JP2005226877A - 電気式溶融炉 - Google Patents

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Masahiro Yoshida
雅弘 吉田
Yasunori Terabe
保典 寺部
Akira Noma
野間  彰
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Abstract

【課題】 電極と絶縁材間の付着物による絶縁不良を確実に防止でき、さらには付着物が堆積してサイド電流が発生した場合にも速やかに絶縁不良を解消することができる絶縁材構造を具備した溶融炉を提供する。
【解決手段】 炉本体の上部に電極が挿通支持されるとともに、炉内に浮遊する揮散物が冷却され析出した付着物の付着による導通を防ぐ絶縁スリーブ10を、前記電極の炉貫通部に間隙15を存して配した電気式溶融炉において、前記間隙15の下方側をテーパ状若しくは段差状に拡開して炉内部からの輻射熱を受ける受熱空間Aを設け、前記絶縁スリーブの上方側を炉外からの伝熱により低温域とし、下方側を前記受熱空間Aにより高温域となるように前記絶縁スリーブ10を形成し、前記低温域を前記付着物の絶縁性が保持される温度域とするとともに、前記高温域を前記付着物が溶融して流下する温度域とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炉体に貫設した電極間に電圧を印加して炉内を高温に維持し、焼却灰等の被溶融物を溶融処理する電気式溶融炉に関し、特に、炉本体を流れるサイド電流を防ぐために電極周囲の炉本体に絶縁体を配設した電気式溶融炉に関する。
下水汚泥、都市ごみ又は産業廃棄物、若しくはこれらの焼却灰等の被溶融物は、資源化、減容化及び無害化を目的として溶融炉で溶融され、スラグ化して処理されている。生成されたスラグは、灰中に含まれる有害物質を封入するとともに有用な資源として回収され、地盤改良剤、路盤材、アスファルト用骨材等として再利用することができる
一般的に、溶融炉は大きく電気式溶融炉と燃料式溶融炉に分けられ、
さらに電気式にはアーク式、プラズマ式、電気抵抗式、燃料式には回転式溶融、固定式表面溶融、コークスベッド式が主な方式として用いられている。そのうち、電気式溶融炉は安定した制御が可能でかつ燃料式より炉内を高温化できることからダイオキシン類等の排出抑制にも効果があるため、近年広く普及してきている。一例としてプラズマ溶融炉の構造を説明すると、このプラズマ溶融炉は耐火材で形成された炉内壁とこれを包被する鉄皮とで炉本体が構成され、炉本体の上部には主電極が貫挿され、これと対向して炉下部に炉底電極が配設されており、主電極と炉底電極との間に直流電圧を印加することにより電極間にプラズマアークを発生させ、被溶融物を溶融してスラグ化する構造となっている。
電気式溶融炉では炉内が高温に維持されるため、Na、Ka等の塩類や低沸点の重金属類などの低沸点物質が焼却灰中に含有される場合には、これらの低沸点物質がガス中に揮散して炉内壁にて冷却されて析出し、付着物として炉内壁に付着する。このような付着物は導電率が高く、電極近傍に堆積すると、電極と炉本体間の絶縁性が低下する。従って、従来より電極近傍のサイド電流の発生を防止するために、電極を囲撓するごとく絶縁スリーブを介装するとともに、絶縁スリーブと電極間に間隙を設け、炉内に向けてN2ガス等のパージガスを吹き込んでいた。
ところが、絶縁スリーブと電極の間隙に吹き込むパージガスは、間隙内で不均一となることがあり炉内のガスを完全に遮断できず、間隙に侵入し、延いては間隙内に付着物が堆積してサイド電流を発生してしまうという問題があった。従って、特開平11−351541号公報(特許文献1)では、付着物が堆積した場合にもサイド電流が発生し難い絶縁材構造を提案している。かかる構造は図15に示すように、耐火材53と鉄皮52からなる炉本体の上部に間隙(クリアランスC)を存して管状電極50が設けられ、該管状電極50を囲撓するごとく炉本体側には絶縁スリーブ51が配設されている。また、前記クリアランスCが下方へ向けてテーパ状に拡開するようにし、付着物が堆積しても電極と接触し難い構成とするとともに、パージガスを間隙全周に吹き込む構成としている。
さらに、特開2003−83530号公報(特許文献2)では、付着物の成長を限定することを可能としたスリーブ構造を提供している。これは、前記間隙が炉内側へ向けて複数段階に傾斜角度α、βをもたせて拡開するように形成される。スリーブ上方の傾斜角度βはパージガスのガス流が旋回せずに拡散する角度とし、スリーブ下方の傾斜角度αは付着物が流下し易い角度に設定される。これにより、パージガスを均一に拡散させて炉内ガスの侵入を防止できるとともに、付着物が付着しても炉外側へ流れ落ち、絶縁を十分にとることができる。
特開平11−351541号公報 特開2003−83530号公報
しかしながら、上記した従来技術では完全にサイド電流を防止することは困難である。これは、付着物がある程度堆積して電極間に高電圧が印加されることにより、付着物と電極との間にプラズマが発生して短絡してしまうことがあるからである。また、特許文献1及び2では絶縁スリーブの内周面の殆どをパージガスで保護することを目的としているが、実際にパージガスの効果により付着物を防ぐことができるのは絶縁スリーブの上方のみであり、下方ではパージガスが不均一となりガス流速も低下し、殆ど効果が得られない。絶縁スリーブ下方に付着物が堆積すると、炉内からの熱伝導により付着物の温度が上昇し付着物の比抵抗が低くなり、結果的に短絡し易くなってしまう。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、電極と絶縁スリーブ間の付着物による絶縁不良を確実に防止でき、さらには付着物が堆積してサイド電流が発生した場合にも速やかに絶縁不良を解消することができる電極周囲の絶縁材構造を具備した溶融炉を提供することを目的とする。
一般に、Na、Ka等の塩類や低沸点、低融点の重金属類等からなる付着物は、温度が高い程比抵抗が低く、温度が低くなるにつれ比抵抗が高くなる。一方、これらの付着物は温度が高い程揮発し易くかつ粘性が低下し流下し易くなり、温度が低くなる程固化し易くかつ粘性が増大し流下しにくくなる、という性質を有している。従って、本発明ではこの性質を基に、最も絶縁不良が発生し難い絶縁材構造を有する電気式溶融炉を発案した。
即ち、炉本体の上部に電極が挿通支持されるとともに、炉内に浮遊する揮散物が冷却され析出した付着物による導通を防ぐごとく前記電極の炉貫通部に間隙を存して該電極周囲の炉本体を絶縁材で構成した電気式溶融炉において、
前記間隙の下方側を上方側より拡開して炉内部からの輻射熱を受ける受熱空間を設け、前記電極周囲に配された絶縁材の上方側を炉外からの伝熱により低温域とし、下方側を前記受熱空間により高温域となるように形成し、
前記低温域を前記付着物の絶縁性が保持される温度域とするとともに、前記高温域を前記付着物が融解して流下する温度域としたことを特徴とする。このとき、前記電極周囲の絶縁材を環状の絶縁スリーブで形成することが好適である。
本発明によれば、前記絶縁材の垂直方向の温度勾配を大きくし、低温域と高温域夫々の温度域を上記したように設定することにより、前記低温域では付着物の比抵抗が増大し付着物が堆積しても絶縁が保持され、一方前記高温域では炉内からの飛散物や絶縁材内周面に付着した付着物が融解して流下し、絶縁不良によるサイド電流の発生を確実に防止することができる。ここで、前記絶縁材上方側を高温にして付着物を流下させることを行なわない理由は、前記間隙を密閉するシール部材の耐熱性が低く、これを保護するためである。
このように、前記炉内のスラグ面からの輻射熱、及び炉外の外気による冷熱伝導を夫々有効に利用することにより、効率よく絶縁性を保持することができる。
また前記発明において、前記間隙を、下方側に向けてテーパ状若しくは段差状に拡開するように構成することが好適であり、これにより、輻射熱を受け易くなり絶縁スリーブ下方側を高温に維持することが容易となる。
また、前記絶縁材の低温域を約800℃以下とするとともに、前記高温域を約1200℃以上とすることが好ましい。
前記低温域はプラズマ溶融炉の印加電圧に対して十分な絶縁性が保持される比抵抗を有しており、サイド電流の発生を防止することが可能である。一方、前記高温域は前記付着物の融点以上で、かつ付着物が融解して流下する温度域の約1200℃以上とし、付着物を流下させ除去するか若しくは揮発させて付着物の堆積を防止している。
さらにまた、前記受熱空間の間隙幅を約50〜75mmの範囲内に設定したことを特徴とする。このように前記間隙幅を設定することにより、絶縁材の温度設定が容易となる。これは、図12の間隙幅dと絶縁材温度の関係を示すグラフにも明らかなように、上部温度を付着物の導電性が殆どない800℃以下とするには間隙幅dを約75mm以下とすると良く、また下部温度を付着物が付着しない1200℃以上とするには間隙幅dを約50mm以上とすると良い。従って、これらを満たす間隙幅である約50mm〜75mmとすることにより絶縁材の上部、下部共に前記温度域とすることができ、サイド電流の発生を防止することが可能となる。
また、前記絶縁材の低温域を冷却する手段を設けたことを特徴とする。これは、例えば、前記絶縁材の上面や、上方側面を水冷ジャケットや冷却銅板等の冷却手段により被覆し、低温域を冷却することにより簡単に前記温度域とすることができる。従って、絶縁材上方の比抵抗が増大し、絶縁性が向上する。
また、前記高温域に燃焼手段を配設し、該燃焼手段により生成した加熱ガスにより前記受熱空間の昇温を補助することを特徴とする。このとき、前記燃焼手段に用いられる酸素は瞬時に燃焼させて電極に接触しないようにすると良い。前記絶縁スリーブの高温域に凹部を設け、該凹部に燃焼バーナ等の燃焼手段を設けて燃焼域とすることもできる。
さらに、前記間隙に供給するパージガスが高温パージガスであり、該高温パージガスの温度を前記絶縁材の付着物の絶縁性が保持される温度以下としたことを特徴とする。
これは、前記パージガスを高温パージガスとすることにより、絶縁材下方側において、前記高温域の温度まで容易に昇温することができる。即ち、輻射熱による昇温の補助的な役割を担うようにすることができる。
また、別の発明として、炉本体の上部に電極が挿通支持され、該電極の炉貫通部に間隙を存して絶縁材が配され、該間隙よりパージガスを供給する手段を設けるとともに、前記炉本体に導通するサイド電流の検知手段を設けた電気式溶融炉において、
前記パージガス供給手段が、前記間隙に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記不活性ガスに酸素を混入する酸素供給手段と、該酸素供給手段の酸素混入量を調整するガス流量調整手段とからなり、
前記サイド電流検知手段によりサイド電流の発生が検知された時に、前記ガス流量調整手段を制御して前記不活性ガスに所定量の酸素を富加する制御回路を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、前記不活性ガスに間欠的に酸素を富加したパージガスを用いることにより、パージガスを炉内に吹き込んだ際に瞬時に燃焼して高温ガスを発生し、絶縁材内周面に付着した付着物を融解して除去することができる。よって、付着物の堆積により発生したサイド電流を解消することができる。本発明では、前記サイド電流検知手段によりサイド電流が検知された時にのみ酸素を富加する構成としているため、酸素の供給による電極の酸化を防ぐことができる。
さらにまた、これらの発明において、前記電極外周面若しくは前記絶縁材内周面の少なくとも何れか一方に表面改質材を塗布することが好ましい。表面改質材としては、Al2O3、TiO2等の酸化セラミックが適している。このように、高抵抗物質をコーティングすることにより、主電極と絶縁スリーブ間の絶縁性を向上させることができる。また、表面改質材として、表面が滑らかな物質を用いても良く、これにより飛散物の付着を防止できる。
以上記載のごとく本発明によれば、前記絶縁材の垂直方向の温度勾配を大きくし、低温域と高温域夫々の温度域を上記したように設定することにより、前記絶縁材の上方側では付着物の比抵抗が増大し付着物が堆積しても絶縁が保持され、一方下方側では炉内からの飛散物や絶縁材内周面に付着した付着物が融解して流下し、除去されて、絶縁不良によるサイド電流の発生を確実に防止することができる。このように、前記炉内のスラグ面からの輻射熱、及び炉外の外気による冷熱伝導を夫々有効に利用することにより、効率よく絶縁材の絶縁性を保持することができる。
また、不活性ガスに間欠的に酸素を富加したパージガスを用いることにより、パージガスを炉内に吹き込んだ際に瞬時に燃焼して高温ガスを発生し、絶縁材内周面に付着した付着物を融解して除去することができる。よって、付着物の堆積により発生したサイド電流を解消することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本実施例1に係る電極周囲の絶縁材構造を示す側断面図、図2は本発明の実施形態に係るプラズマ溶融炉を示す全体構成図、図3〜図5は夫々実施例2〜実施例4に係る電極周囲の絶縁材構造を示す側断面図、図6は本実施例5に係るプラズマ溶融炉を示す全体構成図、図7は図6のプラズマ溶融炉の制御方法を示すフローチャートである。本実施例は、あらゆる電気式溶融炉に適用可能であるが、本実施形態では一例としてプラズマ溶融炉につき説明する。
まず、図2を参照して図1、図3乃至図5のスリーブ構造を適用するプラズマ溶融炉の全体構成について説明する。
かかるプラズマ溶融炉30は、耐火材33を鉄皮32で包被した炉本体31を有し、該炉本体31の炉蓋には主電極34が挿通支持され、該主電極34と対向する炉底には炉底電極35が配設され、これらの電極間には直流電源36により直流電圧が印加され、プラズマアーク37が生成される。炉内に投入された焼却灰等の被溶融物は、前記プラズマアーク37により溶融され、溶融スラグ38及び溶融メタル39として炉底部に層状に溜まる。
かかるプラズマ溶融炉30では、その運転に伴い炉内に浮遊するNa、Ka等の塩類や低沸点の重金属類等の揮散物が冷却され析出した付着物が耐火材33に浸透若しくは付着して絶縁劣化が起こり、前記主電極34から耐火材33若しくは鉄皮32を通電経路としてサイド電流が発生することがある。従って、これを防ぐために、前記主電極34と炉底電極35とを電気的に絶縁するごとく、炉本体31に環状の絶縁材40を介装している。また、最も短絡し易い箇所である主電極34の周囲に絶縁スリーブ10を配している。
本実施形態では、上記した絶縁部材を配しても尚サイド電流が発生してしまうため、これを確実に防止することができる装置を提案する。
図1に示されるように、本実施例1に係るプラズマ溶融炉の電極周囲の絶縁材構造は、炉鉄皮32及び耐火材33からなる炉本体31と主電極34との間に絶縁スリーブ10が配され、該絶縁スリーブ10と主電極34との間には間隙15が形成されている。絶縁スリーブ10の上方には、前記間隙15に向けて吹き込みノズル16が配設されている。該吹き込みノズル16からは、Nガス等の不活性ガスが供給され、前記間隙15に炉内ガスが侵入しないように構成されている。さらに、吹き込みノズル16の上方には間隙15を密閉するシール部材17や不図示の電極支持装置、電極昇降装置等が設けられている。
本実施例1では、前記絶縁スリーブ10の上方側の間隙幅が、下方側の間隙幅dより小さくなるように構成されている。即ち、図に示すようにスリーブ内面11が段差部12から拡開し、前記下方側の間隙幅dが上方側より大きくなるように設定され、ここに受熱空間Aが形成されている。従って、前記下方側は炉内のスラグ面からの輻射熱により高温に維持され、一方上方側は炉外の外気からの冷熱伝導により低温に維持されている。尚、本実施例では、段差部12を有し段差状に拡開する形状を示したが、これに限定されるものではなく、例えば下方に向けて拡開するテーパ状等のように、上方側の間隙幅より下方側の間隙幅dが大となる形状であれば何れでも良い。
また、前記絶縁スリーブ10の内周面11及び主電極34の外周面の少なくとも何れか一方に、Al2O3、TiO2等の酸化セラミックなどの表面改質材をコーティングすることが好ましい。このように、高抵抗物質をコーティングすることにより、絶縁スリーブ10及び主電極34間の絶縁性が向上する。また、表面改質材として表面が滑らかな物質を用いても良く、これにより飛散物の付着を防止できる。
またかかる実施例において、絶縁スリーブ10の上方側の低温域は前記付着物の絶縁性が保持される温度域、好適には約800℃以下とし、前記下方側の高温域は前記付着物が溶融して流下するか若しくは揮発する温度域、好適には約1200℃以上とすると良い。
さらに、前記下方側の間隙幅dは、約50mm〜75mmの範囲内とすることが好ましい。
また、前記絶縁スリーブ10の材質をSiC等の高熱伝導率材料とすることが好適で、これにより上方側の冷熱伝導効率が向上し、付着物が固化して比抵抗を向上させることができる。
このように本実施例によれば、前記絶縁スリーブ10の低温域と高温域夫々の温度域を上記したように設定することにより、前記絶縁スリーブ10の上方側では付着物の比抵抗が増大し付着物が堆積しても絶縁が保持され、一方下方側では炉内からの飛散物やスリーブ内周面に付着した付着物が融解して流下し、除去されて、絶縁不良による発生するサイド電流を確実に防止することができる。
このように、前記炉内のスラグ面からの輻射熱、及び炉外の外気による冷熱伝導を夫々有効に利用することにより、効率よく絶縁スリーブ10の絶縁性を保持することができる。
図3は本実施例2における電極周囲の絶縁材構造である。以下、実施例2及び実施例5において、前記実施例1と同様の構成については説明を省略する。本実施例2に係る絶縁材構造は、炉本体を構成する耐火材33が主電極34から間隙幅dだけ離間するように配設され、その上方に、主電極34との間隙幅が前記耐火材33の間隙幅dより小となるように絶縁スリーブ10が配設される。
該絶縁スリーブ10の炉外側は冷却銅板18により被覆され、さらに該銅板18はマイカ材43で被覆されている。前記冷却銅板18は、熱伝導率が高い他の材料で代替することもできる。また、前記耐火材33は鉄皮32で包皮され、これらの間には水冷ジャケット42が介装されている。
また、前記冷却銅板18は、水冷ジャケットとしても良い。水冷ジャケットは、冷却水が循環して前記絶縁スリーブ10の上方側の低温域を冷却するように構成する。
本実施例では絶縁スリーブ10の上方側を冷却する手段として冷却銅板18及び水冷ジャケットを適用した場合につき説明したが、これに限らず、例えば絶縁スリーブ上方側の側面を被覆する冷却管等のように、絶縁スリーブ上方側を冷却する手段であれば何れでも良い。かかる実施例により、絶縁スリーブ10の上方側を前記温度域まで確実に冷却することができ、サイド電流の発生を防止することができる。
また、前記主電極34の周囲の間隙には図1に示したようなパージガス供給構造が配設され、炉内にパージガスを供給する仕組みになっている。
また、前記実施例1と同様に、絶縁スリーブ10を含む低温域は前記付着物の絶縁性が保持される温度域、好適には約800℃以下とし、前記下方側の高温域は前記付着物が溶融して流下するか若しくは揮発する温度域、好適には約1200℃以上とすると良い。
ここで、付着物の絶縁性が保持される温度域について、実機に堆積した付着物を用いて検証する。図8に付着物比抵抗の温度依存性を示すグラフを示す。このグラフによれば、付着物の温度が低くなるにつれ比抵抗が増大し、一般的なプラズマ溶融炉の印加電圧に対して十分な絶縁性が保持される比抵抗1.0E+04Ωcm以上となる温度は、付着物温度が約800℃以下であることがわかる。従って、前記低温域を約800℃以下に維持することにより、付着物の絶縁性が保持され、ここに付着物が堆積した場合にもサイド電流の発生を防止することができる。
次に、本実施例と従来技術における夫々の絶縁材構造の温度分布の比較を行なう。図15に示した従来の絶縁材構造における温度分布を図9に示し、図3に示した本実施例の絶縁材構造における温度分布を図10に示す。従来の絶縁材構造では、絶縁スリーブのテーパが始まる部分の温度は850℃程度であり、この部分に塩類等付着物が付着した場合には付着物表面が850℃以上となり、ここから天井耐火物高温部にサイド電流が流れてしまう。
一方、本実施例の絶縁材構造では、絶縁材下部温度Tは1200℃以上の高温であるため、付着物は融解して流下し、サイド電流は流れない。また絶縁材上部温度Tは800℃以下となるため、ここに付着物が堆積しても比抵抗が大であるためサイド電流は流れない。
また、本実施例の絶縁材構造において、前記高温域の間隙幅dを変化させて絶縁材の温度分布を解析した結果を図10〜図14に示す。
図11は耐火材の間隙幅dに対する各低温域温度及び高温域温度を示す表、図12は電極−絶縁材の間隙幅d[mm]と絶縁材温度[℃]の関係を示すグラフである。
かかる解析では、絶縁材の材質を全アルミナで形成した場合と、上部材質をSiC、下部材質をアルミナで形成した場合について、夫々間隙幅dを20mm、50mm、75mm、100mmとし、さらに絶縁材の形状を下方が小のテーパ状として下間隙を20mm、上間隙を100mmとした場合の絶縁材下部温度T及び絶縁材上部温度Tを導出した。
図11に示した表のうち、一例として、絶縁材の上部材質をSiC、下部材質をアルミナで形成した場合について、間隙幅d=50mmとした時の温度分布を図10に示し、間隙幅d=20mmとした時の温度分布を図13に示し、間隙幅d=100mmとした時の温度分布を図14に示す。
そして、ここから求められた上部−下部温度を図12にグラフ化した。これによれば、電極−絶縁材間の間隙幅dを大きくすると輻射が増大するため、下部温度、上部温度共に上昇するが、d=75mm以上となると絶縁材上部温度Tが800℃以上となり付着物の比抵抗が低下しサイド電流が発生し易くなる。また、d=50mm以下となると絶縁材下部温度Tが1200℃以下となり付着物が流下しなくなりサイド電流が発生し易くなる。
従って、絶縁材の最適な温度域は間隙幅d=約50mm〜75mmの範囲内であることが判る。このように間隙幅を設定することによりサイド電流を防止することが可能となる。
図4に本実施例3の絶縁材構造を示す。本実施例3は、前記第1実施例と同様の形状を有する絶縁スリーブ10の上方に設けられた吹き込みノズル16に、熱交換器41により加熱された高温パージガスが供給される構成としている。前記高温パージガスは、Nガス等の不活性ガスであり、前記熱交換器41は、例えばかかるプラズマ溶融炉30が具備する排熱ボイラを用いることができる。このとき、前記高温パージガスの温度域は、前記付着物の絶縁性が保持される温度域、好適には約800℃以下が好ましい。これは、前記絶縁スリーブ10の上方側の低温域を、ここに付着した付着物の絶縁性が保持される温度域とし、比抵抗を向上させるためである。
前記絶縁スリーブ10の下方側の高温域は、前記第1実施例と同様に輻射空間Aにより前記付着物が融解して流下するか、若しくは揮発する温度域、好適には約1200℃以上とする。
かかる発明によれば、絶縁スリーブ10の下方側において、前記高温域の温度まで容易に昇温することができる。即ち、前記高温パージガスは、輻射熱による昇温の補助的な役割を担うことができる。
図5に本実施例4のスリーブ構造を示す。本実施例4は、前記絶縁スリーブ10の形状を前記実施例1と同様に、下方側の間隙幅が上方側に比べて拡開するように構成し、さらに、前記下方側の絶縁スリーブ内に燃焼バーナ14aを埋設し、前記拡開した受熱空間Aの一部に燃焼空間13を形成している。そして、前記燃焼バーナ14aから炉外へ向けて燃料管路14bが配設され、該燃料管路14bから燃料ガス及び空気を供給する構成としている。好適には前記空気は酸素不足空気とし、前記燃焼バーナ14aの燃焼で完全に酸素を消費できるようにする。燃焼バーナ14aにより生成された高温の燃焼ガスにより、前記絶縁スリーブ10の下方側は加熱され、前記付着物が融解して流下するか、若しくは揮発する温度域、好適には約1200℃以上まで容易に昇温することができる。
本実施例では、燃焼バーナ14aの位置は上記した位置に限定されず、受熱空間Aを加熱する燃焼手段であれば何れでも良い。
図6に本実施例5に係るプラズマ溶融炉30を示す。図6に示されるように、上記説明したプラズマ溶融炉30は、前記主電極34側の炉壁と前記炉底電極35側の炉壁とを電気的に絶縁するごとく介装された環状絶縁体40を挟み、前記主電極側炉壁と前記炉底電極側炉壁に通電する電流値を検出する電流計24を設けている。
さらに、前記主電極34と絶縁スリーブ10との間の間隙15に供給するパージガスを貯留するNタンク20及びOタンク21が設けられている。これらのタンクから供給されるOガス及びNガスの供給流量は、三方弁23により所定量に設定されている。該三方弁23は、前記電流計24に接続された制御回路22により開閉制御される。
ここで、図7を参照してかかるプラズマ溶融炉30の運転制御フローにつき説明する。プラズマ溶融炉30の運転の開始と同時に、Nタンク20より前記間隙15にNガスを供給し(S1)、間隙15をパージする。そして、前記電流計24にて計測された電流値が所定の閾値以上となった時にサイド電流の発生有りの判断を下し(S2)、前記制御回路22により前記三方弁23を開閉制御して前記Oタンク21よりOガスを混入させる(S3)。引き続き電流計24にて電流値を計測し、該電流値に基づき前記制御回路22にて電流値が前記閾値以下か否かを判断し(S4)、閾値以上である場合にはサイド電流の発生が停止していないと判断し、前記三方弁23を制御してOガスを断続的若しくは間欠的に供給する(S3)。電流値が前記閾値以下となった場合には制御回路22にてサイド電流の発生が停止したと判断し、Oガスの供給を停止し(S5)、通常運転に戻る(S6)。
このように、前記Nガスに間欠的に酸素を富加したパージガスを用いることにより、パージガスを炉内に吹き込んだ際に瞬時に燃焼して高温ガスを発生し、絶縁スリーブ10の内周面に付着した付着物を融解して除去することができる。よって、付着物の堆積により発生したサイド電流を解消することが可能となる。本実施例では、前記電流計24によりサイド電流が検知された時にのみ酸素を富加する構成としているため、酸素の供給による電極の酸化を防ぐことができる。
本実施例1に係る電極周囲の耐火材構造を示す側断面図である。 本発明の実施形態に係るプラズマ溶融炉を示す全体構成図である。 本実施例2に係る電極周囲の耐火材構造を示す側断面図である。 本実施例3に係る電極周囲の耐火材構造を示す側断面図である。 本実施例4に係る電極周囲の耐火材構造を示す側断面図である。 本実施例5に係るプラズマ溶融炉を示す全体構成図である。 図6のプラズマ溶融炉の制御方法を示すフローチャートである。 付着物比抵抗の温度依存性を示すグラフである。 従来のスリーブ構造における温度分布を示す図である。 図3に示した本実施例2に係る耐火材構造(d=50mm)における温度分布を示す図である。 耐火材の間隙幅dに対する各低温域温度及び高温域温度を示す表である。 電極−絶縁材の間隙幅dと絶縁材温度の関係を示すグラフである。 本実施例2に係る耐火材構造(d=20mm)における温度分布を示す図である。 本実施例2に係る耐火材構造(d=100mm)における温度分布を示す図である。 従来のプラズマ溶融炉のスリーブ構造を示す側断面図である。
符号の説明
10 絶縁スリーブ
11 スリーブ内面
12 段差部
13 燃焼区域
14a バーナ
14b 燃料管路
15 間隙
18 水冷ジャケット
22 制御回路
23 三方弁
24 電流計
30 プラズマ溶融炉
34 主電極
35 炉底電極
40 絶縁材
41 熱交換器
A 受熱空間

Claims (9)

  1. 炉本体の上部に電極が挿通支持されるとともに、炉内に浮遊する揮散物が冷却され析出した付着物による導通を防ぐごとく前記電極の炉貫通部に間隙を存して該電極周囲の炉本体を絶縁材で構成した電気式溶融炉において、
    前記間隙の下方側を上方側より拡開して炉内部からの輻射熱を受ける受熱空間を設け、前記電極周囲に配された絶縁材の上方側を炉外からの伝熱により低温域とし、下方側を前記受熱空間により高温域となるように形成し、
    前記低温域を前記付着物の絶縁性が保持される温度域とするとともに、前記高温域を前記付着物が融解して流下する温度域としたことを特徴とする電気式溶融炉。
  2. 前記間隙が、下方側に向けてテーパ状若しくは段差状に拡開するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  3. 前記電極周囲の絶縁材を環状の絶縁スリーブで形成したことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  4. 前記絶縁材の低温域を約800℃以下とするとともに、前記高温域を約1200℃以上としたことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  5. 前記受熱空間の間隙幅を約50〜75mmの範囲内に設定したことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  6. 前記絶縁材の低温域を冷却する手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  7. 前記高温域に燃焼手段を配設し、該燃焼手段により生成した加熱ガスにより該高温域の昇温を補助することを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  8. 前記間隙に供給するパージガスが高温パージガスであり、該高温パージガスの温度を、前記絶縁材に付着する付着物の絶縁性が保持される温度域としたことを特徴とする請求項1記載の電気式溶融炉。
  9. 炉本体の上部に電極が挿通支持され、該電極の炉貫通部に間隙を存して絶縁材が配され、該間隙よりパージガスを供給する手段を設けるとともに、前記炉本体に導通するサイド電流の検知手段を設けた電気式溶融炉において、
    前記パージガス供給手段が、前記間隙に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記不活性ガスに酸素を混入する酸素供給手段と、該酸素供給手段の酸素混入量を調整するガス流量調整手段とからなり、
    前記サイド電流検知手段によりサイド電流の発生が検知された時に、前記ガス流量調整手段を制御して前記不活性ガスに所定量の酸素を富加する制御回路を設けたことを特徴とする電気式溶融炉。
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JP7161249B1 (ja) * 2021-12-27 2022-10-26 ネクサスジャパン株式会社 加熱装置及びアルミニウム処理室

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