JP2005231128A - 防汚性表面材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材表面に光重合開始剤と(メタ)アクリレートとを含有する中間層を形成し、光照射して硬化させ、該中間層上にフッ素含有単量体を塗布し、活性エネルギー線を照射してフッ素含有重合体含被膜を設けてなることを特徴とする。中間層には、さらにカチオン重合性化合物、微粒子を含有することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
しかしこのような表面保護を目的としたハードコート層は、使用するに際して、人の指紋(皮脂)、汗、化粧品などの汚れが付着しやすく、また、一度付着した汚れが除去しにくいため、透明性や反射性を損ない、結果として視認性が悪くなるという問題を有していた。
また、本発明の他の目的は、上記防汚性及びその耐久性に優れた防汚性表面材料の簡易な製造方法を提供することにある。
すなわち本発明の防汚性表面材料は、基材表面に光重合開始剤とアクリレート及び/又はメタクリレートとを含有する中間層を形成し、光照射して硬化させ、該中間層上にフッ素含有単量体を塗布し、活性エネルギー線を照射してフッ素含有重合体含被膜を設けてなることを特徴とする。
この中間層は、高硬度であることが好ましく、具体的には、後に詳述するJIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法による鉛筆の硬度で2H以上であることが好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
また、中間層には、さらにカチオン重合性化合物を含有することが好ましく、中間層にカチオン性重合性化合物と微粒子とを含有することがさらに好ましい態様である。
なお、本明細書中では、アクリレート、メタクリレートのいずれか一方、又は、双方を示す場合、(メタ)アクリレートと表記することがある。また、以下、「アクリレート」について説明した内容は、特に断らない限り、その一部又は全部を「メタクリレート」に置き換えた場合も同様である。
また、本発明においては、フッ素ポリマー皮膜はグラフト重合により中間層の不飽和二重結合を起点として生成され、ポリマーの片末端のみで中間層表面に結合しているが、他末端はフリーな状態で存在し、分子が動きやすく高い運動性を有する。このため、フッ素グラフトポリマーが本来有する防汚性が効果的に発現するものと推定される。
また、本発明の防汚性表面材料の製造方法によれば、防汚性及びその耐久性に優れた防汚性表面材料を簡易な方法でえることができる。
本発明の防汚性表面材料は、表面硬度、防汚性及びその耐久性に優れることから、画像表示装置、タッチパネル、プラスチック板、ガラス板などに好適に用いられ、その応用範囲は広い。
ここで、光照射によりハードコート被膜とされた中間層に残存していた光重合開始剤と残存していた(メタ)アクリレートがエネルギー付与により重合し、(メタ)アクリレートの重合末端が生成する。次に、この重合末端と表面に存在するフッ素モノマーとが反応し表面グラフト反応が起こりフッ素を含むグラフトポリマーからなる皮膜が生成する。
本発明の防汚性表面材料における、フッ素含有重合体被膜は基材上に多官能アクリレートと光重合開始剤を光照射し、硬化させた中間層を形成し、その層上にフッ素含有単量体を被覆して活性エネルギー線を照射し、基材表面に光グラフト重合を起こさせることにより得られる。
この2層構造においては、基材表面に形成された中間層が架橋構造を有するハードコート層として基材に密着するとともに、中間層自体も高硬度であり、また、フッ素含有重合体被膜は中間層を構成する材料と化学結合により固定化されているため、本発明の防汚性表面材料は、硬度、密着性に優れ、フッ素ポリマーに起因する高い防汚性が長期間にわたり持続することになる。
本発明の中間層には、アクリレート及び/又はメタクリレート、好ましくは多官能アクリレートと、光重合開始剤とを含有する。
(アクリレート及び/又はメタクリレート)
本発明に用いうるアクリレート化合物〔(メタ)アクリレート〕は、分子内にエチレン性不飽和基であるアクリロイル基を有するものであれば、特に制限はないが、硬化性、形成された中間層の硬度、強度向上の観点からは、多官能モノマーであることが好ましい。
本発明に好適に用いうる多官能モノマーとしては、多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。多価アルコールの例には、エチレングリコール、1、4−シクロヘキサノール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジペンタエリスリトール、1、2、4−シクロヘキサノール、ポリウレタンポリオールおよびポリエステルポリオールが含まれる。なかでも、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびポリウレタンポリオールが好ましい。中間層には、二種類以上の多官能モノマーを含んでいてもよい。
多官能モノマーは分子内に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むものを指すが、より好ましくは3個以上含むものである。具体的には、分子内に3〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーが挙げられるが、さらに、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に数個のアクリル酸エステル基を有する、分子量が数百から数千のオリゴマーなども本発明の中間層の成分として好ましく使用することができる。
P1は、一価のエチレン性不飽和基またはエチレン性不飽和基を有する一価の置換基を表す。
L1は、単結合もしくは二価以上の連結基を表し、好ましくは単結合及び以下に挙げる二価の連結基を表す。二価の連結基:−O−、アルキレン基、アリーレン基、*−COO−、*−CONH−、*−OCO−、*−NHCO−などが挙げられ、ここで*印の付与されているものは、*側で主鎖に連結する二価の基を表す。
好ましいP1としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基またはこれらのいずれかを含む一価の置換基が挙げられ、最も好ましくはアクリロイル基またはこれを含む一価の置換基である。
以下に一般式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例〔(A−1)〜(A−44)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、中間層には、前記アクリレートに加えて、他の重合性化合物、例えば、エチレン性不飽和基を1個もしくは2個含む重合性化合物(モノマーあるいはオリゴマー)を本発明の効果を損なわない限り併用してもよい。
開環重合性基を含む重合性化合物としては、カチオン、アニオン、ラジカルなどの作用により開環重合が進行する環構造を有する化合物が挙げられるが、本発明においては、重合後の堆積収縮が少ないため、形成された被膜の強度が高く、クラックの発生がないといった観点から、カチオン重合性化合物が好ましく、なかでもヘテロ環状基含有化合物が好ましい。このような重合性化合物としてエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、環状ラクトン誘導体、環状カーボネート誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
一般式(2)中、R2は一般式(1)中のR1と、L2はL1とそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
P2は、一価の開環重合性基または開環重合性基を有する一価の基であり、好ましいP2としては、エポキシ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環、カーボネート環、オキサゾリン環などのイミノエーテル環などを有する一価の基が挙げられ、この中でも特に好ましくはエポキシ環、オキセタン環、オキサゾリン環を有する一価の基である。
以下に一般式(2)で表される繰り返し単位の好ましい具体例〔(E−1)〜(E−26)〕を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の中間層には、硬度の向上と、多官能モノマーの硬化収縮を抑制する目的で充填剤としての無機微粒子または有機微粒子を添加することが好ましい。
無機微粒子としては、二酸化ケイ素粒子、二酸チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウム粒子が挙げられる。
有機微粒子としては、メタクリル酸−メチルアクリレートコポリマー粉末、シリコン樹脂粉末、ポリスチレン粉末、ポリカーボネート粉末、アクリル酸−スチレンコポリマー粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリオレフィン粉末、ポリエステル粉末、ポリアミド粉末、ポリイミド粉末およびポリフッ化エチレン粉末などが挙げられる。
充填剤として使用する微粒子の平均粒子径は、0.01乃至2μmであることが好ましく、0.02乃至0.5μmであることがさらに好ましい。また、添加量としては、効果と層の均一性の観点から1〜10質量%であることが好ましい。
本発明では中間層を形成した後、光照射することにより中間層を硬化させるものであり、このため、中間層には重合開始剤を含むことを要する。また、中間層の硬化に引き続き行われるグラフト重合にも重合開始剤が寄与することから、双方を考慮して重合開始剤を選択することが好ましい。
例えば、重合性化合物を含む中間層を活性エネルギー線照射により硬化することにより、低温で架橋反応が進行する場合が多く、好ましい。また、中間層の硬化には他の波長の光照射を使用し、グラフト重合を行う際に紫外線照射を利用してもよい。
本発明では、これら重合あるいは効果反応を生起、進行させるための活性エネルギー線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などを用いることができる。その中でも紫外線を用いて、ラジカルもしくはカチオンを発生させる重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。また紫外線を照射した後、加熱することにより、さらに硬化を進行させることができる場合があり、この方法を好ましく用いることができる。この場合の好ましい加熱温度は140℃以下、さらに好ましくは、30〜120℃の範囲である。
また、感度を高める目的でラジカル重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントン誘導体等が含まれる。
」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている重合性化合物等種々の公知の光酸
発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはスルホニウム塩もしくはヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF6 -、SbF6 -、AsF6 -、B(C6F5)4 -などが好ましい。
重合開始剤の添加量としては、中間層を構成する重合性化合物中に含まれるエチレン性不飽和基含有アクリレート化合物と開環重合性基含有重合性化合物の総質量に対し、0.1〜15質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜10質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが重合率を高める点で好ましい。
形成後の中間層の厚さは、1乃至15μmであることが好ましい。
前記中間層を設ける基材は透明であっても不透明であってもよく、目的に応じて選択することができるが、本発明の防汚性表面材料を光学的な用途に適用するためは透明な支持体基材を用いることが好ましい。
本発明において基材として用いうる透明支持体としては、ガラス、プラスチックフィルムなどが挙げられるが、適用部位の自由度の観点から、プラスチックフィルムが一般的である。
基材を構成するプラスチックフィルム材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1、4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1、2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンなどが挙げられるが、なかでも、光学特性(透明性)及び強度の観点からは、トリアセチルセルロース、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートなどが好ましい。
本発明で言う透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。
また、基材表面には、一層以上の下塗り層を設けることができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、低分子量ポリエステル、ゼラチン等の水溶性ポリマー等が挙げられる。
この下塗り層には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等の帯電防止剤を含有させることができる。
前記のようにして基材表面に硬化された中間層を設けた後、フッ素含有重合体被覆層を形成する。
(フッ素含有単量体)
前記中間層上に設けるフッ素含有重合体被膜は、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のフッ素含有単量体から形成されるものである。
CH2=CR1COOR2Rf・・・(I)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は−CpH2p−、−C(CpH2p+1)H−、−CH2C(CpH2p+1)H−又は−CH2CH2O−、Rfは−CnF2n+1、−(CF2)nH、−CnF2n+1−CF3、−(CF2)pOCnH2nCiF2i+1、−(CF2)pOCmH2mCiF2iH、−N(CpH2p+1)COCnF2n+1、−N(CpH2p+1)SO2CnF2n+1である。但し、pは1〜10、nは1〜16、mは0〜10、iは0〜16の整数である。〕
(式中Rg は炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CHRg・・・(III)
(式中Rgは炭素数1〜20のフルオロアルキル基を表わす。)
CH2=CR3COOR5RjR6OCOCR4=CH2 ・・・(IV)
〔式中、R3、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6は−CqH2q−、−C(CqH2q+1)H−、−CH2C(CqH2q+1)H−又は−CH2CH2O−、Rjは−CtF2tである。但し、qは1〜10、tは1〜16の整数である。〕
CH2=CHR7COOCH2(CH2Rk)CHOCOCR8=CH2・・・(V)
(式中、R7、R8は水素原子又はメチル基、Rkは−CyF2y+1である。但し、yは1〜16の整数である。)
一般式(I)で示される単量体としては、例えばCF3(CF2)7CH2CH2OCOCH=CH2、CF3CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)4CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、C7F15CON(C2H5)CH2OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)7SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2、CF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2、C2F5SO2N(C3H7)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、(CF3)2CF(CF2)6(CH2)3OCOCH=CH2、(CF3)2CF(CF2)10(CH2)3OCOC(CH3)=CH2、CF3(CF2)4CH(CH3)OCOC(CH3)=CH2、
併用する場合の配合量はフッ素含有単量体に対して50重量%以下が好ましい。
次に、フッ素含有重合体被膜の形成方法について説明する。このグラフト重合による被覆層を形成するには、前記中間層表面にフッ素含有単量体を配置し、活性エネルギーを付与すればよい。このとき、フッ素含有単量体を単独で付与するいわゆる無溶媒で実施してもよいが、他の溶剤や添加剤を含有する組成物として適用してもよい。
前者であると中間層表面に適用されるフッ素含有単量体を含有する組成物中のフッ素含有単量体の濃度は100%となる。また、ハンドリング性の観点から、フッ素含有単量体が溶解するような溶媒で希釈してもよい。ここで用いる溶媒には特に制限はないが、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等が好ましい。また、このとき、該組成物中には、フッ素含有単量体とともに、他の単官能及び多官能単量体や、界面活性剤、増粘剤等の添加剤を添加してもよい。
また、フッ素含有重合体被膜は均一性が良いため、薄い層で性能を発現でき、透明性に優れているとともに、膨潤しにくく、傷付いたり、剥離したりするおそれがなく、実用的な塗膜強度を有する。
また、本発明の製造方法によれば、基材表面に光重合開始剤と(メタ)アクリレートを含有する中間層を形成し、その上にフッ素含有単量体を塗布した後、活性エネルギー線を照射するという簡易な方法で、基材表面にフッ素含有重合体被膜を効率良く製造できるとともに、フッ素含有単量体として多官能単量体を使用することにより、架橋密度が向上し、高い強度を有するフッ素含有重合体被膜が得られるという利点をも有する。
(実施例1:多官能アクリレートモノマー+開始剤/フッ素グラフト)
(中間層の作製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)125gおよびウレタンアクリレートオリゴマー(UV−6300B、日本合成化学工業(株)製)125gを、439gの工業用変性エタノールに溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)5.0gを49gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を加えた。混合物を攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中間層塗布液を調製した。
フッ素含有単量体である2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート(アヅマックス(株)社製)0.5g、1−メトキシ−2−プロパノール(和光純薬工業(株)社製)0.5gを混合して均一溶液とした。
前記のようにして得られた硬化した中間層を有する基材(TAC)を4cm×5cmにカットし、中間層上に上記溶液を約0.5ml滴下し、上から石英板をかぶせてできるだけ均一な液膜を形成した。これをUV露光装置(UVX−02516S1LP01、高圧水銀灯、USHIO社製)で5分間露光した。露光後に石英版をはずし、得られたフッ素系グラフト膜をアセトンで洗浄し、未反応のフッ素含有単量体などの不純物を除去して実施例1の防汚性表面材料を得た。
水滴の接触角を測定したところ107.8度であり、優れた撥水性を有することがわかる。
実施例1で用いたフッ素含有単量体に代えてCF3(CF2)7SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2(大日本インキ製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例2の防汚性表面材料を得た。
(実施例3)
実施例1で用いたフッ素含有単量体に代えてCH2=CHCOOCH2CH2Rf〔式中Rfは−CnF2n+1−CF3、n=6、8、10、12〕(ケミノックス、FAAC−M、日本メクトロン社製)を使用した以外は実施例1と同様にして実施例2の防汚性表面材料を得た。
実施例1で用いたフッ素含有単量体に代えて2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレートのエタノール溶液(20wt%)を乾燥膜厚が1μmになるように中間層表面に適用した以外は実施例1と同様にして実施例4の防汚性表面材料を得た。
(実施例5)
前記実施例4において、フッ素含有単量体溶液を中間層上に適用した後、紫外線を照射する工程を窒素雰囲気下で行った以外は実施例4と同様にして実施例5の防汚性表面材料を得た。
(中間層の作製)
(中間層塗布液(h−1)の調製)
メチルエチルケトン(MEK)中にグリシジルメタクリレートを溶解させ、熱重合開始剤(V−65(和光純薬工業(株)製)を滴下しながら80℃で2時間反応させ、得られた反応溶液をヘキサンに滴下し、沈殿物を減圧乾燥して得たポリグリシジルメタクリレート(ポリスチレン換算分子量は12、000)をメチルエチルケトンに50質量%濃度になるように溶解した溶液100質量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート(ビスコート#295;大阪有機化学工業(株)製)150質量部と光ラジカル重合開始剤(イルガキュア184、チバガイギー社製)6質量部と光カチオン重合開始剤(ロードシル2074、ローディア社製)6質量部を30質量部のメチルイソブチルケトンに溶解したものを撹拌しながら混合し、中間層塗布液(h−1)を作製した。
厚さ175μmのPET(2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の両面をコロナ処理し、中間層を設置する面に屈折率1.55、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(LX407C5、日本ゼオン(株)製)と酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物(FS−10D、石原産業(株)製)を質量で5:5の割合で混合し、乾燥後の膜厚が200nmとなるよう塗布し、帯電防止層付き下塗り層を形成した後、上記中間層用塗布液(h−1)をエクストルージョン方式で塗布、乾燥し、紫外線を照射(700mJ/cm2)して乾燥後の中間層の厚みが20μmであるハードコートフィルムを作製した。
(フッ素含有重合体被膜の形成)
前記ハードコートフィルム表面に、フッ素モノマーとして2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレートを使用した以外は実施例1と同様にしてフッ素含有重合体被膜を形成し、実施例6の防汚性表面材料を得た。
中間層塗布液に、微粒子として二酸化チタン10質量部〔多木化学(株)製〕を添加した以外は、実施例6と同様にして中間層塗布液を調整し、それを中間層形成に用いた他は実施例6と同様にして実施例7の防汚性表面材料を得た。
実施例1で得たのと同様の硬化された中間層を有する基材を用い、中間層表面にポリ(2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート)(分子量13万)のヘキサフルオロイソプロパノール溶液(10wt%)を乾燥膜厚が1ミクロンになるように塗布し、比較例1の防汚性表面材料を得た。
(比較例2)
実施例1で得たのと同様の硬化された中間層を有する基材表面にフッ素含有重合体被膜を設けずにそのまま評価試験に用いた。
(比較例3)
中間層を形成しないPETフィルムをそのまま用い、表面に実施例1におけるのと同様にしてフッ素含有単量体を滴下し、同様に紫外線照射したが、表面は変化せず、ポリマー被覆層を形成できなかった。
実施例1において中間層を作成する際に光照射しなかった以外は実施例1と同じ方法でフッ素ポリマー皮膜を形成した。未硬化の中間層とフッ素単量体が混合したためにフッ素ポリマー皮膜が表面に局在せず、防汚性が低く、また表面硬度も低いものであった。
(比較例5)
実施例6において多官能アクリレートと重合開始剤(イルガキュア184)を除いたほかは同じ方法にて中間層を形成した。次に同じ方法にてフッ素含有重合体被膜の形成を試みたがまったくグラフト反応は進行しせず、被膜が形成されなかった。接触角(空中水滴)も70度であり、フッ素含有単量体による処理前とおなじ値であった。
それぞれの評価方法は、以下の方法で行い、防汚性表面材料の性能を評価した。結果を下記表1に示す。
(接触角)
防汚性表面材料を2×2cm2に切り取り、Contact−Angle meter(協和界面化学(株)製10927)を用いて空中で水滴の接触角を測定した。単位は度。
(初期防汚性)
防汚性表面材料のフッ素含有重合体被膜表面に速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))を用いて字を書いた。次にその字を旭化成社製「ベムコットン」(登録商標)を用いてきれいに拭き取れるまでの回数を測定した。
旭化成社製「ベムコットン」(登録商標)を用いて防汚性ハードコートフィルムの表面を100回強くこすった後、フィルム表面に速乾性油性インキ(ゼブラ製、「マッキー」(登録商標))で字を書きそれが拭き取れるまでの回数を示した。
(鉛筆硬度試験)
鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製した防汚性表面材料を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、9.8Nの荷重にて傷が認められない鉛筆の硬度を求めた。
Claims (4)
- 基材表面に光重合開始剤とアクリレート及び/又はメタクリレートとを含有する中間層を形成し、光照射して硬化させ、該中間層上にフッ素含有単量体を塗布し、活性エネルギー線を照射してフッ素含有重合体含被膜を設けてなる防汚性表面材料。
- 中間層に、さらにカチオン重合性化合物を含有する請求項1に記載の防汚性表面材料。
- 中間層に、さらに微粒子を含有することを特徴とする請求項2に記載の防汚性表面材料。
- 基材表面に光重合開始剤とアクリレート及び/又はメタクリレートを含有する中間層を形成し、該中間層に光照射して硬化させ、硬化した中間層表面にフッ素含有単量体を塗布し、活性エネルギー線を照射して該フッ素含有単量体を重合させることで、中間層表面にフッ素含有重合体被膜を設けることを特徴とする防汚性表面材料の製造方法。
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