JP2005233999A - 電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体用材料の製造方法及び電子写真感光体用材料、並びにそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】 特定構造を有するアリールアミン化合物の粗製物を用いて、構造変化や分解等の反応によってその正孔輸送能力等を損なうことなく、高純度且つ高性能の電子写真感光体用材料を製造する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物と有機溶剤との混合液を、80℃以下の温度で吸着材と接触させる。
Figure 2005233999

(一般式(1)中、Ar1及びAr2は各々、置換基を有していてもよいアリーレン基又は2価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1とAr2とが互いに結合して環構造を形成してもよい。R1及びR2は各々、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表わす。Xは置換アミノ基を表わし、Yは水素原子又は置換アミノ基を表わす。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体用材料の製造方法及びその方法により得られた電子写真感光体用材料、並びにその材料を感光層に含有する電子写真感光体に関する。
より詳しくは、特定構造を有するアリールアミン化合物を含有する粗製物を有機溶剤と混合し、この混合液を吸着材と接触させて精製することにより、電子写真感光体用の材料を製造する方法、及びその方法により得られた電子写真感光体用材料に関し、更には、その電子写真感光体用材料を感光層中に含有する電子写真感光体に関する。
近年、アリールアミン構造を有する化合物類は、その性能及び安定性の高さから、複写機,ファクシミリ,プリンター等に使用される電子写真感光体用の電荷輸送材料として、また、有機電界発光素子等の電荷輸送材料として、広く用いられてきている。上記用途としてアリールアミン構造を有する化合物類を用いる場合、そのデバイスにおいて長時間にわたって安定性を得るためには、高純度の材料を用いることが必須の条件となってきている。この条件を満たすためには、通常、製造により得られた材料の粗製物を、吸着材等を用いて精製することが必要である。
吸着材を用いた電子部品材料等の精製方法としては、活性白土と活性炭を組み合わせる方法(例えば特許文献1参照)、活性白土精製後に活性シリカで精製する方法(例えば特許文献2参照)、同一の吸着材を使用して、処理操作を2回以上繰り返し使用する方法で精製効率を向上させる方法(例えば特許文献3参照)、電子製品材料を65℃以上の高温条件で活性白土と接触させることにより精製する方法(例えば特許文献4参照)、アリールアミン粗製物を有機溶剤に溶解させ35℃以上の温度で吸着材と接触させる方法(例えば特許文献5参照)等などの技術が開示されている。
特に、芳香族置換基が2つ以上結合したアルカン性炭素原子を有するアリールアミン化合物は、その電子写真感光体の電気特性において優れた電気特性を示すこと(例えば特許文献6参照)、他の電荷輸送材料と組み合わせることにより光暴露に対して安定性の高い感光体が得られること(例えば特許文献7参照)など、電荷輸送材料として優れた性能を有することが見出されており、その精製方法・製造方法の検討が行なわれ続けている。
特開昭60−233156号公報 特開平4−310962号公報 特開平7−56365号公報 特開2002−14478号公報 特開2002−145835号公報 特公昭56−13939号公報 特開2002−23395号公報
しかしながら、上記の特定構造を有するアリールアミン化合物は、芳香族置換基によって置換されたアルカン性炭素原子の安定性が低減している。よって、上記の従来技術の条件で吸着材と接触させることにより精製を行なうと、構造変化や分解等の反応が起こり、逆にその正孔輸送能力等を悪化させてしまうという課題がある。
これは、上記の従来技術は、粗製物を有機溶剤に溶解させた溶液を吸着材と接触させる際に、高温で処理することによって吸着材の吸脱着能、酸化能等が上がり、これがアリールアミン化合物の構造自体に変化を与えること、または、吸着材で繰り返し処理することによって、やはりアリールアミン化合物の構造自体に変化を与えること等の理由により、本来アリールアミン化合物が持つ電荷輸送能力を低下させているためと考えられる。
よって、上記の特定構造を有するアリールアミン化合物の粗製物を吸着材により精製し電荷輸送材料を製造する際に、構造変化や分解等の反応によってその正孔輸送能力等を損なうことなく、高純度且つ高性能の電荷輸送材料を製造することが可能な方法は、現在までのところ見出されていないのが実情である。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、特定構造を有するアリールアミン化合物の粗製物を用いて、構造変化や分解等の反応によってその正孔輸送能力等を損なうことなく、高純度且つ高性能の電子写真感光体用材料を製造する方法を提供すること、更には、その方法により得られた電子写真感光体用材料、並びにその材料を含有する高性能の電子写真感光体を提供することに存する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、精製対象とするアリールアミン化合物の分子量を特定範囲に限定するとともに、その粗製物を吸着剤と接触させる際の温度範囲を併せて規定することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で表わされる分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物と有機溶剤との混合液を、80℃以下の温度で吸着材と接触させることを特徴とする、電子写真感光体用材料の製造方法に存する。
Figure 2005233999
(上記一般式(1)中、Ar1及びAr2は各々、置換基を有していてもよいアリーレン基又は2価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1とAr2とが互いに結合して環構造を形成してもよい。R1及びR2は各々、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表わす。Xは置換アミノ基を表わし、Yは水素原子又は置換アミノ基を表わす。)
中でも、上記一般式(1)において、Xが下記一般式(2)で表わされる基であり、Yが下記一般式(3)で表わされる基であることが好ましい。
Figure 2005233999
(上記の一般式(2)及び一般式(3)中、Ar3,Ar4,Ar5及びAr6は各々、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1、Ar3及びAr4からなる群のうち2つ又は3つの基、及び/又は、Ar2、Ar5及びAr6からなる群のうち2つ又は3つの基が、それぞれ互いに結合して環構造を形成しても良い。)
また、本発明の別の要旨は、上記方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体用材料に存する。
更に、本発明の別の要旨は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体において、該感光層が上記電子写真感光体用材料を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
本発明によれば、暗所電荷保持率、感度、残留電位等の電気特性に優れ、しかも耐久性にも優れた電子写真感光体を得ることが可能な、高純度且つ高性能の電子写真感光体用材料を製造することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
[1.電子写真感光体用材料の製造方法]
本発明に係る電子写真感光体用材料の製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」等と略す。)は、特定構造のアリールアミン化合物を含む粗製物を有機溶剤と混合して溶解させ、得られた混合溶液を特定温度以下で吸着材と接触させることを特徴とする。
アリールアミン化合物を電荷輸送材料として用いる場合、その電荷輸送能力に悪影響を与える原因としては、アリールアミン化合物に比べイオン化ポテンシャルの小さい無機塩、1級アミン、2級アミン等の各種の不純物の存在が挙げられる。これらの不純物は、アリールアミン化合物の合成により得られる粗製物中に、その合成過程で生じる副生成物や合成に用いる試薬等が残存することに起因する。
本発明は、アリールアミン化合物の粗製物を有機溶剤に混合し、これを吸着材と接触させて精製することにより、この様な不純物を取り除き、アリールアミン化合物を高純度で含有する電子写真感光体用材料を得るものである。更に本発明では、精製対象とするアリールアミン化合物の分子量を特定範囲に限定するとともに、吸着剤と接触させる際の温度範囲を併せて規定することによって、アリールアミン化合物が本来有する電荷輸送能力を損なうことなく、高純度且つ高性能の電子写真感光体用材料を効率良く製造することを可能としている。
<アリールアミン化合物>
本発明の製造方法において用いる原料は、下記一般式(1)で表わされる、分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物である。
Figure 2005233999
一般式(1)中、Ar1及びAr2は各々独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基又は2価の複素環含有基を表わす。
アリーレン基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、ビフェニレン基、フェナンチレン基等が挙げられる。
2価の複素環含有基の場合も、複素環を含む2価の有機基であれば、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。また、環に含まれるヘテロ原子の種類や個々の環の員数についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有する5員環又は6員環である。2価の複素環含有基の具体例としては、ピリジレン基、チエニレン基、フラニレン基、ベンゾフラニレン基、ベンゾチエニレン基等が挙げられる。
これらアリーレン基と2価の複素環含有基とを比較すると、アリーレン基の方が好ましい。アリーレン基の中でも、正孔輸送能力の点を考慮すると、フェニレン基又はナフチレン基が好適である。
また、Ar1とAr2とは互いに結合して、環構造を形成してもよい。環構造の種類は特に制限されず、単一の環であっても、二以上の環が縮合したものでもよい。また、個々の環は炭化水素環であっても複素環であってもよい。複素環の場合、環に含まれるヘテロ原子の種類についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。個々の環の員数も特に制限されないが、通常は5員環又は6員環である。
Ar1、Ar2の炭素数は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含めたAr1、Ar2全体の値で、通常30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下の範囲である。Ar1とAr2とが互いに結合して環を形成している場合は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含め、Ar1及びAr2に相当する環構造全体の値で、通常60以下、好ましくは40以下、更に好ましくは20以下の範囲である。
一般式(1)中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表わす。
アルキル基の場合、その種類は特に制限されず、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
アリール基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
アルキル基及びアリール基の炭素数は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含めたR1、R2全体の値で、通常20以下、好ましくは15以下、更に好ましくは10以下の範囲である。
これらの中でも、R1、R2として好ましいのは、水素原子、炭素数6以下のアルキル基、又はフェニル基である。
なお、R1とR2は同一であっても異なっていてもよいが、特に、R1及びR2のうち一方が水素原子であり、他方がアルキル基又はアリール基である場合に、本発明の効果が最も高く現れる。
Ar1、Ar2がアリーレン基若しくは2価の複素環含有基の場合、Ar1とAr2とが結合して形成する環構造の場合、又は、R1、R2がアルキル基若しくはアリール基の場合に、これらが有していてもよい置換基の種類としては、本発明の趣旨に反するものでなければ特に制限されないが、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基などが挙げられる。その炭素数は通常10以下、好ましくは7以下、更に好ましくは4以下である。中でも、電荷移動能力を考慮すると、炭素数4以下のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基等が好適である。
一般式(1)中、Xは置換アミノ基を表し、Yは水素原子又は置換アミノ基を表わす。
置換アミノ基における置換基の種類としては、本発明の趣旨に反するものでなければ特に制限されないが、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ビフェニル基、フェナンチル基等のアリール基;ピリジル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基等の複素環含有基が挙げられる。その炭素数は通常15以下、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。これらの中でも、炭素数6以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基、ビフェニル基、フルオレニル基が好ましい。
置換アミノ基が有する置換基は1つでも2つでもよい。また、2つの置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。更には、カルバゾール環のような縮合環構造を有していてもよい。
上記一般式(1)で表わされる化合物の中でも、トリアリールアミン構造を有する化合物が最も高い正孔輸送能力を示すことから、Xが下記一般式(2)で表わされる基であり、Yが下記一般式(3)で表わされる基であることが好ましい。
Figure 2005233999
一般式(2)及び一般式(3)中、Ar3,Ar4,Ar5及びAr6は各々、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環含有基を表わす。
アリール基の場合、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
1価の複素環含有基の場合も、その種類は特に制限されず、単一の環を有するものでも、二以上の環が縮合したものでもよい。また、環に含まれるヘテロ原子の種類や個々の環の員数についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有する5員環又は6員環である。1価の複素環含有基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、チエニル基、フラニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
これらの中でも、製造性、コストの点を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基、ビフェニル基、フルオレニル基等が好ましい。
なお、Ar1、Ar3及びAr4からなる群のうち2つ又は3つの基、及び/又は、Ar2、Ar5及びAr6からなる群のうち2つ又は3つの基が、それぞれ互いに結合して環構造を形成しても良い。環構造の種類は特に制限されず、単一の環であっても、二以上の環が縮合したものでもよい。また、個々の環は炭化水素環であっても複素環であってもよい。複素環の場合、環に含まれるヘテロ原子の種類についても特に制限はないが、通常は窒素原子、酸素原子又は硫黄原子である。個々の環の員数も特に制限されないが、通常は5員環又は6員環である。
アリール基又は1価の複素環含有基が有していても良い置換基の種類としては、本発明の趣旨に反するものでなければ特に制限されないが、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ベンジルオキシ基等のアリールオキシ基などが挙げられる。その炭素数は通常10以下、好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。中でも、電荷移動能力を考慮すると、炭素数4以下のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基が好適である。また、これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチニレン基等を介した単環式炭素環基、多環式炭素環基、あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含む複素環含有基を形成しても良い。
Ar3,Ar4,Ar5,Ar6の炭素数は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含めたAr3,Ar4,Ar5,Ar6全体の値で、通常50以下、好ましくは40以下、更に好ましくは35以下の範囲である。Ar1,Ar2を含め、これらの基のうち2つ又は3つの基が互いに結合して環を形成している場合は、後述する置換基を有する場合にはその置換基も含めた環構造全体の値で、2つの基が結合した環構造については通常80以下、好ましくは65以下、更に好ましくは50以下、3つの基が結合した環構造については通常90以下、好ましくは65以下、更に好ましくは50以下の範囲である。
本発明の製造方法に用いるアリールアミン化合物は、上述の一般式(1)の構造を満たすことに加えて、その分子量が特定値以下であることを要する。本発明では、後述のように、アリールアミン化合物の粗製物を溶解させる溶剤として比較的溶解性に乏しい溶媒を用いるとともに、吸着材との接触処理を公知の精製方法に比べて低い温度で行なうことから、アリールアミン化合物としては溶解性が高いことが求められる。一般的に化合物の分子量が増加するにつれ溶解性は低下することから、本発明の製造方法に用いるアリールアミン化合物の分子量は、具体的には800以下とする。中でも、溶解性を向上させ、精製効率及び製造効率を向上させるためには、アリールアミン化合物の分子量は750以下が好ましく、700以下がより好ましい。
本発明の製造方法に用いるアリールアミン化合物の構造式を以下に例示する。但し、これらの構造式はあくまでも例示であり、本発明の製造方法において精製の対象となるアリールアミン化合物の構造はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限りにおいて任意の構造のものを用いることができる。
Figure 2005233999
Figure 2005233999
<アリールアミン化合物の粗製物を得る手法>
上記のアリールアミン化合物は、例えば、アリールアミンとカルボニル基を有する化合物とを有機溶媒中、酸素触媒存在下で縮合させること、又は、アルカン性炭素原子を有するジアミン化合物とハロゲン化合物とを銅、パラジウム等の触媒存在下でカップリング反応させること等の手法により合成することが可能である。
なお、こうした合成手法によって、実際には、上記のアリールアミン化合物を含有する粗製物が得られることになる。この粗製物中には、上記のアリールアミン化合物の他に、合成過程で生じる副生成物や合成に用いる試薬等が不純物として残存している。こうした不純物の中でも、上述のように、アリールアミン化合物に比べイオン化ポテンシャルの小さい無機塩、1級アミン、2級アミン等は、アリールアミン化合物の電荷輸送能力に悪影響を与える原因となることから、この後の吸着剤との接触処理によって取り除く必要がある。
<粗製物を吸着材と接触させる手法>
上記のアリールアミン化合物の粗製物を吸着材と接触させるには、様々な手法を用いることが可能であるが、製造時の操作性等の点から、以下の手法が好ましい。
まず、合成によって得られたアリールアミン化合物の粗製物を、有機溶剤に混合して溶解させる。続いて、この混合溶液に後述する吸着材を加えて、通常数秒以上、好ましくは10分以上攪拌した後、吸着材を濾過等の公知の手法により分別する。吸着剤の添加・攪拌の操作は1回のみでもよく、繰り返し実施してもよいが、あまり繰り返し行なうとアリールアミン化合物の持つ電荷輸送能力に対して悪影響を与えることから、2回以下とするのが好ましく、1回のみ行なうのが特に好ましい。吸着材は1度に全量加えてもよく、また数回に分割して加えてもよい。吸着材は乾燥状態のまま加えてもよいが、予め有機溶剤で湿らせておいて、粉塵の飛散を防止しながら加えてもよい。また、操作性の観点からは、配管、カラム、濾過装置等に吸着材を敷き詰めて、これに粗製物を有機溶剤に溶解させた溶液を流し込むという手法を用いることも可能である。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、アリールアミン化合物の粗製物を溶解させることが可能な溶剤であれば特に制限は無いが、吸着材とアリールアミン化合物との吸脱着平衡を考慮すると、脂肪族炭化水素系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。芳香族炭化水素類の好ましい具体例としては、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−シメン、m−シメン、p−シメン、アニソール、エチルキシレン、エチルトルエン、エチルアニソール、メチルナフタレン、ジフェニルメタン等が挙げられ、脂肪族炭化水素類の好ましい具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの溶剤は何れか一種を単一溶剤として用いてもよく、何れか二種以上を混合することにより混合溶剤として用いてもよい。芳香族炭化水素系溶剤と飽和脂肪族炭化水素系溶剤とを併用する場合、その使用比率は任意に選択することが可能であるが、(飽和炭化水素系溶剤)/(芳香族炭化水素系溶剤)の重量比の値で、通常は0.1以上、また、通常1以下、好ましくは0.7以下の範囲である。また、有機溶剤の使用量も、粗製物の溶解性によって様々な値を選択することが可能であるが、アリールアミン化合物の精製効率や電荷輸送材料の生産性を考慮すると、(粗製物)/(有機溶剤)の重量比の値で、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、また、通常0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下の範囲である。
<吸着材>
吸着材としては任意のものを用いることが可能であるが、アリールアミン化合物の正孔輸送能力の観点からは、代表例としてシリカゲル、アルミナ、モンモリナイト、活性白土、活性炭等を挙げることができる。これらの中でも、特に精製能力の高い活性白土又は活性炭が好ましい。その理由として、活性白土は、1級アミン、2級アミン等を吸着、酸化により無毒化する能力を有すること、活性炭は、多孔質の粒子であり脱色作用において優れた能力を発揮することが挙げられる。
吸着材の活性としては、活性化の度合いが大きいとアリールアミン化合物に及ぼす悪影響が大きくなる一方で、活性が低過ぎると精製効率が低下することから、適度に活性化されたものが好適である。この様な吸着剤としては、活性アルミナ、活性シリカゲル、活性白土、活性炭などが挙げられるが、製造コストの面から、活性炭又は活性白土が好ましく、接触処理の効率や製造時の操作性の面を考慮すると、活性白土がより好ましい。活性炭としては、パーム殻、木炭、褐炭、泥炭などを薬品払括法により処理したもの等が挙げられ、特に塩化亜鉛、水蒸気等の活性化材で処理したものが好ましい。活性白土は、酸性白土等の原料粘土鉱物に各種の活性化処理を加えたもので、当該活性化処理としては、通常、種々の酸を用いた処理が行なわれる。活性化処理に使用する酸の種類は特に制限されないが、処理の効果や費用の観点から、無機酸を用いて処理することが好ましく、特に硫酸等で処理したものが好ましい。
また、これらの吸着材は、過剰に水分を除去すると活性が高くなり過ぎてしまい、アリールアミン化合物の正孔輸送能力に対して悪影響を及ぼすことから、吸着材の水分含有量は通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上である。一方、含水率が高過ぎると吸着材の活性が低下することから、吸着材の水分含有量は通常15重量%以下であり、精製効率を高める観点からは12重量%以下が好ましい。
吸着材の表面積は、吸着能力を高める観点から大きい方が好ましく、通常50m2/g以上、好ましくは100m2/g以上、更に好ましくは150m2/g以上である。上限は特に制限されないが、通常は400m2/g以下である。
吸着材の形状は、特に限定されるものではないが、製造時の取り扱い性を考慮した場合、粒状であることが好ましい。その粒径は、製造時の濾過性を考慮すると、通常5メッシュ以上、500メッシュ以下の範囲である。中でも、濾過性能を考慮すれば5メッシュ以上、30メッシュ以下が好ましく、吸着効率を考慮すれば50メッシュ以上、500メッシュ以下が好ましい。
なお、上述の吸着材の粒径は、以下の様に定義する。即ち、JIS Z 8801群(試験用ふるい)に規定される試験用ふるいを用いて、JIS Z 8815(ふるい分け試験方法通則)に規定されるふるい分け試験を行なった場合に、下記の式(1)及び式(2)で規定される積算ふるい下百分率Q(%)が85%以上となるふるいのうち、最も目開きが小さいふるいの目開きの値(メッシュ)をもって、その吸着材の粒径とする。
Figure 2005233999
但し、R:ふるい上百分率(%),m:ふるい上の試料(吸着材)の質量(g),T:回収試料(吸着材)の質量(g)を表わす。
Figure 2005233999
但し、ΣR:積算ふるい上百分率(%)を表わす。
吸着材の吸着孔の平均直径については、精製するアリールアミン分子の大きさを考慮しなればならないが、通常10オングストローム以上、また、通常100オングストローム以下、好ましくは70オングストローム以下の範囲である。
吸着材の使用量としては、粗製物に対する吸着材の量が多過ぎると、濾過性不良等による精製収率の低下や吸着材の酸化能によりアリールアミン化合物の正孔輸送能力に悪影響を与えることから、(吸着材)/(粗製物)の重量比の値で通常0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下の範囲である。一方、粗製物に対する吸着材の量が少ないと吸着材の酸化能がアリールアミン化合物に与える悪影響の度合いは低くなるが、少な過ぎると精製効率が低下することから、前記の重量比は通常0.01以上、好ましくは0.05以上の範囲である。
<接触処理時の温度>
本発明では、粗製物を有機溶剤に溶解させた混合溶液を吸着剤と接触させる際の温度が重要である。具体的に、接触処理時の温度は、通常80℃以下、アリールアミンの安定性を考慮すると好ましくは60℃以下、吸着材のアリールアミンに与える影響を考慮するとより好ましくは35℃以下の範囲である。接触処理時の温度の下限は、有機溶媒の凝固点以上であれば得に制限されないが、通常は0℃以上であり、特に本発明では溶解能力の低い溶媒を用いることから、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
<製造される材料>
接触処理の終了後、吸着材を濾過等の公知の手法により分別する。得られた濾液は、上述した各種の不純物が取り除かれ、アリールアミン化合物を高純度で含有する溶液となっている。これをそのまま電荷輸送材料として用いてもよいが、必要に応じて有機溶媒を減圧乾燥等の手法によって一部又は全部除去し、得られた濃縮液又は沈殿物を電荷輸送材料として用いてもよいし、溶媒を減圧留去後、残存する固体を溶解性の高い溶剤に溶解させて溶液としてから、この溶液を、この溶液と相溶性であって、該アリールアミン化合物の溶解性が低い溶媒に添加することにより、または逆に、この溶液と相溶性であって、該アリールアミン化合物の溶解性が低い溶媒を、この溶液に添加することにより、固体を析出させ、これを濾別して取り出し乾燥させたものを電荷輸送材料として用いてもよい。電子写真感光体の製造に使用する際の取り扱いの観点から、通常は溶媒を全て除去して、固体状の沈殿物の状態としてから用いる。有機溶媒を全て留去した場合、電子写真感光体用材料は通常は、白色又は淡黄色の粉末として得られる。
本発明の製造方法によって得られた電子写真感光体用材料(本発明の電子写真感光体用材料)は、アリールアミン化合物を高純度で含有するとともに、アリールアミン化合物の正孔輸送能力に悪影響を与える不純物が大幅に取り除かれている。また、アリールアミン化合物が本来有する正孔輸送能力が、構造変化や分解等の反応によって損なわれていない。よって、本発明の電子写真感光体用材料は、上述のアリールアミン化合物が何らかの機能を果たす用途であれば、電子写真感光体の他、有機電界発光素子等の各種の用途に用いることが可能であるが、電子写真感光体に使用することが好ましい。電子写真感光体に使用する場合、電荷輸送物質や各種の添加剤としての用途が考えられるが、特に電子写真感光体の感光層中に電荷輸送物質として含有させることによって、暗所電荷保持率、感度、残留電位等の電気特性に優れ、しかも耐久性にも優れた電子写真感光体を得ることができるので、極めて有用である。
[2.電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、この上に形成された感光層とをそなえて構成される。上に説明した本発明の電子写真感光体用材料はこの感光層中に含有される。
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料、更にはその表面にアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料を蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。または、金属材料の導電性支持体上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合には、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性支持体の形状としては、ドラム状、シート状、ベルト状等が用いられる。導電性支持体の表面は平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。更には、安価化のために切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いられる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素含む金属酸化物粒子が挙げられる。1種類の粒子のみを用いてもよく、複数の種類の粒子を混合して用いてもよい。これらの金属粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていてもよい。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れを用いてもよい。また、複数の結晶状態のものを併用してもよい。
金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、その特性及び液の安定性の面からは、平均一次粒径が通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下の範囲のものを用いる。
下引き層は、前記金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知の結着樹脂を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。更には硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等が、良好な分散性、塗布性を示すので好ましい。
バインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の量比は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点からは、通常10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用する。
また、下引き層には、画像欠陥防止などを目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させても良い。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性の観点からは、通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下の範囲とする。
<感光層>
感光層は、上述の導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)設けられる。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下「単層型感光体」という。)と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造のもの(以下「機能分離型感光体」又は「積層型感光体」という。)とが挙げられるが、何れであってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
(電荷発生層)
機能分離型感光体の場合、電荷発生層は、結着樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に塗布し、電荷発生物質を各種バインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は波長600〜900nmの比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は白色光及び波長300〜500nmの比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記に示す。
Figure 2005233999
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種類を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
一方、電荷発生層に用いるバインダー樹脂の種類は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロール系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
電荷発生物質とバインダー樹脂との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常30重量部以上、500重量部以下の範囲とする。
電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲とする。
(電荷輸送層)
機能分離型感光体の電荷輸送層は、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。具体的には、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して得られる塗布液を、導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
バインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が特に好ましい。これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダー樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種類以上をブレンドして用いることもできる。
電荷輸送物質としては、上述の本発明の電子写真感光体用材料を用いる。本発明の電子写真感光体用材料は単独で用いても2種以上を併用してもよく、更には他の公知の電荷輸送材料と組み合わせて用いてもよい。他の公知の電荷輸送材料としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
なお、電荷輸送物質としては、バインダー樹脂との相溶性、感光体の電気特性、塗布液の安定性の観点から、溶解度が高いものを選択することが好ましい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質を通常20重量部以上の比率とする。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、電荷輸送物質の比率の上限は、感光層の熱安定性の観点から通常150重量部以下とする。中でも、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の観点から120重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から100重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から80重量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。
(単層型感光体の感光層)
単層型感光体の感光層は、機能分離型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。
単層型感光体の感光層には、上記の配合比率の電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光体の感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害があるので、感光層全体に対する重量比で通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
また、バインダー樹脂に対する電荷発生物質の使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
単層型感光体の感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲とする。
(その他)
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。
<表面層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、上述の手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減したりする目的で、保護層を設けても良い。保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。保護層に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。また、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂との共重合体を用いることもできる。保護層の電気抵抗は、通常109Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲となるようにする。電気抵抗が前記範囲を超えると残留電位が上昇し、カブリの多い画像となってしまう。一方、電気抵抗が前記範囲に満たないと画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成する必要がある。
なお、表面層には、感光体表面の摩擦抵抗や摩耗を低減し、又はトナーの感光体から転写ベルトや紙への転写効率を高める等の目的で、フッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等を含有させてもよい。または、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、各成分を溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて塗布液を作製した上で、導電性支持体上に公知の塗布方法を用いて各層毎に塗布・乾燥を繰り返していくことにより、順次形成される。
塗布液の作製に用いる溶媒又は分散媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソ〜ル等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状、及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状、及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらの溶媒・分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体の感光層及び機能分離型感光体の電荷輸送層の場合には、塗布液の固形分濃度は通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、機能分離型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
<製造される電子写真感光体>
以上、説明した本発明の電子写真感光体は、感光層中に高純度且つ高性能な本発明の電子写真感光体用材料を含有しているので、暗所電荷保持率、感度、残留電位等の電気特性に優れており、しかも耐久性も良好である。従って、複写機,ファクシミリ,プリンター等の感光体として好適に使用でき、極めて有用である。
以下、製造例,実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例,実施例及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「重量部」を示す。
[第1実施例群]
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例1)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリン190部、2−メチルブチルアルデヒド66部、酢酸700部、トルエン20部、メタンスルホン酸5部を混合し、65℃で10時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール500部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(4)で表わされるアリールアミン化合物の粗製物186部を得た(製造例1のアリールアミン粗製物)。
Figure 2005233999
<電荷輸送材料の製造>
(実施例1a)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例1aの電荷輸送材料)。
(実施例1b)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.5部を得た(実施例1bの電荷輸送材料)。
(実施例1c)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう二度繰り返し、その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.5部を得た(実施例1cの電荷輸送材料)。
(実施例1d)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例1dの電荷輸送材料)。
(比較例1a)
製造例1のアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例1aの電荷輸送材料)。
(比較例1b)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう2回繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.4部を得た(比較例1bの電荷輸送材料)。
(比較例1c)
製造例1のアリールアミン粗製物10部をトルエン80部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(比較例1cの電荷輸送材料)。
<電荷輸送材料の評価>
得られた実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
(電子写真感光体の作製)
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシランとを、ボールミルにて混合して得られたスラリーを乾燥後、更にメタノールで洗浄、乾燥して得られた疎水性処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエン(重量比7/1/2)の混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム/ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン/ヘキサメチレンジアミン/デカメチレンジカルボン酸/オクタデカメチレンジカルボン酸(組成モル%75/9.5/3/9.5/3)からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する固形分濃度18.0%の分散液(下引き層用分散液)とした。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み700Å)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、上記の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させて下引き層を形成した。
また、電荷発生物質として、CuKα線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.3°に強い回折ピークを有する、D型オキシチタニウムフタロシアニン10重量部に、4−メチル−4−メトキシ−ペンタノン−2を150重量部加え、サンドグラインドミルで1時間粉砕し、微粒化処理を行なった後、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デカンブチラール #6000C」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部及びフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHH」)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部を加えて、電荷発生層用塗布液を調整した。この塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上にバーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
更に、電荷輸送物質として、実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電荷輸送材料それぞれ50重量部、及びバインダー樹脂として、以下に示す2,2−ビス(4―ヒドロキシ−3―メチルフェニル)プロパンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(A)で表わされる単位)51モル%と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンを芳香族ジオール成分とする繰り返し単位(下記式(B)で表わされる単位)49モル%からなり、p−t−ブチルフェノールに由来する末端構造を有するポリカーボネート樹脂100重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.03重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒640重量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調整した。この塗布液を、前記電荷発生層上にフィルムアプリケーターにより、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した(実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電子写真感光体)。
Figure 2005233999
Figure 2005233999
(電気特性の評価)
得られた実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電子写真感光体を、電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー)を測定した(μJ/cm2)。更に、除電光として660nmのLED光を照射し、その後の残留電位を測定した。また、初期表面電位を−700Vにした後、暗所で5秒間放置した後の表面電位を測定し、その差を暗減衰とした。
実施例1a〜1d,比較例1a〜1cの電子写真感光体の電気特性の評価結果を下の表1に示す。また、対応する電荷輸送材料の製造条件として、白土(吸着剤)との接触処理の回数及び接触処理時の温度も併せて示す。
Figure 2005233999
[第2実施例群]
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例2)
N,N−ビス(p−メチルフェニル)アニリン350部、イソブチルアルデヒド114部、酢酸1300部、メタンスルホン酸9部を混合し、55℃で8時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール300部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(5)で表わされるアリールアミン化合物(分子量600)の粗製物348部を得た(製造例2のアリールアミン粗製物)。
Figure 2005233999
<電荷輸送材料の製造>
(実施例2a)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を2部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例2aの電荷輸送材料)。
(実施例2b)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例2bの電荷輸送材料)。
(実施例2c)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(実施例2cの電荷輸送材料)。
(比較例2a)
製造例2のアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例2aの電荷輸送材料)。
(比較例2b)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例2bの電荷輸送材料)。
(比較例2c)
製造例2のアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例2cの電荷輸送材料)。
<電荷輸送材料の評価>
得られた実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
(電子写真感光体の作製)
電荷輸送材料として実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電荷輸送材料を用いるとともに、電荷発生物質として、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が9.3°、10.6°及び26.3°に強い回折ピークを有する、A型オキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、上述した[第1実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を作製した(実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電子写真感光体)。
(電気特性の評価)
得られた実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
実施例2a〜2c,比較例2a〜2cの電子写真感光体の評価結果を下の表2に示す。また、対応する電荷輸送材料の製造条件として、白土(吸着剤)との接触処理の回数及び接触処理時の温度も併せて示す。
Figure 2005233999
[第3実施例群]
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例3)
N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)アニリン300部、ベンズアルデヒド140部、酢酸1800部、メタンスルホン酸8部を混合し、55℃で8時間反応させた。反応終了後、析出固体を分離し、メタノール1000部で洗浄し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(6)で表わされる構造のアリールアミン化合物(分子量689)の粗製物325部を得た(製造例3のアリールアミン粗製物)。
Figure 2005233999
<電荷輸送材料の製造>
(実施例3a)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.8部を得た(実施例3aの電荷輸送材料)。
(実施例3b)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作をもう一度繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(実施例3bの電荷輸送材料)。
(実施例3c)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間60℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.6部を得た(実施例3cの電荷輸送材料)。
(比較例3a)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量5%)を3部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例3aの電荷輸送材料)。
(比較例3b)
製造例3のアリールアミン粗製物10部をトルエン30部、アイソパーE(炭素数8〜9の飽和炭化水素を主成分とする混合物:エクソン化学製)30部の混合溶媒に溶解させ、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間90℃で撹拌した後、保温下濾別した。この操作を2回繰り返した後、得られた濾液をメタノールにて再沈し、減圧下乾燥させることにより、白色粉末9.7部を得た(比較例3bの電荷輸送材料)。
<電荷輸送材料の評価>
得られた実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
(電子写真感光体の作製)
電荷輸送材料として実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電荷輸送材料を用いた以外は、上述した[第2実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を作製した(実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電子写真感光体)。
(電気特性の評価)
得られた実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
実施例3a〜3c,比較例3a〜3bの電子写真感光体の評価結果を下の表3に示す。また、対応する電荷輸送材料の製造条件として、白土(吸着剤)との接触処理の回数及び接触処理時の温度も併せて示す。
Figure 2005233999
[第1実施例群〜第3実施例群の評価]
表1〜表3の結果に明らかな様に、本発明に規定する特定構造のアリールアミン化合物の粗製物を用いた場合、80℃以下の温度で吸着材と接触させることにより製造した各実施例の電荷輸送材料は、接触処理を行なわず、又は80℃を超える温度で接触処理を行なった各比較例の電荷輸送材料と比較して、電子写真感光体とした時の電気特性(半減露光エネルギー、暗減衰、残留電位)に優れていることが分かる。
[第4実施例群]
<アリールアミン粗製物の製造>
(製造例4)
下記構造式(7)で示されるホルミル基を有するアリールアミン誘導体10部と、下記構造式(8)で示されるリン酸エステル8.9部とを、テトラヒドロフラン150mlに溶解させ、t−ブトキシカリウム4.5部を添加し、25℃で2時間撹拌した。撹拌後、飽和食塩水で有機層を洗浄後、有機層をメタノール中に添加し、析出した固体を濾別し、減圧下乾燥させることにより、下記構造式(9)で示されるアリールアミン化合物(分子量828)の粗製物8.3部を得た(製造例4のアリールアミン粗製物)。
Figure 2005233999
Figure 2005233999
Figure 2005233999
<電荷輸送材料の製造>
(比較例4a)
製造例4で得られたアリールアミン粗製物10部をトルエン60部に25℃で溶解させようとしたところ、完溶しなかったため、トルエン60部を追加して完溶させた。ついで、25℃で活性白土(水分含有量12%)を2部添加し、30分間25℃で攪拌した後、保温下濾別した。その後、得られた濾液をメタノールと混合し、生じた結晶を減圧下で乾燥させることにより、淡黄色結晶9.6部を得た(比較例4aの電荷輸送材料)。
(比較例4b)
製造例4で得られたアリールアミン粗製物をそのまま電荷輸送材料として用いた(比較例4bの電荷輸送材料)。
<電荷輸送材料の評価>
得られた比較例4a〜4bの電荷輸送材料について、以下の手順により電子写真感光体を作製し、その電気特性を測定することによって、評価を行なった。
(電子写真感光体の作製)
電荷輸送材料として比較例4a〜4bの電荷輸送材料を用いた以外は、上述した[第2実施例群]の(電子写真感光体の作製)と同様の手順により電子写真感光体を製造した(比較例4a〜4bの電子写真感光体)。
(電気特性の評価)
得られた比較例4a〜4bの電子写真感光体について、上述した[第1実施例群]の(電気特性の評価)と同様の装置を用い、また同様の手順に従って、その電気特性の評価を行なった。
比較例4a,4bの電子写真感光体の評価結果を下の表4に示す。また、対応する電荷輸送材料の製造条件として、白土(吸着剤)との接触処理の回数も併せて示す。
更に、比較のために、同様の手順にて作製した実施例2b(第2実施例群),実施例3a(第3実施例群)の電子写真感光体の評価結果、並びに対応する電荷輸送材料の製造条件についても併せて示す。
なお、以下の何れの実施例及び比較例においても、白土(吸着剤)との接触処理時の温度は25℃である。
Figure 2005233999
[第4実施例群の評価]
表4の結果に明らかな様に、分子量が800以下のアリールアミン化合物の粗製物を用いた各実施例の電荷輸送材料は、分子量が800を超えるアリールアミン化合物の粗製物を用いた各比較例の電荷輸送材料と比較して、電子写真感光体とした時の電気特性(半減露光エネルギー、暗減衰、残留電位)において総合的に優れていることが分かる。
本発明の電子写真感光体用材料の製造方法によれば、特定構造を有するアリールアミン化合物の粗製物を精製することにより電子写真感光体用の材料を製造する際に、構造変化や分解等の反応によってその正孔輸送能力等を損なうことなく、高純度且つ高性能の電子写真感光体用材料を効率的に製造できることから、複写機,ファクシミリ,プリンター等における各種の電子写真感光体の製造分野において極めて有用である。
また、本発明の電子写真感光体は、感光層中に電荷輸送材料として、上述した本発明の電子写真感光体用材料を含有しているので、暗所電荷保持率、感度、残留電位等の電気特性に優れており、しかも耐久性も良好であることから、複写機,ファクシミリ,プリンター等の感光体として好適に使用でき、極めて有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表わされる分子量800以下のアリールアミン化合物を含有する粗製物と有機溶剤との混合液を、80℃以下の温度で吸着材と接触させる
    ことを特徴とする、電子写真感光体用材料の製造方法。
    Figure 2005233999
    (上記一般式(1)中、Ar1及びAr2は各々、置換基を有していてもよいアリーレン基又は2価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1とAr2とが互いに結合して環構造を形成してもよい。R1及びR2は各々、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表わす。Xは置換アミノ基を表わし、Yは水素原子又は置換アミノ基を表わす。)
  2. 上記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で表わされる基であり、Yが下記一般式(3)で表わされる基である
    ことを特徴とする、請求項1記載の電子写真感光体用材料の製造方法。
    Figure 2005233999
    (上記の一般式(2)及び一般式(3)中、Ar3,Ar4,Ar5及びAr6は各々、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環含有基を表わす。或いは、Ar1、Ar3及びAr4からなる群のうち2つ又は3つの基、及び/又は、Ar2、Ar5及びAr6からなる群のうち2つ又は3つの基が、それぞれ互いに結合して環構造を形成しても良い。)
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体用材料の製造方法により製造された
    ことを特徴とする、電子写真感光体用材料。
  4. 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体において、該感光層が、請求項3記載の電子写真感光体用材料を含有する
    ことを特徴とする、電子写真感光体。
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