JP2005243458A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】非水電解液二次電池において、非水電解液中に存在するあるいは発生するHFやアルコールなどに起因する電解液の劣化とそれに関連する正負極の劣化を効化的に抑制する。
【解決手段】リチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムを吸蔵放出可能な炭素材を活物質とする負極と、非水電解液、およびセパレーターからなる発電要素が電池ケースに収納された非水電解液二次電池において、前記非水電解液がカーボンブラックを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は携帯電話や電気自動車等に用いる非水二次電解液電池に関する。
電子機器の急激な小型軽量化に伴い、その電源である電池に対して小型で軽量かつ高エネルギー密度、更に繰り返し充放電が可能な二次電池開発への要求が高まっている。また、大気汚染や二酸化炭素の増加等の環境問題により、電気自動車の早期実用化が望まれており、高効率、高出力、高エネルギー密度、軽量等の特徴を有する、優れた二次電池の開発が要望されている。
これらの要求を満たす二次電池として、非水電解液を使用した二次電池が実用化されている。この電池は、従来の水溶性電解液を使用した電池の数倍のエネルギー密度を有している。その例として、非水電解液二次電池の正極にリチウム含有層状コバルト酸化物(以下「Co系化合物」とする)、リチウム含有層状ニッケル酸化物(以下「Ni系化合物」とする)又はスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(以下「Mn系化合物」とする)を用い、負極にリチウムが吸蔵・放出可能な炭素材料などを用いた長寿命な非水電解液二次電池が実用化されている。
代表的な小型電子機器である携帯電話においては、近年、インターネット接続機能や動画撮影機能さらにはTV受信機能など、その高機能化が著しい速度で進展しているが、それらの機能に必要とされる消費電力は大きく電池の消耗が激しいため、非水電解液電池の高容量化および長寿命化が重要な開発課題となっている。
また、電気自動車においても非水二次電解液電池の高容量化と長寿命化、特に長寿命化が重要な開発課題となっている。この背景には、電気自動車の装置寿命が携帯電話などと比較して長く電池にも装置寿命と同等の寿命が求められること、従来の内燃型エンジンを用いた自動車に対するコストアップをなるべく抑える必要があることなどがあげられる。
非水電解液電池の長寿命化をはかるには、電池の劣化原因を特定し、それらの劣化原因に対して改良手段を施す方法が有効である。現在までに報告されている電池の劣化要素としては、炭素負極上での皮膜成長や、正極のインピーダンス上昇、セパレーターの抵抗上昇などに加えて、特許文献1〜特許文献3あるいは非特許文献1などに記載されているような電解液中のHFあるいはアルコールなどの不純物による電解液の劣化、およびそれに関連して特許文献4〜特許文献6あるいは非特許文献2などに記載されているようなリチウム複合酸化物からの金属の溶解や負極皮膜の溶解なども主要な劣化反応として挙げられる。
不純物による電解液の劣化を抑制するためには、上記の特許文献に記されているように、電解液の精製純度を上げる、HFと結合する錯体形成化合物、ホウ素化合物、ゼオライトなどを添加するといった方法が提案されている。しかし、HFやアルコールは電池を高温放置した際に電解液中のLiPFあるいは炭酸エステルが分解して生成する経路もあるため電池の使用状況によっては効果が得られない問題があった。また、ホウ素化合物やゼオライトはその効果を発現するためには多量の添加が必要であり、電池内に充填する、さらには正負極間に担持させるには実現性が低い問題があった。さらには、その他の添加剤も多数提案があったが、効果が非常に小さい、あるいは全く得られないものが多かった。
正極から溶解した金属による劣化を抑制するには、上記の特許文献に記されているように、負極板の表面形状を加工したり、トラップ剤を添加したりする方法が提案されている。しかし、製造工程が複雑になる、コストがかかるなどの問題が避けられず、簡便で効果の高い方法の開発が必要とされていた。
特開平03−261294号公報 特開平10−270074号公報 特開2001−052741号公報 特開平10−302795号公報 特開平11−176421号公報 特開2001−338683号公報 S.E.Sloop,J.B.Kerr,K.Kinoshita,Journal of Power Sources,119−121(2003)330−337 G.G.Amatucci,J.M.Tarascon,L.C.Klein,Slid State Ionics、83(1996)167−171
本発明で解決しようとする課題は、リチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムを吸蔵放出可能な炭素材を活物質とする負極と、非水電解液を含む電池において、非水電解液中に存在するあるいは発生するHFやアルコールなどに起因する電解液の劣化とそれに関連する正負極の劣化を効化的に抑制することである。
請求項1の発明は、リチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムを吸蔵放出可能な炭素材を活物質とする負極と、非水電解液、およびセパレータからなる発電要素が電池ケースに収納された非水電解液二次電池において、前記非非水電解液がカーボンブラックを含むことを特徴とする。
請求項2の発明は、上記請求項1の非水電解液二次電池において、非水電解液中のカーボンブラック含有量が、非水電解液重量に対して100ppm〜1000ppmであることを特徴とする。
請求項3の発明は、上記請求項1または請求項2の非水電解液二次電池において、非水電解液中に非水電解液重量に対して100ppm〜900ppmmの活性炭を含み、非水電解液中のカーボンブラックと活性炭の合計重量が、非水電解液重量に対して200ppm〜10000であることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、電解液中に元から存在するHFやアルコールなどの不純物は、電解液中に含まれるカーボンブラックに効果的に吸着除去されるとともに、長期間の使用中、あるいは高温下で電解質や電解液の分解により逐次発生する不純物も吸着除去されるため、製造初期の放電容量が大きく、かつ寿命性能に優れる非水電解液二次電池を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、非水電解液中のカーボンブラック含有量を非水電解液重量に対して100ppm〜1000ppmと、従来からの発明にあった各種添加剤の添加量よりごく少量で効果が得られるため、製造工程において添加剤が注液管や発電要素のエッジ部に堆積してしまうような問題は起こらず、従来通りの製造工程で電池を製造できる利点がある。さらに、カーボンブラックは非水電解液電池の正極あるいは負極の導電助剤として広く利用されている物質であるため、入手しやすくかつコストも安いといった実用上の利点もある。
さらに、第3の発明によれば、発電要素中に残存した水分が多かった場合、あるいは高温放置期間が長期に及んだ場合にカーボンブラックによる不純物の除去効果が十分に得られず、正極から多量の金属が溶出してしまった時においても、該溶出金属は電解液中に添加された活性炭に効果的に吸着除去されるため、カーボンブラックの存在のみでは対処できない偶発的な性能低下も抑制できる利点がある。
本願においては、非水電解液中の活性炭の含有量が非水電解液重量に対して100ppm〜900ppmとごく少量で効果を得られるため、カーボンブラックと同様に製造工程に特別な改良を施す必要がない利点がある。なお、活性炭の添加のみではHFやアルコールに起因する劣化を抑制することはできなかった。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明が以下の実施の形態に限定されないことはいうまでもない。
請求項1の発明に係る非水電解液二次電池は、リチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムを吸蔵放出可能な炭素材を活物質とする負極と、非水電解液、およびセパレータからなる発電要素が電池ケースに収納された非水電解液二次電池において、非水電解液がカーボンブラックを含むものである。
このような構成を有する非水電解液電池は、初期の放電容量や内部抵抗が安定しており、電解液中の不純物の生成による劣化が少なく、長期的にも良好な容量と内部抵抗を保持するため、携帯電話に代表される小型電子機器や電気自動車、人工衛星、バックアップ電源など各種大型装置の電源として活用できる。
ここでカーボンブラックの形状は、顆粒状や粒状に成形されていない粉末状のカーボンブラックが好ましく、その種類は導電材料として利用されているアセチレンブラックやケッチェンブラックの他にサーマルブラック、ファーネスブラックなども含む。
粒径が小さいほど極板間へ浸透しやすく、正負極へ悪影響を及ぼす不純物の除去効果を得られやすいため、粉末状や顆粒状に成形されたカーボンブラックは、数十〜数百nmの一次凝集体あるいは数μm程度以下の二次凝集体にまで解砕されてから使用されることが望ましい。
請求項2の発明に係る非水電解液二次電池は、非水電解液中のカーボンブラック含有量が、非水電解液重量に対して100ppm〜1000ppmとするものである。カーボンブラックの添加量については、その量が多いほど得られる効果は大きいが、多すぎると溶媒や電解質の減少による液枯れが起こりやすくなるばかりでなく、内部短絡が起こる可能性もあるため、その添加量には上限を設ける必要がある。一般的にカーボンブラックの添加量は、非水電解液重量に対して1000ppm〜1000ppmの範囲にあることが好ましい。
請求項3の発明に係る非水電解液二次電池は、上記請求項1または請求項2の発明において、非水電解液中に非水電解液重量に対して100ppm〜900ppmの活性炭を含み、非水電解液中のカーボンブラックと活性炭の合計重量が、非水電解液重量に対して200ppm〜10000であることを特徴とするものである。
このような構成を有する非水電解液電池は、請求項1または請求項2の発明と同様に,初期の放電容量や内部抵抗が安定しており、電解液中の不純物の生成による劣化が少なく長期的にも良好な容量と内部抵抗を保持する上に、何らかの理由でカーボンブラックによる不純物の除去効果が十分に得られず、正極から多量の金属が溶出してしまった時においても、該溶出金属は電解液中に添加された活性炭に効果的に吸着除去されるため、カーボンブラックの添加のみでは対処できない性能低下も抑制できる利点がある。
したがって、推奨仕様温度範囲を超える高温環境下で長期間使用された場合や充電装置の不具合により過充電サイクルが繰り返された場合、または元の電解液中に不純物が多量に含まれていた場合や正極活物質の原料や焼成条件が不適であり溶出金属量が多かった場合など、想定外の偶発的な原因により電池の不良が発生しうる状況においても良好な充放電性能を維持するため、劣悪な環境で使用されるようなバックアップ電源などに活用できる。
ここで「活性炭」とは、ガス賦活炭や塩化亜鉛賦活炭あるいは燐酸賦活炭を微粉末状に粉砕したものである。カーボンブラックと同様に粒径が小さいほど極板間へ浸透しやすく正極から溶出した金属の除去効果を得られやすいが、細かすぎると粉体の取り扱いが困難になるため、数十nm〜数μm程度であることが好ましい。
また、カーボンブラックと同様に添加量が多いほど得られる効果は大きいが、多すぎると溶媒や電解質の減少による液枯れが非常に起こりやすくなるため、一般的に活性炭の添加量は、非水電解液重量に対して100ppm〜900ppmの範囲であり、カーボンブラックと併せての添加量は200ppm〜1000ppmであることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池の外観を図1に、電池のエレメントを図2に示す。図1および図2において、1は非水電解質二次電池、2は電極群、2aは正極、2bは負極、2cはセパレータ、3は電池ケース、3aは電池ケースのケース部、3bは電池ケースの蓋部、4は正極端子、5は負極端子、6は安全弁、7は電解液注液口である。
本発明の非水電解質二次電池は、化合物を正極活物質として用いた正極7と負極8とがセパレータ9を介して長円形状に巻回されてなる電池のエレメント1を電池容器2に収納し、カーボンブラックもしくはカーボンブラックと活性炭を含ませた非水電解液(図示せず)を注液口6から注液し、その後、注液口6を封口して構成されている。
本発明の非水電解液二次電池に用いられる負極、セパレータおよび電解液などは、特に従来用いられてきたものと異なるところなく、通常用いられているものが使用できる。なお、図2では、電極群の形状としては長円形状を示したが、円形状でもよい。また、電極群の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層した形状でもよい。
本発明の非水電解液二次電池に用いる正極材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能なマンガン酸リチウム(LiMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物、性能改善のために各複合酸化物の遷移金属部分が他の遷移金属や軽金属、後遷移金属で置換されたリチウム複合酸化物、などが挙げられる。
また、負極材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能な天然グラファイト、人造グラファイト(Gr)、コークス類(ソフトカーボン、Cs)、難黒鉛化性炭素(HC)などの他に低温焼成易黒鉛化性炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、活性炭などの炭素材料が挙げられる。
本発明の非水電解液二次電池に用いるセパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とする微多孔膜が用いられ、材料、重量平均分子量や空孔率の異なる複数の微多孔膜が積層してなるものや、これらの微多孔膜に各種の可塑剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤を適量含有しているものであってもよい。
本発明の非水電解液二次電池に用いる電解液の有機溶媒に特に制限はなく、例えばエーテル類、ケトン類、ラクトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、硫黄化合物、ハロゲン化炭化水素類、エステル類、カーボネート類、ニトロ化合物、リン酸エステル系化合物、スルホラン系炭化水素類等を用いることができるが、これらのうちでもエーテル類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、ハロゲン化炭化水素類、カーボネート類、スルホラン系化合物が好ましい。これらの例としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、モノグライム、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2−ジクロロエタン、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、メチルフォルメイト、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルチオホルムアミド、スルホラン、3−メチル−スルホラン、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルおよびこれらの混合溶媒等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。好ましくは環状カーボネート類および環状エステル類である。もっとも好ましくは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ビニレンカーボネート(VC)のうち1種または2種以上した混合物の有機溶媒である。
また、本発明の非水電解液二次電池に用いる電解質塩としては、特に制限はないが、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiPF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiI、LiAlCl、LiBOB等およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、LiBF、LiPFのうち1種または2種以上を混合したリチウム塩がよい。
その他の電池の構成要素として、集電体、端子、絶縁板、電池ケース等があるが、これらの部品についても従来用いられてきたものをそのまま用いて差し支えない。
以下に、本発明の実施例を、比較例とあわせて説明する。
[実施例1〜12および比較例1〜5]
電子顕微鏡で観察してアグリゲートを構成する基本粒子(一次凝集体)の直径を計測して算術平均した値が数十〜数百nmであり、レーザー回折法により測定した二次凝集体の平均粒径(D50)が0.1μm〜5μmであることを確認したアセチレンブラック(以下「AB」とする)、ケッチェンブラック(以下「KB」とする)、ファーネスブラック(以下「FB」とする)、サーマルブラック(以下「TB」とする)を0.01torr以下の真空下200℃で8時間乾燥して吸着水分を除去したのちに、露点−50℃以下のドライルーム中で冷却後のカーボンブラックを取り出した。そしてこれら各種カーボンブラックを、カールフィッシャー法による水分量が50ppm以下である1mol/lのLiPF/EC+EMC(体積比30:70)に所定量添加して、以下に説明する試作電池に注液した。
使用したカーボンブラックの物性を表1にまとめた。
Figure 2005243458
[試験電池の作製]
試験電池の正極は、LiMn(以下「Mn系」とする)、LiCoO(以下「Co系」とする)またはLiNiO(以下「Ni系」とする)の各化合物粉体を87重量%、導電助剤であるアセチレンブラックを5重量%、結着剤であるポリフッ化ビニリデンを8重量%混合し、これに含水量50ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」とする)を加えてペースト状としたスラリーをアルミニウム箔上に塗布、乾燥して作製した。
負極は、人造グラファイト(以下「Gr」とする)、難黒鉛化性炭素(以下「HC」とする)またはコークス(以下「Cs」とする)の各粉体を90重量%、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(以下「PVdF」とする)を10重量%と混合し、これにNMPを加えてペースト状とたスラリーを銅箔上に塗布、乾燥して作製した。正負極の乾燥は、0.01torr以下の真空下150℃で12時間以上おこなった。
ロールプレスをおこなった正・負極を、図2に示すようにセパレーターを介して長円形状に捲回して電極群を構成した後、この電極群を長円筒形の有底アルミニウム容器に挿入し、さらに、電極群の巻芯部に充填物をつめた後に、上記の方法で調整した電解液を注入し、レーザー溶接にて容器と蓋とを封口溶接した。なお、スラリー作製から電極加工、電池組立に至る全ての工程は露点−50℃以下のドライルーム中でおこなった。作製した電池の設計容量は850mAhとした。
[初期放電容量測定]
試験電池を25℃環境下で、170mA定電流で4.2Vまで充電した後、170mA定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返し、3回目の放電容量を初期放電容量と定めた。
[充放電サイクル試験]
次に、試験電池を初期と同じ条件で300回充放電した後の放電容量を求め、これを初期の放電容量で除してサイクル後容量保持率(%)を算定した。
[保存試験]
充放電サイクル試験に供した電池とは別の電池で保存試験をおこなった。この電池についても、170mA定電流で4.2Vまで充電した後、170mA定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返し、まずは初期放電容量を求めた。次に、170mA定電流で4.2vまで再度充電した後に電池を60℃の環境下で10日間保存し、保存後にも初期と同じ条件で3回充放電を繰り返して3回目の放電容量を保存後容量と定め、これを初期放電容量で除して保存後の容量保持率(%)を算定した。
正極にLiMn(Mn系)、負極に人造グラファイト(Gr)を用い、非水電解液中の粉末状カーボンブラック含有量を500ppmとし、粉末状カーボンブラックの種類を変えた場合の結果を表2にまとめた。
Figure 2005243458
表2に示す結果より、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、ファーネスブラック(FB)、サーマルブラック(TB)などの各種カーボンブラックを電解液中に適量添加することにより、初期放電容量が増加し、かつ充放電サイクル性能や保存性能などの寿命性能が向上することが明らかになった。
つぎに、正極活物質および負極活物質の種類を変え、非水電解液中に含ませる粉末状カーボンブラックとしてアセチレンブラック(AB)を用い、非水電解液中のAB含有量を500ppmとした場合(比較例ではABは未添加)の結果を表3にまとめた。
Figure 2005243458
表3に示す結果より、正極に各種リチウム複合酸化物、負極に各種炭素材料を用いた非水電解液二次電池において、アセチレンブラック(AB)を電解液中に適量添加することにより、初期放電容量が増加し、かつ充放電サイクル性能や保存性能などの寿命性能が向上することが明らかになった。
さらに、正極にLiMn(Mn系)、負極に人造グラファイト(Gr)、非水電解液中に含ませる粉末状カーボンブラックとしてアセチレンブラック(AB)を用い、非水電解液中のAB含有量を変えた場合の結果を表4にまとめた。
Figure 2005243458
表4に示す結果より、正極にLiMn(Mn系)、負極に人造グラファイト(Gr)を用いた非水電解液二次電池において、アセチレンブラック(AB)を電解液中に添加することにより、初期放電容量が増加した。ただし、充放電サイクル性能や保存性能などの寿命性能は、実施例9と実施例12の場合には、ABを添加しなかった比較例1と同程度であったが、実施例10、実施例1および実施例11の場合には、比較例1よりも向上することが明らかになった。したがって、非水電解液中の粉末状カーボンブラック含有量は、100ppm〜1000ppmが最適であることがわかった。
[実施例13〜28および比較例6〜5]
次に、請求項3の発明について、実施例を比較例とあわせて説明する。
レーザー回折法により測定した平均粒径(D50)が1μmとなるように粉砕した粉末活性炭(関西熱化学(株)製、マックスソーブ)を0.01torr以下の真空下200℃で24時間以上乾燥して吸着水分を除去したのちに、露点−70℃以下のアルゴンガス置換グローブボックス中で冷却後の活性炭を取り出して密閉容器中に保管した。そして実施例1で用いた乾燥後のアセチレンブラック(AB)とともに、水分量が50ppm以下である1mol/lのLiPF/EC+EMC(体積比30:70)に所定量添加して、実施例1で用いたのと同様の電池に注液した。電解液調整以降の全ての工程は露点−50℃以下のドライルーム中でおこなった。
[初期放電容量測定]
試験電池を25℃環境下で、170mA定電流で4.2Vまで充電した後、170mA定電流で3.0Vまで放電する充放電を3回繰り返し、3回目の放電容量を初期放電容量と定めた。
[過充電サイクル試験]
次に、試験電池を25℃環境下で、170mA定電流で4.3Vまで充電した後、170mA定電流で3.0Vまで放電する充放電を300回繰り返した後の放電容量を求め、これを初期の放電容量で除して過充電サイクル後の容量保持率(%)を算定した。この値を表2に示す。
[SOC30%での高温保存試験]
過充電サイクル試験に供した電池とは別の電池でSOC30%での高温保存試験をおこなった。この電池についても、170mA定電流で4.2Vまで充電した後、170mA定電流で3.0Vまで放電する充放電を初期に3回繰り返し、まずは初期放電容量を求めた。次に、85mA定電流で初期放電容量の30%分の電気量を充電した後に、電池を80℃の環境下で3日間保存し、保存後に初期と同じ条件で3回充放電を繰り返して3回目の放電容量を高温保存後容量と定め、これを初期放電容量で除して高温保存後の容量保持率(%)を算定した。
正極にLiMn(Mn系)、負極に人造グラファイト(Gr)を用い、非水電解液中に、アセチレンブラック(AB)と粉末活性炭とを含有させ、含有量を変えた場合の結果を表5にまとめた。
Figure 2005243458
表5に示す結果より、正極にLiMn(Mn系)、負極に人造グラファイト(Gr)を用いた非水電解液二次電池において、実施例10、1、24と比較例1とから、非水電解液中にアセチレンブラック(AB)のみを含ませた場合でも、初期放電容量が増加し、かつ過充電サイクル性能や高温保存性能などの寿命性能が向上するが、実施例13〜23のように、カーボンブラックに加えて活性炭を電解液中に適量含ませることにより、充電装置の不具合により過充電サイクルが繰り返された場合や推奨仕様温度範囲を超える高温環境下で長期間保存された場合などの偶発的な理由でカーボンブラックによる不純物の除去効果が十分に得られず、正極から多量の金属が溶出してしまった時においても、該溶出金属は電解液中に添加された粉末状の活性炭に効果的に吸着除去されるため、カーボンブラックの添加のみでは対処できない性能低下が抑制できることが明らかになった。
なお、実施例13〜23の中では、非水電解液中に、活性炭が100ppm〜900ppm含まれ、かつABと活性炭の合計が200ppm〜1000ppm含まれている実施例14、15、16、19、20、22の場合に、特に優れた初期放電容量および寿命性能を示すことがわかった。
つぎに、正極活物質および負極活物質の種類を変え、非水電解液中にアセチレンブラック(AB)500ppmと活性炭500ppmとを含ませた場合と、非水電解液中にアセチレンブラック(AB)500ppmのみを含ませた場合の結果を表6にまとめた。
Figure 2005243458
表6に示す結果より、正極に各種リチウム複合酸化物、負極に各種炭素材料を用いた非水電解液二次電池においても、カーボンブラックに加えて活性炭を電解液中に適量含ませることにより、カーボンブラックにみを含ませた場合よりも初期放電容量が増加し、かつ過充電サイクル性能や高温保存性能などの寿命性能が向上することがわかった。
本発明の非水電解液二次電池の外観を示す図。 電池のエレメントを示す図。
符号の説明
1 非水電解質二次電池
2 電極群
2a 正極
2b 負極
2c セパレータ
3 電池ケース
3a 電池ケースのケース部
3b 電池ケースの蓋部
4 正極端子
5 負極端子
6 安全弁
7 電解液注液口

Claims (3)

  1. リチウムを吸蔵放出可能なリチウム複合酸化物を活物質とする正極と、リチウムを吸蔵放出可能な炭素材を活物質とする負極と、非水電解液、およびセパレータからなる発電要素が電池ケースに収納された非水電解液二次電池において、前記非水電解液がカーボンブラックを含むことを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 非水電解液中のカーボンブラック含有量が、非水電解液重量に対して100ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 非水電解液中に非水電解液重量に対して100ppm〜900ppmmの活性炭を含み、非水電解液中のカーボンブラックと活性炭の合計重量が、非水電解液重量に対して200ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解液二次電池。




























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