JP2005220444A - 高純度金属、高純度金属からなるスパッタリングターゲット及びスパッタリングにより形成した薄膜並びに高純度金属の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で200ppm以下であることを特徴とする高純度クロム又は高純度マンガンからなる高純度金属。
【選択図】 図1
Description
例えば、高純度クロムを製造する方法として、通常6価の粗クロムを電解精製して高純度クロムを得る方法や水素や炭素等の還元剤あるいは脱硫剤を添加して高純度化する方法が提案されているが、6価の粗クロムは有毒であり取扱いに危険が伴うという問題があり、また還元剤及び脱硫剤を使用する方法は工程が煩雑となりコスト高となる欠点があった。
溶解する坩堝を2000°Cに上げるためには、坩堝材料や溶解装置を耐熱性に優れた特別なものを使用しなければならず、また坩堝材料からの汚染の問題もあり、かえってコスト高になるという問題があり、高周波溶解炉を使用して真空蒸留する高純度化は断念せざるを得なかった。
1.O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で200ppm以下であることを特徴とする高純度クロム又は高純度マンガンからなる高純度金属。
2.上記1記載の高純度金属からなるスパッタリングターゲット及び該ターゲットを用いてスパッタリングにより形成した薄膜。
に関する。
また、これによって得られた高純度ターゲットは、薄膜の電気・磁気的特性又は化学的特性を改善するだけでなく、O、C、N、H、F、S等のガス成分に起因するスパッタリング中のスプラッシュ、異常放電、パーティクル等の発生が減少するという著しい特長を有する。
坩堝1の上部に凝縮容器3を設置する。凝縮容器3の材料としては、鉄、ステンレス、グラファイト等の材料を使用することができる。しかし、特に汚染物質が存在しない限り、特に上記材料に制限される必要がなく、他の材料を使用することもできる。該凝縮容器3の一部には粗金属2に電子ビーム4等を照射する窓5が開けられている。
電子ビーム溶解装置の真空度は1×10−2〜1×10−5mmHg程度に維持する。電子ビームによる溶解は0.1A〜10Aで実施する。なお、この電子ビーム溶解の出力は、溶解蒸発させ精製する金属の種類等に応じて適宜制御することができ、必ずしも上記に制限される必要はない。
上記のように、蒸気圧が極めて高いクロム、マンガン等の金属は直ちに蒸発するので、粗原料を保持する坩堝は上記のように、銅製等の水冷坩堝1を使用することができる。したがって、高周波溶解等で使用するような高耐熱性の坩堝材料を使用する必要はない。
そして、粗原料中に含まれる酸化クロム、二酸化マンガンやその他の酸化物、硫化物、炭化物、窒化物等の蒸発し難い物質は坩堝1内に残存し、また揮発するガス成分は凝縮容器3外に排出される。
以上の結果、凝縮容器3の天井や側壁に付着した金属クロム、金属マンガン等の蒸留金属6は蒸気圧の差異から優先的かつ選択的に、O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で200ppm以下の極めて純度の高い5Nレベルの高純度クロム、金属マンガン等の金属が得られる。
なお、凝縮容器3の坩堝に近い側壁にはスプラッシュによる低純度の物質が付着する場合があるが、その場合にはその部分は回収高純度クロム、高純度マンガン等の金属から除外する必要がある。
このような高純度ターゲットは薄膜の特性を改善するだけでなく、O、C、N、H、F、S等のガス成分に起因するスパッタリング中のスプラッシュ、異常放電、パーティクル等の発生が減少するという著しい特長を有する。
以上については、主としてクロム及びマンガンの高純度化について説明したが、本発明の電子ビームによる精製によるO、C、N、H、F、S等のガス成分の除去、すなわちクロムやマンガンと同様に蒸気圧の高いCa、Pb、Sn、Be、Ni、Si等の金属の精製に有効である。
(実施例1)
図1に示すような電子ビーム溶解装置を使用し、銅製の水冷坩堝に精製前のO、C、N、H、F、S等のガス成分を多量に含有する3Nレベルの粗クロム(原料)5kgを導入した。この原料の化学分析値を表1に示す。
坩堝の上部に位置する凝縮容器の材料としては、純鉄を使用した。該凝縮容器の一部に開口した窓から原料粗クロムに電子ビームを照射した。電子ビーム溶解装置の真空度は1〜2×10−4mmHg(≒1.33〜2.66×10−2Pa)に維持した。電子ビームによる溶解を1.2Aで1時間、実施した。
上記のように、金属クロムは蒸気圧が極めて高く直ちに蒸発するので、原料を保持する銅製の水冷坩堝が溶損や破壊することは全くなかった。
そして、粗原料中に含まれる酸化クロムやその他の酸化物、硫化物、炭化物、窒化物等の蒸発し難い物質は坩堝内に残存した。またその他の揮発したガス成分は凝縮容器外に排出された。
凝縮容器の天井や側壁に付着した金属クロムは蒸気圧の差異から、O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で200ppm以下の極めて純度の高い5Nレベルの高純度クロムが約1kg得られた。
このようにして得た金属クロムの化学分析により測定した。その結果を同様に表1に示す。表1に示すように、酸素の低減が著しく、またO、C、N、H、F、S等のガス成分の総量は200ppm以下の4Nレベル以上の高純度クロムが得られた。
このようにして得た高純度クロムを、真空溶解、鋳造等の工程を経てスパッタリングターゲットに加工した。このターゲットを使用してスパッタリングを実施したところ、3Nレベルの粗クロムに比べ、O、C、N、H、F、S等のガス成分に起因するスパッタリング中のスプラッシュ、異常放電、パーティクルの発生が著しく減少した。
実施例1と同様に、図1に示すような電子ビーム溶解装置を使用し、銅製の水冷坩堝に精製前のO、C、N、H、F、S等のガス成分を多量に含有する粗マンガン(原料)5kgを導入した。この原料の化学分析値を表2に示す。
実施例1と同様に、坩堝の上部に位置する凝縮容器の材料として純鉄を使用した。該凝縮容器の一部に開口した窓から原料粗マンガンに電子ビームを照射した。電子ビーム溶解装置の真空度は1〜2×10−4mmHg(≒1.33〜2.66×10−2Pa)に維持した。電子ビームによる溶解を1.2Aで1時間、実施した。
そして、粗原料中に含まれる二酸化マンガンやその他の酸化物、硫化物、炭化物、窒化物等の蒸発し難い物質は坩堝内に残存した。またその他の揮発したガス成分は凝縮容器外に排出された。凝縮容器の天井や側壁に付着した金属マンガンは蒸気圧の差異から、O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で100ppm以下の極めて純度の高い5Nレベルの高純度マンガンが約1kg得られた。
このようにして得た金属マンガンの化学分析により測定した。その結果を、同様に表2に示す。表2に示すように、酸素の低減が著しく、またO、C、N、H、F、S等のガス成分の総量は100ppm以下の4Nレベル以上の高純度マンガンが得られた。
実施例1と同様に、このようにして得た高純度マンガンを、真空溶解、鋳造等の工程を経てスパッタリングターゲットに加工した。このターゲットを使用してスパッタリングを実施したところ、粗マンガンに比べ、O、C、N、H、F、S等のガス成分に起因するスパッタリング中のスプラッシュ、異常放電、パーティクルの発生が著しく減少した。
2 粗金属
3 凝縮容器
4 電子ビーム
5 窓
6 金属クロム、金属マンガン等の蒸留金属
Claims (2)
- O、C、N、H、F、S等のガス成分含有量が総量で200ppm以下であることを特徴とする高純度クロム又は高純度マンガンからなる高純度金属。
- 請求項1記載の高純度金属からなるスパッタリングターゲット及び該ターゲットを用いてスパッタリングにより形成した薄膜。
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