JP2005219286A - 印刷装置、印刷方法、及び印刷システム - Google Patents

印刷装置、印刷方法、及び印刷システム Download PDF

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】印刷画像の品質を高める。
【解決手段】所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、媒体を移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、画像における交差方向の濃度を補正する補正値をライン毎に設定する。ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成させる。そして、ライン毎の補正値は、媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき設定される。
【選択図】 図26

Description

本発明は、高品質な画像を印刷可能な印刷装置、印刷方法、及び印刷システムに関する。
画像を印刷する印刷装置として、媒体としての用紙にインクを吐出してドットを形成するインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)が知られている。このプリンタは、キャリッジとともに移動する複数のノズルからインクを吐出して用紙にドットを形成するドット形成動作と、搬送ユニットにより用紙を移動方向と交差する交差方向(以下、搬送方向ともいう。)に搬送する搬送動作とを交互に繰り返す。これらの動作の繰り返しにより、用紙には、キャリッジの移動方向に沿う複数のドットから構成されたラスタラインが形成される。そして、このラスタラインが搬送方向に複数形成されることで画像が印刷される。
この種のプリンタでは、インク滴の量や飛行方向などのインク滴の吐出特性が、ノズル毎にばらつく。この吐出特性のばらつきは、印刷画像の濃度ムラの原因となるため好ましくない。そこで、従来は、ノズル毎に補正値を設定し、設定された補正値に基づいて、インクの量を調整していた(例えば、特許文献1を参照。)。
この従来の方法では、ノズル毎のインク吐出量の特性を示す出力特性係数を、ヘッド特性レジスタに記憶させている。そして、インク滴の吐出時に、この出力特性係数を用いることで、印刷画像の濃度ムラを防止している。
特開平2−54676号公報(第2頁,第4図)
ところで、前述した従来の方法は、ノズル毎の吐出量を補正するものであり、インク滴の飛行曲がりに起因する濃度ムラについては考慮されていない。この濃度ムラは、ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置に関し、正規の位置よりも搬送方向へずれることによって生じる。すなわち、隣り合うラスタライン同士の間隔が、規定の間隔よりも狭くなったり、広くなったりすることで生じる。従って、この濃度ムラは、各ラスタラインを担当するノズルの組み合わせに起因して生じる。このため、前述した従来の方法では、各ラスタラインを担当するノズルの順序がヘッドにおけるノズルの配列と異なった場合には、インク滴の飛行曲がりに起因する濃度ムラが生じ得る。
例えば、印刷方式としてインターレース方式を採用した場合に、濃度ムラが生じる場合がある。このインターレース方式とは、1回のドット形成動作で形成されるラスタライン同士の間に、形成されないラスタラインを設定し、複数回のドット形成動作で全てのラスタラインを補完的に形成する印刷方式であって、隣り合うラスタラインを同じノズルで印刷しない印刷方式である。そして、このインターレース方式では、印刷画像における隣り合うラスタラインを担当するノズルの順序が、ヘッドにおけるノズルの配列と異なる場合があり、この場合には飛行曲がりに起因する濃度ムラが生じ得る。そして、このような濃度ムラが生じることにより、印刷画像の品質が低下してしまうことになる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷画像の品質を高めることのできる印刷装置、印刷方法、及び印刷システムを実現することにある。
主たる発明は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、
前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、
前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、
前記ライン毎の補正値は、
前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されていることを特徴とする。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、印刷画像の品質を高めることができる。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、前記ライン毎の補正値は、前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されていることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、ライン毎の補正値を用いて各ラインの濃度を調整するので、印刷画像上で搬送方向に隣り合う各ラインを担当するノズルの順序が、ヘッドにおけるノズルの配列と異なっていても、各ラインを所望の濃度で形成することができる。また、或るラインの補正値を設定するにあたり、補正用パターンにおける他のラインの濃度が加味されているため、加味された分だけ濃度が平滑化される。このため、設定された補正値に関し、隣り合うライン間における極端な変化を防止できる。その結果、特定のラインについて、その濃度を過度に補正してしまうことを防止できる。従って、濃度ムラを抑えつつも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記ライン毎の補正値は、前記交差方向に隣接するN本のラインの濃度に基づき、設定されている構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、交差方向に隣接するN本のラインの濃度に基づき、ライン毎の補正値が設定されているので、或るラインの補正値を設定するにあたり、このラインと極く近い他のラインの濃度が加味される。これにより、適正な補正値を設定することができ、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記N本のラインは、2本から4本のラインである構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、2本から4本のラインの濃度に基づき、ライン毎の補正値を設定するので、或るラインの補正値を設定するにあたり、このラインの濃度が十分に反映される。これにより、そのラインに適した補正値を設定することができ、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記ライン毎の補正値は、前記N本のラインに対して共通の値に設定されている構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、N本のラインに対して共通の補正値を使用するので、補正値のデータ量を削減することができる。
かかる印刷装置であって、前記N本のラインのそれぞれについて、そのラインの濃度に基づく仮補正値を取得し、前記共通の値は、前記N本のラインのそれぞれに対応する仮補正値の平均値である構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、N本のラインのそれぞれについて取得した仮補正値の平均値を共通の値として用いるので、各ラインについて適正な補正値を設定することができる。その結果、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記N本のラインのそれぞれの濃度に基づき、特定のラインの補正値が設定されている構成が好ましい。
このような印刷装置によれば、補正値が特定のライン毎に設定されるので、そのラインに対してより適した補正値を設定することができ、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記N本のラインのそれぞれについて、そのラインの濃度に基づく仮補正値を取得し、前記特定のラインの補正値は、前記N本のラインのそれぞれに対応する仮補正値の平均値である構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、N本のラインのそれぞれについて取得した仮補正値の平均値を特定のラインの補正値とするので、特定のラインについて適正な補正値を設定することができる。その結果、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記仮補正値の平均値は、前記特定のラインに対応する仮補正値、及び当該ラインを挟んで前記交差方向の両側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値である構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、交差方向の両側に位置するラインの仮補正値を加味して特定のラインの補正値が設定されるので、特定のラインについて適正な補正値を設定することができる。その結果、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記仮補正値の平均値は、前記特定のラインに対応する仮補正値、及び当該ラインから前記交差方向の一側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値である構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、交差方向の一側に位置するラインの仮補正値を加味して特定のラインの補正値が設定されるので、特定のラインについて適正な補正値を設定することができる。その結果、印刷画像の品質をより高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記ドット形成動作では階調値に応じた濃度で前記ラインを形成し、前記ライン毎の補正値は前記階調値を変化させるものである構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、濃度に関する階調値を補正値によって変化させるので、処理を簡素化することができ、インクの高周波吐出に対応できる。
かかる印刷装置であって、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成する構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、隣り合うラインを担当するノズルの関係は、ノズル列を構成するノズルの配列(並び順)とは一致しない場合があり得るが、このような場合でも、画像の濃度ムラを効果的に抑制できる。
また、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、前記ドット形成動作では、階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するとともに、前記階調値を変化させることで、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、且つ、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成し、前記ライン毎の補正値は、前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含むとともに前記交差方向に隣接する2本から4本のラインのそれぞれについて、各ラインの濃度に基づき取得された仮補正値の平均値であり、且つ、前記2本から4本のラインに対して共通の値に、或いは、前記2本から4本のラインの中の特定のラインに対して、設定され、前記特定のラインに対して設定するにあたり、当該特定のラインに対応する仮補正値、及び当該特定のラインを挟んで前記交差方向の両側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値、或いは、当該特定のラインに対応する仮補正値、及び当該特定のラインから前記交差方向の一側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値とすることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷方法において、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、前記ライン毎の補正値は、前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されることを特徴とする印刷方法を実現することができる。
また、コンピュータと印刷装置とが通信可能に接続された印刷システムであって、前記印刷装置は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷システムにおいて、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、前記ライン毎の補正値は、前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されることを特徴とする印刷システムを実現することができる。
===印刷システムの構成===
次に、印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、印刷システム1000の外観構成を示した説明図である。この印刷システム1000は、プリンタ1と、コンピュータ1100と、表示装置1200と、入力装置1300と、記録再生装置1400とを備えている。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。なお、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図9を参照。)を例に挙げて説明することにする。コンピュータ1100は、プリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置1200は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラム1104やプリンタドライバ1110(図2を参照。)等のユーザーインタフェースを表示する。入力装置1300は、例えばキーボード1300Aやマウス1300Bであり、表示装置1200に表示されたユーザーインタフェースに沿って、アプリケーションプログラム1104の操作やプリンタドライバ1110の設定等に用いられる。記録再生装置1400は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置1400AやCD−ROMドライブ装置1400Bが用いられる。
コンピュータ1100にはプリンタドライバ1110がインストールされている。プリンタドライバ1110は、表示装置1200にユーザーインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバ1110は、フレキシブルディスクやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、このプリンタドライバ1110は、インターネットを介してコンピュータ1100にダウンロードすることも可能である。そして、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ1100とのシステムを意味する。
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバ1110が行う基本的な処理の概略的な説明図である。なお、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ1100では、このコンピュータ1100に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ1102、アプリケーションプログラム1104、及びプリンタドライバ1110などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ1102は、アプリケーションプログラム1104やプリンタドライバ1110からの表示命令に従って、例えばユーザーインタフェース等を表示装置1200に表示させる機能を有する。アプリケーションプログラム1104は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム1104のユーザーインタフェースを介して、アプリケーションプログラム1104により編集した画像を印刷するための指示を与えることができる。アプリケーションプログラム1104は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ1110に画像データを出力する。
プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタ1に出力する。画像データは、印刷される画像の画素に関するデータとして画素データを有している。そして、この画素データは、後述する各処理の段階に応じて、その階調値等が変換され、最終的に印刷データの段階では、用紙上に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)に変換される。ここで、印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、前述した画素データと、各種のコマンドデータとを有するデータである。また、コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータであり、例えば搬送量を示すデータである。
なお、画素とは、インクを着弾させドットを形成する位置を規定するために、用紙上に仮想的に定められた方眼状の升目である。言い換えると、この画素は、ドットを形成し得る媒体上の領域であり、「ドットの形成単位」と表現することもできる。
プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを行う。以下、プリンタドライバ1110が行う各種の処理について説明する。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、用紙Sに画像を印刷する際の解像度(印刷するときのドットの間隔であり、印刷解像度ともいう。)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合には、アプリケーションプログラム1104から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。この変換方法としては、画素データの補間や間引きなどがある。例えば、画像データの解像度が、指定された印刷解像度よりも低い場合には、線形補間等を行って隣り合う画素データ同士の間に新たな画素データを生成する。逆に、画像データの解像度が、指定された印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合で画素データを間引く等して、画像データの解像度を印刷解像度に揃える。また、この解像度変換処理においては、画像データに基づいて印刷領域(実際にインクが吐出される領域)のサイズ調整も行う。
なお、この画像データ中の各画素データは、RGB色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータである。以下、このRGBの階調値を有する画素データのことをRGB画素データと言い、また、これらRGB画素データから構成される画像データをRGB画像データと言う。
色変換処理は、前述したRGB画像データの各RGB画素データを、CMYK色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータに変換する処理である。このCMYKは、プリンタ1が有するインクの色である。すなわち、Cはシアンを意味する。また、Mはマゼンタを、Yはイエローを、Kはブラックをそれぞれ意味する。以下、このCMYKの階調値を有する画素データのことをCMYK画素データといい、これらCMYK画素データから構成される画像データのことをCMYK画像データという。この色変換処理は、RGBの階調値とCMYKの階調値とを対応付けたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ1110が参照することによって行われる。
ハーフトーン処理は、多段階の階調値を有するCMYK画素データを、プリンタ1が表現可能な、少段階の階調値を有するCMYK画素データに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256段階の階調値を示すCMYK画素データが、4段階の階調値を示す2ビットのCMYK画素データに変換される。この2ビットのCMYK画素データは、各色について、例えば、「ドットの形成なし」(2進数の値として「00」)、「小ドットの形成」(同じく「01」)、「中ドットの形成」(同じく「10」)、「大ドットの形成」(同じく「11」)を示すデータである。
このようなハーフトーン処理には、例えばディザ法等が利用され、プリンタ1がドットを分散して形成できるような2ビットのCMKY画素データを作成する。なお、このディザ法によるハーフトーン処理については、後述する。また、このハーフトーン処理に用いる方法は、ディザ法に限るものではなく、γ補正法や誤差拡散法等を利用しても良い。そして、本実施形態では、このハーフトーン処理において、補正値に基づく濃度補正が行われる。この濃度補正については、後で詳細に説明する。
ラスタライズ処理は、ハーフトーン処理がなされたCMYK画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、前述した印刷データとしてプリンタ1に出力される。
<ディザ法によるハーフトーン処理について>
ここで、ディザ法によるハーフトーン処理について詳細に説明する。図3は、このディザ法によるハーフトーン処理のフローチャートである。プリンタドライバ1110は、当該フローチャートに従って、以下のステップを実行する。
まず、ステップS300において、プリンタドライバ1110は、CMYK画像データを取得する。このCMYK画像データは、例えば、C,M,Y,Kの各インク色につき256段階の階調値で示された画像データから構成される。すなわち、CMYK画像データは、シアン(C)に関するC画像データ、マゼンタ(M)に関するM画像データ、イエロー(Y)に関するY画像データ、及びブラック(K)に関するK画像データを備えている。そして、これらC,M,Y,K画像データは、それぞれに、各インク色の階調値を示すC,M,Y,K画素データから構成されている。なお、以下の説明は、C,M,Y,K画像データの何れについてもあてはまるため、これらを代表してK画像データについて説明する。
プリンタドライバ1110は、K画像データ中の全てのK画素データを対象として、ステップS301からステップS311までの処理を、処理対象のK画素データを順次変えながら実行する。これらの処理により、K画像データを、K画素データ毎に、前述した4段階の階調値を示す2ビットデータに変換する。
この変換処理について詳しく説明する。まず、ステップ301では、処理対象のK画素データの階調値に応じて、大ドットのレベルデータLVLを設定する。この設定には、例えば生成率テーブルが用いられる。図4は、大、中、小の各ドットに対するレベルデータの設定に利用される生成率テーブルを示す図である。同図において、横軸は階調値(0〜255)、左側の縦軸はドットの生成率(%)、右側の縦軸はレベルデータである。ここで、レベルデータとは、ドットの生成率を値0〜255の256段階に変換したデータをいう。また、「ドットの生成率」とは、一定の階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちでドットが形成される画素の割合を意味する。例えば、ある階調値におけるドット生成率が、大ドット65%、中ドット25%、及び小ドット10%であり、このドット生成率で、縦方向に10画素であって横方向に10画素からなる100画素の領域内を印刷したとする。この場合には、100画素のうち大ドットが形成される画素が65個、中ドットが形成される画素が25個、小ドットが形成される画素が10個となる。そして、図4中の細い実線で示されるプロファイルSDが小ドットの生成率を示している。また、太い実線で示されるプロファイルMDが中ドットの生成率を、破線で示されるプロファイルLDが大ドットの生成率をそれぞれ示している。
従って、ステップS301では、大ドット用のプロファイルLDから階調値に応じたレベルデータLVLを読み取る。例えば、図4に示すように、処理対象のK画素データの階調値がgrであれば、レベルデータLVLはプロファイルLDとの交点から1dと求められる。実際には、このプロファイルLDは、コンピュータ1100内に設けられたROM等のメモリ(図示せず)に、例えば、1次元のテーブルの形態で記憶されている。そして、プリンタドライバ1110は、このテーブルを参照することによりレベルデータを求める。
ステップS302では、以上のようにして設定されたレベルデータLVLが閾値THLより大きいか否かを判定する。ここでは、ディザ法によるドットのオン・オフ判定を行う。閾値THLは、所謂ディザマトリクスの各画素ブロックに対して異なる値が設定されている。本実施形態では16×16の正方形の画素ブロックに、0〜254までの値が現れるディザマトリックスを用いている。
図5は、ディザ法によるドットのオン・オフ判定を示す図である。図示の都合上、図5には、一部のK画素データについてのみ示している。まず、各K画素データのレベルデータLVLを、当該K画素データに対応するディザマトリクス上の画素ブロックの閾値THLと比較する。そして、このレベルデータLVLの方が閾値THLよりも大きい場合にはドットをオンにし(つまり、ドットを形成し)、レベルデータLVLの方が小さい場合にはドットをオフにする(つまり、ドットを形成しない)。同図においては、ドットのマトリクスにおいて、網掛けを施した領域の画素データが、ドットをオンにするK画素データである。すなわち、ステップS302において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、ステップS310に進み、それ以外の場合にはステップS303に進む。ここで、ステップS310に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、大ドットを示す画素データ(2ビットデータ)として値「11」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップS311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。一方、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。
ステップS303に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、中ドットのレベルデータLVMを設定する。中ドットのレベルデータLVMは、その階調値に基づいて、前述の生成率テーブルにより設定される。この中ドットのレベルデータLVMの設定方法は、大ドットのレベルデータLVLの設定と同様である。すなわち、図4の例において、階調値grに対応するレベルデータLVMは、中ドットの生成率を示すプロファイルMDとの交点で示される2dとして求められる。
次に、ステップS304では、中ドットのレベルデータLVMと閾値THMの大小関係が比較され、中ドットのオン・オフ判定が行われる。オン・オフ判定の方法は、大ドットの場合と同様である。ここで、中ドットのオン・オフ判定では、判定に用いる閾値THMを、大ドットの場合の閾値THLとは異なる値としている。すなわち、大ドットと中ドットで同じディザマトリクスを用いてオン・オフ判定を行うと、ドットがオンになりやすい画素ブロックが両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高くなる。その結果、中ドットの生成率は所望の生成率よりも低くなる虞がある。このような現象を回避するため、本実施形態では、大ドットと中ドットとでディザマトリクスを変えている。つまり、オンになり易くなる画素ブロックを、大ドットと中ドットとで変えることで、それぞれのドットが適切に形成されるようにしている。
図6A及び図6Bは、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスと、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスとの関係について示す図である。この実施形態において、大ドットについては、図6Aの第1のディザマトリクスTMを用いる。また、中ドットについては、図6Bの第2のディザマトリクスUMを用いる。この第2のディザマトリクスUMは、第1のディザマトリクスTMにおける各閾値を、搬送方向(図における上下方向に相当する。)の中央を中心として対称に移動したものである。なお、本実施形態では、先に述べたように16×16のマトリクスを用いているが、図示の都合上、図6には4×4のマトリクスで示している。また、大ドットと中ドットで全く異なるディザマトリクスを用いるようにしても良い。
そして、ステップS304において、中ドットのレベルデータLVMが、中ドットの閾値THMよりも大きい場合には、中ドットをオンにすべきと判定して、ステップS309に進み、それ以外の場合にはステップS305に進む。ここで、ステップS309に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、中ドットを示す画素データ「10」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップ311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。一方、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。
ステップS305に進んだ場合には、大ドットや中ドットのレベルデータの設定と同様にして、小ドットのレベルデータLVSを設定する。なお、小ドット用のディザマトリクスは、小ドットの生成率の低下を防ぐため、前述したように中ドットや大ドット用のものと異なるものとするのが望ましい。
そして、ステップS306において、プリンタドライバ1110は、レベルデータLVSと小ドットの閾値THSとを比較し、レベルデータLVSが小ドットの閾値THSよりも大きい場合には、ステップS308に進み、それ以外の場合にはステップS307に進む。ここで、ステップS308に進んだ場合には、当該処理対象のK画素データに対して、小ドットを示す画素データ「01」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップ311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。一方、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。
ステップS307に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、ドット無しを示す画素データ「00」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップ311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判定し、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。一方、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。
<プリンタドライバの設定について>
図7は、プリンタドライバ1110のユーザーインタフェースの説明図である。このプリンタドライバ1110のユーザーインタフェースは、ビデオドライバ1102を介して、表示装置1200に表示される。ユーザーは、入力装置1300を用いて、プリンタドライバ1110の各種の設定を行うことができる。基本設定としては、余白形態モードや画質モードの設定が用意され、また用紙設定としては、用紙サイズモードの設定等が用意されている。そして、プリンタドライバ1110は、このユーザーインタフェースによる設定に基づいて、印刷解像度や用紙Sの大きさを認識する。
===プリンタの構成===
<プリンタの構成について>
図8は、本実施形態のプリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図9は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の概略図である。また、図10は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態のプリンタ1の基本的な構成について説明する。
本実施形態のプリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、センサ50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ1100から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ1100から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、用紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況はセンサ50によって監視されており、センサ50は、検出結果をコントローラ60に出力する。そして、センサ50から検出結果を受けたコントローラ60は、その検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(すなわち、搬送方向)に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものである。ここで、用紙Sの搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向であり、請求項に係る「交差方向」に相当する。また、この搬送方向は、副走査方向とも表現することができる。このため、以下の説明では、搬送方向の位置を副走査位置と表現することもある。
この搬送ユニット20は、用紙Sを搬送する搬送機構として機能し、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータともいう。)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21はD形の断面形状をしており、円周部分の長さは、搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されている。このため、この円周部分を用紙表面に当接させた状態で給紙ローラ21を回転させることにより、用紙Sを搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送するためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、用紙Sの裏面側から支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送方向へ搬送するためのローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31とキャリッジモータ32(CRモータ)とを備える。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を所定の方向(以下では、キャリッジ移動方向という。)に往復移動させるためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。このキャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジ90を着脱可能に保持している。また、このキャリッジ31には、ノズルからインクを吐出するヘッド41が取り付けられる。このため、キャリッジ31の往復移動によって、ヘッド41及びノズルもキャリッジ移動方向に往復移動する。従って、このキャリッジ移動方向が、請求項に係る「移動方向」に相当する。なお、このキャリッジ移動方向は、主走査方向とも表現できる。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものである。このヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。このヘッド41は、ノズルを複数有しており、各ノズルから断続的にインクを吐出する。そして、ヘッド41がキャリッジ移動方向に移動している最中に、ノズルからインクを断続的に吐出することにより、用紙Sにラスタラインが形成される。このラスタラインは、キャリッジ移動方向に沿った複数のドットから構成され、請求項に係る「ライン」に相当する。なお、ヘッド41の構成、このヘッド41を駆動するための駆動回路、及びヘッド41の駆動方法については、後で説明する。
センサ50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び紙幅センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31(ヘッド41)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。例示したリニア式エンコーダ51は、走査方向に沿って架設された帯状のスリット板と、キャリッジ31に取り付けられ、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものであり、搬送ローラ23の回転に伴って回転する円盤状のスリット板と、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。紙検出センサ53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が用紙Sを搬送ローラ23に向かって搬送する途中で、用紙Sの先端位置を検出できる位置に設けられている。なお、本実施形態における紙検出センサ53は、機械的な機構によって用紙Sの先端を検出するメカニカルセンサである。紙幅センサ54は、キャリッジ31に取り付けられている。本実施形態では、図11に示すように、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズルとほぼ同じ位置に取り付けられている。この紙幅センサ54は、光学センサであり、発光部から用紙Sに照射された光の反射光を受光部にて受光する。そして、受光部での受光強度に基づいて用紙Sの有無が検出できる。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ1100とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等が用いられ、記憶手段を構成する。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従い、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。また、本実施形態では、このメモリ63の一部領域を、後述する補正値を格納するための補正値格納部63aとして利用している。
<ヘッドの構成について>
図11は、ヘッド41の下面(つまり、用紙Sとの対向面)におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Nkと、シアンインクノズル列Ncと、マゼンタインクノズル列Nmと、イエローインクノズル列Nyが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを、n個(例えば、n=180)備えている。各ノズル列の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ、つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。図示の例において、各ノズル列のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯n)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯nよりも搬送方向の下流側(つまり、用紙Sの上端側)に位置している。
そして、このようなノズル列をヘッド41に設けると、一回のドット形成動作でドットが形成される範囲が広くなり、印刷時間の短縮化が図れる。また、これらのノズル列は、インクの色毎に備えられているので、これらの各ノズル列から適宜インクを吐出させることで、多色印刷を行うことができる。また、各ノズルに連通するインク流路の途中には圧力室(図示せず)が設けられている。各圧力室には、各ノズルからインク滴を吐出させるための駆動素子として、例えばピエゾ素子(図示せず)が設けられている。
<ヘッドの駆動について>
図12は、ヘッド41の駆動回路の説明図である。この駆動回路は、前述のユニット制御回路64内に設けられている。この図に示すように、駆動回路は、原駆動信号発生部644Aと、駆動信号整形部644Bとを備えている。本実施形態では、この駆動回路が、ノズル列毎、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のノズル列毎に設けられ、ノズル列毎に個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。なお、図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
前述したピエゾ素子は、駆動パルスW1,W2(図13を参照。)が供給される毎に変形し、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる。即ち、ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧が印加されると、電圧の印加時間に応じて変形し、圧力室の一部を区画する弾性膜(側壁)を変形させる。このピエゾ素子の変形に応じて圧力室の容積が変化し、圧力室の容積変化によって圧力室内のインクに圧力変動が生じる。そして、インクに生じた圧力変動により、対応するノズル♯1〜♯180からインク滴が吐出される。
原駆動信号発生部644Aは、各ノズル♯1〜♯nに共通して用いられる原駆動信号ODRVを生成する。本実施形態における原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内(1つのノズルが一画素に対応する升目を横切る時間内)に複数の駆動パルスW1,W2を含む信号である。駆動信号整形部644Bには、原駆動信号発生部644Aから原駆動信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。駆動信号整形部644Bは、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)として各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子に向けて出力する。そして、各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子は、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRVに基づき駆動される。
<ヘッドの駆動信号について>
図13は、各信号を説明するタイミングチャートである。すなわち、同図には、原駆動信号ODRVと、印刷信号PRT(i)と、駆動信号DRV(i)の各信号のタイミングチャートが示されている。
前記したように、原駆動信号ODRVは、ノズル♯1〜♯nに対して共通に用いられる信号であり、原駆動信号発生部644Aから駆動信号整形部644Bに出力される。本実施形態の原駆動信号ODRVは、1つのノズルが一画素の間隔を横切る時間内において、第1パルスW1と第2パルスW2の2つの駆動パルスを含んでいる。そして、第1パルスW1はノズルから小サイズのインク滴(以下、小インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。また、第2パルスW2はノズルから中サイズのインク滴(以下、中インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。すなわち、第1パルスW1をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは小インク滴が吐出される。そして、この小インク滴が用紙Sに着弾すると、小サイズのドット(小ドット)が形成される。同様に、第2パルスW2をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは中インク滴が吐出される。そして、この中インク滴が用紙Sに着弾すると、中サイズのドット(中ドット)が形成される。
印刷信号PRT(i)は、一画素に対して割り当てられている画素データに対応した信号である。つまり、印刷信号PRT(i)は、印刷データに含まれる画素データに応じた信号である。本実施形態の印刷信号PRT(i)は、一画素に対して2ビットの情報を有する信号になっている。そして、駆動信号整形部644Bは、印刷信号PRT(i)の信号レベルに応じて原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)を出力する。
この駆動信号DRVは、印刷信号PRTのレベルに応じて原駆動信号ODRVを遮断することによって得られる信号である。すなわち、印刷信号PRTのレベルが「1」のとき、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルスをそのまま通過させて駆動信号DRV(i)とする。一方、印刷信号PRTのレベルが「0」のとき、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルスを遮断する。そして、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRV(i)は、対応するピエゾ素子に対し、個別に供給される。また、ピエゾ素子は、供給された駆動信号DRV(i)に応じて駆動される。
印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「01」に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルから小さいインク滴が吐出され、用紙Sには小ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「10」に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルから中インク滴が吐出され、用紙Sに中ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「11」に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルから小インク滴と中インク滴とが続けて吐出され、用紙Sには大サイズのドット(大ドット)が形成される。なお、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「00」に対応しているとき、第1パルスW1及び第2パルスW2のいずれも一画素区間で出力されない。これにより、ノズルからはいずれのサイズのインク滴も吐出されず、用紙Sにはドットが形成されない。
以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の4つの異なる値に応じて互いに異なる4種類の波形を有するように整形されている。ここで、本実施形態では、2ビットの画素データの内容と印刷信号の内容とが一致している。すなわち、画素データと印刷信号のいずれも、ドットの非形成が2ビットデータ「00」であり、小ドットの形成が2ビットデータ「01」である。また、中ドットの形成が2ビットデータ「10」であり、大ドットの形成が2ビットデータ「11」である。従って、ヘッド41の駆動回路は、印刷データに含まれる画素データを、印刷信号PRT(i)として用いる。
<印刷動作について>
図14は、印刷時の動作のフローチャートである。以下に説明される各動作は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。
印刷命令受信(S001):コントローラ60は、コンピュータ1100からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ1100から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙動作、搬送動作、ドット形成動作等を行う。
給紙動作(S002):次に、コントローラ60は、給紙動作を行う。給紙動作とは、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂、頭出し位置)に位置決めする処理である。すなわち、コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラ23まで送る。続いて、コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。なお、用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。
ドット形成動作(S003):次に、コントローラ60は、ドット形成動作を行う。ドット形成動作とは、キャリッジ移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙Sにドットを形成する動作である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31をキャリッジ移動方向に移動させる。また、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41(ノズル)からインクを吐出させる。そして、ヘッド41から吐出されたインクが用紙S上に着弾すれば、前述したように、用紙S上にドットが形成される。すなわち、このドット形成動作により、用紙上には、ラスタラインが形成される。
搬送動作(S004):次に、コントローラ60は、搬送動作を行う。搬送動作とは、用紙Sを、ヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送モータ22を駆動し、搬送ローラ23を回転させて用紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送動作により、ヘッド41は、先程のドット形成動作によって形成されたドットの位置(副走査位置)とは異なる位置に、ドットを形成することができる。
排紙判断(S005):次に、コントローラ60は、印刷中の用紙Sについて排紙の判断を行う。この判断時において、印刷中の用紙Sに印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ドット(ラスタライン)から構成される画像を徐々に用紙Sに印刷する。印刷中の用紙Sに印刷するためのデータがなくなったならば、コントローラ60は、その用紙Sを排出する。すなわち、コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることにより、印刷した用紙Sを外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行っても良い。
印刷終了判断(S006):次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の用紙Sに印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の用紙Sの給紙動作を開始する。次の用紙Sに印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
===印刷方式について===
このような構成を有する本実施形態のプリンタ1では、インターレース方式による印刷が実行可能である。そして、このインターレース方式を用いることで、インクの吐出特性といったノズル毎の個体差を、印刷される画像上で分散し、目立たないようにしている。ここで、図15A及び図15Bは、インターレース方式の説明図である。以下、インターレース方式による印刷方法について説明する。
なお、説明の便宜上、ヘッド41の代わりとして示すノズル列が、用紙Sに対して移動しているように描かれているが、同図はノズル列と用紙Sとの相対的な位置関係を示すものであって、実際には用紙Sが搬送方向に移動される。また、同図において、黒丸で示されたノズルは、実際にインクを吐出するノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを吐出しないノズルである。加えて、図15Aは、1パス目〜4パス目におけるノズル位置と、そのノズルにてドットの形成の様子を示し、図15Bは、1パス目〜6パス目におけるノズル位置とドットの形成の様子を示している。ここで、「パス」とは、ノズル列がキャリッジ移動方向に1回移動することをいう。
図15A及び図15Bに例示するインターレース方式では、用紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで形成されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを形成する。このように搬送量を一定にして各ラスタラインを形成するためには、実際にインクを吐出するノズル数Nn(整数)はkと互いに素の関係にあり、搬送量FはNn・Dに設定される。
同図の例において、ノズル列は、搬送方向に沿って配列された4つのノズルを有するが、搬送量を一定にして各ラスタラインを形成するために、3つのノズルを用いてインターレース方式が行われている。また、3つのノズルが用いられるため、用紙Sは搬送量3・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて用紙Sにドットが形成される。
同図の例では、最初のラスタラインを3パス目でノズル♯1が形成し、2番目のラスタラインを2パス目でノズル♯2が形成し、3番目のラスタラインを1パス目でノズル♯3が形成し、4番目のラスタラインを4パス目でノズル♯1が形成し、連続的なラスタラインが形成される様子を示している。以後は、図15Bに示すように、同様な動作でラスタラインが順次形成される。
===画像中の濃度ムラの発生原因について===
CMYKのインクを用いて多色印刷された画像中に生じる濃度ムラは、基本的には、その各インク色でそれぞれに生じる濃度ムラが原因である。このため、通常は、各インク色の濃度ムラをそれぞれ別々に抑制することによって、多色印刷された画像中の濃度ムラを抑制する方法が採られている。
そこで、以下では、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。ここで、図16は、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラであって、用紙Sの搬送方向に生じる濃度ムラを模式的に説明する図である。そして、この図は、CMYKのうち1つのインク色、例えばブラックインクで印刷した画像の濃度ムラを示している。
図16に例示した搬送方向の濃度ムラは、キャリッジ移動方向に沿って平行な縞状(便宜上、横縞状ともいう。)に見えている。このような横縞状の濃度ムラは、例えば、ノズル毎のインク吐出量のばらつきによって発生するが、インクの飛行方向のばらつきによっても発生する。すなわち、この飛行方向のばらつきが生じると、用紙Sに着弾したインクによるドット形成位置が、目標形成位置に対して搬送方向にずれることとなる。
この場合には、これらのドットが構成するラスタラインrの形成位置も搬送方向に関して目標形成位置からずれてしまう。このため、搬送方向に隣り合うラスタライン同士の間隔が空いたり詰まったりした状態となる。これを巨視的に見ると横縞状の濃度ムラとなって見えてしまう。すなわち、隣り合うラスタラインrとの間隔が相対的に広いラスタラインrは巨視的に薄く見え、間隔が相対的に狭いラスタラインrは巨視的に濃く見えてしまう。なお、インクの飛行方向のばらつきは、例えば、ノズルの加工精度のばらつきによって生じる。
なお、この濃度ムラの発生原因は、他のインク色に関しても当てはまることである。そして、CMYKのうちの1色でもこの傾向があれば、多色印刷の画像中には濃度ムラが顕れてしまう。
<濃度ムラを抑制する参考例の方法について>
このような濃度ムラを抑制する参考例の方法について説明する。この参考例の方法では、まず、所定濃度の補正用パターンを用紙S上に印刷し、この補正用パターンを構成する各ラスタラインの濃度を測定する。次に、各ラスタラインの濃度から、そのラスタラインに対する補正値を取得する。そして、画像の本印刷時には、取得された補正値を用いて、そのラスタラインの濃度を調整する。例えば、補正用パターンにおいて、或るラスタラインの濃度が規定よりも薄かった場合には、本印刷時において、当該ラスタラインを担当するノズルについてインクの吐出量を増加させる。一方、補正用パターンにおいて、或るラスタラインの濃度が規定よりも濃かった場合には、本印刷時において、当該ラスタラインを担当するノズルについてインクの吐出量を減少させる。
このような参考例の方法は、画像の濃度ばらつきを抑制する点では有効であるものの、画像の粒状性が悪化しまうという新たな課題が生じてしまう。以下、この新たな課題について説明する。ここで、図17は、新たな課題を説明するための模式図である。すなわち、図17Aは、理想的な状態で形成されたラスタラインを説明する図、図17Bは、或るノズルで形成されたラスタラインが搬送方向にずれた状態で形成された状態を説明する図、図17Cは、参考例の方法で補正された状態を説明する図である。なお、これらの図において、画像は中間調で形成されている。このため、主走査方向に隣り合うドット同士は、ドット1つ分の間隔を空けて形成されている。
図17Bの画像では、ラスタラインrnを構成する各ドットが、正規の位置(つまり、図17Aの位置。)よりも、隣接するラスタラインr(n+1)側に寄った位置に形成されている。これにより、巨視的には、ラスタラインrnが正規の濃度よりも薄く見え、ラスタラインr(n+1)が正規の濃度よりも濃く見えることになる。そして、参考例の方法では、ラスタライン毎に、濃い薄いを判断して補正するので、濃く見えるラスタラインについては、ドットを間引くなどしてその濃度を薄くし、薄く見えるラスタラインについては、ドットを加えるなどしてその濃度を濃くする。このため、図17Cの例では、ラスタラインr(n+1)ついてドットDT1が非形成とされ、ラスタラインrnについてドットDT2が追加される。
このような補正により、各ドットの粗密状態が変化し、粒状性も変化する。例えば、図17Cの例において、ドットDT1を形成しないことにより、このドットDT1を囲うドットDT3〜DT6の間に、ドットが形成されない領域ができる。このため、この領域については、地色の面積が増えてドットが粗く形成されたように見える。一方、ドットDT2を新たに形成したことにより、このドットDT2、及びドットDT7〜DT9が密集した状態に形成される。これにより、これらのドットDT2、DT7〜DT9が、一塊の大きなドットのように見えてしまう。
その結果、例えば、図18Aに示す画像(以下、補正前画像という。)が補正され、図18Bに示す画像(以下、補正後画像という。)となる。これらの画像を比較すると、各ドットに関し、図18Bの補正後画像の方が、図18Aの補正前画像よりも間引かれた状態となっている。また、濃い点で示されるドットの塊については、その数が、補正前画像より補整後画像の方が増えている。
そして、このような現象は、隣り合うラスタライン同士の間で急激な濃度変化が生じた場合に、顕著になる。
===本実施形態の印刷方法について===
<本実施形態における印刷方法の要点>
このような事情に鑑み、本実施形態では、画像における搬送方向の濃度を補正する補正値をラスタライン毎に設定する。この補正値を設定するにあたっては、まず、用紙Sに補正用パターン(テストパターン)を印刷し、印刷された補正用パターンを構成する各ラスタラインの濃度を測定する。そして、ラスタライン毎の補正値は、補正用パターンを構成するラスタライン群のうち、そのラスタラインを含む、複数のラスタラインの濃度に基づいて設定される。
このようにして設定された補正値を用いて画像の印刷を行うと、実際に印刷された結果に基づいて補正値が設定されているので、各ラスタラインを担当するノズルの順序が、ヘッド41における配列と異なっていても、各ラスタラインを所望の濃度で形成することができる。また、或るラスタラインの補正値を設定するにあたり、補正用パターンにおける他のラスタラインの濃度が加味されているため、加味された分だけ濃度が平滑化される。このため、設定された補正値に関し、隣り合うラスタライン間における極端な変化を防止できる。その結果、或るラスタラインに対して、その濃度を過度に補正してしまうことを防止できる。従って、濃度ムラを抑えつつも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
<本実施形態に係る画像の印刷方法について>
図19は、本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して、各工程の概略を説明する。まず、製造ラインにおいてプリンタ1が組み立てられる(S110)。次に、検査ラインの作業者によって、濃度を補正するための補正値がプリンタ1に設定される(S120)。ここでは、得られた補正値を、プリンタ1のメモリ63、詳しくは、補正値格納部63a(図8を参照。)に格納する。次に、プリンタ1が出荷される(S130)。そして、このプリンタ1を購入したユーザーによって画像の本印刷が行われるが、その本印刷の際には、プリンタ1は、補正値に基づいてラスタライン毎に濃度補正を実行しながら用紙Sに画像を印刷する(S140)。そして、本実施形態に係る画像の印刷方法は、補正値の設定工程(ステップS120)、及び画像の本印刷(ステップS140)に特徴を有する。従って、以下では、ステップS120及びステップS140の内容について説明する。
<ステップS120:濃度ムラを抑制するための濃度の補正値の設定>
図20は、補正値の設定に使用される機器を説明するブロック図である。なお、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。この図において、コンピュータ1100Aは、検査ラインに設置されたコンピュータであり、工程用補正プログラム1120が動作している。この工程用補正プログラム1120は、補正値取得処理を行うことができる。この補正値取得処理は、用紙Sに印刷された補正用パターンCP(図25参照。)をスキャナ装置100が読み取ることで得られたデータ群(例えば、所定解像度の256階調のグレイスケールデータ)に基づき、対象となるラスタラインについての補正値を取得する。なお、補正値取得処理については、後で詳細に説明する。また、このコンピュータ1100Aで動作するアプリケーションプログラム1104は、補正用パターンCPを印刷させるための画像データを、プリンタドライバ1110に対して出力する。そして、プリンタドライバ1110は、前述した解像度変換処理からラスタライズ処理までの一連の処理を行うことで、補正用パターンCPを印刷させるための印刷データを、プリンタ1に出力する。
図21は、このコンピュータ1100のメモリに設けられた記録テーブルの概念図である。この記録テーブルは、インク色毎の区分で用意されている。そして、各色で印刷された補正用パターンCPの測定値が、対応する記録テーブルに記録される。なお、この図には、これら記録テーブルを代表してブラック(K)用の記録テーブルについてフィールドを示している。
この記録テーブルには、複数のレコードが用意されている。このレコードは、ラスタラインに対応して設けられている。言い換えると、このレコードは、印刷領域の全長に対応し得る数が設けられている。ここで、印刷領域とは、画像等の印刷対象となる領域を意味する。例えば、所謂4辺縁無し印刷の場合には、用紙Sの表面全体が印刷領域となる。一方、所謂縁有り印刷を行う場合には、用紙Sにおいて縁で囲まれる領域が印刷領域となる。また、印刷領域の全長とは、搬送方向における長さを意味する。そして、各レコードにはレコード番号が付されている。
この記録テーブルには、各ラスタラインにおける濃度の測定値と、そのラスタラインにおける測定値に基づいて取得された仮補正値とが順次記録される。従って、各記録テーブルには、濃度の測定値用のフィールドと、仮補正値用のフィールドとからなる2つのフィールドが用意されている。本実施形態において、同じラスタラインの測定値、及び仮補正値thは、何れも同じレコード番号のレコードに記録される。詳しくは、用紙上端側に形成されるラスタラインから順に小さい番号のレコードに記録される。例えば、用紙上端から1番目に形成されるラスタラインの濃度測定値、及び仮補正値が1番目のレコードに記録される。同様に、用紙上端から2番目に形成されるラスタラインの濃度測定値、及び仮補正値thが2番目のレコードに記録される。そして、他のラスタラインの濃度測定値、及び仮補正値に関しても、それぞれ対応するレコードに記録される。
図22は、プリンタ1のメモリ63に設けられた補正値格納部63aの概念図である。この図に示すように、補正値格納部63aには、補正値テーブルが用意されている。この補正値テーブルは、前述した記録テーブルと同様に、インク色毎の区分でそれぞれ用意されている。従って、補正値も、インク色毎の区分で用意される。そして、この図には、これら補正値テーブルを代表して、ブラック用の補正値テーブルについてフィールドを示している。これらの補正値テーブルは、補正値を記録するためのレコードを有している。各レコードにはレコード番号が付されており、補正値取得処理で取得された補正値は、前述した記録テーブルと同様に、そのラスタラインに対応するレコードに記録される。そして、補正値テーブルのレコードもまた、印刷領域の全長に対応し得る数が設けられている。なお、補正値格納部63aへ補正値を格納する手順については、後で詳細に説明する。
図23は、コンピュータ1100と通信可能に接続されたスキャナ装置100を説明する図である。すなわち、図23Aは、このスキャナ装置100の縦断面図であり、図23Bは、このスキャナ装置100の平面図である。このスキャナ装置100は、補正用パターンCPの濃度を測定する濃度測定装置の一種である。このスキャナ装置100は、原稿101に印刷された画像(例えば、用紙Sに印刷された補正用パターンCP)を、画素単位のデータ群として読み込み可能なものであり、原稿101が載置される原稿台ガラス102と、この原稿台ガラス102を介して原稿101と対面しつつ所定の移動方向に移動する読取キャリッジ104と、読取キャリッジ104等の各部を制御するコントローラ(図示せず)を備えている。読取キャリッジ104には、原稿101に光を照射する露光ランプ106と、原稿101からの反射光を、移動方向と直交する直交方向の所定範囲に亘って受光するリニアセンサ108とが搭載されている。そして、このスキャナ装置100では、露光ランプ106を発光させた状態で読取キャリッジ104を移動方向に移動させながら、反射光をリニアセンサ108に受光させる。これにより、スキャナ装置100は、原稿101に印刷された画像を所定の読み取り解像度で読み取る。なお、図23A中の破線は、画像読み取り時における光の軌跡を示している。
図24は、図19中のステップS120の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照し、補正値の設定手順について説明する。
この設定手順は、補正用パターンCPを印刷するステップ(S121),補正用パターンCPを読み込むステップ(S122),各ラスタラインの濃度を測定するステップ(S123),各ラスタラインに対する濃度の補正値を設定するステップ(S124)を有する。以下、各ステップについて詳細に説明する。
(1)補正用パターンCPの印刷(S121)について:
まず、ステップS121において、補正用パターンCPを用紙Sに印刷する。ここでは、検査ラインの作業者は、検査ラインのコンピュータ1100Aにプリンタ1を通信可能な状態に接続し、このプリンタ1によって補正用パターンCPを印刷する。すなわち、作業者は、コンピュータ1100Aのユーザーインタフェースを介し、補正用パターンCPを印刷させる指示をする。その際には、このユーザーインタフェースから、印刷モード及び用紙サイズモードなどが設定される。この指示により、コンピュータ1100Aは、メモリに格納されている補正用パターンCPの画像データを読み出し、前述した解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、及びラスタライズ処理を行う。その結果、コンピュータ1100Aからプリンタ1に対し、補正用パターンCPを印刷させるための印刷データが出力される。そして、プリンタ1は、印刷データに基づいて用紙Sに補正用パターンCPを印刷する。なお、この補正用パターンCPを印刷するプリンタ1は、補正値の設定対象となるプリンタである。つまり、補正値の設定は、プリンタ毎に行われる。
ここで、図25は、印刷された補正用パターンCPの一例を説明する図である。この図に示すように、本実施形態の補正用パターンCPは、インク色毎の区分でそれぞれに印刷された帯形状のパターンである。例示した補正用パターンCPは、搬送方向に細長い帯形状であり、用紙Sにおける搬送方向の全域に亘って印刷されている。すなわち、用紙Sの上端から下端に亘って一連に形成されている。また、図の左側から順に、シアン(C)の補正用パターンCPc、マゼンタ(M)の補正用パターンCPm、イエロー(Y)の補正用パターンCPy、ブラック(K)の補正用パターンCPkがキャリッジ移動方向に並んだ状態で印刷されている。
この補正用パターンCPの印刷データは、CMYKの各インク色の階調値を直接指定して構成されたCMYK画像データに対して、前述のハーフトーン処理及びラスタライズ処理を行って生成されたものである。そして、このCMYK画像データの画素データの階調値は、各補正用パターンCPについて、その全画素に亘って同一の値が設定されている。これにより、各補正用パターンCPは、それぞれに、搬送方向の全域に亘って、ほぼ一定の濃度で印刷される。これらの補正用パターンCPに関し、その階調値は任意に設定可能である。しかし、濃度ムラが生じ易い範囲の濃度ムラを積極的に抑制する観点から、本実施形態では、所謂中間調となるような階調値を選んでいる。例えば、階調値が256段階でブラックインクの場合には、階調値77から階調値128の範囲内で選んでいる。
なお、これらの補正用パターンCP同士の相違点は、基本的にインク色が異なるだけである。また、前述したように、多色印刷における濃度ムラの抑制は、その多色印刷に用いられるインク色毎にそれぞれ行われるが、それぞれ抑制に用いられる方法は同じである。このため、以下の説明は、ブラック(K)に代表させて行うことにする。すなわち、以下の説明においては、ブラック(K)の一色についてだけ記載している箇所もあるが、その他のC,M,Yのインク色についても同様である。
(2)補正用パターンCPの読み取り(ステップS122)について:
次に、印刷された補正用パターンCPをスキャナ装置100で読み取る。このステップS122では、まず、検査ラインの作業者は、補正用パターンCPが印刷された用紙Sを原稿台ガラス102に載置する。このとき、図23Bに示すように、補正用パターンCP(CPc〜CPk)におけるラスタラインの方向と、スキャナ装置100における直交方向(つまり、リニアセンサ108の配列方向)とが同じ方向となるように、用紙Sを載置する。用紙Sを載置したならば、作業者は、コンピュータ1100Aのユーザーインタフェースを介して読み取り条件を指定し、その後、読み取り開始を指示する。ここで、読取キャリッジ104の移動方向の読み取り解像度は、ラスタラインにおけるピッチの整数倍の細かさにするのが望ましい。このようにすることで、読み取った濃度の測定値とラスタラインとの対応付けが容易になり、測定精度の向上が図れるからである。読み取り開始の指示を受け取ると、スキャナ装置100のコントローラ(図示せず)は、読取キャリッジ104を制御するなどして、用紙Sに印刷された補正用パターンCPを読み取り、画素単位のデータ群を取得する。そして、取得されたデータ群は、コンピュータ1100Aのメモリ(図示せず)に転送される。
(3)補正用パターンの濃度測定(ステップS123)について:
次に、コンピュータ1100Aは、補正用パターンCPの濃度をラスタライン毎に測定する。この濃度測定は、取得されたデータ群に基づいて行われる。まず、コンピュータ1100Aは、スキャナ装置100から転送されたデータ群の中から、濃度測定対象となるラスタラインに属するデータを認識する。次に、コンピュータ1100Aは、認識したデータに基づき、そのラスタラインの濃度を測定する。この場合において、ラスタラインにおける濃度の測定値は、同じラスタラインに属する複数画素の濃度の平均値とすることが好ましい。これは、この補正用パターンCPが中間調で印刷されていることに起因する。すなわち、補正用パターンCPが中間調で印刷されているため、同じラスタラインに属するドットであっても大きさが異なっていたり、隣り合うドット同士が間引かれて形成されていたりする。このため、1つの画素に、そのラスタライン全体を代表させてしまうと、濃度測定が行われる画素、すなわち主走査方向の位置によって、そのラスタラインの濃度が変化してしまう虞がある。このため、本実施形態において、コンピュータ1100Aは、同じラスタラインに属する数十〜数百の画素について、それぞれに濃度を取得し、取得した濃度の平均値をそのラスタラインにおける濃度の測定値としている。
そのラスタラインについて濃度の測定値を取得したならば、コンピュータ1100Aは、取得した測定値を記録テーブルの対応するレコードに記録する。例えば、搬送方向における1番目のラスタライン(最も用紙上端側のラスタライン)について測定値を取得したならば、この測定値を1番目のレコードに記録する。取得した濃度を記録したならば、コンピュータ1100Aは、次のラスタラインに対し、同様の手順で測定値の取得、及びレコードへの記録を行う。そして、最終のラスタラインまで測定値の取得、及びレコードへの記録が行われたならば、補正用パターンCPの濃度測定処理を終了する。
(4)ラスタライン毎の濃度補正値の設定について(ステップS124):
次に、コンピュータ1100Aは、ラスタライン毎に濃度の補正値を設定する。ここで、コンピュータ1100Aは、各記録テーブルの各レコードに記録された測定値に基づいて、濃度の補正値を設定し、当該補正値をプリンタ1の補正値格納部63a(図22を参照。)に格納する。
本実施形態における補正値は、用紙上に印刷された補正用パターンCPを構成するラスタライン群のうち、そのラスタラインを含む複数のラスタラインの濃度に基づいて設定されている。具体的には、或るラスタラインの補正値を設定するにあたり、そのラスタラインを含む複数(N本)のラスタラインの濃度を用いる。ここで、複数のラスタラインの濃度は、補正値を設定するラスタラインの濃度、及びそのラスタラインに対して搬送方向に隣接するラスタラインの濃度とすることが好ましい。このようにすると、或るラスタラインの補正値は、近傍のラスタラインの濃度、詳しくは、そのラスタラインから近い順に選択されたラスタラインの濃度が加味されて設定されることになる。これにより、実際の印刷に即した適切な補正値を設定することができ、印刷画像の品質をより高めることができる。
また、本実施形態における補正値は、各ラスタラインの濃度に基づく仮補正値から設定される。ここで、仮補正値は、或るラスタラインについて、そのラスタラインの濃度を適正化するためのものであり、参考例における補正値と同等のものである。言い換えると、この仮補正値は、ノズル毎の特性(吐出量ばらつきやインクの飛行曲がり等)を何ら考慮せずに設定された標準的な階調値を、そのノズルの特性を考慮した階調値にするものといえる。
本実施形態における仮補正値は、多段階の濃度階調値(本実施形態では256階調)に対する係数、すなわち、濃度階調値に対して補正する割合を示す補正比率が用いられる。例えば、標準的な階調値で形成されたラスタラインの濃度が、この階調値に対応する濃度よりも薄い場合には、仮補正値として「1.0」よりも大きな値が設定される。反対に、標準的な階調値で形成されたラスタラインの濃度が、この階調値に対応する濃度よりも濃い場合には、仮補正値として「1.0」よりも小さな値が設定される。
また、補正値の取得に使用するラスタラインの本数に関し、本実施形態では、2本〜4本としている。これは、印刷画像における粒状性と、補正の効果とを加味した結果である。後で詳しく説明するが、本実施形態では、或るラスタラインの補正値を設定するにあたり、複数のラスタラインに対する仮補正値の平均値を使用している。この場合、粒状性を考慮するならば、ラスタラインの本数、すなわち、平均化する仮補正値の数を増やす方がよい。これは、補正値の設定対象となるラスタラインの仮補正値が、補正値に与える影響が少なくなり、平滑化が図れるからである。しかしながら、そのラスタラインの濃度を精度良く補正するという観点では、平均化する仮補正値の数は少ない方がよい。これらの点を考慮して、本実施形態では、仮補正値の取得対象となるラスタラインの本数を2本〜4本とし、粒状性を良好に保ちつつ、必要な濃度補正を行えるようにしている。
以下、ラスタライン毎の濃度補正値の設定について、詳細に説明する。ここで、図26は、濃度補正値の設定処理を説明するフローチャートである。なお、以下の説明において、便宜上、最も用紙上端側に形成されるラスタライン(1番目のラスタライン)を、副走査位置Y=1と表現することもある。この場合、副走査位置Yの値が増える毎に用紙下端側に形成されるラスタラインを意味する。
まず、ステップS124aにて、コンピュータ1100Aは、或るラスタラインの仮補正値を取得する。本実施形態では、用紙上端側のラスタラインから順に仮補正値を取得する。従って、コンピュータ1100Aは、最初に、副走査位置Y=1のラスタラインについて、仮補正値を取得する。この仮補正値は、そのラスタラインの濃度測定値に基づいて取得される。まず、コンピュータ1100Aは、記録テーブルに記録された濃度測定値の平均値を算出する。すなわち、コンピュータ1100Aは、同じインク色に属するレコードに記録された濃度測定値を、全部読み出して加算し、この加算値をレコード数で除算する。そして、算出された平均値をそのインク色における濃度の目標値とする。次に、コンピュータ1100Aは、そのラスタライン(例えば、1番目のラスタライン)の濃度測定値を対応するレコードから読み出し、目標値を読み出した濃度測定値で除算する。そして、この除算値を、そのラスタラインにおける仮補正値とする。
この仮補正値を数式で表現すれば、次の式1となる。
仮補正値th=目標値M/濃度測定値C … (式1)
例えば、そのラスタラインの濃度測定値Cが110であり、目標値Mが100であるとする。この場合、このラスタラインの仮補正値thは、100/110で求められ、0.9となる。反対に、そのラスタラインの濃度測定値Cが90であり、目標値Mが100であるとする。この場合、このラスタラインの仮補正値thは、100/90で求められ、1.1となる。
次に、ステップ124bにて、コンピュータ1100Aは、取得した仮補正値を、記録テーブルの対応するレコードに記録する。例えば、副走査位置Y=1のラスタラインについて仮補正値を取得したならば、コンピュータ1100Aは、この仮補正値を、仮補正値用のフィールドにおける1番目のレコードに記録する。取得した仮補正値を記録したならば、ステップS124cに進み、コンピュータ1100Aは、最終ラスタラインまでの全ラスタラインについて、仮補正値を記録したか否かについて判断する。ここで、未記録のラスタラインが残っていた場合には、コンピュータ1100Aは、ステップS124aにて、そのラスタラインの仮補正値を取得し、ステップS124bにて、対応するレコードに取得した仮補正値を記録する。この場合、コンピュータ1100Aは、例えば、副走査位置Yの内容をインクリメント(+1更新)して、ステップS124aの処理、及びステップS124bの処理を行う。一方、全てのラスタラインについて、仮補正値を設定したならば、ステップS124dに進む。
このステップS124dから後述するステップS124iの処理で、ラスタライン毎に補正値が設定される。この例では、搬送方向に隣接する2本(すなわち、N=2)のラスタラインについて、共通の補正値が設定される。なお、以下の説明は、図27に基づいて行う。この図27は、補正用パターンCPにおけるラスタライン、仮補正値、及び補正値の関係を説明する図である。
ステップS124dにて、コンピュータ1100Aは、基準となる副走査位置を設定する。この例では、用紙上端側から順に補正値を設定するので、コンピュータ1100Aは、基準となる副走査位置として、最初に1番目のラスタラインr1を設定する。具体的には、副走査位置Yとして値「1」を設定する。基準となる副走査位置を設定したならば、ステップS124eに進み、必要な仮補正値thを読み出す。この場合、コンピュータ1100Aは、副走査位置Yのラスタラインにおける仮補正値th、及びこの副走査位置Yのラスタラインからn番目(n=N−1)の範囲に形成されたラスタラインの仮補正値thを読み出す。前述したように、この例では、N=2であるため、n=1となる。従って、この場合、コンピュータ1100Aは、ラスタラインr1の仮補正値th1と、このラスタラインr1の隣に形成されたラスタラインr2の仮補正値th2とを読み出す。
各仮補正値thを読み出したならば、ステップS124fに進む。このステップS124fにてコンピュータ1100Aは、読み出した仮補正値thの平均値を算出する。この例では、1番目のラスタラインr1における仮補正値th1、及び2番目のラスタラインr2における仮補正値th2の平均値が算出される。仮に、仮補正値th1が1.2であり、仮補正値th2が0.9であったとすると、平均値は、(1.2+0.9)/2で求められ、1.05となる。
平均値が算出されたならば、ステップS124gに進む。このステップS124gにてコンピュータ1100Aは、算出した平均値を対象となる各ラスタラインの補正値Hとし、プリンタ1の補正値格納部63aに記録させる。この例では、算出された平均値が1番目のラスタラインr1における補正値H1、及び2番目のラスタラインr2における補正値H2となる。そして、コンピュータ1100Aは、算出された補正値Hを、プリンタ1の補正値格納部63aに記録する。ここでは、1番目のラスタラインr1における補正値H1と、2番目のラスタラインr2における補正値H2が算出されているので、コンピュータ1100Aは、これらの補正値H1,H2をプリンタ1に送信し、補正値格納部63aの1番目、及び2番目のレコードに記録させる。
補正値Hが記録されたならば、ステップS124hに進む。このステップS124hにてコンピュータ1100Aは、基準となる副走査位置を更新する。ここでは、それまでの副走査位置Yに、補正値Hを設定したラスタラインの数であるNを加算して得られた値を、新たな副走査位置Yとする。すなわち、コンピュータ1100Aは、Y=Y+Nの演算を行って新たな副走査位置Yを取得する。図27の例で説明すると、それまでの副走査位置Yが値「1」であり、補正値Hを設定したラスタラインの数Nが値「2」であるため、新たな副走査位置Yは値「3」となる。
基準となる副走査位置を更新したならば、ステップS124iに進む。このステップS124iにてコンピュータ1100Aは、最終ラスタラインまで補正値Hを設定したか否かを判断する。この判断は、例えば、ステップS124hで更新された副走査位置Yに基づいて行う。すなわち、用紙サイズや印刷モード(この場合は、縁有り印刷,縁なし印刷,ロール紙印刷)によって、コンピュータ1100Aは、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号を認識することができる。従って、コンピュータ1100Aは、更新された副走査位置Yと、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号とを比較し、更新された副走査位置Yが最終ラスタラインに対応するラスタライン番号を越えたことを条件に、最終ラスタラインまで補正値Hが設定されたものと判断する。そして、このステップ124iで、補正値Hが設定されていないラスタラインが残っていた場合には、ステップS124eに戻り、それらのラスタラインに対する補正値Hの設定を行う。一方、最終ラスタラインまで補正値Hが設定されたならば、一連の補正値設定処理を終了する。
図27の例で説明すると、新たな副走査位置Yは値「3」であり、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号よりも小さい。これにより、コンピュータ1100Aは、補正値Hが設定されていないラスタラインが残っていると判断し、ステップS124eに戻って、前述した処理を繰り返し行う。簡単に説明すると、次の通りである。まず、コンピュータ1100Aは、3番目のラスタラインr3における仮補正値th3、及び4番目のラスタラインr4における仮補正値th4を読み出し(ステップS124e)、これらの仮補正値th3,th4の平均値を算出する(ステップS124f)。例えば、仮補正値th3が0.8であり、仮補正値th4が1.1である場合には、平均値として0.95が算出される。次に、コンピュータ1100Aは、算出された平均値を、これらのラスタラインr3,r4の補正値H3,H4として、プリンタ1の補正値格納部63aに記録させる(ステップS124g)。
その後、コンピュータ1100Aは、副走査位置Yを値「5」に更新し(ステップS124h)、最終ラスタラインまで補正値Hが設定されたか否かを判断する(ステップS124i)。この判断でも新たな副走査位置Yは、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号よりも小さいと判断される。このため、ステップS124eに戻り、ラスタラインr5,r6の補正値H5,H6が設定される(ステップS124e〜ステップS124i)。例えば、仮補正値th5が1.1であり、仮補正値th6が1.2である場合には、平均値(補正値H5,H6)として1.15が得られる。
以後は、同様な処理がなされ、新たな副走査位置Yが、最終ラスタラインに対応する番号を越えると、一連の処理が終了する(ステップS124i)。
このような補正値の設定方法によれば、前述した参考例の方法に比べ、隣接するラスタライン同士の濃度差(すなわち、設計上の規定濃度からの濃度差)が顕著な箇所にて、補正値を平滑化(スムージング)できる。ここで、図28は、参考例の方法で設定した補正値と、本実施形態の方法で設定した補正値とを比較する図である。同図において、縦軸は補正値であり、横軸は副走査位置(ラスタラインの番号)を示している。また、図中の破線は、参考例の方法で設定された補正値であり、実線は、本実施形態の方法で設定された補正値である。
この図において、符号YnからYmで示される範囲が、規定濃度よりも過度に濃いラスタラインと過度に薄いラスタラインとが隣接している領域である。すなわち、参考例の方法(破線)において、符号PK1で示される補正値のピーク(下側のピーク)は、濃度が過度に濃いラスタラインに対する補正値であり、その値は概ね0.82である。そして、符号PK2で示される補正値のピーク(上側のピーク)は、濃度が過度に薄いラスタラインに対する補正値であり、その値は概ね1.17である。このように、濃度が過度に濃いラスタラインと濃度が過度に薄いラスタラインとが並ぶと、前述したように、濃度が過度に濃いラスタラインについては間引きされるドットの数が多くなり、濃度が過度に薄いラスタラインについては追加されるドットの数が多くなる。その結果、粒状性の悪化が生じ得る。この点に関し、本実施形態の方法によれば、隣接するラスタラインに設定された仮補正値の平均値を、それらのラスタラインの補正値として用いるので、適度な大きさの補正値を設定することができる。
例えば、本実施形態の方法(実線)では、符号PK1のピークに対応する補正値のピークは、符号PK1aとなり、その値は概ね0.91となる。同様に、符号PK2のピークに対応する補正値のピークは、符号PK2aとなり、その値は概ね1.12となる。このような補正値を用いて実際に印刷を行うと、後述するように、濃度が過度に濃いラスタラインについては、ドットの間引き等が行われて濃度は薄くなり、間引き等の対象となるドットの数は参考例の方法を用いた場合よりも少なくなる。また、濃度が過度に薄いラスタラインについては、ドットの追加等が行われて濃度は濃くなり、追加等の対象となるドットの数は参考例の方法を用いた場合よりも少なくなる。その結果、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。加えて、仮補正値thを平均化するラスタラインの本数を、2本〜4本にしていることから、濃度補正の効果を十分に得ることができる。
さらに、この実施形態の方法では、隣接する複数本のラスタラインに共通の補正値を設定している。このため、補正値に関するデータ量を削減することもできる。この場合、補正値格納部63aにおいて、1つのレコードを複数のラスタラインで共用する構成とすればよい。図27の例では、1番目のラスタラインr1と2番目のラスタラインr2とで補正値H1を共用することができ、3番目のラスタラインr3と4番目のラスタラインr4とで補正値H3を共用することができる。このため、1番目のレコードに1番目のラスタラインr1及び2番目のラスタラインr2の補正値H1を記録し、2番目のレコードに3番目のラスタラインr3及び4番目のラスタラインr4の補正値H3を記録する構成とすればよい。
<ステップS140:ラスタライン毎に濃度補正をしながら画像を本印刷>
このようにして濃度の補正値が設定され、出荷されたプリンタ1は、ユーザーの下で使用される。すなわち、ユーザーの下で本印刷が行われる。この本印刷において、プリンタドライバ1110とプリンタ1が協働してラスタライン毎に濃度補正し、濃度ムラを抑制した印刷を実行する。ここでは、補正値格納部63aに格納された補正値をプリンタドライバ1110が参照し、この補正値に基づき補正された濃度となるように、画素データを補正する。すなわち、プリンタドライバ1110は、RGB画像データを印刷データに変換する際に、補正値に基づき、多階調の画素データを変更する。そして、補正後の画像データに基づく印刷データをプリンタ1に出力する。プリンタ1は、この印刷データに基づいて、対応するラスタラインのドットを形成する。以下、印刷手順について詳細に説明する。
図29は、図19中のステップS140に係るラスタライン毎の濃度補正の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照し、濃度補正の手順について説明する。この手順では、まず、プリンタドライバ1110が、解像度変換処理(ステップS141)を行う。そして、プリンタドライバ1110は、色変換処理(ステップS142)、ハーフトーン処理(ステップS143)、ラスタライズ処理(S144)を順次行う。なお、これらの処理は、ユーザーが、プリンタ1をコンピュータ1100に通信可能に接続し、図1で説明した印刷システム1000の状態に設定した状態で行われる。
具体的には、画質モードや用紙サイズモード等の必要な情報が入力された状態で、プリンタドライバ1110のユーザーインタフェースの画面から、印刷実行の操作がなされたことを条件に行われる。以下、各ステップ毎に処理を説明する。
解像度変換処理(S141):まず、プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から出力されたRGB画像データに対して、解像度変換処理を実行する。すなわち、RGB画像データの解像度を、入力された画質モードに対応する印刷解像度に変換する。更に、RGB画像データに対して適宜トリミング処理等の加工を施すことにより、RGB画像データにおける画素数が、指定された用紙サイズ及び余白形態モードに対応する印刷領域のドット数に一致するように調整する。
色変換処理(S142):次に、プリンタドライバ1110は、前述した色変換処理を実行し、RGB画像データを、CMYK画像データに変換する。このCMYK画像データは、前述したように、C画像データ、M画像データ、Y画像データ、及びK画像データを備え、印刷領域に応じたデータ量とされる。
ハーフトーン処理(S143):次に、プリンタドライバ1110は、ハーフトーン処理を実行する。このハーフトーン処理は、C,M,Y,K画像データ中の各画素データが示す256段階の階調値を、プリンタ1で表現可能な4段階の階調値に変換する処理である。そして、本実施形態では、このハーフトーン処理において、ラスタライン毎の濃度補正を実行する。すなわち、各画像データを構成する各画素データを、256段階から4段階の階調値に変換する処理を、前述した補正値分に基づいて補正しながら行う。この濃度補正は、各インク色の補正値テーブルに基づいて、C,M,Y,K画像データのそれぞれに対して行われるが、ここでは、これら画像データを代表してブラック(K)に係るK画像データについて説明する。
本実施形態では、このハーフトーン処理において、256段階の階調値を、一旦レベルデータに置き換えてから4段階の階調値に変換する。そこで、この変換の際に、256段階の階調値を補正値の分だけ変更することで、4段階の階調値の画素データを補正し、これによって「補正値に基づく画素データの補正」を行っている。
なお、図3を用いて既に説明したハーフトーン処理と、ここでのハーフトーン処理との相違点は、レベルデータを設定するステップS301,S303,S305の部分であって、これ以外の部分は同じである。従って、以下の説明では、この異なる部分を重点的に説明し、同じ部分の説明は簡単に説明する。また、以下の説明は、図3のフローチャート及び図4のドットの生成率テーブルを参照して行う。
まず、プリンタドライバ1110は、通常のハーフトーン処理と同様に、ステップS300において、K画像データを取得する。次に、ステップS301において、プリンタドライバ1110は、生成率テーブルの大ドット用プロファイルLDから、画素データ毎に、その画素データの階調値に応じたレベルデータLVLを読み取る。但し、この読み取る際に、本実施形態にあっては、その画素データが属するラスタラインに対応付けられた補正値の分だけ階調値を変化させてレベルデータLVLを読み取る。
例えば、その画素データが属するラスタラインが第1番目である場合には、前述したように第1レコードの補正値Hが対応付けられている。そして、その画素データの階調値がgrであった場合には、この補正値Hを階調値grに乗算して得られた新たな階調値(gr×H)で、レベルデータLVLを読み取る。これにより、レベルデータLVLは、11dと求められる。
そして、このような演算処理は、容易且つ高速に行うことが可能である。従って、処理を簡素化することができ、インクの高周波吐出に対応できる。
ステップS302において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THLよりも、この大ドットのレベルデータLVLが大きいか否かの大小判定を行う。そして、このレベルデータLVLは、補正値Hに基づいて値Δgrだけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、これによって、大ドットの形成され易さも変化する。その結果、前述の「補正値に基づく画素データの補正」が実現される。なお、このステップ302において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、ステップS310に進み、この画素データには、大ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS303に進む。
このステップS303において、プリンタドライバ1110は、生成率テーブルの中ドット用プロファイルMDから階調値に応じたレベルデータLVMを読み取るが、この時にも前記ステップS301と同様に、補正値Hに応じて階調値を変化させてレベルデータLVMを読み取る。これにより、レベルデータLVMは12dと求められる。そして、ステップS304において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THMよりも、この中ドットのレベルデータLVMが大きいか否かの大小判定を行う。ここでも、レベルデータLVMは、値Δgrに対応する分だけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、中ドットの形成され易さも変化する。なお、このステップ304において、レベルデータLVMが閾値THMよりも大きい場合には、ステップS309に進み、当該画素データには、中ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS305に進む。
このステップS305において、プリンタドライバ1110は、生成率テーブルの小ドット用プロファイルSDから階調値に応じたレベルデータLVSを読み取るが、この時にも前記ステップS301と同様に、補正値Hに応じて階調値を変化させてレベルデータLVSを読み取る。これにより、レベルデータLVSは13dと求められる。そして、ステップS306において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THSよりも、この小ドットのレベルデータLVSが大きいか否かの大小判定を行う。ここでも、レベルデータVLSは値Δgrに対応する分だけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、小ドットの形成され易さも変化する。
なお、このステップ306において、レベルデータLVSが閾値THSよりも大きい場合には、ステップS308に進み、当該画素データには、小ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS307に進んで、当該画素データには、ドット無しを対応付けて記録する。
ラスタライズ処理(S144):次に、プリンタドライバ1110は、ラスタライズ処理を実行する。このラスタライズ処理された印刷データはプリンタ1に出力され、プリンタ1は、印刷データが有する画素データに従って、用紙Sに画像を本印刷する。なお、この画素データは、前述したように、ラスタライン毎に濃度の補正がなされているので、印刷された画像において、画像の濃度ムラを効果的に抑制することができる。
すなわち、補正値に基づき階調値を変化させた状態で各ラスタラインを形成しているので、補正無しの状態で規定濃度(設計上の濃度)よりも濃く形成されるラスタラインについては、階調値が小さくなるように補正される。その結果、このラスタラインについては、インク量が抑えられた状態で形成され、所望濃度に近い濃度で形成できる。同様に、補正無しの状態で規定濃度よりも薄く形成されるラスタラインについては、階調値が大きくなるように補正されてインク量が増やされるので、この場合にも所望濃度に近い濃度で形成できる。さらに、本実施形態では、各ラスタラインの濃度に基づく仮補正値を、ラスタライン毎に設定するとともに、隣接する複数のラスタラインに設定された仮補正値の平均値を、そのラスタラインの補正値としている。これにより、規定濃度よりも過度に薄いラスタラインについてはドットが過剰に追加される等の現象が防止でき、規定濃度よりも過度に濃いラスタラインについてはドットが過剰に間引かれる等の現象が防止できる。その結果、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。
<他の実施形態について>
ところで、前述した実施形態では、隣接する複数本のラスタラインに共通の補正値を設定するものであった。この点に関し、複数本のラスタラインの濃度から特定のラスタラインにおける補正値を設定するようにしてもよい。以下、このように構成した他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態において、前述した実施形態との違いは、主にラスタライン毎に濃度の補正値を設定する処理(図24におけるステップS124)にある。従って、以下の説明では、この違いを中心に説明することにする。
この補正値を設定する処理において、検査ラインに設置されたコンピュータ1100Aは、各記録テーブルの各レコードに記録された測定値に基づいて、濃度の補正値を取得し、当該補正値をプリンタ1の補正値格納部63a(図22を参照。)に格納させる。この実施形態の補正値も、各ラスタラインの濃度に基づいて設定される。具体的には、そのラスタラインを含む複数(N本:N=2〜4)のラスタラインの仮補正値から設定される。
以下、ラスタライン毎の濃度補正値の設定について、詳細に説明する。ここで、図30は、濃度補正値の設定処理を説明するフローチャートであり、前述した実施形態における図26のフローチャートに対応する。このため、前述した実施形態と同じ処理については、同じ符号を付し、簡単に説明することとする。
まず、ステップS124a〜S124cにて、コンピュータ1100Aは、各ラスタラインの仮補正値を取得し、取得した仮補正値を記録テーブルの対応するレコードに記録する。これらの処理は、前述した実施形態の処理と同様である。すなわち、コンピュータ1100は、濃度測定値の平均値を目標値とする。そして、この目標値を、そのラスタラインの濃度測定値で除算し、仮補正値を取得する。全てのラスタラインについて、仮補正値を設定したならば、ステップS124dに進む。
このステップS124d、及び後述するステップS124j〜S124nの処理で、ラスタライン毎に補正値が設定される。この例では、特定のラスタラインの仮補正値と、搬送方向の両側に隣接する2本のラスタラインの仮補正値とから、特定のラスタラインの補正値が設定される。つまり、特定のラスタラインの補正値は、このラスタラインを間に挟んで連続する3本のラスタラインの仮補正値から設定される。以下、この設定処理について詳細に説明する。なお、以下の説明は、図27も参照して行う。
ステップS124dにて、コンピュータ1100Aは、基準となる副走査位置、つまり、補正値Hの設定対象となる特定のラスタラインを設定する。この例では、用紙上端側から順に補正値を設定するので、コンピュータ1100Aは、特定のラスタラインとして、最初に1番目のラスタラインr1を設定する。
特定のラスタラインを設定したならば、ステップS124jに進み、必要な仮補正値thを読み出す。この処理で、コンピュータ1100Aは、特定のラスタラインにおける仮補正値th、及びこのラスタラインから1本上端側に形成されたラスタラインの仮補正値th、及び、1本下端側に形成されたラスタラインの仮補正値thを読み出す。例えば、特定のラスタラインが2番目のラスタラインr2であった場合には、1番目のラスタラインr1(1本上端側のラスタライン)の仮補正値th1、2番目のラスタラインr2(特定のラスタライン)の仮補正値th2、及び3番目のラスタラインr3(1本下端側のラスタライン)の仮補正値th3が読み出される。
なお、特定のラスタラインが1番目のラスタラインr1であった場合、特定のラスタラインよりも上端側にはラスタラインが存在しない。この場合、コンピュータ1100は、特定のラスタラインの仮補正値thと、1本下端側に形成されたラスタラインの仮補正値thとを読み出す。同様に、特定のラスタラインが最終のラスタラインであった場合には、特定のラスタラインの仮補正値th、及び1本上端側のラスタラインの仮補正値thを読み出す。
各仮補正値thを読み出したならば、ステップS124kに進む。このステップS124kにてコンピュータ1100Aは、読み出した仮補正値thの平均値を算出する。この処理では、通常、特定のラスタラインの仮補正値th、特定のラスタラインから1本上端側のラスタラインの仮補正値th、及び特定のラスタラインから1本下端側のラスタラインの仮補正値thについての平均値が算出される。特定のラスタラインが2番目のラスタラインr2であった場合には、1番目のラスタラインr1、2番目のラスタラインr2、及び3番目のラスタラインr3に対応する各仮補正値th1〜th3についての平均値が算出される。
そして、この処理においても、特定のラスタラインが1番目のラスタラインr1であった場合には、1番目のラスタラインr1の仮補正値th1、及び2番目のラスタラインr2の仮補正値th2について平均値が取得される。同様に、特定のラスタラインが最終のラスタラインであった場合には、特定のラスタラインの仮補正値th、及び1本上端側のラスタラインの仮補正値thについての平均値が算出される。
平均値が算出されたならば、ステップS124lに進む。このステップS124lにてコンピュータ1100Aは、算出した平均値を特定のラスタラインにおける補正値Hとする。例えば、特定のラスタラインが1番目のラスタラインr1であった場合には、算出された平均値が1番目のラスタラインr1における補正値H1となる。同様に、特定のラスタラインが2番目のラスタラインであった場合には、算出された平均値が2番目のラスタラインr2における補正値H2となる。そして、コンピュータ1100Aは、算出された補正値Hを、プリンタ1の補正値格納部63aに格納させる。例えば、1番目のラスタラインr1における補正値H1が算出された場合には、コンピュータ1100Aは、この補正値H1をプリンタ1に送信し、補正値格納部63aの1番目のレコードに記録させる。
補正値を記録したならば、ステップS124mに進む。このステップS124mにてコンピュータ1100Aは、基準となる副走査位置(特定のラスタライン)を更新する。この実施形態では、前述したように、用紙上端側から順にラスタライン毎に補正値Hを設定するので、それまでの副走査位置Yをインクリメント(+1更新)することで、新たな副走査位置Yの情報を得る。
基準となる副走査位置を更新したならば、ステップS124nに進む。このステップS124nにてコンピュータ1100Aは、最終ラスタラインまで補正値Hを設定したか否かを判断する。この判断は、前述した実施形態と同様であり、更新された副走査位置Yと、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号とを比較することでなされる。例えば、コンピュータ1100Aは、更新された副走査位置Yが最終ラスタラインに対応するラスタライン番号を越えたことを条件に、最終ラスタラインまで補正値が設定されたものと判断する。そして、このステップ124nで、補正値Hが設定されていないラスタラインが残っていた場合には、ステップS124jに戻り、それらのラスタラインに対する補正値Hの設定を行う。一方、最終ラスタラインまで補正値Hが設定されたならば、一連の補正値設定処理を終了する。
このような補正値の設定方法によれば、前述した参考例の方法に比べ、隣接するラスタライン同士の濃度差(すなわち、規定濃度からの濃度差)が顕著な箇所にて、補正値を平滑化できる。ここで、図31は、前述した参考例の方法で設定した補正値と、この実施形態の方法で設定した補正値とを比較する図である。同図において、縦軸は補正値であり、横軸はラスタラインの番号を示している。また、図中の破線は、参考例の方法で設定された補正値であり、実線は、この実施形態の方法で設定された補正値である。
この図から判るように、この実施形態の方法で設定された補正値では、参考例の方法で設定された補正値に比べて、隣接するラスタラインの補正値ついて、その急激な変化が緩和されている。特に、前述した参考例における補正値のピークPK1,PK2に関しては、それぞれピークPK1b(約1.08),PK2b(約0.92)となっている。このことから、必要な濃度補正は行われつつ、粒状性の悪化が防止されることが判る。そして、このような補正値を用いて実際に印刷を行うと、前述の実施形態と同様に、濃度が過度に濃いラスタラインについては、間引かれるドットの数が参考例の方法を用いた場合よりも少なくなる。また、濃度が過度に薄いラスタラインについては、追加されるドットの数が参考例の方法を用いた場合よりも少なくなる。その結果、粒状性の悪化を防止しつつ、必要な補正を行うことができる。
加えて、この実施形態では、各ラスタラインに対して個別に補正値が設定されるので、そのラスタラインに最適な補正値を設定することができる。その結果、粒状性の悪化防止や濃度補正を、より適正に行うことができる。
ところで、この実施形態において、特定のラスタラインの補正値は、この特定ラスタラインに対応する仮補正値、及びこのラスタラインを挟んで搬送方向の両側に隣接するラスタラインの仮補正値から取得していたが、この方法に限定されるものではない。例えば、特定のラスタラインの補正値を、この特定ラスタラインに対応する仮補正値、及びこのラスタラインから搬送方向の一側に隣接するラスタラインの仮補正値から取得するようにしてもよい。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてプリンタ1について記載されているが、その中には、印刷装置、印刷方法、印刷システム1000等の開示が含まれている。また、一実施形態としてのプリンタ1等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<補正値について>
上記の各実施形態では、各ラスタラインの濃度に基づく仮補正値を設定し、この仮補正値の平均値を、そのラスタラインの補正値とする方法について説明したが、この方法に限られるものではない。例えば、仮補正値を介さず、複数のラスタラインの濃度からそのラスタラインの補正値を取得するように構成してもよい。
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタ1とスキャナ装置100とが個別に構成され、それぞれがコンピュータ1100に対して通信可能に接続されていた。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、プリンタ1の機能とスキャナ装置100の機能とを併せ持つ、所謂プリンタ・スキャナ複合機であってもよい。
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
<印刷方式について>
前述の実施形態では、印刷方式としてインターレース方式を例に説明したが、この印刷方式は、これに限るものではなく、所謂オーバーラップ方式を用いても良い。前述のインターレースでは、一つのラスタラインは一つのノズルにより形成されるところ、当該オーバーラップ方式では、一つのラスタラインが、二つ以上のノズルにより形成される。すなわち、このオーバーラップ方式では、用紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、キャリッジ移動方向に移動する各ノズルが、数画素おきに間欠的にインク滴を吐出することによって、キャリッジ移動方向に間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、他のノズルが既に形成されている間欠的なドットを補完するようにドットを形成することにより、1つのラスタラインが複数のノズルにより完成する。
<濃度補正対象について>
前述の実施形態では、ハーフトーン処理において補正値に基づく濃度補正が行われているが、この方法に限定されるものではない。例えば、解像度変換処理で得られたRGB画像データに対して、補正値に基づく濃度補正を行うように構成してもよい。
<インクを吐出するキャリッジ移動方向について>
前述の実施形態では、キャリッジ31の往方向の移動時にのみインクを吐出する単方向印刷を例に説明したが、これに限るものではなく、キャリッジ31の往復たる双方向移動時にインクを吐出する所謂双方向印刷を行っても良い。
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用紙S上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えば、これらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
印刷システムの全体構成の説明図である。 プリンタドライバが行う処理の説明図である。 ディザ法によるハーフトーン処理のフローチャートである。 ドットの生成率テーブルを示す図である。 ディザ法によるドットのオン・オフ判定を示す図である。 図6Aは、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスであり、図6Bは、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスである。 プリンタドライバのユーザーインタフェースの説明図である。 プリンタの全体構成のブロック図である。 プリンタの全体構成の概略図である。 プリンタの全体構成の横断面図である。 ノズルの配列を示す説明図である。 ヘッドユニットの駆動回路の説明図である。 各信号を説明するタイミングチャートである。 印刷時の動作のフローチャートである。 図15A及び図15Bは、インターレース方式の説明図である。 用紙の搬送方向に生じる濃度ムラを模式的に説明する図である。 図17Aは、理想的な状態で形成されたラスタラインを説明する図であり、図17Bは、或るノズル形成されたラスタラインが搬送方向にずれた状態で形成された状態を説明する図であり、図17Cは、参考例の方法で補正された状態を説明する図である。 図18Aは、参考例における補正前画像であり、図18Bは、参考例における補正後画像である。 本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。 補正値の設定に使用される機器を説明するブロック図である。 このコンピュータのメモリに設けられた記録テーブルの概念図である。 プリンタに設けられた補正値格納部の概念図である。 図23Aは、スキャナ装置の縦断面図であり、図23Bは、スキャナ装置の平面図である。 図19中のステップS120の手順を示すフローチャートである。 印刷された補正用パターンの一例を説明する図である。 濃度補正値の設定処理を説明するフローチャートである。 補正用パターンにおけるラスタライン、仮補正値、及び補正値の関係を説明する図である。 参考例の方法で設定した補正値と、本実施形態の方法で設定した補正値とを比較する図である。 図19中のステップS140に係るラスタライン毎の濃度補正の手順を示すフローチャートである。 濃度補正値の設定処理を説明するフローチャートである。 前述した参考例の方法で設定した補正値と、この実施形態の方法で設定した補正値とを比較する図である。
符号の説明
1 プリンタ,20 搬送ユニット,21 給紙ローラ,22 搬送モータ,
23 搬送ローラ,24 プラテン,25 排紙ローラ,30 キャリッジユニット,
31 キャリッジ,32 キャリッジモータ,40 ヘッドユニット,41 ヘッド,
50 センサ,51 リニア式エンコーダ,52 ロータリー式エンコーダ,
53 紙検出センサ,54 紙幅センサ,60 コントローラ,
61 インターフェース部,62 CPU,63 メモリ,64 ユニット制御回路,
644A 原駆動信号発生部,644B 駆動信号整形部,90 インクカートリッジ,
100 スキャナ装置,101 原稿,102 原稿台ガラス,
104 読取キャリッジ,106 露光ランプ,108 リニアセンサ,
1000 印刷システム,1100・1100A コンピュータ,
1102 ビデオドライバ,1104 アプリケーションプログラム,
1110 プリンタドライバ,1120 工程用補正プログラム,1200 表示装置,
1300 入力装置,1300A キーボード,1300B マウス,
1400 記録再生装置,1400A フレキシブルディスクドライブ装置,
1400B CD−ROMドライブ装置,
CP 補正用パターン

Claims (14)

  1. インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、
    前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、
    前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されていることを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記交差方向に隣接するN本のラインの濃度に基づき、設定されていることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記N本のラインは、
    2本から4本のラインであることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記N本のラインに対して共通の値に設定されていることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4に記載の印刷装置であって、
    前記N本のラインのそれぞれについて、そのラインの濃度に基づく仮補正値を取得し、
    前記共通の値は、
    前記N本のラインのそれぞれに対応する仮補正値の平均値であることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項2又は請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記N本のラインのそれぞれの濃度に基づき、特定のラインの補正値が設定されていることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項6に記載の印刷装置であって、
    前記N本のラインのそれぞれについて、そのラインの濃度に基づく仮補正値を取得し、
    前記特定のラインの補正値は、
    前記N本のラインのそれぞれに対応する仮補正値の平均値であることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項7に記載の印刷装置であって、
    前記仮補正値の平均値は、
    前記特定のラインに対応する仮補正値、及び当該ラインを挟んで前記交差方向の両側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値であることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項7に記載の印刷装置であって、
    前記仮補正値の平均値は、
    前記特定のラインに対応する仮補正値、及び当該ラインから前記交差方向の一側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値であることを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記ドット形成動作では、
    階調値に応じた濃度で前記ラインを形成し、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記階調値を変化させるものであることを特徴とする印刷装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の印刷装置であって、
    1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、
    複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成することを特徴とする印刷装置。
  12. インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、
    前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、
    前記ドット形成動作では、階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するとともに、前記階調値を変化させることで、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、且つ、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成し、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含むとともに前記交差方向に隣接する2本から4本のラインのそれぞれについて、各ラインの濃度に基づき取得された仮補正値の平均値であり、且つ、前記2本から4本のラインに対して共通の値に、或いは、前記2本から4本のラインの中の特定のラインに対して、設定され、
    前記特定のラインに対して設定するにあたり、
    当該特定のラインに対応する仮補正値、及び当該特定のラインを挟んで前記交差方向の両側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値、或いは、当該特定のラインに対応する仮補正値、及び当該特定のラインから前記交差方向の一側に隣接するラインに対応する仮補正値の平均値とすることを特徴とする印刷装置。
  13. 所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷方法において、
    前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、
    前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されることを特徴とする印刷方法。
  14. コンピュータと印刷装置とが通信可能に接続された印刷システムであって、
    前記印刷装置は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷システムにおいて、
    前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、前記ライン毎に設定し、
    前記ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成し、
    前記ライン毎の補正値は、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンを構成するライン群のうち、そのラインを含む複数の前記ラインの濃度に基づき、設定されることを特徴とする印刷システム。
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