JP4149248B2 - 光部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光アッテネータや光スイッチ、あるいは偏波面コントローラ等のように、ファラデー回転角を変化させて光の偏波面を制御する光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
液相エピタキシャル法により育成されるBi置換希土類鉄ガーネット膜で作製されるファラデー回転子は、従来、光アイソレータに用いられるファラデー回転子として光通信システムに多く使用されている。近年、光アイソレータとは別の用途としてファラデー回転子を利用した磁気光学式の光アッテネータや光スイッチ、及び偏波面コントローラ等がWDM(光多重通信)システムに利用されるようになってきた。
【0003】
光アイソレータに使用されるファラデー回転子は、外部磁界Hを印加したり、ファラデー回転子自体を永久磁石にしたりすることにより、光入射面にほぼ垂直な一方向に磁化の方向を揃えてファラデー回転を発生させる。
【0004】
一方、ファラデー回転子を利用した光アッテネータなどの光部品では、ファラデー回転子の光入射面に対して斜め方向に変化させて外部磁界Hを印加して、ファラデー回転角を可逆的に変化させることにより光部品を動作させている。
【0005】
その際、ファラデー回転子の飽和磁界Hs又はそれを超える大きさ(強度)の外部磁界Hを印加することにより、ファラデー回転子の有する磁区構造に起因する光の回折損失を低減している。ファラデー回転子は液相エピタキシャル成長する際、成長方向に磁気的な異方性(成長誘導磁気異方性)が発生し、結晶の成長方向に容易に磁化し得る方位(磁化容易軸)ができる。このため、光入射面が結晶成長方向にほぼ直交し、且つ熱処理を施していないファラデー回転子の場合、光入射面に対して斜め方向の外部磁界Hを印加しても、磁気モーメントの方位は結晶の成長方向からほとんどずれない。
【0006】
そこで、ファラデー回転子を1000℃近くの高温で熱処理して、成長誘導磁気異方性を減少させる。すると、磁化容易軸は結晶成長と同一方向の<111>方位ではなく、形状磁気異方性の効果により成長面の面方向に近い方向にある別の<111>方位となる。図8に示すように、<111>方位は基板上に4方位ある。第1の方位は基板面に垂直な<111>方位αであり、残りの3方位<111>方位β1、β2、β3は基板面から約20°の角度をなし、<111>方位αからみて方位β1−β2間、方位β2−β3間、方位β3−β1間の角度はそれぞれ120°になっている。成長誘導磁気異方性が減少すると磁気モーメントの方位は、円板状に成長するエピタキシャル膜の形状的な効果により、基板面に平行な方位を向き易くなる。そのため磁気モーメントの方位は、基板面に平行な方位に最も近い方位β1、β2、β3の3方位を向くことになる。これにより、飽和磁界Hsを超える大きさの外部磁界Hの印加方向の変化に応じてファラデー回転子の磁気モーメントの方位を変化させることが可能になり、回転角が可変のファラデー回転子が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、ファラデー回転子に印加する外部磁界Hとファラデー回転角との関係を示すグラフである。横軸は外部磁界H(Oe)を表し、縦軸はファラデー回転角(deg.)を表している。曲線αは熱処理を施したファラデー回転子に外部磁界Hを印加した場合のファラデー回転角を示し、曲線βは、熱処理を施していないファラデー回転子に外部磁界Hを印加した場合のファラデー回転角を示している。横軸の値Hsβは、熱処理を施していないファラデー回転子の飽和磁界Hsの大きさ(強度)を示している。横軸の値Hsαは、熱処理を施したファラデー回転子の飽和磁界Hsの大きさを示している。なお図9の例示では、外部磁界Hはファラデー回転子を構成するガーネット単結晶の成長方向であって、光入射出方向に印加している。
【0008】
成長誘導磁気異方性が小さいほど、外部磁界Hの方向の変化に合わせて、磁気モーメントの方位が動きやすくなる。高温で長時間の熱処理を行うほど原子の再配列が起こり、成長誘導磁気異方性はより減少する。しかし、同時に飽和磁界Hsもより大きくなる。その結果、図9に示すように、成長誘導磁気異方性を熱処理により減少させたファラデー回転子の飽和磁界Hsαは、熱処理をしないファラデー回転子の飽和磁界Hsβよりかなり大きい値となる。
【0009】
このためファラデー回転子を飽和させる外部磁界Hを発生させるための磁石(永久磁石又は電磁石)が大型化してしまう。また、ファラデー回転角を可変させるための合成磁界を構成する可変磁界を発生させる電磁石も大型化してしまい、そのためコイルに大きな電流を流す必要が生じ、当該ファラデー回転子及び磁気回路を搭載した光部品が大型化してしまうとともに製造コストが上昇してしまうという問題が生じる。熱処理が足りないと成長誘導磁気異方性が残り、外部磁界Hの方向を変化させても磁気モーメントの方位は動かず、十分にファラデー回転角が変化しない。
【0010】
なお、本明細書では、ファラデー回転子にそれ以上磁界を印加してもファラデー回転角が増加しない最小の大きさの磁界を飽和磁界Hsとしている。
【0011】
本発明の目的は、小型で消費電力の小さな磁気回路を用いることができ、且つファラデー回転子の挿入損失を低く抑えることができる光部品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、ガーネット単結晶で形成されたファラデー回転子と、前記ファラデー回転子の飽和磁界Hsより小さい外部磁界Hを前記ファラデー回転子に印加する磁気回路とを有することを特徴とする光部品によって達成される。
【0013】
上記本発明の光部品において、前記ガーネット単結晶は、Bia3-aFe5-xx12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素であり、aは、0.6≦a≦2.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表されることを特徴とする。
【0014】
上記本発明の光部品において、前記ガーネット単結晶は、Bibc3-b-cFe5-xx12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素、BはTb、Gd、Dyの一種類以上の元素であり、b及びcは、0.6≦b≦2.0、0.6<b+c≦3.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表されることを特徴とする。
【0015】
上記本発明の光部品において、前記磁気回路は、前記外部磁界Hの大きさを|H|とし、前期飽和磁界Hsの大きさを|Hs|として、0.4×|Hs|<|H|<|Hs|の範囲で前記外部磁界Hを印加することを特徴とする。
【0016】
上記本発明の光部品において、前記磁気回路は、前記ファラデー回転子の光入射面に対して斜めに前記外部磁界Hを印加することを特徴とする。
【0017】
上記本発明の光部品において、前記磁気回路は、複数の磁界の合成磁界として前記外部磁界Hを前記ファラデー回転子に印加させることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による光部品について図1乃至図7を用いて説明する。まず、本実施の形態による光部品の動作原理について図1乃至図4を用いて説明する。図1は、磁気モーメントの方向と外部磁界Hの大きさ(強度)の関係を説明する図である。図2は、磁気モーメントの方向と回折光による光損失の関係を説明する図である。図1及び図2は、熱処理を行っていないファラデー回転子1を示している。また、ファラデー回転子1の光入射面は、ガーネット単結晶の結晶成長方向にほぼ直交している。
【0019】
図1(a)に示すように、熱処理を行っていないファラデー回転子1を構成するガーネット単結晶は、結晶成長方向に磁化容易軸があるため、磁界無印加状態でのファラデー回転子1内の磁気モーメント2は、一部が磁化容易軸の一方向を向き、それ以外は逆方向を向いて、異なる磁区構造が形成されている。
【0020】
図1(b)に示すように、ファラデー回転子1に飽和磁界Hsより大きな外部磁界Hを印加すると磁気モーメント2は全域で一方向を向き、磁区の構造は一様なものとなる。この状態のファラデー回転子1に対し、例えば光通信で使用されている波長1550nmの光Iiを入射させても、磁区の構造に起因する光損失(挿入損失)は発生しない。ところが、飽和磁界Hsより小さな外部磁界Hを印加すると、図2に示すように、磁気モーメント2の一部は印加磁界の方向を向き、その他の部分は逆方向を向いて、異なる磁区構造を持つことになる。図3は、熱処理をしていないファラデー回転子1の磁区構造を示す顕微鏡写真である。図3に示すように、ファラデー回転子1の磁区構造は回折格子状になっている。磁界無印加状態で直線偏光の光をファラデー回転子1に入射させ、出力光を偏光子を通して観察した。倍率は50倍である。この状態のファラデー回転子1に特定の偏波面を持つ光Iiを入射させると、磁気モーメント2が正方向と逆方向の領域で異なる偏波面を持つ光となる。そのため、図2に示すように、光の回折が生じて回折光Irが散乱光として出力されてしまい出力光Ioが減少して光損失が発生する。
【0021】
図4は、熱処理を施したファラデー回転子1の磁気モーメントの方向と外部磁界Hの大きさ(強度)の関係を説明する図である。なお、ファラデー回転子1の光入射面は、ガーネット単結晶の結晶成長方向にほぼ直交している。
【0022】
図4(a)に示すように、熱処理を行ったファラデー回転子1を構成するガーネット単結晶は、磁化容易軸が結晶成長と同一方向の<111>方位から、成長面の面方向に近い方向にある別の<111>方位に変化しているものの、磁界無印加状態でのファラデー回転子1内の磁気モーメント2は、一部が磁化容易軸の一方向を向き、それ以外は逆方向を向いて、異なる磁区構造が形成されている。
【0023】
図4(c)に示すように、熱処理を行ったファラデー回転子1に飽和磁界Hsより大きな外部磁界Hを印加した場合は、熱処理を行わないファラデー回転子の場合と同様に磁気モーメント2は一方向を向き、磁区の構造は一様なものとなり、光損失は発生しない。
【0024】
これに対し、図4(b)に示すように、熱処理を行ったファラデー回転子1に飽和磁界Hsより所定量だけ小さな外部磁界Hを印加する場合、成長誘導磁気異方性が失われているため、磁気モーメント2は外部磁界Hの方向に近い方向に一様に向き、ファラデー回転子1には明確な磁区構造が生じない。そのため飽和磁界Hsより小さな外部磁界Hを印加しても、光の回折はわずかしか起きず、光損失はほとんど発生しない。但し、熱処理を行ったファラデー回転子1でも、外部磁界Hが所定値より小さくなると磁区の構造が明確になり、回折による光損失が発生する。
【0025】
図9を用いて説明したとおり、熱処理によりファラデー回転子の成長誘導磁気異方性を除くと飽和磁界Hsの大きさは大きくなるが、上述のように、飽和磁界Hsより所定量小さな外部磁界Hを印加しても、光損失はデバイスの特性上問題になるほど大きな値とはならない。このように、飽和磁界Hsより小さな外部磁界Hを印加してファラデー回転角を制御すると、磁界を発生させるための磁気回路が小型になり、電磁石の消費電流も少なくすることが可能となる。その結果、ファラデー回転子と磁気回路を用いた光部品の小型化、低消費電力化が可能となる。
【0026】
図5は、熱処理を施したファラデー回転子1に印加する外部磁界Hとファラデー回転角との関係を示すグラフであり、図9に示した曲線αと同一の曲線を示している。横軸は外部磁界H(Oe)を表し、縦軸はファラデー回転角(deg.)を表している。横軸の値Hsは、熱処理を施したファラデー回転子の飽和磁界Hsの大きさを示している。また、横軸の値0.4×Hsは、飽和磁界Hsのほぼ4割の大きさを示している。なお図5では、ファラデー回転子を構成するガーネット単結晶の成長方向であって、光入射出方向に外部磁界Hを印加している。
【0027】
実験の結果、図5に示すように、熱処理を行ったファラデー回転子1の飽和磁界Hsのほぼ4割の強度より外部磁界Hが弱くなるとファラデー回転子1内の磁区構造が明確になり、回折による光損失が増えてくるので光部品としての特性上問題となってくる。従って、光入射方向に外部磁界Hを印加したときの飽和磁界Hsの大きさを|Hs|、外部磁界Hの大きさを|H|とすると、|H|は|Hs|未満で、かつ|Hs|の4割以上の磁界強度とすることが好ましい。すなわち、図5の両矢印dで示す範囲で外部磁界Hの大きさ|H|を用いるのが好ましい。熱処理をしたファラデー回転子1に光の入射方向に飽和磁界Hsの4割の強度の外部磁界Hを印加すると、磁気モーメント2はほぼ磁界方向を向き、ファラデー回転角は飽和磁界Hsを印加した回転角の約9割の値に達する。そのような条件では、明確な磁区構造はできず、光損失も大きくならない。
【0028】
ファラデー回転子1を構成するガーネット単結晶は、Bia3-aFe5-xx12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素であり、aは、0.6≦a≦2.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表される。
【0029】
あるいは、ファラデー回転子1を構成するガーネット単結晶は、Bibc3-b-cFe5-xx12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素、BはTb、Gd、Dyの一種類以上の元素であり、b及びcは、0.6≦b≦2.0、0.6<b+c≦3.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表される。
【0030】
磁性ガーネットの希土類の主組成にGd、TbやDyを使用すると、飽和磁界Hsを小さくすることができ、磁気回路の小型化や消費電力の低減に有効である。そして、その効果は、化学式において0<3−b−c≦2.4の量とすると特に有効となる。
【0031】
Bi量は化学式で0.6以下になるとファラデー回転係数(回転角/回転子厚さ)が小さくなり、所定のファラデー回転角を得るためにファラデー回転子の厚さが厚くなり、単結晶膜の育成が困難になる。またBi量が化学式で2.0以上になると、単結晶膜のエピタキシャル成長時に育成条件が不安定になり、良好な品質の単結晶膜が得られなくなる。従って、Bi量は上記化学式において0.6≦a≦2.0、あるいは、0.6≦b≦2.0の範囲が好ましい。
【0032】
MはFeを置換し得る元素であるが、それらの元素を添加することはファラデー回転子の飽和磁界Hsを小さくするのに有効である。しかし、これらの元素を化学式で1.5以上Feと置換すると磁性ガーネットのキュリー点が動作温度(例えば、室温(約25℃))以下まで低下して、ファラデー回転子として機能しなくなる。従って、Mの量は0≦x≦1.5が好ましい。
【0033】
以上まとめると、磁気モーメント2の方向が可変し得るファラデー回転子1に光を入力し、ファラデー回転子1に印加する外部磁界Hの方位や強度を変えると、それに合わせて光の偏光面の受けるファラデー回転角が変化し、回転角可変型ファラデー回転子1を構成することができる。そのようなファラデー回転子1及び磁気回路において、ファラデー回転子1の飽和磁界Hsを|Hs|とすると、0.4×|Hs|<|H|<|Hs|の関係を満たす外部磁界Hをファラデー回転子1に印加することにより、小型で消費電力の小さな磁気回路を構成することができ、同時にファラデー回転子1の光損失を低く抑えることも可能となる。このような効果は、2つの磁界を合成した磁界ではなく単一の磁界を光の進行方向とは異なる方位に加えた場合でも有効である。
【0034】
以下、具体的実施例を用いて説明する。
〔実施例〕
組成がBi1.2Gd1.2Yb0.5Pb0.05Fe4.15Ga0.8Pt0.01Ge0.0412となる磁性ガーネット単結晶膜を液相エピタキシャル法により育成し、加工して板状の磁性ガーネット単結晶を作製した。作製した単結晶板の基板面に対して垂直な方向に大きさを変化させながら外部磁界Hを印加してファラデー回転角を測定した。外部磁界Hを印加してもファラデー回転角が増加しない最小の外部磁界Hを飽和磁界Hsとして、飽和磁界Hsを室温で測定したところ|Hs|=110Oeであった。
【0035】
この単結晶基板を1100℃で30時間熱処理し、同様な方法で飽和磁界Hsを室温で測定したところ、図5に示すように、|Hs|=240Oeであった。熱処理の終了したガーネット単結晶をさらに加工し、光の入射面と射出面に反射防止膜(ARコート層)を蒸着し、ファラデー回転子1とした。作製したファラデー回転子1に飽和磁界Hsの大きさ|Hs|=240Oeの外部磁界Hを光の入射出方向に印加して、光の挿入損失を評価したところ、挿入損失が0.03dBでファラデー回転角は30deg.(度)が得られた(図5参照)。印加する外部磁界Hの強度を150Oeとして、同様に挿入損失を測定し、挿入損失が0.05dBで、ファラデー回転角は29.8deg.が得られた(図5参照)。さらに印加する外部磁界Hの強度を96Oeとして、同様に挿入損失を測定し、挿入損失が0.20dBで、ファラデー回転角は27.2deg.の値が得られた(図5参照)。この程度の挿入損失までは光部品の動作上問題はない。
【0036】
図6は、本実施例に係る光部品の概略構成を示している。また、図7は、図6に示す光部品によるファラデー回転角の可変動作を示している。図6において、光部品10は、ファラデー回転子1と磁気回路とを備えている。磁気回路は、永久磁石12と電磁石14とを有している。ファラデー回転子1の入射光Iiの入射側と射出光Ioの射出側に一組の永久磁石12が磁極を揃えて配置されている。これら永久磁石12により図7(a)に示すように、光の入射出方向に固定磁界H1が印加される。また、ファラデー回転子1に対して固定磁界H1の方向とほぼ直交する方向に可変磁界H2を印加する電磁石14が配置されている。可変磁界H2の強度は電磁石14のコイル(不図示)に流す電流を変化させることにより制御できる。
【0037】
図7(a)、(b)に示すように、外部磁界Hは、固定磁界H1と可変磁界H2との合成磁界で与えられる。可変磁界H2の大きさを変えることにより、外部磁界Hの方向を変化させてファラデー回転子1の光入射出方向の磁化の強さを変化させることができる。
【0038】
光部品10におけるファラデー回転子1のファラデー回転角を評価した。光の入射出方向の磁界(固定磁界H1)の強さを飽和磁界Hsに等しい240Oeとして(図7(a)参照)、ファラデー回転角が15deg、すなわち回転角の減少量が15degとなるように電磁石14により発生する可変磁界H2の強度を調節した(図7(b)参照)。磁界強度の調節時に電磁石14のコイルに流した電流は100mAであった。
【0039】
それに対し、光の入射出方向の固定磁界H1の強さを150Oeとして(図7(a)参照)、ファラデー回転角が14.8deg、すなわち回転角の減少量がほぼ15degとなるように電磁石14により発生する可変磁界H2の強度を調節した(図7(b)参照)。磁界強度の調節時に電磁石14のコイルに流した電流は63mAであった。
【0040】
さらに、光の入射出方向の固定磁界H1の強さを飽和磁界Hsの0.4倍の96Oeとして(図7(a)参照)、ファラデー回転角が13.2deg、すなわち回転角の減少量が15degに近くなるように電磁石14により発生する可変磁界H2の強度を調節した(図7(b)参照)。磁界強度の調節時に電磁石14のコイルに流した電流は41mAであった。
【0041】
以上説明したように本実施例の光部品10は、ガーネット単結晶で形成されたファラデー回転子1と、ファラデー回転子1の飽和磁界Hsより小さい外部磁界Hをファラデー回転子1に印加する磁気回路とを有している。この構成において、ファラデー回転子1に印加する外部磁界Hの方位や強度を変えて磁気モーメント2の方向を変化させることによりファラデー回転角を変化させることができる。
【0042】
本実施例による光部品10のファラデー回転子1及び磁気回路において、ファラデー回転子1の光入射方向に磁界を印加した際の飽和磁界Hsの大きさを|Hs|とすると、0.4×|Hs|<|H|<|Hs|の関係を満たす大きさ|H|の外部磁界Hをファラデー回転子1に印加することにより、小型で消費電力の小さな磁気回路を構成することができ、同時にファラデー回転子1の光損失を低く抑えることも可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、光部品の磁気回路を小型で消費電力の小さなものを用いることができる。また、ファラデー回転子の挿入損失を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による光部品の動作原理の説明であって、磁気モーメントの方向と外部磁界Hの大きさ(強度)の関係を説明する図である。
【図2】本発明の一実施の形態による光部品の動作原理の説明であって、磁気モーメントの方向と回折光による光損失の関係を説明する図である。
【図3】熱処理を施していないファラデー回転子の磁区構造を示す図である。
【図4】熱処理を施したファラデー回転子1の磁気モーメントの方向と外部磁界Hの大きさ(強度)の関係を説明する図である。
【図5】熱処理を施したファラデー回転子1に印加する外部磁界Hとファラデー回転角との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施の形態による実施例に係る光部品の概略構成を示す図である。
【図7】図6に示す光部品によるファラデー回転角の変更動作を示す図である。
【図8】磁化容易軸が結晶成長と同一方向の<111>方位ではなく成長面の面方向に近い方向にある別の<111>方位となることを説明する図である。
【図9】ファラデー回転子に印加する外部磁界Hとファラデー回転角との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ファラデー回転子
2 磁気モーメント
10 光部品
12 永久磁石
14 電磁石
H 外部磁界
Hs 飽和磁界
H1 固定磁界
H2 可変磁界
Ii 入力(入射)光
Io 出力(射出)光
Ir 回折光

Claims (6)

  1. ガーネット単結晶で形成され、結晶成長方向よりも成長面の面方向に近い方向に磁化容易軸があるファラデー回転子と、
    前記ファラデー回転子に対して前記ファラデー回転子の光の入射出方向に前記ファラデー回転子の飽和磁界Hsより小さい固定磁界H1を印加する永久磁石と、前記ファラデー回転子に対して前記固定磁界H1の方向とほぼ直交する方向に可変磁界H2を印加する電磁石とを備えた磁気回路とを有し、
    磁界無印加状態での前記ファラデー回転子内の磁気モーメントは、一部が前記磁化容易軸の一方向を向き、それ以外は逆方向を向いて、異なる磁区構造が形成されていること
    を特徴とする光部品。
  2. 請求項1記載の光部品において、
    前記ガーネット単結晶は、
    Bi3−aFe5−x12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Dy、Tb、Gd、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素であり、aは、0.6≦a≦2.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表されること
    を特徴とする光部品。
  3. 請求項1記載の光部品において、
    前記ガーネット単結晶は、
    Bi3−b−cFe5−x12(ここで、Aは、Y、Lu、Yb、Er、Ho、Eu、Sm、Nd、Pr、Ce、La、Pb、Caの一種類以上の元素、BはTb、Gd、Dyの一種類以上の元素であり、b及びcは、0.6≦b≦2.0、0.6<b+c≦3.0を満足する。Mは、Ga、Al、Sc、In、Si、Ge、Ti、Au、Ir、Ptの一種類以上の元素であり、xは、0≦x≦1.5を満足する。)で表されること
    を特徴とする光部品。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光部品において、
    前記磁気回路は、
    前記固定磁界H1の大きさ(強度)を|H|とし、前記飽和磁界Hsの大きさを|Hs|として、
    0.4×|Hs|<|H|<|Hs|の範囲で前記固定磁界H1を印加すること
    を特徴とする光部品。
  5. 請求項4記載の光部品において、
    前記磁気回路は、
    前記固定磁界H1と前記可変磁界H2との合成磁界として外部磁界Hを前記ファラデー回転子に印加させること
    を特徴とする光部品。
  6. 請求項5記載の光部品において、
    前記磁気回路は、
    前記ファラデー回転子の光入射面に対して斜めに前記外部磁界Hを印加すること
    を特徴とする光部品。
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