JP2005234124A - 光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光変調装置440R,440G,440Bと、光学像を合成する色合成光学装置とを備えた光学装置は、色合成光学装置の光束入射端面に対向配置され、該色合成光学装置に固定される固定部材610と、この固定部材610に設けられ、光変調装置を保持する保持部材620とを備え、固定部材610および保持部材620は、光束透過用の開口部615、625が形成された矩形板状の基部611,621と、この基部611,612の外周端縁から起立し、互いに向き合う一対の起立片612,622とを備えた断面C字状に構成され、固定部材610の一対の起立片612と、保持部材620の一対の起立片622とが互いに擦り合うように組み合わされている。
【選択図】図4
Description
このようなプロジェクタとして、光源ランプから射出された光束を、ダイクロイックミラーを用いて赤、緑、青の三色の色光に分離する色分離光学系と、分離された光束を色光毎に画像情報に応じて変調する3枚の液晶パネル(光変調装置において光変調を行う光変調素子)と、各液晶パネルで変調された光束を合成するクロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)を有する光学装置と、この光学装置によって形成されたカラー光学像をスクリーンに拡大投射する投写レンズとを備える三板式のプロジェクタが知られている。
例えば、3つの液晶パネルがそれぞれ保持枠の凹部に収容され、固定板によって押圧固定されており、クロスダイクロイックプリズムの側方三方の光束入射端面には、液晶パネルを本固定するための固定枠板が貼付され、この固定板には、仮止め用の中間枠板がねじ止めされている(特許文献1参照)。
この例では、中間枠板の四隅から突設されたピンを保持枠の孔にそれぞれ挿入・係合することで液晶パネルの仮止め状態となり、この状態で液晶パネルと保持枠との間に一対の楔を押込んで位置決めし、最終的に、これらの楔を固定部材に接着固定する。
したがって、従来は、各ピンや各楔の挿入量に応じて光軸に沿ったZ方向の調整を行う一方、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に接着される固定板をX方向・Y方向、およびこれらの回転方向に移動することで位置決めしていた(同特許文献参照)。
また、このように取り付け構造が複雑なことから、液晶パネルの位置決め作業に際して、調整する方向によって移動する部材が異なり、さらに、複数のピンや楔等を動かすことになるので、製造装置や工程が複雑化し、作業性が悪かった。
また、光学装置を電子機器の筐体等に組み込む際には、台座を筐体への固定具として使用できる。なお、固定部材は、色合成光学装置に直接固定されていても、この台座を介して色合成光学装置に間接的に固定されていてもよい。
なお、固定部材と保持部材とは入れ子状に組み合わせられ、この際に、いずれが外側となりいずれが内側となるかは問わない。
したがって、従来、ピンや楔、多種多様な固定板等を必要とし、これらを幾層にも組み付けた構造に対して、製造工程を簡略化でき、組み立て性を格段に向上できる。ひいては設備投資を含めて製造コストを低減できる。
ここで、固定部材および保持部材は、汎用の金属製パイプを板金プレスによってC字状に切り開くことで、安価かつ容易に製作できる。ピンや楔を固定部材や保持部材に突設形成する必要もないから、複雑な形状の部品がなくなり、部品コストを抑えられるとともに、部材の形状精度も向上させることができる。
ここで、光変調装置の取り付けに関しての必須部材は固定部材および保持部材だけであるため、色合成光学装置を所定光軸上に配置すれば、あとは、固定部材および保持部材の間の位置調整のみによって光変調装置が位置決めされる。
これにより、従来、光軸方向の調整には固定板の四隅に突設されたピンを移動し、他の方向の調整には、固定板の間に挿入した一対の楔を移動したり、色合成光学装置の光束入射端面に沿って固定板を移動したりしていたのに対して、位置決め作業を大幅に容易化できる。
したがって、光学装置がプロジェクタに組み込まれる場合、投写レンズのバックフォーカスに位置すべき光変調装置を高精度に位置決めでき、より一層精細な投写画像を実現できる。
なお、従来、光変調装置はピンの突端等で部分的に取り付けられているに過ぎなかったが、ピン等に比べて大ぶりな固定部材および保持部材で光変調装置を取り付けているので、衝撃が加わった場合、長年使用された場合などでも、光変調装置の位置がずれにくく、光学像の画素ずれを防止できる。
したがって、光変調装置の画像形成領域の大きさに対して色合成光学装置を小型化でき、色合成光学装置の部品コストの低減、および、光学装置全体の小型化を図ることができる。
なお、従来は、各種の固定板がピン、楔によって幾層にも組み付けられ、この組み付け構造が色合成光学装置の光束入射端面の面外方向にかさばり、光学装置を十分に小型化できなかったが、固定部材および保持部材の起立片が重なり合って固定されるので、光束入射端面の面外方向にかさばらず、この点でも小型化を図ることができる。
ここで、固定部材および保持部材は一対の起立片のぶん表面積が拡大されており、熱容量が大きいため、光変調装置の誤作動や劣化を効果的に防止できる。
この発明によれば、光変調装置の位置決め作業に際して、孔に突起を挿入するだけで、孔部分で突起が支持されて固定部材および保持部材が離脱・脱落しない。これにより、位置決め作業をより一層容易に行える。
このとき、位置決め作業は、孔の内部で突起が移動可能な範囲で行われ、孔や突起の位置や形状、寸法等は適宜設定できる。例えば、この孔を起立片に形成し、さらに光軸方向の径が長い長孔とすれば、光変調装置を光軸に沿って多く移動でき、フォーカス調整の調整代を大きく確保できる。反対に、孔の径を小さく設定し、突起の移動を規制した方が作業性の面で好ましい場合も考えられる。
この発明によれば、光変調装置および色合成光学装置の間には、固定部材および保持部材の起立片に応じたスペースがあり、ここに例えば、偏光板、視野角補正板、位相差板、各種光学フィルター等の光学変換素子が配置され、この光学変換素子が固定部材および保持部材によって収容・保持される。
これにより、光変調装置の取り付け構造の中で光学変換素子も保持されるので、光学変換素子を単独で支持する構造を不要にでき、光学装置の組立性の向上や小型化が図られる。
ここで、起立片によって光学変換素子が囲われるように保持され、固定部材および保持部材は、光学変換素子の熱を吸収する効果的なヒートシンクとなる。
したがって、光の照射によって温度上昇した光学変換素子が効率よく放熱冷却され、光学変換素子等の熱劣化を防止できる。特に、光変調装置からの射出光束を吸収して一定の偏光光を射出する射出側偏光板(光学変換素子)は光の吸収熱によって過熱しやすく、このような放熱冷却による効果が際立つ。
この発明によれば、光学装置が前述のような作用及び効果を具備するため、同様の作用および効果を享受できる。
この発明によれば、固定部材および保持部材のC字断面がプロジェクタの内部で流通する空気の流れに対向するため、外部から吹き付けられた空気の風量損失を極力抑えられる。一方、固定部材および保持部材の外周面はこの空気の流れに沿うので、整流作用が得られる。これにより、空気が固定部材および保持部材の外側に逃げにくく、一対の起立片に囲まれた光学変換素子を十分冷却することができ、光学装置の高温化を防止してプロジェクタの冷却効率に寄与できる。
〔1−1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、プロジェクタ1の構造を模式的に示す平面図である。プロジェクタ1は、全体略直方体状で樹脂製の外装ケース2と、光源装置413から射出された光束を光学的に処理して画像情報に応じた光学像を形成する光学ユニット4と、プロジェクタ1内に発生する熱を外部へと放出する冷却装置としての冷却ユニット5と、外部から供給された電力をこれらのユニット4,5等に供給する電源ユニット3とを備える。
前記ランプ駆動回路は、供給された電力を光学ユニット4の光源ランプ411に供給するものである。前記ドライバーボードは、図示を省略するが、光学ユニット4の上方に配置され、入力された画像情報の演算処理を行った上で、後述する液晶パネル441R,441G,441Bの制御等を行うものである。
図2は、光学ユニット4を模式的に示す平面図である。
光学ユニット4は、図2に示すように、平面略L字状に形成され、光源ランプ411から射出された光束を光学的に処理して、画像情報に対応した光学画像を形成するユニットであり、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、投写レンズ46とを備える。これら光学部品41〜44,46は、光学部品用筐体47内に収納され固定される。
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光(赤色光)を液晶パネル441Rまで導く機能を有する。
この入射側偏光板444は、ポリビニルアルコール(PVA)のフィルムおよびアセテートセルロース系の矩形状のフィルムが積層された偏光膜と、この偏光膜が貼付されたサファイアガラス製の基板とを備えている。
光学部品用筐体47は、図示を省略するが、前述した各光学部品414〜418,421〜423,431〜434,444(図2)を上方からスライド式に嵌め込む溝部がそれぞれ設けられた部品収納部材と、この部品収納部材の上部の開口側を閉塞する蓋状部材とを備える。また、平面略L字状の光学部品用筐体47の一端側には、光源装置413が収容され、他端側にはヘッド部49を介して投写レンズ46が固定されている。
図3には、光学装置本体48が示されている。
光学装置本体48は、クロスダイクロイックプリズム443と、このクロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面と略直交する端面である上下面に固定される一対の台座446,447と、この台座446,447に固定される3つの固定部材610と、これらの固定部材610に組み合わせられる3つの保持部材620と、これらの保持部材620に固定される光変調装置440R,440G,440Bとを備えて構成されている。
上側台座446は、クロスダイクロイックプリズム443の角度調整の終了後、紫外線硬化型接着剤によってクロスダイクロイックプリズム443に固定される。下側台座447は、シリコ−ン系の熱伝導性接着剤によってクロスダイクロイックプリズム443に固定されている。
上側台座446には、四隅から外側に向かって延びる腕部448が形成されており、この腕部448により、光学装置本体48は光学部品用筐体47にねじ固定される。
駆動基板の内側には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電体からなる画素電極、各画素電極に対応するTFT素子などのスイッチング素子、配線、液晶分子を配列する配向膜などが形成されている。また、対向基板の内側面には、前記画素電極に対応する対向電極、駆動基板の配向膜とは向きが略直交する配向膜などが形成されている。これにより、アクティブマトリクス型の液晶パネルが構成されている。
また、これらの駆動基板と対向基板との間から、制御用ケーブル442が延出している。
このパネル保持枠820の四隅には、パネル保持枠820を貫通する貫通孔830がそれぞれ形成されている。また、上部表面には、放熱フィン822が形成されており、この放熱フィン822によって、液晶パネル441R,441G,441Bから伝導した熱が、パネル保持枠820を通じて放熱されやすくなっている。
この固定部材610は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、これらを含有する合金製等の汎用の金属製パイプを材料に、このパイプを板金プレスで切り開いて、安価かつ容易に形成されている。従来のようなピン等が突設形成された固定板等と比べて比較的単純な形状となっているため、固定部材610の部品コストを抑えられるとともに、部材の形状精度も向上させることができる。
また、起立片612には、光軸方向の径が長い長孔617が上端、中間、下端に3つ形成されている。この中間の長孔617は、一方の起立片612と他方の起立片612とにおいて対称ではなく、位置がずれている。そして、長孔617と長孔617との間には、複数の接着剤注入・硬化用の注入孔618がそれぞれ形成されている。
また、各起立片622の先端側は互いに接近する方向に曲折し、基部621の板面に略平行な折曲片623となっている。
なお、保持部材620の材料について、例えば、アルミニウムや鉄など、液晶パネル441R,441G,441Bと線膨張率が近似する材料を使用すると、液晶パネル441R,441G,441Bの熱膨張に保持部材620が追従するので熱膨張に起因する変形が生じず、投写画像の画素ずれを防止できる。
ここで、起立片622の中間部位に形成された突起627は、前述の長孔617と同様、一方の起立片622と他方の起立片622とにおいて対称ではなく、位置がずれているので、固定部材610と保持部材620とはこれらの長孔617、突起627に応じた向きで組み合わせられ、これとは逆の向きで組み合わせられるのを効果的に防止できる。
ここで、射出側偏光板630の透過率を液晶パネル441R,441G,441Bに印加される電圧に応じて変化させることによって光学像の色の階調特性を実現しており、射出側偏光板630は、入射側偏光板444よりも光の吸収熱によって一層劣化しやすい。
なお、射出側偏光板630の保持位置は、折曲片623の裏面側でもよく、あるいは、固定部材610および保持部材620の開口部615,625の周囲(表面側・裏面側)でもよい。このように固定部材610および保持部材620は収容性が高いことにより、射出側偏光板630を複数の偏光板から構成し、一定の偏光光をより確実に射出することが考えられる。
さらに、射出側偏光板630に製造不良や変質が生じた場合でも、取り外して新しいものに交換可能であり、リワーク性に優れる。
なお、固定部材610および保持部材620には、位相差板や視野角補正板等、偏光板以外の光学変換素子を取り付けることもできる。
また、固定部材610および保持部材620が組み合わされて入れ子状となるため、固定部材610および保持部材620内側に起立片612,622や折曲片623に応じた熱容量が生じ、また、基部611、621および起立片612,622によって射出側偏光板630が覆われることで、射出側偏光板630と固定部材610および保持部材620との間の熱伝導性が高まる。つまり、固定部材610および保持部材620は、光変調装置440R,440G,440Bの取り付け用部材であるだけでなく、射出側偏光板630の放熱部材も兼ねている。
なお、前述のように、パネル保持枠820は保持部材620にねじ止めされており、固定部材610および保持部材620は、光変調装置440R,440G,404Bの放熱部材としても機能する。
あらかじめ、クロスダイクロイックプリズム443に上側台座446および下側台座447をそれぞれ接着固定し、クロスダイクロイックプリズム443を光学部品用筐体47の所定の光軸上に配置する。
また、液晶パネル441R,441G,441Bをパネル保持枠820に収容し、このパネル保持枠820を保持部材620にねじFSで固定する。
さらに、クロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面に沿うように、固定部材610をシリコーン系の熱伝導性接着剤で上側台座446、下側台座447の外周面に接着固定する。
ここで必要な作業は、固定部材610に対して保持部材620を向かい合わせに組み合わせ、位置決め完了後、これらの固定部材610と保持部材620とを互いに固定するだけである。
すでに、固定部材610はクロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面に沿って固定されており、保持部材620には光変調装置440R,440G,440Bが取り付けられているので、光変調装置440R,440G,440Bの位置決めは、固定部材610および保持部材620の間の位置関係のみで規律される。
なお、この組み立てに際しては、接着する部材の材質等に応じて熱硬化型接着剤や紫外線硬化型接着剤等を使用することにより、接着剤を迅速に硬化させ、作業効率を向上させることができる。すなわち、金属等の熱伝導性が高い材質には熱硬化型接着剤を好適に使用できる一方、透明な合成樹脂等、透光性を有する材質が用いられ、接着箇所に光が入射可能である場合は、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤を好適に使用できる。
そして、光変調装置440Gを保持部材620ごと移動させ、互いの起立片612,622が重なり合うように、保持部材620を固定部材610に組み合わせる。この際、突起627が長孔617に向かって横から押込まれ、長孔617から突出する。これにより、固定部材610から保持部材620が脱落せず、突起627の移動が長孔617の範囲内に規制されて、以降の位置決め作業が容易となる。
この状態で、紫外線硬化型接着剤を固定部材610の注入孔618から起立片612と起立片622との間に注入する。
この際、突起627が長孔617内で移動可能な範囲で、光変調装置440Gを任意に移動できる。
光変調装置440Gの位置決めが済んだら、紫外線を照射して起立片612、622間に注入された紫外線硬化型接着剤を硬化させ、光変調装置440Gを固定する。
この際、注入孔618からも光が回り込むので、この接着剤を迅速に硬化させることができる。また、この注入孔618や長孔617部分に接着剤が溜まって流れにくいため、射出側偏光板630の汚れを防止できる。
また、固定部材610と保持部材620とを固定するのに熱硬化型接着剤も使用できるが、射出側偏光板630を熱から保護する観点から、紫外線硬化型のような光硬化型接着材を使用するほうが好ましい。
つまり、一対の起立片612,622が相対する方向(X方向とする)、基部611,621の外周に沿って起立片612,622が延びるY方向、長孔617の長径方向となるZ方向(光軸方向)、X・Y方向の各回転方向、これらの何れの方向にも光変調装置440R,440Bを任意に移動でき、光学像の画質を一層精細なものにできる。
なお、アライメント調整に関しては、固定部材610と上側・下側台座446、447の外周面との間の接着剤が未硬化な状態で、この接着面に沿って固定部材610をX方向・Y方向に移動して行ってもよいが、上述のように固定部材610および保持部材620の擦り合わせによって行うほうが、固定部材610に対して保持部材620だけを移動させればよいので、位置決め作業を大幅に容易化できる。
したがって、投写レンズ46のバックフォーカスに位置すべき液晶パネル441R,441G,441Bを高精度に位置決めでき、より一層精細な投写画像を実現できる。
よって、衝撃が加わった場合、長年使用された場合などでも、光変調装置440R,440G,440Bの位置がずれにくく、光学像の画素ずれを防止できる。
なお、固定部材610の起立片612および保持部材620の起立片622が重なり合って固定されるので、クロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面の面外方向にかさばらず、光学装置44の小型化が阻害されない。
ここで、固定部材610および保持部材620の起立片612,622が光軸方向に沿って起立しているので、光変調装置440R,440G,440Bから光束が射出され、この光束が保持部材620および固定部材610の開口を透過し、クロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面に入射するまでに、起立片612,622によって極力遮光されないで済む。これにより、クロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面のマージンを最小限に抑えることができ、クロスダイクロイックプリズム443の小型化による部品コストの低減を図ることができる。
また、クロスダイクロイックプリズムの小型化によって、投写レンズ46のバックフォーカスが短くなり、投写レンズ46により多くの光が呑み込まれて、明るい投写画像を得ることができる。
一方、射出側偏光板630で生じた熱は、保持部材620,固定部材610に直ちに伝導し、これらの表面から迅速に放出される。
ここで、固定部材610および保持部材620には、液晶パネル441R,441G,441Bや射出側偏光板630からの熱が伝導し、この熱はさらに、上側台座446および下側台座447にも伝導し、腕部448から光学部品用筐体47にも伝導し、最終的には、光学部品用筐体47を通じて外装ケース2にも伝導する。よって、固定部材610、保持部材620、上側台座446、下側台座447、および光学部品用筐体47等がヒートシンクとなって熱容量が大きく確保され、冷却空気との接触面積が増加し、冷却空気との間の熱交換が効率的となる。これにより、冷却効率を大幅に向上させることができる。
なお、クロスダイクロイックプリズム443で生じた熱についても、上側台座446、下側台座447、さらに光学部品用筐体47に伝導し、放出される。
以下、プロジェクタ1に設けられた空冷式の冷却について説明する。プロジェクタ1は、図1に示すように、主に光学装置44(図2)を冷却する光学装置冷却系Aと、主に光源装置413を冷却する光源冷却系Bと、主に電源ユニット3を冷却する電源冷却系Cとを備える。
光学装置冷却系Aは、外装ケース2の下面に形成される図示しない吸気口と、この吸気口の上方に配置される軸流吸気ファン51と、光学部品用筐体47の底面において軸流吸気ファン51の上方に形成される開口部4Bとを備える。
なお、固定部材610および保持部材620のC字断面がこの空気の流れに対向するため、吹き付けられた空気の風量損失が極力抑えられるとともに、空気が固定部材610および保持部材620の外側に逃げにくい。
このように、光変調装置440R,440G,440Bおよび射出側偏光板630は、この冷却空気の導入による冷却と、前述した放熱冷却との2系統により効率的に冷却されるので、プロジェクタ1内部を循環する冷却空気の風量を増加させなくても、光学装置44が組み込まれているプロジェクタ1の高輝度化、小型化、低騒音化を阻害しない。
固定部材や保持部材の形状、材質等は、前記実施形態のものに限定されない。固定部材および保持部材に形成される孔および突起の数、位置、形状等についても限定されない。
例えば、前記実施形態のような板金加工以外に、固定部材や保持部材をC字状に型成形できる。
また、光変調装置は、固定部材および保持部材を介して色合成光学装置に固定されていればよく、台座やねじを備えていなくても本発明の目的を達成できる。台座を備える場合には、台座の下方がプロジェクタの筐体に固定されていても構わない。
さらに、プロジェクタの冷却装置における空気の流れは、前記実施形態のように下から上へ向かって吹き上げる方向に流れている必要はなく、吹き降ろす方向に流れていてもよい。
前記実施形態では、パネル保持枠820がねじFSによって保持部材620に固定されていたが、光変調素子の保持枠(パネル保持枠820)が保持部材に接着剤等によって固定されていてもよい。
さらに、光変調素子の保持枠(パネル保持枠820)、固定部材、保持部材の互いの固定部分には、熱伝導性のシリコーン系接着剤や、熱伝導性のグリス等を充填し、熱伝導性を向上させることができる。
なお、前記各実施形態でいくつか例示したが、熱伝導性材料としては、Mg合金、Al合金、Mo−Cu合金、Ti合金、Fe−Ni合金や、カーボンフィラーを含有する樹脂材料等があり、これらの材料を固定部材、保持部材、台座、光変調素子の保持枠(パネル保持枠820)等に採用できる。
また、保持部材の代わりに変調素子の保持枠(パネル保持枠820)と固定部材とを向かい合わせに組み合わせ、これらの擦り合わせによって光変調素子(液晶パネル441R,441G,441B)の位置決めを行っても、本発明と等価の作用効果を奏する。
これらの光学変換素子の固定態様は特に限定されず、例えば、固定部材や保持部材に溝を形成し、この溝に光学変換素子を差し込んでもよい。また、色合成光学装置の光束入射端面に光学変換素子が直接貼付されていてもよい。
また、液晶パネル441R,441G,441Bのような液晶による光変調素子のほかに、マイクロデバイスミラーによる光変調素子等も採用できる。
さらに、光変調素子は、前記実施形態のように透明な電極を使用する透過方式から、必要に応じて反射電極を使用する反射方式に切り替えて使用されてもよい。
Claims (5)
- 複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調して光学像を形成する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備えた光学装置であって、
前記色合成光学装置の光束入射端面に対向配置され、該色合成光学装置に固定される固定部材と、
この固定部材に設けられ、前記光変調装置を保持する保持部材とを備え、
前記固定部材は、前記光束入射端面に対向し、光束透過用の開口部が形成された矩形板状の基部と、この基部の外周端縁から前記光変調装置に向かって起立し、互いに向き合う一対の起立片とを備えた断面C字状に構成され、
前記保持部材は、光束透過用の開口部が形成され、前記光変調装置が取り付けられる矩形板状の基部と、この基部の外周端縁から前記光束入射端面に向かって起立し、互いに向き合う一対の起立片とを備えた断面C字状に構成され、
前記固定部材の一対の起立片と、前記保持部材の一対の起立片とが互いに擦り合うように組み合わされていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記固定部材および保持部材のいずれか一方には孔が形成され、他方にはこの孔に挿入される突起が形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
前記光変調装置および前記光束入射端面の間に配置される光学変換素子を備え、
この光学変換素子は、前記保持部材の前記起立片先端部分に取り付けられていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
外部から取り込んだ空気を内部で流通させる冷却装置が採用され、
前記固定部材および前記保持部材は、前記C字状の断面が前記空気の流れに略直交する向きであることを特徴とするプロジェクタ。
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