JP5061497B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、マンガン酸リチウムを含有する正極と、チタン酸リチウムを含有する負極と、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有する非水電解液とを備えた非水電解質二次電池に関するものである。
近年、携帯電話およびデジタルカメラなどの電子機器の電源として、小形で軽量な非水電解質二次電池が広く用いられている。非水電解質二次電池の正極にはリチウム遷移金属複合酸化物、負極には炭素材料、電解質にはリチウム塩を含んだカーボネートが一般的に使用されており、その電池はエネルギー密度が高いことを特徴として実用化されている。
しかしながら、高温あるいは低温でのサイクル性能には問題があり、使用温度範囲が狭く限度があった。今後、特に電池を大型化することによって、電気自動車や電力貯蔵システムなどへ適用できるようにするためには、その使用温度範囲をより広げることが必須である。
優れたサイクル性能を得るためには、充放電にともなう体積変化が小さい活物質を使用することが有効である。特に、非特許文献1に記載のように、負極にチタン酸リチウムを用いた場合、充放電に伴うその体積変化が小さいことから良好なサイクル性能が得られることがわかっている。
特許文献1には、スピネル型構造のリチウム−チタン酸化物を活物質として用い、正極活物質にLiMnOまたはLiMnOを用いた非水電解液リチム二次電池の技術が開示されている。
特許文献2には、組成式Li1+xMn2−x−y4−z(MはTi、V、Cr、・・・、Alのうちの1種以上、0≦x<0.2、0≦y<0.5、0≦z<0.2)で表されるリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として含む正極と、組成式LiTi(0.5≦a≦3、1≦b≦2.5)で表されるリチウムチタン複合酸化物を負極活物質として含む負極とを用いることにより、サイクル特性に優れたリチウム二次電池が得られることが記載されている。
そして、電解液溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの1種または2種以上の混合物を用いることができることが記載され、具体例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1の混合溶媒を用いている。
さらに、特許文献2では、結晶性の高いリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用い、還元電位がLi/Liに対して約1.5Vと高いリチウムチタン複合酸化物を負極活物質に用い、負極表面における非水電解液の分解を抑制することによって、正極活物質にLi1.05Ni0.1Mn1.85を用いた場合、60℃での300サイクル目の容量維持率が94〜104%という優れたサイクル特性を得ていた。
一方、チタン酸リチウムを用いたセルのサイクル特性を改善するために、電解液を検討した例も開示されている。特許文献3には、負極活物質にLi4/3Ti5/3などのチタン酸リチウムを用いたリチウム二次電池において、電解液環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む電解液を用い、保存性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献4には、一般式リチウム含有ニッケル複合酸化物を正極活物質に、チタン酸リチウム(LiTi12)を負極活物質に用いた非水電解質二次電池に用いる電解液溶媒の組成を検討し、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを用い、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとがそれぞれ溶媒全体の10体積%以上含まれると共に、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルとを合わせた溶媒が溶媒全体の60体積%以上含まれた場合、正極材料や負極材料との間において容量を低下させる副反応が生じるのが抑制され、過放電が防止され、サイクル特性が向上することが記載されている。
特開平07−320784号公報 特開2001−210324号公報 特開2004−087229号公報 特許第3685500号公報 T.Ohzuku,A.Ueda,N.Tamamoto,J.Electrochem.Soc.,142,1431(1995)
特許文献1の非水電解液リチム二次電池の電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの高粘度溶媒と1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエチルカーボネート(DEC)などの低粘度溶媒とを混合して用いることが開示されている。しかしながら、具体的な電解液溶媒としては、PCとDMEの混合溶媒のみが検討され、60℃で20日間保存後に、室温で充放電を実施したときの容量回復性について記載されており、サイクル性能については、正極活物質にLiMnOを用いた場合の100サイクル目の容量保持率(1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比)は約72%、正極活物質にLiMnOを用いた場合の100サイクル目の容量保持率は約75%と、不十分なサイクル性能であった。
特許文献2のリチウム二次電池では、正極活物質に高結晶性のリチウムマンガン複合酸化物を用いており、マンガンの一部をアルミニウムで置換可能であることは記載されているが、実施例ではアルミニウムを含むリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いてはおらず、電解液溶媒はエチレンカーボネートを50体積%含むものである。
特許文献3で開示された技術では、正極活物質にはコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、鉄酸リチウムなどのリチウム含有遷移金属複合酸化物、またはこれらの酸化物に含まれる遷移金属の一部を他の元素で置換した酸化物を用いることができると記載されているが、マンガンの一部をアルミニウムで置換したリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いることは検討されていない。また、特許文献3では、電解液溶媒としては、実施例で環状カーボネートを体積比で50%含む溶媒を用いているが、それ以外の電解液溶媒の組成については詳細に検討されていなかった。
マンガン酸リチウムを正極活物質に用いた場合のサイクル劣化のメカニズムはニッケル酸リチウムを用いた場合とは異なるため、特許文献4に記載された電解液溶媒の組成を用いた場合、正極マンガン酸リチウムを正極活物質に用いた非水電解質二次電池においても同様の効果が得られるかどうかについては不明であった。
本発明の目的は、マンガンの一部をアルミニウムで置換したマンガン酸リチウムを含有する正極とチタン酸リチウムを含有する負極とを備えた非水電解質二次電池において、電解液組成を最適化することにより、高温から低温までの広い温度範囲で優れた充放電サイクル性能を示す非水電解質二次電池を提供することにある。
請求項1の発明は、一般式LiMn3−x−yAl1.1≦x≦1.2、0<y≦0.2)で表されるマンガン酸リチウムを含有する正極と、一般式LiTi(1.0≦a≦2.4、1≦b≦2)で表されるチタン酸リチウムを含有する負極と、溶媒として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを95体積%以上含有する非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、前記環状カーボネートは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群から選択される1種又は2種以上からなり、前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選択される1種又は2種以上からなり、前記非水電解液の溶媒に含まれる前記環状カーボネートの割合が25体積%以下であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極活物質は充放電サイクル特性が優れたものである。しかし、この正極活物質と、負極活物質としての炭素材料とを組み合わせた場合、電解液に環状カーボネートを用いると、炭素材料に金属リチウムが電析するという問題があった。そこで、負極活物質に炭素材料に代えてチタン酸リチウムを用いることにより、チタン酸リチウムは炭素材料よりも電位が高いため、負極への金属リチウムの電析を防止することができる。
本発明は、正極活物質に一般式LiMn3−x−yAl で表されるマンガン酸リチウム、負極活物質に一般式LiTiで表されるチタン酸リチウムを用い、さらに、電解液溶媒中の環状カーボネートの割合の最適範囲を決めることにより、高温から低温までの広い温度範囲で、優れた充放電サイクル性能を実現できる非水電解質二次電池を提供することができる。ただし、その理由については、現時点では明らかではない。
極活物質として一般式LiMn3−x−yAlで表されるマンガン酸リチウムを用い、0.8≦x≦1.2、0<y≦0.2とした場合、xが0.8より小さい場合には充放電でのサイクル劣化が大きく、一方、xが1.2より大きい場合には炭酸リチウム(LiCO)などの不純物が多く含まれるようになる。
また、Alが含まれていない(y=0)場合には、充放電でのサイクル劣化が大きく、一方、yが0.2より大きい場合、アルミナ(Al)などの不純物が多く含まれるようになる。なお、Li、Mn、Al以外の元素が微量含まれていても、含まれていない場合と同様の優れた充放電サイクル性能を示す。
なお正極活物質としては、高温でのサイクル性能が良好であることから、1.0≦x≦1.1、0.005≦y≦0.1の場合がより好ましい。
本発明の正極活物質に用いるマンガン酸リチウムは、リチウム化合物とマンガン化合物とを500〜900℃の範囲で焼成することによって得ることができる。リチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウムなどを用いることができ、マンガン化合物としては、炭酸マンガン、二酸化マンガン、硝酸マンガン、水酸化マンガンなどを用いることができる。
正極に用いる導電剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、Ni、Ti、Al、Feまたはこれらの二種以上の合金もしくは炭素材料が挙げられる。なかでも、炭素材料を用いることが好ましい。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素が挙げられる。
正極に用いる結着剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース、またはこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
正極活物質および結着剤を混合する際に用いる溶媒としては非水溶媒または水溶液を用いることができる。非水溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤などを加えてもよい。
本発明の非水電解質二次電池において、負極活物質として一般式LiTiで表されるチタン酸リチウムを用いる。チタン酸リチウムは1.0≦a≦2.4、1≦b≦2の範囲以外のものは得られていない。なお、Li、Ti以外の元素が微量含まれていても、含まれていない場合と同様の優れた充放電サイクル性能を示す。
本発明の負極活物質に用いるチタン酸リチウムは、リチウム化合物とチタン化合物とを500〜900℃の範囲で焼成することによって得ることができる。リチウム化合物としては正極活物質を合成する場合に用いたのと同じ化合物を用いることができ、チタン化合物としては、二酸化チタン、一酸化チタンなどを用いることができる。
負極に用いる導電剤としては、正極に用いたのと同じ物質を用いることができる。
負極に用いる結着剤としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシ変成ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの誘導体などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。
負極に用いる導電剤としては、正極に用いたのと同じ物質を用いることができる。また、負極活物質と結着剤を混合する時に用いる溶媒としては、正極に用いたのと同じ非水溶媒や水溶液を用いることができる。また、これらに分散剤、増粘剤などを加えてもよい。
本発明に用いる電極の集電体基板としては、鉄、銅、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウムを用いることができる。また、その形状としては、シート、発泡体、焼結多孔体、エキスパンド格子などが挙げられる。さらに、その集電体に任意の形状で穴を開けたものを用いることができる。
本発明に用いる電解液の有機溶媒としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有し、さらに、非水電解液の溶媒に含まれる環状カーボネートの割合が25体積%以下としなければならない。環状カーボネートの割合を25体積%以下とすることにより、理由は明らかではないが、電池の充放電サイクル性能が向上するものである。
本発明において、リチウム塩を十分に溶解することができることから、鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどを用いる環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどを用いる
これらの中では、鎖状カーボネートとしてはジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを使用することが好ましく、特に、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネートを使用することがより好ましい。
また、電解液溶媒合計に対する環状カーボネートの体積比は9%以下とした場合に、より充放電サイクル特性が向上する。
本発明の電解液溶媒としては、鎖状カーボネートと環状カーボネートのみからなることが好ましいが、場合によっては、鎖状カーボネートと環状カーボネート以外に、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、プロパンスルトンなどの添加剤を含んでいてもよい。ただし、これらの添加剤の含有量が多くなると、電解液の伝導度が低下する。そのため、鎖状カーボネートと環状カーボネート以外の添加剤は、電解液溶媒合計に対し体積比で5%以下とする
また、本発明に用いる溶質としては、特に制限はなく、種々の溶質を適宜使用できる。例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF)、LiPF(C、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CCO)、LiI、LiAlCl、LiBCなどを単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なかでもイオン伝導性が良好なことからLiPFを使用することが好ましい。また、これらのリチウム塩濃度は0.5〜2.0mol/dmとすることが好ましい。さらに1.5〜2.0mol/dmとすることがより好ましい
また、電解質中にビニレンカーボネートやブチレンカーボネートなどのカーボネート類、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼンなどのベンゼン類、プロパンスルトンなどの硫黄類、エチレンサルファイド、フッ化水素、トリアゾール系環状化合物、フッ素含有エステル類、テトラエチルアンモニウムフルオライドのフッ化水素錯体またはこれらの誘導体、ホスファゼンおよびその誘導体、アミド基含有化合物、イミノ基含有化合物、または窒素含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有しても使用できる。また、CO、NO、CO、SOなどから選択される少なくとも1種を含有しても使用できる。
本発明に用いるセパレータとしては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜などが挙げられ、なかでも、合成樹脂微多孔膜が好ましい。合成樹脂微多孔膜の材質としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィンが用いられ、なかでもポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などのポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗などの面で好ましい。また、材料、重量平均分子量や空孔率の異なる複数の微多孔膜が積層してなるものや、これらの微多孔膜に各種の可塑剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤を適量含有しているものを使用することができる。
また、上記電解質には固体またはゲル状のイオン伝導性電解質を組み合わせて使用することができる。組み合わせる場合、非水電解質電池の構成としては、正極、負極およびセパレータと有機または無機の固体電解質と上記非水電解液との組み合わせ、または正極、負極およびセパレータとしての有機または無機の固体電解質膜と上記非水電解液との組み合わせが挙げられる。また、イオン伝導性電解質には有孔性高分子固体電解質膜も使用することができる。
イオン伝導性電解質としてはポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体、LiI、LiN、Li1+xTi2−x(PO(M=Al、Sc、Y、La)、Li0.5−3x0.5+xTiO(R=La、Pr、Nd、Sm)、またはLi4−xGe1−xに代表されるチオリシコンを使用することができる。さらに、LiI−LiO−B系、LiO−SiO系などの酸化物ガラス、またはLiI−LiS−B系、LiI−LiS−SiS系、LiS−SiS−LiPO系などの硫化物ガラスを使用することができる。
本発明の電池の形状は特に限定されるものではなく、本発明は、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形電池などの様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能である。
つぎに、本発明の好適な実施例について説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6および比較例1]
[実施例1]
二酸化マンガン、水酸化リチウムおよび酸化アルミニウムを混合したのち、空気中にて700℃で10時間加熱処理することによって、Li1.1Mn1.8Al0.1を得て、これを正極活物質とした。この正極活物質92質量%と、導電材としてのアセチレンブラック3質量%と、結着剤としてのPVdFをNMPに溶解した(固形分比12質量%)5質量%とを混合してペーストを作製した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔に塗布したのち、80℃で乾燥した。その後150℃で真空乾燥したのち、多孔度が35%となるようにプレスし、正極板を得た。
二酸化チタンと水酸化リチウムを混合したのち、空気中にて600℃で15時間加熱処理することによってLiTi12を得て、これを負極活物質とした。この負極活物質87質量%と、導電材としてのアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのPVdFをNMPに溶解した溶液(固形分比13質量%)8質量%とを混合してペーストを作製した。このペーストを厚さ10μmの銅箔に塗布したのち、80℃で乾燥した。その後150℃で真空乾燥したのち、多孔度が35%となるようにプレスして、負極板を得た。
このようにして準備した正極板および負極板の間に、厚さ20μm、多孔度45%の連通多孔体であるポリエチレンセパレータを挟んで重ねて巻き、高さ50mm、幅34mm、厚さ5.2mmの容器中に挿入して、角形電池を組み立てた。
最後に、この電池の内部に環状カーボネートとしてプロピレンカーボネート(PC)と鎖状カーボネートとしてジエチルカーボネート(DEC)の体積比25:75の混合溶媒に1.2mol/dmのLiPFを溶解した非水電解液を注入することによって、実施例1の電池(A1)を得た。
[設計容量は約 mAhとした。]
[実施例2]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比15:85の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の電池(A2)を得た。
[実施例3]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比9:91の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の電池(A3)を得た。
[実施例4]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比5:95の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例4の電池(A4)を得た。
[実施例5]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比25:75の混合溶媒を用い、これに0.8mol/dmのLiPFを溶解した非水電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例5の電池(A5)を得た。
[実施例6]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比25:75の混合溶媒を用い、これに1.5mol/dmのLiPFを溶解した非水電解液を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例6の電池(A6)を得た。
[比較例1]
電解液溶媒として、PCとDECの体積比30:70の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の電池(B1)を得た。
[充放電サイクル試験]
実施例1〜6の電池A1〜A6および比較例1の電池B1を、0℃、25℃および45℃において、1CmAの電流で2.65Vまで充電し、続いて2.65Vの定電圧で3時間充電したのち、1CmAの電流で1.5Vまで放電し、これを1サイクルとして300サイクルの充放電を行った。そして、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量の割合(これを「容量保持率(%)」とする)を求めた。
各電池の内容を表1に、サイクル試験の結果を表2に示す。
Figure 0005061497
Figure 0005061497
表1および表2の結果より、PCとDECの混合溶媒において、実施例1〜6の電池A1〜A6のように、PCの体積比が25%以下のときに、比較例1のPCの体積比が30%の電池B1と比較して、0℃、25℃および45℃において良好なサイクル性能が得られた。特に、実施例3の電池A3および実施例4の電池A4のように、PCの体積比が9%以下においてさらに良好なサイクル性能が得られた。また、電解液の溶質の濃度によっては、サイクル特性に大きな変化はなかった。なお、全ての電池において、0℃において金属リチウムの析出が認められなかった。
[実施例7〜14および比較例2]
[実施例7]
電解液溶媒として、ECとDECの体積比25:75の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例7の電池(A7)を得た。
[実施例8]
電解液溶媒として、ブチレンカーボネート(BC)とDECの体積比25:75の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例8の電池(A8)を得た。
[実施例9]
電解液溶媒として、PCとジメチルカーボネート(DMC)の体積比25:75の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例7の電池(A7)を得た。
[実施例10]
電解液溶媒として、PCとエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比25:75の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例10の電池(A10)を得た。
[実施例11]
電解液溶媒として、PCとDECとDMCの体積比25:45:30の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例11の電池(A11)を得た。
[実施例12]
電解液溶媒として、PCとDECとEMCの体積比25:45:30の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例12の電池(A12)を得た。
[実施例13]
電解液溶媒として、PCとECとDECの体積比15:10:75の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例13の電池(A13)を得た。
[実施例14]
電解液溶媒として、PCとECとDECとEMCの体積比15:10:45:30の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例14の電池(A14)を得た。
[比較例2]
電解液溶媒として、PCとECとDECとEMCの体積比20:10:40:30の混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の電池(B2)を得た。
[充放電サイクル試験]
実施例7〜14の電池A7〜A14および比較例2の電池B2を、実施例1と同じ条件で300サイクルの充放電を行った。そして、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量の割合(容量保持率、%)を求めた。各電池の内容を表3に、サイクル試験の結果を表4に示す。
Figure 0005061497
Figure 0005061497
表3および表4の結果より、電解液溶媒において、実施例7〜14の電池A7〜A14のように、環状カーボネートの合計体積比が、溶媒合計の25%以下のときには、0℃、25℃および45℃において良好なサイクル性能が得られた。しかし、環状カーボネートの合計体積比が、溶媒合計の30%である比較例2の電池B2のサイクル特性は劣っていた。
また、環状カーボネートの種類は、実施例7のECの場合や、実施例8のBCの場合に比べ、PCを用いた実施例1の方がサイクル特性は優れていた。
なお、鎖状カーボネートとして、ジプロピルカーボネートあるいはメチルプロピルカーボネートを用いたときも同様の効果が得られた。
[実施例15〜17および比較例3、4]
[実施例15]
正極活物質としてLi1.1Mn1.7Al0.2を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例15の電池(A15)を得た。
[実施例16]
正極活物質としてLi1.1Mn1.85Al0.05を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例16の電池(A16)を得た。
[実施例17]
正極活物質としてLi1.2Mn1.7Al0.1を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例17の電池(A17)を得た。
[比較例3]
正極活物質としてLi1.1Mn1.7Al0.3を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の電池(B3)を得た。
[比較例4]
正極活物質としてLiMnを用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の電池(B4)を得た。
[充放電サイクル試験]
実施例15〜17の電池A15〜A17および比較例3の電池B3、比較例4の電池B4を、実施例1と同じ条件で300サイクルの充放電を行った。そして、300サイクル目の放電容量の1サイクル目の放電容量の割合(容量保持率、%)を求めた。各電池の内容およびサイクル試験の結果を表5に示す。
Figure 0005061497
表5の結果より、正極活物質が一般式LiMn3−x−yAl(0.8≦x≦1.2、0<y≦0.2)で表されるマンガン酸リチウムである実施例15〜17の電池A15〜A17では、0℃、25℃および45℃において良好なサイクル性能が得られた。しかし、一般式LiMn3−x−yAlにおいて、yが0<y≦0.2の範囲外である比較例3の電池B3および比較例4の電池B4の場合には、サイクル特性は劣っていた。

Claims (1)

  1. 一般式LiMn3−x−yAl1.1≦x≦1.2、0<y≦0.2)で表されるマンガン酸リチウムを含有する正極と、一般式LiTi(1.0≦a≦2.4、1≦b≦2)で表されるチタン酸リチウムを含有する負極と、溶媒として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを95体積%以上含有する非水電解液とを備えた非水電解質二次電池において、前記環状カーボネートは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群から選択される1種又は2種以上からなり、前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選択される1種又は2種以上からなり、前記非水電解液の溶媒に含まれる前記環状カーボネートの割合が25体積%以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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