JP2010188741A - 印刷方法、及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷画像の品質を高める。
【解決手段】 所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、媒体を移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを、前記交差方向に複数形成して画像を印刷する印刷装置において、画像における交差方向の濃度を補正する補正値をライン毎に設定する。ドット形成動作では、前記補正値に基づき補正された濃度となるように、対応するラインのドットを形成させる。そして、補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められる。
【選択図】 図28

Description

本発明は、高品質な画像を印刷可能な印刷装置、印刷方法、及び印刷システムに関する。
画像を印刷する印刷装置として、媒体としての用紙にインクを吐出してドットを形成するインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタという。)が知られている。このプリンタは、キャリッジとともに移動する複数のノズルからインクを吐出して用紙にドットを形成するドット形成動作と、搬送ユニットにより用紙を移動方向と交差する交差方向(以下、搬送方向ともいう。)に搬送する搬送動作とを交互に繰り返す。これらの動作の繰り返しにより、用紙には、キャリッジの移動方向に沿う複数のドットから構成されたラスタラインが形成される。そして、このラスタラインが搬送方向に複数形成されることで画像が印刷される。
この種のプリンタでは、インク滴の量や飛行方向などのインク滴の吐出特性が、ノズル毎にばらつく。この吐出特性のばらつきは、印刷画像の濃度ムラの原因となるため好ましくない。そこで、従来は、ノズル毎に補正値を設定し、設定された補正値に基づいて、インクの量を調整していた(例えば、特許文献1を参照。)。
この従来の方法では、ノズル毎のインク吐出量の特性を示す出力特性係数を、ヘッド特性レジスタに記憶させている。そして、インク滴の吐出時に、この出力特性係数を用いることで、印刷画像の濃度ムラを防止している。
特開平2−54676号公報(第2頁,第4図)
ところで、前述した従来の方法は、ノズル毎の吐出量を補正するものであり、インク滴の飛行曲がりに起因する濃度ムラについては考慮されていない。この濃度ムラは、ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置に関し、正規の位置よりも搬送方向へずれることによって生じる。すなわち、隣り合うラスタライン同士の間隔が、規定の間隔よりも狭くなったり、広くなったりすることで生じる。従って、この濃度ムラは、各ラスタラインを担当するノズルの組み合わせに起因して生じる。このため、前述した従来の方法では、各ラスタラインを担当するノズルの順序がヘッドにおけるノズルの配列と異なった場合には、インク滴の飛行曲がりに起因する濃度ムラが生じ得る。
例えば、印刷方式としてインターレース方式を採用した場合には、濃度ムラが生じる場合がある。このインターレース方式とは、1回のドット形成動作で形成されるラスタライン同士の間に、形成されないラスタラインを設定し、複数回のドット形成動作で全てのラスタラインを補完的に形成する印刷方式であって、隣り合うラスタラインを同じノズルで印刷しない印刷方式である。そして、このインターレース方式では、印刷画像における隣り合うラスタラインを担当するノズルの順序が、ヘッドにおけるノズルの配列と異なる場合があり、この場合には飛行曲がりに起因する濃度ムラが生じ得る。そして、このような濃度ムラが生じることにより、印刷画像の品質が低下してしまうことになる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷画像の品質を高めることのできる印刷装置、印刷方法、及び印刷システムを実現することにある。
主たる発明は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷装置において、
前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、
前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、
前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
印刷システムの全体構成の説明図である。 プリンタドライバが行う処理の説明図である。 ディザ法によるハーフトーン処理のフローチャートである。 ドットの生成率テーブルを示す図である。 ディザ法によるドットのオン・オフ判定を示す図である。 図6Aは、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスであり、図6Bは、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスである。 プリンタドライバのユーザーインタフェースの説明図である。 プリンタの全体構成のブロック図である。 プリンタの全体構成の概略図である。 プリンタの全体構成の横断面図である。 ノズルの配列を示す説明図である。 ヘッドユニットの駆動回路の説明図である。 各信号を説明するタイミングチャートである。 印刷時の動作のフローチャートである。 図15A及び図15Bは、インターレース方式の説明図である。 用紙の搬送方向に生じる濃度ムラを模式的に説明する図である。 図17Aは、理想的な状態で形成されたラスタラインを説明する図であり、図17Bは、或るノズル形成されたラスタラインが搬送方向にずれた状態で形成された状態を説明する図であり、図17Cは、参考例の方法で補正された状態を説明する図である。 図18Aは、参考例における補正前画像であり、図18Bは、参考例における補正後画像である。 本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。 補正値の設定に使用される機器を説明するブロック図である。 このコンピュータのメモリに設けられた記録テーブルの概念図である。 プリンタに設けられた補正値格納部の概念図である。 図23Aは、スキャナ装置の縦断面図であり、図23Bは、スキャナ装置の平面図である。 図19中のステップS120の手順を示すフローチャートである。 印刷された補正用パターンの一例を説明する図である。 標準の補正値の設定処理を説明するフローチャートである。 ラスタライン毎の濃度補正の手順を示すフローチャートである。 図28Aは、標準の補正値が0.2(20%)の場合、及び−0.2(−20%)の場合における、標準の補正値、及び低濃度側の補正値を説明する図である。図28Bは、基準濃度及び所定濃度と、対応する基準係数とについて具体例を説明する図である。図28Cは、定められる変更係数を説明する図である。 補正値を定める処理を説明するフローチャートである。 事前処理にて取得された補正値を比較する図である。 図31Aは、第2実施形態における標準の補正値と、対応する低濃度側の補正値とを説明する図である。図31Bは、第2実施形態における基準濃度及び対応する基準係数と、所定濃度及び対応する基準係数とについて、具体例を説明する図である。図31Cは、第2実施形態において定められる変更係数を説明する図である。 図32Aは、第3実施形態における標準の補正値、及び低濃度側の補正値を説明する図である。図32Bは、第3実施形態における標準の補正値と対応する低濃度側の補正値の具体例を説明する図である。 図33Aは、第3実施形態の他の例における標準の補正値、及び低濃度側の補正値を説明する図である。図33Bは、第3実施形態の他の例における標準の補正値と対応する低濃度側の補正値の具体例を説明する図である。
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷装置において、前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、各ラインに対応する補正値を用いてそのラインの濃度を補正するので、搬送方向に隣り合う各ラインを担当するノズルの順序が、ヘッドにおけるノズルの配列と異なっていても、各ラインを所望の濃度で形成することができる。これにより、印刷画像の品質を高めることができる。また、補正値に基づく濃度補正の度合いが、形成すべき画像の濃度に応じて定められるため、その画像に関し、ドットを過度に追加してしまったり、過度に間引いてしまったりする不具合を防止できる。その結果、必要な濃度補正を行いながらも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
かかる印刷装置であって、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものであることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、所定濃度未満の画像を印刷する際には、所定濃度以上の画像を形成する際に用いられる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくする補正値が用いられる。このため、所定濃度未満の画像に対しては、過度な濃度補正を抑えることができる。その結果、必要な濃度補正を行いながらも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
かかる印刷装置であって、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値は、前記補正用パターンの濃度を測定して得られた測定値に基づいて定められ、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に基づいて、定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、補正用パターンの濃度を測定して得られた測定値に基づいて所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値が定められ、この補正値を基にして、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値が定められる。このため、そのラインに適した補正値を精度良く定めることができる。その結果、濃度補正と粒状性の悪化防止とをより高いレベルで実現できる。
かかる印刷装置であって、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に対する比率を示し、形成される画像の濃度に応じて変動される変更係数を有し、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値を、前記変更係数によって変更することで、定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値を変更係数によって変更することで、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値を定めるので、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値をライン毎に有さなくてもよい。このため、印刷装置が有する情報の量を少なくすることができる。
かかる印刷装置であって、前記所定濃度未満の濃度範囲内に、少なくとも1つの基準濃度を定めるとともに、該基準濃度に対応させて変更基準係数を定め、前記所定濃度に対応させて範囲外基準係数を定め、前記変更係数は、前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組との相関関係に基づき、定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、基準濃度及び変更基準係数の組と所定濃度及び範囲外基準係数の組との相関関係に基づき、変更係数が定められるので、基準濃度以外の濃度であっても、対応する変更係数を精度良く定めることができる。
かかる印刷装置であって、前記変更係数は、前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組との間の一次補間によって定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、一次補間を用いて変更係数を定めているので、変更係数を定めるための処理を簡素化でき、インク滴の高周波吐出にも容易に対応できる。
かかる印刷装置であって、前記基準濃度及び変更基準係数の組を、前記基準濃度が異なる複数組有し、前記変更基準係数は、前記基準濃度が低くなる程に、濃度補正の度合いを小さくするものである構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、前記所定濃度未満の濃度範囲内にて濃度の変化量に対する変更係数の変化量が一定でない場合でも、変更係数を精度良く定めることができる。
かかる印刷装置であって、前記基準濃度は、前記画像における最低濃度であり、前記濃度範囲内に1つ定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、最低濃度に対応する変更基準係数と所定濃度に対応する範囲外基準係数とに基づき、変更係数が定められるので、印刷装置は変更基準係数と範囲外基準係数の情報を有すればよく、印刷装置が有する情報の量を少なくすることができる。
かかる印刷装置であって、前記所定濃度未満の濃度範囲内に複数の副濃度範囲を定め、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、その副濃度範囲に対応する所定比率を乗じることで、前記副濃度範囲毎に定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、対応する所定比率を乗じることで、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値を求めることができる。このため、補正値を取得するための処理を簡素化することができ、インクの高周波吐出にも容易に対応することができる。
かかる印刷装置であって、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、形成される画像の濃度に関わらず一定の所定比率を乗じることで、定められる構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、所定比率を乗じることで、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値を求めることができる。このため、補正値を取得するための処理をより簡素化することができ、インクの高周波吐出にも容易に対応することができる。
かかる印刷装置であって、前記ドット形成動作は、階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するものであり、前記補正値は、前記階調値を変化させるものである構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、濃度に関する階調値を補正値によって変化させるので、濃度補正に関する処理を簡素化することができ、インクの高周波吐出に対応できる。
かかる印刷装置であって、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成する構成が望ましい。
このような印刷装置によれば、隣り合うラインを担当するノズルの関係は、ノズル列を構成するノズルの配列(並び順)とは一致しない場合があり得るが、このような場合でも、画像の濃度ムラを効果的に抑制できる。
また、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷装置において、前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、前記ドット形成動作は、階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するものであって、前記補正値に基づいて前記階調値を変化させることで濃度補正を行うものであり、且つ、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成するものであり、前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められ、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものとされ、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値は、前記補正用パターンの濃度を測定して得られた測定値に基づいて定められ、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に対する比率を示し、形成される画像の濃度に応じて変動される変更係数を有し、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値を、前記変更係数によって変更することで定められ、前記所定濃度未満の濃度範囲内に、少なくとも1つの基準濃度を定めるとともに、該基準濃度に対応させて変更基準係数を定め、前記所定濃度に対応させて範囲外基準係数を定め、前記変更係数は、前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組の間の一次補間によって定められ、前記基準濃度は、前記画像における最低濃度であって、前記濃度範囲内に1つ定められ、或いは、前記基準濃度及び変更基準係数の組を、前記基準濃度が異なる複数組有し、前記変更基準係数は、前記基準濃度が低くなる程に、濃度補正の度合いを小さくするものとされ、又は、前記所定濃度未満の濃度範囲内に複数の副濃度範囲を定め、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、その副濃度範囲に対応する所定比率を乗じることで、前記副濃度範囲毎に定められ、又は、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、形成される画像の濃度に関わらず一定の所定比率を乗じることで、定められることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
また、所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷方法において、前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする印刷方法を実現することができる。
また、コンピュータと印刷装置とが通信可能に接続された印刷システムであって、前記印刷装置は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷システムにおいて、前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする印刷システムを実現することもできる。
===印刷システムの構成===
次に、印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、印刷システム1000の外観構成を示した説明図である。この印刷システム1000は、プリンタ1と、コンピュータ1100と、表示装置1200と、入力装置1300と、記録再生装置1400とを備えている。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。なお、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図9を参照。)を例に挙げて説明することにする。コンピュータ1100は、プリンタ1と通信可能に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置1200は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラム1104やプリンタドライバ1110(図2を参照。)等のユーザーインタフェースを表示する。入力装置1300は、例えばキーボード1300Aやマウス1300Bであり、表示装置1200に表示されたユーザーインタフェースに沿って、アプリケーションプログラム1104の操作やプリンタドライバ1110の設定等に用いられる。記録再生装置1400は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置1400AやCD−ROMドライブ装置1400Bが用いられる。
コンピュータ1100にはプリンタドライバ1110がインストールされている。プリンタドライバ1110は、表示装置1200にユーザーインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバ1110は、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、このプリンタドライバ1110は、インターネットを介してコンピュータ1100にダウンロードすることも可能である。そして、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ1100とのシステムを意味する。
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバ1110が行う基本的な処理の概略的な説明図である。なお、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ1100では、このコンピュータ1100に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ1102、アプリケーションプログラム1104、及びプリンタドライバ1110などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ1102は、アプリケーションプログラム1104やプリンタドライバ1110からの表示命令に従って、例えばユーザーインタフェース等を表示装置1200に表示させる機能を有する。アプリケーションプログラム1104は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザーは、アプリケーションプログラム1104のユーザーインタフェースを介して、アプリケーションプログラム1104により編集した画像を印刷するための指示を与えることができる。アプリケーションプログラム1104は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ1110に画像データを出力する。
プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタ1に出力する。画像データは、印刷される画像の画素に関するデータとして画素データを有している。そして、この画素データは、後述する各処理の段階に応じて、その階調値等が変換され、最終的に印刷データの段階では、用紙上に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)に変換される。ここで、印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、前述した画素データと、各種のコマンドデータとを有するデータである。また、コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータであり、例えば搬送量を示すデータである。
なお、画素とは、インクを着弾させドットを形成する位置を規定するために、用紙上に仮想的に定められた方眼状の升目である。言い換えると、この画素は、ドットを形成し得る媒体上の領域であり、「ドットの形成単位」と表現することもできる。
プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを行う。以下、プリンタドライバ1110が行う各種の処理について説明する。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム1104から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、用紙Sに画像を印刷する際の解像度(印刷するときのドットの間隔であり、印刷解像度ともいう。)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合には、アプリケーションプログラム1104から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。この変換方法としては、画素データの補間や間引きなどがある。例えば、画像データの解像度が、指定された印刷解像度よりも低い場合には、一次補間等を行って隣り合う画素データ同士の間に新たな画素データを生成する。逆に、画像データの解像度が、指定された印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合で画素データを間引く等して、画像データの解像度を印刷解像度に揃える。また、この解像度変換処理においては、画像データに基づいて印刷領域(実際にインクが吐出される領域)のサイズ調整も行う。
なお、この画像データ中の各画素データは、RGB色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータである。以下、このRGBの階調値を有する画素データのことをRGB画素データと言い、また、これらRGB画素データから構成される画像データをRGB画像データと言う。
色変換処理は、前述したRGB画像データの各RGB画素データを、CMYK色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を有するデータに変換する処理である。このCMYKは、プリンタ1が有するインクの色である。すなわち、Cはシアンを意味する。また、Mはマゼンタを、Yはイエローを、Kはブラックをそれぞれ意味する。以下、このCMYKの階調値を有する画素データのことをCMYK画素データといい、これらCMYK画素データから構成される画像データのことをCMYK画像データという。この色変換処理は、RGBの階調値とCMYKの階調値とを対応付けたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ1110が参照することによって行われる。
ハーフトーン処理は、多段階の階調値を有するCMYK画素データを、プリンタ1が表現可能な、少段階の階調値を有するCMYK画素データに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256段階の階調値を示すCMYK画素データが、4段階の階調値を示す2ビットのCMYK画素データに変換される。この2ビットのCMYK画素データは、各色について、例えば、「ドットの形成なし」(2進数の値として「00」)、「小ドットの形成」(同じく「01」)、「中ドットの形成」(同じく「10」)、「大ドットの形成」(同じく「11」)を示すデータである。
このようなハーフトーン処理には、例えばディザ法等が利用され、プリンタ1がドットを分散して形成できるような2ビットのCMKY画素データを作成する。なお、このディザ法によるハーフトーン処理については、後述する。また、このハーフトーン処理に用いる方法は、ディザ法に限るものではなく、γ補正法や誤差拡散法等を利用しても良い。そして、本実施形態では、このハーフトーン処理において、補正値に基づく画素データの変換が行われる。この変換処理については、後で詳細に説明する。
ラスタライズ処理は、ハーフトーン処理がなされたCMYK画像データを、プリンタ1へ転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、前述した印刷データとしてプリンタ1に出力される。
<ディザ法によるハーフトーン処理について>
ここで、ディザ法によるハーフトーン処理について詳細に説明する。図3は、このディザ法によるハーフトーン処理のフローチャートである。プリンタドライバ1110は、当該フローチャートに従って、以下のステップを実行する。
まず、ステップS300において、プリンタドライバ1110は、CMYK画像データを取得する。このCMYK画像データは、例えば、C,M,Y,Kの各インク色につき256段階の階調値で示された画像データから構成される。すなわち、CMYK画像データは、シアン(C)に関するC画像データ、マゼンタ(M)に関するM画像データ、イエロー(Y)に関するY画像データ、及びブラック(K)に関するK画像データを有している。そして、これらC,M,Y,K画像データは、それぞれに、各インク色の階調値を示すC,M,Y,K画素データから構成されている。なお、以下の説明は、C,M,Y,K画像データの何れについてもあてはまるため、これらを代表してK画像データについて説明する。
プリンタドライバ1110は、K画像データ中の全てのK画素データを対象として、ステップS301からステップS311までの処理を、処理対象のK画素データを順次変えながら実行する。これらの処理により、K画像データを、K画素データ毎に、前述した4段階の階調値を示す2ビットデータに変換する。
この変換処理について詳しく説明する。まず、ステップ301では、処理対象のK画素データの階調値に応じて、大ドットのレベルデータLVLを設定する。この設定には、例えば生成率テーブルが用いられる。図4は、大、中、小の各ドットに対するレベルデータの設定に利用される生成率テーブルを示す図である。同図において、横軸は階調値(0〜255)、左側の縦軸はドットの生成率(%)、右側の縦軸はレベルデータである。
ここで、レベルデータとは、ドットの生成率を値0〜255の256段階に変換したデータをいう。また、「ドットの生成率」とは、一定の階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちでドットが形成される画素の割合を意味する。例えば、ある階調値におけるドット生成率が、大ドット65%、中ドット25%、及び小ドット10%であり、このドット生成率で、縦方向に10画素であって横方向に10画素からなる100画素の領域内を印刷したとする。この場合には、100画素のうち大ドットが形成される画素が65個、中ドットが形成される画素が25個、小ドットが形成される画素が10個となる。そして、図4中の細い実線で示されるプロファイルSDが小ドットの生成率を示している。また、太い実線で示されるプロファイルMDが中ドットの生成率を、破線で示されるプロファイルLDが大ドットの生成率をそれぞれ示している。
また、この生成率テーブルにおいて、横軸の階調値は、印刷される画像の濃度(以下、画像濃度ともいう。)と表現することもできる。すなわち、階調値0は、全ての画素にドットが形成されないため最低濃度であり、画像濃度0%と表現することができる。一方、階調値256は、全ての画素に大ドットを形成するため最高濃度であり、画像濃度100%と表現することができる。また、階調値128は、これらの濃度の中間であるため画像濃度50%と表現することができる。
そして、ステップS301では、大ドット用のプロファイルLDから階調値に応じたレベルデータLVLを読み取る。例えば、図4に示すように、処理対象のK画素データの階調値がgrであれば、レベルデータLVLはプロファイルLDとの交点から1dと求められる。実際には、このプロファイルLDは、コンピュータ1100内に設けられたROM等のメモリ(図示せず)に、例えば、1次元のテーブルの形態で記憶されている。そして、プリンタドライバ1110は、このテーブルを参照することによりレベルデータを求める。
ステップS302では、以上のようにして設定されたレベルデータLVLが閾値THLより大きいか否かを判定する。ここでは、ディザ法によるドットのオン・オフ判定を行う。閾値THLは、所謂ディザマトリクスの各画素ブロックに対して異なる値が設定されている。本実施形態では16×16の正方形の画素ブロックに、0〜254までの値が現れるディザマトリックスを用いている。
図5は、ディザ法によるドットのオン・オフ判定を示す図である。図示の都合上、図5には、一部のK画素データについてのみ示している。まず、各K画素データのレベルデータLVLを、当該K画素データに対応するディザマトリクス上の画素ブロックの閾値THLと比較する。そして、このレベルデータLVLの方が閾値THLよりも大きい場合にはドットをオンにし(つまり、ドットを形成し)、レベルデータLVLの方が小さい場合にはドットをオフにする(つまり、ドットを形成しない)。同図においては、ドットのマトリクスにおいて、網掛けを施した領域の画素データが、ドットをオンにするK画素データである。すなわち、ステップS302において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、ステップS310に進み、それ以外の場合にはステップS303に進む。ここで、ステップS310に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、大ドットを示す画素データ(2ビットデータ)として値「11」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップS311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。一方、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。
ステップS303に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、中ドットのレベルデータLVMを設定する。中ドットのレベルデータLVMは、その階調値に基づいて、前述の生成率テーブルにより設定される。この中ドットのレベルデータLVMの設定方法は、大ドットのレベルデータLVLの設定と同様である。すなわち、図4の例において、階調値grに対応するレベルデータLVMは、中ドットの生成率を示すプロファイルMDとの交点で示される2dとして求められる。
次に、ステップS304では、中ドットのレベルデータLVMと閾値THMの大小関係が比較され、中ドットのオン・オフ判定が行われる。オン・オフ判定の方法は、大ドットの場合と同様である。ここで、中ドットのオン・オフ判定では、判定に用いる閾値THMを、大ドットの場合の閾値THLとは異なる値としている。すなわち、大ドットと中ドットで同じディザマトリクスを用いてオン・オフ判定を行うと、ドットがオンになりやすい画素ブロックが両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高くなる。その結果、中ドットの生成率は所望の生成率よりも低くなる虞がある。このような現象を回避するため、本実施形態では、大ドットと中ドットとでディザマトリクスを変えている。つまり、オンになり易くなる画素ブロックを、大ドットと中ドットとで変えることで、それぞれのドットが適切に形成されるようにしている。
図6A及び図6Bは、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスと、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスとの関係について示す図である。この実施形態において、大ドットについては、図6Aの第1のディザマトリクスTMを用いる。また、中ドットについては、図6Bの第2のディザマトリクスUMを用いる。この第2のディザマトリクスUMは、第1のディザマトリクスTMにおける各閾値を、搬送方向(図における上下方向に相当する。)の中央を中心として対称に移動したものである。なお、本実施形態では、先に述べたように16×16のマトリクスを用いているが、図示の都合上、図6には4×4のマトリクスで示している。また、大ドットと中ドットで全く異なるディザマトリクスを用いるようにしても良い。
そして、ステップS304において、プリンタドライバ1110は、中ドットのレベルデータLVMが中ドットの閾値THMよりも大きい場合には、中ドットをオンにすべきと判定して、ステップS309に進み、それ以外の場合にはステップS305に進む。ここで、ステップS309に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、中ドットを示す画素データ「10」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップ311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。一方、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。
ステップS305に進んだ場合には、大ドットや中ドットのレベルデータの設定と同様にして、小ドットのレベルデータLVSを設定する。なお、小ドット用のディザマトリクスは、小ドットの生成率の低下を防ぐため、前述したように中ドットや大ドット用のものと異なるものとするのが望ましい。
そして、ステップS306において、プリンタドライバ1110は、レベルデータLVSと小ドットの閾値THSとを比較し、レベルデータLVSが小ドットの閾値THSよりも大きい場合には、ステップS308に進み、それ以外の場合にはステップS307に進む。ここで、ステップS308に進んだ場合には、当該処理対象のK画素データに対して、小ドットを示す画素データ「01」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップ311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判断し、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。一方、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。
ステップS307に進んだ場合には、プリンタドライバ1110は、当該処理対象のK画素データに対して、ドット無しを示す画素データ「00」を対応付けて記録し、ステップS311に進む。そして、当該ステップS311において、全てのK画素データについて処理を終了したか否かを判定し、終了していない場合には、処理対象を未処理のK画素データに移して、ステップS301に戻る。一方、終了している場合には、ハーフトーン処理を終了する。
<プリンタドライバの設定について>
図7は、プリンタドライバ1110のユーザーインタフェースの説明図である。このプリンタドライバ1110のユーザーインタフェースは、ビデオドライバ1102を介して、表示装置1200に表示される。ユーザーは、入力装置1300を用いて、プリンタドライバ1110の各種の設定を行うことができる。基本設定としては、余白形態モードや画質モードの設定が用意され、また用紙設定としては、用紙サイズモードの設定等が用意されている。そして、プリンタドライバ1110は、このユーザーインタフェースによる設定に基づいて、印刷解像度や用紙Sの大きさを認識する。
===プリンタの構成===
<プリンタの構成について>
図8は、本実施形態のプリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図9は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の概略図である。また、図10は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態のプリンタ1の基本的な構成について説明する。
このプリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、センサ50、及びコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ1100から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ1100から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、用紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況はセンサ50によって監視されており、センサ50は、検出結果をコントローラ60に出力する。そして、センサ50からの検出結果を受けたコントローラ60は、その検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(すなわち、搬送方向)に所定の搬送量で用紙Sを搬送させるためのものである。ここで、用紙Sの搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向であり、請求項に係る「交差方向」に相当する。また、この搬送方向は、副走査方向とも表現することができる。このため、以下の説明では、搬送方向の位置を副走査位置と表現することもある。この搬送ユニット20は、用紙Sを搬送する搬送機構として機能し、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータともいう。)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21はD形の断面形状をしており、円周部分の長さは、搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されている。このため、この円周部分を用紙表面に当接させた状態で給紙ローラ21を回転させることにより、用紙Sを搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送するためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、用紙Sの裏面側から支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送方向へ搬送するためのローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31とキャリッジモータ32(CRモータ)とを備える。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を所定の方向(以下では、キャリッジ移動方向ともいう。)に往復移動させるためのモータであり、例えばDCモータにより構成される。このキャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジ90を着脱可能に保持している。また、このキャリッジ31には、ノズルからインクを吐出するヘッド41が取り付けられる。このため、キャリッジ31の往復移動によって、ヘッド41及びノズルもキャリッジ移動方向に往復移動する。従って、このキャリッジ移動方向が、請求項に係る「移動方向」に相当する。なお、このキャリッジ移動方向は、主走査方向とも表現できる。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものである。このヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。このヘッド41は、ノズルを複数有しており、各ノズルから断続的にインクを吐出する。そして、ヘッド41がキャリッジ移動方向に移動している最中に、ノズルからインクを断続的に吐出することにより、用紙Sにラスタラインが形成される。このラスタラインは、キャリッジ移動方向に沿った複数のドットから構成され、請求項に係る「ライン」に相当する。なお、ヘッド41の構成、このヘッド41を駆動するための駆動回路、及びヘッド41の駆動方法については、後で説明する。
センサ50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び紙幅センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31(ヘッド41)のキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。例示したリニア式エンコーダ51は、走査方向に沿って架設された帯状のスリット板と、キャリッジ31に取り付けられ、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものであり、搬送ローラ23の回転に伴って回転する円盤状のスリット板と、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。紙検出センサ53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が用紙Sを搬送ローラ23に向かって搬送する途中で、用紙Sの先端位置を検出できる位置に設けられている。なお、本実施形態における紙検出センサ53は、機械的な機構によって用紙Sの先端を検出するメカニカルセンサである。紙幅センサ54は、キャリッジ31に取り付けられている。本実施形態では、図11に示すように、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズルとほぼ同じ位置に取り付けられている。この紙幅センサ54は、光学センサであり、発光部から用紙Sに照射された光の反射光を受光部にて受光する。そして、受光部での受光強度に基づいて用紙Sの有無が検出できる。
コントローラ60は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ1100とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等が用いられ、記憶手段を構成する。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従い、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。また、本実施形態では、このメモリ63の一部領域を、標準の補正値等(後述する)を格納するための補正値格納部63aとして利用している。
<ヘッドの構成について>
図11は、ヘッド41の下面(つまり、用紙Sとの対向面)におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Nkと、シアンインクノズル列Ncと、マゼンタインクノズル列Nmと、イエローインクノズル列Nyが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを、n個(例えば、n=180)備えている。各ノズル列の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ、つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。図示の例において、各ノズル列のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯n)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯nよりも搬送方向の下流側(つまり、用紙Sの上端側)に位置している。
そして、このようなノズル列をヘッド41に設けると、一回のドット形成動作でドットが形成される範囲が広くなり、印刷時間の短縮化が図れる。また、これらのノズル列は、インクの色毎に備えられているので、これらの各ノズル列から適宜インクを吐出させることで、多色印刷を行うことができる。また、各ノズルに連通するインク流路の途中には圧力室(図示せず)が設けられている。各圧力室には、各ノズルからインク滴を吐出させるための駆動素子として、例えばピエゾ素子(図示せず)が設けられている。
<ヘッドの駆動について>
図12は、ヘッド41の駆動回路の説明図である。この駆動回路は、前述のユニット制御回路64内に設けられている。この図に示すように、駆動回路は、原駆動信号発生部644Aと、駆動信号整形部644Bとを備えている。本実施形態では、この駆動回路が、ノズル列毎、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のノズル列毎に設けられ、ノズル列毎にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。なお、図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
前述したピエゾ素子は、駆動パルスW1,W2(図13を参照。)が供給される毎に変形し、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる。即ち、ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧が印加されると、電圧の印加時間に応じて変形し、圧力室の一部を区画する弾性膜(側壁)を変形させる。このピエゾ素子の変形に応じて圧力室の容積が変化し、圧力室の容積変化によって圧力室内のインクに圧力変動が生じる。そして、インクに生じた圧力変動により、対応するノズル♯1〜♯180からインク滴が吐出される。
原駆動信号発生部644Aは、各ノズル♯1〜♯nに共通して用いられる原駆動信号ODRVを生成する。本実施形態における原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内(1つのノズルが一画素に対応する升目を横切る時間内)に複数の駆動パルスW1,W2を含む信号である。駆動信号整形部644Bには、原駆動信号発生部644Aから原駆動信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。駆動信号整形部644Bは、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)として各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子に向けて出力する。そして、各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子は、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRVに基づき駆動される。
<ヘッドの駆動信号について>
図13は、各信号を説明するタイミングチャートである。すなわち、同図には、原駆動信号ODRVと、印刷信号PRT(i)と、駆動信号DRV(i)の各信号のタイミングチャートが示されている。
前記したように、原駆動信号ODRVは、ノズル♯1〜♯nに対して共通に用いられる信号であり、原駆動信号発生部644Aから駆動信号整形部644Bに出力される。本実施形態の原駆動信号ODRVは、1つのノズルが一画素の間隔を横切る時間内において、第1パルスW1と第2パルスW2の2つの駆動パルスを含んでいる。そして、第1パルスW1はノズルから小サイズのインク滴(以下、小インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。また、第2パルスW2はノズルから中サイズのインク滴(以下、中インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。すなわち、第1パルスW1をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは小インク滴が吐出される。そして、この小インク滴が用紙Sに着弾すると、小サイズのドット(小ドット)が形成される。同様に、第2パルスW2をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは中インク滴が吐出される。そして、この中インク滴が用紙Sに着弾すると、中サイズのドット(中ドット)が形成される。
印刷信号PRT(i)は、一画素に対して割り当てられている画素データに対応した信号、つまり、印刷データに含まれる画素データに応じた信号である。本実施形態の印刷信号PRT(i)は、一画素に対して2ビットの情報を有する信号になっている。そして、駆動信号整形部644Bは、印刷信号PRT(i)の信号レベルに応じて原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)を出力する。
この駆動信号DRVは、印刷信号PRTのレベルに応じて原駆動信号ODRVを遮断することで得られる。すなわち、印刷信号PRTのレベルが「1」のとき、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRV中の対応する駆動パルスをそのまま通過させて駆動信号DRV(i)とする。一方、印刷信号PRTのレベルが「0」のとき、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRV中の対応する駆動パルスを遮断する。そして、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRV(i)は、対応するピエゾ素子に対し、個別に供給される。従って、ピエゾ素子は、供給された駆動信号DRV(i)に応じて駆動される。
印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「01」に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素の区間内における前半で出力される。これにより、ノズルから小インク滴が吐出され、用紙Sには小ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「10」に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素の区間内における後半で出力される。これにより、ノズルから中インク滴が吐出され、用紙Sに中ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「11」に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素の区間内で出力される。これにより、ノズルから小インク滴と中インク滴とが続けて吐出され、用紙Sには大サイズのドット(大ドット)が形成される。なお、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「00」に対応しているとき、第1パルスW1及び第2パルスW2のいずれも一画素の区間内では出力されない。これにより、ノズルからはいずれのサイズのインク滴も吐出されず、用紙Sにはドットが形成されない。
以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の4つの異なる値に応じ、互いに異なる4種類の波形を有するように整形される。ここで、本実施形態では、2ビットの画素データの内容と印刷信号の内容とが一致している。すなわち、画素データと印刷信号のいずれも、ドットの非形成が2ビットデータ「00」であり、小ドットの形成が2ビットデータ「01」である。また、中ドットの形成が2ビットデータ「10」であり、大ドットの形成が2ビットデータ「11」である。従って、ヘッド41の駆動回路は、印刷データに含まれる画素データを、印刷信号PRT(i)として用いる。
<印刷動作について>
図14は、印刷時の動作のフローチャートである。以下に説明される各動作は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。
印刷命令受信(S001):コントローラ60は、コンピュータ1100からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ1100から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙動作、搬送動作、ドット形成動作等を行う。
給紙動作(S002):次に、コントローラ60は、給紙動作を行う。給紙動作とは、印刷対象となる用紙Sを移動させ、印刷開始位置(所謂、頭出し位置)に位置決めする処理である。すなわち、コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラ23まで送る。続いて、コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。なお、用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向する。
ドット形成動作(S003):次に、コントローラ60は、ドット形成動作を行う。ドット形成動作とは、キャリッジ移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙Sにドットを形成する動作である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31をキャリッジ移動方向に移動させる。また、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41(ノズル)からインクを吐出させる。そして、ヘッド41から吐出されたインクが用紙上に着弾すれば、前述したように、用紙上にドットが形成される。すなわち、このドット形成動作により、用紙上には、ラスタラインが形成される。このとき、印刷データに含まれる各画素データは、ハーフトーン処理にて補正値に基づく変換が行われている。そして、このドット形成処理では、補正値に基づく変換が行われた画素データを用いて画像を形成している。その結果、補正値に基づく濃度補正が実現される。
搬送動作(S004):次に、コントローラ60は、搬送動作を行う。搬送動作とは、用紙Sを、ヘッド41に対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送モータ22を駆動し、搬送ローラ23を回転させて用紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送動作により、ヘッド41は、先程のドット形成動作によって形成されたドットの位置(副走査位置)とは異なる位置に、ドットを形成することができる。
排紙判断(S005):次に、コントローラ60は、印刷中の用紙Sについて排紙の判断を行う。この判断時において、印刷中の用紙Sに印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ドット(ラスタライン)から構成される画像を徐々に用紙Sに印刷する。印刷中の用紙Sに印刷するためのデータがなくなったならば、コントローラ60は、その用紙Sを排出する。すなわち、コントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることにより、印刷した用紙Sを外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行っても良い。
印刷終了判断(S006):次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の用紙Sに印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の用紙Sの給紙動作を開始する。次の用紙Sに印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
===印刷方式について===
このような構成を有する本実施形態のプリンタ1では、インターレース方式による印刷が実行可能である。そして、このインターレース方式を用いることで、インクの吐出特性といったノズル毎の個体差を、印刷される画像上で分散し、目立たないようにしている。ここで、図15A及び図15Bは、インターレース方式の説明図である。以下、インターレース方式による印刷方法について説明する。
なお、説明の便宜上、ヘッド41の代わりとして示すノズル列が、用紙Sに対して移動しているように描かれているが、同図はノズル列と用紙Sとの相対的な位置関係を示すものであって、実際には用紙Sが搬送方向に移動される。また、同図において、黒丸で示されたノズルは、実際にインクを吐出するノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを吐出しないノズルである。加えて、図15Aは、1パス目〜4パス目におけるノズル位置と、そのノズルにてドットの形成の様子を示し、図15Bは、1パス目〜6パス目におけるノズル位置とドットの形成の様子を示している。ここで、「パス」とは、ノズル列がキャリッジ移動方向に1回移動することをいう。
図15A及び図15Bに例示するインターレース方式では、用紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで形成されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを形成する。このように搬送量を一定にして各ラスタラインを形成するためには、実際にインクを吐出するノズル数Nn(整数)はkと互いに素の関係にあり、搬送量FはNn・Dに設定される。
同図の例において、ノズル列は、搬送方向に沿って配列された4つのノズルを有するが、搬送量を一定にして各ラスタラインを形成するために、3つのノズルを用いてインターレース方式が行われている。また、3つのノズルが用いられるため、用紙Sは搬送量3・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて用紙Sにドットが形成される。
同図の例では、最初のラスタラインを3パス目でノズル♯1が形成し、2番目のラスタラインを2パス目でノズル♯2が形成し、3番目のラスタラインを1パス目でノズル♯3が形成し、4番目のラスタラインを4パス目でノズル♯1が形成し、連続的なラスタラインが形成される様子を示している。以後は、図15Bに示すように、同様な動作でラスタラインが順次形成される。
この例において、ノズル#3が担当するラスタラインの次には、ノズル#1が担当するラスタラインが形成される。そして、ノズル#3とノズル#1とは、ヘッド41において隣り合う関係にはない。このため、これらのラスタラインでは、担当するノズルの順序がヘッドにおけるノズルの配列と異なっているといえる。
===画像中の濃度ムラの発生原因について===
CMYKのインクを用いて多色印刷された画像中に生じる濃度ムラは、基本的には、その各インク色でそれぞれに生じる濃度ムラが原因である。このため、通常は、各インク色の濃度ムラをそれぞれ別々に抑制することによって、多色印刷された画像中の濃度ムラを抑制する方法が採られている。
そこで、以下では、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。ここで、図16は、単色印刷された画像中に生じる濃度ムラであって、用紙Sの搬送方向に生じる濃度ムラを模式的に説明する図である。そして、この図は、CMYKのうち1つのインク色、例えばブラックインクで印刷した画像の濃度ムラを示している。
図16に例示した搬送方向の濃度ムラは、キャリッジ移動方向に沿って平行な縞状(便宜上、横縞状ともいう。)に見えている。このような横縞状の濃度ムラは、例えば、ノズル毎のインク吐出量のばらつきによって発生するが、インクの飛行方向のばらつきによっても発生する。すなわち、この飛行方向のばらつきが生じると、用紙Sに着弾したインクによるドット形成位置が、目標形成位置に対して搬送方向にずれることとなる。この場合には、これらのドットが構成するラスタラインrの形成位置も搬送方向に関して目標形成位置からずれてしまう。このため、搬送方向に隣り合うラスタライン同士の間隔が空いたり詰まったりした状態となる。これを巨視的に見ると横縞状の濃度ムラとなって見えてしまう。すなわち、隣り合うラスタライン同士の間隔が相対的に広いラスタラインrは巨視的に薄く見え、間隔が相対的に狭いラスタラインrは巨視的に濃く見えてしまう。なお、インクの飛行方向のばらつきは、例えば、ノズルの加工精度のばらつきによって生じる。
なお、この濃度ムラの発生原因は、他のインク色に関しても当てはまることである。そして、CMYKのうちの1色でもこの傾向があれば、多色印刷の画像中には濃度ムラが顕れてしまう。
<濃度ムラを抑制する参考例の方法について>
このような濃度ムラを抑制する参考例の方法について説明する。この参考例の方法では、まず、所定濃度の補正用パターンを用紙上に印刷し、この補正用パターンを構成する各ラスタラインrの濃度を測定する。次に、各ラスタラインrの濃度に基づいて、そのラスタラインに対する補正値を取得する。そして、画像の本印刷時には、取得された補正値を用いて、そのラスタラインrの濃度を調整する。例えば、補正用パターンにおいて、或るラスタラインrの濃度が規定よりも薄かった場合には、本印刷時において、当該ラスタラインrを担当するノズルについてインクの吐出量を増加させる。一方、補正用パターンにおいて、或るラスタラインrの濃度が規定よりも濃かった場合には、本印刷時において、当該ラスタラインrを担当するノズルについてインクの吐出量を減少させる。
このような参考例の方法は、インクの飛行ばらつきに起因する画像の濃度ムラを抑制するという点では有効であるものの、画像の粒状性が悪化しまうという新たな課題が生じてしまう。以下、この新たな課題について説明する。ここで、図17は、新たな課題を説明するための模式図である。すなわち、図17Aは、理想的な状態で形成されたラスタラインを説明する図、図17Bは、或るノズルで形成されたラスタラインが搬送方向にずれた状態で形成された状態を説明する図、図17Cは、参考例の方法で補正された状態を説明する図である。なお、これらの図において、画像は中間調で形成されている。このため、主走査方向に隣り合うドット同士は、ドット1つ分の間隔を空けて形成されている。
図17Bの画像では、ラスタラインrnを構成する各ドットが、正規の位置(つまり、図17Aの位置。)よりも、隣接するラスタラインr(n+1)側に寄った位置に形成されている。これにより、巨視的には、ラスタラインrnが正規の濃度よりも薄く見え、ラスタラインr(n+1)が正規の濃度よりも濃く見えることになる。そして、参考例の方法では、ラスタライン毎に、濃い薄いを判断して濃度補正をするので、濃く見えるラスタラインについては、ドットを間引くなどしてその濃度を薄くし、薄く見えるラスタラインについては、ドットを加えるなどしてその濃度を濃くする。このため、図17Cの例では、ラスタラインr(n+1)ついてドットDT1が非形成とされ、ラスタラインrnについてドットDT2が追加される。
このような補正により、各ドットの粗密状態が変化し、粒状性も変化する。例えば、図17Cの例において、ドットDT1を形成しないことにより、このドットDT1を囲うドットDT3〜DT6の間に、ドットが形成されない領域ができる。このため、この領域については、地色の面積が増えてドットが粗く形成されたように見える。一方、ドットDT2を新たに形成したことにより、このドットDT2、及びドットDT7〜DT9が密集した状態に形成される。これにより、これらのドットDT2、DT7〜DT9が、一塊の大きなドットのように見えてしまう。
その結果、例えば、図18Aに示す画像(以下、補正前画像という。)が補正され、図18Bに示す画像(以下、補正後画像という。)となる。これらの画像を比較すると、各ドットに関し、図18Bの補正後画像の方が、図18Aの補正前画像よりも間引かれた状態となっている。また、濃い点で示されるドットの塊については、その数が、補正前画像より補整後画像の方が増えている。
そして、このような現象により、印刷画像は、ドットを視認し得る程度の濃度範囲について、粒状性が損なわれてしまう。この濃度範囲では、濃度補正により、ドットが集合した部分とドットが間引かれた部分とが、容易に視認できてしまうからである。なお、この粒状性の問題に関しては、画像濃度が或る濃度以上になると生じ難くなる。これは、或る程度濃い画像ではドットが密集した状態で形成されており、多少のドットの追加や間引きによっては、粒状性が変化しないからと考えられる。
===本実施形態の印刷方法について===
<本実施形態における印刷方法の要点>
このような事情に鑑み、本実施形態では、画像における搬送方向の濃度を補正する補正値をラスタライン毎に定める。この補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められる。例えば、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものとされる。
ここで、所定濃度とは、濃度補正に起因する画像の粒状性の観点から定められた濃度閾値であり、判断基準値とも表現できる。すなわち、この所定濃度は、画像における最低濃度(濃度0%)よりも高く、最高濃度(濃度100%)よりも低い。さらに、濃度補正に伴う画像の粒状性の変化が視認可能な濃度に設定される。
例えば、色材として染料を用いたブラックインクで、標準的な用紙Sに画像を印刷する場合、所定濃度は30%とされる。このため、例えば、標準の補正値が20%であり、印刷される画像の濃度が30%未満であった場合には、低濃度側の補正値が0%〜20%未満の範囲で定められる。
このような補正値を定めるにあたっては、まず、用紙Sに補正用パターン(テストパターン)を印刷し、印刷された補正用パターンを構成する各ラスタラインの濃度を測定する。各ラスタラインの濃度を測定したならば、対応するラスタラインの濃度の測定値に基づき、そのラスタラインに対応する標準の補正値を設定する。そして、この標準の補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いられる。一方、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値(便宜上、低濃度側の補正値ともいう。)は、標準の補正値に基づいて定められる。
これらの補正値を用いて画像の印刷を行うと、次の利点を有する。まず、実際に印刷された結果に基づいて標準の補正値が定められているので、各ラスタラインを担当するノズルの順序が、ヘッド41における配列と異なっていても、各ラスタラインを所望の濃度で形成することができる。
次に、所定濃度未満の画像の印刷時には、所定濃度以上の画像の印刷時よりも、濃度補正の度合いが小さい低濃度側の補正値が用いられるので、その画像に対する過度な濃度補正を抑えることができる。例えば、その画像に関し、ドットを過度に追加してしまったり、過度に間引いてしまったりする不具合を防止できる。
その結果、所定濃度以上の画像については、必要な濃度補正が行われ、所定濃度未満の画像については、過度な補正が防止される。これにより、必要な濃度補正を行いながらも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
なお、上記の所定濃度は、種々の要因によって変化する。例えば、インクの色、色材の種類、媒体の種類に応じて変化する。従って、この所定濃度は、これらの条件を加味した上で決定される。
<本実施形態に係る画像の印刷方法について>
図19は、本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して、これらの工程等について概略を説明する。
まず、製造ラインにおいてプリンタ1が組み立てられる(S110)。次に、検査ラインの作業者によって、標準の補正値、及び基準係数がプリンタ1に設定される(S120)。ここで、基準係数は、標準の補正値から低濃度側の補正値を定める際に使用されるものである(後述する。)。そして、このステップでは、これらの標準の補正値、及び基準係数を、プリンタ1のメモリ63、詳しくは、補正値格納部63a(図8を参照。)に格納する。次に、プリンタ1が出荷される(S130)。次に、このプリンタ1を購入したユーザーによって画像の本印刷が行われるが、その本印刷の際には、標準の補正値や低濃度側の補正値に基づき定められた濃度でラスタライン毎に画像が形成される。すなわち、プリンタ1は、補正された濃度となるように、用紙Sに画像を印刷する(S140)。
なお、本実施形態において、低濃度側の補正値は、基準係数から求められた変更係数を用いて定められる。すなわち、低濃度側の補正値は、標準の補正値に対し、変更係数を乗じることで定められる(後述する)。
そして、本実施形態に係る画像の印刷方法は、補正値の設定工程(ステップS120)、及び画像の本印刷(ステップS140)に特徴を有する。従って、以下では、ステップS120及びステップS140の内容について説明する。
<ステップS120:標準の補正値の設定>
図20は、標準の補正値の設定に使用される機器を説明するブロック図である。なお、既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
この図において、コンピュータ1100Aは、検査ラインに設置されたコンピュータ1100であり、工程用補正プログラム1120が動作している。この工程用補正プログラム1120は、補正値取得処理を行うことができる。この補正値取得処理では、用紙Sに印刷された補正用パターンCP(図25参照。)をスキャナ装置100が読み取ることで得られたデータ群(例えば、所定解像度の256階調のグレイスケールデータ)に基づき、対象となるラスタラインについて、標準の補正値を取得する。なお、標準の補正値の取得処理については、後で説明する。また、このコンピュータ1100Aで動作するアプリケーションプログラム1104は、補正用パターンCPを印刷させるための画像データを、プリンタドライバ1110に対して出力する。そして、プリンタドライバ1110は、前述した解像度変換処理からラスタライズ処理までの一連の処理を行うことで、補正用パターンCPを印刷させるための印刷データを、プリンタ1に出力する。
図21は、このコンピュータ1100のメモリに設けられた記録テーブルの概念図である。この記録テーブルは、インク色毎の区分で用意されている。そして、各色で印刷された補正用パターンCPの濃度の測定値が、対応する記録テーブルに記録される。なお、この図には、これら記録テーブルを代表してブラック(K)用の記録テーブルについてフィールドを示している。
この記録テーブルには、複数のレコードが用意されている。このレコードは、ラスタラインに対応して設けられている。言い換えると、このレコードは、印刷領域の全長に対応し得る数が設けられている。ここで、印刷領域とは、画像等の印刷対象となる領域を意味する。例えば、所謂4辺縁無し印刷の場合には、用紙Sよりも一回り大きい領域が印刷領域となる。一方、所謂縁有り印刷を行う場合には、用紙Sにおいて縁で囲まれる領域が印刷領域となる。また、印刷領域の全長とは、搬送方向における長さを意味する。そして、各レコードにはレコード番号が付されている。
この記録テーブルには、各ラスタラインにおける濃度の測定値、つまり、スキャナ装置100が読み取ることで得られた測定データが順次記録される。従って、各記録テーブルには、濃度の測定値用のフィールドが用意されている。このフィールドは複数のレコードを有している。本実施形態において、各レコードは、ラスタラインに対応付けられており、用紙上端側に形成されるラスタラインから順に小さい番号のレコードに記録される。すなわち、用紙上端側から1番目に形成されるラスタラインの濃度測定値ME1が1番目のレコードに記録され、用紙上端側から2番目に形成されるラスタラインの濃度測定値ME2が2番目のレコードに記録される。同様に、他のラスタラインの濃度測定値(ME3〜)に関しても、それぞれ対応するレコードに記録される。
図22は、プリンタ1のメモリ63に設けられた補正値格納部63aの概念図である。この図に示すように、補正値格納部63aには、補正値テーブル、及び係数テーブルが用意されている。これらの補正値テーブル、及び係数テーブルは、前述した記録テーブルと同様に、インク色毎の区分でそれぞれ用意されている。そして、この図には、これらの補正値テーブル、及び係数テーブルを代表して、ブラック用の補正値テーブル、及び係数テーブルについてフィールドを示している。
補正値テーブルは、前述した標準の補正値Hstdを格納するものである。ここで、標準の補正値Hstdとは、前述したように、補正用パターンを構成する各ラスタラインの濃度の測定値から求められた補正値であり、所定濃度以上の画像を形成する際に用いられる。この補正値テーブルも複数のレコードを有しており、各レコードには対応する標準の補正値Hstdが格納される。すなわち、各レコードにはレコード番号が付されており、補正値の取得処理で取得された標準の補正値Hstdは、前述した記録テーブルと同様に、そのラスタラインに対応するレコードに記録される。そして、補正値テーブルのレコードもまた、印刷領域の全長に対応し得る数が設けられている。
係数テーブルは、基準係数Coを格納するものである。この基準係数Coは、前述した標準の補正値Hstdから、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値(つまり、低濃度側の補正値Hld,図28を参照。)を取得する際に用いられる。後述するように、プリンタ1は、印刷される画像(ドット)の濃度を参照し、その濃度が所定濃度未満であった場合には、基準係数Coに基づいて変更係数Cch(図28を参照。)を得る。そして、この変更係数Cchを用いて低濃度側の補正値Hldを定め、定められた低濃度側の補正値Hldを用いて濃度補正を行うことで、画像を印刷する。なお、変更係数Cchとは、標準の補正値Hstdに対する比率を示すものであり、形成される画像の濃度に応じて比率が変動されるものである。
本実施形態では、この変更係数Cchの基となる基準係数Coを、基準となる複数の画像濃度(以下、基準濃度ともいう。)のそれぞれに対して有している。具体的に説明すると、所定濃度未満の濃度範囲内における第1の基準濃度C1に対応させて第1の基準係数Co1を有し、第2の基準濃度C2に対応させて第2の基準係数Co2を有し、第3の基準濃度C3に対応させて第3の基準係数Co3を有している。また、本実施形態では、判断基準となる画像濃度C4(前述した所定濃度に相当。以下、所定濃度C4ともいう。)に対応させて、第4の基準係数Co4も有している。従って、係数テーブルには、これらの基準濃度C1〜C3及び所定濃度C4と、基準係数Co1〜Co4に対応する2つのフィールドが用意されている。さらに、4種類の濃度C1〜C4に対応する4つのレコードが用意されている。
なお、基準濃度C1〜C3に対応する基準係数Co1〜Co3は、請求項に係る「変更基準係数」に相当する。また、所定濃度C4に対応する基準係数Co4は、請求項に係る「範囲外基準係数」に相当する。
図23は、コンピュータ1100と通信可能に接続されたスキャナ装置100を説明する図である。すなわち、図23Aは、このスキャナ装置100の縦断面図であり、図23Bは、このスキャナ装置100の平面図である。このスキャナ装置100は、補正用パターンCPの濃度を測定する濃度測定装置の一種である。このスキャナ装置100は、原稿101に印刷された画像(例えば、用紙Sに印刷された補正用パターンCP)を、画素単位のデータ群として読み込み可能なものであり、原稿101が載置される原稿台ガラス102と、この原稿台ガラス102を介して原稿101と対面しつつ所定の移動方向に移動する読取キャリッジ104と、読取キャリッジ104等の各部を制御するコントローラ(図示せず)を備えている。読取キャリッジ104には、原稿101に光を照射する露光ランプ106と、原稿101からの反射光を、移動方向と直交する直交方向の所定範囲に亘って受光するリニアセンサ108とが搭載されている。そして、このスキャナ装置100では、露光ランプ106を発光させた状態で読取キャリッジ104を移動方向に移動させながら、反射光をリニアセンサ108に受光させる。これにより、スキャナ装置100は、原稿101に印刷された画像を所定の読み取り解像度で読み取る。なお、図23A中の破線は、画像読み取り時における光の軌跡を示している。
図24は、図19中のステップS120の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照し、標準の補正値Hstd、及び基準係数Coを補正値格納部63aに格納する手順について説明する。
この手順は、補正用パターンCPを印刷するステップ(S121),補正用パターンCPを読み取るステップ(S122),各ラスタラインの濃度を測定するステップ(S123),各ラスタラインに対する標準の補正値Hstdを設定するステップ(S124),基準係数Coを設定するステップ(S125)を有する。以下、各ステップについて詳細に説明する。
(1)補正用パターンCPの印刷(S121)について:
まず、ステップS121において、補正用パターンCPを用紙Sに印刷する。ここでは、検査ラインの作業者は、検査ラインのコンピュータ1100Aにプリンタ1を通信可能な状態に接続し、このプリンタ1によって補正用パターンCPを印刷する。すなわち、作業者は、コンピュータ1100Aのユーザーインタフェースを介し、補正用パターンCPを印刷させる指示をする。その際には、このユーザーインタフェースから、印刷モード及び用紙サイズモードなどが設定される。この指示により、コンピュータ1100Aは、メモリに格納されている補正用パターンCPの画像データを読み出し、前述した解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、及びラスタライズ処理を行う。その結果、コンピュータ1100Aからプリンタ1に対し、補正用パターンCPを印刷させるための印刷データが出力される。そして、プリンタ1は、印刷データに基づいて用紙Sに補正用パターンCPを印刷する。なお、この補正用パターンCPを印刷するプリンタ1は、補正値の設定対象となるプリンタ1である。つまり、補正値の設定は、プリンタ1毎に行われる。
ここで、図25は、印刷された補正用パターンCPの一例を説明する図である。この図に示すように、本実施形態の補正用パターンCPは、インク色毎の区分でそれぞれに印刷されている。例示した補正用パターンCPは、搬送方向に細長い帯形状であり、用紙Sにおける搬送方向の全域に亘って印刷されている。すなわち、用紙Sの上端から下端に亘って一連に形成されている。また、図の左側から順に、シアン(C)の補正用パターンCPc、マゼンタ(M)の補正用パターンCPm、イエロー(Y)の補正用パターンCPy、ブラック(K)の補正用パターンCPkがキャリッジ移動方向に並んだ状態で印刷されている。
この補正用パターンCPの印刷データは、CMYKの各インク色の階調値を直接指定して構成されたCMYK画像データに対して、前述のハーフトーン処理及びラスタライズ処理を行って生成されたものである。そして、このCMYK画像データの画素データの階調値は、各補正用パターンCPについて、その全画素に亘って同一の値が設定されている。これにより、各補正用パターンCPは、それぞれに、搬送方向の全域に亘って、ほぼ一定の濃度で印刷される。これらの補正用パターンCPに関し、その階調値は任意に設定可能である。しかし、濃度ムラが生じ易い範囲の濃度ムラを積極的に抑制する観点から、本実施形態では、所謂中間調となるような階調値を選んでいる。例えば、階調値が256段階で、染料系のブラックインクの場合には、階調値77から階調値128の範囲内で選んでいる。
なお、これらの補正用パターンCP同士の相違点は、基本的にインク色が異なるだけである。また、前述したように、多色印刷における濃度ムラの抑制は、その多色印刷に用いられるインク色毎にそれぞれ行われるが、それぞれ抑制に用いられる方法は同じである。このため、以下の説明は、ブラック(K)に代表させて行うことにする。すなわち、以下の説明においては、ブラック(K)の一色についてだけ記載している箇所もあるが、その他のC,M,Yのインク色についても同様である。
(2)補正用パターンCPの読み取り(ステップS122)について:
次に、印刷された補正用パターンCPをスキャナ装置100で読み取る。このステップS122では、まず、検査ラインの作業者は、補正用パターンCPが印刷された用紙Sを原稿台ガラス102に載置する。このとき、図23Bに示すように、補正用パターンCP(CPc〜CPk)におけるラスタラインの方向と、スキャナ装置100における直交方向(つまり、リニアセンサ108の配列方向)とが同じ方向となるように、用紙Sを載置する。用紙Sを載置したならば、作業者は、コンピュータ1100Aのユーザーインタフェースを介して読み取り条件を指定し、その後、読み取り開始を指示する。ここで、読取キャリッジ104の移動方向の読み取り解像度は、ラスタラインにおけるピッチの整数倍の細かさにするのが望ましい。このようにすることで、読み取った濃度の測定値とラスタラインとの対応付けが容易になり、測定精度の向上が図れるからである。読み取り開始の指示を受け取ると、スキャナ装置100のコントローラ(図示せず)は、読取キャリッジ104を制御するなどして、用紙Sに印刷された補正用パターンCPを読み取り、画素単位のデータ群を取得する。そして、取得されたデータ群は、コンピュータ1100Aのメモリ(図示せず)に転送される。
(3)補正用パターンの濃度測定(ステップS123)について:
次に、コンピュータ1100Aは、補正用パターンCPの濃度をラスタライン毎に測定する。この濃度測定は、取得されたデータ群に基づいて行われる。まず、コンピュータ1100Aは、スキャナ装置100から転送されたデータ群の中から、濃度測定対象となるラスタラインに属するデータを認識する。次に、コンピュータ1100Aは、認識したデータに基づき、そのラスタラインの濃度を測定する。この場合において、ラスタラインにおける濃度の測定値は、同じラスタラインに属する複数画素の濃度の平均値とすることが好ましい。これは、この補正用パターンCPが中間調で印刷されていることに起因する。すなわち、補正用パターンCPが中間調で印刷されているため、同じラスタラインに属するドットであっても大きさが異なっていたり、隣り合うドット同士が間引かれて形成されていたりする。このため、1つの画素に、そのラスタライン全体を代表させてしまうと、濃度測定が行われる画素、すなわち主走査方向の位置によって、そのラスタラインの濃度が変化してしまう虞がある。このため、本実施形態において、コンピュータ1100Aは、同じラスタラインに属する数十〜数百の画素を対象として濃度を取得し、取得した濃度の平均値をそのラスタラインにおける濃度の測定値としている。
そのラスタラインについて濃度の測定値を取得したならば、コンピュータ1100Aは、取得した測定値を記録テーブルの対応するレコードに記録する。例えば、搬送方向における1番目のラスタライン(最も用紙上端側のラスタライン)について測定値ME1を取得したならば、この測定値ME1を1番目のレコードに記録する。取得した測定値ME1を記録したならば、コンピュータ1100Aは、次のラスタラインに対し、同様の手順で測定値ME2の取得、及びレコードへの記録を行う。そして、最終のラスタラインまで測定値の取得、及びレコードへの記録が行われたならば、補正用パターンCPの濃度測定処理を終了する。
(4)ラスタライン毎の標準の補正値の設定について(ステップS124):
次に、コンピュータ1100Aは、ラスタライン毎に標準の補正値Hstdを定める。このステップで、コンピュータ1100Aは、各記録テーブルの各レコードに記録された測定値から標準の補正値Hstdを求め、求めた標準の補正値Hstdをプリンタ1の補正値格納部63a(図22を参照。)に格納させる。
前述したように、この標準の補正値Hstdは、補正用パターンについての濃度の測定値から求められたものであり、本実施形態では、所定濃度以上の画像を形成する際に用いられる。また、この標準の補正値Hstdは、所定濃度未満の画像を印刷する際に用いられる低濃度側の補正値Hldの基にもなっている。すなわち、本実施形態のプリンタ1は、前述した基準係数Co1〜Co4に基づき、その所定濃度未満の画像に対応する変更係数Cchを定める。次に、プリンタ1は、この変更係数Cchを用い、標準の補正値Hstdから新たな補正値、つまり、低濃度側の補正値Hldを定める。そして、所定濃度未満の画像を印刷する際には、この低濃度側の補正値Hldを用いる。
ここで、低濃度側の補正値Hldは、その濃度補正の度合いが、標準の補正値Hstdによる濃度補正の度合いよりも小さいものとされる。仮に、標準の補正値Hstdが値「0.2」、つまり、アプリケーションからの画像データで指定された濃度よりも20%濃い濃度の画像を印刷させるものであったとする。この場合、低濃度側の補正値Hldは、画像濃度の増加率を0%〜20%未満にするものとなる。一方、標準の補正値Hstdが値「−0.2」、つまり、画像データで指定された濃度よりも20%薄い濃度の画像を印刷させるものであったとする。この場合、低濃度側の補正値Hldは、画像濃度の増加率を0%〜−20%未満にするものとなる。
このような低濃度側の補正値Hldを用いて印刷すると、所定濃度未満の画像を印刷するに際し、過度な濃度補正を抑えることができる。例えば、その画像に関し、ドットを過度に追加してしまったり、過度に間引いてしまったりする不具合を防止できる。一方、所定濃度以上の画像については、標準の補正値Hstdに基づく濃度補正が行われるので、そのラスタラインに適した濃度で印刷することができる。その結果、必要な濃度補正を行いながらも、粒状性の悪化を防止でき、印刷画像の品質を高めることができる。
以下、ラスタライン毎の標準の補正値Hstdの設定について、詳細に説明する。ここで、図26は、標準の補正値Hstdの設定処理を説明するフローチャートである。以下に説明される各動作は、コンピュータ1100Aが、メモリ内に格納されたプログラム(工程用補正プログラム1120)に従って行う。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。また、以下の説明において、便宜上、最も用紙上端側に形成されるラスタライン(1番目のラスタライン)を、副走査位置Y=1と表現することもある。この場合、副走査位置Yの値が増える毎に用紙下端側に形成されるラスタラインを意味する。
まず、ステップS124aにて、コンピュータ1100Aは、1番目に標準の補正値Hstdを定めるラスタライン、つまり、副走査位置を設定する。本実施形態では、用紙上端側に形成されるラスタラインから順に1本ずつ、標準の補正値Hstdを定める。このため、コンピュータ1100Aは、このステップS124aにて、副走査位置Yの情報として値「1」を設定する。そして、副走査位置の情報を設定したならば、ステップS124bに進む。
ステップS124bにて、コンピュータ1100Aは、濃度の目標値を取得する。本実施形態における濃度の目標値は、その色について、記録テーブルに記録された濃度測定値の平均値とされる。例えば、ブラックインクであれば、ブラックインクに対応する記録テーブルに記録された全レコード(全ラスタラインの濃度測定値)を読み出して加算し、この加算値をレコード数で除算して得られた平均値が濃度目標値となる。このようにして、そのインクに対する濃度目標値を取得したならば、ステップS124cに進む。
ステップS124cにて、コンピュータ1100Aは、そのラスタラインに対する標準の補正値Hstdを取得する。この標準の補正値Hstdは、濃度の階調値に対して補正する割合を示す補正比率の形式で求められ、具体的には次のようにして算出される。
まず、コンピュータ1100Aは、対象となるラスタラインの濃度の測定値を読み出し、読み出した測定値と濃度の目標値との偏差を算出する。そして、算出された偏差を濃度の目標値で除算した値を、標準の補正値Hstdにする。
すなわち、標準の補正値Hstdは、次式(1)で表すことができる。
Hstd =ΔC/M
=(M−ME)/M … (1)

上記式において
Hstd :標準の補正値
M :濃度の目標値
ME :濃度の測定値
ΔC :濃度の測定値と濃度の目標値との偏差
なお、このようにして算出された補正値は、「0.2」や「−0.1」等のような小数となる。しかし、この数値は前述したように補正比率であるため百分率でも表現できる。このため、以下の説明では、補正値を百分率で表現することもある。例えば、算出された補正値が値「0.2」であれば補正値20%と表現し、算出された補正値が値「−0.1」であれば補正値−10%と表現することもある。
次に、ステップ124dにて、コンピュータ1100Aは、算出された標準の補正値Hstdを、記録テーブルにおける対応するレコードに記録する。例えば、副走査位置Y=1のラスタラインについて標準の補正値Hstdを取得したならば、コンピュータ1100Aは、この標準の補正値Hstdを、標準の補正値用のフィールドにおける1番目のレコード(例えば、図22のk1)に記録する。このようにして標準の補正値Hstdを記録したならば、ステップS124eに進む。
このステップS124eにて、コンピュータ1100Aは、標準の補正値Hstdを定める対象となるラスタライン(副走査位置)を更新する。本実施形態では、前述したように、用紙上端側から順に標準の補正値Hstdを定めるので、コンピュータ1100Aは、副走査位置Yの情報をインクリメント(+1更新)する。そして、ラスタラインの更新を行ったならば、ステップS124gに進む。
このステップS124gにて、コンピュータ1100Aは、最終ラスタラインまで標準の補正値Hstdを設定したか否かを判断する。この判断は、例えば、ステップS124eで更新された副走査位置Yに基づいて行う。すなわち、用紙サイズや印刷モード(この場合は、縁有り印刷,縁なし印刷,ロール紙印刷)によって、コンピュータ1100Aは、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号を認識することができる。従って、コンピュータ1100Aは、更新された副走査位置Yと、最終ラスタラインに対応するラスタライン番号とを比較し、更新された副走査位置Yが最終ラスタラインに対応するラスタライン番号を越えたことを条件に、最終ラスタラインまで標準の補正値Hstdが設定されたものと判断する。そして、このステップ124gで、標準の補正値Hstdが設定されていないラスタラインが残っていた場合には、ステップS124cに戻り、それらのラスタラインに対する標準の補正値Hstdを算出し、記録する。一方、最終ラスタラインまで標準の補正値Hstdが記録されたならば、一連の処理を終了する。
(5)基準係数の記録について(ステップS125):
次に、前述した基準係数Coを、そのプリンタ1に記録する。本実施形態の基準係数Coは予め規定され、コンピュータ1100Aのメモリ等に格納されている。このため、コンピュータ1100Aは、格納されている基準係数Coを読み出し、プリンタ1に送信する。そして、プリンタ1は、受け取った基準係数Coを、補正値格納部63aにおける基準係数用のフィールドに記録する。本実施形態では、前述したように、所定濃度未満の濃度範囲内に、3つの基準濃度C1〜C3、及び対応する基準係数Co1〜Co3を有している。また、所定濃度C4に対応する基準係数Co4を有している。従って、コンピュータ1100Aは、これらの濃度C1〜C4、及び対応する基準係数Co1〜Co4をプリンタ1に対して送信する。
本実施形態では、これらの基準係数Co1〜Co3に関し、対応する基準濃度が低くなる程、その値を小さくしている。例えば、図28Bに示すように、基準濃度として0%(基準濃度C1に相当)、10%(基準濃度C2に相当)、20%(基準濃度C3に相当)が設定されていたとする。この場合において、基準濃度C1に対応する基準係数Co1は、基準濃度C2に対応する基準係数Co2よりも小さい値が選ばれる。同様に、基準濃度C2に対応する基準係数Co2は、基準濃度C3に対応する基準係数Co3よりも小さい値が選ばれる。具体的には、基準係数Co1として値「0.5」が、基準係数Co2として値「0.75」が、基準係数Co3として値「0.9」がそれぞれ選ばれる。なお、所定濃度以上の画像を形成する場合には、前述したように、標準の補正値Hstdをそのまま用いるため、基準係数Co4として値「1.0」が選ばれる。
<ステップS140:ラスタライン毎に濃度補正をしながら画像を本印刷>
このようにして標準の補正値Hstd、基準濃度C1〜C3、所定濃度C4、及び基準係数Co1〜Co4が設定され、出荷されたプリンタ1は、ユーザーの下で使用される。すなわち、ユーザーの下で本印刷が行われる。この本印刷において、プリンタドライバ1110とプリンタ1が協働してラスタライン毎に濃度補正しつつ印刷を実行する。このとき、プリンタドライバ1110は、補正値格納部63aに格納された標準の補正値Hstdや基準係数Co1〜Co4を参照し、これらの情報に基づいて画素データを変換する。すなわち、プリンタドライバ1110は、RGB画像データを印刷データに変換する際に、その画像データの濃度に関する情報に基づいて補正値(標準の補正値Hstd,低濃度側の補正値Hld)を定め、定めた補正値に基づいて多階調の画素データの濃度を補正する。そして、補正後の画像データに基づく印刷データをプリンタ1に出力する。プリンタ1は、この印刷データに基づいて、対応するラスタラインのドットを形成する。以下、印刷手順について詳細に説明する。
図27は、図19中のステップS140に係るラスタライン毎の濃度補正の手順を示すフローチャートである。以下に説明する各動作は、プリンタドライバ1110によって行われる。従って、プリンタドライバ1110は、各動作を実行するためのコードを有している。以下、このフローチャートを参照し、濃度補正の手順について説明する。
この手順では、まず、プリンタドライバ1110が、解像度変換処理(ステップS141)を行う。そして、プリンタドライバ1110は、色変換処理(ステップS142)、ハーフトーン処理(ステップS143)、ラスタライズ処理(S144)を順次行う。なお、これらの処理は、ユーザーが、プリンタ1をコンピュータ1100に通信可能に接続し、図1で説明した印刷システム1000の状態に設定した状態で行われる。
具体的には、画質モードや用紙サイズモード等の必要な情報が入力された状態で、プリンタドライバ1110のユーザーインタフェースの画面から、印刷実行の操作がなされたことを条件に行われる。以下、ステップ毎に処理を説明する。
解像度変換処理(S141):まず、プリンタドライバ1110は、アプリケーションプログラム1104から出力されたRGB画像データに対して、解像度変換処理を実行する。すなわち、RGB画像データの解像度を、入力された画質モードに対応する印刷解像度に変換する。更に、RGB画像データに対して適宜トリミング処理等の加工を施すことにより、RGB画像データにおける画素数が、指定された用紙サイズ及び余白形態モードに対応する印刷領域のドット数に一致するように調整する。
色変換処理(S142):次に、プリンタドライバ1110は、前述した色変換処理を実行し、RGB画像データを、CMYK画像データに変換する。このCMYK画像データは、前述したように、C画像データ、M画像データ、Y画像データ、及びK画像データを備え、印刷領域に応じたデータ量とされる。
ハーフトーン処理(S143):次に、プリンタドライバ1110は、ハーフトーン処理を実行する。このハーフトーン処理は、C,M,Y,K画像データ中の各画素データが示す256段階の階調値を、プリンタ1で表現可能な4段階の階調値に変換する処理である。そして、本実施形態では、このハーフトーン処理において、ラスタライン毎の濃度補正を実行する。すなわち、各画像データを構成する各画素データを、256段階から4段階の階調値に変換する処理を、前述した補正値に基づいて補正しながら行う。この濃度補正は、各インク色の補正値テーブルに基づいて、C,M,Y,K画像データのそれぞれに対して行われるが、ここでは、これら画像データを代表してブラック(K)に係るK画像データについて説明する。
本実施形態では、このハーフトーン処理において、256段階の階調値を一旦レベルデータに置き換えてから4段階の階調値に変換する。そこで、この変換の際に、256段階の階調値を補正値の分だけ変更することで、4段階の階調値の画素データを得ている。
このときに用いられる補正値は、形成される画像の濃度に応じて選択される。すなわち、所定濃度以上の画像を形成する場合には、標準の補正値Hstdが用いられる。一方、所定濃度未満の画像を形成する場合には、低濃度側の補正値Hldが用いられる。
このため、本実施形態のハーフトーン処理は、その画像濃度に応じた補正値、つまり、標準の補正値Hstd、或いは、低濃度側の補正値Hldを定めるため事前処理と、この事前処理で定められた補正値を用いて4段階の階調値の画素データに変換する本処理とからなる。そして、4段階の階調値の画素データは、画素毎に定められる。このため、事前処理と本処理は、画素毎に繰り返し行われる。すなわち、或る画素データについて事前処理と本処理とがなされた後に、次の画素について事前処理と本処理とがなされる。
まず、事前処理についてその手順を説明する。なお、本実施形態において、画像の濃度は画素データ毎に判断される。このため、以下では、画素データの濃度を、画像濃度として説明している。また、以下の処理を行うにあたり、プリンタドライバ1110は、プリンタ1の補正値格納部63aに格納された基準濃度や所定濃度C1〜C4の情報、及び対応する基準係数Co1〜Co4の情報を利用可能な状態になっている。例えば、これらの情報を、コンピュータ1100のメモリ(図示せず)に記憶させることで、適宜読み出せるようにしている。
ここで、図28は、標準の補正値Hstdと低濃度側の補正値Hldとを説明する図である。すなわち、図28Aは、標準の補正値Hstdが0.2(20%)の場合、及び−0.2(−20%)の場合における、標準の補正値Hstd、及び低濃度側の補正値Hldを説明する図である。図28Bは、基準濃度C1〜C3及び所定濃度C4と、対応する基準係数Co1〜Co4とについて具体例を説明する図である。図28Cは、定められる変更係数Cchを説明する図である。また、図29は、補正値を定める事前処理を説明するフローチャートである。
ステップS201にて、プリンタドライバ1110は、印刷対象となる画素データ(CMYKの256段階の階調値で示される画像データ)を取得する。このステップS201の処理は、前述したハーフトーン処理(図3を参照。)のステップS300に相当する処理である。そして、このステップで画素データが取得されると、ステップS202に進む。
ステップS202では、対象となる画素データについて、その濃度が所定濃度未満であるかが判断される。例えば、プリンタドライバ1110は、その画素データの階調値を取得し、取得した階調値が所定濃度に対応する階調値よりも小さい場合に、所定濃度未満であると判断する。図28の例では、濃度30%未満に対応する階調値であれば「所定濃度未満」と判断され、濃度30%以上に対応する階調値であれば「所定濃度以上」と判断される。そして、このステップS202で、所定濃度未満と判断された場合にはステップS203に進み、所定濃度以上と判断された場合にはステップS207に進む。なお、このステップS207に進んだ場合には、標準の補正値Hstdをそのまま画像(ドット)の形成に用いる。つまり、ステップS207で、プリンタドライバ1110は、その画素データが属するラスタラインに対応する標準の補正値Hstdを読み出す。そして、本処理に進む。
ステップS203では、取得された画素データの濃度が基準濃度と同一であるか否かが判断される。図28Bの例で説明すると、第1の基準濃度C1が0%であり、第2の基準濃度C2が10%であり、第3の基準濃度C3が20%である。このため、プリンタドライバ1110は、取得された画素データの濃度が、0%、10%、20%のいずれかであるかを判断する。そして、このステップS203で同一と判断された場合にはステップS204に進み、非同一と判断された場合にはステップS206に進む。
ステップS204では、同一と判断された基準濃度C1〜C3に対応する基準係数Co1〜Co3を、その画素データに対する変更係数Cchとして定める。図28Bの例で説明すると、その画素データの濃度が10%であった場合、プリンタドライバ1110は、第2の基準濃度C2と同一であると判断し、第2の基準係数Co2(値0.75)を、その画素データに対応する変更係数Cchと定める。同様に、その画素データの濃度が20%であった場合には、第3の基準係数Co3(値0.9)を、その画素データに対応する変更係数Cchと定める。このようにして、変更係数Cchを定めたならば、ステップS205に進む。
ステップS205では、定めた変更係数Cchを標準の補正値Hstdに乗じることで、低濃度側の補正値Hldを算出する。この場合、プリンタドライバ1110は、対応する標準の補正値Hstdをプリンタ1の補正値格納部63aから読み出し、この標準の補正値Hstdに変更係数Cchを乗じることで、低濃度側の補正値Hldを算出する。
例えば、その画素が属するラスタラインについて、標準の補正値Hstdとして0.2(20%)が定められており、且つ、ステップS204で変更係数Cchが0.75に定められていた場合、低濃度側の補正値Hldは、0.2×0.75で求められ、0.15(15%)となる。また、標準の補正値Hstdとして−0.2(−20%)が定められており、且つ、ステップS204で変更係数Cchが0.9に定められていた場合には、低濃度側の補正値Hldは−0.18(−18%)となる。
そして、このようにして定められた低濃度側の補正値Hldは、例えば、コンピュータ1100のメモリ(図示せず)に一時的に記憶され、本処理で用いられる。
一方、前述したステップS203で、画素データの濃度と基準濃度C1〜C3とが非同一と判断され、ステップS206に進んだ場合には、このステップS206にて変更係数Cchが定められる。このステップS206では、基準濃度(所定濃度)C1〜C4と基準係数Co1〜Co4の組の相関関係に基づいて変更係数Cchを定める。具体的には、基準濃度(所定濃度)C1〜C4と基準係数Co1〜Co4の組に基づく一次補間により、変更係数Cchを定める。なお、変更係数Cchを定めるにあたり、二次補間等の他の方法を用いることも可能であるが、処理を高速化する観点から一次補間を採用している。これは、処理を高速化することで、インクの高周波吐出にも容易に対応することができるからである。
このステップS206にて、プリンタドライバ1110は、その画素データの濃度よりも低い直近の基準濃度C1〜C3、及び対応する基準係数Co1〜Co3と、その画素データの濃度よりも高い直近の基準濃度C2,C3或いは所定濃度C4、及び対応する基準係数Co2〜Co4とを取得する。具体的に説明すると、その画素データの濃度が0%以上10%未満であった場合には、第1の基準濃度C1及び第1の基準係数Co1と、第2の基準濃度C2及び第2の基準係数Co2とが取得される。また、その画素データの濃度が10%以上20%未満であった場合には、第2の基準濃度C2及び第2の基準係数Co2と、第3の基準濃度C3及び第3の基準係数Co3とが取得される。同様に、その画素データの濃度が20%以上30%未満であった場合には、第3の基準濃度C3及び第3の基準係数Co3と、所定濃度C4及び第4の基準係数Co4とが取得される。
このようにして、2組の濃度及び基準係数を取得したならば、プリンタドライバ1110は、取得した濃度の情報及び基準係数の情報に基づく一次補間を行い、その画素データの濃度に応じた変更係数Cchを定める。例えば、図28Cに示すように、その画素データの濃度が5%であった場合には、対応する変更係数Cchは0.63と定められる。
ここで、本実施形態では、所定濃度未満の濃度範囲内に、濃度を異ならせて複数(3つ)の基準濃度C1〜C3、及び対応する基準係数Co1〜Co3を定め、これらの情報に基づいて変更係数Cchを定めている。これにより、画像濃度の変化量に対する変更係数Cchの変化量が一定でない場合であっても、変更係数Cchを精度良く定めることができる。例えば、図28Cに示すように、第1の基準濃度C1と第2の基準濃度C2の間で、濃度の変化量に対する変更係数Cchの変化量がθ1で表され、第2の基準濃度C2と第3の基準濃度C3との間で、変更係数Cchの変化量がθ2で表されるとする。この例では、変化量θ1の方が変化量θ2よりも大きいことが判る。このような場合であっても、本実施形態では、変更係数Cchを精度良く定めることができる。
このようにして、このステップS206にて、変更係数Cchを定めたならば、ステップS205に進む。このステップS205では、前述したように、定めた変更係数Cchを標準の補正値Hstdに乗じて低濃度側の補正値Hldを算出する。そして、低濃度側の補正値Hldを定めたならば、本処理に進む。
ここで、図30は、前述した事前処理にて取得された補正値を比較する図である。なお、図示の都合により、画像濃度10%(実線)、画像濃度20%(一点鎖線)、画像濃度30%(点線)の3つの例を示している。そして、画像濃度30%の補正値は、前述した標準の補正値Hstd、すなわち、補正用パターンの濃度の測定値から求めた補正値である。また、画像濃度20%の補正値は、変更係数Cchが約0.67の場合の補正値である。同様に、画像濃度10%の補正値は、変更係数Cchが約0.33の場合の補正値である。
この図から、濃度が30%未満の画像については、その画像の濃度が低くなる程に、低濃度側の補正値Hldが値「0」に近づくことが解る。そして、この低濃度側の補正値Hldが0に近づくということは、変換後の画素データの濃度に関し、アプリケーションプログラム1104からの画像データの濃度に近づくということを意味する。従って、ドットの追加や間引きに起因する粒状性の悪化を防止することができる。また、所定濃度以上の画像については、標準の補正値Hstdに基づく補正が行われるので、搬送方向に対する画像の濃度ムラを有効に防止できる。さらに、本実施形態では、画像濃度が0に近づく程、低濃度側の補正値Hldによる濃度補正の度合いが小さくなっている。これにより、ドットの追加や間引きの程度も、画像濃度に応じて変化する。これにより、画像の濃度ムラの防止と粒状性悪化の防止とを高いレベルで両立させることができる。
次に、前述した本処理について説明する。なお、この本処理は、既に説明した通常のハーフトーン処理(図3を参照。)と同様の手順で行われる。そして、通常のハーフトーン処理と、ここでの本処理との違いは、主に、レベルデータを設定するステップS301,S303,S305の部分にある。このため、以下の説明では、これらの処理を重点的に説明し、他の処理については簡単に説明することにする。また、或る画素データについての本処理を行う前に、前述した事前処理を行う点にも違いがある。しかしながら、本処理に関する全体的な処理の流れは同じである。このため、以下の説明は、図3のフローチャート及び図4のドットの生成率テーブルを参照して行うことにする。
或る画素について、前述した事前処理が終了したならば、プリンタドライバ1110は、ステップS301において、生成率テーブルの大ドット用プロファイルLDから、その画素データの階調値に応じたレベルデータLVLを読み取る。但し、この読み取りを行う際に、本実施形態にあっては、事前処理で定めた補正値(標準の補正値Hstd,低濃度側の補正値Hld)を使用し、この補正値の分だけ階調値を変化させてレベルデータLVLを読み取る。
例えば、その画素データが所定濃度以上であった場合には、使用する補正値として、対応するラスタラインについての標準の補正値Hstdが定められる。例えば、その画素データの階調値がgrであった場合、プリンタドライバ1110は、標準の補正値Hstdと階調値とから新たな階調値GRを取得する。具体的には、プリンタドライバ1110は、次式(2)の演算を行うことで新たな階調値GRを取得する。
GR=gr+Δgr
=gr+(gr×Hstd) … (2)

上記式において
GR:新たな階調値
gr:その画素データの階調値(補正前階調値)
Hstd :標準の補正値
Δgr:新たな階調値とその画素データの階調値との偏差
一方、その画素データが所定濃度未満であった場合には、使用する補正値として、低濃度側の補正値Hldが定められる。例えば、その画素データの階調値がgr1であった場合、プリンタドライバ1110は、低濃度側の補正値Hldと階調値とから新たな階調値GR1を取得する。例えば、プリンタドライバ1110は、次式(3)の演算を行うことで新たな階調値GR1を取得する。
GR1=gr1+Δgr1
=gr1+(gr1×Hld) … (3)

上記式において
GR1:新たな階調値
gr1:その画素データの階調値(補正前階調値)
Hld :低濃度側の補正値(標準の階調値×変更係数)
Δgr1:新たな階調値とその画素データの階調値との偏差
これらの演算の結果、その画素データの濃度が所定濃度以上のgrであった場合には、式(2)に基づいて階調値GRが算出され、レベルデータLVLは、11dと求められる。また、その画素データの濃度が所定濃度未満のgr1であった場合には、式(3)に基づいて階調値GR1が算出される。なお、この階調値GR1は、大ドットのプロファイルLDと交差しない。このため、階調値GR1に対応するレベルデータLVLは求められない。例えば、レベルデータとして値「0」が定められる。
ステップS302において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THLよりも、この大ドットのレベルデータLVLが大きいか否かの大小判定を行う。この場合において、階調値GRに対応するレベルデータLVLは、標準の補正値Hstdに基づいて値Δgrだけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、これによって、大ドットの形成され易さも変化する。その結果、印刷された画像において、搬送方向の濃度ムラが抑制されることになる。なお、このステップ302において、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、ステップS310に進み、この画素データには、大ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS303に進む。
このステップS303において、プリンタドライバ1110は、生成率テーブルの中ドット用プロファイルMDから階調値に応じたレベルデータLVMを読み取るが、この時にも前記ステップS301と同様に、標準の補正値Hstd或いは低濃度側の補正値Hldに応じて階調値を変化させる。例えば、階調値GRの場合、レベルデータLVMは12dと求められる。一方、階調値GR1の場合には、レベルデータLVMは22dと求められる。ここで、低濃度側の補正値Hldは、標準の補正値Hstdに比べて濃度補正の度合いを小さくするものである。つまり、階調値GR1は、色変換処理(S142)で得られた画素データの階調値に近くなる。従って、印刷画像において、過度なドットの追加や間引きが防止される。
そして、ステップS304において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THMよりも、この中ドットのレベルデータLVMが大きいか否かの大小判定を行う。ここでも、レベルデータLVMは、値Δgr或いはΔgr1に対応する分だけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、中ドットの形成され易さが変化する。なお、このステップ304において、レベルデータLVMが閾値THMよりも大きい場合には、ステップS309に進み、当該画素データには、中ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS305に進む。
このステップS305において、プリンタドライバ1110は、生成率テーブルの小ドット用プロファイルSDから階調値に応じたレベルデータLVSを読み取るが、この時にも前記ステップS301と同様に、補正値(標準の補正値Hstd,低濃度側の補正値Hld)に応じて階調値を変化させてレベルデータLVSを読み取る。これにより、階調値GRに対応するレベルデータLVSは、13dと求められる。一方、階調値GR1に対応するレベルデータLVSは、23dと求められる。そして、ステップS306において、プリンタドライバ1110は、ディザマトリクス上で、この画素データに対応する画素ブロックの閾値THSよりも、この小ドットのレベルデータLVSが大きいか否かの大小判定を行う。ここでも、レベルデータVLSは値Δgr或いはΔgr1に対応する分だけ変化している。従って、この変化分だけ、大小判定の結果が変化し、小ドットの形成され易さが変化する。
なお、このステップ306において、レベルデータLVSが閾値THSよりも大きい場合には、ステップS308に進み、当該画素データには、小ドットを対応付けて記録する。一方、それ以外の場合にはステップS307に進んで、当該画素データには、ドット無しを対応付けて記録する。
ラスタライズ処理(S144):次に、プリンタドライバ1110は、ラスタライズ処理を実行する。このラスタライズ処理された印刷データはプリンタ1に出力され、プリンタ1は、印刷データが有する画素データに従って、用紙Sに画像を本印刷する。なお、この画素データは、前述したように、ラスタライン毎に濃度の補正がなされているので、印刷された画像において、画像の濃度ムラを効果的に抑制することができる。
すなわち、標準の補正値Hstd、或いは低濃度側の補正値Hldに基づき、階調値を変化させた状態で各ラスタラインを形成しているので、補正無しの状態で規定濃度(設計上の濃度)よりも濃く形成されるラスタラインについては、階調値が小さくなるように補正される。その結果、このラスタラインについては、インク量が抑えられた状態で形成され、所望濃度に近い濃度で形成できる。同様に、補正無しの状態で規定濃度よりも薄く形成されるラスタラインについては、階調値が大きくなるように補正されてインク量が増やされるので、この場合にも所望濃度に近い濃度で形成できる。さらに、その画像の濃度が所定濃度未満の場合には、濃度の補正度合いが、所定濃度以上の場合よりも小さくなる。これにより、ドットが過度に追加されたり、ドットが過度に間引かれる等の現象が防止できる。その結果、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。
===他の実施形態について===
<第2実施形態について>
ところで、前述した第1実施形態は、標準の補正値Hstdを変更係数Cchで変更することで低濃度側の補正値Hldを求めており、この変更係数Cchを求めるにあたっては、所定濃度未満の濃度範囲に定めた3つの基準濃度C1〜C3、及び所定濃度C4と、これらの濃度に対応する基準係数Co1〜Co4とを用いていた。すなわち、基準濃度C1〜C3及び基準係数Co1〜Co4の組と所定濃度C4及び基準係数Co4の組との相関関係に基づき、一次補間を行うことで、変更係数Cchを求めていた。この点に関し、所定濃度未満の濃度範囲内に定めた1つの基準濃度及び対応する基準係数の組と、所定濃度及び対応する基準係数の組とから、変更係数Cchを定めるようにしてもよい。以下、このようにした第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態において、前述した第1実施形態の違いは、主に変更係数Cchの設定方法、つまり、前述した事前処理にある。従って、以下の説明では、この違いを中心に説明することにする。
図31は、第2実施形態における低濃度側の補正値Hld、及び標準の補正値Hstdを説明する図である。すなわち、図31Aは、その値が0.2、及び−0.2に設定されたHstdと、対応する低濃度側の補正値Hldとを説明する図である。図31Bは、基準濃度C1及び対応する基準係数Co1と、所定濃度C4及び対応する基準係数Co4とについて、具体例を説明する図である。図31Cは、定められる変更係数Cchを説明する図である。
この第2実施形態では、図31Bに示すように、基準濃度C1を所定濃度未満の濃度範囲における最低濃度、つまり画像濃度0%とし、この基準濃度C1に対応する基準係数Co1を値「0.0」としている。また、所定濃度C4に対応する基準係数Co4を値「1.0」としている。なお、これらの情報は、例えば、前述した補正値格納部63a内のテーブルとして格納される。そして、この実施形態では、所定濃度未満の画像については、最低濃度C1及び対応する基準係数Co1の組と、所定濃度C4及び対応する基準係数Co4の組との相関関係に基づき、変更係数Cchを定める。また、所定濃度以上の画像については、標準の補正値Hstdを用いて補正を行う。
すなわち、所定濃度未満の画像については、前述した事前処理において、最低濃度C1及び対応する基準係数Co1の組と所定濃度C4及び対応する基準係数Co4の組から、一次補間によってその画素データの濃度(階調値)に応じた変更係数Cchが定められる。
例えば、図31Cに示すように、その画像データの濃度が10%であった場合、対応する変更係数Cchは0.33と定められる。同様に、その画像データの濃度が20%であった場合、対応する変更係数Cchは0.67と定められる。
このような一次補間を用いることで、やはり処理の簡素化が図れ、インクの高周波吐出にも容易に対応することができる。また、本実施形態では、所定濃度未満の濃度範囲内に1つの基準濃度C1を有するだけであるので、プリンタ1の有する情報の量を削減することもできる。
このようにして変更係数Cchを定めたならば、前述した第1実施形態と同様に本処理を行い、その画素データに対応した補正値(標準の補正値Hstd,低濃度側の補正値Hld)を定める。そして、本処理を行ったならば、次の画素データに対する事前処理、及び本処理を同様にして行う。さらに、全ての画素データについて補正値を定めたならば、ラスタライズ処理(S144)が行われる。
このラスタライズ処理によってプリンタ1に印刷データが出力され、プリンタ1は、印刷データが有する画素データに従って、用紙Sに画像を本印刷する。なお、この画素データは、前述したように、ラスタライン毎に濃度の補正がなされているので、印刷された画像において、画像の濃度ムラを効果的に抑制することができる。さらに、本実施形態でも、その画像の濃度が所定濃度未満の場合には、濃度の補正度合いが、所定濃度以上の場合よりも小さくなる。これにより、ドットが過度に追加されたり、ドットが過度に間引かれる等の現象が防止できる。その結果、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。
ところで、この第2実施形態では、基準濃度を最低濃度(0%)に定めているが、この構成に限定されない。すなわち、基準濃度は、所定濃度未満の任意の濃度に定めることができる。なお、基準濃度に関し、所定濃度に近い濃度に定めてしまうと、基準濃度に対応する基準係数と、所定濃度に対応する基準係数との差が小さくなってしまい、得られる変更係数Cchの精度が損なわれてしまう可能性がある。この点を考慮すると、基準濃度は、できるだけ低濃度側に設定することが好ましい。
<第3実施形態について>
ところで、前述した第1実施形態、及び第2実施形態の何れも、基準濃度及び基準係数の組と所定濃度及び基準係数の組との間で一次補間を行うことにより、変更係数Cchを定めていた。この点に関し、所定濃度未満の濃度範囲を複数の副濃度範囲に分割し、副濃度範囲毎に低濃度側の補正値Hldを定めるようにしてもよい。以下、このように構成した第3実施形態について説明する。
ここで、図32は、第3実施形態における低濃度側の補正値Hldを説明する図である。すなわち、図32Aは、標準の補正値Hstdが0.2、0.1、−0.1、及び−0.2の場合における、標準の補正値Hstdと低濃度側の補正値Hldとを説明する図である。図32Bは、標準の補正値Hstdと対応する低濃度側の補正値Hldとについて具体例を説明する図である。
なお、この第3実施形態において、プリンタ1は、標準の補正値Hstdと低濃度側の補正値Hldとを有している。例えば、これらの補正値は、前述した補正値格納部63aに格納されている。従って、本実施形態では、補正値格納部63aに標準の補正値用のフィールドと、低濃度側の補正値用のフィールドとを設けている。
この低濃度側の補正値用のフィールドには、低濃度側の補正値Hldが副濃度範囲毎に格納される。また、低濃度側の補正値Hldは、標準の補正値Hstd毎にも格納される。図32Bにその一部を示すように、本実施形態では、標準の補正値Hstdの所定範囲内(例えば、0.25から−0.25までの範囲)で0.01毎に、3種類の低濃度側の補正値Hldを格納している。すなわち、画像の濃度(画素データの階調値で表される濃度)で、0%以上10%未満を第1の副濃度範囲CR1とし、10%以上20%未満を第2の副濃度範囲CR2とし、20%以上30%未満を第3の副濃度範囲CR3とし、それぞれに低濃度側の補正値Hldを格納している。
本実施形態における標準の補正値Hstdは、前述した第1実施形態と同様の手順で格納される。そして、低濃度側の補正値Hldは、その副濃度範囲に応じた修正比率を標準の補正値Hstdに乗じることで算出され、コンピュータ1100Aからプリンタ1に転送される。例えば、第1の副濃度範囲CR1に対する修正比率を0.5とし、第2の副濃度範囲CR2に対する修正比率を0.75とし、第3の副濃度範囲CR3に対する修正比率を0.9としている。従って、標準の補正値Hstdが0.2の場合には、第1の副濃度範囲CR1に対応する低濃度側の補正値Hldとして0.1が格納される。同様に、第2の副濃度範囲CR2に対応する低濃度側の補正値Hldとして0.15が格納され、第3の副濃度範囲CR3に対応する低濃度側の補正値Hldとして0.18が格納される。また、標準の補正値Hstdが−0.1の場合には、第1の副濃度範囲CR1に対応する低濃度側の補正値Hldとして−0.05が、第2の副濃度範囲CR2に対応する低濃度側の補正値Hldとして−0.075が、第3の副濃度範囲CR3に対応する低濃度側の補正値Hldとして−0.09がそれぞれ格納される。
各低濃度側の補正値Hldは、例えば、各ラスタラインの標準の補正値Hstdを補正値格納部63aに格納した後に設定される。具体的には、第1実施形態における基準係数の設定(S125,図24参照。)に代えて、低濃度側の補正値Hldの設定処理が行われる。そして、この設定処理では、標準の補正値Hstd毎に、対応する低濃度側の補正値Hldが補正値格納部63aに格納される。例えば、標準の補正値Hstdが、0.25,0.24,0.23…のように、−0.25まで、0.01刻みで定められているとする。この場合、まず、値0.25の標準の補正値Hstdについて、3種類の低濃度側の補正値Hldが格納され、次に値0.24の標準の補正値Hstdについて低濃度側の補正値Hldが格納される。以後は同様の手順で、値−0.25まで低濃度側の補正値Hldが格納される。
そして、本実施形態でも、ハーフトーン処理(S143,図27を参照。)にて、補正値に基づく補正が行われる。すなわち、本実施形態では、事前処理にて、その画像の濃度に応じた補正値(標準の補正値Hstd,低濃度側の補正値Hld)が選択され、この選択された補正値を用い、本処理では画素データの変換が行われる。この変換時において、本実施形態では、低濃度側の補正値Hldを読み出して使用できる。すなわち、標準の補正値Hstdとその画素データの濃度とで定められる低濃度側の補正値Hldを、補正値格納部63aから直接読み出せるので、処理を簡素化でき、インクの高周波吐出に適する。
このようにして、全ての画素データについて変換を行ったならば、ラスタライズ処理(S144)が行われる。このラスタライズ処理によってプリンタ1に印刷データが出力され、プリンタ1は、印刷データが有する画素データに従って、用紙Sに画像を本印刷する。本実施形態でも、この画素データは、ラスタライン毎に濃度の補正がなされているので、印刷された画像において、画像の濃度ムラを効果的に抑制することができる。さらに、その画像の濃度が所定濃度未満の場合には、濃度の補正度合いが、所定濃度以上の場合よりも小さくなるため、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。
ところで、図32の例では、所定濃度未満の濃度範囲を分割することで、複数の副濃度範囲CR1〜CR3を定め、副濃度範囲のそれぞれに低濃度側の補正値Hldを定めていたが、この構成に限定されるものではない。例えば、図33に示すように、低濃度側の補正値Hldを、標準の補正値Hstdに対して一定比率を乗じて得られた値に定めてもよい。つまり、形成される画像の濃度に関わらず一定の所定比率を標準の補正値Hstdに乗じることで、低濃度側の補正値Hldを定めるようにしてもよい。図33の例では、所定比率を0.5とし、標準の補正値Hstdに対してこの所定比率を乗じることで、低濃度側の補正値Hldを定めている。このように構成しても、所定濃度未満の画像については、過度なドットの追加や間引きが防止されるので、必要な濃度補正を行いつつも、粒状性の悪化を防止できる。
なお、図32,図33の実施形態では、低濃度側の補正値Hldを補正値格納部63aに格納していたが、低濃度側の補正値Hldに代えて修正比率を格納し、標準の補正値Hstd及び修正比率から低濃度側の補正値Hldを算出するようにしてもよい。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてプリンタ1について記載されているが、その中には、印刷装置、印刷方法、印刷システム1000等の開示が含まれている。また、一実施形態としてのプリンタ1について説明をしたが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<補正値について>
上記の各実施形態は、所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものであったが、この実施形態に限定されるものではない。すなわち、補正値に基づく濃度補正の度合いが、形成すべき画像の濃度に応じて定められていればよい。
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタ1とスキャナ装置100が個別に構成され、それぞれがコンピュータ1100に対して通信可能に接続されていた。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、プリンタ1の機能とスキャナ装置100の機能とを併せ持つ、所謂プリンタ・スキャナ複合機であってもよい。
また、前述の実施形態では、プリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1の実施形態であったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
<印刷方式について>
前述の実施形態では、印刷方式としてインターレース方式を例に説明したが、この印刷方式は、これに限るものではなく、所謂オーバーラップ方式を用いても良い。前述のインターレースでは、一つのラスタラインは一つのノズルにより形成されるところ、当該オーバーラップ方式では、一つのラスタラインが、二つ以上のノズルにより形成される。すなわち、このオーバーラップ方式では、用紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、キャリッジ移動方向に移動する各ノズルが、数画素おきに間欠的にインク滴を吐出することによって、キャリッジ移動方向に間欠的にドットを形成する。そして、他のパスにおいて、他のノズルが既に形成されている間欠的なドットを補完するようにドットを形成することにより、1つのラスタラインが複数のノズルにより完成する。
<濃度補正対象について>
前述の実施形態では、ハーフトーン処理において補正値に基づく画素データの変換が行われているが、この方法に限定されるものではない。例えば、解像度変換処理で得られたRGB画像データに対して、補正値に基づく画素データを行うように構成してもよい。
<インクを吐出するキャリッジ移動方向について>
前述の実施形態では、キャリッジ31の往方向の移動時にのみインクを吐出する単方向印刷を例に説明したが、これに限るものではなく、キャリッジ31の往復である双方向移動時にインクを吐出する所謂双方向印刷を行っても良い。
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用紙S上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えば、これらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
1 プリンタ,20 搬送ユニット,21 給紙ローラ,22 搬送モータ,
23 搬送ローラ,24 プラテン,25 排紙ローラ,30 キャリッジユニット,
31 キャリッジ,32 キャリッジモータ,40 ヘッドユニット,41 ヘッド,
50 センサ,51 リニア式エンコーダ,52 ロータリー式エンコーダ,
53 紙検出センサ,54 紙幅センサ,60 コントローラ,
61 インターフェース部,62 CPU,63 メモリ,64 ユニット制御回路,
644A 原駆動信号発生部,644B 駆動信号整形部,90 インクカートリッジ,
100 スキャナ装置,101 原稿,102 原稿台ガラス,
104 読取キャリッジ,106 露光ランプ,108 リニアセンサ,
1000 印刷システム,1100・1100A コンピュータ,
1102 ビデオドライバ,1104 アプリケーションプログラム,
1110 プリンタドライバ,1120 工程用補正プログラム,1200 表示装置,
1300 入力装置,1300A キーボード,1300B マウス,
1400 記録再生装置,1400A フレキシブルディスクドライブ装置,
1400B CD−ROMドライブ装置,
CP 補正用パターン,Hstd 標準の補正値,Hld 低濃度側の補正値,
C1〜C3 基準濃度,C4 所定濃度,Co1〜Co4 基準係数,Cch 変更係数,
CR1〜CR3 副濃度範囲

Claims (15)

  1. インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷装置において、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、
    前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、
    前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものであることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項2に記載の印刷装置であって、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値は、
    前記補正用パターンの濃度を測定して得られた測定値に基づいて定められ、
    前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に基づいて、定められることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に対する比率を示し、形成される画像の濃度に応じて変動される変更係数を有し、
    前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値を、前記変更係数によって変更することで、定められることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4に記載の印刷装置であって、
    前記所定濃度未満の濃度範囲内に、少なくとも1つの基準濃度を定めるとともに、該基準濃度に対応させて変更基準係数を定め、
    前記所定濃度に対応させて範囲外基準係数を定め、
    前記変更係数は、
    前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組との相関関係に基づき、定められることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記変更係数は、前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組との間の一次補間によって定められることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の印刷装置であって、
    前記基準濃度及び変更基準係数の組を、前記基準濃度が異なる複数組有し、
    前記変更基準係数は、前記基準濃度が低くなる程に、濃度補正の度合いを小さくするものであることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項5又は請求項6に記載の印刷装置であって、
    前記基準濃度は、前記画像における最低濃度であり、前記濃度範囲内に1つ定められることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記所定濃度未満の濃度範囲内に複数の副濃度範囲を定め、
    前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、その副濃度範囲に対応する所定比率を乗じることで、前記副濃度範囲毎に定められることを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、形成される画像の濃度に関わらず一定の所定比率を乗じることで、定められることを特徴とする印刷装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記ドット形成動作は、
    階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するものであり、
    前記補正値は、
    前記階調値を変化させるものであることを特徴とする印刷装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかに記載の印刷装置であって、
    1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、
    複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成することを特徴とする印刷装置。
  13. インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷装置において、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、
    前記ドット形成動作は、階調値に応じた濃度で前記ラインを形成するものであって、前記補正値に基づいて前記階調値を変化させることで濃度補正を行うものであり、且つ、1回の前記ドット形成動作で形成される前記ライン同士の間に、形成されない前記ラインを設定し、複数回の前記ドット形成動作により、各ラインを補完的に形成するものであり、
    前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められ、
    所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に比べて、濃度補正の度合いを小さくするものとされ、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値は、前記補正用パターンの濃度を測定して得られた測定値に基づいて定められ、
    前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に対する比率を示し、形成される画像の濃度に応じて変動される変更係数を有し、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値を、前記変更係数によって変更することで定められ、
    前記所定濃度未満の濃度範囲内に、少なくとも1つの基準濃度を定めるとともに、該基準濃度に対応させて変更基準係数を定め、前記所定濃度に対応させて範囲外基準係数を定め、前記変更係数は、前記基準濃度及び変更基準係数の組と前記所定濃度及び範囲外基準係数の組の間の一次補間によって定められ、
    前記基準濃度は、前記画像における最低濃度であって、前記濃度範囲内に1つ定められ、或いは、前記基準濃度及び変更基準係数の組を、前記基準濃度が異なる複数組有し、前記変更基準係数は、前記基準濃度が低くなる程に、濃度補正の度合いを小さくするものとされ、
    又は、
    前記所定濃度未満の濃度範囲内に複数の副濃度範囲を定め、前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、その副濃度範囲に対応する所定比率を乗じることで、前記副濃度範囲毎に定められ、
    又は、
    前記所定濃度未満の画像を形成する際に用いる補正値は、前記所定濃度以上の画像を形成する際に用いる補正値に、形成される画像の濃度に関わらず一定の所定比率を乗じることで、定められることを特徴とする印刷装置。
  14. 所定の移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷方法において、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、
    前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、
    前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とすることを特徴とする印刷方法。
  15. コンピュータと印刷装置とが通信可能に接続された印刷システムであって、
    前記印刷装置は、インクを吐出するためのノズルと、媒体を搬送するための搬送ユニットとを備え、
    所定の移動方向に移動する複数の前記ノズルからインクを吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、前記搬送ユニットにより前記媒体を前記移動方向と交差する交差方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、前記移動方向に沿う複数のドットから構成されたラインを前記交差方向に複数形成して、画像を印刷する印刷システムにおいて、
    前記媒体上に印刷された補正用パターンの濃度に基づき定められ、前記画像における前記交差方向の濃度を補正する補正値を、各ラインに対応させて定め、
    前記ドット形成動作は、前記補正値に基づいて濃度補正を行いながら、対応するラインにドットを形成するものであり、
    前記補正値に基づく濃度補正の度合いは、形成すべき画像の濃度に応じて定められることを特徴とする印刷システム。
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