JP2018123212A - 樹脂粒子及びそれを含むエラストマー組成物 - Google Patents

樹脂粒子及びそれを含むエラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、オイルを含有するエラストマー組成物に配合した場合に、かかる組成物が元来有するソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことが可能な添加剤を提供することを目的とする。【解決手段】 10%圧縮強度が0.001〜0.5MPaであり、平均粒子径が10〜70μmである樹脂粒子であって、前記樹脂粒子を構成する樹脂が、単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー85〜99.5重量%と、多官能ビニル系モノマー0.5〜15重量%とを含むモノマー混合物を重合してなる重合体であり、前記単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに占める炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの割合が70〜100重量%である、樹脂粒子。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂粒子及びそれを含むエラストマー組成物に関する。
車両、船舶等の内装材(例えば、自動車のドアトリム、インストルメントパネル等)やパッキン(例えば、自動車のウェザーストリップ、ガラスランチャンネル等)等の部品には、ソフトな触感を付与する目的で、柔軟性に優れるエラストマー組成物が好適に使用される。
しかし、柔軟性に優れるエラストマー組成物の多くは、柔軟成分としてオイルを添加することで柔軟性を付与しているため、ソフト感はあるが、オイルがブリードアウトすることで表面がベト付いた触感になるという問題があった。例えば、特許文献1、特許文献2ではパラフィンオイルとシリコーンオイルとを添加した柔軟性に優れるスチレン系エラストマーが提案されているが、この場合においても、オイルを使用しているため、成形品の表面がベト付いた触感となる問題があった。このような場合、成形品の表面を塗装することによってベト付いた触感をなくす方法が提案されたりしているが、塗装によって成形品の触感が損なわれたり、塗装の分だけ工程が煩雑になるという別の問題が生じる。
特開平4−73112号公報 特開平4−73142号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、オイルを含有するエラストマー組成物に配合した場合に、かかる組成物が元来有するソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことが可能な添加剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の条件を満足する樹脂粒子であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、10%圧縮強度が0.001〜0.5MPaであり、平均粒子径が10〜70μmである樹脂粒子であって、前記樹脂粒子を構成する樹脂が、単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー85〜99.5重量%と、多官能ビニル系モノマー0.5〜15重量%とを含むモノマー混合物を重合してなる重合体であり、前記単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに占める炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの割合が70〜100重量%である、樹脂粒子である。
本発明の樹脂粒子が、以下の1)〜3)のうちの少なくとも1つの構成要件をさらに満足すると好ましい。
1)復元率が20%以上である。
(ただし、前記復元率は、樹脂粒子1個に対して9.8mNの荷重をかけた後、荷重を1.96mNまで減少させたときの変位の復元量を測定し、測定された復元量と、荷重をかける前の樹脂粒子の粒子径とから下記式によって算出される値である。)
復元率(%)=[復元量(μm)/粒子径(μm)]×100
2)下記式(I)によって定義されるイソプロピルアルコール膨潤倍率が1.1〜3.0である。
イソプロピルアルコール膨潤倍率(倍)=B/A (I)
A:イソプロピルアルコール膨潤前の樹脂粒子の平均粒子径
B:イソプロピルアルコール膨潤後の樹脂粒子の平均粒子径
3)ガラス転移温度(Tg)が−80〜−20℃である。
本発明のウェットケーキは、上記樹脂粒子と、ゴム用軟化剤及び水から選ばれる少なくとも1種の液状物とを含有してなるものである。
本発明のエラストマー組成物は、上記樹脂粒子と、ゴム用軟化剤と、エラストマー成分とを含むものである(ただし、タイヤ用であるエラストマー組成物を除く。)。
本発明の樹脂粒子は、オイルを含有するエラストマー組成物に配合した場合に、かかる組成物が元来有するソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことができる。
(樹脂粒子)
本発明の樹脂粒子は、主として(メタ)アクリル系樹脂から構成される球状の微粒子であり、粒子自体がソフトな触感を有している。
本発明の樹脂粒子は、0.001〜0.5MPaの10%圧縮強度を有している。10%圧縮強度がこの範囲にあることにより、エラストマー組成物に樹脂粒子を添加した際、ソフトな触感を維持することができる。10%圧縮強度が0.5MPa超であると、樹脂粒子を添加した際、エラストマー組成物のソフトな触感が損なわれる。10%圧縮強度が0.001MPa未満であると、樹脂粒子の粘着性が高いことで成形品の触感を悪化させてしまう。
ここで、本明細書中、樹脂粒子の10%圧縮強度とは、(株)エリオニクス製のナノインデンテーション試験機ENT−2100を使用して測定した値である。すなわち、樹脂粒子1個に対して、一定の負荷速度で9.8mNの荷重をかけたときの樹脂粒子の変形量と荷重を測定し、粒子径が10%変形した時の荷重と荷重をかける前の粒子径とから下記式によって算出される値である。
10%圧縮強度(MPa)=2.8×荷重(N)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}
樹脂粒子の10%圧縮強度は、より好ましくは0.001〜0.2MPa、さらに好ましくは0.005〜0.1MPa、特に好ましくは0.01〜0.06MPaである。
本発明の樹脂粒子は、通常10〜70μmの平均粒子径を有しており、平均粒子径は、好ましくは10〜60μm、より好ましくは15〜55μm、特に好ましくは20〜50μmである。樹脂粒子の平均粒子径が10μm未満であると、樹脂粒子同士が凝集し易い傾向にあり、エラストマー組成物に樹脂粒子を添加した際、樹脂粒子が小さいことで分散不良が生じ、外観が悪化する。一方、樹脂粒子の平均粒子径が70μm超であると、成形品表面に大きな凹凸が生じ、外観が悪化する。なお、ここでいう、樹脂粒子の平均粒子径とは、実施例に記載される方法で測定した値を意味する。
樹脂粒子を構成する樹脂は、単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー85〜99.5重量%と、多官能ビニル系モノマー0.5〜15重量%とを含むモノマー混合物を重合してなる重合体である。
本明細書中、単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとは、エチレン性不飽和基を1分子中に1つ有する(メタ)アクリル酸エステルを意味する。
単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルがさらに好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、モノマー混合物中、85〜99.5重量%の割合で使用される。モノマー混合物に占める単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの重量割合が85重量%未満であると、エラストマー組成物に樹脂粒子を添加した際、ソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことができない。一方、該重量割合が99.5重量%超では、乾燥時、樹脂粒子同士が凝集しハンドリング性が悪化する。
単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの重量割合は、モノマー混合物中、好ましくは90〜99.5重量%、より好ましくは92.5〜99重量%、特に好ましくは92.5〜97重量%である。
本明細書中、多官能ビニル系モノマーとは、エチレン性不飽和基を1分子中に少なくとも2つ以上有するモノマー(架橋剤)を意味する。
多官能ビニル系モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル系モノマー;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられる。これらの多官能ビニル系モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
多官能ビニル系モノマーは、モノマー混合物中、0.5〜15重量%の割合で使用される。モノマー混合物に占める多官能ビニル系モノマーの重量割合が0.5重量%未満であると、樹脂粒子を乾燥させる際、樹脂粒子の架橋度が低いことで樹脂粒子が凝集しやすくなりハンドリング性が悪化する。一方、該重量割合が15重量%超では、樹脂粒子が硬くなり、エラストマー組成物に添加した際、ソフトな触感が損なわれる。
多官能ビニル系モノマーの重量割合は、モノマー混合物中、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜7.5重量%、特に好ましくは3〜7.5重量%である。
前記単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに占める炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重量割合は、通常70〜100重量%であり、より好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは90〜100量%である。該重量割合が70重量%未満では、エラストマー組成物に樹脂粒子を添加した際、ソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことができない。なお、炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、(メタ)アクリル酸を炭素数4〜8の脂肪族飽和一価アルコールでエステル化した化合物を意味する。
炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。
モノマー混合物は、上記で説明した単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び多官能ビニル系モノマー以外に、これらと共重合可能なその他の単官能モノマー(以下、その他の単官能モノマーと称する)を、樹脂粒子の性能が低下しない範囲で含んでいてもよい。
その他の単官能モノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、ニトリル系モノマー、カルボキシル基含有モノマー、ビニル系モノマー、ビニリデン系モノマー、アミド基含有モノマー、マレイミド系モノマー等が挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等が、ニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が、ビニル系モノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル等が、ビニリデン系モノマーとしては、塩化ビニリデン等が、アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が、マレイミド系モノマーとしては、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等が挙げられる。その他の単官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単官能モノマーの重量割合は、モノマー混合物中、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜4.5重量%である。
樹脂粒子に占める上記樹脂の重量割合は、好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。該重量割合が85重量%未満であると、樹脂粒子の10%圧縮強度を所定の範囲とすることが難しくなる場合がある。一方、該重量割合の上限は、好ましくは100重量%である。
樹脂粒子は、上記樹脂以外の成分として、無機成分やゴム用軟化剤を含有してもよい。
無機成分としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン等が挙げられる。これらの無機成分は、シランカップリング剤等のカップリング剤で予め表面処理されたものであってもよい。
樹脂粒子に占める無機成分の重量割合は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。該重量割合が15重量%超であると、樹脂粒子の10%圧縮強度が0.5MPa超となったり、或いは、エラストマー組成物に配合した際、エラストマー組成物のソフトな触感を損なうことがある。該重量割合の下限は0重量%である。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、流動パラフィン、植物油系軟化剤等が挙げられる。樹脂粒子に占めるゴム用軟化剤の重量割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。該重量割合の下限は0重量%である。
樹脂粒子は、20%以上の復元率を有していると好ましい。樹脂粒子の復元率が20%未満であると、エラストマー組成物に樹脂粒子を添加した際、エラストマー組成物のソフトな触感が損なわれることがある。樹脂粒子の復元率は、より好ましくは25〜80%、特に好ましくは30〜70%である。
なお、本明細書中、復元率とは、(株)エリオニクス製のナノインデンテーション試験機ENT−2100を使用して測定した値である。すなわち、樹脂粒子1個に対して、一定の負荷速度で9.8mNの荷重をかけた後、荷重を1.96mNまで減少させたときの変位(粒子径の変位)の復元量を測定し、測定された復元量と、荷重をかける前の樹脂粒子の粒子径とから下記式によって算出される値である。
復元率(%)=[復元量(μm)/粒子径(μm)]×100
下記式(I)で定義される樹脂粒子のイソプロピルアルコール膨潤倍率が1.1〜3.0であると好ましい。
イソプロピルアルコール膨潤倍率(倍)=B/A (I)
(式(I)中、Bはイソプロピルアルコール膨潤後の樹脂粒子の平均粒子径を、Aはイソプロピルアルコール膨潤前の樹脂粒子の平均粒子径を、それぞれ表す。)
イソプロピルアルコール膨潤倍率が1.1未満であると、樹脂粒子を添加した際、エラストマー組成物のベト付いた触感をなくす効果が十分に発揮されない場合がある。一方、イソプロピルアルコール膨潤倍率が3.0超であると、樹脂粒子を添加した際、樹脂粒子の粘着性が高いことで成形品の触感を悪化させてしまうことがある。なお、イソプロピルアルコール膨潤倍率は、実施例に記載される方法で測定した値である。
樹脂粒子のイソプロピルアルコール膨潤倍率は、より好ましくは1.2〜2.5、特に好ましくは1.2〜2.0である。
樹脂粒子のオレイン酸に対する吸収量は、好ましくは100〜300ml/100g、より好ましくは130〜250ml/100gである。
樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−80〜−20℃、より好ましくは−70〜−30℃、特に好ましくは−60〜−30℃である。なお、本明細書中、樹脂粒子のTgは、(株)パーキンエルマー製のJade DSCを使用して測定した値であり、JIS K7121に準拠し、DSC測定により得られるDSC曲線の階段状変化を示す部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、階段状変化部分の曲線とが交わる点(単位:℃)として定義される。樹脂粒子のTgが−80℃未満であると、樹脂粒子を乾燥させる際、樹脂粒子同士が凝集しハンドリング性が悪化する場合がある。一方、樹脂粒子のTgが−20℃超であると、樹脂粒子を添加した際、エラストマー組成物のベト付いた触感をなくす効果が十分に発揮されない場合がある。
(ウェットケーキ)
本発明の樹脂粒子は乾燥粉体の状態でエラストマー組成物中に配合されてもよいが、ウェットケーキ(湿潤物)の状態で配合されると、樹脂粒子がより容易にかつ良好にエラストマー成分中に分散するため好ましい。なお、本発明において用いられる用語「ウェットケーキ」とは、樹脂粒子と液状物とを含有する湿ったケーキ状の組成物を意味し、単に液状物が粒子表面に付着した状態のもののみをいうのではなく、液状物を粒子内部に含浸した状態のものをも含む概念である。このようなウェットケーキもまた本発明の一つである。
本発明のウェットケーキとしては、上記で説明した樹脂粒子が液状物で湿潤されている状態のものであれば特に制限されないが、エラストマー成分中への樹脂粒子の分散性が特に優れるという観点から、上記樹脂粒子と、ゴム用軟化剤及び水から選ばれる少なくとも1種の液状物とを含有してなるものであると好ましい。
ウェットケーキ中の、ゴム用軟化剤及び水から選ばれる少なくとも1種の液状物(以下、液状物Aということがある)の含有量は、樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。液状物Aの含有量が0.5重量部未満であると、液状物Aによる効果が十分に発揮されないことがある。一方、液状物Aの含有量が30重量部超であると、液状物Aの増量に伴う効果の向上が見られないことがあり、また、ウェットケーキとして取り扱うことが難しくなる場合がある。液状物Aとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム用軟化剤としては、通常ゴムを加工する際に用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、鉱物油系軟化剤、流動パラフィン、植物油系軟化剤等が挙げられ、これらのうちで鉱物油系軟化剤が好ましい。
一般に、鉱物油系軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖を組み合わせた混合物であって、飽和炭化水素鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%を占めるものをナフテン系、芳香族炭素数が30%以上を占めるものを芳香族系と呼び区別されている。本発明のウェットケーキに用いるゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤のなかでも、パラフィン系軟化剤が特に好ましい。
ウェットケーキ中の鉱物油系軟化剤の含有量は、樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部である。
室温(23℃)で液状であるパラフィン系軟化剤の市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
植物油系軟化剤としては、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、コーン油、ひまし油、シナモン油、ユーカリ油、あまに油等が挙げられる。
ウェットケーキに用いられる水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水のいずれでもよい。
後述する樹脂粒子の製造方法において、重合工程後に得られる樹脂粒子を含有する水性分散液(スラリー)を固液分離したものを、そのまま本発明のウェットケーキとして用いてもよい。ウェットケーキに水が含まれていても、エラストマー成分と混練する際に水が揮発するので特に問題とはならない。ウェットケーキ中の水の含有量は、樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは1〜30重量部である。
(樹脂粒子及びウェットケーキの製造方法)
本発明の樹脂粒子の製造方法としては、特に制限されず、従来公知の方法(例えば、懸濁重合法、分散重合法、シード重合法等)を採用することができる。なかでも、本発明の樹脂粒子を効率よく製造できるという点から、懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法においては、通常、分散剤の存在下、モノマー混合物を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させた懸濁液を調製し、しかる後に懸濁液を加熱しモノマー混合物を重合させることにより樹脂粒子を製造する。以下、本発明の樹脂粒子の製造方法が、懸濁重合法である場合について説明する。
樹脂粒子の製造方法は、モノマー混合物を含む油性混合物を水性分散媒中に分散させ、モノマー混合物を重合させる工程(以下、重合工程という)を含むものである。
油性混合物は、主としてモノマー混合物からなり、モノマー混合物の他に、重合開始剤、ゴム用軟化剤等を含んでいてもよい。モノマー混合物、ゴム用軟化剤については、既に説明したのと同様のものを用いることができる。油性混合物がゴム用軟化剤を含有する場合、ゴム用軟化剤の配合量は、モノマー混合物100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
重合開始剤としては、特に限定はないが、過酸化物やアゾ化合物等を挙げることができる。
過酸化物としては、たとえば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−オクチルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート等のパーオキシエステル;ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド等を挙げることができる。
アゾ化合物としては、たとえば、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤としては、モノマー混合物に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の配合量については、特に限定されないが、モノマー混合物100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜8重量部がより好ましく、0.2〜5重量部がさらに好ましい。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるための、水を主成分とする媒体である。水性分散媒に用いる水としては、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水等のいずれでもよい。また、通常は、水性分散媒の主成分として水が使用されるが、水とともにメタノール、エタノール、プロパノール、アセトン等の親水性有機溶媒を併用してもよい。水と親水性有機溶媒との混合物を用いることにより、樹脂粒子の表面及び内部に空孔を形成させることができる。なお、ここでいう親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。
水性分散媒に占める水の重量割合は、好ましくは50〜99.5重量%である。
水性分散媒は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、たとえば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。水性分散媒における電解質の含有量については特に限定はないが、水性分散媒中0.1〜30重量%の割合で電解質が含有されると好ましい。
水性分散媒は、水酸基、カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類および水溶性ホスホン酸(塩)類から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
水性分散媒中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、モノマー混合物100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1.0重量部、さらに好ましくは0.0003〜0.1重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。水溶性化合物の量が少なすぎると、水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、水溶性化合物の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料であるモノマーの残存量が増加したりすることがある。
水性分散媒は、水や親水性有機溶媒以外に、分散剤及び/又は界面活性剤を含有すると好ましい。
分散剤としては、特に限定はないが、例えば、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等を挙げることができる。これらの分散剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、難水溶性無機化合物が好ましく、コロイダルシリカが特に好ましい。
分散剤の配合量は、モノマー混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜15重量部である。
界面活性剤としては、分子量が1000未満の低分子界面活性剤が好ましく、例えば、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、アジピン酸−ジエタノールアミン縮合物等のノニオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合量は、モノマー混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部である。
水性分散媒は、例えば、水(イオン交換水)に、必要に応じて、親水性有機溶媒、電解質、水溶性化合物、分散剤、界面活性剤等を配合して調製される。重合時の水性分散媒のpHは、分散剤の種類によって適宜決められる。
水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、モノマー混合物100重量部に対して、好ましくは100〜1000重量部である。
重合工程では、まず、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に分散させる。
油性混合物を分散させる方法としては、例えば、ホモミキサー(たとえば、プライミクス社製)、ホモディスパー(たとえば、プライミクス社製)、クレアミクス(エムテクニック社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(たとえば、ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法、マイクロチャネル法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が油滴として水性分散媒に分散された分散液(懸濁液)を加熱することにより、重合を開始する。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは40〜100℃、より好ましくは45〜90℃の範囲で制御される。反応温度を保持する時間は、1〜20時間程度が好ましい。重合初期圧力については、ゲージ圧で0〜5MPa、より好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。
重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、例えば、モノマーの浮上や重合後の樹脂粒子の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
このように重合工程を行うことによって、樹脂粒子を含有する水性分散液(スラリー)を得ることができる。
樹脂粒子の製造方法は、重合工程の他に、必要に応じて、分散剤を分解する工程、濾過工程、洗浄工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、無機粉体を付着させる工程等を含むことができる。これらの工程を行う順序や回数などは特に制限されない。なお、分散剤を分解する工程とは、樹脂粒子を含有する水性分散液(スラリー)等に対して、酸又は塩基を添加することにより、分散剤として使用した難水溶性無機化合物を分解する工程をいう。
濾過工程は、樹脂粒子を含有する水性分散液(スラリー)を、濾過装置を用いて固液分離し、含水率5〜50重量%、好ましくは含水率7〜30重量%のウェットケーキとする工程である。濾過装置としては、遠心分離機、加圧プレス機、真空脱水機等が挙げられ、これらの装置において設定条件を適宜変更することにより、得られるウェットケーキの含水率を調整することができる。
乾燥工程では、棚型乾燥機、間接加熱乾燥機、流動乾燥機、真空乾燥機、振動乾燥機、気流乾燥機等によりウェットケーキを乾燥し、含水率5重量%以下の乾燥粉体とすることができる。また、スラリーを噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉体とすることもできる。
無機粉体を付着させる工程では、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ゼオライト、カオリン等の無機粉体を樹脂粒子の表面に付着させる。無機粉体を付着させる方法としては特に制限されず、例えば、公知の粉体混合機等を用いて、必要に応じて加熱する等しながら、樹脂粒子と無機粉体とを混合する方法等が挙げられる。付着させる無機粉体の量は、樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは1〜15重量部である。
本発明のウェットケーキを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、1)重合工程で得られたスラリーを、そのまま固液分離して本発明のウェットケーキとする方法、2)重合工程で得られたスラリーを固液分離してウェットケーキを得、ついで得られたウェットケーキと、液状物Aとを混合して本発明のウェットケーキとする方法、3)重合工程で得られたスラリーを固液分離してウェットケーキを得、ついで得られたウェットケーキを乾燥させて樹脂粒子の乾燥粉体を得、そして得られた樹脂粒子の乾燥粉体と液状物Aとを混合して本発明のウェットケーキとする方法、等が挙げられる。
上記2)および3)の方法において、ウェットケーキ又は樹脂粒子の乾燥粉体と液状物Aとを混合する装置としては、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機、スーパーミキサー等の一般的な粉体混合機を用いることができる。
(エラストマー組成物)
本発明のエラストマー組成物は、上記樹脂粒子と、ゴム用軟化剤と、エラストマー成分とを含むものである(ただし、タイヤ用であるエラストマー組成物を除く。)。樹脂粒子及びゴム用軟化剤については、前述したとおりである。なお、ここでいう「タイヤ用であるエラストマー組成物」とは、自動車用タイヤ(スタッドレスタイヤ、空気入りタイヤ等)、二輪車用タイヤ、農業車両用タイヤ、航空機用タイヤ等の各種タイヤにおけるトレッド、サイドウォール、ビード、インナライナー等の部材として用いられるエラストマー組成物を意味する。
エラストマー成分としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム等のジエン系ゴムおよびその水素添加ゴム;エチレン−プロピレンゴム、マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合体、ブチルゴム、アクリルゴム、アイオノマー等のオレフィン系ゴム;クロロプレンゴム、ヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン等の含ハロゲンゴム;ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム等のシリコーンゴム;ポリスルフィドゴム等の含硫黄ゴム:ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム等のフッ素ゴム;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらのエラストマー成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エラストマー成分は動的加硫してもよく、動的加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、および加硫条件(温度、時間)等は、使用するエラストマー成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
エラストマー組成物における、樹脂粒子、ゴム用軟化剤及びエラストマー成分のそれぞれの配合量は、本発明の効果が発揮される範囲であれば特に制限はないが、例えば、エラストマー組成物全体(100重量%)に対して、樹脂粒子が0.1〜20重量%、ゴム用軟化剤が5〜40重量%、エラストマー成分が30〜90重量%の範囲であると好ましい。
本発明のエラストマー組成物には、目的に応じて、さらに、無機充填剤、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、酸化防止剤、老化防止剤、発泡剤、着色顔料、その他エラストマー組成物に一般的に配合される各種添加剤を配合することができ、これらの添加剤の配合量も、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来の一般的な配合量とすることができる。
本発明のエラストマー組成物は、従来公知の方法を用いて製造することができ、例えば、上記の各種成分を、オープンロールミル、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いて、30〜200℃、好ましくは60〜180℃で溶融混練することにより製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はここに記載した実施例に限定されるものではない。なお、測定に用いた樹脂粒子は、特別な記載がない限り、乾燥した樹脂粒子を示す。
〔平均粒子径の測定〕
レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック9320HRA×100、日機装社製)の湿式測定法により測定し、D50の値を平均粒子径とした。
〔Tgの測定〕
示差走査熱量計として(株)パーキンエルマー製のJade DSCを使用し、JIS K7121に準じて、試料重量約10mg、昇温速度10℃/分の条件下でTgを測定した。具体的には、10mg±1mgで精秤した試料(樹脂粒子)を示差走査熱量計にセットし、冷却速度10℃/分で−100℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で50℃まで昇温する。得られたDSC曲線の階段状変化を示す部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、階段状変化部分の曲線とが交わる点を樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)とした。
〔10%圧縮強度の測定〕
(株)エリオニクス製のナノインデンテーション試験機ENT−2100を使用して測定した値である。すなわち、樹脂粒子1個を一定の負荷速度で9.8mNの荷重まで圧縮試験を行った場合に、粒子径の10%変形時の荷重と荷重をかける前の粒子径とから下記式によって算出される値である。
10%圧縮強度(MPa)=2.8×荷重(N)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}
試験温度は25℃、試験用圧子は直径100μmの平面圧子を使用した。負荷速度は0.71mN/秒で実施した。
〔復元率の測定〕
(株)エリオニクス製のナノインデンテーション試験機ENT−2100を使用して測定した値である。すなわち、樹脂粒子1個を一定の負荷速度で9.8mNの荷重まで圧縮し、その後1.96mNまで減少させた時の変位(粒子径の変位)の復元量を測定した場合に、測定された復元量と、荷重をかける前の樹脂粒子の粒子径とから下記式によって算出される値である。
復元率(%)=[復元量(μm)/粒子径(μm)]×100
試験温度は25℃、試験用圧子は直径100μmの平面圧子を使用した。負荷速度は0.71mN/秒で実施した。
〔オレイン酸に対する吸収量の測定〕
平滑なガラス板上に樹脂粒子1gを精秤し(Wg)、ビューレットよりオレイン酸を滴下し、金属のヘラで錬り込む。これを繰り返して最後にヘラで押さえた時、オレイン酸がにじみ出す直前のオレイン酸の滴下量(Vml)を測定し、下記の式によって吸収量を算出した。
吸収量(ml/100g)=V(ml)/W(g)×100
〔イソプロピルアルコール膨潤倍率の測定〕
スライドガラス上に樹脂粒子約10mgを載せ、光学顕微鏡とマウンテック(株)製の画像解析式粒度分布ソフトウェアMac−View Ver.4を用いて、樹脂粒子の平均粒子径(A)を測定する。その後、樹脂粒子にIPAを0.5ml滴下して23℃下で放置し、光学顕微鏡で膨潤が進行する様子を観察する。そして、膨潤が平衡に達した際の、樹脂粒子の平均粒子径(B)を測定する。
イソプロピルアルコール膨潤倍率(倍)は、下記式にしたがって算出される。
イソプロピルアルコール膨潤倍率(倍)=B/A
A:イソプロピルアルコール膨潤前の樹脂粒子の平均粒子径(μm)
B:イソプロピルアルコール膨潤後の樹脂粒子の平均粒子径(μm)
上記測定を5回行い、その平均値を樹脂粒子のイソプロピルアルコール膨潤倍率とした。
〔硬度の変化率の測定〕
JIS K6253に準拠し、(23±2)℃の条件下でタイプAデュロメーター硬さ試験により測定し、A硬度の変化率を以下の評価基準に基づいて評価した。なお、基材樹脂として、市販のスチレン系エラストマー(A硬度:26)を用いた。
○:樹脂粒子を添加していない基材樹脂とのA硬度の差が0以上3以下であった。
△:樹脂粒子を添加していない基材樹脂とのA硬度の差が3超5以下であった。
×:樹脂粒子を添加していない基材樹脂とのA硬度の差が5超であった。
〔ベト付き性の評価〕
成形物を23℃下で2日間放置後、パネラー5人の触手による評価を行い、5人ともベト付き感がないと評価したものを○、3〜4人がベト付き感がないと評価したものを△、それ以外を×とした。
(実施例1)
イオン交換水200重量部に、塩化ナトリウム50重量部、低分子ノニオン界面活性剤であるアジピン酸−ジエタノールアミン縮合物の水溶液(有効濃度50重量%)0.5重量部、シリカ有効成分20重量%であるコロイダルシリカ20重量部を加えて混合した後、pHを2.8〜3.2に調整することで水性分散媒を調製した。
これとは別にアクリル酸n−ブチル99重量部、エチレングリコールジメタクリレート1重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部を混合、溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒及び油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社)で攪拌(8000rpm×1min)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.2MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度65℃で15時間重合を行い、樹脂粒子を含む水性分散液を得た。
得られた樹脂粒子を含む水性分散液を濾過、乾燥して、樹脂粒子を得た。その物性を表1に示す。
Figure 2018123212
(実施例2〜13、比較例1〜3)
実施例2〜13及び比較例1〜3では、実施例1において、使用する原料の種類および量をそれぞれ表1に示すものに変更する以外は、実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子の物性を表1に示す。
(エラストマー組成物の調製及び評価)
スチレン系エラストマー(A硬度:26)90重量部及び実施例1で得た樹脂粒子10重量部をニーダーで均一に混練してスチレン系エラストマー組成物を調製した。次いで、このスチレン系エラストマー組成物に対して、ベント付の一軸押出成形機(スクリュー径φ65mm)を用いて押出し成形を行って、成形物を作製した。なお、押出成形時の成形温度は160℃であり、口金形状は幅150mm×厚み20mmの長方形であった。作製した成形物について、硬度の変化率の測定及びベト付き性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜13及び比較例1〜3で得られた樹脂粒子についても、上記と同様にしてそれぞれスチレン系エラストマー組成物を調製し、成形物の評価を行った(表1)。
表1の結果から分かるように、実施例1〜13で得られた樹脂粒子をベースとなるエラストマー組成物に添加した場合、エラストマー組成物が元来有するソフトな触感を維持しつつ、表面のベト付いた触感をなくすことが可能であった。一方、比較例1〜3で得られた樹脂粒子を添加した場合、これらの課題の両方を同時に解決することはできなかった。
(実施例14)
実施例1において、重合工程後に得られたスラリーに対して濾過工程のみを行い、乾燥工程を行わない以外は実施例1と同様にして、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキの含水率は15重量%であった。ウェットケーキを乾燥して得られる樹脂粒子の物性は実施例1で得られる樹脂粒子の物性と同値であった。
スチレン系エラストマー(A硬度:26)90重量部及び上記で得られたウェットケーキ11.8重量部をニーダーで均一に混練してスチレン系エラストマー組成物を作製した。次いで、このスチレン系エラストマー組成物に対して、ベント付の一軸押出成形機(スクリュー径φ65mm)を用いて押出し成形を行って、成形物を作製した。なお、押出成形時の成形温度は160℃であり、口金形状は幅150mm×厚み20mmの長方形であった。
得られた成形物について、硬度の変化率を測定したところ、樹脂粒子を添加していない基材樹脂とのA硬度の差が0以上3以下であった。
また、成形物のベト付き性の評価は、○であった。
上述の実施例においては、柔軟性に優れるものの表面のベト付きという欠点を持つエラストマー組成物に対して、本発明の樹脂粒子を添加した場合の優れた効果について確認することができる。一方で、本発明の樹脂粒子は、オイルと同様、エラストマー組成物に対して柔軟性を付与する成分であるとの見方もできるため、エラストマー組成物に添加するオイルの一部を本発明の樹脂粒子に置換することで、十分な柔軟性を付与しつつ、表面のベト付きを抑えられる可能性が考えられる。
本発明の樹脂粒子は、エラストマー組成物の添加剤として利用することができる。また、これ以外にも、化粧料や外用医薬品の配合成分として、或いは、塗料や成形用組成物等の添加剤としても利用することができる。

Claims (6)

  1. 10%圧縮強度が0.001〜0.5MPaであり、平均粒子径が10〜70μmである樹脂粒子であって、
    前記樹脂粒子を構成する樹脂が、単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマー85〜99.5重量%と、多官能ビニル系モノマー0.5〜15重量%とを含むモノマー混合物を重合してなる重合体であり、
    前記単官能(メタ)アクリル酸エステル系モノマーに占める炭素数4〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの割合が70〜100重量%である、樹脂粒子。
  2. 復元率が20%以上である、請求項1に記載の樹脂粒子。
    (ただし、前記復元率は、樹脂粒子1個に対して9.8mNの荷重をかけた後、荷重を1.96mNまで減少させたときの変位の復元量を測定し、測定された復元量と、荷重をかける前の樹脂粒子の粒子径とから下記式によって算出される値である。)
    復元率(%)=[復元量(μm)/粒子径(μm)]×100
  3. 下記式(I)によって定義されるイソプロピルアルコール膨潤倍率が1.1〜3.0である、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
    イソプロピルアルコール膨潤倍率(倍)=B/A (I)
    A:イソプロピルアルコール膨潤前の樹脂粒子の平均粒子径
    B:イソプロピルアルコール膨潤後の樹脂粒子の平均粒子径
  4. ガラス転移温度(Tg)が−80〜−20℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂粒子と、ゴム用軟化剤及び水から選ばれる少なくとも1種の液状物とを含有してなる、ウェットケーキ。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂粒子と、ゴム用軟化剤と、エラストマー成分とを含む、エラストマー組成物(ただし、タイヤ用であるエラストマー組成物を除く。)。
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