JP2005212248A - 2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサー - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性および絶縁破壊電圧で表される耐電圧特性に優れ、同時にフィルムのカール性に優れた2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーを提供する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなる2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明はコンデンサー用に好適な2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーに関するものであり、さらに詳しくは、耐電圧特性、耐熱性、およびフィルムのカール性に優れたコンデンサー用に好適な2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーに関するものである。
従来、フィルムコンデンサーは、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム等のフィルムとアルミニウム箔等の金属薄膜とを重ね合わせ、巻回または積層する方法により製造されている。近年、電気あるいは電子回路の小型化の要求に伴い、フィルムコンデンサーについても小型化や実装化が進んでおり、電気特性に加えて更なる耐熱性が要求されるようになってきた。また、自動車用途においては、運転室内での使用のみならず、エンジンルーム内にまで使用範囲が拡大しており、電気特性に加え、より高温高湿下の環境に適したフィルムコンデンサーが要求されている。
耐熱性を解決する目的では、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを用いた方法が特開2000−173855号公報に開示されており、その電気特性を改良する目的で結晶状態、極限粘度などを制御する方法が提案されている。また、電気特性に優れる熱可塑性樹脂として、特開平2−143851号公報、特開平3−124750号公報、特開平5−200858号公報にはシンジオタクチックポリスチレン系重合体を主成分とする樹脂組成物を二軸延伸して得られる耐熱性および電気特性に優れたフィルムが開示されている。しかしながら、前者の方法では、極性ポリマーであるが故、更なる電気特性の改良には限界があり、一方、後者の方法では、従来用いられているポリエステルフィルムに較べて製膜が難しく、また得られたフィルムも裂けやすいことから、コンデンサー製造時のハンドリング性の改良が求められている。
また、シンジオタクチックポリスチレンとポリエステルフィルムとが2層に積層されたフィルムとして、特開平8−39741号公報では耐湿性やセルフヒーリング性が改良されることが開示されており、また特開平8−195327号公報には、耐熱性に優れ、かつ電気特性に優れる温度範囲をより広範囲とすることが開示されている。しかしながら、これら2層フィルムの構成ではフィルムがカールしやすく、また厚み比の設計が不適当な場合には電気特性のばらつきが大きいなどといった点から、耐熱性および電気特性のいずれにも優れ、かつフィルムの平面性にも優れた、フィルムコンデンサー用途に好適なポリエステル系フィルムはいまだ提供されていないのが現状である。
特開2000−173855号公報 特開平2−143851号公報 特開平3−124750号公報 特開平5−200858号公報 特開平8−39741号公報 特開平8−195327号公報
本発明の目的は、耐熱性および絶縁破壊電圧で表される耐電圧特性に優れ、同時にフィルムのカール性に優れた2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーを提供することにある。
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなる2軸延伸積層ポリエステルフィルムによって、従来対比極めて耐熱性、耐電圧特性、およびフィルムのカール性を同時に満たすことを見出し、本発明の完成に至った。
かくして本発明によれば、本発明の目的は、ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなる2軸延伸積層ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、絶縁破壊電圧が400V/μmを超え、かつ耐熱温度が110℃以上であること、ポリエステル樹脂(a)がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであること、熱可塑性樹脂(b)が、ポリエステルフィルムの重量を基準として5〜50重量%含有されてなること、熱可塑性樹脂(b)の融点が230〜280℃であること、熱可塑性樹脂(b)がポリオレフィン樹脂であること、熱可塑性樹脂(b)がシンジオタクチックポリスチレン樹脂であること、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に酸素原子含有化合物を含む層をさらに有し、X線光電子分光法により測定した該表面の炭素原子に対する酸素原子の比率が10%以上であること、の少なくともいずれか一つを具備するものも包含する。
また、本発明によれば、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、フィルムコンデンサー用に用いられること、積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が形成されてなる積層ポリエステルフィルム複合体、さらに積層ポリエステルフィルム複合体を用いてなるフィルムコンデンサーの少なくともいずれかを具備するものを、やはり好ましい態様として包含するものである。
本発明によれば、ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなる2軸延伸積層ポリエステルフィルムにすることによって、従来のポリエステルフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、およびポリエステルとシンジオタクチックポリスチレンとからなるフィルムに比べ、極めて高い耐熱性と耐電圧特性とを兼ね備えると共に、得られたフィルムにカールが発生しないことから、フィルムコンデンサー用に好適な2軸延伸積層ポリエステルフィルムおよびそれからなるフィルムコンデンサーを提供することができ、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明を詳しく説明する。
<ポリエステル樹脂>
本発明におけるポリエステル樹脂(a)は、ジオールとジカルボン酸との重縮合によって得られるポリマーである。かかるジカルボン酸として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸が挙げられ、またジオールとして、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。特に耐熱性の観点から、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は、単独でも他のポリエステルとの共重合体、2種以上のポリエステルとの混合体のいずれであってもかまわない。共重合体または混合体における他の成分は、繰返し構造単位のモル数を基準として10モル%以下、さらに5モル%以下であることが好ましい。共重合成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂の固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.40以上であることが好ましく、0.40〜0.80であることがさらに好ましい。固有粘度が0.4未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方固有粘度が0.8を超える場合は重合時の生産性が低下する。
本発明におけるポリエステル樹脂の融点は、200〜300℃であることが好ましく、更には260〜290℃であることが好ましい。融点が下限に満たないとポリエステルフィルムの耐熱性が不十分な場合がある。また融点が上限を超える場合は熱可塑性樹脂(b)と積層フィルムの製膜性が難しくなることがある。
本発明におけるポリエステル樹脂の誘電率は、23℃、1MHzの条件において2.7〜3.4であることが好ましい。かかる誘電率はポリエステル樹脂に固有の特性である。
<熱可塑性樹脂>
本発明における熱可塑性樹脂(b)としては、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリブチルスチレン、ポリアルキルスチレン、ポリフルオロエチレン、ポリクロロエチレン、ポリブロモスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレンなどのポリハロゲン化スチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、およびポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。本発明においては、前記熱可塑性樹脂の中でもポリオレフィン樹脂が好ましく、さらに耐熱性の観点から特にシンジオタクチックポリスチレンが好ましい。
本発明におけるシンジオタクチックポリスチレンは、立体化学構造がシンジオタクチック構造を有するポリスチレンであり、核磁気共鳴法(13C−NMR法)により測定されるタクティシティーが、ダイアッド(構成単位が2個)で75%以上、好ましくは85%以上、ペンタッド(構成単位が5個)で30%以上、好ましくは50%以上である。
かかるシンジオタクチックポリスチレンとしては、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)として、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)およびポリ(アセナフチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)としてポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)およびポリ(フルオロスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)としてポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)が挙げられ、これらのうち、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)が好ましく例示される。
本発明におけるシンジオタクチックポリスチレンは、単体でも、シンジオタクティシティが前記範囲内であれば他のポリスチレンとの共重合体、2種以上のポリスチレンとの混合体のいずれであってもかまわない。
また、本発明におけるシンジオタクチックポリスチレンは、重合平均分子量が10,000以上、さらに50,000以上であることが好ましい。重合平均分子量が下限に満たない場合、耐熱性や機械特性が不十分である。一方、重合平均分子量の上限は500,000以下であることが好ましい。かかる上限を超える場合、製膜性に乏しくなる場合がある。
本発明における熱可塑性樹脂は、必ずしも単一化合物である必要はなく、2種以上の熱可塑性樹脂の混合体であってもかまわない。混合体における他の成分は、熱可塑性樹脂の重量を基準として、10重量%以下、さらには5重量%以下であることが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂の融点は、230℃〜280℃であることが好ましく、更には240〜275℃であることが好ましい。融点が下限に満たないとポリエステルフィルムの耐熱性が不十分な場合がある。また融点が上限を超える場合はポリエステル樹脂との積層フィルムの製膜性が難しくなることがある。
本発明における熱可塑性樹脂の誘電率は、23℃、1MHzの条件において3.0未満である。本発明における熱可塑性樹脂の誘電率は、好ましくは、2.2〜2.9である。誘電率が上限を超える場合、ポリエステルフィルムの耐電圧特性が充分に改良されない。また、誘電率が下限に満たない樹脂は加工性に乏しい場合がある。
本発明における熱可塑性樹脂の誘電損失は、23℃、1MHzの条件における誘電正接(tanδ)で表され、0.001未満である。誘電損失が0.001以上の場合、絶縁性が低下し、得られるポリエステルフィルムの耐電圧特性が充分に改良されない。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムに用いられる熱可塑性樹脂の含有量は、ポリエステルフィルムの重量を基準として5〜50重量%であることが好ましく、さらに6〜45重量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が下限に満たない場合、耐電圧特性が充分に改良されないことがある。また熱可塑性樹脂の含有量が上限を超えると延伸製膜が難しくなる場合がある。
<不活性粒子>
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、製膜時の巻き取り性を付与する為に、不活性粒子を添加してもよい。かかる不活性粒子は、発明の効果を損なわない範囲において用いられるが、平均粒径が0.001〜5μmの不活性粒子を、最終的に得られるポリエステルフィルム中に0.01〜10重量%含有するように添加することが好ましい。また、該不活性粒子は、積層ポリエステルフィルムの最外層にのみ添加されていてもよい。添加する不活性粒子としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレーなどの無機粒子、シリコーン、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれかからなる有機粒子、硫酸バリウム、酸化チタンなどの顔料を少なくとも1種用いることができる。
これら不活性粒子をポリエステル樹脂または熱可塑性樹脂へ添加する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段として例えばジェットミル、ボールミルが挙げられ、また分級手段として例えば乾式もしくは湿式遠心分離機が挙げられる。なお、これらの手段は2種以上を組み合わせ、段階的に精製してもよい。
不活性粒子をポリエステル樹脂に含有させる方法としては、様々な方法を用いることができるが、例えば下記の方法が挙げられる。
(ア)ポリエステルの合成過程において、エステル交換反応もしくはエステル化反応が終了する前に添加、あるいは重縮合反応開始前に不活性粒子を添加する方法。
(イ)重縮合反応によって得られたポリエステル樹脂に不活性粒子を添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)、(イ)の方法において不活性粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、不活性粒子を含有しないポリエステル樹脂と混練して、所定濃度の不活性粒子を含有させる方法。
なお、上記(ア)の方法を用いる場合には、不活性粒子をグリコールに分散したスラリーとして、反応系に添加することが好ましい。
<添加剤>
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、必要に応じて少量の添加剤、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤を含んでいてもよい。
さらに、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、リン化合物を含んでいてもよい。かかるリン化合物としては、熱安定剤として作用するリン化合物であれば特に種類は限定されないが、例えばリン酸、メチルフォスフェートやエチルホスフェート系といったリン酸エステル、亜リン酸および亜リン酸エステルが例示され、かかるリン化合物の中でもトリエチルフォスフォノアセテートが特に好ましく挙げられる。
リン化合物の好ましい含有量は、リン化合物中のリン元素のポリエステル全ジカルボン酸成分に対するモル濃度として、20〜300ppm、さらに30〜250ppm、特に50〜200ppmである。リン化合物の含有量が20ppm未満では、エステル交換反応触媒が完全に失活せず熱安定性が悪く、機械強度が低下する場合がある。一方、リン化合物の含有量が300ppmを超えると、熱安定性が悪く、機械強度が低下する場合がある。
<塗膜層>
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、最外層の少なくとも一方の面に塗膜層を有してもよい。かかる塗膜層は、バインダー樹脂および溶媒からなるコーティング塗剤を2軸延伸積層ポリエステルフィルムに塗布することによって得られる。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂を用いることができ、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンおよびポリスチレン、ならびにこれらの共重合体や混合体が挙げられる。これらのバインダー樹脂の中でも、ポリエステル共重合体が特に好ましく例示される。溶媒としては、例えばトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が挙げられ、更に水であってもよい。
本発明の塗膜層は、塗膜を形成する成分として、さらに架橋剤、界面活性剤および不活性粒子を含んでいてもよい。かかる界面活性剤としてはポリアルキレンオキサイドが例示される。
本発明の塗膜層は、上記成分以外にメラミン樹脂などの他樹脂、軟質重合体、フィラー、熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、ラベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳化剤、硬化剤および難燃剤などをさらに含んでもよく、その配合割合は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
本発明の塗膜層は、ポリエステルフィルムに積層させる方法として、2軸延伸された積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗剤を塗布し乾燥する方法、延伸可能な積層ポリエステルフィルムに塗剤を塗布した後、乾燥、延伸し、必要に応じて熱処理する方法のいずれでもよい。ここで、延伸可能な積層ポリエステルフィルムとは、未延伸積層ポリエステルフィルム、一軸延伸積層ポリエステルフィルムまたは二軸延伸積層ポリエステルフィルムであり、これらの中でもフィルム押し出し方向(縦方向)に一軸延伸された縦延伸積層ポリエステルフィルムが特に好ましく例示される。
また、積層ポリエステルフィルムに塗剤を塗布する場合、クリーンな雰囲気での塗布、すなわちフィルム製膜工程での塗布が好ましく、塗膜のポリエステルフィルムへの密着性が向上する。通常の塗工工程、すなわち二軸延伸後、熱固定したポリエステルフィルムに、該フィルムの製造工程と切り離した工程で行うと、埃、ちりなどを巻き込みやすい。
積層ポリエステルフィルムに塗剤を塗布する方法としては、公知の任意の塗布方法を用いることができ、例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法を単独または組み合わせて用いることができる。
<製膜>
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、耐熱性、耐電圧特性とともに、フィルムカールを低減する目的で、ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなる2軸延伸積層ポリエステルフィルムである必要がある。該フィルムであることによって、比較的耐電圧特性の低いポリエステル樹脂の特性が、耐電圧特性の良好な熱可塑性樹脂によって補完され、かつ上述の構造を有することによって良好なフィルムカール性をも有する。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、上述のポリエステル樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とを原料とし、これを溶融状態でシート状に押出した後、テンター法、インフレーション法など公知の製膜方法を用いて製造することができ、例えば共押出製膜法で製造する方法が挙げられる。
5層積層されたフィルム(A/B/A/B/A)を例に挙げて説明すると、まずポリエステル樹脂層(A)用に調整したポリエステル樹脂(a)を乾燥後、(Tma)〜(Tma+70)℃(Tmaはポリエステル樹脂の融点)の温度範囲内で溶融する。同時に、熱可塑性樹脂層(B)用に調整した熱可塑性樹脂(b)を必要に応じて乾燥し、(Tmb)〜(Tmb+70)℃(Tmbは熱可塑性樹脂の融点)の温度範囲内で溶融溶融する。続いて、両方の溶融樹脂をダイ内部で交互に積層する方法、例えばマルチマニホールドダイを用いた同時積層押出法により、積層された未延伸フィルムが製造される。かかる同時積層押出法によると、A層を形成する樹脂の溶融物とB層を形成する樹脂の溶融物はダイ内部で交互に積層され、積層形態を維持した状態でダイよりシート状に成形される。
ダイより押し出されたシート状成形物を表面温度10〜60℃の冷却ドラムで冷却固化し、この未延伸積層フィルムを例えばロール加熱または赤外線加熱によって加熱した後、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。かかる縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸温度は、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。縦延伸倍率は、使用する用途の要求に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは2.5倍以上5.0倍以下、更に好ましくは2.8倍以上3.9倍以下である。縦延伸倍率が2.5倍以下ではフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られない場合がある。また縦延伸倍率が5.0倍以上では製膜中に破断が発生しやすくなる。
得られた縦延伸フィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向積層フィルムとするが、かかる処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸処理は、ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)より20℃高い温度から始め、ポリエステル樹脂の融点(Tma)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。かかる横延伸開始温度は、好ましくは(Tg+40)℃以下である。また横延伸最高温度は、好ましくはTmaより(100〜40)℃低い温度である。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムに破れが生じやすい。また横延伸最高温度が(Tma−120)℃より低いと、得られたフィルムの熱収縮率が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下しやすい。一方横延伸最高温度が(Tma−30)℃より高いと、フィルムが柔らかくなりすぎ、製膜中にフィルムの破れが起こり易い。
横延伸過程の昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常は段階的に昇温する。例えば、ステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
横延伸倍率は、使用する用途の要求に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは2.5倍以上5.0倍以下、更に好ましくは2.8倍以上4.0倍以下である。縦延伸倍率が2.5倍以下ではフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られない場合がある。また縦延伸倍率が5.0倍以上では製膜中に破断が発生しやすくなる。
なお、2軸延伸された積層ポリエステルフィルムは、その後熱固定処理が施される。熱固定を施すことにより、得られたフィルムの高温条件下での寸法安定性が向上する。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの200℃における熱収縮率の好ましい範囲は、−3〜3%、更に−2〜2%、特に−1〜1%である。200℃における熱収縮率が、上述の範囲を満たさない場合、フィルムに金属膜を蒸着してポリエステル複合体およびコンデンサーとした場合に、フィルムにしわが入ることがある。200℃における熱収縮率を上述の範囲内にするためには、熱固定処理を(Tma−100℃)以上、さらには(Tma−50)℃〜(Tma−20)℃の範囲で行うことが好ましい。
また、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、熱収縮を抑えるために、さらにオフライン工程において150〜220℃で1〜60秒間熱処理した後、50〜80℃の温度雰囲気下で徐冷するアニール処理を施しても構わない。
このようにして得られた本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの総厚みは、0.1〜20μm、さらには0.5〜15μm、特に1.0〜10μmであることが好ましい。フィルム厚みが0.1μm未満では製膜が困難であり、また耐電圧特性が低下する場合がある。一方フィルム厚みが20μmを越えるとコンデンサーの小型化が難しい場合がある。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、(ポリエステル樹脂(a)からなる層Aの平均厚み/熱可塑性樹脂(b)からなる層Bの平均厚み)で表される比は1〜100であることが好ましい。
また、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、最外層はポリエステル樹脂(a)であることが好ましい。
さらに、本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの好ましい積層数は、3層以上、さらには5層以上である。積層数が2層の場合、フィルムがカールしやすく、また厚み比の設計が不適当な場合には耐電圧特性のばらつきが大きい場合がある。かかる積層数は、増えるに従い、耐電圧特性が向上する傾向にあり、特に好ましい範囲は5〜201層である。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの絶縁破壊電圧は、400V/μmを超え、好ましくは410V/μm以上、より好ましくは460V/μm以上、特に好ましくは470V/μm以上である。絶縁破壊電圧が400V/μm以下だとコンデンサーに用いたときの電気特性が十分ではない。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの耐熱性は、110℃以上、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上である。耐熱性が110℃未満だとコンデンサーに用いたときの耐熱性が十分ではない。ここで、耐熱性はIEC60216の温度指数に準拠し、絶縁破壊電圧の半減期の時間と温度の関係をアレニウスプロットして、20000時間に耐えうる温度で定義されるものである。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムのフィルムカール性は、フィルム押出方向(縦方向)または、横方向における所定サイズのフィルムの反り量で判断されるものであり、目視で反りが発生すると、コンデンサー製造時のハンドリングが困難となり好ましくない。
本発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の面に、他の機能を付与する目的でさらに他の層を積層した積層体であってもよい。例えば、セルフヒーリング性を更に改善する目的で、積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に酸素原子含有化合物を含む層をさらに有してもよく、X線光電子分光法により測定した該表面の炭素原子に対する酸素原子の比率は10%以上、さらには15%以上であることが好ましい。酸素原子含有化合物としては、セルロース、SiOが例示される。SiOの場合は真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリングのいずれかの方法によって積層してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルム複合体は、前述の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が形成されてなるものである。金属層の材質については、特に制限はないが、例えばアルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、錫、銅およびこれらの合金が挙げられる。
かかる積層ポリエステルフィルム複合体は、フィルムコンデンサーに好適に用いることができる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の融点、耐熱性、誘電率、絶縁破壊電圧ならびにフィルムカール性は、下記の方法により測定および評価した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
(1)融点
ポリエステル樹脂(a)および熱可塑性樹脂(b)それぞれ10mgを、測定用のアルミニウム製パンに封入し、TAinstruments社製示差熱量計DSC2920を用いて25℃から300℃まで20℃/minの昇温速度で測定し、それぞれの融点(Tma、Tmb)を求めた。
(2)耐熱性
得られた2軸延伸積層ポリエステルフィルムを用い、IEC60216の温度指数に準拠し、絶縁破壊電圧の半減期の時間と温度の関係をアレニウスプロットして、20000時間に耐えうる温度を求めた。
(3)誘電率
熱可塑性樹脂を用い、JIS C2151に準拠して23℃、1MHzにおける誘電率を測定した。
(4)誘電損失
熱可塑性樹脂を用い、JIS C2151に準拠して23℃、1MHzにおける誘電損失を測定した。
(5)絶縁破壊電圧
得られた2軸延伸積層ポリエステルフィルムを用い、JIS C2151記載の平板電極法に準拠して、東京精電株式会社製 ITS−6003を用いて、直流電流 160V/sによって絶縁破壊電圧を測定した。
(6)フィルムカール性
得られた2軸延伸積層ポリエステルフィルムを用い、縦30mm×横200mmおよび縦200mm×横30mmに、それぞれサンプリングして平板に自然放置した状態で下記基準により目視判定した。
○:ほとんどカールが見られない。
△:ややカールが見られる。
×:著しくカールする。
[実施例1]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルおよびエチレングリコールを酢酸マンガンの存在下、常法によりエステル交換反応を行った後、トリエチルフォスフォノアセテートを添加した。次いで三酸化アンチモンを添加して、常法により重縮合させてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂を得た。本樹脂中の各元素の濃度を原子吸光法によって測定した結果、Mn=50ppm、Sb=300ppm、P=50ppmであった。
得られたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂(固有粘度0.62)に平均粒子径0.3μmの球状シリカを0.1重量%添加し、180℃で6時間乾燥した後、300℃に加熱された押出機に供給した。一方、熱可塑性樹脂(b)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光化学株式会社製、グレード;130ZC)を280℃に加熱された他方の押出機に供給し、それぞれ溶融した状態で、ダイ内部においてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂層Aとシンジオタクチックポリスチレン層Bとを交互にA/B/A・・・A/B/Aで表される49層に積層し、かかる積層構造を維持した状態でダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、60℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で220℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して、室温まで冷却し、5μm厚みの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。なお、各層の平均厚みは0.1μmであった。
用いたポリエステル樹脂(a)および熱可塑性樹脂(b)の特性および得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。本実施例のポリエステルフィルムは、耐熱性、絶縁破壊電圧およびフィルムカール性のいずれにも優れていた。
[実施例2]
積層構造を、A/B/A/B/Aで表される5層構造とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、5μm厚みの二軸延伸積層ポリエステルフィルムを得た。なお、各層の平均厚みは1μmであった。
用いたポリエステル樹脂(a)および熱可塑性樹脂(b)の特性および得られた二軸延伸積層ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。本実施例のポリエステルフィルムは、耐熱性、絶縁破壊電圧およびフィルムカール性のいずれにも優れていた。
[比較例1]
実施例1と同様に作成して得られたポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂を100重量%用い、シンジオタクチックポリスチレンを用いなかった以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、5μm厚みの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
用いたポリエステル樹脂(a)の特性および得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。本比較例のポリエステルフィルムは、耐熱性に優れるものの、絶縁破壊電圧は満足のいくものではなかった。
[比較例2]
比較例1のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂のかわりに、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、170℃で3時間乾燥後、280℃に加熱された押出機に供給し、290℃のダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを90℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、20℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で220℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して、室温まで冷却し、5μm厚みの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
用いたポリエステル樹脂(a)の特性および得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。本実施例のポリエステルフィルムは、絶縁破壊電圧は満足するものの、耐熱性は満足のいくものではなかった。
[比較例3]
実施例1と同様に作成したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂(a)に平均粒子径0.3μmの球状シリカを0.1重量%添加し、180℃で6時間乾燥した後、300℃に加熱された押出機に供給した。一方、熱可塑性樹脂(b)としてシンジオタクチックポリスチレン(出光化学株式会社製、グレード;130ZC)を280℃に加熱された他方の押出機に供給し、それぞれ溶融した状態で、ダイ内部においてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂層Aとシンジオタクチックポリスチレン層BとをA/Bで表される2層に積層し、かかる積層構造を維持した状態でダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度60℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、60℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で220℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して、室温まで冷却し、5μm厚みの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、各層の平均厚みは、A層は3μm、B層は2μmであった。
用いたポリエステル樹脂(a)および熱可塑性樹脂(b)の特性および得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。本実施例のポリエステルフィルムは、耐熱性、絶縁破壊電圧は満足するものの、著しくカールが発生し、フィルムに層間剥離が見られた。
Figure 2005212248
本発明によって得られた2軸延伸積層ポリエステルフィルムは、耐熱性および絶縁破壊電圧で表される耐電圧特性に優れ、同時にフィルムのカール性に優れることから、電気・電子製品用途あるいは自動車用途のフィルムコンデンサー用に好適に使用される。また本願発明の2軸延伸積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が形成されてなる積層ポリエステルフィルム複合体は、同様にフィルムコンデンサーとして好適に使用される。

Claims (11)

  1. ポリエステル樹脂(a)と誘電率が3.0未満および/または誘電損失が0.001未満である熱可塑性樹脂(b)とからなるフィルムであって、該フィルムがポリエステル樹脂(a)からなる層(A)と熱可塑性樹脂(b)からなる層(B)とが交互に3層以上積層されてなることを特徴とする2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  2. 絶縁破壊電圧が400V/μmを超え、かつ耐熱温度が110℃以上である請求項1記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル樹脂(a)がポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである請求項1または2記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(b)が、積層フィルムの重量を基準として5〜50重量%含有されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  5. 熱可塑性樹脂(b)の融点が230〜280℃である請求項1〜4のいずれかに記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  6. 熱可塑性樹脂(b)がポリオレフィン樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  7. 熱可塑性樹脂(b)がシンジオタクチックポリスチレン樹脂である請求項6記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  8. 積層フィルムの少なくとも片面に酸素原子含有化合物を含む層をさらに有し、X線光電子分光法により測定した該表面の炭素原子に対する酸素原子の比率が10%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムがフィルムコンデンサーに用いられることを特徴とするフィルムコンデンサー用2軸延伸積層ポリエステルフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルムの少なくとも片面に金属層が形成されてなる積層ポリエステルフィルム複合体。
  11. 請求項10記載の積層ポリエステルフィルム複合体を用いてなるフィルムコンデンサー。
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