JP4182890B2 - 光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
このようなプロジェクタとして、光源ランプから射出された光束を、ダイクロイックミラーを用いて赤、緑、青の三色の色光に分離する色分離光学系と、分離された光束を色光毎に画像情報に応じて変調する3枚の光変調装置(液晶パネル)と、各液晶パネルで変調された光束を合成するクロスダイクロイックプリズムを有する光学装置と、この光学装置によって形成されたカラー光学像をスクリーンに拡大投射する投写レンズとを備える三板式のプロジェクタが知られている。
ここで、プロジェクタに組み込まれる光学装置は、液晶パネル等の光変調素子を備え、液晶パネルの入射側および射出側に偏光板をそれぞれ備えている。そして、これらの液晶パネルや偏光板自体を小型化するとともに、これらの取り付け構造の簡素化によっても、プロジェクタの小型化を図り、組立性をも向上させている。
例えば、液晶パネルの射出側の偏光板はクロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に直接接着し、凹部を有する容器状の保持枠に液晶パネルを収納するとともに、保持枠の四隅に形成された孔にピン状部材を挿入して、このピン状部材をクロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に固定された液晶パネル固定用の板部材に固定することによって、液晶パネルとクロスダイクロイックプリズムとを一体化した光学装置が知られている(特許文献1参照)。このような構成によって、液晶パネルを単独で支持する構造が不要となり、小型化および組立性の向上が図られる。
これに伴い、高輝度化された光源からの光束が、小型化された液晶パネルや偏光板に集中するようになり、熱密度が上昇して、液晶パネルや偏光板にかかる熱負荷が非常に大きくなっている。この熱負荷により、液晶パネルや偏光板に用いられた有機材料が歪んで劣化したり、液晶の過熱から動作不良を生じたりするおそれがあった。
さらに、偏光板は、入射した光束のうち偏光軸に沿った方向の光束のみを透過させ、その他の方向の光束を吸収することから、過熱しやすい。また、液晶パネルに電圧を印加し、印加電圧に応じて射出側の偏光板の透過率を変化させることによって光学像の階調特性を得ているため、特に、射出側偏光板において、光の吸収熱による劣化が一層生じやすく、光束が吸収されずに光抜け現象が生じるなど、光学像の画質低下につながるおそれがあった。
なお、このような問題は、偏光板に限らず、視野角補正板や、位相差板等の熱劣化を生じやすいその他の光学機能を有する光学変換素子を採用した場合でも同様に発生するおそれがある。
そこで、対向配置された2枚の透明ガラス板の各辺端部同士をスペーサで連結して容器状とし、その内部にエチレングリコールなどの冷却媒体を密封して冷却装置を形成し、この冷却装置を合計2つ、液晶パネルの両側に配置して、入射側偏光板、液晶パネル、射出側偏光板に密着させる構成が提案されている(特許文献2)。これにより、冷却装置で強制的に冷却を図り、さらに、冷却媒体の熱をスペーサに伝導させることによって、放熱が図られる。
また、保持部材の材質としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、チタン、これらを含有する合金等の金属や、カーボンフィラー等の熱伝導性を有する材料を採用するのが好ましい。
さらに、突起の材質としては、熱伝導率の小さい材料を好適に採用できる。突起の光変調装置への固定態様は任意であり、例えば、接着等の手段によって、突起を光変調装置に直接固定してもよい。
なお、突起は、保持部材の本体部および折曲部のいずれから突設されていてもよい。
これにより、光学変換素子の過熱による劣化が防止され、光学装置が長寿命化するとともに、光学装置によって形成される光学像の画質低下が防止され、機能的信頼性を大幅に向上させることができる。
さらに、保持部材から突起が延びている分、光変調装置と光学変換素子との間に隙間があるので、この隙間に冷却風を吹き込んだときに、冷却風が光学変換素子の表裏両側に行き渡る。したがって、光学変換素子に温度むらを生じさせずに、冷却性能をより一層向上させることができる。
なお、光学変換素子が着脱可能となるように保持部材を構成すれば、製造不良や変質が生じた場合でも光学変換素子を新しいものに交換でき、リワーク性を向上させることができる。
また、光変調装置を色合成光学装置の光束入射端面に支持するために、光変調装置を固定するための板部材を使用する場合があるが、光学変換素子を保持するための保持部材によって、この板部材の機能を兼ね備えることができる。むしろ、そのような板部材よりも保持部材の方が、光学変換素子を保持する必要から強度が高いとも言え、光変調装置を色合成光学装置により確実に支持可能となる。
したがって、複数個の光学変換素子が使用されるような場合でも、これら光学変換素子の荷重に耐え、光変調装置と色合成光学装置とを強固に固定できる。
さらに、色合成光学装置に対する各光変調装置の位置決めよりも前に、保持部材を色合成光学装置に予め固定することにより、光変調装置の位置決め作業に支障がなく、効率的に製造できる。
また、光変調装置と色合成光学装置の間に冷却風を導入する場合には、冷却風の流路となる位置には起立片および折曲片を形成しないことにより、冷却風は失速せずに保持部材の内側に勢いよく流れ、光学変換素子を効率よく冷却できる。
さらに、折曲片の表裏両面側を接合面として、複数の光学変換素子を保持可能となり、保持部材の収容性を向上させることができる。
この発明によれば、切り起こし加工が行われることによって、突起に関して成形型を製作したり、突起部品を別途用意したりする必要がなくなり、工程が複雑化することなく突起を容易に形成できる。保持部材の外形成形をプレス加工によって行う場合は、同じプレス処理系の切り起こし加工によって突起を形成可能となり、大幅な低コスト化が図られる。
この発明によれば、放熱板を備えることにより、光変調装置で生じた熱は放熱板を介して素早く伝導放熱される。これにより、放熱板を備えない場合よりも、光学変換素子の放熱性能を確実に向上させることができる。
また、このように光変調装置に生じた熱が放熱板を介してすみやかに放熱される一方、光学変換素子に生じた熱についても、前述のように保持部材から素早く放熱されるので、光学変換素子と光変調装置との間で温度の高低に応じて出入りしやすい熱の量が減少する。つまり、光学変換素子と光変調装置との間の熱の逆流が防止され、光学変換素子のみならず、光源光の照射によって温度上昇しやすい光変調装置をも十分効果的に、放熱冷却できる。
したがって、保持部材および放熱板を介して、光変調装置を色合成光学装置に一層確実に支持させることができる。
また、突起と筒状部との接着代が大きい分、突起と筒状部とを進退可能となり、色合成光学装置の光束入射端面に対する光変調装置の姿勢を容易に調整できる。
なお、筒状部の形状は、放熱板の外面から光変調装置側に突出していてもよいし、反対に、放熱板の外面から色合成光学装置側に窪んでいても、放熱板の表裏両面から突出していてもよい。
ここで、放熱板には、アルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、チタン、これらを含有する合金等の板金材料を採用するのが好ましい。
この発明によれば、放熱板に板金材料を採用したことにより、金属は熱伝導性が良好であることから、光変調装置の一層の放熱冷却が図られる。
さらに、バーリング孔の部分から、接着剤を充填したり、光を照射したりすることが可能となり、突起と筒状部との接合作業を容易化できる。
ここで、断熱性材料としては、アクリル等の合成樹脂や、石英ガラス等のガラス材料等を採用できる。
この発明によれば、突起と筒状部で互いに接合された保持部材と放熱板との間の熱伝導が遮断され、保持部材および放熱板を介して互いに固定された光学変換素子と光変調装置との間において熱伝導が生じなくなる。これにより、光変調装置と光学変換素子との間の熱逆流が生じず、光変調装置と光学変換素子とは熱的に互いに独立した状態となる。
したがって、光変調装置で生じた熱を放熱板から迅速に放熱させ、光学変換素子で生じた熱を保持部材から十分に放熱させるというように個別に冷却手段を講じることができ、効果的な冷却が可能となる。
この発明によれば、光学変換素子から保持部材を介して台座にも熱伝導可能となり、熱容量が拡大する。したがって、光学変換素子を一層効果的に放熱冷却できる。
この発明によれば、光学装置が前述のような作用及び効果を具備するため、同様の作用および効果を享受できる。すなわち、光学装置が、前述のような放熱冷却性能を有することにより、画質低下につながりやすい温度上昇による動作不良や劣化が生じず、長寿命化も図られる。
したがって、高騒音化するおそれがある送風等の冷却手段によらなくても、小型化や高輝度化に対応可能となり、機能的信頼性を大幅に向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態に係るプロジェクタについて図面を用いて説明する。
〔1−1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタ1の内部構造を模式的に示す平面図である。プロジェクタ1は、全体略直方体状で樹脂製の外装ケース2と、光源装置413から射出された光束を光学的に処理して画像情報に応じた光学像を形成する光学ユニット4と、プロジェクタ1内に発生する熱を外部へと放出する冷却ユニット5と、外部から供給された電力をこれらのユニット4,5等に供給する電源ユニット3とを備える。
前記ランプ駆動回路は、供給された電力を光学ユニット4の光源ランプ411に供給するものである。前記ドライバーボードは、図示を省略するが、光学ユニット4の上方に配置され、入力された画像情報の演算処理を行った上で、後述する液晶パネル441R,441G,441Bの制御等を行うものである。
図2は、光学ユニット4を模式的に示す平面図である。
光学ユニット4は、図2に示すように、平面略L字状に形成され、光源ランプ411から射出された光束を光学的に処理して、画像情報に対応した光学画像を形成するユニットであり、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、投写光学系としての投写レンズ46とを備える。これら光学部品41〜44,46は、光学部品用筐体としての光学部品用筐体47内に収納され固定される。
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光(赤色光)を液晶パネル441Rまで導く機能を有する。
光学部品用筐体47は、図示を省略するが、前述した各光学部品414〜418,421〜423,431〜434,444(図2)を上方からスライド式に嵌め込む溝部がそれぞれ設けられた部品収納部材と、この部品収納部材の上部の開口側を閉塞する蓋状部材とを備える。また、平面略L字状の光学部品用筐体47の一端側には、光源装置413が収容され、他端側にはヘッド部49を介して投写レンズ46が固定されている。
図3から図5には、光学装置44を構成する光学装置本体48について示されている。図3は光学装置本体48を上方から見た図であり、図4は下方から見た図、図5は側面図である。
光学装置本体48は、クロスダイクロイックプリズム443と、このクロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面と略直交する端面である上下面に固定される一対の台座445と、この台座445に固定される保持部材としての3つのホルダユニット600と、このホルダユニット600に固定される光変調装置440R,440G,440Bとを備えている。
なお、上側台座446は、クロスダイクロイックプリズム443の角度調整の終了後、紫外線硬化型接着剤で固定される。下側台座447は、シリコ−ン系の熱伝導性接着剤によってクロスダイクロイックプリズム443に固定されている。
上側台座446には、四隅から外側に向かって延びる腕部448が形成されており、この腕部448にて、光学装置本体48が光学部品用筐体47に接合固定される。
下側台座447には、略円形状にくり抜かれた凹部447A(図4)が形成されており、冷却空気との接触面積が増加し、放熱しやすい構造となっている。
駆動基板の内側には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電体からなる画素電極、各画素電極に対応するTFT素子などのスイッチング素子、配線、液晶分子を配列する配向膜などが形成されている。また、対向基板の内側面には、前記画素電極に対応する対向電極、駆動基板の配向膜とは向きが略直交する配向膜などが形成されている。これにより、アクティブマトリクス型の液晶パネルが構成されている。
また、これらの駆動基板と対向基板との間から、制御用ケーブル442が延出している。
このパネル保持枠820の四隅には、パネル保持枠820を貫通する貫通孔830がそれぞれ形成されている。また、上部表面には、放熱フィン822が形成されており、この放熱フィン822によって、液晶パネル441R,441G,441Bから伝導した熱が、パネル保持枠820を通じて放熱されやすくなっている。
このホルダユニット600は、図4に示されるように、外側ホルダ610および内側ホルダ620の断面略C字のチャンネル状部材二体による構成となっている。これら外側ホルダ610および内側ホルダ620は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、これらを含有する合金等による金属製パイプを切り開いた板金プレス加工によって形成され、向かい合わせで入れ子状に組み合わされ、射出側偏光板630等の光学変換素子を内側に保持している。
ここで、この突起640は、プレスせん断切り起こし加工によって形成された切り起こし片である。
具体的には、突起640の突出寸法に応じた長さのせん断線が2本、突起640の太さに応じた離間距離で、折曲片613の端縁から互いに略平行に切り込まれ、突起640は、この切り込み方向の奥位置を曲げ中心として、せん断線に沿って起立するように形成されている。
このような突起640の切り起こし加工は、外側ホルダ610の外形成形のプレス加工と同じ処理系によって容易かつ連続的に実施できる。突起640に関して成形型を用いたり、突起部品を別途用意したりする必要がなく、また、工程が複雑化することもなく、製造コストを大幅に低減できる。
したがって、各突起640がパネル保持枠820の貫通孔830にそれぞれ挿入・固定された際は、4つの突起640全体として、左右方向のばね性・上下方向のばね性が組み合わされた斜め方向にも弾性を有するから、光変調装置440R,440G,440Bの荷重が大きい場合や、外乱等により、光変調装置440R,440G,440Bとホルダユニット600とが位置的にねじれた場合にも、その際の負荷を突起640で吸収でき、強度に優れる。
上記せん断線は、折曲片613の上端で上下方向に延び、折曲片613の下端で左右方向に延びていてもよい。
ところで、射出側偏光板630の透過率を液晶パネル441R,441G,441Bに印加される電圧に応じて変化させることによって光学像の色の階調特性を実現しているので、射出側偏光板630は入射側偏光板444よりも光の吸収熱によって一層劣化しやすい。
本実施形態では、射出側偏光板630を透過する光束の偏光軸は、入射側偏光板444の偏光軸に対して直交するように設定されている(液晶パネル441R,441G,441Bの配向膜の配列方向に対応)。つまり、液晶パネル441R,441G,441Bに電圧を印加しないとき、入射側偏光板444の偏光軸から射出側偏光板630の偏光軸に沿って液晶分子が略90°ねじれ、この液晶分子に沿って光束が透過し、全白画像が形成される。一方、電圧印加により全黒画像を形成する場合には、射出側偏光板630は、液晶パネル441R,441G,441Bから射出された不要光を透過させずにすべて吸収する必要があり、熱負荷がより大きくなる。
これらの偏光板631,632は、具体的な図示は省略したが、ポリビニルアルコール(PVA)のフィルムおよびアセテートセルロース系の矩形状のフィルムが積層された光学変換膜としての偏光膜と、この偏光膜が貼付されたサファイアガラス製の基板とを備えている。
ここで、外側ホルダ610および内側ホルダ620の開口部(図示省略)の表裏両面に偏光板631、632を保持することができ、偏光板を複数設ける場合などでも、保持位置に困ることなく場所もとらない。なお、外側のホルダ610および内側ホルダ620を組み合わせた際、外側のホルダ610と内側ホルダ620との間に生じた隙間にも偏光板等を保持できる。また、偏光板631,632は、いずれかに製造不良や変質が生じた場合でも、爪部材615,625から取り外してそれぞれ新しいものに交換可能であり、リワーク性に優れる。
なお、外側ホルダ610および内側ホルダ620には、位相差板や視野角補正板等の別種の光学変換素子をセットすることもできる。また、入射光の色や各種条件に応じて、これらの光学変換素子の固定位置は調整できる。
こうして、外側ホルダ610および内側ホルダ620が入れ子状となって、起立片612,622や折曲片613,623のぶんホルダユニット600の表面積が大きくなる。また、本体部611、621、起立片612,622、および折曲片613,623によって偏光板631,632が覆われることによって、偏光板631および632と、外側ホルダ610および内側ホルダ620との間の熱伝導性を向上できる。
この固定作業は、まず、投写レンズ46と正対する光変調装置440Gに関して、貫通孔830に紫外線硬化型接着剤を充填し、この貫通孔830に突起640を挿入する。
次に、光変調装置440R,440G,440Bをクロスダイクロイックプリズム443の光束入射端面に対して進退させることによって、投写レンズ46のバックフォーカス面内に液晶パネル440Gのフォーカス面を合わせ込むフォーカス調整を行う。この際、突起640が貫通孔830の内周面で支持されており、貫通孔830の内部で突起640が進退するから、容易に作業できる。
なお、突起640および貫通孔830の内周面となるパネル保持枠820の本体は、前述のように同種の金属材料であるため、熱膨張による接着剤の剥離が防止される。
なお、上記のように接着剤を貫通孔830に充填しないで、突起640に接着剤を塗布して作業してもよいし、フォーカス・アライメント調整の最中などに接着剤を突起640に塗布、あるいは貫通孔830に充填することも考えられる。
このように、貫通孔830に突起640が挿入されて固定されるので、突起640の端面がパネル保持枠820の外面に直接接合される等の場合よりも、突起640とパネル保持枠820との接触面積を、パネル保持枠820の厚みに応じた貫通孔830の奥行き方向に拡大できる。
これにより、パネル保持枠820と外側ホルダ610とを十分な接着面積にて十分に接着でき、偏光板631、632や、外側ホルダ610、内側ホルダ620、および光変調装置440R,440G,440Bの荷重にも耐えられ、プロジェクタ1の耐衝撃性の向上にもつながる。
すなわち、ホルダユニット600は、偏光板631、632の保持部材としてだけでなく、光変調装置440R,440G,440Bの固定用部材としても機能する。
また、偏光板631,632で生じた熱は、ホルダユニット600に伝導するとともに、上側台座446および下側台座447に伝導し、上側台座446の腕部448から光学部品用筐体47にも伝導し、最終的には、光学部品用筐体47を通じて外装ケース2にも伝導する。よって、偏光板631,632で生じた熱がホルダユニット600、および上側台座446、下側台座447、および光学部品用筐体47等のヒートシンクに逃げることから、熱容量が増大するとともに、冷却空気との接触面積が増加し、冷却空気との間の熱交換が効率的となる。
そして、クロスダイクロイックプリズム443で生じた熱は、上側台座446、下側台座447、さらに光学部品用筐体47に伝導し、放出される。
したがって、光変調装置440R,440G,440Bや射出側偏光板630を十分効果的に放熱させ、冷却できるので、偏光板631,632の偏光膜や液晶パネル441R,441G,441Bの耐久性の向上・長寿命化が図られ、熱劣化等に起因する画質低下を防止して、機能的信頼性を向上させることができる。
また、冷却対象を光の吸収熱により過熱しやすい偏光板631,632としたので、他の光学変換素子を冷却対象とする場合よりも、冷却の効果を際立たせることができる。
以下、プロジェクタ1に設けられた空冷式の冷却機構の構成について説明する。プロジェクタ1は、図1に示すように、主に光学装置44(図2)を冷却する光学装置冷却系Aと、主に光源装置413を冷却する光源冷却系Bと、主に電源ユニット3を冷却する電源冷却系Cとを備える。
光学装置冷却系Aは、外装ケース2の下面に形成される図示しない吸気口と、この吸気口の上方に配置される軸流吸気ファン51と、光学部品用筐体47の底面において軸流吸気ファン51の上方に形成される開口部4Bとを備える。
さらに、外側ホルダ610および内側ホルダ620は断面略C字状であり、本体部611,621、起立片612,622、および折曲片613,623の内側で冷却空気が整流され、偏光板631,632の板面に沿って冷却空気が流れるので、偏光板631,632に温度むらが生じず、冷却効果が一層高められる。
したがって、光変調装置440R,440G,440Bおよび射出側偏光板630は、この冷却空気の導入による冷却機構と、前述した放熱冷却機構との2系統により効率的に冷却されるので、プロジェクタ1内部を循環する冷却空気の風量を増加させなくても、光学装置44が組み込まれているプロジェクタ1の高輝度化、小型化、低騒音化を阻害しない。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
第1実施形態では、パネル保持枠820がホルダユニット600に直接固定されていた。
これに対して、本実施形態では、パネル保持枠820の周囲に固定される放熱板を備えており、パネル保持枠820は、この放熱板を介してホルダユニット600に固定されている点が相違する。
光学装置本体98は、光変調装置440R,440G,440Bにそれぞれ固定される3つの放熱板700を備えている。この点を除いては、光学装置本体98は、前記実施形態の光学装置本体48と略同様の構成を備えている。
この放熱板700は、パネル保持枠820と同種のアルミニウム、マグネシウム、チタン、これらを含有する合金等の熱伝導性が良好な金属材料が使用され、製造が容易な板金打抜加工によって形成されており、放熱板700の部品コストは、成形型などを不要にできるぶん低廉になる。
また、放熱板700には、ホルダユニット600固定用の筒状体としてのパイプ部材710が4つ、放熱板700の本体とは別体で設けられている。このパイプ部材710は、紫外線を透過し、かつ、断熱性を有する透明アクリル製であり、汎用パイプ部材の採用によって低コスト化が図られている。
このように、光変調装置440R,440G,440Bの放熱冷却機構としての放熱板700は、板金材料および市販のねじを材料として低コストかつ容易に製造できるとともに、製造工程も複雑化しない。なお、放熱板700は、あらかじめ光変調装置440R,440G,440Bにねじ止め固定して一体化しておく。
ここで、パイプ部材710の中には、ホルダユニット600の突起640が挿入され、パイプ部材710と突起640が互いに接着固定される。
この固定作業は、まず、投写レンズ46と正対する光変調装置440Gに関して、突起640の外周面、および、パイプ部材710の端面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、突起640をパイプ部材710に挿入しておく。次に、パイプ部材710の端面を放熱板700の板面四隅に当接させる。
このようなフォーカス・アライメント調整の過程で、紫外線硬化型接着剤がパイプ部材710と突起640との間に充填され、パイプ部材710と放熱板700の板面との間にも充填される。なお、上記のように接着剤を突起640に塗布しないで、パイプ部材710に接着剤を充填して作業を行ってもよい。また、フォーカス・アライメント調整が済んでから接着剤を突起640に塗布、あるいはパイプ部材710に充填することも考えられる。
このように、パイプ部材710に突起640が挿入されて固定されるので、突起640の端面が放熱板700の板面に直接接合されたり、放熱板700に形成された孔に突起640が挿入されたりする場合よりも、突起640と放熱板700との接触面積を、突起640が突出する方向にパイプ部材710を介して拡大できる。
これにより、放熱板700と外側ホルダ610とを十分な接着面積にて十分に接着でき、偏光板631、632や、外側ホルダ610、内側ホルダ620、放熱板700、および光変調装置440R,440G,440Bの荷重にも耐えられ、プロジェクタ1の耐衝撃性の向上にもつながる。
また、偏光板631,632で生じた熱、およびクロスダイクロイックプリズム443で生じた熱は、前述のように、ホルダユニット600や、上側台座446、下側台座447、さらに光学部品用筐体47に伝導し、放熱されるので、液晶パネル441R,441G,441Bと、偏光板631,632と、クロスダイクロイックプリズム443との互いの間で温度の高低に応じて出入りする熱量は減少する。
それに加えて、光変調装置440R,440G,440Bと射出側偏光板630との固定部材であるパイプ部材710には断熱材料が使用されているため、光変調装置440R,440G,440B側と、射出側偏光板630およびクロスダイクロイックプリズム443側とで熱的に独立した状態となる。
つまり、光変調装置440R,440G,440B側と、射出側偏光板630およびクロスダイクロイックプリズム443側との間で熱逆流を防止でき、液晶パネル441R,441G,441Bで生じた熱を放熱板700から迅速に放熱させ、偏光板631,632で生じた熱をホルダユニット600から十分に放熱させるというように個別に冷却手段を講じることができ、効果的な冷却が可能となる、
突起や保持部材、孔、放熱板、筒状部、台座等の形状、位置、数、大きさ、材質等は前記各実施形態のものに限定されない。
さらに、放熱板を設ける場合は、光学装置やプロジェクタの小型化も考慮の上、放熱板を光変調装置よりも大きい寸法に形成すれば、放熱性能が良好となる。
そして、筒状部によって突起が支持される部分は、突起の基端から先端まで、いずれの部分でもよい。
なお、台座を備える場合には、台座の下方がプロジェクタの筐体に固定されていても構わない。
また、突起が孔や筒状部に挿入される場合は、挿入可能な範囲で、突起および孔・筒状部の径を任意に設定できる。筒状部が突起の径に対してゆるい場合は、突起と筒状部との光軸方向における接触寸法を生かして、突起を筒状部内で傾斜させることができ、前述のようなフォーカス調整やアライメント調整をより容易に、より高精度に行うことができる。
さらに、突起と孔・筒状部との固定に接着剤を使用する場合、孔・筒状部や突起に接着剤の溜まり部分となる切り欠きや溝等を形成することなどが考えられる。
ここで、光変調装置、保持部材、放熱板、突起、および筒状部の互いの固定態様は、前記各実施形態のものに限定されない。例えば、放熱板の光変調装置への固定はタッピングねじに限らず、ねじ孔に螺合されるねじや、両面テープ等の固定手段も採用できる。
そして、前記各実施形態のように、パネル保持枠820、外側ホルダ610、内側ホルダ620、突起640、貫通孔830、およびパイプ部材710の互いの固定部分には、熱伝導性のシリコーン系接着剤や、熱伝導性のグリス等を充填し、熱伝導性を向上させることができる。
なお、放熱板が光変調装置に固定される位置は、光変調装置の入射側でも射出側でも構わない。
また、筒状部は、放熱板の面外方向に突出するものに限定されず、放熱板の表面から窪むように形成されていてもよい。
さらに、放熱板に形成される筒状部と同様のものを、光変調装置の保持枠や保持部材に設けることも考えられる。
なお、前記各実施形態は電圧を印加しないときに全白画像を形成する所謂ノーマリーホワイトモードであり、偏光板631、632は互いの偏光軸が直交するように配置されていたが、ノーマリーブラックモードを採用し、偏光板631、632の互いの偏光軸が平行となるように配置してもよい。
そして、これらの光学変換素子の固定態様は特に限定されず、例えば、保持部材に溝を形成し、この溝に光学変換素子を差し込んでもよい。
また、液晶パネル441R,441G,441Bのような液晶による光変調素子のほかに、マイクロデバイスミラーによる光変調素子等も採用できる。
さらに、光変調素子は、前記実施形態のように透明な電極を使用する透過方式から、必要に応じて反射電極を使用する反射方式に切り替えて使用されてもよい。
一方、断熱性を有する材料としては、アクリル等の合成樹脂や石英ガラス等のガラス材料があるが、前記実施形態のように、突起640や貫通孔830の内周部分、パイプ部材710にこのような断熱性材料を使用し、光変調装置440R,440G,440B側とホルダユニット600側との熱伝導を遮断するのが好ましい。光変調装置と保持部材との間に断熱シート等を介装することも考えられる。
ただし、これら突起や孔の内周部分、筒状部に金属等の熱伝導性材料を用いることもできる。この場合は、光変調装置と光学変換素子とで生じた熱を保持部材から外部に放出させることができる。また、この場合は、突起と孔・筒状部との固定に熱伝導性接着剤を使用して、ホットエア、ホットビーム等の導入によって迅速に固定できる。
Claims (7)
- 複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調して光学像を形成する複数の光変調装置と、前記各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、前記各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備えた光学装置であって、
前記光変調装置および前記光束入射端面の間に配置される光学変換素子と、
それぞれ前記光学変換素子の外周部分を保持可能な内側保持部材及び外側保持部材を有する保持部材とを備え、
前記内側保持部材及び前記外側保持部材は、それぞれ、
光束透過用の開口が形成された本体部と、
この本体部の外周部分から光軸方向に沿って起立する一対の起立片と、
この起立片の先端部分を曲折させた折曲片とを備え、
前記内側保持部材は、該内側保持部材及び前記外側保持部材の前記各本体部が向かい合わせとなるように、前記外側保持部材の内側に入れ子状に配置され、
前記外側保持部材は、該外側保持部材の前記本体部または前記折曲片から前記光変調装置に向かって突設され、該光変調装置が固定される突起を有することを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記突起は、前記本体部または前記折曲片の端部を切り起こした切り起こし片であることを特徴とする光学装置。 - 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
前記光変調装置は、該光変調装置において光変調を行う光変調素子を収容する保持枠を有し、
この保持枠には、前記光変調装置に生じた熱を外部に放出するための放熱板が固定され、
この放熱板には、前記突起が挿入される筒状部が設けられていることを特徴とする光学装置。 - 請求項3に記載の光学装置において、
前記放熱板は、板金打抜加工により形成され、
前記筒状部は、打抜加工時のバーリング加工により一体的に形成されることを特徴とする光学装置。 - 請求項3に記載の光学装置において、
前記筒状部は、断熱性材料からなる筒状体により構成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記複数の光束入射端面と交差する端面には、熱伝導性材料からなる台座が設けられ、
前記保持部材は、この台座と熱伝導可能に接続されていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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