JP2005219934A - 酸化ジルコニウム微粒子懸濁液およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジルコニウム水溶液をアルカリで中和し、得られた沈殿物をろ過および洗浄し、ミキサーにより溶媒に分散させ、1気圧以上の圧力下において80℃以上の温度で水熱処理した後、高圧ホモジナイザーにより分散させることにより、溶媒中に分散した酸化ジルコニウム微粒子の1次粒子径が10nm以下、2次粒子径が100nm以下であり、ナトリウム、塩素および硝酸などの不純物の含有量が酸化ジルコニウムの重量に対して200ppm以下の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を製造する。
【選択図】 なし
Description
また、非特許文献2に記載されたジルコニウム塩を加水分解する方法では、1次粒子径が10nm以下の酸化ジルコニウム微粒子を製造するためには、反応液中の未反応物が多く、収率が良くないという問題がある。このような問題を解消するため、特許文献1に記載されたように、限外ろ過により未反応のジルコニウム塩を除去する方法があるが、この方法は、工業的な大量生産には不向きである。また、特許文献2に記載されたジルコニウムアルコキシドを加水分解する方法は、ジルコニウムアルコキシドの原料が高価であるため、大量生産には不向きである。
ZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させ、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た後、この懸濁液を高圧ホモジナイザーを用いて分散させた。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は72nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したが、1週間放置後でも上澄みと沈殿物が見られなかった。
ZrO2として50g/Lの濃度の硝酸ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させ、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た後、この懸濁液を高圧ホモジナイザーを用いて分散させた。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、硝酸の含有量は120ppmであった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は59nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したが、1週間放置後でも上澄みと沈殿物が見られなかった。
Y2O3に換算して2.75モル%(Y2O3換算値とZrO2換算値の合計に対するモル%)となるYCl3を含み且つZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を、48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させ、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た後、この懸濁液を高圧ホモジナイザーを用いて分散させた。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は88nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したが、1週間放置後でも上澄みと沈殿物が見られなかった。
CeO2に換算して10モル%(CeO2換算値とZrO2換算値の合計に対するモル%)となるCeCl4を含み且つZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を、48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させ、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た後、この懸濁液を高圧ホモジナイザーを用いて分散させた。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は84nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したが、1週間放置後でも上澄みと沈殿物が見られなかった。
ZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させ、120℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た後、この懸濁液を高圧ホモジナイザーを用いて分散させた。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は4nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は92nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したが、1週間放置後でも上澄みと沈殿物が見られなかった。
ZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを150℃で24時間乾燥させた後、330℃で3時間焼成した。得られた酸化ジルコニウムを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整し、ジルコニアビーズ(酸化ジルコニウムビーズ)をメディアとしてミルを用いて分散させて酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであったが、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は130nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したところ、1週間放置後の上澄みと沈殿物の境界の高さは全体の30%の高さであった。
ZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を150℃で24時間保持して、酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムおよび塩素の含有量は5000ppm以上であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は80nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したところ、1週間放置後の上澄みと沈殿物の境界の高さは全体の85%の高さであった。
ZrO2として50g/Lの濃度のオキシ塩化ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させた後、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。その後、分散は行わなかった。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、塩素の含有量は10ppm以下であった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は230nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したところ、1週間放置後の上澄みと沈殿物の境界の高さは全体の25%の高さであった。
ZrO2として50g/Lの濃度の硝酸ジルコニウム溶液を48%苛性ソーダで中和し、水和ジルコニウム懸濁液を得た。この懸濁液をろ過した後、イオン交換水で洗浄し、水和ジルコニウムケーキを得た。このケーキを、イオン交換水を溶媒として酸化ジルコニウム換算で濃度15重量%に調整してミキサーで分散させた後、150℃で24時間水熱処理して酸化ジルコニウム微粒子懸濁液を得た。その後、分散は行わなかった。得られた懸濁液を分析した結果、ナトリウムの含有量は2ppm以下、硝酸の含有量は180ppmであった。また、電子顕微鏡観察により測定した1次粒子径は8nmであり、粒度分布測定装置により測定した2次粒子径は270nmであった。さらに、懸濁液の沈降性を評価するために、100mLのメスシリンダーに懸濁液を入れ、静置して沈降を確認したところ、1週間放置後の上澄みと沈殿物の境界の高さは全体の25%の高さであった。
Claims (12)
- 溶媒中に分散した酸化ジルコニウム微粒子の1次粒子径が10nm以下、2次粒子径が100nm以下であり、不純物の含有量が酸化ジルコニウムの重量に対して200ppm以下であることを特徴とする、酸化ジルコニウム微粒子懸濁液。
- 前記不純物がナトリウム、塩素および硝酸の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液。
- 安定化剤を含み、この安定化剤以外の不純物の含有量が酸化ジルコニウムの重量に対して200ppm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液。
- 前記安定化剤がイットリウムまたはセリウムの塩または酸化物からなることを特徴とする、請求項3に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液。
- 前記2次粒子径が50〜100nmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液。
- ジルコニウム水溶液をアルカリで中和し、得られた沈殿物をろ過および洗浄し、溶媒に分散させ、1気圧以上の圧力下において80℃以上の温度で水熱処理した後、分散させることを特徴とする、酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記ろ過および洗浄を、前記沈殿物中の不純物の含有量が酸化ジルコニウムの重量に対して200ppm以下になるように行うことを特徴とする、請求項6に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記ジルコニウム水溶液に安定化剤を添加し、前記ろ過および洗浄を、前記沈殿物中の安定化剤以外の不純物の含有量が酸化ジルコニウムの重量に対して200ppm以下になるように行うことを特徴とする、請求項6に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記不純物がナトリウム、塩素および硝酸の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項7または8に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記安定化剤がイットリウムまたはセリウムの塩または酸化物からなることを特徴とする、請求項8に記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記水熱処理後の分散が、高圧ホモジナイザーにより行われることを特徴とする、請求項6乃至10のいずれかに記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
- 前記水熱処理前の分散が、ミキサーにより行われることを特徴とする、請求項6乃至11のいずれかに記載の酸化ジルコニウム微粒子懸濁液の製造方法。
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