JP2005233999A - 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005233999A JP2005233999A JP2004039514A JP2004039514A JP2005233999A JP 2005233999 A JP2005233999 A JP 2005233999A JP 2004039514 A JP2004039514 A JP 2004039514A JP 2004039514 A JP2004039514 A JP 2004039514A JP 2005233999 A JP2005233999 A JP 2005233999A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- parts
- resin
- less
- charge transport
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物と有機溶剤との混合液を、80℃以下の温度で吸着材と接触させる。
(一般式(1)中、Ar1及びAr2は各々、置換基を有していてもよいアリーレン基又は2価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1とAr2とが互いに結合して環構造を形成してもよい。R1及びR2は各々、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表わす。Xは置換アミノ基を表わし、Yは水素原子又は置換アミノ基を表わす。)
【選択図】 なし
Description
より詳しくは、特定構造を有するアリールアミン化合物を含有する粗製物を有機溶剤と混合し、この混合液を吸着材と接触させて精製することにより、電子写真感光体用の材料を製造する方法、及びその方法により得られた電子写真感光体用材料に関し、更には、その電子写真感光体用材料を感光層中に含有する電子写真感光体に関する。
中でも、上記一般式(1)において、Xが下記一般式(2)で表わされる基であり、Yが下記一般式(3)で表わされる基であることが好ましい。
また、本発明の別の要旨は、上記方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体用材料に存する。
更に、本発明の別の要旨は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体において、該感光層が上記電子写真感光体用材料を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
[1.電子写真感光体用材料の製造方法]
本発明に係る電子写真感光体用材料の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」等と略す。)は、特定構造のアリールアミン化合物を含む粗製物を有機溶剤と混合して溶解させ、得られた混合溶液を特定温度以下で吸着材と接触させることを特徴とする。
本発明の製造方法において用いる原料は、下記一般式(1)で表わされる、分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物である。
アリーレン基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、ビフェニレン基、フェナンチレン基等が挙げられる。
2価の複素環含有基の場合も、複素環を含む2価の有機基であれば、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。また、環に含まれるヘテロ原子の種類や個々の環の員数についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有する5員環又は6員環である。2価の複素環含有基の具体例としては、ピリジレン基、チエニレン基、フラニレン基、ベンゾフラニレン基、ベンゾチエニレン基等が挙げられる。
これらアリーレン基と2価の複素環含有基とを比較すると、アリーレン基の方が好ましい。アリーレン基の中でも、正孔輸送能力の点を考慮すると、フェニレン基又はナフチレン基が好適である。
アルキル基の場合、その種類は特に制限されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
アリール基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
アルキル基及びアリール基の炭素数は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含めたR1、R2全体の値で、通常20以下、好ましくは15以下、更に好ましくは10以下の範囲である。
なお、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいが、特に、R1及びR2のうち一方が水素原子であり、他方がアルキル基又はアリール基である場合に、本発明の効果が最も高く現れる。
置換アミノ基における置換基の種類としては、本発明の趣旨に反するものでなければ特に制限されないが、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ビフェニル基、フェナンチル基等のアリール基;ピリジル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基等の複素環含有基が挙げられる。その炭素数は通常15以下、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。これらの中でも、炭素数6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基、ビフェニル基、フルオレニル基が好ましい。
アリール基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
1価の複素環含有基の場合も、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。また、環に含まれるヘテロ原子の種類や個々の環の員数についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有する5員環又は6員環である。1価の複素環含有基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
これらの中でも、製造性、コストの点を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基、ビフェニル基、フルオレニル基等が好ましい。
上記のアリールアミン化合物は、例えば、アリールアミンとカルボニル基を有する化合物とを有機溶媒中、酸素触媒存在下で縮合させること、又は、アルカン性炭素原子を有するジアミン化合物とハロゲン化合物とを銅、パラジウム等の触媒存在下でカップリング反応させること等の手法により合成することが可能である。
上記のアリールアミン化合物の粗製物を吸着材と接触させるには、様々な手法を用いることが可能であるが、製造時の操作性等の点から、以下の手法が好ましい。
有機溶剤としては、アリールアミン化合物の粗製物を溶解させることが可能な溶剤であれば特に制限は無いが、吸着材とアリールアミン化合物との吸脱着平衡を考慮すると、脂肪族炭化水素系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。芳香族炭化水素類の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、アニソール、エチルキシレン、エチルトルエン、エチルアニソール、メチルナフタレン、ジフェニルメタン等が挙げられ、脂肪族炭化水素類の好ましい具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの溶剤は何れか一種を単一溶剤として用いてもよく、何れか二種以上を混合することにより混合溶剤として用いてもよい。芳香族炭化水素系溶剤と飽和脂肪族炭化水素系溶剤とを併用する場合、その使用比率は任意に選択することが可能であるが、(飽和炭化水素系溶剤)/(芳香族炭化水素系溶剤)の重量比の値で、通常は0.1以上、また、通常1以下、好ましくは0.7以下の範囲である。また、有機溶剤の使用量も、粗製物の溶解性によって様々な値を選択することが可能であるが、アリールアミン化合物の精製効率や電荷輸送材料の生産性を考慮すると、(粗製物)/(有機溶剤)の重量比の値で、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、また、通常0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下の範囲である。
吸着材としては任意のものを用いることが可能であるが、アリールアミン化合物の正孔輸送能力の観点からは、代表例としてシリカゲル、アルミナ、モンモリナイト、活性白土、活性炭等を挙げることができる。これらの中でも、特に精製能力の高い活性白土又は活性炭が好ましい。その理由として、活性白土は、1級アミン、2級アミン等を吸着、酸化により無毒化する能力を有すること、活性炭は、多孔質の粒子であり脱色作用において優れた能力を発揮することが挙げられる。
本発明では、粗製物を有機溶剤に溶解させた混合溶液を吸着剤と接触させる際の温度が重要である。具体的に、接触処理時の温度は、通常80℃以下、アリールアミンの安定性を考慮すると好ましくは60℃以下、吸着材のアリールアミンに与える影響を考慮するとより好ましくは35℃以下の範囲である。接触処理時の温度の下限は、有機溶媒の凝固点以上であれば得に制限されないが、通常は0℃以上であり、特に本発明では溶解能力の低い溶媒を用いることから、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
接触処理の終了後、吸着材を濾過等の公知の手法により分別する。得られた濾液は、上述した各種の不純物が取り除かれ、アリールアミン化合物を高純度で含有する溶液となっている。これをそのまま電荷輸送材料として用いてもよいが、必要に応じて有機溶媒を減圧乾燥等の手法によって一部又は全部除去し、得られた濃縮液又は沈殿物を電荷輸送材料として用いてもよいし、溶媒を減圧留去後、残存する固体を溶解性の高い溶剤に溶解させて溶液としてから、この溶液を、この溶液と相溶性であって、該アリールアミン化合物の溶解性が低い溶媒に添加することにより、または逆に、この溶液と相溶性であって、該アリールアミン化合物の溶解性が低い溶媒を、この溶液に添加することにより、固体を析出させ、これを濾別して取り出し乾燥させたものを電荷輸送材料として用いてもよい。電子写真感光体の製造に使用する際の取り扱いの観点から、通常は溶媒を全て除去して、固体状の沈殿物の状態としてから用いる。有機溶媒を全て留去した場合、電子写真感光体用材料は通常は、白色又は淡黄色の粉末として得られる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この上に形成された感光層とをそなえて構成される。上に説明した本発明の電子写真感光体用材料はこの感光層中に含有される。
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料、更にはその表面にアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料を蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。または、金属材料の導電性支持体上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合には、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
また、下引き層には、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させても良い。
感光層は、上述の導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下「単層型感光体」という。)と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造のもの(以下「機能分離型感光体」又は「積層型感光体」という。)とが挙げられるが、何れであってもよい。
機能分離型感光体の場合、電荷発生層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に塗布し、電荷発生物質を各種バインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲とする。
機能分離型感光体の電荷輸送層は、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。具体的には、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を、導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
なお、電荷輸送物質としては、バインダー樹脂との相溶性、感光体の電気特性、塗布液の安定性の観点から、溶解度が高いものを選択することが好ましい。
単層型感光体の感光層は、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲とする。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。
積層型感光体、単層型感光体ともに、上述の手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
これらの感光体を構成する各層は、各成分を溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて塗布液を作製した上で、導電性支持体上に公知の塗布方法を用いて各層毎に塗布・乾燥を繰り返していくことにより、順次形成される。
以上、説明した本発明の電子写真感光体は、感光層中に高純度且つ高性能な本発明の電子写真感光体用材料を含有しているので、暗所電荷保持率、感度、残留電位等の電気特性に優れており、しかも耐久性も良好である。従って、複写機,ファクシミリ,プリンター等の感光体として好適に使用でき、極めて有用である。
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例1)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリン190部、2−メチルブチルアルデヒド66部、酢酸700部、トルエン20部、メタンスルホン酸5部を混合し、65℃で10時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール500部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(4)で表わされるアリールアミン化合物の粗製物186部を得た(製造例1のアリールアミン粗製物)。
(実施例1a)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例1aの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.5部を得た(実施例1bの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう二度繰り返し、その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.5部を得た(実施例1cの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例1dの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例1aの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう2回繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.4部を得た(比較例1bの電荷輸送材料)。
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(比較例1cの電荷輸送材料)。
得られた実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランとを、ボールミルにて混合して得られたスラリーを乾燥後、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸(組成モル%75/9.5/3/9.5/3)からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の分散液(下引き層用分散液)とした。
得られた実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例2)
N,N−ビス(p−メチルフェニル)アニリン350部、イソブチルアルデヒド114部、酢酸1300部、メタンスルホン酸9部を混合し、55℃で8時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール300部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(5)で表わされるアリールアミン化合物(分子量600)の粗製物348部を得た(製造例2のアリールアミン粗製物)。
(実施例2a)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を2部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例2aの電荷輸送材料)。
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例2bの電荷輸送材料)。
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(実施例2cの電荷輸送材料)。
製造例2のアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例2aの電荷輸送材料)。
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例2bの電荷輸送材料)。
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例2cの電荷輸送材料)。
得られた実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
電荷輸送材料として実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電荷輸送材料を用いるとともに、電荷発生物質として、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が9.3°、10.6°及び26.3°に強い回折ピークを有する、A型オキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、上述した[第1実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を作製した(実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電子写真感光体)。
得られた実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例3)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリン300部、ベンズアルデヒド140部、酢酸1800部、メタンスルホン酸8部を混合し、55℃で8時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール1000部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(6)で表わされる構造のアリールアミン化合物(分子量689)の粗製物325部を得た(製造例3のアリールアミン粗製物)。
(実施例3a)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例3aの電荷輸送材料)。
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(実施例3bの電荷輸送材料)。
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例3cの電荷輸送材料)。
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例3aの電荷輸送材料)。
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作を2回繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例3bの電荷輸送材料)。
得られた実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
電荷輸送材料として実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電荷輸送材料を用いた以外は、上述した[第2実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を作製した(実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電子写真感光体)。
得られた実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
表1〜表3の結果に明らかな様に、本発明に規定する特定構造のアリールアミン化合物の粗製物を用いた場合、80℃以下の温度で吸着材と接触させることにより製造した各実施例の電荷輸送材料は、接触処理を行なわず、又は80℃を超える温度で接触処理を行なった各比較例の電荷輸送材料と比較して、電子写真感光体とした時の電気特性(半減露光エネルギー、暗減衰、残留電位)に優れていることが分かる。
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例4)
下記構造式(7)で示されるホルミル基を有するアリールアミン誘導体10部と、下記構造式(8)で示されるリン酸エステル8.9部とを、テトラヒドロフラン150mlに溶解させ、t−ブトキシカリウム4.5部を添加し、25℃で2時間撹拌した。撹拌後、飽和食塩水で有機層を洗浄後、有機層をメタノール中に添加し、析出した固体を濾別し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(9)で示されるアリールアミン化合物(分子量828)の粗製物8.3部を得た(製造例4のアリールアミン粗製物)。
(比較例4a)
製造例4で得られたアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に25℃で溶解させようとしたところ、完溶しなかったため、トルエン60部を追加して完溶させた。ついで、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で攪拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールと混合し、生じた結晶を減圧下で乾燥させることにより、淡黄色結晶9.6部を得た(比較例4aの電荷輸送材料)。
製造例4で得られたアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例4bの電荷輸送材料)。
得られた比較例4a〜4bの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
電荷輸送材料として比較例4a〜4bの電荷輸送材料を用いた以外は、上述した[第2実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を製造した(比較例4a〜4bの電子写真感光体)。
得られた比較例4a〜4bの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
比較例4a,4bの電子写真感光体の評価結果を下の表4に示す。また、対応する電荷輸送材料の製造条件として、白土(吸着剤)との接触処理の回数も併せて示す。
なお、以下の何れの実施例及び比較例においても、白土(吸着剤)との接触処理時の温度は25℃である。
表4の結果に明らかな様に、分子量が800以下のアリールアミン化合物の粗製物を用いた各実施例の電荷輸送材料は、分子量が800を超えるアリールアミン化合物の粗製物を用いた各比較例の電荷輸送材料と比較して、電子写真感光体とした時の電気特性(半減露光エネルギー、暗減衰、残留電位)において総合的に優れていることが分かる。
Claims (4)
- 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体用材料の製造方法により製造された
ことを特徴とする、電子写真感光体用材料。 - 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体において、該感光層が、請求項3記載の電子写真感光体用材料を含有する
ことを特徴とする、電子写真感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004039514A JP2005233999A (ja) | 2004-02-17 | 2004-02-17 | 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004039514A JP2005233999A (ja) | 2004-02-17 | 2004-02-17 | 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005233999A true JP2005233999A (ja) | 2005-09-02 |
Family
ID=35017051
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004039514A Pending JP2005233999A (ja) | 2004-02-17 | 2004-02-17 | 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005233999A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007334335A (ja) * | 2006-05-18 | 2007-12-27 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ |
JP2010122632A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09258465A (ja) * | 1996-03-19 | 1997-10-03 | Canon Inc | 電荷輸送化合物の製造方法及び得られた電荷輸送化合物を含有する電子写真感光体 |
JP2002014478A (ja) * | 2000-06-30 | 2002-01-18 | Hodogaya Chem Co Ltd | 電子製品材料の精製方法 |
JP2002145835A (ja) * | 2000-11-13 | 2002-05-22 | Mitsubishi Chemicals Corp | アリールアミンの製造方法、及び該アリールアミンを用いた電子写真感光体 |
-
2004
- 2004-02-17 JP JP2004039514A patent/JP2005233999A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09258465A (ja) * | 1996-03-19 | 1997-10-03 | Canon Inc | 電荷輸送化合物の製造方法及び得られた電荷輸送化合物を含有する電子写真感光体 |
JP2002014478A (ja) * | 2000-06-30 | 2002-01-18 | Hodogaya Chem Co Ltd | 電子製品材料の精製方法 |
JP2002145835A (ja) * | 2000-11-13 | 2002-05-22 | Mitsubishi Chemicals Corp | アリールアミンの製造方法、及び該アリールアミンを用いた電子写真感光体 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007334335A (ja) * | 2006-05-18 | 2007-12-27 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、画像形成装置及び電子写真カートリッジ |
JP2010122632A (ja) * | 2008-11-21 | 2010-06-03 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および、画像形成装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4957136B2 (ja) | 電子写真感光体及び画像形成装置 | |
KR100837130B1 (ko) | 프탈로시아닌 조성물, 및 그 조성물을 이용하는 광전도성 재료, 전자사진 감광체, 전자사진 감광체 카트리지 및 화상 형성 장치 | |
JP2001265031A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び、電子写真装置 | |
JP2007320925A (ja) | トリアリールアミン系化合物並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置 | |
JP2009169023A (ja) | 電子写真感光体および画像形成装置 | |
JPH11242348A (ja) | 電子写真用顔料および該顔料を使用した電子写真用感光体 | |
JP2008107649A (ja) | 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置 | |
JP2002080432A (ja) | アリールアミン化合物、その製造方法、及びそれを用いた電子写真感光体 | |
EP2259143A1 (en) | Electrophotographic photoreceptor, and image forming apparatus and process cartridge therefor using the photoreceptor | |
JP2005233999A (ja) | 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 | |
JPH07128888A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2001265033A (ja) | 電子写真感光体、並びにそれを用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP3623662B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP3350834B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2811108B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JPH02289658A (ja) | オキシチタニウムフタロシアニン結晶を製造する方法 | |
JPH06148917A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP5152300B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 | |
JP3577853B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2002145835A (ja) | アリールアミンの製造方法、及び該アリールアミンを用いた電子写真感光体 | |
JP3576944B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP4506182B2 (ja) | アリールアミン系化合物、該化合物を用いた正孔輸送材料および電子写真感光体 | |
JP2000347431A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP4793218B2 (ja) | 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置 | |
JPH10142818A (ja) | 電子写真感光体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060920 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080708 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080901 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090120 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090226 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090721 |