JP2003337312A - 光デバイスの製造方法、光デバイス、ファラデー回転子の製造方法、光通信システム - Google Patents
光デバイスの製造方法、光デバイス、ファラデー回転子の製造方法、光通信システムInfo
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Abstract
には高性能な光デバイスを安定して製造する技術を提供
する。 【解決手段】 ファラデー回転子224bを構成する、
実質的に角型の磁気ヒステリシスを発現しうる単結晶膜
を得た後、この単結晶膜を光アイソレータ224等の光
デバイスに組み込んだ状態で、単結晶膜に対して着磁を
行うようにした。ファラデー回転子224bを光デバイ
スに組み込んだ後に着磁工程を実行することにより、単
結晶膜の表裏面を何ら区別する必要がなくなり、しかも
光デバイスの特性も向上する。
Description
用いられるファラデー回転子、ファラデー回転子を用い
た光アイソレータ等の光デバイス、さらには光デバイス
を備えた光通信システムに関するものである。
て、光通信の普及が加速している。その理由は、以下説
明するように、光通信は、高速大容量伝送が可能である
こと、中継器が少なくてすむために長距離伝送に有利で
あること、さらに電磁ノイズの影響を受けないことに集
約される。光は、TV・ラジオ放送あるいは無線通信で
使用されている電波と電磁波である点で一致する。しか
し、光通信で使用される電磁波の周波数は約200TH
zで、衛星放送(約10GHz)の約20000倍にあ
たる。周波数が高いということは、波長が短いことを意
味し、それだけ多くの信号を高速で伝送できることにな
る。ちなみに、光通信で使用される電磁波の波長(中心
波長)は、1.31μmおよび1.55μmである。光
通信に使用される光ファイバは、よく知られているよう
に、屈折率の異なるガラスの二重構造をなしている。中
心のコアを通る光はコア内部で反射を繰り返すので、た
とえ光ファイバが曲がっていたとしても正確に信号が伝
送される。しかも、光ファイバには透明度の高い高純度
石英ガラスが使用されているため、光通信は、1kmあ
たり0.2dB程度しか減衰しない。したがって、増幅
器を介することなく約100kmの伝送が可能であり、
電気通信に比べて中継器の数を低減することができる。
電気通信ではEMI(電磁障害)が問題になるが、光フ
ァイバを使った通信は、電磁誘導によるノイズの影響を
受けない。そのため、極めて高品質な情報伝送が可能で
ある。
信器のLD(レーザ・ダイオード)で光信号に変換し、
この光信号を光ファイバで伝送してから、光受信器のP
D(フォト・ダイオード)で電気信号に変換する。この
ように、光通信システムに不可欠な要素は、LD、P
D、光ファイバおよび光コネクタである。比較的低速か
つ近距離の通信システムはともかく、高速かつ長距離の
通信システムにおいては、以上の要素のほかに、光増幅
器、光分配器などの光伝送機器、これら機器に適用され
る光アイソレータ、光サーキュレータ、光カプラ、光分
波器、光スイッチ、光変調器、光減衰器などの光部品
(光デバイス)が必要となる。
信システムで、とりわけ重要となるのは光アイソレータ
である。現在の光通信システムにおいて、光アイソレー
タは、光送信器のLDモジュールおよび中継器の中で使
用されている。光アイソレータは、電磁波を一方向にだ
け伝え、途中で反射して戻ってくる電磁波を阻止する役
割を持った光部品である。光アイソレータは、磁気光学
効果の一種であるファラデー効果を応用したものであ
る。ファラデー効果は、ファラデー効果を示す材料、す
なわち希土類鉄ガーネット単結晶膜などのファラデー回
転子を透過した光の偏波面が回転する現象をいう。ファ
ラデー効果のように、光の偏波方向が回転する性質を旋
光性と呼ぶが、通常の旋光性と異なって、ファラデー効
果においては、光の進行方向を逆にしても元に戻らず
に、さらに偏波方向が回転する。ファラデー効果によっ
て光の偏波方向が回転する現象を利用した素子をファラ
デー回転子という。
の機能を説明する。LDは、光ファイバと一体化したL
Dモジュールとして光送信器に組み込まれる。光アイソ
レータは、LDと光ファイバの間に配置され、ファラデ
ー効果を応用してLDへの反射戻り光を防止する機能を
果たす。反射戻り光とは、LDから出射した光が光コネ
クタなどの部品でわずかに反射して戻ってくる光をい
う。反射戻り光はLDに対してノイズの原因となる。光
を一方向だけに通す光アイソレータは、このノイズを除
去して通信品質を維持する。
る光の振動方向(偏波方向)は1方向に決まっているの
で、構造の簡易な偏波依存型の光アイソレータが用いら
れる。従来の偏波依存型の光アイソレータ10の基本構
成を図7に示す。光アイソレータ10は、ガーネット単
結晶膜から構成されるファラデー回転子11と、ファラ
デー回転子11を取り囲みかつファラデー回転子11を
磁化するための円筒状の永久磁石12と、ファラデー回
転子11の表裏両面に配置される偏光子13,14とか
ら構成される。この偏光子13と14とは、45°の相
対角度をもって配置される。なお、光アイソレータ10
において、光が進む方向を順方向と、また反射して戻る
方向を逆方向と呼ぶことにする。
を左右する。したがって、ファラデー回転子を構成する
材料の特性が、高性能な光アイソレータを得るために重
要となる。ファラデー回転子を構成する材料を選択する
上で重要な点は、使用波長(光ファイバの場合、1.3
1μm,1.55μm)におけるファラデー回転角が大
きいこと、および透明度が高いことである。このような
条件を具備する材料として、当初にはYIG(イットリ
ウム鉄ガーネット,Y3Fe5O12)が用いられていた
が、量産性、小型化の点で不十分であった。その後、ガ
ーネット型結晶の希土類サイトをビスマス(Bi)で置
換するとファラデー回転能が飛躍的に向上することが見
出され、以後はこのBi置換型希土類鉄ガーネット単結
晶がファラデー回転子に用いられるようになった。
ガーネット単結晶は、飽和磁場以上の磁場中でファラデ
ー回転角が一定の値を示すものであった。そして、飽和
磁場未満の大きさの磁場中においては、ファラデー回転
角が磁場の大きさに比例し、外部磁場を取り除くとファ
ラデー効果が消失していた。そのために、図7に示した
ように、従来の光アイソレータ10においては、飽和磁
場以上の磁場をファラデー回転子11に印加するための
永久磁石12が配設されていた。光アイソレータ10に
ついても、他の機器、部品と同様に小型化、低コスト化
の要望がある。しかし、この永久磁石12の存在が、光
アイソレータ10の小型可、低コスト化を妨げていたと
いえる。
単結晶は、外部磁場を取り除くとファラデー効果が消失
してしまうことから、軟磁性材料ということができる。
そのために、永久磁石12の配設が不可欠であった。と
ころが、ビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶に対
して、硬磁性、つまり外部磁界を取り除いてもファラデ
ー回転角を維持できる性質(ラッチング)を付与するこ
とができれば、永久磁石12の配設を省略することがで
きる。永久磁石12の省略は、光アイソレータあるいは
ファラデー効果を利用する種々の機器、部品の小型化、
低コスト化をもたらす。そのため、ビスマス置換型希土
類鉄ガーネット単結晶の開発が行われている。
は、LPE(Liquid Phase Epitaxial)法によって育
成されたビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜に
おいて、前記単結晶膜面と交差する方向に外部磁界を印
加し磁気飽和させたのち当該外部磁界を除去しても、磁
気飽和させた際のファラデー回転効果を保持するビスマ
ス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜が開示されてい
る。この単結晶膜は、飽和磁化以上の外部磁界を印加す
ると、外部磁界を取り除いても、ファラデー回転角が維
持されることが示されている。
を備えるビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜が
提案されている。この硬磁性単結晶膜では、永久磁石1
2の配設を要する従来の軟磁性単結晶膜と異なり、着磁
方向が極めて重要となる。つまり、図7に示した従来の
光アイソレータ10は、永久磁石12の方向で軟磁性単
結晶膜からなるファラデー回転子11の磁化方向が決ま
るので、ファラデー回転子11の表裏面は特に区別を要
しない。ところが、永久磁石12の配設を要しない、硬
磁性単結晶膜からなるファラデー回転子を用いた光デバ
イスは、外部磁場を印加したファラデー回転子の着磁方
向、つまりファラデー回転子の表裏面を識別する必要が
ある。仮に、ファラデー回転子の着磁方向を間違えて光
アイソレータ等の光デバイスを組み立てたとしたなら
ば、光デバイスがまったく機能しなくなるのである。
色であるため肉眼での区別は困難である。このことに鑑
みて、特開平10−115815号公報では、単結晶膜
の表裏面にそれぞれ色相が異なるコーティングを施すこ
とにより、ファラデー回転子の表裏面を肉眼で識別可能
にすることを提案している。より具体的には、育成した
単結晶膜を切断,研磨した後、その表裏面にそれぞれ色
相が異なる反射防止膜を形成して表裏の色相が異なる定
型品とした後、その表裏の色相を指標として着磁後の磁
化方向を判別可能にするのである。
5815号公報では、ファラデー回転子を光アイソレー
タ等の光デバイスに組み込む際に、どちらの色調が単結
晶膜の表面であるか、裏面であるのかを常に把握してお
く必要がある。また、単結晶膜の表裏面にそれぞれ色相
が異なるコーティングを施すために、反射防止膜を表面
および裏面で異なる構成(媒体種、あるいは厚さ)にし
なければならず、利便性に問題がある。そこで、本発明
は、利便性に優れた光デバイスの製造方法、さらには高
性能な光デバイスを安定して製造する技術を提供するこ
とを課題とする。
PE法等によって育成されたビスマス置換型希土類鉄ガ
ーネット単結晶膜(以下、適宜、「ガーネット単結晶
膜」または単に「単結晶膜」という。)を着磁した後、
所定の厚さまで研磨,切断することによって作製されて
いる。そして、こうして作製されたファラデー回転子が
他の光学素子とともに組み立てられて、光デバイスが作
製される。本発明者は、簡易な方法で高性能な光デバイ
スを得るために様々な検討を行ったところ、ファラデー
回転子を光デバイスを組み込んだ後に着磁工程を実行す
ることにより、単結晶膜の表裏面を何ら区別する必要が
なくなることを知見した。すなわち、本発明は、ファラ
デー回転子を組み込んだ光デバイスの製造方法であっ
て、ファラデー回転子を構成する、実質的に角型の磁気
ヒステリシスを発現しうるビスマス置換型希土類鉄ガー
ネット単結晶膜を得る工程と、この単結晶膜を光デバイ
スに組み込んだ状態で、単結晶膜に対して着磁を行う着
磁工程とを備えること特徴とする光デバイスの製造方法
を提供する。ここで、光デバイスとしては、光アイソレ
ータ、光アッテネータ、光サーキュレータ、光スイッチ
およびそれらの導波路型デバイス等を広く包含する。な
お、光アイソレータには偏波依存型および偏波無依存型
があるが、本願発明において、単に光アイソレータとい
うときは、偏波依存型および偏波無依存型の両者を包含
する概念を有している。本発明に係る光デバイスの製造
方法において、得られた単結晶膜に対する脱磁処理を、
上述した着磁工程に先立って行うことが好ましい。この
脱磁処理は、単結晶膜に対し、当該単結晶膜のキュリー
温度以上の加熱を加えた状態で行うことができる。この
脱磁処理により、単結晶膜が完全に磁力を消失すること
が望ましい。但し、脱磁処理の結果、若干の磁力が残留
する場合もあるが、本願明細書では単結晶膜を脱磁する
目的で行う処理を広く「脱磁処理」という。また、脱磁
処理の結果、若干の磁力が残留する場合について、以
下、適宜「減磁」ということとする。
ァラデー回転子以外の光学素子と、ファラデー回転子を
固定する部材とからなる以下の特徴を有する光デバイス
を提供する。すなわち、本発明の光デバイスは、順方向
の光が入射されるとともに、逆方向の光の透過を阻止す
る第1の光学素子と、この第1の光学素子と所定間隔を
隔てて対向配置され順方向の光が出射されるとともに、
逆方向の光が入射される第2の光学素子と、第1の光学
素子と第2の光学素子との間に配置され、第1の光学素
子を透過した順方向の光の偏波面を回転させて第2の光
学素子に向けて出射するとともに、第2の光学素子を透
過した逆方向の光の偏波面を順方向の場合と同じ方向に
回転させ第1の光学素子に向けて出射するファラデー回
転子と、このファラデー回転子を固定する部材とを備
え、ファラデー回転子は、磁気的なヒステリシスが角型
を示すビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜から
構成されるとともに、当該ファラデー回転子のキュリー
点以上の融点を有する固着剤により前記部材に固定され
ることを特徴とする。ここで、第1の光学素子および第
2の光学素子としては、偏光子、ルチル等の偏光分離素
子等を用いることができる。例えば、光デバイスとして
光アイソレータを製造する際には、第1の光学素子およ
び第2の光学素子として偏光子を用いればよい。また、
固着剤としてはハンダまたは低融点ガラスが好適であ
り、これらによれば、ファラデー回転子を部材に強固に
固着させることができる。
ァラデー回転子以外の光学素子と、ファラデー回転子を
固定する部材とからなる光デバイスであって、ファラデ
ー回転子は磁気的なヒステリシスが角型を示すビスマス
置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜から構成されるとと
もに、200℃以上の融点を有する固着剤により当該フ
ァラデー回転子が部材に固定されることを特徴とする光
デバイスを提供する。なお、200℃以上の融点を有す
る固着剤としては、ハンダ、低融点ガラス等がある。
テリシスを示すビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結
晶膜を用いたファラデー回転子の製造方法であって、単
結晶膜を得る工程と、得られた単結晶膜に対して脱磁処
理を行う工程と、脱磁処理が行われた単結晶膜に対して
所定の処理を施す工程と、所定の処理が施された単結晶
膜に対して着磁を行う工程とを備えたことを特徴とする
ファラデー回転子の製造方法を提供する。この脱磁処理
は、単結晶膜を脱磁(または減磁)するために行われる
処理であって、脱磁処理としてはファラデー回転子のキ
ュリー温度以上の加熱または交流脱磁を採用することが
できる。
通り、光通信システムにおいて適用されている。本発明
はこの光通信システムに本発明による光デバイスを適用
することを提案する。この提案は、電気信号から変換さ
れた光信号を発する光送信器と、光送信器から発せられ
る光信号を伝送する光伝送ラインと、光伝送ラインを介
して伝送された光信号を受信し、かつ受信した光信号を
電気信号に変換する光受信器とを備えた光通信システム
であって、光送信器は、電気信号を前記光信号に変換す
る電−光変換素子と、電−光変換素子と光伝送ラインの
間に配置される光デバイスとを有し、光デバイスを構成
するファラデー回転子は、磁気的なヒステリシスが角型
を示すビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜から
構成されるとともに、当該ファラデー回転子のキュリー
点以上の融点を有する固着剤により部材に固定されるこ
とを特徴とする光通信システムにある。
より詳細かつ具体的に説明する。まず、図1を用いて、
本発明が適用される光通信システム1について説明す
る。光通信システム1は、送信側と受信側との間で情報
を光信号によって伝送するためのシステムである。送信
側には光送信器2が、また受信側には光受信器3が配設
されている。光送信器2と光受信器3とは、光ファイバ
からなる光伝送ライン4で接続されている。光伝送ライ
ン4上には光増幅器5が介在している。光増幅器5は、
光伝送ライン4の長さに応じた数だけ設けられる。
ュール22とを備えている。伝送の対象となるデータを
電気信号として受けた電子回路21は、所定の処理を施
した後にLDモジュール22に出力する。LDモジュー
ル22は、受けた電気信号を光信号に変換した後に、光
伝送ライン4に伝送する。光受信器3は、PDモジュー
ル31と、電子回路32とを備えている。光伝送ライン
4から伝送された光信号を受けたPDモジュール31
は、電気信号に変換して電子回路32に出力する。電子
回路32は、受けた電気信号を受信側に出力する。光伝
送ライン4上に配置された光増幅器5は、光伝送ライン
4を伝送される光信号の減衰を防止するために増幅す
る。
図である。LDモジュール22は、ケース内に配置され
るLD222と、LD222から出力される光(信号)
が透過するレンズ223と、レンズ223を透過した光
(信号)の偏波面を回転する光アイソレータ224とを
備えている。図3は、光アイソレータ224の構成を示
す図である。図3に示すように、光アイソレータ224
は、2つの偏光子224a(第1の光学素子),224
c(第2の光学素子)の間にファラデー回転子224b
が配置された構成を有する。2つの偏光子224a,2
24cは、所定の間隔を隔てて対向配置される。いま、
偏光子224aに順方向の光が入射されるものとする
と、順方向の光は偏光子224cから光伝送ライン4に
向けて出射される。一方、偏光子224cに逆方向の光
が入射されるものとすると、偏光子224aは偏光子2
24cからの逆方向の光の透過を阻止する。これは、フ
ァラデー効果を利用した以下の理由に基づく。すなわ
ち、順方向においては、偏光子224aを透過した直線
偏光はファラデー回転子224bにより45°回転し、
45°の相対角度をもって配置される偏光子224cを
透過する。一方、逆方向においては、偏光子224cを
透過した直線偏光は、ファラデー回転子224bにより
順方向の場合と同じ方向にさらに45°回転するため、
偏光子224aを透過することができなくなるためであ
る。偏光子224a、224cは公知の材料を用いるこ
とができる。例えば、コーニング社製のポーラ・コア
(商品名)が望ましいが、これに限定されるものではな
い。
たように、ファラデー回転子224bは、偏光子224
aを透過した順方向の光の偏波面を回転させて偏光子2
24cに向けて出射する。また、ファラデー回転子22
4bは、偏光子224cを透過した逆方向の光の偏波面
を、順方向の場合と同じ方向に回転させて偏光子224
aに向けて出射する。本発明において、このファラデー
回転子224bをビスマス置換型希土類鉄ガーネット単
結晶膜で構成する。そして、このファラデー回転子22
4bは、光アイソレータ224等の光デバイスの一部と
して機能する。以下、本実施の形態に係る光デバイスの
製造方法について図4を用いて説明する。上述したよう
に、本発明は、単結晶膜から構成されるファラデー回転
子224bを光アイソレータ224等の光デバイスに組
み込んだ後に着磁を行うことを特徴とする。以下、本実
施の形態に係る光デバイスの製造方法を詳述する。
成工程(ステップS101)、脱磁処理工程(ステップ
S102)、切断・研磨工程(ステップS103)、着
磁工程(ステップS104)とを含む。以下、単結晶膜
の望ましい組成について言及した上で、各工程について
説明する。
性材料、つまり、後述する着磁工程(ステップS10
4)の後にファラデー回転子224bが角型の磁気ヒス
テリシスを示すように選定する。ビスマス置換型希土類
鉄単結晶膜の組成は、(Bi3-x−Rx)−Fe(5-w)−
Mw−O12の化学組成(ただし、R=Yを含む希土類元
素の1種または2種以上、M=Ga、Al、Ge、S
c、InおよびTiの一種または二種以上)とすること
が望ましい。ここで、Rは、Yを含む希土類元素(L
a,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,YbおよびLu)の1種または2種以
上である。以下、Yを含む希土類元素を「希土類元素
R」と称する。また、本発明の硬磁性ガーネット材料に
おいて、0.5≦x≦2.5であり、かつ0.2≦w≦
2.5とすること、さらには1.0≦x≦2.3であ
り、かつ0.4≦w≦1.5とすることが望ましい。
特に好ましい。Gdは磁気モーメントが希土類元素の中
で最も大きいため、飽和磁化(4πMs)の低減に有効
である。また、GdBi系のガーネットは、磁化反転温
度が−10℃程度と、TbBi系のガーネットの−50
℃に比べて室温に近いため、硬磁性にとって有利であ
る。さらに、Gdは1.2μm以上の波長の光の吸収が
ないため、挿入損失にとって有利である。Tbは、温度
特性、波長特性を確保するために有効な元素である。G
dは磁気異方性が大きく高保磁力化に有効な元素である
が、保磁力への寄与はTbのほうが大きい。
希土類鉄単結晶膜において、その組成を(Bi3-a-b-c
GdaTbbYbc)Fe(5-w)MwO12の化学組成(ただ
し、M=Ga、Al、Ge、Sc、InおよびTiの一
種または二種以上、0.5≦a+b+c≦2.5,0.
2≦w≦2.5)とすることが特に望ましい。
は、LPE法により形成されることを前提とするが、Y
bは、当該単結晶膜の格子定数を基板の格子定数と整合
させるために含有される。ファラデー回転能を大きくす
るためには、Biを多く含む結晶とすることが望まれ
る。ここで、ファラデー回転角は、ファラデー回転子2
24bを構成する材料の厚さに比例し、単位厚さあたり
の回転角をファラデー回転能と呼ぶ。また、光アイソレ
ータ224に用いられるファラデー回転子224bの回
転角は45°であるから、ファラデー回転能が大きいほ
どファラデー回転子224bの厚さを薄くでき、小型化
にとって有利となる。
LPE基板)は、所定の格子定数を有している。Biは
イオン半径が大きいために、単にBiの量を多くしたの
では、得たい結晶膜の格子定数と基板の格子定数の整合
が取れなくなる。そこで、Biの量を多くしつつ、イオ
ン半径の小さいYbを含有せしめることにより、得たい
結晶膜の格子定数と基板の格子定数の整合をとるのであ
る。そして、Ybは光通信に使用される光の波長域で光
吸収がないので、挿入損失を劣化させることもない。
ト材料において、MはFeの一部を置換する元素であ
り、Ga、Al、Ge、Sc、InおよびTiの一種ま
たは二種以上から選択される。この中では単結晶膜育成
の安定性に及ぼす影響から、Gaが最も望ましい元素で
ある。
ト材料において、MのFeに対する置換量であるwは
0.2≦w≦2.5とする。wが0.2未満では、得ら
れた単結晶膜が角型の磁気ヒステリシスを保てなくな
る。一方、wが2.5を超えると、単結晶膜の育成中に
溶融部分に不必要な結晶核が生成して単結晶膜の健全な
育成が困難となる。望ましいwの範囲は0.3≦w≦
2.0、さらに望ましいwの範囲は0.4≦w≦1.5
である。
スマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜からなるファ
ラデー回転子224bを光アイソレータ224等の光デ
バイスに組み込んだ後で着磁を行うことを特徴とするも
のであり、この単結晶膜の組成は上記に示したものに特
に限定されるものではなく、単結晶膜が硬磁性を示すよ
うに適宜調整すればよい。
は、以上説明したビスマス置換型希土類鉄ガーネット材
料を例えばLPE法により育成した単結晶膜から構成す
ることができる。この単結晶膜は、実質的に角型の磁気
ヒステリシスを示す。
工程(ステップS101)について説明する。本発明に
よる単結晶膜は、LPE法により育成することができ
る。図5はLPE法により単結晶膜を育成している様子
を示している。図5に示すように、例えば白金製の坩堝
40に得たい単結晶膜の原料とフラックスとを投入す
る。坩堝40に投入された原料とフラックスとは、加熱
コイル41へ通電することにより加熱、溶融してメルト
42を形成する。メルト42の温度を下げて過冷却状態
にして、LPE基板43を回転させながらメルト42に
接触させると、LPE基板43上に、単結晶膜44がエ
ピタキシャル成長する。なお、育成された単結晶膜44
には、フラックスおよび坩堝40から不純物が不可避的
に混入するが、本発明がこのような不可避的不純物の混
入を許容することは言うまでもない。もちろん、本発明
の効果を実行あらしめるために、これら不純物の混入を
低減することが望ましい。
的に得たいファラデー回転子224bの厚さよりも若干
厚く育成される。研磨加工に供した後にファラデー回転
子224bとして用いるためである。
ップS101)にて単結晶膜44が育成された後、脱磁
処理工程(ステップS102)に進む。脱磁処理工程
(ステップS102)は、単結晶膜44の磁力を消失さ
せるため、つまり単結晶膜44を脱磁(または減磁)す
るために行う工程である。本実施の形態で脱磁処理工程
(ステップS102)を含むのは、以下の理由による。
つまり、単結晶膜育成工程(ステップS101)にて育
成された単結晶膜44は、既にある程度の磁力を帯びて
いる。そして、磁力を帯びた単結晶膜44に対し、切断
・研磨、無反射コーティング等の所定の処理を施すと、
この磁力によって鉄等の金属系ゴミ、金属系治具等が単
結晶膜44の表面に付着してしまう。こうしたゴミ等が
付着した状態で単結晶膜44を切断・研磨することは作
業効率および加工精度等の面から問題があり、またこう
したゴミが付着した状態のまま、単結晶膜44を光アイ
ソレータ224等の光デバイスに組み込んだ場合には、
光デバイスの特性が劣化しうる。よって、切断・研磨工
程(ステップS103)に先だって脱磁処理工程(ステ
ップS102)を行うことが好ましい。
例えば加熱、交流脱磁、もしくはこれらの組合せ等が挙
げられる。加熱により単結晶膜44を脱磁(または減
磁)する場合には、加熱温度を単結晶膜44のキュリー
点以上の温度とする。周知の通り、磁性体はキュリー点
以上の高温にさらされると磁力を完全に消失してしま
う。ここで、単結晶膜44のキュリー点は、その組成に
よって異なるものの、180℃〜200℃程度である。
具体的には、ビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶
膜において、FeをGaやAl等で置換しない場合にお
ける単結晶膜44のキュリー点は280℃程度、Feを
GaやAl等で置換した場合における単結晶膜44のキ
ュリー点は190℃〜200℃程度である。よって、本
実施の形態において、単結晶膜44のキュリー点以上の
温度というのは、具体的には180℃以上の温度を意味
する。交流脱磁により単結晶膜44を脱磁(または減
磁)する場合には、静磁場がほとんどない場所で十分強
い交流磁場を作用させ、その振幅を0に漸減すればよ
い。
プS102)にて単結晶膜44の脱磁(または減磁)が
行われた後、切断・研磨工程(ステップS103)に進
む。切断・研磨工程(ステップS103)において、単
結晶膜44を所定の大きさに切断・研磨することによ
り、ファラデー回転子224bが得られる。単結晶膜4
4の切断は、ワイヤーソーを用いて行うことが好まし
い。ワイヤーソーを用いた切断によれば、切断時のチッ
ピングを最小限に抑えることができる。このようにチッ
ピングを抑えることで、単結晶膜育成工程(ステップS
101)で育成した完全結晶に近い状態を維持しつつ、
磁気特性の良好な単結晶膜44を得ることが可能とな
る。ここで、チッピングとは、単結晶膜44を切断する
際に単結晶膜44の切断面のエッジが欠ける現象をい
う。また、ファラデー回転子224bには、使用される
光の波長に対して回転角が45°になるような単結晶膜
44が用いられる。換言すれば、LPE法により育成さ
れた単結晶膜44は、ファラデー回転角が45°になる
まで研磨加工される。ファラデー回転子224bは、概
ね500μm程度の厚さを有している。
のために、ファラデー回転子224bの表面に無反射コ
ーティングを施すことが望ましい。ここで、挿入損失と
は、入射光に対す出射光の減衰分をいう。ファラデー回
転子224bにおける挿入損失は、ファラデー回転子2
24bを構成する材料の光吸収損失と、当該材料と空気
との屈折率の違いによる界面の反射損失からなる。高品
質な情報伝送を確保するために、ファラデー回転子22
4bにおいては、挿入損失を低減することが要求されて
いるが、ファラデー回転子224b表面に無反射コーテ
ィングを施すことにより、反射損失は無視できる程度ま
で低減できる。
103)にて所定寸法のファラデー回転子224bが得
られた後、着磁工程(ステップS104)に進む。この
着磁工程(ステップS104)では、単結晶膜44から
なるファラデー回転子224bに対し、外部磁場を施
す。この着磁工程(ステップS104)は本発明の特徴
的な部分であり、本実施の形態では、ファラデー回転子
224bを光アイソレータ224等の光デバイスに組み
込んだ状態で着磁を行う。よって、ファラデー回転子2
24bを光アイソレータ224等の光デバイスに組み込
む際にはファラデー回転子224bの表裏面を何ら区別
する必要がない。
部磁場の強度は、飽和磁場以上、具体的には、前述した
組成からなるファラデー回転子224bの場合、500
Oe以上とする。外部磁場の強度が高ければ高いほどフ
ァラデー回転子224bの高保磁力化が期待できる。但
し、装置の高コスト化を防ぐため、現状では外部磁場の
強度の上限を20kOe程度とする。より望ましい外部
磁場の強度は1kOe以上、さらに望ましい外部磁場の
強度は2kOe以上である。
度とすればよい。但し、この時間は外部磁場の強度によ
って左右されるものであり、外部磁場の強度が高い場
合、具体的には外部磁場の強度が2kOe以上の場合に
は、外部磁場を施す時間が数秒であっても高保磁力化と
いう効果を得ることができる。
ァラデー回転子224bを光アイソレータ224に組み
込んだ状態で着磁を行う。ここで、図6を用いてファラ
デー回転子224bが着磁される様子を示す。図6に示
すように、ファラデー回転子224bは、通常、固着剤
Sで金属部材Mに固定された状態で光アイソレータ22
4に組み込まれる。そして、ファラデー回転子224b
を光アイソレータ224等の光デバイスに組み込んだ状
態のまま、飽和磁場以上の磁場をファラデー回転子22
4bに印加するのである。
24bに印加するためには、例えば電磁石等の磁界発生
装置(図示せず)を用いることができる。つまり、ファ
ラデー回転子224bを光アイソレータ224等の光デ
バイスに組み込んだ状態のまま、この光デバイスごと電
磁石等の磁界発生装置に設置し、飽和磁場以上の磁場を
ファラデー回転子224bに印加するのである。磁場の
印加方向は、最終的にファラデー回転子224bが着磁
されるべき方向とし、具体的にはファラデー回転子22
4bの厚さ方向に磁場を印加する。図6に示したよう
に、ファラデー回転子224bは偏光子224a,22
4cの間に配置されるが、光が進む方向、つまり順方向
の光と略平行になるようにファラデー回転子224bの
厚さ方向に磁場を印加するのである。
属部材Mには、ファラデー回転子224bを挿入・保持
する保持孔がファラデー回転子224bの形状に合わせ
て形成されている。固着剤Sとしては、従来はファラデ
ー回転子224bのキュリー点以下の温度、具体的には
180℃より低い融点を有する樹脂等が用いられてい
た。これは、着磁工程を経た上でファラデー回転子22
4bを光アイソレータ224に組み込むという工程を従
来は採用していたことによる。つまり、着磁工程を経た
ファラデー回転子224bに対し、ファラデー回転子2
24bのキュリー点以上の熱を加えると、磁力が消失し
てしまい、着磁した意味がなくなってしまう。そのた
め、キュリー点以下の融点を有する樹脂でファラデー回
転子224bを金属部材Mに固着していたのである。
合には、接着強度が低く、光アイソレータ224の信頼
性が不十分なものとなってしまう。そこで、本発明は、
従来とはまったく異なる発想に基づき、ファラデー回転
子224bのキュリー点以上の温度、具体的には180
℃以上あるいは200℃以上の融点を有する固着剤Sを
用いることを提案する。上述したように、本発明は、フ
ァラデー回転子224bを光アイソレータ224に組み
込んだ後に着磁を行う。よって、着磁工程(ステップS
104)に先立ち、ファラデー回転子224bを、その
キュリー点以上の温度で加熱することは何ら特性上問題
とならない。
上の融点を有する固着剤Sとしては様々なものがある
が、なかでもハンダ、低融点ガラスが固着剤Sとして好
ましい。ハンダおよび低融点ガラスは、樹脂に比べて接
着強度が高いのみならず、以下のような利点も有する。
つまり、ハンダおよび低融点ガラスを固着剤Sとする場
合には、その融点以上に加熱しても、ファラデー回転子
224bが固定される金属部材Mを腐食するような揮発
成分を発生することがない。よって、ハンダ、低融点ガ
ラスを固着剤Sとして用いた場合には、金属部材Mを腐
食することなく、かつ強固にファラデー回転子224b
と金属部材Mを固着することが可能となる。
様々なものがあるが、金錫(Au−Sn)ハンダを用い
る場合にはその組成をAu:60〜90wt%、Sn:
10〜40wt%とすればよい。金錫(Au−Sn)ハ
ンダの融点は200℃〜300℃であるが、この値は組
成により異なる。低融点ガラスとしては、例えば鉛−ホ
ウ酸系ガラス、銀−燐酸系ガラスを用いることができ
る。鉛−ホウ酸系ガラス、銀−燐酸系ガラスの融点は3
50℃〜500℃であるが、この値も組成により異な
る。
ファラデー回転子224bが組み込まれた光アイソレー
タ224は、良好な特性、具体的には、低い挿入損失お
よび高い消光比を示す。なお、図4を用いて光アイソレ
ータ224を製造する工程を示したが、切断・研磨工程
(ステップS103)を経た後、かつ着磁工程(ステッ
プS104)の前に再度、脱磁処理工程(ステップS1
02)を行うようにしてもよい。この場合には、切断・
研磨工程(ステップS103)によって生じうる切り子
等が単結晶膜44に付着することをより効果的に防止す
ることができる。また、脱磁処理工程(ステップS10
2)を省略し、着磁工程(ステップS104)に先だっ
てファラデー回転子224bを固着剤Sで金属部材Mに
固定する際の加熱を利用して併せて脱磁(または減磁)
を行うようにしてもよい。この場合には、ハンダ等の固
着剤Sでファラデー回転子224bを金属部材Mに固定
する際に要する加熱時間を、通常よりも長めに設定すれ
ばよい。
する。 (実施例1)図4に示した工程に基づき、ファラデー回
転子224bを光アイソレータ224に組み込んだ後に
着磁した場合の光アイソレータ224の特性を確認する
ために行った実験を実施例1として説明する。酸化ビス
マス(Bi2O3,4N)、酸化第2鉄(Fe2O3,4
N)、酸化ガドリニウム(Gd2O3,5N)、酸化テル
ビウム(Tb4O7,3N) 、酸化イッテルビウム(Y
b2O3,4N)、酸化ガリウム(Ga2O3,4N)を原
料として、図5に示す装置を用いて、エピタキシャル成
長により、1種類のビスマス置換型希土類鉄磁性ガーネ
ット単結晶膜を育成した。用いたLPE基板は、(11
1)ガーネット単結晶((GdCa)3(GaMgZ
r)5O12)である。この基板の格子定数は、1.24
97±0.0002nmである。なお、前記原料は、単
結晶膜44が着磁された後に硬磁性を示すように選定さ
れている。また、前記原料のほかに、酸化鉛(PbO,
4N)および酸化ほう素(B2O3,5N)をフラックス
として白金製の坩堝40に投入した。
結晶膜を育成した後、得られた単結晶膜44の組成分析
を行った結果、Bi1.0Gd0.4Tb1.2Yb0.4Fe4.0
Ga1 .0O12.0であった。また、この単結晶膜44のキ
ュリー温度は190℃であった。次いで、こうして得ら
れた単結晶膜44を昇温炉内で430℃、つまり単結晶
膜44のキュリー温度以上に加熱することにより脱磁処
理を行い、脱磁した単結晶膜44を所定の厚さ、大きさ
に切断・研磨した。なお、切断・研磨後のファラデー回
転子224bのサイズは、縦1.0×横1.0mm、厚
さ500μmである。
ィングを施した後、偏光子224a,224cとともに
光アイソレータ224として組み立てた。こうして組み
立てた光アイソレータ224を磁界発生器に設置し、外
部磁場10kOe中で所望の方向に着磁した。次いで、
光アイソレータ224の特性を測定したところ、挿入損
失が0.15dB、消光比が35dBであった。また、
製品歩留まりは100%であった。
た単結晶膜44を外部磁場10kOe中で着磁した後、
切断,研磨,無反射コーティングを施してファラデー回
転子とした。そして、このファラデー回転子を偏光子2
24a,224cとともに光アイソレータとして組み立
てた。この光アイソレータの特性を測定したところ、挿
入損失が1.3dB、消光比が17dBと、光アイソレ
ータとしてはいずれも不十分な値を示した。また、製品
歩留まりは80%であった。このように特性が不十分で
あった原因を調べた結果、光アイソレータ内のファラデ
ー回転子の光路面に微少なゴミが付着していることが確
認された。このゴミは、光アイソレータを組み立てる際
に付着したものと考えられる。
ファラデー回転子224bを光アイソレータ224に組
み込んだ後に着磁することにより、低い挿入損失および
良好な消光比を有する光アイソレータ224を得ること
ができることがわかった。また、ファラデー回転子22
4bを光アイソレータ224に組み込んだ後に着磁する
ことにより、ファラデー回転子224bの表裏面に留意
することなく光アイソレータ224に組み込むことがで
きるため、作業効率が大幅に向上するとともに、光アイ
ソレータ224に組み込む前に着磁する場合と比較し
て、歩留まりが大いに改善されることがわかった。
転子224bを金属部材(ステンレス部材)に固定した
後、光アイソレータ224に組み込み、その後着磁した
場合の製品歩留まりを確認するために行った実験を実施
例2として説明する。実施例1で得たファラデー回転子
224b(単結晶膜44を育成した後、キュリー温度以
上に加熱することにより脱磁処理を行い、所定の厚さ、
大きさに切断・研磨して無反射コーティングを施したも
の)を、以下の固着剤を用いてステンレス部材に固定
し、偏光子224a,224cとともに光アイソレータ
224として組み立てた。以下、金錫ハンダを用いたも
のをサンプル1、鉛−ホウ酸系ガラスを用いたものをサ
ンプル2という。
℃ 鉛−ホウ酸系ガラス:融点約430℃
よび消光比を測定したところ、実施例1と同様の特性を
示した。また、製品歩留まりは100%と、理想的な値
を示した。
うに、ファラデー回転子224bを光アイソレータ22
4に組み込んだ後に着磁することにより、低い挿入損失
および良好な消光比を有する高性能な光アイソレータ2
24を得ることができる。また、ファラデー回転子22
4bのキュリー温度以上の融点を有するハンダまたは低
融点ガラスを固着剤Sとして用いることにより、ファラ
デー回転子224bと金属部材Mの接着強度が高まり、
結果的に光アイソレータ224の信頼性が向上する。さ
らには、ファラデー回転子224bを光アイソレータ2
24に組み込んだ後に着磁することにより、ファラデー
回転子224bの表裏面に留意することなく光アイソレ
ータ224に組み込むことができるため、作業効率が大
幅に向上するともに、歩留まりが改善される。
は、ファラデー回転子224bと偏光子224a,22
4cを用いて光アイソレータ224を組み立てる場合に
ついて説明したが、ガラス偏光子に限らず、ガラス、複
屈折板ガラス、ガラスに金属を蒸着してなる金属薄膜ミ
ラー等の光学素子とファラデー回転子224bを用いて
光デバイスを作製する場合にも、同様の効果が期待でき
る。
高性能な光デバイスを簡易な方法で得ることができる。
示す図である。
示す斜視図である。
示す図である。
程を示すフローチャートである。
んだ状態で着磁を行う様子を示す図である。
る。
22…LDモジュール、222…LD、223…レン
ズ、224…光アイソレータ、224a(第1の光学素
子),224c(第2の光学素子)…偏光子、224b
…ファラデー回転子、3…光受信器、31…PDモジュ
ール、32…電子回路、4…光伝送ライン、5…光増幅
器、10…光アイソレータ、11…ファラデー回転子、
12…永久磁石、13,14…偏光子、40…坩堝、4
1…加熱コイル、42…メルト、43…LPE基板、4
4…単結晶膜、M…金属部材、S…固着剤
Claims (10)
- 【請求項1】 ファラデー回転子を組み込んだ光デバイ
スの製造方法であって、 前記ファラデー回転子を構成する、実質的に角型の磁気
ヒステリシスを発現しうるビスマス置換型希土類鉄ガー
ネット単結晶膜を得る工程と、 前記単結晶膜を前記光デバイスに組み込んだ状態で、前
記単結晶膜に対して着磁を行う着磁工程と、を備えるこ
と特徴とする光デバイスの製造方法。 - 【請求項2】 得られた前記単結晶膜に対する脱磁処理
を、前記着磁工程に先立って行うことを特徴とする請求
項1に記載の光デバイスの製造方法。 - 【請求項3】 前記脱磁処理は、前記単結晶膜に対し、
当該単結晶膜のキュリー温度以上の加熱を加えた状態で
行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光デバ
イスの製造方法。 - 【請求項4】 順方向の光が入射されるとともに、逆方
向の光の透過を阻止する第1の光学素子と、 前記第1の光学素子と所定間隔を隔てて対向配置され前
記順方向の光が出射されるとともに、前記逆方向の光が
入射される第2の光学素子と、 前記第1の光学素子と前記第2の光学素子との間に配置
され、前記第1の光学素子を透過した前記順方向の光の
偏波面を回転させて前記第2の光学素子に向けて出射す
るとともに、前記第2の光学素子を透過した前記逆方向
の光の偏波面を前記順方向の場合と同じ方向に回転させ
前記第1の光学素子に向けて出射するファラデー回転子
と、 前記ファラデー回転子を固定する部材と、を備え、 前記ファラデー回転子は、 磁気的なヒステリシスが角型を示すビスマス置換型希土
類鉄ガーネット単結晶膜から構成されるとともに、当該
ファラデー回転子のキュリー点以上の融点を有する固着
剤により前記部材に固定されることを特徴とする光デバ
イス。 - 【請求項5】 前記第1の光学素子および前記第2の光
学素子は偏光子であることを特徴とする請求項4に記載
の光デバイス。 - 【請求項6】 前記固着剤は、ハンダまたは低融点ガラ
スであることを特徴とする請求項4または5に記載の光
デバイス。 - 【請求項7】 順方向の光が入射されるとともに、逆方
向の光の透過を阻止する第1の光学素子と、 前記第1の光学素子と所定間隔を隔てて対向配置され前
記順方向の光が出射されるとともに、前記逆方向の光が
入射される第2の光学素子と、 前記第1の光学素子と前記第2の光学素子との間に配置
され、前記第1の光学素子を透過した前記順方向の光の
偏波面を回転させて前記第2の光学素子に向けて出射す
るとともに、前記第2の光学素子を透過した前記逆方向
の光の偏波面を前記順方向の場合と同じ方向に回転させ
前記第1の光学素子に向けて出射するファラデー回転子
と、 前記ファラデー回転子を固定する部材と、を備え、 前記ファラデー回転子は、 磁気的なヒステリシスが角型を示すビスマス置換型希土
類鉄ガーネット単結晶膜から構成されるとともに、当該
ファラデー回転子は200℃以上の融点を有する固着剤
により前記部材に固定されることを特徴とする光デバイ
ス。 - 【請求項8】 実質的に角型の磁気ヒステリシスを示す
ビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜を用いたフ
ァラデー回転子の製造方法であって、 前記単結晶膜を得る工程と、 得られた前記単結晶膜に対して脱磁処理を行う工程と、 前記脱磁処理が行われた前記単結晶膜に対して所定の処
理を施す工程と、 前記所定の処理が施された前記単結晶膜に対して着磁を
行う工程と、を備えたことを特徴とするファラデー回転
子の製造方法。 - 【請求項9】 前記脱磁処理は、前記ファラデー回転子
のキュリー温度以上の加熱または交流脱磁であることを
特徴とする請求項8に記載のファラデー回転子の製造方
法。 - 【請求項10】 電気信号から変換された光信号を発す
る光送信器と、 前記光送信器から発せられる前記光信号を伝送する光伝
送ラインと、 前記光伝送ラインを介して伝送された前記光信号を受信
し、かつ受信した前記光信号を電気信号に変換する光受
信器とを備えた光通信システムであって、 前記光送信器は、 前記電気信号を前記光信号に変換する電−光変換素子
と、 前記電−光変換素子と前記光伝送ラインの間に配置され
る光デバイスとを有し、 前記光デバイスを構成するファラデー回転子は、 磁気的なヒステリシスが角型を示すビスマス置換型希土
類鉄ガーネット単結晶膜から構成されるとともに、当該
ファラデー回転子のキュリー点以上の融点を有する固着
剤により部材に固定されることを特徴とする光通信シス
テム。
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