JP2005221541A - 磁性ガーネット素子板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型の電磁石の使用を可能にする光アッテネータ用の磁性ガーネット素子板の製造方法を提供すること。
【解決手段】 一般式(R,Bi)3(Fe,M)5O12(但し、RはGd、Ybのうちの少なくとも1つ、MはAl、Gaのうちの少なくとも1つ)を、酸素濃度40〜80%、保持温度1090〜1120℃、保持時間20〜30時間の熱処理を施した後、この磁性ガーネットの両面を研磨により鏡面仕上げする際、両面の研磨除去厚さを各々130μm以上とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ファラデー回転効果とコットンムートン効果を利用した光アッテネータに用いる磁性ガーネット素子板の製造方法に関し、特に、液相エピタキシャル成長法にて育成され、希土類元素としてGd、Ybの少なくとも1種を含むBi置換型ガーネット厚膜単結晶を加工して得られる磁気光学素子の製造に好適な磁性ガーネット素子板の製造方法に関する。
従来、光通信や光情報処理において、磁気光学素子のファラデー効果を用いた光アイソレータや、ファラデー効果とコットンムートン効果を用いた光アッテネータが開発、実用化されている。後者の光アッテネータは光信号強度を任意に制御出来ることから、エルビウムドープ光ファイバーアンプなどで、光信号強度の調整に用いられている。このとき、ファラデー効果またはコットンムートン効果をもたらす材料としては磁気光学用ビスマス置換希土類鉄系ガーネット厚膜単結晶(以下、磁性ガーネットと略す)が広く用いられている。
ファラデー効果とコットンムートン効果を用いた光アッテネータとしては、特許文献1に開示された方式が実用化されている。この光アッテネータにおいては、光軸方向と平行な磁場(磁性ガーネットの飽和磁場以上に印加される)に対し、直交する磁場(以下、垂直磁場と記す)の強度制御により、磁性ガーネットの磁化方向を変化させ、光軸と磁化方向の角度差によって生じるファラデー効果とコットンムートン効果の変化を利用し、この光を複屈折結晶などの偏光子に通すことで光の強度を制御している。
現在、光通信用デバイスは、種々の電子部品同様、小型化が進められている。特許文献1で開示された型の光アッテネータも同様に小型化が要求されている。その小型化においては、前記した電磁石の小型化により磁場強度への影響が生じる。電磁石の磁場は磁芯の材質、コイルの巻き数、電流などによって決まるが、小型化によりコイルの巻き数が制限される。この巻き数制限に対し、コイルに用いられる銅線の外径の縮小により巻き数増をはかることもできるが、銅線外径を縮小すると発熱しやすくなり電流が制限されるので、結局電磁石の小型化による磁場強度低減を根本的に避ける手段がない。
この状況にあって、本発明の課題は、小型の電磁石の使用を可能にする光アッテネータ用の磁性ガーネット素子板の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決する手段として、本発明者は磁性ガーネットの磁気特性改善、特に上記の垂直磁場に対して、磁性ガーネットの有する磁気異方性の低減を検討した。その結果、本発明者はLPE法(液相エピタキシャル成長法)により育成した磁性ガーネットが有する成長誘導磁気異方性を消失させる条件、例えば保持温度1110℃、保持時間25時間、酸素濃度60%で熱処理した、磁性ガーネットの表面部の130μmまでの深さに上記の垂直磁場に磁化され難い層の存在を確認した。また、研磨除去厚さを増やすことにより、磁化され難い層が除去されることも分かった。
なお、この磁性ガーネットは揮発しやすいBiを主成分の一つにしており、成長誘導磁気異方性を消失させるための熱処理を行うことにより、Biが磁性ガーネット表面より揮発する。このBiの揮発により、磁性ガーネットの表面と内部に濃度差が生じ、Biの濃度差と垂直磁場に磁化され難い層とが密接に関係していることも分かった。
以上のように、垂直磁場に磁化され難い層を除去することにより、垂直磁場に磁化しやすい、すなわち小型化した電磁石でも磁化しやすい、光アッテネータに適した磁性ガーネットを得ることが出来た。
すなわち、本発明の磁性ガーネット素子板の製造方法は、一般式(R,Bi)3(Fe,M)5O12(但し、RはGd、Ybのうちの少なくとも1つ、MはAl、Gaのうちの少なくとも1つ)で表される厚膜単結晶磁性ガーネットを加工してなり、可変型の磁気光学素子として、光アッテネータに用いられる磁性ガーネット素子板の製造方法において、Nd3Ga5O12単結晶基板上に、液相エピタキシャル成長法により前記厚膜単結晶磁性ガーネットを育成する工程と、前記厚膜単結晶ガーネットの板に酸素濃度40〜80%、保持温度1090〜1120℃、保持時間20〜30時間の熱処理を施す工程と、前記熱処理の後で前記板の両面を研磨により鏡面仕上げする際、両面の研磨除去厚さを各々130μm以上とする工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、一般式(R,Bi)3(Fe,M)5O12(但し、RはGd、Ybのうちの少なくとも1つ、MはAl、Gaのうちの少なくとも1つ)を、酸素濃度40〜80%、保持温度1090〜1120℃、保持時間20〜30時間の熱処理を施した後、この磁性ガーネットの両面を研磨により鏡面仕上げする際、両面の研磨除去厚さを各々130μm以上とすることにより、光アッテネータにおける垂直磁場に磁化しやすい、すなわち小型化した電磁石でも磁化しやすい、光アッテネータに適した磁性ガーネットの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を挙げて説明する。
純度99.9%の酸化ガドリニウムGd2O3、酸化イッテルビウムYb2O3、酸化第二鉄Fe2O3、酸化アルミニウムAl2O3、酸化ガリニウムGa2O3、及び酸化鉛PbO、酸化ビスマスBi2O3、酸化硼素B2O3の粉末を使用し、PbO−Bi2O3−B2O3系をフラックスとして、LPE法にて、格子定数a=12.509ÅのNd3Ga5O12(以下、NGGと記す)基板に、一般式Gd1.8Yb0.2Bi1.0Fe4.4Al0.1Ga0.5O12の磁性ガーネットを650μm育成した。
育成後、11mm×11mmに切断した後、NGG基板を研磨により除去し、試料を得た。次に、この試料を保持温度1060〜1140℃、保持時間5〜40時間、酸素濃度21〜80%で熱処理し、<112>方向に対する磁化曲線を試料振動型磁力計(VSM)で観測し、成長誘導磁気異方性の消失条件を特定した。なお、成長誘導磁気異方性の消失条件特定に際しては、飽和磁化に達する磁場強度Haが一定に達する点とした。
図2に、保持温度1060〜1140℃、保持時間20時間、酸素濃度60%で熱処理した試料の、保持温度とHaの相関図を示す。なお本願では磁気の単位系にガウス単位系が用いられ、1Oe=(1000/4π)A/m、1G=10-4Tである。図2に示すように、1090℃以上においてHaが一定となり、1090℃以上で成長誘導磁気異方性が消失することが分かる。但し、1130℃以上では、図3に示すように、Biの揮発による変質部が発生する(図中、○印にて示した部分)。この変質部は試料内部まで進行しているため、光が変質部で散乱される。このため、変質部が発生する温度での熱処理は条件としては適していないため、熱処理温度は1090〜1120℃が適している。
次に、図4に、保持時間5〜40時間、保持温度1110℃、酸素濃度60%で熱処理した試料の、保持時間とHaの相関図を示す。図4に示すように、保持時間20時間以上において、成長誘導磁気異方性が消失することが分かった。但し、保持時間40時間ではBi揮発による変質層がわずかに発生しており、このことから保持時間は20〜30時間が適している。
次に、図5に、酸素濃度21〜80%、保持温度1110℃、保持時間25時間で熱処理した試料の、酸素濃度とHaの相関図を示す。図5に示すように、酸素濃度40%以上において、成長誘導磁気異方性が消失することが分かる。
次に、以上記述した成長誘導磁気異方性消失の条件として、保持温度1110℃、保持時間25時間、酸素濃度60%の熱処理を行い、光を入射及び出射させる(111)面を研磨により各々同じ厚さを除去し、この研磨除去厚さと磁化曲線の変化を観測し、本発明に適した研磨除去厚さ条件の特定を行った。
それに先立つ予備実験の結果を説明するために、図1に両面の研磨除去厚さが各々、50、150μmにおける磁化曲線を示す。図1の磁化曲線における磁場印加方向は<112>であり、光アッテネータとして用いるときの上記垂直磁場が印加される結晶方位である。図1から明らかなように、研磨除去厚さを増やすことにより、磁化され難い層が除去されたことが分かる
ところで、研磨除去厚さ条件の特定にあたっては、試料<112>に磁場を印加し、150Gの磁化が得られる磁場強度であるHB150が一定となる領域に着目し、研磨除去厚さは両面各々50〜170μmで行った。なお、HB150を選定した理由としては、図1にも示したように、HB150が磁化され難い層の除去の程度によって大きく変化し、磁化曲線の変化の様子をよく反映する量だからである。
図6に研磨除去厚さとHB150の相関図を示す。図6に示すように、研磨除去厚さが増加することにより、磁化されにくい、磁化困難成分が減少し、研磨除去厚さ130μm以上においてHB150が一定となることから、研磨除去厚さ130μm以上において磁化困難成分が除去できることが分かる。
Claims (1)
- 一般式(R,Bi)3(Fe,M)5O12(但し、RはGd、Ybのうちの少なくとも1つ、MはAl、Gaのうちの少なくとも1つ)で表される厚膜単結晶磁性ガーネットを加工してなり、可変型の磁気光学素子として、光アッテネータに用いられる磁性ガーネット素子板の製造方法において、Nd3Ga5O12単結晶基板上に、液相エピタキシャル成長法により前記厚膜単結晶磁性ガーネットを育成する工程と、前記厚膜単結晶ガーネットの板に酸素濃度40〜80%、保持温度1090〜1120℃、保持時間20〜30時間の熱処理を施す工程と、前記熱処理の後で前記板の両面を研磨により鏡面仕上げする際、両面の研磨除去厚さを各々130μm以上とする工程とを含むことを特徴とする、磁性ガーネット素子板の製造方法。
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JP2004026528A JP2005221541A (ja) | 2004-02-03 | 2004-02-03 | 磁性ガーネット素子板の製造方法 |
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US7679086B2 (en) | 2006-02-20 | 2010-03-16 | Seiko Epson Corporation | Method for manufacturing electro-optic device |
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2004
- 2004-02-03 JP JP2004026528A patent/JP2005221541A/ja active Pending
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