができる。
有機硫黄化合物は、上記基材ゴム100質量部に対し、0.05質量部以上、好ましくは0.07質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、上限として5質量部以下、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2質量部以下配合する。配合量が多すぎると硬さが軟らかくなり過ぎてしまい、少な過ぎると反発性の向上が見込めない。
上記コアは、上記各成分を含有するゴム組成物を加硫硬化させることにより製造することができる。例えば、バンバリーミキサーやロール等の混練機を用いて混練し、コア用金型を用いて圧縮成形又は射出成型し、有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度として、約100℃〜200℃、10〜40分の条件にて成形体を適宜加熱することにより、該成形体を硬化させ、製造することができる。
コアの直径としては、特に制限はないが、好ましくは32mm以上、より好ましくは33mm以上であり、上限として、好ましくは41mm以下、より好ましくは40mm以下である。コアの直径がこの範囲を逸脱すると、ボールの割れ耐久性が著しく低下したり、ボールの初速が低くなったりする場合がある。
上記コアの断面硬度については、コアの半径をR(mm),コア中心のJIS−C硬度をA,コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS−C硬度をEとする場合、下記の(1)〜(3)の数式
(1)B−A<D−B
(2)C−A≦8
(3)E−B≧15
を満足することを要する。上記(1)〜(3)のようにコアの断面硬度を調整すること、概念的には、コア中心から所定度離れた位置までの断面硬度が比較的軟らかく、且つ大きな硬度変動は無いが、それ以降のコア表面までの断面硬度が急勾配に増加する硬度分布に仕上げることにより、ドライバー、ミドルアイアンのフルショットでのコアの過度な変形を抑制し、コアの変形を最適化し、初速のロス及びスピンの増加を抑制することができる。その結果、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、I#6等のミドルアイアンの飛距離を満足させることができ、また、繰り返し打撃時の割れ耐久性を改善させることができる。
(1)B−A<D−B
(2)C−A≦8
(3)E−B≧15
を満足することを要する。上記(1)〜(3)のようにコアの断面硬度を調整すること、概念的には、コア中心から所定度離れた位置までの断面硬度が比較的軟らかく、且つ大きな硬度変動は無いが、それ以降のコア表面までの断面硬度が急勾配に増加する硬度分布に仕上げることにより、ドライバー、ミドルアイアンのフルショットでのコアの過度な変形を抑制し、コアの変形を最適化し、初速のロス及びスピンの増加を抑制することができる。その結果、プロや上級者が使用するドライバーの飛距離、I#6等のミドルアイアンの飛距離を満足させることができ、また、繰り返し打撃時の割れ耐久性を改善させることができる。
上記式(1)について、B−Aの値がD−Bの値より大きいと、十分な低スピン効果が得られず所望の飛距離が出ない場合がある。B−Aの値は、上限値として、好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下であり、下限値として、好ましくは−4以上、より好ましくは−3以上、更に好ましくは−2以上である。
また、上記式(2)について、C−Aの値が大きすぎると、十分な低スピン効果が得られず所望の飛距離が出ない場合がある。C−Aの値の好ましい値として、上限値は、好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下であり、下限値としては、好ましくは0以上、より好ましくは1以上である。
更に、上記式(3)について、E−Bが小さすぎると、十分な低スピン効果が得られず、狙った飛距離が出なくなる場合がある。E−Bの好ましい値として、下限値は、好ましくは15以上であり、上限値としては、好ましくは40以下、より好ましくは38以下である。
E−Aの値、即ち、コア表面とコア中心とのJIS−C硬度差は、下限値として、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、上限値として、好ましくは45以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは35以下である。E−Aの値が大きすぎると、初速が出なくなったり、耐久性が悪くなることがある。逆に、E−Aの値が小さすぎると、過度にスピンが増えて飛距離が出なくなったり、打感が硬くなったりする場合がある。なお、コア中心のJIS−C硬度について、特に制限はないが、下限値として、好ましくは50以上、より好ましくは52以上、更に好ましくは54以上であり、上限値として、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、更に好ましくは66以下である。一方、コア表面のJIS−C硬度について、特に制限はないが、下限値として、好ましくは66以上、より好ましくは68以上、更に好ましくは70以上であり、上限値として、好ましくは100以下、より好ましくは98以下、更に好ましくは96以下である。
E−Cの値は、下限値として、好ましくは11以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは13以上であり、上限値として、好ましくは30以下、より好ましくは29以下、更に好ましくは28以下である。E−Cの値が大きすぎると、初速が出なくなったり、耐久性が悪くなることがある。逆に、E−Cの値が小さすぎると、過度にスピンが増えて飛距離が出なくなったり、打感が硬くなったりする場合がある。
コアを上記(1)〜(3)の数式を満たすようにするための、断面硬度を調整する方法については特に制限はないが、コアのゴム配合並びに加硫温度及び時間を適宜調整することにより所望の断面硬度を有するコアが得られるものである。例えば、上述した有機過酸化物の種類及び配合量を調整することや加硫条件を調整することにより、上記(1)〜(3)の数式を満たすコアが得られる。具体的には、コアに高温で分解可能な有機過酸化物及び硫黄をゴム配合成分として使用することで本発明の所望の断面硬度が得られやすい。
一方、本発明に使用されるカバーのうち最外層の材料については、特に制限はなく、例えば、アイオノマー又はポリウレタン等の公知の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーが挙げられる。
最外層の材料は、ドライバーや、ミドルアイアンのフルショットでの低スピン化の観点からアイオノマー樹脂組成物を使用することが好適である。この場合、アイオノマー樹脂組成物の配合としては、亜鉛イオン(Zn2+)中和型のアイオノマー樹脂及びナトリウムイオン(Na+)中和型のアイオノマー樹脂の混合物を採用することが望ましい。この混合比率については、亜鉛イオン(Zn2+)中和型のアイオノマー樹脂(I)/ナトリウムイオン(Na+)中和型のアイオノマー樹脂(II)が質量%で10/90〜90/10であることが好ましく、より好ましくは、15/85〜85/15である。(I)/(II)の樹脂の比率が上記範囲を満足しないと、ボール全体の反発性が小さくなる可能性がありこのため所望の飛び性能が得られなくなるおそれがある。また、常温での繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、更には、低温(零下)での割れ耐久性も悪くなるおそれがある。
上記のアイオノマー樹脂は市販品を用いることもでき、例えば、ハイミラン1605、同1557、同1855、同AM7331(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)等を挙げることができる。
更に、本発明における最外層材料には、上記樹脂分に加えて、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、離型剤、可塑剤、無機充填剤(酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、タングステン等)等を挙げることができる。
次に、本発明の最外層の厚さについては、特に制限はないが、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、上限として、好ましくは1.4mm以下、より好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。最外層が上記範囲よりも厚すぎると、W#1打撃時に反発が足りなくなり、又はスピン量が多くなり、飛距離が出なくなることがある。最外層が上記範囲よりも薄すぎると、耐擦過傷性が悪くなり、又はプロや上級者でもコントロール性が不足することがある。
最外層の材料硬度は、ショアD硬度としては、特に制限はないが、好ましくは50以上、より好ましくは52以上、更に好ましくは54以上であり、上限として、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、更に好ましくは66以下である。このショアD硬度が低いと、フルショット時にスピンが掛かりすぎて飛距離が出なくなることがある。また、上記のショアD硬度が高すぎると、アプローチでスピンがかからずにプロや上級者でもコントロール性が不足することがある。なお、上記の最外層の材料硬度は、所定厚のシート状に成型した場合の硬度を言い、以下、「中間層」及び「包囲層」の材料硬度についても同じように定義される。
本発明では、ボール構造を更に多層化することにより、特にプロや上級者の要望に応えたボール性能を改善させることができ、本発明では、上記コアと上記最外層との間に中間層を介在する。
上記の場合、中間層の材料硬度は、ショアD硬度としては、特に制限はないが、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは45以上であり、上限値としては、好ましくは70以下、より好ましくは66以下、更に好ましくは60以下である。中間層の材料硬度が低すぎると、フルショット時にボール全体にスピンが掛かりすぎて飛距離が出なくなることがある。逆に、中間層の材料硬度が高すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、又は、パターやショートアプローチ実施時の打感が硬くなりすぎることがある。
また、上記中間層と上記最外層との硬度関係において、下記の数式
中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度
を満足することを要する。上記の数式を満たさなくなると、低スピン化を図ることができず、ドライバーやミドルアイアンを使用して打撃した際の飛距離が低下するそれがある。
中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度
を満足することを要する。上記の数式を満たさなくなると、低スピン化を図ることができず、ドライバーやミドルアイアンを使用して打撃した際の飛距離が低下するそれがある。
また、中間層をコアに被覆した球体の表面におけるJIS−C硬度が90以下に設定することが好適である。JIS−C硬度が90を超えると、低スピン化を図ることができず、ドライバーやミドルアイアンを使用して打撃した際の飛距離が低下するそれがある。
中間層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、更に好ましくは0.9mm以上であり、上限値としては、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.7mm以下である。中間層の厚さが上記範囲よりも厚すぎると、W#1にて低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。また、中間層が薄すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性や低温時の耐久性が悪くなることがある。
本発明において、中間層の材料については、特に制限されるものではないが、例えば、公知のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマー等を好適に使用することができる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。特に、本発明では、(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを特定量配合したベース樹脂を必須成分とする材料を好適に用いることができる。本発明では、上記中間層の少なくとも1層をこの材料を用いて形成することにより、ドライバー(W#1)打撃時に高い反発性を得ることができ、大きな飛距離を得ることができる。上記材料について、以下に詳述する。
上記ベース樹脂中のオレフィンは、(a)成分、(b)成分のいずれであっても、炭素数が、通常2以上、上限として8以下、特に6以下のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
更に、不飽和カルボン酸エステルとしては、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが好適で、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等を挙げることができ、特にアクリル酸ブチル(n−アクリル酸ブチル、i−アクリル酸ブチル)であることが好ましい。
(a)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び(b)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体(以下、(a)成分及び(b)成分中の共重合体を総称してランダム共重合体という)は、上記成分を公知の方法によりランダム共重合させることにより得ることができる。
上記ランダム共重合体は、不飽和カルボン酸の含量(酸含量)が調整されたものであることが推奨される。ここで、(a)成分のランダム共重合体に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、特に制限されるものではないが、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、特に好ましくは15質量%以下であることが推奨される。
同様に(b)成分のランダム共重合体に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、特に制限されるものではないが、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは8質量%以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であることが推奨される。ランダム共重合体の酸含量が少なすぎると反発性が低下する場合があり、多すぎると加工性が低下する場合がある。
(a)成分及び(b)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物は、上記ランダム共重合体中の酸基を金属イオンで部分的に中和することにより得ることができる。ここで、酸基を中和する金属イオンの具体例としては、Na+、K+、Li+、Zn++、Cu++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Pb++等が挙げられる。本発明においては、この中でも特にNa+、Li+、Zn++、Mg++等を好適に用いることができ、更には反発性を改良する観点からNa+を用いることが推奨される。これら金属イオンのランダム共重合体に対する中和度は特に限定されるものではない。このような中和物は、公知の方法で得ることができ、例えば、上記ランダム共重合体に対して、上記金属イオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物及びアルコキシド等の化合物を使用して中和する方法などを採用することができる。
上記ランダム共重合体の金属イオン中和物としては、ナトリウムイオン中和型アイオノマー樹脂を好適に使用でき、材料のメルトフローレート(MFR)を増加させ、後述する最適なメルトフローレートに調整することが容易であり、成形性を改良することができる。
上記(a)成分と上記(b)成分は、市販品を使用してもよく、例えば、(a)成分のランダム共重合体として、ニュクレルN1560、同N1214、同N1035、同AN4221C(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR 5200、同5100、同5000(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、(b)成分のランダム共重合体として、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318、同AN4319(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR ATX325、同ATX320、同ATX310(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を挙げることができる。
また、(a)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同AM7311(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン7930(米国デュポン社製)、アイオテック3110、同4200(EXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、(b)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同8320、同9320、同8120(いずれも米国デュポン社製)、アイオテック7510、同7520(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等をそれぞれ挙げることができる。上記ランダム共重合体の金属イオン中和物として好適なナトリウム中和型アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1605、同1601、同1555等を挙げることができる。また、上記ランダム共重合体の金属イオン中和物として好適な亜鉛中和型アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1706、同1557、同AM7316等を挙げることができる。
上記ベース樹脂の調製に際しては、(a)成分と(b)成分との配合を質量比で通常100:0〜0:100とすることができ、好ましくは100:0〜25:75、より好ましくは100:0〜50:50、更に好ましくは100:0〜75:25、最も好ましくは100:0とすることができる。(a)成分の配合量が少なすぎると、材料の成形物の反発性が低下することがある。
また、上記ベース樹脂は、上記の配合比の調整に加えて更にランダム共重合体とランダム共重合体の金属イオン中和物との配合比を調整することにより、成形性をより良好にすることができる。この場合、ランダム共重合体:ランダム共重合体の金属イオン中和物は、質量比で通常0:100〜60:40とすることができ、好ましくは0:100〜40:60、より好ましくは0:100〜20:80、更に好ましくは0:100とすることが推奨される。ランダム共重合体の配合量が多すぎると、ペレット組成の均一性が低下する場合がある。
上記ベース樹脂には、打撃時のフィーリング、反発性をより一層向上させるために、(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(e)成分の具体例としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を挙げることができる。本発明では、反発性をより高めることができる点から、ポリエステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、特に、結晶性ポリエチレンブロックをハードセグメントとして含む熱可塑性ブロック共重合体からなるオレフィン系エラストマーを好適に使用することができる。
上記(e)成分は、市販品を使用してもよく、具体的には、ダイナロン(JSR社製)、ポリエステル系エラストマーとして、ハイトレル(東レ・デュポン社製)等を挙げることができる。
上記(e)成分の配合量は0超とすることができる。また、配合量の上限は特に制限されないが、好ましくは上記ベース樹脂100質量部に対して100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、最も好ましくは40質量部以下とすることができる。(e)成分の配合量が多すぎると、混合物の相溶性が低下し、ゴルフボールの耐久性が著しく低下する可能性がある。
次に、上記ベース樹脂に(c)成分として、分子量228以上1,500以下の脂肪酸又はその誘導体を配合することができる。この(c)成分は、上記ベース樹脂と比較して分子量が極めて小さいものであり、混合物の溶融粘度を適度に調整し、特に流動性の向上に寄与する成分である。また、上記(c)成分は、比較的高含量の酸基(誘導体)を含み、反発性の過度の損失を抑制できる。
上記(c)成分の脂肪酸又はその誘導体の分子量は、228以上、好ましくは256以上、より好ましくは280以上、更に好ましくは300以上とすることがでる。また、その上限は1,500以下、好ましくは1,000以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは500以下とすることができる。分子量が小さすぎる場合は耐熱性が改良できず、大きすぎる場合は流動性が改善できない。
上記(c)成分の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体としては、例えば、アルキル基中に二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪酸(誘導体)やアルキル基中の結合が単結合のみで構成される飽和脂肪酸(誘導体)を同様に好適に使用できるが、いずれの場合も1分子中の炭素数が、好ましくは18以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは22以上、特に好ましくは24以上であることが推奨される。また、その上限は、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは40以下、特に好ましくは30以下であることが推奨される。炭素数が少なすぎると、耐熱性の改善が達成できない上、酸基の含有量が多すぎて、ベース樹脂に含まれる酸基との相互作用により流動性の改善の効果が少なくなってしまう場合がある。一方、炭素数が多すぎる場合には、分子量が大きくなるために、流動性改質の効果が顕著に現れない場合がある。
ここで、(c)成分の脂肪酸として、具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられ、特にステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸を好適に使用することができる。
また、上記(c)成分の脂肪酸誘導体としては、上述した脂肪酸の酸基に含まれるプロトンを金属イオンにより置換した金属せっけんを例示することができる。この場合、金属イオンとしては、例えば、Na+、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Mn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Sn++、Pb++、Co++等を挙げることができ、特にCa++、Mg++、Zn++が好ましい。
(c)成分の脂肪酸誘導体として、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等を挙げることができ、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、べヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等を好適に使用することができる。
なお、上述した(a)成分及び/又は(b)成分、及び(c)成分の使用に際し、公知の金属せっけん変性アイオノマー(米国特許第5312857号明細書、米国特許第5306760号明細書、国際公開第98/46671号等)を使用することもできる。
上記(c)成分の配合量は、上記(a)成分、(b)成分及び(e)成分を適宜配合した樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は、120質量部以下とすることができ、好ましくは115質量部以下、より好ましくは110質量部以下、更に好ましくは100質量部以下とすることができる。(c)成分の配合量が少なすぎると、溶融粘度が低くなり加工性が低下することがあり、多すぎると耐久性が低下することがある。
(d)成分として、上記ベース樹脂及び(c)成分中の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物を加えることができる。この(d)成分を配合しないで、金属せっけん変性アイオノマー樹脂(例えば、上記特許公報に記載された金属せっけん変性アイオノマー樹脂のみ)を単独で使用した場合には、加熱混合時に金属せっけんとアイオノマー樹脂に含まれる未中和の酸基が交換反応を起こして多量の脂肪酸が発生する。この脂肪酸は熱的安定性が低く成形時に容易に気化するため、成形不良の原因となるおそれがある。更には、上記脂肪酸が成形物の表面に付着して、塗膜密着性を著しく低下させたり、得られる成形体の反発性低下等の不具合を生じさせる場合がある。
このような問題を解決すべく、(d)成分として、上記ベース樹脂及び(c)成分中に含まれる酸基を中和する塩基性無機金属化合物を必須成分として配合する。(d)成分の配合で、上記ベース樹脂と(c)成分中の酸基が中和され、これら各成分配合による相乗効果により、樹脂組成物の熱安定性が高まると同時に、良好な成形性が付与され、ゴルフボール用材料としての反発性が向上するという優れた特性が付与されるというものである。
ここで、塩基性無機金属化合物に使われる金属イオンとしては、例えば、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Zn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Mn++、Sn++、Pb++、Co++等が挙げられ、塩基性無機金属化合物としては、これら金属イオンを含む公知の塩基性無機充填剤を使用することができ、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム等を挙げることができるが、特に水酸化物、又は一酸化物であることが推奨され、より好ましくはベース樹脂との反応性の高い水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、更に好ましくは水酸化カルシウムであることが推奨される。
上記(d)成分の配合量は、上記樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部以上とすることができ、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は、17質量部以下とすることができ、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下とすることができる。(d)成分の配合量が少なすぎると、熱安定性、反発性の向上が見られず、多すぎると過剰の塩基性無機金属化合物によりゴルフボール用材料の耐熱性がかえって低下することがある。
上述したように(a)成分及び(b)成分を所定量配合したベース樹脂と、任意成分の(e)成分を配合した樹脂成分に対し、所定量の(c)成分と(d)成分とをそれぞれ配合することにより、熱安定性、流動性、成形性に優れる材料とすることができ、更に成形物の反発性を飛躍的に向上させることができる。
上述した樹脂成分、(c)成分及び(d)成分を所定量配合した材料は、中和度が高い(高中和化されている)ことが推奨され、具体的には、材料中の酸基の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上が中和されていることが推奨される。材料中の酸基を高中和化することにより、上述した従来技術のベース樹脂と脂肪酸(誘導体)のみを使用した場合に問題となる交換反応をより確実に抑制し、脂肪酸の発生を防ぐことができる上、熱的安定性が著しく向上し、成形性が良好で、従来のアイオノマー樹脂と比較して反発性に非常に優れた成形物を得ることができる。
ここで、中和度とは、ベース樹脂と(c)成分の脂肪酸(誘導体)の混合物中に含まれる酸基の中和度であり、ベース樹脂中のランダム共重合体の金属イオン中和物としてアイオノマー樹脂を使用した場合におけるアイオノマー樹脂自体の中和度とは異なる。中和度が同じ本発明の混合物と同中和度のアイオノマー樹脂のみとを比較した場合、本発明の材料は、(d)成分が配合されていることにより非常に多くの金属イオンを含むため、反発性の向上に寄与するイオン架橋が高密度化し、成形物に優れた反発性を付与できる。
上記樹脂材料は、射出成形に特に適した流動性を確保し、成形性を改良するため、メルトフローレート(MFR)を所定の範囲に調整することが好ましい。この場合、JIS−K7210に準拠して試験温度190℃、試験荷重21.18N(2.16kgf)の条件で測定したときのメルトフローレートが、好ましくは0.6g/10min以上、より好ましくは0.7g/10min以上、更に好ましくは0.8g/10min以上、最も好ましくは2g/10min以上に調整されることが推奨される。また、その上限は、好ましくは20g/10min以下、より好ましくは10g/10min以下、更に好ましくは5g/10min以下、最も好ましくは3g/10min以下に調整されることが推奨される。メルトフローレートが、大きすぎても小さすぎても加工性が著しく低下する場合がある。
なお、上記中間層については、その外側にある最外層との密着性を高めるために、中間層表面に研磨処理を施すことが望ましい。更には、上記の研磨処理の後、その表面にプライマーを塗布することもできる。又は、中間層材料に密着強化材を添加することにより密着性を高めることもできる。
本発明では、中間層を複数層に形成することができる。中間層のうち最も内側に位置し、コアと接する層(包囲層)を設ける場合には、図1に示されるように、内側から順に、コア1、包囲層2、中間層3、及び表面に多数のディンプルDを有する最外層4により構成された4層構造のマルチピースソリッドゴルフボールGが示される。
上述したコア、中間層及び最外層の各層を積層して形成されるマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の射出成形法等の常法により行なうことができる。例えば、先ず、コアを所定の射出成形用金型内に配備した後、中間層材を射出成形することにより中間球状体を作成する。次いで、この中間球状体を、更に別の射出成形用金型内に配備して最外層材を射出成形し、これと同時に最外層表面にディンプルを成形することにより、マルチピースのゴルフボールを得ることができる。また、上記の各部材の材料を射出成形する方法とは別に、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップで上記の中間球状体を包み加熱加圧成形する方法を採用することも可能である。
本発明のゴルフボールには、空気力学的性能の点から、最外層の表面に多数のディンプルが設けられる。上記最外層表面に形成されるディンプルの個数については、特に制限はないが、空気力学的性能を高め飛距離を増大させる点から、好ましくは250個以上、より好ましくは270個以上、更に好ましくは290個以上、最も好ましくは300個以上であり、上限値として、好ましくは400個以下、より好ましくは380個以下、更に好ましくは360個以下である。
本発明のゴルフボールの直径としては、42mm以上、好ましくは42.3mm以上、より好ましくは42.6mm以上であり、上限としては、44mm以下、好ましくは43.8mm以下、より好ましくは43.5mm以下、更に好ましくは43mm以下である。
また、ゴルフボールの重さは、44.5g以上であることが好適であり、より好ましくは44.7g以上、更に好ましくは45.1g以上、最も好ましくは45.2g以上であり、上限としては、好ましくは47.0g以下、より好ましくは46.5g以下、更に好ましくは46.0g以下である。
ゴルフボールを荷重負荷した時のたわみ量、即ち、ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5,880N(600kgf)を負荷したときまでのたわみ量は10mm〜13mmであることが好適である。このボールのたわみ量が小さ過ぎると、打感が硬くなったり、スピン量が過度に増加して所望の飛距離が出なくなる場合がある、逆に、上記のたわみ量が大き過ぎると、初速が出なかったり、耐久性が悪くなったりする場合がある。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1,2、比較例1〜6]
下記表1に示すように実施例及び比較例の各例におけるゴム配合によりコア組成物を調整した後、表中の加硫条件により加硫成形することによりコアを作成した。なお、比較例6のコアについては、加硫成形後のコアにアクリル酸含浸液を含浸させて硬度分布の変化を図ったものである。
下記表1に示すように実施例及び比較例の各例におけるゴム配合によりコア組成物を調整した後、表中の加硫条件により加硫成形することによりコアを作成した。なお、比較例6のコアについては、加硫成形後のコアにアクリル酸含浸液を含浸させて硬度分布の変化を図ったものである。
なお、上記材料の内容は下記の通りである。
・ポリブタジエンA:JSR社製の商品名「BR730」
・ポリブタジエンB:JSR社製の商品名「BR51」
・ポリブタジエンC:JSR社製の商品名「BR01」
・ポリイソプレンゴム:JSR社製の商品名「IR2200」
・過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、日油社製の商品名「パークミルD」
・過酸化物(2):1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、日油社製の商品名「パーヘキサC−40」
・老化防止剤:2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)、大内新興化学工業社製の商品名「ノクラックNS−6」
・ステアリン酸亜鉛:日油社製の商品名「ジンクステアレートG」
・硫黄:鶴見化学工業社製の商品名「サルファックス−5」
・ポリブタジエンA:JSR社製の商品名「BR730」
・ポリブタジエンB:JSR社製の商品名「BR51」
・ポリブタジエンC:JSR社製の商品名「BR01」
・ポリイソプレンゴム:JSR社製の商品名「IR2200」
・過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、日油社製の商品名「パークミルD」
・過酸化物(2):1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、日油社製の商品名「パーヘキサC−40」
・老化防止剤:2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)、大内新興化学工業社製の商品名「ノクラックNS−6」
・ステアリン酸亜鉛:日油社製の商品名「ジンクステアレートG」
・硫黄:鶴見化学工業社製の商品名「サルファックス−5」
次いで、表2に示す樹脂材料をそれぞれ使用し、実施例1,2及び比較例1では、上記コアに、中間層、最外層を順に射出成形により形成し、2層のカバー層を形成した。また、比較例2〜6では、上記コアに、包囲層、中間層、最外層を順に射出成形により形成し、3層のカバー層を形成した。なお、ディンプルについては、共通のディンプル種I(338個、模様は図2の平面図)を用いた。ディンプルは、最外層の射出成形時に、金型のキャビティー球面に設けられた多数のディンプル形成用突起に型付けられることにより形成される。
上記材料の内容は下記の通りである。
・HPF1000:Dupont社製アイオノマー
・ハイミラン:三井デュポンポリケミカル社製のアイオノマー(「AM7331」は高剛性アイオノマー樹脂)
・ニュクレル:三井デュポンポリケミカル社製
・酸化マグネシウム:協和化学工業社製「キョーワマグMF150」
・水酸化カルシウム:白石工業社製CLS−B指定
・「ポリテールH」:三菱化学(株)製の低分子量ポリオレフィン系ポリオール
・ハイトレル:東レデュポン社製ポリエステルエラストマー
・T8925、T8290、T8283:DIC Bayer Polymer社製の商標「パンデックス」、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン
・ポリエチレンワックス:「サンワックス161P」(三洋化成社製)
・イソシアネート化合物:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
・HPF1000:Dupont社製アイオノマー
・ハイミラン:三井デュポンポリケミカル社製のアイオノマー(「AM7331」は高剛性アイオノマー樹脂)
・ニュクレル:三井デュポンポリケミカル社製
・酸化マグネシウム:協和化学工業社製「キョーワマグMF150」
・水酸化カルシウム:白石工業社製CLS−B指定
・「ポリテールH」:三菱化学(株)製の低分子量ポリオレフィン系ポリオール
・ハイトレル:東レデュポン社製ポリエステルエラストマー
・T8925、T8290、T8283:DIC Bayer Polymer社製の商標「パンデックス」、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン
・ポリエチレンワックス:「サンワックス161P」(三洋化成社製)
・イソシアネート化合物:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
得られた実施例1,2及び比較例1〜6の各ゴルフボールにつき、各層及びボールの硬度等の物性、W#1及びI#6の両方の飛び性能(キャリー),繰り返し打撃耐久性を下記の基準で評価した。結果を表3に示す。なお、下記(1)〜(7)については23±1℃の環境下で測定した。
(1)ゴルフボールのたわみ量
ゴルフボールを、23±1℃の温度で、500mm/minの速度で圧縮し、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5880N(600kgf)に負荷した時までの、ゴルフボールのたわみ量(mm)を計測した。
ゴルフボールを、23±1℃の温度で、500mm/minの速度で圧縮し、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5880N(600kgf)に負荷した時までの、ゴルフボールのたわみ量(mm)を計測した。
(2)コアの中心硬度
コアを半球状にカットして断面を平面にして中心部分に硬度計の針を垂直に押し当てて測定した。JIS−C(JIS K6301−1975規格、以下同様に定義)の硬度の値で示される。
コアを半球状にカットして断面を平面にして中心部分に硬度計の針を垂直に押し当てて測定した。JIS−C(JIS K6301−1975規格、以下同様に定義)の硬度の値で示される。
(3)コアの表面硬度
球状のコアの表面部分に垂直になるように硬度計をセットしてJIS−C硬度規格に基づいて硬度を計測した。JIS−C硬度の値で示される。
球状のコアの表面部分に垂直になるように硬度計をセットしてJIS−C硬度規格に基づいて硬度を計測した。JIS−C硬度の値で示される。
(4)コアの断面硬度
コアをファインカッターにてカットし、コアの半径をR(mm)として、コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとし、これらの各部分のJIS−C硬度値を計測した。そして、各実施例及び比較例のコア断面硬度分布を図3〜10のグラフに示した。
コアをファインカッターにてカットし、コアの半径をR(mm)として、コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとし、これらの各部分のJIS−C硬度値を計測した。そして、各実施例及び比較例のコア断面硬度分布を図3〜10のグラフに示した。
(5)中間層(又は包囲層)の材料硬度
包囲層の樹脂材料を厚さ2mmのシート状に作成し、ASTM−D2240規格のデュロメータ「タイプD」により測定した。
包囲層の樹脂材料を厚さ2mmのシート状に作成し、ASTM−D2240規格のデュロメータ「タイプD」により測定した。
(6)中間層を被覆した球体の表面硬度
球面である中間層表面に硬度計の針がほぼ垂直になるようにセットし、JIS−C硬度により計測した。中間層を被覆した球体の表面硬度(JIS−C)は、表3中のFに相当する。
球面である中間層表面に硬度計の針がほぼ垂直になるようにセットし、JIS−C硬度により計測した。中間層を被覆した球体の表面硬度(JIS−C)は、表3中のFに相当する。
(7)最外層の材料硬度
上記(5)と同じ測定方法である。
上記(5)と同じ測定方法である。
(8)飛び試験
ドライバー(W#1)として、ブリヂストンスポーツ社製「TOURSTAGE X-DRIVE 703」(ロフト角8.5°)を打撃ロボットに装着し、ヘッドスピード(HS)50m/sで打撃した時のキャリー(m)を測定した。その評価については下記の基準を用いた。なお、スピン量は打撃直後のボールを初期条件計測装置により測定した値である。
○:キャリー 246m以上
×:キャリー 246m未満
ドライバー(W#1)として、ブリヂストンスポーツ社製「TOURSTAGE X-DRIVE 703」(ロフト角8.5°)を打撃ロボットに装着し、ヘッドスピード(HS)50m/sで打撃した時のキャリー(m)を測定した。その評価については下記の基準を用いた。なお、スピン量は打撃直後のボールを初期条件計測装置により測定した値である。
○:キャリー 246m以上
×:キャリー 246m未満
(9)ミドルアイアン(I#6)
ミドルアイアンとして、ブリヂストンスポーツ社製「X-BLADE CB」(6番アイアン)を用い、HS44m/sにて打撃した時のキャリー(m)を測定した。その評価については下記の基準を用いた。
○:キャリー 150m以上
×:キャリー 150m未満
ミドルアイアンとして、ブリヂストンスポーツ社製「X-BLADE CB」(6番アイアン)を用い、HS44m/sにて打撃した時のキャリー(m)を測定した。その評価については下記の基準を用いた。
○:キャリー 150m以上
×:キャリー 150m未満
(10)繰り返し打撃耐久性
米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Testerにより、ゴルフボールの耐久性を評価した。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。金属板への入射速度は43m/sとした。ゴルフボールが割れるまでに要した発射回数を測定した。その評価については下記の基準を用いた。
○:割れるまでの発射回数が150回以上
×:割れるまでの発射回数が150回未満
米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Testerにより、ゴルフボールの耐久性を評価した。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。金属板への入射速度は43m/sとした。ゴルフボールが割れるまでに要した発射回数を測定した。その評価については下記の基準を用いた。
○:割れるまでの発射回数が150回以上
×:割れるまでの発射回数が150回未満
上記表3に示されるように、本実施例のゴルフボールは、W#1及びI#6を使用して打撃した際の飛び性能に優れており、耐久性も良好なものである。これに対して、比較例1〜6は、W#1又はI#6の使用時の飛び性能に劣り、或いは耐久性に劣るものであった。比較例1は、ボールが軟らかすぎて初速が足りず、特にW#1において飛距離が劣るものであった。
1 コア
2 包囲層
3 中間層
4 最外層
D ディンプル
G マルチピースソリッドゴルフボール
2 包囲層
3 中間層
4 最外層
D ディンプル
G マルチピースソリッドゴルフボール
Claims (9)
- コアと、少なくとも1層のカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーは、最外層と、該最外層と上記コアとの間に介在される少なくとも1層の中間層とを含むものであり、上記コアの断面硬度において、コアの半径をR(mm),コア中心のJIS−C硬度をA,コア中心からR/3mm離れた位置のJIS−C硬度をB,コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS−C硬度をC,コア中心からR/1.5mm離れた位置のJIS−C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS−C硬度をEとする場合、下記の(1)〜(3)の数式
(1)B−A<D−B
(2)C−A≦8
(3)E−B≧15
を満足し、且つ、上記中間層と上記最外層との硬度関係において、下記の数式
中間層の材料硬度 < 最外層の材料硬度
を満足することを特徴とするゴルフボール。 - 上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したアイオノマー樹脂成分と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した材料で形成される請求項1記載のゴルフボール。 - 上記中間層の少なくとも1層が、
(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜0:100になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマー
とを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(c)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜120質量部
と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜17質量部
とを必須成分として配合した材料で形成される請求項1記載のゴルフボール。 - ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重5,880N(600kgf)を負荷したときまでのたわみ量が10mm〜13mmである請求項1、2又は3記載のゴルフボール。
- 上記コアがゴム組成物にて形成されるものであり、該ゴム組成物は、1分間半減期温度が約165℃〜185℃である有機過酸化物と硫黄とを含有する請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール。
- 上記コアを上記中間層で被覆した球体の表面におけるJIS−C硬度が90以下である請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボール。
- 上記カバーの最外層の基材樹脂がアイオノマーからなり、該アイオノマーの材料硬度がショアDで50〜70である請求項1〜6のいずれか1項記載のゴルフボール。
- 上記コアの直径が32mm〜41mmである請求項1〜7のいずれか1項記載のゴルフボール。
- 上記コアが単層からなる請求項1〜8のいずれか1項記載のゴルフボール。
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