JP2005220314A - 複合粒子の製造方法、複合粒子及びそれを含む化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】化粧料に使用した場合、従来の球状粒子が持つ機能(伸び)に加え、優れた感触(しっとり感、ソフト感)を有する新規な複合粒子と、その製造方法、それを含む化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部を、平均粒子径が1〜100nmの水膨潤性粘土鉱物w1重量部を含む水系媒体中で重合させて、平均粒子径が0.5〜100μmの重合粒子を得た後、重合粒子に平均粒子径が1〜100nmの疎水性無機粉体w2重量部を付着させることからなり、w1及びw2が、前記100重量部に対して、w2>w1、1≦w1≦3、1.5≦w2≦5の関係を満たすことを特徴とする複合粒子の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合粒子の製造方法、複合粒子及びそれを含む化粧料に関する。更に詳しくは、本発明は、重合粒子に疎水性無機粉体を付着させた複合粒子の製造方法、複合粒子及びそれを含む化粧料に関する。
従来、市販されているファンデーション、白粉、打粉、ほほ紅、アイシャドー等のメイクアップ化粧品、ボディーパウダー、ベビーパウダー等のボディー化粧品、プレシェーブローション、ボディローション、アフターシェーブローション等のローション等には、化粧品に特定の機能を付与することを目的として、化粧料用樹脂粒子や無機粒子を含有するものが多くある。
例えば、感触向上(伸び)、皺隠し効果を目的として、ナイロン粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子、架橋ポリスチレン粒子、シリコーン粒子、ウレタン粒子、ポリエチレン粒子等の樹脂粒子、シリカ粒子のような無機粒子等があり、これらの粒子やその製造方法については数多く提案されている。
しかしながら、これら従来技術による樹脂粒子や無機粒子には、化粧料として重要な感触である、しっとり感、ソフト感、伸びの点において、それぞれ一長一短があった。
そこで、これらの感触が高品位にバランスの取れた化粧料を得るために、種々の粒子が提案されている。
例えば、特開平9−30918号公報(特許文献1)では、(A)平均一次粒子径0.1〜20μmの高分子粉体を10〜60重量%、(B)平均一次粒子径1〜100nmの微粒子粉体を10〜80重量%、(C)酸化チタン、棒状酸化チタン、板状酸化チタン、チタン酸塩、酸化亜鉛、板状硫酸バリウム、粘土鉱物から選ばれる1種以上の粉体であって、(B)の微粒子粉体よりも大きい粒子径を有する粉体を10〜40重量%を含む粉体混合物を、揮発性溶媒中で湿式粉砕した分散液から、揮発性溶媒を除去することによって得られる複合粒子及び得られた複合粒子を配合した化粧料が提案されている。
上記(A)、(B)及び(C)の3成分を混合して得られた平均一次粒子径1〜100nmの複合粒子は、化粧料に配合した時のざらつき感等の感触の悪化や微粒子粉体特有の伸びの欠如を改善できるとされている。
また、特開2000−186017号公報(特許文献2)で、本発明者は、アクリル酸エステル系樹脂粒子(特定の平均粒子径と圧縮強度を有する架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粒子の表面に、特定の平均粒子径を有する無機粉体を付着させることによって得られる樹脂粒子)及びそれを含む外用剤を提案している。
このアクリル酸エステル系樹脂粒子を、特に外用剤に配合した場合、優れた感触(伸び、滑らかさ、ソフト感、)を付与できることを見出している。
特開平9−30918号公報 特開2000−186017号公報
すなわち、前記、特開平9−30918号公報の複合粒子は、高分子粉体の表面に、微粒子粉体及び粘土鉱物が混合して付着していると考えられ、この構造の粒子は、しっとりした感触を付与するには不充分である。
また、特開2000−186017号公報のアクリル酸エステル系樹脂粒子は、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粒子の表面に、無機粉体が付着した構造となっており、化粧料にこの粒子を用いた場合、伸び、滑らかさ、ソフト感といった感触を付与することができたが、しっとりした感触を付与することについては更なる改善が望まれている。
更に、このアクリル酸エステル系樹脂粒子に付着させる無機粉体は、樹脂粒子製造時の樹脂粒子同士の合着防止並びに、特に化粧料に配合したときの樹脂粒子特有の良好な感触の観点から、疎水性の無機粉体であることが好ましいが、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粒子のような、比較的柔軟な粒子には、疎水性無機粉体を付着させにくいという問題を内在していた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、従来の球状粒子がもつ機能(伸び)に加え、優れた感触(しっとり感、ソフト感)を化粧料に付与しうる新規な複合粒子の製造方法、複合粒子及びそれを含む化粧料を提供しようとするものである。
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と架橋性単量体とを、水膨潤性粘土鉱物を含む水系媒体中で重合させて重合粒子とした後、その重合粒子に疎水性無機粉体を付着させることによって得られた複合粒子を化粧料に含有させた場合、従来の球状粒子が持つ機能(伸び)に加え、しっとりしたソフトな感触を化粧料に付与することができることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部を、平均粒子径が1〜100nmの水膨潤性粘土鉱物w1重量部を含む水系媒体中で重合させて、平均粒子径が0.5〜100μmの重合粒子を得た後、重合粒子に平均粒子径が1〜100nmの疎水性無機粉体w2重量部を付着させることからなり、w1及びw2が、前記100重量部に対して、w2>w1、1≦w1≦3、1.5≦w2≦5の関係を満たすことを特徴とする複合粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記製造方法により得られた複合粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記複合粒子を1〜40重量%含有してなることを特徴とする化粧料が提供される。
本発明の複合粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と架橋性単量体とを、水膨潤性粘土鉱物を含む水系媒体中で重合させて重合粒子とした後、その重合粒子に疎水性無機粉体を付着させることによって得られる複合粒子である。この複合粒子を含有した化粧料は、感触(しっとり感、ソフト感、伸び、以下、これを単に感触という)に極めて優れ、従来にない優れた感触を有する。
本発明における複合粒子は、重合粒子と疎水性無機粉体とからなる。
重合粒子は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体を、水膨潤性粘土鉱物の存在下で懸濁重合、乳化重合、シード重合又は分散重合により重合させて得ることができる。なお、用語(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの両方を含む概念である。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、油溶性のものを使用することが好ましい。更に、(メタ)アクリル酸とエステル結合を形成する置換基の炭素数が1〜12の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用することが好ましい。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。特に、炭素数が1〜8のアクリル酸エステルを使用することが好ましい。
本発明においては、架橋性単量体を使用することで、複合粒子を化粧料に含有させた場合に、好ましい感触を付与しうる圧縮強度を重合粒子に与えることができる。
架橋性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体である芳香族ジビニル系単量体が挙げられる。これらは、2以上を複数種組み合わせて用いてもよい。
これらの架橋性単量体の中でも、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル系架橋性単量体及びカプロラクトン変性ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエステルアクリレートは皮膚刺激性が低いため、化粧品用途に特に適している。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体と架橋性単量体は、全単量体中、50〜95重量%と5〜50重量%となる割合で使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用割合が50重量%未満の場合は、粒子が硬くなり、化粧料に含有させた場合、十分な感触を付与できないので好ましくなく、95重量%より多い場合は、化粧料に含有させた場合、複合粒子の感触が感じられないため、感触の向上効果に乏しく好ましくない。(メタ)アクリル酸エステル系単量体のより好ましい使用割合は、70〜92重量%である。
また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体と共重合可能な単量体、例えばスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等のビニル基を有する他の単量体を、得られる複合粒子の性能が低下しない範囲内で一種以上加えてもよい。
水膨潤性粘土鉱物としては、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウムナトリウム、珪酸アルミニウムナトリウム等の膨潤性スメクタイト、マグネシウムナトリウムフルオライドシリケート等の膨潤性雲母等が挙げられる。
特に5〜40ml/2gの膨潤力を有する水膨潤性粘土鉱物を使用することが好ましい。より好ましい膨潤力は、5〜15ml/2gである。膨潤力が5ml/2g未満では、膨潤力が小さすぎるため重合時の分散系の安定性が悪く、懸濁重合が困難になるので好ましくない。また、膨潤力が40ml/2gを超えると、膨潤力が大きすぎるため重合時の分散系の粘度が高くなりすぎ、懸濁重合が不安定になりやすくなり好ましくない。膨潤力の測定方法は、実施例の欄に記載する。
水膨潤性粘土鉱物の平均粒子径は、1〜100nmであり、好ましくは1〜50nmである。平均粒子径が1nm未満のものは工業的に入手が困難であり、また100nmを超えると水膨潤性粘土鉱物に由来する凹凸により重合粒子の表面が均一になりにくく、特に化粧料に含有させた時に、良好な感触を得がたくなるので好ましくない。なお、平均粒子径の測定方法は、実施例の欄に記載する。
水膨潤性粘土鉱物の添加量W2は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部に対し、1〜3重量部(すなわち、1≦W2≦3)とするのが好ましく、1.5〜2.5重量部とするのが特に好ましい。
水膨潤性粘土鉱物の添加量が1重量部未満では、化粧料に含有させた場合に、十分なしっとり感が得られにくいので好ましくない。一方、3重量部を越えると、化粧料に含有させた場合に、ざらついた感触が生じてくるので好ましくない。
水系媒体としては、特に限定されないが、水単独、水と低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)との混合媒体等が挙げられる。
ここで、懸濁重合の場合、分散剤として燐酸エステルと高級アルコールとを併用することが好ましい。併用することで、水膨潤性粘土鉱物を重合粒子の表面に付着させやすくなる。
燐酸エステルは、燐酸(H3PO4)のエステルである。燐酸は、一般式(1)
Figure 2005220314
なる構造式で示されるものであるから、エステル置換ができる3個の水酸基をもっている。燐酸エステルは、その3個の水酸基のうち、1個〜3個がアルコール類と反応してエステル化されたものであって、一般式(2)
Figure 2005220314
で表される化合物である。
ここで、R1〜R3は、同一又は異なって、水素原子又はアルコール由来の基を表している(ただし、全てが水素原子ではない)。
燐酸をエステル置換しうるアルコールとしては、例えば、炭素数1〜18の飽和又は不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の飽和脂肪族アルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール等の不飽和脂肪族アルコールが挙げられる。
更に、上記アルコールは、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等の置換基を有していてもよい。燐酸エステルの中でも部分燐酸エステルが好ましく、具体的には、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、モノイソデシルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、ラウリルホスフェート、イソデシルホスフェート等が挙げられる。
燐酸エステルの使用量は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部に対し、0.005〜0.4重量部とするのが好ましく、0.01〜0.2重量部とするのが特に好ましい。
燐酸エステルが0.4重量部より多い場合、使用される製品に悪影響を及ぼすこととなり、また、0.005重量部未満になると、重合過程で分散粒子が合着するのを防止できる効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。
高級アルコールとしては、炭素数が5以上の脂肪族飽和アルコールが好ましく、炭素数が10以上の脂肪族飽和アルコールがより好ましい。炭素数が5未満では、重合過程で分散粒子が合着するのを防止する効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体への溶解性の観点から炭素数の上限は、22であることが好ましい。
具体的な高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等が挙げられる。
高級アルコールの添加量は(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部に対し、0.01〜1重量部とするのが好ましい。
高級アルコールが1重量部より多くなっても増加に見合った顕著な増進効果が認められないので好ましくない。また、0.01重量部未満になると、重合過程で分散粒子が合着するのを防止する効果が乏しくなり、粗大粒が発生する場合があるため好ましくない。
単量体の重合を促進するために、重合開始剤を単量体に加えてもよい。重合開始剤としては、特に限定されることなく、公知のビニル系単量体の懸濁重合に用いられているビニル系単量体に可溶性の重合開始剤を用いることができる。
一例を挙げると、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等がある。中でも、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。これらは単独もしくは併用して用いてもよい。
重合開始剤の使用割合は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部に対して0.01〜5重量部程度であるのが好ましい。より好ましい使用割合は、0.1〜1重量部である。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の重合は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、水膨潤性粘土鉱物を水系媒体中に予め分散しておく。この分散液を水相とする。他方、エステル類、高級アルコール及び/又は重合開始剤を使用する場合は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に予め溶解しておく。この溶液を油相とする。その後、両相を混合し、得られた混合物を撹拌して、単量体組成物を水系媒体中に分散させる。
なお、上記混合順序は、格別の制限を設けるものではない。
油相を水相中に微細な液滴で分散させるには、例えばプロペラ翼等の攪拌力による方法、ローターとステーターから構成した高せん断力を利用する分散機である一般的なホモミキサー又は超音波分散機等を用いる方法、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の機壁への衝突力や液滴同士の衝突力を利用した高圧型分散機を用いる方法等が挙げられる。この時、分散時間を短縮するために、水相の温度を50℃程度に上昇させて分散してもよい。
重合粒子の平均粒子径は、油相と水相との混合条件及び攪拌条件を調節することにより適宜調整することができる。
次いで、重合反応は、油相と水相とを混合した後、攪拌しながら昇温して開始させることができる。このときの攪拌速度は、油滴の浮上や重合後の粒子の沈降を防止できる程度であればよい。水相は、油相100重量部に対して100〜1000重量部用いることが好ましい。重合開始温度は40〜90℃とするのが好ましい。そして、この温度で保持しながら、一般的に1〜10時間程度重合させるのが好ましい。その後、重合温度を95〜120℃程度にして、約0.1〜5時間程度で重合反応を完結させることができる。
重合反応の終了後、反応混合物を冷却し、必要に応じて濾過、乾燥して重合粒子が得られる。
重合粒子は、0.5〜100μmの平均粒子径を有するものが好ましく、更に好ましくは1〜30μmである。特に好ましくは4〜20μmである。平均粒子径が0.5μm未満では、粒子径が小さすぎるためソフトな感触を化粧料に付与しにくくなるので好ましくない。また、100μmを超えると、ざらついた感触が生じてくるので好ましくない。平均粒子径の測定方法は、実施例の欄で説明する。
また、重合粒子は、0.05〜0.6kgf/mm2の圧縮強度を有していることが好ましい。圧縮強度の測定方法は、実施例の欄に説明する。
次に、上記複合粒子は、重合粒子の表面に特定の平均粒子径を有する疎水性無機粉体を付着させて得られる。そのため、重合粒子がもつ独特の感触を生かしたまま、化粧料用の配合剤として良好な性能を発揮することができる。
疎水性無機粉体は、重合粒子製造時の重合粒子同士の合着防止並びに、特に得られた複合粒子を化粧料に含有させたときに、複合粒子特有の良好な感触を発揮するという役割を果たしていると考えられる。
疎水性無機粉体としては、親水性の無機粉体の表面を疎水化処理した粉体が好ましい。親水性の無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。
疎水化処理の方法としては、親水性の無機粉体を親水基と疎水基を有する表面処理剤で処理する方法が挙げられる。
表面処理方法としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーンオイルやシリコーン樹脂、疎水基と親水基を有する界面活性剤やアクリル系樹脂、アミノ酸、レシチン等により湿式又は乾式条件下で表面処理する方法が挙げられる。
疎水性無機粉体として、特に、シリカを疎水化処理して得られる疎水性コロイダルシリカが、効率よく重合粒子に付着して良好な性能を発揮するため好ましい。
疎水性無機粉体の平均粒子径は、1〜100nmであり、好ましくは1〜50nmである。平均粒子径が1nm未満のものは工業的に入手が困難であり、また100nmを超えると複合粒子の表面が均一になりにくく、特に化粧料に含有させたときに良好な感触を得がたくなるため好ましくない。平均粒子径の測定方法は、実施例の欄で説明する。
これら疎水性無機粉体は、重合粒子の重合工程、濾過工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程のいずれかでも添加することができるが、40〜90℃の温度条件下で乾燥工程を行い、乾燥終了後、温度を下げる前に添加することが、疎水性無機粉体を重合粒子に効率よく付着させることができるため好ましい。例えば、定温乾燥器を用いて乾燥を行い、乾燥直後に疎水性無機粉体を添加して、ミキサーやブレンダー等の粉体混合機を用いて混合してもよいし、攪拌羽根、温度調節機を備えた乾燥機を用いて乾燥を行い、乾燥直後に疎水性無機粉体を添加して乾燥機内で混合してもよい。
ここで、疎水性無機粉体の添加量W2は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部に対し、1.5〜5重量部(すなわち、1.5≦W2≦5)であることが好ましく、1.7〜3重量部であることが更に好ましい。
疎水性無機粉体の添加量が1.5重量部より少ないと、重合粒子の合着が発生したり、重合粒子の表面を均一に覆えなくなり、その結果、化粧料に含有させたときの感触が悪化したりするので好ましくない。また、5重量部より多い場合も、化粧料に含有させたときの感触が悪化するので好ましくない。
更に、本発明において、水膨潤性粘土鉱物の重量部w1と疎水性無機粉体の重量部w2の関係は、w2>w1の要件を満たすことが重要である。
2>w1の関係を満たさない場合は、得られた複合粒子を化粧料に含有させた場合、十分なしっとり感やソフト感を化粧料に付与することができないため好ましくない。特に、w2は、w1の1.2倍以上大きいことが好ましい。
本発明では、0.05〜0.6kgf/mm2の圧縮強度を有する複合粒子を提供できる。
圧縮強度が0.05kgf/mm2未満であると、化粧料に含有させた場合、複合粒子の感触が感じられないため、感触の向上効果に乏しく好ましくない。一方、0.6kgf/mm2を超えると逆に複合粒子の感触は感じられるものの、その感触が従来の複合粒子に近いものとなり、十分な感触を化粧料に付与することができないため好ましくない。
更に、このようにして得られた複合粒子を、化粧料に1〜40重量%の範囲で含有させることにより本発明の化粧料が得られる。
複合粒子の含有量が1重量%未満であると、複合粒子が少なすぎて効果が明確に認められないため好ましくない。また、40重量%を超えると、それ以上に添加量を増加しても、添加量の増加に見合った顕著な効果の増進が認められないため好ましくない。
複合粒子を化粧料へ含有させる方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用することができる。
化粧料としては、石鹸、ボディシャンプー、洗顔クリーム、スクラブ洗顔料等の洗浄用化粧品、化粧水、クリーム、乳液、パック類、おしろい類、ファンデーション、口紅、リップクリーム、頬紅、眉目化粧品、マニキュア化粧品、洗髪用化粧品、染毛料、整髪料、芳香性化粧品、歯磨き、浴用剤、制汗剤、日焼け止め製品、サンタン製品、ボディーパウダー、ベビーパウダー等のボディー用化粧料、ひげ剃り用クリーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、ボディローション等のローション等が挙げられる。
しかしながら、本発明の効果が認められるものであれば、上記化粧料に限定されない。
以下、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、これらは単なる例示であり、記載の例に何ら拘束されるものではない。なお、以下に、膨潤力、平均粒子径及び圧縮強度の測定方法を記載する。
(膨潤力)
膨潤力の測定方法は、土壌改良資材品質表示基準(農林水産省告示第312号)に準じて測定した値である。
すなわち、正確に採取した試料2gを、精製水100mlを入れた100mlの共栓付メスシリンダーに加えた後栓をし、24時間静置後、メスシリンダーの下部に堆積した試料と水との境界面の目盛りを読み取り、その数値がa(ml)の時、膨潤力は、次式により算出される。
膨潤力(ml/2g)=(2×a)/2
(平均粒子径)
(1)水膨潤性粘土鉱物及び疎水性無機粉体の平均粒子径は、電子顕微鏡観察法により測定した値である。すなわち、走査型電子顕微鏡(倍率30万倍)で粘土鉱物や無機粉体の観察を行い、粘土鉱物や無機粉体50個を観察して粒子径を測定した。平均粒子径は、この測定された粒子径の平均値である。
(2)複合粒子の平均粒子径は、マルチサイザーII(ベックマンコールター社製)で測定した値である。測定方法はCoulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定した。
具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤溶液10ml中にタッチミキサー及び超音波を用いて予備分散させ、これを本体備え付けの、ISOTON II(ベックマンコールター社製:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせた。次にマルチサイザーII本体にアパチャーサイズを100μm、Currentを1600、Gainを2、Polarityを+と入力(アパチャーサイズ等は必要に応じて変更して入力可能である)してmanualで測定を行った。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した点で測定を終了した。平均粒子径は、この測定値の平均値である。
(圧縮強度)
圧縮強度は、島津製作所社製の微小圧縮試験器HCTM200を使用して測定した値である。すなわち、複合粒子1個を一定の負荷速度(0.036gf/秒)で1gfの荷重まで圧縮試験を行った場合に、粒子径の10%変形時の荷重と粒子径とから下記式によって算出された値である。
圧縮強度(kgf/mm2)=2.8×荷重(kgf)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}
実施例1
油相 アクリル酸エチル 90重量部
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 10重量部
過酸化ベンゾイル 0.5重量部
セチルアルコール 0.3重量部
カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート
(日本化薬社製、PM−21) 0.3重量部
水相 脱イオン水 200重量部
珪酸マグネシウムナトリウム
(水澤化学工業社製イオナイト、平均粒子径10nm、
膨潤力:10ml/2g以下同じ) 2重量部
特殊機化社製の卓上型TKホモミキサー(回転数8000rpm)により上記の油相を水相に分散させた後、攪拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持して重合を完了した。冷却後、濾過を行った。濾過物を少量採取して乾燥した後、走査型電子顕微鏡写真により、重合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムが付着していることを確認した。また、この少量採取した重合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分)は1.9重量%であった。
次に、残りの濾過物を定温乾燥器(アドバンテック社製、定温乾燥器FS−620)に移し、温度を50℃に設定し、20時間静置して乾燥を行い、重合粒子を得た。乾燥終了後、冷却せずに乾燥器から重合粒子を100重量部測り取り、疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル社製R812、平均粒子径7nm)3重量部とともにミキサー(日立製作所社製、日立ミキサーVA−WA1形内で混合して、圧縮強度が0.15kgf/mm2、平均粒子径8.1μmの複合粒子を得た。走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムとコロイダルシリカが付着していることを確認した。また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は4.8重量%であった。
実施例2
油相 アクリル酸ブチル 70重量部
アクリル酸2−エチルヘキシル 15重量部
エチレングリコールジメタクリレート 15重量部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.5重量部
セチルアルコール 0.3重量部
アシッドホスホオキシエチルメタクリレート
(ユニケミカル社製、ホスマーM) 0.3重量部
水相 脱イオン水 200重量部
珪酸マグネシウムナトリウム
(水澤化学工業社製イオナイト) 2重量部
特殊機化社製の卓上型TKホモミキサー(回転数8000rpm)により上記の油相を水相に分散させた後、攪拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持し重合を完了した。冷却後、濾過を行った。濾過物を少量採取して乾燥した後、走査型電子顕微鏡写真により、重合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムが付着していることを確認した。また、この少量採取した重合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分)は1.8重量%であった。
次に、残りの濾過物を定温乾燥器(アドバンテック社製、定温乾燥器FS−620)に移し、温度を50℃に設定し、20時間静置して乾燥を行い、重合粒子を得た。乾燥終了後、冷却せずに乾燥器から重合粒子を100重量部測り取り、疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル社製R812、平均粒子径7nm)3重量部とともにミキサー(日立製作所社製、日立ミキサーVA−WA1形)内で混合して、圧縮強度が0.19kgf/mm2、平均粒子径8.4μmの複合粒子を得た。走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムとコロイダルシリカが付着していることを確認した。また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は4.9重量%であった。
実施例3
実施例1において、疎水性コロイダルシリカの替わりにシリコーン処理酸化亜鉛微粒子(三好化成社製SI−FINEX 50−LHC6% 平均粒子径50nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして複合粒子を得た。
走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムとシリコーン処理酸化亜鉛微粒子が付着していることを確認した。また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及び酸化亜鉛分)は4.6重量%であった。
比較例1
油相 アクリル酸エチル 90重量部
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 10重量部
過酸化ベンゾイル 0.5重量部
水相 脱イオン水 400重量部
ポリビニルアルコール 8重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.04重量部
特殊機化社製の卓上型TKホモミキサー(回転数6000rpm)により、上記の油相を水相に分散させた後、撹拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持し重合を完了した。冷却後、濾過、洗浄、乾燥して重合粒子を得た。
一方で、脱イオン水200重量部に珪酸マグネシウムナトリウム(水澤化学工業社製イオナイト)2重量部を分散させた水系媒体を調整し、これに上記の乾燥した重合粒子100重量部を加えて30分間攪拌した後、濾過を行った。この濾過物を乾燥した後、走査型電子顕微鏡写真による観察を行ったが、重合粒子表面への珪酸マグネシウムナトリウムの付着は認められなかった。このため、本発明との比較の対象とはならなかった
比較例2
油相 アクリル酸エチル 90重量部
1,6−へキサンジオールジメタクリレート 10重量部
過酸化ベンゾイル 0.5重量部
水相 脱イオン水 400重量部
ポリビニルアルコール 8重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 0.04重量部
特殊機化社製の卓上TKホモミキサー(回転数:6000rpm)により、上記の油相を水相に分散させた後、撹拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持し重合を完了した。冷却後、この懸濁液を分級、濾過、洗浄、乾燥して重合粒子を得た。この乾燥した重合粒子100重量部に対し、珪酸マグネシウムナトリウム4重量部を加え、ミキサー(日立製作所社製、日立ミキサーVA−WA1形)を用いて混合した。混合後、走査型電子顕微鏡写真による観察を行ったが、重合粒子表面への珪酸マグネシウムナトリウムの付着は認められなかった。このため、本発明との比較の対象とはならなかった。
比較例3
油相 アクリル酸エチル 90重量部
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 10重量部
過酸化ベンゾイル 0.5重量部
セチルアルコール 0.3重量部
カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート
(日本化薬社製、PM−21) 0.5重量部
水相 脱イオン水 200重量部
珪酸マグネシウムナトリウム
(水澤化学工業社製イオナイト) 0.2重量部
特殊機化社製の卓上型TKホモミキサー(回転数9000rpm)により上記の油相を水相に分散させた後、攪拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持し重合を完了した。冷却後、濾過を行った。濾過物を少量採取して乾燥した後、走査型電子顕微鏡写真により、重合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムが付着していることを確認した。
また、この少量採取した重合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分)は0.2重量%であった。
次に、残りの濾過物を定温乾燥器(アドバンテック社製、定温乾燥器FS−620)に移し、温度を50℃に設定し、20時間静置して乾燥を行い、重合粒子を得た。乾燥終了後、冷却せずに乾燥器から重合粒子を100重量部測り取り、疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル社製R812、平均粒子径7nm)3重量部とともにミキサー(日立製作所社製、日立ミキサーVA−WA1形)内で混合して、圧縮強度が0.15kgf/mm2、平均粒子径8.6μmの複合粒子を得た。走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムとコロイダルシリカが付着していることを確認した。
また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は3.1重量%であった。
比較例4
油相 アクリル酸エチル 90重量部
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 10重量部
過酸化ベンゾイル 0.5重量部
セチルアルコール 0.3重量部
カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート
(日本化薬社製、PM−21) 0.3重量部
水相 脱イオン水 200重量部
珪酸マグネシウムナトリウム
(水澤化学工業社製イオナイト) 10重量部
特殊機化社製の卓上型TKホモミキサー(回転数8000rpm)により上記の油相を水相に分散させた後、攪拌機、温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、60℃で6時間攪拌を続けて懸濁重合させ、その後100℃に温度を上昇させ、100℃で1時間保持し重合を完了した。冷却後、濾過を行った。
濾過物を少量採取して乾燥した後、走査型電子顕微鏡写真により、重合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムが付着していることを確認した。
また、この少量採取した重合子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分)は9.8重量%であった。
次に、残りの濾過物を定温乾燥器(アドバンテック社製、定温乾燥器FS−620)に移し、温度を50℃に設定し、20時間静置して乾燥を行い、重合粒子を得た。乾燥終了後、冷却せずに乾燥器から重合粒子を100重量部測り取り、疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル社製R812、平均粒子径7nm)3重量部とともにミキサー(日立製作所社製、日立ミキサーVA−WA1形)内で混合して、圧縮強度が0.15kgf/mm2、平均粒子径8.5μmの複合粒子を得た。この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は11.7重量%であった。
比較例5
実施例1において、疎水性コロイダルシリカの添加量を0.05重量部に替えたこと以外は実施例1と同様にして複合粒子を得た。走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムと疎水性コロイダルシリカが付着していることを確認した。また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は2.0重量%であった。
比較例6
実施例1において、疎水性コロイダルシリカの添加量を10重量部に替えたこと以外は実施例1と同様にして複合粒子を得た。走査型電子顕微鏡写真により、複合粒子の表面に珪酸マグネシウムナトリウムと疎水性コロイダルシリカが付着していることを確認した。また、この複合粒子の灰分(珪酸マグネシウムナトリウム分及びシリカ分)は11.9重量%であった。
比較例7
特開平9−30918号公報の実施例1に準拠して複合粒子を製造した。
ただし、高分子粉体はアクリル粒子を使用した。すなわち、高分子粉体としてアクリル酸エチルと1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートとの共重合体(積水化成品工業社製、平均粒子径8.3μm、以下アクリル粒子と略す)12.5重量部に、揮発性溶媒として環状シリコーン(デカメチルシクロペンタシロキサン)75重量部を加え、粗攪拌した後、ホモミキサーにて微粉砕を行った。
ついで、この微粉砕物を含む分散液にアクリル粒子12.5重量部を加え、粗攪拌した後、同様に微粉砕を行い、分散液Aを得た。
一方、超微粒子ベンガラ(不定型、平均一次粒子径8nm)40重量部、石原産業社製の棒状酸化チタン(FTL−110、短径0.07μm、長径3μm)20重量部、上記分散液A160重量部に環状シリコーン(ペンタメチルシクロテトラシロキサン)600重量部を加え、ペイントシェーカーにて2時間粉砕を行った。得られた分散液(スラリー)を減圧加熱乾燥した後、100℃にて3時間更に乾燥を行った。ついで、得られた粉体をミキサーで粗粉砕して目的とする複合粒子を得た。
(1)パウダーファンデーションの製造
製造例1
・配合量
複合粒子(実施例1) 10.0重量部
赤色酸化鉄 3.0重量部
黄色酸化鉄 2.5重量部
黒色酸化鉄 0.5重量部
酸化チタン 10.0重量部
マイカ 20.0重量部
タルク 44.0重量部
流動パラフィン 5.0重量部
ミリスチン酸オクチルドデシル 2.5重量部
ワセリン 2.5重量部
防腐剤 適量
香料 適量
・製造法
複合粒子、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタン、マイカ、タルクをヘンシェルミキサーで混合し、これに流動パラフィン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ワセリン及び防腐剤を混合溶解したものを加えて均一に混合した。これに、香料を加えて混合した後、粉砕して篩いに通した。これを、金皿に圧縮成形してパウダーファンデーションを得た。
製造例2
実施例2で製造した複合粒子を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例1
比較例3で製造した複合粒子を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例2
比較例4で製造した複合粒子用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例3
比較例5で製造した複合粒子を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例4
比較例6で製造した複合粒子を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例5
ナイロン12粒子(東レ社製SP−500、平均粒子径8.2μm)を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
比較製造例6
比較例7で製造した複合粒子を用いること以外は、製造例1と同様にしてパウダーファンデーションを得た。
(2)化粧乳液の製造
製造例3
・配合量
複合粒子(実施例3) 10.0重量部
ステアリン酸 2.5重量部
セチルアルコール 1.5重量部
ワセリン 5.0重量部
流動パラフィン 10.0重量部
ポリエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0重量部
ポリエチレングリコール1500 3.0重量部
トリエタノールアミン 1.0重量部
精製水 64.5重量部
香料 0.5重量部
防腐剤 適量
・製造法
まず、ステアリン酸、セチルアルコール、ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレンモノオレイン酸エステルを加熱溶解して、ここへ複合粒子を添加・混合し、70℃に保温する(油相)。また、精製水にポリエチレングリコール、トリエタノールアミンを加え、加熱溶解し、70℃に保温する(水相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、その後ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後かき混ぜながら30℃まで冷却させることで化粧乳液を得た。
上記製造例1〜3及び比較製造例1〜6の化粧料に関し、パネラー10名による官能試験を行った。この試験における評価項目としては、しっとり感、ソフト感、伸びを選び、各々の項目について、次のような基準で5段階評価を行った。
1・・・悪い
2・・・やや悪い
3・・・普通
4・・・ややよい
5・・・よい
この官能評価の結果を表1に示す。尚、表中の数値は10名の試験結果の平均値である。総合判定は各項目平均値を合計し、次の基準で行った。ただし、一つでも平均値が3.0〜3.5のものがあれば△に、2.9以下のものがあれば×とした。
○……合計12以上
△……合計10.0〜11.9
×……合計9.9以下
Figure 2005220314
このように、本発明の製造方法に係る複合粒子を含有した化粧料は、しっとり感、ソフト感、伸びを併せ持つ従来にない優れた性質を有していることが分かった。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸エステル系単量体及び架橋性単量体の合計100重量部を、平均粒子径が1〜100nmの水膨潤性粘土鉱物w1重量部を含む水系媒体中で重合させて、平均粒子径が0.5〜100μmの重合粒子を得た後、重合粒子に平均粒子径が1〜100nmの疎水性無機粉体w2重量部を付着させることからなり、w1及びw2が、前記100重量部に対して、w2>w1、1≦w1≦3、1.5≦w2≦5の関係を満たすことを特徴とする複合粒子の製造方法。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体と架橋性単量体が、50〜95重量%と5〜50重量%となる割合で使用される請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により得られた複合粒子。
  4. 0.05〜0.6kgf/mm2の圧縮強度を有する請求項3に記載の複合粒子。
  5. 請求項3又は4に記載の複合粒子を1〜40重量%含有してなることを特徴とする化粧料。
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