JP4026432B2 - 光学装置、およびこの光学装置を備えたプロジェクタ - Google Patents

光学装置、およびこの光学装置を備えたプロジェクタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置で変調された色光を合成する色合成光学装置とが一体化された光学装置、およびこの光学装置を備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源から出射された光束をダイクロイックミラーによって三原色の赤、緑、青の色光に分離するとともに、三枚の液晶パネルにより各色光毎に画像情報に応じて変調し、画像変調後の各色光をクロスダイクロイックプリズムで合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている。
このようなプロジェクタでは、各液晶パネルは投写レンズのバックフォーカスの位置に必ずなければならず、このため、従来は、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に液晶パネルを位置調整しながら直接固定して一体化された光学装置が採用されている。
【0003】
この一体化された光学装置における液晶パネルとクロスダイクロイックプリズムとの取付構造としては、例えば、特開2000−221588号公報に記載されたように、各液晶パネルが収納される保持枠の四隅に孔を形成し、この孔にピンを挿入することにより、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に接着固定する構造や、あるいは、特開平10−10994号公報に記載されたように、保持枠とクロスダイクロイックプリズムとの間に楔状のスペーサを介在させて、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に接着固定する構造がある。
【0004】
また、このような光学装置は、液晶パネルとクロスダイクロイックプリズムの光束入射端面との間に、液晶パネルで変調された各色光の偏光方向を揃える偏光板を備えており、この偏光板は通常、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に接着固定され取り付けられている。
このように液晶パネル、クロスダイクロイックプリズムおよび偏光板等が一体化された光学装置において、光源からの光束の照射によって発熱する液晶パネルおよび偏光板の冷却は、ピンまたはスペーサにより、液晶パネルと偏光板との間に隙間を形成し、この隙間に空冷ファン等を用いて冷却空気を導入することによる強制冷却により行われている。
【0005】
しかし、近年のプロジェクタの小型化、高輝度化に伴い、上記光学装置自体も小型化されており、液晶パネルと偏光板との間の隙間も小さくなっているため、その隙間に冷却空気が入り込みにくく、冷却効率が悪くなり、液晶パネルや偏光板が劣化しやすい。
また、上記隙間を通る冷却空気量を多くして冷却効率を向上させることが考えられるが、これは冷却ファンによる騒音の増大化につながる。さらに、冷却空気量を多くするためには、冷却ファンの大型化が要求されため、プロジェクタ自体の大型化につながり、プロジェクタの小型化を阻害してしまう。
【0006】
このため、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面と交差する端面に金属等の熱伝導性の良好な材料からなる台座を取り付け、この台座に偏光板を接合し、さらにその上に液晶パネルを位置調整用のスペーサを介して熱伝導性の良好な接着剤で固定した光学装置の構造が提案されている。
このような構造の光学装置であれば、偏光板や液晶パネルで発生した熱を台座に向かって放熱し、この台座をファン等で強制冷却することができるため、偏光板や液晶パネルが過熱しにくくできるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の台座に向かって放熱する構造を備えた光学装置では、偏光板および液晶パネルに発生する全ての熱を台座に放熱できるとは限らず、偏光板および液晶パネルの温度によっては、高温になった偏光板から比較的低温側の液晶パネルに熱が逆流する可能性があり、全ての偏光板および液晶パネルを確実に冷却できるとは言い難く、冷却効率が十分ではないという、問題がある。
また、冷却効率が十分でないために前述と同様、プロジェクタの小型化、高輝度化を阻害してしまう、という問題がある。
【0008】
本発明の目的は、小型化、高輝度化に対応するとともに、冷却効率を良好にできる光学装置、およびこれを備えたプロジェクタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で変調された各色光を合成する色合成光学装置とが一体的に設けられた光学装置であって、前記光変調装置および前記光束入射端面の間に介在配置され、当該光変調装置から射出された光束の光学特性を変換する光学変換膜が形成された基板を有する光学変換素子と、前記複数の光束入射端面と交差する前記色合成光学装置の一対の端面の少なくともいずれか一方の端面に設けられる熱伝導性材料からなる台座とを備え、前記光変調装置および前記光学変換素子は、それぞれが独立して前記台座に熱伝導性材料を介して接続され、前記光学変換素子の基板は、前記一対の端面との交差方向の寸法が前記光変調装置の同方向の寸法よりも小さく、前記光変調装置は、前記台座の前記交差方向端部で位置調整用の熱伝導性材料からなるスペーサを介して前記台座と接続されていることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、光変調装置としては、ガラスなどからなる駆動基板と対向基板とが、シール材を介して所定間隔を空けて貼り合わせられ、両基板間に液晶が注入された構成を有する液晶パネル等の光変調素子を備えたものが採用できる。
また、光学変換膜としては、偏光膜や、視野角補正膜、位相差膜等の光学機能を変換する膜を採用できる。また、基板としては、サファイアや石英ガラス、水晶、または螢石等から構成したものを採用できる。このため、光学変換素子としては、偏光板や、視野角補正板、位相差板等とすることができる。また、このような光学変換素子は、1枚だけの構成に限らず、2以上の複数枚を含んだ構成としてもよい。
また、台座としては、アルミニウム、マグネシウム合金、銅等の熱伝導率の高い材料、若しくは、サファイア、水晶、螢石、熱伝導性樹脂等で形成されたものが採用できる。
また、スペーサとしては、サファイア、水晶、石英ガラス、または螢石等の熱伝導性材料からなるものが採用できる。また、スペーサとして楔状スペーサを採用し、スペーサの位置を移動させることで、色合成光学装置の光束入射端面に対する光変調装置の位置調整を行うことができ、投写される画像の画素または投写レンズからのバックフォーカス位置を適切な状態にできる。
【0011】
このような本発明によれば、光学装置が光変調装置、色合成光学装置および光学変換素子を備え、光変調装置および光学変換素子のそれぞれが、色合成光学装置に設けられた熱伝導性材料からなる台座に熱伝導性材料を介して接続されていることにより、光源からの光束の照射によって光変調装置および光学変換素子に発生する熱を台座に放熱することができ、光学装置の冷却効率を向上できる。
また、光変調装置および光学変換素子が、互いに独立して台座に接続されていることにより、光変調装置および光学変換素子の間で高温側から低温側へ互いの熱が逆流することなく、より熱容量の大きな台座に向かって放熱させることができるので、光学装置の冷却効率をさらに向上できる。
【0012】
従って、冷却ファンを併用することにより、光変調装置および光学変換素子に発生する熱の冷却を、冷却ファンによる強制冷却、自然空冷、および上述の伝導放熱によって行うことができ、光学装置の冷却効率を一層向上できる。
また、上述の冷却構造を採用することにより、併用する冷却ファンの数を減少させ、さらに、当該冷却ファンの回転数を減少させて微弱な冷却空気にも対応させることができるので、プロジェクタの低騒音化および小型化を促進できる。
【0013】
さらに、光学変換素子の基板が光変調装置の幅寸法よりも小さく形成され、光変調装置が熱伝導性材料からなるスペーサを介して台座と接続されていることにより、光学変換素子と光変調装置とが接触することなく、互いに独立して台座に放熱できるので、互いの熱の逆流を防止し、光学装置の冷却効率を良好にできる。
【0014】
本発明の光学装置では、前記スペーサおよび前記台座の間には、熱伝導性材料からなる板状部材が介装されていることが好ましい。
このような構成では、スペーサおよび台座の間に介装される板状部材が熱伝導性材料から構成されていることにより、光変調装置に発生する熱をスペーサおよび板状部材を介して台座に放熱することで、光変調装置の冷却効率を向上できる。
また、板状部材を光学変換素子の基板と同じ厚さ寸法とすることにより、光学変換素子および板状部材の表面が略同一平面となるので、スペーサにより調整した光変調装置の位置によって、光学変換素子と光変調装置とが接触することを確実に防止できる。
【0015】
本発明の光学装置では、前記台座は、前記一対の端面のそれぞれに設けられ、前記光変調装置は、前記台座のうちの一方に接続され、他方の台座に前記光学変換素子が接続されていることが好ましい。
このような構成では、合成光学装置の光束入射端面と交差する端面に設けられた一対の台座のうち、一方に光変調装置を、他方に光学変換素子を、それぞれ異なる台座に接続することにより、光変調装置および光学変換素子に発生する熱を互いに異なる台座に分離して放熱することができ、互いの熱の逆流を確実に防止して、光学装置の冷却効率をより一層向上できる。
【0016】
本発明の光学装置では、前記光学変換膜は、偏光変換膜であることが好ましい。
このような構成では、偏光変換膜と、この偏光変換膜が貼り付けられた基板とで偏光板が構成され、この偏光変換膜に発生する熱を基板を介して台座に放熱することで、偏光板を確実に冷却でき、偏光変換膜の変質や劣化を防止できる。
【0017】
一方、本発明のプロジェクタは、上記目的を達成するために、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成するプロジェクタであって、上述した光学装置のうちのいずれかを備えていることを特徴とするものである。
この発明によれば、上述した光学装置の作用、効果と略同様な作用、効果を奏するプロジェクタを享受できる。
また上述した光学装置を用いれば、当該プロジェクタの小型化を図りやすくできるとともに、プロジェクタ内部の光学素子を確実に冷却できてプロジェクタの寿命を長くできるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタを図面に基づいて説明する。
〔1−1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタ1を上方から見た全体斜視図、図2は、図1の状態からアッパーケース21を外した分解斜視図である。
プロジェクタ1は、全体略直方体形状の外装ケース2と、プロジェクタ1内に滞留する熱を冷却する冷却ユニット3と、光源から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成する光学ユニット4とを備えて構成されている。
なお、図2において、具体的な図示を省略するが、外装ケース2内の光学ユニット4以外の空間には、電源ブロックやランプ駆動回路等が収納される。
外装ケース2は、それぞれ金属で構成され、プロジェクタ1の天面、前面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケース21と、プロジェクタ1の底面、側面、および背面をそれぞれ構成するロアーケース22とで構成されている。これらのケース21,22は互いにねじで固定されている。
【0019】
アッパーケース21は、上面部211と、その周囲に設けられた側面部212と、背面部213と、正面部214で形成されている。
上面部211には、後述する光学装置の上方に位置し、前記冷却ユニット3によって外部から冷却空気を吸引するための吸気口211Aが設けられている。
側面部212(正面から見て右側面)には、前記冷却ユニット3によって、プロジェクタ1内部で温められた空気を排出するための排気口212Aが設けられている。
【0020】
背面部213には、具体的な図示は省略するが、コンピュータ接続用の接続部や、ビデオ入力端子、オーディオ機器接続端子等の各種の機器接続用端子が設けられており、該背面部213の内側には、映像信号等の信号処理を行う信号処理回路が実装されたインターフェース基板が配置されている。
正面部214には、切欠部214Aが形成されており、前記ロアーケース22と組み合わされた状態で、円形の開口部2Aを形成し、この開口部2Aから、外装ケース2内部に配置された光学ユニット4の一部が、外部に露出している。この開口部2Aを通して光学ユニット4で形成された光学像が射出され、スクリーン上に画像が表示される。
【0021】
ロアーケース22は、底面部221と、その周囲に設けられた側面部222と、背面部223と、正面部224で形成されている。
底面部221には、図示は省略するが、前記光学ユニット4の下方に位置し、後述する光源装置を着脱する開口部が形成されており、該開口部には、ランプカバーが嵌め込み式で着脱可能に設けられている。
正面部224には、切欠部224Aが形成され、前記アッパーケース21と組み合わされた状態で、上述した切欠部214Aと連続して円形の開口部2Aを形成する。
【0022】
冷却ユニット3は、プロジェクタ1の内部に形成される冷却流路に冷却空気を送り込み、プロジェクタ1内で発生する熱を冷却するものであり、上記光学ユニット4の光学装置44の上方に位置し、アッパーケース21の上面部211に形成された吸気口211Aから冷却空気を吸引する軸流吸気ファン31と、上記光学ユニット4の光源装置411の近傍に位置し、光学ユニット4内およびプロジェクタ1内の空気を引き寄せ、アッパーケース21の側面部212に形成された排気口212Aから温められた空気を排出するシロッコファン32とを備えて構成されている。
【0023】
光学ユニット4は、光源装置411から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成するユニットであり、図2に示すように、ロアーケース22の右側の側面部222から背面部223に沿って、さらに、左側の側面部222に沿って正面部214へと延びる平面略L字形状を有している。
具体的な図示は省略するが、この光学ユニット4は、電源ケーブルを通して電力が供給され、供給された電力を該光学ユニット4の光源装置411に供給するための電源装置と電気的に接続している。
また、この光学ユニット4の上方には、画像情報に応じた光学像を投写するために、画像情報を取り込んで制御および演算処理等を行い、後述する光変調装置となる各液晶パネル441R,441G,441Bを制御する制御基板が配置される。
【0024】
〔1−2.光学系の詳細な構成〕
図3は、光学ユニット4を上方から見た全体斜視図である。
図4は、光学ユニット4内の光学系を模式的に示す平面図である。
光学ユニット4は、図4に示すように、インテグレータ照明光学系41、色分離光学系42、リレー光学系43、光学装置44、および投写レンズ46を備えている。これら光学部品は、図3に示すように、光学部品用筐体としてのライトガイド47内に載置固定される。
図4において、インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bと示す)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換光学素子414と、重畳レンズ415とを備えている。
【0025】
これらのうち、光源装置411は、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、この光源ランプ416から射出された放射光を反射する楕円面鏡417と、光源ランプ416から射出され楕円面鏡417により反射された光を平行光とする平行化凹レンズ411Aとを備える。なお、平行化凹レンズ411Aの平面部分には、図示しないUVフィルタが設けられている。また、光源ランプ416としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、高圧水銀ランプが多用される。さらに、楕円面鏡417および平行化凹レンズ411Aの代わりに、放物面鏡を用いてもよい。
【0026】
また、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、および偏光変換光学素子414は、一体的に組み合わされて筐体内に設置固定される。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ416から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。たとえば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定する。
【0027】
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ412は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有している。
【0028】
偏光変換光学素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置されるとともに、第2レンズアレイ413と一体でユニット化されている。このような偏光変換光学素子414は、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用効率が高められている。
【0029】
具体的に、偏光変換光学素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光のほぼ半分を利用することができない。
そこで、偏光変換光学素子414を用いることにより、光源ランプ416からの射出光をほぼ1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換光学素子414は、たとえば特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0030】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
【0031】
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432、434を備え、色分離光学系42で分離された色光、赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0032】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束の青色光成分が反射するとともに、赤色光成分と緑色光成分とが透過する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って青色用の液晶パネル441Bに達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
【0033】
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って緑色用の液晶パネル441Gに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って赤色光用の液晶パネル441Rに達する。なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。
なお、リレー光学系43には、3つの色光のうち、赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0034】
光学装置44は、3枚の光変調装置440(図8、図9)を構成する光変調素子としての液晶パネル441R,441G,441Bと、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム444とが一体的に形成されたものである。
液晶パネル441R,441G,441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441Bとこれらの光束入射側にある偏光板442および射出側にある偏光板443によって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
具体的には後述するが、液晶パネル441R,441G,441Bは、TFTのスイッチング素子がマトリックス状に配列し、該スイッチング素子によって電圧が印加される画素電極を備えた駆動基板と、画素電極に対応して対向電極を備えた対向基板とで構成される。
【0035】
クロスダイクロイックプリズム444は、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bから射出された各色光毎に変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。なお、クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、プリズム444で合成されたカラー画像は、投写レンズ46から射出され、スクリーン上に拡大投写される。
【0036】
〔1−3.光学部品用筐体の構造〕
上述した各光学系41〜44は、図3に示すように、光学部品用筐体としての金属製のライトガイド47内に収容されている。
ライトガイド47は、底面、前面、および側面をそれぞれ構成する下ライトガイド48と、この下ライトガイド48の上部の開口側を閉塞する蓋状の上ライトガイド49とで構成されている。
【0037】
図5は、下ライトガイド48の全体斜視図である。
図6は、ライトガイド47から光源装置411を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図7は、ライトガイド47を下方から見た全体斜視図である。
図5ないし図7において、下ライトガイド48は、光源装置411を収納する光源装置収納部481と、上記各光学部品411A,412〜415,42〜44を収納する光学部品収納部482と、上記投写レンズ46を設置する投写光学系設置部483とを備えて構成されている。
光源装置収納部481は、下方が開放され、かつ、内側面に矩形状の開口部481Aを有する箱形形状を有しており、該光源装置収納部481に光源装置411が収納される。
ここで、図6に示すように、光源装置411は、固定板411Bに載置固定され、上記光源装置収納部481の下方から固定板411Bとともに、該光源装置収納部481に収納される。
【0038】
この固定板411Bは、板状体の両端縁から延出した起立片411B1を有しており、該起立片411B1は、光源装置411から射出される光束に沿って高さ寸法が異なり、光源装置411の楕円面鏡417の中央部分から前方にかけての高さ寸法は光源装置411の高さ寸法と略同一となっており、楕円面鏡417の後方部分は、光源装置411の高さ寸法より低く形成されている。
光源装置411を固定板411Bと共に下ライトガイド48の光源装置収納部481に収納した状態では、上記光源装置収納部481に形成された開口部481Aと上記起立片411B1とにより、光源装置411の前方部分が、閉塞状態となり、後方部分が、吹き抜け状態となっている。
【0039】
この光源装置411の前方部分における閉塞状態により、光源装置411から射出される光束を外部に漏洩することを防止することができ、後方部分における吹き抜け状態により、光源装置収納部481内部に光源装置411に発生する熱が滞留しないような構造となっている。
【0040】
光学部品収納部482は、側面部482Aと、底面部482Bとを備えて構成されている。
側面部482Aの内側面には、平行化凹レンズ411Aと、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、および偏光変換光学素子414で構成されるユニットと、重畳レンズ415とを上方からスライド式に嵌め込むための第1溝部482A1と、入射側レンズ431、反射ミラー432、リレーレンズ433を上方からスライド式に嵌め込むための第2溝部482A2とが形成されている。
また、側面部482Aの正面部分には、光学装置44からの光束射出位置に対応して円形の孔482A3が形成されており、該孔482A3を通して投写レンズ46で拡大投写された画像光が、スクリーン上に表示される。
【0041】
底面部482Bには、ダイクロイックミラー421を支持する第1ボス部482B1と、上記第2溝部482A2に対応した溝を有する第2ボス部482B2とが底面から突設されている。
また、底面部482Bには、偏光変換光学素子414を含むユニットを冷却するための吸気口482B4と、光学装置44の液晶パネル441位置に対応して形成された排気口482B5と、該排気口482B5で囲まれた中央部分に光学装置44設置用の孔482B6が形成されている。
さらに、図7に示すように、底面部482Bの裏面には、下ライトガイド48とロアーケース22の底面部221が当接した状態で、上記排気口482B5から排出された空気を外部へと導くダクト482B7が形成されている。
【0042】
投写光学系設置部483は、上記光学部品収納部482の側面部482Aの正面部分に位置し、略矩形状に形成され、該側面部482Aと一体的に設けられている。
この投写光学系設置部483の四隅部分には、投写レンズ46を設置するための孔483Aが形成され、対角線上の2つの孔483Aの近傍には、投写レンズ46設置の際の位置決めとして使用される突起部483Bが形成されている。
投写光学系設置部483が上記光学部品収納部482に一体的に設けられていることにより、投写レンズ46の自重を確実に保持することができる。
【0043】
上ライトガイド49は、図3に示すように、光学装置44の上方部分を除き、上記下ライトガイド48の上部開口部分を閉塞するものであり、さらに、上記下ライトガイド48の第1溝部482A1および第2溝部482A2によって支持されることのない光学部品、反射ミラー423、ダイクロイックミラー422、反射ミラー434を支持するものである。
この上ライトガイド49の上記光学部品位置に対応した部分には、調整部49Aが設置されており、該調整部49Aにより上記光学部品の姿勢調整を行い、各色光の照明光軸の調整を行うことができる。
【0044】
〔1−4.光学装置の構造〕
図8は、光学装置44を上方から見た全体斜視図である。
図9は、光学装置44の分解斜視図である。
なお、図9において、光学装置44の分解は、液晶パネル441B側およびクロスダイクロイックプリズム444の光束射出側で行っている。液晶パネル441R,441G側は液晶パネル441B側と同様であるため説明を省略する。
【0045】
光学装置44は、光源ランプ416から射出された光束を画像情報に応じて変調し、この変調された各色光を合成し、光学像として投写するものであり、光変調を行う光変調装置440と、この光変調装置440から射出される各色光の偏光方向を揃える光学変換素子としての偏光板443と、この偏光板443を透過した各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム444とを備えている。そして、クロスダイクロイックプリズム444の上下面(光束入射端面と略直交する一対の端面)には、それぞれ台座445が固定され、これらの台座445間に渡って板状部材としてのサファイア板447が取り付けられている。さらに、サファイア板447と光変調装置440との間には、楔状のスペーサ449が介装されている。
【0046】
光変調装置440は、光源ランプ416から射出された光束を画像情報に応じて変調する液晶パネル441R,441G,441Bと、各液晶パネル441R,441G,441Bを収納保持する保持枠446とを備えて構成されている。
液晶パネル441Bは、図9に示すように、駆動基板(例えばTFT基板)441Dとその対向基板441Eであるガラス基板の間に液晶が封入されたものであり、これらのガラス基板の間から制御用ケーブル441Cが延びている。
また、駆動基板441D又は/及び対向基板441Eには、通常、投写レンズ46のバックフォーカス位置から液晶パネル441のパネル面の位置をずらして光学的にパネル表面に付着したゴミを目立たなくするための光透過性防塵板が固着される。ここでは図示を省略するが、光透過性防塵板として、サファイアあるいは石英等の熱伝導性のよい板体が駆動基板441Dおよび対向基板441Eの表面に固着されている。
【0047】
保持枠446は、図9に示すように、液晶パネル441R,441G,441Bを保持固定するものであり、各液晶パネル441R,441G,441Bを収容する収納体446Aと、収納体446Aと係合し収納した各液晶パネル441R,441G,441Bを押圧固定する支持板446Bとからなる。
また、保持枠446は、各液晶パネル441R,441G,441Bの対向基板441Eに固着された光透過性防塵版の外周が把持されて、収納体446Aに各液晶パネル441R,441G,441Bが収納されるものとし、収納された各液晶パネル441R,441G,441Bのパネル面に対応する位置には開口部446Cを備えている。
【0048】
また、収納体446Aと支持板446Bとの固定は、図9に示すように、支持板446Bの左右両側に設けたフック446B1と、収納体446Aの対応する箇所に設けたフック係合部446A1との係合により行う。
ここで、各液晶パネル441R,441G,441Bは、保持枠446の開口部446Cで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、各液晶パネル441R,441G,441Bのこの部分に各色光R,G,Bが導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
【0049】
また、収納体446Aの光束射出側端面の左右端縁は、斜面446Dが形成されており、該斜面446Dに、上記スペーサ449が対向配置する。支持板446Bの左右端縁も、この斜面446Dに対応した形状となっている。
さらに、この収納体446Aおよび支持板446Bの光束射出側端面には、遮光膜(図示省略)が設けられており、クロスダイクロイックプリズム444からの反射による光をクロスダイクロイックプリズム444側へさらに反射することを防ぎ、迷光によるコントラストの低下を防ぐようにしている。
上記のような保持枠446は、カーボン、チタン、アルミニウム、フッ化ケイ素等を添加した熱伝導性樹脂により構成されている。
【0050】
偏光板443は、各液晶パネル441R,441G,441Bとクロスダイクロイックプリズム444との間に配置され、各液晶パネル441R,441G,441Bから射出された各色光の偏光方向を揃える機能を有する。この偏光板443は、基板としてのサファイア板443Bの略中央部に光学変換膜としての偏光フィルム443Aを貼り付けて構成されている。また、偏光板443のサファイア板443Bは、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に台座445が固定された状態の高さ寸法と略同一の高さ寸法に形成され、各台座445の側面に連結して固着されている。さらに、サファイア板443Bの幅寸法は、クロスダイクロイックプリズム444の幅寸法よりも小さく形成され、スペーサ449が取り付けられる板状部材としてのサファイア板447との間に隙間が設けられている。
なお、ここで、基板としてサファイア板を用いているが、水晶、石英ガラス、または螢石等を採用してもよい。
【0051】
台座445は、クロスダイクロイックプリズム444の上下両面に固定され、光学装置44をライトガイド47に固定するものであり、熱伝導率の高いアルミニウムで構成され、外周形状はクロスダイクロイックプリズム444と略同一である。
また、具体的な図示は省略するが、クロスダイクロイックプリズム444の下方に位置する台座445の下面には、一体化された光学装置44をライトガイド47に設置するために、上述した下ライトガイド48の底面部482Bに形成された孔482B6に対応して、位置決め突起、および固定用の孔がそれぞれ設けられ、ねじ等により固定される。
なお、台座445は、アルミニウムで構成されているが、これに限らず、マグネシウム合金、銅等の熱伝導率の高い材料、若しくは、サファイア、水晶、螢石、熱伝導性樹脂等で形成されていてもよい。
【0052】
サファイア板447は、図9に示すように、各液晶パネル441R,441G,441Bが収納された保持枠446をスペーサ449を介してクロスダイクロイックプリズム444に保持固定するものである。このサファイア板447は、上述した偏光板443の基板と同一の材料であるサファイア板から形成され、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に台座445が固定された状態の高さ寸法と略同一の高さ寸法を有している。
具体的には、サファイア板447は、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に台座445が固定された状態の外形寸法と略同一に形成された一枚のサファイア板から、偏光板443の基板部分を分割し、その両側部分を別体の板状部材としたもので、偏光板443のサファイア板443Bと接触しない状態で、台座445の側面に連結して固着されている。
【0053】
スペーサ449は、図9に示すように、保持枠446とサファイア板447との間に介在し、保持枠446の位置調整を行うものであり、断面略三角形の形状を有し、サファイアから構成されている。
このスペーサ449は、各保持枠446に2つずつ(計6個)配置され、保持枠446の斜面446Dに当接し、該スペーサ449の移動により、保持枠446を移動させ、投写レンズ46からのバックフォーカス位置に各液晶パネル441R,441G,441Bを位置調整する。この位置調整の詳細については、後述する。
ここで、スペーサ449は、サファイアから構成されているが、サファイアに限らず、水晶、石英ガラス、または螢石等で構成されていてもよい。
【0054】
〔1−5.光学装置の製造方法〕
以下には、図8および図9を参照し、光学装置の製造方法について詳説する。
先ず、サファイア板を分割し偏光板443のサファイア板443Bと板状部材としてのサファイア板447とを形成しておき、下記(a),(b)に示す工程によりプリズムユニットを組み立てる。
(a)クロスダイクロイックプリズム444の上下面に台座445を熱伝導性良好な熱硬化性接着剤を用いて接着固定する。
(b)偏光板443およびサファイア板447を、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に上下の台座445と接触した状態で、熱伝導性良好な熱硬化性接着剤または光硬化性接着剤を用いて接着固定する。
この際、偏光板443のサファイア板443Bと板状部材としてのサファイア板447とは、互いに接触しないように所定間隔離され、若しくは、互いの間隔部分に断熱材料を介して、それぞれがクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に固定される。
【0055】
次に、下記(c)に示す工程により保持枠446を組み立て、上記プリズムユニットに装着する。
(c)保持枠446の収納体446Aに各液晶パネル441R,441G,441Bを収納し、その対向基板441Eに固着された光透過性防塵板の外周を利用して位置決めし、さらに、熱伝導性接着剤を用いて収納体446Aと各液晶パネル441R,441G,441Bとを固着する。その後、保持枠446の支持板446Bを収納体446Aの液晶パネル挿入側から取り付けて、各液晶パネル441R,441G,441Bを押圧固定して保持する。
なお、収納体446Aへの支持板446Bの取り付けは、支持板446Bのフック446B1を収納体446Aのフック係合部446A1に係合することで行うことができる。
【0056】
次に、下記(d)に示す工程により、液晶パネル441R,441G,441Bの位置調整を行う。
(d)保持枠446の斜面446Dとサファイア板447との間に光硬化性接着剤を塗布したスペーサ449を挿入し、斜面446Dに沿ってこのスペーサ449を移動させながら投写レンズ46からのバックフォーカス位置に保持枠446を位置決めする。具体的な位置調整方法については後述する。
(e)その後、接着剤を硬化させて、各部材を固着する。
以上のような工程手順によって光学装置は製造される。
【0057】
ここで、スペーサ449の移動はスペーサ449の表面に塗布した光硬化性接着剤の表面張力を利用して行う。保持枠446、サファイア板447、およびスペーサ449の固着方法としては、例えば、まず光硬化性接着剤でスポット的仮固定を行い、その後、保持枠446とサファイア板447との間の隙間に熱伝導性接着剤を充填して本固定させることができる。なお、この位置調整にはフォーカス調整及びアライメント調整の両方が含まれる。
【0058】
なお、各液晶パネル441R,441G,441Bのクロスダイクロイックプリズム444への取り付けは、必ずしも上記の順序で行う必要はなく、最終的に図8の状態となればよい。そして、以上のようにして一体化された液晶パネル441R,441G,441Bとクロスダイクロイックプリズム444は、クロスダイクロイックプリズム444の下方に位置する台座445の下面に形成された位置決め突起を下ライトガイド48の底面部482Bに形成された両側の孔482B6(図7)に挿通し、位置決めを行い、中央の孔482B6(図7)および台座445の固定用孔にねじ等で固着される。
【0059】
〔1−6.液晶パネルの位置調整方法〕
上記(d)の位置調整工程におけるクロスダイクロイックプリズム444への液晶パネル441R,441G,441Bの三次元的な位置調整は、保持枠446の斜面446Dとサファイア板447との間に光硬化性接着剤を塗布したスペーサ449を挿入し、接着剤が未硬化な状態で、以下のように行う。
先ず、投写レンズ46と正対する液晶パネル441Gを、サファイア板447とスペーサ449との接合面を摺動面としてアライメント調整を行い、保持枠446とスペーサ449との接合部、すなわち、スペーサ449を保持枠446の斜面446Dに沿って移動させ、フォーカス調整を行う。投写レンズ46からの所定の位置に液晶パネル441Gを調整した後、光硬化性接着剤を紫外線照射し、硬化させ、固定を行う。ここで、紫外線はスペーサ449を透過して光硬化性接着剤に照射され、光硬化性接着剤は硬化する。
次に、上記位置調整の後に硬化固定された液晶パネル441Gを基準として、上記と同様に液晶パネル441R,441Bの位置調整および固定を行う。
【0060】
〔1−7.冷却ユニットによる冷却構造〕
図10は、パネル冷却系Aの冷却流路を示す図である。
図11は、パネル冷却Aによる光学装置44を冷却する冷却構造を表す断面図である。
図12は、光源冷却系Bの冷却流路を示す図である。
本実施形態のプロジェクタ1では、液晶パネル441R,441G,441Bを主に冷却するパネル冷却系Aと、光源装置411を主に冷却する光源冷却系Bとを備えている。
パネル冷却系Aでは、図10に示すように、光学装置44の上方に配置された軸流吸気ファン31が用いられている。軸流吸気ファン31によって、アッパーケース21の上面部211に形成された吸気口211Aから吸引された冷却空気は、光学装置44の上方まで導かれる。ここで、上ライトガイド49は、光学装置44の上面が露出するように、下ライトガイド48の上面に設置されているので、上記軸流吸気ファン31によって、吸引された冷却空気をライトガイド47内に取り込むことができる。
【0061】
図11に示すように、ライトガイド47内に取り込まれた冷却空気は、台座445の上面を冷却しつつ、スペーサ449によって形成された偏光板443と保持枠446との間の隙間、または保持枠446の光束入射側に入り込み、各液晶パネル441R,441G,441Bの光束射出側および光束入射側、保持枠446、偏光板443、および偏光板443の表面の偏光フィルム443Aを冷却し、下ライトガイド48の底面部482Bに形成された排気口482B5を通過して、ライトガイド47外部へと排出される。
【0062】
下ライトガイド48の底面部482Bに形成された排気口482B5を通過した空気は、図7に示すように、下ライトガイド48がロアーケース22の底面部221と当接した状態で形成されるダクト482B7に導かれ、光学ユニット4の前方側に送風される。
図10に示すように、上記光学装置44を冷却し、ダクト482B7を介して光学ユニット4の前方側に送風された空気は、最終的に光源装置411の近傍に配置されたシロッコファン32に引き寄せられ、アッパーケース21の側面部212に形成された排気口212Aを通して排出される。
【0063】
ここで、パネル冷却系Aによる冷却空気は、光学装置44を冷却する役割のみならず、液晶パネル441R,441G,441Bの表面に吹きつけられることで、パネル表面に付着した塵等を吹き飛ばす役割をも有している。パネル冷却系Aにより、液晶パネル441R,441G,441Bの表面を常に清浄することができるから、プロジェクタ1において、安定した画質の光学画像をスクリーン等に投写できるようになる。
【0064】
光源冷却系Bでは、図12に示すように、光源装置411の近傍に設けられたシロッコファン32が用いられている。
シロッコファン32の吸気口は、下ライトガイド48の光源装置収納部481の側面に形成された開口部481Aと、光源装置411を載置固定する固定板411Bの起立片411B1とで形成される矩形状の隙間に対向配置されている。
【0065】
上記パネル冷却系Aによってライトガイド47内に入り込んだ冷却空気は、図12に示すように、光学装置44を冷却して下ライトガイド48の底面部482Bに形成された排気口482B5を通過してライトガイド47の外部に排出されるだけでなく、シロッコファン32により、ライトガイド47内を通って光源装置411の後方側へと引き寄せられる。
このシロッコファン32によって引き寄せられる過程で、一体化された第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413および偏光変換光学素子414間を通ってこれらを冷却した後、光源装置411内に入り込んで光源ランプ416および楕円面鏡417を冷却している。
【0066】
上記光源装置411等を冷却した空気は、下ライトガイド48の光源装置収納部481の側面に形成された開口部481Aと光源装置411を載置固定する固定板411Bの起立片411B1とで形成される矩形状の隙間を通って、シロッコファン32に吸引され、アッパーケース21の側面部212に形成された排気口212Aを通して排出される。
【0067】
〔1−8.光学装置の放熱構造〕
本実施形態のプロジェクタ1では、光学装置44の冷却において、上記冷却ファンによる強制冷却だけでなく、光学装置44の構造によって放熱経路が確保されている。
以下には、図8および図9を参照して、光学装置44の放熱経路について説明する。
【0068】
光源装置411からの光束の照射により、光学装置44の液晶パネル441R,441G,441Bおよび光束射出側の偏光フィルム443Aには熱が発生する。
液晶パネル441は、ライトガイド47内の内部空気と接触し、また保持枠446と接続されており、該液晶パネル441に発生した熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、収納保持された保持枠446へと放熱される。
また、光束射出側の偏光フィルム443Aは、液晶パネル441と同様にライトガイド47内の内部空気と接触し、偏光板443のサファイア板443Bと接続されており、該偏光フィルム443Aに発生した熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、サファイア板443Bへと放熱される。
【0069】
保持枠446は、上記液晶パネル441と同様にライトガイド47内の内部空気と接触し、該保持枠446の斜面446Dに当接する2つのスペーサ449を介してサファイア板447と接続されており、該保持枠446に伝達された熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、サファイア板447へと放熱される。
【0070】
偏光板443のサファイア板443Bおよび板状部材としてのサファイア板447は各々、上記液晶パネル441と同様にライトガイド47内の内部空気と接触し、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445と接続されており、該サファイア板443B,447に伝達された熱は、各々独立して、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、上下の台座445へと放熱される。
【0071】
クロスダイクロイックプリズム444の上方に固定された台座445は、ライトガイド47内の内部空気と接触しており、上方に固定された台座445に伝達された熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気と熱交換が行われる。
クロスダイクロイックプリズム444の下方に固定された台座445は、下ライトガイド48の底面部482Bと接続されており、下方に固定された台座445に伝達された熱は、ライトガイド47へと放熱される。
ライトガイド47は、プロジェクタ1内の内部空気と接触しており、ライトガイド47に伝達された熱は、プロジェクタ1内の内部空気と熱交換が行われ、上記シロッコファン32によって、外部へと排出される。
【0072】
以上のように、光学装置44を構成する各部材の接続、および冷却ユニット3により、光学装置44が冷却されている。
【0073】
〔1−9.第1実施形態の効果〕
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) 光学装置44が光変調装置440、クロスダイクロイックプリズム444および偏光板443を備え、光変調装置440の液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446が、スペーサ449およびサファイア板447を介して台座445側面に接着固定され、偏光板443の偏光フィルム443Aがサファイア板443Bを介して台座445側面に接着固定されていることにより、光源装置411からの光束の照射による液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aの熱を台座445に放熱することができ、光学装置44の冷却効率を向上できる。
【0074】
(2) 液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aが、互いに独立して台座445に接続されている、すなわち、互いの熱流路が独立していることにより、液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aの間で互いに発生する熱が伝導することなく、より熱容量の大きな台座445に向かって放熱させることができるので、光学装置44の冷却効率をさらに向上できる。
(3) 液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446が、サファイア板447を介して、台座445側面に接着固定されることにより、すなわち、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面には何も接着されることがないので、クロスダイクロイックプリズム444のサイズを一対の台座445の対向する方向に小さくすることができる。これにより、大幅なコスト削減が図れ、クロスダイクロイックプリズム444の小型化に伴って、プロジェクタ1自身の小型化を促進できる。
【0075】
(4) 偏光板443の基板として、硬度の高いサファイア板443Bを用いていることにより、該サファイア板443Bの略中央部に偏光フィルム443Aを貼り付けた状態で、光射出側の偏光板443として機能させるとともに、上下の台座445に接続されていることにより、サファイア板443Bを介して台座445へ放熱することができ、余分な部材を省略し、コスト削減を図ることができる。また、偏光板443のサファイア板443Bがクロスダイクロイックプリズム444の幅寸法よりも小さく形成され、スペーサ449が取り付けられるサファイア板447との間に隙間が形成されていることにより、熱の逆流を防止でき、偏光板443を確実に冷却できる。
(5) 偏光板443のサファイア板443Bと、板状部材としてのサファイア板447とを同一材料から形成し、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に互いの表面が略同一平面となるように取り付けることにより、スペーサ449により調整した液晶パネル441R,441G,441Bの位置によって、偏光板443と液晶パネル441R,441G,441Bの保持枠446とが接触することを確実に防止できる。
(6) サファイア板447およびスペーサ449が同材質(サファイア)で構成されていることにより、熱による寸法変化(膨張、収縮)量が同じとなるため、信頼性が向上する。
【0076】
(7) 光変調装置440は、保持枠446を備え、該保持枠446がカーボン、チタン、アルミニウム、フッ化ケイ素等を添加した熱伝導性樹脂から構成されていることにより、該保持枠446の線膨張係数をガラス材料に近づけることができ、すなわち、液晶パネル441R,441G,441Bを構成する駆動基板441Dおよび対向基板441Eの線膨張係数に近づけることができ、光源装置411からの光束の照射による液晶パネル441R,441G,441Bおよび保持枠446の熱膨張変形を略同程度に収めることができる。
したがって、線膨張係数の違いにより発生する熱応力を緩和し、各液晶パネル441R,441G,441Bの相互位置のずれを防止することができ、表示画像の画素ずれを回避することができるとともに、熱応力による液晶パネル441R,441G,441Bの破損等を回避することができる。
【0077】
(8) 光学装置44がスペーサ449を備えていることにより、投写される画像の画素または投写レンズからのバックフォーカス位置を合わせるために、スペーサ449の位置を移動させることで、各液晶パネル441R,441G,441Bの位置調整を行うことができ、各液晶パネル441R,441G,441Bの位置を適切な状態に配置することができる。
(9) スペーサ449が、紫外線を透過するサファイアから構成されていることにより、光学装置44を製造する際に、サファイア板447と液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446との接合において、光硬化性接着剤を塗布したスペーサ449を用いれば、該スペーサ449内を光が透過し、保持枠446とサファイア板447との接合を容易に行うことができ、光学装置44の製造効率を向上させる。
【0078】
(10) 投写光学系設置部483は、上記光学部品収納部482の側面部482Aの正面部分に位置し、該側面部482Aと一体的に設けられていることにより、投写レンズ46の自重を確実に保持することができる。
(11) 液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aに発生する熱の冷却をパネル冷却系Aによる強制冷却、プロジェクタ1内の内部空気による自然空冷、および光学装置44を構成する部材間の伝導放熱によって行うことができるので、液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aの冷却効率を一層向上させることができる。
(12) また、上記のような冷却構造を採用することにより、併用する冷却ファンの数を減少させ、さらに、該冷却ファンの回転数を減少させて微弱な冷却空気にも対応させることができるので、プロジェクタ1の低騒音化および小型化を促進することができる。
【0079】
〔2.第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
第2実施形態に係るプロジェクタは、前記第1実施形態のプロジェクタ1とは、光学装置44の一部である液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446をクロスダイクロイックプリズム444に取り付ける部分の構成のみが相違している。このため、前記第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
【0080】
〔2−1.光学装置の構造〕
図13は、光学装置44の平面図である。
図13において、光学装置44は、前記第1実施形態と同一の部材である光変調装置440と、偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444と、台座445と、スペーサ449とを備える。
偏光板443は、第1実施形態と同様に、基板としてのサファイア板443Bの略中央部に偏光フィルム443Aを貼り付けて構成され、このサファイア板443Bは、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445の側面に連結して固着されている。
【0081】
液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446は、スペーサ449を介してクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に取り付けられている。
スペーサ449は、断面略三角形状で、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に台座445が固定された状態の高さ寸法と略同一の高さ寸法を有し、台座445間に渡って取り付けられる。また、スペーサ449は、保持枠446の斜面446Dに当接し、該スペーサ449の移動により、保持枠446を移動させ、投写レンズ46からのバックフォーカス位置に各液晶パネル441R,441G,441Bを位置調整するために用いられる。
すなわち、板状部材を介さず、スペーサ449を直接クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に取り付けた点が前記第1実施形態との相違点である。
【0082】
〔2−2.光学装置の製造方法〕
光学装置の製造方法は、前記第1実施形態の板状部材としてのサファイア板447が存在しない点以外は、前記第1実施形態の工程(a)〜(e)とほぼ同様であるが、前記工程(d)において、スペーサ449を保持枠446の斜面446Dとクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面との間に挿入し、保持枠446の位置決めをする点が異なる。
なお、液晶パネルの位置調整方法および冷却ユニットによる冷却構造は、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0083】
〔2−3.光学装置の放熱構造〕
光学装置の放熱構造は、前記第1実施形態の場合とほぼ同様であり、その放熱経路が一部相違する点について説明する。
すなわち、液晶パネル441R,441G,441Bが保持された保持枠446は、その斜面446Dに当接する2つのスペーサ449を介してクロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445と接続されており、該保持枠446に伝達された熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、上下の台座445へと放熱される。
【0084】
〔2−4.第2実施形態の効果〕
本実施形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(3)、(7)〜(12)と略同様な効果に加えて、以下のような効果がある。
(13) スペーサ449をクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面と液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446との間に介装することにより、光源装置411からの光束の照射による液晶パネル441R,441G,441Bの熱をスペーサ449を介して台座445に放熱することができ、スペーサ449およびサファイア板を介して放熱する場合と比較して、より冷却効率を向上できる。
【0085】
〔3.第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
第3実施形態に係るプロジェクタは、前記第1実施形態のプロジェクタ1とは、光学装置44の一部である偏光板443および液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446をクロスダイクロイックプリズム444に取り付ける部分の構成のみが相違している。このため、前記第1実施形態と同一または相当構成品には同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
【0086】
〔3−1.光学装置の構造〕
図14(A)、(B)は、光学装置44の一部を示す平面図および縦断面図である。
図14において、光学装置44は、前記第1実施形態と同一の部材である光変調装置440と、偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444と、台座445と、スペーサ449とを備える。
偏光板443は、基板としてのサファイア板443Bの表面に偏光フィルム443Aを貼り付けて構成され、このサファイア板443Bは、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445のうち、下側の台座445の側面に連結して固着されている。
【0087】
液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446は、スペーサ449を介してクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に取り付けられている。
スペーサ449は、断面略三角形状に形成され、クロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445のうち、上側の台座445の側面に連結して取り付けられている。また、スペーサ449は、保持枠446の斜面446Dに当接し、該スペーサ449の移動により、保持枠446を移動させ、投写レンズ46からのバックフォーカス位置に各液晶パネル441R,441G,441Bを位置調整するために用いられる。
すなわち、偏光板443のサファイア板443Bがクロスダイクロイックプリズム444の下側の台座445の側面に連結され、保持枠446を取り付けるスペーサ449が板状部材を介さずクロスダイクロイックプリズム444の上側の台座445の側面に連結されている点が前記第1実施形態との相違点である。
【0088】
〔3−2.光学装置の製造方法〕
光学装置の製造方法は、前記第1実施形態の板状部材としてのサファイア板447が存在しない点以外は、前記第1実施形態の工程(a)〜(e)とほぼ同様であるが、前記工程(d)において、スペーサ449を保持枠446の斜面446Dとクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面との間に挿入し、保持枠446の位置決めをする点が異なる。
なお、液晶パネルの位置調整方法および冷却ユニットによる冷却構造は、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0089】
〔3−3.光学装置の放熱構造〕
光学装置の放熱構造は、前記第1実施形態の場合とほぼ同様であり、その放熱経路が一部相違する点について説明する。
すなわち、液晶パネル441R,441G,441Bが保持された保持枠446は、その斜面446Dに当接する2つのスペーサ449を介してクロスダイクロイックプリズム444の上面に固定された台座445と接続されており、該保持枠446に伝達された熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、上側の台座445へと放熱される。
また、偏光フィルム443Aが貼り付けられたサファイア板443Bは、クロスダイクロイックプリズム444の下面に固定された台座445と接続されており、該サファイア板443Bに伝達された熱は、上記パネル冷却系Aによる冷却空気との熱交換とともに、下側の台座445へと放熱される。
【0090】
〔3−4.第3実施形態の効果〕
本実施形態によれば、前記各実施形態の(1)〜(3)、(7)〜(13)と略同様な効果に加えて、以下のような効果がある。
(14) クロスダイクロイックプリズム444の上下面に固定された台座445のうち、上側の台座445に液晶パネル441R,441G,441Bが保持された保持枠446をスペーサ449を介して接続し、下側の台座445に偏光板443の偏光フィルム443Aをサファイア板443Bを介して接続することにより、液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aに光源からの光束の照射によって発生する熱を互いに異なる台座445に向かって放熱することができ、互いの熱の逆流を防止して、光学装置44の冷却効率をより一層向上できる。
【0091】
(15) 偏光板443をクロスダイクロイックプリズム444の下側の台座445に接続することにより、下ライトガイド48の底面部482Bと接続された下側の台座445に伝達された熱は、ライトガイド47へ放熱することができ、偏光板443の冷却効率をさらに一層向上できる。
【0092】
〔4.実施形態の変形〕
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
例えば、前記各実施形態では、冷却ユニット3は軸流吸気ファン31を備え、該軸流吸気ファン31は、光学装置44の上方に設置され、冷却空気は、光学装置44の上方から下方に向けて流れる構成となっていたが、これに限らず、軸流吸気ファン31を光学装置44の下方に設置し、冷却空気の流れを光学装置44の下方から上方に向けて流れる構成としてもよい。
ここで、クロスダイクロイックプリズム444の上方に固定された台座445と上ライトガイド49またはアッパーケース21との間に伸縮自在であるスプリングシリコーンゴム等の熱伝導性部材を介在することが好ましい。
【0093】
このような構成にすることにより、光源装置411からの光束の照射により液晶パネル441R,441G,441Bおよび偏光フィルム443Aに発生した熱は、台座445に放熱され、さらに、台座445からスプリングシリコーンゴムを介して上ライトガイド49またはアッパーケース21に放熱されるので、液晶パネル441R,441G,441Bまたは偏光フィルム443Aから放熱される伝導可能な全熱量を増加させることができ、液晶パネル441R,441G,441Bまたは偏光フィルム443Aの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0094】
また、前記各実施形態において、スペーサ449はサファイアから構成されていたが、これに限らず、金属製の部材から構成してもよい。
このような構成にすることにより、液晶パネル441R,441G,441Bを収納した保持枠446と台座445との間における熱抵抗を低減し、光源装置411からの光束の照射によって液晶パネル441R,441G,441Bに発生する熱の放熱特性を良好にし、液晶パネル441R,441G,441Bの冷却効率をさらに向上させることができる。
【0095】
また、前記第1、第2実施形態において、スペーサ449は、左右2体で構成され、保持枠446の左右辺縁に形成された斜面446Dに設置されていたが、この構成に限らず、左右それぞれのスペーサを保持枠446辺縁の長さ寸法よりも小さい寸法で、保持枠446の左右辺縁それぞれに、複数のスペーサを用いて構成してもよい。
このような構成にすることにより、保持枠446とサファイア板447との間における熱応力が複数のスペーサにより分散され、スペーサの外形形状の変形を低減することができ、保持枠446を確実に保持することができる。
従って、液晶パネル441R,441G,441Bの相互の位置状態を確保し、投写される画像の画素ずれを回避することができる。
【0096】
また、前記第1、第2実施形態において、偏光板443および液晶パネル441R,441G,441Bはクロスダイクロイックプリズム444の上下面に設けられた台座445に接続されていたが、この構成に限らず、クロスダイクロイックプリズム444の上面側の台座445のみに接続されていてもよく、また、下面側の台座445のみに接続されていてもよい。
【0097】
また、前記第3実施形態において、偏光板443がクロスダイクロイックプリズム444の下側の台座445の側面に連結され、保持枠446を取り付けるスペーサ449が上側の台座445の側面に連結されていたが、この構成に限らず、偏光板443がクロスダイクロイックプリズム444の上側の台座445の側面に連結され、スペーサ449が下側の台座445の側面に連結された構成としてもよい。
【0098】
さらに、前記各実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクタ、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0099】
また、前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
さらに、前記各実施形態では、光入射面と光出射面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
【0100】
さらにまた、前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0101】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、プロジェクタの小型化・高輝度化に対応して、光学装置の冷却効率を良好にすることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクタを上方から見た全体斜視図である。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構造を表す図であり、具体的には、図1からアッパーケースを外した分解斜視図である。
【図3】前記実施形態における光学ユニットを上方から見た全体斜視図である。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの光学系を模式的に示す平面図である。
【図5】前記実施形態における下ライトガイドの構造を示す全体斜視図である。
【図6】前記実施形態における光学ユニットから光源装置を取り外した分解斜視図である。
【図7】前記実施形態におけるライトガイドを下方から見た全体斜視図である。
【図8】前記実施形態における液晶パネルおよびプリズムを一体化した光学装置を上方から見た全体斜視図である。
【図9】前記実施形態における液晶パネルおよびプリズムを一体化した光学装置の構造を示す分解斜視図である。
【図10】前記実施形態におけるパネル冷却系Aの冷却流路を示す分解斜視図である。
【図11】前記実施形態におけるパネル冷却系Aによる光学装置の冷却構造を示す断面図である。
【図12】前記実施形態における光源冷却系Bの冷却流路を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態における液晶パネルおよびプリズムを一体化した光学装置の平面図である。
【図14】 (A)、(B)は、本発明の第3実施形態における液晶パネルおよびプリズムを一体化した光学装置の一部を示す平面図および縦断面図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ
44 光学装置
440 光変調装置
441,441R,441G,441B 液晶パネル(光変調素子)
443 偏光板(光学変換素子)
443A 偏光フィルム(光学変換膜)
443B サファイア板(基板)
444 クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)
445 台座
447 サファイア板(板状部材)
449 スペーサ

Claims (5)

  1. 複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で変調された各色光を合成する色合成光学装置とが一体的に設けられた光学装置であって、
    前記光変調装置および前記光束入射端面の間に介在配置され、当該光変調装置から射出された光束の光学特性を変換する光学変換膜が形成された基板を有する光学変換素子と、
    前記複数の光束入射端面と交差する前記色合成光学装置の一対の端面の少なくともいずれか一方の端面に設けられる熱伝導性材料からなる台座とを備え、
    前記光変調装置および前記光学変換素子は、それぞれが独立して前記台座に熱伝導性材料を介して接続され、
    前記光学変換素子の基板は、前記一対の端面との交差方向の寸法が前記光変調装置の同方向の寸法よりも小さく、
    前記光変調装置は、前記台座の前記交差方向端部で位置調整用の熱伝導性材料からなるスペーサを介して前記台座と接続されていることを特徴とする光学装置。
  2. 請求項1に記載の光学装置において、
    前記スペーサおよび前記台座の間には、熱伝導性材料からなる板状部材が介装されていることを特徴とする光学装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
    前記台座は、前記一対の端面のそれぞれに設けられ、
    前記光変調装置は、前記台座のうちの一方に接続され、他方の台座に前記光学変換素子が接続されていることを特徴とする光学装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置において、
    前記光学変換膜は、偏光変換膜であることを特徴とする光学装置。
  5. 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成するプロジェクタであって、
    請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学装置を備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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