JP2005237208A - ポリヒドロキシアルカノエートからなるパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子化合物による微細パターン方法を提供する。特に従来困難であった、インクジェット技術を用いた高分子化合物による微細パターン方法を提供する。
【解決手段】基板上において、目的とするパターン状にポリヒドロキシアルカノエート合成酵素及び3-ヒドロキシアシルCoAを共存させた後、該酵素により3-ヒドロキシアシルCoAを重合させてポリヒドロキシアルカノエートを合成することにより、基板上にポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンを形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は基板上にポリヒドロキシアルカノエートからなる微細パターンを形成する方法に関する。また、特にインクジェット法によってポリヒドロキシアルカノエートからなる任意の微細パターンを形成する方法に関する。
半導体集積回路の生産技術として発展したリソグラフィなどの微細パターニング技術は、液晶、電子部品などの製造に応用され、さらにMEMSなどの微細加工技術としても用いられるようになってきている。しかし一方ではこうした用途の拡大に伴い、簡便かつ低コストに微細パターンを製造する技術が求められている。
近年、インクジェット法を用いた微細パターニング技術が注目されている。インクジェット法は、用紙の任意の位置にインクを吐出し、印字・描画を行うプリンターの吐出機構として開発されたものである。微小な液体を高精度かつ任意の位置に吐出可能であるため、このインクジェット法を用いてパターニング材料を基板上に吐出し、μmオーダーの線幅でパターンを形成することが行われている。
例えば、特開平11-340129号公報(特許文献1)では溶媒に溶解させたレジスト材料をインクジェットヘッドからパターン形成面に吐出することでレジストパターンを形成している。
また、特開2002-324966号公報(特許文献2)では、導電性金属ペーストをインクジェット法によって吐出することで配線基板の回路パターンを描画している。
特開平11-340129号公報 特開2002-324966号公報
様々な化学構造を構築しうる高分子化合物は工業用、日用品用を問わず、極めて有用かつ不可欠な材料となっているが、微細パターニングにおける構成材料としても、その耐久性、遮蔽性、絶縁性、反応性その他数多くの特性ゆえに大きな期待を寄せられている。
こうした高分子化合物からなる微細パターンを作製するために、前述のインクジェット法を適用することが検討されている。具体的には、まず高分子化合物を溶媒に溶解させてインクジェット法における吐出液を製造し、この吐出液をインクジェットヘッドから基板上に吐出し、次いで吐出液の溶媒を乾燥することで高分子化合物からなるパターンを形成するというものである。この場合、高分子化合物を溶解し、吐出液として調製するためには、高分子化合物に対して溶解性のある有機溶媒を用いることが避けられない。
しかし、このような有機溶媒は表面張力が低く、基板とのぬれ性が高いものが多く、基板上に吐出した吐出液の液滴が基板表面を流れ出して必要以上にパターンが広がってしまい、微細なパターニングが困難になるという問題がある。また、インクジェット法による吐出の際に、吐出精度の低下も生じる。例えば、溶液の表面張力が3mN/m(=30dyn/cm)より低い場合はノズル穴周辺での濡れ性が増大し、液滴の飛行曲がりが生じてしまう。
このような基板上でのパターンの広がりや吐出精度の低下を防ぐために、吐出液中の高分子化合物の濃度を高くして吐出液の粘性を高めることも考えられるが、インクヘッドの吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなる可能性があり、また、吐出口での吐出液の切れが悪くなり、基板上に着弾したドット間で吐出液が糸を引くといった現象が生じる。例えば、溶液の粘度が20cpより高いと円滑な吐出ができずノズル穴の目詰まり頻度が高くなり、ノズル先端でのメニスカス形状が安定しないため、吐出量や吐出タイミングの制御が困難になる。
さらに、有機溶媒を用いた場合には揮発性の高さが問題となる。例えば吐出口で組成物中の有機溶媒が揮発し、吐出口付近にポリマーが析出して吐出量や吐出方向が変化して吐出位置がずれたり、目詰まりを起こしたりするなどといったことも生じうる。
また、有機溶媒を用いる場合には、インクヘッドの耐溶剤性を考慮する必要があり、さらに有機溶媒を揮発させる際に排気装置などを必要とするなど、設備面での負担も発生する。
上記の問題を回避する方法として、例えば特開2003-7459号公報では水に可溶な分子数20以下の中分子化合物を構成材料とすることで吐出液を水溶液とする方法をとっているが、分子量の高い高分子化合物に関しては記載されていない。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、高分子化合物による微細パターンを簡便に作製する方法を提供することを目的とする。また、特にインクジェット法を用いて高分子化合物からなる微細パターンを形成する方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板上において、目的とするパターン状にポリヒドロキシアルカノエート合成酵素及び3-ヒドロキシアシルCoAを共存させた後、該酵素により3-ヒドロキシアシルCoAを重合させてポリヒドロキシアルカノエートを合成することによって、基板上にポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンを形成するものである。
本発明の方法によれば、基板に供給する溶液中に高分子化合物を含まず、有機溶媒も使用しないため、パターニング方法としてインクジェット法をきわめて有効に使用することができ、微細なパターンを簡便に作製することが可能となる。また、パターニングするポリヒドロキシアルカノエートの化学構造として様々な種類を選択することが可能であり、さらに反応性が高い活性基を有する構造も取り得るため、官能基の導入や化学的変換を施してポリヒドロキシアルカノエート・パターンの多機能化を図ることも可能である。
本発明により、ポリヒドロキシアルカノエートからなる微細パターンを簡便に製造することが可能となる。特に、基板に供給する溶液中に高分子化合物を含まず、有機溶媒も使用しないため、パターニング方法としてインクジェット法をきわめて有効に使用することができ、微細なパターンを簡便に作製することが可能となる。また、パターニングするポリヒドロキシアルカノエートの化学構造として様々な種類を選択することが可能であり、さらに反応性が高い活性基を有する構造も取り得るため、官能基の導入や化学的変換を施してポリヒドロキシアルカノエート・パターンの多機能化を図ることも可能である。
本発明の主要な形態としては、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを同時または別個に含有する溶液を基板上に供給し、両者が共存する状態において目的とするパターン状に該溶液を付着させる第1の工程と、該パターン状に付着させた溶液内でポリヒドロキシアルカノエート合成反応を行わせる第2の工程から構成される。
<ポリヒドロキシアルカノエート>
本発明では、パターンを構成する高分子材料として、ポリヒドロキシアルカノエートが使用される。ポリヒドロキシアルカノエート(以後、PHAと省略して記述する場合がある)は、今日、生分解性プラスティックとして、また非石油由来ポリマーとしてたいへん注目されており、さらに様々な官能基を側鎖に付帯させることができるため、機能性高分子としても活発に開発が進められている。
本発明によって基板上にパターニングできるPHAとしては、3-ヒドロキシアシルCoAを基質として用いてPHA合成酵素によって合成され得るPHAであれば特に限定されない。
ここで、PHA合成酵素によるPHAの合成について以下に簡単に説明する。
ある種の微生物(PHA生産菌)では、種々の炭素源や各種アルカン酸から、生体内の様々な代謝経路(例えば、β酸化系や脂肪酸合成経路)を経て(R)-3-ヒドロキシアシルCoAを合成し、それを基質として、PHA合成酵素(PHAポリメラーゼ、PHAシンターゼともいう)による重合反応によってPHAを合成し、菌体内に蓄積している。
生合成可能なPHAの種類としては、炭素数が0から2までの短鎖長(short-chain-length)の3-ヒドロキシアルカン酸ユニットからなるPHA(以下、scl-PHAと略す場合がある)や炭素数が3から12程度までの中鎖長(medium-chain-length)の3-ヒドロキシアルカン酸ユニットからなるPHA(以下、mcl-PHAと略す場合がある)があり、さらにアルキル基以外の置換基、例えば、フェニル基,フェノキシ基、シクロヘキシル基、不飽和炭化水素,エステル基,アリル基,シアノ基,ハロゲン化炭化水素,エポキシドなどを側鎖に導入したPHA(以下、unusual-PHAと略す場合がある)も生合成することができる。
ここで、特にscl-PHAを合成する酵素はPHB合成酵素(PHBポリメラーゼ、PHBシンターゼともいう)と呼ばれるが、本発明においてはPHA合成酵素に含めて呼ぶこととする。
なお、CoAとは補酵素A(coenzyme A)の略称である。
さらに上記のPHA合成酵素をPHA生産菌の菌体外に取り出し、このPHA合成酵素によって基質である3-ヒドロキシアシルCoAを重合し、無細胞系(in vitro)においてPHAを合成することも可能である。
この無細胞系でのPHAの合成を利用して、本発明者らは微粒子などの基材の被覆方法を提案している(特開2002-327046号公報、特開2003-011312号公報)。この方法は、まず基材をPHA合成酵素溶液に分散もしくは浸漬することによりPHA合成酵素を基材表面に固定化し、ここに3-ヒドロキシアシルCoAを加えてPHAを合成することにより、基材表面をPHAで被覆するものである。
本発明においてもこの無細胞系でのPHAの合成を利用しているが、基板上においてパターン状にPHA合成酵素及び3-ヒドロキシアシルCoAを共存させた後、PHAをパターン状に合成するものであって、上記従来例とは方法を異にする。また、上記従来例においては本発明におけるような微細パターニング方法に関して開示していなかった。
なお、本発明のパターニングにおいて合成するPHAの分子量は、パターンに対してある程度の強度を付与するため、数平均分子量で1万から1,000万程度程度とするのが望ましい。
<3-ヒドロキシアシルCoA>
本発明に使用できる3-ヒドロキシアシルCoAとしては、PHA合成酵素によって重合し得るものであればいかなるものでも良く、3-ヒドロキシアシルCoAを適宜選択することで、パターニングするPHAの化学構造を任意に制御することができる。
3-ヒドロキシアシルCoAは、例えば、酵素を用いたin vitro合成法、微生物や植物などの生物体を用いたin vivo合成法、化学合成法等の中から適宜選択した方法で合成して用いることができる。特に、酵素合成法は該基質の合成に一般に用いられている方法であり、市販のアシルCoAシンセターゼ(アシルCoAリガーゼ、E.C.6.2.1.3)を用いて、3-ヒドロキシアルカン酸とCoAから3-ヒドロキシアシルCoAを合成する方法が知られている(Eur.J.Biochem.,250,432-439(1997)、Appl.Microbiol.Biotechnol.,54, 37-43(2000))。
<PHA合成酵素>
本発明に用いるPHA合成酵素は、該酵素を生産する微生物、あるいはそれら微生物のPHA合成酵素遺伝子を導入した形質転換体により生産されたものを用いることができる。
PHA合成酵素を生産する微生物として、例えば、mcl-PHAやunusual-PHAを生産できる微生物として、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)、アエロモナス属(Aeromonas sp.),コマモナス属(Comamonas sp.)などの微生物を用いることができ、例えば、本発明者らにより分離された、シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91),シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45),シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2),シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)、バークホルデリア属・OK3株(Burkholderia sp.OK3、FERM P-17370),バークホルデリア属・OK4株(Burkholderia sp.OK4、FERM P-17371)などの微生物を用いることができる。
また、scl-PHAを生産できる微生物として、アエロモナス属(Aeromonas sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、クロマチウム属(Chromatium sp.)、コマモナス属(Comamonas sp.)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium sp.)、パラコッカス属(Paracoccus sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)などの微生物を用いることができ、例えば、本発明者らにより分離された、バルクホルデリア・セパシア・KK01株(Burkholderia cepacia KK01,FERM BP-4235)、ラルストーニャ・ユートロファ・TB64株(Ralstonia eutropha TB64,FERM BP-6933)、アルカリゲネス属・TL2株(Alcaligenes sp.TL2,FERM BP-6913)などを用いることができる。
なお、P91株は寄託番号FERM BP-7373として、H45株は寄託番号FERM BP-7374として、YN2株は寄託番号FERM BP-7375として、P161株は寄託番号FERM BP-7376として、OK3株は寄託番号FERM P-17370として、OK4株は寄託番号FERM P-17371として、KK01株は寄託番号FERM BP-4235として、TB64株は寄託番号FERM BP-6933として、TL2株は寄託番号FERM BP-6913として、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づき、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(経済産業省産業技術総合研究所(旧通商産業省工業技術院)生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター)に国際寄託されている。
また、前述のPHA生産菌の持つPHA合成酵素遺伝子を導入した形質転換体を用いて、PHA合成酵素を生産することも可能である。PHA合成酵素遺伝子のクローニング、発現ベクターの作製、および、形質転換体の作製は、定法に従って行うことができる。
本発明のPHA合成酵素の生産に用いる微生物の培養方法としては、微生物が増殖可能であり、PHA合成酵素が菌体内において発現されるものであれば、いかなる方法を用いても良い。また同様に培地組成に関しても上記条件を備えればいかなる種類を用いても良い。
具体的には、例えばオクタン酸やノナン酸等のアルカン酸を含み、リン源や窒素源などを含むM9等の無機培地と、さらにミネラル等の微量成分を添加した培地を用いて通気培養を行うことでPHA生産菌を増殖させ、PHA合成酵素を生産することができる。
また、特に形質転換体等、PHA生産菌が抗生物質耐性を有する場合には、対応する抗生物質を添加した培地を用いることでコンタミネーションを防止しながら培養を行うことも可能である。
また、形質転換体の発現ベクターにおいて、誘導性のプロモーターを用いている場合は、該プロモーターに対応する誘導物質を培地に添加してPHA合成酵素の発現を促しても良い。例えば、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG),テトラサイクリン,インドールアクリル酸(IAA)等が誘導物質として挙げられる。
培養温度としては上記の菌株が良好に増殖可能な温度であれば良く、例えば15〜40℃、好ましくは20〜35℃程度が適当である。
PHA合成酵素の調製方法としては、まず上記PHA生産菌を培養し、菌濃度の増大とPHA合成酵素の菌体内での蓄積を図った後、遠心分離機や濾過等によって培養液中から菌を回収し、次いでフレンチプレス,超音波破砕機,凍結融解法、リゾチームや各種界面活性剤等を用いて菌体を破砕して菌体内に蓄積されたPHA合成酵素の回収を行う。
使用するPHA合成酵素の形態としては、菌体破砕液そのものや、硫酸アンモニウム等によりタンパク質成分を沈殿・回収した硫安塩析物などの粗酵素を用いても良く、また、各種方法で精製した精製酵素を用いても良い。
PHA合成酵素の精製方法は、PHA合成酵素の酵素活性が保持される方法であればいかなる方法をも用いることができる。例えば、粗酵素について、アフィニティクロマトグラフィー,陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー,ゲル濾過等の手段を単独または適宜組み合わせることによって精製酵素を得ることができる。特に、遺伝子組換えタンパク質としてPHA合成酵素を発現する場合には、N末端やC末端にヒスチジン残基等の「タグ」を結合した融合タンパク質の形で発現させ、このタグを介して親和性樹脂に結合させることによって、より簡便に精製することができる。このような融合タンパク質には、ヒスチジンタグの他にグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST),キチン結合ドメイン(CBD),マルトース結合タンパク(MBP),あるいはチオレドキシン(TRX)等がある。
融合タンパク質から目的のタンパク質を分離するには、トロンビン,血液凝固因子Xa等のプロテアーゼで切断する、pHを低下せしめる、結合競合剤として高濃度のイミダゾールを添加する等の方法を用いると良い。あるいは、発現ベクターとしてpTYB1(New Englan Biolab社製)を用いた場合のようにタグがインテインを含む場合はdithiothreitolなどで還元条件にすることで切断を行う。
PHA合成酵素には必要に応じて、金属塩,グリセリン,ジチオスレイトール,EDTA,ウシ血清アルブミン(BSA)、分子シャペロンなどの安定化剤,付活剤を適宜添加して用いることができる。
PHA合成酵素の活性測定は、既報の各種方法を用いることができるが、例えば、3-ヒドロキシアシルCoAがPHA合成酵素の触媒作用により重合してPHAになる過程で放出されるCoAを、5,5’-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)で発色させて測定することを測定原理とする、以下に示す方法によって測定することができる。試薬1:ウシ血清アルブミン(Sigma社製)を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)に3.0mg/ml溶解、試薬2:3-ヒドロキシオクタノイルCoAを0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)に3.0mmol/L溶解、試薬3:トリクロロ酢酸を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)に10mg/ml溶解、試薬4:5,5’-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)に2.0mmol/L溶解。第1反応(PHA合成反応):試料(酵素)溶液100μlに試薬1を100μl添加して混合し、30℃で1分間プレインキュベートする。ここに、試薬2を100μl添加して混合し、30℃で1〜30分間インキュベートしたのち、試薬3を添加して反応を停止させる。第2反応(遊離CoAの発色反応):反応停止した第1反応液を遠心分離(147km/s2 (=15,000×g)、10分間)し、この上清500μlに試薬4を500μl添加し、30℃で10分間インキュベートしたのち、412nmの吸光度を測定する。酵素活性の算出:1分間に1μmolのCoAを放出させる酵素量を1単位(U)とする。
<基板に供給する溶液>
本発明の第1の工程として、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを同時または別個に含有する溶液をインクジェット法等、各種溶液供給方法によって基板上に供給し、両者が共存する状態において目的とするパターン状に該溶液を付着させる工程が挙げられる。
本工程で使用する該溶液(以後、パターニング溶液と略す場合がある)としては、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが1つのパターニング溶液に含有される場合と、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが別々のパターニング溶液に含有される場合の大きく2種類に分けることができる。さらに3-ヒドロキシアシルCoAの種類などの組成の異なる複数のパターニング溶液を使用することができる。
パターニング溶液として、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが1つのパターニング溶液に含有される場合は、少なくとも一度の供給動作によって基板上においてPHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを共存させることができる。また、パターニング溶液として、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが別々のパターニング溶液に含有される場合には、両溶液を少なくとも基板上で混合する必要がある。これらパターニング溶液の基板上への供給方法について詳しくは後述する。
パターニング溶液中のPHA合成酵素濃度や3-ヒドロキシアシルCoA濃度は、PHAを合成する時間やパターニングするPHAの膜厚に応じて適宜選択すればよいが、あまり高濃度であるとパターニング溶液の粘度が上昇して基板への供給が困難になるなどの支障が生じる恐れがあるため、例えばPHA合成酵素として、パターニング溶液1mlあたり10単位(U)から1,000単位(U)、望ましくは100単位(U)から500単位(U)の範囲内に設定すると良い。また、3-ヒドロキシアシルCoAとしては、通常、0.1mol/Lから2mol/L、好ましくは0.5mol/Lから1mol/Lの範囲内で設定すると良い。
その他パターニング溶液に構成しうる成分として、PHA合成酵素の活性を阻害せず、かつ基板へのパターニング溶液の供給を妨げないものであればいかなるものも含有し得るが、特にPHA合成酵素の活性を安定に保持し、またPHA合成反応を好適に行うために、無機塩類、有機塩類等を含有させて各種緩衝作用のある溶液組成とすることが好ましい。
緩衝作用のある溶液組成としては、使用するPHA合成酵素の活性を発揮させ得るものであれば、設定するpH領域等に応じて適宜選択して用いることができるが、例えば一般的な緩衝液である酢酸バッファー,リン酸バッファー,リン酸カリウムバッファー,3-(N-モルフォリノ)プロパンスルフォン酸(MOPS)バッファー,N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルフォン酸(TAPS)バッファー,トリス塩酸バッファー,グリシンバッファー,2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルフォン酸(CHES)バッファーなどを用いることができる。
緩衝液の濃度も、使用するPHA合成酵素の活性を発揮させ得るものであれば特に限定はされないが、通常5.0mmol/Lから1.0mol/L、好ましくは0.1mol/Lから0.2mol/Lの濃度のものを使用すると良い。
緩衝液によって調整するpHとしては、pH5.5からpH9.0、好ましくはpH7.0からpH8.5とするのが好ましいが、使用するPHA合成酵素性質によっては、これ以外の範囲に設定してもかまわない。
また、パターニング溶液に微生物などが混入する恐れのある場合には防腐剤等の微生物の生育を阻害する成分を添加することも好ましい。
また、基板に添加したパターニング溶液が合成反応中に蒸発・乾燥してしまうことを防ぐため、保湿剤等の蒸発防止作用のある成分を含有させることも好ましい。
また、インクジェット法のうち、サーマルインクジェット法においては吐出時に温度上昇をともなうため、PHA合成酵素やモノマーの熱変性を防止するために、グリセリンなどの多価アルコール、オリゴ糖などを含有させることも好ましい。
前述のように、本発明では基板に供給するパターニング溶液は水溶液であり、その溶液中の組成物として高分子化合物を含んでいないため、インクジェット法による溶液の吐出動作が非常に好適になされるが、さらにインクジェットヘッドの吐出性能を十分に発揮できるように溶液の物性を調製することもより好ましい。例えば、サーマルインクジェット法においては、水溶性であるエタノール、イソプロピルアルコール、多価アルコールの低級アルキルエーテル類を添加することによって、インクジェットヘッドの吐出口内の薄膜抵抗体上での溶液の発泡をより安定に行うことができる。また、溶液の粘度として1〜20mPa・s(cps)、表面張力として3mN/m(=30dyn/cm)以上に調整されていることが好ましい。また、粘度を1〜5mPa・s(cps)、表面張力を3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)とした場合、基板上への溶液の吐出位置が極めて正確なものとなり、また溶液を吐出させて基板上に付着させたときのスポットの形状が円形で、また吐出された範囲が広がることがなく、精密にパターンを描画することができるため特に好ましい。本発明はインクジェット法による吐出溶液が水溶液であるため、上記物性の範囲に調整することは比較的容易に行い得る。
以上はインクジェット法を用いる場合の好適な吐出性を発揮するための溶液物性であるが、基板へのパターニング溶液の供給をインクジェット法で行わない場合や、インクジェット法を用いる場合であってもそれほど厳密なパターン精度を必要としないなどの場合には、本発明のパターニング溶液の特性を上記に限定するものではない。
<基板>
本発明に使用可能な基板としては、本発明におけるパターニング溶液が供給可能であり、かつそのパターニング溶液を基板に供給した後に、基板上に付着した溶液のパターンを維持することができること、並びにPHA合成酵素の反応を阻害するような物質を含有していないなど、PHA合成酵素によるPHA合成反応を行うことが可能であればいかなる形状・材質のものでも良い。例えば供給したパターニング溶液が基板上から移動しないような形状もしくは材質であれば、基板の形状として特に平面状に限定されず、曲面、凹凸状など、いかなる形状でも良い。また、材質としても一般的な高分子化合物や無機系固形物、例えば、ガラス、樹脂、金属など、いかなる材質でも良く、また供給した溶液が基板内に浸透するような材質、例えば紙などを用いても良い。さらに化学的処理や物理的処理、放射線処理などの各種表面処理を施したり、ポリマー材料やシランカップリング剤などを塗布しても良い。
撥水性の基板を用いる場合には、基板の形状としては平面状が好ましく、さらに本発明のPHA合成までの工程において、基板を水平に設置しておくことが好ましい。
また、本発明の工程に入る前に、必要に応じて基板に殺菌処理を施しても良い。殺菌処理を行うことにより、特に長時間PHA合成反応を行う場合に、溶液中で所望でない微生物などによりPHA合成酵素が分解されたり、モノマーが消費されたり、PHA合成反応の阻害物質が生成したりすることを防ぐことができる。殺菌方法としては、基板の性質が変化しないものであればいかなるものでも良く、紫外線等の放射線照射や、アルコール等の殺菌剤で洗浄するなどによって行うことができる。
<基板への溶液供給方法>
本発明は前述のようにインクジェット法の吐出性能を阻害しないため、基板へのパターニング溶液の供給手段としてインクジェット法を非常に好適に用いることができるが、特にインクジェット法に限定されるわけではない。むしろ、基板に供給するパターニング溶液として水溶液を用いること、溶液中に高分子化合物を含有しないことから、本発明は他の溶液供給手段に対しても好適に適用することができる。
インクジェット法以外の溶液供給手段としては、パターニング溶液を基板に供給できるものであればどのような方法を用いても良いが、微細なパターンを形成することを目的とする場合には、例えばマイクロピペット、マイクロディスペンサーや、ピン方式、キャピラリー方式など、微量の溶液を供給できる方法を用いることができる。
ピン方式は試料を含む溶液の液面にピン先端を接触させてこれを付着させてから、その先端を基板へ機械的に接触させることにより試料溶液を基板上に供給する方法である。
キャピラリー方式は毛細管に試料溶液を吸い上げ、毛細管の先端から基板に機械的に接触させることにより試料溶液を基板上に供給する方法である。
基板へのパターニング溶液の供給方法として上述のような各種方法が選択し得るが、装置が安価に作製、入手でき、微量のパターニング溶液を基板上の任意の位置に容易に供給できる点でインクジェット法を特に好適に用いることができる。さらにインクジェット法の中でも、サーマルインクジェット式とピエゾインクジェット式を好適に用いることができる。サーマルインクジェット式は、加熱発泡により気泡を発生し、それを駆動力として液滴の吐出を行うもので、ピエゾインクジェット式は、圧電素子の変位により液滴の吐出を行うものである。
このようなインクジェット法においては、インクジェットヘッドを基板上の任意の位置に移動可能な駆動装置と、インクジェットヘッドからの流動体の吐出条件および駆動装置によるインクジェットヘッドの移動を制御する制御装置を通常有しており、基板上のパターン形体や液滴の付着量、付着回数などの情報を制御装置に付与すれば基板上にパターン状にパターニング溶液を供給することができる。
基板に供給するパターニング溶液の液量としては、基板に付着させた液滴の広がりが目的とするパターン描線の幅の範囲内に収まればいかなるものでもよい。ちなみにインクジェット法によって吐出できる液滴量としては、100pl以下に調整することが可能であり、パターンを高精度に描画することが可能である。
パターンを構成するPHAの膜厚は、PHA合成酵素や3-ヒドロキシアシルCoAの濃度を調製したり、パターン形成面の単位面積当たりにおける液滴の付着量を調整したりすることによって制御することができる。液滴の付着量を調整するには、パターン形成面の単位面積当たりにおける液滴の付着回数により制御したり、パターン形成面に付着させる液滴間のピッチにより制御したり、一回に付着させる液滴の量により制御するなどの方法を用いることができる。
また、一定のパターン形成面に付着させられる溶液量としては限界があるため、基板上にパターン状にPHAを合成してから、乾燥によって残ったパターニング溶液を除いた後、再び同一パターン面にパターニング溶液を供給してPHAを合成させること、またさらにそれを繰り返すことで、PHAパターン被膜の膜厚を増加することが可能である。
前述したように、パターニング溶液としてPHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが1つのパターニング溶液に含有される場合は、少なくとも一度の供給動作によって基板上においてPHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを共存させることができる。
しかし、酵素・基質混合溶液を調製した後、PHA合成反応が進行する温度条件が整ってしまうと、該溶液を基板に添加する前に溶液中でPHAが合成してしまい、インクジェット法による吐出の際にノズルが目詰まりするなど、本発明の効果が損なわれてしまう恐れがある。そこで酵素・基質混合溶液の調製から基板への供給までの間、溶液をPHA合成反応が進行する温度以下に冷却しておくことが好ましい。このような冷却温度としては、例えば0℃〜10℃、特に2℃〜5℃が好ましい。
また、パターニング溶液としてPHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが別々のパターニング溶液に含有される場合には、両溶液をそれぞれ独立に基板上のパターン面に供給し、パターン面上おいて両溶液を混合することでPHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを共存させる。この方法によれば、たとえ溶液を調製した後にPHA合成反応が進行する条件が整っても、PHAが合成される心配はない。そのため特に冷却等の方法をとる必要はないが、PHA合成酵素の失活や溶液の微生物による汚染を抑えるため、前述の方法と同様に溶液を冷却しても良い。
PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAが別々のパターニング溶液に含有される場合に、各溶液をそれぞれ独立して基板上に供給する方法としては、例えばインクジェット法を用いる場合、各溶液を別々のインクタンクに注入し、各々別々のノズルを用いてどちらか一方の溶液を基板に供給した後に他の溶液を先の溶液が付着しているパターン面に重層する方法を用いることができる。またこの他にも基板に各溶液を同時に供給する方法、基板に供給する直前に2つの溶液を混合する方法など、いずれの方法を用いても良い。
また、異なる3-ヒドロキシアシルCoA組成からなる、複数のパターニング溶液を各々パターン面に供給し、パターンの場所に応じて異なるモノマーユニットからなるPHAから構成されるパターンを作製することもできる。
ここで、3-ヒドロキシアシルCoAの組成とは、化学構造の違いによる3-ヒドロキシアシルCoAの種類や、複数の3-ヒドロキシアシルCoAの種類の組み合わせ、またそれらの濃度に関する。
上記の異なる組成のパターニング溶液は、各々異なるパターン面上に供給してもよいし、また少なくとも一部の同一パターン面上に重層して供給しても良い。重層した場合、各溶液を混合する効果を得ることができ、さらに複数のモノマーユニット組成からなるPHAを構成することが可能となる。
また上記の異なる組成のパターニング溶液の基板上への供給方法としては、例えばインクジェット法であれば複数のヘッドから各々独立して基板上に供給する方法を用いることが可能である。
また、前述のPHA被膜の膜厚を制御する場合のように、同一のパターン面上に複数回パターニング溶液を供給して、PHAの合成を繰り返す方法を用いる場合、溶液中の3-ヒドロキシアシルCoAの種類や濃度などの組成を供給回数ごとに変化させることによって、基板上に形成するPHA被膜のモノマーユニット組成が垂直方向に変化した多層構造を形成させることも可能である。
これによって、例えば基板との親和性が低いPHAでパターンを形成する場合、まず基板と親和性の高いPHAの基質となる3-ヒドロキシアシルCoAを用いてPHAを形成した後、新たに供給する3-ヒドロキシアシルCoAの組成を、基板と親和性の高いPHAの基質となる3-ヒドロキシアシルCoAと、最終的にパターン表面に露出したいPHAの基質となる3-ヒドロキシアシルCoAとの混合組成とし、供給回数ごとに段階的に後者の3-ヒドロキシアシルCoA濃度を高くしていくことで、基板との結合が強固であり、かつ所望のモノマーユニット組成のPHA被膜を有するパターンを形成することが可能となる。
<PHA合成反応>
本発明の第2の工程として、第1の工程によってパターン状に付着させた溶液内でPHA合成反応を行わせる工程が挙げられる。
上記PHA合成反応は、基板を適当な温度環境に保持することによって行うことができる。
PHA合成反応の反応温度は、使用するPHA合成酵素の活性や活性保持時間等に応じて適宜設定すればよいが、通常、15℃から40℃、好ましくは20℃から35℃に設定すると良い。
反応時間は、作製するPHAパターン被膜の厚さや使用するPHA合成酵素の安定性等にもよるが、1分間から3日間、通常は30分間から12時間の範囲内で適宜選択して設定する。
PHA合成反応中、基板上に付着したパターニング溶液が蒸発しないように、また逆に結露を生じないように適当に管理された湿度環境下に保持することが好ましい<。
合成されるPHAは直径数nmから数μmの粒子状で、場合によっては凝集して塊状もしくはフロック状をなしており、パターニング溶液中に分散もしくは基板上に沈殿・堆積する。
<後処理工程>
PHAを合成した後、さらに各種後処理工程を行うことで、より好適なパターンとすることができる。
まず、基板上のパターニング溶液中でPHAを合成した後、不要となったパターニング溶液を乾燥によって除去する。乾燥方法としては、合成したPHA及び基板が所望とする性質及び形状を損なわないような方法であればいかなる方法によってもよいが、例えばスピン乾燥機等の遠心分離によって水分を除く、あるいは、加熱や減圧、低湿度雰囲気下への放置、乾燥気体の噴射、吸水性材料との接触などの方法によって行えばよい。またこれらの乾燥方法を組み合わせて使用しても良い。
また乾燥後、さらにパターニング溶液中に存在した溶質成分を除去するために洗浄を行っても良い。洗浄方法としては、基板上に付着しているPHAが基板から脱離しない方法であればいかなる方法によってもよい。例えば、水・緩衝液・メタノール等、パターンを形成しているPHAが不溶である洗浄剤を基板上に添加する、もしくは洗浄剤の中に基板を浸漬するなどの方法を用いることができる。また、洗浄後は再び乾燥を行うことが好ましい。
上記乾燥工程を終了することによって基板上にPHAパターンが形成されるが、このときパターン面では多数のPHA粒子が基板上に積層した状態になっている。そのため、パターン面の被覆性・遮蔽性をさらに向上させるために、熱処理によって基板上に積層したPHA粒子を融合させ、一体の被膜を形成させてもよい。このときの熱処理温度はPHAのTgによって異なるが、Tgの低い化学構造を選択することによって、例えば60〜80℃程度の比較的低温で効率よく処理することが可能である。また、前記乾燥工程を熱処理によって行う場合には、乾燥と被膜形成を同兼用してもよい。
前記乾燥工程によってPHAをある程度の強度基板上に固定することができる。特にPHA及び基板が共に疎水的である場合には、疎水結合によって比較的強固に両者が固定されるため、新たに固定化処理を行うことは必ずしも必要ではないが、PHAや基板の種類、構造や用途によっては固定化処理を行っても良く、またそのような固定化処理を行うためにPHAの化学構造を選択しても良い。
例えばPHAのTgを低くした場合には熱処理を行うことによって基板表面に融着させることができる。基板表面が帯電している場合には、逆の荷電を発現する官能基が導入されたPHAを選択することでイオン吸着によって基板に固定化することが可能である。また、基板に帯電性がない場合には金属や無機酸化物微粒子、カチオン性高分子やアニオン性高分子など帯電可能な物質を基板に結合させてもよい。
<化学修飾>
上記後処理工程の前後にさらに必要に応じて化学修飾等の処理を施すことができる。これによってさらに有用な機能・特性を備えたPHAパターンを得ることができる。
例えば、PHAにグラフト鎖を導入することにより、グラフト鎖に起因する各種の特性を備えたPHAパターンとすることができる。また、PHAを架橋化することにより、PHAパターンの機械的強度、耐薬品性、耐熱性などを付与することが可能である。
化学修飾の方法としては、合成したPHA及び基板が所望とする性質及び形状を損なわないような方法であればいかなる方法によってもよいが、例えば、反応性官能基を側鎖に有するPHAを合成し、該官能基の化学反応を利用して化学修飾する方法などを用いることができる。
前記の反応性官能基の種類としては、例えばエポキシ基などを例示することができる。エポキシ基を側鎖に有するPHAは、通常のエポキシ基を有するポリマーと同様の化学的変換を行うことができるため、例えば水酸基に変換したり、スルホン基を導入することが可能である。また、チオールやアミンを有する化合物を付加することもでき、例えば、末端に反応性官能基を有する化合物、具体的には、エポキシ基との反応性が高いアミノ基を末端に有する化合物などを添加して反応させることにより、PHAのグラフト鎖が形成される。
アミノ基を末端に有する化合物としては、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、アミノ変性ポリシロキサン(アミノ変性シリコーンオイル)などのアミノ変性ポリマーを例示することができる。このうち、アミノ変性ポリシロキサンとしては、市販の変性シリコーンオイルを使用しても良く、また、J.Amer. Chem. Soc.,78, 2278(1956)などに記載の方法で合成して使用することもできる。
また、エポキシ基を有するPHAの化学的変換の他の例として、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン化合物,無水コハク酸,2-エチル-4-メチルイミダゾール,電子線照射などによる架橋反応が挙げられる。
また、エポキシ基以外の反応性官能基の例としては、ビニル基を挙げることが出来る。ビニル基もチオールを有する種々の化合物を付加することができる。また、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いてビニル基をカルボキシル基に変換することも出来る。さらにクロロ過安息香酸等を用いてビニル基をエポキシ基に変換することも出来る。さらに分子内架橋反応を施すこともできる。
その他の反応性官能基としては、ブロモ基を挙げることができ、これもチオールを有する種々の化合物を付加するのに用いることが出来る。
<PHAの分解によるパターンの加工>
基板上に作製したPHAパターンの一部もしくは全部を分解し、基板から除去することも可能である。PHAの分解方法としては、例えばPHA溶解性の有機溶媒を用いて溶出させる方法、酸やアルカリを添加後加熱によって加水分解する方法、PHA分解酵素による酵素的分解方法などがあるが、特にPHA分解酵素を用いた場合には、インクジェット法等、本発明でパターニング溶液を基板に添加する際に用い得る微小溶液供給方法を使用することによって、微小な領域においてPHAパターンの分解が可能となる。
これによって、例えばPHAパターンにさらにネガ型の加工を施すことや、PHAパターンの修正などが可能となる。また、後述するように本発明のPHAパターンは核酸やタンパク質を結合させることも可能であるが、この核酸やタンパク質に試料中の標的物質を捕捉させ、その後核酸やタンパク質が結合しているPHAを分解することによって、標的物質を回収することなども可能となる。
PHA分解酵素としては、リパーゼ、エステラーゼ、PHAデポリメラーゼ等のエステル加水分解酵素を挙げることができる。これらPHA分解酵素は市販されているもの、もしくはPHAを分解可能な細菌やカビなどの微生物から取得することが可能である。そのような微生物としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、コマモナス(Comamonas)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドスビリルム(Rhodospirillum)属、ズーグレア(Zoogloea)属、ペニシリウム(Penicillium)属、リゾプス(Rizopus delemer)などの微生物が挙げられ、特にアルカリゲネス・フェカーリス(Alcaligenes faecalis)、コマモナス・アシドボランス(Comamonas acidovorans)、シュードモナス・ピケッティイ(Pseudomonas picketii)、シュードモナス・レモイグネイ(Pseudomonas lemoignei)、シュードモナス・テストステロニ(Pseudomonas testosteroni)、ペニシリウム・ピノフィラム(Penicillium pinophilum)などの生産するPHAデポリメラーゼやリゾプス・デレマー(Rizopus delemer)の生産するリパーゼが知られている。
但し、これらの酵素は基質特異性を有するので、分解対象のPHAの種類に応じて適宜選択することが好ましい。
PHA分解酵素の調製方法としては、前述のPHA合成酵素の調製と同様に行うことができるが、菌体外に分泌する場合は培養上清から酵素を回収する。
上記PHAの分解処理は、前述したPHAの化学修飾前に行うことが好ましいが、化学修飾後にもPHAの分解が可能であればこの限りではない。
<PHAパターンの分析方法>
基板上のPHAパターンの形状やPHA組成を確認する方法として、例えばガスクロマトグラフィー等による組成分析と電子顕微鏡等による形態観察とを組み合わせた方法や、PHAパターンの被膜を多層構造とした場合には、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS)とイオンスパッタリング技術を用いて、各構成層のマススペクトルから構造を判定する方法などを用いることができる。
しかし、さらに直接的かつ簡便な確認方法として、本発明者らが開発したナイルブルーA染色と蛍光顕微鏡観察とを組み合わせた方法を用いることもできる(特開2002-328093号公報)。すなわち、パターン形成後の基板を上記方法によって蛍光染色し、蛍光顕微鏡で所定の励起光下に観察することによって、基板上のPHAパターンを蛍光を発する形状として確認することができる。使用した基板が上記方法で蛍光を発する性質を有するものでない限り、上記方法を本発明のPHAパターンの形状評価に用いることができる。
<本発明によるPHAパターンの応用例>
本発明のパターン形成方法は、酵素などのセンサー素子、触媒素子や核酸、タンパク質などのプローブを微細領域に効果的に配置することによって構成されるセンサーチップ、反応チップ、検出アレイなどの作製方法として効果的に用いることができる。具体的には、本発明のPHAの化学構造として例えばエポキシ基、ビニル基、ブロモ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する構造を選択できるため、そうした官能基と共有結合できる官能基、例えばアミノ基、チオール基等の官能基を表面に露出している酵素やそれら官能基を末端に導入した核酸プローブなどをPHA上に選択的に固定化でき、基板上にパターン状に酵素や核酸プローブ等を配置することが可能となる。また、PHAパターンへの核酸やタンパク質の配置手段としても、インクジェット法を効果的に使用することができる。
また本発明のパターン形成方法は、ディスプレイやカラーフィルター等のマトリクスパターンやDNAチップやプロテインチップなどのアレイパターン形成用ウェル、コンビナトリアルケミストリー等における微小反応容器や微細流路に使用される隔壁を作製する方法としても効果的に用いることができる。すなわち、基板上にパターニングされたPHAを凸部として隔壁を形成することができる。また、基板上にある程度の面積で形成したパターン上に前述のPHA分解酵素を供給し、付着したPHA分解酵素がPHAを分解することで凹部を形成し、それを上記の用途に用いることもできる。
ディスプレイやカラーフィルター等で使用されるブラックマトリクスを形成する場合には、パターニング溶液中に黒色の染料や黒色の顔料を含有させることで遮光性のある隔壁を作製することも可能である。
また、特開平11-187900号公報ではプローブアレイの作製において、プローブを含んだ溶液を配置する撥水性ウェルを基板上に形成し、それによってプローブ溶液の分注及び分離を確実なものとする方法を提案しているが、本発明によって作製するPHAパターンも撥水性を付与することができるため、アレイパターン形成用ウェルとして効果的に使用することができる。
なお、本発明のPHAパターン及びその形成方法は、上記の方法に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、以下に述べる実施例は本発明の最良の実施形態の一例ではあるが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下における「%」は特に標記した以外は重量基準である。
<参考例1> PHA合成酵素の生産1
YN2株から定法に従ってPHA合成酵素遺伝子(YN2-C1)を取得し、GSTとの融合タンパク質発現用のプラスミドであるpGEX-6P-1(アマシャムファルマシア・バイオテク(株)製)の対応する部位に挿入した。このベクターを用いて大腸菌(JM109)を形質転換し、発現用形質転換株を取得した。なお、この形質転換株の取得方法に関しては、特開2003-011312号公報に示される方法と同様であり、詳細は該特許に記載されている。
次に、得られた形質転換株をLB-Amp培地10mlで一晩プレ・カルチャーした後、その0.1mlを、10mlのLB-Amp培地に添加し、37℃、170 rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加(終濃度 1mmol/L)し、37℃で4から12時間培養を続けた。
培養液から菌株を集菌(78km/s2 (=8,000×g),2分、4℃)し、1/10量の4℃リン酸緩衝生理食塩水(PBS;8g NaCl,1.44g Na2HPO4,0.24g KH2PO4,0.2g KCl, 1,000ml精製水)に再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心(78km/s2 (=8,000×g),10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導され発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(アマシャムファルマシア・バイオテク(株)製)で精製した。使用するグルタチオン・セファロースは、同量のPBSで3回洗浄(78km/s2 (=8,000×g)、1分、4℃)した後、4%ウシ血清アルブミン含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。このグルタチオン・セファロース 40μlを、無細胞抽出液1mlに添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質をグルタチオン・セファロースに吸着させた。吸着後、遠心(78km/s2 (=8,000×g)、1分、4℃)してグルタチオン・セファロースを回収し、400μlのPBSで3回洗浄した。その後、10mmol/Lグルタチオン40μlを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心(78km/s2 (=8,000×g)、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを確認した。
このGST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムファルマシア・バイオテク(株)製、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTとを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、PHA合成酵素の最終精製物を得た。さらに該酵素を生体溶液試料濃縮剤(みずぶとりくんAB-1100、アトー(株)製)を用いて濃縮し、10U/mlの精製酵素溶液を得た。
<参考例2> PHA合成酵素の生産2
P91株、H45株、YN2株またはP161株を、酵母エキス(Difco社製)0.5%、オクタン酸0.1%とを含むM9培地200mlに植菌して、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離(98km/s2 (=10,000×g)、4℃、10分間)によって回収し、0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)200mlに再懸濁して再度遠心分離することによって洗浄した。菌体を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)2.0mlに再懸濁し、超音波破砕機にて破砕したのち、遠心分離(118km/s2 (=12,000×g)、4℃、10分間)して上清を回収して粗酵素を得た。
さらに該酵素にライホゲルを添加して限外濾過濃縮し、10U/mlの粗酵素溶液を得た。
<参考例3>PHB合成酵素の生産
KK01、TB64株及びTL2株を、酵母エキス0.5%、ミネラル溶液(下記参照)0.3%を含有したM9培地(下記組成)10リットルで30℃、24時間培養し、回収した培養液を4℃、78km/s2 (=8,000×g)で10分間遠心処理し、上清を取り除いた後、菌体ペレットを4℃のPBS溶液500mlに再懸濁した。この菌液をあらかじめ4℃に冷却しておいたベッセルに各回40mlずつ注入し、フレンチプレスによって216MPa(=2200kg/cm2)に加圧しながら少しずつノズルから菌液を解放することで菌体破砕処理を行った。得られた菌体破砕液を4℃、78km/s2 (=8,000×g)で10分間遠心処理した後、上清を回収した。この上清を0.45μmのフィルターで濾過し、固形夾雑物を取り除いて粗酵素を得た。
さらに該酵素にライホゲルを添加して限外濾過濃縮し、10U/mlの粗酵素溶液を得た。
[M9培地]
Na2HPO4:6.2g、KH2HPO4:3.0g、NaCl:0.5g、NH4Cl:1.0g(培地1リットル中、pH7.0)。
[ミネラル溶液]
ニトリロ三酢酸:1.5g、MgSO4:3.0g、MnSO4:0.5g、NaCl:1.0g、FeSO4:0.1g、CaCl2:0.1g、CoCl2:0.1g、ZnSO4:0.1g、CuSO4:0.1g、AlK(SO4)2:0.1g、H3BO3:0.1g、Na2MoO4:0.1g、NiCl2:0.1g(1リットル中、pH7.0)。
<実施例1>
本実施例において、本発明によるPHAパターンの作製を検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに、参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
また、厚さ1mm、縦横30mm×30mmのガラス基板を蒸留水で洗浄後乾燥し、UVランプを用いて殺菌した。
次に、サーマルインクジェット式によるインクジェットプリンターであるバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620;キヤノン(株)社製)のインクカートリッジを0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、先に調製した溶液を充填し、同プリンターのバブルジェットヘッドに装着した。次いで温度4℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内にプリンターを設置し、このプリンターにガラス基板を装着し、溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。描画パターンはプリンターを接続したパーソナルコンピューターにより制御した。なお、ここで用いたバブルジェットプリンターは平板への印刷が可能な様に改造を施したものである。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
以上のようにしてガラス基板上にPHAパターンを作製した。
この基板表面に形成されたPHAパターンを観察するため、基板表面に1%ナイルブルーA水溶液50μlを添加し、カバーグラスをかけて蛍光顕微鏡(330〜380nm励起フィルター、420nmロングパス吸収フィルター、(株)ニコン製)により観察を行ったところ、線幅約70μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。さらに高倍率で観察したところ、数μm程度の粒子がパターン面上に積層している様子が確認された。
次に同様にパターニングした別の基板を60℃の乾熱器に1時間設置し、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
この基板を前述と同様に1%ナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡で観察したところ、パターン面のPHA粒子が融着し、一体化した被膜を形成している様子が確認できた。
この基板上のPHAパターンの膜厚を光干渉式膜厚計(K-MAC社製)により測定したところ、平均約1.2μmであった。
次に、先に調製した溶液をこの基板の同じパターン上に供給し、同様にPHAの合成を行った。60℃で1時間乾燥し、蒸留水で洗浄した後、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去し、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、上記各工程をさらに8回繰り返し、ガラス基板上にPHAパターンを合計10回重層した。
この基板を前述と同様に1%ナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡で観察したところ、線幅約90μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
この基板上のPHAパターンの膜厚を同様に光干渉式膜厚計により測定したところ、平均約10.3μmであった。
さらに、同様にパターニングした別の基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮したのち、常法に従ってメタノリシスを行い、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置(GC-MS,島津QP-5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
また、PHAの分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;東ソーHLC-8020、カラム;ポリマーラボラトリーPLgel MIXED-C(5μm)、溶媒;クロロホルム、カラム温度;40℃、ポリスチレン換算)により評価した結果、Mn=25,000であった。
以上、本発明の方法により、サーマルインクジェット式によるインクジェットプリンターを用いて簡便かつ設計とおりにPHA微細パターンを作製できることが確認された。
また、同一パターン面に繰り返しPHAを重層することで、パターン面のPHA被膜の膜厚を制御できることがわかった。
<実施例2>
本実施例では、異なる菌株由来のPHA合成酵素によるPHAパターンの作製を検討した。
参考例2で調製したYN2株株由来のPHA合成酵素(10U/ml)2mlと(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
また参考例2で調製したP91株、H45株、P161株由来の各PHA合成酵素(10U/ml)についてもそれぞれ同様に調製し、4℃に冷却した。
これら溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちに各ガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
以上のようにしてガラス基板上にPHAパターンを作製した。
この基板表面に形成されたPHAパターンを観察するため、実施例1と同様に基板をナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、線幅約70μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
さらに、各々同様に作製した別の基板を用いて実施例1と同様に基板上のPHAを抽出し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、いずれも3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
さらに、PHAの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、いずれもMn=22,000〜28,000の範囲内であった。
以上、異なる菌株から取得したPHA合成酵素を用いても、本発明の方法により同様にしてPHAの微細パターンが作製できることが確認された。
<実施例3>
本実施例では、PHB合成酵素によるPHAパターンの作製を検討した。
参考例3で調製したKK01株由来のPHB合成酵素(10U/ml)2mlと(R)-3-ヒドロキシブチリルCoA(Sigma社製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
また参考例3で調製したTB64株、TL2株由来のPHB合成酵素についてもそれぞれ同様に調製し、4℃に冷却した。
これら溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちに各ガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
以上のようにしてガラス基板上にPHAパターンを作製した。
この基板表面に形成されたPHAパターンを観察するため、実施例1と同様に基板をナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、線幅約70μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
さらに、各々同様に作製した別の基板を用いて実施例1と同様に基板上のPHAを抽出し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシ酪酸ユニットからなるPHBであることが確認された。
さらに、このPHBの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、Mn=69,000であった。
以上、本発明によりPHBの微細パターンが作製できることが確認された。
また、異なる菌株から取得したPHB合成酵素を用いても、同様にPHBパターンが作製できることが確認された。
<実施例4>
本実施例では、ピエゾインクジェット式プリンターによるPHAパターンの作製を検討した。
実施例1と同様にして、0.1mol/Lリン酸緩衝液10mlにPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA 8g、ウシ血清アルブミン0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に、ピエゾインクジェット式インクジェットプリンター(商品名:PM-900C;セイコーエプソン社製)のインクカートリッジを0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、調製した溶液を充填し、同プリンターのインクジェットヘッドに装着した。次いで温度4℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内にプリンターを設置し、このプリンターに紫外線照射によって滅菌した普通紙を装着し、溶液を波線状に吐出した。描画パターンはプリンターを接続したパーソナルコンピューターにより制御した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約25pl、描線の幅は約100μmであった。
吐出終了後、ただちに溶液を吐出した紙を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行い、60℃にて1時間乾燥した。
以上のようにして紙上にPHAパターンを作製した。
この紙に形成されたPHAパターンを観察するため、実施例1と同様にパターンを形成した部分をナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、線幅約90μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
さらに、同様に作製した別の紙を用いて実施例1と同様に紙上のPHAを抽出し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
さらに、PHAの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、Mn=28,000であった。
以上、ピエゾインクジェット式によるインクジェットプリンターを用いても、本発明の方法により同様にしてPHAの微細パターンが作製できることが確認された。また、紙に対してもPHAパターンを形成できることが確認された。
<実施例5>
本実施例では、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを独立して供給する方法によるPHAパターン作製を検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2mlを添加・混合した溶液(1)、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(2)、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA(Reformatsky反応により得られた3-ヒドロキシフェニル吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(3)、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに(R,S)-3-ヒドロキシ-5-フェノキシバレリルCoA(3-フェノキシプロパナールとブロモ酢酸エチルとのReformatsky反応で得られた3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(4)を各々調製し、それぞれ0.22μmの滅菌フィルターで濾過した後、室温に保存した。なお、これらの溶液は24時間以内に使用した。また、これら4種類の溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、粘度は1〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に、実施例1で用いたバブルジェットプリンターの4つのインクカートリッジを0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し、調製した4種類の溶液を充填し、同プリンターのバブルジェットヘッドに装着した。次いで温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内にプリンターを設置し、このプリンターに実施例1と同様に調製したガラス基板を装着し、まず(2)(3)(4)の3種類の溶液を波線状に吐出した。
続いて(2)(3)(4)の溶液で描画した各パターン上に(1)の溶液を供給し、(2)と(1)、(3)と(1)、(4)と(1)の溶液を混合した。
ここで、各溶液の1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、そのまま24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
以上のようにしてガラス基板上にPHAパターンを作製した。
各基板に形成されたPHAパターンを観察するため、実施例1と同様に基板をナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、各基板ともパターンが設計通り描かれていることが確認された。
さらに、各々同様にパターニングした別の基板を用いて実施例1と同様に基板上のPHAを抽出し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、(2)と(1)の溶液を用いて作製されたパターンのPHAは3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが、(3)と(1)の溶液を用いて作製されたパターンのPHAは3-ヒドロキシフェニル吉草酸ユニットからなるPHAであることが、(4)と(1)の溶液を用いて作製されたパターンのPHAは3-ヒドロキシフェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
さらに、各PHAの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAはMn=25,000、3-ヒドロキシフェニル吉草酸ユニットからなるPHAはMn=72,000、3-ヒドロキシフェノキシ吉草酸ユニットからなるPHAはMn=46,000であった。
以上、3-ヒドロキシアシルCoAの組成を変えることによって、異なるモノマーユニット組成からなるPHAパターンを同一基板上に同時に作製できることが確認された。
また、PHA合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAを別々に含有する溶液を用いることで、室温でもPHAパターンを製造できることが確認された。
<実施例6>
本実施例では、本発明のパターン形成方法によるマトリクスの作製を検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA(Reformatsky反応により得られた3-ヒドロキシフェニル吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1g、黒色の水溶性インク(C.I.フードブラック2)1mlを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に、縦横の描線の間隔が240μmの格子状のパターンとして吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、再び先に調製した溶液を同じガラス基板の同じパターン上に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。
乾燥後、上記各工程をさらに5回繰り返し、ガラス基板上にPHAパターンを作製した。
この基板表面に形成されたPHAパターンを観察するため、光学顕微鏡で観察を行ったところ、線幅約70μmの黒色のマトリクスが設計通り作製されていることが確認された。また、実施例1と同様に基板をナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、マトリクス部分が蛍光を発することが確認された。
さらに、同様にパターニングした別の基板を用いて実施例1と同様に基板上のPHAを抽出し、ガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。その結果、3-ヒドロキシフェニル吉草酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
さらに、PHAの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、Mn=74,000であった。
次にバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620:キヤノン(株)社製)を用いて、同様にパターニングした別の基板のマトリクス内(ウェル)に10μmol/LのローダミンB水溶液をひとつおきに供給した。1ウェルあたりの供給量は約60plとした。またこのプリンターの吐出位置決め精度は±2.5μmであった。
この基板を蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、一つおきのウェルに蛍光が確認され、また隣接する格子内及び格子上には蛍光は観察されなかった。
以上、本発明の方法により、マトリクスを作製できることが確認された。また、該マトリクスを、水溶液を分離して貯留できるウェルとして使用できることがわかった。
<実施例7>
本実施例では、本発明により作製したマトリクスにDNAプローブを配置し、DNAアレイを作製することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R,S)-3-ヒドロキシ-7,8-エポキシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromol.,12, 85-91(1990)に記載の方法で合成した3-ヒドロキシ-7-オクテン酸の不飽和部分を3-クロロ安息香酸でエポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液を実施例1と同様に調製したガラス基板上の縦横10mm×10mmの領域に吐出した。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、再び先に調製した溶液を同じガラス基板の同じ領域に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。
乾燥後、上記各工程をさらに3回繰り返し、ガラス基板上にPHA被膜を作製した。
次にこの基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、真空乾燥によってPHAを回収した。回収したPHAの1H-NMR分析を実施例1と同様に行った結果、3-ヒドロキシ-7,8-エポキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
さらに、該PHAの分子量を実施例1と同様にゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した結果、Mn=27,000であった。
次に同様に作製した別のガラス基板のPHAパターン上に、実施例6で作製した吐出溶液を、実施例6と同様に縦横の描線の間隔が240μmの格子状のパターンとして吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、再び先に調製した溶液を同じガラス基板の同じパターン上に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。
乾燥後、上記各工程をさらに5回繰り返し、ガラス基板上にPHAパターンを作製した。
この基板表面に形成されたPHAパターンを観察するため、光学顕微鏡で観察を行ったところ、線幅約70μmの黒色のマトリクスパターンが設計通り描かれていることが確認された。
以上により、ウェル底部がエポキシ基を提示したPHAからなるマトリクスを作製できた。
次にDNAプローブとして5’末端の水酸基にリン酸基とヘキサメチレンを介してアミノ基を結合した下記に示す18量体のオリゴマー(日本製粉株式会社製)を用意した。
5'NH2-(CH2)6-O-PO2-O-TGTAAAACGACGGCCAGT3'
また、上記DNAプローブに対して完全相補的な一本鎖DNAを合成した。次に50mmol/LのNaClを含むTE溶液(pH8)に、DNAプローブ及び一本鎖DNAを終濃度100μmol/Lとなるように溶解し、90℃から25℃まで2時間かけて降温し、DNAプローブと一本鎖核酸とのハイブリッドを形成させた。次にグリセリン7.5%、尿素7.5%、チオジグリコール7.5%、アセチレンアルコール1%を含む水溶液に上記ハイブリッドを終濃度8μmol/Lとなるように加えた。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次にバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620:キヤノン(株)社製)を用いて、先に作製したマトリクスのウェル内に上記ハイブリッド溶液をひとつおきに供給した。1ウェルあたりの供給量は約60plとした。またこのプリンターの吐出位置決め精度は±2.5μmであった。
この基板を25℃、湿度90%の恒温恒湿器内に12時間置き、プローブのアミノ基とウェル底部のエポキシ基とを反応させた後、この基板を80℃の純水で洗浄し、プローブとハイブリッドを形成している相補鎖をプローブから解離させ、洗い流した。次いで基板を1%エタノールアミン水溶液で室温下で1時間処理した。これによって各ウェル内の未反応のエポキシ基は開環して水酸基となり、ウェルの底部は親水性となった。最後に基板を純水で洗浄し、スピン乾燥機で表面の洗浄液を除去した。以上により、DNAプローブをウェルに固定化した。
次にこのDNAプローブに対する完全相補性の一本鎖DNAを50mmol/LのNaClを含むTE溶液(pH8)に終濃度10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液にガラス基板を浸漬し、80℃から25℃まで2時間かけて降温しハイブリタイゼーション反応を行なった。次いで20℃で10mmol/LのNaClを含むTE緩衝液(pH8)で基板を洗浄したのちスピン乾燥機で表面の洗浄液を除去した。
さらに50mmol/LのNaClを含むTE溶液(pH8.0)に、二本鎖核酸にインターカレートして蛍光を発する2-メチル-4、6-ビス(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)ピリリウムアイオタイドを終濃度10μmol/Lとなるように調製した。
この溶液をバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620:キヤノン(株)社製)を用いて、先の基板の全てのウェルに約60plずつ供給したのち、湿度90%の恒温恒湿器内に5分間静置後、蛍光顕微鏡によって観察した。その結果、DNAプローブを固定したウェルのみ蛍光が確認された。
以上より、本発明によって作製したマトリクスパターンにDNAプローブを配置できることが確認された。
<実施例8>タンパク質アレイ作製
本実施例では、本発明により作製したマトリクスにタンパク質を配置することを検討した。
緑色蛍光タンパク質であるGFP(コスモ・バイオ社製)1gをリン酸緩衝液(pH7.4)100mlに溶解し、GFP溶液を調製した。
実施例7と同様にしてウェルを形成した基板をこのGFP溶液に浸漬し、25℃にて12時間置き、GFP表面に提示されているアミノ基とウェル底部のエポキシ基とを反応させ、GFPをウェルに固定した。
この基板を溶液から取り出し、スピン乾燥機で脱水した後、1%エタノールアミン水溶液で室温下で1時間処理し、各ウェルの未反応のエポキシ基を開環させた。次に基板を純水で洗浄、乾燥した。これによってウェル内のGFPと反応しなかったエポキシ基は開環して水酸基となり、ウェルの底面は親水性が高くなった。
この基板を蛍光顕微鏡によって観察したところ、全てのウェル内にGFPによる蛍光が確認され、また格子上に蛍光は観察されなかった。
以上より、本発明によって作製したマトリクスパターンにタンパク質を配置できることがわかった。
<実施例9>
本実施例では、PHA分解酵素を用いたウェルの作製を検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシピメリルCoA(J.Bacteriol.,182, 2753-2760(2000)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(5))、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに同様のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(6))をそれぞれ調製し、ただちに4℃に冷却した。
各溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記溶液(5)を実施例1と同様に調製したガラス基板上に縦横300μm×3000μmの短冊形の領域内に吐出した。
吐出終了後、ただちに基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、再び先に調製した溶液を同じ基板の同じ領域に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。乾燥後、上記各工程をさらに5回繰り返した。
さらに上記溶液(6)を同じ基板の同じ領域に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。この各工程をさらに2回繰り返した。
以上により、ガラス基板上にPHA被膜を作製した。
次に、このPHA被膜のPHAの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペクトルから、パターン表面は3-ヒドロキシオクタン酸のユニットからなるホモポリマーで構成されていることがわかった。また、実施例1で用いた光干渉式膜厚計によりPHA被膜の膜厚を測定しながらイオンスパッタリングによりパターン表面を少しずつ削り、同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していったところ、基板表面から7.8μmの膜厚部分から3-ヒドロキシピメリン酸のユニットからなるホモポリマーに変化することが確認された。
次に、以下の方法によりPHA分解酵素を取得した。
まず、YN2株をポリペプトン0.5%、オクタン酸0.1%を含むM9培地1Lを分注した坂口フラスコ10本に植菌し、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、菌体を遠心分離(98km/s2 (=10,000×g)、4℃、10分間)によって回収し、メタノールで数回洗浄した後、真空乾燥により菌体を乾燥した。この乾燥菌体にクロロホルムを添加し、35℃で3日間攪拌してPHAを抽出した後、0.45μmのフィルターで濾過した。この濾液をエバポレーターで濃縮し、真空乾燥して約4gのPHAポリマーを得た。このポリマーを実施例1と同様にガスクロマトグラフィー-質量分析装置で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行ったところ、3-ヒドロキシオクタン酸ユニットからなるPHAであることが確認された。
次にポリペプトン0.5%、寒天1.2%を含むM9培地をオートクレーブした後、シャーレに分注し、寒天培地を作製した。先のPHA 2gを10mlのアセトン溶液に溶解し、これを先に作製した寒天培地に0.5ml添加し、寒天表面に均一に広げ、ドラフト内で一晩放置した。寒天の表面は析出したPHAによって白濁した。この寒天培地に野外から採集した土壌の懸濁液を塗布し、30℃で1週間培養し、出現したコロニーのうち、コロニー周辺のPHAが分解してクリアゾーンができているコロニーから菌株を分離した。分離した菌株を同様の寒天培地に塗布し、短時間のうちに最も大きなクリアゾーンが形成される菌株をPHA分解酵素を取得する菌株として選択した。
次に、滅菌水10mlに先のPHA 1gとTween20 0.5mlを加え、ブレンダーで乳化し、これをポリペプトン0.5%を含むM9培地に添加し、これに分離した菌株を植菌して、30℃、125ストローク/分で振盪培養した。72時間後、培養液を遠心分離(98km/s2 (=10,000×g)、4℃、10分間)によって菌体と上清に分離し、菌体を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)200mlに再懸濁し、再度遠心分離することによって洗浄した。菌体を0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)2mlに再懸濁し、超音波破砕機にて破砕したのち、遠心分離(118km/s2 (=12,000×g)、4℃、10分間)して上清を回収した。この上清と先の培養上清を限外濾過膜によって濃縮し、0.1mol/Lトリス塩酸バッファー(pH8.0)に再懸濁しPHA分解酵素の粗酵素溶液を得た。
この溶液をバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620:キヤノン(株)社製)を用いて、作製した短冊型PHA被膜の長手方向に直径約100μmのドットを約200μmの間隔で吐出した。
この基板をただちに30℃、湿度90%の恒温恒湿槽に移し、24時間静置した。次いで60℃で1時間乾燥し、蒸留水で基板表面を洗浄した後、さらに60℃で1時間乾燥した。
ここで、基板上のPHA被膜の膜厚を実施例1と同様に光干渉式膜厚計により測定したところ、リパーゼを添加していない部分の膜厚は平均10.8μmであり、リパーゼを添加した部分の膜厚は2.8〜6.2μmであった。この部分を先と同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していったところ、3-ヒドロキシピメリン酸のユニットからなるホモポリマーからなることが確認された。
以上より、リパーゼを用いてPHA被膜にウェルが作製されたことがわかった。なお、3-ヒドロキシピメリン酸のユニットからなるPHAは水酸基を提示しているため親水性であり、3-ヒドロキシオクタン酸のユニットからなるPHAは疎水性である。
次にバブルジェットプリンター(商品名:BJC-620:キヤノン(株)社製)を用いて、基板上のウェル内に10μmol/LのローダミンB水溶液をひとつおきに供給した。1ウェルあたりの供給量は約20plとした。またこのプリンターの吐出位置決め精度は±2.5μmであった。
この基板を蛍光顕微鏡を用いて観察したところ、約400μm間隔で直径約80μmの円形の蛍光が確認された。またそれ以外の部分に蛍光は観察されなかった。
以上、PHA分解酵素を用いることによってウェルを作製できることが確認された。
<実施例10>
本実施例では、本発明のパターン形成方法により微小流路を作製することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA(Reformatsky反応により得られた3-ヒドロキシフェニル吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次にこの溶液を、実施例1と同様にバブルジェットプリンターによってガラス基板上に流路パターンを描画するように吐出した。パターンは、ガラス基板の一辺に2箇所の端面が接するように一辺20mmのコの字型を描画した。またその200μm内側に同様のパターンを描画した。このとき、1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
乾燥後、再び先に調製した溶液を同じガラス基板の同じパターン上に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。
乾燥後、上記各工程をさらに5回繰り返し、ガラス基板上にPHAパターンを作製した。
このガラス基板上に、5μmのスペーサーをはさんで実施例1と同様に調製したガラス基板を重ね、60℃の乾熱器中に1時間静置し、パターン面をガラス基板に密着させた。
この基板の間隙から実施例1のナイルブルー溶液を染み込ませて染色し、蛍光顕微鏡によって観察したところ、線幅約90μmの2本の描線が、約100μm間隔でコの字型のパターンを形成していることが確認された。
次に、同様にパターニングした別のガラス基板の流路の一方の開口部にあたる部分に、内径0.25mm、外径0.76mmのタイゴンマイクロボアチューブ(S-54-HL;サンゴバン社製)を弾性接着剤(EP-001;セメダイン社製)で接着した。この基板を蛍光顕微鏡に設置し、蛍光観察を行いながらシリンジポンプ(CFV-3200;日本光電社製)を用いて流路内に10μmol/LのローダミンB水溶液を0.05μl/hrの流速で流入した。その結果、蛍光を発する溶液が流路に沿って流動する様子が確認された。このとき、流路からの蛍光溶液の漏出は認められなかった。
以上、本発明により、溶液の流動が可能な微小流路を作製できることがわかった。
<実施例11>
本実施例では、本発明の方法によって多層構造を有するPHAパターンの作製を検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシピメリルCoA(J.Bacteriol.,182, 2753-2760(2000)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(5))、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに同様のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシピメリルCoA 6g、(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA(Reformatsky反応により得られた3-ヒドロキシフェニル吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェニル吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)2g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(6))、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに同様のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシピメリルCoA 2g、(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA 6g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(7))、0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに同様のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルバレリルCoA 8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合した溶液(溶液(8))を各々調製し、ただちに4℃に冷却した。
各溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによってまず溶液(5)をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を60℃で1時間乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び60℃で1時間乾燥した。
次に、溶液(6)を同じガラス基板の同じパターン上に供給し、同様にPHAの合成を行った後、乾燥と洗浄を行った。溶液(7)、溶液(8)についても同様に順次PHAパターンを重層した。
以上より、ガラス基板上にPHAパターンを作製した。
次に、基板上に形成されたパターン表面のPHAの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペクトルから、パターン表面は3-ヒドロキシフェニル吉草酸のユニットからなるホモポリマーで構成されていることがわかった。また、イオンスパッタリングによりパターン表面を少しずつ削りながら同様にTOF-SIMSによりマススペクトルを測定していったところ、3-ヒドロキシフェニル吉草酸と3-ヒドロキシピメリン酸の共重合体(モル比3:1)が現れ、次いで3-ヒドロキシフェニル吉草酸と3-ヒドロキシピメリン酸の共重合体(モル比1:3)が現れ、最後に3-ヒドロキシピメリン酸のユニットからなるホモポリマーに変化することが確認された。
以上、本発明により多層構造のPHAパターンを作製できることがわかった。
<実施例12>
本実施例では、本発明によって作成したパターンのPHAを化学修飾によって架橋することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R,S)-3-ヒドロキシ-5-フェノキシバレリルCoA(3-フェノキシプロパナールとブロモ酢酸エチルとのReformatsky反応で得られた3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸エステルを加水分解して3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸を得たのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)6g、(R,S)-3-ヒドロキシ-7,8-エポキシオクタノイルCoA(Int.J.Biol.Macromol.,12, 85-91(1990)に記載の方法で合成した3-ヒドロキシ-7-オクテン酸の不飽和部分を3-クロロ安息香酸でエポキシ化したのち、Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法で調製)2g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様にパターニングした基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、この抽出液について実施例7と同様に1H-NMR分析を行った。その結果、3-ヒドロキシ-5-フェノキシ吉草酸74%、3-ヒドロキシ-7,8-エポキシオクタン酸26%からなるPHAであることがわかった。
次に、同様にしてパターニングした基板を水50mlに浸漬後、架橋剤としてヘキサメチレンジアミン0.5gを溶解させた。溶解を確認後、凍結乾燥により水を除去した(これを基板Aとする)。さらに基板Aを70℃で12時間反応させた(ここれを基板Bとする)。
次に基板A、Bを、密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、真空乾燥によりクロロホルムを除去し、示差走査熱量計(DSC;パーキンエルマー社製、Pyris 1、昇温:10℃/分)装置で測定を行った。その結果、基板Aでは90℃付近に明確な発熱ピークがみられ、ポリマー中のエポキシ基とヘキサメチレンジアミンとの反応が起こり、ポリマー同士の架橋が進行していることが示された。一方、基板Bでは明確なヒートフローは見られず、架橋反応がほぼ完了していることが示された。
さらに、同様に作製した別の基板について赤外吸収を測定した(FT-IR;パーキンエルマー社製、1720X)。その結果、基板Aで見られたアミン(3340cm-1付近)及びエポキシ(822cm-1付近)のピークが基板Bでは消失していた。
次に、架橋後のPHAパターンを観察するため、実施例1と同様に基板BをナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、線幅約90μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
以上、化学修飾を行うことにより、本発明のPHAパターンのポリマーを架橋できることがわかった。
<実施例13>
本実施例では、本発明によって作成したパターンのPHAに化学修飾によってグラフト鎖付与した。
実施例12と同様のPHAパターンをガラス基板上に作製した。
この基板を末端アミノ変性ポリシロキサン(変性シリコーンオイルTSF4700、GE東芝シリコーン(株)製)に浸漬し、70℃で2時間反応させた。これをメタノール洗浄したのち、乾燥することで、PHAパターンにポリシロキサンのグラフト鎖を付与した。
次に、グラフト鎖付与後のPHAパターンを観察するため、実施例1と同様に基板BをナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、線幅約90μmのパターンが設計通り描かれていることが確認された。
<実施例14>
本実施例では、本発明によって作成したPHAパターンの官能基を化学修飾によって他の官能基に変換することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R,S)-3-ヒドロキシ-ω-(4-ビニルフェニル)バレリルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法と同様に調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様にパターニングした基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、この抽出液について実施例1と同様に1H-NMR分析を行った。その結果、3-ヒドロキシ-ω-(4-ビニルフェニル)吉草酸からなるPHAであることがわかった。
次に、同様にしてパターニングした基板をヘキサン50mlに浸漬後、m-クロロ過安息香酸2gを20mlのヘキサンに溶解した溶液を滴下して5℃で12時間、20℃で12時間攪拌し、反応を行った。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様に化学修飾した基板上に形成されたパターン表面のPHAの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペクトルから、パターン表面は3-ヒドロキシ-ω-(4-エポキシフェニル)吉草酸ユニットからなるPHAで構成されていることが推定された。
以上、化学修飾を行うことにより、本発明のPHAパターンの官能基を他の官能基に変換できることがわかった。
<実施例15>
本実施例では、本発明によって作成したPHAパターンに化学修飾によって化合物を付加することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R,S)-3-ヒドロキシ-8-ブロモオクタノイルCoA(Eur.J.Biochem.,250, 432-439(1997)に記載の方法と同様に調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を室温で乾燥した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、再び室温で乾燥した。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様にパターニングした基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、この抽出液について実施例7と同様に1H-NMR分析を行った。その結果、3-ヒドロキシ-8-ブロモオクタン酸からなるPHAであることがわかった。
次に、同様にしてパターニングした基板をヘキサン12mlに浸漬後、系内を窒素置換した。ついで系内を室温に保ちながら、ヘキサン18mlに溶解した化学式(1)で示される2-(2'-メルカプトエチル)アミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム825mg加え、更に、ジエチルアミン330μlを加え、24時間ゆるやかに攪拌し、反応を行った。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様に化学修飾した基板上に形成されたパターン表面のPHAの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペクトルから、パターン表面は下記化学式(2)に示されるユニットからなるPHAで構成されていることが推定された。
以上、化学修飾を行うことにより、本発明のPHAパターンに化合物を付加できることがわかった。
Figure 2005237208
Figure 2005237208
<実施例16>
本実施例では、本発明によって作成したPHAパターンに化学修飾によって化合物を付加することを検討した。
0.1mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに参考例1で調製した形質転換株由来のPHA合成酵素溶液(10U/ml)2ml、(R)-3-ヒドロキシピメリルCoA(J.Bacteriol.,182, 2753-2760(2000)に記載の方法で調製)8g、ウシ血清アルブミン(Sigma社製)0.1gを添加・混合し、ただちに4℃に冷却した。
この溶液の表面張力は3〜5mN/m(=30〜50dyn/cm)の範囲内であり、また粘度は2〜3mPa・s(cps)の範囲内であった。
次に実施例1と同様にバブルジェットプリンターによって上記各溶液をガラス基板上に波線状に吐出した。1吐出動作あたりの溶液の吐出量は約20pl、描線の幅は約80μmであった。
吐出終了後、ただちにガラス基板を温度30℃、湿度90%に調整された恒温恒湿器内に移し、24時間静置してPHAの合成を行った。
この基板を100℃の乾熱器に1時間設置した後、蒸留水で洗浄し、スピン乾燥機で基板表面に付着した洗浄水を除去した後、室温で乾燥した。
この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様にパターニングした基板を密閉容器内で一定容量のクロロホルムに浸漬し、35℃で20時間振とうして基板上のPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過したのち、この抽出液について実施例7と同様に1H-NMR分析を行った。その結果、(R)-3-ヒドロキシピメリン酸からなるPHAであることがわかった。
次に窒素雰囲気下でp-トルイジン-2-スルホン酸547mg、ピリジン100mlを200ml二口フラスコに入れ攪拌した後、同様にしてパターニングした基板をフラスコ内に入れて溶液に浸漬させ、次いで亜リン酸トリフェニル0.8mlを加え、100℃で6時間加熱した。反応終了後、この基板を実施例1と同様にナイルブルーA水溶液で染色し、蛍光顕微鏡により観察を行ったところ、目的とするパターンが形成されていることが確認された。
また、同様に化学修飾した基板上に形成されたパターン表面のPHAの質量を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS IV、CAMECA製)により測定した。得られたマススペクトルから、パターン表面は下記化学式(3)に示されるユニットからなるPHAで構成されていることが推定された。
以上、化学修飾を行うことにより、本発明のPHAパターンに化合物を付加できることがわかった。
Figure 2005237208

Claims (19)

  1. 基板上にポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンを形成するパターン形成方法であって、
    前記基板上に、目的とするパターン状にポリヒドロキシアルカノエート合成酵素と3-ヒドロキシアシルCoAとを共存させる工程と、
    前記酵素により3-ヒドロキシアシルCoAを重合させることにより、前記ポリヒドロキシアルカノエートを合成する工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素と前記3-ヒドロキシアシルCoAを含有する溶液を前記基板上の前記目的とするパターン状に供給する工程を更に有し、
    前記溶液内でポリヒドロキシアルカノエート合成反応を行うことを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
  3. 前記溶液は、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を含有し3-ヒドロキシアシルCoAを含有しない第1の溶液と、3-ヒドロキシアシルCoAを含有しポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を含有しない第2の溶液とからなり、
    どちらか一方の溶液を前記基板上に供給した後に、前記一方の溶液上に他方の溶液を供給することを特徴とする請求項2記載のパターン形成方法。
  4. 前記合成工程後に、再度前記共存工程及び前記合成工程を繰り返すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン形成方法。
  5. 前記合成工程後に、前記基板を乾燥させる工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のパターン形成方法。
  6. 前記合成工程後に、合成されたポリヒドロキシアルカノエートのガラス転移点以上の温度で前記基板を加熱する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のパターン形成方法。
  7. 前記ポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンの少なくとも一部分をポリヒドロキシアルカノエート分解酵素によって分解する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパターン形成方法。
  8. 前記ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を含有する溶液を前記ポリヒドロキシアルカノエートからなるパターン上の分解を目的とする部分に供給する工程を更に有し、
    前記溶液内でポリヒドロキシアルカノエート分解反応を行うことを特徴とする請求項7記載のパターン形成方法。
  9. 前記ポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンに核酸もしくはタンパク質を固定化する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のパターン形成方法。
  10. 前記固定化工程が、前記ポリヒドロキシアルカノエートの有する反応活性基と前記核酸もしくは前記タンパク質の有する反応活性基との共有結合によることを特徴とする請求項9記載のパターン形成方法。
  11. 前記ポリヒドロキシアルカノエートの反応活性基がエポキシ基、ビニル基、ブロモ基、カルボキシル基から選択される少なくとも1つであり、前記核酸もしくは前記タンパク質が、アミノ基、チオール基の少なくともどちらかであることを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
  12. 前記ポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンの少なくとも一部分に化学修飾を施す工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のパターン形成方法。
  13. 前記ポリヒドロキシアルカノエートが反応活性基を有するモノマーユニットを少なくとも含んでおり、前記化学修飾が、前記反応活性基を活性点とすることを特徴とする請求項12記載のパターン形成方法。
  14. 前記反応活性基が、エポキシ基、ビニル基、ブロモ基、カルボキシル基から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項12または13記載のパターン形成方法。
  15. 前記ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を前記酵素の生産能を有する微生物を用いて生産する工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のパターン形成方法。
  16. 前記ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を前記酵素の生産能に関与する遺伝子を導入した形質転換体により生産する工程を更に有することを特徴とする請求項15記載のパターン形成方法。
  17. 前記遺伝子がポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の生産能を有する微生物から得られた遺伝子であることを特徴とする請求項16記載のパターン形成方法。
  18. 前記形質転換体の宿主微生物が、大腸菌(Escheichia coli)であることを特徴とする請求項16または17に記載のパターン形成方法。
  19. 基板上にポリヒドロキシアルカノエートからなるパターンを有することを特徴とする基板。
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