JP2001142039A - 硬磁性ガーネット厚膜材料およびその製造方法 - Google Patents

硬磁性ガーネット厚膜材料およびその製造方法

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JP2001142039A
JP2001142039A JP36005299A JP36005299A JP2001142039A JP 2001142039 A JP2001142039 A JP 2001142039A JP 36005299 A JP36005299 A JP 36005299A JP 36005299 A JP36005299 A JP 36005299A JP 2001142039 A JP2001142039 A JP 2001142039A
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hard magnetic
film material
garnet thick
magnetic garnet
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JP36005299A
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Tadakuni Sato
忠邦 佐藤
Kazumitsu Endo
和光 遠藤
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Tokin Corp
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Tokin Corp
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  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型化、軽量化、低価格化を同時に図った光
アイソレータを実現するに好適な、すなわち、磁界印加
用の永久磁石を必要としないファラデー回転素子として
の、硬磁性ガーネット厚膜材料を提供すること。 【解決手段】 SGGG基板上に、LPE法により、T
3-xBixFe5-y(AlaGaby12、0.8≦x≦
1.5、0.8≦y≦1.2、および、0.1≦a/(a+
b)≦0.90、で示される組成で、含有されるB23
およびPbOの濃度が、それぞれ3wt%以下の硬磁性
ガーネット厚膜材料。この硬磁性ガーネット厚膜材料
を、酸素濃度が10%以上の雰囲気中で、650〜11
00℃の温度範囲で保持する熱処理することによって、
光の挿入損失を低く保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信機器、光情
報処理機器等に用いられ、主として、光を一方向にのみ
透過させ、逆方向には遮断する光アイソレータのファラ
デー回転素子として用いられる硬磁性ガーネット厚膜材
料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光源からの出射光を、光学系を用いて伝
達するとき、光学系中の光学素子の端面で反射した光
は、光源に戻ってくる。例えば、光通信においては、レ
ーザ光源から出射した光は、結合レンズによって収束さ
れ光ファイバの端面に集められる。大部分の光は光ファ
イバ中に入りその中を伝搬するが、一部は光ファイバの
端面で反射されて、光アイソレータを用いない場合に
は、レーザ光源に戻る。レーザ光源に戻った光は、一般
に位相も偏光方向もレーザ光源の出射光とは異なり、こ
れによってレーザ発振が乱され出射光のノイズとなった
り、さらにはレーザ発振の停止に至る場合もある。
【0003】このような戻り光を遮断するために、光ア
イソレータが用いられる。光アイソレータでは、戻り光
の遮断特性(アイソレーション、消光比)が高いこと、
入射光の挿入損失が低いことが要求される。図28は、
従来技術による光アイソレータの断面図である。図28
において、光アイソレータは、ファラデー回転素子3、
2個の偏光素子1、永久磁石4、ホルダ2、および筐体
5から構成されている。ファラデー回転素子3および偏
光素子1は、ホルダ2や永久磁石4を介して、接着剤や
半田、レーザ溶接等により、筐体5に固定されている。
【0004】図28に示す光アイソレータにおいて、フ
ァラデー回転素子3を構成する磁性材料を、一方向に十
分に磁化する磁界強度を必要とするため、永久磁石4に
は、一定の体積を要する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光アイソレータの永久
磁石4は、また、ファラデー回転素子3を内包する構造
をなしているため、光アイソレータの外径は、少なくと
も永久磁石4の肉厚に相当する分だけ、余分に大きくな
ってしまう。光アイソレータには、他の光部品と同様
に、より一層の小型化、軽量化、低価格化が求められて
いる。高性能な希土類磁石の使用は、小型化のために有
効であるが、低価格化に対しては課題として残されてい
た。
【0006】米国特許第5608570号(対応日本特
許は、特開平9−185027号)には、硬磁性ガーネ
ット厚膜材料を用いた、いわゆるラッチング挙動に関し
て記述されている。しかし、光アイソレータ特性の劣化
とファラデー回転素子の形状に関連する記述はなく、あ
るいは、示唆もされていない。
【0007】本発明は、小型化、軽量化、低価格化を同
時に図った光アイソレータを実現するに好適な、すなわ
ち、磁界印加用の永久磁石を必要としないファラデー回
転素子としての、硬磁性ガーネット厚膜材料を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の様相によ
れば、Tb、Bi、Fe、Al、Gaを主成分とする単
結晶厚膜からなる硬磁性ガーネット厚膜材料において、
SGGG結晶(Ca、Mg、Zr置換GGG、格子定数
12.496オングストローム)を基板とし、液相エピ
タキシャル成長法(以下、LPE法という)により、化
学式が、Tb3- xBixFe5-y(AlaGaby12、た
だし、0.8≦x≦1.5、0.8≦y≦1.2、および、
0.1≦a/(a+b)≦0.90、で示される組成を有
する硬磁性ガーネット厚膜材料を得ることができる。本
発明の第1の様相の硬磁性ガーネット厚膜材料に含まれ
るB23およびPbOの濃度は、それぞれ3wt%以下
と規定する。本発明の第1の様相の硬磁性ガーネット厚
膜材料を、酸素濃度が10%以上の雰囲気中で、650
〜1100℃の温度範囲で保持する熱処理によって、光
の挿入損失を低く保つことができる。
【0009】本発明の第2の様相によれば、Gd、B
i、Fe、Al、Gaを主成分とする単結晶厚膜からな
る硬磁性ガーネット厚膜材料において、SGGG結晶
(Ca、Mg、Zr置換GGG、格子定数12.496
オングストローム)を基板とし、液相エピタキシャル成
長法(以下、LPE法という)により、化学式が、Gd
3- xBixFe5-y(AlaGaby12、ただし、0.8
≦x≦1.5、0.7≦y≦1.2、および、0.2≦a/
(a+b)≦0.90、で示される組成を有する硬磁性
ガーネット厚膜材料を得ることができる。本発明の第2
の様相の硬磁性ガーネット厚膜材料に含まれるB23
よびPbOの濃度は、それぞれ3wt%以下と規定す
る。本発明の第2の様相の硬磁性ガーネット厚膜材料
を、酸素濃度が10%以上の雰囲気中で、600〜11
00℃の温度範囲で保持する熱処理によって、光の挿入
損失を低く保つことができる。
【0010】本発明の第3の様相によれば、Gd、T
b、Bi、Fe、Al、Gaを主成分とする単結晶厚膜
からなる硬磁性ガーネット厚膜材料において、化学式
が、(GdaTbb3-xBixFe5-y(AlcGady
12、ただし、0.10≦a/(a+b)≦0.90、0.
05≦c/(c+d)≦0.90、0.8≦x≦1.4、
および0.6≦y≦1.2、で示される硬磁性ガーネット
厚膜材料を得ることができる。
【0011】本発明の第3の様相の硬磁性ガーネット厚
膜材料に含まれるB23およびPbOの濃度は、それぞ
れ3wt%以下と規定される。
【0012】本発明の第3の様相の硬磁性ガーネット厚
膜材料を、酸素濃度が10%以上の雰囲気中で、600
〜1100℃の温度範囲で保持する熱処理によって、光
の挿入損失を低く保つことができる。
【0013】本発明の第4の様相によれば、ガーネット
基板上に液相エピタキシャル成長法により育成した、G
d、Ho、Bi、Fe、Al、Gaを主成分とする硬磁
性ガーネット厚膜材料において、組成式が(Gda
b3-xBixFe5-y(AlcGady12、a/(a
+b)=0.2〜0.9、c/(c+d)=0〜0.8、
x=0.8〜1.4、y=0.7〜1.3である硬磁性ガー
ネット厚膜材料を得ることができる。
【0014】また、本発明の第4の様相は、PbO及び
23を各々3wt%以下含有する上記の硬磁性ガーネ
ット厚膜材料である。
【0015】また、本発明の第4の様相は、600〜1
100℃の温度範囲で保持する熱処理を行う上記の硬磁
性ガーネット厚膜材料の製造方法である。
【0016】また、本発明の第4の様相は、酸素濃度が
10〜100%の範囲の雰囲気中で保持する熱処理を行
う上記の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方法である。
【0017】即ち、本発明の第4の様相では、従来のよ
うな光アイソレータの構造に対して、ファラデー回転子
に硬磁性ガーネット厚膜を使用することにより、強い磁
界を発生する磁界印加用磁石が不要となるので、小型化
(小径化)、軽量化、低価格化を同時に達成するもので
ある。
【0018】本発明の第5の様相は、ガーネット基板上
に液相エピタキシャル成長法により育成した、Yb、B
i、Fe、Al、Gaを主成分とする硬磁性ガーネット
厚膜材料において、組成式がYb3-xBixFe5-y(A
aGaby12、x=0.8〜1.5、y=0.9〜1.
5、a/(a+b)=0〜0.5(但し、0を含まず)
であることを特徴とする硬磁性ガーネット厚膜材料であ
る。
【0019】また、本発明の第5の様相は、PbO及び
23を各々3wt%以下含有する上記の硬磁性ガーネ
ット厚膜材料である。
【0020】また、本発明の第5の様相は、600〜1
100℃の温度範囲で保持する熱処理を行う上記の硬磁
性ガーネット厚膜材料の製造方法である。
【0021】また、本発明の第5の様相は、酸素濃度が
10〜100%の範囲の雰囲気中で保持する熱処理を行
う上記の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方法である。
【0022】即ち、本発明の第5の様相は、従来のよう
な光アイソレータの構造に対して、ファラデー回転子に
硬磁性ガーネット厚膜を使用することにより、強い磁界
を発生する磁界印加用磁石が不要となるので、小型化
(小径化)、軽量化、低価格化を同時に達成するもので
ある。
【0023】
【発明の実施の形態】まず、本発明の第1の実施の形態
について、図面を参照して説明する。
【0024】本発明において、ファラデー回転素子を構
成する硬磁性ガーネット厚膜材料は、膜厚方向に磁気異
方性を有するように、LPE法によって育成される。硬
磁性のガーネット厚膜材料は、いったん外部磁界を厚さ
方向に印加した後、外部磁界を取り去っても、一方向に
良好な磁化が保持される、いわゆるラッチング機能を有
する。そのため、本発明の硬磁性ガーネット厚膜材料
は、永久磁石を必要としないファラデー回転素子として
用いることができる。
【0025】本発明による硬磁性ガーネット厚膜材料
は、結晶育成が容易なことと併せて、高濃度のBiを主
成分として含有するため、高いファラデー回転能を示
し、薄い膜厚でもファラデー回転素子に必要なファラデ
ー回転角が得られる。
【0026】Tb3-xBixFe5-y(AlaGaby12
で表される化学式のうち、xの値が0.8未満、あるい
は、xが1.5を超えた領域では、結晶格子歪みや格子
欠陥の顕著な増加のために、光の透過損失が増大し、光
学特性が劣化する。また、yの値が0.8未満、あるい
は、yが1.2を超えた領域では、温度サイクルにより
光アイソレータの特性劣化発生率が著しく増加する。前
者は静磁エネルギーをもたらし、後者は結晶格子の歪み
に起因する逆磁区発生を促す要因をなす。また、a/
(a+b)の値が0.1未満、あるいは、0.9を超えた
領域では、結晶格子の歪みにより光の透過損失が増大
し、光学特性が劣化する。硬磁性ガーネット厚膜材料に
おけるTb、Bi、Fe、Al、Gaの組成は、磁化の
大きさに影響し、磁化が大きくなると逆磁区が発生して
光アイソレータの特性(アイソレーション、消光比、挿
入損失)が劣化する。
【0027】硬磁性ガーネット厚膜材料は、以下に述べ
るように、LPE法によって育成される。まず、白金る
つぼの中で、フラックス成分としての酸化鉛(Pb
O)、酸化ホウ素(B23)、酸化ビスマス(Bi
23)等、ガーネット成分として高純度の、酸化テルビ
ウム(Tb23)、酸化第2鉄(α−Fe23)、酸化
ガリウム(Ga23)等を、約900〜1100℃の温
度で溶解して溶液を作製した後、降温し過冷却状態(過
飽和溶液状態)とする。その溶液に浸漬し、一定時間回
転した基板結晶の表面に、硬磁性ガーネット厚膜材料が
育成される。硬磁性ガーネット厚膜材料は、PbO−B
23−B23系をフラックスとして育成されるため、
ある程度のB23およびPbOを含有させることができ
る。硬磁性ガーネット厚膜材料中の高濃度のB23、P
bOは、入射光の挿入損失を高める。しかし、適切な濃
度で含まれるB23、PbOは、それぞれ、結晶格子の
歪みの緩和や、イオンバランスの改善に寄与すると考え
られる。本発明において、硬磁性ガーネット厚膜材料に
含有されるB23およびPbOは、それぞれ3wt%以
下とされる。さらに、硬磁性ガーネット厚膜材料は、基
板となるSGGG結晶よりも20%程度大きい熱膨張率
をもつ。このため、基板結晶を削除しても、硬磁性ガー
ネット厚膜材料には、応力が残存する。この状態で温度
サイクル(通常、ファラデー回転素子の場合、−40℃
〜+80℃の温度範囲)を与えると、硬磁性ガーネット
厚膜材料には、応力の変化のほか、磁化量および磁壁エ
ネルギーの変化が重畳し、逆磁区が発生し易い原因は残
る。逆磁区が発生している硬磁性ガーネット厚膜材料を
ファラデー回転素子とする光アイソレータの光学特性
(アイソレーション、挿入損失、消光比等)は、著しく
劣化する。
【0028】LPE法によって育成した硬磁性ガーネッ
ト厚膜材料に、650〜1100℃の温度範囲で保持す
る熱処理を、酸素濃度10%以上の雰囲気で施すと、硬
磁性を保ちつつ、温度サイクルによる光アイソレータの
特性劣化発生率が著しく低減されることが明らかになっ
た。650〜1100℃の温度範囲での熱処理は、LP
E法によって育成した硬磁性ガーネット厚膜材料に残留
した応力を緩和し、保磁力と磁化曲線の角型性の向上を
もたらし、温度サイクル等に対しても、逆磁区の発生を
低減する。650℃よりも低い温度では、応力緩和の効
果は著しく低い。また、1100℃を超える温度では、
硬磁性ガーネット厚膜材料の構成元素の拡散が顕著とな
り、磁化曲線の角型性の低下が進む。このため、硬磁性
ガーネット厚膜材料の磁気異方性の減少、保磁力の低下
としてあらわれ、外部磁界の印加なしには耐えられない
までに、光アイソレータの特性が劣化してしまう。
【0029】また、熱処理の雰囲気の酸素濃度が10%
よりも低い雰囲気では、硬磁性ガーネット厚膜材料に+
2価イオンを生成し、挿入損失の増大を招く。
【0030】
【実施例】本実施の形態の詳細を、以下に実施例をもっ
て説明する。
【0031】(実施例1)図1は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料における、挿入損失の組成依存性を示す
図である。
【0032】LPE法によって、PbO−Bi23−B
23系をフラックスとし、SGGG結晶基板上に、Tb
Bi系の硬磁性ガーネット厚膜材料を育成した。磁性ガ
ーネット厚膜材料は500〜800μmの厚さで、Tb
3-xBixFe3.9(Al0.5Ga0.51.112で表され、
xを0.7〜1.6の各値をもつ組成とした。硬磁性ガー
ネット厚膜材料に含有されるPbOを0.2〜2.5wt
%、B23を0.1〜2.5wt%とした。なお、硬磁性
ガーネット厚膜材料の組成、PbO、および、B23
含有濃度は、別途、EPMA分析および原子吸光分析に
よって求めた。
【0033】本発明の硬磁性ガーネット厚膜材料の磁気
特性は、振動型磁力計(VSM)による測定によれば、
飽和磁化(4πMs)および残留磁化(Br)は約10
0G、保磁力(iHc)は300〜500Oe程度であ
った。膜厚方向に磁気異方性を有する角形性の良好な磁
化曲線を有し、硬磁性ガーネット厚膜材料となっている
ことがわかった。また、これらの硬磁性ガーネット厚膜
材料の波長1.55μmにおけるファラデー回転能は、
約700〜1500deg/cmであった。
【0034】この硬磁性ガーネット厚膜材料を研磨し
て、波長1.55μmにおけるファラデー回転角が約4
5degとなるように調整した。さらに、ARコート処
理し、一辺が2mmの正方形に切断加工して、平板状の
ファラデー回転素子を作製した。電磁石を用いて約5k
Oeの磁界を印加して、このファラデー回転素子を着磁
した。その後、印加磁界を取り去り、このファラデー回
転素子の挿入損失を測定した。
【0035】図1によれば、xが0.8よりも小さい範
囲、または、xが1.5を超える範囲では挿入損失が著
しく増加し、xが0.8〜1.5の範囲で低い挿入損失と
なっている。x=0.8〜1.5の範囲では、低い挿入損
失が得られる。
【0036】(実施例2)図2は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料における挿入損失の、AlとGaの組成
依存性を示す図である。
【0037】実施例1と同様にして、主成分比が、Tb
1.8Bi1.2Fe4.0(AlaGab1 .012、a/(a+
b)=0〜1.0で表され、PbOおよびB23を各々
0.1〜2.0wt%含有する硬磁性ガーネット厚膜材料
を、厚さ約500μm育成した。実施例1と同様に、研
磨、ARコート、切断加工、着磁して、各特性を測定し
た。育成されたガーネット厚膜は、磁気特性の4πMs
およびBrが約100G、iHcが約400Oeで、膜
厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線を
示し、硬磁性となっていることが判った。硬磁性ガーネ
ット厚膜材料のファラデー回転能は、波長1.55μm
で約1100deg/cmであった。
【0038】図2によれば、a/(a+b)が0.1よ
りも低い範囲、または、a/(a+b)が0.9を超え
る範囲では、挿入損失が著しく増加し、a/(a+b)
=0.1〜0.9の範囲では、低い挿入損失が得られる。
【0039】(実施例3)図3は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料をファラデー回転素子とする光アイソレ
ータの、特性劣化発生率の組成依存性を示す図である。
【0040】実施例1と同様に、主成分比が、Tb1.8
Bi1.2Fe5-y(Al0.4Ga0.6y12、y=0.7〜
1.3で表され、PbOおよびB23を各々0.2〜3.
0wt%含有するTbBi系の硬磁性ガーネット厚膜材
料を、約500μmに育成した。
【0041】育成された硬磁性ガーネット厚膜材料の磁
気特性は、Brが約20〜300G、iHcが約100
〜800Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有する角
型性の良好な磁化曲線を示していた。硬磁性ガーネット
厚膜材料のファラデー回転能は、波長1.55μmで約
1100deg/cmであった。さらに、ARコート後
の測定によれば、挿入損失は0.1dB以下であった。
本実施例による硬磁性ガーネット厚膜材料を、実施例1
と同様に、研磨、ARコート、切断加工した上、平板状
のファラデー回転素子とした。互いの偏光面が45de
gとなるように配置した2枚のガラス偏光子(商品名ポ
ーラコア)の間にファラデー回転素子を装填し、電磁石
により約10kOeの磁界を印加して、磁界印加用磁石
をもたない光アイソレータを作製した。この光アイソレ
ータの特性は、アイソレーションが40dB以上、挿入
損失が0.3dB以下、消光比が40dB以上であっ
た。
【0042】次に、y=0.7〜1.3の範囲の各組成の
硬磁性ガーネット厚膜材料を用いて、各100個の光ア
イソレータを作製し、温度サイクル(−40℃〜+80
℃/Hr)を10回繰り返した後、光アイソレータの特
性劣化の発生率を調べた。ここで、光アイソレータの特
性劣化とは、アイソレーションが40dB以下、挿入損
失が0.3dB以上、消光比が40dB以下のいずれか
の範囲になった状態をいう。図3によれば、y=0.8
〜1.2の範囲では、特性劣化発生率は低く保たれてい
るが、yが0.8よりも低い範囲、または、1.2を超
える範囲では、特性劣化発生率が著しく増加する。
【0043】(実施例4)図4は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料を用いた光アイソレータの特性劣化発生
率に及ぼす熱処理温度の影響を示す図である。
【0044】実施例1と同様にして、主成分比が、Tb
1.8Bi1.2Fe4.0Al0.4Ga0.612で表され、B2
3およびPbOを各々約2.0wt%含有するTbBi系
の硬磁性ガーネット膜材料を、約600μmの厚さに育
成した。基板を除去した硬磁性ガーネット膜材料を、約
50%の酸素を含む雰囲気中で、600℃〜1150℃
の各温度で4時間保持し、熱処理した。
【0045】この硬磁性ガーネット厚膜材料の4πMs
は110G前後で、1150℃での熱処理試料では膜厚
方向の磁気異方性が著しく低下した磁化曲線を示してい
た。他の硬磁性ガーネット膜材料では、iHcが約20
0〜500Oeで、磁化曲線は良好な角型性を示してい
た。波長1.55μmにおけるファラデー回転角は約1
200deg/cmであった。
【0046】次に、各温度でそれぞれ熱処理した硬磁性
ガーネット厚膜材料について、実施例3と同様にして、
温度サイクルによる光アイソレータの特性劣化発生率を
調べた。図4によれば、熱処理温度が650℃を超える
と、特性劣化発生率は著しく低減し、熱処理温度が11
00℃を超えた温度では、著しく増加している。熱処理
温度が650℃〜1100℃の範囲では、特性劣化発生
率は著しく低減しており、650℃〜1100℃での熱
処理が有用であることが判る。
【0047】(実施例5)図5は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料の挿入損失に及ぼす熱処理雰囲気の酸素
濃度の影響を示す図である。
【0048】実施例1と同様にして、主成分比が、Tb
1.7Bi1.3Fe4.0Al0.6Ga0.412で表され、B2
3およびPbOを各々約0.5wt%含有するTbBi系
の硬磁性ガーネット厚膜材料を、約600μmの厚さに
育成した。基板を除去した硬磁性ガーネット厚膜材料
を、900℃の温度で、各酸素濃度雰囲気中で4時間保
持した。
【0049】この硬磁性ガーネット厚膜材料の磁気特性
は、4πMsおよびBrが約120G、iHcが約40
0Oeで、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好
な磁化曲線を示した。波長1.55μmにおけるファラ
デー回転角が約45degとなるように厚さ(約400
μm)を調整した後、ARコートを施し、挿入損失を測
定した。図5によれば、熱処理雰囲気の酸素濃度が10
〜100%の範囲で、挿入損失が低減することがわか
る。
【0050】次に、本発明の第2の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0051】本実施の形態においても、ファラデー回転
素子を構成する硬磁性ガーネット厚膜材料は、膜厚方向
に磁気異方性を有するように、LPE法によって育成さ
れるのは、第1の実施形態と同様である。
【0052】本実施の形態による硬磁性ガーネット厚膜
材料も、結晶育成が容易なことと併せて、高濃度のBi
を主成分として含有するため、高いファラデー回転能を
示し、薄い膜厚でもファラデー回転素子に必要なファラ
デー回転角が得られる。
【0053】Gd3-xBixFe5-y(AlaGaby12
で表される化学式のうち、xの値が0.8未満、あるい
は、xが1.5を超えた領域では、結晶格子歪みや格子
欠陥の顕著な増加のために、光の透過損失が増大し、光
学特性が劣化する。また、yの値が0.7未満、あるい
は、yが1.2を超えた領域では、温度サイクルにより
光アイソレータの特性劣化発生率が著しく増加する。前
者は静磁エネルギーをもたらし、後者は結晶格子の歪み
に起因する逆磁区発生を促す要因をなす。また、a/
(a+b)の値が0.2未満、あるいは、0.9を超えた
領域では、結晶格子の歪みにより光の透過損失が増大
し、光学特性が劣化する。硬磁性ガーネット厚膜材料に
おけるGd、Bi、Fe、Al、Gaの組成は、磁化の
大きさに影響し、磁化が大きくなると逆磁区が発生して
光アイソレータの特性(アイソレーション、消光比、挿
入損失)が劣化する。
【0054】硬磁性ガーネット厚膜材料は、以下に述べ
るように、LPE法によって育成される。まず、白金る
つぼの中で、フラックス成分としての酸化鉛(Pb
O)、酸化ホウ素(B23)、酸化ビスマス(Bi
23)等、ガーネット成分として高純度の、酸化ガドリ
ニウム(Gd23)、酸化第2鉄(α−Fe23)、酸
化ガリウム(Ga23)等を、約900〜1100℃の
温度で溶解して溶液を作製した後、降温し過冷却状態
(過飽和溶液状態)とする。その溶液に浸漬し、一定時
間回転した基板結晶の表面に、硬磁性ガーネット厚膜材
料が育成される。硬磁性ガーネット厚膜材料は、PbO
−Bi23−B23系をフラックスとして育成されるた
め、ある程度のB23およびPbOを含有させることが
できる。硬磁性ガーネット厚膜材料中の高濃度のB
23、PbOは、入射光の挿入損失を高める。しかし、
適切な濃度で含まれるB23、PbOは、それぞれ、結
晶格子の歪みの緩和や、イオンバランスの改善に寄与す
ると考えられる。本発明において、硬磁性ガーネット厚
膜材料に含有されるB23およびPbOは、それぞれ3
wt%以下とされる。さらに、硬磁性ガーネット厚膜材
料は、基板となるSGGG結晶よりも20%程度大きい
熱膨張率をもつ。このため、基板結晶を削除しても、硬
磁性ガーネット厚膜材料には、応力が残存する。この状
態で温度サイクル(通常、ファラデー回転素子の場合、
−40℃〜+80℃の温度範囲)を与えると、硬磁性ガ
ーネット厚膜材料には、応力の変化のほか、磁化量およ
び磁壁エネルギーの変化が重畳し、逆磁区が発生し易い
原因は残る。逆磁区が発生している硬磁性ガーネット厚
膜材料をファラデー回転素子とする光アイソレータの光
学特性(アイソレーション、挿入損失、消光比等)は、
著しく劣化する。
【0055】LPE法によって育成した硬磁性ガーネッ
ト厚膜材料に、600〜1100℃の温度範囲で保持す
る熱処理を、酸素濃度10%以上の雰囲気で施すと、硬
磁性を保ちつつ、温度サイクルによる光アイソレータの
特性劣化発生率が著しく低減されることが明らかになっ
た。600〜1100℃の温度範囲での熱処理は、LP
E法によって育成した硬磁性ガーネット厚膜材料に残留
した応力を緩和し、保磁力と磁化曲線の角型性の向上を
もたらし、温度サイクル等に対しても、逆磁区の発生を
低減する。600℃よりも低い温度では、応力緩和の効
果は著しく低い。また、1100℃を超える温度では、
硬磁性ガーネット厚膜材料の構成元素の拡散が顕著とな
り、磁化曲線の角型性の低下が進む。このため、硬磁性
ガーネット厚膜材料の磁気異方性の減少、保磁力の低下
としてあらわれ、外部磁界の印加なしには耐えられない
までに、光アイソレータの特性が劣化してしまう。
【0056】また、熱処理の雰囲気の酸素濃度が10%
よりも低い雰囲気では、硬磁性ガーネット厚膜材料に+
2価イオンを生成し、挿入損失の増大を招く。
【0057】
【実施例】本第2の実施の形態の詳細を、以下に実施例
をもって説明する。
【0058】(実施例6)図6は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料における、挿入損失の組成依存性を示す
図である。
【0059】LPE法によって、PbO−Bi23−B
23系をフラックスとし、NGG結晶基板上に、GdB
i系の硬磁性ガーネット厚膜材料を育成した。硬磁性ガ
ーネット厚膜材料は500〜800μmの厚さで、Gd
3-xBixFe4.2(Al0.6Ga0.2)O12で表され、x
を0.7〜1.6の各値をもつ組成とした。硬磁性ガーネ
ット厚膜材料に含有されるPbOを0.2〜2.5wt
%、B23を0.1〜2.5wt%とした。なお、硬磁性
ガーネット厚膜材料の組成、PbO、および、B 23
含有濃度は、別途、EPMA分析および原子吸光分析に
よって求めた。
【0060】本発明の硬磁性ガーネット厚膜材料の磁気
特性は、振動型磁力計(VSM)による測定によれば、
飽和磁化(4πMs)および残留磁化(Br)は約10
0G、保磁力(iHc)は300〜500Oe程度であ
った。膜厚方向に磁気異方性を有する角形性の良好な磁
化曲線を有し、硬磁性ガーネット厚膜材料となっている
ことがわかった。また、これらの硬磁性ガーネット厚膜
材料の波長1.55μmにおけるファラデー回転能は、
約700〜1500deg/cmであった。
【0061】この硬磁性ガーネット厚膜材料を研磨し
て、波長1.55μmにおけるファラデー回転角が約4
5degとなるように調整した。さらに、ARコート処
理し、一辺が2mmの正方形に切断加工して、平板状の
ファラデー回転素子を作製した。電磁石を用いて約5k
Oeの磁界を印加して、このファラデー回転素子を着磁
した。その後、印加磁界を取り去り、このファラデー回
転素子の挿入損失を測定した。
【0062】図6によれば、xが0.8よりも小さい範
囲、または、xが1.5を超える範囲では挿入損失が著
しく増加し、xが0.8〜1.5の範囲で低い挿入損失と
なっている。x=0.8〜1.5の範囲では、低い挿入損
失が得られる。
【0063】(実施例7)図7は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料における挿入損失の、AlとGaの組成
依存性を示す図である。
【0064】実施例1と同様にして、主成分比が、Gd
1.9Bi1.1Fe4.1(AlaGab0 .912、a/(a+
b)=0〜1.0で表され、PbOおよびB23を各々
0.1〜2.0wt%含有する硬磁性ガーネット厚膜材料
を、厚さ約500μm育成した。実施例6と同様に、研
磨、ARコート、切断加工、着磁して、各特性を測定し
た。育成されたガーネット厚膜は、磁気特性の4πMs
およびBrが約100G、iHcが約400Oeで、膜
厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線を
示し、硬磁性となっていることが判った。硬磁性ガーネ
ット厚膜材料のファラデー回転能は、波長1.55μm
で約1100deg/cmであった。
【0065】図7によれば、a/(a+b)が0.2よ
りも低い範囲、または、a/(a+b)が0.9を超え
る範囲では、挿入損失が著しく増加し、a/(a+b)
=0.2〜0.9の範囲では、低い挿入損失が得られる。
【0066】(実施例8)図8は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料をファラデー回転素子とする光アイソレ
ータの、特性劣化発生率の組成依存性を示す図である。
【0067】実施例6と同様に、主成分比が、Gd1.9
Bi1.1Fe5-y(Al0.5Ga0.3y12、y=0.6〜
1.3で表され、PbOおよびB23を各々0.2〜3.
0wt%含有するGdBi系の硬磁性ガーネット厚膜材
料を、約500μmに育成した。
【0068】育成された硬磁性ガーネット厚膜材料の磁
気特性は、Brが約10〜250G、iHcが約100
〜800Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有する角
型性の良好な磁化曲線を示していた。硬磁性ガーネット
厚膜材料のファラデー回転能は、波長1.55μmで約
1100deg/cmであった。さらに、ARコート後
の測定によれば、挿入損失は0.1dB以下であった。
本実施例による硬磁性ガーネット厚膜材料を、実施例6
と同様に、研磨、ARコート、切断加工した上、平板状
のファラデー回転素子とした。互いの偏光面が45de
gとなるように配置した2枚のガラス偏光子(商品名ポ
ーラコア)の間にファラデー回転素子を装填し、電磁石
により約10kOeの磁界を印加して、磁界印加用磁石
をもたない光アイソレータを作製した。この光アイソレ
ータの特性は、アイソレーションが40dB以上、挿入
損失が0.3dB以下、消光比が40dB以上であっ
た。
【0069】次に、y=0.6〜1.3の範囲の各組成の
硬磁性ガーネット厚膜材料を用いて、各100個の光ア
イソレータを作製し、温度サイクル(−40℃〜+80
℃/Hr)を10回繰り返した後、光アイソレータの特
性劣化の発生率を調べた。ここで、光アイソレータの特
性劣化とは、アイソレーションが40dB以下、挿入損
失が0.3dB以上、消光比が40dB以下のいずれか
の範囲になった状態をいう。図8によれば、y=0.7
〜1.2の範囲では、特性劣化発生率は低く保たれてい
るが、yが0.7よりも低い範囲、または、1.2を超え
る範囲では、特性劣化発生率が著しく増加する。
【0070】(実施例9)図9は、本発明の硬磁性ガー
ネット厚膜材料を用いた光アイソレータの特性劣化発生
率に及ぼす熱処理温度の影響を示す図である。
【0071】実施例6と同様にして、主成分比が、Gd
1.8Bi1.2Fe4.0Al0.7Ga0.312で表され、B2
3およびPbOを各々約2.0wt%含有するGdBi系
の硬磁性ガーネット膜材料を、約600μmの厚さに育
成した。基板を除去した硬磁性ガーネット膜材料を、約
50%の酸素を含む雰囲気中で、600℃〜1150℃
の各温度で4時間保持し、熱処理した。
【0072】この硬磁性ガーネット厚膜材料の4πMs
は50G前後で、1150℃での熱処理試料では膜厚方
向の磁気異方性が著しく低下した磁化曲線を示してい
た。他の硬磁性ガーネット膜材料では、iHcが約20
0〜500Oeで、磁化曲線は良好な角型性を示してい
た。波長1.55μmにおけるファラデー回転角は約1
200deg/cmであった。
【0073】次に、各温度でそれぞれ熱処理した硬磁性
ガーネット厚膜材料について、実施例8と同様にして、
温度サイクルによる光アイソレータの特性劣化発生率を
調べた。図9によれば、熱処理温度が600℃を超える
と、特性劣化発生率は著しく低減し、熱処理温度が11
00℃を超えた温度では著しく増加している。熱処理温
度が600℃〜1100℃の範囲では、特性劣化発生率
は著しく低減しており、600℃〜1100℃での熱処
理が有用であることが判る。
【0074】(実施例10)図10は、本発明の硬磁性
ガーネット厚膜材料の挿入損失に及ぼす熱処理雰囲気の
酸素濃度の影響を示す図である。
【0075】実施例6と同様にして、主成分比が、Gd
1.7Bi1.3Fe4.0Al0.8Ga0.212で表され、B2
3およびPbOを各々約0.5wt%含有するGdBi系
の硬磁性ガーネット厚膜材料を、約600μmの厚さに
育成した。基板を除去した硬磁性ガーネット厚膜材料
を、900℃の温度で、各酸素濃度雰囲気中で4時間保
持した。
【0076】この硬磁性ガーネット厚膜材料の磁気特性
は、4πMsおよびBrが約50G、iHcが約400
Oeで、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な
磁化曲線を示した。波長1.55μmにおけるファラデ
ー回転角が約45degとなるように、厚さ(約400
μm)を調整した後、ARコートを施し、挿入損失を測
定した。図10によれば、熱処理雰囲気の酸素濃度が1
0〜100%の範囲で、挿入損失が低減することがわか
る。
【0077】続いて、本発明の第3の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0078】本実施形態においても、ファラデー回転素
子を構成する硬磁性ガーネット厚膜材料は、膜厚方向に
磁気異方性をもつように、LPE法によって育成され
る。
【0079】即ち、まず、白金るつぼの中で、フラック
ス成分としての酸化鉛(PbO)および酸化ホウ素(B
23)、酸化ビスマス(Bi23)等、そして、ガーネ
ット成分としての高純度の酸化ガドリニウム(Gd
23)、酸化テルビウム(Tb23)、酸化第2鉄(α
−Fe23)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化アルミ
ニウム(Al23)等を、約900〜1100℃の温度
で溶解して溶液を調製する。その後、降温し過冷却状態
(過飽和溶液状態)とする。その溶液に、基板結晶を一
定時間回転させながら、浸漬することによって、硬磁性
ガーネット厚膜材料が育成される。なお、フラックス成
分としてのBi23は、硬磁性ガーネット厚膜材料の主
成分にもなっている。
【0080】本実施形態による硬磁性ガーネット厚膜材
料は、結晶育成が容易なことと併せて、高濃度のBiを
主成分として含有するため、高いファラデー回転能を示
し、小さい膜厚でもファラデー回転素子として必要なフ
ァラデー回転角が得られる。
【0081】本実施形態における硬磁性ガーネット厚膜
材料は、化学式が(GdaTbb5- xBixFe5-y(A
cGady12であって、a/(a+b)=0.1〜
0.9、c/(c+d)=0.05〜0.90、x=0.8
〜1.4、y=0.6〜1.2である。ここで、a/(a
+b)=0.1〜0.9の範囲としたのは、0.1以上で
結晶格子の歪みが緩和され、また0.9以下では磁壁エ
ネルギーの増加により、逆向きの磁化をもつ磁区の発生
が抑制され、温度サイクルによる光アイソレータの特性
劣化の発生率が減少するからである。c/(c+d)=
0.05〜0.90としたのは、この範囲で結晶格子の歪
みが緩和され、硬磁性ガーネット厚膜材料の挿入損失が
減少するからである。x=0.8〜1.4としたのは、
0.8〜1.4の範囲で結晶格子の歪みが緩和され、硬磁
性ガーネット厚膜材料の挿入損失が減少するからであ
る。y=0.6〜1.2としたのは、y=0.6以上では
硬磁性ガーネット厚膜材料の異方性磁界が大きく、y=
1.2以下では結晶格子の歪みが緩和され、逆向きの磁
化をもつ磁区の発生が抑制されるので、温度サイクルに
よる光アイソレータの特性劣化の発生率が減少するから
である。
【0082】硬磁性ガーネット厚膜材料は、PbO−B
23−B23系をフラックスとして育成されるため、
ある程度のB23およびPbOを含有させることができ
る。硬磁性ガーネット厚膜材料中の高濃度のB23、P
bOは、入射光の挿入損失を高める。しかし、適切な濃
度のB23、PbOは、それぞれ、硬磁性ガーネット厚
膜結晶格子の歪みの緩和や、イオンバランスの改善に寄
与すると考えられる。
【0083】LPE法によって作製される硬磁性ガーネ
ット厚膜材料は、基板結晶よりも20%程度大きい熱膨
張率をもつため、基板結晶を削除しても、室温近傍で
は、硬磁性ガーネット厚膜材料には応力が残存する。こ
のため、温度サイクル(通常の当該部品では、−40℃
〜+80℃の温度範囲)により、硬磁性ガーネット厚膜
材料には、応力の変化のほか、磁化量および磁壁エネル
ギーの変化が重畳し、逆向きの磁化をもつ磁区の発生が
発生し易い原因が残る。逆向きの磁化をもつ磁区の存在
は、光アイソレータの光学特性(アイソレーション、挿
入損失、消光比等)の劣化につながる。
【0084】逆向きの磁化をもつ磁区発生を低減するた
めには、LPE法で育成された硬磁性ガーネット厚膜材
料を、600℃〜1100℃の温度範囲で熱処理するこ
とにより、硬磁性を保持しつつ、温度サイクルによる光
アイソレータの特性劣化の発生率を著しく低減できる。
【0085】熱処理は、硬磁性ガーネット厚膜材料に残
留した応力を緩和し、エネルギー状態を安定化し、保磁
力の向上と磁化曲線の角型性の向上をもたらし、温度サ
イクル等の錯乱因子に対しても逆向きの磁化をもつ磁区
の発生を低減する。600℃よりも低い温度における熱
処理では、残留応力の緩和効果が著しく低くなる。11
00℃よりも高い温度では、硬磁性ガーネット厚膜材料
を構成する原子の拡散が顕著となり、育成された硬磁性
ガーネット厚膜材料の磁気異方性、および保磁力が必要
以上に減少する。1100℃よりも高い温度では、硬磁
性の低下および磁化曲線の角型性の低下が進行し、外部
からの印加磁界なしでは、光アイソレータの特性が著し
く劣化する。
【0086】また、硬磁性ガーネット厚膜材料の熱処理
雰囲気について、酸素濃度を10〜100%とするの
は、10%以上で硬磁性ガーネット厚膜材料の挿入損失
の低減効果が明らかに認められるからである。酸素濃度
が10%以下では、硬磁性ガーネット厚膜材料中の酸素
欠乏による2価イオンの生成が挿入損失を増大すること
になる。
【0087】
【実施例】本実施の形態の詳細を、以下に実施例をもっ
て説明する。
【0088】(実施例11)LPE法によって、NGG
結晶(化学式Nd3Ga512、格子定数12.509オ
ングストローム)を基板とし、硬磁性ガーネット厚膜材
料を約600μmの厚さに育成した。すなわち、化学式
が、(GdaTbb2.0Bi1.0Fe4.2(Al0.5Ga
0.3)O12、a/(a+b)=0〜1.0で、PbOを
0.2〜2.5wt%、B23を0.1〜2.5wt%、そ
れぞれ含有していた。硬磁性ガーネット厚膜材料の組
成、B23、および、PbOの含有濃度は、別途、EP
MA分析および原子吸光分析によって求めた。
【0089】LPE法によって育成した硬磁性ガーネッ
ト厚膜材料の磁気特性は、基板を除去した後の振動型磁
力計による測定によれば、飽和磁化(4πMs)および
残留磁化(Br)が50〜150G、保磁力(iHc)
が100〜1000Oeであった。これらは、膜厚方向
に磁気異方性を有する角形性の良好な磁化曲線を示し、
硬磁性材料となっていた。また、硬磁性ガーネット厚膜
材料の波長1.55μmにおけるファラデー回転能は約
900deg/cmであった。
【0090】次に、育成した硬磁性ガーネット厚膜材料
を研磨して、波長1.55μmにおけるファラデー回転
角が約45degとした後、ARコート処理し、一辺が
2mmの正方形のファラデー回転素子に加工した。ファ
ラデー回転素子を、偏光面が互いに45degとなるよ
うに調整した2枚のガラス偏光子(商品名ポーラコア)
の間に配置し、電磁石を使用して、約10kOeの磁界
を印加して硬磁性ガーネット厚膜材料を着磁した。いっ
たん着磁した後は、この構成のままで、外部磁界を取り
去っても、一方向に良好な磁化が保持され、外部磁界印
加用の永久磁石を必要としない光アイソレータが実現し
た。光アイソレータの特性は、波長1.55μmにおい
て、アイソレーションが40dB以上、挿入損失が0.
3dB以下であった。なお、硬磁性ガーネット厚膜材料
の挿入損失は、0.1dB以下であった。
【0091】各組成の硬磁性ガーネット厚膜材料をもっ
て作製した各100個の光アイソレータについて、温度
サイクル(−40℃〜+80℃/Hr)を10回繰り返
した後、光アイソレータの特性劣化の発生率を調べた。
ここで、光アイソレータの特性劣化とは、アイソレーシ
ョンが40dB以下、挿入損失が0.3dB以上、消光
比が40dB以下のいずれかの範囲になった状態をい
う。図11は、硬磁性ガーネット厚膜材料の組成と光ア
イソレータの特性劣化発生率の関係を示す図である。a
/(a+b)=0.1〜0.9の範囲で特性劣化発生率は
明らかに減少しており、a/(a+b)=0.1〜0.9
の範囲の規定が有用であることがわかる。
【0092】(実施例12)実施例11と同様にして、
LPE法によって、NGG結晶を基板とし、硬磁性ガー
ネット厚膜材料を約600μmの厚さに育成した。硬磁
性ガーネット厚膜材料の化学式は、Gd1.0Tb0.9Bi
1.1Fe4.0(AlcGad1.012で、c/(c+d)
=0〜1.0である。硬磁性ガーネット厚膜材料は、P
bOおよびB23を、それぞれ0.1〜2.0wt%含有
していた。本実施例による硬磁性ガーネット厚膜材料
は、飽和磁化(4πMs)および残留磁化(Br)が5
0〜100G、保磁力(iHc)が300〜800Oe
で、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化
曲線を示し、硬磁性となっていた。波長1.55μmに
おけるファラデー回転能は約1000deg/cmであ
った。
【0093】図12は、本実施例による硬磁性ガーネッ
ト厚膜材料の組成と挿入損失の関係を示す図である。図
12によれば、c/(c+d)=0.05〜0.90の範
囲で、挿入損失が明らかに減少しており、c/(c+
d)=0.05〜0.90の範囲の規定が有用であること
がわかる。
【0094】(実施例13)実施例12と同様にして、
約500〜800μmの厚さの硬磁性ガーネット厚膜材
料を育成した。硬磁性ガーネット厚膜材料の化学式は、
(Gd0.7Tb0.3 3-xBixFe4.1Al0.6Ga0.3
12で、x=0.7〜1.5である。硬磁性ガーネット厚膜
材料は、PbOおよびB23をそれぞれ0.3〜3.0w
t%含有していた。本実施例による硬磁性ガーネット厚
膜材料は、飽和磁化(4πMs)および残留磁化(B
r)が約100G、保磁力(iHc)が約400Oe、
膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線
を示し、硬磁性となっていた。波長1.55μmにおけ
るファラデー回転能は700〜1300deg/cmで
あった。
【0095】図13は、本実施例による硬磁性ガーネッ
ト厚膜材料の組成と挿入損失の関係を示す図である。図
13によれば、x=0.8〜1.4の範囲で、挿入損失が
明らかに減少しており、x=0.8〜1.4の範囲の規定
が有用であることがわかる。
【0096】(実施例14)実施例11と同様にして、
LPE法によって、NGG結晶を基板とし、硬磁性ガー
ネット厚膜材料を約600μmの厚さに育成した。硬磁
性ガーネット厚膜の化学式は、Gd1.5Tb1.3Bi1.2
Fe5-y(Al0.6Ga0.4y12で、y=0.5〜1.3
である。硬磁性ガーネット厚膜材料は、PbOおよびB
23をそれぞれ0.1〜2.0wt%含有していた。本実
施例による硬磁性ガーネット厚膜材料は、飽和磁化(4
πMs)および残留磁化(Br)が20〜150G、保
磁力(iHc)が約200〜1000Oeで、膜厚方向
に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線を示し、
硬磁性となっていた。硬磁性ガーネット厚膜材料の波長
1.55μmにおけるファラデー回転能は約1000d
eg/cm、挿入損失は0.1dB以下であった。
【0097】実施例11と同様にして、ファラデー回転
角を約45degにした硬磁性ガーネット厚膜材料を、
互いの偏光面を45degとした2枚のガラス偏光子の
間に配置した。電磁石を使用して、約10kOeの磁界
を印加して硬磁性ガーネット厚膜材料を着磁し、光アイ
ソレータを実現した。光アイソレータの特性は、波長
1.55μmにおいて、アイソレーションが40dB以
上、挿入損失が0.3dB以下であった。なお、硬磁性
ガーネット厚膜材料の挿入損失は、0.1dB以下であ
った。
【0098】実施例11と同様に、各組成の硬磁性ガー
ネット厚膜材料をもって作製した各100個の光アイソ
レータについて、温度サイクル(−40℃〜+80℃/
Hr)を10回繰り返した後、光アイソレータの特性劣
化の発生率を調べた。図14は、硬磁性ガーネット厚膜
材料の組成と光アイソレータの特性劣化発生率の関係を
示す図である。図14によれば、y=0.6〜1.2の範
囲で特性劣化の発生率が明らかに減少しており、y=
0.6〜1.2の範囲の規定が有用であることがわかる。
【0099】(実施例15)実施例11と同様にして、
LPE法によって、約600μmの厚さの硬磁性ガーネ
ット厚膜材料を育成した。硬磁性ガーネット厚膜材料の
化学式は、Gd1.6Tb0.4Bi1.0Fe4.1Al0.5Ga
0.412である。硬磁性ガーネット厚膜材料は、PbO
およびB23をそれぞれ約2wt%含有していた。本実
施例による硬磁性ガーネット厚膜材料を、約50%の酸
素含有雰囲気中、600℃〜1150℃の各温度で4時
間保持する熱処理を施した。その結果、600〜110
0℃の温度で熱処理された硬磁性ガーネット厚膜材料
は、飽和磁化(4πMs)が約100G、残留磁化(B
r)が約80〜100G、保磁力(iHc)が約400
Oeを示し、磁化曲線の角型性が明らかに向上してい
た。他方、1150℃で熱処理された硬磁性ガーネット
厚膜材料については、磁化曲線の角型性は劣化してい
た。ファラデー回転能は約900deg/cmであっ
た。これらの硬磁性ガーネット厚膜材料を用い、前記各
実施例と同様にして、光アイソレータを作製し、アイソ
レーションが40dB以上、挿入損失が0.3dB以下
の特性を得た。
【0100】実施例11と同様に、温度サイクル(−4
0℃〜+80℃/Hr)を10回繰り返した硬磁性ガー
ネット厚膜材料を用いて作製した光アイソレータの特性
劣化の発生率を測定した。図15は、硬磁性ガーネット
厚膜材料の熱処理温度と光アイソレータの特性劣化発生
率の関係を示す図である。図15によれば、600〜1
100℃の温度において熱処理を施した光アイソレータ
において、特性劣化の発生率が減少しており、熱処理温
度600〜1100℃の範囲が有用であることがわか
る。
【0101】(実施例16)実施例15と同様にして、
約700μmの厚さの硬磁性ガーネット厚膜材料を育成
した。硬磁性ガーネット厚膜材料の化学式は、Gd0.8
Tb1.3Bi0.9Fe4 .0Al0.3Ga0.712である。硬
磁性ガーネット厚膜材料は、PbOおよびB23をそれ
ぞれ約0.5wt%含有していた。950℃で、酸素濃
度が0〜100%の各雰囲気中で4時間熱処理した結
果、硬磁性ガーネット厚膜材料の磁気特性は、飽和磁化
(4πMs)および残留磁化(Br)が約100G、保
磁力(iHc)が約400Oeであった。硬磁性ガーネ
ット厚膜材料のファラデー回転能は約800deg/c
mで、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁
化曲線を示した。
【0102】図16は、硬磁性ガーネット厚膜材料の挿
入損失と熱処理雰囲気の酸素濃度の関係を示す図であ
る。図16によれば、酸素濃度が10〜100%の範囲
で、挿入損失が明らかに低減しており、10%以上の酸
素濃度雰囲気における熱処理が有用であることがわか
る。
【0103】(実施例17)SGGG結晶(Ca・Mg
・Zr置換GGG、格子定数12,496オングストロ
ーム)を基板として、実施例11と同様にして、硬磁性
ガーネット厚膜材料を約700μmの厚さに育成した。
すなわち、化学式が、Gd1.6Tb1.6Bi0. 8Fe4.2
0.4Ga0.412、Gd1.5Tb0.6Bi0.9Fe4.1Al
0.6Ga0.2 12、および、Gd0.5Tb1.5Bi1.0Fe
4.0Al0.7Ga0.312である。硬磁性ガーネット厚膜
材料は、PbOおよびB23を、それぞれ約0.5〜1.
5wt%含有していた。これらの硬磁性ガーネット厚膜
材料を、約50%の酸素雰囲気中1000℃で10時間
保持する熱処理を施した。その結果、硬磁性ガーネット
厚膜材料はM飽和磁化(4πMs)および残留磁化(B
r)が50〜100G、保磁力(iHc)が300〜8
00Oeで、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良
好な磁化曲線を示し、硬磁性となっていた。本実施例に
よる硬磁性ガーネット厚膜材料を用いて光アイソレータ
を作製した。光アイソレータの特性は、アイソレーショ
ンが40dB以上、挿入損失は0.3dB以下であっ
た。また、温度サイクル(−40℃〜+80℃/Hr)
を10回繰り返した後の、光アイソレータの特性劣化の
発生率は0%であった。
【0104】更に、本発明の第4の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0105】本実施形態においても、硬磁性ガーネット
厚膜は、特定の組成を有する溶液(メルト)から、LP
E法(液相エピタキシャル成長法)により、ガーネット
育成基板上に、膜厚方向に磁気異方性を有するように育
成される。
【0106】本実施形態における硬磁性ガーネット厚膜
は、主成分比が(GdaHob3-xBixFe5-y(Alc
Gady12、a/(a+b)=0.2〜0.9、c/
(c+d)=0〜0.8、x=0.8〜1.4、y=0.7
〜1.3である。ここで、a/(a+b)を0.2〜0.
9としたのは、0.2以上で結晶格子の歪みが緩和さ
れ、また0.9以下では磁壁エネルギーの増加により、
逆磁区の発生が抑制され、熱サイクルによるアイソレー
タ特性劣化の発生率が減少するからである。c/(c+
d)を0〜0.8としたのは0.8以下で結晶格子の歪み
が緩和され、ガーネット膜の挿入損失が減少するからで
ある。xを0.8〜1.4としたのは、0.8〜1.4の範
囲で結晶格子の歪みが緩和され、ガーネット膜の挿入損
失が減少するからである。y=0.7〜1.3としたの
は、yが0.7以上ではガーネット膜の異方性磁場が大
きく、1.3以下では、結晶格子の歪みが緩和され、逆
磁区の発生が抑制されるので、熱サイクルによるアイソ
レータ特性劣化の発生率が減少するからである。
【0107】また、本実施形態は、上記主成分組成のガ
ーネット厚膜において、PbO及びB23を各々3wt
%以下含有するものである。これらの成分は、ガーネッ
ト結晶のイオンバランスの調整や結晶格子乱れの緩和に
寄与する。しかしながら、3wt%を越える領域では、
逆にこれらを乱す傾向がみられる。したがって、PbO
及びB23を各々3wt%以下含有することにより、挿
入損失の低減が図られる。
【0108】このようなファラデー回転子等用のBi置
換型ガーネットは、LPE法により、一般に次のように
して作製されている。白金るつぼの中に、PbO、Bi
23、B23等をフラックス成分とし、ガーネット成分
(Gd23、Ho23、Bi 23、Fe23、Ga
23、Al23)等を約900〜1100℃で溶解して
メルトを作製した後、降温し過冷却状態(過飽和状態)
とする。そのメルトにガーネット育成基板を浸漬し、長
時間回転しながらBi置換型ガーネット厚膜を育成す
る。
【0109】このようなLPE法による育成において
は、育成基板に比べて育成されるBi置換ガーネット厚
膜の熱膨張率が20%程度大きいため、室温近傍では異
方性ガーネット厚膜には応力が残存することになる。こ
れに温度サイクル(通常、当該関連部品では−40℃〜
+80℃の範囲を採用)をかけると、熱膨張に伴う応力
の変化は、ガーネット厚膜の磁化量の変化及び磁壁エネ
ルギーの変化とも重畳し、一方向に着磁されたガーネッ
ト厚膜にも逆磁区が発生しやすくなる。そして、このよ
うな逆磁区の発生しているガーネット厚膜がファラデー
回転子として挿入されている場合には、アイソレータ等
の光学特性(アイソレーション、挿入損失等)は著しく
劣化することになる。
【0110】そこで、逆磁区発生を低減するためには、
LPE法で育成された硬磁性ガーネット厚膜を600〜
1100℃の温度範囲で熱処理することにより、硬磁性
を保持しつつ、温度サイクルによるアイソレータ特性劣
化の発生率を著しく低減できることを発見した。ここ
で、600℃以上としたのは、LPE法で育成されたガ
ーネット厚膜に残留した応力が熱処理により緩和され、
エネルギー状態が安定化し、保磁力の向上と磁化曲線の
角型性の向上をもたらし、熱サイクル等の錯乱因子に対
しても逆磁区の発生が低減するからである。600℃未
満では、残留応力の緩和効果が著しく低くなる。一方、
1100℃以下としたのは、1100℃を越えると、ガ
ーネット構成原子の拡散が顕著となり、育成されたガー
ネット厚膜の磁気異方性が減少し、かつガーネット厚膜
の保磁力も減少し、硬磁性の低下及び磁化曲線の角型性
の低下が進行し、外部からの印加磁界なしでは、アイソ
レータ特性が著しく劣化するからである。
【0111】また、熱処理雰囲気において、酸素濃度を
10〜100%とするのは、10%以上でガーネット厚
膜の挿入損失の低減効果が明らかに認められるからであ
る。これは、ガーネット結晶格子の酸素欠乏を補填する
効果であり、10%未満では酸素欠乏による2価イオン
の生成により挿入損失が増大することになる。ここで、
本実施形態の実施例について説明する。
【0112】(実施例18)高純度の酸化ガドリニウム
(Gd23)、酸化ホルミウム(Ho23)、酸化ビス
マス(Bi23)、酸化第二鉄(α−Fe23)、酸化
アルミニウム(Al 23)、酸化ガリウム(Ga
23)、酸化鉛(PbO)及び酸化ホウ素(B23)の
粉末を原料として用い、PbO−Bi23−B23系を
フラックスとして、LPE法にてSGGG基板(Ca・
Mg・Zr置換GGG、格子定数12.496オングス
トローム)上に、主成分比が(GdaHob2.0Bi1.0
Fe3.9Al0 .6Ga0.512、a/(a+b)が0.1、
0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、0.9、1.0
で、PbOを0.2〜2.5wt%、B23を0.1〜2.
5wt%含有する組成のGdHoBi系ガーネット厚膜
を約600μmの厚さに育成した。
【0113】次に、この試料の基板を除去した後、振動
型磁力計(VSM)を用いてガーネット厚膜の磁気特性
を測定した。飽和磁化(4πMs)及び残留磁化(B
r)は20〜150Gであり、保磁力(iHc)は約1
00〜2000Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有
する角型性の良好な磁化曲線を示していた。即ち、硬磁
性ガーネット厚膜材料となっていた。また、これらのガ
ーネット厚膜の波長1.55μmにおけるファラデー回
転能は、約900deg/cmであった。なお、上記ガ
ーネット厚膜の組成は、EPMA分析及び原子吸光分析
にて求めたものである。
【0114】次に、このガーネット厚膜を研磨して波長
1.55μmにおけるファラデー回転角が約45deg
となるように調整し、ARコート処理した後、切断加工
して、辺長が2mmの正方形の平板状ファラデー回転子
とした。
【0115】その前後に偏光子及び検光子としてガラス
偏光子(商品名ポーラコア)を偏光面が45degとな
るように配置した後、電磁石を使用して約10kOeの
磁界を印加してガーネット厚膜を着磁して、波長1.5
5μmにおける光アイソレータを外部からの磁界印加用
磁石を配置せずに構成した。
【0116】アイソレータの特性は、アイソレーション
が40dB以上、挿入損失が0.3dB以下であった。
なお、ガーネット厚膜の挿入損失は0.1dB以下であ
った。
【0117】次に、各々の組成のガーネット厚膜につい
て、各100個の光アイソレータを測定し、温度変化
(−40〜+80℃/Hr)を10回繰り返した後、ア
イソレータ特性劣化の発生率について調べた。ここでの
劣化とは、アイソレーションが40dB以下、挿入損失
が0.3dB以上、消光比が40dB以下のいずれかの
範囲になったものである。
【0118】図17に、アイソレータ特性劣化の発生率
とa/(a+b)との関係を示す。図17において、a
/(a+b)が0.2〜0.9で特性劣化の発生率が明ら
かに減少している。したがって、a/(a+b)が0.
2〜0.9の範囲が工業上、有用となる。
【0119】(実施例19)実施例18と同様にして、
主成分比がGd1.0Ho0.9Bi1.1Fe4.0(Alc
d1.012、c/(c+d)が0、0.1、0.2、
0.4、0.6、0.7、0.8、0.9で、PbO及びB2
3を各々0.1〜2.0wt%含有する組成のGdHo
Bi系ガーネット厚膜を約600μmの厚さに育成し
た。その後、研磨、ARコート、切断加工、着磁した
後、挿入損失を測定した。なお、作製したガーネット厚
膜の磁気特性は、4πMs及びBrが約100G、iH
cが約500Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有す
る角型性の良好な磁化曲線を示していた。即ち、硬磁性
ガーネット厚膜材料となっていた。また、波長1.55
μmにおけるファラデー回転能は、約1000deg/
cmであった。
【0120】図18に、挿入損失とc/(c+d)との
関係を示す。図18において、c/(c+d)が0.8
以下で挿入損失が明らかに減少している。したがって、
c/(c+d)が0〜0.8の範囲が工業上有用とな
る。
【0121】(実施例20)実施例19と同様にして、
主成分比が(Gd0.6Ho0.43-xBixFe4.1Al0.5
Ga0.412で、xが0.7、0.8、0.9、1.1、1.
3、1.4、1.5で、PbO及びB23を各々0.3〜
3wt%含有するGdHoBi系ガーネット厚膜を約5
00〜800μmに育成した。その後、研磨、ARコー
ト、切断加工、着磁した後、挿入損失を測定した。な
お、作製したガーネット厚膜の磁気特性は、4πMs及
びBrが50〜100G、iHcが400〜1000O
eであり、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好
な磁化曲線を示していた。即ち、硬磁性ガーネット厚膜
材料となっていた。また、波長1.55μmにおけるフ
ァラデー回転能は、700〜1300deg/cmであ
った。
【0122】図19に、挿入損失とxとの関係を示す。
図19において、xが0.8〜1.4の範囲で挿入損失が
明らかに減少している。したがって、xが0.8〜1.4
の範囲が工業上、有用といえる。
【0123】(実施例21)実施例18と同様にして、
主成分比がGd0.9Ho0.9Bi1.2Fe5-y(Al0. 5
0.5y12で、yが0.6、0.7、0.8、0.9、
1.1、1.2、1.3、1.4で、PbO及びB23を各
々0.1〜2.0wt%含有する組成のGdHoBi系ガ
ーネット厚膜を約600μmに育成した。その後、研
磨、ARコート、切断加工した後、外部からの磁界印加
用磁石を配置せずに光アイソレータを構成した。電磁石
でガーネット厚膜を着磁した後、アイソレータ特性を測
定した。アイソレーションが40dB以上、挿入損失が
0.3dB以下であった。
【0124】なお、作製したガーネット厚膜の磁気特性
は、4πMs及びBrが30〜150G、iHcが10
0〜1500Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有す
る角型性の良好な磁化曲線を示していた。即ち、硬磁性
ガーネット厚膜材料となっていた。また、波長1.55
μmにおけるファラデー回転能は、約1100deg/
cmであった。
【0125】図20に、熱サイクル(−40〜+80℃
/Hr)を10回繰り返した後のアイソレータ特性劣化
の発生率を示す。図20において、yが0.7〜1.3の
範囲で特性劣化の発生率が明らかに減少している。した
がって、yが0.7〜1.3の範囲が工業上、有用といえ
る。
【0126】(実施例22)実施例18と同様にして、
主成分比がGd0.6Ho1.4Bi1.0Fe4.0Al0.5Ga
0.512で、PbO及びB23を各々約2wt%含有す
るGdHoBi系ガーネット厚膜を約600μmに育成
した。その後、基板を研磨して除去した。次に、このガ
ーネット厚膜を約50%の酸素雰囲気中600℃、70
0℃、800℃、900℃、1000℃、1100℃、
1150℃の各温度で4時間保持し、熱処理した。その
後、研磨、ARコート、切断加工し、外部からの磁界印
加用磁石を配置せずに光アイソレータを構成し、アイソ
レータ特性を測定した。アイソレーションは40dB以
上、挿入損失は0.3dB以下であった。
【0127】なお、作製したガーネット厚膜の磁気特性
は、4πMsが約130G、Brが約80〜130G、
iHcが約300Oeであり、熱処理温度が600〜1
100℃の試料の磁化曲線の角型性は明らかに向上して
いた。一方、1150℃での熱処理試料については、磁
化曲線の角型性は劣化していた。ファラデー回転能は、
約900deg/cmであった。
【0128】次に、熱サイクルを10回繰り返した後の
アイソレータ特性劣化の発生率を測定した。その結果を
図21に示す。図21において、熱処理温度が600〜
1100℃の範囲で特性劣化の発生率が明らかに減少し
ている。したがって、熱処理温度が600〜1100℃
の範囲が工業上有用といえる。
【0129】(実施例23)実施例22と同様にして、
主成分比がGd1.0Ho1.1Bi0.9Fe4.2Al0.4Ga
0.412で、PbO及びB23を各々約0.5wt%含有
するGdHoBi系ガーネット厚膜を約700μmに育
成した。950℃の温度で酸素濃度が0、10、20、
40、60、80、100%の雰囲気中で4時間熱処理
した。なお、これらのガーネット厚膜の磁気特性は、4
πMs及びBrが約100G、iHcが約500Oe、
ファラデー回転能が約800deg/cmであり、膜厚
方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線を示
していた。
【0130】図22に、ガーネット厚膜の挿入損失と熱
処理雰囲気の酸素濃度との関係を示す。図22におい
て、酸素濃度が10〜100%の範囲で、挿入損失が明
らかに減少している。したがって、熱処理雰囲気の酸素
濃度が10〜100%の範囲が工業上、有用といえる。
【0131】最後に、本発明の第5の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0132】本実施形態の硬磁性ガーネット厚膜も、特
定の組成を有する溶液(メルト)から、LPE法(液相
エピタキシャル成長法)により、ガーネット育成基板上
に、膜厚方向に磁気異方性を有するように育成される。
【0133】本実施形態における硬磁性ガーネット厚膜
は、主成分比がYb3-xBixFe5- y(AlaGaby
12、x=0.8〜1.5、y=0.8〜1.5、a/(a+
b)=0〜0.5(但し、0を含まず)である。ここ
で、xを0.8〜1.5の範囲としたのは、xが0.8未
満及び1.5を越えると顕著な結晶格子の歪みや格子欠
陥の増加により、光の透過損失が著しく増大し光学特性
が劣化するからである。また、yを0.8〜1.5の範囲
としたのは、yが0.8未満及び1.5を越えると熱サイ
クルによるアイソレータ特性劣化の発生率が著しく増大
するからである。前者は静磁エネルギーの増大、後者は
結晶格子の歪みに起因する逆磁区の発生によるものであ
る。また、a/(a+b)を0〜0.5(但し、0を含
まず)の範囲としたのは、a/(a+b)が0.5を越
えると顕著な結晶格子の歪みにより、光の透過損失が著
しく増大し光学特性が劣化するからである。
【0134】また、本実施形態は、上記主成分組成のガ
ーネット厚膜において、PbO及びB23を各々3wt
%以下含有するものである。これらの成分は、ガーネッ
ト結晶のイオンバランスの調整や結晶格子乱れの緩和に
寄与する。しかしながら、3wt%を越える領域では、
逆にこれらを乱す傾向がみられる。したがって、PbO
及びB23を各々3wt%以下含有することにより、挿
入損失の低減が図られる。
【0135】このようなファラデー回転子等用のBi置
換型ガーネットは、LPE法により、一般に次のように
して作製されている。白金るつぼの中に、PbO、Bi
23、B23等をフラックス成分とし、ガーネット成分
(Yb23、Bi23、Fe 23、Ga23、Al
23)等を約900〜1100℃で溶解してメルトを作
製した後、降温し過冷却状態(過飽和状態)とする。そ
のメルトにガーネット育成基板を浸漬し、長時間回転し
ながらBi置換型ガーネット厚膜を育成する。
【0136】このようなLPE法による育成において
は、育成基板に比べて育成されるBi置換ガーネット厚
膜の熱膨張率が20%程度大きいため、室温近傍では異
方性ガーネット厚膜には応力が残存することになる。こ
れに温度サイクル(通常、当該関連部品では−40℃〜
+80℃の範囲を採用)をかけると、熱膨張に伴う応力
の変化は、ガーネット厚膜の磁化量の変化及び磁壁エネ
ルギーの変化とも重畳し、一方向に着磁されたガーネッ
ト厚膜にも逆磁区が発生しやすくなる。そして、このよ
うな逆磁区の発生しているガーネット厚膜がファラデー
回転子として挿入されている場合には、アイソレータ等
の光学特性(アイソレーション、挿入損失等)は著しく
劣化することになる。
【0137】そこで、逆磁区発生を低減するためには、
LPE法で育成された硬磁性ガーネット厚膜を600〜
1100℃の温度範囲で熱処理することにより、硬磁性
を保持しつつ、温度サイクルによるアイソレータ特性劣
化の発生率を著しく低減できることを発見した。ここ
で、600℃以上としたのは、LPE法で育成されたガ
ーネット厚膜に残留した応力が熱処理により緩和され、
エネルギー状態が安定化し、保磁力の向上と磁化曲線の
角型性の向上をもたらし、熱サイクル等の錯乱因子に対
しても逆磁区の発生が低減するからである。600℃未
満では、残留応力の緩和効果が著しく低くなる。一方、
1100℃以下としたのは、1100℃を越えると、ガ
ーネット構成原子の拡散が顕著となり、育成されたガー
ネット厚膜の磁気異方性が減少し、かつガーネット厚膜
の保磁力も減少し、硬磁性の低下及び磁化曲線の角型性
の低下が進行し、外部からの印加磁界なしでは、アイソ
レータ特性が著しく劣化するからである。
【0138】また、熱処理雰囲気において、酸素濃度を
10〜100%とするのは、10%以上でガーネット厚
膜の挿入損失の低減効果が明らかに認められるからであ
る。これは、ガーネット結晶格子の酸素欠乏を補填する
効果であり、10%未満では酸素欠乏による2価イオン
の生成により挿入損失が増大することになる。
【0139】
【実施例】以下、本実施形態の実施例について説明す
る。
【0140】(実施例24)高純度の酸化イッテルビウ
ム(Yb23)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化第二
鉄(α−Fe23)、酸化アルミニウム(Al23)、
酸化ガリウム(Ga 23)、酸化鉛(PbO)及び酸化
ホウ素(B23)の粉末を原料として用い、PbO−B
23−B23系をフラックスとして、LPE法にてG
GG基板(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット、格子
定数12.384オングストローム)上に、主成分比が
Yb3-xBixFe3.8Al0.3Ga0.912、x=0.7、
0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、
1.5、1.6、で、PbOを0.2〜2.5wt%、B2
3を0.1〜2.5wt%含有する組成のYbBi系ガ
ーネット厚膜を約500〜800μmの厚さに育成し
た。
【0141】次に、この試料の基板を除去した後、振動
型磁力計(VSM)を用いてガーネット厚膜の磁気特性
を測定した。飽和磁化(4πMs)及び残留磁化(B
r)は100G前後であり、保磁力(iHc)は約20
0〜500Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有する
角型性の良好な磁化曲線を示していた。即ち、硬磁性ガ
ーネット厚膜材料となっていた。また、これらのガーネ
ット厚膜の波長1.55μmにおけるファラデー回転能
は、約700〜1500deg/cmであった。なお、
上記ガーネット厚膜の組成は、EPMA分析及び原子吸
光分析にて求めたものである。
【0142】次に、このガーネット厚膜を研磨して波長
1.55μmにおけるファラデー回転角が約45deg
となるように調整し、ARコート処理した後、切断加工
して、辺長が2mmの正方形の平板状ファラデー回転子
とした。
【0143】次に、電磁力を用いて約5kOeの磁界を
印加して、このファラデー回転子を着磁した。その後、
印加磁界を取り去りファラデー回転子の挿入損失を測定
した。その結果を図1に示す。
【0144】図23において、xが0.8〜1.5の範囲
で低い挿入損失となっており、xが0.8未満、及びx
が1.5を越えると挿入損失が著しく増加することが分
かる。従って、x=0.8〜1.5の範囲が工業上、有用
といえる。
【0145】(実施例25)実施例24と同様にして、
主成分比がYb1.7Bi1.3Fe3.7(AlaGab1 .3
12、a/(a+b)が0、0.1、0.2、0.3、0.
4、0.5、0.6で、PbO及びB23を各々0.1〜
2.0wt%含有する組成のYbBi系ガーネット厚膜
を約500μmの厚さに育成した。その後、研磨、AR
コート、切断加工、着磁した後、挿入損失を測定した。
なお、作製したガーネット厚膜の磁気特性は、4πMs
及びBrが約80G、iHcが約500Oeであり、膜
厚方向に磁気異方性を有する角型性の良好な磁化曲線を
示していた。即ち、硬磁性ガーネット厚膜材料となって
いた。また、波長1.55μmにおけるファラデー回転
能は、約1200deg/cmであった。
【0146】図24に、挿入損失とa/(a+b)との
関係を示す。図24において、a/(a+b)が0.5
を越えると挿入損失が著しく増加し、a/(a+b)が
0〜0.5(但し、0を含まず)の範囲で低い挿入損失
となっている。したがって、a/(a+b)が0〜0.
5(但し、0を含まず)の範囲が工業上有用となる。
【0147】(実施例26)実施例24と同様にして、
主成分比がYb2.0Bi1.0Fe5-y(Al0.1Ga0. 9y
12、yが0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.
3、1.4、1.5、1.6で、PbO及びB23、を各
々0.3〜3wt%含有するYbBi系ガーネット厚膜
を約600μmに育成した。その後、研磨、ARコー
ト、切断加工して平板状ファラデー回転素子として使用
し、その前後に偏光子及び検光子としてガラス偏光子
(商品名:ポーラコア)を偏光面が45degとなるよ
うに配置した後、電磁石を使用して約10KOeの磁界
を印加してガーネット厚膜(ファラデー回転子)を着磁
して波長1.55μmにおけるアイソレータを外部から
の磁界印加用磁石を配置せずに構成した。
【0148】なお、作製したガーネット厚膜の磁気特性
は、Brが約50〜300G、iHcが100〜700
Oeであり、膜厚方向に磁気異方性を有する角型性の良
好な磁化曲線を示していた。また、波長1.55μmに
おけるファラデー回転能は、約900deg/cmであ
り、ガーネット厚膜の挿入損失は0.1dB以下であっ
た。また、アイソレータの特性は、アイソレーションが
40dB以上、挿入損失が0.3dB以下、消光比が4
0dB以上であった。
【0149】次に、各々の組成のガーネット厚膜で、各
100個のアイソレータを作製し、−40〜+80℃/
Hrで10回のヒートサイクルを行った後、アイソレー
タ特性劣化の発生率を調べた。尚、ここでの劣化とは、
アイソレーションが40dB以下、挿入損失が0.3d
B以上、消光比が40dB以下のいずれかの範囲になっ
たものである。
【0150】図25に、アイソレータ特性劣化の発生率
と組成値yの関係を示す。図25より、yが0.9〜1.
5の範囲でアイソレータ特性劣化の発生率が著しく減少
していることが分かる。従って、yが0.9〜1.5の範
囲で、工業上有用といえる。
【0151】(実施例27)実施例24と同様にして、
主成分比がYb1.8Bi1.2Fe4.0Al0.4Ga0.612
で、B23及びPbOを各々約2.0wt%含有する組
成のYbBi系ガーネット厚膜を約600μmに育成し
た。その後、基板を研磨して除去し、得られたYbBi
系ガーネット厚膜を約50%の酸素雰囲気中、600
℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、11
00℃、1150℃の各温度で4時間保持し、熱処理し
た。
【0152】なお、作製したガーネット厚膜の4πMs
は、100G前後であり、1150℃での熱処理試料で
は膜厚方向の磁気異方性が著しく低下した磁化曲線を示
していた。他のガーネット厚膜は、iHcが約200〜
500Oeであり、磁化曲線は良好な角型性を示してい
た。なお、波長1.55μmにおけるファラデー回転能
は、約1000deg/cmであった。
【0153】次に、実施例3と同様にして、各々のガー
ネット厚膜の熱サイクル(−40〜+80℃/Hr)に
よるアイソレータ特性劣化の発生率について調べた。図
26に、アイソレータ特性劣化の発生率と熱処理温度と
の関係を示す。
【0154】図26から、熱処理温度が600℃以上で
アイソレータ特性劣化の発生率は、著しく低減し、11
00℃を越えると著しく増加している。即ち、熱処理温
度が600〜1100℃の範囲でアイソレータ特性劣化
の発生は、著しく低減している。従って、600〜11
00℃の熱処理温度範囲が工業上有用といえる。
【0155】(実施例28)実施例24と同様にして、
主成分比がYb1.8Bi1.2Fe4.0Al0.2Ga0.912
で、B23及びPbOを各々約0.5wt%含有するY
bBi系ガーネット厚膜を約500μmに育成した。次
に、このガーネット厚膜を900℃の温度で、酸素濃度
が0,10,20,40,60,80,100%の雰囲
気中でで4時間保持した。このようにして得られたガー
ネット厚膜の磁気特性は、4πMs及びBrが約110
G、iHcが約250Oeであり、厚膜方向に磁気異方
性を有する角形性の良好な磁化曲線を示していた。
【0156】次に、これらのガーネット厚膜を波長1.
55μmにおけるファラデー回転角が約45degとな
るように厚さを調整(約400μm)し、ARコート処
理した後、挿入損失を測定した。その結果を図27に示
す。
【0157】図27より、ガーネット厚膜の挿入損失
は、熱処理雰囲気の酸素濃度が10%以上で明らかに低
減していることが分かる。従って、熱処理雰囲気の酸素
濃度は10〜100%の範囲が工業上有用といえる。
【0158】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ファラデー回転子に磁界を加えるための磁石が不要であ
り、もしくは、低磁界の磁石を用いることができるの
で、小型、軽量、低価格で、しかも高性能の光アイソレ
ータ等の相反部品を得ることができる硬磁性ガーネット
厚膜材料及びその製造方法を提供することができた。
【0159】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料における、挿入損失の組成依存性を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料における挿入損失の、AlとGaの組成依存性を
示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料をファラデー回転素子とする光アイソレータの、
特性劣化発生率の組成依存性を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料を用いた光アイソレータの特性劣化発生率に及ぼ
す熱処理温度の影響を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料の挿入損失に及ぼす熱処理雰囲気の酸素濃度の影
響を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料における、挿入損失の組成依存性を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料における挿入損失の、AlとGaの組成依存性を
示す図。
【図8】本発明の第2の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料をファラデー回転素子とする光アイソレータの、
特性劣化発生率の組成依存性を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態の硬磁性ガーネット厚
膜材料を用いた光アイソレータの特性劣化発生率に及ぼ
す熱処理温度の影響を示す図。
【図10】本発明の第2の実施形態の硬磁性ガーネット
厚膜材料の挿入損失に及ぼす熱処理雰囲気の酸素濃度の
影響を示す図。
【図11】本発明の第3の実施形態の硬磁性ガーネット
厚膜材料の組成と光アイソレータの特性劣化発生率の関
係を示す図。
【図12】本発明の第3の実施形態の実施例12による
硬磁性ガーネット厚膜材料の組成と挿入損失の関係を示
す図。
【図13】本発明の第3の実施形態の実施例13による
硬磁性ガーネット厚膜材料の組成と挿入損失の関係を示
す図。
【図14】本発明の第3の実施形態の硬磁性ガーネット
厚膜材料の組成と光アイソレータの特性劣化発生率の関
係を示す図。
【図15】本発明の第3の実施形態の硬磁性ガーネット
厚膜材料の熱処理温度と光アイソレータの特性劣化発生
率の関係を示す図。
【図16】本発明の第3の実施形態の硬磁性ガーネット
厚膜材料の挿入損失と熱処理雰囲気の酸素濃度の関係を
示す図。
【図17】本発明の第4の実施形態の実施例18におけ
るガーネット厚膜のGd組成値aとHo組成値bの比a
/(a+b)とそれを用いた光アイソレータの熱サイク
ルによるアイソレータ特性劣化の発生率との関係を示す
図。
【図18】本発明の第4の実施形態の実施例19におけ
るガーネット厚膜のAl組成値cとGa組成値dの比c
/(c+d)と挿入損失の関係を示す図。
【図19】本発明の第4の実施形態の実施例20におけ
るガーネット厚膜のBi組成値xと挿入損失の関係を示
す図。
【図20】本発明の第4の実施形態の実施例21におけ
るガーネット厚膜の(Al、Ga)組成値yとそれを用
いた光アイソレータの熱サイクルによるアイソレータ特
性劣化の発生率との関係を示す図。
【図21】本発明の第4の実施形態の実施例22におけ
るガーネット厚膜の熱処理温度とそれを用いた光アイソ
レータの熱サイクルによるアイソレータ特性劣化の発生
率との関係を示す図。
【図22】本発明の第4の実施形態の実施例23におけ
るガーネット厚膜の熱処理雰囲気の酸素濃度と挿入損失
との関係を示す図。
【図23】本発明の第5の実施形態の実施例24におけ
るガーネット厚膜のBi組成値(x)と挿入損失の関係
を示す図。
【図24】本発明の第5の実施形態の実施例25におけ
るガーネット厚膜のAl組成比(a)とGa組成比
(b)の配合比a/(a+b)と挿入損失の関係を示す
図。
【図25】本発明の第5の実施形態の実施例26におけ
るガーネット厚膜の(Al、Ga)組成値yとそれを用
いた光アイソレータの熱サイクルによるアイソレータ特
性劣化の発生率との関係を示す図。
【図26】本発明の第5の実施形態の実施例27におけ
るガーネット厚膜の熱処理温度とそれを用いた光アイソ
レータの熱サイクルによるアイソレータ特性劣化の発生
率との関係を示す図。
【図27】本発明の第5の実施形態の実施例28におけ
るガーネット厚膜の熱処理雰囲気の酸素濃度と挿入損失
との関係を示す図。
【図28】従来の光アイソレータの構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 偏光素子 2 ホルダ 3 ファラデー回転子 4 永久磁石 5 筐体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平11−116626 (32)優先日 平成11年4月23日(1999.4.23) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平11−244801 (32)優先日 平成11年8月31日(1999.8.31) (33)優先権主張国 日本(JP) Fターム(参考) 2H079 AA03 BA02 CA06 CA08 DA13 DA22 4G077 BC25 BC27 BC28 CG01 ED06 FE03 FE11

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Tb、Bi、Fe、Al、Gaを主成分
    とする単結晶厚膜からなる硬磁性ガーネット厚膜材料に
    おいて、化学式が、Tb3-xBixFe5-y(Ala
    by12、ただし、0.8≦x≦1.5、0.8≦y≦
    1.2、および、0.1≦a/(a+b)≦0.90、で
    示される組成を有することを特徴とする硬磁性ガーネッ
    ト厚膜材料。
  2. 【請求項2】 B23または/およびPbOが含有さ
    れ、それぞれの濃度は、3wt%以下であることを特徴
    とする請求項1記載の硬磁性ガーネット厚膜材料。
  3. 【請求項3】 SGGGを基板とする液相エピタキシャ
    ル成長法により育成されることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 650〜1100℃の温度範囲で保持す
    る熱処理を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 酸素濃度が10%以上の雰囲気中で熱処
    理を行うことを特徴とする請求項4記載の硬磁性ガーネ
    ット厚膜材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 Gd、Bi、Fe、Al、Gaを主成分
    とする単結晶厚膜からなる硬磁性ガーネット厚膜材料に
    おいて、化学式が、Gd3-xBixFe5-y(Ala
    by12、ただし、0.8≦x≦1.5、0.7≦y≦
    1.2、および、0.2≦a/(a+b)≦0.90、で
    示される組成を有することを特徴とする硬磁性ガーネッ
    ト厚膜材料。
  7. 【請求項7】 B23または/およびPbOが含有さ
    れ、それぞれの濃度は、3wt%以下であることを特徴
    とする請求項6記載の硬磁性ガーネット厚膜材料。
  8. 【請求項8】 NGGを基板とする液相エピタキシャル
    成長法により育成されることを特徴とする請求項1また
    は請求項7記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 600〜1100℃の温度範囲で保持す
    る熱処理を行うことを特徴とする請求項6ないし請求項
    8のいずれかに記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 酸素濃度が10%以上の雰囲気中で熱
    処理を行うことを特徴とする請求項9記載の硬磁性ガー
    ネット厚膜材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 Gd、Tb、Bi、Fe、Al、Ga
    を主成分とする単結晶厚膜からなる硬磁性ガーネット厚
    膜材料において、化学式が、(GdaTbb 3-xBix
    5-y(AlcGady12、ただし、0.10≦a/
    (a+b)≦0.90、0.05≦c/(c+d)≦0.
    90、0.8≦x≦1.4、および0.6≦y≦1.2、で
    示されることを特徴とする硬磁性ガーネット厚膜材料。
  12. 【請求項12】 前記硬磁性ガーネット厚膜材料には、
    23または/およびPbOが含有され、それぞれの濃
    度は、3wt%以下であることを特徴とする請求項11
    記載の硬磁性ガーネット厚膜材料。
  13. 【請求項13】 前記硬磁性ガーネット厚膜材料を、6
    00〜1100℃の温度範囲で保持する熱処理を行うこ
    とを特徴とする請求項11または請求項12記載の硬磁
    性ガーネット厚膜材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記硬磁性ガーネット厚膜材料を、酸
    素濃度が10%以上の雰囲気中で保持する熱処理を行う
    ことを特徴とする請求項13記載の硬磁性ガーネット厚
    膜材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 ガーネット基板上に液相エピタキシャ
    ル成長法により育成した、Gd、Ho、Bi、Fe、A
    l、Gaを主成分とする硬磁性ガーネット厚膜材料にお
    いて、組成式が(GdaHob3-xBixFe5-y(Alc
    Gady12、a/(a+b)=0.2〜0.9、c/
    (c+d)=0〜0.8、x=0.8〜1.4、y=0.7
    〜1.3であることを特徴とする硬磁性ガーネット厚膜
    材料。
  16. 【請求項16】 PbO及びB23を各々3wt%以下
    含有することを特徴とする請求項15記載の硬磁性ガー
    ネット厚膜材料。
  17. 【請求項17】 600〜1100℃の温度範囲で保持
    する熱処理を行うことを特徴とする請求項16記載の硬
    磁性ガーネット厚膜材料の製造方法。
  18. 【請求項18】 酸素濃度が10〜100%の範囲の雰
    囲気中で保持する熱処理を行うことを特徴とする請求項
    17記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方法。
  19. 【請求項19】 ガーネット基板上に液相エピタキシャ
    ル成長法により育成した、Yb、Bi、Fe、Al、G
    aを主成分とする硬磁性ガーネット厚膜材料において、
    組成式がYb3-xBixFe5-y(AlaGaby12、x
    =0.8〜1.5、y=0.9〜1.5、a/(a+b)=
    0〜0.5(但し、0を含まず)であることを特徴とす
    る硬磁性ガーネット厚膜材料。
  20. 【請求項20】 PbO及びB23を各々3wt%以下
    含有することを特徴とする請求項19記載の硬磁性ガー
    ネット厚膜材料。
  21. 【請求項21】 600〜1100℃の温度範囲で保持
    する熱処理を行うことを特徴とする請求項20記載の硬
    磁性ガーネット厚膜材料の製造方法。
  22. 【請求項22】 酸素濃度が10〜100%の範囲の雰
    囲気中で保持する熱処理を行うことを特徴とする請求項
    21記載の硬磁性ガーネット厚膜材料の製造方法。
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CN113838967A (zh) * 2021-08-30 2021-12-24 电子科技大学 一种合金/磁绝缘体自旋异质结及其制备方法和应用

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