JP2005231268A - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、かつ染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録用シートを提供する。
【解決手段】支持体上に、顔料、接着剤およびインク定着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク定着剤として、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物と、グアニジン化合物を併用したことを特徴とするインクジェット記録用シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録適性としての染料インク、顔料インクでの印字濃度に優れ、高精細の画像を鮮明に印字でき、印字保存性(特に印字耐光性および印字耐オゾン性)に優れたインクジェット記録用シートに関する。
水性インクを微細なノズルから記録体表面に向かって噴出し、記録体表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音の少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが低いことなどの理由により、プリンター、ファクシミリ、プロッタ、帳票印刷等で広く利用されている。
この水性インクは染料を用いた染料インクと顔料を用いた顔料インクとに分類され、鮮明性の点から主に染料インクが使用されている。しかし、近年は屋外展示用の大判のポスターなどにも使用されるようになってきたため、染料インクでは長期に展示すると紫外線、オゾン等により酸化され、画像が退色し見栄えが悪化して、充分な印字部の保存性が得られないという欠点が指摘されるようになってきている。一方、顔料インクは印字部の耐光性、印字部の耐オゾン性、印字部の耐水性に優れるという特徴を有する代わりに、染料インクの染料の大きさに比べ、顔料インクの顔料粒子は非常に大きいために、従来の染料インク用のインクジェット記録用シートでは、鮮明な印字画像が得られないという問題があった。そこで、染料インク用のインクジェット記録用シート、顔料インク用のインクジェット記録用シートのそれぞれが開発されているが、染料インクにも顔料インクにも良好な発色性を有するインクジェット記録用シートへの要望が高かった。
染料インクで印字して優れた耐水性や印字濃度を示すインクジェット記録用シートとして、塗工液中に水溶性金属塩あるいは金属酸化物を含有させる方法(例えば、特許文献1、〜9参照。)等が提案されているが、顔料インクで印字した際の発色性が不十分であったり、染料インクで印字した際の発色性や印字保存性(耐水、耐光、耐オゾン)に劣るものであり、染料インク、顔料インクのどちらで印字しても、共に優れた記録適性を有するインクジェット記録用シートは得られていない状況である。
特公昭63−11158号公報 特開昭58−94491号公報 特開昭60−67190号公報 特開昭61−74880号公報 特開平7−149037号公報 特開平9−99630号公報 特開平9−267546号公報 特開平4−201594号公報 特開平7−32725号公報
上記特許文献に記載されたインクジェット記録用シートは、いずれも染料インクの発色性と保存性、顔料インクの発色性を同時に満足するとはいえず、染料インク、顔料インクのいずれを用いても優れた発色性を持ち、染料インク印字部の保存性を満足するインクジェット記録用シートは得られていない状況である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、染料インクおよび顔料インクのいずれに対しても発色性にも優れ、染料インク印字部の保存性に優れたインクジェット記録用シートを提供するものである。とりわけ、塗工量の少ない60度鏡面光沢度が15%以下というマットタイプのインクジェット記録用シートにおいて、上記品質を満足する記録用紙を提供するものである。
すなわち本発明は、
(1)支持体上に、顔料、接着剤およびインク定着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク定着剤として、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物と、グアニジン化合物を併用したことを特徴とするインクジェット記録用シートである。
(2)グアニジン化合物が、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物である(1)記載のインクジェット記録用シートである。
(3)インク定着剤として更に、2級アンモニウム塩化合物を併用する(1)又は(2)記載のインクジェット記録用シートである。
(4)2級アンモニウム塩化合物が、アクリルアミド−ジアリルアミン構造を有する化合物である(3)記載のインクジェット記録用シートである。
(5)顔料が、平均二次粒子径2〜12μmのシリカである(1)〜(4)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シートである。
(6)インク受容層中に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを含む(1)〜(5)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シート。
(7)インクジェット記録用シートの表面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である(1)〜(6)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シートである。
本発明は、顔料インク、染料インクともにインクジェット記録適性(発色性)に優れ、高精細の画像を鮮明に印字でき、印字部の保存性に優れるインクジェット記録用シート、特にマットタイプのインクジェット記録用シートを提供することができる。
(層構成)
本発明は、支持体上に、顔料、接着剤およびインク定着剤を含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シートであり、インク受容層に配合するインク定着剤として、グアニジン化合物と、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム及び硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の亜鉛化合物、マグネシウム化合物を併用する。
なお、本発明においては、支持体の両面に同様のインク受容層を設けても構わない。この場合、インクジェット記録用シートにおいて両面に鮮明な印字を施すことが可能となる。
また、インク受容層は、複数の層から構成されていてもよい。支持体とインク受容層の間にアンダーコート層を設けてもよく、インク受容層上に、インク受容層の記録適性を損なわない範囲で、光沢性を付与するため、或いは保存性を高めるためのオーバーコート層を形成してもよい。
(支持体)
支持体としては、通常のインクジェット記録用シートとして使用できる支持体であれば特に限定されるものではなく、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙などの紙類、樹脂フィルム、不織布等、あるいは樹脂フィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼り合わせたもの、または紙に樹脂をラミネートしたもの等の樹脂被覆紙が使用される。
(インク受容層)
インク受容層は、顔料、接着剤およびインク定着剤を少なくとも含有する。
インク受容層に用いられる顔料は従来からインクジェット記録用シートの塗工層、インク受容層に用いられている顔料であれば特に限定されるものではなく、例えば、シリカ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、擬ベーマイト、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの無機顔料;アクリルあるいはメタクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−イソプレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等の樹脂からなる有機顔料が挙げられ、これらの顔料は真球状でも不定形でもよく、無孔質でも多孔質でもよい。これらの顔料は1種を用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
これらの顔料の中では、発色性、インク吸収性に優れることから、シリカ、アルミナ、擬べーマイト、軽質炭酸カルシウム、ゼオライトが好ましく選択され、なかでもシリカ、アルミナ、擬べーマイトが好ましく、シリカが最も好ましい。
シリカとしては非晶質シリカが好ましい。シリカの製法は特に限定されるものではなく、電弧法、乾式法、湿式法(沈殿法、ゲル法)のいずれの方法で製造されたものでもよいが、湿式法シリカが、顔料インク用インクジェット記録用シート、染料インク用インクジェット記録用シートのいずれにも適しているので好ましい。
シリカとして湿式シリカを用いる場合、湿式シリカの2次粒子の平均粒子径は2〜12μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。平均粒子径が2μm未満であると、これを染料インク用インクジェット記録用シートに用いた場合、シートの染料インクの吸収性が低下する傾向にあり、また、光透過性がより高くなるので、染料インクによる記録の耐光性が低下する、或いは塗膜強度が低下するといった傾向がある。また、これを顔料インク用インクジェット記録用シートに用いた場合は、顔料インクの定着性が低下するといった悪影響を生じる場合もある。一方、湿式シリカの2次粒子の平均粒子径が12μmを超えると、染料インク用インクジェット記録用シート、顔料インク用インクジェット記録用シート共に、画像の鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった問題を生じる傾向にある。
なお、本発明において、シリカの平均粒子径とは、コールカウンタ法によるもので、シリカを蒸留水中にて30秒間超音波分散したものを試料として測定される体積平均粒子径を表すものである。
本発明においては、インク受容層が含有する顔料として、その少なくとも一部に表面を界面活性剤で処理した顔料を用いることが好ましい。すなわち顔料の全てが表面を界面活性剤で処理した顔料でもよく、表面を界面活性剤で処理した顔料と、処理していない顔料の双方を用いてもよい。処理していない顔料は先に説明した発明で用いられる顔料と同様のものが用いられているので説明を省略する。
表面を界面活性剤で処理される顔料としては、先に説明した発明で用いられる顔料と同様のものが用いられ、同様に、シリカ、アルミナ、擬べーマイト、軽質炭酸カルシウム、ゼオライトが好ましく選択され、なかでもシリカ、アルミナ、擬べーマイトが好ましく、シリカが最も好ましい。
顔料の表面を処理する界面活性剤は、先に説明した発明で用いられる界面活性剤と同様、特に限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を挙げることができる。これらの中でも、HLB値が8.0〜15.0のものが好ましく、10.0〜12.0のものがより好ましい。
顔料表面の界面活性剤処理法は、例えば特開平9−25440号公報に記載された方法を採用することができる。すなわち、顔料、例えば湿式法シリカと界面活性剤、例えば多鎖型非イオン性界面活性剤とを高速流動ミキサー等の混合機で混合する乾式混合法を採用することができる。この場合、界面活性剤を直接顔料に添加混合してもよく、界面活性剤をエタノール等の揮発性溶媒で希釈したものを添加混合してもよい。
また、顔料、例えば湿式法シリカの乳化スラリー液に所定量の界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤を添加混合しておき、続いて噴霧乾燥等を行う湿式処理法を採用することもできる。湿式処理法の場合、界面活性剤が水に難溶性の場合、これをあらかじめ強力に分散させてエマルジョンとし、このエマルジョンを顔料の乳化スラリー液に添加して充分に攪拌混合した後に乾燥処理することが好ましい。
このような方法で表面を界面活性剤で処理したシリカは、当該表面が界面活性剤で被覆された状態になっているものと考えられる。
シリカに対する界面活性剤添加量は、顔料100部あたり0.1〜30部であることが好ましく、0.5〜20部であることがより好ましい。好ましくはこのような範囲で界面活性剤を被覆したシリカを配合すると、発色性が向上し、鮮明な画像を得ることができる。
このインク受容層に用いられる接着剤としては特に限定されるものではなく、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類;ポリビニルアルコール及びその誘導体;カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合体または共重合体であるアクリル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂等、一般にインクジェット記録用として用いられている従来公知の接着剤が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上の接着剤を併用してもよい。
これら接着剤のなかでも、ポリビニルアルコールは、顔料との接着性が良好であるので好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールやカチオン化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体も適宜使用できる。
本発明では、インク受容層に、インクを定着させる目的のためインク定着剤として、カチオン性高分子としてグアニジン化合物を、水溶性金属塩として塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのうち少なくとも1種を含有する。グアニジン化合物と、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのうち少なくとも1種とを併用することにより、理由は定かでないが、染料インク、顔料インクともに発色性が向上し、特に、顔料インクで印字した際、非常に鮮明な画像を得ることが出来る。また、これらのインク定着剤を使用することにより、染料インクで印字した際の印字耐光性および印字耐ガス性(主にオゾンガス)が向上する。
グアニジン化合物はジシアンジアミド−ポリエチレンアミン構造を有する化合物であることが発色性および印字保存性の面から好ましい。
カチオン性高分子として、グアニジン化合物以外に、グアニジン化合物の作用効果を害さない範囲で、公知のカチオン性高分子を併用できる。公知のカチオン性高分子として、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)ジメチルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、5)ジアリルジメチルアンモニウム−SO共重合物、6)ジアリルアミン塩−SO共重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、8)ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、9)アリルアミン塩の重合物、10)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、11)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、等の一般市販されるものが挙げられる。
これらの中で、カチオン性高分子として、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物と、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物を併用することが好ましい。ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物と、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物を併用することにより、顔料インクで記録した際の発色性、染料インクで記録した際の発色性および印字部の保存性(特に印字耐光性および印字耐オゾン性)が優れるので好ましい。
カチオン性高分子の配合量は、顔料100質量部に対して5〜60質量部が好ましく、より好ましくは20〜50質量部の範囲で調節される。インク定着剤が5質量部未満であると、画像の発色性の低下や、印字部の保存性の低下が起こりやすくなり、60質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下が起こりやすくなる。
水溶性金属塩として、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも一種を使用するが、これらのうち、亜鉛化合物である塩化亜鉛、硫酸亜鉛が特に好ましい。これは、亜鉛の原子量が65.4に対し、マグネシウムの原子量は24.3であるため、亜鉛化合物とマグネシウム化合物とで同等の作用効果を得ようとすると、通常、マグネシウム化合物は亜鉛化合物の2倍〜3倍の質量部数配合する必要があり、これはインク吸収性・画像の鮮明性で不利となるためである。
水溶性金属塩として塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム以外に、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムの作用効果を害さない範囲で、公知の水溶性金属塩を併用できる。公知の水溶性金属塩として、1)アルミニウムの水溶性塩(硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、乳酸塩など)、2)マグネシウムの水溶性塩(塩化物、硫酸塩以外の、硝酸塩、酢酸塩、乳酸塩など)、3)ナトリウムの水溶性塩(硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、乳酸塩など)、4)カリウムの水溶性塩(硝酸塩、塩化物、酢酸塩、硫酸塩、乳酸塩など)、5)亜鉛の水溶性塩(塩化物、硫酸塩以外の、硝酸塩、酢酸塩、乳酸塩など)、の一般市販されるものが挙げられる。
水溶性金属塩の配合量は、顔料100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましく、より好ましくは1〜20質量部の範囲で調節される。水溶性金属塩が0.5質量部未満であると、画像の発色性が起こりやすくなり、30質量部を超えると、インク吸収性の低下、印字ムラ、画像の鮮明性の低下、印字耐水性の悪化が起こりやすくなる。
インク受容層には、さらに一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
インク受容層の塗工量は特に限定されるものではないが、2〜30g/mとするのが好ましく、5〜20g/mとするのがより好ましい。
塗工量が上記下限より少ないと、インク吸収性、画像の鮮明性、印字保存性が低下しやすく、塗工量が上記上限より多いと、塗膜強度や画像の鮮明性が低下しやすい。
なお、インク受容層は複数層積層してもよく、その場合、層間でインク受容層組成が異なっていてもよい。
このインク受容層は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗工装置で形成することができる。塗工後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げ処理を行ってもよい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
<実施例1>
(表面処理シリカAの作製)
湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60)900gを水に懸濁、スラリー化(約10〜15%)し、このスラリーに界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、商品名:ノイゲンET−102、第一工業製薬社製、HLB:10.8)100gの水懸濁物を添加し、1時間撹拌混合した。次いで、噴霧乾燥し、粉砕分級して、本発明の表面処理シリカAを得た。得られた表面処理シリカAの平均二次粒子径は6μmであった。
(インク受理層塗工液の調製)
顔料として湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60)80部と上記で得た表面処理シリカA20部、接着剤としてシリル変性PVA(クラレ社製、商品名:R−1130)20部およびエチレン−酢酸ビニル系共重合体(昭和高分子社製、商品名:ポリゾールAM−3000、エマルジョン型接着剤)20部、インク定着剤としてジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)30部、塩化亜鉛水溶液(和光純薬工業社製:塩化亜鉛を水に溶かして5%として使用、分子量136.30)5部、および水を混合分散して塗工液を調製した。
[インクジェット記録用シートの作製]
坪量170g/mの上質紙の片面に、インク受容層塗工液を塗工量が10g/mとなるように塗工、乾燥し、インクジェット記録用シートを作製した。
得られたインクジェット記録用シートにつき、上記各評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を、硫酸亜鉛水溶液(和光純薬工業社製:硫酸亜鉛7水和物をを水に溶かして5%として使用、分子量287.56)10部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<実施例3>
実施例1のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を、塩化マグネシウム水溶液(和光純薬工業社製:塩化マグネシウム6水和物をを水に溶かして5%として使用、分子量203.30)20部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<実施例4>
実施例1のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を、硫酸マグネシウム水溶液(和光純薬工業社製:硫酸マグネシウム7水和物をを水に溶かして5%として使用、分子量246.48)20部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<実施例5>
実施例1のインク層塗工液中のインク定着剤を、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物(日華化学社製、商品名:ネオフィックスIJ−117)15部およびアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名、SR1001)15部、塩化亜鉛水溶液(和光純薬工業社製:塩化亜鉛を水に溶かして5%として使用、分子量136.30)5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<実施例6>
実施例1のインク層塗工液中の顔料を、湿式シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−60)100部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<比較例1>
実施例6のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を除いた以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<比較例2>
実施例6のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を、硫酸アルミニウム(和光純薬工業社製:硫酸アルミニウム水和物をを水に溶かして5%として使用、分子量594.35)30部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<比較例3>
実施例6のインク受容層塗工液中の塩化亜鉛水溶液を、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製:塩化ナトリウムをを水に溶かして5%として使用、分子量58.44)5部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<比較例4>
実施例6のインク受容層塗工液中のインク定着剤を、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名、SR1001)30部、塩化亜鉛水溶液(和光純薬工業社製:塩化亜鉛を水に溶かして5%として使用、分子量136.30)5部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<比較例5>
実施例6のインク受容層塗工液中のインク定着剤を、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(センカ社製、商品名:ユニセンスCP101)30部、塩化亜鉛水溶液(和光純薬工業社製:塩化亜鉛を水に溶かして5%として使用、分子量136.30)5部に変更した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
<評価>
各実施例、比較例で得られたインクジェット記録用シートの印字濃度、印字耐光性、および印字耐オゾン性を、以下に示す方法で評価した。
なお、評価にあたって、インクジェット記録用シートへの印字は、下記のとおり行った。
・プリンタA
市販の染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−G800、印字モード:フォトマット紙/高精細)
・プリンタB
市販の顔料インクジェットプロッター(EPSON社製、商標:PX−9000、インク:マットブラック使用、印字モード:PXMCプレミアムマット紙/きれい)
・プリンタC
市販のインクジェットプロッター(HP社製、商標:DesignJet5500PS、インク:顔料インク使用、印字モード:最高品質)
[印字濃度]
財団法人日本規格協会発行の画像(「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/JIS−SCID」、識別記号:S6、画像名称:カラーチャート)をプリンタA,B,Cの3機種で印字し、ブラックの最高色調部を、GuretagMacbeth社製RD−914にて、印字濃度を測定した。
(印字耐光性)
プリンタA(染料インク使用)を用い、市販の画像処理ソフトで、マゼンタの吐出量が80%となるよう調節し印字した記録物を、65℃40%RH環境下で照度100kluxのキセノンランプを72時間照射し、印字濃度を測定した。印字部の耐光性を、次式の印字濃度残存率により評価した。
印字濃度残存率(%)=(照射後の印字濃度/照射前の印字濃度)×100
(印字耐オゾン性)
プリンタA(染料インク使用)を用い、市販の画像処理ソフトで、マゼンタの吐出量が80%となるよう調節し印字した記録物を、24℃60%RH環境でオゾン濃度2.5ppm雰囲気中に24時間放置し、印字濃度を測定した。印字部の耐オゾン性を、次式の印字濃度残存率により評価した。
印字濃度残存率(%)=(放置後の印字濃度/放置前の印字濃度)×100
Figure 2005231268
本発明は、塗膜強度、印字耐水性、印字濃度、インク吸収性に優れ、かつ染料インクおよび顔料インクともに優れたインクジェット記録用シートを提供することができる。また、本発明は、支持体に古紙再生パルプを用いた紙基材にも適用できるので、更に限りある資源を有効に利用するために古紙を利用しつつ、特にマットタイプのインクジェット記録用シートを提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録用シートの裏面に、粘着加工を施してラベルにすることや、磁気加工あるいはICチップを組み合わせることにより磁気カードやICカードとすることもできる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、顔料、接着剤およびインク定着剤を少なくとも含有するインク受容層を設けたインクジェット記録用シートにおいて、インク定着剤として、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物と、グアニジン化合物を併用したことを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. グアニジン化合物が、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物である請求項1記載のインクジェット記録用シート。
  3. インク定着剤として更に、2級アンモニウム塩化合物を併用する請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
  4. 2級アンモニウム塩化合物が、アクリルアミド−ジアリルアミン構造を有する化合物である請求項3記載のインクジェット記録用シート。
  5. 顔料が、平均二次粒子径2〜12μmのシリカである請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シート。
  6. インク受容層中に、表面を界面活性剤で処理した表面処理シリカを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シート。
  7. インクジェット記録用シートの表面のJIS−Z8741で規定される60度鏡面光沢度が15%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用シート。

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