JP2005207075A - 建物減震用基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 戸建住宅のような建物に適した建物減震用基礎構造であって、安価でしかも摩擦係数を様々な値に設定できるような建物減震用基礎構造を提供する。
【解決手段】 本建物減震用基礎構造は、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間に設けられた2種類の動摩擦軽減機構50、60及びストッパ機構70とを含む。動摩擦軽減機構50は、地盤側コンクリート基礎に設けられた所定の面積を持つ第1の板材51と、該第1の板材に対応する住宅側コンクリート基礎に設けられて第1の板材に沿って住宅側コンクリート基礎とともに移動可能な滑動機構52とから成る。動摩擦軽減機構60は、地盤側コンクリート基礎に設けられた所定の面積を持つ第2の板材61と、該第2の板材に対応する住宅側コンクリート基礎に設けられて第2の板材に沿って住宅側コンクリート基礎とともに移動可能な転動機構62とから成る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地震発生時に水平振動を軽減して建物の破壊を防止するための建物減震用基礎構造に関し、特に戸建住宅に適した安価な建物減震用基礎構造に関する。
これまで、地震による建築物の破壊を防止するための手段としては、免震装置が知られている。例えば、ビルのような大型の建築物における免震装置としては、円盤状の鉄板とゴムとを重ね合わせて構成した積層ゴムが知られている。しかし、このような積層ゴムは、重量の大きな建築物には適用されているが、戸建住宅のような、ビルに比べて軽量の建築物には普及していない。
そこで、戸建住宅用の免震装置として、例えばボールベアリング支承によるものが提供されている。これは、住宅と地盤側基礎部との間に、ボールベアリングによる支承部を設けて構成される。ボールベアリングによる支承部は複数箇所に設けられる。基礎部にはボールベアリングにおける剛性の球体を受けるための受皿が設けられ、受皿の上面は通常、凹面状に形成されている。
しかしながら、球体は剛性を持つとは言え、一点支持であるため、欠けのような損傷を生じ易い。これを防ぐためには、ボールベアリングによる支承部1箇所当たりの荷重を減らす必要がある。これは、ボールベアリングによる支承部の数が増加することを意味する。
一方、本願出願人により、以下のような住宅減震用基礎構造が提案されている。この住宅減震用基礎構造は、住宅が構築される地盤に形成された地盤側基礎と、住宅の下部に構成され、地盤側基礎の上に置かれる住宅側基礎と、地盤側基礎と住宅側基礎との間に設けられた少なくとも1つの摩擦軽減機構とを含む。そして、摩擦軽減機構は、地盤側基礎の上面に設けられた所定の面積を持つ板材と、住宅側基礎の下面における板材に対応する箇所に設けられて板材の上を住宅側基礎と共にスライド可能な滑動部材とを含む。
滑動部材としては、鋼材等の金属、セラミック、樹脂体のいずれか、あるいはそれらの下面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したものが使用され、板材としては鋼板等の金属板、セラミック板、樹脂板、石板、コンクリート板のいずれか、あるいはそれらの上面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したものが使用される(特許文献1参照)。
しかしながら、上記の住宅減震用基礎構造は、滑動部材及び板材に上記各種の材料を組み合わせても、摩擦係数を様々な値に設定することが難しいという問題点を有している。
特開2002−371569号公報
そこで、本発明の課題は、戸建住宅のような建物に適した建物減震用基礎構造であって、安価でしかも摩擦係数を様々な値に設定できるような建物減震用基礎構造を提供することにある。
本発明による建物減震用基礎構造は、建物が構築される地盤に形成された地盤側基礎と、建物の下部に構成され、前記地盤側基礎の上に置かれる建物側基礎と、前記地盤側基礎と前記建物側基礎との間に設けられた少なくとも2種類の動摩擦軽減機構及び少なくとも1つのストッパ機構とを含み、前記少なくとも2種類の動摩擦軽減機構のうちの1種類は、前記地盤側基礎、前記建物側基礎の一方の側に設けられた所定の面積を持つ第1の板材と、該第1の板材に対応する前記地盤側基礎、前記建物側基礎の他方の側に設けられて前記第1の板材に沿って該地盤側基礎、建物側基礎の他方の側とともに移動可能な滑動機構とから成り、前記少なくとも2種類の動摩擦軽減機構のうちの他の1種類は、前記地盤側基礎、前記建物側基礎の一方の側に設けられた所定の面積を持つ第2の板材と、該第2の板材に対応する前記地盤側基礎、前記建物側基礎の他方の側に設けられて前記第2の板材に沿って該地盤側基礎、建物側基礎の他方の側とともに移動可能な転動機構とから成ることを特徴とする。
なお、前記第1の板材を前記地盤側基礎に設け、前記滑動機構は、上面が曲面状にされるとともに下面に滑動面を有して前記第1の板材上を滑動可能な滑動体と、前記建物側基礎に取り付けられて下面側に前記滑動体の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部を有する保持体とから成るようにすることが好ましい。
また、前記第2の板材を前記地盤側基礎に設け、前記転動機構は、上面が曲面状にされるとともに下面に少なくとも1つの球体を保持して前記第2の板材上を転動可能な転動体と、前記建物側基礎に取り付けられて下面側に前記転動体の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部を有する保持体とから成るようにすることが好ましい。
前記ストッパ機構は同心状に組み合わされた複数のコイルばねを含み、これら複数のコイルばねの一端側は前記地盤側基礎に固定された第1の取付け板に、他端側は前記建物側基礎に固定された第2の取付け板にそれぞれ固定位置を周方向にずらして固定されている。
前記地盤側基礎と前記建物側基礎との間には更に、建物への風圧による前記建物側基礎のずれを防ぐために、風圧によるあらかじめ決められた値未満の横ずれ力では前記建物側基礎のずれを阻止し、あらかじめ定められた値以上の地震加速度が作用した時に前記阻止が解除されるメカニカルヒューズを少なくとも1つ設けることが好ましい。
前記メカニカルヒューズは前記あらかじめ定められた値以上の地震加速度による前記あらかじめ決められた値以上の横ずれ力で前記阻止が解除されるものであって、前記地盤側基礎、前記建物側基礎のそれぞれに設けられるホルダと、これら2つのホルダの間に架け渡されるように2つのホルダに固定され、前記あらかじめ決められた値以上の横ずれ力でせん断される棒状体とから成るもので良い。
前記メカニカルヒューズはまた、前記あらかじめ定められた値以上の地震加速度で前記阻止が解除されるものであって、前記地盤側基礎、前記建物側基礎のそれぞれに設けられた地盤側受部、建物側受部と、これら地盤側受部と建物側受部とに掛合して前記建物側基礎のずれを阻止しているピンと、前記地震加速度を検出するセンサを含んで検出された地震加速度が前記あらかじめ定められた値以上になると前記ピンを駆動して前記掛合を解除する駆動回路とを含むものでも良い。
前記滑動体は、鋼材等の金属、セラミック、樹脂体のいずれか、あるいはそれらの下面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したもので実現することができ、前記第1の板材は鋼板等の金属板、セラミック板、樹脂板、石板、コンクリート板のいずれか、あるいはそれらの上面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したもので実現することができる。
本発明によれば、動摩擦軽減機構として静摩擦係数を設定可能な滑動体による滑動機構によるものに加えて、転動体による転動機構によるものを組み合わせて用いることにより、静摩擦係数を様々な値に設定することができる。
また、本発明による建物減震用基礎構造によれば、地震発生時の加速度があらかじめ定められた値を越えた時に、建物部分が減震されたうえで水平振動するようにすることができる。
本発明による建物減震用基礎構造は、これまでのような免震装置や制震装置の考え方とは異なる形態で、地震発生時に想定される水平振動を減らすようにした点に特徴がある。
以下に、本発明を戸建住宅に適用した場合の実施の形態について説明する。図1を参照して、本実施の形態による建物減震用基礎構造は、住宅10が構築される地盤20に形成された地盤側コンクリート基礎30と、住宅10の下部に一体的に構成されて地盤側コンクリート基礎30の上に置かれる住宅側コンクリート基礎40と、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間に設けられた2種類の1つ以上の動摩擦軽減機構(減震ユニット)50、60及び少なくとも1つのストッパ機構70とを含む。
後で詳しく説明されるように、2種類の動摩擦軽減機構のうちの一方は、地盤側コンクリート基礎30に設けられた所定の面積を持つ第1の板材51と、第1の板材51に対応する建物側コンクリート基礎40に設けられて第1の板材51に沿って建物側コンクリート基礎40とともに移動可能な滑動機構52とから成る。2種類の動摩擦軽減機構のうちの他方は、地盤側コンクリート基礎30に設けられた所定の面積を持つ第2の板材61と、第2の板材61に対応する建物側コンクリート基礎40に設けられて第2の板材61に沿って建物側コンクリート基礎40とともに移動可能な転動機構62とから成る。
本建物減震用基礎構造は、地震に起因して地盤側コンクリート基礎30が水平振動した時、この水平振動を住宅側コンクリート基礎40に軽減して伝達し、しかもあらかじめ定められた最大片振幅(例えば35cm)以内で振動するように構成したことを特徴とする。
建物減震用基礎構造について詳しく説明する前に、基礎について説明する。地盤側コンクリート基礎30について言えば、図1に示すようなベタ基礎の他、図2(a)に示すように、所定厚(例えば20cm)のコンクリートによるベタ基礎の下側に、軟弱地盤の場合又は砂地盤で液状化を防止するための補強として複数の地中梁30−1を設けたものや、図2(b)に示すように、所定厚(例えば20cm)のコンクリートによるベタ基礎の下側に、井桁状に地中梁30−2を設けたものがある。しかし、上面の一部に平坦面があり、地盤側の基礎として要求される強度を満足するものであればその構造は問わない。例えば、布基礎とベタ基礎との組合わせでも良い。ベタ基礎部分には鉄筋が組み込まれ、特に地中梁にはダブル配筋の鉄筋が組み込まれるのが好ましい。
住宅側コンクリート基礎40について言えば、図3(a)に示すように、所定厚(例えば20cm)のコンクリートによるベタ基礎の上面側の周囲の部分に布基礎40−1を設け、この布基礎40−1内に更に補強部として井桁状の地上梁40−2を設けたものがある。勿論、強度を保持できれば布基礎40−1だけでも良い。但し、この場合、下面側は平坦部があって滑動体を挿入できるスペースを用意する。また、図3(b)に示すように、ベタ基礎の部分に穴40−3を設けたものでも良い。つまり、この住宅側コンクリート基礎40についても、下面の一部に平坦面を持ち、住宅側の基礎として要求される強度を満足するものあればその構造は問わない。但し、住宅側コンクリート基礎40の下面側平坦面は、その少なくとも一部が、地盤側コンクリート基礎30の上面側平坦面と対向するようにする必要がある。これは、地盤側コンクリート基礎30の上面側平坦面部と住宅側コンクリート基礎40の下面側平坦面部との間に、動摩擦軽減機構50、60及びストッパ機構70を設ける必要があるからである。住宅側コンクリート基礎40においても、ベタ基礎部分は勿論のこと、布基礎40−1及び補強部40−2にはダブル配筋の鉄筋が組み込まれるのが好ましい。
住宅側コンクリート基礎40は、住宅10の下部に一体化されるが、これは、住宅側コンクリート基礎40を形成した後に、この上に住宅10が作られるという順序を経る。
なお、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40とについていくつかの例をあげたが、これらはかならずしもコンクリート製である必要は無い。例えば、図3(b)に示されるような基礎の場合、鋼材、特にH形鋼のような材料でも良い。例えば、H形鋼を使用する場合、互いに平行な2枚の板部分の一方が下側、他方が上側になるように配置される。このような材料の使用は、後述される実施の形態でも同様に適用可能である。また、地盤側コンクリート基礎30、住宅側コンクリート基礎40はいずれも、図2、図3に示すような長方形の平面形状に限られるものではなく、住宅の平面形状に合わせて作られる。通常、地盤側コンクリート基礎40は、面積において住宅側コンクリート基礎40と同等以上の大きさにされる。
図4を参照して、動摩擦軽減機構50について説明する。地盤側コンクリート基礎30の上面に第1の板材51が設けられる。第1の板材51は、ステンレス板、チタン板、鋼板、特に鋳物による板等による金属板、セラミック板、機械的強度の大きな、例えばガラスエポキシ樹脂のような樹脂板、石板、コンクリート板のように機械的強度の優れたものであれば良く、これらの上面は所望の摩擦係数が得られるように研磨される。鋳物が好ましいのは、錆が発生したとしても内部まで浸透しにくいからである。また場合によっては、上記の材料の上面の少なくとも一部に、所望の摩擦係数を得るために、合成樹脂(例えば四フッ化エチレン、ナイロン)や熱硬化性樹脂を塗布固着または塗料として塗布したものでも良い。なお、ここでいう塗布固着というのは、熱硬化性樹脂のように塗布した後固化させる場合や、樹脂膜あるいは樹脂板を接着剤により接着することや板材に窪みをつけてはめ込むことを含むものとする。そして、合成樹脂や熱硬化性樹脂には、補強材、潤滑剤のようなものが混合されても良い。また第1の板材51の大きさは、前に述べた最大片振幅を考慮して、例えば一辺が50cm程度の四角形又は円形状にされる。
第1の板材51に対応した住宅側コンクリート基礎40の下面には滑動機構52が取付けられる。滑動機構52は、上面が曲面状にされるとともに下面に滑動面53−1を有して第1の板材51上を滑動可能な滑動体53と、住宅側コンクリート基礎40の下面にゴム板54等を介して取付けられて下面側に滑動体53の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部55−1を有する保持体55とから成る。滑動体53の上面には、保持体55の受け部55−1による受けを滑らかにするために複数の溝53−2が形成され、グリース等の潤滑剤が入れられる。滑動体53はその滑動面53−1が第1の板材51の上に置かれるように構成される。
滑動体53の材料は、機械的強度の大きなものであれば金属、セラミック等何でも良い。一方、滑動面53−1の材料は、例えば金属、特に鋼材、セラミック、強化プラスチックのような樹脂体等が好ましい。滑動面53−1は平坦になるように加工される。これは、第1の板材51との間の静摩擦係数を所望の値にするためである。したがって、滑動面53−1についてもその少なくとも一部に、所望の静摩擦係数を得るために、合成樹脂(例えば四フッ化エチレン、ナイロン)や熱硬化性樹脂を塗布固着または塗料を塗布したものでも良い。前に述べたように、この場合の合成樹脂や熱硬化性樹脂にも補強材、潤滑剤のようなものが混合されても良い。滑動面53−1の大きさは、前に述べた最大片振幅を考慮して、例えば直径5cm程度の円形状で厚さが数mm程度である。
図5を参照して、動摩擦軽減機構60について説明する。地盤側コンクリート基礎30の上面に第2の板材61が設けられる。第2の板材61は、材料、大きさともに前述した第1の板材51とまったく同じで良い。
第2の板材61に対応した住宅側コンクリート基礎40の下面には転動機構62が取付けられる。転動機構62は、上面が曲面状にされるとともに下面には複数(ここでは、3個)の球体63−1を保持して第2の板材61上を転動可能な転動体63と、住宅側コンクリート基礎40の下面にゴム板64等を介して取付けられて下面側に転動体63の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部65−1を有する保持体65とから成る。転動体63の上面にも、保持体65の受け部65−1による受けを滑らかにするために複数の溝63−2が形成され、グリース等の潤滑剤が入れられる。転動体63は、その下面に形成した半球状の凹部により剛性を持つ球体63−1を保持するようにしており、球体63−1が第2の板材61の上に置かれるように構成される。球体63−1の数は、安定性の観点から3個が好ましいが、場合によっては1個あるいは4個以上でも良い。
転動体63の材料も、機械的強度の大きなものであれば金属、セラミック等何でも良い。一方、球体63−1の材料は、例えば金属、特に鋼材が好ましいが、セラミック、強化プラスチックのような樹脂体等でも良い。
いずれにしても、上記の各部材は、所望の機械的強度を得られる材料であれば良く、またセラミックは特に、金属セラミックが好ましい。これは以降の他の実施の形態にも当てはまる。
また、場合によっては、第1、第2の板材51、61を住宅側コンクリート基礎40側に設け、滑動機構52、転動機構62を地盤側コンクリート基礎30側に設けても良い。
上記のような滑動機構52による動摩擦軽減機構50と、転動機構62による動摩擦軽減機構60との組み合わせにより、静摩擦係数を様々な値に設定することができる。最も簡単な例をあげれば、滑動機構52による動摩擦軽減機構50のみを10個設置した場合の全体の静摩擦係数が0.1であったとすると、動摩擦軽減機構50の設置個数を5個とし、残りの5個を転動機構62による動摩擦軽減機構60に置き換えた場合には、全体の静摩擦係数は0.05(=0.1/2)となる。これは、転動機構62による動摩擦軽減機構60の静摩擦係数はほぼ0と考えて良いからである。
ところで、動摩擦軽減機構50における静摩擦係数を0.05程度に小さく設定した場合には、小さな地震でも揺れが生じず、大地震の場合の減震作用が向上する反面、滑り易くなる。その結果、ある程度以上の風速による風圧を受けた場合に住宅がずれてしまうようなことが起こり得るのでこの対策が必要となる。また、大地震時には、所定の振動幅を越える前に地震のエネルギーを徐々に吸収してゆくことが要求される。
このような要求を満たすとともに、前述した最大片振幅を設定することのできる振幅制限機構の一例である、ストッパ機構70について図6を参照して説明する。図6において、ストッパ機構70は、地盤側コンクリート基礎30に取付けられる第1の取付け板71、住宅側コンクリート基礎40に取付けられる第2の取付け板72、これら第1、第2の取付け板71、72の間に配置固定された複数(ここでは、4個)のコイルばね73から成る。複数のコイルばね73は鋼棒等で作られて同心状になるように組み合わされ、第1の取付け板71側について説明すると、複数のコイルばね73における端部の取付け部位が周方向に90度ずつずれるようにされている。第2の取付け板72側においても同様である。第1、第2の取付け板71、72はそれぞれボルトやケミカルアンカー等で固定される。
このようなストッパ機構70によると、風圧による住宅のずれ防止機能に加えて、コイルばね73が弾性を呈することから地震発生時の横揺れのエネルギーを吸収する効果がある。
本形態による動摩擦軽減機構50、60、ストッパ機構70は、以下のようにして組み込まれ、地震発生時には以下のように作用する。はじめに、戸建住宅の建設用地に地盤側コンクリート基礎30が作られる。地盤側コンクリート基礎30のコンクリートが固まったら、その上にビニールシートのようなものを敷き、住宅側コンクリート基礎40を作る。これは、周知の方法、例えば地盤側コンクリート基礎30上に型枠を形成すると共に鉄筋を組み込み、その中にコンクリートを流し込んで形成される。ビニールシートのようなものを敷くのは、地盤側コンクリート基礎30に住宅側コンクリート基礎40のコンクリートが固着してしまうのを防ぐためである。住宅側コンクリート基礎40のコンクリートが固まったら、油圧ジャッキ、クレーン等で住宅側コンクリート基礎40全体を持ち上げ、その下面に滑動機構52、転動機構62を取付け、地盤側コンクリート基礎30には第1、第2の板材51、61を取付ける。以上の作業が終了したら、ビニールシートを除去して住宅側コンクリート基礎40全体を地盤側コンクリート基礎30上に載せ、型枠を除去する。続いて、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間にストッパ機構70を取付ける。なお、後で説明されるように、ストッパ機構70は、その取付け作業を容易にするために、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40の最も外側か住宅の剛心の対称位置に取り付けられる。ストッパ機構、後述されるメカニカルヒューズとも住宅の剛心位置に関して対称となるように配置されるのが好ましい。
なお、住宅側コンクリート基礎40を、図3(b)で説明したような、ベタ基礎部分に穴40−3を有するようなものとした場合には、この穴40−3を利用して滑動機構52、転動機構62、ストッパ機構70の取付けを行うことができる。この場合、クレーン等ではなく、油圧ジャッキ等を使用して住宅側コンクリート基礎40全体を数10cm程度持ち上げるようにすれば良い。
以上の作業により、住宅側コンクリート基礎40及びこの上に構築される住宅は、住宅側コンクリート基礎40の下面が地盤側コンクリート基礎30の上面からわずかに浮き上がった状態で複数の滑動機構52、転動機構62により第1、第2の板材51、61上で支持されることになる。
なお、ビニールシートについては、除去し易いように、地盤側コンクリート基礎30の大きさを持つ1枚のシートではなく、いくつかに分割したものを並べて敷くようにしても良い。一方、住宅側コンクリート基礎40は別場所、例えば地盤側コンクリート基礎30に隣接した場所で形成し、クレーン等で地盤側コンクリート基礎30上に配置する場合もあり得る。この場合はビニールシートは不要となる。
ここで、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間に動摩擦軽減機構50、60、ストッパ機構70が介在していると、小さな地震に起因して地盤側コンクリート基礎30が小さく横揺れ、つまり第1、第2の板材51、61がわずかに水平振動した場合、住宅側コンクリート基礎40、つまり住宅10も小さく揺れる。これは第1の板材51と滑動機構52との間に静摩擦があり、ストッパ機構70があるからである。
次に、地震により第1の板材51と滑動機構52との間の静摩擦による静止保持力を越えるような横揺れが生じた場合には、ストッパ機構70のコイルばね73が変形することで住宅10が横揺れしようとする。しかし、第1、第2の板材51、61が水平振動しても滑動体53、63が第1、第2の板材51、61の上を滑ることで住宅側コンクリート基礎40、つまり住宅10側はほとんど揺れない。
しかし、地震の加速度があらかじめ定められた値を越えるような場合には、横揺れの振幅が大きいことで住宅側コンクリート基礎40は大きく横揺れしようとする。しかし、滑動体53、63と第1、第2の板材51、61との間には滑りが生じるので、この横揺れは住宅側コンクリート基礎40に軽減されて伝達され、しかも住宅側コンクリート基礎40の横揺れはストッパ機構70で規定される最大片振幅に抑制される。
上記のように、住宅部分の総重量に基づいて動摩擦軽減機構50における静摩擦係数及びストッパ機構70におけるコイルばね73のばね定数を選択することで、住宅側部分が所定の最大片振幅以内で振動するように構成することができる。これを実現するための、動摩擦軽減機構50における静摩擦係数の好ましい範囲は0.01〜0.2である。なお、動摩擦係数で言えば、通常、静摩擦係数より小さくなる。
本形態による動摩擦軽減機構50、60は、住宅建築後であっても床板を外してジャッキをセットし、ストッパ機構70を外せば、動摩擦軽減機構50、60を持つ住宅側コンクリート基礎40を住宅部分と共にいつでも持ち上げ可能である。これにより、滑動体53、63あるいは第1、第2の板材51、61の接触面に損傷が生じたり、第1、第2の板材51、61の上面にほこり等が溜まって滑りが悪くなった時に、滑動体53、63あるいは第1、第2の板材51、61を交換したり、第1、第2の板材51、61の上面を清掃できる。
なお、本形態における減震用基礎構造では、地震に起因して水平振動が生じると、住宅側コンクリート基礎40は住宅部分と共に、地盤側コンクリート基礎30に対して位置ずれが生じたままとなる場合がある。このような位置ずれは、特別な治具、例えば油圧ジャッキを用いて手動により復旧させることができる。
図7は、住宅側コンクリート基礎40の布又はベタ基礎部分に本形態による動摩擦軽減機構50、60と、ストッパ機構70とを設置する場合の設置箇所の例を示した平面図である。ここでは、動摩擦軽減機構50を9箇所、動摩擦軽減機構60を6箇所、ストッパ機構70を2箇所に設けるようにしている。具体的には、動摩擦軽減機構50は、長四角形の住宅側コンクリート基礎40のベタ基礎の4つのコーナ部分(4箇所)と長四角形の縁部(4箇所)及び布又はベタ基礎の内側領域の1箇所に合わせて9個設置されている。動摩擦軽減機構60は、長四角形の住宅側コンクリート基礎40の縁部に4箇所、布又はベタ基礎の内側領域に2箇所の合わせて6個設置されている。なお、長四角形の縁部に設置される動摩擦軽減機構60は、動摩擦軽減機構50の間にあるのが好ましい。一方、2個のストッパ機構70については、前述したように、住宅の剛心位置に関して対称位置に設置し、且つ設置作業を容易にするために、長四角形の住宅側コンクリート基礎40のベタ基礎における互いに反対側の縁部に近い場所に設置されている。
勿論、各機構の設置個数は、住宅側コンクリート基礎40の大きさや住宅部分の総重量に応じて異なることは言うまでもない。つまり、動摩擦軽減機構50、60の設置個数は、その垂直方向の耐荷重特性により決まり、通常、1個当たり数トン程度の耐荷重性を持つように作ることができる。また、動摩擦軽減機構50、60、ストッパ機構70は、相互の干渉を避け得るように設置されることは言うまでも無い。
動摩擦軽減機構50、60における構成要素について更に説明すると、樹脂板の場合、ベークライト材があげられる。金属の場合、鋼材に加えて、オイルレスメタルがあげられる。セラミックの場合、ガラスやレンガタイル等があげられる。塗料の場合、通常の塗料は、その静摩擦係数が0.2〜1程度であるが、粒子状の摩擦軽減材(例えば、上記した四フッ化エチレン)を混合させることにより静摩擦係数を0.1以下にすることができる。このような塗料は、ローラやはけ等で塗るだけでも良いし、更に熱処理を加えても良い。石材の場合、大理石や花崗岩等があげられる。これは、大理石や花崗岩等は表面を研磨することで静摩擦係数を0.15以下にすることができるからである。勿論、このような板状のものに、上記した合成樹脂、熱硬化性樹脂材料を塗布固着したり、塗料として塗るようにしても良い。いずれにしても、動摩擦軽減機構50、60の組み合わせにより、全体の静摩擦係数を0.01〜0.2の範囲内にあるように自由に設計することができる。
次に、図8を参照して、風圧を考慮した動摩擦軽減機構50における滑動体53の滑動面53−1の面積の算出方法の一例について説明する。滑動面53−1の半径の算出は以下の過程を経て行われる。
(1)風圧力Qによるすべり摩擦係数μw の算出
(2)動摩擦係数μの決定μ≧μw
(3)動摩擦係数μを確保する面圧G(kg/cm2 )の算出
(4)滑動面53−1の面積の決定(滑動面の半径Rcmの算出)
上記(1)の風圧によるすベり摩擦係数μw の算出について説明する。
1)最初に速度圧qの算出が建築基準法施行令第87条で規定されている以下の式により行われる。
q=0.6*E*V0 2 (N/m2
具体的には、国土交通省告示第1454号による、数値Eを算出する方法並びに風速V0 及び風力係数の数値を定める件により、E=Er2 *Gfが与えられる。
この式において、Er及びGfは、それぞれ次の数値を表す。
Er:平均風速の高さ方向の分布を表す係数
Gf:ガスト影響係数(国土交通省告示第1454号の地表面粗度区分及び数値Hに応じて定められた数値)
H:建築物の高さと軒の高さとの平均(m)
b 、ZG 及びα:国土交通省告示第1454号の地表面粗度区分に応じて定められた数値
HがZb 以下の場合 Er=1.7*(Zb /ZG α
HがZb を越える場合Er=1.7*(H/ZG α
また、風速V0 は、国土交通省告示代1454号による、地方の区分に応じた以下の数値(30、32、34、36、38、40、42、44、46)(m/s)から選定する。
2)続いて、以下の方法により住宅(2階建とする)に対する風圧力Qが算出される。
a.住宅のけた行方向の壁面積算出
a−1.図8に示す住宅において、けた行方向に関する面積として地盤面から1階の中間までの面積をA3、1階の中間から2階の中間までの面積をA2、2階の中間から屋根の天井までの面積をA1として求める。
a−2.上記面積A1〜A3を用いて以下の式により風圧力Q(kN)を算出する。これは、平成12年国土交通省告示第1458号において、屋根ふき材に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件に規定されている。
Q1=q*Cf1*A1(但し、Cf1:風力係数)
Q2=q*Cf2*A2(但し、Cf2:風力係数)
Q3=q*Cf3*A3(但し、Cf3:風力係数)
Q=Q1+Q2+Q3
b.住宅の張り間方向の壁面積算出
b−1.図8に示す住宅において、張り間方向に関する面積として地盤面から1階の中間までの面積をA3´、1階の中間から2階の中間までの面積をA2´、2階の中間から屋根の天井までの面積をA1´として求める。
b−2.上記面積A1´〜A3´を用いて以下の式により風圧力Q´(kN)を算出する。
Q1´=q*Cf1´*A1´(但し、Cf1´:風力係数)
Q2´=q*Cf2´*A2´(但し、Cf2´:風力係数)
Q3´=q*Cf3´*A3´(但し、Cf3´:風力係数)
Q´=Q1´+Q2´+Q3´
c.けた行方向、張り間方向のうち大きい方の風圧力を選ぶ。つまり上記Q(kN)、Q´(kN)のうち大きい方を採用する。
次に、上記(2)による動摩擦係数μの決定について説明する。
1)以下の式により、風圧によるすべり摩擦係数μw が算出される。
μw =Q(またはQ´)(kN)/W(kN)
上記式において、W(kN)=ΣW(kN/m2 )*S(m2 )であり、ΣWは単位面積当りの建物側基礎から上部の住宅荷重(kN)であり、Sは建築面積(m2 )(但し、建築基準法施行令第2条の2による軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するものの面積は除く)である。
2)続いて、減震の摩擦係数が決定される。これは、すべり摩擦係数μw が風圧力に対するすべり摩擦係数なので、減震の場合の動摩擦係数μはμ>μw と決定する。
次に、上記(3)の動摩擦係数μを確保する面圧G(kN/cm2 )の算出について説明する。これは、動摩擦係数μでの面圧Gを選定された滑動面の材質による面圧依存特性曲線から算出する。例えば、4フッ化エチレンとSUS材鏡面戸の間の動摩擦係数μは約0.07で概ねG=2〜2.5kN/cm2 となる。
次に、上記(4)の滑動面53−1の半径R(cm)の決定について説明する。
1)動摩擦軽減機構50の設置個数をn個とした場合にその1個当りに作用する荷重T(kN/個)を以下の式により算出する。
T(kN/個)=W(kN)/n(個)
2)続いて、滑動面53−1の1個当りの面積s(cm2 )を以下の式により算出する。
s(cm2 /個)=T(kN/個)/G(kN/cm2
3)そして、滑動面53−1の1個当りの半径R(cm)を以下の式により算出する。
R(cm)=(s/π)1/2
なお、動摩擦係数μは以下の運動方程式に基づいて算出されても良い。
N*K2 *δ2 +16(μ*W+N*K1 )δ−M*Ve 2 =0
但し、Nはストッパ機構70の設置個数、K1 、K2 はそれぞれストッパ機構70の一次、二次剛性(N/cm)、δは最大振幅(cm)、Wは住宅の重量(=M*g)でMは住宅の質量、gは重力の加速度(980cm/s2 )、Ve はエネルギー等価速度である。
上記式より、動摩擦係数μは以下の式で与えられる。
μ=(M*Ve 2 −N*K2 *δ2 −16N*K1 *δ)/16W*δ
なお、最大振幅δ、ストッパ機構70の設置個数Nは、住宅の構造を考慮して適宜に選択される。
ところで、ストッパ機構70は、住宅10が風圧を受けた場合のずれを抑制する機能を持つと説明したが、コイルばね73は弾性を有しているために、大きな風速による風圧を受けた場合には、すれが生じてしまうことも考えられる。以下にこのための対策について説明する。
上述した減震用基礎構造を施工するに当たり、主に住宅は地震及び風によって変位を受けることを考慮することが必要である。しかし、建築基準法で定められている最大46m(但し、地域によって異なる)の風速では変位せず、それ以上の風速があった時初めて変位することを条件にこれに相当する地震力を考えるものとすると、住宅の重量により異なるが、2階床面上で受ける加速度の大きさは200gal前後となる。従って、2階床面上での加速度の大きさを100gal前後又はそれ以下で設計すると仮定すれば、住宅を建てる場所での過去20年間程度の間に発生した最大風速を参考として風圧力を計算し、それ以下の風圧力を受けた場合は変位せず、それ以上の風圧力を受けた場合にのみ変位するように設計すれば、2階床面上での加速度の大きさをそれに併せて小さくすることが可能になる。
上記の風圧力をQとすると、安全率K(=1.1〜2.0)を考慮した風圧力Qmaxは、以下の式(1)で表される。
Qmax=Q*K (1)
また、住宅重量をW、滑動機構52全体の動摩擦係数をμとすると、地震発生時に住宅が変位を始める地震力(水平力)Pは、以下の式(2)で表される。
P=W*μ (2)
そこで、P≧Qmaxを満足する装置が必要である。このために、図9に示すように、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間に、地震力Pと風圧力Qmaxとがほぼ等しい条件を満たすメカニカルヒューズ80を設置する。メカニカルヒューズ80は、地盤側コンクリート基礎30の上面側に設置されたホルダ81と、これに対向した住宅側コンクリート基礎40の下面側に設置されたホルダ82に金属材料等による棒体83の両端を埋め込んで成る。勿論、棒体83は、地震力Pを超える水平力が作用するとせん断されるように設計される。
図10は、メカニカルヒューズ80の他の例を示す。メカニカルヒューズ80は、地盤側コンクリート基礎30に形成された凹部30aに設置されたホルダ81−1と、これに対向した住宅側コンクリート基礎40の外縁側に設置されたホルダ82−1との間に金属材料等による棒体83−1の両端を固定して成る。この棒体83も、地震力Pを超える水平力が作用するとせん断されるように設計される。
図11はメカニカルヒューズ80の更に他の例を示す。本例は、あらかじめ定められた値以上の地震加速度が作用した時に、地盤側コンクリート基礎30と住宅側コンクリート基礎40との間の掛合を電気的に解除するようにした例である。メカニカルヒューズ80は、図11(a)に示すように、地盤側コンクリート基礎30に形成された凹部30aに設置された地盤側受部85と、これに対向した住宅側コンクリート基礎40の外縁側に設置された住宅側受部86と、これら地盤側受部85と住宅側受部86とに掛合して住宅側コンクリート基礎40のずれを阻止しているピン87とを含む。メカニカルヒューズ80はまた、地震加速度を検出するセンサ91、92を含んで検出された地震加速度が前記あらかじめ定められた値以上になるとピン87を駆動して前記掛合を解除する駆動回路90とを含む。
ピン87の上部には磁性体片87−1が設けられており、これを吸着するための電磁石作用を持つ励磁回路97と共にケース88に収容されている。ケース80は住宅側受部86に設置されている。つまり、ピン87は、住宅側受部86に設けられた貫通穴86aに遊嵌状態にて挿通されていると共に、地盤側受部85の上部に設けられた穴85aに遊嵌状態にて挿通されている。これにより、ピン87は上下動可能であり、励磁回路97で磁性体片87−1が吸着されるとピン87と地盤側受部85との掛合が外れるようになっている。つまり、ピン87はせん断されないので、風圧力Qmaxに対する機械的強度についてのみ考慮されれば良い。
駆動回路90は、X軸方向の地震加速度を検出するためのセンサ91と、X軸に直角なY軸方向の地震加速度を検出するためのセンサ92と、これらのセンサからの検出信号を増幅すると共に合成する増幅・合成回路93とを含む。増幅・合成回路93は、X軸方向の地震加速度とY軸方向の地震加速度とを合成した値を出力するものであるが、場合によっては1個のセンサで検出した一軸方向のみの地震加速度を用いるようにしても良い。
駆動回路90はまた、基準加速度を設定するための基準加速度設定器94と、設定された基準加速度と増幅・合成回路93からの出力値とを比較して出力値が基準加速度を越えると検知信号を出力する比較回路95と、比較回路95から検知信号を受けると励磁回路97を励磁する制御回路96とを備える。
本例によれば、地震力Pが風圧力Qmaxを上回ると、ピン87による掛止が解除され、これにより住宅は地震力により変位しはじめる。
前に説明した図7に、メカニカルヒューズ80の設置例を示す。前述したように、メカニカルヒューズ80も住宅の剛心位置に関して対称位置に設置されるのが好ましい。図7では、ストッパ機構70に近い2箇所に設置されている。
メカニカルヒューズ80は地震力Pが風圧力Qmaxを上回った時に切断され、これにより住宅は地震力によって変位し始めるが、動摩擦軽減機構50、60により減震された状態でしかもストッパ機構70により最大片振幅内で揺れることになる。
住宅が構築される場所での最適滑り開始の条件を地震力Pと住宅重量Wと摩擦係数μ及び風圧力Qmaxから求め、この条件をもとにメカニカルヒューズ80の設計を行うことができる。メカニカルヒューズ80は、原則として風圧力Qmaxを越える力が住宅に水平に作用した時、破断するように設計されれば良い。
以上、本発明を好ましい実施の形態について説明したが、本発明の上記の実施の形態に限定されるものでは無い。例えば、動摩擦軽減機構50、60、ストッパ機構70、さらにはメカニカルヒューズ80の設置個数や配置位置は建物の構造に応じて様々に変更され得る。
本発明を適用した住宅減震用基礎構造の概略を示す縦断面図である。 図1における地盤側コンクリート基礎を2つの例について下面側から見た図である。 図1における住宅側コンクリート基礎を2つの例について上面側から見た図である。 本発明による減震用基礎構造の要部である動摩擦軽減機構の第1の例を説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造の要部である動摩擦軽減機構の第2の例を説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造に使用されるストッパ機構を説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造を構成する2種類の動摩擦軽減機構、ストッパ機構、メカニカルヒューズの配置例を説明するための平面図である。 本発明において摩擦係数を算出する際に、風圧力を算出する方法を説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造に使用されるメカニカルヒューズを説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造に使用されるメカニカルヒューズの他の例を説明するための図である。 本発明による減震用基礎構造に使用されるメカニカルヒューズの更に他の例を説明するための図である。
符号の説明
10 住宅
20 地盤
30 地盤側コンクリート基礎
40 住宅側コンクリート基礎
50、60 動摩擦軽減機構
70 ストッパ機構
80 メカニカルヒューズ
90 駆動回路

Claims (8)

  1. 建物が構築される地盤に形成された地盤側基礎と、
    建物の下部に構成され、前記地盤側基礎の上に置かれる建物側基礎と、
    前記地盤側基礎と前記建物側基礎との間に設けられた少なくとも2種類の動摩擦軽減機構及び少なくとも1つのストッパ機構とを含み、
    前記少なくとも2種類の動摩擦軽減機構のうちの1種類は、前記地盤側基礎、前記建物側基礎の一方の側に設けられた所定の面積を持つ第1の板材と、該第1の板材に対応する前記地盤側基礎、前記建物側基礎の他方の側に設けられて前記第1の板材に沿って該地盤側基礎、建物側基礎の他方の側とともに移動可能な滑動機構とから成り、
    前記少なくとも2種類の動摩擦軽減機構のうちの他の1種類は、前記地盤側基礎、前記建物側基礎の一方の側に設けられた所定の面積を持つ第2の板材と、該第2の板材に対応する前記地盤側基礎、前記建物側基礎の他方の側に設けられて前記第2の板材に沿って該地盤側基礎、建物側基礎の他方の側とともに移動可能な転動機構とから成ることを特徴とする建物減震用基礎構造。
  2. 前記第1の板材は前記地盤側基礎に設けられ、前記滑動機構は、上面が曲面状にされるとともに下面に滑動面を有して前記第1の板材上を滑動可能な滑動体と、前記建物側基礎に取り付けられて下面側に前記滑動体の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部を有する保持体とから成ることを特徴とする請求項1に記載の建物減震用基礎構造。
  3. 前記第2の板材は前記地盤側基礎に設けられ、前記転動機構は、上面が曲面状にされるとともに下面に少なくとも1つの球体を保持して前記第2の板材上を転動可能な転動体と、前記建物側基礎に取り付けられて下面側に前記転動体の曲面状の部分を保持するための曲面による受け部を有する保持体とから成ることを特徴とする請求項1または2に記載の建物減震用基礎構造。
  4. 前記ストッパ機構は同心状に組み合わされた複数のコイルばねを含み、これら複数のコイルばねの一端側は前記地盤側基礎に固定された第1の取付け板に、他端側は前記建物側基礎に固定された第2の取付け板にそれぞれ固定位置を周方向にずらして固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建物減震用基礎構造。
  5. 前記地盤側基礎と前記建物側基礎との間には更に、建物への風圧による前記建物側基礎のずれを防ぐために、風圧によるあらかじめ決められた値未満の横ずれ力では前記建物側基礎のずれを阻止し、あらかじめ定められた値以上の地震加速度が作用した時に前記阻止が解除されるメカニカルヒューズを少なくとも1つ設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建物減震用基礎構造。
  6. 前記メカニカルヒューズは前記あらかじめ定められた値以上の地震加速度による前記あらかじめ決められた値以上の横ずれ力で前記阻止が解除されるものであって、前記地盤側基礎、前記建物側基礎のそれぞれに設けられるホルダと、これら2つのホルダの間に架け渡されるように2つのホルダに固定され、前記あらかじめ決められた値以上の横ずれ力でせん断される棒状体とから成ることを特徴とする請求項5に記載の建物減震用基礎構造。
  7. 前記メカニカルヒューズは前記あらかじめ定められた値以上の地震加速度で前記阻止が解除されるものであって、前記地盤側基礎、前記建物側基礎のそれぞれに設けられた地盤側受部、建物側受部と、これら地盤側受部と建物側受部とに掛合して前記建物側基礎のずれを阻止しているピンと、前記地震加速度を検出するセンサを含んで検出された地震加速度が前記あらかじめ定められた値以上になると前記ピンを駆動して前記掛合を解除する駆動回路とを含むことを特徴とする請求項5に記載の建物減震用基礎構造。
  8. 前記滑動体は、鋼材等の金属、セラミック、樹脂体のいずれか、あるいはそれらの下面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したものであり、前記第1の板材は鋼板等の金属板、セラミック板、樹脂板、石板、コンクリート板のいずれか、あるいはそれらの上面の少なくとも一部に摩擦軽減用の樹脂材を固着または塗料を塗布したものであることを特徴とする請求項2に記載の建物減震用基礎構造。
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