JP2009281588A - 免震装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】引抜き防止機能と復元機能付きの免震支承が求められた。さらに引抜き防止付きの重力復元型免震装置に特有の、引抜き時にがたつきが生じるという問題の解決も求められた。
【解決手段】横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材と下部スライド部材とが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるように構成され、前記スライド孔の両側に、バネまたはゴムまたは磁石等の緩衝材または弾性体を設けることにより構成され、かつ、前記上部スライド部材を免震される構造体に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体に設けることによりその課題を解決した。
【選択図】図34

Description

この発明は免震装置、または滑り支承(すべり支承、転がり支承)に関するものである。滑り支承は、構造体とこの構造体を支持する構造体との間に設けられるものであり、免震装置も、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられるものである。ここで発明された免震装置は、当然、滑り支承として使用または応用できる。以下、免震装置と滑り支承とを「免震装置・滑り支承」といい、また滑り支承(すべり支承、転がり支承)を使用した免震装置を「滑り型免震装置」といい、また免震のための滑り支承を「滑り型免震支承」といい、そして滑り型免震装置また滑り型免震支承による免震を「滑り型免震」という。さらにすべり支承を使用した免震装置を「すべり型免震装置」、転がり支承を使用した免震装置を「転がり型免震装置」という。そしてすべり型免震装置による免震を「すべり型免震」、転がり型免震装置による免震を「転がり型免震」という。

本発明者兼出願人は、特許 1844024号と特許 2575283号とで、免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)・免震装置(免震装置・滑り支承)・引抜防止装置(引抜防止装置・滑り支承)・固定装置(風揺れ等の固定ピン装置)・外れ防止装置の発明を、また特許 2504945号で、免震装置の設置位置に関する発明をし、さらに特許 1778741号で、引張材による垂直支持方式の発明をしているが、本発明は、それらの改良発明および新たな免震装置・滑り支承に関するものである。
また、特許 1844024号および特許 2575283号は、複数の装置が合わさることによって十全な機能を発揮する形であった。その場合、材料の無駄だけでなく、各種装置を個々別々に設置することになるため場所を取り、設置に懸かる人件費等もかさむ。そういったことからも、また、垂直荷重の伝達位置という限定された位置での設置の多さを考えても、1個で全ての機能を果たす装置の発明が望まれた。

A.免震装置
1.十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
特許 1844024号および特許 2575283号において、全方向の復元性能を備えた免震復元装置としては、すり鉢状、球面状等の凹型滑り面部をもつ免震皿からなる、重力により復元する免震復元装置があるが、この装置の免震皿は、場所を取り、また、構造体および基礎からはみ出している部分に力が加わった場合の支持強度にも問題があった。はみ出している部分の面積が小さくなるようにすることが求められる。
また重力復元型に特有の問題として、振動時の垂直変位に対応するために設けられた引抜防止装置等の遊びにより、がたつきが生じるという問題、風力等により免震される構造体に引抜き力が発生した時に衝撃が走るという問題を解決することが求められた。
また、滑り支承の摩擦係数を下げること、引抜き防止装置を複合させることが求められた。

2.引抜き防止装置・滑り支承の改良
2.1.復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
特許 1844024号の引抜き防止装置に、復元機能または減衰機能が装備されること、また、免震皿から滑り部等が外れる事を抑制または防止することが求められた。

2.2.積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
特許 1844024号の引抜き防止装置と積層ゴム・ゴム・バネ等との複合が求められた。
さらに、積層ゴムの、引抜き力に対する抵抗力の欠如と、積層ゴムの座屈の問題(底辺に対して高さの高い積層ゴムに顕著である)とを解決する必要がある。

2.3.引抜き防止機能の増強
また、特許 1844024号の引抜き防止装置について、その引抜き防止機能をさらに増強することが望まれる。

2.4.新引抜き防止装置・滑り支承
また、特許 1844024号の引抜き防止装置について、形のバリエーションが求められ、特に、コンパクトなものが求められる。
また、そのような引抜き防止装置に復元装置が複合されることもが求められた。

2.5.重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承
引抜き防止装置と免震復元装置との複合が求められた。

2.6.引抜き防止装置・滑り支承の重力復元型免震装置・滑り支承振動時垂直変位吸収装置
特許 1844024号の引抜き防止装置に併用される前述の重力復元型免震復元装置の、振動時の垂直変位対応のための遊びにより、がたつきが生じるという問題、風力等により免震される構造体に引抜き力が発生した時に衝撃が走るという問題を解決することが求められた。

2.7.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(すべり型)
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承について、上部スライド部材・下部スライド部材間の摩擦係数を下げることが求められた。

2.8.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(転がり型)
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承について、上部スライド部材・下部スライド部材間の摩擦係数を下げることが求められた。

2.9.引抜き防止装置・滑り支承の改良
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承について、水平寸法を小さくすること、また転がり支承との兼用が求められた。


3.滑り型免震装置・滑り支承のダンパー機能の向上及び初滑動向上
特許 1844024号および特許 2575283号の免震装置また免震復元装置等の滑り型免震装置・滑り支承に関しては、初滑動を良くすること、また地震時の振幅を小さくすることが求められた。
滑り型免震装置の問題として、摩擦係数を大きくすると振幅は抑制されるが、初動加速度が大きくなり、逆に、摩擦係数を小さくすると、初動加速度は小さくなるが、振幅が大きくなるという問題があった。そこで、このような問題を解決する減衰装置が求められる。つまり、初動加速度が小さく、すなわち免震感度が高く、尚且つ一定以上の振幅を抑制するというような減衰装置である。


4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置、重力復元型免震装置
特許 1844024号および特許 2575283号の免震装置また免震復元装置の免震皿を小さくすること、さらにその密閉性も求められた。
また、免震皿と滑り部との摩擦を小さくし、接触面積をできるだけ大きくし、且つ、振動時にも、その接触面積が変化せず同じであるようにしたい。
また、復元装置、引抜き防止装置との一体化も求められた。

4.5. 重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の滑り部の改良
特許 1844024号および特許 2575283号の免震装置および免震復元装置について、免震皿と滑り部の接触面積をできるだけ大きくし、且つ、振動時にも、その接触面積が変化せず同じであるようにしたい。また、滑り性能を上げること、首ふり角度を急にすることが求められた。

4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承

4.7. 縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承
重力復元型免震装置・滑り支承について、振動時の垂直変位が吸収されるようにする必要がある。

4.8. 新重力復元型免震装置
バネ・ゴム等によるものではない長寿命の復元装置が求められた。また、特許 1844024号および特許 2575283号の重力復元型免震装置では垂直変位が生じてしまい、垂直変位のない免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)が求められた。
また、バネによる復元装置よりも免震性能がよく、且つ、地震後の残留変位を消去する能力が大きい復元装置が求められた。


5.共振のない免震装置と運動方程式とプログラム
耐震でも免震でも、共振は避けられない現象で最も危険なものと考えられていた。共振のない免震装置の必要性が求められている。


6.垂直免震装置
今回の阪神大震災から、地震の垂直動を吸収できる垂直免震装置の必要性が求められている。


7.免震による地震発電装置
7.1. 免震による地震発電装置
地震エネルギーを電気等の役立つものに換えることが望まれたが、ここで免震装置が活用できる。さらに、地震エネルギーの三次元的動きを一次元的動きに換えるのが困難であり、それを解決する方法も求められた。

7.2. 地震発電装置型地震センサー
電気を使用しない、地震エネルギーを利用した地震発電による地震センサーの発明が望まれた。
さらに、後述の固定装置の解除にまで使用できる量のエネルギーを発生させうる大容量のものが望まれた。


8.固定装置・ダンパー
また、特許 2575283号の固定装置(固定ピン装置)について、その詳細な仕様についても明確にすることが求められた。
阪神大震災では、建物が無事でも杭が壊れて駄目になったケースが多かった。その対処法も考えられるべきである。
また、風揺れ抑制から免震時の変位抑制にもつながる装置(変位抑制装置)が求められた。


9. 緩衝・変位抑制、耐圧性向上支承
予想を上回る地震変位振幅にも対処できるようにしておくことが必要である。また、滑り支承、特に転がり型支承において耐圧性向上も必要である。

9.5./ 9.6.二段式免震
すべり・転がり型免震の場合において、地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の対処法が望まれた。


10.回転・捩れ防止装置
固定装置一個だと、風力時の回転を止められない。
積層ゴム等のバネ型の復元装置・オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を採用して重心と剛心がずれている場合には、免震時に免震される構造体の捩れ振動が生じる。 これらの問題を解決することが望まれた。


11.免震装置の組合せと材料仕様
免震装置同士の組合せと、その材料・仕様も決める必要がある。


12.積層ゴムの改良、復元バネ
12.1. 積層ゴムの改良
従来の積層ゴムは、鋼とゴムとの付着性の問題、鋼とゴムとを付着させて積重ねてゆく製法の困難さの問題、また、耐圧能力の問題、防火上の問題等があり、もっと簡易な製法で、これらの問題が解決する方法が望まれた。

12.2. 復元バネ
縦にバネを設置すると水平のどの方向にも復元性能を持つことができるが、僅かな水平変位に対する復元力に乏しい。その問題を解決する方法が望まれた。

B.免震装置と構造法
13.免震構造による構造体設計法
以上の免震装置・免震構造を利用した建物等の構造体設計の、具体的方法も求められた。

13.1. 超高層建物・構造体
特に、柔構造の超高層では、地震時にも大きく揺れるが、風時にも大きく揺れる。この問題を免震装置によって解決する方法が望まれた。

13.2. 高塔状比建物・構造体
引抜き力が働く建物・構造体には、従来の積層ゴムは使用できないため、高塔状比建物・構造体には、免震装置は使用されなかった。この問題を解決する方法が望まれた。

13.4. 軽量建物・構造体
従来の積層ゴムを用いた免震装置の場合、免震される構造体の固有周期が延びず、免震されないため、軽量建物・構造体には、免震装置は使用されなかった。この問題を解決する方法が望まれた。

13.5. 在来木造戸建て住宅/ 軽量(木造・鉄骨系)戸建て住宅
(1) 土台床構面の形成
免震装置を装備する場合の、土台床構面をどう形成するかを示すことが求められた。


14.免震装置設計と免震装置配置
滑り型免震装置について、その配置に関する内容と、その際の復元装置の復元能力の設計に関する内容が求められた。
滑り型免震装置の施工時および施工後の水平性維持の問題も解決する必要がある。


15.免震装置設置と基礎部分の施工に関する合理化
戸建て用の免震装置では、特に低廉な簡易型の免震装置が求められている。
免震される構造体と、それを支持する構造体とを分離する必要から、1階の梁とそれに支えられる床が必要になり、それをいかに安くするかも課題であった。また、プレハブ・在来・2×4という上部構造の構法の違いを問題としない免震構法を開発すること、また上部構造が剛性に欠けるという問題を解決する必要があった。
また、戸建て用にかかわらず、免震装置の設置と基礎部分の施工に関する合理的工法が求められた。


この発明は、以上のような問題・課題を解決するものである。
A.免震装置
1.十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
1.1. 十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
特許 1844024号の免震装置(特許 1844024号の明細書の第 8図〜第 9図)よりも材料が節約できるようにするために、滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)を重ね合せ十字型にした免震装置・滑り支承である(以下「十字型免震装置・滑り支承」という)。
また、特許 1844024号の発明の、一方向性(往復を含む、以下同じ)復元免震皿による免震復元装置(特許 1844024号の明細書の第 1図〜第 4図)に、全方向の復元性能を持たせるために、凹形状の一方向性免震復元装置を上下に交差させて係合させるという構成を発明した(以下「十字重力復元型免震装置・滑り支承」という)。これは十字型免震装置・滑り支承と同様に、材料を節約することにもなる。

1.2. 十字型免震装置・滑り支承、十字重力復元型免震装置・滑り支承の中間滑り部
1.1.の十字型免震装置・滑り支承、十字重力復元型免震装置・滑り支承の、上部スライド部材と下部スライド部材との間の摩擦係数を下げ、また相互の滑り面の接触面積を上げるために(なお「また」は、全文において「または」と「及び」の両方の意味をもつ)、両スライド部材の間に、中間滑り部を設けることを発明した。
さらに、その中間滑り部の、上部スライド部材、下部スライド部材と接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設ける場合もある。

1.3. 十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承
また、上記発明と、特許 1844024号の引抜き防止装置(特許 1844024号の明細書の第10図〜第11図)とを一体化させることにより、引抜きを防止し、且つ復元もするという免震装置・滑り支承が可能となる。(以下、「十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承」という)。
また、重力復元型免震装置に特有の、振動時の垂直変位に対応するために設けられた引抜防止装置等の遊びにより、がたつきが生じるという問題、風力等により、免震される構造体に引抜き力が発生した時に衝撃が走るという問題は、
上部スライド部材のスライド孔を挟む下部材の下部を下向きの凹形状にし、
下部スライド部材のスライド孔を挟む上部材の上部を上向きの凹形状にし、
上下部スライド部材が互いに滑走するように構成することにより、解決する。
上部スライド部材と下部スライド部材との間の摩擦係数を下げ、また相互の滑り面の接触面積を上げるために、中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部を設ける場合が考えられる。


2.引抜き防止装置・滑り支承の改良
2.1. 復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
特許 1844024号の引抜き防止装置のスライド孔に、水平方向に、バネ・空気バネ・ゴム等の弾性体または磁石(磁石同士の反発力吸引力等を使う)等(すべての章で「バネ等」と言う)を設けることにより、復元また減衰機能をもたせることができる。請求項1項の発明はそれである。
なお、このバネ等が、係合されたもう一方のスライド部材に接すること無く、その途中までに設けられているという構成にすることにより、併用する免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅の場合にのみ抑制が働いて、免震皿の大きさ以内の地震振幅に対しては抑制が働かず、免震性能を減じないという効果が得られる。
また、弾性力または磁力等が二段階に変化する二段階バネ等を利用し、復元に適したものと外れ防止に適したものとの二段階の弾性力または磁力等をもったバネ等を設け、併用する免震皿の大きさ以内の地震振幅には、復元バネ等が主に働いて、元の位置に復元する効果を発揮し、免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅時には、外れ防止バネ等が働き、強い抑制が加えられ、免震皿の外れを防止する。
また、変位に応じて弾性力または磁力等が無段階に変化するバネ等を使用することにより、免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅ほど、強い抑制が働き、免震皿の外れを防止することができる。
また、弾性力または磁力等が、二段階と無段階との間の、三段階、四段階、…多段階に変化するものを用いることもある。

2.2. 積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
特許 1844024号の引抜き防止装置に、バネ等を複合させるというものである。これは、積層ゴムの引抜き力に対する抵抗力の無さの解決策となる。また同時に引抜き防止装置が垂直荷重をカバーするので、積層ゴム自体の座屈の問題(底辺に対して高さの高い積層ゴムほど座屈しやすい)も解決され、大きな変位に対応させるためには積層ゴムの幅を大きくする必要がなくなるため、積層ゴム自体のコンパクト化と低コスト化が可能になる。

2.3. 引抜き防止機能の増強
特許 1844024号の発明の引抜き防止装置の引抜き防止機能を増強するため、上部スライド部材・下部スライド部材の中央部に、それらを貫く形で係合材を取り付けることを発明した。請求項2項の発明がそれである。

2.4. 新引抜き防止装置・滑り支承
(1) 新引抜き防止装置・滑り支承(1)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置の、スライド孔を有さない上部スライド部材・下部スライド部材の中央部に、それらを貫く係合材を取り付けることにより、引抜き力に対応できるようにしたものである。

(2) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)
引抜き防止装置・滑り支承の新しい形を提示したものであり、包み込み合う関係のスライド部材からなるスライド装置として構成される。
引抜き防止機構が一重の場合、つまり、一重の包み込み合う関係のスライド部材からできており、内側のスライド部材が、水平方向にスライドできる余地をもって外側のスライド部材に包み込まれることにより構成される場合であり、 内側のスライド部材と外側のスライド部材のどちらか一方を免震される構造体に、他方を免震される構造体を支持する構造体に設ける。
引抜き防止機構が二重以上の場合、つまり、二重以上の複数の包み込み合う関係のスライド部材からできており、一番内側のスライド部材が、水平方向にスライドできる余地をもって、すぐ外側のスライド部材に包み込まれ、この(二番目の)スライド部材が、水平方向にスライドできる余地をもって、その外側のスライド部材に包み込まれる、というふうに順次包み込み合う関係を成して構成されている場合であり、一番内側のスライド部材と一番外側のスライド部材のどちらか一方を免震される構造体に、他方を免震される構造体を支持する構造体に設ける。

(3) 新引抜き防止装置・滑り支承(3)
上記(2)の新引抜き防止装置・滑り支承(2)の装置を、上下に二組設けることにより構成されたものである。

(4) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付き
上記の新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)に、復元バネ等を付けるというものであり、内側のスライド部材と外側のスライド部材との間のそれぞれに、もしくは一番内側のスライド部材と一番外側のスライド部材との間に、バネ等を設けることにより、復元力をもたせたものである。

2.5. 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承
引抜き防止装置と免震復元装置を複合させたものである。
(1) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(1)
特許 1844024号の引抜き防止装置に、特許 1844024号の免震復元装置を複合させるたものである。

(2) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)
前記の2.4.(2) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)を重力復元置型にするという方法もある。包み込み合う関係のスライド部材のうち、外側のスライド部材が、凹型滑り面部を持ち、内側のスライド部材が、その凹型滑り面部を滑動できるように構成される。

(3) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)のバネ等付き
上記の重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)に復元バネ等を付け、復元力を補強するものである。内側のスライド部材と外側のスライド部材との間のそれぞれに、もしくは一番内側のスライド部材と一番外側のスライド部材との間に、バネ等を設けたものである。スライド部材同士間にバネ等を付けるという構成は、2.4.(4)の新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付きの場合とほぼ同じである。

2.6. 引抜き防止装置・滑り支承の重力復元型免震装置・滑り支承振動時垂直変位吸収装置
2.6.1. バネ等付き部材での押さえ込み
特許 1844024号の引抜き防止装置の両方のスライド孔内に、他方のスライド部材をバネ等で押さえ込むプレート等の部材を取付けるというものである。それにより、併用する重力復元型免震装置・滑り支承の、振動時の垂直変位に対応するために設けられた遊びにより生じるがたつきの問題が解決され、また風力等により引抜き力が発生した際の衝撃も吸収される。

2.6.2. 重力復元型免震装置・滑り支承と同じ曲率付き
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材に、それと併用される重力復元型免震装置・滑り支承の曲率と同じ勾配をもたせるというものである。それにより、併用する重力復元型免震装置・滑り支承の、振動時の垂直変位に対応するために設けられた遊びにより生じるがたつきの問題が解決され、また風力等により引抜き力が発生した際の衝撃も吸収される。

2.7. 引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(すべり型)
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材と下部スライド部材との間の摩擦係数を下げるために、上部スライド部材と下部スライド部材との間に、中間滑り部(すべり型)またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部(すべり型)を設けるというものである。

2.8. 引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(転がり型)
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材と下部スライド部材との間の摩擦係数を下げるために、上部スライド部材・下部スライド部材間に、中間滑り部としてローラー・ボールを設けるというものである。

2.9. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(1)
特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承の、水平寸法を小さくするためのものである。スライド部材を三重にすることで、水平寸法を小さくするものである。上部スライド部材と下部スライド部材との間に、中間部スライド部材が設けられ、また各スライド部材は、横に細長く開口したスライド孔を有しており、上部スライド部材と中間部スライド部材、中間部スライド部材と下部スライド部材とが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるように構成したものである。

2.10. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(2)
上部スライド部材を構成する下部材と、下部スライド部材を構成する上部材の、どちらか、または両方が、上部下部スライド部材に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成するというものである。
上部スライド部材(上側免震皿)と下部スライド部材(下側免震皿)との間に、すべり型中間滑り部または転がり型中間滑り部を設けることにより構成される場合である。
さらに、上部スライド部材(上側免震皿)を構成する下部材の上部、下部スライド部材(下側免震皿)を構成する上部材の上部に、スライド方向の孔をもち、その上部下部スライド部材の交差する孔中に、すべり型中間滑り部または転がり型中間滑り部(ローラーまたはボール)を設け、転がり支承を兼用させるというものである。

2.11. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(3)
上部スライド部材と下部スライド部材との間に、横に細長く開口したスライド孔を有する中間部スライド部材を設け、上部スライド部材と中間部スライド部材、中間部スライド部材と下部スライド部材とを、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるようにし、かつ、上部スライド部材を構成する下部材と、下部スライド部材を構成する上部材の、どちらか、または両方が、上部下部スライド部材に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成したものである。
さらに、2.10.と同様に、各スライド部材間にすべり型中間滑り部または転がり型中間滑り部を設けることも可能である。

2.12. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(4)
2.10.(すり鉢・球面支承型除く)及び 2.11.では、上部スライド部材を構成する下部材、下部スライド部材を構成する上部材、または中間部スライド部材が自然に元の位置に戻らない問題があった。また2.10.(すり鉢・球面支承型除く)及び2.11.は、従来(特許 1844024号)に比して小さいが、もっと小さくできないかという要望があった。
これらの問題を解決するものである。
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、
上側免震皿に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドし、下側免震皿に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成された上下繋ぎスライド部材により、上側免震皿と下側免震皿とは上下方向には繋がれ、水平方向にはスライド可能なように構成され、
かつ、前記上側免震皿を免震される構造体に、下側免震皿を免震される構造体を支持する構造体に設けることにより構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上側免震皿に対してのスライド方向と、下側免震皿に対してのスライド方向とは、直角をなすように構成された上下繋ぎスライド部材であることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上下繋ぎスライド部材の中央部に、免震皿上を自由にボールもしくはローラーが転がれるか、または中間すべり部がすべれる大きさの孔が開けられ、ボールまたはローラーまたは中間すべり部が入っていることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上側免震皿、下側免震皿は、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿であることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。


3.滑り型免震装置・滑り支承のダンパー機能向上及び初滑動向上
3.1. 摩擦係数の変化
地震の初滑動を良くするために、免震皿の滑り面部において、中心部の摩擦係数を小さくする。また、振幅を小さくするために、免震皿の滑り面部において周辺部の摩擦係数を大きくする。
また、この両方を組合せ、免震皿の滑り面部において、中心部の摩擦係数を小さくし、周辺部の摩擦係数を大きくする。それにより、地震の初動加速度を小さくでき、しかも、一定以上の振幅を抑制する効果をより高めることができる。
また、免震皿の滑り面部において、中心部から周辺部に向かって、徐々に摩擦係数を大きくしてゆく方法、また段階的に大きくしてゆく方法もある。
また、この方法は、粘性ダンパー等またバネ等に比べて、摩擦係数によって簡単に減衰効果を変えられるだけでなく、地震後の減衰効果も大きい。
というのは、減衰抵抗に関して、摩擦では速度と無関係で一定という関係であり、地震後の振動速度が弱まると減衰効果は大きくなり、速やかに減衰するが、一方、粘性ダンパー等では速度に比例し、またバネ等では振幅に比例するため、地震後でも漸近線的なカーブになり、なかなか減衰しない。

3.2. 曲面率の変化
凹型滑り面部を有する免震皿をもつ免震装置・滑り支承において、免震皿の凹型滑り面部の中心部の曲率半径を大きくし、周辺部の曲率半径を小さくすることにより、ある一定以上の振幅の地震に対して、滑り部が免震皿から外れないようにするための、抑制効果を持たせることができる。

3.3. 摩擦係数の変化と曲面率の変化
また、免震皿の、3.1.の摩擦係数の変化と、3.2.の曲面率の変化とを、両方使って、滑り免震装置・滑り支承のダンパー機能向上および初滑動を向上させる方法もある。


4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置、重力復元型免震装置
4.1. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.1.1. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
免震皿の大きさを小さくするために、免震される構造体と、それを支持する構造体との両方に、免震皿を取付け、免震皿を上下二重(二重免震皿)にする方法を発明した。
この二重免震皿免震装置・滑り支承は、平面で形成された滑り面部(平面型滑り面部と言う)を持った免震皿同士で構成される場合と、平面型滑り面部を持った免震皿と凹面で形成された滑り面部(凹型滑り面部と言う)を持った免震皿とで構成される場合、または凹型滑り面部を持った免震皿同士で構成される場合とがある。
平面型滑り面部と凹型滑り面部を持った免震皿同士で構成される場合、また凹型滑り面部を持った免震皿同士で構成される場合は、上下の二重免震皿の間に中間滑り部を必要とする。
なお、平面型滑り面部を有する免震皿を、平面型免震皿と言い、凹型滑り面部を有する免震皿を、凹型免震皿と言う。
この二重免震皿免震装置・滑り支承は、特許 1844024号の滑り部と免震皿を持った免震装置または免震復元装置に比べ、免震皿一枚あたりの面積はほぼ 1/4にとなり、上下の免震皿を合わせても必要な材料はほぼ 1/2で良くなる。
また、上下二つの免震皿を同じ大きさにできることにより、地震時以外の常時における密閉性をも得ることができる。
また、当然、三重以上の免震皿による免震装置・滑り支承も考えられる。
三重以上の免震皿による免震装置・滑り支承の場合は、上部免震皿と下部免震皿との間に中間免震皿を挟み込むことにより構成される。

4.1.2. 引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
上部免震皿、中間免震皿、下部免震皿による三重免震皿免震装置・滑り支承において、上部免震皿と中間免震皿とを上下繋ぎスライド部材・部分でつなぎ(x軸方向=水平方向)、中間免震皿と下部免震皿とを上下繋ぎスライド部材・部分でつなぐ(y軸方向=水平方向)ことにより、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とが相互に連結して(z軸方向=鉛直方向)、引抜き力に対処することができるようになる。また、四重以上免震皿免震装置・滑り支承も同様に考えられる。この場合は、中間免震皿を複数個設置し、三重免震皿の場合と同じ要領で、中間免震皿同士を順次、繋いでいく。
ここで、上側免震皿と上部免震皿、下側免震皿と下部免震皿との用語の違いについて説明しておく。
免震皿が3枚の時には、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とによって構成される。また、3枚以上の時には、上部免震皿と複数枚の中間免震皿と下部免震皿とによって構成される。
中間免震皿は下側免震皿と上側免震皿とを兼ねて、上部免震皿もしくはその上の中間免震皿との関係では下側免震皿となり(上部免震皿もしくはその上の中間免震皿は上側免震皿となり)、下部免震皿もしくはその下の中間免震皿との関係では上側免震皿となる。
なお、上部(側)免震皿とは、上部免震皿または上側免震皿を表す。下部(側)免震皿も同様である。また、上側(部)免震皿とは、上側免震皿または上部免震皿を表す。下下側(部)免震皿も同様である。

4.2. 中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.2.1. 中間滑り部(一重)
4.2.1.1. 中間滑り部
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の重なる免震皿間に、
中間滑り部が挟み込まれることが考えられ、その中間滑り部には、すべり型のもの(4.2.1.2.)と転がり型のもの(4.2.1.3.)とその中間型のもの(4.2.1.4.)とが、考えられる。
下向きの平面型滑り面部もしくは凹型滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面型滑り面部もしくは凹型滑り面部を有する下側免震皿とで構成され、
上側免震皿と下側免震皿との間に、中間滑り部(すべり型または転がり型)、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が挟み込まれ、
また、上側免震皿、下側免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)がはさまれる場合もある。また、三重以上の免震皿の場合には、免震皿ごとに挟み込む場合もある。

4.2.1.2. 中間滑り部(すべり型)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置の中間滑り部が、すべり型のものである。
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置において、上側免震皿の凹型と同曲率または接する曲率を持つ凸型と、下側免震皿の凹型と同曲率または接する曲率を持つ凸型とが合体した形の中間滑り部を、上側免震皿と下側免震皿の間に挟み込むという構成により、中間滑り部は1つの場合でも、中間滑り部と上側免震皿、中間滑り部と下側免震皿との接触面積をともに、振動時でも一定にできるか、またはそれに近付けるようにすることができる。

4.2.1.3. 中間滑り部(転がり型)
さらに、以下の4.2.1.3.1.〜 4.2.1.3.4.は、4.2.1.1.の中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置の中間滑り部が、転がり型のものである。

4.2.1.3.1. 中間滑り部(平面状、凹型球面状免震皿)
4.2.1.3.2. 中間滑り部(平面状、すり鉢状免震皿)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置において、
下向き平面状または凹型の球面またはすり鉢状の滑り面部を有する上側免震皿と、上向き平面状または凹型の球面またはすり鉢状の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたボールを持つことにより構成される免震装置・滑り支承の発明である。
特に、すり鉢状の免震皿の場合には、すり鉢の底を、ボールと同曲率の球面形状にし、すり鉢はそれに接する形で形成されるのがよい。
この事により、すり鉢状にも拘らず、ボールと免震皿の接触面積を大きくすることができ、耐圧性能が高くなる。このことは、心配される経年後のボールの免震皿への食込みを、最小限に抑えることができる。
というのは、問題となる通常時(小変位の小地震の時を含む)における食込みを、この形状を採ってボールと免震皿の接触面積を大きくし、免震皿にかかる単位面積あたりの荷重を小さくすることにより防ぐことができるからである。

4.2.1.3.3. 中間滑り部(平面状、円柱谷面状免震皿)
4.2.1.3.4. 中間滑り部(平面状、V字谷面状免震皿)
また、下向き平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向き平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたローラーによって構成される免震装置・滑り支承の場合も同様である。
特に、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿の場合には、V字谷面の底が、免震皿に挟まれたローラーと同曲率の形状をなしており、V字谷面はそれに接する形で形成されるのがよい。

4.2.1.4. 中間滑り部(転がりすべり中間型)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置の中間滑り部が、すべりと転がりとの中間型のもので、転がりとすべりの中間の摩擦係数が得られる支承の発明である。
摩擦係数は、転がり支承約1/100からすべり支承約1/10と隔たり、その中間値が得られなかった。
中間滑り部6の中にローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)をもたせて、転がりとすべりの複合型支承でそれを可能にした。

(1) 回転抑制型
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部はローラー・ボール(ベアリング)と、このローラー・ボール(ベアリング)をもったすべり部分とによって構成され、すべり部分が、ローラー・ボール(ベアリング)の回転を抑制するように、すべり部分とローラー・ボール(ベアリング)との接触面の摩擦が大きくなるように構成されていることを特徴とする免震装置・滑り支承である。

(2) 摩擦回転併用型
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部はローラー・ボール(ベアリング)と、このローラー・ボール(ベアリング)をもったすべり部分とによって構成され、すべり部分とローラー・ボール(ベアリング)の両方とが免震皿にほぼ均等に接するように構成されていることを特徴とする免震装置・滑り支承である。

4.2.2. 二重中間滑り部
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、中間滑り部を二重にするというものである。中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が、上下に、第一中間滑り部と第二中間滑り部とに分かれ、互いに同一球面率の球面同士で重なりあう形で、上下の滑り面部を有する免震皿に挟み込まれる。
具体的には、4.2.1.において、中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が第一中間滑り部と第二中間滑り部とに分かれ、
上側または下側免震皿のどちらか一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率(または同一球面率)または接する曲率の凸型(または球面)滑り面部をもち、且つその凸型の反対部は凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部と、
その反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、且つその凹(または凸)型の反対部は、上側または下側免震皿のもう一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率(または同一球面率)または接する曲率の凸型(または球面)滑り面部をもつ第二中間滑り部とからなり、
この第一中間滑り部及び第二中間滑り部とは、互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側及び下側免震皿に挟み込まれることにより構成される。

4.2.3. 三重中間滑り部
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、中間滑り部を、三重にするというものである。中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が、上下に、第一中間滑り部、第二中間滑り部、第三中間滑り部に分かれ、それらはそれぞれ互いに同一球面率の球面同士で重なりあう形で、上下の滑り面部を有する免震皿に挟み込まれる。
具体的には、4.2.1.において、中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部は第一中間滑り部と第二中間滑り部と第三中間滑り部とに分かれ、
上側または下側免震皿のどちらか一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率(または同一球面率)または接する曲率の凸型(または球面)滑り面部をもち、且つその凸型の反対部は凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部と、
その反対部の凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型球面状滑り面部をもち、且つその凸(または凹)型の反対部は凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第二中間滑り部と、
その反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、且つその凹(または凸)型の反対部は、上側または下側免震皿のもう一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率(または同一球面率)または接する曲率の凸型(または球面)滑り面部をもつ第三中間滑り部とからなり、
この第一中間滑り部、第二中間滑り部及び第三中間滑り部とは、それぞれ互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側及び下側免震皿に挟み込まれることにより構成される。

4.2.4. 復元バネ付き中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
以上の4.2.の中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の各装置において、中間滑り部または保持器と上側免震皿、下側免震皿とをバネ等で繋ぐことによって復元力を持たせ、復元装置の機能を合せ持たせるというものである。

4.3. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.3.1. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.の二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、免震皿の間にローラー・ボール(ベアリング)等5-e、5-fを入れることにより、摩擦係数の低下が図られ、高い免震性能が得られる。

4.3.2. 平面状また円柱谷面状またV字谷面状重層免震皿(上下繋ぎスライド部分持ち)
三重以上の免震皿免震装置・滑り支承において、4.1.2.の上下繋ぎスライド部材では、中間免震皿が自然に元の位置に戻らず(平面型・凹型共に)、地震時に中間免震皿が外れる可能性があった。また上下繋ぎスライド部材が自然に元の位置に戻らず(平面型・凹型共に)、地震時に上下繋ぎスライド部材が外れる可能性があった。この問題を解決するものである。
4.の三重以上の免震皿免震装置・滑り支承において、
免震皿が複数個あって、それらの免震皿が、平行する対辺同士で、免震皿自体に設けられた上下繋ぎスライド部分によって相互に繋がれ、順次連結されてゆき、
下向きの平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される一層が、一層単位ごとにローラー等の転動体の進行方向が変わるように免震皿が重ねられて(下の一層の上側免震皿は、上の一層の下側免震皿をも兼ねる場合もあり)、その重層によって、あらゆる方向からの水平力に免震し復元するように構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
下向きの平面状の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される場合には、上下繋ぎスライド部分は、免震皿自体に設けられているため、上下繋ぎスライド部材を使用した場合のように地震時に外れる心配がない。
特に三重の免震皿構成の場合は上下繋ぎスライド部材が外れることがなくなるだけでなく、中間免震皿が自然に元の位置に戻る効果を持つため、地震時に中間免震皿が外れることもなくなる。
さらに、上側免震皿または下側免震皿の少なくともどちらか一方を円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部とし、これらの免震皿にローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)を挟むことによって免震装置・滑り支承を構成する場合には、
上下繋ぎスライド部材を使用した場合のように、地震時に外れる心配がなくなる。また、中間免震皿が自然に元の位置に戻る効果も持ち、
全方向の復元が可能になり、さらにローラー型で全方向の復元が可能になることにより耐圧性能を向上させることも可能になる。特に、V字谷面状の凹型滑り面部を有する免震皿の場合には、5.に示すように共振のない免震装置が可能になる。
さらに、この三重の免震皿構成の場合は上下繋ぎスライド部材が外れることがなくなるだけでなく、中間皿免震皿が自然に元の位置に戻る効果も持つため、中間免震皿が外れることもなくなる。
ローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)を複数個にすることにより、より耐圧性能が上げられる。

4.4. シールまた防塵カバー付き二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
免震復元装置の免震皿の密閉性を得るために、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の、免震皿の側面の周囲全周を、中小地震程度の揺れを許容するようなシールまたは防塵カバーで密閉するという方法を発明した。

4.5. 重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の滑り部の改良
4.5.1. 中間滑り部
重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の免震皿と滑り部の接触面積が大きく、また地震時の免震振動時も一定に保たれるようにするために、以下のような構成を発明した。
球面またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿と、
この免震皿の凹型滑り面部と同一球面率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つその凸型の反対部に凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部と、
中間滑り部のこの凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ滑り部とからなり、この中間滑り部を、凹型滑り面部を有する免震皿と滑り部との間に挟み込むことにより構成される免震装置・滑り支承である。

4.5.2. 二重中間滑り部
球面またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿と、
この免震皿の凹型滑り面部と同一球面率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つその凸型の反対部に凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第二中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった第二中間滑り部と、
その反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、且つその凹(または凸)型の反対部に凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった第一中間滑り部と、
この第一中間滑り部の前記凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ滑り部とからなり、
この第一中間滑り部及び第二中間滑り部とは、互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、凹型滑り面部を有する免震皿と滑り部との間に挟み込まれることにより構成される免震装置・滑り支承も発明した。

4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承
4.6.1. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承(1)
免震復元装置の、免震皿の移動により生じる滑り部の垂直変位を吸収するために、滑り部の上部に、垂直方向に弾性をもつバネ等を入れ、その上をネジを切った押さえ材でそのバネ等を押さえる。そのバネ等の働きで、滑り部の垂直変位が吸収される。この押さえ材をネジ方向に締めたり、緩めたりすることにより、復元力・減衰力を変えることができる。
押さえ材をネジ方向に締める事により、地震後の残留変位を無くす事も可能になる。
またこのバネ等は、地震の垂直動に対する免震効果をも持つ。

4.6.2. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承(2)
滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承に関する発明である。
8.1.2.2.3.の自動復元型固定装置の固定ピンを、滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった滑り部にし、固定ピンの挿入部を、凹型滑り面部を有する免震皿にしたもので、そうすることにより、滑り部自体が垂直変位を吸収し得る、滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承が可能になる。

4.7. 縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承
垂直変位を吸収するようにするために、以下のような装置も発明した。
重力復元型免震装置・滑り支承の滑り部に、免震される構造体と水平力は伝達するが、垂直力は伝達しない部材で、その部材の重さが、免震される構造体に比べて、この重力復元型免震装置・滑り支承の復元性を得られるほど、重い部材をもった重力復元型免震装置・滑り支承である。

4.8. 新重力復元型免震装置
免震される構造体にケーブル等で重りを接続し、免震される構造体を支持する構造体に、ケーブル等の入る大きさの挿入口を免震される構造体の重りの支持位置の直下となるように設け、その挿入口を通して免震される構造体を支持する構造体の下にその重りを吊り下げる。
地震時には、免震される構造体の重りの支持位置とその孔とがずれるが、重りによって、その位置のずれを矯正しようとする力が働き、復元力が得られる。
場合により、その孔の周囲は、低摩擦材、潤滑材等でケーブルとその孔の周囲の摩擦抵抗を最小限にすることもある。
この重りによる重力復元型免震装置は、寿命が長く、しかも垂直変位が生じない。バネ等による復元制御に比べて免震性能がよく、地震後の残留変位を消去する能力も大きい。 以下、この重りによる重力復元型免震装置を「重り復元型免震装置」と言う。


5.共振のない免震装置と運動方程式とプログラム
5.1. 共振のない免震装置とその運動方程式
5.1.1. 共振のない免震装置とその運動方程式
耐震でも免震でも、共振は避けられない現象で最も危険なものと考えられていた。共振のない免震装置の必要性が求められている。

5.1.1.1. 共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置
5.1.1.1.1. 共振のない滑り型免震装置
(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(一重免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.5.参照)、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、2.10./2.12./4.1.〜4.2.1.2.3./4.2.1.2.5./4.2.1.3.2.〜4.3./(4.4.)/参照))、
または、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(一重免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.5.参照)、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.2.1.2.4./4.2.1.2.5./4.2.1.3.4./4.3.2./(4.4.)参照))は、共振現象を持たない。
以上のすり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承をすり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承と言う。

(2) 重り復元型免震装置
重り復元型免震装置(4.8.参照)は、共振現象を持たない。

5.1.1.1.2. 共振のある滑り型免震装置
参考として共振のある滑り型免震装置として、以下の2つの型の免震装置をあげておく。
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
凹型球面形状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(2.10./2.12./4.1.〜4.2.1.2.1./4.2.1.3.1.〜4.5.参照)、
または、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(4.2.1.2.2./4.2.1.3.3./4.3.2./(4.4.)/4.5.参照)は、共振現象を持つ。
以上の凹型球面形状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承を凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承と言う。

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置(4.2.4./14.1.2.参照)は、共振現象を持つ。

5.1.1.2. 共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置との運動方程式(記号説明は実施例の 5.1.3.1.参照)
以下、5.1.1.1.の運動方程式である。

5.1.1.2.1. 共振のない滑り型免震装置
(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt= -d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|≒mg・tanθ/|x|≒mg・θ/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|≒mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

(2) 重り復元型免震装置
1) 直接法
重り復元型免震装置の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+M/m・g・sign(x)+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
2) 等価線形化法
重り復元型免震装置の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。 d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・M/m/|x|
Ke=mg・M/m/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

5.1.1.2.2. 共振のある滑り型免震装置
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
1) 直接法
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

5.1.1.3. 運動方程式から設計された共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置との運動方程式(記号説明は実施例の 5.1.3.1.参照)

(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt= -d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとθ≧μ を満たす、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|≒mg・tanθ/|x|≒mg・θ/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|≒mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとθ≧μ を満たす、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。

(2) 重り復元型免震装置
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとM/m≧μ を満たす、
重り復元型免震装置、またそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・M/m/|x|
Ke=mg・M/m/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとM/m≧μ を満たす、
重り復元型免震装置、またそれによる免震構造の発明である。

5.1.1.3.2. 共振のある滑り型免震装置
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
凹型球面形状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
凹型球面形状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置、またそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置、またそれによる免震構造の発明である。

5.1.2. 共振のないことの証明
5.1.1.1.の(1)(2)に関して、
5.1.1.2.の運動方程式(2)においてM/m=θ(実際そのようなMにする必要がある)とすると(1)と同じ運動方程式になる。
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
の解を整理すると以下のようになる(後述の実施例の 5.1.3.滑り免震(すり鉢状)の運動方程式の解、参照)。

(1) 最大応答加速度の理論解
絶対加速度振幅|d(dy/dt)/dt|maxは
|d(dy/dt)/dt|max=|(±θ+μ)g| ……( 15)

絶対加速度倍率γ2は
γ2 =|(±θ+μ)/ε| ……( 16)
となる。

(2) 最大応答変位の理論解
相対変位振幅x0は
x0 =|±z0/(2ε)・√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}
+(±θ+μ)・z0/ε| ……( 8-1)

相対変位倍率γ0は
γ0 =|±1/(2ε)√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}+(±θ+μ)/ε|
……( 9-1)

絶対変位振幅y0は
y0 =|(±θ+μ)z0・π^2/(8ε)| ……( 12)

絶対変位倍率γ1は
γ1 =|(±θ+μ)π^2/(8ε)| ……( 13)
となる。

以上から、
応答変位倍率は、入力(地震)周期とは無関係であり、入力加速度によってきまり、入力加速度とほぼ反比例関係であり、小さい入力加速度では増幅はあるが、大きな入力加速度では応答変位の増幅はほとんど無い。
応答絶対加速度も、入力(地震)周期とは無関係であり、さらに入力変位・速度・加速度に依らず、常に一定値の(±tanθ+μ)・gである。
以上のことは実験でも証明されている。
共振が問題になるのは、変位増幅よりも加速度増幅の場合である。それも大きな加速度入力時に起る場合が特に問題である。本発明により、共振の心配の全くない装置が可能となる。

5.2. 解析プログラムによる共振のない滑り型免震装置
解析プログラムによる共振のない滑り型免震装置の発明である。

5.2.1. Runge-Kutta法
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体との間に設けられた、免震装置・滑り支承またそれによる免震構造において、
以下の解析プログラムのフローチャート
(1) 初期化を行い、
(2) 入力データ及び出力先ファイルを設定し、
(3) 設定した入力データを読み込み、
(4) 動作判別式を計算して耐震状態か免震状態かを判別し、
(5) 各質点の運動方程式として、連立2階微分方程式を設定し(耐震状態と免震状態とで運動方程式は異なる)、
(6) 該連立2階微分方程式をRunge-Kutta法で解き、
(7) 加速度、速度、変位応答値を計算し、
(8) 必要に応じて誤差を処理し、
(9) 計算結果を出力する。

によって構造解析することにより設計されてなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。


Runge-Kutta法による解析プログラムのフローチャート(記号については5.2.1.1.変数/定数一覧参照)
(1) 初期化

(2) 入出力ファイルの設定

(3) 入力データ(地動加速度データ)の読み込み

(4) 動作判別式
運動方程式には地動加速度に対して免震装置が機能する条件が入っていないので、ここで判別式を計算して運動方程式選択の分岐をおこなう。

1) 耐震(静止)状態の時
免震状態となると判別された場合は、免震状態の運動方程式を処理する過程へ移行し、耐震状態のままと判別された場合は、耐震状態の運動方程式を処理する過程を再び経由する。

2) 免震状態の時
耐震状態となると判別された場合は、耐震状態の運動方程式を処理する過程へ移行し、免震状態のままと判別された場合は、免震状態の運動方程式を処理する過程を再び経由する。

(5) 運動方程式設定
動作判別式により免震装置が機能しない場合と免震装置が機能する場合の2つの場合に分かれ、運動方程式から質点数ごとにそれぞれ次のような連立2階微分方程式を解くことになる。

1) 1質点の場合
免震装置が機能しない状態
dx/dt=0
d(dx/dt)/dt=0
免震装置が機能する状態
dx/dt=V
d(dx/dt)/dt=-MM1*G*SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))/MM1-DDY

2) 2質点の場合
免震装置が機能しない状態
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2)/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY
免震装置が機能する状態
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2−KK2*X2))/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY

3) 3質点の場合
免震装置が機能しない状態
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY

免震装置が機能する状態
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+MM3)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY

4) n質点の場合
免震装置が機能しない状態
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY



d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2

免震装置が機能する状態
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+・・+MMn)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY


d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2

(6) Runge-Kutta解析
連立2階微分方程式をRunge-Kutta法で解く。
(7) 加速度/速度/変位応答の計算
速度と変位は連立2階微分方程式を解くことによって得られ、加速度については運動方程式から直接得る。
(8) 誤差の丸め処理
(9) 結果出力
によって構造解析することによって設計されてなる、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、重り復元型免震装置、またそれによる免震構造の発明である。

5.2.2. Wilsonθ法
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体との間に設けられた、免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造において(記号について5.2.2.2. 変数/定数一覧参照)、

以下の解析プログラムのフローチャート
(1) 初期化を行い、
(2) 入力データ及び出力先ファイルを設定し、
(3) 時刻歴のループを設定し、
(4) 先読みのループを設定し、
(5) 等価バネ定数(KEQ)、等価減衰係数(CEQ)を計算し、
(6) (4)のループで 1巡目の処理か2巡目の処理かをチェックし、
(7) Wilson-θ法により、t+θDT時の変位を計算し、
(8) Wilson-θ法により、加速度/速度/変位応答を計算し、
(9) 必要に応じ誤差を処理し、(6)のループチェックにおいて1巡目の処理とされた場合は (4)へ戻り、2巡目の処理とされた場合には(10)へ進み、
(10)計算結果を出力する。
によって構造解析することにより設計されてなる、免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造の発明である。

Wilsonθ法による解析プログラムのフローチャート(記号について5.2.2.2. 変数/定数一覧参照)
(1) 初期化
(2) データ入力と出力ファイルの設定
(3) 時刻反復
1) 時刻歴(M=2 TO NN)のループ。
(4)先読み反復
1) 先読み(O=1 TO 2)のループ。1巡目のときO=1、2巡目のときO=2。5.2.2.6. 2)を参照。
(5)等価バネ定数、等価減衰係数の計算
1) 等価バネ定数(KEQ)、等価減衰係数(CEQ)を、V0とX0から求める。
1質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
2質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
(6) ループチェック
(4)で1巡目の処理か2巡目の処理かをチェックする。
(7) Wilson-θ法により、t+θDT時の変位計算
(8) Wilson-θ法により、加速度/速度/変位応答の計算
(9) 誤差の丸め処理
(6)のループチェックにおいて、1巡目の処理とされた場合は(4)へ戻り、2巡目の処理とされた場合には、(10)へ進み、
(10) 結果出力
によって構造解析することによって設計されてなる、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、もしくは、重り復元型免震装置、またそれによる免震構造の発明である。


6.垂直免震装置
6.1. 滑り部垂直変位吸収型の垂直免震装置・滑り支承
免震装置・滑り支承、または重力復元型免震装置・滑り支承の滑り部を挿入する筒内に垂直方向にバネ等を入れて、滑り部先端を押出す機能をもたせ、垂直変位を吸収するようにした発明である。

6.2. 垂直免震付き引抜き防止装置(復元付き含む)
バネ等によって地震の垂直力に対して免震させる場合、バネ等の座屈を防ぐために、水平力は逃がして、垂直力だけを垂直バネ等に受け持たせなければならないので、水平力を逃がせる機構となっている十字型免震装置、また引抜き防止装置の上部スライド部材の上と下部スライド部材の下の、どちらかまたは両方に垂直方向にバネ等を入れることを発明した。
2.1.の復元・減衰バネ付き引抜き防止装置に、上述のように垂直方向にバネ等を入れる場合もある。

6.3. 各層・各階ごとの垂直免震装置
特許 2504945号で、階・層単位ごとに免震装置を設ける発明をしており、その応用にもなるが、水平力に対しては、構造体の基礎部(また低層階)に設けた免震装置(水平力免震装置)で構造体全体を免震させ、垂直力に対しては、構造体全体を一括して免震するのは難しいので、何階単位かひとまとめにした層単位か、階単位で垂直免震装置を設け免震させる。
この垂直免震装置としては、階単位での床免震が考えられるが、床・壁・天井を一体にさせた箱を、層単位か、階単位で、地震の垂直力から免震させる場合もある。

6.4. 引張材による垂直免震装置
特許 1778741号で、引張材による垂直支持の方式の発明をしているが、この引張材に弾性をもたせることにより、垂直力の免震性能をもたせることが可能になる。


7. 免震による地震発電装置
免震機構を使用しての、地震発電装置の発明である。
地震エネルギーを電気等に換える方法として、免震を活用するものである。

7.1. 免震による地震発電装置
地震エネルギーを電気等の役立つものに換える方法として、免震が活用できるが、しかし、三次元的動きを一次元の動きに換えるのが困難であった。
以下の方法はこれを解決するものである。

1) ピン型
凹形状の挿入部と当該挿入部に挿入されたピンを有し、挿入部とピンのうち、一方を免震される構造体または(免震される)重りに、もう一方をそれを支持する構造体に設け、
地震時に、このピンが、凹形状の挿入部に沿って上り下がりし、それに従って回転子が回転して、発電を行うように構成される地震発電装置である。
凹形状の挿入部は、すり鉢形状、球面等の凹形状が考えられる。
この方法により、地震エネルギーを上下運動に換えることで、二次元的動きを一次元の動きに、さらに回転運動に換え、発電等をおこなう。さらに、この方法によると、地震の垂直動も電気エネルギー等に換えることができる。

2) ラックと歯車型
ラックと、ラックにより回転する歯車のうち、一方を免震される構造体または(免震される)重りに、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、
地震時に、この歯車が、ラックによって回転し、その回転により、発電を行うように構成される地震発電装置である。
この方法により、地震エネルギーを水平運動に換えることで、二次元的動きを一次元の動きに、さらに回転運動に換えることができる。

7.2. 地震発電装置型地震センサー
地震発電装置による地震センサー(以下、「地震発電装置型地震センサー」と言う)の発明である。
前記 7.1.の地震発電装置を利用することにより、電気を使用しない地震エネルギーのみを使用した地震センサーが可能になる。
さらに、後述の固定装置の作動部の解除まで行える電気等のエネルギーを発生させることも可能になる。

7.3. 地震(発電)センサーによる固定装置の解除
7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを使用して、固定装置の解除を行う。
これには、自動制御装置が固定装置の作動部のロックのみを解除する間接方式と、自動制御装置が固定装置の作動部の解除を直接行う直接方式との二通りがある。


8.固定装置・ダンパー
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止するための固定装置に関するものである。
固定装置は、連結形態から、固定ピン系と連結部材系との2つの型がある。連結部材系は、さらに不可撓部材型と可撓部材型とに分かれる。
固定ピン系は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを繋ぐ形で取り付けられた固定ピン等の係合摩擦材(以下、総称して「固定ピン」と言う。連結部材系のピン型も含む)により、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するものである。
連結部材系は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを繋ぐ形で取り付けられた連結部材としてのロッド材等の不可撓部材やワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材による連結部材により、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを連結するものである。
具体的には、ピストン状部材、挿入筒、ユニバーサル回転接点、支持部材、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材等が、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との連結部材をなす。
さらに、固定方法として、固定ピン系は、直接方式と間接方式とに分かれ、間接方式はピン型(ロックピン)と弁型(ロック弁)とに分かれる。連結部材系もピン型(固定ピン)と弁型とに分かれる。
そして、固定ピン系の直接方式と間接方式のピン型(ロックピン)と弁型(ロック弁)そして連結部材系のピン型(固定ピン)とを「固定ピン型固定装置」と称し、連結部材系の弁型を「連結部材弁型固定装置」と称する。
また、作動形態から、以下の8.1.地震作動型固定装置と、8.2.風作動型固定装置との2種類に分かれる。

8.0.1.3. 可撓部材型連結部材系固定装置
可撓部材型連結部材系固定装置は、
免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部(ピストン状部材)ともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材で繋ぐことにより構成されてなることを特徴とする固定装置である。

8.1. 地震作動型固定装置
地震作動型固定装置は、通常時は免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止しており、地震の振動を感知すると、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除して、免震装置を作動させるというタイプの固定装置である。
地震作動型固定装置は、地震力そのもので作動する剪断ピン型固定装置(8.1.1.)、地震時の地震センサーの指令または地震センサー振幅装置の振動する重りの力で作動する地震センサー(振幅)装置装備型固定装置(8.1.2.)に分かれる。

8.1.1. 剪断ピン型固定装置
剪断ピン型固定装置は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、両者を繋ぐ形で固定ピンが取り付けられており、地震時以外は風揺れを防止し、地震時に地震力によって固定ピンが切断されるか、折れるかすることによって、免震される構造体の固定状態が解除され、免震装置が可動する装置である。

8.1.2. 地震センサー(振幅)装置装備型固定装置
(1) 一般
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、免震される構造体の風揺れ等を防止する固定装置に、地震を感知する地震センサーまたは地震センサー振幅装置(以下、「地震センサー(振幅)装置」という)が装備されたものである。地震時には、地震センサー(振幅)装置の働きによって、固定装置が解除される。
地震センサー振幅装置には、重力復元型、バネ復元型、振り子型の3つの形が考えられる。
固定装置の固定の解除に関して、地震力で、または地震センサーからの指令で、または地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り(不動点状態は地面から見ると相対化して振動状態に見える。共振域に近付くと本当に振動する)そのものの力で、
固定装置の作動部自体を解除する直接方式(8.1.2.3.)と、
固定装置の作動部のロックのみを解除する(固定装置の作動部自体の解除はバネ等、重力または地震力を利用する)間接方式(8.1.2.2.、8.1.2.1.吊材切断型も機構上は間接方式に入る)との二通りに分かれる。
また、固定装置が、解除後、再び固定される際の復帰形式により、8.1.2.1.と8.1.2.2.1.の手動復元、8.1.2.2.2..と8.1.2.2.3.の自動復元型、8.1.2.3.の自動制御型の3種類に分かれる。

(2) 地震発電装置による地震センサー装備型
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、上記(1)記載の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の、地震センサーが、7.2.の地震発電装置型地震センサーによる場合である。

8.1.2.1. 吊材切断型
吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置、または電気式振動計等の地震センサーをもち、
この地震センサー振幅装置の、地震力によって振動する重りまたはその重りに連動する部材、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材に、刃が付き、その先に、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定ピンを支えている吊材があり、
地震時にその加速度がある一定以上の大きさになると、
地震センサー振幅装置の重りの振幅が大きくなることによって、または地震センサーの指令により作動するモーターもしくは電磁石等の作動によって、その刃が吊材に当たり、吊材を切断し、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定ピンが解除されるように構成されてなることを特徴とする吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

8.1.2.2. 間接方式(ロック解除型)
間接方式とは、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の固定装置の作動部を直接解除せずに、固定装置の作動部を間接的に解除する、つまり固定装置の作動部のロックを解除する方式である。以下、説明をする。

8.1.2.2.1. 基本形
地震センサー(振幅)装置の、固定装置の作動部を解除するのに必要な力を小さくし、且つ固定装置の作動感度を上げることを図った地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
固定装置の作動部自体の固定と解除を直接に行わずに、固定装置の作動部をロックするロック部材によって固定装置の固定と解除を行うことにより前記目的を達成するものである。
固定装置の作動部が固定ピンの場合である。
ロック部材が、ロックピンとロック弁に分けられることから2つの方式に分かれる。

1) ロックピン方式
ロック部材がロックピン等である地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
通常は、固定装置の作動部にロック部材が係合することにより、固定装置がロックされ、固定装置の固定が行われ、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定がなされており、
一定以上の地震力が働くと、地震センサー(振幅)装置と連動して、そのロック部材の係合が解除されることにより、固定装置のロックが解除され、固定装置の固定の解除が行われ、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除がなされるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

2) ロック弁方式
ロック部材がロック弁等である地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材等の固定装置の作動部を有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその幾つかにまたは全てに、ロック弁が設けられており、
通常は、そのロック弁が閉まっていることにより、固定装置がロックされ、固定装置の固定が行われ、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定がなされており、
一定以上の地震力が働くと、地震センサー(振幅)装置と連動して、そのロック弁が開くことにより、固定装置のロックが解除され、固定装置の固定の解除が行われ、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除がなされるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

3) 地震発電による地震センサー装備型
電源設備を必要としない、電気に頼らない地震センサー装備型固定装置の発明である。
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置に、7.2.の地震発電装置型地震センサーを装備させたもので、
地震時以外は、固定装置のロック部材が働いて固定装置はロックされており、 ロック部材は、前記地震センサーと接続され、連動するようになっていて、
地震時に、地震センサーの発電量が一定値に達すると、モーターまた電磁石等により、固定装置のロック部材が解除され、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されることにより前記目的を達成するものである。
また、固定装置としては、後述の8.1.2.2.3. 地震力による自動復元型を採用することにより、固定の解除から免震、復元までの一連の動作を地震力のみによって行うことができ、電源設備を必要としないという効果を持つ。

8.1.2.2.2. 電気等による自動復元型
固定装置が解除された場合に、地震後に電気等により自動的に固定状態に復帰させる自動復元型の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
地震後、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーからの指令によって、固定装置の作動部を自動的に元の位置に戻す固定装置自動復元装置を設けることにより前記目的を達成するものである。
8.1.2.2.1.の固定装置に、固定装置自動復元装置を取り付けたものである。これにより、地震後の固定装置の作動部の再セットが自動になり、手動復元のもののように一々手を煩わせる必要がなくなった。復元の容易な固定装置の発明により、大地震に対応する一回限りのものだけでなく、中小地震に対応する免震装置が可能となる。装置の構成としては、8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の、固定装置の作動部に、固定装置自動復元装置を設けたものである。

8.1.2.2.3. 地震力による自動復元型
固定ピン型固定装置の場合のもので、固定装置が解除された場合に、地震後に地震力により自動的に固定状態に復帰させる自動復元型の固定装置の発明である。
固定ピン型固定装置において、固定ピンの挿入部を、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状にすることにより前記目的を達成するものである。

8.1.2.2.1.と 8.1.2.2.4.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、特に意味がある。
また、この装置を使用する場合には、固定ピンとその挿入部間で持上がって固定装置が効かなくなるのを防ぐために、引抜き防止装置を併用することが(連結部材系と、重量物である免震される構造体を除いて)大抵の場合必要である。
ここで言う、引抜き防止装置とは、2.の引抜き防止装置・滑り支承でも良いし、それ以外の、免震される構造体が免震される構造体を支持する構造体からの浮き上がりを防止する装置であればどのようなものでも良い。

8.1.2.2.4. 応用形
以下の発明は、8.1.2.以下の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置全般に使用可能なものである。 1)を除けば、8.2.1.以下の風センサー装備型固定装置の間接方式にも使用できる。

1) ロック部材が地震センサー振幅装置の重り型
固定装置に地震センサー振幅装置を内包してコンパクト化を図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー振幅装置装備型固定装置において、地震センサー振幅装置の重りが、同時にロック部材の役割を果たすことにより前記目的を達成するものである。
2) 二段以上ロック方式
地震センサー(振幅)装置が、固定装置の作動部を解除するのに必要な力、及びその際の引張長さまたは圧縮長さを小さく抑えられることにより、固定装置の作動感度を上げることを図った地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、固定装置の作動部をロックする第一のロック部材、この第一のロック部材をロックする第二のロック部材、・・・というようにロック部材を二段以上にし、最後のロック部材を、地震センサー(振幅)装置と接続して、連動させることにより前記目的を達成するものである。

3) 二重以上ロック方式
固定装置のロックの安全性を確保することと、固定装置の作動感度を上げることの両立を図った地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、固定装置の作動部をロックするロック部材を二個以上設け、またそれぞれのロック部材について地震センサー(振幅)装置を設置し、それに連動させることにより前記目的を達成するものである。

4) 遅延器付き
地震時の免震効果を上げるために固定装置の解除状態を持続させるために、固定装置の作動部の固定位置への戻りを遅くすることを図った、遅延器付き地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
後述のような遅延器が装備され、固定装置の作動部が解除されるときは速やかに、固定状態に復するときは緩やかに行われるようにすることにより前記目的を達成するものである。

8.1.2.2.5. (ロック)弁方式(直接方式含む)
8.1.2.2.5.1. (ロック)弁方式(1)
ロック弁方式の固定装置の発明である。
(1) 全体構成
この固定装置は、地震センサー振幅装置部と固定装置部とに分かれる。
地震センサー振幅装置部と固定装置部とが互いに別々の独立した装置となっている場合もある。その場合は連結口で連結管によって連結される。
ここでは、固定装置部と地震センサー振幅装置部との一体型を「地震センサー振幅装置付き固定装置」と、固定装置部と地震センサー振幅装置部との分離型を「地震センサー振幅装置分離型固定装置」と、そして固定装置部のみを「固定装置部または独立型固定装置」と、地震センサー振幅装置部のみを「地震センサー振幅装置部または独立型地震センサー振幅装置」と、言う。
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定装置の作動部を有し、
地震センサーとなる重りに連動するスライド式ロック弁をもち、
通常時は、このスライド式ロック弁は閉じており、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路を塞ぐ形となり、押出される液体・気体等が押出されずに、ピストン状部材はロックされ、固定装置の作動部は固定され、
地震時には、地震センサーとなる重りが、スライド式ロック弁に作用して、スライド式ロック弁を開かせると、ピストン状部材によって押出された筒中の液体・気体等が液体貯槽または外部に出て、ピストン状部材は動き始め、固定装置の作動部の固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

(2) 固定装置部
1) 固定ピン型固定装置の場合
固定ピン型固定装置の場合の発明である。
固定ピン型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった(ピストン状部材と連動した場合を含む)固定ピンの固定装置の作動部を有する。

a. 固定ピン系
固定ピンの挿入部は、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状をなしており、地震時には、固定ピンとなるかまたは連動したピストン状部材は、このすり鉢形状・球面形状等の凹形状に従って往復(上下)運動をして、筒中に充填された液体・気体等を筒中から押出したり筒中に引入れたりする。

b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を有し、このピストン状部材は、免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒が、もう一方の構造体に支持されている。
ピストン状部材または挿入筒は、(それ自体が支持されている構造体ではなく)もう一方の構造体と連結部材によって連結されている。
連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
また、この装置は、間接方式と直接方式とがある。すなわち、
直接方式の場合は、ピストン状部材には欠き込み・溝・窪みが設けられており、この欠き込み・溝・窪みに固定ピンが係合することにより固定がなされる。
間接方式の場合は、固定ピンに固定ピンをロックするロック部材(ロックピン・ロック弁等)を設ける。

2) 連結部材弁型固定装置の場合(直接方式である)
連結部材弁型固定装置の場合の発明である。
連結部材弁型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を有し、このピストン状部材は、免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒が、もう一方の構造体に支持されている。連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
そして、固定ピン型固定装置の場合、連結部材弁型固定装置の場合共に、
地震時に、このピストン状部材は、液体・気体等の弁(スライド式ロック弁)が開くことにより移動可能となり、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との振動によって往復運動をして、筒中に充填された液体・気体等を筒中から押出したり筒中に引入れたりして免震を可能にし、
風時には、液体・気体等の弁(スライド式ロック弁)が閉じており、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが固定される。

(3) 地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部は、固定装置部(の接続部)から地震センサーとなる重りに連動したスライド式ロック弁のある出口・出口経路へと繋がる部分とこのスライド式ロック弁を境にした液体貯槽(または外部)部分とに分かれる。
液体貯槽は、液体溜まりであり上部に空気抜きがあり、液体の容量調整が自由である。

1) 地震センサーとなる重り
地震センサーとなる重りは、振り子またはバネ等または球面・すり鉢若しくは円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)によって平衡を保たれており、地震時に(相対的に)振動し、地震後元の位置(通常位置)に戻る。
また、この地震センサーとして転がり方式の重りが可能になる。
地震センサーとなる重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部を球が転がる方式である。感度を非常に良くできる。

2) スライド式ロック弁と地震センサーとなる重りと連動
この地震センサーとなる重りに連動したスライド式ロック弁をもち、通常は閉じており、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路を塞ぐ形となり、液体・気体等が押し出されずに、ピストン状部材はロックされ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、
地震時に、地震センサーとなる重りが、スライド式ロック弁に作用して、スライド式ロック弁を開かせると、ピストン状部材によって押出された筒中の液体・気体等が液体貯槽または外部に出て、ピストン状部材は動き始め、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定は解除される。

3) 全方向対応複数弁による工夫
センサーの動きに、180度以上の角度にスライドする弁を設ける。センサー自体は往復運動をするので 360度の半分の180度以上でよい。

4) ロック弁に付いた抵抗板
また、スライド式ロック弁には抵抗板が付き、
地震センサーとなる重りにより、少しでもスライド式ロック弁が開くと、このロック弁に付いた抵抗板が、流れにより抵抗を受けてロック弁をより開かせる役割をするように構成される場合は、センサーの重りの僅かな動きで、ロック弁の全開を可能にする。
さらに、ピストン状部材の作動時であっても弁に開閉方向への圧力がかからないので、センサーの重りが小さくても感度のよいロック弁が可能になる。

(4) 固定装置部と地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部と固定装置部とは、通路口によって繋がっている。
この通路口は、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路の液体・気体等と、固定装置部のピストン状部材をもった筒中の液体・気体等の行き来を可能にしている(固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は通路口が連結口となり、連結管によって相互に連結される)。
他の固定装置との連結口で連結しない限り、液体貯槽または外部に出る出口・出口経路がスライド式ロック弁が閉じて塞がれている時は、液体・気体等の行き場が他に無いため、ピストン状部材は筒中をスライドできず、ロックされ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する。
地震時に、重りが地震力によりスライド式ロック弁に作用して、前記出口・出口経路のスライド式ロック弁が開いて、筒中の液体・気体等が液体貯槽または外部に流れ出して、ピストン状部材は作動可能となり、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定は解除される。

(5) 遅延器兼用型
または、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口・出口経路と、出口・出口経路からその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路とが設けられており、
出口・出口経路と戻り経路とには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路が大きく、戻り経路は小さくし、
戻り経路は、開口面積が小さい場合は弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒中から押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられる。
または、別経路の戻り経路を設けずに、出口・出口経路のロック弁による塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材の戻りの遅延効果を持たせることが可能である。

(6) ダンパー効果
出口・出口経路の開口面積を絞ることにより、地震時の変位抑制効果を合せ持たせることが可能になる。

(7) 上下逆
以上の形の、上下逆の場合もある。
固定ピン型固定装置の場合には、凹形状の挿入部と当該挿入部に挿入された固定ピンとの関係が、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とに対して逆に取付けられる場合もある。
連結部材弁型固定装置の場合には、免震される構造体及び免震される構造体を支持する構造体と、ピストン状部材及びその挿入筒等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

(8) 他の固定装置との連結口の位置
複数の固定装置同士の連動作動を考えた場合の、他の固定装置との連結口は、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路と、固定装置部のピストン状部材のスライド部以外の筒中のいずれに設けてもよい。
固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は地震センサー振幅装置部の設置位置は、出口・出口経路であり、固定装置部の設置位置は、ピストン状部材のスライド部以外の筒中である。

(9) 複数の固定装置の連動作動
地震センサー振幅装置付き固定装置または独立型固定装置または独立型地震センサー振幅装置の連結口を相互に連結管で繋げることにより、相互の固定装置の地震時の固定解除の連動が可能になる。
地震センサー振幅装置が先に作動した所へ液体・気体等が送込まれ、連結管によって連結している固定装置の同時解除が可能になる。地震センサー振幅装置の感度の差があっても、連結している固定装置の同時解除が可能になる。

(10) 気体式・液体式
装置に充填される液体・気体等が、液体か気体かに関しては、
液体=油圧式の方が、弾性が無く、確実な固定装置の機能が発揮できる。さらに、機構全体を液体に漬けることで防錆効果もある。
気体=空圧式は、弾性に富むが、油圧式に比べ固定装置としての固定機能は劣るが、簡便な方式であり、防錆材料を使うことでメンテナンスフリーも可能になる。
油圧式も空圧式においてもであるが、(スライド式)ロック弁の密閉性を悪くすることにより変位抑制ダンパーも兼ねられる。特に空圧式は、ロック弁が閉まったままでも(さらに、地震センサー振幅装置と連動機構のないロック弁無しの閉じたままの機構でも)弾性に富むために変位抑制ダンパーとしても使用可能である。
また、液体式・気体式の他に、液状化可能な固体(粒状固体等)の使用も可能である。

8.1.2.2.5.2. (ロック)弁方式(2)
ロック弁方式の固定装置の発明である。

(1) 全体構成
この固定装置は、固定装置部と地震センサー振幅装置部とに分かれる。
互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は連結口で連結管によって連結される。
ここでは、固定装置部と地震センサー振幅装置部との一体型を「地震センサー振幅装置付き固定装置」と、固定装置部と地震センサー振幅装置部との分離型を「地震センサー振幅装置分離型固定装置」と、そして固定装置部のみを「固定装置部または独立型固定装置」と、地震センサー振幅装置部のみを「地震センサー振幅装置部または独立型地震センサー振幅装置」と、言う。
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定装置の作動部を有し、
通常時は、地震センサーとなる重りが、振り子またはバネ等または球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)によって平衡を保たれるため、通常位置にあり、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路を、重り、または重りと一体になった弁、または重りと連動した弁が塞ぐ形となり、液体・気体等は押出されずに、ピストン状部材はロックされ、固定装置の作動部は固定され、
地震時には、重りが地震力により通常位置より移動すると、この出口・出口経路を塞ぐ位置から、重り、または重りと一体になった弁、または重りと連動した弁がずれて、
液体・気体等が押出され、ピストン状部材は動き始めて、固定装置の作動部の固定は解除されるように構成される。

(2) 固定装置部
1) 固定ピン型固定装置の場合
固定ピン型固定装置の場合の発明である。
固定ピン型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった(ピストン状部材と連動した場合を含む)固定ピンの固定装置の作動部を有する。

a. 固定ピン系
固定ピンの挿入部は、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状をなしており、地震時には、固定ピンとなるかまたは連動したピストン状部材は、このすり鉢形状・球面形状等の凹形状によって往復(上下)運動をして、筒中に充填された液体・気体等を筒中から押出したり筒中に引入れたりする。

b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を有し、このピストン状部材は、免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒が、もう一方の構造体に支持されている。
ピストン状部材または挿入筒は、(それ自体が支持されている構造体ではなく)もう一方の構造体と連結部材によって連結されている。
連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
また、この装置は、間接方式と直接方式とがある。すなわち、
直接方式の場合は、ピストン状部材には欠き込み・溝・窪みが設けられており、この欠き込み・溝・窪みに固定ピンが係合することにより固定がなされる。
間接方式の場合は、固定ピンに固定ピンをロックするロック部材(ロックピン・ロック弁等)を設ける。

2) 連結部材弁型固定装置の場合(直接方式である)
連結部材弁型固定装置の場合の発明である。
連結部材弁型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を有し、このピストン状部材は、免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒が、もう一方の構造体に支持されている。連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
そして、固定ピン型固定装置の場合、連結部材弁型固定装置の場合共に、
地震時に、このピストン状部材は、液体・気体等の弁(重りと一体になった弁、または重りと連動した弁)が開くことにより移動可能となり、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との振動によって往復運動をして、筒中に充填された液体・気体等を筒中から押出したり筒中に引入れたりして免震を可能にし、
風時には、液体・気体等の弁が閉じており、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが固定される。

(3) 地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部は、出口・出口経路内の地震センサーとなる重りのある付属室と液体貯槽(または外部)とに分かれる。
液体貯槽は液体溜まりであり、上部に空気抜きがあり、液体の容量調整が自由である。
地震センサーとなる重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁は、振り子またはバネ等または球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)よって平衡を保たれ、通常位置にあり、地震時に(相対的に)振動し、地震後元の位置(通常位置)に戻る。
また、この地震センサーとして転がり方式の重りが可能になる。
地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部を球が転がる方式である。感度を非常に良くできる。
この重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の通常位置は、付属室と液体貯槽または外部とを液体・気体等の行き来する通路である出口・出口経路を塞ぐ位置にある。
この塞がれる出口・出口経路の位置は、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の、上部または下部または側面に、上部及び下部に、上部及び側面に、下部及び側面に、または上部及び下部及び側面にある場合の7通りの場合が考えられる。
出口・出口経路は、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の平面形状に合わせるのがよい。重りがボールの場合は、円がよい。
出口・出口経路と地震センサー振幅装置の重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁との隙間にカバー材を付ける場合も同様に、カバー材は、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁と接する平面形状に合わせるのがよい。重りがボールの場合は、円筒となる。
このように、振り子またはバネまたは球面・すり鉢若しくは円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部によって平衡を保たれている地震センサー振幅装置の重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁によって塞ぐロック弁を考えると、全方向の地震動に対応の地震センサーが可能になり、しかもスムーズな弁との連動が可能になる。
さらに、ピストン状部材の作動時であっても弁に圧力がかからないので(弁に圧力がかかったとしても、地震力は圧力と直角方向、つまり圧力の分力が0となるので)、センサーの重りが小さくても敏感な感度のロック弁が可能になる。

(4) 固定装置部と地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部の付属室の液体・気体等と固定装置部のピストン状部材のスライド部以外の筒中の液体・気体等とは、通路口によって繋がり、行き来を可能にしている(固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は通路口が連結口となり、連結管によって相互に連結される)。
他の固定装置との連結口で連結しない限り、付属室から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路が重り(または重りと一体になった弁)により塞がれている時は、液体・気体等の行き場が他に無いため、ピストン状部材は筒中をスライドできず、ロックされ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する。
地震時に、重り(または重りと一体になった弁)が地震力によりこの出口・出口経路を塞ぐ位置からずれると、筒中の液体・気体等は付属室から液体貯槽または外部に流れ出して、ピストン状部材は作動可能となり、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定は解除される。

(5) 遅延器兼用型
または、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が液体貯槽・外部に出る出口・出口経路と、出口・出口経路からその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路とが設けられており、
出口・出口経路と戻り経路とには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路は大きく、戻り経路は小さくし、
戻り経路は、開口面積が小さい場合には弁は必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒中から押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられる。
または、別経路の戻り経路を設けずに、出口・出口経路の重り(または重りと一体になった弁)による塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材の戻りの遅延効果を持たせることが可能である。

(6) ダンパー効果
出口・出口経路の開口面積を絞ることにより、地震時の変位抑制効果を合せ持たせることが可能になる。

(7) 上下逆
以上の形の、上下逆の場合もある。
固定ピン型固定装置の場合には、凹形状の挿入部と当該挿入部に挿入された固定ピンとの関係が、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とに対して逆に取付けられる場合もある。
連結部材弁型固定装置の場合には、免震される構造体及び免震される構造体を支持する構造体と、ピストン状部材及びその挿入筒等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

(8) 他の固定装置との連結口の位置
複数の固定装置同士の連動作動を考えた場合の、他の固定装置との連結口は、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路(出口・出口経路内の地震センサーとなる付属室)と、固定装置部のピストン状部材のスライド部以外の筒中のいずれに設けてもよい。
固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は地震センサー振幅装置部の設置位置は、出口・出口経路(出口・出口経路内の地震センサーとなる付属室)であり、固定装置部の設置位置は、ピストン状部材のスライド部以外の筒中である。

(9) 複数の固定装置の連動作動
地震センサー振幅装置付き固定装置または独立型固定装置または独立型地震センサー振幅装置の連結口を相互に連結管で繋げることにより、相互の固定装置の地震時の固定解除の連動が可能になる。
地震センサー振幅装置が先に作動した所へ液体・気体等が送込まれ、連結管によって連結している固定装置の同時解除が可能になる。地震センサー振幅装置の感度の差があっても、連結している固定装置の同時解除が可能になる。

(10) 気体式・液体式
装置に充填される液体・気体等が、液体か気体かに関しては、
液体=油圧式の方が、弾性が無く、確実な固定装置の機能が発揮できる。さらに、機構全体を液体に漬けることで防錆効果もある。
気体=空圧式は、弾性に富むが、油圧式に比べ固定装置の固定機能は劣るが、簡便な方式であり、防錆材料を使うことでメンテナンスフリーも可能になる。
油圧式も空圧式においてもであるが、(地震センサーとなる重りが兼用するかまたは重りと一体になった弁)ロック弁の密閉性を悪くすることにより変位抑制ダンパーも兼ねられる。特に空圧式は、ロック弁が閉まったままでも(さらに、地震センサー振幅装置と連動機構のないロック弁無しの閉じたままの機構でも)弾性に富むために変位抑制ダンパーとしても使用可能である。
また、液体式・気体式の他に、液状化可能な固体(粒状固体等)の使用も可能である。

(11) 隙間のカバー管
以上の(1)〜(10)に記載の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
可動して重り(地震センサー振幅装置の重り)の移動に順応する管が出口・出口経路に挿入されることにより構成されてなることを特徴とする地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

(12) 重りと間接弁方式 1
以上の(1)〜(10)に記載の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
出口・出口経路に挿入されてそれ自体可動して重り(地震センサー振幅装置の重り)の移動に順応する弁管と、固定装置本体に取付けられてその弁管を受けて通常時の流れを遮断する受け材とから構成されてなることを特徴とする地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

(13) 重りと間接弁方式 2
重り連動の間接弁方式2の発明であり、
以上の(1)〜(10)に記載の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、

出口・出口経路に挿入されてそれ自体可動する弁管と、その弁管からの液体(気体)等の流れを遮断する、固定装置本体に取付けられた受け材とから構成され、

風圧力・地震力によってピストン状部材からの液体(気体)等の圧力を受けて重り(地震センサー振幅装置の重り)が弁管に吸込まれて、その弁管が可動して前記受け材に押付けられて液体(気体)等の流れを遮断するように構成されてなることを特徴とする地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

前述の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
風圧力・地震力によってピストン状部材からの液体(気体)等の圧力を受けて重り(地震センサー振幅装置の重り)が弁管に吸込まれて、その弁管が可動して前記受け材に押付けられて液体(気体)等の流れを遮断し、遮断すると重りは弁管から離れ、風時にはまた(重りが弁管(の吸込み口20-cpi)の真近にあり)重りが弁管に吸込まれることを繰返し、
地震時には、重りが弁管から離れると、地震力により弁管(の吸込み口20-cpi)からずれて、液体(気体)等の流れが始まり、免震し始めるように構成されてなることを特徴とする地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

8.1.2.3. 直接方式(自動制御型固定装置)
直接方式は、地震センサー(振幅)装置からの力または指令により、固定装置の作動部自体を直接制御する方式である。
上述の8.1.2.2.2.の電気等による自動復元よりも自動化を進めた発明である。固定装置の地震時の解除も電気によるものである。
直接方式の地震センサー(振幅)装置装備型に関して、固定ピン型固定装置の場合と連結部材弁型固定装置の場合とがあげられる。

(1) 一般
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
固定装置の作動部に、自動制御装置が設けられており、
地震時、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーからの指令によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除し、地震後、再び自動的に固定を行うことにより前記目的を達成するものである。

(2) 地震発電装置型地震センサー装備型
上記(1)記載の発明の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の、地震センサーが、7.2.の地震発電装置型地震センサーによる場合である。
つまり、
8.1.2.の地震センサー装備型固定装置において、
固定装置の作動部に、自動制御装置を設け、
地震時、その地震センサーによって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除し、地震後、固定を行うものである。

地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
地震後、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーの指令によって、固定装置の作動部を自動的に元の位置に戻す装置が設けられていることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
固定ピンの挿入部が、すり鉢形状・球面形状等の凹形状をなしていることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

8.1.2.4. 地震センサー(振幅)装置
8.1.2.4.1. 地震センサー(振幅)装置
8.1.2.4.2. 地震センサー(振幅)装置の設置場所
8.1.2.4.3. 地震センサー(振幅)装置の設計
(1) 地震センサー(振幅)装置の周期
1) 地震センサー(振幅)装置の周期設計
地震センサー(振幅)装置の地震に対する感度を高めることを図った地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
地震センサー(振幅)装置の重り等のセンサー部の周期を、その構造体が建てられる敷地の地盤周期にほぼ一致させることにより、前記目的を達成するものである。

2) 地震センサー振幅装置の重り共振装置
地震センサー振幅装置の重りの共振装置に関する発明である。
地震時に重りを共振させるためには、重りに繋がる(固定装置へも繋がる)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に余裕(たるみ)を与える必要がある。
しかし、たるみを与えるとセンサー感度が落ちるので、たるみを与えない方法が望まれる。
そこで、重りの周りに重りの衝突を受け、重りともなる周囲材を設け、その周囲材に固定装置に繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を取付ける。
そうすることにより、 地震時に重りを地震と共振させることができ、且つ固定装置へ繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に余裕(たるみ)を与える必要もなくなる。

3) 地震センサー振幅装置の複数個重り共振装置
地震センサー振幅装置の複数個重りの共振装置に関する発明である。
地盤周期の幅に対応可能なセンサーを考える場合、複数個の重りを設けて、振動周期をその重りごとに変えることにより、地盤周期への対応に幅を持たせることが可能になる。
地盤周期(特に初期微動、P波)の(周期−頻度スペクトルをとり)頻度が多い周期ごとに重りの周期を合わせる。

4) 地震センサー振幅装置の複数共振装置
地震センサー振幅装置の複数共振装置に関する発明である。
地盤周期の幅に対応可能なセンサーを考える場合、地震センサー振幅装置の振り子の支え自体にもバネを設けて、振り子とバネとにより二つの周期が得られるようにして、地盤周期の幅に対応させることが可能になる。
地盤周期(特に初期微動、P波)の(周期−頻度スペクトルをとり)頻度が多い周期の上位2つに振り子とバネの周期を合わせる。バネは短周期に、振り子は中長周期に合わせるのがよい。

(2) 全方向感度
1) ラッパ形状の孔
地震センサー振幅装置の地震に対する感度が、地震力の方向によらず一定となることを図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
地震センサー振幅装置の重りの上または下に、固定装置と繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル等を結合し、
その重りの直上または直下の地震センサー振幅装置本体に(もしくはその内部あるいは外部に)、すり鉢状またはラッパ形状の孔を形成し、重りにつながるワイヤー・ロープ・ケーブル等をそこに通すことで、全方向に対して同等の引抜き力または圧縮力の伝達が可能なように構成されてなることにより、前記目的を達成するものである。

2) ローラー状ガイド部材
地震センサー振幅装置の地震に対する感度が、地震力の方向によらず一定となることを図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、地震センサー振幅装置の重りの水平方向に、固定装置と繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル等を結合し、重りの(振幅寸法の余裕を取った)すぐ脇にローラー等のガイド部材を(回転軸等を)を垂直方向に二本設けて、このワイヤー・ロープ・ケーブル等を通すことで、全方向に対して同等の引抜き力または圧縮力の伝達が可能なように構成されてなることにより、前記目的を達成するものである。

(3) 増幅器付き地震センサー振幅装置(その1)
地震センサー振幅装置の地震に対する感度を高めることを図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
梃子・滑車・歯車等を採用して、固定装置のロック部材に繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたはレリーズ等の、引張られる長さまたは圧縮される長さを増幅することにより前記目的を達成するものである。

(4) 増幅器付き地震センサー振幅装置(その2)
地震センサー振幅装置の地震に対する感度を高めることを図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、
免震皿に乗せた地震センサー振幅装置の重り(重力復元型)を、よく転がる形状のものにし、この重りの上部に、球面またはすり鉢等の凹形状の挿入部を設け、そこに(変位増幅のための)梃子の力点を挿入する。この梃子の支点は重りの直上の凹形状の挿入部内にあり、作用点はさらにその延長線上にあって、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等が連結されている。このことにより、地震時に、梃子の作用点には、重りの変位分と、重りの回転が与える変位分とが、梃子により増幅されて伝わり、その増幅された変位が、連結されるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に伝えられるため、地震センサー振幅装置の作動感度を高めることにより前記目的を達成するものである。

8.1.3. 連動作動型固定装置
複数の固定装置が設置されている場合には、全部の固定装置が同時に解除されないと、免震される構造体は、固定されている箇所を中心に、捩れた動きをしてしまう。この欠点を解消するために、全ての固定装置が同時に解除されるようにすることが求められた。この連動作動型固定装置はそれを実現するものである。
複数の固定装置からなり、それぞれの固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置である。固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に解除するように構成されているものである。

8.1.3.1. 連動作動型固定装置(1)
8.1.1.の剪断ピン型固定装置の欠点は、2個以上設置された場合に、地震力が働いて1個の固定装置の固定ピンが折れても、他の固定ピンが折れる等の固定装置の解除が同時におこなわれるとは限らないという点であった。
その問題を解決し、剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置が設置された場合の、全ての固定装置の同時解除を実現する連動作動型固定装置に関する発明である。
つまり、剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなり、それぞれの固定ピン等の固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置である。固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に解除させようとするものである。
具体的には、一定以上の地震力により折れるか切れるかする構造をもつ剪断ピン型固定装置(8.1.1.)を含む2つ以上の固定装置において、
剪断ピン型固定装置の固定ピンと、他の固定装置の作動部をロックするロック部材とが、相互にワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等で繋がれており、
地震時に、地震力によって剪断ピン型固定装置の固定ピンが折れるか切れるかすると、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等で連動して、他の固定装置の前記ロック部材が解除され、各固定装置が同時に解除され、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除するように構成されてなることにより前記目的を達成するものである。
以下の連動作動型固定装置(2)〜(5)は、上記の8.1.1.の剪断ピン型固定装置だけでなく、8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置にも使用可能なものである。

8.1.3.2. 連動作動型固定装置(2)
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置または 8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む、2つ以上の固定装置において、
ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたはレリーズ等で各固定装置のロック部材同士を連結し、2つ以上の固定装置の作動部の固定と解除が同時に行われるようにするという発明である。

8.1.3.3. 連動作動型固定装置(3)
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置または 8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む、2つ以上の固定装置において、
端部に各固定装置をロックする機能をもったロック部材(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上に分かれたもの)が、可動するように取付けられており、
地震時に、地震力によって重りが振動する地震センサー振幅装置、地震センサー装置、または剪断ピン型固定装置がこのロック部材を可動方向に作動させ、それにより、各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に解除して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除が行われるという発明である。
つまり、可動できるようにされた部材に、2つ以上の固定装置の作動部をロックする機構があり(ロック孔をもち、そのロック孔に固定装置の作動部がはめ込まれることでロックされるようになっており)、地震センサー(振幅)装置によるその部材の動きに連動して、各固定装置の固定と解除が行われるという方法である。

8.1.3.4. 連動作動型固定装置(4)
8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置または 8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む、2つ以上の固定装置において、
端部に各固定装置をロックする機能をもったロック部材(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれた)が、中心を軸として回転できるように取付けられており、
地震時に、地震力によって重りが振動する地震センサー振幅装置、地震センサー装置、または剪断ピン型固定装置が、このロック部材を回転させ、それにより、各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に解除して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除が行われるという発明である。
つまり、中心を軸として回転しうる部材の両端部に、固定装置の作動部をロックする機構があり(ロック孔をもち、そのロック孔に固定装置の作動部がはめ込まれることでロックされるようになっており)、その部材の回転に連動して、各固定装置の固定と解除が行われる方法である。
また、この部材は、一本のものだけでなく、三つ又、四つ又、またそれ以上に分かれる場合がある。その場合も、部材は中心を軸として回転しうるようになっており、その分岐した個々の端部に固定装置の作動部をロックする部分があり、その部材の回転に連動し、固定装置の固定と解除が行われる。

8.1.3.5. 連動作動型固定装置(5)
地震時に、地震センサーからの電気信号により、固定装置が解除される装置は、固定の解除のされ方によって、以下の2種類に分かれる。
(1) 電気で固定装置の作動部自体が解除されるもの
地震時に、地震センサーからの電気信号により、固定装置の作動部自体が解除される。
(2) 電気で固定装置の作動部のロックのみが解除されるもの
地震時に、地震センサーからの電気信号により、固定装置の作動部のロックが解除され、固定装置の作動部自体の解除は、電気によらずバネ等及び地震力等で行うもの。
(1)の固定装置の作動部の解除は、速やかさを要求され、多くの電力等が必要となるが、(2)の固定装置の作動部自体のロック解除のみの場合は、小電力で簡易な機構で済む。

(2)の電気で固定装置の作動部のロックのみが解除される場合の発明である。
具体的には、8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置を1個または複数個もった固定装置において、
それぞれの固定装置の作動部をロックするロック部材が、地震センサーからの電気信号によって作動するように構成される。

8.2. 風作動型固定装置
この風作動型固定装置の発明は、8.1.地震作動型固定装置のように地震力の大きさによることなく、全ての微細な地震に対してまで免震を可能にするものである。
そのため、風作動型固定装置は、地震時および風のない通常時は免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除しており、風力時に、風センサー等で風力を感知した時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するという型の固定装置である。

8.2.1. 風センサー装備型固定装置(一般型)
風センサーを装備した固定装置(風センサー装備型固定装置)の発明である。
具体的に言えば、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、風センサーによって、ある一定以上の風圧時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、風揺れ等を防止するように構成された風作動型固定装置である。

(1) 直接方式
直接方式は、風力・風センサーからの力で、固定装置の作動部自体を直接制御する方式である。
1) 固定ピン型固定装置と 2) 連結部材弁型固定装置の二つの場合がある。

(2) 間接方式
a) 一般 b) 固定ピン型の場合
風センサーの、固定装置の作動部をセット(固定)するのに必要な力を小さくし、且つ固定装置の作動感度を上げることを図った、風センサー装備型固定装置の発明である。8.2.1.の風センサー装備型固定装置において、固定装置の作動部自体の固定と解除を直接に行わずに、固定装置の作動部をロックするロック部材を作動させることによって、固定装置の固定と解除を行うようにすることにより前記目的を達成するものである。
c)地震力による自動復元型
8.2.1.の風作動型の、固定ピン型固定装置において、固定ピンの挿入部を、すり鉢形状・球面形状等の、挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜させることにより、地震力による固定装置の作動部の自動復元を可能にする風作動型固定装置の発明である。また、この装置は、固定装置の作動部をロックするロック部材がロック弁である場合と、ロックピンである場合とがあり、それにより、次の2つの方式に分けられる。

1) ロック弁方式
ロック部材がロック弁等のロック部材である風作動型固定装置の発明である。
8.2.1.の風センサー装備型固定装置において、
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材等の固定装置の作動部を有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
通常は、そのロック弁は開いており、固定装置のロックは解除され、固定装置の固定の解除によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除がなされており、
一定以上の風圧が働くと、風センサーと連動して、そのロック弁が閉じることにより、固定装置がロックされ、固定装置の固定によって、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定がなされるように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。
ここで、固定装置の作動部について説明すると、固定装置の作動部が、ピストン状部材をもった固定ピンの場合=固定ピン系と、ピストン状部材をもった連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

2) ロックピン方式
ロック部材がロックピン等のロック部材である風作動型固定装置の発明である。
8.2.1.の風センサー装備型固定装置において、
通常は、固定装置の作動部のロック部材の固定が解除されており、固定装置のロックは解除され、固定装置の固定の解除によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除がなされており、一定以上の風圧が働くと、風センサーと連動して、そのロック部材が固定装置の作動部を固定することにより、固定装置がロックされ、固定装置の固定によって、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定がなされるように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

8.2.5. 風力発電機型風センサー装備型固定装置
(1) 一般(直接方式含む)
電源設備を必要としない、電気に頼らない風力発電機型風センサー装備型固定装置の発明である。
8.2.1.の風センサー装備型固定装置において、
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置を作動させるのに必要な電圧以上となり、固定装置を作動させて、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

(2) 間接方式
風力発電機型風センサーの、固定装置の作動部を固定するのに必要な力を小さくし、且つ固定装置の作動感度を上げることを図った風力発電機型風センサー装備型固定装置の発明である。
8.2.1.(2)の間接方式の風センサー装備型固定装置において、一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置の作動部をロックするロック部材を作動させるのに必要な電圧以上となり、ロック部材を作動させて固定装置の作動部をロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

8.2.6. 連動作動風作動型型固定装置
複数の固定装置からなり、それぞれの固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置であり、固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。

8.2.6.1. 連動作動風作動型固定装置(1)
2つ以上の固定装置において、各固定装置をロックする機能をもったロック部材が、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等またはレリーズ等で相互に連結されており、風時に、風センサーがロック部材の一つを作動させると、各ロック部材が連動して、それぞれの固定装置を同時に固定し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。

8.2.6.2. 連動作動風作動型固定装置(2)
2つ以上の固定装置において、端部に各固定装置をロックする機能をもった(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれた)ロック部材が、可動するように取付けられており、
風時に、風センサーがこのロック部材を可動方向に作動させ、それにより各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に固定して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。

8.2.6.3. 連動作動風作動型固定装置(3)
2つ以上の固定装置において、端部に各固定装置をロックする機能をもった(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれた)ロック部材が、中心を軸として回転できる様に取付けられており、風時に、風センサーが、このロック部材を回転させ、それにより各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に固定して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。

8.2.6.4. 連動作動風作動型固定装置(4)
8.2.から8.2.5.に記載の風作動型固定装置を、1個または複数個もった固定装置において、それぞれの固定装置の固定が、またはロック部材による固定装置の作動部のロックが、一個の風センサーからの電気信号により、同時になされるように構成されてなることを特徴とする固定装置である。

8.2.7. 遅延器の設置
風センサー装備型固定装置において、遅延器が装備され、固定装置の作動部が固定されるときは速やかに、解除するときは緩やかに行われるように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

8.3. 固定装置の設置位置とリレー連動作動型固定装置
8.3.1. 一般
風揺れ等の対策を考えると、固定装置は、風により回転の生じにくい、免震される構造体の重心( 重心及び免震される構造体の各立面の図心からくる平面上の中心を勘案したもの、以下「重心」と言う)位置またはその近傍に、まず、設置されるのがよい。

8.3.2. 2個以上の固定装置の設置
8.1.地震作動型固定装置および8.2.風作動型固定装置においては、免震される構造体の重心位置またはその近傍以外の周辺位置に、切断感度また地震センサー装置の感度が敏感なタイプのものを設置し、免震される構造体の重心位置またはその近傍には、前記周辺位置に比べて切断感度また地震センサー装置の感度が鈍感なものを設置することにより構成する。

8.3.3. リレー連動作動型固定装置
固定装置の同時作動に関しては、機械式、電気式にしても実際に同時に作動するかに関しては、問題があった。
特に、地震作動型固定装置は、時間差を許されず、また、一本でも解除されない場合の問題は大きかった。
この地震作動型固定装置は、固定装置の作動(解除/セット=ロック・固定)連動に関しては、同時に作動させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性がある。また、順次作動のさせ方によっては、一本でも解除されない場合の問題も解決する。つまり、重心またはその近傍に設置された固定装置を最後にリレーさせる方法でその問題は解決する(以下、「リレー連動作動型固定装置」と言う)。また、逆に、固定装置のセットに関しては、重心の固定装置が最初にセットされるのがよい。

8.3.3.1. 地震作動型固定装置の場合
リレー連動作動型の地震作動型固定装置は、固定装置の作動(解除/セット=ロック・固定)連動に関しては、同時に作動させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性がある。また、順次作動のさせ方によっては、一本でも解除されない場合の問題も解決する。つまり、重心またはその近傍に設置された固定装置を最後にリレーさせる方法でその問題は解決する。具体的には、連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本の固定装置(リレー末端固定装置)は、免震される構造体の重心位置またはその近傍に、他の固定装置(リレー中間固定装置)は、周辺位置に設置され、地震時にこれらの固定装置が順次解除される際に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最後に解除されるように構成される。
また、地震後の、固定装置の固定に関しては、重心の固定装置が最初に固定されるのがよい。
具体的には、連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本の固定装置(リレー末端固定装置)は、免震される構造体の重心位置またはその近傍に、他の固定装置(リレー中間固定装置)は、周辺に設置され、地震時にこれらの固定装置が順次解除された後、地震終了後に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最初に固定されるように構成される。

8.3.3.1.1. リレー中間固定装置
8.3.3.1.1.1. リレー中間固定装置(一般)
地震作動型のリレー中間固定装置の発明であり、
この発明は、リレー中間固定装置において、
地震センサー(振幅)装置と直接つながるリレー(第1)中間固定装置と、地震センサー(振幅)装置とは直接つながらないリレー(第2番目以降の)中間固定装置に分かれ、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置とし、リレー第1中間固定装置には、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置が使用され、地震センサー(振幅)装置と直接つながるリレー中間固定装置をリレー第1中間固定装置、直接つながらないリレー中間固定装置をリレー第2以降中間固定装置とし、各リレー中間固定装置は、ロック部材の装備に加え、
地震時に、固定装置の作動を次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材に伝え、連動させてロック部材により固定装置を解除させる連動機構を持っており、リレー第1中間固定装置のロック部材は、地震センサー(振幅)装置に、リレー第2以降中間固定装置のロック部材は、直前のリレー中間固定装置の連動機構に、連動するように構成されてなることを特徴とするリレー連動作動型固定装置である。
具体的に説明すると、
この固定装置には、この固定ピン等の固定装置の作動部をロックするロック部材(ピストン状部材の固定装置の作動部場合は、固定装置の作動部をロックするロック部材は、固定ピンとなる)が差し込まれる欠き込み・溝・窪みがあり、このロック部材は常時、重力・バネ・ゴム・磁石等で押され、この欠き込み・溝・窪みに差し込まれ、
リレー第1中間固定装置の場合には、このロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材とが、直接または(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって結ばれ、
地震時に地震センサー振幅装置の重りが振動し、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材によって、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等により、前記欠き込み・溝・窪みからロック部材が外されて、固定装置が解除され、
また、リレー第2以降中間固定装置の場合には、このロック部材と、直前のリレー中間固定装置の後述の連動機構とが、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって結ばれ、地震時に、他の連動機構の作動により、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって、前記欠き込み・溝・窪みからロック部材が外されて、固定装置が解除され、 さらに、このリレー(第1、第2以降)中間固定装置には、このロック部材の装備に加えて、次のリレー中間・末端固定装置への連動機構を持ち、連動機構は、地震時に固定装置の作動に連動して、次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材に連動し、前記欠き込み・溝・窪みからロック部材を外すことにより構成される。

8.3.3.1.1.2. リレー中間固定装置(増幅器付)
さらに、連動機構として、梃子また滑車また歯車等の増幅器を加えることにより、固定装置の作動部の小さい変位を、大きな変位に増幅させて、次の固定装置に連動させることが可能となる。
この発明のリレー中間固定装置(増幅器付)は、固定装置の連動機構において、梃子また滑車また歯車等を採用して、次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材への引張長さまたは圧縮長さを増幅していることにより構成される。

8.3.3.1.2. リレー末端固定装置
地震作動型のリレー末端固定装置の発明であり、この発明は、固定装置のリレー末端固定装置において、固定装置の作動部をロックするロック部材を複数個持ち、この複数個のロック部材は、複数個の他のリレー中間固定装置の連動機構から、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等で、個々に連結され、地震時に個々に連動して引抜かれて、固定装置の作動部のロックが解除されるが、この複数個のロック部材が、全て解除されない限り、リレー末端固定装置のロックは完全に解除されないことにより構成される。

8.3.3.1.3. 遅延器の設置
リレー連動作動型固定装置(リレー中間固定装置・リレー末端固定装置)の固定装置の作動部またはロック部材と、前記地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に、8.5.のような遅延器を設け、地震時の固定が解除された後の振動中に固定装置の作動部またはロック部材の戻り(固定装置の作動部を固定する方向への)を遅延する必要がある。
地震終了程度まで、時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない。
固定装置において、固定装置の作動部またはロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りとの間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、地震時に固定装置の作動部またはロック部材が解除された後の振動中に固定装置の作動部またはロック部材の戻りを遅延する遅延器を設けていることにより構成される(詳細は8.5.に記載)。

8.3.3.1.4. 引張力限定伝達装置
固定装置の作動部またはロック部材と、前記地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りとの間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、引張力のみを伝達し、圧縮力を伝達しない装置を必要とする。
この引張力限定伝達装置は、免震装置・滑り支承において、
固定装置の作動部またはロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りとの間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、引張力のみを伝達し、圧縮力を伝達しない装置であり、この引張力限定伝達装置をもっている固定装置に関する発明である。

8.3.3.2. 風作動型固定装置の場合
リレー連動作動型の風作動型固定装置に関しても、固定装置の作動(解除/セット(=ロック・固定))連動に関しては、同時に作動させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性がある。また、順次作動のさせ方によっては、一本でも固定されていない場合の問題も解決する。つまり、重心の固定装置を最初に固定させる方法でその問題は解決する。
具体的には、
連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本は、免震される構造体の重心位置またはその近傍に設置され、残りは周辺に設置され、
風時に、それらの固定装置が順次固定される際に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最初に固定されるように構成される。
また、風力が一定以下になった後の、固定装置の(免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の)解除に関しては、重心の固定装置が最後に解除されるのがよい。
具体的には、
連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本は、免震される構造体の重心位置またはその近傍に設置され、残りは、周辺に設置され、風時に、それらの固定装置が順次固定され、その後、それらの固定装置が順次解除される際に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最後に解除されるように構成される。

8.3.3.2.1. リレー中間固定装置
風作動型のリレー中間固定装置の発明であり、この発明は、リレー中間固定装置において、この固定装置は、風センサーと直接繋がるリレー(第1)中間固定装置と、風センサーとは直接繋がらないリレー(第2番目以降の)中間固定装置に分かれ、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置とし、リレー第1中間固定装置には、風センサー装備型固定装置が使用され、風センサーと直接繋がるリレー中間固定装置をリレー第1中間固定装置、直接繋がらないリレー中間固定装置をリレー第2以降中間固定装置とし、各リレー中間固定装置は、ロック部材の装備に加え、風時に固定装置の作動を次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材に伝え、連動させてロック部材により固定装置を固定させる連動機構を持っており、リレー第1中間固定装置のロック部材は、風センサーに、リレー第2以降中間固定装置のロック部材は、直前のリレー中間固定装置の連動機構に、連動するように構成されてなることを特徴とするリレー連動作動型固定装置である。
具体的に述べれば、この固定装置には、この固定装置の作動部をロックするロック部材が差し込まれる欠き込み・溝・窪みがあり、このロック部材は常時、重力・バネ・ゴム・磁石等で引張られ、この欠き込み・溝・窪みから外されており、リレー第1中間固定装置の場合には、このロック部材と、風センサーとが連動し、風時に、風センサーにより、この欠き込み・溝・窪みにロック部材が入り、固定装置が固定され、
また、リレー第2以降中間固定装置の場合には、
このロック部材と、直前のリレー中間固定装置の後述の連動機構とが、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって結ばれ、風時に、他の連動機構の作動により、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって、欠き込み・溝・窪みに、ロック部材が入り、固定装置が固定され、
このリレー(第1、第2以降)中間固定装置には、このロック部材の装備に加えて、次のリレー中間・末端固定装置への連動機構を持ち、連動機構は、風時に固定装置の作動に連動して、次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材に連動し、このロック部材を固定することにより構成される。

8.4. 風揺れ等抑制装置・変位抑制装置としての固定装置
8.4.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
8.4.1.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
(1) 風揺れ等抑制装置としての固定装置
挿入部に固定ピンを挿入することよって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との風揺れ時等の動きを抑制する風揺れ等抑制装置において、
固定ピンを固定する方の挿入部と固定ピンを支持する方の挿入部のうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、 固定ピンを固定する方の挿入部は、すり鉢形状等の凹形状として、その挿入部に固定ピンを挿入することにより風に抵抗させ、かつ、固定ピンを支持する方の挿入部には、抵抗器を採用して固定ピンの挿入部への挿入に対する抵抗を調整可能とする(例えば、固定ピンの取付けられたピストン状部材が筒中で液体や空気等を漏らさずスライドするスライド機構とし、ピストン状部材に孔が設けられるか、筒のピストン状部材がスライドする端と端とが管で繋がれているかして、ピストン状部材がスライドする速度をこの筒内のピストン状部材のスライドによって孔または管等を行き来する液体や空気等の粘性抵抗によって調整可能とする)ことにより構成されてなることを特徴とする風揺れ等抑制装置または固定装置。

(2) 風揺れ等抑制装置としての固定装置(遅延器付き)
さらに、(1)の機能に加えて、抵抗器に8.5.の遅延器を使用して、地震時に固定ピンがスライド機構の中に収まっている時間を長くして免震効果を高める遅延器効果を持った発明も考えられる。
8.5.遅延器の一例で説明すると、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、風揺れ等を防止する固定装置において、風に抵抗できる勾配をもったすり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部と、当該挿入部と同等の勾配の先端部をもった固定ピンを有し、筒中の液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、さらに、この筒の端と端とは管で繋がれており、このピストン状部材にはこの管との開口面積の差をもたせた孔が設けられ、この管またはピストン状部材の孔のうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
さらに、重力、また場合によっては筒の中に入れられたバネ・ゴム・磁石等が、このピストン状部材をもった固定ピンを筒外に押出す役割をする場合もあり、
また、この筒と前記管とは、潤滑油等の液体で満たされている場合もあり、
この弁の性格と、前記管またはピストン状部材の孔のうちの一方の開口面積を絞ることにより、
前記固定ピン先端は、筒の中に入る方向では、速やかであり、出る方向では、遅延され、それにより、地震力が働くと、固定ピン先端は、速やかに筒の中に入り、地震力が働いている間は、出にくくなるように構成される。
以上の(1)(2)に共通して言えることであるが、引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する。

8.4.1.2. 固定装置と中央部窪み形の風揺れ等抑制装置との併用
風揺れ等抑制装置(固定装置)と、(一般の)固定装置もしくは 8.7.の免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置のどちらかとを、または両方とを併用により風等の揺れに抵抗する。

8.4.2. 固定装置型ダンパー
8.4.2.1. 固定装置型ダンパー1
固定装置型ダンパーである。当然、変位抑制及び風揺れ等抑制装置も兼ねる。
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との動きを抑制する装置において、
ダンパーの作動部を形成するピストン状部材とこのピストン状部材がその内をスライドする筒とから構成され、
筒中の液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材がその筒に挿入され、この筒の端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材にあいている孔とが設けられており、
管と孔とには開口面積の差をもたせ、この管またはピストン状部材の孔のうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材が筒中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、開口面積が小さい場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられ、
さらに、重力、また場合によっては筒の中に入れられたバネ・ゴム・磁石等が、このピストン状部材を筒外に押出す役割をする場合もあり、
また、この筒と前記管とは潤滑油等の液体で満たされている場合もあり、 この弁の性格と、開口面積の差をつけることにより、
前記ピストン状部材は、出る方向では、速やかであり、筒の中に入る方向では、固定する方の挿入部に対して抵抗して、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制するようにして構成される。
固定ピン系(固定ピンと固定ピンを挿入するすり鉢形状等の凹形状挿入部とによる)は引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する(連結部材系は必要ない)。

8.4.2.2. 固定装置型ダンパー2
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との動きを抑制する装置において、
ダンパーの作動部を形成するピストン状部材とこのピストン状部材がその内をスライドする筒とから構成され、
筒中の液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材がその筒に挿入され、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒の中から出る出口経路と、出口経路からその押出された液体・気体等が筒の中に戻る別経路の戻り経路とが設けられており、
出口経路と戻り経路とには開口面積の差をもたせ、出口経路が小さく、戻り経路は大きく、
戻り経路には、ピストン状部材が筒の中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
出口経路は、開口面積が一定以下の場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒の中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられていることにより構成されてなることを特徴とするダンパーである。
この弁の性格と、開口面積の差をつけることにより、
前記ピストン状部材は、出る方向では、速やかであり、筒の中に入る方向では、固定する方の挿入部に対して抵抗して、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制する。
固定ピン系(固定ピンと固定ピンを挿入するすり鉢形状等の凹形状挿入部とによる)は引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する(連結部材系は必要ない)。

8.4.3. 可撓部材型連結部材系ダンパー
免震される構造体を支持する構造体または免震される構造体のいずれか一方の構造体に設置されたダンパーの作動部(油圧ダンパー等のピストン状部材等の作動部)ともう一方の構造体とを、前記ダンパーの設置された構造体側に設けられた挿入口を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材で繋ぐことにより構成されてなることを特徴とするダンパーである。

8.4.4. ダンパー兼用の固定装置
8.4.4.1. ダンパー兼用の固定装置
(1) ロック弁方式 1
固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーの弁(開口面積の大きい方に設けられた弁)が、ロック弁(ロック部材)に代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。

(2) ロック弁方式 2
固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーの弁(戻り経路に設けられた弁)が、ロック弁(ロック部材)に代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。

(3) ロック弁方式 3
可撓部材型連結部材系の固定装置とダンパー兼用の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーにおいて、出口経路に設けられた弁が、ロック弁(ロック部材)に代わった場合で、
風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。

(4) ロック弁方式 4(8.1.2.2.5.(ロック)弁方式)
8.1.2.2.5.(ロック)弁方式型の固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明である。
8.1.2.2.5.(ロック)弁方式に記載の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、 ピストン状部材の挿入筒または付属室からの液体貯槽または外部への出口・出口経路につけられた弁以外に、液体貯槽または外部から付属室またはピストン状部材の挿入筒へ戻る戻り口を設けてそこに弁(逆流を防ぐ弁)を付け、
出口・出口経路の開口面積の大きさは小さくし、戻り口の開口面積の大きさは大きくすることにより構成されてなることを特徴とするダンパー兼用の固定装置である。

8.4.4.2. 挿入部形状
8.4.4.1.ダンパー兼用の固定装置に記載の免震装置・滑り支承において、
固定ピンの挿入部の中心部だけ、曲率半径を小さくするか、勾配をきつくし、周辺は、曲率半径を大きくするか、勾配を緩くすることにより構成されてなることを特徴とする固定装置である。

8.5. 遅延器
1) 一般
固定装置の作動部が解除されるときは速やかに、固定状態に復するときは遅延する遅延器が必要である。
また、リレー連動作動型固定装置(リレー中間固定装置・リレー末端固定装置)の固定装置の作動部またはロック部材と、前記地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、地震時のロックが解除された後の振動中に固定装置の作動部またはロック部材の戻り(固定装置の作動部を固定する方向への)を遅延する遅延器を必要とする。
地震終了程度まで、時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない。

8.に記載の固定装置において、
解除された固定装置の作動部またはロック部材の戻りを遅延する遅延器を設けるか、
固定装置の作動部またはロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りとの間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、地震時に固定装置の作動部またはロック部材が解除された後の振動中に固定装置の作動部またはロック部材の戻りを遅延する遅延器を設けるか、等することにより構成される。

2) 油空圧シリンダー式
油空圧シリンダー式遅延器の発明である。
この発明は、筒とスライドするピストン状部材から構成され、この筒中の液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材が、その筒に挿入され、その外にピストン状部材の先端が突き出ており、さらに、この筒の端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材にあいている孔とが設けられており、
管と孔とには開口面積の差をもたせた、この管またはピストン状部材の孔のうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられているか、
または、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口経路と、出口経路からその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路とが設けられており、
出口経路と戻り経路とには開口面積の差をもたせた出口経路が大きく戻り経路は小さく、
出口経路には、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
戻り経路は、開口面積が小さい場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒中から押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
さらに、重力、また場合によっては筒の中に入れられたバネ・ゴム・磁石等が、このピストン状部材を筒外に押出す役割をする場合もあり、
また、この筒と前記管または経路とは潤滑油等の液体で満たされている場合もあり、
この弁の性格と、開口面積の差をつけることにより、
前記ピストン状部材は、筒の中に入る方向では、速やかであり、出る方向では、遅延される。
また、固定装置の場合には、この遅延器のピストン状部材を、固定装置の作動部とするか固定装置の作動部と連動させるかし、遅延器の筒の中へピストン状部材が引き込まれる方向が、固定装置の解除の方向となるか、
または、この遅延器のピストン状部材を、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぎ、その繋ぎ方が、遅延器の筒の中へ、ピストン状部材が引き込まれる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるかする。
さらに、リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、固定装置の作動部とするか固定装置の作動部と連動させるかし、遅延器の筒の中へピストン状部材が引き込まれる方向が、固定装置の解除の方向となるか、
または、この遅延器のピストン状部材を、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間で繋ぎ、その繋ぎ方が、遅延器の筒の中へ、ピストン状部材が引き込まれる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるか、するようにして構成される。
空圧シリンダー式遅延器の発明である。
この発明は、筒とスライドするピストン状部材から構成され、この筒中を気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材が、その筒に挿入され、その外にピストン状部材の先端が突き出ており、
この筒には気体が筒中から出る孔と筒中へ入る孔が設けられており、
出る孔には、筒中から気体が出る時には開き、それ以外は閉じる弁が付けられており、
さらに、重力、また場合によっては筒の中に入れられたバネ・ゴム・磁石等が、このピストン状部材を筒外に押出す役割をする場合もあり、
この弁の性格と、気体が筒中へ入る孔の開口面積を絞ることにより、
前記ピストン状部材は、筒の中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。
固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、固定装置の作動部とするか固定装置の作動部と連動させるか、
または、この遅延器のピストン状部材を、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
かつ、繋ぎ方は、遅延器の筒の中へピストン状部材を押込む方向を、ロック部材の解除方向とすることにより構成される。

3)機械式
a) ガンギ車式
機械式遅延器のうち、ガンギ車式の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の戻り(固定装置の作動部をロックする方向への)を遅延することを目的とした発明である。
この発明はガンギ車とアンクル及びラックとから構成され、
ラックはその移動によりガンギ車を回転させるようになっており、
アンクルはガンギ車の回転に対しある方向については抵抗とならず、逆の方向については抵抗となって回転の速度を調節するようになっており、
またこれらの機構は歯車等の連動機構を介して間接に組み合わされている場合もあり、
このガンギ車とアンクル及びラックによる機構の性質により、
ラックは、力を受けた場合、ある方向には抵抗なく移動できるが、逆の方向には移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、固定装置の作動部に設けるか固定装置の作動部に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ラックが抵抗なく移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるように構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

b)ラチェット式(重量式重量抵抗型、水車式・風車式粘性抵抗型)
機械式遅延器のうち、ラチェット式の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の戻り(固定装置の作動部をロックする方向への)を遅延することを目的とした発明である。
この発明は歯車とラック(及び水車(風車)等の装置)とから構成され、
歯車とラックとは、ラックの移動の方向により、ある方向に対しては歯車とラックの歯が噛み合わずに歯車は回転せず、逆の方向に対しては歯が噛みあって歯車が回転するような機構になっており、
また歯が噛みあって歯車が回転するとき、重量式重量抵抗型においては、ラックの移動に対して歯車の自重が抵抗となり、
同様に水車式・風車式粘性抵抗型においては 、ラックの移動に対して、歯車の回転と連動して回転する、粘性のある液体(気体)に浸された水車(風車)等の装置が、回転時に与える負荷が抵抗となり、
またこれらの機構は歯車等の連動機構を介して間接に組み合わされている場合もあり、
この歯車とラック(及び水車式・風車式粘性抵抗型においては水車(風車)等の負荷を与える装置)による機構の性質により、
ラックは、力を受けた場合、ある方向には抵抗なく移動できるが、逆の方向には移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、固定装置の作動部に設けるか固定装置の作動部に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ラックが抵抗なく移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるように構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

c) 重力式
機械式遅延器のうち、重力式の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の(固定装置の作動部をロックする方向への)戻りを遅延することを目的とした発明である。
この発明は歯車とラック及び重りとから構成され、
ラックはその移動により歯車を回転させるようになっており、
重りは歯車の回転と連動しており、その自重がラックの移動方向に対し、ある方向に対しては負荷となり、逆の方向に対しては抵抗とならない(歯車の回転を助ける)ようになっており、
またこれらの機構は歯車等の連動機構を介して間接に組み合わされている場合もあり、
この歯車とラック及び重りによる機構の性質により、
ラックは、力を受けた場合、ある方向には抵抗なく移動できるが、逆の方向には移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、固定装置の作動部に設けるか固定装置の作動部に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ラックが抵抗なく移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるようにすることにより構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

4) 摩擦式
摩擦式遅延器の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の戻り(固定装置の作動部をロックする方向への)を遅延することを目的とした発明である。
この発明は筒とスライドするピストン状部材から構成され、
ピストン状部材は筒の中を移動できるように組み合わされており、
また筒の内表面とピストン状部材の表面との両方あるいは一方は、
スライドする方向によって異なる摩擦抵抗を与えるようになっており、
この筒とピストン状部材による機構の性質により、
ピストン状部材は、力を受けた場合、ある方向には抵抗をあまり受けずに移動できるが、逆の方向には大きな抵抗を受けて、移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、固定装置の作動部とするか固定装置の作動部と連動させるか、
または、この遅延器のピストン状部材を、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ピストン状部材があまり抵抗を受けずに移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるようにすることにより構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

5) 経路迂回式
経路迂回式遅延器の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の戻り(固定装置の作動部をロックする方向への)を遅延することを目的とした発明である。
この発明は筒と筒中をスライドする円筒状の自由に回転可能なピストン状部材とから構成され、
ピストン状部材は筒の中を移動できるように組み合わされており、
また、ピストン状部材の表面には、移動方向に平行な直線部分と、曲線部分とがつながってループ状となっているガイドが、筒にはバネ等よってピストン状部材の方向に押し出されているピンが、それぞれ設けられており、
このピンはガイドに嵌まっており、このピンとガイドとの関係によりピストン状部材は筒中を回転して移動し、かつピストン状部材はこのピンがガイドの直線部分に位置するときは抵抗を受けずに移動でき、曲線部分に位置するときは移動方向に対しガイドのなす角度により抵抗を受けるようになっており、
またピンはこのガイドを逆に戻ることはなく、
この筒とピストン状部材による機構の性質により、
ピストン状部材は、力を受けた場合、ある方向には抵抗を受けずに移動できるが、逆の方向にはガイドのなす角度による抵抗を受け、それに加えてピンの通過する直前部分と曲線部分との延長距離の差によって、移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、固定装置の作動部とするか固定装置の作動部と連動させるか、
または、この遅延器のピストン状部材の先端部を、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材を、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ピストン状部材が抵抗を受けずに移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるように構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

6)粘性抵抗式
粘性抵抗式遅延器の発明である。
この発明は、1)にて述べられた、地震時のロックが解除された後のロック部材の戻り(固定装置の作動部をロックする方向への)を遅延することを目的とした発明である。
この発明は歯車とラック、及び水車(風車)等の装置とから構成され、
この水車(風車)等の装置は、粘性のある液体(気体)に浸され、その液体(気体)から、ラックの移動方向に対応する回転方向ごとに、異なる大きさの粘性抵抗を受ける仕組みであり、
またこれらの機構は歯車等の連動機構を介して間接に組み合わされている場合もあり、
この歯車とラック及び水車(風車)等の装置による機構の性質により、
ラックは、力を受けた場合、ある方向には小さな抵抗で移動できるが、逆の方向には大きな抵抗を受けて移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、固定装置の作動部に設けるか固定装置の作動部と連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のラックを、リレー連動作動型固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の間で繋ぎ、
その繋ぎ方が、ラックが小さな抵抗で移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるように構成されてなることにより、前記目的を達するものである。

8.6. 固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状
固定ピンを固定する挿入部の形状として、停止点を中心に、すり鉢状等の凹面を施し、また、停止点よりも広い範囲で、凸凹の形状を施す。
さらに、固定ピンまた挿入部の形状に関するものである。

8.7. 免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置(食込み支承)
特許 1844024号と特許 2575283号との免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)、免震装置(免震装置・滑り支承)、さらに上記の4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、風揺れを抑制したり、耐圧性能が得られるようにしたりするために、免震皿の中央部が、滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラーの入り込む形で、またそれらの形状で凹んだ形で形成された免震皿をもつことにより構成する免震装置・滑り支承(以下、「食込み支承」と言う)であり、風揺れを抑制したり、耐圧性能が得られるようにしたりするものであり、または、それを使用した場合の免震構造である。

8.8. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
8.8.1. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
重力復元型(一重免震皿または二重(または二重以上の)免震皿)免震装置・滑り支承の免震皿の凹型滑り面部としては、地震後の残留変位が少なく、固有周期を持たないゆえに共振現象を起こさないすり鉢形状が望ましい。
しかし、風への抵抗を考えると、すり鉢形状の勾配をきつくする必要があり、その場合には、小さい地震には、免震しにくく、大きな地震時も、すり鉢の底の尖り分、免震時の垂直動による振動衝撃が大きくスムーズな免震が得にくい。
そこで、すり鉢の底を球面にすることにより、小さい地震も免震可能となり、大きな地震時の免震にも、すり鉢の底の尖りが無くなり、スムーズな免震による快適さを与える。
すり鉢の底の球面半径は、地震周期に共振する半径近傍でもって構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。その意味するところは、すり鉢の底の球面半径が、地震周期に共振することによって、免震がはじまる加速度を小さくすることが可能となる。このように初滑動の加速度を小さくするとともに、共振をすり鉢によって押さえることが可能になる。

8.8.2. 微振動用の固定装置を重心に併用
しかし、すり鉢の底を、球面にすることにより、小さい風で揺れる(しかし、底面の球面部以上の振幅は抑制される)。そこで、底面の球面部以内の微振動用の揺れ止めのために、固定装置を、特に 8.2.の風作動型固定装置(平常時は、ロックされ、地震時にロックが解除される固定装置)を、免震される構造体の重心またはその近傍に併用する。

8.9. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承による風揺れ固定
(1) 凹型免震皿をもった二重免震皿免震装置・滑り支承
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(4.参照)の利用により、風揺れ固定効果をもたらす。
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承と中間滑り部(転がり型中間滑り部またすべり型中間滑り部)とにより構成され、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承のうち、どちらかがまた両方が凹型免震皿をもつように構成された二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、
中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置に納まった時(地震時以外の常時位置)において、上下の二重免震皿の双方が接して(中間滑り部のために双方が接しない場合には、周辺部に縁を立てる等により)、摩擦を発生するようにし、風揺れ等に対処する。
ある一定以上の地震力の地震等が発生して、中間滑り部が、凹型免震皿の最も底部からずれると、上の免震皿が浮き上がり、上下の二重免震皿が接しなくなり、摩擦が発生しなくなる。
(2) 平面型滑り面部同士の免震皿をもった二重免震皿免震装置・滑り支承
平面型滑り面部同士の免震皿をもった二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、二重(または二重以上の)免震皿の片方が窪み、もう片方が出っ張って、入り込む形を取ることにより構成される。

8.10. 手動型固定装置の併用
(1) 手動型固定装置の併用
免震装置において、免震性能を良くするためには固有周期を長くしたいが、強風時に揺れる。このような場合に、強風時用に、強風時に手動で免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置(以下、「手動型固定装置」と言う)を一本また複数本併用することにより、高い免震性能を実現し、且つ強風時の揺れを押さえられる。
また、強風時の安全が保証されている場合でも、免震装置の免震性能によって(積層ゴム等のバネ定数、また免震滑り支承のすり鉢等の凹面形状等の勾配および滑り支承面等の摩擦によって)、強風時にある程度の揺れが生じる場合には、強風時に手動で、固定装置の作動部を固定する、固定装置の作動部をロックするロック部材でロックする、等により免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置を、一本また複数本を使用、または他の固定装置と併用して、揺れ止めをする。

(2) 自動解除固定手動型固定装置の併用
上記手動型固定装置に関して、強風後に固定装置の固定を解除し忘れた場合でも、地震時に免震装置を正常に作動させるための発明である。
強風時に手動で固定するが、地震時には自動的に解除される固定装置を併用して、風等による揺れ止めをする。

その具体的な装置の発明である。
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
強風時に、手動で固定装置の作動部をロック部材により固定し、
地震時に地震センサー振幅装置の振動する重りの力でまたは地震センサーからの指令で、そのロック部材による固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする自動解除固定手動型固定装置である。

8.11. 地震後の残留変位への対処
8.11.1. すべり型免震装置の残留変位矯正
すべり型免震装置は、地震後の残留変位の矯正が困難であった。
免震皿のすべり転がりの摩擦面に、液体潤滑剤が潤滑する溝と、当該免震皿の外側に、その溝に液体潤滑剤を流し込む孔を持ち、地震後に、揮発性の液体潤滑剤を、前記孔から流し込み、地震後の残留変位の矯正を容易にする。

8.11.2. 重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の形状
8.1.2.2.2.と8.1.2.2.3.の自動復元型、8.1.2.3.の自動制御型、8.2.風作動型固定装置の各場合においては、重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の凹型滑り面部としては、地震後の残留変位の少ないすり鉢形状が望ましい。

8.12. 風揺れ対策のための固定装置等の組合せ
(1) 重心部に固定装置と周辺部にすべり支承または(及び)食込み支承との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に、すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)免震装置・滑り支承(食込み支承)とを配置する。

(2) 重心部に地震作動型固定装置と周辺部に風作動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、8.1.の地震作動型固定装置(ある一定以上の地震力にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する固定装置)を最低限一箇所と、
免震される構造体の周辺部に、8.2.の風作動型固定装置(ある一定以上の風圧時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置)を最低限一箇所とを配置する。

(3) 重心部に地震作動型固定装置と、周辺部に風作動型固定装置とすべり支承または(及び)食込み支承との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、8.1.の地震作動型固定装置(ある一定以上の地震力にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する固定装置)を最低限一箇所と、
免震される構造体の周辺部に、8.2.の風作動型固定装置(ある一定以上の風圧時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置)を最低限一箇所とすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)免震装置・滑り支承(食込み支承)とを配置する。

(4) 重心部に固定装置と周辺部に手動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に、8.10.の手動型固定装置(強風時に手動で免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置)を最低限一箇所とを配置する。

(5) 自動解除固定手動型固定装置と自動解除自動復元型固定装置との併用
(4)に関して、8.10.(2) 自動解除固定手動型固定装置の採用の場合、その自動解除固定手動型固定装置は、免震される構造体の重心またはその近傍に設置される固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)に比べて、固定装置の解除の感度が地震に対して高く敏感な手動型固定装置、つまり地震時に解除されやすい手動型固定装置を設置することにより構成されてなることを特徴とする免震構造である。
そのことにより、地震時において、この周辺部の手動型固定装置の固定解除が重心部設置の固定装置に対し遅れた場合に生じる捩れた動きの問題が解消される。

(6) 固定装置と回転・捩れ防止装置との併用
固定装置と、10.1.の回転・捩れ防止装置とを、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けることにより構成されてなることを特徴とする免震構造である。

(7) 連動型でない固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用
連動型でない(連動型でも安定度が増すので併用は勿論可である)固定装置の複数個配置と 10.1.の回転・捩れ防止装置との併用により、
地震時に固定装置が同時解除しない地震作動型固定装置の場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決し、風時の風揺れ抑制の安全さを増する。
風時に固定装置が同時固定しない風作動型固定装置の場合、また全個固定しない場合の風による回転等の不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する(10.3.1.(2)参照)。

以上、(1)〜(7)同士のいろいろな組合せの併用も当然考えられる。

8.13. 杭折れ防止構法
上部構造(地上構造物)と杭等の基礎部との縁を切り、その両者間をある一定以上の地震力によって折れるか切れるかするピンで繋ぐ。


9. 緩衝・変位抑制、耐圧性向上支承
9.1. 緩衝材付支承
ゴム等の弾性材また緩衝材を、免震皿等の免震装置・滑り支承の周辺また縁に付け、予想を上回る地震変位振幅に際して、滑り部・中間滑り部等をその支承周辺の弾性材また緩衝材に衝突させて対処する。

9.2. 弾性材・塑性材敷き支承
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面の滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーに対する耐圧性能の向上と、地震時の応答変位の抑制とを図った発明である。
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面に弾性材また塑性材(弾塑性材を含む、以下同じ)を敷くか、付着させることにより構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

(1) 耐圧性向上
a) 基本形
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面の滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーに対する耐圧性能の向上を図った発明である。
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面に弾性材また塑性材を敷くか、付着させることにより耐圧に対応するように構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

b) ボール食込み孔付き弾性材・塑性材敷き支承
弾性材また塑性材上の滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラーの地震時以外の通常位置(中央部)に、その食込む形状に従って弾性材また塑性材に孔を開ける。これは特に弾性材へのへたり(疲労)等の負荷を減らす構成方法である。

(2) 変位抑制
a) 基本形
地震時の応答変位の抑制のための発明である。
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面に弾性材また塑性材を敷くか、付着させることによって、地震時の応答変位の抑制に対応するように構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

b) 一定変位を超えて敷かれた弾性材・塑性材敷き支承
免震皿面に敷かれるか、付着させる弾性材また塑性材が、免震皿の滑り面部の中央部から一定範囲を超えて敷かれてなることにより、前記目的により効果をもたらすものになる。

c) すり鉢形状の弾性材・塑性材敷き
地震振幅の変位抑制のための発明である。
免震皿面に敷かれるか、付着させる弾性材また塑性材が、すり鉢または球面等の凹形状をしてなることにより、前記目的により効果をもたらすものになる(免震皿の滑り面部の中央部分が抜けて、その一定範囲を超えてからすり鉢または球面等が始まる場合もある)。

9.3. 変位抑制装置
地震振幅の変位抑制装置の発明である。
接触してスライドし合う部材同士の摩擦によって地震の変位振幅を抑制し、スライドし合う部材同士の一方が免震される構造体に、他方が免震される構造体を支持する構造体に設けられることにより構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

9.4. 衝突衝撃吸収装置
衝突衝撃吸収装置は、
予想を越える変位振幅をもった地震によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが、外れ止め等で衝突する場合を想定した装置で、
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する外れ止め等の位置に設けられ、その衝突を緩和する発明であり、そのことにより免震皿の面積を小さくするも可能である。

(1) 低反発係数型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、低反発係数の緩衝材また弾性材を設けることにより前記目的を達成するものである。

(2) 座屈変形型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に弾性材が座屈する細長比以上の弾性材を設けて、その弾性材の座屈によって衝突時の衝撃を吸収するように構成されることにより前記目的を達成するものである。

(3) 塑性変形型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に塑性変形する緩衝材また塑性材を設けることにより前記目的を達成するものである。

(4) 剛性部材挟み型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、まず、衝突面積よりも大きな面積を持った剛性のある部材を設けて、衝撃力を受け衝撃力を拡散させて、最低限その拡散した面積をもった緩衝材また弾性材また塑性材を設け、衝撃力を吸収するようにして前記目的を達成するものである。

免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、まず、衝突面積よりも大きな面積を持った剛性のある部材を設けて、衝撃力を受け衝撃力を拡散させて、最低限その拡散した面積をもった緩衝材また弾性材また塑性材を設け、衝撃力を吸収するように構成されてなる衝突衝撃吸収装置において、
免震される構造体の質量Mに対して衝突衝撃吸収装置を1箇所設置した場合を想定し、衝突速度を V kineとし、このとき接触時の運動エネルギーと衝突衝撃吸収装置の弾性エネルギーを等しいものとおき、衝突衝撃吸収装置の緩衝材また弾性材また塑性材のバネ定数をK、たわみ長さをδとすると近似的に、
1/2・M・V^2=1/2・K・δ^2
K=M・V^2/(δ^2) ……(1)
そして、衝突衝撃吸収装置を n箇所設置した場合の免震される構造体が受ける加速度A'は近似的に、
A'=V^2/δ/n
となり、この加速度A'が所定の値になるように、衝突衝撃吸収装置数 nとたわみ長さをδを決め、さらに(1)式により衝突衝撃吸収装置の緩衝材また弾性材また塑性材のバネ定数Kを決めることにより構成され、前記目的を達成するものである。

9.5. 二段式免震(すべり・転がり型免震+ゴム等による免震・減衰・緩衝)
すべり・転がり型免震において、地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の対処法が望まれた。

9.5.1. 構成
そのうち、すべり型免震または転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まですべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えるとゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材により免震・減衰させることを特徴とするものである。

9.5.2. 運動方程式(記号については、 5.1.3.1. 記号一覧)
以下の運動方程式(記号説明は実施例の5.1.3.1.参照)により構造解析することによって設計されてなる滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造である。
「すべり・転がり型免震+ゴム等による免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(Kとcは、ゴム等のバネ定数と粘性係数)
d(dx/dt)/dt+K/m・(x−XG・sign(x))+c/m・dx/dt
+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=−d(dz/dt)/dt

9.6. 二段式免震(すべり・転がり型免震+摩擦変化・勾配変化型免震・減衰)
すべり・転がり型免震において、地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の対処法が望まれた。

9.6.1. 構成
そのうち、すべり型免震または転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まですべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくするか、勾配を大きくするか、または摩擦を大きくし且つ勾配も大きくするかして免震・減衰させることを特徴とするものである。

9.6.2. 運動方程式(記号については、 5.1.3.1. 記号一覧)
以下の運動方程式(記号説明は実施例の5.1.3.1.参照)により構造解析することによって設計されてなる滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造である。

1) 「すべり・転がり型免震+摩擦変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(μ'は、変位(XG)を超えた領域での摩擦係数)
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ'・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt

2) 「すべり・転がり型免震+勾配変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(θ'は、変位(XG)を超えた領域での摩擦係数)
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ'・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt

3) 「すべり・転がり型免震+摩擦変化且つ勾配変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ'・sign(x)+μ'・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt


10.回転・捩れ防止装置
固定装置一個だと、風時に、免震される構造体が固定装置を中心として回転するのを止められない。

積層ゴム等のバネ型の復元装置・オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を採用して重心と剛心がずれている場合には、免震時に免震される構造体の捩れ振動が生じる。
その回転及び捩れ振動が生じないようにするには、免震される構造体及びその免震される構造体を支持する構造体の周辺に配置される回転・捩れ防止装置でその運動を押さえ込むことである。この回転・捩れ防止装置は、免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを許容して、回転・捩れを生じなくさせるものである。

10.1. 回転・捩れ防止装置
回転・捩れ防止装置に関する発明である。
この回転・捩れ防止装置は、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを可能とする回転・捩れ防止装置である。
具体的には、
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、
上部スライド部材を免震される構造体に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体に設け、その間に中間部スライド部材が入り、
スライドし合うスライド部材同士は、少なくとも片方がもう片方のガイド(上下ガイドスライド部材・部分)に沿ってスライドすることにより、
上部スライド部材は、中間部スライド部材の一辺に平行移動のみを許容され、 下部スライド部材は、中間部スライド部材の一辺に平行移動のみを許容されることにより、
さらに、これらのスライド部材を一層毎に平行移動方向が変わるように、中間部スライド部材が一層の時は、互いに直交方向になるように、中間部スライド部材が複層の時は、一層毎の交差角度の総合計が360度になるように、積層させることによって、
免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを可能とする回転・捩れ防止装置である。
上部スライド部材は、上部(側)免震皿の場合もあり、下部スライド部材も、下部(側)免震皿の場合もあり、中間部スライド部材も、上下ガイドスライド部材の場合、中間免震皿と上下ガイドスライド部材の場合、上下ガイドスライド部分をもった中間免震皿の場合もある。

10.2. 回転抑制
10.2.1. 回転抑制
この回転・捩れ防止装置によって回転抑制された免震構造に関する発明である。
固定装置と、 回転・捩れ防止装置とを、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設ける。そのことにより固定装置一個の場合でも、風時に、免震される構造体がその固定装置を中心として回転するのを防ぐことが可能になる。

10.2.2. 回転抑制能力計算式
回転抑制能力計算に基づいた部材断面による回転・捩れ防止装置に関する発明である。
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、上部スライド部材を免震される構造体側に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体側に設け、その間に中間部スライド部材が入り、
上部スライド部材は、中間部スライド部材及び下部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容し、下部スライド部材は、中間部スライド部材及び上部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容されることから、免震される構造体は、免震される構造体を支持する構造体に対し長辺方向及び短辺方向の平行移動のみを許容され、
このとき各スライド部材の(スライド部の互いに掛かり合う)長さをl、すきまをdとすると、回転・捩れ防止装置の許す回転角φは、上下合わせた全体で
φ=4d/l ……(1)
で表され、
風圧力Fが免震される構造体の平面の端部に集中荷重として作用するとして、固定装置と風圧力の作用線の間の距離R1、及び固定装置と各回転・捩れ防止装置の間の距離R2についてモーメントの釣り合いから、
F・R1=Σ{F'・R2} ……(2)
各回転・捩れ防止装置には、風圧分力F'が働き、
この風圧分力F'によって、回転・捩れ防止装置の上部スライド部材及び下部スライド部材が角度φ/2ずつ回転する事により、中間部スライド部材(上下繋ぎスライド部材・部分または上下ガイドスライド部材・部分のガイド部)に荷重Pが働き、このPは、
P=F'・φ/2 ……(3)
であり、
中間部スライド部材から突き出したガイド部(長さh、幅b、厚さt)を片持梁とみなし、ここでhはガイド部の突き出した長さ、tはガイド部の厚さであり、
またbは上部スライド部材及び下部スライド部材が角度φ/2ずつ回転して中間部スライド部材(のガイド部)と接触する部分の角を、角度φ/2で面取りした斜辺の長さであり、
(1)、(2)、(3)より、曲げモーメント M=P・h、断面係数 Z=b・t^2/6のとき上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁の曲げ応力度σは、鋼材の長期許容曲げ応力度 fbに対して
σ=M/Z
=(F'・φ/2・h)/(b・t^2/6)
=12・F'd・h/(l・b・t^2)≦ fb ……(4)
の関係を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧2√{(3・F'・d・h)/(l・b・fb)} ……(4')
であり、
(1)、(2)、(3)より、せん断力 Q=P、断面積 A=b・tのとき上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁のせん断応力度τは、鋼材の長期許容せん断応力度 fsに対して
τ=1.5・Q/A
=3/2・(F'・φ/2)/(b・t)
=3・F'・d/(l・b・t)≦ fs ……(5)
の関係を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧3・F'・d/(l・b・fs) ……(5')
であり、
(1)、(2)、(3)より、Pによる上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁のたわみ角の最大値δは、鋼材のヤング率 E=2.1×10^3 tf/cm^2、断面二次モーメントI=bt^3/12のとき、許容たわみ角αとすると、
δ=P・h^2/(2EI)=(F'・φ/2・h^2)/(2・2.1×10^3・bt^3/12)
=5.7×10^-3・F'・d・h^2/(l・b・t^3)≦α ……(6)
の関係を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧{F'・d・h^2/(175・l・b・α)}^(1/3) ……(6')
であるようにして、装置の部材断面を決めることにより構成される。

10.3. 捩れ振動抑制
10.3.1. 捩れ振動抑制
(1) バネ型復元装置・オイルダンパー等の併用
この回転・捩れ防止装置によって捩れ振動が抑制された免震構造に関する発明である。
積層ゴム等のバネ型の復元装置・オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を使用し、重心と剛心がずれている免震構造において、
回転・捩れ防止装置を免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設ける。そのことにより捩れ振動矯正が可能になる。

(2) 固定装置複数個等の併用
連動型でない(連動型でも安定度が増すので併用は勿論可である)固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用により、
地震時に固定装置が同時解除しない地震作動型固定装置の場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決し、風時の風揺れ抑制の安全さを増する。
また、風時に固定装置が同時固定しない風作動型固定装置の場合、また全個固定しない場合の風による回転等の不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する(8.12.(7)参照)。

10.3.2. 捩れ振動抑制能力計算式
捩れ振動抑制能力計算に基づいた部材断面による回転・捩れ防止装置に関する発明である。
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、上部スライド部材を免震される構造体側に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体側に設け、その間に中間部スライド部材が入り、
上部スライド部材は、中間部スライド部材及び下部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容し、下部スライド部材は、中間部スライド部材及び上部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容されることから、免震される構造体は、免震される構造体を支持する構造体に対し長辺方向及び短辺方向の平行移動のみを許容され、
このとき各スライド部材の(スライド部の互いに掛かり合う)長さをl、すきまをdとすると、回転・捩れ防止装置の許す回転角φは、上下合わせた全体で
φ=4d/l ……(1)
で表され、
剛心に作用する力F、重心と剛心に作用する力の作用線の間の距離R1、及び重心と回転・捩れ防止装置の間の距離R2についてモーメントの釣り合いから、
F・R1=Σ{F'・R2} ……(2)
各回転・捩れ防止装置には、分力F'が働き、
この力F'によって、回転・捩れ防止装置の上部スライド部材及び下部スライド部材が角度φ/2ずつ回転する事により、中間部スライド部材(上下繋ぎスライド部材・部分または上下ガイドスライド部材・部分のガイド部)に荷重Pが働き、このPは、
P=F'・φ/2 ……(3)
であり、
中間部スライド部材から突き出したガイド部(長さh、幅b、厚さt)を片持梁とみなし、ここでhはガイド部の突き出した長さ、tはガイド部の厚さであり、
またbは上部スライド部材及び下部スライド部材が角度φ/2ずつ回転して中間部スライド部材(のガイド部)と接触する部分の角を、角度φ/2で面取りした斜辺の長さであり、
(1)、(2)、(3)より、曲げモーメント M=P・h、断面係数 Z=b・t^2/6のとき上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁の曲げ応力度σは、鋼材の長期許容曲げ応力度fbに対して
σ=M/Z
=(F'・φ/2・h)/(b・t^2/6)
=12・F'd・h/(l・b・t^2)≦ fb ……(4)
を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧2√{(3・F'・d・h)/(l・b・fb)} ……(4')
であり、
(1)、(2)、(3)より、せん断力 Q=P、断面積 A=b・tのとき上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁のせん断応力度τは、鋼材の長期許容せん断応力度fsに対して
τ=1.5・Q/A
=3/2・(F'・φ/2)/(b・t)
=3・F'・d/(l・b・t)≦ fs ……(5)
を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧3・F'・d/(l・b・fs) ……(5')
であり、
(1)、(2)、(3)より、Pによる上下ガイドスライド部分のガイド部の、片持梁のたわみ角の最大値δは、鋼材のヤング率 E=2.1×10^3 tf/cm^2、断面二次モーメントI=bt^3/12のとき、許容たわみ角αとすると
δ=P・h^2/(2EI)=(F'・φ/2・h^2)/(2・2.1×10^3・bt^3/12)
=5.7×10^-3・F'・d・h^2/(l・b・t^3)≦α ……(6)
を満足させ、これにより断面の厚さtは
t≧{F'・d・h^2/(175・l・b・α)}^(1/3) ……(6')
であるようにして、装置の部材断面を決めることにより構成される。


11.免震装置の組合せと材料仕様
11.1. プランの多様性に対応
免震される構造体の積載・固定荷重形態が多様であったとしても(変形形態・変形平面・偏心荷重形態であっても)、免震される構造体の各所において、同一性能の復元・減衰装置の設置を可能にする発明である。
(1) 滑り支承と摩擦型減衰・抑制装置と勾配型復元滑り支承の使用
免震と復元と減衰・抑制に関しては、滑り支承(すべり支承、転がり支承)と、すり鉢または球面等の勾配による復元性能をもった滑り支承(勾配型復元滑り支承という)と、摩擦型減衰・抑制装置のみを使用することにより構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

(2) 固定ピン型固定装置の使用
風揺れ固定に関しては、固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型を除く)のみを使用することにより構成されてなることにより前記目的を達成するものである。

(3) 回転・捩れ矯正装置との併用
以上の装置以外の免震時に捩じれが生じるもの(積層ゴム、粘性ダンパー等を使用したもの、偏芯率の大きいもの)でも、10.の回転・捩れ防止装置との併用をするとその問題は解消される(10.3.参照)。

12.新積層ゴム・バネ、復元バネ
12.1. 新積層ゴム・バネ
上述の従来の積層ゴムの問題から、鋼とゴムとを一層ごとに付着させず、鋼等の硬質板を何層か積層させ、その硬質板の中心部を空洞とし、その中心部にバネ等を充填させる構成をとる。
この発明において、弾性体としては、素材そのものの特性として弾性を有している物質(ゴム等)、弾性を有していない素材を弾性を有するように形成もしくは加工した部材(バネ等)、および鉄を引きつける磁力を持つ物質もしくは装置(磁石・電磁石等)、等を用いることが可能である。
弾性を有していない素材を弾性を有するように形成もしくは加工した部材、または鉄を引きつける磁力を持つ物質もしくは装置等を用いた場合は、経時劣化する可能性が低く、そのためメンテナンス面で有利である。

12.2. 復元バネ
縦型にバネ等を設置することは水平のどの方向にも復元性能を得られる反面、僅かな水平変位での復元力に乏しいが、以下の形状を取ることで、この問題が解決される。
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に、バネ等を設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体のどちらか一方に、ラッパ形状等の裾広がりの挿入口またはコロを持った挿入口を設け、その中にそのバネ等の端を係合し、このバネ等の反対側の端が、他方の構造体に係合される。
このことにより、免震される構造体を支持する構造体が変位すると、バネ等はこのラッパ形状等に従って水平方向に曲がり、僅かな変位でも水平方向の復元力が得られ、
さらに、このバネ等による、免震される構造体に働く下方への引張力も最低限にし、免震される構造体への負荷も小さくすることができる。


B.免震装置と構造法
13.免震構造による構造体設計法
13.1. 超高層建物・構造体
超高層建物・構造体において、免震装置として、滑り型免震装置・滑り支承を、特に転がり型滑り支承を採用し、免震される構造体は、風力ではゆれない剛性をもつ構造とすることにより前記目的を達成するものである。

13.2. 高塔状比建物・構造体
引抜き力が働く建物・構造体の問題は、引抜き防止装置によって対処し、塔状比によれば、ロッキングを小さくするために、免震装置・滑り支承の摩擦係数をできるだけ小さくする。

13.4. 軽量建物・構造体
従来の積層ゴムでは固有周期が延びない軽量建物・構造体には、免震装置・滑り支承等の免震装置で、免震が可能になる。

13.5. 在来木造戸建て住宅/軽量(木造・鉄骨系)戸建て住宅
(1) 土台床構面の形成
床構面の形成に関しては、固定装置周辺は筋交による補強を行い、その他の部分を全面筋交補強で行う方式、土台(基礎の上の横架材)の上全面に構造用合板等を敷き込み、その上にまた土台(横架材)を置くか、直に柱を立てる方式、あるいはダイヤフラム構面を用いる方式により、免震装置・滑り支承の支持構造面を作る。
土台(基礎の上の横架材)の上全面に構造用合板等を敷き込み、その上にまた土台(横架材)を置くか、直に柱を立てる。このようにして、構造用合板勝ちにして 構面が形成される手法で、免震装置・滑り支承の支持構造面をつくる方式は、特にメリットがある。
具体的には、免震装置・滑り支承の設置された土台等の基礎の上の横架材の上全面に、構造用合板等を敷き込み、その上にまた土台(横架材)を置くか、直に柱を立てる。


14.免震装置設計と免震装置配置
14.1. 免震装置配置
経済性をもたらすために、重心位置またその近傍にのみ、2箇所以上の復元装置を装備し、それ以外は、復元力を持たない免震滑り支承とする。
また必要に応じて、固定装置を配する。これも復元装置と同様に、重心位置またその近傍にのみ、一箇所以上、できれば2箇所以上とするのがよい。

14.2. 復元装置の復元能力の設計
免震性能を上げるためには、滑り型免震装置の場合、復元装置の復元力を抑えて復元が可能な最小限の復元力にする方法が挙げられる。
復元力を最小限にするために、凹形状の重力復元型滑り支承においては、復元が得られる限り、曲率半径はできるだけ大きくし、また、バネ等の復元型においては、復元が得られる限り、弾性力またバネ定数はできるだけ小さくし、また双方ともに、免震装置・滑り支承の摩擦係数を下げる事も必要である。そのことはまた、免震性能をよくする事につながる。


15.免震装置設置と基礎部分の施工に関する合理化
15.1. 免震装置設置と基礎部分の施工の合理化
この構法は、汎用戸建て免震に適しているが(それに限定される事はないが)、特に、戸建て用免震装置としての意味がある。
今までの在来構法及びプレハブの住宅を免震装置対応にする場合の問題は、まず、1階の梁とそれに支えられる床が必要になり、それをいかに安くするかという課題、次に、プレハブ・在来・2×4という上部構造の構法の違いを問題とせず、汎用的方法があるかどうかという課題、さらに、上部構造としてのフレームとしての剛性のない問題も解決する必要がある。
その解決方法として、ベタ基礎の上に空隙を設けて、もう一つベタ基礎(スラブ)を打ち、その間に免震装置を入れる方法である。
具体的に施工法を説明すると、ベタ基礎コンクリートの上に免震装置を配備し、その間を有機溶剤で溶けるスタイロフォーム等のプラスチックで埋めて間隙を作り、その上にコンクリートスラブを打ち、コンクリートが固まってからスタイロフォーム等のプラスチックの間隙を有機溶剤で溶かして空間を作ると、ベタ基礎の上に、免震装置のみに支えられてコンクリートスラブが浮く形となり、免震装置の作動が可能となる。
そして、このコンクリートスラブを人工土地的な扱いとすることにより、在来構法・プレハブ構法・2×4構法等、構法の違いに影響されずに住宅を自由に建てることができ、上部構造の自由がもたらされる。
また上部構造としてのフレームとしての剛性のなさもスラブの剛性により解決される。
また免震装置解析も、上部構造を含めた免震される部分の重心が、このコンクリートスラブの重さによって下がり、一質点系振動の解析でほぼ近似でき、またこの部分の荷重が、上部構造に比して大きく、木造・鉄骨等軽量戸建てが載る場合は、解析の一様化が可能になり、上物ごとの個別認定でなく、一般認定の可能性を開くものである。
また、単に二重にベタ基礎(スラブ)を打つのと同じであるので、ローコストを可能にする。

15.2. 免震装置設置の施工の合理化
留め具等により、上下の皿を一体にされた二重免震皿装置を、基礎のアンカーボルト位置に据え付け、土台とまず固定する。その後、基礎との間にできた隙間等を無収縮モルタルで埋める。そして、無収縮モルタルが固まった後に、基礎と免震装置とのアンカーボルトを締める。
以上の方法により、土台に対する水平性(平行性)が得られ、基礎上に設置される免震装置の水平性を出しにくい問題が解決する。
15.3. 滑り型免震装置の水平性維持
滑り型免震装置の施工時及び施工後の水平性維持の問題は、建物の内側(また重心)に向かって転ぶ傾斜(外が高く、内が低い傾斜)を持たせることにより、解決される。


16. 組合わせ
以上の発明の組合せにより、様々な要求に応えた免震装置及び支承、および免震構造が可能になる。


A.免震装置
1.十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
1.1.十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
凹型滑り面部または平面型滑り面部を有するスライド部材を上下に交差させて係合させることにより、免震性を与え、また復元性を持たせるようにしたものである。
この発明は、同形の部材の上下の噛み合わせで、一方向(行き帰りを含む、以下同じ)しかできなかった免震時の復元が、全方向で得られる。またこのような単純な機構により、耐久性も得られ、メンテナンス上の問題も軽減する。また、十字型にすることにより材料を節約した。

1.2.十字型免震装置・滑り支承、十字重力復元型免震装置・滑り支承の中間滑り部
1.1.の発明の、下向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する上部スライド部材と、上向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する下部スライド部材との間に、中間滑り部を設けた発明である。
この中間滑り部によって摩擦性能を上げられ、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積も増加させることができる。また地震振動時において、中間滑り部と、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積の変化もない。また、この中間滑り部の、上部スライド部材・下部スライド部材と接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けても、同様に、地震振動時において、このローラー・ボール(ベアリング)と、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積も変化しないので垂直荷重伝達能力において有利である。

1.3.十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承
1.1.また1.2.の発明の、下向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する上部材は、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有するスライド部材を形成し、上向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する下部材は、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有するスライド部材を形成し、これらのスライド部材を互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合してスライドできるように構成し、かつ、これらのスライド部材のうち、上になるスライド部材(上部スライド部材)を免震される構造体に、下になるスライド部材(下部スライド部材)を免震される構造体を支持する構造体に設けて、引抜き防止の機能も合わせ持たせた復元付き免震装置・滑り支承であり、1つの装置で、免震復元と引抜き防止を合せ持った装置が可能になる。
また重力復元型特有の地震振動時の垂直変位のための遊びによるがたつきの問題及び引抜き時の衝撃の問題をも解決できる。
また、1.2.と同様に、中間滑り部によって摩擦性能を上げられ、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積も上げられる。また地震振動時において、中間滑り部と、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積の変化もない。また、この中間滑り部の、上部スライド部材・下部スライド部材と接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けても、同様に、地震振動時において、このローラー・ボール(ベアリング)と、上部スライド部材と下部スライド部材との接触面積も変化しないので垂直荷重伝達能力において有利である。


2.引抜き防止装置・滑り支承の改良
免震される構造体の免震される構造体を支持する構造体からの引抜きを防止する装置の改良に関する発明である。

2.1.復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
地震後に元の位置に復元し、また、免震皿の滑り面からの滑り部等の外れを抑制、防止する復元・減衰バネ付きの引抜き防止装置・滑り支承である。
具体的には、特許 1844024号での引抜き防止装置・滑り支承、また1.3.の十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材、下部スライド部材の片方または両者の、スライド孔内の片側または両側に、バネ等を設置し、地震後に、そのバネ等により係合された他方のスライド部材を当該スライド孔の中央部(通常位置)に復元させ、また他方のスライド部材を当該スライド孔の端に衝突させない機能を有するものである。
また、バネ等が、通常の状態では交差する他方のスライド部材に接しないように、スライド孔の端から途中までに設けられている場合は、スライド孔の両端部に他のスライド部材が衝突しないための緩衝装置となり、併用する免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅時のみに抑制が働き、免震皿内の地震振幅時には、抑制は働かず免震装置による免震性能を減じない効果が得られる。

2.2.積層ゴム/ゴム/バネ付き等引抜き防止装置・滑り支承
積層ゴム免震における引抜き力対応の解決策となり、また同時に、積層ゴムの座屈(底辺に対して高さの高い積層ゴムの場合)の問題を解決するものである。これにより、積層ゴム自体のコンパクト化と低コスト化を可能にした。

2.3.引抜き防止機能の増強
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承、1.3. 十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承、2.1. 復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承、2.2. 積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承との複合装置の各装置において、上及び横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材と下部スライド部材とを、互いに交差する方向に、双方の横のスライド孔に係合してスライドできるようにし、双方の上のスライド孔を貫く繋ぎ部材・係合材を取付けて、引抜き防止機能をさらに増強する装置である。

2.4.新引抜き防止装置・滑り支承
新しい引抜き防止装置・滑り支承である。
また、コンパクトな引抜き防止装置・滑り支承を可能にしている。
(1) 新引抜き防止装置・滑り支承(1)
上に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材と下部スライド部材とを互いに交差する方向に係合し、双方の上のスライド孔を貫く係合材を取り付けてスライドできるように構成され、かつ、前記上部スライド部材を免震される構造体に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体に設けることにより構成される新引抜き防止装置・滑り支承である。

(2) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、一重または複数以上の包み込み合う関係のスライド部材をもち、一番内側のスライド部材が、水平方向にスライドできる余地をもって、すぐ外側のスライド部材4-oi に包み込まれ、この二番目のスライド部材が、水平方向にスライドできる余地をもって、さらにその外側のスライド部材に包み込まれ、という方法で順次構成されており、かつ、前記一番内側のスライド部材と一番外側のスライド部材の一方を、免震される構造体に、他方を免震される構造体を支持する構造体に設けることにより構成される場合である。
引抜き防止機構が入れ子状の、二重以上の場合には、その多重性に応じ、同じ地震振幅に対応できる装置の大きさを小さくすることができ、一重の場合に比べて、大きな引抜き力に対応できる。

(3) 新引抜き防止装置・滑り支承(3)
上記(2)の装置が、上下の二組設けられた場合である。

(4) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付き
上記新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)に復元バネが付く場合であり、上記(2)、(3)の免震装置・滑り支承において、個々の内側のスライド部材と外側のスライド部材との間、もしくは、一番内側のスライド部材と一番外側のスライド部材との間に、バネ等を設けることにより復元力をもたせている。

2.5.重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承
重力復元置型の免震復元が可能な引抜き防止装置・滑り支承である。
また、コンパクトな引抜き防止装置・滑り支承を可能にしている。

2.6.重力復元型免震装置・滑り支承振動時の垂直変位の吸収装置
重力復元型免震装置・滑り支承の併用時の地震振動時の垂直変位による特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の遊びによる、風等の引抜き力が働いたときの衝撃を吸収する装置である。

2.7.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(すべり型)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材間に中間滑り部(すべり型)を設けることにより、上部スライド部材・下部スライド部材間の摩擦係数を下げることができる。

2.8.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(転がり型)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材間に中間滑り部(ローラー・ボール等の転がり型)を設けることにより、上部スライド部材・下部スライド部材間の摩擦係数を下げることができる。

2.9.引抜き防止装置・滑り支承の改良(1)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材間に、中間部スライド部材を設けることにより水平寸法を小さくすることができる。

2.10. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(2)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材を構成する下部材、下部スライド部材を構成する上部材、のどちらかが、また両方が、上部下部スライド部材に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドことにより水平寸法を小さくすることができる。

2.11. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(3)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材間に、中間部スライド部材を設けることにより水平寸法を小さくすることができる。

2.12. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(4)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材(上側免震皿)・下部スライド部材(下側免震皿)間に、上下繋ぎスライド部材を設けることにより水平寸法を小さくすることができる。
なお、上下繋ぎスライド部材を上側免震皿に対してのスライド方向と、下側免震皿に対してのスライド方向とは、直角をなすように構成することによって、あらゆる方向へ地震力に対する免震が可能となる。
また、免震皿間に、ボール・ローラー等の転動体もしくは、中間すべり部を設置することによって摩擦を減少させることができる。
さらに、上側免震皿、下側免震皿を、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿とすることにより、復元も可能となる。


3.滑り型免震装置・滑り支承のダンパー機能向上及び初滑動向上
3.1.摩擦係数の変化
凹型もしくは平面型の滑り面部を有する免震皿と滑り部からなる免震装置・滑り支承において、
または、下向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する上部免震皿と上向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する下部免震皿とで構成された上部免震皿と下部免震皿との間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボールがはさみこまれた免震装置・滑り支承において、
または、前記上部免震皿と前記下部免震皿の中間に上面下面ともに滑り面部をもった1個若しくは複数個の中間免震皿も挟み込まれ、重なる免震皿同士の間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボール(以上、「中間滑り部等」と言う)がはさみこまれた免震装置・滑り支承において、
免震皿中心部の摩擦係数は小さく、免震皿周辺部の摩擦係数は大きい免震皿をもつように構成される。
免震皿の中心部の摩擦係数を小さくすることは、滑り部が最初に滑動を開始する地震力の大きさを小さくして免震装置感度を上げ、周辺部を大きくすることは、滑り部の振幅を抑制する。両方の使用により、初滑動を良くし、かつ地震時の免震装置の振幅を小さくする。
つまり、免震皿滑り面部の全域にわたって摩擦係数を大きくすると、振幅は抑制されるが、初動加速度が大きくなり、免震感度が悪くなる。逆に、免震皿滑り面部の全域にわたって摩擦係数を小さくすると、初動加速度は小さなるが、振幅が大きくなるという滑り型の問題を解決する。

3.2.曲率の変化
凹型滑り面部を有する免震皿をもつ免震装置・滑り支承の、凹面の曲率半径を、中心部から周辺に向かって、小さくして急勾配にすることにより、地震の振幅抑制をするものである。
また曲率を変化させることにより、地震の固有周期と共振を起こさないという効果をも合わせ持つ。

3.3. 摩擦係数の変化と曲面率の変化
また、免震皿の、3.1.の摩擦係数の変化と、3.2.の曲率の変化とを、両方用いて、滑り免震装置・滑り支承のダンパー機能向上及び初滑動向上を行う方法もある。


4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置、重力復元型免震装置
滑り部と免震皿の方式(特許 1844024号での免震復元装置)に比べて、免震皿の面積で、ほぼ1/4になり、免震皿を上下合わせても、ほぼ1/2になる。
また、免震皿同士が同面積のために密閉性が得られ、潤滑剤の蒸発を防ぎ、防雨、防塵、また防錆により、摩擦が悪くなることを防ぐ事が可能になる。

4.1.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.1.1.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.1.2.引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
上部免震皿と複数個の中間免震皿と下部免震皿からなる三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、上下繋ぎスライド部材・部分によって平行する対辺同士でその中間免震皿を相互につなぎ、さらに、それと交差方向の平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分によって次の中間免震皿とを相互につなぎ、順次、前の中間免震皿と交差方向に、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分によって次の中間免震皿とを連結させ、上部免震皿を免震される構造体に取付け、下部免震皿を免震される構造体を支持する構造体に取り付けることにより、免震される構造体の免震される構造体を支持する構造体からの引抜きを防止し、かつ、滑り免震を可能にする。
また、交差平行数(免震皿層数)を増やすことによって、免震皿に対して斜め方向の地震力に対応しやすくなる。

4.2.中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
二重・三重・四重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られ、すべり性能が向上する。

4.2.1.中間滑り部(すべり型または転がり型)
転がり型中間滑り部として、ローラーまたはボールが考えられるが、すべり型中間滑り部として、下向き凹型滑り面部を有する上側免震皿と同曲率または接する曲率を持つ凸型と、上向き凹型滑り面部を有する下側免震皿と同曲率または接する曲率を持つ凸型とが合体した中間滑り部を挟み込むことにより、上側下側の免震皿と滑り部との接触面積を大きくでき、摩擦性能を良くすることができる。
また、免震皿と同曲率の中間滑り部の場合は、地震振動時にも、この中間滑り部が免震皿の球面形状に追随して、接触面積を一定に保つことができ、さらに、この中間滑り部の、上側下側の免震皿と接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けた場合も同様に、地震振動時において免震皿とこのローラー・ボール(ベアリング)との接触面積が変化しないので垂直荷重伝達能力において有利である。
さらに、すり鉢状、V字谷面状等の滑り面部を有する免震皿の場合、免震皿の底をローラー・ボール(ベアリング)等の転がり型中間滑り部と同曲率形状とすることにより、接触面積が大きくでき、耐圧性能を向上させることができ、さらに、経年後のローラー・ボール(ベアリング)の免震皿への食い込みを防止することができる。

4.2.2.二重中間滑り部
中間滑り部が第一中間滑り部と第二中間滑り部とに分かれることで、上記の4.2.1.の効果に加えて、三重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られ、また、滑り面部が受け皿形状になるので潤滑油を充填しやすい。

4.2.3.三重中間滑り部
中間滑り部が第一中間滑り部と第二中間滑り部と第三滑り部とに分かれることで、四重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られる。

以上の二重以上中間滑り部に関して、中間滑り部同士が接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり、有利である。

4.2.4.復元バネ付き中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
以上の 4.2.中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の各装置において、中間滑り部と上側免震皿、下側免震皿とをバネ等で繋ぎ、定位置への復元力を持たせ、復元装置の機能を合せ持たせる。復元装置としても、従来のほぼ半分に近い寸法にすることが可能になる。

4.3. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.3.1. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
上記の4.1.1.〜4.1.2.の免震皿の間にローラー・ボール(ベアリング)等を入れることにより、摩擦係数の低下が図られ、高い免震性能が得られる。なお免震皿を掘り下げるか周囲を立ち上げるかしてローラー・ボール(ベアリング)を挿入し、免震皿同士ががほぼ隙間なく密閉状態になっているほうが、防塵等には適している。

4.3.2. 平面状また円柱谷面状またV字谷面状重層免震皿(上下繋ぎスライド部分持ち)
耐圧性能を上げられると共に、復元性を与えることが可能となる。また共振のない免震が得られる。また、三重免震皿の場合は外れることもない。
また、ローラー・中間滑り部(すべり部材)を複数個にすることによって、より耐圧性能が上げられる。

4.4. シールまた防塵カバー付き二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.1.〜4.3.の二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の上部・下部(中間含む)免震皿をシールまた防塵カバーで密閉することにより、潤滑剤の蒸発を防ぎ、防雨、防塵、また防錆により免震皿・滑り部等の滑り性能の低下を防ぐ事が可能になる。
弾性シールの場合には、中小地震では、シールの弾性範囲内で許容され、シールが破れずにその密閉性が保持される。

4.5. 重力復元型免震装置・滑り支承の滑り部の改良
免震皿と滑り部の接触面積をできるだけ大きくし、且つ、振動時にも、その接触面積が変化しないように同じにできる。
二重・三重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られ、滑り性能が向上する。

4.5.1. 中間滑り部
中間滑り部を挟み込むことにより、摩擦性能を上げられ、地震振動時にも、この中間滑り部が、免震皿の球面形状に追随するため、免震皿と滑り部の接触面積を一定に保つことができる。
また、この中間滑り部の、免震皿と接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けた場合も同様に、地震振動時において免震皿とこのローラー・ボール(ベアリング)との接触面積が変化しないので垂直荷重伝達能力において有利である。
共に、滑り部を、受け皿状の中間滑り部が受ける形状であるため、潤滑油を充填しやすい。
また、2重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られ、滑り性能が向上する。

4.5.2. 二重中間滑り部
4.5.1. における中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部を、第一中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった第一中間滑り部と第二中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった第二中間滑り部とにより構成することによって、上記 4.5.1.の効果に加えて、三重に滑り面(すべり面、転がり面)が得られることで滑り性能がさらに向上し、また、中間滑り部の首振り角度が大きくなるので、凹型滑り面部を有する免震皿の減衰効果を上げられる。
また、中間滑り部同士が接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると首振りが容易になり、有利である。

4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承
4.6.1. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承(1)
重力復元型免震装置・滑り支承において、滑り部を筒と筒中に挿入されるバネ等と、その下部に突き出る形で挿入される滑り部先端とにより構成する事によって、重力復元型免震装置・滑り支承の作動時の垂直変位を吸収するだけでなく、垂直免震の機能を持たせることができる。
この筒の上部に、雄ネジが挿入されている場合には、復元力の調整だけでなく、地震後の残留変位の矯正も可能になる。

4.6.2. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承(2)
8.1.2.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動復元型固定装置の固定ピンを滑り部に、固定ピンの挿入部を凹型滑り面部を有する免震皿にすると、滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承が可能になる。

4.7. 縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承
重力復元型免震装置・滑り支承を使用しても、他の免震装置に、垂直変位動の影響を及ぼさない重力復元型免震装置・滑り支承である。
免震される構造体と、重力復元型免震装置・滑り支承の滑り部または免震皿のどちらか一方とを、垂直方向にスライドし水平方向の移動は拘束されているスライド装置によって繋ぐことにより、重力復元型免震装置・滑り支承の地震時の振動による水平変位は、免震される構造体に伝達されるが、垂直変位は伝達されない。
その事により、併用される引抜き防止装置・滑り支承の垂直変位の遊びを設ける必要がなくなり、風時の引抜き力によるがたつきも解消される。
また、免震される構造体の重心位置に設ける事により、一質点系に近い振動を可能にし、地震時の動きを単純化させる効果をも持つ。
また、免震される構造体の重心を下げる効果により、安定した免震性能が得られる。

4.8. 新重力復元装置
免震される構造体から吊材等で吊された重りを、免震される構造体を支持する構造体または基礎に設けられた挿入口を経由して、その下にまで吊されるように構成される、垂直変位動のない重力復元型免震装置である。
免震される構造体の重心を下げて、ロッキング現象等の問題も少くし、安定した免震性能が得られる。
また、重りと免震される構造体を支持する構造体の間に、バネ等を付加した場合、バネ等の強度分、重りを軽くする事が可能となり、また最大振幅時の緩衝装置としても使うことができる。
この装置は、バネ等による復元制御に比べ、免震装置自体が固有周期を持たず地震周期に共振しないので、変位に比例しない一定の復元力が得られ、免震性能が向上し、地震後の残留変位を消去する能力も大きい。
また、固定装置との一体型も容易である。


5.共振のない免震装置と運動方程式とプログラム
耐震でも免震でも、共振は避けられない現象で最も危険なものと考えられていた。
この装置及びこの運動方程式・プログラムに従った装置・構造により共振のない構造体が実現可能である。


6.垂直免震装置
6.1.滑り部垂直変位吸収型の垂直免震装置・滑り支承
4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承の応用であり、水平免震装置の免震皿上を滑る滑り部を、筒とその下部に突き出る形で挿入される滑り部先端からなる垂直免震装置とすることで、コンパクト化が可能になる。
筒中にバネ等を挿入することにより、垂直変位の吸収に加え、復元力を高めたり、免震される構造体の地震後の残留変位の矯正を可能にする。

6.2.垂直免震付き引抜き防止装置(復元付き含む)
十字型免震装置・滑り支承(復元付き含む)、また引抜き防止装置・滑り支承により地震の水平力を吸収し、上記免震装置に垂直方向に弾性のあるバネ等を地震垂直動のみを吸収できるように設置することにより、地震の水平力と垂直力の免震を分担し、垂直免震を可能にする。
また、2.1.の復元・減衰バネ等付引抜き防止装置・滑り支承に、このバネ等が設置される場合は、水平復元または減衰性能をも持つ。

6.3.各層・各階ごとの垂直免震装置
免震される構造体を支持する構造体の基礎部(または低層階)に設けた水平免震装置によって免震される構造体全体を地震水平力から免震させ、地震垂直力に関しては層単位または階単位で免震させる垂直免震装置を設置することにより、地震の水平力と垂直力の免震を分担し、建物等の構造体の垂直免震を現実的な形で可能にする。

6.4.引張材による垂直免震装置
免震される構造体の柱、梁、基礎等の支持材を、三方向以上に引張材を張ることで支持し、引張材の弾性もしくは引張り材の途中に設けられたバネ等の弾性によって、免震される構造体の地震の水平力に対する免震に加え垂直力に対する免震が可能となる。
また、バネ等を用いず、弾性力の高い高張力の綱また高張力のワイヤー・ロープ・ケーブル材を利用することにより、重量の大きい構造体の垂直免震にも対応できる。また、バネ等を用いる場合と用いない場合のいずれも、水平力免震としての機能をも合せ持つ。


7.免震による地震発電装置
7.1. 免震による地震発電装置
免震装置と固定装置の活用により、地震エネルギーの三次元的動きを上下運動(ピン型)、水平運動(ラックと歯車型)の一次元の動きに、さらに回転運動にに変換して発電を行い、地震エネルギーを電気等の有益なものに換えることが可能になる。

7.2. 地震発電装置型地震センサー
上記の 7.1.の地震発電装置を用いることで、地震エネルギーを使用して他に電源を必要としない地震センサーが可能になる。
さらに、地震エネルギー発電により、固定装置の解除までを行える電気等のエネルギーを発生させることが可能になる。


8.固定装置・ダンパー
8.1. 地震作動型固定装置
通常時は免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して風揺れを防止する固定装置において、地震時に地震の振動を感じると固定装置の固定が解除される装置である。
通常時は免震される構造体は免震される構造体を支持する構造体に固定されているので、安全である。

8.1.1. 剪断ピン型固定装置
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定ピンによって固定し、地震時に一定以上の地震力により固定ピン自体が切断されて固定解除を行う固定装置である。この固定ピンの性質上、一回のみ作動型であり、簡易型に適している。また仕組みが単純なのでメンテナンスも簡易である。

8.1.2. 地震センサー(振幅)装置装備型固定装置
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、地震センサーまたは地震センサー(振幅)装置等によって、一定以上の地震時に固定装置を解除する装置である。
8.1.1.の剪断ピン型固定装置に比べて地震に対して感度のよい固定装置が可能になり、免震性能の向上を図れる。

8.1.2.1. 吊材切断型
8.1.2.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、地震時に固定ピンを支えている吊材を切断することで、バネ等、または重力、または挿入部の形状(すり鉢型等)などにより、挿入部から固定ピンが外れ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるような機構であり、簡易な仕組みであるため、メンテナンス等の負担を軽減できる。

(1)地震センサー振幅装置装備型
8.1.2.1.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、8.1.2.(1)に述べられているような、地震センサー振幅装置により作動するタイプで、電源設備等を必要としない。
地震センサー振幅装置の振幅が自由にされた重り、またはその重りに連動された部材(押出し部・引張り部等、必要によりレリーズを介したワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等)に刃が付き、地震時にその重りの振幅が一定以上となると、その刃が固定ピンを支える吊材を切断し、固定ピンがバネ等、重力、すり鉢等の固定ピンの挿入部の勾配により、その挿入部から外れるように構成される。 また、8.1.2.2.のロック解除型と同様に、刃の出の調節、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の長さ(弛みの有無)または振り子の吊り長さの調節を可能とすることによって、地震感度を変更することができる。

(2) 地震センサー装備型
1) 一般
8.1.2.1.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、8.1.2.(2) a)に述べられているような、地震センサーとの連動により作動するタイプであり、地震センサー装置から信号を伝える電線により連動するロック部材制御装置に刃が付き、地震時に地震センサー装置が地震力を感知すると、ロック部材制御装置が作動して固定ピンを支える吊材を切断し、固定ピンの挿入部から固定ピンが外れて免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除される。
8.1.2.2.のロック解除型の地震センサー装備型と同様に、作動する地震力について設定等が容易である。

2)地震発電による地震センサー装備型
8.1.2.1.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、8.1.2.(2) b)に述べられているような、地震発電装置による地震センサーとの連動により作動するタイプであり、地震時に地震発電装置が作動し、その発電した電力によりロック部材制御装置も作動して、このロック部材制御装置に付けられた刃が固定ピンを支える吊材を切断する。
電気式でありながら、地震発電を利用するため電源設備を必要とせず、作動する地震力について設定等が容易である。

8.1.2.2. 間接方式(ロック解除型)
8.1.2.2.1. 基本形
8.1.2.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、地震時に固定装置の作動部のロック部材を外し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成されている機構である。
具体的には、固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、挿入部に固定ピンを挿入することよって固定し、地震時以外は、固定ピンに、固定ピンをロックするロック部材が働いて風揺れ等を防止する固定装置において、
地震センサー振幅装置または電気式振動計等の地震センサーをもち、
前記ロック部材と接続され、
地震時にその加速度がある一定以上の大きさになると、
地震センサー振幅装置の重りの振幅がある一定以上の大きさになり、重りにより直接またはそれに連動された部材によって、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材によって、
固定ピンのロック部材を解除し、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。
ロック部材のみを操作するため、直接固定ピンを操作する機構よりも、小さなエネルギーで作動させることができる。またセンサーの感度を敏感に設定することもできる。

1) ロックピン方式
8.1.2.2.1.の形式のうち、地震時にロック部材が解除されると、この固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ等、重力、また地震力によって挿入部等からこの固定ピンが外れ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除される仕組みであり、機構が簡易であるためメンテナンス等が容易である。

2) ロック弁方式
8.1.2.2.1.の形式のうち、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁を地震センサー振幅装置と連動して開閉することにより、固定ピンのロックを行うもので、8.1.2.2.4.(1) 4)遅延器と併用することで、装置をコンパクト化できる。
また、以上の機構は、それぞれ(1) 地震センサー振幅装置装備型と(2)地震センサー装備型の場合に分かれる。
(2)地震センサー装備型の中で特に効果のあるのは、地震センサー装備型自動復元型固定装置のうち、固定ピンの復帰を地震力を用いた自動復元とする型であり、(1)の地震センサー振幅装置の代わりに地震センサーを使ったもので、固定装置の解除時の感度の精度が上げられ、固定ピンの復帰は、地震力だけを利用して行う。
また、(2)地震センサー装備型において、2)の地震発電による地震センサー装備型は、1)の地震センサーの代わりに7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを用いる場合で、固定装置の作動に当たって地震発電を利用するため電源設備を必要としない型である。

8.1.2.2.2. 電気等による自動復元型
8.1.2.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、固定ピンが解除された場合に、地震後に電気等により自動的に固定状態に復帰させるものである。
具体的には、8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置(ロック解除型)の固定ピンに固定装置自動復元装置が設けられ、地震後に、固定装置自動復元装置が、固定ピンをロック部材のロック(係合)する位置に自動復元するもので、その位置は、固定ピンが完全に解除されたときに来る位置に設置される。
以上の機構は、(1) 地震センサー振幅装置装備型と(2)地震センサー装備型の場合に分かれる。
(2)地震センサー装備型において、2)の地震発電による地震センサー装備型は、1)の地震センサーの代わりに7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを用いる場合で、固定装置の作動に当たって地震発電を利用するため電源設備を必要としない型である。

8.1.2.2.3. 地震力による自動復元型
8.1.2.地震センサー(振幅)装置装備型の固定ピン型固定装置のうち、固定装置の固定ピンの挿入部をすり鉢形状・球面形状等の凹形状にすることにより、固定装置解除後の固定ピンの元の位置への、地震力による自動復帰を可能にしたものであり、固定ピンの復元に当たって電源設備等を必要としない。
この方式は固定ピン型固定装置全般(地震作動型固定装置、風作動型固定装置等)に採用することが可能であり、特に、省力化方式である間接方式(8.1.2.2. 特に 8.1.2.2.1.と 8.1.2.2.4. または 8.2.の風作動型固定装置)においての採用は不可欠とも言えるほど極めて有利となる。
すなわち、固定の解除から免震、固定復帰までの一連のプロセスを地震力のみによって行うことができ、この一連のプロセスに電源設備を必要としないという効果を持つのである。
8.1.2.2.2.また8.1.2.3.は電気制御式が一般的になるが、地震後の固定装置の元の位置への復帰に関して、地震後の停電を考えると、電気による自動復元装置は、中小ビル以下では適用しにくい。この地震センサー(振幅)装置装備型自動復元型固定装置は、電気に頼らないシステムにより、その問題を解決するものである。

8.1.2.2.4. 応用形
以下の発明は、8.1.2.以下の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置全般に使用可能なものである。 1)を除けば、8.2.1.以下の風センサー装備型固定装置の間接方式にも使用できる。
1) ロック部材が地震センサー振幅装置の重り型
地震センサー振幅装置の重りがロック部材を兼ねるようにしたもので、地震センサー振幅装置と固定装置が一体化できる。
地震時にこのロック部材を兼ねる重りが振動状態となり、固定ピンから外れることで固定ピンを解除する。また、固定ピンの挿入部をすり鉢形状・球面形状等の凹形状にすることにより、地震力による固定装置の復元を可能にする。
2) 二段以上ロック方式
固定ピンをロックする第一のロック部材、このロック部材をロックする第二のロック部材、・・・のようにロック部材を二段以上に設け、最後のロック部材(二段目以降)を地震センサー振幅装置と連動するようにしたもので、地震センサー振幅装置が固定ピンを解除するのに必要な力、及びその際の引張長さまたは圧縮長さを小さく押さえることができ、固定装置の作動感度を上げられる。
3) 二重以上ロック方式
固定ピンをロックするロック部材を二個以上設け、またそれぞれのロック部材について地震センサー振幅装置を設置し、連動させたものである。複数のロック部材があることでより固定ピンのロックの安全性が増し、かつロック部材が差し込まれる欠き込み・溝・窪みを浅くでき、固定装置の作動感度を上げられる。
したがって、二重以上ロック方式については、複数のロック部材それぞれに、それぞれに対応する地震センサー(振幅)装置が接続された場合に特に意味をもつ。つまり、地震センサー振幅装置を複数設置し、それぞれについてロック部材を設け、連動させたもので、複数のロック部材があることでより固定ピンのロックの安全性が増し、かつロック部材が差し込まれる欠き込み・溝・窪みを浅くできる。
4) 遅延器付き
地震時の免震効果を上げるため固定ピンの解除状態を持続させるために、固定ピンの固定位置への戻りを遅延させるものである(詳細は8.5.に記載)。

8.1.2.2.5. (ロック)弁方式
8.1.2.2.5.1. (ロック)弁方式(1)
スライド式ロック弁とそれに連動する地震センサーの重りを使用し、このロック弁に付いた抵抗板をつけることにより、地震センサーの重りが小さくても敏感な感度のロック弁が可能になる。また、スライド式ロック弁を複数設置することによって、全方向の地震力に対応することが可能となる。

8.1.2.2.5.2. (ロック)弁方式(2)
地震センサー振幅装置の重りが、(振り子またはバネまたは球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)よって平衡を保たれて)通常位置にあると、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口・出口経路を塞ぐ位置となることにより、地震感度として全方向対応の地震センサーが可能になり、しかもスムーズな弁との連動が、ダイレクトな連動が可能になり、地震センサーの重りが小さくても敏感な感度のロック弁が可能になる。

8.1.2.3. 直接方式(自動制御型固定装置)
8.1.2.2.2.に対し、免震される構造体の固定の解除まで自動で行うものである。

8.1.2.4. 地震センサー(振幅)装置
8.1.2.4.1. 地震センサー(振幅)装置
地震センサー(振幅)装置は、地震センサー及び地震センサー振幅装置とに分けられる。

8.1.2.4.2. 地震センサー(振幅)装置の設置場所
地震センサー(振幅)装置の設置場所は、(地震に関しては)免震される構造体Aと免震される構造体を支持する構造体Bのどちらでもよいが、免震される構造体を支持する構造体Bの方に設置することで地震以外の振動を感知させないようにすることができる。また地震センサーからの指令を電気等で送る場合は、地下等の場所も可能である。

8.1.2.4.3. 地震センサー(振幅)装置の設計
(1) 地震センサー(振幅)装置の周期
1) 地震センサー(振幅)装置の周期設計
地震センサー(振幅装置)の重りの周期を、それが設置される構造体の建てられれる敷地の地盤周期に合わせて設定することにより、地震時初期の小さな揺れの段階から、地震センサー(振幅)装置の重りが地盤周期と共振し、大きく揺れて作動するため、地震センサー(振幅装置)の感度を高めることができる。
2) 地震センサー振幅装置の重り共振装置
地震時に重りを共振させるためには、重りに繋がる(固定装置へも繋がる)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に余裕(たるみ)を与える必要がある。
しかし、たるみを与えるとセンサー感度が落ちる。
そこで、重りの周りに重りの衝突を受け、かつ重りともなる周囲材を設け、その周囲材に固定装置に繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を取付ける。
そうすることにより、 地震時に重りを地震と共振させることができ、且つ固定装置へ繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に余裕(たるみ)を与える必要もなくなる。
3) 地震センサー振幅装置の複数個重り共振装置
地盤周期の幅に対応可能な地震センサーを考える場合、複数個の重りを設けて、振動周期をその重りごとに変えることにより、地盤周期への対応に幅を持たせることが可能になる。
4) 地震センサー振幅装置の複数共振装置
地盤周期の幅に対応可能なセンサーを考える場合、地震センサー振幅装置の振り子の支え自体にもバネを設けて、振り子とバネとにより二つの周期が得られるようにして、地盤周期の幅に対応させることが可能になる。

(2) 全方向感度
1) ラッパ形状の孔
地震センサー振幅装置の重りの直上あるいは直下に、重りの揺れが引張力あるいは圧縮力として伝わるようにワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を設け、その延長上の地震センサー振幅装置の筐体あるいは支持枠に(もしくはその内部あるいは外部に)、すり鉢状またはラッパ形状の孔を持つ挿入部を設け、重りに接続されたワイヤー・ロープ・ケーブル等をそこに通すことで、重りの揺れの方位に関係なく、揺れの振幅によってのみ引き抜き長さあるいは圧縮長さが決まる。このことにより地震センサー振幅装置の感度を、地震力の方向によらず一定とすることができる。

2) ローラー状ガイド部材
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、地震センサー振幅装置の重りの水平方向に、固定装置と繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル等を結合し、重りの(振幅寸法の余裕を取った)すぐ脇にローラー等のガイド部材を(回転軸等を)を垂直方向に二本設けて、このワイヤー・ロープ・ケーブル等を通すことで、全方向に対して同等の引抜き力または圧縮力の伝達が可能になり、地震センサー振幅装置の感度を、地震力の方向によらず一定とすることができる。

(3) 増幅器付き地震センサー振幅装置
地震センサー振幅装置に梃子・滑車・歯車等からなる(変位)増幅機構を組込むことによって、連結しているワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に伝えられる、地震時の引張長さあるいは圧縮長さを増幅させ、地震初期の小さな変位振幅にも対応できるようにすることで、地震センサー振幅装置の感度を高めることができる。
なお、増幅器として梃子が使用された場合、梃子が全方向からの地震力を伝達できるように構成されるものは、8.1.2.4.3.の(2)と同様、地震力がどの方向から働いても、同等の感度(引抜き力または圧縮力の伝達)を可能にする。

(4)増幅器付き地震センサー振幅装置(その2)
免震皿上に乗せた地震センサー振幅装置の重り(重力復元型)を、よく転がることのできる形状とし、この重りの上部に球面またはすり鉢等の凹形状の挿入部を設け、(変位増幅のための)梃子の力点が挿入されている。この梃子の支点は重りの直上にあり、作用点はさらにその延長線上にあってワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等が連結されている。このことにより、地震時に梃子の作用点には、重りの変位分と、重り(と凹形状挿入部)の回転が与える変位分とを、梃子が増幅した変位が生じ、連結されるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等に伝えられるため、地震センサー振幅装置の作動感度を高めることができる。
また、梃の支点を全方向の回転可能とし、梃の力点が入り込む重りの挿入部の球面またはすり鉢等の凹形状に、梃の先端部が追随することで、全方向からの地震力を伝達することができる。
この方式では、重り自体が自由に転がることができるため、重りの下にボール(ベアリング)を設置する必要は無い。

8.1.3. 連動作動型固定装置
固定装置は、2か所以上に必要な場合が多いが、各装置が同時にロック解除されない場合、構造体は固定されている箇所に偏りが生じ、捩れた動きをしてしまう。連動作動型固定装置はその問題を解決するものである。

8.1.3.1. 連動作動型固定装置(1)
8.1.1.剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなり、地震時に剪断ピン型固定ピンが折れるか切れるかすると、この剪断ピン型固定ピンと次の固定ピンのロック部材とを繋いでいるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等が弛み、ロック部材がバネ・ゴム・磁石等により(2個目の)固定ピンからはずれてロックが解除されることで、連動作動が行われるものである。このことにより、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐほか、剪断ピン型固定ピンの場合、複数の固定ピンが必ずしも同時に切断されないという欠点を解決する。

8.1.3.2. 連動作動型固定装置(2)
複数の固定装置からなり、それぞれの固定ピンのロック部材が、固定ピンをロックまたはロック解除する方向にスライドできるような状態で設置され、ロック部材同士はワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたレリーズ等で連結されており、地震時にこのロック部材の一つが、固定ピンを解除する方向で作動すると、その他の固定ピンのロック部材も同時にそれぞれの固定装置を解除する形で連動する。このことにより、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(1)地震センサー(振幅)装置装備型
8.1.3.2. 連動作動型固定装置(2)において、地震センサー振幅装置の重りが、直接または伝達する部材を介して、ロック部材の一つに固定ピンを解除する方向で作用し、連動によりその他の固定ピンのロックも解除するようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(2)剪断ピン型
8.1.3.2. 連動作動型固定装置(2)において、ロック部材にロックされて固定されている剪断ピン型固定ピンが、地震時に折れるか切れるかして、この剪断ピン型固定ピンが重力またはバネ・ゴム・磁石等の力によってはずれると、ロック部材のはまっている欠き込み・溝・窪みの形状により、ロック部材が押し出される等してはずれ、連動するその他の固定ピンのロックも解除するようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

8.1.3.3. 連動作動型固定装置(3)
複数の固定装置からなり、それらの固定ピンをロックする複数のロック孔を持つロック部材が、各固定ピンをロックまたはロック解除する方向にスライドできるような状態で設置され、地震時にこのロック部材が、固定ピンを解除する方向に作動すると、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるものである。このことにより、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(1)地震センサー(振幅)装置装備型
8.1.3.3. 連動作動型固定装置(3)において、地震センサー振幅装置の重りが、直接または伝達する部材を介して、ロック部材に固定ピンを解除する方向で作用し、連動により同時にすべての固定ピンのロックが解除されるようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(2)剪断ピン型
8.1.3.3. 連動作動型固定装置(3)において、ロック部材にロックされて固定されている剪断ピン型固定ピンが、地震時に折れるか切れるかして、この剪断ピン型固定ピンが重力またはバネ・ゴム・磁石等の力によってはずれると、ロック部材のはまっている欠き込み・溝・窪みの形状により、ロック部材が押し出される等してはずれ、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

8.1.3.4. 連動作動型固定装置(4)
複数の固定装置からなり、それらの固定ピンをロックする複数のロック孔を持つロック部材が、各固定ピンをロックまたはロック解除する方向に、一つの点を軸にして回転できるような状態で設置され、地震時にこのロック部材が、固定ピンを解除する方向で作動(回転)すると、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるものである。このことにより、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(1)地震センサー(振幅)装置装備型
8.1.3.4. 連動作動型固定装置(4)において、地震センサー振幅装置の重りが、直接または伝達する部材を介して、ロック部材を、固定ピンを解除する方向で回転させ、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(2)剪断ピン型
8.1.3.4. 連動作動型固定装置(4)において、ロック部材にロックされて固定されている剪断ピン型固定ピンが、地震時に折れるか切れるかして、この剪断ピン型固定ピンが重力またはバネ・ゴム・磁石等の力によってはずれると、ロック部材のはまっている欠き込み・溝・窪みの形状により、ロック部材が押し出される等して、ロック部材が回転してはずれ、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるようになっており、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

8.1.3.5. 連動作動型固定装置(5)
1個もしくは複数個の固定装置からなり、地震時に地震センサーからの電気信号により、同時にすべての固定ピンのロックが解除されるものである。このことにより、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(1)電気で固定ピン自体が解除されるもの
8.1.3.5. 連動作動型固定装置(5)において、1個もしくは複数個の固定ピン自体が解除されるもので、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防ぐ。

(2)電気で固定ピンのロックのみが解除されるもの
8.1.3.5. 連動作動型固定装置(5)において、1個もしくは複数個の固定ピンをロックしているロック部材が解除され、固定ピン自体はバネ・ゴム・磁石等あるいは地震力等により解除されるもので、同時ロック解除の失敗による偏心ロック状態による捩れ振動を防いでいるほか、速やかさを要求される8.1.3.5.(1)の固定ピン自体を解除する方式に比べ、必要な電力は小さくてすみ、また簡易な機構で実現可能である。

8.2. 風作動型固定装置
風センサーにより、風時にのみ固定装置の作動部が作動して、免震される構造体が固定される。この型のメリットは、8.1.地震作動型固定装置のように地震力の大きさによらず、全ての微細な地震まで免震可能だということである。

8.2.1. 風センサー装備型固定装置(一般型)
普段は、免震される構造体の固定は解除されていて、風センサーの反応によって、一定以上の風力・風速・風圧等になると、固定装置の作動部がロックされて免震される構造体を固定し、一定以下の風力・風速・風圧等になると、固定装置の作動部のロックが解除される。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。また、風センサーを回転可能な形状とし、常に風上を向くような機構とすることで、すべての方位の風に対応できる。

(1)直接方式
1) 固定ピン型固定装置
2) 連結部材弁型固定装置
8.2.1. 風センサー装備型固定装置(一般型)において、風センサー等で一定以上の風力・風速・風圧等を感知すると、固定装置の作動部が直接固定され、また一定以下になると直接固定されていた固定装置の作動部が解除される。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。

(2)間接方式(ロック解除型)
8.2.1. 風センサー装備型固定装置(一般型)において、風センサー等で一定以上の風力・風速・風圧等を感知すると、固定装置の作動部のロック機構が作動し、また一定以下になるとロック機構が解除となる。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となるほか、8.2.1.(1)の直接方式よりも作動に必要な力が小さく、機構を簡略にすることができる。

1)ロック弁方式
8.2.1.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁の開閉により固定ピンのロックを行うもので、
風センサーと連動して、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものと、風センサーからの機械的力が、直接このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものとがあり、共に装置のコンパクト化が期待できる。

2)ロックピン方式
8.2.1.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定装置の作動部のロックを、固定装置の作動部の欠き込み・溝・窪みに挿入されるロックピン(ロック部材)により行うもので、風センサーと連動して、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)をロックさせるものと、風センサーからの機械的力が、直接にこのロックピン(ロック部材)をロックさせるものとがあり、共に8.2.1.(2) 1)ロック弁方式に比べてロックの確実さが期待できる。

8.2.2. 風センサー装備型固定装置(油圧型)
8.2.1.一般型に対し、風センサーに風圧力を受ける風圧板を設け、連動する油圧ポンプにより、風圧力を油圧力に変換し、固定装置への連動をこの油圧力で行うタイプである。
風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。

(1)直接方式
1) 固定ピン型固定装置
2) 連結部材弁型固定装置
8.2.2. 風センサー装備型固定装置(油圧型)において、風センサーに設けられた風圧板が受ける風圧力が一定以上になると、この風圧力が変換された油圧ポンプからの油圧力が、直接(ピストン状部材を伴った)固定ピン等の固定装置の作動部を作動させ固定を行い、また風圧が一定以下になると風圧板と連動している油圧ポンプにより、固定されていた固定装置の作動部が直接解除される。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。
また、風圧板と連動する油圧ポンプと、固定装置を作動させる油圧ポンプとのシリンダーの大きさの比により、固定装置の風力に対する感度の調節が可能である。つまり、風圧板と連動する油圧ポンプのシリンダーを固定装置を作動させる油圧ポンプに対して大きくするほど、風力に対して敏感となる。
なお風圧板を回転可能な形状とし、常に風上を向くような機構とすることで、すべての方位の風に対応できる。

(2)間接方式(ロック解除型)
8.2.2. 風センサー装備型固定装置(油圧型)において、風圧板が受ける風圧力が一定以上になると、固定装置の作動部のロック機構が作動し、また一定以下になるとロック機構が解除となる。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となるほか、8.2.2.(1)の直接方式よりも必要な仕事は小さく、機構は簡略にすることができる。

1)ロック弁方式
8.2.2.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁の開閉により固定ピンのロックを行い、
風センサーに設けられた風圧板が受ける風圧力を変換した油圧力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものと、油圧力が直接このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものとがあり、共に装置のコンパクト化が期待できる。

2)ロックピン方式
8.2.2.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定装置の作動部のロックを、固定装置の作動部の欠き込み・溝・窪みに挿入されるロックピン(ロック部材)により行うもので、風センサーと連動して(油圧ポンプからの油圧力が信号として働いて)、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)をロックさせるものと、風センサーからの機械的力(油圧ポンプからの油圧力)が、直接このロックピン(ロック部材)をロックさせるものとがあり、共に8.2.2.(2) 1)ロック弁方式に比べてロックの確実さが期待できる。

8.2.3. 風センサー装備型固定装置(機械型)
8.2.1.一般型に対し、風センサーから固定装置までの連動を、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等により伝達される機械的力(圧縮力または引張力)で行うタイプである。

(1)直接方式
1) 固定ピン型固定装置
2) 連結部材弁型固定装置
8.2.3. 風センサー装備型固定装置(機械型)において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応により、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等が機械的力(圧縮力または引張力)を受け、この機械的力が信号として働いて固定装置を作動させ、固定装置の作動部を直接ロックするものと、この機械的力が直接固定装置の作動部に作用してロックを行うものとがあり、共に風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。
(2)間接方式(ロック解除型)
8.2.3. 風センサー装備型固定装置(機械型)において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応に連動した機械的力により、固定装置の作動部のロック機構が作動し、また一定以下になるとロック機構が解除となる。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となるほか、8.2.3.(1)の直接方式よりも必要な仕事は小さく、機構は簡略にすることができる。

1)ロック弁方式
8.2.3.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁の開閉により固定ピンのロックを行い、
一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応に、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して連動した機械的力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものと、この機械的力が直接にこのロック弁(ロック部材)を閉じさせるものとがあり、共に装置のコンパクト化が期待できる。
なお風センサーが風圧板を持つ場合は、風圧板を回転可能な形状とし、常に風上を向くような機構とすることで、すべての方位の風に対応できる。

2)ロックピン方式
8.2.3.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定装置の作動部のロックを、固定装置の作動部の欠き込み・溝・窪みに挿入されるロックピン(ロック部材)により行うもので、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応に連動した機械的力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)をロックさせるものと、風センサーからの機械的力が、直接にこのロックピン(ロック部材)をロックさせるものとがあり、共に8.2.3.(2) 1)ロック弁方式に比べてロックの確実さが期待できる。

8.2.4. 風センサー装備型固定装置(電気型)
8.2.1.一般型に対し、風センサーから固定装置までの連動を電気信号で行うタイプである。ほかの方式に比べ制御(タイマー等)や伝達機構(配線等)の自由度が高い利点がある。

(1)直接方式
1) 固定ピン型固定装置
2) 連結部材弁型固定装置
8.2.4. 風センサー装備型固定装置(電気型)において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応により電気的信号を送り、固定装置内のモーターまた電磁石等によって固定装置の作動部を直接作動させ固定を行うするものであり、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。また、タイマー等により、風力が一定以下になってから固定装置の作動部が解除されるまでの時間設定等も可能である。

(2)間接方式(ロック解除型)
8.2.4. 風センサー装備型固定装置(電気型)において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応により電気的信号を送り、固定装置の作動部のロック機構が作動し、また一定以下になるとロック機構が解除となる。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となるほか、8.2.4.(1)の直接方式よりも必要な仕事は小さく、機構は簡略にすることができる。

1)ロック弁方式
8.2.4.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁の開閉により固定ピンのロックを行い、
一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応により電気的信号を送り、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものであり、装置のコンパクト化が期待できる。

2)ロックピン方式
8.2.4.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定装置の作動部のロックを、固定装置の作動部の欠き込み・溝・窪みに挿入されるロックピン(ロック部材)により行うもので、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風センサーの反応により電気的信号を送り、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)をロックさせるものであり、8.2.4.(2) 1)ロック弁方式に比べてロックの確実さが期待できる。

8.2.5. 風力発電機装備型風センサー装備型固定装置
8.2.4. 風センサー装備型固定装置(電気型 )において、風センサーに相当する部分が風力発電機であり、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風力発電機の発生させる電力・電圧・電流等が、固定装置を作動させる以上の値になって固定装置を作動させ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するものである。このことにより、電気型の利点を持ちつつ、電源設備を必要としない装置が可能となる。

(1)一般型(直接方式含む)
1) 固定ピン型固定装置
2) 連結部材弁型固定装置
8.2.5. 風力発電機装備型固定装置において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風力発電機の発生させる電力・電圧・電流等が、固定装置を作動させる以上の値になると固定装置内のモーターまた電磁石等を稼働させ、固定装置の作動部を直接動かし固定を行うものであり、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となる。また、タイマー等により、風力が一定以下になってから固定装置の作動部が解除されるまでの時間設定等も可能である。

(2)間接方式(ロック解除型)
8.2.5. 風力発電機装備型固定装置において、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風力発電機の発生させる電力・電圧・電流等が、ロック機構を作動させる以上の値になって固定装置の作動部のロック機構が作動し、また一定以下になるとロック機構が解除となる。このことにより、風時以外ではすべての微細な地震まで免震が可能となるほか、8.2.5.(1)の直接方式よりも必要な仕事は小さく、機構は簡略にすることができる。

1)ロック弁方式
8.2.5.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
このロック弁の開閉により固定ピンのロックを行い、
一定以上の風力・風速・風圧等になると、風力発電機の発生させる電力・電圧・電流等が、モーターまた電磁石等を作動させる以上の値になって、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるものであり、装置のコンパクト化が期待できる。

2)ロックピン方式
8.2.5.(2)間接方式(ロック解除型)において、固定装置の作動部のロックを、固定装置の作動部の欠き込み・溝・窪みに挿入されるロックピン(ロック部材)により行うもので、一定以上の風力・風速・風圧等になると、風力発電機の発生させる電力・電圧・電流等が、モーターまた電磁石等を作動させる以上の値になって、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)をロックさせるものであり、8.2.5.(2) 1)ロック弁方式に比べてロックの確実さが期待できる。

8.3. 固定装置の設置位置とリレー連動作動型固定装置
8.3.1. 一般
固定装置は、免震される構造体の重心位置またはその近傍に、1カ所または複数箇所設置され、免震される構造体に回転が生じない程度離れた、2カ所以上設置の場合であれば、風揺れ等による回転に抑制し安定する。
しかし、2個以上設置された固定装置に関しては以下の問題がある。
地震作動型固定装置の場合、固定装置の固定の解除が全て行われず、一か所だけが解除されなかった場合、特に周辺位置の固定装置のうち一か所だけが解除されなかった場合、この一か所の固定装置により地震動により偏心して捩れて振り回される可能性が生じる。その問題を解決する必要がある。
風作動型固定装置の場合、固定装置の固定が全て行われず、一か所だけが固定された場合、特に重心位置の固定装置が固定されず、周辺位置の固定装置のうち一か所だけが固定されている場合は、風力によりこの固定された固定装置位置を中心にした回転が生じる。その問題を解決する必要がある。

8.3.2. 2個以上の固定装置の設置
地震作動型固定装置の場合、同時連動作動が望ましいが、電気式連動でないと同時作動は難しく、また離れた位置に設置された2個以上の固定装置の場合には、8.1.3.連動作動型固定装置の採用も難しい。各固定装置の地震感度に差を設ける事で、上述の問題を解決できる。

(1)重りをできるだけ重くした、増幅器付き地震センサー振幅装置の採用
複数個の固定装置を同時に解除させるには、地震力の小さい内に固定ピンが解除されている必要があるが、地震センサー振幅装置の重りを大きくすること、地盤周期と地震センサー振幅装置の重り等の周期を合わせること、8.1.2.6.3.(3) 増幅器付き地震センサー振幅装置を使用することなどにより、地震センサー振幅装置の感度を上げることで、問題を解決できる。特に増幅器を使用する場合は、引き抜き長さまたは圧縮長さの増幅率に応じ、引き抜き力または圧縮力が減じられるので、その分の重り重量の増分を見込む必要がある。

(2)固定装置(敏感型・鈍感型)の設置による
地震時に複数個の固定装置を解除する場合、固定装置が一個でも未解除による偏心ロック状態による捩れ振動(偏心による回転)を防ぐため、重心またはその近傍に位置する固定ピンが最後に解除される必要がある。
重心またはその近傍に位置する固定装置と、周辺に位置する固定装置との間に、地震感度の差を設定し、前者を鈍感型に、後者を敏感型にしておくことで、固定ピン解除の時期をコントロールでき、重心またはその近傍に位置する固定ピンの解除が最後となるようにすることによって、偏心による回転を防ぎ、複数個の固定装置の解除に関する問題を解決できる。
感度の設定に関しては、例えばロック部材の差込まれる固定ピンの欠き込み・溝・窪みの奥行き、固定装置のロック弁の地震に対する感度、地震センサー(振幅)装置の重りの重さ等を調節する、または地震センサー(振幅)装置の周期を地震周期と合わせる、合わせない等により設定が可能である。なお、剪断ピン型固定装置の場合は、固定ピンの切断される感度を調節する。
また、8.2.の、風時に免震される構造体を固定する、風作動型固定装置においては、免震される構造体の重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に、風センサー感度が低い、または固定ピン型固定装置の場合は固定ピンがセット(=ロック・固定)されにくい固定装置を設置し、免震される構造体の重心位置(または重心近傍)には、周辺位置に比べて、風センサー感度が高いまたは固定ピンがセットされ易い固定装置を設置することにより、風時に複数の固定装置が同時に固定されない場合の問題、特に重心位置の固定装置が固定作動されていず、周辺位置の固定装置が固定作動されている場合は、風時に固定作動され位置を中心にした回転が生じる問題を解決することが可能となる。

8.3.3. リレー連動作動型固定装置
複数の固定装置を設置し、それらの同時作動を考えた場合、その確実性に関しては、機械式、電気式共に困難な部分があった。
特に地震作動型の固定装置の場合、同時作動のときに各装置間の時間差があってはならず、また(重心またはその近傍に位置する装置以外の)一つでも解除されない場合の問題は大きかった。
それに対し、このリレー連動作動型固定装置は、複数の固定装置を、同時作動させるのではなく、リレー式に順次に作動させて、一つの固定装置の作動が次の固定装置の作動の条件とし、地震の初期のある時期までにすべての固定装置が解除されているようにするもので、同時作動させる場合よりも連動が確実になるだけでなく、リレーの最末端に重心またはその近傍に位置する装置を配置し、これが最後に解除されるようにすることで、偏心による回転を防ぐことができる。

8.3.3.1. 地震作動型固定装置の場合
8.3.3. リレー連動作動型固定装置のうち、地震時に固定装置が(地震力を利用して)解除されるタイプであり、地震センサー振幅装置、重心またはその近傍に配置するリレー末端固定装置、その中間に1箇所または複数箇所配置するリレー中間固定装置、及びそれらの装置を連動させる部材(機械式の場合はワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等)からなる。
この装置は、地震動がある加速度に達するより前に、リレー連動作動型固定装置がすべて解除されるようにするものであるが、解除されない装置があったとしても、少なくとも重心またはその近傍の固定装置もロック状態にあるため、耐震建築と同等の状態が保証され、地震時の偏心による回転の問題は解決されている。

8.3.3.1.1. リレー中間固定装置
8.3.3.1.地震作動型固定装置におけるリレー中間固定装置は、地震センサー振幅装置と直接つながる、リレー第1中間固定装置と、リレー第2以降中間固定装置とに分かれる。

8.3.3.1.1.1. リレー中間固定装置(一般)
8.3.3.1.1. リレー中間型固定装置の場合、リレー第2以降中間固定装置またリレー末端固定装置とには、ロック部材と固定ピンとの間または固定ピンとその挿入部との間に遊びがある。これは、リレー第1中間固定装置の解除された後免震される構造体に水平移動を許し、このリレー第1中間固定装置の作動によって、リレー第2以降中間固定装置及びリレー末端固定装置のロック部材を解除させ、地震力によりこれらの装置を作動させるためのものである。
地震時には、地震センサー振幅装置の重りの揺れによって発生した引張力あるいは圧縮力が、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によりリレー第1中間固定装置の固定ピンのロックを解除する。そして地震力により免震される構造体が、リレー第2以降中間固定装置またリレー末端固定装置の、ロック部材と固定ピンとの間の遊びまたは固定ピンとその挿入部との遊びにより水平移動し、固定ピンが固定ピンの挿入されているすり鉢等状の挿入部の勾配に従い動くことにより、固定ピンが挿入部を脱して固定装置が作動する。
このときの地震力を受けた固定ピンの動きは、固定装置に組み込まれた連動機構により、引張力あるいは圧縮力へと変換されて、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等により、第2中間固定装置の固定ピンのロックを解除する。以降順次リレー中間固定装置は解除されて、最後にリレー末端固定装置を解除し、リレー連動作動型固定装置全体の作動が終了する。
このように、各固定装置の固定ピンのロック解除が、一つ前の固定装置(あるいは地震センサー振幅装置)の作動によってなされるため、解除されない固定装置があったとしても、それ以降の装置は解除されず、地震時の偏心による回転の問題は解決されている。また、固定ピンのロック解除に要する力は、一つ前の固定装置の固定ピンが受けた地震力を変換したものであるため、リレーが進んでも弱まることなく、常に同じ力で固定装置を作動させていくことができる。

8.3.3.1.1.2. リレー中間固定装置(増幅器付)
8.3.3.1.1.1. リレー中間固定装置(一般)において、固定装置に組み込まれた連動機構に梃子または滑車または歯車等の増幅器を加えることにより、固定ピンが固定ピンの挿入されているすり鉢等状の挿入部の勾配に従い動くことにより生じた小さい変位を、大きな変位に増幅させて、次の固定ピンに連動させることが可能となる。

8.3.3.1.2. リレー末端固定装置
8.3.3.1. (リレー連動)地震作動型固定装置におけるリレー末端固定装置は、リレーの末端に位置する装置として、重心またはその近傍に配置される。
この構成により、周辺の固定装置全てが解除されない限り、重心またはその近傍に配置された固定装置(リレー末端固定装置)は解除されない。したがって複数の固定装置が解除されていくあいだに、固定未解除箇所に偏りがある場合に起こる、免震される構造体の捩れた動きを、防ぐことができる。
またリレー末端固定装置は、複数の系統のリレー連動作動型固定装置にそれぞれ対応した複数のロック部材を持つ場合が考えられるが、この場合は各々のリレー連動作動型固定装置の連結延長を短くできるため作動が確実になり、加えて複数のロック部材がすべて解除されないと固定装置が解除されないため、ロックの安全性がより期待できる。

8.3.3.1.3. 遅延器の設置
リレー連動作動型固定装置において、リレー中間固定装置及びリレー末端固定装置には、地震時に固定装置の作動部の固定が解除された後、固定装置の作動部またはロック部材の(固定装置の作動部を固定する方向への)戻りを遅延させるための遅延器が必要である。
この遅延器は、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置の固定装置の作動部またはロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等または各固定装置内部に取付けられる。
この装置により、地震時に一旦解除された固定装置の作動部の固定が、地震が終わらないうちに再び入ってしまうという事態を避けることができる。地震終了程度まで時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない(詳細は8.5.に記載)。

8.3.3.1.4. 引張力限定伝達装置
二つのL型の部材を相互に引掛かるように組むことにより、引張力のみを伝達し、圧縮力を伝達しないようにするものである。この機構により、固定装置の作動部またはロック部材と地震センサー(振幅)装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間で、装置の作動に必要な方向の力のみを伝達する機能を実現できる。

8.3.3.1.5. リレー連動作動型固定装置の配置構成
リレー中間固定装置は、免震される構造体の周辺部に設置され、リレー末端固定装置は、免震される構造体の重心部(または重心近傍)に設置される。
各固定装置同士の連結・連動の仕方は、地震センサー(振幅)装置Jからまず周辺部にあるリレー第1中間固定装置に連結・連動され、リレー第2以降中間固定装置(リレー2番目〜n番目)に連結・連動された後、最後に、重心部に位置するリレー末端固定装置G-eに連結・連動される。リレー中間固定装置が一つしか無い場合は、リレー第1中間固定装置G-m1が、直接にリレー末端固定装置G-eに連結・連動される。
最後に位置する、リレー末端固定装置への連結・連動には、複数経路で伝達される場合があり、その場合、リレー末端固定装置には、その経路の個数分のロック部材が設けられる。
このことにより、免震される構造体は、周辺部の固定が全て解除されてはじめて重心部の固定が解除され、偏心による回転運動を起こすことなく、すべての固定装置が解除されて免震状態に至ることができる。また解除されない固定装置があっても、同様に偏心による回転運動を起こす状態は避けることができる。

8.3.3.2. 風作動型固定装置の場合
風時には、免震される構造体をその重心において最初に固定すればよく、そのために免震される構造体の重心位置に設置された固定装置が一番最初に作動するようにする。また、風力が一定以下になった後、免震される構造体の固定が解除される際には、免震される構造体の重心位置において最後まで固定されているのがよく、重心位置に設置された固定装置が一番最後に解除されるようにする。
このことにより、同時には解除されない固定装置があっても、偏心による回転運動を起こす状態はさけることができる。

8.3.3.2.1. リレー中間固定装置
リレー中間固定装置は風センサーと直接つながっているものと、直接はつながっていないものとがあり、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置と呼ぶ。風センサーまたは直前のリレー中間固定装置に連動している入力連動部と、次のリレー中間・末端固定装置を連動させる出力連動部を持つ。入力連動部は、一定以上の風力になると、風センサーまたは直前のリレー中間固定装置の出力連動部からの指令で、固定装置を固定し、免震機構を固定する役割をし、出力連動部は、次のリレー中間・末端固定装置の入力連動部へと連結・連動しており、一定以上の風力になると次のリレー中間・末端固定装置の入力連動部を作動させてこの固定装置を固定させ、免震機構を固定する役割をする。この機構によって複数のリレー中間固定装置の作動を連動して行うことができる。

8.3.3.2.2. リレー末端固定装置の場合
リレー末端固定装置は直前のリレー中間固定装置と連動する入力連動部のみあればよく、出力連動部38をもつ必要は無いが、前記のリレー中間固定装置を、出力連動部を使用しない形で使うという方法も可能となる。

8.3.3.2.3. リレー連動作動型固定装置の配置構成
風センサーに最初に連結・連動されるリレー第1中間固定装置は、免震される構造体の重心部(または重心近傍)に設置され、リレー第1中間固定装置から、周辺部に設置されたリレー第2中間固定装置以降が、順に連結・連動される。
風力が一定以上になると、風センサーからリレー第1中間固定装置へ、リレー第1中間固定装置からリレー第2中間固定装置へ(重心部から周辺部へ)、というように順に指令が送られ、各固定装置が順次作動していき、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体を固定する。
逆に、風力が一定以下になると、周辺部のリレー第2以降中間固定装置から順に重心部のリレー第1中間固定装置へ連動し、各固定装置が順次解除していき、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する。
このことにより、免震される構造体は、重心部の固定がなされてから周辺部の固定され、また周辺部の解除がなされてから重心部が解除されるため、偏心による回転運動を起こす状態は常に避けることができる。

8.4. 風揺れ等抑制装置・変位抑制装置としての固定装置
8.4.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
8.4.1.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
(1) 風揺れ等抑制装置としての固定装置
挿入部に固定ピンを挿入することよって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との風揺れ時等の動きを抑制する風揺れ等抑制装置において、
固定ピン先端が挿入され固定ピンを固定する方の挿入部と固定ピンを支持する方の挿入部のうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、
固定ピンを固定する方の挿入部は、すり鉢形状等の凹形状として、その挿入部に固定ピンを挿入することにより風に抵抗させ、
かつ、固定ピンを支持する方の挿入部には、抵抗器を採用して固定ピンの挿入部への挿入に対する抵抗を調整可能とする(例えば、固定ピンの取付けられたピストン状部材が筒中で液体や空気等を漏らさずスライドするスライド機構とし、ピストン状部材に孔が設けられるか、筒のピストン状部材がスライドする端と端とが管で繋がれているかして、ピストン状部材がスライドする速度をこの筒内のピストン状部材のスライドによって孔または管等を行き来する液体や空気等の粘性抵抗によって調整可能とする)。
それにより、固定ピンの挿入部の、すり鉢形状等の凹形状の勾配でまず風揺れに抵抗するが、固定ピンがその勾配により持ち上がろうとすると、今度は、抵抗器により(この例では、ピストン状部材によるスライド機構の粘性抵抗により)抵抗を受ける。
以上のことから風揺れ等の抑制装置となる。

(2) 風揺れ等抑制装置としての固定装置(遅延器付き)
さらに、(1)の機能に加えて、抵抗器に8.5.の遅延器を使用し、かつ地震時には免震に対する抵抗にはならないという機能を実現できる。
8.5.遅延器の一例で説明すると、
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンが、この筒中を出入りする時の速度を、この筒のピストン状部材がスライドする端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材に設けられた孔との開口面積の比によって設定するもので、固定ピンが筒中に入るときは速やかに、筒から出るときは遅延されるようにする事ができ、免震を妨げない。
また、風揺れ抑制機能の調整としては、筒のピストン状部材がスライドする端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材に設けられた孔との開口面積の比の設定によっても可能となる。

8.4.1.2. 固定装置・中央部窪み形の風揺れ等抑制装置との併用
この8.4.1.の風揺れ等抑制装置としての固定装置と、固定装置、後述の8.7.の免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置のどちらかと、または両方と併用することで、風揺れを抑え、地震時の快適な免震を期待できる。
特に、重心位置等に設置された固定装置1個と併用することで、固定装置1個のみの場合に風によって生じる、設置点を中心にした回転を防ぐことができ、且つ、当該装置のみで全ての風揺れに対応する場合よりも免震性能を向上させることができる。

8.4.2. 固定装置型ダンパー
当然、風揺れ等抑制装置も兼ねるが、地震時の変位振幅を抑制する。
さらに、以上の 8.4.全体に共通して言えることであるが、通常の風揺れ等抑制装置としての水平ダンパーではXY方向に最低1本ずつ必要であるが、この装置であれば1本でXY方向に対応できる。

8.4.3. 可撓部材型連結部材系ダンパー
この構成によって、一個であらゆる方向のダンパーが可能になる。ダンパーは水平置きまた垂直置きでもよい。 垂直置きの場合は、水平置きの問題を解決する。すなわち水平に置かれることにより30〜50年というような期間では油漏れの心配が生じることである。このような縦置きで油が溜まり漏れ出ることのない形であればこのような問題はなくなる。

8.4.4. ダンパー兼用の固定装置
一つの装置で、風揺れ固定装置とダンパーが兼用できる。
風揺れ固定装置とダンパーも重心に置きたいために、装置を一つにしたかったが、その問題が解決する。また安価にできる。

8.5. 遅延器
1)一般
固定装置の作動部が地震時に解除されるときは速やかに、地震中は固定状態に復しないかもしくは固定状態に復するのが遅延されるようにする遅延器が必要である。
つまり、固定装置(リレー連動作動型固定装置を含む)には、固定装置の作動部が地震時に解除された後、固定装置の作動部もしくはロック部材が固定状態に復するのを遅延させるための遅延器が必要である。
この遅延器は、固定装置の作動部自体に取付けられるか、固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等または各固定装置内部に取付けられる。
この装置により、地震時に一旦解除された固定装置の作動部もしくはロック部材が、地震が終わらないうちに再び固定を行う位置に復帰してしまうという事態を避けることができる。地震終了程度まで時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない。

2)油空圧シリンダー式
筒と、その筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った部材とからなる遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、 固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このピストン状部材に対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
このピストン状部材がスライドする筒の端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材にあいている孔とが設けられており、
管と孔とには開口面積の差をもたせた、この管またはピストン状部材の孔のうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられておるか、
または、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口経路と、出口経路からその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路とが設けられており、
出口経路と戻り経路とには開口面積の差をもたせた出口経路が大きく戻り経路は小さく、
出口経路には、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
戻り経路は、開口面積が小さい場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材が筒中から押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
さらに、重力、また場合によっては筒の中に入れられたバネ・ゴム・磁石等が、このピストン状部材を筒外に押出す役割をする場合もあり、
また、この筒と前記管または経路とは潤滑油等の液体で満たされている場合もあり、
この弁の性格と、開口面積の差をつけることにより、
固定装置の作動部が筒中に入るときは速やかに、筒から出るときは緩やかに(あるいは設置方向によりその逆に)する事ができる。このことにより、固定装置の作動部、またはロック部材は速やかに解除されるが、その戻り(固定)方向については遅延効果を与えることができる。

3)機械式
a) ガンギ車式
機械式遅延器のうち、ガンギ車式の発明である。
ガンギ車とアンクルを用いた機構で、このガンギ車にアンクルの2本のつめがそれぞれ交互にかみ合い、アンクルがその支点を中心に往復運動できる形で組み合わされており、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間の伝達力が、または固定装置の作動部の作動力が、このガンギ車に対し働きかけ、回転力となり、その回転力を受けてガンギ車が歯一個分回転すると、1個目のつめがガンギ車の回転を一時押さえると同時にアンクルがガンギ車から力を受けて、支点を中心に動き、次の瞬間2個目のつめがガンギ車を歯1個分回すと同時にアンクルは先程と逆の方向に動いてはじめの状態に戻り、再び1個目のつめがガンギ車の回転を歯1個分に止めるような機構である。
これにより、ガンギ車は常時回転力を受けていても、それを一定の設定した時間に合わせて解放でき、かつ逆回転は拘束しないため、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は拘束を受けずに伝えることができ、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力には遅延効果を与えることができる。

b)ラチェット式
機械式遅延器のうち、ラチェット式の発明である。
重量式重量抵抗型と水車式・風車式粘性抵抗型とがあり、ともに歯車とラックを用いた機構である。
この遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このラックに対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
このラックの移動の方向により、固定装置の固定またはロックを解除する方向に対しては歯車とラックの歯が噛み合わず、ラックは抵抗を受けずに自由に移動し、逆の方向に対しては歯が噛み合って歯車が回転するようになっている。また歯が噛み合って歯車が回転するとき、ラックの移動に対して、重量式重量抵抗型では歯車の自重が、水車式・風車式粘性抵抗型では歯車の回転と連動して回転する、粘性のある液体(気体)に浸された水車(風車)等の装置が与える負荷が、それぞれ抵抗となるようになっている。
この機構により、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は拘束を受けずに伝えることができ、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力には遅延効果を与えることができる。

c) 重力式
機械式遅延器のうち、重力式の発明である。
歯車とラック及び重りとを用いた機構でる。
この遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このラックに対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
重りは歯車を介してラックの移動と連動しており、その自重がラックの移動方向に対して、固定装置の固定またはロックを解除する方向に対しては抵抗とならず(歯車の回転を助ける側)、固定装置の固定またはロックする方向に対しては抵抗となるような仕組みとなっている。
この機構により、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は拘束を受けずに伝えることができ、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力の伝達には遅延効果を与えることができる。

4) 摩擦式
摩擦式遅延器の発明である。
ピストン状部材とその挿入筒とからなる遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このピストン状部材に対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
このピストン状部材及び挿入筒の一方あるいは両方の内部には、ピストン状部材の移動方向に対して異なった抵抗を与える表面部材が貼られている。この表面部材はそれ自体の形状によって、あるいはバネ等を利用した機構によって、ピストン状部材の移動方向に対して異なる抵抗を与える。
この機構により、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は小さい抵抗で伝えることができ、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力には大きい抵抗を与えることができるため、この機構を遅延器として用いることができる。

5) 経路迂回式
経路迂回式遅延器の発明である。
回転心棒を軸として自由に回転する、円筒状のピストン状部材と、それが挿入される筒とからなる遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このピストン状部材に対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
このピストン状部材の表面には、移動方向に平行な直線部分と、その直線部分の両端を結ぶ曲線部分とからなるループ状のガイドが、筒にはこのガイドの溝に嵌まるピンがそれぞれ設けられ、ピストン状部材が移動すると、このピンとガイドとによりピストン状部材が案内されて回転するような機構になっている。ピストン状部材の移動に伴いピンがガイドに沿って進む方向は直線部分から曲線部分への一方向で、逆戻りをしない仕組みのため、直線部分と曲線部分との延長距離の差と、曲線部分が移動方向に対してなす角度とにより、ピストン状部材の移動方向に対し、異なった抵抗を与えることができる。
この機構により、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は抵抗を受けず速やかに伝達し、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力には大きい抵抗を与えることができるため、その力の伝達は遅延させることができるため、この機構を遅延器として用いることができる。

6)粘性抵抗式
粘性抵抗式遅延器の発明である。
歯車とラック及び水車(風車)等の装置を用いた機構である。
この遅延器を、固定装置の作動部に設けるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に設けるか、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を介して設ける等により、このラックに対し、引張力あるいは圧縮力を伝達するよう接続されている。
この水車(風車)等の装置は、粘性のある液体(気体)から、ラックの移動方向に対応する回転方向ごとに、異なる大きさの粘性抵抗を受ける仕組みである。それによってラックは、固定装置の固定またはロックを解除する方向に対しては、小さな抵抗しか受けずに移動し、逆の方向に移動するのには大きな抵抗を受ける。
この機構により、固定装置の固定またはロックを解除する方向の力は拘束を受けずに伝えることができ、かつ固定装置の固定またはロックする方向の力には遅延効果を与えることができる。

8.6. 固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状
地震後の残留変位の生じる範囲内のどの位置にきても、固定ピンによる免震される構造体の固定機能が働くように、固定ピンによる固定ができる範囲を、地震後の予想される残留変位と同じ範囲とすることにより、地震後の残留変位に対処できる。さらにすり鉢状等の凹面形状で、地震前の停止点に戻るように誘うことも可能である。
この固定ピンをロックできる範囲の形状として、球面形状、すり鉢形状、凸凹の多い摩擦の加わる形状等があげられる。
そして、すり鉢形状等を選択する場合には、8.1.2.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動復元型固定装置による方法を選ぶことによって、元の位置に戻すことも可能になる。
また、上下に、つまり免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とに固定ピンが設けられ、下の固定ピンが上がり、上の固定ピンが下がり、中間滑り部を挟んでロックする上下固定ピン中間滑り部挟み型を考えた場合、二重免震皿免震装置・滑り支承に使えることで、地震後の残留変位への対処としてのすり鉢状等の凹面形状の大きさをほぼ半分にでき、しかも、固定ピンが上下から各々出てくることで、固定ピンの出を小さくでき、固定ピンの可動寸法を小さくでき、電池等による作動を考えた場合でも、その電池等の負担を小さくでき、地震力のみによる作動を考えた場合でも、微小地震での作動を容易にする。

8.7. 免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置(食込み支承)
8.7.1. 免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置
免震皿の中央部が、滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラーの形状で、また入り込む形状で、凹んだ形で形成された免震皿をもつことにより構成される免震装置・滑り支承であり、風揺れを抑制するものであり、簡易な風揺れ等抑制装置である。
地震時の免震性能については、地震時に、中央部窪み形に滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラー等が入り込む心配があるが、 実際は、地震は全方向に動くため中央部を通過するケースはそれほど多くない。とくに中央部窪み径が小さい場合は、その確率は小さく、免震性能を落とさない優れた方法である。

8.7.2.耐圧性能を加味した転がり滑り支承
また、免震皿の中央部を、その免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラーの曲率形状で窪ませる(凹ませる)ことは、一般中高層建物のように自重が大きい場合、免震皿側の耐圧性能を上げる効果と風揺れ防止の効果とを合わせ持つ。

8.7.3. 固定装置との併用
この免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置とを併用することにより、固定装置の設置個数を少なくすることができる。
特に、固定装置1個(重心位置等)との併用の場合は、固定装置を1個だけ使用した場合に起こりうる風による免震される構造体の回転を、中央部窪み形の風揺れ等抑制装置によって防ぎ、かつ、この固定装置が風圧力の荷重を分担するために、この中央部窪み形の風揺れ等抑制装置だけで全ての風揺れに対応する場合より、免震性能を向上させることができる。

8.8. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
8.8.1. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
重力復元型免震装置・滑り支承(すべり転がり支承)の免震皿の凹型滑り面部としては、地震後の残留変位が少なく、固有周期を持たないゆえに共振現象を起こさないすり鉢形状が望ましいが、風への抵抗を考えると、すり鉢形状の勾配を大きくする必要がある。その場合、小規模な地震を免震しにくく、大きな地震時も、すり鉢の底のなす角度が鋭角になるほど、滑り部等の垂直動による振動衝撃が大きくなり、スムーズな免震が得にくい。そこで、すり鉢の中心部の底を球面にすることより、小さい地震も免震可能となり、大きな地震時にも、すり鉢の鋭角な底部を通過することによる衝撃が無くなり、快適な免震が可能となる。すり鉢形状滑り面をボールが転がる構成の場合、特にその効果は顕著であり、すり鉢形状滑り面を球面中間滑り部がすべる構成の場合でも効果はある。
またこのすり鉢底部の球面の固有周期を地震周期と合わせておくことで、地震初期の小さな加速度の時点で共振が発生し、その段階から免震状態へ移行することができる。滑り部等が球面の範囲を脱してすり鉢の部分へ至れば、この共振現象は速やかに減衰する。このことにより免震の初滑動加速度を低く押さえることができる。

8.8.2. 微振動用の自動固定ピンを重心に併用
しかし、8.8.1.で述べたようにすり鉢の底を球面にすると、球面の範囲内では小さい風でも揺れが発生してしまう(底面の球面部以上の振幅は抑制されるが)。そこで、底面の球面部以内の微振動による揺れ止めのために、地震時ロック解除型自動固定ピン(平常時はロックされ、地震時にロックが解除される自動固定ピン)を重心またはその近傍に併用することにより、小さい風では揺れなくなる。
すり鉢形状滑り面をボールが転がる構成の場合は、特にその効果は顕著であり、すり鉢形状滑り面を球面中間滑り部がすべる構成の場合でも、効果はある。

8.9. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承による風揺れ固定
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(4.参照)の利用により、風揺れ固定効果をもたらす。
中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置(地震時以外の通常時の停止位置)に納まった時において、上下の二重免震皿の双方が接して(中間滑り部のために双方が接しない場合には、周辺部に縁を立てる等により接して)、摩擦を発生するようにし、風揺れ等に対処する。
ある一定以上の大きさの地震等が発生して、中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置からずれると、上の免震皿が浮き上がり、上下の二重免震皿が接しなくなり、免震性能を下げる摩擦が発生しなくなる。
さらに、上下の免震皿の全周が接した二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の場合には、免震皿の内部が地震時以外の常時密閉され、潤滑剤の蒸発また雨さらしになる事、塵埃等がたまる事、また空気に暴露される事等による、滑り面部等の摩擦性能の低下を防ぐ事が可能になる。

8.10. 手動型固定装置の併用
(1) 手動型固定装置の併用
積層ゴム等の場合、滑り支承とバネ等を使った場合、球面またすり鉢等の凹面形状等の緩い勾配をもった免震皿を有する支承の場合等に、免震性能を良くするためには固有周期を長くしたいが、強風時に揺れが生じてしまう。このような場合に、強風時用の手動で免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置を一本また複数本併用することにより、高い免震性能を実現し、且つ強風時の揺れを抑制できる。
なおこのような場合でも、強風時用の手動の固定装置無しで強風時の安全が保証されている必要がある。

(2) 自動解除固定手動型固定装置の併用
上記手動型固定装置に関して、強風後において固定解除を忘れても地震時に固定装置が自動的に解除される装置の発明であり、それが採用された免震構造の発明である。

8.11. 地震後の残留変位への対処
8.11.1. すべり型免震装置の残留変位矯正
地震後の残留変位の矯正が困難であったすべり型免震装置に対し、免震皿のすべり・転がりの摩擦面に、液体潤滑剤が潤滑する溝と、当該免震皿の外側にその溝に液体潤滑剤を流し込む孔を設け、地震後に揮発性の液体潤滑剤をこの孔から流し込み、短期的に摩擦抵抗を小さくすることで地震後の残留変位の矯正を容易にすることができる。揮発性の液体潤滑剤は矯正後にできるだけ速やかに揮発し、風揺れ等に対して元の抵抗が得られるようなものを選択する。

8.11.2. 重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の形状
重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の形状としては、すり鉢形状とすることによって、滑り部等が通常の位置に戻り易くなり、地震後の残留変位を少なくできる。

8.12. 風揺れ対策のための固定装置等の組合せ
軽量建物・構造体、特に軽量(木造・鉄骨系)戸建て住宅に対し、いままで述べた風揺れ対策を組合せて使用することで、単独以上の効果を発揮する。

(1) 重心部に固定装置と周辺部にすべり支承または(及び)食込み支承との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部にすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承(8.7.)を配置することで風揺れに対処できる。
すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承のみでは免震性能が悪くなり、固定装置のみでは重心軸での回転対策としてリレー連動作動型固定装置(8.3.3.参照)等が必要になるが、この機構は簡易ではないため、固定装置と周辺部にすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承を併用し、双方が風荷重を適当な割合で分担することにより、すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承のみの場合よりも免震性能を上げることができ、固定装置も一装置のみでよいので、メンテナンスも容易となって簡易化も図れる。

(2) 重心部に地震作動型固定装置と周辺部に風作動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に地震作動型固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に風作動型固定装置を最低限一箇所とを配置することで、風時の重心軸での回転を抑えることが可能になる。

(3) 重心部に地震作動型固定装置と、周辺部に風作動型固定装置とすべり支承または(及び)食込み支承との併用
8.12.(2)の場合に加え、すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承を同時に配置することで、風時の重心軸での回転を抑えることが可能になる。

(4) 重心部に固定装置と周辺部に手動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に手動型固定装置(8.10.)を最低限一箇所とを配置することで、風時の重心軸での回転を抑えることが可能になる。
手動型固定装置について、風が吹き始めたら(また揺れ始めたら)、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、室内から電気等で固定する装置も考えられる。

(5) 自動解除固定手動型固定装置と自動解除自動復元型固定装置との併用
(4)に関して、8.10.(2) 自動解除固定手動型固定装置の採用の場合、その自動解除固定手動型固定装置は、免震される構造体の重心またはその近傍に設置される固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)に比べて、固定装置の解除の感度が地震に対して高く敏感な手動型固定装置、つまり地震時に解除されやすい手動型固定装置を設置することにより、地震時において、重心部設置の固定装置に対し周辺部の手動型固定装置の固定解除が遅れた場合に生じる捩れた動きの問題が解消される。

(6) 中央部に固定装置と周辺部に回転・捩れ防止装置との併用
固定装置一個だと、固定装置を中心として風力時の回転を止められない。
固定装置を免震される構造体の中央部に、回転・捩れ防止装置を免震される構造体の周辺部に、配置する。そのことにより固定装置一個で風揺れ防止が可能になる。

(7) 連動型でない固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用
連動型でない固定装置の複数個配置と 10.1.の回転・捩れ防止装置とを併用することにより、風時の風揺れ抑制の安全さを増し、地震時に固定装置が同時解除しない場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する。

8.13. 杭折れ防止構法
上部構造(地上構造物)と杭等の基礎部とを構造的に縁を切り、その両者間を(杭折れが起きない範囲の)ある一定以上の地震力によって折れるか切れるかする固定ピンで繋ぐことにより構成するものである。
基礎部の柱受けとしては、柱が外れるのを防ぐために周辺を立ちあげた柱より大きな支持板を設置する。この支持板は、杭折れを防ぐためだけならばコンクリートでも良く、また形状は平面でもすり鉢また球面等の凹面でもよい。同様に上部構造(地上構造物)の柱等の基礎当たり部の材料は、杭折れを防ぐためだけならばコンクリートでも良く、また形状は平面でも基礎部と対称の台円錐また球面等の曲凸面でもよい。また固定ピンも、剪断ピン同様、誘発切り込みの入ったものでもよい。
この構法により、地震力による杭の破壊防止、及び上部構造(地上構造物)に働く地震力の緩和が期待できる。またこの構法は、杭のあるすべての構造体に使用できる。


9. 緩衝・変位抑制、耐圧性向上支承
9.1. 緩衝材付支承
ゴム等の弾性材また緩衝材を、免震皿等の免震装置・滑り支承の周辺また縁に付けて、予想を上回る地震変位振幅に対して、滑り部または中間滑り部等をその支承周辺の弾性材また緩衝材に衝突させて対処する。
この発明は、油圧ダンパー等による場合に比べて安価であり、且つ、メンテナンスの問題も少なく、調整の必要も無く、偏心荷重の場合でも安定した免震性能が得られる。

9.2. 弾性材・塑性材敷き支承
免震皿とその免震皿面を滑動する滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
その免震皿面に弾性材また塑性材を敷くか、付着させることにより、
その免震皿面の滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーに対する耐圧性能の向上と、地震時の応答変位の抑制とを可能にする。

(1) 耐圧性向上
a) 基本形
その免震皿面に弾性材また塑性材を敷くか、付着させることにより、滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーがその弾性材また塑性材に食込むことで免震皿への食込みを防止し、その免震皿面の滑り部、中間滑り部、ボールまたはローラーに対する耐圧性能の向上を可能にする。また当然、変位抑制効果も持つ。

b) ボール食込み孔付き弾性材・塑性材敷き支承
滑り部、中間滑り部、ボール、またはローラーの、地震時以外の通常位置(中央部)に、その食込む形状に従って弾性材また塑性材に孔を開ける。これは特に滑り部等の圧力を常時受けることによる弾性材の疲労等の負荷を低減するものである。
この方法は、耐圧性能を向上させ、食込み支承よりも免震時の免震性能を落とさず、風揺れ防止する。
この孔に滑り部等の大きさよりも余裕を見た場合には、小さい加速度時での免震性能も向上させる。以下の(2) b)のすり鉢形状の弾性材・塑性材敷き支承においても、同様の構成が採用可能である。

(2) 変位抑制
a) 基本形
免震皿面に弾性材また塑性材を敷くか、付着させることにより、地震時の応答変位の抑制に対応を可能にする。

b) 一定変位を超えて敷かれた弾性材・塑性材敷き支承
免震皿面に敷かれるか、付着させる弾性材また塑性材が、免震皿の滑り面部の中央部から一定範囲を超えて敷かれてなることにより、地震時の応答変位の抑制に対応を可能にする。

c) すり鉢形状の弾性材・塑性材敷き
免震皿面に敷かれるか、付着させる弾性材また塑性材を、すり鉢または球面等の凹形状にすることにより地震時の応答変位の抑制を可能にする。
また当然、 a) c)共に、免震皿3の耐圧性能も向上する。

9.3. 変位抑制装置
スライドし合う部材同士の摩擦を大きくすることによって地震の変位振幅を抑制し、スライドし合う部材同士の一方が免震される構造体に、他方が免震される構造体を支持する構造体に設けられることにより地震時の応答変位の抑制を可能にする。

9.4. 衝突衝撃吸収装置
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが、予想を越える変位振幅をもった地震によって衝突する、外れ止め等の位置に設けられて衝突時の衝撃を緩和する発明である。
その衝突緩和の方法に関しては、弾性的反発のある形ではなく、反発係数の低い弾性材(低反発係数型)を用いる、座屈変形(座屈変形型)を利用する、塑性変形(塑性変形型)または塑性材を利用する等によって、反発を最小限に抑えるのが望ましい。というのはそれによって衝突後の免震振動が乱されずに済み、衝突を緩和することができるからである。

(1) 低反発係数型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、低反発係数の緩衝材また弾性材を設けることによって、衝突時の衝撃を吸収する。

(2) 座屈変形型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に弾性材が座屈する細長比以上の弾性材を設けて、その弾性材の座屈によって、衝突時の衝撃を吸収する。

(3) 塑性変形型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に塑性変形する緩衝材また塑性材を設けることによって、衝突時の衝撃を吸収する。

(4) 剛性部材挟み型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、まず、衝突面積よりも大きな面積を持った剛性のある部材を設けて、衝撃力を受け衝撃力を拡散させて、最低限その拡散した面積をもった緩衝材・弾性材・塑性材を設け、衝撃力を吸収する。この方法により、衝撃を吸収する能力が格段に向上して、極端に免震皿の面積を小さくすることが可能である。

9.5. 二段式免震(すべり・転がり型免震+ゴム等による免震・減衰・緩衝)
一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えるとゴム等の弾性・減衰・緩衝材により免震・減衰させることにより、すべり・転がり型免震での地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の問題を解決するものである。

9.6. 二段式免震(すべり・転がり型免震+摩擦変化・勾配変化型免震・減衰)
一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくするか、勾配を大きくするか、または摩擦を大きくし且つ勾配も大きくするかして免震・減衰させることにより、すべり・転がり型免震での地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の問題を解決するものである。


10.回転・捩れ防止装置
固定装置一個だと風力時の回転を止められない問題、積層ゴムのバネ型の復元装置・オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を採用して重心と剛心がずれている場合の免震時に免震される構造体の捩れ振動(固定装置一個を中心とした回転)が生じる問題等は、回転・捩れ防止装置の設置によって解決される。
また、固定装置の設置個数が一箇所で済むために、回転・捩じれ防止装置を使用しない場合、すなわち固定装置を多箇所に設置する場合に生じる、固定装置の解除また差し込みのタイムラグの心配が無くなる。さらに、設置する固定装置の個数が少なくて済むため、多数設置する場合に比べて、経済的に有利である。
また、連動型でない固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用することにより、風時の風揺れ抑制の安全さを増し、地震時に固定装置が同時解除しない場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する。
なお、回転・捩れ防止装置は、一つの装置で、回転・捩れ防止機能の他に、免震復元機能および引き抜き防止機能を併せ持つことも可能であり、機構も簡易であるため、経済面、メンテナンス面において有利である。


11.免震装置の組合せと材料仕様
11.1. 形態の多様性に対応
全ての建物、特に戸建て住宅に免震を普及させる上で、同一性能の免震装置のみを各支持位置へ設置して、免震される構造体の形態、固定荷重・積載荷重形態の多様性に対応させることを可能にすることが課題であった。
それは、バネ型復元装置または粘性減衰型装置を使用する場合、それぞれの設置位置において免震される構造体からの荷重による応力が異なると、同一性能の装置では、きれいな免震がなされずに捩じれが生じるからであり、その調整は困難なものであった。さらに、固定荷重に比べて積載荷重の影響が大きい木造等の軽量型戸建て住宅では特に困難であった。
以下の発明は、それを解決するものである。

(1) 滑り支承と摩擦型減衰・抑制装置と勾配型復元滑り支承の使用
免震と復元と減衰・抑制に関しては、滑り支承(すべり支承、転がり支承)と、すり鉢または球面等の勾配による復元性能を持った滑り支承(勾配型復元滑り支承という)と、摩擦型減衰・抑制装置のみを使用することにより構成されてなることによって、
免震される構造体の形態、固定荷重・積載荷重形態が変化に富む場合(変形形態・変形平面・偏心荷重形態)であっても、免震される構造体の各所に設置される復元・減衰装置を、同一性能の装置、つまり単一の性能の装置とすることを可能にする。

(2) 固定ピン型固定装置の使用
風揺れ固定に関しては、免震時に抵抗のない、固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型(固定ピン)を除く)のみを使用することにより構成されてなることにより、
免震される構造体の形態、固定荷重・積載荷重形態が変化に富む場合(変形形態・変形平面・偏心荷重形態)であっても、免震される構造体の各所に設置される復元・減衰装置を、同一性能の装置、つまり単一の性能の装置とすることを可能にする。

(3) 回転・捩れ矯正装置との併用
以上の装置以外の免震時に捩じれが生じるもの(積層ゴム、粘性ダンパー等を使用したもの、偏芯率の大きいもの)でも、10.の回転・捩れ防止装置との併用をするとその問題は解消される。


12.新積層ゴム・バネ、復元バネ
12.1. 新積層ゴム・バネ
従来の積層ゴムにおける、鋼とゴムとの付着性の問題、鋼とゴムとを付着して積重ねてゆく製法上の問題、耐圧性の問題、防火上の問題等を解決するものである。
鋼とゴムとを一層ごとに付着させずに鋼だけを積層させ、鋼の中心部を欠き、その中心部にゴムまたコイルバネを充填させる方法をとる事により、鋼と鋼とを積層させるので、鋼とゴムとの付着性の問題はなくなり、鋼とゴムとを付着して積重ねてゆく製法上の困難も解消する。耐圧性能に関しては、ゴムを挟まず鋼と鋼とが積層するので鋼自体の耐圧性能が得られ、また、ゴムが内部に封じ込められ、直接外部に露出しないため防火上の問題も解決する。

12.2. 復元バネ
縦型にバネ等を設置することは水平のどの方向にも復元性能を得られる反面、僅かな水平変位での復元力に乏しい。この発明は、その問題を解決し、僅かな変位でも水平方向向きの復元力を得られるようにし、その結果、このバネ等により、免震される構造体に働く下方への引張力も最低限にし、免震される構造体への負荷を小さくしている。


B.免震装置と構造法
13.免震構造による構造体設計法
13.1. 超高層建物・構造体
積層ゴム免震装置では対応しきれなかった長周期の超高層建物・構造体でも、滑り型免震装置・滑り支承の使用によって免震が可能となる。そのことにより、超高層建物・構造体を、地震対策としての柔構造から風力では揺れない程度の剛性をもつ構造(剛構造)にすることができ、風揺れをも防ぐことが可能となる。

13.2. 高塔状比建物・構造体
引抜き防止装置によって、従来の積層ゴム免震では不可能だった引抜き力の働く高塔状比建物・構造体の免震を可能にする。
また、免震装置・滑り支承の摩擦係数をできるだけ下げ、1階等の地上に近い階の床等を重くすることにより、ロッキング等の問題も解消する。
また、固定装置によって、自重に対して、ある一定以上の風圧見つけ面積のある構造体の風揺れ問題も解決する。

13.4. 軽量建物・構造体
免震装置・滑り支承等の免震装置によって、従来の積層ゴム免震では固有周期が延びず、免震効果の得られない軽量建物・構造体の免震を可能にする。また、摩擦係数を下げることにより生じる風揺れ問題も、固定装置によって解決する。また、引抜き力が働く場合には、引抜き防止装置によって対処もできる。


14.免震装置設計と免震装置配置
14.1. 免震装置配置
重心位置またその近傍にのみ、2箇所以上の復元装置を装備し、それ以外は、復元力を持たない免震滑り支承とする。復元装置の設置個数が少なくて済むため経済的に有利である。
また必要に応じて、固定装置を配する。これも復元装置と同様に、重心位置またその近傍にのみ、2箇所以上とするのがよい。箇所数が多いと固定装置の解除また固定のタイムラグの心配があり、特に固定装置に関しては、数が少ない事に越したことはないが、一箇所では、風力による回転の心配がある。それゆえ、2箇所以上設置するのが望ましい。ただし、固定装置と回転・捩じれ防止装置(10)の併用により、一箇所配置の場合においても、回転を防ぐことが可能である。これも無駄な固定装置を設置することがなくなるため経済的に有利である。


14.2. 復元装置の復元能力の設計
滑り型免震装置の場合、復元可能な最小限の復元力に押さえることが、免震性能上一番よい。凹型滑り面部による重力復元型においては、復元が得られる限り、曲率半径はできるだけ大きくし、また、バネ等の復元型においては、復元が得られる限り、バネ定数はできるだけ小さくし、双方ともに、復元力を最小限にするためには、免震装置・滑り支承の摩擦係数を下げる事も必要である。そのことは、また免震性能を上げる事につながる。


15.免震装置設置と基礎部分の施工に関する合理化
低廉な簡易型の免震装置が可能になり、免震装置の水平性維持の問題も解決される。
また、1階の梁とそれに支えられて床のコスト上の問題も解決する。
また、プレハブ・在来・2×4という上部構造の構法の違いを問題とせず、上部構造の剛性のない場合の問題も解決する。


図1〜図11は、十字型免震装置・滑り支承、また十字重力復元型免震装置・滑り支承、また十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承の発明の実施例である。
(a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、重力復元型免震装置・滑り支承振動時の垂直変位の吸収装置の実施例も示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図12〜図17は、十字型免震装置・滑り支承、十字重力復元型免震装置・滑り支承の中間滑り部付きの実施例である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図13〜図14は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図13の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)(g)(h)は、図13の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図であり、(g)(h)は最大時、(e)(f)は途中の時で、(e)(g)は基礎方向から見たもの、(f)(h)は基礎方向に対面する方向から見たものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図16〜図17は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図16の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)(g)(h)は、図16の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図であり、(g)(h)は最大時、(e)(f)は途中の時で、(e)(g)は基礎方向から見たもの、(f)(h)は基礎方向に対面する方向から見たものである。図18〜図20は、引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部及びローラー・ボール(ベアリング)入り引抜き防止装置・滑り支承の実施例である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図21〜図33は、積層ゴム/ゴム/バネ付き引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図21は、バネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが低い場合、 図22はバネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが高い場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図24は、バネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが低い場合、 図25はバネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが高い場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図29は、バネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが低い場合、 図30はバネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが高い場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図31は、バネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが低い場合、 図32はバネ(空気バネ含む)またゴムまた積層ゴム25の高さが高い場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図34〜図37は、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)は、スライド止め金4-Pの斜視図である。(a-1)(a-2)でワンセット、(a-3)(a-4)でワンセットである。(a-1)(a-3)は、上部スライド部材4-aのスライド止め金4-Pであり、(a-2)(a-4)は、下部スライド部材4-bのスライド止め金4-Pである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)は、スライド止め金4-Pの斜視図である。(a-1)(a-2)でワンセット、(a-3)(a-4)でワンセットである。(a-1)(a-3)は、上部スライド部材4-aのスライド止め金4-Pであり、(a-2)(a-4)は、下部スライド部材4-bのスライド止め金4-Pである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。(a-1)(a-2)は、スライド止め金4-Pの斜視図である。図38〜図41は、引抜き防止機能の増強の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。(a-1) は係合材繋ぎ部材27の構成をあらわす斜視図である。図42は、新引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図43〜図56は、引抜き防止装置・滑り支承の改良の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図57〜図59は、新引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図60〜図62、また図64は、重力復元型引抜き防止装置・滑り支承(2)の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)(b)は免震装置・滑り支承の断面図であり、互いに直交方向のものである。図63は、新引抜き防止装置・滑り支承(3)の実施例を示している。 (a)(b)は免震装置・滑り支承の断面図であり、互いに直交方向のものである。図65〜図66は、バネ付き新引抜き防止装置・滑り支承(2)の実施例を示している。 免震装置・滑り支承の断面図である。 免震装置・滑り支承の断面図である。図67〜図68は、重力復元型引抜き防止装置・滑り支承(1)の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図69〜図70は、重力復元型免震装置・滑り支承振動時の垂直変位の吸収装置の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図71〜図72は、滑り型免震装置・滑り支承のダンパー機能向上及び初滑動向上の実施例を示している。 (a) は免震皿の斜視図、(b) はその断面図である。 (a) は免震皿の斜視図、(b) はその断面図である。図73〜図109は、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b) はその断面図である。また、(a)は、(b)の免震装置・滑り支承の構成が分かるように、上部免震皿3-a(また中間免震皿3-m)を持ち上げて見せた構成図で、実際は、上部免震皿3-a(また中間免震皿3-m)と下部免震皿3-bとは接している。(a)〜(d)は、二重免震皿(上部免震皿3-a、下部免震皿3-b)の場合、(c)(d)は、特許 1844024号での免震復元装置との大きさの比較断面図であり、(c) は特許 1844024号での免震復元装置、 (d)は、二重免震皿の場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b) はその断面図である。また、(a)は、(b)の免震装置・滑り支承の構成が分かるように、上部免震皿3-a(また中間免震皿3-m)を持ち上げて見せた構成図で、実際は、上部免震皿3-a(また中間免震皿3-m)と下部免震皿3-bとは接している。(a)〜(b)は、三重免震皿(上部免震皿3-a、中間免震皿3-m、下部免震皿3-b)の場合である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b) はその断面図である。(a)〜(b)は、シールまた防塵カバー付き二重(または二重以上の)免震皿免震・滑り支承の場合である。 免震装置・滑り支承の断面図である。 免震装置・滑り支承の断面図である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図86〜図87は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図86の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)はその断面図であり、(e)(f)は、地震振幅時の断面図である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図103〜図104は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図103の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)は、図103の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図である。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図106〜図107は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図106の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)は、図106の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図、(g) は、図106図107の免震装置・滑り支承の滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合の平面図である。図108〜図109は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図108の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)は、図108の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図である。図110〜図113は、重力復元型免震装置・滑り支承の滑り部の改良の実施例を示している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図112〜図113は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d) は図112の免震装置・滑り支承の詳細斜視図、(e)(f)は、図112の免震装置・滑り支承の地震振幅時の断面図である。図114〜図115は、滑り部垂直変位吸収型の免震復元装置の実施例を示している。図114〜図115は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d)は図114の免震装置・滑り支承の断面詳細図である。図116〜図118は、新重力復元型免震装置の実施例を示している。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。図119〜図129は、垂直免震装置の実施例を示している。図119〜図120は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d)は図119の免震装置の断面詳細図である。図121〜図122は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものであり、 (d)は図121の免震装置の断面詳細図である。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)は、スライド止め金4-Pの斜視図である。(a-1)(a-2)でワンセット、(a-3)(a-4)でワンセットである。(a-1)(a-3) は、上部スライド部材4-aのスライド止め金4-Pであり、(a-2)(a-4) は、下部スライド部材4-bのスライド止め金4-Pである。 免震装置を装備した建物の構成図である。 (a) は免震装置を装備した建物の構成図であり、(b) はその垂直免震装置の断面図である。 (a) は免震装置の斜視図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の斜視図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の斜視図、(b) はその断面図である。図130〜図333は、固定装置の実施例を示している。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)(b)は免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)(b)は免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)(b)は免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。 (a) は免震装置の断面図、(b) は固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の固定ピンのロック(止め金等)11の平面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 (a)は免震装置の平面図、(b)はその断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の平面図、(b)はその断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の平面図、(b)はその断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)(b)(c) は免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a) は免震装置の平面図、(b) はその断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)(b)(c)は免震装置の設置配置図である。 (a)(b)(c)は免震装置の設置配置図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 表面部材36-uが装備されている場合のピストン状部材7-pの断面図である。 表面部材36-uの断面図である。 表面部材36-uの断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の設置配置図である。 免震装置の設置配置図である。 免震装置の設置配置図である。 免震装置の設置配置図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の斜視図、(b)はその断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は免震装置の断面図、(b)(b')(c)(c')は部分平面図である。(b)(b')は重り20の吊材20-sとワイヤー、ロープ、ケーブル等8とローラー等のガイド部材19-a との関係の部分平面図、 (c)(c')はワイヤー、ロープ、ケーブル等8とローラー等のガイド部材19-aとの関係の部分平面図である。(b')は(b)部分の、(c')は(c)部分の地震変形時のものである。 (a)は免震装置の断面図、(b)(b')(c)(c')は部分平面図である。(b)(b')は重り20の吊材20-sとワイヤー、ロープ、ケーブル等8とローラー等のガイド部材19-a との関係の部分平面図、 (c)(c')はワイヤー、ロープ、ケーブル等8とローラー等のガイド部材19-aとの関係の部分平面図である。(b')は(b)部分の、(c')は(c)部分の地震変形時のものである。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 (a)は固定装置の液体貯槽(または外部)7-acでの弁管20-cpまわりの平面図、(b)は液体貯槽(または外部)7-acとピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーの付属室(地震センサー振幅装置等の)また通路7-abにおけるその断面図である。 (a)は固定装置の液体貯槽(または外部)7-acでの弁管20-cpまわりの平面図、(b)は液体貯槽(または外部)7-acとピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーの付属室(地震センサー振幅装置等の)また通路7-abにおけるその断面図である。 (a)は固定装置の液体貯槽(または外部)7-acでの弁管20-cpまわりの平面図、(b)は液体貯槽(または外部)7-acとピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーの付属室(地震センサー振幅装置等の)また通路7-abにおけるその断面図である。 (a)は固定装置の液体貯槽(または外部)7-acでの弁管20-cpまわりの平面図、(b)は液体貯槽(または外部)7-acとピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーの付属室(地震センサー振幅装置等の)また通路7-abにおけるその断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。図334〜図337は、免震装置設置と基礎部分の施工に関する合理化と戸建て用免震装置配置の実施例を示している。 (a)は免震装置の平面図、(b)はその断面図である。 (a)は免震装置の平面図、(b)はその断面図である。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図338は、縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承の実施例を示している。 (b)(c)は免震装置・滑り支承の断面図であり、(a)はそれらの平面図である。図339は、新積層ゴム・バネの実施例を示している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)はその断面図である。図340〜図385は、引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。図340〜図343は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 図340(b)と平行位置での断面図である。 図340(b)と平行位置での断面図である。 図340(b)と平行位置での断面図である。図344〜図347は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 図344(b)と平行位置での断面図である。 図344(b)と平行位置での断面図である。 図344(b)と平行位置での断面図である。図348〜図350は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図348(b)と平行位置での断面図である。(e)は図348(c)と平行位置での断面図である。 (f)(g)(h)は図348(a)の免震装置の分解斜視図であり、(f)は上部免震皿3-aの斜視図、(g)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-mの斜視図、(h)は下部免震皿3-bの斜視図である。図351〜図352は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図351(b)と平行位置での断面図である。(e)は図351(c)と平行位置での断面図である。図351(a)の分解斜視図は、図350の(f)(g)(h)(ローラー5-fを中間滑り部(すべり部材)6と見做せば)と同様である。図353〜図355は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 免震装置の斜視図である。 図353の断面図である。 図353の断面図である。図356〜図358は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 免震装置の斜視図である。 図356の断面図である。 図356の断面図である。図359〜図361は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、 (b)(c)は図359の免震装置の断面図である。(b)(c)は、図359(a)に示した断面切断方向に従った断面図である。(a)図中の※(b)また※(c)は、断面図(b)(c)の断面切断方向を示している。 (d)(e)(f)(g)は図359(a)の免震装置の分解斜視図であり、(d)は上部免震皿3-aの斜視図、(e)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-m1の斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-m2の斜視図、(g)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった下部免震皿3-bの斜視図である。図362〜図363は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、 (b)(c)は図362の免震装置の断面図である。(b)(c)は、図362(a)に示した断面切断方向に従った断面図である。(a)図中の※(b)また※(c)は、断面図(b)(c)の断面切断方向を示している。図362(a)の分解斜視図は、図361の(d)(e)(f)(g)(ローラー5-fを中間滑り部(すべり部材)6と見做せば)と同様である。図364〜図366は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 免震装置の斜視図である。 図364の断面図である。 図364の断面図である。図367〜図369は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 免震装置の斜視図である。 図367の断面図である。 図367の断面図である。図370〜図372は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、 (b)は図370の免震装置の断面図である。(b)は、図370(a)に示した断面切断方向に従った断面図である。(a)図中の※は、断面図(b)の断面切断方向を示している。 (c)(d)(e)(f)(g)は図370(a)の免震装置の分解斜視図であり、(c)は上部免震皿3-aの斜視図、(d)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-m1の斜視図、(e)は中間免震皿3-m2の斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-m3の斜視図、(g)は下部免震皿3-bの斜視図である。図373〜図374は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、 (b)は図373の免震装置の断面図である。(b)は、図373(a)に示した断面切断方向に従った断面図である。(a)図中の※は、断面図(b)の断面切断方向を示している。図373(a)の分解斜視図は、図372の(c)(d)(e)(f)(g)(ローラー5-fを中間滑り部(すべり部材)6と見做せば)と同様である。図375〜図377は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図375(b)と平行位置での図375の免震装置の断面図である。(e)は図375(c)と平行位置での図375の免震装置の断面図である。 (f)(g)(h)は図375(a)の免震装置の分解斜視図であり、(f)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(g)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-mの斜視図、(h)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図378〜図380は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図378(b)と平行位置での図378の免震装置の断面図である。(e)は図378(c)と平行位置での図378の免震装置の断面図である。 (f)(g)(h)は図378(a)の免震装置の分解斜視図であり、(f)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(g)は上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿3-mの斜視図、(h)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。 免震皿同士をつなぐ、上下繋ぎスライド部材・部分3-sの断面図である。 免震皿同士をつなぐ、上部スライド部材4-aと上部スライド部材の下部材4-alとの断面図である。 免震皿同士をつなぐ上下繋ぎスライド部材・部分3-sの断面図である。 免震皿同士をつなぐ上下ガイドスライド部材・部分3-gの断面図である。 免震皿同士をつなぐ上下ガイドスライド部材・部分3-gの断面図である。図386は、復元バネ免震装置の実施例を示している。 (a)(b)は免震装置の断面図である。図387〜図391は、地震発電装置の実施例を示している。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。 免震装置の断面図である。(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。図392〜図393は、中間滑り部(転がりすべり中間型)の実施例を示している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。図394〜図418は、引抜き防止装置・滑り支承の改良(4)の実施例を示している。図394〜図395は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (d)は図394の免震装置・滑り支承の上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図である。図396〜図398は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図396(b)と平行位置での断面図である。(e)は図396(c)と平行位置での断面図である。 (f)(g)(h)は図396(a)の免震装置の分解斜視図であり、(f)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(g)は上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図、(h)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図399〜図400は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (d)は図399の免震装置・滑り支承の上下繋ぎスライド部材3-sとボール(ベアリング)5-eの斜視図である。図401〜図403は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図401(b)と平行位置での図401の免震装置の断面図である。 (e)(f)(g)は図401(a)の分解斜視図であり、(e)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図、(g)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図404〜図405は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (d)は図404の免震装置・滑り支承の上下繋ぎスライド部材3-sと中間滑り部6の斜視図である。図406〜図408は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図406(b)と平行位置での図406の免震装置の断面図である。 (e)(f)(g)は図406(a)の分解斜視図であり、(e)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図、(g)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図409〜図410は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (d)は図409の免震装置・滑り支承の上下繋ぎスライド部材3-sとボール(ベアリング)5-eの斜視図である。図411〜図413は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図411(b)と平行位置での図411の免震装置の断面図である。 (e)(f)(g)は図411(a)の分解斜視図であり、(e)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図、(g)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図414〜図415は、一綴りで、免震装置・滑り支承の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、互いに直交方向のものである。 (d)は図414の免震装置・滑り支承の上下繋ぎスライド部材3-sと中間滑り部6の斜視図である。図416〜図418は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図416(b)と平行位置での図416の免震装置の断面図である。 (e)(f)(g)は図416(a)の分解斜視図であり、(e)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(f)は上下繋ぎスライド部材3-sの斜視図、(g)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図419〜図436は、回転・捩れ防止装置の実施例を示している。図419〜図422は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 図419(b)と平行位置での図419の免震装置の断面図である。 図419(b)と平行位置での図419の免震装置の断面図である。 図419(b)と平行位置での図419の免震装置の断面図である。図423〜図426は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 図423(b)と平行位置での図423の免震装置の断面図である。 図423(b)と平行位置での図423の免震装置の断面図である。 図423(b)と平行位置での図423の免震装置の断面図である。図427〜図429は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図427(b)と平行位置での断面図である。(e)は図427(c)と平行位置での断面図である。 (f)(g)(h)は図427(a)の分解斜視図であり、(f)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(g)は上下ガイドスライド部分3-gをもった中間免震皿3-mの斜視図、(h)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図430〜図432は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図430(b)と平行位置での断面図である。(e)は図430(c)と平行位置での断面図である。 (f)(g)(h)は図430(a)の分解斜視図であり、(f)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(g)は上下ガイドスライド部材3-gの斜視図、(h)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。図433〜図435は、一綴りで、免震装置の一つの発明の実施例を表している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその立面図である。(b)と(c)とは互いに直交方向での立面図である。 (d)は図433(b)と平行位置での断面図である。 (e)(f)(g)は図433(a)の分解斜視図であり、(e)は上部(側)免震皿3-aの斜視図、(f)は上下ガイドスライド部材3-gの斜視図、(g)は下部(側)免震皿3-bの斜視図である。 (a)は、図433(a)〜図434(d)及び図435(f)の上下ガイドスライド部分3-gを示した斜視図である。(b)、(c)は上部(側)免震皿3-a(上部スライド部材)または下部(側)免震皿3-b(下部スライド部材)と上下ガイドスライド部分3-g(中間部スライド部材)の関係からbを示した平面図である。図437〜図438は、緩衝材付支承の実施例を示している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)はその断面図である。 (a)は免震装置の斜視図、(b)はその断面図である。図439〜図440は、弾性材・塑性材敷き支承の実施例を示している。 (a)は免震装置の斜視図、(b)はその断面図である。 (a)は免震装置の斜視図、(b)(c)はその断面図であり、(b)は通常時の、(c)は地震振幅時の断面図である。図441は、変位抑制装置の実施例を示している。 免震装置の断面図である。図442〜図443は、衝突衝撃吸収装置の実施例を示している。 (a)(b)は免震装置の断面図であり、(a)は通常時の、(b)は地震振幅時の断面図である。 (a)(b)は免震装置の断面図であり、(a)は通常時の、(b)は地震振幅時の断面図である。図444〜図445は、共振のない滑り型免震装置の解析プログラムのフローチャートを示している。 Runge-Kutta法による解析プログラムのフローチャート Wilsonθ法による解析プログラムのフローチャート
A.免震装置
1.十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
1.1. 十字型免震装置・滑り支承、または十字重力復元型免震装置・滑り支承
図1〜図11は、凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)または平面型滑り面部を有するスライド部材4を上下に交差させて係合させることにより、免震性を、また一方向性(行き帰りを含む、以下同じ、なお「また」は、全文において「または」と「及び」の両方の意味をもつ)もしくは全方向の復元性を持たせるようにしたものである。上下に交差させて係合させる上で、スライド部材4の交差方向の角の面を取り、スムーズに交差できるようにした場合もある。
上部のスライド部材4-aは、下向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有するものであり、下部のスライド部材4-bは、上向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有するものである。ともに滑り面部には低摩擦材が使用されている場合がある。
上部スライド部材4-a・下部スライド部材4-bの組合せは、次の4通り考えられる。
(1) 下向きの凹型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと上向きの凹型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの組合せ(図1、図2参照)。
(2) 下向きの平面型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと上向きの凹型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの組合せ。
(3) 下向きの凹型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと上向きの平面型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの組合せ。
(4) 下向きの平面型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと上向きの平面型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの組合せ(図11参照)。
以上の上部スライド部材4-a・下部スライド部材4-bを、互いに交差する方向に係合し、スライドできるように構成し、上部スライド部材4-aを免震される構造体1に、下部スライド部材4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設ける。
図1〜図2は、下向きの凹型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと上向きの凹型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの組合せである。
図1は、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)の長辺方向の凹型滑り面部が台形の直線で構成されており、短辺方向は平坦面の滑り面部で構成されて交差する場合である。
図2は、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)の長辺方向の凹型滑り面部が円弧状で、また、その凹型滑り面部にスライド部材の短辺方向に丸みを持たせた場合である。
なお、凹型に関して、台形の直線で構成される場合と、円弧、放物線、スプライン曲線等の曲線で構成される場合がある。また上部スライド部材・下部スライド部材共に、凹型滑り面部の底部に関して、互いのスライド部材が嵌まり込むように少し掘り下げられて、風等では動きにくくしている場合もある。

1.2. 十字型免震装置・滑り支承、十字重力復元型免震装置・滑り支承の中間滑り部
図12〜図17は、下向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する上部スライド部材4-aと、上向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する下部スライド部材4-bとの間に、中間滑り部6を設けた発明であり、また、その中間滑り部6と、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bとが接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。
図12は、十字型免震装置・滑り支承、図13〜図17は、十字型復元付き免震装置・滑り支承である。
図12は、図11の構成の上部スライド部材4-aと、下部スライド部材4-bとの間に、中間滑り部6が挟まれた実施例である。この場合の中間滑り部6は、円柱形をなしている。
中間滑り部6と、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bとが接する上面、下面、側面位置に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。また、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
図13〜図14は、図1および図2の構成の上部スライド部材4-aと、下部スライド部材4-bとの間に、中間滑り部6が挟まれた実施例である。
上部スライド部材4-aの下向き凹型滑り面部と、下部スライド部材4-bの上向き凹型滑り面部との間に、中間滑り部6が挟み込まれ、この中間滑り部6の滑り部上部(上面)6-uが、上部スライド部材4-aの下向き滑り面部と同曲率を持ち、また滑り部下部(下面)6-lが、下部スライド部材4-bの上向き滑り面部と同曲率を持つように構成する。
この場合、図14(e) 〜(h)のように、地震振幅により上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとがずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上部スライド部材4-aの下向き滑り面部、及び滑り部下部(下面)6-lと下部スライド部材4-bの上向き滑り面部との接触面積が、同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利になる。
図13〜図14のうち、(a) は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図、(d)は免震装置・滑り支承部の詳細斜視図、(e)(f)(g)(h)は、振幅時の断面図であり、 (g)(h) は最大振幅時、(e)(f)は振幅途中の時の図で、(e)(g)は基礎方向から見たもの、(f)(h)は基礎方向に対面する方向から見たものである。
中間滑り部6と、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bとが接する上部6-u、下部6-l位置に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、滑り面部の凹型球面形状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。また、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
図15は、図13〜図14の構成の中間滑り部6が球の場合の実施例であり、上部スライド部材4-aの下向き凹型滑り面部と、下部スライド部材4-bの上向き凹型滑り面部との間に、球状の滑り面部を有する中間滑り部6が挟み込まれ、この球状の中間滑り部6と接する上部スライド部材4-aの下向き滑り面部、下部スライド部材4-bの上向き滑り面部が、この球状の中間滑り部6と同曲率を持つように構成する。
この場合、地震振幅により上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとがずれを起こしても、上部スライド部材4-aの下向き滑り面部、及び下部スライド部材4-bの上向き滑り面部と、球状の中間滑り部6との接触面積が、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
この中間滑り部6と、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bとの接触面に、ローラーまたボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、凹型球面形状に対して、常にローラーまたボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。また、このローラーまたボールベアリングは、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
図16〜図17は、図13〜図14の中間滑り部6が、三重中間滑り部の場合の実施例であり、 中間滑り部6が、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bと第三中間滑り部6-cとに分かれる。
第一中間滑り部6-aは、上部スライド部材4-aの下向き凹型滑り面部と同曲率である凸型滑り面部6-u(中間滑り部上部(上面)6-u)をもち、その凸型の反対部には凹型球面状滑り面部を有している。
第二中間滑り部6-bは、第一中間滑り部の前記反対部の凹型球面と同一球面率である凸型滑り面部をもち、この凸型の反対部には凸型球面状滑り面部を有している。第二中間滑り部6-bは球形の場合もある。
第三中間滑り部6-cは、第二中間滑り部の前記反対部の凸型球面と同一球面率である凹型滑り面部をもち、その凹型の反対部には、下部スライド部材4-bの上向き凹型滑り面部と同一曲面率である凸型滑り面部6-l(中間滑り部下部(下面)6-l)を有している。
そして、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとの間に、この第一中間滑り部6-a、第二中間滑り部6-b及び第三中間滑り部6-cを、挟み込むことにより構成される。
この場合、図17(e) 〜(h)のように、地震振幅により上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとがずれを起こしても、中間滑り部上部(上面)6-uと上部スライド部材4-aの下向き滑り面部、及び中間滑り部下部(下面)6-lと下部スライド部材4-bの上向き滑り面部の接触面積が、同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
図16〜図17のうち、(a)は免震装置・滑り支承の斜視図、(b)(c)はその断面図、(d) は免震装置・滑り支承部の詳細斜視図、(e)(f)(g)(h)は、振幅時の断面図であり、(g)(h)は最大振幅時、(e)(f)は振幅途中の時の図で、(e)(g)は基礎方向から見たもの、(f)(h)は基礎方向に対面する方向から見たものである。
この第一中間滑り部6-a、第三中間滑り部6-cと、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bとが接する中間滑り部上部(上面)6-u、中間滑り部下部(下面)6-l位置に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設ける場合もある。この構成は、凹型球面形状に対して、常にローラーまたはボールが接し、地震振幅時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、第二中間滑り部6-bと、第一中間滑り部6-a、第三中間滑り部6-cとが接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり、有利である。
また、このローラー・ボールベアリングは、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。

1.3. 十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承
図1〜図11のうち、特に、図3〜図10は、特許 1844024号での発明の引抜き防止装置に、復元付き免震装置の機能を持たせたものであり、重力復元型引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。
具体的に説明すると、下向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する上部材は、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有するスライド部材4-aを形成し、上向きの凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する下部材は、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有するスライド部材4-bを形成し、これらのスライド部材を互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合してスライドできるように構成し、かつ、これらのスライド部材のうち、上になるスライド部材(上部スライド部材)4-aを免震される構造体1に、下になるスライド部材(下部スライド部材)4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設けて、引抜き防止の機能も合わせ持たせた復元付き免震装置・滑り支承である。
つまり、特許 1844024号での引抜き防止装置の上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bのうち、一方に凹型滑り面部を有し、もう一方に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部もしくは逆向きの凹型滑り面部を有する構成である。
凹型滑り面部の箇所として
(1) 上部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部
(2) 上部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に上向き凹型滑り面部
(3) 上部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に下向き凹型滑り面部
(4) 下部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に上向き凹型滑り面部
(5) 下部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部
(6) 下部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に上向き凹型滑り面部
の6通りが考えられ、また平面型滑り面部の箇所も同様に、
(1) 上部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に下向き平面型滑り面部
(2) 上部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に上向き平面型滑り面部
(3) 上部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に下向き平面型滑り面部
(4) 下部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に上向き平面型滑り面部
(5) 下部スライド部材のスライド孔を挟む上部材に下向き平面型滑り面部
(6) 下部スライド部材のスライド孔を挟む下部材に上向き平面型滑り面部
の6通りが考えられ、以上の12通りの組合せにより構成される。
なお凹面形状に関して、台形の直線で構成される場合と円弧、放物線、スプライン曲線等の曲線で構成される場合がある。また上部スライド部材・下部スライド部材共に凹型滑り面部を有する底部に関して、互いのスライド部材が嵌まり込むように少し掘り下げられて、風等では動きにくくしている場合もある。
なお、重なり合う上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとは、隙間がある場合もあり、また、接している場合には含油メタル、テフロンにより低摩擦化されている例もある。免震皿の凹型滑り面部及び当該部を滑走するローラー・ボール若しくは滑り部も同様である。以下の実施例でも同様である。
図3は、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材に上向き凹型滑り面部を有し、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有する実施例である。
図4は、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有する実施例である。
図5は、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材に上向き凹型滑り面部を有し、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有し、かつ、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有する実施例である。
図6は、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材に上向き凹型滑り面部を有し、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる下向き凹型滑り面部を有し、かつ、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材に上向き凹型滑り面部を有し、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有する実施例である。
また、その上下逆もあり得る。つまり、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる滑り部を有し、かつ、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる上向き凹型滑り面部を有する場合である。
図8は、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる上向き凹型滑り面部を有し、かつ、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材に当該凹型滑り面部を滑走しうる上向き凹型滑り面部を有する実施例である。
図9は、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材の下部に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材の上部に当該下向き凹型滑り面部が滑走しうる上向き凹型滑り面部を、下部に下向き凸型滑り面部を有し、かつ、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材の上部に、当該下向き凸型滑り面部を滑走しうる上向き凸型滑り面部を、下部に下向き凹型滑り面部を有し、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材の上部に当該下向き凹型滑り面部が滑走しうる上向き凹型滑り面部を有する実施例である。
この図9においては、重力復元型にもかかわらず、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとの間に、上部スライド部材4-aの上下変位による隙間を必要としない方式が可能となり、重力復元型特有の地震振動時の垂直変位のための遊びによる、がたつきの問題と引抜き時の衝撃の問題をも解決できる。
図10は、上部スライド部材・下部スライド部材の摩擦係数を下げ、また相互の滑り面の接触面積を上げるために、中間滑り部6を設けた場合の実施例である。この場合、図14(e) 〜(h)のように、地震振幅による上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとが、ずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uとスライド部材(4-a、4-b)との接触面積、及び滑り部下部(下面)6-lとスライド部材(4-a、4-b)との接触面積が、ともに、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
もう一つのものは、図10の中間滑り部6の、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bと接する上部6-u、下部6-l位置に、ローラーまたはボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合のものである。この構成は、滑り面部の凹型球面形状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、このローラーまたボールベアリングは、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。


2.引抜き防止装置・滑り支承の改良
2.1. 復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
図34〜図37、図52〜図56は、請求項1項記載の発明の、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承Fの実施例を示している。
特許 1844024号での引抜き防止装置・滑り支承F、また1.3.の十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bの片方または両者の、スライド孔内の片側または両側に、バネ・空気バネ・ゴム・積層ゴム等の弾性体または磁石(磁石同士の反発力吸引力等を使った)等(すべての章で「バネ等」と称する)25を設置し、そのバネ等25により、他方のスライド部材を当該スライド孔の中央部に位置せしめる機能を与え、地震後に免震される構造体Aを元の位置に復元させ、また他方のスライド部材を当該スライド孔の端に衝突させない機能を有するものである。
請求項1項記載の発明は、特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承Fに、復元または減衰バネ等25を設けたものである。
バネ等25の固定に関して、図35のように、バネ等25の一方の端は、スライド孔の端に固定され、もう一方の端は、スライド止め金4-pを介して、交差する他方のスライド部材に押し当てられる。そのスライド止め金4-pとバネ等25とは固定されている。
また、図34のように、スライド止め金4-pを介さずに、交差する他方のスライド部材に、バネ等25が直接固定される場合もある。
また、このバネ等25は、通常の状態では交差する他方のスライド部材に接しないように、スライド孔の端から途中までに設けられている場合もあり、図36は、この場合の実施例である。途中までの場合は、スライド孔の両端部に衝突しないための緩衝装置の役目が主である。この構成により、併用する免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅時のみに抑制が働き、免震皿内の地震振幅時には、抑制は働かず免震装置による免震性能を減じない効果が得られる。
図35、図36のうち、(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)は、スライド止め金4-Pの斜視図である。(a-1)(a-2)でワンセット、(a-3)(a-4)でワンセットであり、(a-1)(a-2)と(a-3)(a-4)とは違うタイプのものである。免震装置・滑り支承の斜視図(a) 、また断面図(b)(c)には、(a-1)(a-2)タイプが描かれている。(a-1)(a-3)は、上部スライド部材4-aのスライド止め金4-pであり、(a-2)(a-4)は、下部スライド部材4-bのスライド止め金4-pである。
図52〜図56は、図43〜図47の引抜き防止装置・滑り支承に、復元・減衰バネ等を設けたものである。
また、図37は、復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承Fの実施例を示している。
二段階に弾性力が変化する二段階バネ等は、復元バネ等25-aと外れ防止バネ等25-bとの二段階の弾性力・磁力等をもったものが設けられ、併用する免震皿の大きさ内の地震振幅時には、復元バネ等25-aが主に働き、元の位置に復元する効果を持ち、免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅時には、外れ防止バネ等25-bが働き、強い抑制が働き、免震皿の外れを防止する。
また、円錐コイルバネ・ゴム等の変位に応じて、弾性力・磁力等が無段階に変化するバネ・ゴム等を使用することにより、免震皿の滑り面から滑り部等が外れる可能性のある地震振幅時ほど、強い抑制が働き、免震皿の外れを防止するものもある。
また、弾性力・磁力等が、二段階と無段階との間の、三段階、四段階、…多段階に変化するものもある。この場合、より特性にあった復元・減衰制御装置が可能になる。

2.2. 積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承
図21〜図33は、バネ等25と引抜き防止装置・滑り支承Fとの複合装置の実施例を示している。
特許 1844024号での引抜き防止装置・滑り支承Fとバネ等25との位置関係は、
(1) 上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材または免震される構造体1と下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材との間、
(2) 下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材と上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材との間、
(3) 上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材と下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材または支持する構造体2との間、
の3通り考えられる。
また、バネ等25の箇所数は、上記 (1)、(2)、(3)の一か所の場合、 (1)と(2)、(1)と(3)、(2)と(3)の二か所の場合、(1)と(2)と(3)の三か所の場合がある。
図21〜図22は、(3) の上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材と、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材との間に、バネ等25が設置され、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の下部フランジとが接合されている実施例である。
図21〜図22のうち図21は、バネ等25の高さが低い場合、図22はバネ等25の高さが高い場合である。
図24〜図25は、(1) の免震される構造体1と下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材との間に、バネ等25が設置され、免震される構造体1とバネ等25の上部フランジとが接合され、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材とバネ等25の下部フランジとが接合されている実施例である。
図24〜図25のうち図24は、バネ等25の高さが低い場合、図25はバネ等25の高さが高い場合である。
図27は、 (2)と(3) の二か所にバネ等25が設置される場合で、
上部バネ等25については、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の下部フランジとが接合され、
下部バネ等25については、上部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、下部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の下部フランジとが接合されている実施例である。
図29〜図30は、 (1)と (2)と (3)の三か所に、バネ等25が設置される場合で、
上部バネ等25については、免震される構造体1とバネ等25の上部フランジとが接合され、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材とバネ等25の下部フランジとが接合され、
中間部バネ等25については、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の下部フランジとが接合され、
下部バネ等25については、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の下部フランジとが接合されている実施例である。
図29〜図30のうち図29は、バネ等25の高さが低い場合、図30はバネ等25の高さが高い場合である。
また、図29〜図30の免震装置は、垂直に弾性のあるバネ等25を設置した場合には垂直免震性も獲得でき、また、圧縮時にも引抜き時にも摩擦が発生しないものである。また、垂直に弾性のあるバネ等25を使用しても、引抜き防止装置・滑り支承Fによって、バネ等の座屈の問題は軽減されている。
図31〜図32は、引抜き防止装置・滑り支承Fを2連装し、(3) の上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材と免震される構造体を支持する構造体2との間にバネ等25が設置される場合で、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材とバネ等25の上部フランジとが接合され、免震される構造体を支持する構造体2とバネ等25の下部フランジとが接合されている実施例である。
図31〜図32のうち図31 は、バネ等25の高さが低い場合、 図32はバネ等25の高さが高い場合である。
また、図23、図26、図28、図33の、いずれの装置も、図29〜図30の免震装置と同様に、垂直に弾性のあるバネ等25を設置した場合には、垂直免震性も獲得できる。垂直に弾性のあるバネ等25を使用しても、引抜き防止装置・滑り支承Fによって、バネ等の座屈の問題は軽減されている。

2.3. 引抜き防止機能の増強
図38〜図41は、請求項2項記載の発明の引抜き防止装置・滑り支承の引抜き防止の増強の実施例を示している。
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承Fにおいて、上及び横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとを、互いに交差する方向に、双方の横のスライド孔に係合してスライドできるようにし、双方の上のスライド孔(4−av、4−bv)を貫く繋ぎ部材・係合材27を取付けて、引抜き防止機能を増強する装置である。
図38は、双方の上のスライド孔(4−av、4−bv)を貫く繋ぎ部材・係合材27が1個のとき、図39は、3個のとき、図40は、4個のときであり、図41は、ロ型の繋ぎ部材・係合材27が2個のときで、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとを係合して、引抜き防止機能を増強している。
請求項2項記載の発明は、1.3. 十字重力復元型引抜き防止装置・滑り支承、2.1. 復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承、2.2. 積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承との複合装置の各装置において、引抜き防止装置・滑り支承に、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとの上に細長く開口したスライド孔をあけ、双方の上のスライド孔(4−av、4−bv)を貫く繋ぎ部材・係合材27を取り付けて、引抜き防止機能を増強する装置である。

2.4. 新引抜き防止装置・滑り支承
(1) 新引抜き防止装置・滑り支承(1)
図38〜図42は、新引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。
図38〜図41は、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが、上下2枚のダブル材の場合、図42は、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが、シングル材の場合である。
上に細長く開口したスライド孔4-vを有する上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとを互いに交差する方向に係合し、双方の上のスライド孔 (4−av、4−bv)を貫く係合材27を取り付けてスライドできるように構成され、かつ、前記上部スライド部材4-aを免震される構造体1に、下部スライド部材4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される新引抜き防止装置・滑り支承である。
また、図38〜図41の実施例と同様に、係合材27の複数か所止めの場合もある。
また、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが、図42のようなシングル材で、図41のようなロ型の繋ぎ部材・係合材27が2個で、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとを係合して、引抜き防止機能を増強する場合もある。

(2) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)
図57〜図59は、新引抜き防止装置・滑り支承の実施例を示している。
図57は引抜き防止機構が一重の場合であり、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、包み込み合う関係のスライド部材をもち、内側のスライド部材4-iが、水平方向にスライドできる余地をもって外側のスライド部材4-oに包み込まれ、かつ、前記内側のスライド部材4-iと外側のスライド部材4-oの一方を、免震される構造体1に、他方を免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される場合である。
図58は引抜き防止機構が二重以上の場合であり、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、複数の包み込み合う関係のスライド部材をもち、一番内側のスライド部材4-iが、水平方向にスライドできる余地をもって、すぐ外側のスライド部材4-oi に包み込まれ、この二番目のスライド部材4-oi が、水平方向にスライドできる余地をもって、さらにその外側のスライド部材4-oに包み込まれる、という方法で順次構成されており、
かつ、前記一番内側のスライド部材4-iと一番外側のスライド部材4-oの一方を、免震される構造体1に、他方を免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される場合である。
この図58のような、引抜き機構が入れ子状の、二重以上の場合には、その多重性に応じ、同じ地震振幅に対応できる装置の大きさを小さくすることができる。さらに、この方法は、引抜き機構が一重の場合に比べて大きな引抜き力に対応できる。
つまり、外側のスライド部材4-oの包み込む持ち出しが大きいほど、引抜き力に対応できない。その欠点を補うものである。
また、図58は、スライド方向が一方向性(往復を含む、以下同じ)の場合であり、図57と図59は、全方向の場合である。全方向の場合には、円形(図59)、方形(図57)の場合がある。
また、図57〜図59は、包み込み合う関係のスライド部材同士の(内側のスライド部材4-iと、外側のスライド部材4-oの)間に、中間滑り部6、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6、またはローラー・ボール5-e、5-fをもった保持器5-gが挿入されている場合である。

(3) 新引抜き防止装置・滑り支承(3)
図63は、新引抜き防止装置・滑り支承(3)の実施例を示している。上記(2) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)の装置が、上下の二組設けられた場合である。
免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、包み込み合う関係のスライド部材からなるスライド装置が上下の二組あり、相互に繋がれており、その上下それぞれのスライド装置において、内側のスライド部材4-iが、水平方向にスライドできる余地をもって外側のスライド部材4-oに包み込まれるように構成され、
かつ、前記上下二組のスライド装置のうちの上の一組を、免震される構造体1に、下の一組を、免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される場合である。
免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、二重以上の包み込み合う関係のスライド部材からなるスライド装置が、上下の二組あり、相互に繋がれており、その上下それぞれのスライド装置において、一番内側のスライド部材4-iが、水平方向にスライドできる余地をもって、すぐ外側のスライド部材4-oi に包み込まれ、この二番目のスライド部材4-oi が、水平方向にスライドできる余地をもって、さらにその外側のスライド部材4-oに包み込まれる、という方法で順次構成されており、
かつ、前記上下二組のスライド装置のうちの上の一組を、免震される構造体1に、下の一組を、免震される構造体を支持する構造体に設けることにより構成される場合である。
また、図63は、包み込み合う関係のスライド部材同士の(内側のスライド部材4-iと、外側のスライド部材4-oの)間に、中間滑り部6、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6、またはローラー・ボール5-e、5-fをもった保持器5-gが挿入されている場合である。

(4) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付き
図65〜図66は、新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付きの実施例を示している。
上記新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)に復元バネが付く場合であり、個々の内側のスライド部材4-iと外側のスライド部材4-oとの間(図66)、もしくは、スライド部材を支持する束材4-tと一番外側のスライド部材4-oとの間(図65)に、コイルバネ(図65〜図66)、板バネ、螺旋板バネ、ゴム、磁石等25を設けることにより復元力をもたせている。
また、図65〜図66は、包み込み合う関係のスライド部材同士の(内側のスライド部材4-iと、外側のスライド部材4-oの)間に、中間滑り部6、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6、またはローラー・ボール5-e、5-fをもった保持器5-gが挿入されている場合である。

2.5. 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承
(1) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(1)
図67〜図68は、引抜き防止装置・滑り支承と重力復元型免震装置・滑り支承(特許 1844024号では免震復元装置)との複合装置の実施例を示しており、特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承と重力復元型免震装置・滑り支承との合体装置である。
つまり、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合してスライドできるように構成され、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bのうち一方に凹型滑り面部をもつ免震皿3を有し、もう一方に当該免震皿3の凹型滑り面部を滑走しうるローラー・ボール若しくは滑り部5を有し、前記上部スライド部材4-aを免震される構造体1に、下部スライド部材4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される重力復元型引抜き防止装置・滑り支承である。
図67は、免震皿3が下にある場合、図68は、免震皿3が上にある場合である。

(2) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)
図60〜図62、図64は、重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)の実施例を示している。前記2.4.(2)新引抜き防止装置・滑り支承(2)の重力復元置型であり、包み込み合う関係のスライド部材4-i、4-oのうち、外側のスライド部材4-oが、凹型滑り面部を持ち、内側のスライド部材4-iが、その凹型滑り面部を滑動できるように構成される場合である。
図60は引抜き及び重力復元機構が一重の場合、図61〜図62は二重以上の場合である。
図61〜図62のような、引抜き及び重力復元機構が入れ子状の、二重以上の場合には、その多重性に応じ、同じ地震振幅に対応できる装置の大きさを小さくすることができる。
図61は、凹型滑り面部が円柱谷面等、一方向性(往復を含む、以下同じ)の凹形状の場合であり、図60と図62は、凹型滑り面部が、すり鉢、球面等、全方向性の凹形状の場合である。全方向の場合には、円板(図62)、方形板(図60)の場合がある。
また、図60〜図62は、包み込み合う関係のスライド部材同士の(内側のスライド部材4-iと、外側のスライド部材4-oの)間に、中間滑り部6、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6、またはローラー・ボール5-e、5-fをもった保持器5-gが挿入されている場合である。
また、図64は、新引抜き防止装置・滑り支承(2)の重力復元置型の、上下の二組設けられた場合である。

(3) 重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)のバネ付き
重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)のバネ付きの場合である。
上記重力復元置型引抜き防止装置・滑り支承(2)に復元バネが付く場合であり、個々の内側のスライド部材4-iと外側のスライド部材4-oとの間、もしくは、一番内側のスライド部材4-iと一番外側のスライド部材4-oとの間に、コイルバネ、板バネ、螺旋板バネ、ゴム、磁石等のバネ等25を設けることにより復元力をもたせている。バネ等の付く構成は、前記2.4.(4) 新引抜き防止装置・滑り支承(2)(3)のバネ付きと同じである。

2.6. 引抜き防止装置・滑り支承の重力復元型免震装置・滑り支承振動時垂直変位吸収装置
2.6.1.バネ等付き部材での押さえ込み
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承は、重力復元型免震装置・滑り支承と併用される場合に、重力復元型免震装置・滑り支承の振動時の上下動を吸収するように、スライド孔の幅を他方のスライド部材の厚みに上下動分の余裕を見たものにしているが、風等により引抜き力が働いたときに、その余裕の空隙のために、他方のスライド部材がスライド孔でぶつかり衝撃が走る。
そのため、図69〜図70の発明は、特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承のスライド孔の両方または片方に、他方のスライド部材をバネ等(バネ・ゴム・磁石等)で押さえ込むプレート等の部材4-cを取付けることにより、その衝撃を防ぐようにしたものである。図69〜図70はともに、スライド孔の片方に、他方のスライド部材をバネ等で押さえ込むプレート等の部材4-cを取付けた場合である。図69は、バネ等がコイルバネ4-sのとき、図70は、バネが板バネ4-fs のときの場合である。

2.6.2. 重力復元型免震装置・滑り支承と同じ曲率付き
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承は、重力復元型免震装置・滑り支承と併用される場合に、重力復元型免震装置・滑り支承の振動時の上下動を吸収するように、スライド孔の幅を他方のスライド部材の厚みに上下動分の余裕を見たものにしているが、風等により引抜き力が働いたときに、その余裕の空隙のために、他方のスライド部材がスライド孔内でぶつかり衝撃が走る。
そのため、図7の発明は、特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の上部スライド部材・下部スライド部材に、併用される重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の曲率と同じ勾配をもたせる構成により、重力復元型免震装置・滑り支承の水平振動時の垂直変位を吸収するようにしたものである。
つまり、免震装置によって免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるようにされており、上部スライド部材・下部スライド部材が、当該装置と併用される重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の曲率と同じ勾配形状をもち、かつ、前記上部スライド部材4-aが免震される構造体1に、下部スライド部材4-bが免震される構造体を支持する構造体2に設けられることにより構成される。

2.7.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(すべり型)
図18は、特許 1844024号での発明の引抜き防止装置の、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む上部材と、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材との間、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む上部材と、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材との間、上部スライド部材4-aのスライド孔を挟む下部材と、下部スライド部材4-bのスライド孔を挟む下部材との間に、中間滑り部(すべり型)6が挟まれた実施例である。この場合の個々の中間滑り部6は、円柱形をなしている。
なお、個々の中間滑り部6の滑り部上部(上面)6-uと滑り部下部(下面)6-lとは、摩擦面として、摩擦抵抗が小さくなるような処理がなされている。
また、滑り面上部6-u、滑り面下部6-lを円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型またその逆の凸型滑り面部とすることにより、復元性能が得られる。

2.8.引抜き防止装置・滑り支承の中間滑り部(転がり型)
図19〜図20は、特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材・下部スライド部材間に発生する摩擦係数を下げるために、上部スライド部材・下部スライド部材間に、ローラーまたはボールからなる転がり型中間滑り部を設けたものである。
図19は、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが接するように係合されており、各接触面について、上部または下部どちらかのスライド部材にローラー(ベアリング)5-fを設けたものである。また、同様に(上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bの接する位置の、上部または下部どちらかのスライド部材に)、ボール(ベアリング)5-eを設けたものもある。
なお、各接触面において、ローラー(ベアリング)5-f、ボール(ベアリング)5-eの設置される位置(スライド部材)は、図とは上下逆となる場合もある。
図20は、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとの接触面に、ローラー(ベアリング)5-fを設けたものであり、上部スライド部材4-a・下部スライド部材4-bの接触部分でローラー5-f同士が接触する形を取っている。また、このローラー(ベアリング)5-fは、(b)(c)断面図に表されているように、循環式転がり案内によって循環する形を取っている。
特に、図20は、引抜き時にのみ摩擦を下げる機構として、引抜き時に接触する下部スライド部材4-bの上部材と上部スライド部材4-aの下部材の両方にローラー(ベアリング)5-fを設けたものであり、相互のローラー5-f同士が接触する形を取っている。また、圧縮時において荷重を受けないように、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが接触しないための隙間が設けられている。
そのため、この装置を使う免震機構では、圧縮時の、免震される構造体とそれを支持する構造体との摩擦は、他の免震装置(図78の二重免震皿免震装置)で吸収される形をとる。
また、当然、圧縮時において荷重を受ける型、つまり、圧縮時において上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bが接触し、その摩擦を、上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-b相互のローラー(ベアリング)で受けるタイプのものもある。
また、転がり型中間滑り部が転がる面を円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型またその逆の凸型滑り面部とすることにより、復元性能が得られる。

2.9.引抜き防止装置・滑り支承の改良(1)
特許 1844024号での発明の引抜き防止装置・滑り支承の水平寸法を小さくするために、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)間に、長辺側面に横に開口したスライド孔を有する中間部スライド部材4-mを設けたものである。
そして、上部スライド部材4-aと中間部スライド部材4-mとが、中間部スライド部材4-mと下部スライド部材4-bとが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるように構成されている。
図43は、中間部スライド部材4-mのスライド孔の仕切をなす中間材4-mm があるものであり、図44は、中間材4-mm がないものである。
図45は、図43の中間部スライド部材4-mの中間材4-mm が、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)の上下の免震皿(4-as、4-bs)と同様の免震皿を形成するものである。
図52〜図54は、図43〜図45の引抜き防止装置・滑り支承に復元・減衰バネ等25を設けて、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承としたものである。
また同時に、この復元・減衰バネ等25は、中間部スライド部材4-mを常に定位置に戻すという効果をもつ。
また、図43〜図45、図52〜図54において、上部スライド部材4-a、中間部スライド部材4-m、下部スライド部材4-bの各スライド部材が接する面に中間滑り部6、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設置することが考えられる。
さらに滑り面を円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型形状またその逆の凸型形状にすることにより、引抜き防止装置付き復元すべり支承または転がり支承となる。
この装置は、後記4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承と同様に、スライド部材(4-a、4-b、4-m)の水平寸法の大きさを、従来の引抜き防止装置・滑り支承のほぼ半分に近い寸法にする。
というのは、中間部スライド部材4-mによって、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)が地震時に互いにずれた際の寸法は、最大、上部スライド部材と下部スライド部材(4-a、4-b)のスライド可能寸法分を足し合わせた大きさまで可能となるためである。
ただ、そのずれる寸法は、挟み込まれる中間部スライド部材の幅の分だけマイナスされる。その幅をQとし、地震の最大振幅の半分をLとすると、上部スライド部材・下部スライド部材の大きさは、それぞれL+Qでよくなる。一般的には、それに余裕をみた寸法か、それ以上の寸法とする。
一方、従来の引抜き防止装置・滑り支承で考えると、上部スライド部材・下部スライド部材の大きさは、2×L+Q'(Q':上部スライド部材・下部スライド部材の短辺方向の幅)となる。
よって、一辺の大きさでほぼ半分になり、従来の引抜き防止装置・滑り支承が大きく場所を取るという問題が解決される。

2.10. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(2)
長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材4-aと下部スライド部材4-bとを、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合してスライドできるようにし、かつ上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-bu のどちらかが、または両方が、上部スライド部材・下部スライド部材(4-a、4-b)に対して上下方向は拘束されながら水平方向だけにスライドするように構成されたものである。
そして、前記上部スライド部材4-aを免震される構造体1に、下部スライド部材4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される。
図46は、このうち、上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al 、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-bu の両方が、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bに対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成したものである。
具体的には、上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-bu の両方が、それぞれ上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bのスライド方向に噛み合う形状によって、上下方向には繋がって引抜き力に抵抗し、このスライド方向に噛み合う形状に沿って水平にのみスライドするように構成されたものである。
また、上部スライド部材4-aが上側免震皿3-aを、下部スライド部材4-bが下側免震皿3-bを兼ねている場合である。
この発明の利点は、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bによって全体が覆われ、密閉性が得られることであり、2.9.の引抜き防止装置・滑り支承の改良(1)と同様に、水平寸法を従来の引抜き防止装置・滑り支承のほぼ半分に近くする。
図55は、図46の引抜き防止装置・滑り支承に、復元・減衰バネ等25を設けて、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承とするものである。
また同時に、この復元・減衰バネ等25は、スライドする部材を常に定位置に戻すという効果をもつ。
図51、図101は、
上側免震皿3-a(上部スライド部材4-a)と下側免震皿3-b(下部スライド部材4-b)との間に、すべり型中間滑り部またはボール5-e等の転がり型中間滑り部を設けることにより構成されている場合の実施例である。
また、4.2.1.3.1.中間滑り部(球面またすり鉢状免震皿)の併用は、引抜き防止装置付き復元すべり支承または転がり支承となる。
図101は、その場合の実施例を示している。
図49、図50、図93、図100は、
図49、図50は、図46の実施例の上部スライド部材4-a下部材4-alと下部スライド部材4-bの上部材4-bu の双方の上に、スライド孔4-alv、4-buvをあけて、すべり型中間滑り部6またはボール5-e等の転がり型中間滑り部を入れたものである。また、上部スライド部材4-aは上側免震皿3-aを、下部スライド部材4-bは下側免震皿3-bを兼ねている。
図49は、ボール5-e等の転がり型中間滑り部が入る場合、図50は、すべり型中間滑り部6が入る場合である。
この場合、当該装置は、すべり支承または転がり支承ともなり、引抜き防止装置付きすべり支承または転がり支承ともなる。
さらに、スライド孔4-alvの孔形状として、ボール5-eの下が出ながらこのボール5-eを下受けする形、スライド孔4-buvの孔形状として、ボール5-eの頭が出ながらこのボール5-eを上受けする形をとり、上部スライド部材4-aの下部材4-al、下部スライド部材4-bの上部材4-bu が、引抜き時に互いに接することが無いようにすることにより、引抜き力に抵抗しながら、下部材4-al、上部材4-bu 双方の地震水平力による摩擦が軽減される。
また、上部スライド部材4-a(上側免震皿3-a)を構成する下部材4-al 、下部スライド部材4-b(下部スライド部材4-b)を構成する上部材4-bu の両方が、それぞれ上部スライド部材4-a・下部スライド部材4-bに対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドし、挟まれたボール5-eにより、摩擦係数を下げている。
また、4.2.1.3.1.の、球面またすり鉢状免震皿の使用は、引抜き防止装置付き復元すべり支承または転がり支承となる。
図93、図100は、その発明の実施例を示しており、図93は、ボール等の転がり型中間滑り部が入る転がり支承の場合、図100は、すべり型中間滑り部が入るすべり支承の場合である。
その場合、スライド孔4-alv及びスライド孔4-buvの孔形状として、中間滑り部が、球面またはすり鉢状免震皿の中央部から周辺部に移動するに従って持ち上がる分、孔形状を大きくする必要があるが、全体を大きくするとがたつきが発生するので、中間滑り部が持ち上がる分のみ、中央部から周辺部にかけて孔形状の幅を大きくしていく必要がある。
さらに、図94は、上部スライド部材4-a(上側免震皿3-a)の下部材4-al (または下部スライド部材の上部材4-bu )の、スライド孔4-alv(またはスライド孔4-buv)を挟んだ両側を分離し、その分離された部材4-al1、4-al2、4-bu1、4-bu2、の両端をボルト等39でピン状態に回転できるように固定し、力が働くと、両端がピン状態で回転してたわみ、孔形状の幅が大きくなる工夫をしている。下部スライド部材4-b(下側免震皿3-b)も同様に構成される。
このことにより、図93の装置に比べて、すべり型中間滑り部またはボール等の転がり型中間滑り部が、周辺に行くに従い、スライド孔4-alv(またスライド孔4-buv)の孔形状が、広がりやすくなることで対応している。
また、図46、図49、図93、図94の構成において、図382 のように上部スライド部材4-aとその下部材4-al、また下部スライド部材4-bとその上部材4-bu とが、スライドする接触点に、ボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟み(図382ではボール5-e)、摩擦係数を下げる方法が考えられる。

2.11. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(3)
図47〜図48は、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、長辺側面に横に細長く開口したスライド孔を有する、上部スライド部材と中間部スライド部材と下部スライド部材とからなり、
上部スライド部材4-aと中間部スライド部材4-mとを、その中間部スライド部材4-mと下部スライド部材4-bとを、それぞれ互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合してスライドできるようにし、
かつ、上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al 、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-bu のどちらか、また両方が、上部スライド部材4-a・下部スライド部材4-bに対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成したものである。
そして、前記上部スライド部材4-aを免震される構造体1に、下部スライド部材4-bを免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される。
図47〜図48は、このうち、上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-buの両方が、上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bに対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成されたものである。
具体的には、上部スライド部材4-aを構成する下部材4-al、下部スライド部材4-bを構成する上部材4-bu の両方が、それぞれ上部スライド部材4-a、下部スライド部材4-bのスライド方向に刻まれた溝によって、上下方向には繋がって引抜き力に抵抗し、このスライド方向に刻まれた溝に沿って水平にのみスライドするように構成されたものである。
図47は、中間部スライド部材4-mのスライド孔の仕切をなす中間材4-mm があるものであり、図48は、その中間材4-mm がないものである。
この発明のメリットは、全体が覆われ、密閉性が得られることであり、2.9.〜2.10. の引抜き防止装置・滑り支承の改良(1)(2)と同様に、水平寸法を従来の引抜き防止装置・滑り支承のほぼ半分に近くする。
図56は、図47の引抜き防止装置・滑り支承に、復元・減衰バネ等25を設けて、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承となるものである。当然、図48にも、同様に、復元・減衰バネ等25を設けて、復元・減衰バネ付き引抜き防止装置・滑り支承とする事が考えられる。
また同時に、この復元・減衰バネ等25は、スライドする部材を常に定位置に戻す効果をもつ。
また、図47、図48、図56において、上部スライド部材4-a・中間部スライド部材4-m・下部スライド部材4-bの各スライド部材が接する面に、中間滑り部6、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設置することが考えられる。さらに、円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型またその逆の凸型滑り面部の使用により、引抜き防止装置付き復元すべり支承または転がり支承となる。

2.12. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(4)
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、上側・下側の両免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって上下方向に相互に繋がれ、よって上下方向の引抜き力に抵抗する発明である。
上側免震皿に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドし、下側免震皿に対して上下方向は拘束されながら水平方向にスライドするように構成された上下繋ぎスライド部材により、上側免震皿と下側免震皿とは上下方向には繋がれ、水平方向にはスライド可能なように構成され、かつ、前記上側免震皿を免震される構造体に、下側免震皿を免震される構造体を支持する構造体に設けることにより構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上側免震皿に対してのスライド方向と、下側免震皿に対してのスライド方向とは、直角をなすように構成された上下繋ぎスライド部材であることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上下繋ぎスライド部材の中央部に、免震皿上を自由にボール5-eもしくはローラー5-f等の転動体が転がるか、または中間すべり部6がすべるかする大きさの孔が開けられ、ボール5-eもしくはローラー5-f等の転動体または中間すべり部6が入っていることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。なお、上下繋ぎスライド部材の中央部に入れる物体は、ボール、ローラー以外の転動体でもよい。
上側免震皿、下側免震皿は、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿であることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
上側免震皿、下側免震皿の少なくともどちらか一方(勿論両方でもよい)を凹型のすべり面部とすることで、復元機能が得られる。
滑り面部を凹型とするのは、免震装置に復元機能を持たせるためである。
従って本発明における凹型滑り面部とは、免震装置に復元機能を持たせ得るものであればどのようなものでも良く、形状としては球状、すり鉢状、円柱谷面状、V字谷面状、多角形状、球状とすり鉢状を組合せたもの、若しくは、円柱谷面とV字谷面を組合せたもの等の滑り面部を用いることができる。
以上の構成から分かるように、上下繋ぎスライド部材3-sの構成は、2.10. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(2)の下部材4-al、上部材4-buを一体にしたようなものである。
上下繋ぎスライド部材3-sは、内型上下繋ぎスライド部材3-s型と外型上下繋ぎスライド部材3-s型の2つに分かれる。外型上下繋ぎスライド部材3-s型の方が寸法を小さくすることができる。
以上の構成により、2.10.(すり鉢・球面支承型除く)及び 2.11.では、上部スライド部材を構成する下部材、下部スライド部材を構成する上部材、または中間部スライド部材が自然に元の位置に戻らない問題も、上下繋ぎスライド部材3-sが元の位置に戻るに従って自然に元の位置に戻るので解決される。
さらに、上側下側免震皿(3-a、3-b)にすり鉢、球面等の凹型滑り面部を使用し、ボール5-e(ベアリング)を挟み込めば、免震機能と復元機能と引抜き防止機能を合せ持たせることが可能となる。
また、2.10. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(2)の図49のような下部材4-al、上部材4-buによるボール5-e(ベアリング)の拘束も無くなり、免震性能を上げられる。
以下に実施例を説明する。

(1) 内型上下繋ぎスライド部材3-s型
図394〜図395は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士が上下繋ぎスライド部材3-sのすべりによってスライドする場合(平面すべり型)である。そして、免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗する。
実施図では、上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いているが、孔はなくてもよい。
図399〜図400は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(平面転がり型)である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこにボール5-e(ベアリング)が入り、このボール5-e(ベアリング)の転がりによって平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。
図404〜図405は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士が中間滑り部6のすべりによってスライドする場合(中間滑り部持ち平面すべり型)である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこに中間滑り部6が入り、この中間滑り部6のすべりによって平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。つまり図399〜図400におけるボール5−e(ベアリング)に代えて中間滑り部6を使用したものである。
図409〜図410は、上側免震皿、下側免震皿が、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部である免震装置・滑り支承のうち、すり鉢、球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(凹面転がり型)の実施例である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこにボール5-e(ベアリング)が入り、このボール5-e(ベアリング)の転がりによってすり鉢または球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。
図414〜図415は、上側免震皿、下側免震皿が、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部である免震装置・滑り支承のうち、すり鉢、球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士が中間滑り部6のすべりによってスライドする場合(凹面すべり型)の実施例である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこに中間滑り部6が入り、この中間滑り部6のすべりによってすり鉢または球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。つまり図409〜図410におけるボール5−e(ベアリング)にかえて、中間滑り部6を使用したものである。
また、ここに挙げたローラー、ボール以外の転動体を使用した実施例、または他の凹型滑り面部を使用した実施例も考えられる。

(2) 外型上下繋ぎスライド部材3-s型
図396〜図398は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がすべりによってスライドする場合(平面すべり型)である。そして、免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗する。
図401〜図403は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(平面転がり型)である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこにボール5-e(ベアリング)が入り、このボール5-e(ベアリング)の転がりによって平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。
図406〜図408は、平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士が中間滑り部6のすべりによってスライドする場合(中間滑り部持ち平面すべり型)である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこに中間滑り部6が入り、この中間滑り部6のすべりによって平面型の滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。つまり図401〜図403におけるボール5−e(ベアリング)に代えて中間滑り部6を使用したものである。
図411〜図413は、上側免震皿、下側免震皿が、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部である免震装置・滑り支承のうち、すり鉢、球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(凹面転がり型)の実施例である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこにボール5-e(ベアリング)が入り、このボール5-e(ベアリング)の転がりによってすり鉢または球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。
図416〜図418は、上側免震皿、下側免震皿が、すり鉢状・球面状または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部である免震装置・滑り支承のうち、すり鉢、球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士が中間滑り部6のすべりによってスライドする場合(凹面すべり型)の実施例である。
免震皿(3-a、3-b)が、平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材3-sによって相互に繋がれ、上下方向の引抜き力に抵抗し、この上下繋ぎスライド部材3-sの中央部に孔が開いており、そこに中間滑り部6が入り、この中間滑り部6のすべりによってすり鉢または球面等の凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)同士がスライドする。つまり図411〜図413におけるボール5−e(ベアリング)にかえて、中間滑り部6を使用したものである。
以上、(1)(2)の免震皿(3-a、3-b)と上下繋ぎスライド部材3-sとの摩擦係数を下げる方法として、図381のように、免震皿との間にボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟むことが考えられる。
図383は、上下繋ぎスライド部材3-sに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けて(図383ではボール5-e)、転がりにより、側面の摩擦抵抗を少なくした場合である。
なお、ここに挙げたローラー、ボール以外の転動体を使用した実施例、または他の凹型滑り面部を使用した実施例も考えられる。
さらに、4.1.2.及び 4.3.2.と同様に、重層免震皿も可能になる。


3.滑り型免震装置・滑り支承のダンパー機能向上及び初滑動向上
3.1. 摩擦係数の変化
図71〜図72は、平面型もしくは凹型の滑り面部を有する免震皿と滑り部からなる免震装置・滑り支承において、
または、下向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する上部免震皿と上向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する下部免震皿とで構成された上部免震皿と下部免震皿との間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボールがはさみこまれた免震装置・滑り支承において、
または、前記上部免震皿と前記下部免震皿の中間に上面下面ともに滑り面部をもった1個若しくは複数個の中間免震皿も挟み込まれ、重なる免震皿同士の間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボール(以上、「中間滑り部等」と言う)がはさみこまれた免震装置・滑り支承において、
免震皿中心部の摩擦係数は小さく、免震皿周辺部の摩擦係数は大きい免震皿をもつことによって構成される。
免震皿の中心部の摩擦係数を小さくすることは、免震感度を上げることになる。つまり滑り部等が最初に滑動を開始する地震力の大きさを小さくすることにより、免震感度を上げることができる。
また、周辺部の摩擦係数を大きくすることは 地震による振幅の抑制につながる。
よって実施例は3つに分かれる
1) 免震皿の中心部の摩擦係数を小さくする。
2) 免震皿の周辺部の摩擦係数を大きくする。
3) 免震皿の中心部の摩擦係数を小さくし、かつ免震皿の周辺部の摩擦係数を大きくする。
3) に関しては、免震皿3の中心部の摩擦係数を小さくして、免震皿の周辺部に行くに従い、徐々に、または段階的に、摩擦係数を大きくする方法もある。
図71は、平面型滑り面部を有する免震皿3の場合、図72は、凹型滑り面部を有する免震皿3の場合で、同心円状に、摩擦係数が中心部から周辺部に向かって大きくなっている実施例である。摩擦係数を大きくしていく割合は、一定の割合で増えていく比例的な場合、二乗またn乗に比例的な場合、等差数列的な場合、等比数列的な場合、また特殊な関数の場合もある。
ここで、上側免震皿と上部免震皿、下側免震皿と下部免震皿との用語の違いについて説明しておく。
免震皿が3枚の時には、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とによって構成される。
中間免震皿は下側免震皿と上側免震皿とを兼ね、上部免震皿との関係では下側免震皿となり(上部免震皿は上側免震皿となり)、下部免震皿との関係では上側免震皿となる。
なお、上部(側)免震皿とは、上部免震皿、上側免震皿を表す。下部(側)免震皿も同様である。また、上側(部)免震皿とは、上側免震皿、上部免震皿を表す。下下側(部)免震皿も同様である。

3.2. 曲率の変化
凹型の滑り面部を有する免震皿と滑り部からなる免震装置・滑り支承において、
または、下向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する上部免震皿と上向きの平面型もしくは凹型の滑り面部を有する下部免震皿とで構成された上部免震皿と下部免震皿との間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボールがはさみこまれた免震装置・滑り支承において、且つ上部免震皿、下部免震皿の一方にまたは両方に凹型の滑り面部を有する場合において、
または、前記上部免震皿と前記下部免震皿の中間に上面下面ともに滑り面部をもった1個若しくは複数個の中間免震皿も挟み込まれ、重なる免震皿同士の間に中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部またはローラー・ボール(以上、「中間滑り部等」と言う)がはさみこまれた免震装置・滑り支承において、
免震皿の中心部の曲率半径を大きくし、また周辺部の曲率半径を小さくするか、または、中心部から周辺に向かって、曲率半径を小さくして急勾配にすることにより、地震時の滑り部等の振幅を抑制するものである。

また曲率を変化させることにより、地震周期と共振を起こさないという効果をも合わせ持つ。
免震皿の形状は、全方向性の球面等の凹面もあり、一方向性(往復を含む、以下同じ)の円柱谷面等の凹面もある。
曲率の変化の割合は、段階的に変化させる場合、一定の割合で変化させる場合(単純比例の場合、二乗またはn乗に比例する場合、等差数列の場合、等比数列の場合、また特殊な関数の場合)もある。

3.3. 摩擦係数の変化と曲面率の変化
さらに、免震皿の、3.1.の摩擦係数の変化と、3.2.の曲面率の変化とを両方用いて、滑り免震装置・滑り支承のダンパー機能の向上及び初滑動の向上を図る方法もある。


4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置、重力復元型免震装置
4.1. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.1.1. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
図73〜図109は、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。
この二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承は、以下によって構成される(今まで説明の、滑り部と免震皿の構成の免震装置・滑り支承を「一重免震皿免震装置・滑り支承」と言う)。
下向きの平面または凹面で形成された滑り面部(平面型滑り面部または凹型滑り面部)をもつ上部免震皿3-aと、上向きの平面または凹面で形成された滑り面部(平面型滑り面部または凹型滑り面部)をもつ下部免震皿3-bとが、上下に重なる。また、この上部免震皿3-aと下部免震皿3-bの中間に、上面下面ともに滑り面部をもった、1個若しくは複数個の中間免震皿3-mも挟み込まれる場合もあり、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承を構成する。
そして、上部免震皿3-aを免震される構造体1に取付け、下部免震皿3-bを免震される構造体1を支持する構造体2に取付ける。
図73〜図75は、中間滑り部6を持たない場合であり、図78〜図109は、中間滑り部6またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6(=保持器5-g)を持つ場合である。
図73(a)〜(d) は、二重免震皿(上部免震皿3-a、下部免震皿3-b)の場合、図74(a)〜(b) は、三重免震皿(上部免震皿3-a、中間免震皿3-m、下部免震皿3-b)の場合であり、さらに四重以上免震皿の場合も考えられる。層数を重ねるほうが、免震性能は増すと考えられる。
なお、図73(c)(d)は、特許 1844024号における免震復元装置との大きさの比較図であり、(c)は特許 1844024号での免震復元装置、(d)は、二重免震皿による免震装置・滑り支承の場合である。
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の構成について説明する。
まず、免震皿の大きさの一辺は、地震による最大振幅(地震による免震皿上での最大応答振幅)の免震皿枚数分で割った寸法(例えば、二重免震皿の場合は地震の最大振幅の半分の寸法)でほぼよい。
というのは、同じ大きさの免震皿の二重以上の構成を取るために、地震時に免震皿同士が互いがずれたときに、その接触点で、免震される構造体Aの垂直荷重が伝達できる最小限の面積が得られれば良く、その最小限の面積をQの二乗とすると、正方形の場合で考えると、一辺はQでよくなる。
地震の最大振幅を免震皿枚数分で割った寸法をL/免震皿枚数とすると、二重以上免震皿の場合、上下の免震皿が相互にずれるので、正方形の場合で考えると、免震皿の一辺の大きさは、L/免震皿枚数+Qでよいことになる。一般的には、それに余裕をみた寸法か、それ以上の寸法とする。二重免震皿の場合は、図73(d)の通りである。
一方、特許 1844024号での免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)では、正方形の場合で考えると、免震皿の一辺の長さは、L+Qとなる(Qは滑り部5の幅)。図73(c)の通りである。
よって、特許 1844024号での免震復元装置に比べ、二重(以上)免震皿による免震装置の免震皿の大きさは、一辺の長さでほぼ、1/免震皿枚数分になり、面積でほぼ1/免震皿枚数分の二乗になる。
また免震皿に使われる材料の効率の点からも、すべての免震皿を合わせた面積は、ほぼ1/免震皿枚数分になる(二重免震皿の場合は、一辺の大きさで、ほぼ1/2になり、面積で、ほぼ1/4になり、また免震皿を上下合わせても、ほぼ1/2の面積になる)。
次に、免震皿の形状を円形で考えた場合も、地震時にお互いがずれた二重皿の接触点の、免震される構造体Aの垂直荷重が伝達できる必要最小限の面積からの寸法が変わるのみで、ほぼ同じである。
また、免震皿の形状に関しては、以上のように、正方形、円形でも、四角形、多角形、また楕円等の曲線により形成された形でもよい。
これは、免震皿の大きさが大きくて場所を取るという問題を解決する。
また、この事により、同じ大きさの免震皿の重層で良くなる。
同じ大きさの免震皿の重層であることは、特許 1844024号での免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)の、密閉性のないことによって、塵埃等がたまり、錆びて、装置の滑り支承の摩擦が悪くなるという問題をも解決する。
つまり、密閉、それも完全密閉が可能になるからである。
免震皿の大きさと密閉性に関しての長所は、平面型滑り面部を有する免震皿であっても、凹型滑り面部を有する免震皿であっても同じである。
密閉性に関してさらに説明すると、免震皿が平面型滑り面部同士の場合には、問題がないことは言うまでもないが、凹型滑り面部同士の場合でも同様である。つまり、後述の中間滑り部6の高さ寸法を、同じ大きさの二重の凹型形状免震皿が完全に重なった時に、隙間ができない大きさに設定する事により密閉性が得られるわけである。
さらに、免震皿のほぼ中央部に潤滑油の出る孔を設けて、潤滑油がしみ出すようにするという工夫も考えられる。また、免震皿にグリース・固形の潤滑油をためるための窪みを設けることも考えられる。これは下側免震皿3-bだけでも、上部側免震皿3-aだけでも良く、上下側免震皿(3-a、3-b)の両方でもよい。
グリース・固形の潤滑油をためる窪みは、一箇所でもまた数箇所でもよい。一箇所の場合その位置は、ほぼ中央が良く、数箇所の場合は分散させて配置することも可能となる。また、その窪みに潤滑油をしみださせるための管を設けて、その管に潤滑油を送る装置を結合する場合もある。

4.1.2. 引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
図340〜図381、図383は、引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の実施例である。
上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿からなる三重免震皿免震装置・滑り支承において、上下繋ぎスライド部材・部分によって上部免震皿と中間免震皿とを平行する対辺同士で繋ぎ、それと交差方向に平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分によって中間免震皿と下部免震皿とを繋ぐことにより、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とを相互に連結させ、上部免震皿を免震される構造体1に取付け、下部免震皿を免震される構造体1を支持する構造体2に取付けることにより構成される場合である。
中間免震皿が複数個ある場合も同様であり、上下繋ぎスライド部材・部分によって平行する対辺同士でその中間免震皿を相互につなぎ、さらに、それと交差方向の平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分によって次の中間免震皿とを相互につなぎ、順次、交差方向に平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分によって次の中間免震皿とを連結してゆくことによって構成される場合である。
さらに、以上の構成に加えて、各免震皿の間に、ローラー(ベアリング)、ボール(ベアリング)を挟み込むことにより構成する場合もある。
交差方向の角度に関しては、それぞれがなす交差角は免震皿の枚数に応じた360度の等分割がよいが、それよりずれてもよい。
また、上下繋ぎスライド部材・部分自体は、免震皿の一辺より大きい場合もある。その方が、ずれに対応できるからである。
なお、ここでの上下繋ぎスライド部材・部分は、スライド方向にのみ移動可能で、垂直方向には抗する機能(垂直方向には繋ぎ留める機能)をもった部材である。
また、免震皿の形状に関しては、以下説明されるような正方形、正多角形、円形でもよいが、四角形、多角形、また楕円等の曲線により形成された形でもよい。
以下、具体的に説明する。

(1) 交差2平行(直交2平行)上下繋ぎ
図340〜図343は、上部免震皿3-aと中間免震皿3-mと下部免震皿3-bによる引抜き防止付き三重免震皿免震装置・滑り支承の実施例である。この実施例では、免震皿は正方形である。
上部免震皿3-aと中間免震皿3-mとを、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって平行する対辺同士で繋ぎ、それと交差(直交する)方向に、中間免震皿3-mと下部免震皿3-bとを、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって平行する対辺同士で繋ぐことにより、上部免震皿3-aと中間免震皿3-mと下部免震皿3-bとが相互に連結し、引抜き力に抗することができる。
なお、図340〜図343、図344〜図347のうち、図341、図345はすべり面同士で接触している場合、図342、図346はローラー(ベアリング)5-fが設けられている場合、図343、図347はボール(ベアリング)5-eが設けられている場合の実施例である。 また、図340〜図343は上下繋ぎスライド部材3-sによる場合、図344〜図347は上下繋ぎスライド部分3-sによる場合である。
図342、図346場合は、スライド方向と直角にローラー(ベアリング)5-fが設けられている。図343、図347のボール(ベアリング)5-eの場合も同様であるが、ローラー5-f・ボール5-eは、移動してもはみ出さないように、免震皿の全面にではなく、中心位置に部分的に設けられる場合もある。また、その設置される範囲の大きさは、免震される構造体の荷重が支持できるものである。
また、ローラー・ボール(ベアリング)が免震皿の全面に設けられる場合には、保持器5-gは、下の免震皿からせり出しても、ローラー・ボールが落ちない形式のものである。また、循環式転がり案内によって循環する形を取る事も考えられる。
また、以上の構成は、上下繋ぎスライド部材・部分3-s無しで重ねられる場合もあり(スライド方向にガイドだけが付いている場合もあり)、その場合でもローラー(ベアリング)、ボール(ベアリング)の構成は同じである。

(2) 交差3平行上下繋ぎ
図353〜図355、図356〜図358は、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と下部免震皿3-bによる四重免震皿免震装置・滑り支承の実施例である。この実施例では、免震皿は正六角形である。
また、図353〜図355は上下繋ぎスライド部材3-sによる場合、図356〜図358は上下繋ぎスライド部分3-sによる場合である。
上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 とを平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぎ、それと交差方向(六角形の一つの角の角度、例えば60度ずらした方向)に中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 とを平行する対辺同士で上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぎ、さらに、それと交差方向(六角形の一つの角の角度、例えば60度ずらした方向)に中間免震皿(その2)3-m2 と下部免震皿3-bとを、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって平行する対辺同士で繋ぐことにより、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と下部免震皿3-bとが相互に連結して、引抜き力に抗することができる。
なお、この実施例は、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と下部免震皿3-bとを相互に繋ぐ、上下の上下繋ぎスライド部材・部分同士を順に60度ずらして連結させた場合だが、上下繋ぎスライド部材・部分の方向が重複しなければ、平行する対辺同士の連結順番は問わない。その角度も、360度の6等分割が望ましいが、単に6分割でもよい。
なお、図353〜図355のうち、図354はすべり面同士で接触している場合の、図355はローラー・ボール(ベアリング)5-e・5-fが設けられている場合の実施例である。
ここで、ローラー(ベアリング)5-fの場合には、スライド方向と直角に、ローラー(ベアリング)が設けられる。ボール(ベアリング)も同様であるが、ローラー(ベアリング)5-fは、移動してもはみ出さないように、免震皿の全面にではなく、中心位置に部分的に設けられる場合もある。また、その設置される範囲の大きさは、免震される構造体の荷重が支持できるものである。

また、ローラー・ボール(ベアリング)が免震皿の全面に設けられる場合には、保持器5-gは、下の免震皿からせり出しても、ローラー・ボールが落ちない形式のものである。また、循環式転がり案内によって循環する形を取る事も考えられる。

また、以上の構成は、上下繋ぎスライド部材・部分3-s無しで重ねられる場合もあり(スライド方向にガイドだけが付いている場合もあり)、その場合でもローラー(ベアリング)、ボール(ベアリング)の構成は同じである。

(3) 交差4平行上下繋ぎ
(2) の方法で、同様に、正八角形の上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と中間免震皿(その3)3-m3 と下部免震皿3-bによる五重免震皿免震装置・滑り支承が構成される。
しかし、正八角形では、一辺が短くなりすぎるので、図364〜図366の実施例では、正方形状の免震皿を45度ずつずらして接合したものを5重積層させ、それらを相互に上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋いでいる。
つまり、5重積層とは、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と中間免震皿(その3)3-m3 と下部免震皿3-bとによって構成される。
具体的に説明すると以下のようである。
まず、正方形状の免震皿2枚を45度ずらして接合した上部免震皿3-aと、同形の中間免震皿(その1)3-m1 とを平行する対辺同士で上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぐ。
つまり、上部免震皿3-aの2枚のうちの下の免震皿と、中間免震皿(その1)3-m1 の2枚のうちの上の免震皿とが上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋がれることになる。
その中間免震皿(その1)3-m1 の2枚のうちの下の免震皿と、中間免震皿 (その2)3-m2 の2枚のうちの上の免震皿とを平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぐ。この上下繋ぎスライド部材・部分の方向は、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 とを接合する上下繋ぎスライド部材・部分の方向とは45度ずれる。
さらに、この中間免震皿(その2)3-m2 の2枚のうちの下の免震皿と中間免震皿(その3)3-m3 の2枚のうちの上の免震皿とを平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぐ。この上下繋ぎスライド部材・部分の方向も、中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 とを接合する上下繋ぎスライド部材・部分の方向とは45度ずれる。
また、さらにこの中間免震皿(その3)3-m3 の2枚のうちの下の免震皿と下部免震皿3-bの2枚のうちの上の免震皿とを平行する対辺同士で、上下繋ぎスライド部材・部分3-sによって繋ぐ。この上下繋ぎスライド部材・部分の方向も、同様に中間免震皿(その2)3-m2 と中間免震皿(その3)3-m3 とを接合する上下繋ぎスライド部材・部分の方向とは45度ずれる。
以上の構成により、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と中間免震皿(その3)3-m3 と下部免震皿3-bとが相互に連結して、引抜き力に対処できる。
なお、上部免震皿3-aの2枚のうちの上の免震皿と、免震される構造体1とが、さらに下部免震皿3-bの2枚のうちの下の免震皿と、免震される構造体を支持する構造体2とがそれぞれ接合される。
なお、この実施例は、上部免震皿3-aと中間免震皿(その1)3-m1 と中間免震皿(その2)3-m2 と中間免震皿(その3)3-m3 と下部免震皿3-bの相互を繋ぐ上下の上下繋ぎスライド部材・部分同士を、順に45度ずらして連結させた場合だが、上下繋ぎスライド部材・部分の方向が重複しなければ、平行する対辺同士の連結順番は問わない。その角度も、360度の8等分割が望ましいが、単に8分割でもよい。
なお、図364〜図366、図367〜図369のうち、図365および図368はすべり面同士で接触している場合の、図366および図369はローラー・ボール(ベアリング)5-e・5-fが設けられている場合の実施例である。
また、図364〜図366は上下繋ぎスライド部材3-sによる場合、図367〜図369は上下繋ぎスライド部分3-sによる場合である。
ここで、ローラー(ベアリング)5-fの場合には、スライド方向と直角に、ローラー(ベアリング)が設けられる。ボール(ベアリング)も同様であるが、ローラー(ベアリング)5-fは、移動してもはみ出さないように、免震皿の全面にではなく、中心位置に部分的に設けられる場合もある。また、その設置される範囲の大きさは、免震される構造体の荷重が支持できるものである。
また、ローラー・ボール(ベアリング)が免震皿の全面に設けられる場合には、保持器5-gは、下の免震皿からせり出しても、ローラー・ボールが落ちない形式のものである。また、循環式転がり案内によって循環する形を取る事も考えられる。
また、以上の構成は、上下繋ぎスライド部材・部分3-s無しで重ねられる場合もあり(スライド方向にガイドだけが付いている場合もあり)、その場合でもローラー(ベアリング)、ボール(ベアリング)の構成は同じである。

(4) 交差5平行以上上下繋ぎ
交差5平行以上の上下繋ぎスライド部材・部分3-sによる繋ぎ(正十角形以上)も同様に考えられる。交差平行数が増えるほうが、免震皿に対して斜め方向の地震力に対応しやすい。

(5) 免震皿の形状
いずれにしても、上下繋ぎスライド部材・部分3-sが平行する対辺同士で取り付けられ、全方向に免震皿がスライドできるものであれば、免震皿の形態は問わない。
つまり、(1)では交差2方向(直交)の平行形状に、(2)では交差3方向の平行形状に、(3)では交差4方向の平行形状に、(4)では交差5方向の平行形状に、また、交差6方向の平行形状に、それぞれ上下繋ぎスライド部材・部分3-sが取り付けられる、というように繰り返していって、それ以上の交差方向の場合にも対応できる。

(6) 上下繋ぎスライド部材・部分
以上の全ての上下繋ぎスライド部材・部分3-sに、図381、および図383のように、免震皿との間にボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟むことで、摩擦係数を下げる方法が考えられる。
図383は、上下繋ぎスライド部材・部分3-sに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けて、転がりにより、側面の摩擦抵抗を少なくした場合である。
この図からわかるように側面摩擦を小さくする場合は、上下繋ぎスライド部材・部分の引掛かりは、下側の免震皿に対して設けた方が、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fがずれなくてよい。

4.2. 中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
平面型滑り面部を有する免震皿と凹型滑り面部を有する免震皿との組合せと、凹型滑り面部を有する免震皿と凹型滑り面部を有する免震皿との組合せとには、必ず、中間滑り部(すべり型または転がり型)は必要であるが、平面型滑り面部を有する免震皿と平面型滑り面部を有する免震皿との組合せにも、中間滑り部(すべり型または転がり型)が設けられる場合もある。

4.2.1. 中間滑り部
4.2.1.1. 中間滑り部
二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の重なる免震皿間に、中間滑り部が挟み込まれることが考えられ、その中間滑り部には、すべり型のもの(4.2.1.2.)、ローラー・ボール等の転がり型のもの(4.2.1.3.)、すべりと転がりとの中間型のもの(4.2.1.4.)とが考えられる。
図78〜図109は、
4.1.1. 二重(以上)免震皿免震装置・滑り支承、及び 4.1.2. 引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、
下向きの平面型滑り面部または凹型滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面型滑り面部または凹型滑り面部を有する下側免震皿とで構成され、上側免震皿と下側免震皿との間に、中間滑り部、ローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部、またはローラー・ボール(ベアリング)(ローラー・ボールをもった保持器を含む)が挟み込まれ、あるいは中間滑り部と上側免震皿、下側免震皿との間にそれぞれローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることにより構成される免震装置・滑り支承である。
以下の(1)(2)(3)(4)の4つの場合がある。

(1) 平面型免震皿同士
平面型滑り面部を有する上側免震皿3-a(平面型免震皿と言う)と下側免震皿3-bとの間に、中間滑り部(すべり型)、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部(すべり型)、またはローラー・ボールベアリング5-e、5-f等の転がり型中間滑り部が挟み込まれるものであり、図78は、ボール(ベアリング)5-eが挟み込まれた場合の実施例である。
図79は、平面型滑り面部を有する上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとの間に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fが挟み込まれる場合であり、そのローラー・ボール5-e、5-fは、振動時に移動して免震皿よりはみ出さないように、免震皿の全面にではなく、中心位置に部分的に設けられる。また、その設置される範囲の大きさは、免震される構造体の荷重が支持できるものである。
図80は、平面型滑り面部を有する上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとの間に、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fが挟み込まれ、そのローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fは、免震皿に全面に設けられた場合であり、保持器5-gは、ローラー・ボール5-e、5-fが、下の免震皿からせり出しても落下しない形式のものである。図80の装置のメリットは、図79の装置に比して耐圧性能が上がることである。
この平面型免震皿同士による支承の防食性、防塵性、また潤滑剤の蒸発等を防ぐ気密性は、図75(a)(b)のように、二重(または二重以上の)免震皿に、シールまたは防塵カバーをすることによって守ることができる。このことは、図80装置においても同様である。この場合、中小地震では、ローラー・ボール5-e、5-fは下の免震皿からせり出さず(逆に言えば、中小地震では、下の免震皿からはみ出さないようにローラー・ボール5-e、5-fの大きさと個数を決定する)、大地震時にはシールが破れるかまたは防塵カバー3-cが開くかして、保持器5-gによって保持されたローラー・ボール5-e・5-fは、下の免震皿からせり出す事も可能にする。

(2) 平面型免震皿と凹型免震皿(復元免震皿)
図83は、平面型滑り面部を有する免震皿と凹型滑り面部を有する免震皿(3-a、3-b)(凹型免震皿と言う)との間に、中間滑り部6が挟み込まれる場合である。
その中間滑り部6の、滑り部上部(上面)6-u、下部6-lに、ローラーまたはボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。また、このローラーまたボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
なお、図83では、平面型滑り面部を有する免震皿が上側免震皿、凹型滑り面部を有する免震皿が下側免震皿となっているが、その逆の場合もありうる。

(3) 凹型免震皿同士
図86〜図109は、下向きの凹型滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの凹型滑り面部を有する下側免震皿3-bとの間に、中間滑り部6またはローラー・ボール(ベアリング)5-e・5-fをもった中間滑り部6(=保持器5-g)を挟み込む場合である。
また、図86〜図109のいずれの場合も、図106〜図107に見られるように、このローラー・ボール(ベアリング)5-e・5-fは、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
また、三重以上の免震皿の場合には、各免震皿ごとに中間滑り部を挟み込む場合もある。
以上の(1)(2)(3) の中間滑り部6の滑り部上部(上面)6-uおよび滑り部下部(下面)6-lは、低摩擦仕様となっており、テフロン等の低摩擦材が使用されている場合もある。

(4) 凹型免震皿と凸型免震皿
下向きの凸型滑り面部を有する上側免震皿3-a(凸型免震皿と言う)と上向きの凹型滑り面部を有する下側免震皿3-bとの間に、中間滑り部6またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6(=保持器5-g)が挟み込まれるもので、図85は、ボール(ベアリング)5-eが挟み込まれた場合の実施例である。
なお、(1)〜(4)の以上に関して同様の構成で、上側免震皿と下側免震皿が、上下逆に設置される場合もある。

4.2.1.2. 中間滑り部(すべり型)
以下の4.2.1.2.1.と 4.2.1.2.2.と4.2.1.2.3.は、4.2.1.1.の中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置の中間滑り部が、すべり型のものである。
図86〜図90、図102は、この発明の実施例を示している。
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置において、上側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率を持つ凸型と、下側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率を持つ凸型とが合体した形の中間滑り部が、上側免震皿と下側免震皿の間に挟み込まれることにより構成されるものである。
これは、上側下側免震皿が共に平面型免震皿の場合、上側下側免震皿が共に凹型免震皿の場合、上側下側免震皿のどちらか一方が平面型免震皿でもう一方が凹型免震皿の場合に分かれる。
特に、上側下側免震皿が共に、凹型免震皿の場合について説明すると、
下向き凹型(例;球面(図86〜図90)または円柱谷面(図102)またはすり鉢)の滑り面部を有する上側免震皿と、上向き凹型(例;球面(図86〜図90)または円柱谷面(図102)またはすり鉢)の滑り面部を有する下側免震皿との間に、上側免震皿と同曲率または接する曲率を持つ凸型滑り部と下側免震皿と同曲率または接する曲率を持つ凸型滑り部とが合体した中間滑り部、またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が挟み込まれ、あるいはまた、上側免震皿、下側免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることによって構成される。

これは、4.2.1.2.1.凹型球面状免震皿と同曲率または接する曲率をもった中間滑り部(図86〜図90)、4.2.1.2.2.円柱谷面免震皿と同曲率または接する曲率をもった中間滑り部(図102)、4.2.1.2.3.すり鉢状免震皿と接する曲率をもった中間滑り部、4.2.1.2.4.V字谷面状免震皿と接する曲率をもった中間滑り部、の4つの場合に分かれる。なお、この4通り以外の凹型形状(台形状等)の使用も可能である。
以下、具体的に説明する。

4.2.1.2.1. 中間滑り部(平面状、凹型球面状免震皿)
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、下向きの平面状または凹型の球面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状または凹型の球面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれ、上側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型と、この中間滑り部を挟む下側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型とが合体した形状の中間滑り部とからなり、また、場合によっては免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることによって、構成されることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
そのうち、図86〜図90は、下向きの凹型球面状滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの凹型球面状滑り面部を有する下側免震皿3-bとの間に、上側下側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部を有する中間滑り部6が挟み込まれた場合の実施例である。
図86〜図87は、下向き凹型球面状滑り面部を有する上側免震皿3-aと、上向き凹型球面状滑り面部を有する下側免震皿3-bとの間に挟まれた中間滑り部6の、凸型滑り部上部(上面)6-uが、上側免震皿3-aと同一球面率を持ち、凸型滑り部下部(下面)6-lが、下側免震皿3-bと同一球面率を持つ場合に有利さがあるという実施例である。
何故なら、図87(e) (f) のように、地震振動により上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとがずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上側免震皿3-aとの接触面、及び滑り部下部(下面)6-lと下側免震皿3-bとの接触面が、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利だからである。
図88の実施例は、中間滑り部6が、図86〜図87の実施例の中間滑り部6に比べて大きく、偏平である場合である。
図89の実施例は、中間滑り部6の滑り部下部(下面)6-lに、ボール(ベアリング)5-eを設けた場合であり、図90の実施例は、中間滑り部6の滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lの両方に、ボール(ベアリング)5-eを設けた場合である。
この図89〜図90の構成は、凹型球面状に対して常にボールが接し、接触面が振動時においても常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
なお、図89の実施例に対して、構成が上下逆の場合、つまり、中間滑り部6の滑り部上部(上面)6-uに、ボール(ベアリング)5-eが設けられる場合もある。

4.2.1.2.2. 中間滑り部(平面状、円柱谷面状免震皿)
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、下向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれ、上側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型と、この中間滑り部を挟む下側免震皿の滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型とが合体した形状の中間滑り部とからなり、また、場合によっては免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることによって、構成されることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
そのうち、図102は、下向き円柱谷面の滑り面部を有する上側免震皿3-aと、上向き円柱谷面の滑り面部を有する下側免震皿3-bとの間に、滑り部上部(上面)6-uが上側免震皿3-aと同曲率で、滑り部下部(下面)6-lが下側免震皿3-bと同曲率である中間滑り部6が挟み込まれた場合の実施例である。
図86〜図87の実施例が、全方向の復元力をもつのに対して、図102の実施例は、一方向(行き帰りを含む、以下同じ)の復元力しか持たないが、それ以外の特徴・メリットは同じである。
つまり、地震振動によって上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとが、ずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上側免震皿3-aとの接触面、及び滑り部下部(下面)6-lと下側免震皿3-bとの接触面がともに、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
中間滑り部6の、滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lに、ローラーまたはボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、円柱谷面形状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
さらに、すり鉢面またはV字谷面状等の滑り面部とそれらと接する曲率をもった凸型中間滑り部で構成される免震装置・滑り支承もある。
具体的構成は以下のようになる。
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置において、
下向きの凹型すり鉢面またはV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの凹型すり鉢面またはV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、
これらの免震皿の間に挟み込まれ、上側免震皿の滑り面部に接する曲率の凸型と下側免震皿の滑り面部に接する曲率の凸型とが合体した形状の中間滑り部またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部とからなり、
また、上側免震皿、下側免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれる場合もある。
4.2.1.2.3. 中間滑り部(平面状、すり鉢状免震皿)と 4.2.1.2.4. 中間滑り部(平面状、V字谷面状免震皿)とに分かれる。

4.2.1.2.3. 中間滑り部(平面状、すり鉢状免震皿)
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、下向きの平面状またはすり鉢状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状またはすり鉢状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれ、上側免震皿の滑り面部と接する曲率の凸型と、この中間滑り部を挟む下側免震皿の滑り面部と接する曲率の凸型とが合体した形状の中間滑り部とからなり、また、場合によっては免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることによって、構成されることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。

4.2.1.2.4. 中間滑り部(平面状、V字谷面状免震皿)
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、下向きの平面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれ、上側免震皿の滑り面部と接する曲率の凸型と、この中間滑り部を挟む下側免震皿の滑り面部と接する曲率の凸型とが合体した形状の中間滑り部とからなり、また、場合によっては免震皿と中間滑り部との間にローラー・ボール(ベアリング)が挟み込まれることによって、構成されることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。

4.2.1.2.5. 中間滑り部(凹型免震皿と接する曲率をもった中間滑り部)
V字谷面状の免震皿からなる免震装置・滑り支承において、
すり鉢またはV字谷面の底が、免震皿に挟まれた中間滑り部と同曲率の形状をなしており、すり鉢またはV字谷面はそれに接する形で形成されていることを特徴とする免震装置・滑り支承である。

4.2.1.3. 中間滑り部(転がり型)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置の中間滑り部が、転がり型のものである。

4.2.1.3.1. 中間滑り部(平面状、凹型球面状免震皿)
図92は、球面状免震皿型の発明の実施例を示している。
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置において、
下向きの平面状または凹型の球面状の滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの平面状または凹型の球面状の滑り面部を有する下側免震皿3-bと、これらの免震皿3-a、3-bに挟まれたボール5-eを持つことにより構成される免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。

4.2.1.3.2. 中間滑り部(平面状、すり鉢状免震皿)
図91は、すり鉢状免震皿型の発明の実施例を示している。
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置において、
下向きの平面状またはすり鉢状の滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの平面状またはすり鉢状の滑り面部を有する下側免震皿3-bと、これらの免震皿3-a、3-bに挟まれたボール5-eを持つことにより構成される免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
特に、すり鉢状の免震皿の場合には、すり鉢の底は、ボール5-eと同曲率の球面状にし、すり鉢はそれに接する形で形成するのがよい。それにより、免震皿がすり鉢状であっても、ボールと免震皿の接触面積を大きくでき、耐圧性能を上げることができる。
これによって、経年後心配される、ボールの免震皿への食込みを最小限に止どめることができる。というのは、問題となる平常時(小変位の小地震の時を含めて)の食込みを、この方法によりボールと免震皿の接触面積を大きくすることで、防ぐことができるからである。

4.2.1.3.3. 中間滑り部(平面状、円柱谷面状免震皿)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置において、
下向き平面状または円柱谷面状の滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向き平面状または円柱谷面状の滑り面部を有する下側免震皿3-bと、これらの免震皿3-a、3-bに挟まれたローラー5-f(またはボール5-e)を持つことにより構成される免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。

4.2.1.3.4. 中間滑り部(平面状、V字谷面状免震皿)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿(凹型免震皿)からなる免震装置において、
下向き平面状または凹型のV字谷面状の滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向き平面状または凹型のV字谷面状の滑り面部を有する下側免震皿3-bと、これらの免震皿3-a、3-bに挟まれたローラー5-f(またはボール5-e)を持つことにより構成される免震装置・滑り支承である。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
特に、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿の場合には、V字谷面の底は、ローラー(またはボール5-e)と同曲率の形状にし、V字谷面はそれに接する形で形成するのがよい。それにより、V字谷面状にも拘らず、ローラー5-f(またはボール5-e)と免震皿の接触面積を大きくでき、耐圧性能を上げることができる。
これによって、経年後心配される、ローラー(またはボール5-e)の免震皿への食込みを最小限に止どめることができる。というのは、問題となる平常時(小変位の小地震の時を含めて)の食込みを、この方法によりローラー(またはボール5-e)と免震皿の接触面積を大きくすることで、防ぐことができるからである。

4.2.1.4. 中間滑り部(転がりすべり中間型)
4.2.1.1.の、中間滑り部を持った二重(または二重以上の)免震皿からなる免震装置の中間滑り部が、すべりと転がりとの中間型のもので、転がりとすべりの中間の摩擦係数が得られる支承の発明である。
摩擦係数は、転がり支承約1/100からすべり支承約1/10と隔たっており、その中間値が得られなかったが、
中間滑り部6の中にローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)をもたせて、転がりとすべりの複合型支承を発明することでそれを可能にした。
中間滑り部の中にローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)をもった中間滑り部を上下免震皿の間に挟み込み構成される。
この中間滑り部はローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)と、このローラー・ボール(ベアリング)をもったすべり部分6-dとによって構成される。
図392は、その実施例である。
図393は、すべり部分6-dに複数個のローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)を持つ場合の実施例である。

(1) 回転抑制型
すべり部分6-dが、ローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)の回転を抑制するように、すべり部分6-dとローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)との接触面の摩擦が大きくなるように構成されている場合の発明である。すべり部分6-dが、ローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)の回転を抑制するのが主構成のため、すべり部分6-dは免震皿に接していなくても良く、上下の免震皿の荷重を伝達しなくてもよい。

(2) 摩擦回転併用型
すべり部分6-dとローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)の両方とが免震皿に均等に接し、両方の摩擦で摩擦係数が決まる場合の構成である。
ボール5-e(ベアリング)とすべり部分6-dとは、どちらかが強く免震皿に接するということがないよう均等に接するのが一番よいが、このことは球面では比較的難しくない。
しかし、すり鉢を考えると中間滑り部6の免震皿との接触面は球面となるが、その場合は、すべり部分6-dは弾性変形をする低摩擦のプラスチック部材(商品名デルリン等)を使用するのがよい。というのは、すべり部分6-dは弾性変形をすることによって接しやすくなるからである。
また、すべり部分6-dに低摩擦のプラスチック部材(商品名デルリン等)を使用する場合は、免震皿に納めて圧力が掛かるまでは、すべり部分6-dはローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)より寸法的に大きく、免震皿に接触する面積がすべり部分6-dの方が勝っていても、免震される構造体の荷重を受けて免震皿から圧力が掛かると、プラスチック部材等は歪むので、すべり部分6-dとローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)との両方が免震皿に接するように、すべり部分6-dとローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)との寸法を決める。

(3) (1)(2)の併用型
(1)(2)の併用もある。
すべり部分6-dに低摩擦のプラスチック部材(商品名デルリン等の)を使用する場合は、(2)の摩擦回転併用型で説明したような構成を取ると自動的に(1)の回転抑制型となる。というのは、免震皿からすべり部分6-dに圧力が掛かると、自動的にすべり部分6-dが水平方向に膨張して、ローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)の回転を抑制するような圧力となり、すべり部分6-dが、ローラー5-f・ボール5-e(ベアリング)の回転を抑制するからである。

4.2.2. 二重中間滑り部
図103〜図105は、
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、中間滑り部を二重にするというものである。
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、第一中間滑り部と第二中間滑り部とに分かれ、
上側または下側免震皿のどちらか一方の凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つその凸型の反対部は凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部と、
その反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、且つその凹(または凸)型の反対部は、上側または下側免震皿のもう一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもつ第二中間滑り部とからなり、
この第一中間滑り部及び第二中間滑り部とが、互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側及び下側免震皿に挟みこまれることにより構成される。
つまり、下向きの滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの滑り面部を有する下側免震皿3-bと、両免震皿の間に挟みこまれた中間滑り部6からなり、中間滑り部6が第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとに分かれて、二重になっていることを特徴とする発明である。
4.2.1.における中間滑り部6が、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとに分かれることを特徴とする。
第一中間滑り部6-aは、上側免震皿3-aの平面状または凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つこの凸型滑り面部の反対部に凸(または凹)型球面状滑り面部を有し、
第二中間滑り部6-bは、第一中間滑り部6-aのこの反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型滑り面部をもち、且つこの凹(または凸)型滑り面部の反対部は、下側免震皿3-bの平面状または凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部を有する。
そして、この第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとは、互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとの間に挟み込まれることにより構成される。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
特に、凹型免震皿にする場合は、凹型球面状滑り面部を有する免震皿とし、その滑り面部を滑動する中間滑り部(第一中間滑り部6-a、第二中間滑り部6-b)の滑り面部も、同一球面率の凸型球面状滑り面部にするのが有利である。
また、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとの関係が、上下逆の場合もあり、図105は、図103〜図104の上下逆の場合の実施例である。
図103〜図104、図105のいずれの場合も、図104(e) (f) のように、地震振動によって上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとがずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上側免震皿3-aとの接触面、及び滑り部下部(下面)6-lと下側免震皿3-bとの接触面がともに、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、凹型球面状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとの接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり、有利である。

4.2.3. 三重中間滑り部
図106〜図109は、4.2.1.の免震装置・滑り支承において、中間滑り部を、三重にするというものである。
4.2.1.の免震装置・滑り支承において、
一個もしくは複数(全部でもよい)の中間滑り部は、第一中間滑り部と第二中間滑り部と第三中間滑り部とに分かれ、
上側または下側免震皿のどちらか一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つその凸型の反対部は凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部と、
その反対部の凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型球面状滑り面部をもち、且つその凸(または凹)型の反対部は凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第二中間滑り部と、
その反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率の凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、且つその凹(または凸)型の反対部は、上側または下側免震皿のもう一方の平面状または凹型滑り面部と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもつ第三中間滑り部とからなり、
この第一中間滑り部、第二中間滑り部及び第三中間滑り部とが、それぞれ互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側及び下側免震皿に挟みこまれることにより構成される。
下向きの平面状または凹型滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの平面状または凹型滑り面部を有する下側免震皿3-bと、両免震皿の間に挟み込まれた中間滑り部6からなり、中間滑り部6が第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bと第三中間滑り部6-cとに分かれて、三重になっていることを特徴とする発明である。
つまり、4.2.1.における中間滑り部6が、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bと第三中間滑り部6-cとに分かれることを特徴とする。
第一中間滑り部6-aは、下向き平面状または凹型滑り面部を有する上側免震皿3-aと同曲率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、且つこの凸型の反対部は凹(または凸)型球面状滑り面部を有する。
第二中間滑り部6-bは、第一中間滑り部6-aのこの反対部の凹(または凸)型球面と同一球面率を持つ凸(または凹)型滑り面部をもち、且つこの凸(または凹)型の反対部は、凸(または凹)型球面状滑り面部を有する。
第三中間滑り部6-cは、第二中間滑り部6-bのこの反対部の凸(または凹)型球面と同一球面率を持つ凹(または凸)型滑り面部をもち、且つこの凹(または凸)型の反対部は、上向き平面状または凹型滑り面部を有する下側免震皿3-bと同曲率または接する曲率の凸型滑り面部を有する。
そして、この第一中間滑り部6-a、第二中間滑り部6-b及び第三中間滑り部6-cとは、それぞれ互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bの間に挟み込まれることにより構成される。
なお、復元を期待する場合には、上側下側免震皿の少なくともどちらか一方を凹型免震皿にする必要がある。
特に、凹型免震皿にする場合は、凹型球面状滑り面部を有する免震皿とし、その滑り面部を滑動する中間滑り部(第一中間滑り部6-a、第二中間滑り部6-b)の滑り面部も、同一球面率の凸型球面状滑り面部にするのが有利である。
この場合、図107(e) (f) のように、地震振動によって上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとがずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上側免震皿3-aとの接触面、及び滑り部下部(下面)6-lと下側免震皿3-bとの接触面が共に、常に同面積得られ、垂直荷重伝達能力において有利である。また、滑り部が、免震皿の凹型球面状に対して、広がりの形状になることも、垂直荷重伝達能力において有利である。
第二中間滑り部6-bは球形の場合もあり、図106〜図107は、その場合の実施例である。
図107(g)は、滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合の実施例である。この構成は、凹型球面状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。また、このローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fは循環式転がり案内(断面方向内側に潜り込む形式を取っている)によって循環する形を取っている。
また、第二中間滑り部6-bと、第一中間滑り部6-a、第三中間滑り部6-cとが接する位置にローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり、有利である。
図108〜図109は、もう一つの場合の実施例を示している。
下向きの凹型球面状滑り面部を有する上側免震皿3-aと上向きの凹型球面状滑り面部を有する下側免震皿3-bと、両免震皿の間に挟み込まれた中間滑り部6からなり、中間滑り部6が第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bと第三中間滑り部6-cとに分かれて、三重になっていることを特徴とする発明である。
つまり、4.2.1.における中間滑り部6が、第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bと第三中間滑り部6-cとに分かれることを特徴とする。
第一中間滑り部6-aは、下向き凹型球面状滑り面部を有する上側免震皿3-aの凹型と同一球面率を持つ凸型滑り面部をもち、且つこの凸型の反対部は凸型球面状滑り面部を有する。
第二中間滑り部6-bは、第一中間滑り部6-aのこの反対部の凸型球面と同一球面率を持つ凹型滑り面部をもち、且つこの凹型の反対部は、凹型球面状滑り面部を有する。
第三中間滑り部6-cは、第二中間滑り部6-bのこの反対部の凹型球面と同一球面率を持つ凸型滑り面部をもち、且つこの凸型の反対部は、下部の上向き凹型球面状滑り面部を有する免震皿3-bの凹型と同一球面率を持つ凸型球面状滑り面部を有する。
そして、この第一中間滑り部6-a、第二中間滑り部6-b及び第三中間滑り部6-cとは、それぞれ互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bの間に挟み込まれることにより構成される。
この場合、図109(e)(f)のように、地震振動によって、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとがずれを起こしても、滑り部上部(上面)6-uと上側免震皿3-aとの接触面、及び滑り部下部(下面)6-lと下側免震皿3-bとの接触面が、ともに、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
滑り部上部(上面)6-u、下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、凹型球面状に対して、常にローラーまたボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、第二中間滑り部6-bと、第一中間滑り部6-a、第三中間滑り部6-cとが接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり有利である。

4.2.4. 復元バネ付き中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
図81、図82、図84は、以上の 4.2.の中間滑り部持ち二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の各装置において、中間滑り部6と上側免震皿3-a、下側免震皿3-bとをバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)25で繋ぎ、復元力を持たせ、復元装置の機能を合せ持たせていることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明である。
図81は、中間滑り部6と上側免震皿3-a、中間滑り部6と下側免震皿3-bとをそれぞれバネ等25で繋いだ場合である。
図84は、中間滑り部6と、上側免震皿3-aまたは上側免震皿3-bのどちらかとをバネ等25で繋いだ場合であり、バネ等25で繋がれていない方の免震皿が凹面等の勾配を持ち、中間滑り部6を復元させる構成となっている。
また、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bの関係が上下逆の場合もある。つまり、中間滑り部6と下側免震皿3-bがバネ等25で繋がれており、バネ等25で繋がれていない上側免震皿3-aが凹面等の勾配を持ち、中間滑り部6を復元させる構成となっているものである。
また、図82のように、図79のボール5-eの保持器5-gと下側免震皿3-bとを、バネ等25で繋ぐ場合、さらにこの保持器5-gと上側免震皿3-aとをバネ等25で繋ぐ場合もある。この場合には、バネ等25により、免震される構造体の復元だけでなく、保持器5-gの免震皿の中央部への復帰、上側免震皿の下側免震皿の定位置への復帰も可能になる。
以上の装置のメリットは、前記4.1.1.の説明のように、復元装置としても、免震皿と同様、大きさが従来のほぼ半分近くですむことである。
というのは、中間滑り部6によって、地震時に上側免震皿3-aと下側免震皿3-bが相互にずれた際の寸法が、上側免震皿3-a・下側免震皿3-b各々のスライド可能寸法分を足し合わせた大きさまで可能となるためである。ただ、そのずれる寸法は、挟み込まれている中間滑り部6の幅と、収縮したバネ等分だけ小さくなる。その小さくなる分の幅をQとし、地震の最大振幅の半分をLとすると、上側免震皿・下側免震皿が相互にずれるので、上側免震皿・下側免震皿の一辺の大きさは(正方形の場合で考えると)、L+Qでよいことになる。一般的には、それに余裕をみた寸法か、それ以上の寸法とする。
一方、従来の免震装置・滑り支承では、免震皿の一辺の大きさ(前述同様、正方形の場合で考えると)は、2×L+Q'(Q':滑り部5の幅と収縮したバネ等分)となる。
よって、この発明による復元機能付免震装置・滑り支承は、従来のものと比べ、一辺の大きさでほぼ半分になり、復元装置が大きくて場所を取るという問題を解決する。
以上の4.2.1.〜4.2.4.の中間滑り部は、二重(以上)免震皿免震装置・滑り支承の全てに使用可能である。

4.3. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
4.3.1. ローラー・ボール(ベアリング)入り二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
図78、図340(a)、図342、図343 、図353、図355、図364、図366の発明は、4.の二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、免震皿の間にローラー・ボール(ベアリング)等5-e、5-fを入れることにより、摩擦係数の低下が図られ、高い免震性能が得られるというものである。
図78は、4.1.1.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承にボール(ベアリング)を入れた場合である。下側免震皿3-bを掘り下げて、そこにボール(ベアリング)5-eを入れている。上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとがほぼ隙間なく密閉状態になっているほうが、塵埃等が入らないようにするには適している。
図340(a)、図343、図353、図355、図364、図366は、4.1.2.の引抜き防止付き三重 (また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承にボール(ベアリング)を入れた場合である(図355、図366はローラーまたはボール(ベアリング)を入れた両方の場合が示されている)。
中間免震皿(3-m1 、3-m2 、3-m3 )および下部免震皿3-bを掘り下げて、そこにボール(ベアリング)5-eを入れている。
また、図340(a) 、図353、図364の場合は、図342、図355、図366 のように、一方向性(往復を含む、以下同じ)なのでローラー(ベアリング)5-fをいれてもよい。
いずれの場合も、保持器(玉軸受・ころ軸受)5-gによりボール等5-e、5-fが場所を変えないようにする場合もある。
また、ローラー・ボール(ベアリング)等5-e、5-fに潤滑剤を入れて潤滑させる方法もある。
また、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利な場合もある。

4.3.2. 平面状また円柱谷面状またV字谷面状重層免震皿(上下繋ぎスライド部分持ち)
図344〜図352、図356〜図363、図367〜図374、図375〜図380、図383は、
4.1.2.の上下繋ぎスライド部材では、中間免震皿が自然に元の位置に戻らず(平面型・凹型共に)、地震時に中間免震皿が外れる可能性があった。また上下繋ぎスライド部材が自然に元の位置に戻らず(平面型・凹型共に)、地震時に上下繋ぎスライド部材が外れる可能性があった。
この問題を解決するものである。
4.の三重以上の免震皿免震装置・滑り支承において、
免震皿が複数個あって、それらの免震皿が、平行する対辺同士で、免震皿自体に設けられた上下繋ぎスライド部分によって相互に繋がれ、順次連結されてゆき、
下向きの平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状または円柱谷面状またはV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される一層が、一層単位ごとにローラー等の転動体の進行方向が変わるように重ねられ(下の一層の上側免震皿は、上の一層の下側免震皿をも兼ねる場合もあり)、その重層によって、あらゆる方向からの水平力に免震し復元するように構成されてなること特徴とする免震装置・滑り支承である。
下向きの平面状の滑り面部(平面型滑り面部)を有する上側免震皿と、上向きの平面状の滑り面部(平面型滑り面部)を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれたローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される場合には、上下繋ぎスライド部分は、免震皿自体に設けられているため、上下繋ぎスライド部材を使用した場合のように地震時に外れる心配がない。
特に免震皿の三重構成の場合は上下繋ぎスライド部材が外れることがなくなるだけでなく、中間免震皿が自然に元の位置に戻る効果も持つ。
さらに、上側免震皿または下側免震皿の少なくともどちらか一方を円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部とし、これらの免震皿にローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)を挟むことによって免震装置・滑り支承を構成する場合には、上下繋ぎスライド部材が外れることがなくなるだけでなく、全方向の復元が可能になり、さらにローラー型で全方向の復元が可能になることにより耐圧性能を向上させることも可能になる。
さらに、V字谷面状の凹型滑り面部を有する免震皿の場合には、5.に示すように共振のない免震装置が可能になる。
4.1.2.の分類に従って実施例の説明すると、
(1) 交差2平行(直交2平行)上下繋ぎ
図344〜図347は、平面型の滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、平面型滑り面部を有する中間免震皿3-mに設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、
すべりによってスライドする場合(平面すべり型)の実施例(図345)、
平面型の滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、平面型滑り面部を有する中間免震皿3-mに設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、ローラー5-f、ボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(平面転がり型)のローラー5-fによる場合の実施例(図346)、ボール5-e(ベアリング)による場合の実施例(図347)である。
図348〜図350は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿3-mに設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、ローラー5-f(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(凹面転がり型)の実施例である。
図351〜図352は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿3-mに設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、中間滑り部(すべり部材)6のすべりによってスライドする場合(中間滑り部持ち平面すべり型)の実施例である。中間滑り部(すべり部材)6はローラー5-fと同様にすべり方向の直交方向に長いものでも良い。
特に、この三重の免震皿構成の場合は、上下繋ぎスライド部材が外れることがなくなるだけでなく、中間免震皿3-mが自然に元の位置に戻るため外れることがなくなる、という効果も持つ。

(2) 交差3平行上下繋ぎ
図356〜図358は、平面型の滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、平面型の滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、および中間免震皿(その2)3-m2に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互につながれ、
スライドする場合(平面すべり型)の実施例(図357)、またこれらの免震皿が、免震皿間に設置されたローラー5-f、ボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(平面転がり型)の実施例(図358)である。
図359〜図361は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、および中間免震皿(その2)3-m2に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、ローラー5-f(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(凹面転がり型)の実施例である。
図362〜図363は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、および中間免震皿(その2)3-m2に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互に繋がれ、中間滑り部(すべり部材)6のすべりによってスライドする場合(中間滑り部持ち平面すべり型)の実施例である。中間滑り部(すべり部材)6はローラー5-fと同様にすべり方向の直交方向に長いものでも良い。

(3) 交差4平行上下繋ぎ
図367〜図369は、平面型の滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、平面型の滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、中間免震皿(その2)3-m2、および中間免震皿(その3)3-m3に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互につながれ、すべりによってスライドする場合(平面すべり型)の実施例(図368)、
平面型の滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、平面型の滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、中間免震皿(その2)3-m2、および中間免震皿(その3)3-m3に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互につながれ、ローラー5-f、ボール5-e(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(平面転がり型)の実施例(図369)である。

図370〜図372は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、中間免震皿(その2)3-m2、および中間免震皿(その3)3-m3に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互につながれ、ローラー5-f(ベアリング)の転がりによってスライドする場合(凹面転がり型)の実施例である。
図373〜図374は、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する上部免震皿3-a、下部免震皿3-bとが、平行する対辺同士で、V字谷面・円柱谷面等の凹型滑り面部を有する中間免震皿(その1)3ーm1、中間免震皿(その2)3-m2、および中間免震皿(その3)3-m3に設けられた上下繋ぎスライド部分3-sによって相互につながれ、中間滑り部(すべり部材)6のすべりによってスライドする場合(中間滑り部持ち平面すべり型)の実施例である。中間滑り部(すべり部材)6はローラー5-fと同様にすべり方向の直交方向に長いものでも良い。
(4) 交差5平行以上上下繋ぎ
交差5平行以上の上下繋ぎスライド部分3-sによる繋ぎ(正十角形以上)も同様に考えられる。交差平行数が増えるほうが、免震皿に対して斜め方向の地震力に対応しやすい。

(5) 免震皿の形状
いずれにしても、上下繋ぎスライド部分3-sが平行する対辺同士で取り付けられ、全方向に免震皿がスライドできるものであれば、免震皿自身の形態は問わない。
つまり、(1)では交差2方向(直交)の平行形状に、(2)では交差3方向の平行形状に、(3)では交差4方向の平行形状に、(4)では交差5方向の平行形状に、また、交差6方向の平行形状に、それぞれ上下繋ぎスライド部分3-sが取り付けられる、というように繰り返していって、それ以上の交差方向の場合にも対応できる。

(6) 上下繋ぎスライド部分
以上のいずれの場合も、上下繋ぎスライド部分の引掛かりは、重なり合う上側、下側免震皿のいずれに対してでもよい。
また、以上の全ての上下繋ぎスライド部分3-sとして、図381〜図383のように、免震皿との間にボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟み、摩擦係数を下げる方法が考えられる。
図383は、上下繋ぎスライド部分3-sに、ボール・ローラー(ベアリング)5-e、5-fを設けて、そのボール等の転がりにより、側面の摩擦抵抗を少なくした場合である(図383はボール5-eの場合である)。
この図からわかるように側面摩擦を小さくする場合は、上下繋ぎスライド部分の引掛かりは、下の免震皿に対して設けた方が、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fがずれなくてよい。
なお、ここに挙げたローラー・ボール以外の転動体を使用した実施例、または他の凹型滑り面部を使用した実施例も考えられる。

(7) ローラー複数型
ローラーが単数であると、耐圧性能が悪い、複数個にして耐圧性能を上げる要望があった。 以下、1)V字谷面状、2)平面状または円柱谷面状の場合について説明する。
1) V字谷面状
下向きのV字谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きのV字谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿とが、複数個のV字谷面状等の滑り面部を持ち、この滑り面部(ごと)にローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)を挟むことにより構成される。
免震皿が3枚の時には、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とによって構成される(上側免震皿と上部免震皿、下側免震皿と下部免震皿との用語の違いについては、3.1.参照)。
具体的には、下向きのV字谷面状等の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上向きおよび下向きのV字谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、上向きのV字谷面状等の滑り面部を有する下部免震皿3-bとが、複数個のV字谷面状等の滑り面部を持ち、この滑り面部(ごと)にローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)を挟むことにより構成される。
図375〜図377は、この発明の内、上記(2)交差3平行上下繋ぎの場合の実施例であり、下向きのV字谷面状の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上向きおよび下向きのV字谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、上向きのV字谷面状の滑り面部を有する下部免震皿3-bとが、それぞれ2個のV字谷面状等の滑り面部を持ち、
下向きのV字谷面状の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上部免震皿3-aの下向きのV字谷面状の滑り面部の上下対称位置に上向きのV字谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mとの間に、ローラー等の転動体5-fが挟まれ、
下向きのV字谷面状の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、中間免震皿3-mの下向きのV字谷面状の滑り面部の上下対称位置に上向きのV字谷面状の滑り面部を有する下部免震皿3-bとの間に、ローラー等の転動体5-fが挟まれ、
上部免震皿3-aの下向きのV字谷面状の滑り面部とそれと上下対称位置に設置された上向きのV字谷面状等の滑り面部と、
中間免震皿3-mの下向きのV字谷面状の滑り面部とそれと上下対称位置に設置された上向きのV字谷面状の滑り面部とは、相互に直交する方向になっている場合の実施例である。

2) 平面状または円柱谷面状
下向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する下側免震皿と、これらの免震皿に挟まれた複数個のローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される。
免震皿が3枚の時には、上部免震皿と中間免震皿と下部免震皿とによって構成される。
具体的には、下向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上向きおよび下向きの円柱谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、上向きの平面状または円柱谷面状等の滑り面部を有する下部免震皿3-bと、これらの免震皿に挟まれた複数個のローラー等の転動体または中間滑り部(すべり部材)とによって構成される。

図378〜図380は、この発明の内、上記(2)交差3平行上下繋ぎの場合の実施例であり、下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上向きおよび下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、上向きの円柱谷面状の滑り面部を有する下部免震皿3-bとにおいて、それぞれの円柱谷面状の滑り面部の間に2個のローラー等の転動体が挟まれることによって構成されている場合の実施例である。
具体的には、下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上向きおよび下向きの円柱谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、上向きの円柱谷面状の滑り面部を有する下部免震皿3-bとが、それぞれ円柱谷面状等の滑り面部を持ち、
下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する上部免震皿3-aと、上部免震皿3-aの下向きの円柱谷面状の滑り面部の上下対称位置に上向きの円柱谷面状等の滑り面部を有する中間免震皿3-mとの間に、2個のローラー等の転動体5-fが挟まれ、 下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する中間免震皿3-mと、中間免震皿3-mの下向きの円柱谷面状の滑り面部の上下対称位置に上向きの円柱谷面状の滑り面部を有する下部免震皿3-bとの間に、2個のローラー等の転動体5-fが挟まれ、
上部免震皿3-aの下向きの円柱谷面状の滑り面部とそれと上下対称位置に設置された上向きの円柱谷面状等の滑り面部と、
中間免震皿3-mの下向きの円柱谷面状の滑り面部とそれと上下対称位置に設置された上向きの円柱谷面状の滑り面部とは、相互に直交する方向になっている場合の実施例である。

平面状の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの平面状の滑り面部を有する下側免震皿とによって挟まれるローラーは、3個以上でも可能であるが(図344〜図347参照)、
下向きの円柱谷面状の滑り面部を有する上側免震皿と、上向きの円柱谷面状の滑り面部を有する下側免震皿とによって挟まれるローラーは、2個でないと上下の免震皿に接触しないローラーが生じる。よって2個の場合が有利である。
ただし3個(または奇数個)のローラーを挟む合理性は存在する。というのは、両端の2個は上下の免震皿と接触し、真中のローラーは接触しない。このことにより、2個の場合の、ローラーが互いに接触することによる接触面での逆回転による摩擦抵抗の増大を、この上下の免震皿と接触しない真中のローラーが、この両端2個のローラー間に入り込むことにより緩衝して、摩擦抵抗の低減をする効果を持つ。

4.4. シールまたは防塵カバー付き二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承
また、図75(a)(b)は、二重(または二重以上の)免震皿のシールまたは防塵カバーに関する発明の実施例であり、4.1.〜4.3.のいずれにも適用可能である。
4.の二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承の上部免震皿・下部免震皿・中間免震皿の側面の周囲を、防塵カバー3-cまたは中小地震程度の揺れを許容するシール3-cで密閉することで、潤滑剤の蒸発、雨さらしになる事、塵埃等がたまる事、空気に暴露される事等により、滑りが悪くなることを防ぐ事が可能になる。
また、大地震時にはシール3-cが破れ、または防塵カバー3-cが開いて、振動を許容する。

4.5. 重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の滑り部の改良
図110〜図113は、重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の滑り部5の改良発明の実施例を示している。

4.5.1. 中間滑り部
図110は、中間滑り部を有する重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。
球面状またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部(この図では凹型球面状の滑り面部)を有する免震皿3と、その面を滑走する中間滑り部6をもった滑り部5とからなる。
中間滑り部6の、滑り部5と接する面は滑り部5と同曲率の凹(または凸)型の(球面)滑り面部を有し、免震皿3と接する面は免震皿3と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部(この図では同曲率球面の滑り面部)を有する。
つまり、球面状またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿3と、
免震皿3の凹型と同一球面率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、この凸型滑り面部の反対部に凹(または凸)型球面状滑り面部を有する中間滑り部6と、
この中間滑り部6の凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型滑り面部をもつ滑り部5とからなり、
中間滑り部6を、免震皿3と滑り部5との間に挟み込むことにより構成される。
中間滑り部6は、ローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部6の場合もあり、ローラー・ボールをもった保持器の場合もある。
滑り部5は、免震される構造体1に取付けられ、免震皿3は、免震される構造体1を支持する構造体2に取付けられる。
また、免震皿3と滑り部5が、免震される構造体1、免震される構造体1を支持する構造体2に対して逆の関係で取付けられる場合もある。
この場合(図110の凹型球面状の滑り面部を例にとると)、地震振動によって、滑り部5と免震皿3とがずれを起こしても、中間滑り部6が、免震皿3の球面状に追随するように中間滑り部6が滑り部5の凸(または凹)型の(球面)滑り面部に対して回転し、滑り部5と中間滑り部6及び中間滑り部6と免震皿3との接触面が、常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。また、滑り部・中間滑り部が免震皿の凹型球面状に対して、広がりの形状になることも、垂直荷重伝達能力において有利である。
滑り部下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この場合は、凹型球面状に対して、常にローラーまたはボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、中間滑り部6と滑り部5との接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり有利である。
また、図106〜図107のように、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが望ましい。

4.5.2. 二重中間滑り部
4.5.1.における中間滑り部6またはローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部が、第一中間滑り部6-aまたはローラー・ボール(ベアリング)をもった第一中間滑り部6-aと、第二中間滑り部6-bまたはローラー・ボール(ベアリング)をもった第二中間滑り部6-bとに、分かれていることを特徴とする発明である。
図111は、二重中間滑り部を有する重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。
球面状またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部(この図では凹型球面状の滑り面部)を有する免震皿3と、その面を滑走する中間滑り部をもった滑り部5とからなり、中間滑り部は、第二中間滑り部6-bと第一中間滑り部6-aとに分かれる。
第一中間滑り部6-aの滑り部5と接する面は、滑り部5と同曲率の凹(または凸)型の(球面)滑り面部を有し、
第二中間滑り部6-bの免震皿3と接する面は、免震皿3と同曲率または接する曲率の凸型滑り面部(この図では同曲率球面の滑り面部)を有する。
第一中間滑り部6-aと第二中間滑り部6-bとの、互いに接する面は、同曲率の嵌まり合う関係の凸型凹型の(球面)滑り面部を有している。
つまり、球面状またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部を有する免震皿3と、
免震皿3の凹型と同一球面率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、この凸型滑り面部の反対部に凹(または凸)型球面状滑り面部を有する第二中間滑り部6-bと、
この反対部の凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型球面状滑り面部をもち、この凸(または凹)型球面状滑り面部の反対部は凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部6-aと、
この第一中間滑り部6-aのこの凹(または凸)型球面状滑り面部と同一球面率の凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ滑り部5とからなり、
この第一中間滑り部6-a及び第二中間滑り部6-bとは、互いに同一球面率の球面状滑り面部同士で重なりあう形で、免震皿3と滑り部5との間に、挟みこまれることにより構成される。
第二中間滑り部6-bと第一中間滑り部6-aとは、ローラー・ボール(ベアリング)をもった場合もある。
滑り部5は、免震される構造体1に取付けられ、免震皿3は、免震される構造体1を支持する構造体2に取付けられる。
また、免震皿3と滑り部5の関係が、上下逆の場合もある。
図112〜図113は、二重中間滑り部を有する重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示しており、
図111とは、滑り部5、第二中間滑り部6-b、第一中間滑り部6-aの相互の滑り面部の凹凸が逆の場合である。
つまり、球面またはすり鉢状または円柱谷面状またはV字谷面状等の凹型滑り面部(この図では凹型球面状の滑り面部)を有する免震皿3と、
免震皿3の凹型と同一球面率または接する曲率の凸型滑り面部をもち、この凸型滑り面部の反対部に凸(または凹)型球面状滑り面部を有する第二中間滑り部6-bと、
この反対部の凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率を持つ凹(または凸)型球面状滑り面部をもち、この凹(または凸)型球面状滑り面部の反対部は凸(または凹)型球面状滑り面部をもつ第一中間滑り部6-aと、
この第一中間滑り部6-aのこの凸(または凹)型球面状滑り面部と同一球面率を持つ凹(または凸)型球面状滑り面部をもつ滑り部5とからなり、
この第一中間滑り部6-a及び第二中間滑り部6-bを、免震皿3と滑り部5との間に、挟みこむことにより構成される。
第二中間滑り部6-bと第一中間滑り部6-aとは、ローラー・ボール(ベアリング)をもった場合もある。
滑り部5は、免震される構造体1に取付けられ、免震皿3は、免震される構造体1を支持する構造体2に取付けられる。
また、免震皿3と滑り部5の関係が、上下逆の場合もある。
図111、図112〜図113のいずれの場合も、図113(e) (f) のように、地震振動によって滑り部5と免震皿3とが、ずれを起こしても、中間滑り部6-bが免震皿3の球面状に追随するように、中間滑り部6-bが中間滑り部6-aに対して回転し、さらに中間滑り部6-aが滑り部5に対して回転し、滑り部5と中間滑り部6-a及び中間滑り部6-aと中間滑り部6-b及び中間滑り部6-bと免震皿3との接触面積が常に同面積得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。また、滑り部・中間滑り部が免震皿の凹型球面状に対して、裾広がりの形状になることも、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、滑り部6-bの滑り部下部(下面)6-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。この構成は、免震皿の凹型球面状に対して、常にローラーまたボールが接し、振動時においても同接触面積が得られて、垂直荷重伝達能力において有利である。
また、第一中間滑り部6-aと、滑り部5、第二中間滑り部6-bとの接する位置に、ローラー・ボール(ベアリング)を設けると、首振りが容易になり、有利である。
また、図107(g)に見られるように、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。

4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承
4.6.1. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承(1)
図114〜図115は、滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の実施例を示している。
この発明は、重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承Cにおいて、免震皿の凹面上を滑り部がすべり、振動することにより生じる垂直変位を吸収することを特徴としており、滑り部5は、筒5-aと、筒5-aの中に挿入されるバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)5-bと、その下部に突き出る形で挿入されている滑り部先端5-cからなっている。
このバネ等5-bは、重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承Cの作動時の垂直変位を吸収するが、2.6.重力復元型免震装置・滑り支承の振動時の垂直変位の吸収装置の併用によってもより効果がでる。
筒5-aの上部は、単に止め金が固定されている場合もあるが、雌ネジが切られていて、雄ネジ5-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ5-dは、入り込み方向に回転させて締めることにより、バネ等5-bを圧縮して反発力を強め、滑り部先端5-cの押し出す力を強めるという機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体Aの残留変位の矯正を可能にしたりする。また、このバネ等5-bは、重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承Cの作動時の垂直変位を吸収するだけでなく、垂直免震の機能も持ち合わせている。
滑り部下面5-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。 また、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。

4.6.2. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承(2)
滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承に関する発明である。
これは、後述の8.1.2.2.3.の自動復元型固定装置の固定ピン7を、滑り部5またはローラー・ボール(ベアリング)をもった滑り部5にし、固定ピン7の挿入部7-v,7-vm を、凹型滑り面部を有する免震皿3にしたもので、そうすることにより、滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承が可能になる。
また、このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。

4.7. 縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承
図338は、縁切り型の滑り部垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承の実施例を示している。
凹型滑り面部を有する免震皿3と免震皿3の凹型滑り面部を滑走しうるローラー・ボール(ベアリング)若しくは滑り部5からなり、前記免震皿3およびローラー・ボール(ベアリング)若しくは滑り部5のうち、一方を垂直方向にスライドし水平方向は拘束されているスライド装置32によって、免震される構造体1に繋ぎ、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成されるものである。図338(a) はその平面図であり、(b)(c)は断面図である。
このうち、図338(a)と(b)は、ローラー・ボール(ベアリング)若しくは滑り部5を、垂直方向にスライドし、水平方向の移動を拘束するスライド装置32によって、免震される構造体1に繋ぎ、免震皿3を免震される構造体を支持する構造体2に設けた場合、図338(a) と(c) は、免震皿3を、垂直方向にスライドし水平方向の移動を拘束するスライド装置32によって、免震される構造体1に繋ぎ、ローラー・ボール(ベアリング)若しくは滑り部5を免震される構造体を支持する構造体2に設けた場合である。
図338(a)と(b)、(a) と(c)ともに、凹型滑り面部を有する免震皿3の復元能力は一方向性(特許 1844024号の1〜4図、また本願の図102の実施例の上また下の免震皿参照)でもよいし、球面、すり鉢形状等の全方向性でもよい。
機能を説明すると、免震される構造体Aと、重力復元型免震装置・滑り支承Cの滑り部5または免震皿3のどちらか一方とを、垂直方向にスライドし水平方向は拘束されているスライド装置32によって繋ぐことにより、重力復元型免震装置・滑り支承Cの地震時の振動による水平変位は、免震される構造体Aに伝達されるが、垂直変位は伝達されない。
その事により、併用される引抜き防止装置・滑り支承の垂直変位に対する遊び等を設ける必要がなくなり、風時の引抜き力によるがたつきがなくなる。
なお、重力復元型免震装置・滑り支承Cの復元性能を考えると、重力復元型免震装置・滑り支承Cの滑り部5に取り付く部材20は、免震される構造体Aと同等の重さが必要である。
また、併用される他の重力復元型免震装置・滑り支承Cの個数により、その重さは軽減される。また免震される構造体Aの平面位置に応じて、部材20の重さを変えることによっても、免震される構造体Aの偏心等の重心調整も可能である。
また、滑り部5の、凹型滑り面部を有する免震皿3の接する滑り部下面5-lまた上面5-uに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。
4.8. 新重力復元型免震装置
図116〜図118は、垂直変位のない新重力復元型免震装置C(以下、「重り復元型免震装置」と言う)の実施例を示している。
図116は、免震される構造体Aから吊材等8で吊された重り20を、免震される構造体を支持する構造体または基礎2に設けられた挿入口31を経由して、その下にまで吊されるように設置する。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口(図118)、すり鉢状等の形状の挿入口(図116)のように、吊材8とその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、重り20の吊材8に対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。また、吊材8も、強度があり、曲げられる材料のケーブル、ワイヤー、ロープ等の可撓部材が選択される。
また、復元力をもたせるために、重り20の重さは、この装置を単独で使用する場合には、免震される構造体Aの重さと、併用される免震装置・滑り支承の摩擦係数とを掛合わせた数値以上、この装置を複数個使用する場合には、上記の値(免震される構造体Aの重さ×摩擦係数)をその個数で割った数値以上にする必要がある。
図118は、図116の実施例の重り20と免震される構造体を支持する構造体2の間に、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)25を付加したものである。バネ等25の強度分、重り20を軽くする事が可能となり、また最大振幅時の緩衝装置としても使うことができる。特に、バネ等25と基礎2の間に隙間を設けて、ある地震振幅以上にならないとバネ等が働かない機構にすると、最大振幅時のみに機能する緩衝装置となり、併用する免震皿から滑り部などが外れるのを防止する、外れ防止装置としても機能する。
また、図117は、重り20または吊材8またはこれらの延長物に、固定装置のロック機能を設けることにより構成されるものである。
具体的には、重り20、吊材8に、またこれらの延長物に、固定装置Gの挿入部7-vを設け、そこに固定ピン7が差込まれる。この固定装置Gは、以下の「8.固定装置・ダンパー」に示されるような各種型があり、固定ピン7は、地震センサーまたは風センサーに接続される。
また、特許 1844024号と特許 2575283号での免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)では地震振動時に垂直変位が生じるが、この新重力復元型免震装置においては、重力復元型免震装置であるにもかかわらず、垂直変位が生じない。このことは、引抜き防止装置・固定装置等を垂直変位に対処するようにした場合に生じるがたつき等の問題を解決する(前記2.6.等参照)。
また、この新重力復元型免震装置は、バネ等による復元制御に比べて、免震性能が高い。バネ等による復元制御は変位に比例して復元力が増加するため、変位の大きい強い地震ほど反発力が大きく、そのために免震性能を低下させる。この新重力復元型はその点、変位に比例しない一定の復元力を得られるため、強い地震に対しても免震性能が低下することはない。
また、変位に比例しない一定の復元力をもつという性能は、地震終了後の残留変位の抑制に対して大きな効果を持つ。つまり、変位に比例して復元力が増加するバネ型のものは、変位が小さい場合には復元力を持たず、そのため残留変位が残り易い。一方、変位に比例しない一定の復元力をもつこの新重力復元型は、変位が小さくても一定の復元力が得られるため、残留変位を消去する能力は大きいのである。
さらに、変位に比例しない一定の復元力をもつという性能は、免震装置自体が固有周期を持たないという重要な効果を持つ。つまり地震周期に対しては共振域を持たないという大きな効果が得られる。
また、重り20により、免震される構造体の重心が押し下げられて、ロッキング現象等の問題も少くなり、安定した免震性能が得られることに役立つ。


5.共振のない免震装置と運動方程式とプログラム
5.1. 共振のない免震装置とその運動方程式
5.1.1. 共振のない免震装置とその運動方程式
耐震でも免震でも、共振は避けられない現象で最も危険なものと考えられていた。そこで、共振のない免震装置が求められている。

5.1.1.1. 共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置
5.1.1.1.1. 共振のない滑り型免震装置
(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(一重免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.5.参照)、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、2.10./2.12./4.1.〜4.2.1.2.3./4.2.1.2.5./4.2.1.3.2.〜4.3./(4.4.)参照))、
または、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(一重免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.5.参照)、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(転がり・すべり、4.2.1.2.4./4.2.1.2.5./4.2.1.3.4./4.3.2./(4.4.)参照))は、共振現象を持たない。
以上のすり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承と、V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承とを、すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承と言う。

(2) 重り復元型免震装置
重り復元型免震装置(4.8.参照)は、共振現象を持たない。

5.1.1.1.2. 共振のある滑り型免震装置
参考として共振のある滑り型免震装置として、以下の2つの型の免震装置をあげておく。
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
凹型球面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(2.10./2.12./4.1.〜4.2.1.2.1./4.2.1.3.1.〜4.5.参照)、
または、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承(4.2.1.2.2./4.2.1.3.3./4.3.2./(4.4.)/4.5.参照)は、共振現象を持つ。
以上の凹型球面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承と、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承とを、凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承と言う。

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
もう一つの型として、
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置(4.2.4./14.1.2.参照)共振現象を持つ。

5.1.1.2. 共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置との運動方程式(記号説明は 5.1.3.1.参照)
以下、5.1.1.1.の免震装置ための運動方程式である。

5.1.1.2.1. 共振のない滑り型免震装置
(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt= -d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|≒mg・tanθ/|x|≒mg・θ/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|≒mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
なお、上記のKe、Ceについて説明をすると、
等価固有周期による場合は、
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
運動方程式から等価法による場合は、
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|
エネルギー消費等価法による場合は、
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
運動方程式から等価法による場合は、
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|
である。

(2) 重り復元型免震装置
1) 直接法
重り復元型免震装置の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+M/m・g・sign(x)+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
2) 等価線形化法
重り復元型免震装置の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・M/m/|x|
Ke=mg・M/m/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
なお、上記のKe、Ceについて説明をすると、
等価固有周期による場合は、
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
運動方程式から等価法による場合は、
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|
エネルギー消費等価法による場合は、
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
運動方程式から等価法による場合は、
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|
である。

5.1.1.2.2. 共振のある滑り型免震装置
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
なお、上記のCeについて説明をすると、
エネルギー消費等価法による場合は、
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
運動方程式から等価法による場合は、
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|
である。

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
1) 直接法
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置の直接法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt

2) 等価線形化法
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置の等価線形化法による運動方程式は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合は、以下のようになる。
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
なお、上記のCeについて説明をすると、
エネルギー消費等価法による場合は、
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
運動方程式から等価法による場合は、
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|
である。

5.1.1.3. 運動方程式から設計された共振のない滑り型免震装置と共振のある滑り型免震装置との運動方程式(記号説明は 5.1.3.1.参照)
5.1.1.3.1. 共振のない滑り型免震装置
(1) すり鉢・V字谷復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt= -d(dz/dt)/dt
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとθ≧μ を満たす、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または
V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またはそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
Ke=(cosθ)^2・mg・tanθ/|x|≒mg・tanθ/|x|≒mg・θ/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=(cosθ)^2・mg・μ/|dx/dt|≒mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとθ≧μ を満たす、
すり鉢状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または
V字谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またはそれによる免震構造の発明である。

(2) 重り復元型免震装置
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+g{M/m・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとM/m≧μ を満たす、
重り復元型免震装置、またはそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ke≒(π^2/8)・mg・M/m/|x|
Ke=mg・M/m/|x|
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなり、残留変位のない復元を考えるとM/m≧μ を満たす、
重り復元型免震装置、またはそれによる免震構造の発明である。

5.1.1.3.2. 共振のある滑り型免震装置
(1) 凹型球面・円柱谷面復元型免震装置・滑り支承
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+g/R・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
凹型球面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または、それによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+g/R・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
凹型球面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または、円柱谷面状の滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、または、それによる免震構造の発明である。

(2) 滑り支承+バネ型復元装置
1) 直接法
運動方程式
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+K/m・x+μg・sign(dx/dt)+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置、またはそれによる免震構造の発明である。

2) 等価線形化法
等価線形化法による運動方程式
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
Ce≒(4/π)・mg・μ/|dx/dt|
Ce=mg・μ/|dx/dt|
また、粘性ダンパーのある場合
d(dx/dt)/dt+K/m・x+Ce/m・dx/dt+c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
によって構造解析することによって設計されてなる、
滑り支承+バネ型復元装置による免震装置、またはそれによる免震構造の発明である。

5.1.2. 共振のないことの証明
5.1.1.1.の(1)(2)に関して、
5.1.1.2.の運動方程式(2)においてM/m=θとすると(1)と同じ運動方程式になる。
運動方程式
d(dx/dt)/dt+g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt
の解を整理すると以下のようになる(後述の 5.1.3.滑り免震(すり鉢状)の運動方程式の解、参照)。

(1) 最大応答加速度の理論解
絶対加速度振幅|d(dy/dt)/dt|maxは
|d(dy/dt)/dt|max=|(±θ+μ)g| ……( 15)

絶対加速度倍率γ2は
γ2 =|(±θ+μ)/ε| ……( 16)
となる。

(2) 最大応答変位の理論解
相対変位振幅x0は
x0 =|±z0/(2ε)・√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}
+(±θ+μ)・z0/ε| ……( 8-1)

相対変位倍率γ0は
γ0 =|±1/(2ε)√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}+(±θ+μ)/ε|
……( 9-1)

絶対変位振幅y0は
y0 =|(±θ+μ)z0・π^2/(8ε)| ……( 12)

絶対変位倍率γ1は
γ1 =|(±θ+μ)π^2/(8ε)| ……( 13)
となる。

以上から、
応答変位倍率は、入力(地震)周期とは無関係であり、入力加速度によってきまり、入力加速度とほぼ反比例関係であり、小さい入力加速度では増幅はあるが、大きな入力加速度では応答変位の増幅はほとんど無い。
応答絶対加速度も、入力(地震)周期とは無関係であり、さらに入力変位・速度・加速度に依らず、常に一定値の(±tanθ+μ)・gである。
以上のことは実験でも証明されている。

共振が問題になるのは、変位増幅よりも加速度増幅の場合である。それも大きな加速度入力時に起る場合が特に問題である。本発明により、そういう心配の全くない装置が可能となる。

効果は、この免震構造では、共振防止ダンパーが要らないことである。
ダンパーの役割は、地震終息時の減衰効果、共振抑制、変位抑制である。
地震終息時の減衰効果に関して、摩擦型で球面でない場合は速やかに減衰するので、ダンパーは必要ない。
変位抑制に関しても、低速度時では油圧ダンパーは摩擦ほどではないので、μとθを調整すると油圧ダンパーは必要ない(h=16/π^3・μ/tanθ≒0.5・μ/θ)。
共振抑制に関しても以上のように共振しないので、ダンパーは必要ない。
以上のことから、この免震構造でダンパーは必要ないことになる。

5.1.3. 滑り免震(すり鉢状)の運動方程式の解
5.1.3.1. 記号一覧
x :地面=免震皿から見た質点の応答変位(相対変位)
z :不動=絶対点より見た地面の応答変位(絶対変位)
y=x+z:不動=絶対点より見た質点の応答変位(絶対変位)
x0 :質点の振幅(地面=免震皿から見た)
y0 :質点の振幅(不動=絶対点より見た)
z0 :地震波の振幅(不動=絶対点より見た)
d(dx/dt)/dt:質点の応答加速度(対地面=受け皿、相対加速度)
d(dz/dt)/dt:地震加速度(地面上=受け皿入力値、絶対加速度)
d(dy/dt)/dt:質点の応答絶対加速度(絶対加速度)
t :時間
m :質点の質量
M :復元重りの質量
g :重力加速度
θ :すり鉢形状免震皿の勾配 radian
μ :免震皿の動摩擦係数
h :減衰定数
c :粘性係数
K :バネ定数

ω :地震力の円振動数(不動(絶対)点より見た) radian/sec
ω0 :質点の固有円振動数 radian/sec
z0・ω^2 :地震波の加速度振幅
ε=z0・ω^2/g :震度
γ0 =x0/z0 :振幅率(相対変位倍率)
γ1 =y0/z0 :絶対変位倍率
γ2 =|d(dy/dt)/dt|max/|d(dz/dt)/dt|max :絶対加速度倍率
A^n:Aのn乗( ^ は以上以下の全ての章で使用)
sign(x):xの符号を示す。プラスの時+1、マイナスの時−1、0の時0
√( ):( )内の√

5.1.3.2. 運動方程式を解く
(1) すり鉢復元型の場合
d(dy/dt)/dt+sinθ・cosθ・g・sign(x)+(cosθ)^2・μg・sign(dx/dt)=0
d(dy/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=0

θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dy/dt)/dt +θg・sign(x)+μg・sign(dx/dt)=0
d(dy/dt)/dt +g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=0

y=x+zより
d(dx/dt)/dt +g{θ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=-d(dz/dt)/dt

(2) 重り復元型(4.8.参照)の場合
d(dy/dt)/dt +M/m・g・sign(x)+μg・sign(dx/dt)=0
d(dx/dt)/dt +M/m・g・sign(x)+μg・sign(dx/dt)=-d(dz/dt)/dt

(1)(2)に関して、
(2)においてM/m=θ(実際そのようなMにする必要がある)とすると(1)と同じ方程式になる。以下、(1)の方程式に従い解く。

1) dx/dt≧0 x≧0の時
d(dy/dt)/dt +θg+μg=0
d(dy/dt)/dt +(θ+μ)g=0

2) dx/dt≧0 x<0の時
d(dy/dt)/dt −θg +μg=0
d(dy/dt)/dt −(θ−μ)g=0

3) dx/dt<0 x≧0の時
d(dy/dt)/dt +θg−μg=0
d(dy/dt)/dt +(θ−μ)g=0

4) dx/dt<0 x<0の時
d(dy/dt)/dt −θg−μg=0
d(dy/dt)/dt −(θ+μ)g=0

1)、4)の時、つまり、sign(x)・sign(dx/dt)≧0 の時は
d(dy/dt)/dt +(θ+μ)g・sign(dx/dt)=0

2)、3)の時、つまり、sign(x)・sign(dx/dt)≦0 の時は
d(dy/dt)/dt +(−θ+μ)g・sign(dx/dt)=0

以上より、
d(dy/dt)/dt +(±θ+μ)g・sign(dx/dt)=0 ……( 1)

y=x+zより
d(dx/dt)/dt + d(dz/dt)/dt +(±θ+μ)g・sign(dx/dt)=0
d(dx/dt)/dt +(±θ+μ)g・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
……( 2)

地震力を単純化して振幅一定の正弦波とし、
z=z0・cosωtとして
dz/dt=−z0・ω・sinωt
d(dz/dt)/dt=−z0・ω^2・cosωt
よって、
d(dx/dt)/dt +(±θ+μ)g・sign(dx/dt)=z0・ω^2・cosωt
……( 2-1)
( 2-1)式をフーリエ級数展開すると、
μが小さい場合〔(μ+θ)<π/4・ε)、xはωの振動数をもった調和振動と考えられ((μ+θ)≧π/4・εの時とは、 4/π・(μ+θ)g≧地震波の加速度振幅 の時で、地震波の加速度振幅≧(μ+θ)gの時でないと免震が始まらないので、 4/π・(μ+θ)g〜 (μ+θ)gの間のみが免震時の理論解として解けていないが、転がり型の免震装置を考えると (μ+θ)g及び 4/π・(μ+θ)gは極めて小さい値であり、実質的な問題はない〕、
dx/dt=0の時とは、(2n+1)π/2=ωt−η
dx/dt≧0の時とは、(4n-1)π/2≦ωt−η≦(4n+1)π/2 :nは整数
dx/dt≦0の時とは、(4n+1)π/2≦ωt−η≦(4n+3)π/2 :nは整数
とすると、
よって、( 2-1) 式をフーリエ級数展開すると
d(dx/dt)/dt +4(±θ+μ)g/π・{cos(ωt−η)
−1/3 cos3(ωt−η)+1/5 cos5(ωt−η)……}
=z0・ω^2 cosωt ……( 3)

d(dx/dt)/dt=z0・ω^2 cosωt
−4(±θ+μ)g/π・{cos(ωt−η)
−1/3 cos3(ωt−η)
+1/5 cos5(ωt−η)……}
……( 4)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
∴d(dx/dt)/dt=z0・ω^2 cosωt−(±θ+μ)g ……( 4-1)

dx/dt=z0・ω sinωt
−4(±θ+μ)g/(ωπ)・{sin(ωt−η)
−1/9 sin3(ωt−η)
+1/25sin5(ωt−η)……}
……( 5)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
=z0・ω sinωt
−4(±θ+μ)g/(ωπ)・π(ωt−η)/4
∴ dx/dt=z0・ω sinωt−(±θ+μ)g/ω・(ωt−η)
……( 5-1)

x=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)g/(ω^2 π)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)z0/(πε)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 6)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)g/(πω^2)・π/8・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
∴ x=−z0・cosωt
+(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
=−z0・cosωt
+(±θ+μ)z0/(2ε)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
……( 6-1)

※ ηの決定
与条件のωt−η=(2n+1)π/2の時、dx/dt=0より
( 5) 式に、ωt−η=π/2を代入
0=z0・ω sin(π/2+η)
−4(±θ+μ)g/(ωπ)・{1+1/9+1/25+…}
=z0・ω cosη
−4(±θ+μ)g/(ωπ)・π^2/8
0=z0・ω cosη
−(±θ+μ)πg/(2ω)

cosη=(±θ+μ)πg/(2z0・ω^2)
∴ cosη=(±θ+μ)π/(2ε) ……( 7)

※ ζの決定
d(dx/dt)/dt=0の時、x=0より
( 2-1)式より
cosωt=(±θ+μ)g・sign(dx/dt)/(z0・ω^2)
( 6)式に x=0より、
0=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)g/(ω^2・π)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=−(±θ+μ)g・sign(dx/dt)/ω^2
+4(±θ+μ)g/(ω^2・π)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=(±θ+μ)g/ω^2
・〔−sign(dx/dt)+4/π・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}〕
0=−sign(dx/dt)+4/π・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 7-1)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
dx/dt≧0より
0=−1+4/π・π/8・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
=−1+1/2{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
=−2+π^2/4−(ωt−η-ζ)^2
(ωt−η-ζ)^2=−2+π^2/4
∴ ωt−η-ζ=±√(π^2/4−2) ……( 7-2)

5.1.3.3. 応答相対変位・振幅・倍率
(1) 相対変位
以上から
x=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)g/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=−z0・cosωt
+4(±θ+μ)z0/(πε)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 6)
=−z
+4(±θ+μ)g/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=−z
+4(±θ+μ)z0/(πε)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 6')

−π/2≦ωt−η≦π/2の時
x=−z0・cosωt
+(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
=−z0・cosωt
+(±θ+μ)z0/(2ε)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
……( 6-1)
x=−z
+(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
=−z
+(±θ+μ)z0/(2ε)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
……( 6-1')
( 7-2)式を代入
=−z
+(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4+2-π^2/4}
=−z
+(±θ+μ)g/(2ω^2)・2
=−z0・cosωt+(±θ+μ)g/ω^2
∴ x=−z0・cosωt+(±θ+μ)z0/ε ……( 6-2)
=−z+(±θ+μ)g/ω^2
=−z+(±θ+μ)z0/ε ……( 6-2')

μ=0の時、
x=−z
±4 θ・g/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
=−z
±4 θ・z0/(πε)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 6-3)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
∴ x=−z±θ・g/ω^2
=−z±θ・z0/ε ……( 6-4)

(2) 相対変位振幅
dy/dt=0の時、|x|は最大
つまり、ωt−η=(2n+1)π/2の時、
よって、( 6) 式にωt−η=π/2を代入は、−π/2≦ωt−η≦π/2の時なので、( 6-2) 式にωt−η=π/2を代入、

x0 =|x|max
=|−z0・cos(π/2+η)+(±θ+μ)g/ω^2|
=|z0・sin η+(±θ+μ)g/ω^2|
∴x0 =|z0・sin η+(±θ+μ)z0/ε| ……( 8)

( 7) 式より
cosη=(±θ+μ)・π/(2ε)
(cosη)^2=(±θ+μ)^2・π^2/(4ε^2)
1−(sinη)^2=(±θ+μ)^2・π^2/(4ε^2)
sinη=±√{(±θ+μ)^2・π^2/(4ε^2)+1}

∴x0 =|±z0√{(±θ+μ)^2・π^2/(4ε^2)+1}
+(±θ+μ)g/ω^2|
=|±z0/(2ε)・√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}
+(±θ+μ)g/ω^2|
=|±z0/(2ε)・√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}
+(±θ+μ)・z0/ε| ……( 8-1)

μ=0の時、
x0 =|±z0√{θ^2・π^2/(4ε^2)+1}±θ・g/ω^2|
=|±z0/(2ε)・√{θ^2・π^2+4ε^2}±θ・g/ω^2|
∴x0 =|±z0/(2ε)・√{θ^2・π^2+4ε^2}±θ・z0/ε|
……( 8-2)

(3) 相対変位倍率
γ0 =x0/z0
( 8) 式より
=|sinη+(±θ+μ)g/(ω^2・z0)|
∴γ0 =|sinη+(±θ+μ)g/(z0・ω^2)| ……( 9)

( 8-1) 式より
=|±1/(2ε)√{(±θ+μ)^2・π^2+4ε^2}+(±θ+μ)/ε|
……( 9-1)
μ=0の時、
∴γ0 =|±1/(2ε)√{θ^2・π^2+4ε^2} ±θ/ε|
……( 9-2)

5.1.3.4. 応答絶対変位・振幅・倍率
(1) 絶対変位
y=x+z
( 6) 式より
∴y=4(±θ+μ)g/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)−…}
……( 11)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
( 6-1) 式より
y=(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4−(ωt−η-ζ)^2}
( 7-2)式を代入
=(±θ+μ)g/(2ω^2)・{π^2/4+2−π^2/4}
=(±θ+μ)g/ω^2
∴y=(±θ+μ)z0/ε ……( 11-1)

μ=0の時、
∴y=±4 θg/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)……}
……( 11-2)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
=±θg/ω^2
∴y=±θz0/ε ……( 11-3)

(2) 絶対変位振幅
|y|max =y0 として、
y0 =|4(±θ+μ)g/(πω^2)・{cos(ωt−η-ζ)
−1/27 cos3(ωt−η-ζ)
+1/125 cos5(ωt−η-ζ)−…}|max
ωt−η-ζ=0の時にmax
=|4(±θ+μ)g/(πω^2)・{1−1/27+1/125−…}|
∴y0 =|(±θ+μ)gπ^2/(8ω^2)| ……( 12)
=|(±θ+μ)z0・π^2/(8ε)| ……( 12)
≒|1.23(±θ+μ)z0/ε| ……( 12-1)

μ=0の時、
=|(±θ+μ)z0・π^2/(8ε)| ……( 12-2)
∴y0 ≒|±1.23 θ・z0/ε| ……( 12-3)

(3) 絶対変位倍率
γ1 =y0/z0
( 12-1)式より
=|(±θ+μ)gπ^2/(8z0・ω^2)|
=|(±θ+μ)π^2/(8ε)| ……( 13)
∴γ1 ≒|1.23(±θ+μ)/ε| ……( 13-1)

μ=0の時、
=|θ・π^2/(8ε)| ……( 13-2)
∴γ1 ≒|1.23 θ/ε| ……( 13-3)

5.1.3.5. 応答相対速度、応答絶対速度
(1) 相対速度
dx/dt=z0・ω sinωt
−4(±θ+μ)g/(ωπ)・{sin(ωt−η)
−1/9 sin3(ωt−η)
+1/25 sin5(ωt−η)……}
……( 5)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
∴dx/dt=z0・ω sinωt−(±θ+μ)g/ω・(ωt−η)
……( 5-1)

(2) 絶対速度
dy/dt=dx/dt+dz/dt
=dx/dt−z 0ω sinωt
=−4(±θ+μ)g/(ωπ)・{sin(ωt−η)
−1/9 sin3(ωt−η)
+1/25 sin5(ωt−η)……}
……( 5-2)
−π/2≦ωt−η≦π/2の時
∴dy/dt=−(±θ+μ)g/ω・(ωt−η) ……( 5-3)

5.1.3.6. 応答相対加速度、応答絶対加速度・振幅・倍率
(1) 相対加速度
( 2) ( 2-1) 式より、
d(dx/dt)/dt =−d(dz/dt)/dt−(±θ+μ)g・sign(dx/dt)
……( 2')
d(dx/dt)/dt =z0・ω^2・cosωt−(±θ+μ)g・sign(dx/dt)
……( 2-1')

(2) 絶対加速度
( 11)式をtで二階微分して、
d(dy/dt)/dt
=−4(±θ+μ)g/π・{cos(ωt−η)
−1/3 cos3(ωt−η)
+1/5 cos5(ωt−η)……}
フーリエ級数なので(また( 1)式より同じ)
∴d(dy/dt)/dt=−(±θ+μ)g・sign(dx/dt) ……( 14)

また、(2')式 に +d(dz/dt)/dt からも同じ
d(dy/dt)/dt=d(dx/dt)/dt +d(dz/dt)/dt
=−(±θ+μ)g・sign(dx/dt)

μ=0の時、
∴d(dy/dt)/dt=−±θg・sign(dx/dt) ……( 14-1)

(3) 絶対加速度振幅
∴|d(dy/dt)/dt|max=|(±θ+μ)g| ……( 15)

μ=0の時、
∴|d(dy/dt)/dt|max=|θg| ……( 15-1)

(4) 絶対加速度倍率
地震加速度z0・ω^2=εgとして、
γ2 =|d(dy/dt)/dt|max/|d(dz/dt)/dt|max
∴γ2 =|(±θ+μ)/ε| ……( 16)

μ=0の時、
∴γ2 =|θ/ε| ……( 16-1)

5.2. 解析プログラムによる共振のない滑り型免震装置
Runge-Kutta法による解析プログラムによる共振のない滑り型免震装置の発明である。
以下、そのフローチャート(記号については5.2.1.1.変数/定数一覧参照)を示す(5.2.1.5.参照)。
(1) 初期化
1) 初期値のセット
2) 上部構造の質点間のバネ定数と減衰係数の入力(2質点以上の場合)
(2) 入出力ファイルの設定
1) 入力データのファイル名を設定
2) INPUT命令で入力された出力ファイル名(F$)をファイル番号#2のoutput用ファイルとして開く。

(3) 入力データ(地動加速度データ)の読み込み

(4) 動作判別式
運動方程式には地動加速度に対して免震装置が機能する条件が入っていないので、ここで判別式として運動方程式選択の分岐をおこなう。

1) 耐震(静止)状態の時
a. |AC|≧(MU+SS)*G*SSC^2
a.が成り立つ場合は免震状態になるので、免震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A)へ移行する。
a.が成り立たない場合は耐震状態のままなので、耐震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A0)へ移行する。

2) 免震状態の時
b. x=0 かつ v=0 かつ |AC|<(MU+SS)*G*SSC^2
※但しプログラム上はxとvの絶対値が 0に近い一定値以下の場合、x=0、v=0とみなしている。
b.が成り立つ場合は耐震状態になるので、耐震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A0)へ移行する。
b.が成り立たない場合は免震状態のままなので、免震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A)を再び経由する。

(5) 運動方程式設定
動作判別式により免震装置が機能しない場合(*SUB_A0)と免震装置が機能する場合(*SUB_A)の2つの場合に分かれ、運動方程式から質点数ごとにそれぞれ次のような連立2階微分方程式を解くことになる。

1) 1質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(dx/dt)/dt=0
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(dx/dt)/dt=-MM1*G*SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))/MM1-DDY

2) 2質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2)/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2−KK2*X2))/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY

3) 3質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+MM3)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY

4) n質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY



d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+・・+MMn)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY


d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2

(6) Runge-Kutta解析
連立2階微分方程式をRunge-Kutta法で解く。

(7) 加速度/速度/変位応答の計算
速度と変位は連立2階微分方程式を解くことによって得られ、加速度については運動方程式から直接得る。

(8) 誤差の丸め処理

(9) 結果出力

Wilsonθ法による解析プログラムによる共振のない滑り型免震装置の発明である。
以下、そのフローチャート(記号について5.2.2.2. 変数/定数一覧参照)を示す(5.2.2.5.参照)。
(1) 初期化
1) N,ND1,ND2設定
NとND1は質点数を入力、ND2は地動加速度データ数を入力。
2) 配列の宣言
3) 初期値のセット
4) 上部構造の質点間のバネ定数と減衰係数の入力(2質点以上の場合)

(2) データ入力と出力ファイルの設定
1) 入力データ用のファイル名をINPUT命令でセットし、ファイルナンバー#1として開く。
2) 出力データ用のファイル名をINPUT命令でセットし、ファイルナンバー#2として開く。

(3) 時刻反復
1) 時刻歴(M=2 TO NN)のループ。

(4)先読み反復
1) 等価バネ定数、等価減衰係数の精度を上げるため、時刻歴を1つ分先読みする、O=1 TO 2のループ。1巡目のときO=1、2巡目のときO=2。5.2.2.6. 2)を参照。

(5)等価バネ定数、等価減衰係数の計算
1) 等価バネ定数(KEQ)、等価減衰係数(CEQ)を、V0とX0から求める。

1質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0

2質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0


※なお、V0、X0の絶対値が非常に小さい値だとKEQ、CEQが発散してしまうため、V0、X0の絶対値が 0に近い一定値以下の場合はそれぞれ十分小さいが発散しない適切な値を代わりに使用する。
2) 連立方程式に使用するVW1の計算。

(6) ループチェック
(4)で1巡目の処理か2巡目の処理かをチェックする。1巡目の場合は、そのまま(7)の処理に進み、2巡目の場合は、先読み前の時間に戻した後に、(7)の処理に進む。

(7) Wilsonーθ法による、t+θDT時の変位計算

(8) Wilsonーθ法による、加速度/速度/変位応答の計算

(9) 誤差の丸め処理
(6)のループチェックにおいて1巡目の処理とされた場合は(4)の処理へ戻り、2巡目の処理とされた場合は(10)の処理へ進む。

(10) 結果出力

5.2.1. Runge-Kutta法
Runge-Kutta法のフローチャートは、図444に記載されている。

5.2.1.1. 変数/定数一覧
(1) 入力値
上部構造は1質点、2質点、3質点、n質点せん断形弾性モデルとする。
1階の質点質量とは、1階床の質量に1階床上から2階床までの構造材質量を、n階の質点質量とは、n階床の質量にn-1階床上からn階床までの構造材質量を、それぞれ適当に配分して和したものとする。
それ以外の各階の質点質量とは、各階の床の質量にその上下階間の構造材質量を適当に配分して和したものとする。

MM 上部構造の質点質量(単位t)
MM1 上部構造1階の質点質量(単位t)
MM2 上部構造2階の質点質量(単位t)
MM3 上部構造3階の質点質量(単位t)


MMn 上部構造n階の質点質量(単位t)
SS すり鉢勾配の角度θによるタンジェント tanθ
重り復元型免震装置(5.1.1.1.1.(2))の場合は、
M/m=θとする
SSC すり鉢勾配の角度θによるコサイン cosθ
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
MU すり鉢支承の摩擦係数
重り復元型免震装置の場合は滑り支承の摩擦係数を入力
DDY 地動加速度時刻歴のデータ(単位gal)
H 地動加速度時刻歴データの時間間隔(単位sec)
T2 上部構造1階床上から2階床までの固有周期(単位sec)
T3 上部構造2階床上から3階床までの固有周期(単位sec)


Tn 上部構造n-1階床上からn階床までの固有周期(単位sec)
KK2 上部構造1階床上から2階床までのバネ定数
KK3 上部構造2階床上から3階床までのバネ定数


KKn 上部構造n-1階床上からn階床までのバネ定数
C2 上部構造1階床上から2階床までの減衰係数
C3 上部構造2階床上から3階床までの減衰係数


Cn 上部構造n-1階床上からn階床までの減衰係数

(2) 出力値
AC 1階床絶対加速度応答値(単位gal)
A2 2階床絶対加速度応答値(単位gal)
A3 3階床絶対加速度応答値(単位gal)


An n階床絶対加速度応答値(単位gal)
V 1階床(地面と1階床との)相対速度応答値(単位kine)
V2 2階床(1階床と2階床との)相対速度応答値(単位kine)
V3 3階床(1階床と3階床との)相対速度応答値(単位kine)


Vn n階床(1階床とn階床との)相対速度応答値(単位kine)
X 1階床(地面と1階床との)相対変位応答値(単位cm)
X2 2階床(1階床と2階床との)相対変位応答値(単位cm)
X3 3階床(1階床と3階床との)相対変位応答値(単位cm)


Xn n階床(1階床とn階床との)相対変位応答値(単位cm)
XX 1階床(地面と1階床との)相対変位応答値(単位mm)
XX2 2階床(1階床と2階床との)相対変位応答値(単位mm)
XX3 3階床(1階床と3階床との)相対変位応答値(単位mm)


XXn n階床(1階床とn階床との)相対変位応答値(単位mm)
OPA1,OPA2 1階床・2階床絶対加速度応答平均値(単位gal)
OPV1,OPV2 1階床・2階床相対速度応答平均値(単位gal)
OPX1,OPX2 1階床・2階床相対変位応答平均値(単位mm)

(3) 定数・記号
PI 円周率 3.14159
G 重力加速度 981
sgn(x) sign(x)に同じ、
xの符号を示し、+の時+1、−の時−1、0の時0
[x] マトリックス
A^n Aのn乗

5.2.1.2. 運動方程式
数値解析の対象となる免震時の運動方程式は、
(1) 1質点の場合
d(dx/dt)/dt+G*SSC^2*(MU*sgn(dx/dt)+SS*sgn(X))+DDY=0

(2) 2質点の場合
d(dx/dt)/dt+SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2)/MM1
-(C2*V2+KK2*X2)/MM1+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+KK2*X2)/MM2+d(dx/dt)/dt+DDY=0
という2階の連立常微分方程式である。これを1階の連立常微分方程式に変形して用いている。以下の多質点においても同様である。

(3) 3質点の場合
d(dx/dt)/dt+SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+MM3)/MM1
-(C2*V2+KK2*X2)/MM1+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+KK2*X2-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM2
+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(x3)/dt)/dt+(C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM3+d(dx/dt)/dt+DDY=0

(4) n質点の場合
d(dx/dt)/dt+SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+・・・+MMn)/MM1
-(C2*V2+KK2*X2)/MM1+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+KK2*X2-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM2
+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(x3)/dt)/dt+(C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2)-C4*(V4-V3)-KK4*(X4-X3))/MM3
+d(dx/dt)/dt+DDY=0


d(d(xn')/dt)/dt+(Cn'*(Vn'-Vn")+KKn'*(Xn'-Xn")
-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn'+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(xn)/dt)/dt+(Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn+d(dx/dt)/dt+DDY=0
但し、n'=n-1、 n"=n-2

5.2.1.3. 免震状態/耐震状態の判別について
本免震装置は、地震時にある一定以上の地震力が入力したとき免震機構が作動して免震状態となり、地震力が一定以下に弱まれば元の状態へ戻るものである。 5.2.1.2.で述べた運動方程式は、上部構造物が免震状態にあるときの運動を記述したものであるから、これに加えて上部構造物が免震状態にあるときの運動方程式と、地震力に対して免震装置が作動する条件(免震状態/耐震状態の判別条件)とを定義し、条件に応じて運動方程式を切り替えることにより、通常時の耐震状態から地震時の免震状態を経て、地震終了後に元の状態へと戻るまでの運動を表すことができる。
耐震状態と免震状態とを判別する条件は以下の通りである。
1) 耐震状態から免震状態への判別
第1質点の絶対加速度≧免震が作動する加速度:|AC|≧(MU+SS)*G*SSC^2
2) 免震状態から耐震状態への判別
第1質点の相対変位=0 : x=0
かつ第1質点の相対速度=0 : v=0
かつ第1質点の絶対加速度<免震が作動する加速度:|AC|<((MU+SS)*G*SSC^2

5.2.1.4. 数値解析アルゴリズム
1階の常微分方程式
dx/dt=f(t,x)
の解を4次のRunge-Kutta法により求めるアルゴリズムの例として以下のようなものがある。
a. 独立変数tの範囲をt0≦t≦tf、tの刻み幅をhとする。
b. xの初期値をx0とする。
c. t0とx0により、
K1=h・f(t,x)
K2=h・f(t+h/2,x+K1/2)
K3=h・f(t+h/2,x+K2/2)
K4=h・f(t+h,x+K3)
K=(K1+K2+K3+K4)/6
をもとめる。
d. c.で求めたKにより、t=t1(=t0+h)のときのx(=x1)を
x1=x0+K
とさだめる。
e. 以下この過程を繰り返して逐次tにおけるxを求め、t=tfまで継続する。
ここで説明したのは4次のRunge-Kutta法についてであるが、4次以外の次数のRunge-Kutta法を用いる場合もある。
またRunge-Kutta-Gill法やその他のRunge-Kutta法の改良型のアルゴリズムを用いてもよい。

5.2.1.5. フローチャートの説明(プログラム詳細説明)
Runge-Kutta法のフローチャートは、図444に記載されているが、具体的に説明する。
(1) 初期化
1) 初期値のセット
a.定数:PI=3.14159、G=981
b.入力値:SS すり鉢勾配の角度θによるtanθを入力
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
SSC すり鉢勾配の角度θによるcosθを入力
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
MU すり鉢支承の摩擦係数を入力
重り復元型免震装置の場合は滑り支承の摩擦係数を 入力
H 入力する地動加速度時刻歴の時間刻みを入力
1質点の場合
MM 上部構造の質点質量(t)
2質点の場合
MM1 上部構造1階の質点質量(t)
MM2 上部構造2階の質点質量(t)
3質点の場合
MM1 上部構造1階の質点質量(t)
MM2 上部構造2階の質点質量(t)
MM3 上部構造3階の質点質量(t)
n質点の場合
MM1 上部構造1階の質点質量(t)
MM2 上部構造2階の質点質量(t)
MM3 上部構造3階の質点質量(t)


MMn 上部構造n階の質点質量(t)

2) 上部構造の質点間のバネ定数と減衰係数の入力(2質点以上の場合)
2質点の場合
KK2 上部構造1階床上から2階床までのバネ定数
C2 上部構造1階床上から2階床までの減衰係数
3質点の場合
KK2 上部構造1階床上から2階床までのバネ定数
KK3 上部構造2階床上から3階床までのバネ定数
C2 上部構造1階床上から2階床までの減衰係数
C3 上部構造2階床上から3階床までの減衰係数
n質点の場合
KK2 上部構造1階床上から2階床までのバネ定数
KK3 上部構造2階床上から3階床までのバネ定数


KKn 上部構造n-1階床上からn階床までのバネ定数
C2 上部構造1階床上から2階床までの減衰係数
C3 上部構造2階床上から3階床までの減衰係数


Cn 上部構造n-1階床上からn階床までの減衰係数

c.出力値
X,X2,X3・・Xn 初期変位を入力
V,V2,V3・・Vn 初期速度を入力
T 開始時刻を入力

(2) 入出力ファイルの設定
1) 入力用のファイル名を設定
2) INPUT命令で入力されたファイル名(F$)をファイル番号#2のoutput用ファイルとして開く。

(3) 入力データ(地動加速度データ)の読み込み
1データの処理が済むごとにinput命令で地動加速度データを読み込む。
データがなくなった時点でプログラムが終了する。

(4) 動作判別式
運動方程式には地動加速度に対して免震装置が機能する条件が入っていないので、ここで判別式として運動方程式選択の分岐をおこなう。
1) 耐震(静止)状態の時
a. |AC|≧(MU+SS)*G*SSC^2
a.が成り立つ場合は免震状態になるので、免震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A)へ移行する。
a.が成り立たない場合は耐震状態のままなので、耐震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A0)を再び経由する。

2) 免震状態の時
b. x=0 かつ v=0 かつ |AC|<(MU+SS)*G*SSC^2
※但しプログラム上はxとvの絶対値が 0に近い一定値以下の場合、x=0、v=0とみなしている。
b.が成り立つ場合は耐震状態になるので、耐震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A0)へ移行する。
b.が成り立たない場合は免震状態のままなので、免震状態の運動方程式を処理するサブルーチン(*SUB_A)を再び経由する。

(5) 運動方程式設定
動作判別式により免震装置が機能しない場合(*SUB_A0)と免震装置が機能する場合(*SUB_A)の2つの場合に分かれ、運動方程式から質点数ごとにそれぞれ次のような連立2階微分方程式を解くことになる。

1) 1質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(dx/dt)/dt=0
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(dx/dt)/dt=-MM1*G*SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))/MM1-DDY

2) 2質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2)/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2−KK2*X2))/MM2-d(dx/dt)/dt-DDY

3) 3質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+MM3)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY

4) n質点の場合
免震装置が機能しない状態(*SUB_A0)
dx/dt=0
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt=0
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY



d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2
免震装置が機能する状態(*SUB_A)
dx/dt=V
d(x2)/dt=V2
d(x3)/dt=V3


d(xn)/dt=Vn
d(dx/dt)/dt =-SSC^2*(MU*sgn(V)+SS*sgn(X))*G*(MM1+MM2+・・+MMn)/MM1
+(C2*V2+KK2*X2)/MM1-DDY
d(d(x2)/dt)/dt=(-C2*V2-KK2*X2+C3*(V3-V2)+KK3*(X3-X2))/MM2
-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(x3)/dt)/dt=(-C3*(V3-V2)-KK3*(X3-X2)
+C4*(V4-V3)+KK4*(X4-X3))/MM3-d(dx/dt)/dt-DDY


d(d(xn')/dt)/dt=(-Cn'*(Vn'-Vn")-KKn'*(Xn'-Xn")
+Cn*(Vn-Vn')+KKn*(Xn-Xn'))/MMn'-d(dx/dt)/dt-DDY
d(d(xn)/dt)/dt=(-Cn*(Vn-Vn')-KKn*(Xn-Xn'))/MMn-d(dx/dt)/dt-DDY
但し、n'=n-1、 n"=n-2

(6) Runge-Kutta解析
連立2階微分方程式を4次のRunge-Kutta法で解く。

(7) 加速度/速度/変位応答の計算
速度と変位は連立2階微分方程式を解くことによって得られ、加速度については運動方程式から直接得る。

(8) 誤差の丸め処理
加速度/速度/変位応答値それぞれを適当な精度で丸め処理する。

(9) 結果出力
hが小さい場合、丸めのために(7)で得た値を一定時間区分ごとに平均し、出力の値とする処理を行う場合もある。

5.2.1.6. 処理
以下では特別の処理を行っている箇所について説明しているものである。
1) hの選択と出力データの平均化による誤差処理
時間刻みが大きいことにより生じる誤差をなくすため、入力データにはhの小さなものを用いて計算精度を維持し、その計算結果を一定時間区分ごとに平均化する処理をする場合もある。このことにより時間差による数値解析処理上の誤差を減少させている。

2) 誤差の丸め処理
加速度、速度、変位ともに計算過程で誤差が累積してくるので、必要に応じ各応答値計算後に適切な精度で丸め処理入している。

5.2.2. Wilsonθ法
Wilsonθのフローチャートは、図445に記載されている。

5.2.2.1. 等価線形化法による運動方程式について(5.1.3.1. 記号一覧参照)
(1) 等価周期Te及び等価バネ定数Ke(=KEQ)の算出
滑り免震(すり鉢形状:勾配tanθ)について変位xを与えたときの等価線形化法による等価周期Te、等価バネ定数Keは、
Te=4√{2|x|/(g・tanθ)}
Ke=(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
≒mg・tanθ/|x|
≒mg・θ/|x|
となる。
重り復元型免震装置について変位xを与えたときの等価線形化法による等価周期Te、等価バネ定数Keは、
Te=4√{2|x|/(g・tan(M/m))}
Ke=(π^2/8)・mg・tan(M/m)/|x|
≒mg・tan(M/m)/|x|
≒mg・(M/m)/|x|

(2) 等価減衰係数Ce(=CEQ)の算出
滑り免震(すり鉢形状:勾配tanθ)について
等価線形化法による等価減衰係数Ceは、
Ce=(4/π)・μmg/|dx/dt|
≒μmg/|dx/dt|
となる。
重り復元型免震装置について
等価線形化法による等価減衰係数Ceは、
Ce=(4/π)・μmg/|dx/dt|
≒μmg/|dx/dt|

(3) 等価線形化法による運動方程式
等価線形化法による滑り免震(すり鉢形状)の運動方程式は、
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
Ke=(π^2/8)・mg・tanθ/|x|
≒mg・tanθ/|x|
≒mg・θ/|x|
Ce=(4/π)・μmg/|dx/dt|
≒μmg/|dx/dt|
となる。
等価線形化法による重り復元型免震装置による免震の運動方程式は、
d(dx/dt)/dt+Ke/m・x+Ce/m・dx/dt=-d(dz/dt)/dt
Ke=(π^2/8)・mg・tan(M/m)/|x|
≒mg・tan(M/m)/|x|
≒mg・(M/m)/|x|
Ce=(4/π)・μmg/|dx/dt|
≒μmg/|dx/dt|
となる。

5.2.2.2. 変数/定数一覧
(1) 入力値
上部構造は1質点、2質点、3質点、n質点せん断形弾性モデルとする。
N 自由度
SS すり鉢勾配の角度θによるタンジェント tanθ
重り復元型免震装置(5.1.1.1.1.(2))の場合は、
M/m=θとする
SSC すり鉢勾配の角度θによるコサイン cosθ
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
MU すり鉢支承の摩擦係数
重り復元型免震装置の場合は滑り支承の摩擦係数を入力
THETA Wilsonθ法の精度と安定性を決定するパラメータ−θ
EM(ND1,ND1) 質量マトリックス(単位tf/gal)

EC(ND1,ND1) 減衰マトリックス(単位tf/kine)

EK(ND1,ND1) 剛性マトリックス(単位tf/cm)

NN 地動加速度時刻歴のデータ数
DT 地動加速度時刻歴データの時間間隔(単位sec)
DDY(ND2) 地動加速度時刻歴データ(単位gal)
ND1 質点番号
EM,EC,EK,ACC,VEL,DIS,VW1,VW2,VW3のディメンション
ND2 時刻歴番号
DDY,ACC,VEL,DISのディメンション
T2 上部構造1階床上から2階床までの固有周期(単位sec)
T3 上部構造2階床上から3階床までの固有周期(単位sec)


Tn 上部構造n-1階床上からn階床までの固有周期(単位sec)
H2 上部構造1階床上から2階床までの減衰定数
H3 上部構造2階床上から3階床までの減衰定数


Hn 上部構造n-1階床上からn階床までの減衰定数
K2 上部構造1階床上から2階床までのバネ定数
K3 上部構造2階床上から3階床までのバネ定数


Kn 上部構造n-1階床上からn階床までのバネ定数
C2 上部構造1階床上から2階床までの減衰係数
C3 上部構造2階床上から3階床までの減衰係数


Cn 上部構造n-1階床上からn階床までの減衰係数

(2) 出力値
ACC(ND1,ND2) 絶対加速度応答マトリックス(単位gal)
VEL(ND1,ND2) 相対速度応答マトリックス(単位kine)
DIS(ND1,ND2) マトリックス(単位cm)
AA1 1階床絶対加速度応答値(単位gal)
AA2 2階床絶対加速度応答値(単位gal)
AA3 3階床絶対加速度応答値(単位gal)


An n階床絶対加速度応答値(単位gal)
VV1 1階床(地面と1階床との)相対速度応答値(単位kine)
VV2 2階床(1階床と2階床との)相対速度応答値(単位kine)
VV3 3階床(1階床と3階床との)相対速度応答値(単位kine)


VVn n階床(1階床とn階床との)相対速度応答値(単位kine)
X 1階床(地面と1階床との)相対変位応答値(単位cm)
X2 2階床(1階床と2階床との)相対変位応答値(単位cm)
X3 3階床(1階床と3階床との)相対変位応答値(単位cm)


Xn n階床(1階床とn階床との)相対変位応答値(単位cm)
XX1 1階床(地面と1階床との)相対変位応答値(単位mm)
XX2 2階床(1階床と2階床との)相対変位応答値(単位mm)
XX3 3階床(1階床と3階床との)相対変位応答値(単位mm)


XXn n階床(1階床とn階床との)相対変位応答値(単位mm)

(3) その他の変数
O ループ用カウンタ変数
M 配列(時刻歴)用カウンタ変数
T 時間

(4) 定数・記号
PI 円周率 3.14159
G 重力加速度 981
sgn(x) sign(x)に同じ、
xの符号を示し、+の時+1、−の時−1、0の時0
[x] xのマトリックス
A^n Aのn乗

5.2.2.3. 運動方程式
数値解析の対象となる運動方程式は、
(1) 1質点の場合
d(dx/dt)/dt+CEQ/(EM(1,1)・(dx/dt)+KEQ/(EM(1,1)・x+DDY=0
但し
KEQ≒(PI^2/8)*EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0

(2) 2質点の場合
d(dx/dt)/dt+(CEQ・(dx/dt)+KEQ・x)/EM(2,2)
-(C2*V2+K2*X2)/EM(2,2)+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+K2*X2)/EM(1,1)+d(dx/dt)/dt+DDY=0
但し
KEQ≒(PI^2/8)*(EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=(EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*(EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=(EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
という2階の連立常微分方程式である。
これを1階の連立常微分方程式に変形して用いている。以下の多質点においても同様である。

(3) 3質点の場合
d(dx/dt)/dt+(CEQ・(dx/dt)+KEQ・x)/EM(3,3)
-(C2*V2+K2*X2)/EM(3,3)+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+K2*X2-C3*(V3-V2)-K3*(X3-X2))/EM(2,2)
+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(x3)/dt)/dt+(C3*(V3-V2)+K3*(X3-X2))/EM(1,1)+d(dx/dt)/dt+DDY=0
但し
KEQ≒(PI^2/8)*(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0

(4) n質点の場合
d(dx/dt)/dt+(CEQ・(dx/dt)+KEQ・x)/EM(n,n)
-(C2*V2+K2*X2)/EM(n,n)+DDY=0
d(d(x2)/dt)/dt+(C2*V2+K2*X2-C3*(V3-V2)-K3*(X3-X2))/EM(n',n')
+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(x3)/dt)/dt+(C3*(V3-V2)+K3*(X3-X2)
-C4*(V4-V3)-K4*(X4-X3))/EM(n",n")+d(dx/dt)/dt+DDY=0


d(d(xn')/dt)/dt+(Cn'*(Vn'-Vn")+Kn'*(Xn'-Xn")
-Cn*(Vn-Vn')-Kn*(Xn-Xn'))/EM(2,2)+d(dx/dt)/dt+DDY=0
d(d(xn)/dt)/dt+(Cn*(Vn-Vn')+Kn*(Xn-Xn'))/EM(1,1)+d(dx/dt)/dt+DDY=0
但し
n'=n-1
n"=n-2
KEQ≒(PI^2/8)*(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0

5.2.2.4. 数値解析アルゴリズム
2階の常微分方程式
[EM]・[d(dx/dt)/dt]+[EC]・[dx/dt]+[EK]・[x]=DDY・[EM]・[1]
の解をWilsonθ法により求めるアルゴリズムの例として以下を用いる。
上記方程式における質点系の質量マトリックス[EM]は対角マトリックス、減衰マトリックス[EC]及び剛性マトリックス[EK]は各々対称マトリックスである。
解析の対象とする運動方程式の係数がなす各マトリックスが、この条件を満たすように、相対変位、相対速度及び相対加速度の基準座標を、必要に応じ適切に変更する。

1)多質点系における全ての質点の応答加速度と地動加速度とが、時刻tからt+ DTをこえて時刻t+θDT(θ>1)まで線形であると仮定し、時刻t+θDTにおいても運動方程式が成り立つとする。

2)このときτを、tを原点とする区間0≦τ≦θDT内の時間とすると、時刻t+τにおける応答加速度は
[d(dx/dt)/dt]τ=[d(dx/dt)/dt]
+{[d(dx/dt)/dt]θDT-[d(dx/dt)/dt]}・τ/(θDT)
と表される。またこの式を積分して、時刻t+τにおける応答速度、応答変位は [dx/dt]τ=[dx/dt]+[d(dx/dt)/dt]・τ
+{[d(dx/dt)/dt]θDT-[d(dx/dt)/dt]}・τ^2/(2θDT)
[x]τ=[x]+[dx/dt]・τ+[d(dx/dt)/dt]・τ^2/2
+{[d(dx/dt)/dt]θDT-[d(dx/dt)/dt]}・τ^3/(6θDT)
と表される。

3)このτをDTおよびθDTとし、運動方程式へ代入して整理すると、時刻t+θDTでの質点の応答変位は
[x]θDT={6/(θDT)^2・[EM]+3/(θDT)・[EC]+[EK]}^(-1)
・〔 (2・[EM]+(θDT)/2・[EC])・[d(dx/dt)/dt]
+(6/(θDT)・[EM]+2・[EC])・[dx/dt]
+(6/(θDT)^2・[EM]+3/(θDT)・[EC])・[x]
-{(1-θ)・DDY+DDYY}・[EM]・[1] 〕
となり、これにより時刻t+θDTでの質点の応答加速度は
[d(dx/dt)/dt]θDT=6/(θDT)^2・{[x]θDT-[x]}
-6/(θDT)・[dx/dt]-2・[d(dx/dt)/dt]
と表すことができる。

4)これを用いて、時刻t+DTでの応答加速度、速度、変位は
[d(dx/dt)/dt]DT=((θ-1)/θ)・[d(dx/dt)/dt]+(1/θ)・[d(dx/dt)/dt]θDT
[dx/dt]DT=[dx/dt]+[d(dx/dt)/dt]・(DT)
+{[d(dx/dt)/dt]θDT-[d(dx/dt)/dt]}・DT/(2θ)
[x]DT=[x]+[dx/dt]・(DT)^2/2
+{[d(dx/dt)/dt]θDT-[d(dx/dt)/dt]}・(DT)^2/(6θ)
と表すことができる。
但し
[x] :時刻tでの相対変位ベクトル
[x]DT :時刻t+DTでの相対変位ベクトル
[x]θDT :時刻t+θDTでの相対変位ベクトル
[x]τ :時刻t+τでの相対変位ベクトル
[dx/dt] :時刻tでの相対速度ベクトル
[dx/dt]DT :時刻t+DTでの相対速度ベクトル
[dx/dt]θDT :時刻t+θDTでの相対速度ベクトル
[dx/dt]τ :時刻t+τでの相対速度ベクトル
[d(dx/dt)/dt] :時刻tでの相対加速度ベクトル
[d(dx/dt)/dt]DT :時刻t+DTでの相対加速度ベクトル
[d(dx/dt)/dt]θDT:時刻t+θDTでの相対加速度ベクトル
[d(dx/dt)/dt]τ :時刻t+τでの相対加速度ベクトル
[1] :全ての要素が1のベクトル
DDY :時刻tでの地動加速度
DDYY :時刻t+DTでの地動加速度
[EM] :質点系の質量マトリックス
[EC] :質点系の減衰マトリックス
[EK] :質点系の剛性マトリックス
θ :Wilsonθ法の精度と安定性を定めるパラメータ−

5)この漸化式によって時刻tにおける質点系の応答を逐次求める。

5.2.2.5. フローチャートの説明(プログラム詳細説明)
Wilsonθのフローチャートは、図445に記載されているが、具体的に説明する。
(1) 初期化
1) N,ND1,ND2設定
NとND1は質点数を入力、ND2は地動加速度データ数を入力。
2) 配列の宣言
3) 初期値のセット
a.定数:PI=3.14159、G=981、
b.入力値:SS すり鉢勾配の角度θによるタンジェント tanθ
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
SSC すり鉢勾配の角度θによるコサイン cosθ
重り復元型免震装置の場合は、M/m=θとする
MU すり鉢支承の摩擦係数を入力
重り復元型免震装置の場合は滑り支承の摩擦係数を 入力
THETA wilsonθ法の精度と安定性を決めるパラメーターθ を入力、
DT 入力する地動加速度時刻歴の時間刻みを入力

1質点の場合
EM(1,1) 上部構造の質点の質量を入力
2質点の場合
EM(1,1) 上部構造の第2質点の質量を入力
EM(1,2) 0を入力
EM(2,1) 0を入力
EM(2,2) 上部構造の第1質点の質量を入力
3質点の場合
EM(1,1) 上部構造の第3質点の質量を入力
EM(1,2) 0を入力
EM(1,3) 0を入力
EM(2,1) 0を入力
EM(2,2) 上部構造の第2質点の質量を入力
EM(2,3) 0を入力
EM(3,1) 0を入力
EM(3,2) 0を入力
EM(3,3) 上部構造の第1質点の質量を入力
n質点の場合
EM(1,1) 上部構造の第n質点の質量を入力
EM(1,2) 0を入力
EM(1,3) 0を入力
・ 0を入力
・ 0を入力
EM(1,n) 0を入力
EM(2,1) 0を入力
EM(2,2) 上部構造の第n−1質点の質量を入力
EM(2,3) 0を入力
・ 0を入力
・ 0を入力
EM(2,n) 0を入力


EM(n-k,1) 0を入力
EM(n-k,2) 0を入力
EM(n-k,3) 0を入力
・ 0を入力
・ 0を入力
EM(n-k,n-k) 上部構造の第k+1質点の質量を入力
・ 0を入力
・ 0を入力
EM(n-k,n) 0を入力


EM(n,1) 0を入力
EM(n,2) 0を入力
EM(n,3) 0を入力
・ 0を入力
・ 0を入力
EM(n,n) 上部構造の第1質点の質量を入力

4) 上部構造の質点間のバネ定数と減衰係数の入力(2質点以上の場合)
2質点の場合
EC(1,1) C2
EC(1,2) -C2
EC(2,1) -C2
EC(2,2) CEQ+C2
3質点の場合
EC(1,1) C3
EC(1,2) -C3
EC(1,3) 0
EC(2,1) -C3
EC(2,2) C3+C2
EC(2,3) -C2
EC(3,1) 0
EC(3,2) -C2
EC(3,3) CEQ+C2
n質点の場合
EC(1,1) C(n)
EC(1,2) -C(n)
EC(1,3) 0
・ 0
・ 0
EC(1,n) 0
EC(2,1) -C(n)
EC(2,2) C(n-1)+C(n)
EC(2,3) -C(n-1)
・ 0
・ 0
EC(2,n) 0


EC(n-k,1) 0
EC(n-k,2) 0
EC(n-k,3) 0
・ 0

EC(n-k,n-k-1) -C(k+2)
EC(n-k,n-k) C(k+1)+C(k+2)
EC(n-k,n-k+1) -C(k+1)
・ 0
・ 0
EC(n-k,n) 0


EC(n,1) 0
EC(n,2) 0
EC(n,3) 0
・ 0
・ 0
EC(n,n-1) -C2
EC(n,n) CEQ+C2
但し、
C(k+1)は上部構造k階床上からk+1階床までの減衰定数
C(n)は上部構造n-1階床上からn階床までの減衰定数

2質点の場合
EK(1,1) K2
EK(1,2) -K2
EK(2,1) -K2
EK(2,2) KEQ+K2
3質点の場合
EK(1,1) K3
EK(1,2) -K3
EK(1,3)
EK(2,1) -K3
EK(2,2) K2+K3
EK(2,3) -K2
EK(3,1)
EK(3,2) -K2
EK(3,3) KEQ+K2
n質点の場合
EK(1,1) K(n)
EK(1,2) -K(n)
EK(1,3) 0
・ 0
・ 0
EK(1,n) 0
EK(2,1) -K(n)
EK(2,2) K(n-1)+K(n)
EK(2,3) -K(n-1)
・ 0
・ 0
EK(2,n) 0



EK(n-k,1) 0
EK(n-k,2) 0
EK(n-k,3) 0
・ 0

EK(n-k,n-k-1) -K(k+2)
EK(n-k,n-k) K(k+1)+K(k+2)
EK(n-k,n-k+1) -K(k+1)
・ 0
・ 0
EK(n-k,n) 0


EK(n,1) 0
EK(n,2) 0
EK(n,3) 0
・ 0
・ 0
EK(n,n-1) -K2
EK(n,n) KEQ+K2
但し、
K(K+1)は上部構造 k階床上から k+1階床までのバネ定数
K(n)は上部構造 n-1階床上から n階床までのバネ定数


(2) データ入力と出力ファイルの設定
1) 入力データ用のファイル名をINPUT命令でセットし、ファイルナンバー#1として開く。
2) 出力データ用のファイル名をINPUT命令でセットし、ファイルナンバー#2として開く。

(3) 時刻反復
1) 時刻歴(M=2 TO NN)のループ。

(4) 先読み反復
1) 等価バネ定数、等価減衰係数の精度を上げるため、時刻歴を1つ分先読みする、O=1 TO 2のループ。1巡目のときO=1、2巡目のときO=2。 5.2.2.6. 2)を参照。

(5) 等価バネ定数、等価減衰係数の計算
1) 等価バネ定数(KEQ)、等価減衰係数(CEQ)を、V0とX0から求める。
1質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(1,1)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
2質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=EM(2,2)*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
3質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=(EM(3,3)+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
n質点の場合
KEQ≒(PI^2/8)*(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
KEQ=(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*SS*sgn(X0)/X0
CEQ≒(4/PI)*(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
CEQ=(EM(n,n)+・・+EM(2,2)+EM(1,1))*G*SSC^2*MU*sgn(V0)/V0
※なお、V0、X0の絶対値が非常に小さい値だとKEQ、CEQが発散してしまうため、V0、X0の絶対値が 0に近い一定値以下の場合は、それぞれ十分小さいが発散しない適切な値を代わりに使用する。

(6) ループチェック
(4)で1巡目の処理か2巡目の処理かをチェックする。1巡目の場合は、そのまま(7)の処理に進み、2巡目の場合は、先読み前の時間に戻した後に、(7)の処理に進む。

(7) Wilsonーθ法による、t+θDT時の変位計算

(8) Wilsonーθ法による、加速度/速度/変位応答の計算

(9) 誤差の丸め処理
加速度/速度/変位応答値それぞれを、必要に応じ適当な精度で丸め処理し、
(6)のループチェックにおいて、1巡目の処理とされた場合は(4)へ戻り、2巡目の処理とされた場合には、(10)へ進む。

(10) 結果出力
DTが小さい場合、丸めのために(8)で得た値を一定時間区分ごとに平均し、出力の値とする処理を行う場合もある。

5.2.2.6. 処理
このプログラムではt+θDT時点の変位に関する多元連立一次方程式にして解いている。t+θDT時点の加速度に関する多元連立一次方程式を解くようにする場合もあるが、基本的には全く同じ結果になる。

1) DTの選択と出力データの平均化による誤差処理
時間刻みが大きいことにより生じる誤差をなくすため、入力データにはDTの小さなものを用いて計算精度を維持し、その計算結果を一定時間区分ごとに平均化する処理をする場合もある。このことにより時間差による数値解析処理上の誤差を減少させている。

2) ループによる先読み反復のアルゴリズム
等価バネ定数(KEQ)、及び等価減衰係数(CEQ)を算出する際、
t-DT時点の速度(V0),変位(X0)
→t-DT時点のKEQ,CEQの計算
→t時点の速度,変位の計算
の過程をたどると、1つ前の時点での速度と変位からKEQとCEQを求めているので、正確な応答値が得られるとは言えない。そのためできるだけKEQとCEQの精度を上げるために
t-DT時点の速度(V0),変位(X0)
→t-DT時点のKEQ,CEQの計算
→t時点の速度,変位の計算
→t時点のKEQ,CEQの計算
→t時のKEQ,CEQを用いてt時点の速度,変位の計算
以上の過程でKEQとCEQを求め、より高い精度で応答値を求めている。

3) 等価線形化
等価線形に置き換えるにあたり、注意する点として、X0が非常に小さい値の場合、KEQは無限値になってしまう。同様にV0が非常に小さい値の場合にはCEQが無限値になる。よってV0、X0ともに最小値を定めておき、V0、X0がそれ以下の値をとるときは、計算上は十分小さく適切な値を代わりに使用する。

4) 誤差の丸め処理
加速度、速度、変位ともに計算過程で誤差が累積してくるので、各応答値計算後に適切な精度で丸め処理している。


6.垂直免震装置
図119〜図129は、地震の垂直力から免震させる垂直免震装置の実施例を示している。

6.1. 滑り部垂直変位吸収型の垂直免震装置・滑り支承
図119〜図122は、垂直免震装置・滑り支承Iの実施例を示している。
これは、4.6.滑り部垂直変位吸収型の重力復元型一重免震皿免震装置・滑り支承の応用であり、凹型滑り面部または平面型滑り面部を有する免震皿3と免震皿3の滑り面部を滑走しうるローラー・ボール(ベアリング)部若しくは滑り部5(以下、全て含めて「滑り部」という)からなり、また滑り部5は、筒5-aと、その中に挿入されるバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)5-bと、下部に突き出る形で挿入されている滑り部先端5-cからなっており、免震皿3と滑り部5のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成されている免震装置・滑り支承である。
筒5-aの上部は、4.6.同様に単に止め金が固定されている場合もあるが、図のように雌ネジが切られていて、雄ネジ5-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ5-dは、入り込み方向に回転させて締めることにより、バネ等5-bを圧縮して反発力を強め、滑り部先端5-cの押し出す力を強めるという機能をもち、復元力を高めたり、免震される構造体Aの地震後の残留変位の矯正を可能にしたりする。
また、滑り部下面5-lに、ローラー・ボール(ベアリング)5-e、5-fを設けた場合もある。このローラー・ボール(ベアリング)は、循環式転がり案内によって循環する形を取るのが有利である。

6.2. 垂直免震付き引抜き防止装置(復元付き含む)
上述の十字型免震装置・滑り支承、十字型復元付き免震装置・滑り支承、また特許 1844024号の引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材4-aと免震される構造体1の間、また、下部スライド部材4-bと免震される構造体を支持する構造体2との間の、どちらか一方または両方に、垂直方向に弾性のあるバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)25を設置するものである。
この装置の特徴は、十字型免震装置・滑り支承(復元付き含む)、また引抜き防止装置・滑り支承により水平力が吸収されるため、地震水平力の影響を受けずに、地震垂直動のみを前記バネ等25で吸収することができ、垂直免震が可能になることである。
図123〜図124は、垂直免震装置・滑り支承Iの実施例を示している。
図123は、特許 1844024号での引抜き防止装置・滑り支承Fの、上部スライド部材4-aと免震される構造体1の間および下部スライド部材4-bと免震される構造体を支持する構造体2との間の両方に、垂直方向に弾性のあるバネ等25を設置した実施例である。
図124は、2.1.の復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承の、上部スライド部材4-aと免震される構造体1の間および下部スライド部材4-bと免震される構造体を支持する構造体2との間の両方に、垂直方向に弾性のあるバネ等25を設置した実施例である。これは、水平復元または減衰性能をも持つ。

6.3. 各層・各階ごとの垂直免震装置
図125〜図126は、垂直免震装置の実施例を示している。
地震垂直力を免震させる垂直免震装置Iは、建物全体に機能させるのは難しい。そこで、地震水平力に関しては、免震される構造体を支持する構造体Bの基礎部(または低層階)に設けた水平方向にのみ免震する水平免震装置Hによって、免震される構造体A全体を免震させ、且つ、地震垂直力に関しては、複数階を一まとめにした層単位または階単位で、垂直方向にのみ免震する垂直免震装置I(垂直方向及び水平方向に免震する免震装置でもよい)を設置することによって免震させるという方法が考えられる。
この垂直免震装置Iとしては、階単位での床免震も考えられるが、床・壁・天井を一体にさせた箱を、層単位、階単位で、垂直免震させる場合もある。
地震垂直力から免震させるためにバネ等を用いる場合、建物等の構造体全体を一括して免震させるとなると、垂直力から免震させるためのバネ等を巨大にせざるを得なくなり、実用上不可能になるのを、この発明は、各階、または各層に免震装置を分散させる事によって可能にするものである。また、地震力の水平力と垂直力を明確に分けて免震できるという利点もある。
図125の1、2階(層)では、壁・床・天井を一体にさせた箱全体を、3階 (層)では壁・床を、4階(層)では床を、また5階(層)では1層内に3階分の床が組まれており、それらの壁・床・天井を一体にした箱全体を、屋上層では屋上に構築された何階分かの構造体全体を、それぞれ垂直免震させる実施例を表したものである。
垂直免震装置Iの位置は、図125の2階(層)以上に示されているように、一般的には、壁・床・天井を一体にさせた箱全体の下部であるが、1階(層)のように、その上下に入れる場合もある。
図126(a)は、構造体の基礎部(また低層階)に設けた水平免震装置で地震水平力を免震させ、各層(階)に、水平方向には拘束され垂直方向のみに免震する垂直免震装置Iを装備した実施例を表したものである。
この、水平方向には拘束され、垂直方向のみに免震する垂直免震装置Iを装備する事により、地震振動が単純化されて、構造解析の単純化が可能になる。また、垂直方向及び水平方向にも免震する免震装置を、各層(階)に設置する方法もある。
図126(b)は、上記の水平方向には拘束され、垂直方向のみに免震する垂直免震装置Iの実施例を表しており、その具体的構成は、垂直免震装置Iの部材5-cが、筒状の部材5-aの中に挿入され筒状の部材5-aの中には部材5-cを押出し垂直方向に伸縮するバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)5-bが入り、相互に垂直方向にスライドするものである。この相互にスライドする部材(5-a、5-c)の長さは、一方の部材と他方の部材とが重なる部分をもち、バネ等5-bが伸びきった状態でも互いに外れないものであり、さらに、部材5-cが部材5-aに完全に納まり最も縮んだ時、バネ等5-bが最も圧縮された状態で、余らないほどであることが必要である。

6.4. 引張材による垂直免震装置
図127〜図129は、引張材による垂直免震装置Iの実施例を示している。
免震される構造体Aの柱、梁、基礎等の支持材1を支持するために三方向以上に引張材8を張り、その他端を、免震される構造体Aを支持する構造体または基礎Bの圧縮材等2により構成された3角形以上の多角形の各頂点で支え、引張材8の弾性もしくは引張材8の途中に設けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)25の弾性によって、免震される構造体Aの地震等の垂直力の免震を可能にする。
また、引張材8は、上弦材8-uと下弦材8-lにより構成される場合もあり、下弦材8-lのみでも成立するが、上弦材8-uを加えることにより、免震される構造体Aの柱等1は自立する。
図127は、引張材8が、下弦材のみで構成される場合、図128は、引張材8が、上弦材8-uと下弦材8-lとにより構成される場合の実施例である。
図129は、引張材8が上弦材8-uと下弦材8-lとにより構成され、さらに途中にバネ等25が設けられている場合の実施例である。
また、バネ等を用いない場合、引張材における弾性は、高張力の綱また高張力のワイヤー・ロープ・ケーブル材を利用することで得られる。
これらの材料が弾性材として使用できる理由は、これらの材料は高張力分、高い弾性率を有するからである。さらに高張力材料の故に、(バネ等25を用いない場合には)バネを使わないことによって、相当な重量物の垂直免震性を可能にする。また、バネ等を用いる場合と用いない場合のいずれも、水平免震としての機能をも合せ持つ。以上がこの装置の大きな利点である。


7.免震による地震発電装置
免震装置の機構は、地震のエネルギーを電気等の活用可能なエネルギーに変換するものとして、応用することができる。
その免震機構を利用した地震発電装置の発明である。

7.1. 免震による地震発電装置
地震エネルギーを電気等の役立つものに換えるために、免震装置を活用することが考えられるが、地震による三次元的な動きを一次元の動きに換えるのが困難であった。
以下の方法はこれを解決するものである。
1) ピン型
図387〜図388は、免震による地震発電装置の実施例を示している。
地震発電装置Kは、免震装置によって免震される構造体1または免震される重り20とそれを免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部にその先端7-wが挿入されたピン7とを有している。
ピン7は、地震時に地震力を受けて免震される構造体1に設けられた挿入部7-v、または免震される重り20に設けられた挿入部7-vに挿入され、地震時にはピン7が、凹形状の挿入部7-vmに沿って上り下がりし、ピン7に接続したラック36-cと連動して、回転子36-dが回転して、発電機44を回し、発電を行う。
凹形状の挿入部は、すり鉢形状、球面等の凹形状が考えられる。
図387は、免震装置によって免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられる場合の実施例であり、
図388は、低摩擦材等によってできた免震皿の上を地震力によって滑って免震される重り20とそれを支持する構造体2との間に設けられる場合であり、下記の7.2. 地震発電装置型地震センサーに使用される場合の実施例である。


図387〜図388での、凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入されたピン7との関係が、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して逆に取付けられる場合もある。
以上の構成により、地震エネルギーを上下運動に換えることで、垂直一次元及び水平二次元的動きを垂直一次元の動きに換え、さらに回転運動に換えて発電等をおこなう。
さらに、この方法によると、地震の垂直動も電気エネルギー等に換えることができる。

2) ラックと歯車型(連結部材系の地震発電装置)
図389〜図391は、免震による地震発電装置の実施例を示している。
地震発電装置Kは、免震装置によって免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に設けられ、挿入部2-aと当該挿入部に挿入された部材(挿入部材)1-pとを有し、地震時に、挿入部材1-pが、挿入部2-aに沿って出入りし、挿入部材1-pに設けられたラック36-cとの連動により、挿入部2-a側に設けられた歯車36-dが回転して、発電機44を回し、発電を行う。
ラック36-cと、ラックにより回転する歯車36-dのうち、一方を免震される構造体1または地震時に地震力を受けて自由に運動できる重り20に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設ける。
この方法により、地震エネルギーを水平運動に換えることで、二次元的動きを一次元の動きに、さらに回転運動に換えられる。
図389は、地震発電装置Kが、免震される構造体1に設けられる場合の実施例であり、
また、図389が可撓部材型連結部材系の地震発電装置であるなら、図391は、可撓部材型連結部材系の地震発電装置である。図の(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。
図390は、地震発電装置Kが、低摩擦材等によってできた免震皿の上を滑って免震される重り20に設けられる場合であり、この機構は、下記の7.2. 地震発電装置型地震センサーとして使用される場合である。

なお、凹形状の挿入部2-aと挿入部材1-pとの関係が、免震される構造体1または免震される重り20と免震される構造体を支持する構造体2とに対して、図389〜図391に示したものとは、逆になる場合もある。凹形状の挿入部1-aが免震される構造体1または免震される重り20に、挿入部材2-pが免震される構造体を支持する構造体2に取り付くということである。

7.2. 地震発電装置型地震センサー
上記の 7.1.の地震発電装置を用いた、地震センサー(以下、「地震発電装置型地震センサー」と言う)の発明である。
これは、免震による地震発電装置を使用して、地震による発電量を計測すること等により、地震センサーの役割を果たすものである。
地震発電装置を用いることにより、地震エネルギーを使用し、それ以外の電源を必要としない地震センサーが可能になる。
さらに、8.の固定装置の解除(8.1.2.3.直接方式)まで賄える電気等のエネルギーを発生させることも可能になる。

7.3. 地震(発電)センサーによる固定装置の解除
7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを使用して、固定装置の解除が行われるようにすることができる。
これには、自動制御装置22が固定ピン等の固定装置の作動部のロックのみを解除する間接方式(8.1.2.2.1.(2))と、自動制御装置22が固定ピン等の固定装置の作動部の解除を直接行う直接方式(8.1.2.3.2.)との二通りがある。
図189〜図191は間接方式、図192〜図193は直接方式の機構を示しており、
また、図189〜図192は、図388のピン型地震発電装置を使用する場合であり、
図193は、図390のラックと歯車型地震発電装置を使用する場合を示している。
図189〜図191に示される間接方式は、ピン型地震発電装置を使用したものとなっているが、ラックと歯車型地震発電装置、またそれ以外の構成の地震発電装置を使用したものも当然考えられる。


8.固定装置・ダンパー
固定装置とは、免震装置の設置に起因する、風揺れまたは車などによる免震される構造体の振動等を防止するために、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するものである。

8.0. 固定装置の分類
8.0.1. 固定装置の分類1(固定ピン型と連結部材弁型)
8.0.1.1. 説明
固定装置は、連結形態から、固定ピン系と連結部材系との2つの型がある。連結部材系は、さらに不可撓部材型と可撓部材型とに分かれる。
固定ピン系は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを繋ぐ形で取り付けられた固定ピン等の係合摩擦材(以下、総称して「固定ピン」と言う。連結部材系のピン型も含む)により、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するものである。
連結部材系は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを繋ぐ形で取り付けられた連結部材としてのロッド材等の不可撓部材やワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材による連結部材により、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを連結するものである。
具体的には、ピストン状部材1-p、2-p、7-p、挿入筒1-a、2-a、7-a、ユニバーサル回転接点1-x、2-x、フレキシブルジョイント8-fj、支持部材1-g、2-g、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-f等が、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との連結部材をなす。
さらに、固定方法として、固定ピン系は、直接方式と間接方式とに分かれ、間接方式はピン型(ロックピン)と弁型(ロック弁)とに分かれる。連結部材系もピン型(固定ピン)と弁型とに分かれる。
また、固定ピン系の直接方式と間接方式のピン型(ロックピン)と弁型(ロック弁)そして連結部材系のピン型(固定ピン)とを「固定ピン型固定装置」と称し、連結部材系の弁型を「連結部材弁型固定装置」と称する。

また、間接方式は、
1)固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
2)固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
3)連結部材系ピン型(固定ピン)の間接方式(固定ピンとロック部材(ロックピン、ロック弁))
4)連結部材系弁型の間接方式((直接・固定)弁とロック部材(ロックピン、ロック弁))
に分かれる。
また、直接方式は、
1)固定ピン系の直接方式
2)連結部材系(ピン型・弁型)の直接方式
に分かれる。

8.0.1.2. 具体例
以下、「固定ピン型固定装置」と「連結部材弁型固定装置」の具体例を挙げる。
固定ピン型固定装置は、1)固定ピン系の直接方式、2)固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)、3)固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)、4)連結部材系のピン型(固定ピン)、に分かれ、
連結部材弁型固定装置は、1)連結部材系の弁型、である。

(1) 固定ピン型固定装置
1) 固定ピン系の直接方式
詳細は、8.1.2.3./8.2.1.〜8.2.5.のそれぞれの(1)を参照。

2) 固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
詳細は、8.1.2.2./8.2.1.〜8.2.5.のそれぞれの(2)を参照。

3) 固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
詳細は、8.1.2.2.のうち特に8.1.2.2.5.を参照。

4) 連結部材系のピン型(固定ピン)
a. 不可撓部材型連結部材
連結部材が、ロッド材等の不可撓部材で出来ている。
詳細は、8.0.1.3./8.1.2.2.2./8.1.2.3./8.2.1.(1)(2)を参照。
実施例は、図132〜図144、図147である。

b. 可撓部材型連結部材
連結部材が、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材で出来ている。
詳細は、8.0.1.3.を参照。
実施例は図182である。

(2) 連結部材弁型固定装置
1) 連結部材系の弁型
a. 不可撓部材型連結部材
連結部材が、ロッド材等の不可撓部材で出来ている。
詳細は、8.1.2.2.5./8.1.2.3./8.2.1.(1)を参照。
実施例は、図145、図287、図330である。

b. 可撓部材型連結部材
連結部材が、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材で出来ている。
詳細は、8.0.1.3.を参照。
実施例は、図146、図202、図203、図331である(図202、図203はダンパー)。

8.0.1.3. 可撓部材型連結部材系固定装置
この方式は、既成の固定装置またはダンパーのすべてに適用可能である。
図182、図331、図202、図203は、この実施例(図202、図203はダンパー、8.4.3.参照)である。それぞれ(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。
このうち、可撓部材型連結部材系固定装置に関する発明である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部(ピストン状部材)またはダンパーの作動部(油圧ダンパー等のピストン状部材等の作動部)7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
具体的には、
固定装置の場合は、固定装置の作動部7-pと免震される構造体1とを免震される構造体を支持する構造体2側に設置された挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ(図331)。
ダンパーの場合は、ダンパーの作動部7-pと免震される構造体1とを免震される構造体を支持する構造体2側に設置された挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ(図202参照)。
ここで当然、上下が逆の、免震される構造体1に設置された固定装置の作動部またはダンパーの作動部7-pと免震される構造体を支持する構造体2とを免震される構造体1側に設置された挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ場合もある(図182参照)。

挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口(図386)、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
この構成によって、固定装置の場合は、一個であらゆる方向の固定装置が可能になる。ダンパーの場合は、一個であらゆる方向のダンパーが可能になる。ダンパーは水平置きまた垂直置きでもよい。 垂直置きの場合は、水平置きの問題を解決する。すなわち水平に置かれることにより30〜50年というような期間では油等の液体漏れの心配が生じることである。このような縦置きで油等の液体が溜まり漏れ出ることのない形であればこのような問題はなくなる。

8.0.1.3.1. 可撓部材型連結部材系固定装置のピン型
図182は、可撓部材型連結部材系固定装置のピン型の実施例である。
固定装置の作動部7-pと免震される構造体を支持する構造体2との関係(挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ)を除けば、図179と同じである(だたしロックピン11は固定ピン7となっている)が、図の(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合であるように、風時、免震時の変位する時の、ピストン状部材7-pの動きが逆になる。
この場合、ピストン状部材7-pを固定するピンは固定ピン7となる。
というのは、ピストン状部材7-pや筒7-aという部材はあるにせよ、あくまで免震される構造体1の部材と免震される構造体を支持する構造体2の部材とが、互いに挿入し合う関係となっているだけで、固定ピンの定義から「免震される構造体およびその部材と免震される構造体を支持する構造体およびその部材との両者と係合し、両者を固定する部材」が固定ピンであり、この固定装置(可撓部材型連結部材系固定装置のピン型)において免震される構造体1の部材と免震される構造体を支持する構造体2の部材とを係合し、両者を固定する機能をもつのは、部材7だけだからである。
(なお、ピストン状部材7-pは、免震される構造体1に設置された部材であるが、フレキシブルジョイント8-fj、可撓部材8ーfを通じて免震される構造体を支持する構造体2と繋がっているため、免震される構造体を支持する構造体2の一部(部材)とも言える。)
したがって、この固定装置(可撓部材型連結部材系固定装置のピン型)は、連結部材を使用しているが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定は、固定ピン7によって行われるため、固定ピン型固定装置に分類される。
また、この図182の固定装置は、図194のように、固定ピン7には、ロック部材11が係合される欠き込み・溝・窪み7-kがあり、固定ピン7と地震センサー(振幅)装置とは接続されず、ロック部材11と地震センサー(振幅)装置とが接続される場合もある。
さらに、固定ピン7には、第1のロック部材7-lが係合される欠き込み・溝・窪み7-kがあり、この第1のロック部材7-lには、さらに第2のロック部材7-nが係合される欠き込み・溝・窪み7-mがあり、というように、第1のロック部材に第2のロック部材7-nが、第2のロック部材7-nに第3のロック部材が係合されるというように、順次、次のロック部材が係合されるように構成されて、最後の(第2ロック部材までの場合には第2の)ロック部材と地震センサー(振幅)装置とが接続される場合もある。

8.0.1.3.2. 可撓部材型連結部材系固定装置の弁型
図331は、可撓部材型連結部材系固定装置の弁型の実施例である。
固定装置の作動部7-pと免震される構造体1との関係(挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ)を除けば、図288と基本的に同じであるが、図の(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合であるように、風時、免震時の変位する時の、ピストン状部材7-pの動き、液体・気体等の流れが逆になるため弁(重り20、20-b(または重りと一体になった、または重りと連動した弁20-e))への圧力のかかり型が逆になるため出口・出口経路7-acjと重り20、20-b、20-eとの位置関係は逆の方が良い(重りが付属室7-ab側にある時は液体貯槽7-ac側に、液体貯槽7-ac側にある時は付属室7-ab側に)。

8.0.1.4. 固定ピン型固定装置と連結部材弁型固定装置との比較
図132〜図138と図145との装置の比較を行えば、図132〜図138は、固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型(固定ピン))であり、図145は、連結部材弁型固定装置である。
図132(a)は、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
図145(a)は、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
さらに、この挿入筒1-aの、ピストン状部材2-pにより仕切られた端と端とは、管7-eで繋がれており、この途中にこの固定装置Gを固定する弁(固定弁)として、電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁7-efが設置される。この弁7-efは風センサー7-qと信号線7-qlによって連動し、その指令によって開閉するものである(シリンダー型また後述の遅延器に共通するが、ピストン状部材が筒中をスライドする場合の筒中の液量差の問題は、付属のアキュムレーターによるかまたは筒中に空気層を設けてその空気層の弾性によるかして解消する)。
これらには免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、ピストン状部材1-p、2-p及びその挿入筒2-a、1-a等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型があり、図132(b)、図145(b)などがそれである。
図132〜図138及び図145両方の場合とも、ピストン状部材2-p、1-pや筒1-a、2-aという部材はあるにせよ、図132〜図138では、あくまで免震される構造体1の一部と免震される構造体を支持する構造体2の一部とが、互いに挿入し合う関係となっているだけでこの両者と係合し、両者を固定する機能をもつのは、部材7だけである。だからその部材7が固定ピンとなる。
なぜなら、固定ピンの定義から「免震される構造体およびその部材と免震される構造体を支持する構造体およびその部材との両者と係合し、両者を固定する部材」が固定ピンだからである。
また、図145(a)の免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定は、ピストン状部材2-pが液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする筒1-aの、ピストン状部材2-pのスライドする範囲の端と端とを繋ぐ管7-eもしくはピストン状部材2-pにあいている孔に設けた、または両方に設けた(逆流を許さない)弁7-efを、閉めることにより行われる。この機構は当然図145(b)についても同様である。
図133、図134は、図132(a)(b)のピンとその挿入部の変化形である。固定装置の機構としては、図133と図139とが、図134と図140とが、それぞれ対応している。
図133、図139は固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合ってロックされる摩擦型固定装置の場合の例である。
図134、図140は固定ピン7がピストン状部材2-p、1-pに設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入され、地震後の残留変位に対処した場合(8.6.(1)(2)参照)の例である。

図132〜図134は、固定ピンの直接(解除)方式であるが、図138は、固定ピンの間接(解除)方式で、地震センサー振幅装置の重り20の振幅によりロック部材11を解除する方式である。

ここで図132〜図134、図138は後述の地震センサー振幅装置装備型の場合であり、図139、図140は後述の地震センサー装備型の場合である。どちらも通常時は、固定ピン7はバネ等9-cによりピストン状部材2-p、1-pをロックする方向に力を受けている。

地震時には、図132〜図134、図138の場合は地震センサー振幅装置と連動するワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって固定ピン7が解除されることで、固定装置が解除される。
図139、図140の場合は地震センサーからの信号により、図139では固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動して固定ピン7が解除されることで、図140ではロック部材制御装置(モーター)46が作動してロック部材11を解除し、固定ピン7が解除されることで、固定装置が解除される。

また、図144は、図139〜図140の固定機構と同じ仕組みを持ち(図144は図139と同じ機構の場合であり、図140と同じ場合もある)、ピストン状部材2-p、1-pに設けたラック36-cに固定ピン(の機能を持つ歯車)7を組み合わせ、これをロック部材11により固定できるようにしたもので、通常時はロック部材11はバネ等9-cにより固定ピン7をロックする方向に力を受けている。
地震時には地震センサーからの信号により、ロック部材制御装置(電磁石)45、あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動してロック部材11が解除され、固定ピン7の回転の拘束が解かれることで固定装置が解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する機構である。

8.0.2. 固定装置の分類2(地震作動型と風作動型)
固定装置は、作動形態から、次の2つの型がある。
固定装置には、通常時は常に固定されており、地震時にのみ固定が解除される形の、地震力に反応して作動する地震作動型(8.1.参照)と、風時にのみ固定される形の、風力に反応して作動する風作動型(8.2.参照)とがある。

8.0.3. 固定装置の作動部
固定ピン等の固定装置の作動部(以下、固定装置の作動部の総称として「固定装置の作動部」または「固定ピン等」を使う)は、固定装置の、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するために作動する部分である。固定する方法は係合抵抗であるが、係合固体抵抗型と係合液体抵抗型との二つに分かれる。

1) 固定ピン型固定装置(固定ピン系及び連結部材系のピン型)の場合
これらの型の固定装置の作動部は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との両者とを係合し固体抵抗(固体摩擦・剪断)により、両者を固定するものである。
具体的には、両者間を固定ピンにより係合して、固体抵抗(固体摩擦・剪断)により両者を固定するものである。
この場合、固定装置の作動部はピストン状部材また固定ピンになる。

2) 連結部材弁型固定装置(係合液体抵抗型固定装置)の場合
これらの型の固定装置の作動部は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との両者と係合し液体・気体等抵抗(流体摩擦・遮断)により、両者を固定するものである。
具体的には、両者間をシリンダーとその中をスライドするピストン状部材により係合して、シリンダーの中をスライドするピストン状部材による液体・気体等の流動する孔・管を絞り(流れの摩擦)さらに弁を閉める(流れの遮断)ことによる液体・気体等抵抗(流体摩擦・遮断)により、両者を固定するものである。
この場合、固定装置の作動部はピストン状部材また弁になる(「固定ピン等」にはピストン状部材また弁まで含まれる)。

8.0.4. 固定装置の解除/固定/作動
ここで用語の説明もしておく。
固定装置の解除とは、固定装置により免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除することを意味し、
固定装置の固定(固定装置のセット、固定装置のロックとも言う)とは、固定装置により免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定することを意味し、
固定装置の作動とは、固定装置による免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定および解除の両方を意味する。

8.1. 地震作動型固定装置
地震作動型固定装置は、通常時は免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止しており、地震の振動を感知すると、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除して、免震装置を作動させるというタイプの固定装置である。
地震作動型固定装置は、地震力そのものの力で作動する剪断ピン型固定装置(8.1.1.)、地震時の地震センサーの指令または地震センサー振幅装置にある重りの振動によって作動する地震センサー(振幅)装置装備型固定装置(8.1.2.)に分かれる。
地震感度について、地震センサー装備型は、地震加速度と地震変位の両方に対応でき、地震センサー振幅装置装備型は、主に地震変位対応型である。

8.1.1. 剪断ピン型固定装置
剪断ピン型固定装置は以下のようなものである。
免震装置によって免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、両者を繋ぐ形で固定ピン7が取り付けられており、地震時に、一定以上の地震力によって固定ピン7が折れるか切れるかして、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する。
このような、固定ピン自体が折れたり切れたりすることにより固定を解除する固定ピンのことを、以下、「剪断ピン」または「剪断ピン型固定ピン」と呼び、剪断ピン型固定ピンによる固定装置のことを、「剪断ピン型固定装置」と呼ぶ。
なお、この剪断ピン型固定装置は一回のみ作動型であり、そのため、大地震対応型となる。

8.1.1.1. 刃付き切断型固定装置
図130、図131は、剪断ピン型固定装置の実施例の一つを示している。固定ピン7を切断するための刃16をもつことを特徴とする。
固定ピン7と、固定ピン7を切断するための刃16と固定ピン7のうち一方が、免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に取付けられる。
図130、図131ともに、固定ピン7が免震される構造体1に、刃16が免震される構造体を支持する構造体2に取付けられている場合である。免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対し、逆に取付けられる場合もある。
また、固定ピン7を、片側から切断する片刃タイプと、固定ピン7の両側から切断する両刃タイプとがあり、図130は片刃タイプを、図131は両刃タイプを示している。

8.1.1.2. 遊び空間設置型刃付き切断型固定装置
また、8.1.1.1.の固定装置において、刃16と固定ピン7との間に、ある程度の遊びを設け、刃16を加速させて固定ピン7を切断するという仕組みが考えられる。
さらに、刃16と固定ピン7とが、中小程度の地震では接触しないように、刃16と固定ピン7との間の空隙に、緩衝材26を挿入することも考えられる。緩衝材26には、グラスウール等のクッション材、また、粘性摩擦を与えるような材料を用いることが考えられる。

8.1.2. 地震センサー(振幅)装置装備型固定装置
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置に、地震を感知する地震センサーまたは地震センサー振幅装置が装備されたものである。地震時には、地震センサー(振幅)装置の働きによって、固定装置が解除される。
なお、地震センサー振幅装置および地震センサーを、以下、「地震センサー(振幅)装置」と呼ぶことにする。

(1) 地震センサー(振幅)装置
地震センサー(振幅)装置は、地震センサーまたは地震センサー振幅装置に分かれ、それぞれ以下のようなものである。
1) 地震センサー振幅装置
地震センサー振幅装置には、重力復元型、バネ復元型、振り子型の3種類がある。地震センサー振幅装置の重りが、地震力で振動し(不動点状態は地面から見ると相対化して振動状態に見える。共振域に近付くと本当に振動する)、重力またはバネ等により元の位置に戻る。
a) 重力復元型地震センサー振幅装置
図149〜図150は、地震センサー振幅装置が、重力復元型の場合である。
地震センサー振幅装置14の免震皿3は、球面、またはすり鉢等の凹型滑り面部を有しており、地震時に振動する重り20(滑り部=すべり・転がり)は、その面を滑り、免震皿の形状により重力で元の位置に戻る。

b) バネ復元型地震センサー振幅装置
図151〜図152は、地震センサー振幅装置が、バネ復元型の場合である。
地震センサー振幅装置15の免震皿3は、平面型滑り面部を有しており、地震時に振動する重り20(滑り部=すべり・転がり)は、その面を滑り、免震皿の周囲と重り20に繋げられたバネ・ゴム・磁石等により元の位置に戻る。

なお、図149〜図150および図151〜図152においては、重りは半球形もしくは立方体の重り20であるが、球形の重り20-bの使用も可能である。当然のごとくそれ以外の形でも構わない。

c) 振り子型地震センサー振幅装置
図157〜図158は、地震センサー振幅装置が振り子型の場合である。
地震センサー振幅装置13は、地震時に振動する振り子の重り20は、重力で元の位置に戻る。
地震センサー振幅装置の重りの振幅方向は、全方向性を持ったものが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)のものでもよい。

2) 地震センサー
地震センサー装置には、以下ようなものが考えられる。
a) 電気式振動計等の地震センサー
動電型、圧電型、可変抵抗型(しゅう動抵抗式、ひずみゲージ式等)、可変インダクタンス型(空隙変化型変換素子、差動トランス等)、サーボ加速度型等の、あるいはその他地震計等に使用されている形式の電気式振動計を、地震センサーとして使用する。

b) 地震発電装置による地震センサー
上記の7.2. 地震発電装置型地震センサーによる場合である。
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、上記の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、地震センサーが、7.2.の地震発電装置型地震センサーの場合である。
地震センサーも、全方向性を持ったもの、あるいは一方向性(往復を含む、以下同じ)のものを2個以上を異なる方向で設置することが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)のものを1個でもよい。
また、いずれの地震センサー(振幅)装置も、免震される構造体を支持する構造体2に固定されている方がよい。

(2) 固定装置の固定の解除形式
固定装置の解除に関して、地震力で、または地震センサーからの指令で、または地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り(不動点状態は地面から見ると相対化して振動状態に見える。共振域に近付くと本当に振動する)そのものの力で、
固定装置の作動部自体を解除する直接方式と、
固定装置の作動部のロックのみを解除する(固定装置の作動部自体の解除はバネ等、重力または地震力を利用する)間接方式との二通りに分かれる。
前記固定ピン型固定装置に関して言えば、間接方式は、固定ピンをロックするロック部材を解除する方式であり、直接方式は、固定ピン自体を可動させ解除する方式である。

1) 間接方式(8.1.2.2./8.1.2.1.)
地震センサー振幅装置の場合には、地震センサー振幅装置の重りの地震時の振動により、固定装置の作動部のロックのみを解除する。
電気式振動計等の地震センサーの場合には、地震センサーからの電気等の指令を受け、固定装置内のモーターまた電磁石等により固定装置の作動部のロックのみを解除する。
地震発電による地震センサーの場合には、地震センサーからの電気で固定装置内のモーターまた電磁石等を作動させ、固定装置の作動部のロックのみを解除する。
後記 8.1.2.2.はその具体的説明であり、 8.1.2.1.の吊材切断型も機構上は間接方式に入るが、別の章として分けて説明する。

2) 直接方式(8.1.2.3.)
地震センサー振幅装置の場合には、地震センサー振幅装置の、重りの地震時の振動により固定装置の作動部自体を解除する。
電気式振動計等の地震センサーの場合には、地震センサーからの電気等の指令を受け、固定装置内のモーターまた電磁石等により固定装置の作動部自体を解除する。
地震発電による地震センサーの場合には、a)地震センサーからの電気等の指令を受け、固定装置内のモーターまた電磁石等により固定装置の作動部自体を解除するか、b)地震センサーからの電気で固定装置内のモーターまた電磁石等を作動し、固定装置の作動部自体を解除する。

(3) 固定装置の復元型
この地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、固定装置の復元による分類から、以下の3つに分れる。
1) 手動復元型(8.1.2.1./8.1.2.2.1.)
地震終了後、手動により、固定装置を再びセット(=ロック・固定)する必要がある地震センサー振幅装置装備型固定装置である。吊材切断型(8.1.2.1.)とロック解除型(8.1.2.2.1.)との2種類に分かれる。
固定装置が解除された後、再び固定させるための機構を特に装備していない簡易型である。完全に再使用可能な固定装置はロック解除型であり、吊材切断型は吊材を張り代える必要がある。

2) 自動復元型(8.1.2.2.2.電気等による、8.1.2.2.3.地震力による)
地震終了後、固定装置の固定が自動的にされる地震センサー振幅装置装備型固定装置である。電気等による場合(8.1.2.2.2.)と、地震力による場合(8.1.2.2.3.)との2種類に分かれる。

3) 自動制御型(8.1.2.3.)
地震時の解除も、地震終了後の固定装置の固定も、自動的にされる地震センサー振幅装置装備型固定装置である。

8.1.2.1. 吊材切断型
吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置、または電気式振動計等の地震センサーをもち、
この地震センサー振幅装置の地震力によって振動する重りまたはその重りに連動する部材、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材に刃が付き、その先に、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定ピンを支えている吊材があり、
地震時にその加速度がある一定以上の大きさになると、
地震センサー振幅装置の重りの振幅が大きくなることによって、または地震センサーの指令を受けたモーターもしくは電磁石等の作動によって、その刃が吊材に当たり、吊材を切断し、
さらに固定ピンに設けられたバネ等、または重力、または挿入部の形状(すり鉢型等)などにより、固定ピンの挿入部から固定ピンが外れ、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

(1) 地震センサー振幅装置装備型
図153〜図156、図159、図160は、この吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の地震センサー振幅装置装備型の実施例を示している。
地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)の、振幅が自由にされた重り20(滑り部)、またはその重り20(滑り部)に連動された部材(例えば、図153、図155、図159のように作用部(押出し部・引張り部等)17、または図154、図156、図160のように(必要によりレリーズ8-rを介して)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8)に刃16が付いており、その先に、固定ピン7を支えている吊材12があって、地震時に、地震センサー振幅装置の重り20(滑り部)の振幅が大きくなり、ある一定以上になると、刃16が吊材12に当たり、吊材12が切断される。
そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cによって、また重力によって、また地震振幅に応じすり鉢等の固定ピン挿入部の勾配に従って持ち上がることによって、固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
8.1.2.2.のロック解除型と同様に、地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)側の刃16の出を調整可能にするか、または、地震センサー振幅装置と刃16とを繋いでいる(レリーズ8-r内の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の長さ(弛みの有無)を調整可能にするかなどして、刃16と吊材12との間隔を自由に変えられるようにし、地震センサー振幅装置の地震感度を自由に変えられるようにすること、また、振り子の吊り長さを調整可能とすることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさを自由に変更できるものである。
地震センサー振幅装置が、図153〜図154は重力復元型、図155〜図156はバネ復元型、図159〜図160は振り子型の、吊材切断型の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の実施例を示している。
図153および図155は、地震センサー振幅装置(重力復元型14、バネ復元型15)の免震皿3により、振幅が自由にされた重り20に直接刃16が付くか、または重り20の作用部(押出し部・引張り部等)17に刃16が付いた場合であり、
図154および図156は、地震センサー振幅装置(重力復元型14、バネ復元型15)の免震皿3により、振幅が自由にされた重り20(滑り部)と刃16とが、(必要によりレリーズ8-rを介して)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれている場合である。
図159は、地震センサー振幅装置13の振り子に刃16が付いた場合であり、図160は、振り子と刃16とが、(必要によりレリーズ8-rを介して)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれている場合である。
なお、固定ピン7の吊材12が免震される構造体1の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは免震される構造体1に固定されている。逆に、固定ピン7の吊材12が免震される構造体を支持する構造体2の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは、免震される構造体を支持する構造体2に固定されている。
なお、図の固定装置Gが、免震される構造体1、免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付けられる場合もある。
また、地震センサー(振幅)装置は免震される構造体を支持する構造体2に固定されている方がよい。
(2) 地震センサー装備型
1) 一般
図162は、吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、地震センサー装備型固定装置の実施例を示している。
地震センサー装置J-bから信号を伝える電線23により連動するロック部材制御装置47に刃16が付き、その先に固定ピン7を支えている吊材12があって、地震の加速度、速度、または変位がある一定以上になると、地震センサー装置J-bがそれを感知し、ロック部材制御装置47が作動して刃16が吊材12に当たり、吊材12が切断される。
そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ・ゴム・磁石等9-cにより固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
なお、固定ピン7の吊材12が免震される構造体1の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは免震される構造体1に固定されている。逆に、固定ピン7の吊材12が免震される構造体を支持する構造体2の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは、免震される構造体を支持する構造体2に固定されている。
8.1.2.2.のロック解除型と同様に、地震センサー装置J-bの地震感度を自由に変えられるようにすることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさは自由に変更できるものである。
なお、図の固定装置Gが、免震される構造体1、免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付けられる場合もある。
また、地震センサー装置J-bは免震される構造体を支持する構造体2に固定されている方がよい。

2)地震発電による地震センサー装備型
吊材切断型地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のうち、7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーによって作動する固定装置の実施例を示している。図190はその一例で、7.1.1)のピン型の地震発電装置を使用したものである。
ロック部材制御装置47は、7.1. 1)、2)で説明されている地震発電装置型地震センサーJ-kと、信号を伝える電線23により連絡されている。このロック部材制御装置47に刃16が付き、その先に固定ピン7を支えている吊材12がある。地震時に地震発電装置型地震センサーJ-kが作動し、その発電した電力によりロック部材制御装置47も作動して刃16が吊材12に当たり、吊材12が切断される。
そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ・ゴム・磁石等9-cにより固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
なお、固定ピン7の吊材12が免震される構造体1の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは免震される構造体1に固定されている。逆に、固定ピン7の吊材12が免震される構造体を支持する構造体2の側に出ている場合は、吊材12の取付け部12-fは、免震される構造体を支持する構造体2に固定されている。
地震発電装置型地震センサーJ-kの、地震力に対する出力の設定を調整できるようにすることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさは自由に変更できるものである。
なお、図の固定装置Gが、免震される構造体1、免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付けられる場合もある。
また、地震発電による地震センサー装置は免震される構造体を支持する構造体2に固定されている方がよい。

8.1.2.2. 間接方式(ロック解除型)
間接方式とは、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の固定装置の作動部を直接解除せずに、固定装置の作動部を間接的に解除する、つまり固定装置の作動部のロックを解除する方式である。
この発明の間接方式は、
1)固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
2)固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
3)連結部材系ピン型の間接方式(固定ピンとロック部材(ロックピン、ロック弁))
4)連結部材系弁型の間接方式(弁とロック部材(ロックピン、ロック弁))
に分かれる(8.0.1.固定装置の分類1)。

さらに、ロック形式について、分類すると次のようになる。
1) ロック形式
上記の間接方式について、固定装置の作動部をロックする機能をもった部材(以下、「ロック部材」と呼ぶ)のロック形式から、次の2つに分けることができる。
a) ロックピン方式(8.1.2.1. 1)参照)
図149〜図150、図151〜図152、図157〜図158、図163〜図181、図206、図237〜図261、図194参照。
b) ロック弁方式(8.1.2.1. 2)参照)
図196、図207参照。

2) ロック方式
以上のそれぞれは、ロック方式から、次の2つに分けられる。
a) 一段ロック方式
図149〜図150、図151〜図152、図157〜図158、図163〜図181、図206、図237〜図261参照。
b) 二段以上ロック方式( 8.1.2.2.4. 2)参照)
図194参照。

3) ロック個数
さらに、以上のそれぞれは、ロックの個数から、次の2つに分けられる。
a) 一重ロック方式
図149〜図150、図151〜図152、図157〜図158、図163〜図181、図194〜図207、図237〜図261参照。
b) 二重以上ロック方式( 8.1.2.2.4. 3)参照)
図204、図205参照。

8.1.2.2.1. 基本形
ロック解除型の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の発明である。

地震時以外は、固定装置の作動部をロックするロック部材が働くことで、固定装置はロックされることにより、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが固定される風揺れ等を防止する固定装置において、
重りとそれを定位置に戻すバネ・ゴム・磁石等からなる装置、
重り(滑り部)とそれを定位置に戻し且つそれが滑る球面・すり鉢型等の免震皿からなる装置、
重りとそれを振り子として支持する部材とからなる装置等の、地震力によってこの重りが振動する地震センサー振幅装置、または電気式振動計等の地震センサー(地震センサー振幅装置および地震センサーを地震センサー(振幅)装置という)をもち、
前記ロック部材と接続され、連動し、
地震時にその加速度がある一定以上の大きさになると、
地震センサー振幅装置の重りの振幅がある一定以上の大きさになり、重りにより直接もしくはそれに連動された部材によって、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材によって、
固定装置のロック部材が解除され、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

また、固定装置の作動部が固定ピンの場合は以下のようになる。
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、挿入部に固定ピンを挿入することよって固定し、地震時以外は、固定ピンに、固定ピンをロックするロック部材が働いて風揺れ等を防止する固定装置において、
地震センサー振幅装置または電気式振動計等の地震センサーをもち、
前記ロック部材と接続され、
地震時にその加速度がある一定以上の大きさになると、
地震センサー振幅装置の重りの振幅がある一定以上の大きさになり、重りにより直接もしくはそれに連動された部材によって、または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材によって、
固定ピンのロック部材を解除し、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。
以上のロック解除型の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置は、ロック部材が、ロックピンとロック弁に分けられることからロックピン方式とロック弁方式との2つの方式に分かれる。

1) ロックピン方式
8.1.2.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のロック部材が、ロックピン等である方式(ロックピン方式)の、固定装置の発明である。
図179は、その地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の地震センサー振幅装置装備型の実施例である。
この地震センサー振幅装置装備型固定装置には、固定ピン7をロックする機能をもった部材11(ロックピン・ロック弁等、以下、「ロック部材」と呼ぶ)があり、通常時は固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。
前述の地震センサー、または地震センサー振幅装置が、地震時に振幅がある一定以上になると、固定ピンのロックを解除する。
この固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)により、また重力により、また地震振幅に応じすり鉢等の固定ピン挿入部の勾配に従って持ち上がる(図179)ことによって、この固定ピンの挿入部等からこの固定ピンが外れ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成される。
なお、図179において、固定ピンの挿入部が、7-vm/vとなっているのは、7-v(固定ピンの挿入部)または7-vm(固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部)という意味である(図1からの全ての図面に共通することであるが、「/」は「または」の意味である。なお「また」は、「または」と「及び」の両方の意味をもつ)。

図161は、その地震センサー(振幅)装備型固定装置の地震センサー装置装備型の実施例である。

2) ロック弁方式
8.1.2.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のロック部材が、ロック弁等である方式(ロック弁方式)の、固定装置の発明である。
8.1.2.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材等の固定装置の作動部を有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、固定装置の作動部をロックするロック弁(ロック部材)が設けられており、
このロック弁を地震センサー(振幅)装置と連動して開閉することにより、固定装置の作動部のロックを行うことを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

図207は、8.1.2.2.3.の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合の、ロック弁方式の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の地震センサー振幅装置装備型の場合の実施例である。
固定装置の作動部が、固定ピンとなるかまたは連動したピストン状部材の場合である。
固定ピンの支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材からなり、
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその幾つかにまたは全てに、固定ピンをロックするロック弁(ロック部材)が設けられている。
地震時に、地震センサー振幅装置の重りまたは振り子の振幅がある一定以上の大きさになると、その重りまたは振り子により、このロック弁が開かれ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定が解除されるように構成される。
具体的に、図に基づいて説明すると、
筒中の液体や空気等を漏らさずスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒(固定ピン取付け部)7-aに挿入され、筒7-aの外に固定ピン先端7-wが突き出ており、さらに、筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とは管7-eで繋がれている。管7-eには、ロック弁(ロック部材)7-fが取付けられており、ピストン状部材7-pが押出される時に開くようになっている。
さらに、上述の地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)をもち、
地震センサー振幅装置またはそれに連動した部材(ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等)の先に、管7-eのロック弁(ロック部材)7-fを開く作用部(押出し部・引張り部等)7-hを持つ。
(a)図は地震センサー振幅装置のすべり型重り20によるバネ復元型15の場合、(b)図の下図は地震センサー振幅装置のすり鉢・球面等の凹面皿上すべり型重り20による重力復元型14の場合、(b)図の上図は地震センサー振幅装置のすり鉢・球面等の凹面皿上の転がり型重り(ボール型)20-bによる重力復元型14の場合である。
なお、作用部7-hは、重力またバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-iによって、ロック弁(ロック部材)7-fを常に閉じる状態にしておく。
地震時には、地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)の重りが振動し、作用部7-hに作用して(押出して)ロック弁(ロック部材)7-fを開く。
すり鉢形状・球面形状等の凹形状の固定ピンの挿入部7-vm を有していることから、
地震力により固定ピン先端7-wが、すり鉢形状の挿入部勾配により、持ち上がり、免震装置全体が可動し始める。
逆に、地震終了時には、バネ等7-oまた重力(固定ピン7が免震される構造体1に取付けられる場合)の働きにより、固定ピン先端7-wが、すり鉢形状の挿入部勾配に従いながら突き出る方向に働き、かつ、ロック弁(ロック部材)7-fも突き出る方向にしか開かないので、すり鉢形状の挿入部勾配に従いながら最も底で止まって、免震される構造体Aが固定される。ロック弁(ロック部材)7-fの性格により、(地震時以外の)通常時は、固定ピン先端7-wは下に突き出す方向性のみを持ち、引き込むことは、地震時以外には起こらない。
筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oが入り、また重力により、ピストン状部材7-pをもった固定ピン7をセット(=ロック・固定)する方向に筒外に押出す役割をする場合もある。
また、筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
図207では、固定ピン7が免震される構造体1に、固定ピンの挿入部7-vが免震される構造体を支持する構造体2に、取付けられているが、逆の関係の場合もある。固定ピンの挿入部7-vおよび固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられる。
また、筒7-aの上部に関して、4.6.同様に、単に止め金が固定されている場合もあるが、雌ネジが切られて、雄ネジ7-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ7-dは、入り込み方向に回転して締めることにより、バネ等7-oを圧縮して、バネ・ゴム・磁石等7-oの反発力を強め、固定ピン先端7-wの押し出す力を強めるという機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体Aの残留変位の矯正を可能にしたりする。

以下、さらに、地震センサー振幅装置装備型と地震センサー装備型の場合の実施例をそれぞれ説明する。

(1) 地震センサー振幅装置装備型
図149〜図152、図157〜図158は、重力復元型・バネ復元型・振り子型の地震センサー振幅装置装備型固定装置の実施例を示している。
これらの固定装置には、固定ピン7をロックするロック部材11があり、この固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。
地震によって、振幅が自由にされた重り20(滑り部)の振幅が大きくなり、ある一定以上になると、この重り20(滑り部)またはそれに連動された部材が、ロック部材11のロックを解除する方向に作用し、この固定ピンの欠き込み・溝・窪み7-cから、固定ピン7のロック部材11が外れる。
そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、また重力により、また地震振幅に応じすり鉢等の固定ピン挿入部の勾配に従って持ち上がることによって、固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
また、ロック部材11は、バネ等9-cにより、ロック解除の方向とは逆方向に、常時押出されているか引張られている形になっている。
さらに、ロック部材11は垂直方向には拘束され、持ち上らないようになっており、水平方向にのみスライドするように取付けられている。
重り20(滑り部)に連動する部材としては、図149、図151のように作用部(押出し部・引張り部等)17、または、図150、図152のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8がある。
また、振り子13に連動する部材としても、同様に、図157のように作用部(押出し部・引張り部等)17、または、図158のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8がある。
なお、図163、図165、図167のスライド装置24のように、固定ピン側のロック部材11の出を調整可能にするか、または、地震センサー振幅装置13、14、15のロック部材11とレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8との接合長さ(弛みの有無)を調整可能にするかなどして、地震センサー振幅装置13、14、15のロック部材11に対する感度を自由に変えることができるようにすることにより、また、振り子の吊り長さを調整可能とすることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさを自由に変更できるものである。
また、地震センサー振幅装置とロック部材11との間隔調整の方法としては、上記の方法以外にも、地震センサー振幅装置の作用部(押出し部・引張り部等)17の先端の出を調整可能とする方法もある。
地震センサー振幅装置が、図149〜図150は重力復元型、図151〜図152はバネ復元型、図157〜図158は振り子型の、ロック解除型の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の実施例である。
図149、図151は、重力復元型・バネ復元型地震センサー振幅装置14・15の免震皿3により振幅が自由にされた重り20(滑り部)またはその連動された部材の先に(振幅時の重り20またはその連動された部材がぶつかる範囲内に)、固定ピン7をロックするロック部材11がある場合である。
図150、図152は、重力復元型・バネ復元型地震センサー振幅装置14・15の免震皿3により振幅が自由にされた重り20(滑り部)の連動された部材の先に、固定ピン7をロックするロック部材11がある場合である。つまり、重り20(滑り部)またはその連動された部材と、固定ピン7をロックするロック部材11とが、(必要によりレリーズ8-rを介して)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって繋がれている場合である。
図157は、振り子型地震センサー振幅装置13により振幅が自由にされた重り20またはその連動された部材の先に(振幅時の重り20またはその連動された部材がぶつかる範囲内に)、固定ピン7をロックするロック部材11がある場合である。
図158は、振り子型地震センサー振幅装置13により振幅が自由にされた重り20の連動された部材の先に、固定ピン7をロックするロック部材11がある場合である。つまり、重り20またはその連動された部材と、固定ピン7をロックするロック部材11とが、(必要によりレリーズ8-rを介して)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって繋がれている場合である。
また、図181は、前述の地震センサー振幅装置15の中に固定ピン7が入り、地震センサー振幅装置15の重り20が同時にロック部材11の役割を果たす場合である。
地震センサー振幅装置15のロック部材11が地震時に振動状態となり、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cからロック部材11が外れると、バネ・ゴム・磁石等9-cにより固定ピン7が持ち上がり、固定装置が解除される。
なお、図の固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付けられる場合もある。
また、地震センサー(振幅)装置は支持する構造体に固定されている方がよい。

(2) 地震センサー装備型
1) 一般
地震センサー装備型自動復元型固定装置のうちで、固定ピンの復帰を、地震力を用いた自動復元とする型である。
(1)の地震センサー振幅装置の代わりに地震センサーを使ったもので、固定装置の解除時の感度の精度が上げられる。しかし、固定ピンの復帰は、地震力だけを利用して行う型である。
また、動電型、圧電型、可変抵抗型(しゅう動抵抗式、ひずみゲージ式等)、可変インダクタンス型(空隙変化型変換素子、差動トランス等)、サーボ加速度型等の、あるいはその他地震計等に使用されている形式の電気式振動計を、地震センサーとして装備した固定装置も考えられる。
図161は、
地震時以外、特に風時に、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置に、上記形式の電気式振動計を利用した地震センサー装置が装備されたものである。
これらの固定装置には固定ピン7をロックするロック部材11があり、通常時は固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。地震時には、地震センサー装置J-bに、信号を伝える電線23により連動するロック部材制御装置47が、この固定装置のロックを解除する。
つまり、地震時以外、特に風時に、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置Gにおいて、地震時に加速度あるいは振幅がある一定以上になると、地震センサー装置J-bがそれを感知し、連動するロック部材制御装置47により、この固定ピンの挿入部等7-vからこの固定ピン7を外し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除することにより構成される。
具体的に述べると、図161のように、地震を感知する地震センサー装置J-b、ロック部材制御装置47がある。
地震の加速度、速度、または変位がある一定以上になると、地震センサー装置J-bがそれを感知し、ロック部材制御装置47がロック部材11のロックを解除する方向に作用し、この固定ピンの欠き込み・溝・窪み7-cから、固定ピン7のロック部材11が解除される。
そうすると、固定ピン7が外れる方向に働くよう取付けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
また、ロック部材11は、バネ等9-cにより、ロック解除の方向とは逆方向に、常時押出されているか引張られている形になっている。
さらに、ロック部材11は垂直方向には拘束され、持ち上らないようになっており、水平方向にのみスライドするように取付けられている。
地震センサー装置J-bのロック部材11に対する感度を自由に変えられることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさは自由に変更できるものである。
なお、図の固定装置Gが、免震される構造体1、免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付けられる場合もある。
また、地震センサー(振幅)装置は免震される構造体を支持する構造体に固定されている方がよい。
図212〜図213は、地震センサー装置装備型固定装置のうち、固定ピン型固定装置の実施例で、地震センサーJ-bからの信号により作動する電気型の場合である。この例はすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入された固定ピン7に、この固定ピン7をロックする方向でロック部材11を差し込み、固定装置Gをロックするタイプである。
この固定装置Gを作動させる機構には、ロック部材制御装置(電磁石)を使用する方法と、ロック部材自動制御装置(モーター)を使用する方法とがあり、図212は前者の例、図213は後者の例である。 免震される構造体1に設置された固定装置Gの固定ピン7が、免震される構造体を支持する構造体2に設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入されており、通常時このロック部材11は、バネ等9-cにより、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cに挿入され、固定ピン7をロックしている機構になっている。
地震センサーJ-bが一定以上の地震力を感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動して、ロック部材11を、固定ピン7のロックを解除する方向に動かし、欠き込み・溝・窪み7-cからロック部材11を外すことで固定ピン7のロックを解除し、固定装置Gを解除して免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除し、
地震センサーJ-bが地震の終了を感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11が元に戻り固定ピン7がロックされることで固定装置Gが作動し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき地震センサーJ-bが地震の終了を感知してから、一定の時間をおいて固定装置を作動させるための、タイマーを設ける場合もある。

2)地震発電による地震センサー装備型
地震発電装置による地震センサーにより、固定装置を解除する固定装置の発明である。
これは7.記載の地震発電の電気により電動モーターまた電磁石等を使用して、固定装置の作動部のロックを解除する(固定装置の作動部自体の解除はバネ等または地震力を利用する)間接方式と、固定装置の作動部自体を解除する直接方式(8.1.2.3.2.(2))との二通りに分かれる。

イ.間接方式(固定装置の作動部のロックを解除するタイプ)
固定装置の作動部をロックする部材(ロック部材)が、ロックピンとロック弁とに分けられることから、以下のようにロックピン方式とロック弁方式との2つに分れる。
a) ロックピン方式
図189〜図191に見られるような固定ピンの引抜きまた挿入運動をロックするロックピン(ロック部材)11(一段ロック)の解除による。
図194に見られるような第1のロックピン(ロック部材)7-l、第2のロックピン(ロック部材)7-n(二段ロック)の解除による。

b) ロック弁方式
図207に見られるような固定ピンの引抜きまた挿入運動をロックするロック弁(ロック部材)7-fの解除による。
図196に見られるような固定ピンの引抜きまた挿入運動をロックするロック弁(ロック部材)7-efの解除による。なお、信号線7-qlは、地震センサーからの信号線である。
以上に見られるような固定ピンのロック部材(ロックピン、ロック弁)の解除による場合である。 なお、図189〜図191、図194、図196、図207においては、固定ピン系固定装置が用いられているが、代わりに連結部材系固定装置を使用することも可能である。

ロ.直接方式(固定装置の作動部の解除を直接行うタイプ、 8.1.2.3.2.(2) 参照)
図192〜図193に見られるような固定ピン自体の引抜きまた挿入を行う場合(8.1.2.3.2.(2)参照)の二通りに分かれる。
ここでは、イ.間接方式(固定ピンのロックを解除するタイプ)の場合である。
図189は、
前記(2) 1)の地震センサーの代わりに7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを用いる場合で、固定装置の作動に当たって電源設備を必要としない。
固定装置Gには固定ピン7をロックするロック部材11があり、通常時は固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。地震時には、地震発電装置型地震センサーJ-kと連動するロック部材制御装置47が、この固定装置Gのロックを解除する。
地震時に地震発電装置型地震センサーJ-kが作動し、ロック部材制御装置47も連動してこの固定ピンの挿入部等7-vからこの固定ピン7を外し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除することにより構成される。
具体的に述べると、図189のように、地震を感知し、地震力により作動し発電する地震発電装置型地震センサーJ-k、および電線23によりこれと連絡されているロック部材制御装置47がある。
地震力が一定以上になって、地震発電装置型地震センサーJ-kの発電する電圧が装置を作動させるのに必要な電圧以上になると、ロック部材制御装置47も作動してロック部材11のロックを解除する方向に作用し、この固定ピンの欠き込み・溝・窪み7-cから、固定ピン7のロック部材11が解除される。
そうすると、固定ピン7が外れる方向に働くよう取付けられたバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、また重力により、また地震振幅に応じすり鉢等の固定ピン挿入部の勾配に従って持ち上がることによって、固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
また、ロック部材11は、バネ等9-cにより、ロック解除の方向とは逆方向に、常時押出されているか引張られている形になっている。
さらに、ロック部材11は垂直方向には拘束され、持ち上らないようになっており、水平方向にのみスライドするように取付けられている。
地震発電装置型地震センサーJ-kの、地震力に対する出力の設定を調整できるようにすることにより、固定ピン7解除の地震力の大きさは自由に変更できるものである。
なお、図の固定装置Gを、免震される構造体1、免震される構造体を支持する構造体2に対して、逆に取り付ける場合もある。
また、地震センサー装置は免震される構造体を支持する構造体2に固定されている方がよい。
図212〜図213は、地震発電装置型地震センサーを装備した地震センサー装置装備型固定装置のうち、固定ピン型固定装置の実施例である。この例はすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入された固定ピン7に、この固定ピン7をロックする方向でロック部材11を差し込み、固定装置Gをロックするタイプである。
この固定装置Gを作動させる機構には、ロック部材制御装置(電磁石)を使用する方法と、ロック部材自動制御装置(モーター)を使用する方法とがあり、図212は前者の例、図213は後者の例である。 免震される構造体1に設置された固定装置Gの固定ピン7が、免震される構造体を支持する構造体2に設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入されており、通常時このロック部材11は、バネ等9-cにより、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cに挿入され、固定ピン7をロックしている機構になっている。
地震力が一定以上になって、地震発電装置型地震センサーJ-kの発電する電圧が装置を作動させるのに必要な電圧以上になると、その発電した電力によりロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動して、ロック部材11を、固定ピン7のロックを解除する方向に動かし、欠き込み・溝・窪み7-cからロック部材11を外すことで固定ピン7のロックを解除し、固定装置Gを解除して免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除し、
地震力が一定以下になって、地震発電装置型地震センサーJ-kの発電する電圧が装置を作動させるのに必要な電圧以下になると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11が元に戻り固定ピン7がロックされることで固定装置Gが作動し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき地震発電装置型地震センサーJ-kの発電する電圧が一定以下になってから、一定の時間をおいて固定装置を作動させるための、タイマーを設ける場合もある。
なお、以上の図189、図212〜図213においては、固定ピン型固定装置(ピン型)が使用されているが、その代わりに、固定ピン型固定装置(弁型)、連結部材系固定装置を使用することも可能である。

8.1.2.2.2. 電気等による自動復元型
固定装置が解除された場合に、地震後に電気等により自動的に固定状態に復帰させる地震センサー(振幅)装置装備型固定装置(ロック解除型)の発明である。
この発明は、8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置(ロック解除型)に、固定装置自動復元装置を取り付ける事により、固定装置解除後の固定装置の作動部の元の位置への自動復帰を可能にしたものである。
つまり、8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置に、
地震後、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーからの指令によって、固定ピン等の固定装置の作動部を自動的に元の位置に戻す固定装置自動復元装置を設けるものである。
これにより、地震後の固定ピン等の固定装置の作動部の再セットが自動になり、手動復元のもののように一々手を煩わせる必要がなくなった。復元の容易な固定装置の発明により、大地震に対応する一回限りのものだけでなく、中小地震に対応する免震装置が可能となる。装置の構成としては、8.1.2.2.1.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の、固定ピン等の固定装置の作動部に、固定装置自動復元装置を設けたものである。

具体的には、固定装置の作動部が固定ピンの場合は、固定ピン7に固定装置自動復元装置21が設けられ、地震後に、固定装置自動復元装置21が、固定ピン7をロック部材11がロック(係合)する位置に自動復元するもので、その位置は、固定ピン7が完全に解除されたときに来る位置に設置される。
以下、構成を説明する。

(1) 地震センサー振幅装置装備型
1) 重力復元型・バネ復元型地震センサー振幅装置装備型
図163〜図166は、重力復元型・バネ復元型地震センサー振幅装置装備型固定装置の実施例を示している。
a) 中心接点型
前述の重力復元型、バネ復元型地震センサー振幅装置の場合であり、地震センサー振幅装置14、15の免震皿上の重り20(滑り部)と、その(地震前また地震後の)停止位置との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
地震後において、重り20(滑り部)がこの停止位置に継続的にとどまり、免震皿上・重り20(滑り部)双方の電気等の接点23-cが重なり続け、電気等の場合には、通電状態が継続すると、固定装置自動復元装置21が作動して、固定装置自動復元装置の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン等の固定装置の作動部7を、(固定ピンの挿入部が上にある場合には)押し上げ、また(固定ピンの挿入部が下にある場合には)押し下げて、ロック部材11がロック(係合)する位置に自動復元させ、その後、固定装置自動復元装置21自体は、元の位置に戻るものである(そして再度地震等により双方の電気等の接点23-cが重なり、スイッチが入るまで、節電停止状態に入る)。

b) 周辺接点型
上述の重力復元型、バネ復元型地震センサー振幅装置14、15の免震皿上の重り20(滑り部)と、その(地震前また地震後の)停止位置以外の周辺部との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、この停止位置に、重り20(滑り部)がとどまり、接点23-cが接せずに通電せず、固定装置自動復元装置21は作動せず、よって固定ピン等の固定装置の作動部には作用しない。
地震時に、この停止位置より移動すると、双方の電気等の接点23-cが重なり合い通電し、地震後、この停止位置に重り20(滑り部)が再びとどまり、通電しなくなると、この固定装置自動復元装置21内のモーター、バネ等、または重力により、固定装置自動復元装置21の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン等の固定装置の作動部7を、(固定ピンの挿入部が上にある場合には)押し上げ、または(固定ピンの挿入部が下にある場合には)押し下げ、ロック部材11がロック(係合)する位置に復帰させ、その後、作用部自体は元の位置に戻るというものである。
図163〜図164は、重力復元型の地震センサー振幅装置の場合、図165〜図166は、バネ復元型の地震センサー振幅装置の場合の実施例である。
重力復元型地震センサー振幅装置14の免震皿3は、全方向性を持った球面またすり鉢状等の凹型滑り面部をもったものが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)でもよい。また凹面でない平面型滑り面部を有する免震皿3の場合は、バネ復元型の、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9で元の位置に復元させる場合もある。
図163、図165は、地震センサー振幅装置(重力復元型、バネ復元型)14、15の免震皿3により、振幅が自由にされた重り20(滑り部)の先に、ロック部材11がある場合、図164、図166は、地震センサー振幅装置(重力復元型、バネ復元型)14、15の免震皿3により、振幅が自由にされた重り20(滑り部)もしくは重り20(滑り部)に連動された部材と、ロック部材11とが、レリーズ8-rを介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれている場合である。
なお、図163〜図166は、中心接点型のものである。周辺接点型の地震センサー振幅装置の詳細については、図184、図186の地震センサー振幅装置14、15に表されており、そのうち図183〜図184は重力復元型の場合、図185〜図186はバネ復元型の場合の実施例を示している。

2) 振り子型地震センサー振幅装置装備型
図167〜図168は、振り子型地震センサー振幅装置装備型固定装置発明の実施例を示している。
前述の振り子型の地震センサー振幅装置13による固定装置に、電気等による固定装置自動復元装置21が取付けられたものである。
a) 中心接点型
前述の振り子型地震センサー振幅装置の場合の実施例であり、地震センサー振幅装置13の振り子と、その停止位置との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
地震後において、振り子がこの停止位置に継続的にとどまり、双方の電気等の接点23-cが重なり続け、電気等の場合には、通電状態が継続すると、固定装置自動復元装置21が作動して、固定装置自動復元装置の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン等の固定装置の作動部7を、(固定ピンの挿入部が上にある場合には)押し上げて、また(固定ピンの挿入部が下にある場合には)押し下げて、ロック部材11がロック(係合)する位置に自動復元させ、その後、固定装置自動復元装置21自体は、元の位置に戻るものである(そして再度地震等により双方の電気等の接点23-cが重なり、スイッチが入るまで、節電停止状態に入る)。

b) 周辺接点型
地震センサー振幅装置13の振り子と、その停止位置以外の周辺部との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、この停止位置に、振り子(重り20)がとどまり、接点23-cが接せずに通電せず、固定装置自動復元装置21は作動せず、よって固定ピン等の固定装置の作動部7には作用しない。
地震時に、振り子がこの停止位置より移動すると、双方の電気等の接点23-cが重なり合い通電し、地震後、この停止位置に振り子(重り20)が再びとどまり、通電しなくなると、この固定装置自動復元装置21内のモーター、バネ等、また重力により、固定装置自動復元装置21の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン等の固定装置の作動部7を、(固定ピンの挿入部が上にある場合には)押し上げ、または(固定ピンの挿入部が下にある場合には)押し下げ、ロック部材11がロック(係合)する位置に復帰させ、その後、作用部自体は元の位置に戻るというものである。
振り子も、全方向性を持ったものが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)でもよい。
なお、図167は、地震センサー振幅装置13の振り子の先に、ロック部材11がある場合、図168は、振り子もしくは振り子に連動された部材とロック部材11とが、レリーズ8-rを介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で繋がれている場合である。
図167〜図168は、中心接点型のものであるが、周辺接点型の地震センサー振幅装置の詳細については、図188の地震センサー振幅装置13に表されている。
図163〜図168について、以上に述べた他は、8.1.2.2.1.と同じである。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、図163〜図168に示されているのとは逆に取り付けられる場合もある。
前述のとおり、ロック部材11は、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまた重力によって、地震センサー振幅装置側へ常時押出されている形になっている。
また、ロック部材11は、垂直には拘束されていて持ち上らないようになっており、地震センサー振幅装置側方向へのみ、水平方向にスライドするように取付けられ、固定ピン等の固定装置の作動部7が押し上ってくると、自動的に固定ピン等の固定装置の作動部7をロックするための欠き込み・溝・窪み7-cに嵌り込む。

また、8.1.2.3.の地震センサー振幅装置装備型自動制御型固定装置においても同様であるが、この自動復元装置21と反対側の固定ピンの挿入部7-v側の先端部は、錐状等の先端が尖った形であるのが望ましい。これは、固定ピン等の固定装置の作動部7をロック部材11がロック(係合)する位置に戻すためにも必要である。
挿入部7-vも、固定ピン等の固定装置の作動部7が挿入しやすいように、すり鉢状等の凹形状7-vm であるのが望ましい。
また、固定ピン等の固定装置の作動部の挿入部7-v側の先端部が、錐状等の尖った形であれば、固定ピン等の固定装置の作動部7が、地震後、残留変位のために、免震される構造体1の挿入部7-vに入らない場合でも、免震される構造体の床版等1に突き刺すようにして当たり、免震される構造体1を固定する機能を持つ。
そのためには、固定装置自動復元装置21、また自動制御型固定装置22にも、固定ピン等の固定装置の作動部7が、完全に挿入部7-vに貫入しなくても途中停止できる遊び(途中停止による遊び)が必要である。
また、8.1.2.3.の地震センサー振幅装置装備型自動制御型固定装置においても、堀込みのある挿入部7-v、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピンが挿入する形のほかに、挿入部7-vが、免震される構造体の床版等1の側には貫通穴を持たず、単に、固定ピン7が免震される構造体の床版等1に押し当たり、その摩擦で固定される形のものも考えられ、その場合の方が地震後の残留変位があっても固定が可能になる。
図183〜図188はその実施例を示しており、固定ピンの先端部は、摩擦面積が最大になるよう平らにされており、さらに、摩擦係数の大きいザラザラの仕上になっている。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して逆に取り付けられる場合もあり、その場合、以上のことは逆の関係になる。
図163〜図168において、固定装置として固定ピン型固定装置が使用されているが、代わりに連結部材系固定装置を使用することも可能であある。

(2) 地震センサー装備型
1) 一般
動電型、圧電型、可変抵抗型(しゅう動抵抗式、ひずみゲージ式等)、可変インダクタンス型(空隙変化型変換素子、差動トランス等)、サーボ加速度型等の、あるいはその他地震計等に使用されている形式の電気式振動計を、地震センサーとして装備した固定装置も考えられる。
図169は、
地震センサーJ-bが一定以上の地震を感知すると、信号を伝える電線23により連絡されているロック部材制御装置47が作動し、固定ピンをロックするための欠き込み・溝・窪み7-cから、常時はバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、固定ピン7をロックする方向へ押されているロック部材11を外す方向で作用する(引き抜く)。そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ・ゴム・磁石等9-cにより固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震終了後は、地震センサー装置J-bが地震の終了を感知して一定時間後、信号を伝える電線23により連絡されている固定装置自動復元装置21が作動して、固定装置自動復元装置の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン7に作用し(固定ピンの挿入部が上にある場合には押し上げて、また固定ピンの挿入部が下にある場合には押し下げて)、ロック部材11がロック(係合)する位置に自動復元させる。ロック部材11は、垂直方向の変位を拘束されており、地震センサー装置J-b側方向へのみ水平方向にスライドするように取付けられ、固定ピン7が元の位置に戻ると、自動的に固定ピンをロックするための欠き込み・溝・窪み7-cに嵌り込む。その後、固定装置自動復元装置21自体は、元の位置に戻る(そして再度地震センサー装置が地震の開始とその終了を感知し、スイッチが入るまで、節電停止状態に入る)。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、図163〜図169に示されているのとは逆に取り付けられる場合もある。
また、8.1.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動制御型固定装置においても同様であるが、この自動復元装置21と反対側の固定ピンの挿入部7-v側の先端部は、錐状等の先端が尖った形であるのが望ましい。これは、固定ピン7をロック部材11がロック(係合)する位置に戻すためにも必要である。
挿入部7-vも、固定ピン7が挿入しやすいように、すり鉢状等の凹形状7-vm であるのが望ましい。
また、固定ピンの挿入部7-v側の先端部が、錐状等の尖った形であれば、固定ピン7が、地震後、残留変位のために、免震される構造体1の挿入部7-vに入らない場合でも、免震される構造体の床版等1に突き刺すようにして当たり、免震される構造体1を固定する機能を持つ。
そのためには、固定装置自動復元装置21、またロック部材制御装置47にも、固定ピン7が、完全に挿入部7-vに貫入しなくても途中停止できる遊び(途中停止による遊び)が必要である。
また、8.1.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動制御型固定装置においても、堀込みのある挿入部7-v、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピンが挿入する形のほかに、挿入部7-vが、免震される構造体の床版等1の側には貫通穴を持たず、単に、固定ピン7が免震される構造体の床版等1に押し当たり、その摩擦抵抗で固定される形のものも考えられ、その場合の方が地震後の残留変位があっても固定が可能になる。その場合、固定ピン7の先端部7-wは、摩擦面積が最大になるよう平らにされ、さらに固定ピンの先端部7-w、免震される構造体の床版等1で固定ピン先端部7-wが突き当たる部分、あるいはその部分に設置される固定ピンを受ける部材7-vnは、摩擦抵抗が大となるような形状とする。図216〜図223はその実施例である。また同じ部分に摩擦抵抗の大きい摩擦部材7-wmを設置する場合もある。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して逆に取り付けられる場合もあり、その場合、以上のことは逆の関係になる。
図140では、固定ピン7が、ピストン状部材1-p(2-p)に設けた、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入され、この固定ピン7をロック部材11により固定できるようにしたもので、通常時はロック部材11はバネ等9-cにより固定ピン7をロックする方向に力を受けている。
ロック部材11にはラック36-cが刻まれ、そこに歯車36-dを組み合わせて、地震時には地震センサーからの信号により、ロック部材制御装置(モーター)46が作動して、歯車36-dを回転させてロック部材11を解除し、固定ピン7が解除されることで、固定装置が解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する機構である。
また、図144は、ピストン状部材1-p(2-p)に設けたラック36-cに固定ピン(の機能を持つ歯車)7を組み合わせ、これをロック部材11により固定できるようにしたもので、通常時はロック部材11はバネ等9-cにより固定ピン7をロックする方向に力を受けている。
地震時には地震センサーからの信号により、ロック部材制御装置(電磁石)45が作動してロック部材11が解除され、固定ピン7の回転の拘束が解かれることで固定装置が解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する機構である。
なお、図138は、間接方式の地震センサー振幅装置装備型で、固定ピン7をロックするロック部材11を解除する方式である。地震センサー振幅装置の重り20の振幅と連動するワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によってロック部材11を解除する方式である。
図169においては、固定装置として固定ピン系固定装置が使用されているが、代わりに連結部材系固定装置を使用することも可能である。

2)地震発電による地震センサー装備型
8.1.2.2.2.(2) 1)の地震センサー装備型の代わりに7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを用いる場合がある。この場合は固定装置の作動に当たって自身の発電した電気を用いるため、電源設備を必要としない。
図169は、
地震の加速度、速度、または変位がある一定以上になると、地震発電装置型地震センサーJ-kが作動し、その発電した電力により連動するロック部材制御装置47が作動し、固定ピンをロックするための欠き込み・溝・窪み7-cから、常時はバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、固定ピン7をロックする方向へ押されているロック部材11を外す方向で作用する(引き抜く)。そうすると、固定ピンが外れる方向に働くよう取付けられたバネ・ゴム・磁石等9-cにより、固定ピンの挿入部7-vから固定ピン7が外れ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震終了後は、地震発電装置型地震センサーJ-kが作動を停止して一定時間後、信号を伝える電線23により連絡されている固定装置自動復元装置21が作動して、固定装置自動復元装置の固定装置への作用部(押出し部・引張り部等)17が、固定ピン7を作動させて、(固定ピンの挿入部が上にある場合には押し上げて、また固定ピンの挿入部が下にある場合には押し下げて)、ロック部材11がロック(係合)する位置に自動復元させる。ロック部材11は、垂直方向の変位を拘束されており、地震センサー装置J-b側方向へのみ水平方向にスライドするように取付けられ、固定ピン7が元の位置に戻ると、自動的に固定ピンをロックするための欠き込み・溝・窪み7-cに嵌り込む。その後、固定装置自動復元装置21自体は、元の位置に戻る(そして再度地震発電装置から信号が入力し、スイッチが入るまで、節電停止状態に入る)。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、図163〜図169に示されているのとは逆に取り付けられる場合もある。
また、8.1.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動制御型固定装置においても同様であるが、この自動復元装置21と反対側の固定ピンの挿入部7-v側の先端部は、錐状等の先端が尖った形であるのが望ましい。これは、固定ピン7をロック部材11がロック(係合)する位置に戻すためにも必要である。
挿入部7-vも、固定ピン7が挿入しやすいように、すり鉢状等の凹形状7-vm であるのが望ましい。
また、固定ピンの挿入部7-v側の先端部が、錐状等の尖った形であれば、固定ピン7が、地震後、残留変位のために、免震される構造体1の挿入部7-vに入らない場合でも、免震される構造体の床版等1に突き刺すようにして当たり、免震される構造体1を固定する機能を持つ。
そのためには、固定装置自動復元装置21、またロック部材制御装置47にも、固定ピン7が、完全に挿入部7-vに貫入しなくても途中停止できる遊び(途中停止による遊び)が必要である。
また、8.1.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動制御型固定装置においても、堀込みのある挿入部7-v、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピンが挿入する形のほかに、挿入部7-vが、免震される構造体の床版等1の側には貫通穴を持たず、単に、固定ピン7が免震される構造体の床版等1に押し当たり、その摩擦抵抗で固定される形のものも考えられ、その場合の方が地震後の残留変位があっても固定が可能になる。その場合、固定ピン7の先端部7-wは、摩擦面積が最大になるよう平らにされ、さらに固定ピンの先端部7-w、免震される構造体の床版等1で固定ピン先端部7-wが突き当たる部分、あるいはその部分に設置される固定ピンを受ける部材7-vnは、摩擦抵抗が大となるような形状とする。図216〜図223はその実施例である。また同じ部分に摩擦抵抗の大きい摩擦部材7-wmを設置する場合もある。
なお、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して逆に取り付けられる場合もあり、その場合、以上のことは逆の関係になる。
図169においては、固定装置として固定ピン系固定装置が使用されているが、代わりに連結部材系固定装置を使用することも可能である。

8.1.2.2.3. 地震力による自動復元型
固定ピン型固定装置の場合のもので、固定装置が解除された場合に、地震後に地震力により自動的に固定状態に復帰させる自動復元型の固定装置の発明である。これは、直接方式にも使用可能である。
この発明は、固定ピン型固定装置の固定ピンの挿入部を、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状7-vmにすることにより、固定装置解除後の固定ピンの元の位置への自動復帰を可能にしたものである。
この方式を、固定ピン型固定装置全般(地震作動型固定装置、風作動型固定装置等)に採用することは有利であるが、省力化方式である間接方式(8.1.2.2. 特に 8.1.2.2.1.と 8.1.2.2.4. または 8.2.の風作動型固定装置)の場合においては、不可欠とも言えるほど極めて有利となる。
8.1.2.2.1.と 8.1.2.2.4.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において使用した場合のものである。@@
また、この装置は、連結部材系を除くと、いずれも、引抜き防止装置を併用することが(重量物である免震される構造体を除いて)大抵の場合必要である。というのは、地震振幅によって、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vmの形状に従い、固定装置全体が持ち上がってしまうと、固定装置の機能を果たさないからである。それを防止するためには、引抜き防止装置との併用が不可欠になる。
ここで言う、引抜き防止装置とは、2.の引抜き防止装置・滑り支承でも良いし、それ以外の、免震される構造体が免震される構造体を支持する構造体からの浮き上がりを防止する装置であればどのようなものでも良い。
この発明は、固定ピン型固定装置の場合ものであるが、以下のように分かれる。
a. 固定ピン系
b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
の2つに分かれる。
共に、間接方式と直接方式とがある。
つまり、
1)固定ピン系の直接方式
2)固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
3)固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
4)連結部材系の直接方式・間接方式のピン型
の4種類に分かれる(8.0.1.固定装置の分類1)。

以下、実施例に基づき説明をする。
1)固定ピン系の直接方式
図134は、この発明のうち、固定ピン系の直接方式である。

2)固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
図179は、この発明のうち、固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)で、 8.1.2.2.1.の地震センサー振幅装置装備型固定装置の固定ピン7の挿入部7-vmが、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状をなす場合の実施例を示している。
なお、固定ピンの挿入部を凹型とするのは、上述のように、地震後、地震力により元の位置に自動的に戻る復元機能を固定ピンに持たせるためである。従って、この凹型形状は、前記機能を固定ピンに持たせ得る、中心点から外側へむけて斜面を形成する形状であればどのようなものでも良く、すり鉢形状・球面形状・ラッパ口形状・多角形状等の、固定ピン7が地震時に凹形状の傾斜に従い持ち上がって挿入部から脱し、地震後に挿入部の元の位置に戻るような凹形状であれば、どのような形でもよい。
風揺れ等を防止する固定ピン7には、この固定ピン7を固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cがあり、このロック部材11は常時、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまた重力で押されて一定位置を保っている。
固定ピン7は自然に重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oにより挿入部7-vmに挿入される(またバネ等7-oは、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vm へ固定ピン7がゆっくりと挿入する程度のものとする)。
これらの事により、地震センサー振幅装置の重りが地震時に振動状態となり、この重りとワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8(またはレリーズ8-rを介して)によって接続されたロック部材11が固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから外れ、固定ピン7が、地震力により、すり鉢等の凹形状挿入部7-vmの勾配に従って解除方向に動き(図では持ち上がり)、固定装置が解除される。
地震最中には、挿入部7-vmのすり鉢状等の凹形状と地震振幅とによって、固定ピン7が引込んだ(図では持ち上がった)状態が維持される。また、バネ等7-oのバネ定数の選択により、固定ピン7の下りる速度を落とすことは、固定ピン7の引込んだ状態を維持するのに、より効果を発揮する。
地震終了段階には、地震力の低下に従い、固定ピン7は重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oにより挿入部7-vmに挿入され始める。そして、すり鉢形状の挿入部勾配に従いながら、すり鉢の最も底部に達したときに、この固定ピンの(ロック部材が差し込まれる)欠き込み・溝・窪み7-cに、ロック部材11が嵌まり、固定ピン7がロックされ、免震される構造体1が免震される構造体を支持する構造体2に固定される。
そして、地震力が働かない限り、地震センサー振幅装置に連動したロック部材11によって、固定ピン先端7-wがロックされ続け、風等では免震される構造体1は動かない。

3)固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
図278〜図286、図288〜図329、図332、図333は、この発明のうち、固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)である(8.1.2.2.5.参照)。

4)連結部材系の直接方式・間接方式ピン型(固定ピン)
図134は、この発明のうち、不可撓部材型連結部材系の直接方式(8.0.1.4.参照)、
図138は、この発明のうち、不可撓部材型連結部材系の間接方式である(8.1.2.2.2.参照)。
図182は、この発明のうち、可撓部材型連結部材系の直接方式である(8.0.1.3.1.参照)。
これらの図のように、連結部材系では、固定ピン7の挿入部は、ピストン状部材2-p、1-p、7-pに設けられる。そして、その挿入部7-vmが、すり鉢形状・球面形状等の凹形態をなしている。

8.1.2.2.4. 応用形
以下の発明は、8.1.2.2.以下の間接方式(ロック解除型)地震センサー振装置装備型固定装置全般に使用可能なものである。 1)を除けば、8.2.1.以下の風センサー装備型固定装置の間接方式(ロック解除型)にも使用可能である。

1) ロック部材が地震センサー振幅装置の重り型
8.1.2.2.以下の地震センサー振幅装置装備型固定装置のロック部材が、地震センサー振幅装置の重りを兼用する固定装置の発明である。
図181は、8.1.2.2.3.の地震力による自動復元型が組み合わさった場合の、地震センサー振幅装置装備型固定装置の実施例である。
地震センサー振幅装置の中に固定ピン7が入り、地震センサー振幅装置の重り20が同時にロック部材11の役割を果たすものである。
風揺れ等を防止する固定ピン7には、この固定ピン7を固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cがあり、このロック部材11は常時、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9また重力で押されて一定位置を保っている(図181では、バネ等9のみで押されている)。
さらに、このロック部材11自体が、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20となる。
固定ピン7は自然に重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより挿入部7-vmに挿入される(またバネ等9-cは、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vm へ固定ピン7がゆっくりと挿入する程度のものとする)。
これらの事により、地震センサー振幅装置15のロック部材11が地震時に振動状態となり、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cからロック部材11が外れる。
さらに、固定ピンの挿入部を、すり鉢形状・球面形状等の凹形状にすることにより、固定ピン7が、地震力により、すり鉢等の凹形状挿入部7-vmの勾配に従って解除方向に動き(図では持ち上がり)、固定装置が解除される。
地震最中には、挿入部7-vmのすり鉢状等の凹形状と地震振幅とによって、固定ピン7が引込んだ(図では持ち上がった)状態が維持される。また、バネ等9-cのバネ定数の選択により、固定ピン7の下りる速度を落とすことは、固定ピン7の引込んだ状態を維持するのに、より効果を発揮する。
地震終了段階には、地震力の低下に従い、固定ピン7は重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより挿入部7-vmに挿入され始める。そして、すり鉢形状の挿入部勾配に従いながら、すり鉢の最も底部に達したときに、この固定ピンの(ロック部材が差し込まれる)欠き込み・溝・窪み7-cに、ロック部材11が嵌まり、固定ピン7がロックされ、免震される構造体1が免震される構造体を支持する構造体2に固定される。
そして、地震力が働かない限り、ロック部材11によって、固定ピン7がロックされ続け、風等では免震される構造体1は動かない。
これも、引抜き防止装置・滑り支承Fを併用することが必要である。なぜなら、地震振幅によって、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vm により、固定装置全体が持ち上がってしまうと、固定装置の機能を果たさないからである。それを防止するためには、引抜き防止装置との併用が不可欠になる。

2) 二段以上ロック方式
8.1.2.2.1.〜 8.1.2.2.4.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置のロック部材が、二段以上ロック方式である固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、固定装置の作動部をロックする第一のロック部材、このロック部材をロックする第二のロック部材、・・・のようにロック部材を二段以上に設け、最後のロック部材を地震センサー(振幅)装置と接続し、連動させることにより前記目的を達成するものである。

図194は、8.1.2.2.3.の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合の、地震センサー(振幅)装置装備型定装置の実施例である。
この場合は、固定装置の作動部は固定ピンである。
固定ピンには、第1のロック部材7-lが係合される欠き込み・溝・窪み7-kがあり、この第1のロック部材7-lには、さらに第2のロック部材7-nが係合される欠き込み・溝・窪み7-mがあり、というように、第1のロック部材に第2のロック部材7-nが、第2のロック部材7-nに第3のロック部材が係合されるというように、順次、次のロック部材が係合されるように構成されて、最後の(第2ロック部材までの場合には第2の)ロック部材と地震センサー(振幅)装置とが接続され、連動することを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。
なお、図194においてはバネ復元型地震センサー(振幅)装置15を記載しているが、その代わりに重力復元型14もしくは振り子型13を使用することもできる。

具体的に説明すると、
固定ピン7には、第1のロック部材7-lが差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-kがあり、この第1のロック部材7-lは、常時、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまた重力で押されている(図194では、バネ等9-cのみで押されている)。この第1のロック部材7-lにも欠き込み・溝・窪み7-mがあり、そこに第2のロック部材7-nが差し込まれ、第2のロック部材7-nも常時、バネ等9-cまた重力で押されている。そしてこの第2のロック部材7-nは、直接に、またはワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で、上述の地震センサー振幅装置と繋がれている。
地震時には、地震センサー振幅装置の重りが振動し、接続されたワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8により、第2のロック部材7-nが引っ張られて第1のロック部材7-lのロックが外れ、それにより第1のロック部材7-lが固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-kから外れる。
さらに、固定ピンの挿入部を、すり鉢形状・球面形状等の凹形状にすることにより、固定ピン7が、地震力により、すり鉢等の凹形状挿入部7-vmの勾配に従って解除方向に動き(図では持ち上がり)、固定装置が解除される。
地震最中には、挿入部7-vmのすり鉢状等の凹形状と地震振幅とによって、固定ピン7が引込んだ(図では持ち上がった)状態が維持される。また、バネ等7-oのバネ定数の選択により、固定ピン7の下りる速度を落とすことは、固定ピン7の引込んだ状態を維持するのに、より効果を発揮する。
地震終了段階には、地震力の低下に従い、固定ピン7は重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oにより挿入部7-vmに挿入され始める。そして、すり鉢形状の挿入部の勾配に従いながら、挿入部7-vmの底部に達したときに、第1のロック部材7-lにより、固定ピン7がロックされ、免震される構造体Aも固定される。
なお、地震力が働かない限り、第1のロック部材7-lにより、固定ピン7がロックされ続けており、風等では免震される構造体Aは動かない。

さらに、図194は、遅延器が組み合わさっている。
筒中で液体や空気等を漏らさずスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒(固定ピン取付け部)7-aに挿入され、筒7-aの外に固定ピン先端7-wが突き出ており、さらに、ピストン状部材7-pによって区切られた筒7-aの端と端とは管7-eで繋がれている。 ピストン状部材7-p上部と下部との液体や空気等が この管7-eを通って行き来する。
そして、ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きいかもしくは小さい孔7-jがあり、管7-eかピストン状部材孔7-jかの大きい孔の方に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられ、この弁7-fは逆流を許さない。
(具体的には、ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きい、孔7-jがあり、その孔に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられる。または、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさがこの逆の場合もある。つまり、この管7-eの開口面積より小さい、孔7-jがあり、この管7-eの孔の中に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられる。)
弁7-fの性格により、固定ピン先端7-wの動きは、筒7-a中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。それにより、固定ピン先端7-wは、地震力が働くと速やかに筒7-a中に入り、入ってしまって後しばらく(例えば地震力が働いている程度の時間)は出てきにくくなる。
筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oが入り、また重力により、ピストン状部材7-pをもった固定ピン7をセット(=ロック・固定)する方向に力が働く場合もある。
また、筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
図194では、固定ピン7が免震される構造体1に、固定ピンの挿入部7-vmが免震される構造体を支持する構造体2に、取付けられているが、逆の関係の場合もある。つまり固定ピンの挿入部7-vmおよび固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられる。
また、筒7-aの上部に関して、4.6.同様に、単に止め金が固定されている場合もあるが、雌ネジが切られて、雄ネジ7-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ7-dは、入り込み方向に回転して締めることにより、バネ等7-oを圧縮して、バネ等7-oの反発力を強め、固定ピン先端7-wの押し出す力を強める機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体Aの残留変位の矯正を可能にしたりする。
また、管7-eと孔7-jとに、バルブを付ける事により、強風時の、手動による強制的固定も可能になる。
図194においては、固定装置として、固定ピン系固定装置(ロックピン型)を使用し、固定ピンの二段以上ロック方式を示しているが、これに代えて固定ピン系固定装置(ロック弁型)、連結部材系固定装置(ピン型、弁型)を使用し、その固定装置の作動部に二段以上のロック部材を設けることも可能である。

3) 二重以上ロック方式
8.1.2.2.1.〜 8.1.2.2.4.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、地震センサー(振幅)装置を複数個装備し、それに連動した複数個(または同数の)ロック部材をもった固定装置の発明である。
8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、固定装置の作動部をロックするロック部材を二個以上設け、またそれぞれのロック部材について地震センサー(振幅)装置と接続し、連動させることにより前記目的を達成するものである。
図204は、8.1.2.2.3.の発明の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合の、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の場合の実施例である。
この場合は、固定装置の作動部は固定ピンである。
具体的には、
固定ピン7には、この固定ピン7を固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cが複数箇所あり、これに対応するロック部材11も同数設置されている。連動してこのロック部材11を引き抜く地震センサー振幅装置も、複数個設置される。
地震時にはこれらの地震センサー振幅装置が作動し、連動するロック部材11が欠き込み・溝・窪み7-cからはずれるが、ここで複数のロック部材11がすべて同時にはずれたときに限り、固定ピン先端7-wは、筒7-a中に入り、免震装置全体が可動状態になる。
この二重以上ロック方式のおかげで、ロック部材が一重の場合よりも、固定ピンのロックの安全性が高まり、同時に各々のロック部材を敏感に設定できるため、固定ピン7のロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cを浅くでき、地震時の固定装置の作動感度を上げられる。
さらに、固定ピンには、固定ピンをロックする複数のロック部材が係合され、このロック部材それぞれが、地震センサー(振幅)装置と接続され、連動する場合について、以下の二通りに分れる。
a) 複数のロック部材が、共通の一個の地震センサー(振幅)装置と接続され、連動する場合、
b) 複数のロック部材が、それぞれ対応する地震センサー(振幅)装置と接続され、連動する場合とである。
この複数のロック部材が、それぞれ対応する地震センサー(振幅)装置と接続され、連動する場合について、具体的には、
地震センサー振幅装置、及びこれに連動するロック部材11が複数個設置されており、また固定ピン7には、この固定ピン7を固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cが同様に複数箇所ある。
地震時にはこれらの複数の地震センサー振幅装置が独立して作動し、それぞれの地震センサー振幅装置に連動するロック部材11が、対応する欠き込み・溝・窪み7-cからはずれる。ここでこの複数のロック部材11がすべて同時にはずれたときに限り、固定ピン先端7-wは筒7-a中に入り、免震装置全体が可動状態になる。
このことから、二重以上ロック方式については、複数のロック部材に、それぞれ対応する地震センサー(振幅)装置が接続された場合に意味をもつ。
というのは、固定ピンのロックの安全性が高まり、同時に各々のロック部材の感度を敏感に設定できるため、固定ピン7のロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cを浅くでき、地震時の固定装置の作動感度を上げられるからである。
図205は、上記と同じ(8.1.2.2.3.のの発明の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合の)地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、遅延器付き、および増幅器付きの場合の実施例である。
この固定装置Gは、固定ピン7を固定するロック部材11、ロック部材11が差し込まれる固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-c、及びロック部材11に連動する地震センサー振幅装置J-aをそれぞれ2セット装備し、それらを一体型としたものである。
なお、図204、図205においては振り子型地震センサー(振幅)装置13を記載しているが、その代わりに重力復元型14もしくはバネ復元型15を使用することもできる。
地震センサー振幅装置J-aの重り20は吊材20-sで吊られ、(球面等の形状の)支点20-hにおいて支持され、抵抗無く振動できる振り子となっており、この支点20-hは(すり鉢、球面等の凹形状の)支持部20-iにより支持されている。重り20の重さと最大振幅とは、この後述べる増幅器の増幅倍率を考慮して決定され、吊材20-sの長さは、8.1.2.4.3.(1)にて後述している地盤の固有周期との関係により設定される。またこの重り20の最大振幅は緩衝材26により調整できる。
地震センサー振幅装置J-aの吊材20-sには、ロック部材へ引張力を伝達するためのロッド等8-dが接続されており、その接続部は、垂直方向へは拘束されているが吊材20-s周りの回転は自由である継手8-zによる。このロッド等8-dには途中にフレキシブルジョイント8-jを設け、地震時に重り20の振動がどの方向のものであっても、一方向の引張力(及び圧縮力)として伝えられるようにしている。
また、地震センサー振幅装置J-aとロック部材11との間には増幅器が設置され、地震センサー振幅装置J-aからのロッド8-dはこの増幅器の梃子36-bの力点36-lへ接続されている。この接続箇所は、引張力のみを伝え、圧縮力を逃がすことができる形状である。この例では、横長な形状の穴36-zに、ロッド等8-dの端部8-eが、引張力を伝えられる形状で、かつ横長な形状の穴36-zの範囲で自由に動けるように係り合い、地震センサー振幅装置J-aの重り20が静止状態の時に、端部8-eが横長な形状の穴36-zの、地震センサー振幅装置J-aに近い側の端に位置するようになっている。このとき横長な形状の穴36-zの水平方向の大きさは、重り20の最大振幅より大でなければならない。このような機構により、これ以降ロック部材へは引張力のみが伝達されることになる。この増幅器の梃子36-bは、力点36-lでの変位を、(支点36-hから作用点36-j迄の距離)/(支点36-hから力点36-l迄の距離)倍に増幅して作用点36-jでの変位とするから、吊材20-s上の継手8-zでの変位にこの倍率を乗じた変位が、ロック部材11に伝えられる変位となる。ただ重り20による引張力はこの倍率にて除された値がロック部材に伝えられるため、前述のように、その分重り20の重量を大とする必要がある。
固定ピン7をロックするロック部材11はバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、固定ピン7をロックする方向に押されており、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。地震時に、増幅器の梃子36-bの作用点
36-lからロック部材11へ接続されたロッド等8-dにより伝えられた引張力は、ロック部材11を固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから引き抜く。このとき2個あるロック部材11が同時に引き抜かれている場合が、ロックが解除された状態である。
地震時に固定ピン7の先端7-wは、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmの斜面から、固定ピン取付部の筒7-aの中に押し下げられる方向に力を受ける。このとき固定ピン7のロックが解除された状態であれば、固定ピン7の先端7-wは筒7-aの中に押し下げられ、免震装置全体が可動状態となる。
またこの固定装置Gは、8.1.2.2.4. 4)で述べる遅延器を装備している。固定ピン7は、筒中で液体や空気等をほぼ漏らさずスライドするピストン状部材7-pを固定ピン取付部の筒7-a中に持ち、さらに、ピストン状部材7-pによって区切られた筒7-aの端と端とは管7-eで繋がれている。 ピストン状部材7-p上部と下部との液体や空気等が この管7-eを通って行き来する。(筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。)ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きい孔7-jとそれに取付けられた弁7-f、7-fbがある。この弁7-f、7-fbは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられ、また逆流を許さない。
この弁7-f、7-fbの機能により、固定ピン先端7-wの動きは、筒7-a中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。それにより、固定ピン先端7-wは、地震力が働くと速やかに筒7-a中に入り、入ってしまって後しばらく(例えば地震力が働いている程度の時間)は出てきにくくなる。
地震終了後は、固定ピン取付部の筒7-a中のバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cにより、固定ピン7及びピストン状部材7-pは筒7-aを脱する方向へ押し出され、固定ピン7の先端7-wがすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmへ挿入された状態で、2個のロック部材11がそれぞれの固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれ、固定装置Gがセットされて免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが係合される。
図205では、固定ピンの挿入部7-vmが免震される構造体1に、固定ピン7が免震される構造体を支持する構造体2に、それぞれ取付けられているが、逆の関係の場合もある。固定ピンの挿入部7-vmおよび固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられる。
また、遅延器の管7-eに手動弁7-mfが設置されており、これを手動操作で閉鎖することにより固定ピン7及びピストン状部材7-pの移動が拘束され、強風時の手動による強制的固定が可能である。
本実施例では、固定ピンの二重以上ロック方式を示しているが、連結部材弁型固定装置の作動部のピストン状部材に二重以上のロック部材を設けることも可能である。

4) 遅延器付き
8.1.2.2.〜 8.1.2.2.4.の(特に8.1.2.2.3.の)地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、地震時の免震効果を上げるために固定装置の解除状態を持続させるために、固定装置の作動部の固定位置への戻りを遅くする遅延器を設け、固定装置の作動部が解除されるときは速やかに、固定状態に復するときは緩やかに行われるようにするものである。

8.1.2.2.1.〜8.1.2.2.4.の各地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、8.5.の遅延器(油空圧シリンダー式、機械式、摩擦式、経路迂回式等)を設けることが可能である。
油空圧シリンダー式を例にとると以下のようになる。
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材等の固定装置の作動部において、
この筒の端と端とを繋ぐ管と、ピストン状部材にあいている孔とが設けられており、管と孔とには開口面積の差をもたせ、この管またはピストン状部材の孔のうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材が筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられておるか、
または、
ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口経路7-acjと、出口経路7-acjからその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせた出口経路7-acjが大きく戻り経路7-erは小さくして、
固定ピン型固定装置の場合は、固定ピンが筒中に入るときは速やかに、筒から出るときは遅延されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。
可撓部材型連結部材系固定装置の場合は、ピストン状部材が筒から出るときは速やかに、筒中に入るときは遅延されるように構成されてなることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。
不可撓部材型連結部材系固定装置の場合は、遅延器は設けにくい。
図180、図195は、固定ピン型固定装置の場合のもので、8.1.2.2.3.の発明の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合の、遅延器付きの、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の実施例である。
図180は、図179に遅延器を設けたものである。
図195は、図181に遅延器を設けたものである。
遅延器自体の構成は、以下の通りである。
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、さらに、この筒の端と端とは管で繋がれており、
また、この筒と管とは、潤滑油等の液体で満たされている場合もあり、
このピストン状部材には、この管の開口面積より大きいかもしくは小さい孔があり、この管またはピストン状部材の孔の開口面積が大きい孔の方に弁があり、この弁は、ピストン状部材が引き込まれる時に、開くように付けられており、
さらに、この筒の中に、バネ・ゴム・磁石等が入り、また重力により、このピストン状部材をもった固定ピンを筒外に押出す役割をする場合もある。
この弁の性格により、前記固定ピン先端は、この筒の中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延され、それにより、この固定ピン先端は、地震力が働くと速やかにこの筒の中に入り、地震力が働いている間は出にくくなるように構成されている。
また、この筒と前記管とは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
具体的に、図180、図195の場合について説明すると、
筒中で液体や空気等を漏らさずスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒(固定ピン取付け部)7-aに挿入され、筒7-aの外に固定ピン先端7-wが突き出ている。さらに、ピストン状部材7-pによって仕切られた筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とは管7-eで繋がれており、ピストン状部材7-p上部と下部との液体や空気等が この管7-eを通って行き来する。
そして、ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きいかもしくは小さい孔7-jがあり、管7-eまたはピストン状部材孔7-jの開口面積の大きい孔の方に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられ、この弁7-fは逆流を許さない。
(具体的には、ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きい孔7-jがあり、その孔に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられる。または、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさがこの逆の場合もある。つまり、この管7-eの開口面積より小さい孔7-jがあり、この管7-eの孔の中に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に開くように付けられる。)
弁7-fの性格により、固定ピン先端7-wの動きは、筒7-a中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。それにより、固定ピン先端7-wは、地震力が働くと速やかに筒7-a中に入り、入ってしまって後しばらく(例えば地震力が働いている程度の時間)は出てきにくくなる。
以上が遅延器の構成である。
また、図180、図195は、地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の実施例であり、
固定ピンには、この固定ピンを固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cがあり、ロック部材11は常時、水平位置において、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-c,9また重力で押されて一定位置を保っている(図180では、バネ等9-cのみで、図195では、バネ等9のみで押されている)。また、上下位置においても、水平架台7-gに押されて持ち上がらない構成となっている(図195)。
図195では、このロック部材11自体が上述の地震センサー振幅装置15の重りとなっており、地震時にはロック部材11が振動状態となって、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cからロック部材11が外れる。
図180では、ロック部材11がワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8により、地震センサー振幅装置の重りと連動するように接続され、地震時に重りが振動すると、連動したロック部材11が固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから外れる。
さらに、図180、図195は、8.1.2.2.3.の発明の、地震力による自動復元型が組み合わさった場合であり、
ロック部材11が解除されると、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vmの勾配に従って、固定ピン先端7-wが持ち上がり、固定装置が解除される。
地震最中は、挿入部7-vmのすり鉢状等の凹形状と地震振幅によって、固定ピン先端7-wは持ち上がった状態が維持される。また、上述のピストン状部材7-pの機構によって固定ピン先端7-wの下りる速度を落とすことが、固定ピン先端7-wの持ち上がった状態を維持するのに、より効果を発する。
地震終了段階には、地震力の低下に従い、重力またはバネ等7-oの働きによって、固定ピン先端7-wが下がり始める。そして、すり鉢形状の挿入部の勾配に従いながら、すり鉢状等の挿入部7-vm の底部に達したときに、ロック部材11により固定ピン7がロックされ、免震される構造体1も固定される。
なお、地震力が働かない限り、ロック部材11により、固定ピン7がロックされ続けており、風等では免震される構造体1は動かない。
筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oが入り、また重力により、ピストン状部材7-pをもった固定ピン7をセット(=ロック・固定)する方向に力が働く場合もある。
また、筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
図195では、固定ピン7が免震される構造体1に、固定ピンの挿入部7-vmが免震される構造体を支持する構造体2に、取付けられているが、逆の関係の場合もある。つまり固定ピンの挿入部7-vおよび固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられる。
また、筒7-aの上部に関して、4.6.同様に、単に止め金が固定されている場合もあるが、雌ネジが切られて、雄ネジ7-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ7-dは、入り込み方向に回転して締めることにより、バネ等7-oを圧縮して、バネ等7-oの反発力を強め、固定ピン先端7-wの押し出す力を強めるという機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体1の残留変位の矯正を可能にしたりする。
また、管7-eと孔7-jとに、バルブを付ける事により、強風時の、手動による固定ピンの強制的固定も可能になる。
なお、図180、図181、図194〜図209において、固定ピンの挿入部が、7-vm/vとなっているのは、7-v(固定ピンの挿入部)または7-vm(固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部)という意味である。

8.1.2.2.5. (ロック)弁方式(直接方式含む)
8.1.2.2.5.1. (ロック)弁方式(1)
図278〜図287は、ロック弁方式の固定装置の実施例である。
(1) 全体構成
この固定装置は、地震センサー振幅装置部と固定装置部とに分かれる。
地震センサー振幅装置部と固定装置部とが互いに別々の独立した装置となっている場合もある。その場合は連結口7-jcで連結管7-ecによって連結される。
ここでは、固定装置部と地震センサー振幅装置部との一体型を「地震センサー振幅装置付き固定装置」と、固定装置部と地震センサー振幅装置部との分離型を「地震センサー振幅装置分離型固定装置」と、そして固定装置部のみを「固定装置部または独立型固定装置」と、地震センサー振幅装置部のみを「地震センサー振幅装置部または独立型地震センサー振幅装置」と、言う。
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった固定装置の作動部を有し、
地震センサーとなる重りに連動するスライド式ロック弁をもち、
通常時は、このスライド式ロック弁は閉じており、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路を塞ぐ形となり、押出される液体・気体等が押出されずに、ピストン状部材はロックされ、固定装置の作動部は固定され、
地震時には、地震センサーとなる重りが、スライド式ロック弁に作用して、スライド式ロック弁を開かせると、ピストン状部材によって押出された筒中の液体・気体等が液体貯槽または外部に出て、ピストン状部材は動き始め、固定装置の作動部の固定が解除されるように構成される。

(2) 固定装置部
1) 固定ピン型固定装置の場合
固定ピン型固定装置の場合の発明である。
固定ピン型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった(ピストン状部材7-pと連動した場合を含む)固定ピンの固定装置の作動部を有する。

a. 固定ピン系
固定ピンの挿入部は、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状7-vmをなしており、地震時には、固定ピンとなるかまたは連動したピストン状部材7-pは、このすり鉢形状・球面形状等の凹形状7-vmによって往復(上下)運動をして、筒中7-aに充填された液体・気体等を筒中7-aから押出したり筒中7-aに引入れたりする。

b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pを有し、このピストン状部材7-pは、免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒7-aが、もう一方の構造体に支持されている。
ピストン状部材7-pまたは挿入筒7-aは、(それ自体が支持されている構造体ではなく)もう一方の構造体と連結部材によって連結されている。
連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
また、この装置は、間接方式と直接方式とがある。すなわち、
直接方式の場合は、ピストン状部材7-pには欠き込み・溝・窪み7-cが設けられており、この欠き込み・溝・窪み7-cに固定ピン7が係合することにより固定がなされる。
間接方式の場合は、固定ピン7に固定ピンをロックするロック部材11(ロックピン・ロック弁等)を設ける。

2) 連結部材弁型固定装置の場合(直接方式である)
連結部材弁型固定装置の場合の発明である。
連結部材弁型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pを有し、このピストン状部材7-pは、免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒7-aが、もう一方の構造体に支持されている。 連結部材は、さらに不可撓部材(図287)と可撓部材(図279)とに分かれる。
これは、両方とも直接方式である。
そして、固定ピン型固定装置の場合、連結部材弁型固定装置の場合共に、
地震時に、このピストン状部材7-pは、液体・気体等の弁(スライド式ロック弁)7-sfが開くことにより移動可能となり、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との振動によって往復運動をして、筒中7-aに充填された液体・気体等を筒中7-aから押出したり筒中7-aに引入れたりして免震を可能にし、
風時には、液体・気体等の弁(スライド式ロック弁)7-sfが閉じており、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが固定される。

(3) 地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部は、固定装置部(の接続部)から地震センサーとなる重り20、20-bに連動したスライド式ロック弁7-sfのある出口・出口経路7-acjへと繋がる部分と、このスライド式ロック弁7-sfを境にした液体貯槽7-ac(または外部)部分とに分かれる。
液体貯槽7-acは、液体・気体等が溜まる部分であり、上部に空気抜きがあり、液体・気体等の容量調整が自由である。

1) 地震センサーとなる重り
重り20、20-bは、振り子またはバネ等または球面・すり鉢若しくは円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)36-vmによって平衡を保たれており、地震時に(相対的に)振動し、地震後元の位置(通常位置)に戻る。
また、この地震センサーとして、転がり方式による重り20-bが可能になる。
地震センサーとなる重りが、球20-bであり、この球20-bが球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを転がる方式となっている。そのため、感度を非常に良くできる。

2) スライド式ロック弁と地震センサーとなる重りと連動
この装置には、この地震センサーとなる重り20、20-bに連動したスライド式ロック弁7-sf持つ。
このスライド式ロック弁7-sfは、実施例では、開いている部分(開口孔7-sfo)と閉じている部分(開口孔でない部分7-sff)に分かれている。
このスライド式ロック弁7-sfは、
通常時は、閉じて(開口孔でない部分7-sffが出て)いるため、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから液体貯槽7-acまたは外部に出る出口・出口経路7-acjを塞ぐ形となり、液体・気体等が押し出されずに、ピストン状部材7-pはロックされ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
地震時に、地震センサーとなる重り20、20-bが、スライド式ロック弁7-sfに作用して、スライド式ロック弁7-sfを開かせると(前記出口・出口経路7-acjに開口孔7-sfoが出て)、ピストン状部材7-pによって押出された筒中7-aの液体・気体等が液体貯槽7-acまたは外部に出て、ピストン状部材7-pは動き始め、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定は解除される。

3) 全方向対応複数弁による工夫
センサーの動きに対応して、180度以上の角度にスライドする弁を設ける。センサー自体は往復運動をするので 360度の半分の180度以上でよい。
具体的には、全方向に動くセンサーの重り20、20-bの動く方向に対応するため、180度以上の角度方向に、(場合により)角度を分担するために角度の違う複数のスライドする弁7-sfを設ける。(センサー自体は往復運動をするので 360度の半分の180度以上に対応する複数の弁を設けることでよい。)これにより、地震のあらゆる方向の揺れに対して装置を作用させることができる。

4) ロック弁に付いた抵抗板
また、ロック弁には抵抗板7-sfpが付いており、
地震センサーとなる重り20、20-bにより、少しでもスライド式ロック弁7-sfが開く(出口・出口経路7-acjに少しでも開口孔7-sfoが張り出る)と、ロック弁7-sfに付いた抵抗板7-sfpが、流れにより抵抗を受けてロック弁をより開かせる(ロック弁の開口孔7-sfoがより張り出て開口が広がる方向に動かす)役割をするように構成される場合は、センサーの重り20、20-bの僅かな動きでも、ロック弁の全開を可能にする。
さらに、ピストン状部材7-pの作動時であっても弁に開閉方向への圧力がかからないので、センサーの重り20、20-bが小さくても、敏感な感度のロック弁が可能になる。

(4) 固定装置部と地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部と固定装置部とは、通路口7-abjによって繋がっている。
この通路口7-abjは、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路7-acjの液体・気体等と、固定装置部のピストン状部材7-pをもった筒中7-aの液体・気体等の行き来を可能にしている
(固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は通路口7-abjが連結口7-jcとなり、連結管7-ecによって相互に連結される)。
他の固定装置との連結口7-jcで連結しない限り、液体貯槽7-acまたは外部に出る出口・出口経路7-acjが、スライド式ロック弁7-sfが閉じて、塞がれている時は、液体・気体等の行き場が他に無いため、ピストン状部材7-pは筒中7-aをスライドできず、ロックされ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定する。
地震時に、重り20、20-bが地震力によりスライド式ロック弁7-sfに作用して、前記出口・出口経路7-acjのスライド式ロック弁7-sfが開いて(開口孔7-sfoが出て)、筒中7-aの液体・気体等が液体貯槽7-acまたは外部に流れ出して、ピストン状部材7-pは作動可能となり、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定は解除される。

(5) 遅延器兼用型
または、
ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjと、出口・出口経路7-acjからその押出された液体・気体等が筒中7-aに戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口・出口経路7-acjと戻り経路7-erとの開口面積に差をもたせ、出口・出口経路7-acjは大きく、戻り経路7-erは小さくし、
戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合は弁は不要だが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中7-aから押出される時に開き、それ以外の時は閉じている弁が付けられる。
また別の方法として、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjのロック弁7-sfによる塞ぎを緩くする。
以上の方法により、ピストン状部材7-pの戻りに遅延効果を持たせることが可能である。

(6) ダンパー効果
出口・出口経路7-acjの開口面積を絞ることにより、地震時の変位抑制効果を合せ持たせることが可能になる。

(7) 上下逆
以上の形の、上下逆の場合もある。
固定ピン型固定装置の場合には、図286のように凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7との関係が、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して逆に取付けられる場合もある。
連結部材弁型固定装置の場合には、免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、ピストン状部材7-p及びその挿入筒7-a等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

(8) 他の固定装置との連結口7-jcの位置
複数の固定装置同士の連動作動を考えた場合の、他の固定装置との連結口7-jcは、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路7-acjと、固定装置部のピストン状部材7-pのスライド部以外の筒中7-aのいずれに設けてもよい。
固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は地震センサー振幅装置部の設置位置は、出口・出口経路7-acjであり、固定装置部の設置位置は、ピストン状部材7-pのスライド部以外の筒中7-aである。

(9) 複数の固定装置の連動作動
地震センサー振幅装置付き固定装置または独立型固定装置または独立型地震センサー振幅装置の連結口7-jcを相互に連結管7-ecで繋げることにより、相互の固定装置の地震時の同時解除が可能になる。
地震センサー振幅装置が先に作動した所へ液体・気体等が送込まれ、連結管7-ecによって連結している固定装置の同時解除が可能になる。地震センサー振幅装置の感度に差があっても、連結している固定装置の同時解除が可能になる。

(10) 気体式・液体式
装置に充填される液体・気体等が、液体か気体かに関しては、
液体=油圧式の方が、弾性が無く、確実な固定装置の機能が発揮できる。さらに、機構全体を液体に漬けることで防錆効果もある。
気体=空圧式は、弾性に富むため、油圧式に比べ固定装置としての固定機能は劣るが、簡便な方式であり、防錆材料を使うことでメンテナンスフリーも可能になる。
油圧式と空圧式のいずれも、(スライド式)ロック弁の密閉性を悪くすることにより変位抑制ダンパーも兼ねることができる。特に空圧式は、ロック弁が閉まったままでも(さらに、地震センサー振幅装置と連動機構のないロック弁無しの閉じたままの機構でも)弾性に富むために変位抑制ダンパーとしても使用可能である。
また、液体式・気体式の他に、液状化可能な固体(粒状固体等)の使用も可能である。

(11) 実施例
図278は、地震センサーとなる重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)36-vm上を、この球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合である。
図280は、地震センサーとなる重り20が、すべり部材であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを重り20がすべる方式の地震センサー振幅装置14の場合である。
図281は、地震センサーとなる重り20、20-bが、平面型滑り面部3を滑動(すべり・転がり)し、バネ等9で復元する方式の地震センサー振幅装置15の場合である。
図282は、地震センサーとなる重り20が、振り子の支点20-hにより支持された振り子の重り20の場合であり、地震時の振動の後、振り子により元の位置に復元する方式の地震センサー振幅装置13の場合である。
図283は、地震センサー振幅装置部と固定装置部とが分離された場合の実施例であり、図284の固定装置部と地震センサー振幅装置部とが連結管7-ecによって連結される場合である。
地震センサー振幅装置部は、前記スライド式ロック弁のある出口・出口経路7-acjから固定装置へと繋がる連結口7-jcにかけての部分とこのスライド式ロック弁を境にした液体貯槽7-ac(または外部)部分とに分かれる。地震センサー振幅装置の重りによりこのスライド式ロック弁が連動して、固定装置の固定ピンの固定と解除を制御するものである。
この地震センサー振幅装置部と固定装置部とが連結管7-ecによって連結された場合の作動機構は、図278と全く同じである。
この地震センサー振幅装置部は、図280と同様に、地震センサー振幅装置の重り20が、すべり部材であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを重り20がすべる方式の地震センサー振幅装置14の場合もある。また、図281と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bが、平面型滑り面部3を滑動(すべり・転がり)し、バネ等9で復元する方式の地震センサー振幅装置15の場合、また、図282と同様に地震センサーとなる重り20が、振り子の支点20-hにより支持された振り子の重り20であり、地震時の振動の後、振り子により元の位置に復元する方式の地震センサー振幅装置13の場合も考えられる。
また、この地震センサー振幅装置部は、遅延効果を確実にするため、ピストン状部材7-pによって押出される液体7-ao・気体等が液体貯槽・外部に出る出口・出口経路7-acjと、出口・出口経路7-acjからその押出された液体7-ao・気体等が筒中7-aに戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられ、
出口・出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路7-acjは大きく、戻り経路7-erは小さくし、
戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合には弁は不要だが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中7-aから押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている場合であるが、
また別の方法として、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjのロック弁7-sfによる塞ぎを甘くすることにより、固定装置の固定ピン=ピストン状部材7-pの戻りの遅延効果を持たせる場合もある(図286参照)。
図284は、固定装置部の実施例である。必ず地震センサー振幅装置付き固定装置または地震センサー振幅装置部(独立型地震センサー振幅装置)との併用を必要とする。
図285は、連動作動の場合の固定装置の実施例であり、固定装置部(1装置)と地震センサー振幅装置付き固定装置(2装置)との連結管7-ecによる連結の場合である。
また、図286のように、以上の形の上下逆の場合もある。つまり、凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7とが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して逆に取付けられる場合もある。
凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7との関係を除けば、その他の部分は、図278〜図285とほぼ同様である。
また、遅延効果については、図278の実施例とは違い、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjのロック弁7-sfによる塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材7-pの戻りの遅延効果を持たせる場合もある。

さらに、図287は、連結部材弁型固定装置のうちの不可撓連結部材による実施例である。
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材7-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒7-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。さらに、この挿入筒7-aの、地震時にピストン状部材7-pによって押出された液体・気体等は、地震センサーとなる重り20、20-bに連動したスライド式ロック弁7-sfのある出口・出口経路7-acjへ、そして地震時にはスライド式ロック弁7-sfは開いて、液体貯槽7-ac(または外部)部分へ流れ込む。そして、戻り経路7-erから筒中7-aに戻る。その場合の実施例である。地震センサー振幅装置部の機構は図278と同じである。
なお、図285から図287において、地震センサー振幅装置部の機構については、地震力により重りが振動し、スライド式ロック弁に作用することにより弁の開閉を行うものであればよく、当該図に記載のもの以外の地震センサー振幅装置(例えば図278〜図282に記載のもの)の使用も考えられる。
また、図279は、連結部材弁型固定装置のうちの可撓部材による実施例である。
図の(a)は通常時、(b)は免震時を表わしている。筒中7-aを液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pがバネ等9-tによって免震される構造体を支持する構造体2と繋がれており、さらに免震される構造体1とは挿入口31、及びフレキシブルジョイント8-fjを介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋がれている。
地震センサー振幅装置部の機構は図278と基本的に同じであるが、図の(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合であるように、風時、免震時の変位する時の、ピストン状部材7-pの動き、液体・気体等の流れが逆になる。
これらには免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、ピストン状部材及びその挿入筒等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

8.1.2.2.5.2. (ロック)弁方式(2)
図288〜図331は、ロック弁方式の固定装置の実施例である。
(1) 全体構成
この固定装置は、固定装置部と地震センサー振幅装置部とに分かれる。
互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は連結口7-jcで連結管7-ecによって連結される。
ここでは、固定装置部と地震センサー振幅装置部との一体型を「地震センサー振幅装置付き固定装置」と、固定装置部と地震センサー振幅装置部との分離型を「地震センサー振幅装置分離型固定装置」と、そして固定装置部のみを「固定装置部または独立型固定装置」と、地震センサー振幅装置部のみを「地震センサー振幅装置部または独立型地震センサー振幅装置」と、言う。
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定装置の作動部を有し、
通常時は、地震センサーとなる重りが、振り子またはバネ等または球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)によって平衡を保たれるため、通常位置にあり、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から液体貯槽または外部に出る出口・出口経路を、重り、または重りと一体になった弁、または重りと連動した弁が塞ぐ形となり、液体・気体等は押出されずに、ピストン状部材はロックされ、固定装置の作動部は固定され、
地震時には、重りが地震力により通常位置より移動すると、この出口・出口経路を塞ぐ位置から、重り、または重りと一体になった弁、または重りと連動した弁がずれて、
液体・気体等が押出され、ピストン状部材は動き始めて、固定装置の作動部の固定は解除されるように構成される。

(2) 固定装置部
1) 固定ピン型固定装置の場合
固定ピン型固定装置の場合の発明である。
固定ピン型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった(ピストン状部材7-pと連動した場合を含む)固定ピンの固定装置の作動部を有する。

a. 固定ピン系
固定ピンの挿入部は、すり鉢形状・球面形状等の挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜した凹形状7-vmをなしており、地震時には、固定ピンとなるかまたは連動したピストン状部材7-pは、このすり鉢形状・球面形状等の凹形状7-vmによって往復(上下)運動をして、筒中7-aに充填された液体・気体等を筒中7-aから押出したり筒中7-aに引入れたりする。

b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pを有し、このピストン状部材7-pは、免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒7-aが、もう一方の構造体に支持されている。
ピストン状部材7-pまたは挿入筒7-aは、(それ自体が支持されている構造体ではなく)もう一方の構造体と連結部材によって連結されている。
連結部材は、さらに不可撓部材と可撓部材とに分かれる。
また、この装置は、間接方式と直接方式とがある。すなわち、
直接方式の場合は、ピストン状部材7-pには欠き込み・溝・窪み7-cが設けられており、この欠き込み・溝・窪み7-cに固定ピン7が係合することにより固定がなされる。
間接方式の場合は、固定ピン7に固定ピンをロックするロック部材11(ロックピン・ロック弁等)を設ける。

2) 連結部材弁型固定装置の場合(直接方式である)
連結部材弁型固定装置の場合の発明である。
連結部材弁型固定装置の場合には、
固定装置部は、筒中7-aを、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pを有し、このピストン状部材7-pは、免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に支持されて、その挿入筒7-aが、もう一方の構造体に支持されている。連結部材は、さらに不可撓部材(図330)と可撓部材(図331)とに分かれる。
これは、両方とも直接方式である。
そして、固定ピン型固定装置の場合、連結部材弁型固定装置の場合共に、
地震時に、このピストン状部材7-pは、液体・気体等の弁(重りと一体になった弁、または重りと連動した弁)が開くことにより移動可能となり、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との振動によって往復運動をして、筒中7-aに充填された液体・気体等を筒中7-aから押出したり筒中7-aに引入れたりして免震を可能にし、
風時には、液体・気体等の弁が閉じており、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが固定される。

(3) 地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部は、出口・出口経路7-acj内の地震センサーとなる重りのある付属室7-abと液体貯槽7-ac(または外部)とに分かれる。
液体貯槽7-acは、液体・気体等が溜まる部分であり、上部に空気抜きがあり、液体・気体等の容量調整が自由である。
地震センサーとなる重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁は、振り子またはバネ等または球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり面部・転がり面部、以下同じ)36-vmよって平衡を保たれ、通常位置にあり、地震時に(相対的に)振動して通常位置からずれ、地震後元の位置(通常位置)に戻る。
また、この地震センサーとして、転がり方式による重り20-bが可能になる。
地震センサー振幅装置の重りが、球20-bであり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式である。これによって感度を非常に良くすることができる。
この重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の通常位置は、付属室7-abと液体貯槽7-acまたは外部とを液体・気体等が行き来する通路である出口・出口経路7-acjを塞ぐ位置にある。
この塞がれる出口・出口経路7-acjの位置は、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の、上部または下部または側面に、上部及び下部に、上部及び側面に、下部及び側面に、または上部及び下部及び側面にある場合の7通りの場合が考えられる。
出口・出口経路7-acjの開口部の形は、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁の平面形状に合わせるのがよい。重りがボール20-bの場合は、円がよい。
出口・出口経路7-acjと地震センサー振幅装置の重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁との隙間にカバー材20-cを付ける場合も同様に、カバー材20-cは、重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁と接する平面形状に合わせるのがよい。重りがボール20-bの場合は、円筒となる。
このように、振り子またはバネ等または球面・すり鉢若しくは円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmによって平衡を保たれている地震センサー振幅装置の重りまたは重りと一体になった(または重りと連動した)弁によって塞ぐロック弁を考えると、地震感度として全方向対応の地震センサーが可能になり、しかもスムーズな弁との連動(地震センサー重り=弁なので)が可能になる。
さらに、ピストン状部材7-pの作動時であっても弁に圧力がかからない場合が可能で(図288参照、また、図298のように弁に圧力がかかったとしても、地震力は圧力と直角方向、つまり圧力の分力が0となるので)、センサーの重りが小さくても感度のよいロック弁が可能になる。

(4) 固定装置部と地震センサー振幅装置部
地震センサー振幅装置部の付属室7-abの液体・気体等と固定装置部のピストン状部材7-pのスライド部以外の筒中7-aの液体・気体等とは、通路口7-abjによって繋がり、行き来を可能にしている(固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は通路口7-abjが連結口7-jcとなり、連結管7-ecによって相互に連結される)。
他の固定装置との連結口7-jcで連結しない限り、付属室7-abから液体貯槽7-acまたは外部に出る出口・出口経路7-acjが重り(または重りと一体になった弁)により塞がれている時は、液体・気体等の行き場が他に無いため、ピストン状部材7-pは筒中7-aをスライドできないためロックされ、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定する。
地震時に、地震センサーの重り20、20-b(または重りと一体になった、または重りと連動した弁20-e)が地震力によりこの出口・出口経路7-acjを塞ぐ位置からずれると、筒中7-aの液体・気体等は付属室7-abから液体貯槽7-acまたは外部に流れ出して、ピストン状部材7-pは作動可能となり、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定は解除される。

(5) 遅延器兼用型
または、
ピストン状部材7-pによって押出される液体7-ao・気体等が液体貯槽・外部に出る出口・出口経路7-acjと、出口・出口経路7-acjからその押出された液体7-ao・気体等が筒中7-aに戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口・出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路7-acjは大きく、戻り経路7-erは小さくし、
戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合には弁は必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中7-aから押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられる。
また別の方法として、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjの重り(または重りと一体になった、または重りと連動した弁)による塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材7-pの戻りに遅延効果を持たせることが可能である。

(6) ダンパー効果
出口・出口経路7-acjまたピストン状部材7-pの挿入筒7-aから付属室7-abへの通路口7-abjの開口面積を絞ることにより、地震時の変位抑制効果を合せ持たせることが可能になる。

(7) 上下逆
以上の形の、上下逆の場合もある。
固定ピン型固定装置の場合には、図303のように凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7とが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して逆に取付けられる場合もある。
連結部材弁型固定装置の場合には、免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、ピストン状部材7-p及びその挿入筒7-a等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

(8) 他の固定装置との連結口7-jcの位置
複数の固定装置同士の連動作動を考えた場合の、他の固定装置との連結口7-jcは、地震センサー振幅装置部の出口・出口経路7-acj(出口・出口経路7-acj内の地震センサーとなる付属室7-ab)と、固定装置部のピストン状部材7-pのスライド部以外の筒中7-aのいずれに設けてもよい。
固定装置部と地震センサー振幅装置部とが互いに別々の装置となり独立している場合もある。その場合は地震センサー振幅装置部の設置位置は、出口・出口経路7-acj(出口・出口経路7-acj内の地震センサーとなる付属室7-ab)であり、固定装置部の設置位置は、ピストン状部材7-pのスライド部以外の筒中7-aである。

(9) 複数の固定装置の連動作動
地震センサー振幅装置付き固定装置または独立型固定装置または独立型地震センサー振幅装置の連結口7-jcを相互に連結管7-ecで繋げることにより、相互の固定装置の地震時の固定解除の連動が可能になる。
地震センサー振幅装置が先に作動した所へ液体・気体等が送込まれ、連結管7-ecによって連結している固定装置の同時解除が可能になる。地震センサー振幅装置の感度に差があっても、連結している固定装置の同時解除が可能になる。

(10) 気体式・液体式
装置に充填される液体・気体等の選択に関しては、
液体=油圧式の方が、弾性が無く、確実な固定装置の機能が発揮できる。さらに、機構全体を液体に漬けることで防錆効果もある。
気体=空圧式は、弾性に富むため、油圧式に比べ固定装置の固定機能は劣るが、簡便な方式であり、防錆材料を使うことでメンテナンスフリーも可能になる。
油圧式と空圧式のいずれも、(地震センサーとなる重りが兼用するかまたは重りと一体になった)ロック弁の密閉性を悪くすることにより変位抑制ダンパーも兼ねることができる。特に空圧式は、ロック弁が閉まったままでも(さらに、地震センサー振幅装置と連動機構のないロック弁無しの閉じたままの機構でも)弾性に富むために変位抑制ダンパーとしても使用可能である。
また、液体式・気体式の他に、液状化可能な固体(粒状固体等)の使用も可能である。

(11) 隙間のカバー管
出口・出口経路と重りとの隙間のカバー材の発明である。
1) 滑動重り
出口・出口経路7-acjと重り20(ボール型重り20-b)との隙間を無くし、密閉性を高めることを目的とする。
図289は、この発明の実施例である。
管20-ccが出口・出口経路7-acjに挿入され、地震時は、管20-cc自体が可動(上下)して重り20(ボール型重り20-b)の移動に順応し、移動の拘束にならない。通常時は出口・出口経路7-acjと重り20(ボール型重り20-b)との隙間を無くして、弁は閉じられた状態となる。

2) 振り子重り
出口・出口経路7-acjと重り20-eとの隙間を無くし、密閉性を高めることを目的とする。
図308、図309は、この発明の実施例である。
管20-ccが出口・出口経路7-acjに挿入され、地震時は、管20-cc自体が可動(上下)して重り20-eの移動に順応し、、移動の拘束にならない。通常時は出口・出口経路7-acjと重り20-eとの隙間を(バネ等9-cによって押されて)無くして、弁は閉じられた状態となる。
重り20-eの管20-ccを受ける部分の形状は、平型・凹型・凸型に分かれる。図308は、凹型球面であり、図309は、凸型球面である。管20-cc自体も凹型凸型球面に合せた凸型凹型の筒先形状の接触面を持っている。

(12) 重りと間接弁方式 1
重り連動の間接弁方式の発明である。
出口・出口経路7-acjと重り20(ボール型重り20-b、振り子重り20-e)との隙間を無くし、密閉性を高めるための発明であり、さらに、風時または免震までの地震時のピストン状部材7-pによる液体(気体)等への圧力を地震センサー振幅装置の重り20、20-b、20-eに加えないための発明である。
1) 滑動重り
図290〜図293は、この発明のうち滑り型重り20(ボール型重り20-b)による実施例である。 図290に基づいて説明をすると、
出口・出口経路に挿入されてそれ自体が可動(上下)して重りの移動に順応する弁管20-cpと、固定装置本体に取付けられてその弁管20-cpを受けて通常時の流れを遮断する受け材20-csとから構成される。
弁管20-cpは、地震時に重り20、20-bの作動によって出口・出口経路7-acjの弁となる。
重り20、20-bは、地震時、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部免震皿36-vm、20-cpss上を滑動(すべり・転がり)するが、通常時は、凹型滑り面部免震皿36-vm、20-cpssの中心にとどまり、弁管20-cpは、この重り20、20-bの支え・押えによって受け材20-csに押し付けられて流れを遮断する。
地震時は、免震皿36-vm、20-cpss面の重り20、20-bが振幅運動して動き、弁管20-cpは、重り20、20-bの支え・押えを失って受け材20-csから離れて、弁管20-cpの開口20-cpoから液体(気体)等が入り、弁管20-cpから液体(気体)等が流れ出し、ピストン状部材7-pの固定が解除される。
地震後、重り20、20-bの振幅運動が止まり、免震皿36-vmの中心に重り20、20-bが戻ると、弁管20-cpを押上(下)げて受け材20-csに押し付けて流れを遮断すると、バネ等9-cによって元の位置に戻っているピストン状部材7-pが固定される。そして風揺れ固定装置として機能する。
なお、弁管20-cpとは、筒のように筒の内部で流れを許すもの、またはコ形材・L形材・H形材・T形材のように弁管20-cpと受け材20-csとで仕切られて管をなすもの等があげられる。図311〜図314はその実施例で、これらの図311〜図314のうち、、図311はコ形材、図312はL形材、図313はH形材、図314はT形材の場合である。
図291は、弁管20-cpの支え20-cps(固定装置本体に取付けられた)を持ったものである。
弁管20-cpの中心を、地震センサー振幅装置の重り20、20-bを滑動(すべり・転がり)させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)免震皿36-vmの中心と合せるのではなく、中心からずらすと地震センサー振幅装置としての地震感度が良くなる。
図292は、この例であり、さらに2つの弁管20-cpがあるタイプであり、免震皿36-vmの中心からずらされて設置され、地震センサー振幅装置としての地震感度が良くなっている。このように2個以上の弁管20-cpがあるタイプが考えられる。弁管20-cp一つ一つの径を小さくでき、弁管を軽くでき、重り20、20-bの作動時の抵抗を小さくでき、地震センサー振幅装置としての地震感度を良くすることができる。 8.4.4.固定装置とダンパー兼用の固定装置において、免震時に弁が開かれた状態にするためにも、弁管20-cpを免震皿36-vmの中心に設置するよりも中心からずれた位置に設置する方が地震時に重り20、20-bが接触する回数が少なくなり、また2個以上設置によってどちらかが開いている回数が多くなり、免震時に弁が開かれた状態を保つという点において、有効な方法である。
図293は、図290と、重り20、20-bと弁管20-cpとが位置関係が逆で、通常時は、重り20-bの押えによって、弁管20-cpは受け材20-csに押し付けられて流れを遮断する。
地震時に重り20-bが振幅運動して動き、重り20-bの押えを失って、弁管20-cpは受け材20-csから離れて、弁管20-cpの開口20-cpoから液体(気体)等が入り、弁管20-cpから液体(気体)等が流れ出し、ピストン状部材7-pの固定が解除される。
地震後、重り20-bの振幅運動が止まり、免震皿36-vmの中心に重り20-bが戻ると、弁管20-cpを押下げて受け材20-csに押し付けて流れを遮断すると、バネ等9-cによって元の位置に戻っているピストン状部材7-pが固定される。そして風揺れ固定装置として機能する。
弁管の重りと接する先端部20-cptは、弁管20-cpの内面に接合して液体(気体)等が通ることを妨げずに弁管20-cpの管中から突き出している。このことにより、先端部20-cptが細くできることにより、重り20-bが先端部20-cptの出ている穴に落ち込んで、地震センサーとしての感度が悪くなることを防いでいる。
なお、以上以下の全ての案の先端部20-cptは、重り20、20-b、20-e
によって押されて元に戻るように先端は円錐等の傾斜が付けられている。
以上以下の全ての案の弁管20-cpと受け材20-csでの流れの遮断について、風時または免震までの地震時のピストン状部材7-pによる液体(気体)等の弁(弁管20-cp)に加わる圧力は、弁管の管の外周にのみ働き、重り20、20-b、20-eを持ち上げたり押し下げたりする力としては働かない。そのため地震センサー振幅装置としての重り20、20-b、20-eによる地震センサー感度に影響を与えない。
さらに、弁管の支えと兼用の(重り20、20-bを滑動させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部をもった)免震皿20-cpssは固定装置本体に取付けられているが、その上に滑動時の重り20、20-bと接触しない形状で、この免震皿20-cpssと平行曲面(免震皿がすり鉢であれば円錐状の)の重り20、20-bの上部押え20-cpssuがあり、風時の先端部20-cptによる重り20-bの持上がりを防いでいる。
また、重り20、20-bが液体中(液体等またはその液体等の高さレベル7-ao参照)になく、液体抵抗を受ける事がなく地震センサー感度を良くすることが可能である。

2) 振り子重り
図310は、この発明のうち振り子型重り20-eによる実施例である。
それ自体が可動(上下)する弁管20-cpと、固定装置本体に取付けられてその弁管20-cpを受けて通常時の流れを遮断する受け材20-csとから構成される。
弁管20-cpは、地震時に重り20-eの作動によって出口・出口経路7-acjの弁となる。
通常時は、重り20-eの押え・支えによって、弁管20-cpは受け材20-csに押し付けられて流れを遮断する。
地震時に重り20-eが振幅運動して動き、重り20-eの押え・支えを失って、弁管20-cpは(バネ等9-cによって押されて)受け材20-csから離れて弁管20-cpに液体(気体)等が入り、弁管20-cpの開口20-cpoから液体(気体)等が流れ出し、ピストン状部材7-pの固定が解除される。
地震後、重り20-eの振幅運動が止まり、免震皿36-vmの中心に重り20-eが戻ると、弁管20-cpを押下(上)げて受け材20-csに押し付けて流れを遮断すると、バネ等9-cによって元の位置に戻っているピストン状部材7-pが固定される。そして風揺れ固定装置として機能する。
弁管20-cpの中心を、地震センサー振幅装置の重り20-eを滑動(すべり・転がり)させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)免震皿36-vmの中心と合せるのではなく、中心からずらすと地震センサー振幅装置としての地震感度が良くなる。
なお、弁管20-cpとは、筒のように筒の内部で流れを許すもの、またはコ形材・L形材・H形材・T形材のように受け材20-csで仕切られて管をなすもの等があげられる。図311〜図314はその実施例で、これらの図311〜図314のうち、図311はコ形材、図312はL形材、図313はH形材、図314はT形材の場合である(図311〜図314の実施例は滑動重り20-bの場合のものであるが、重り20-bと重り20-eとし、上下を逆にして受け材20-csと弁管20-cpとの間に弁管20-cpを持上げるようなバネ等を仕組むと振り子重りの場合の実施例に該当する)。

(13) 重りと間接弁方式 2
重り連動の間接弁方式2の発明である。
出口・出口経路7-acjと重り20(ボール型重り20-b、振り子重り20-e)との隙間を無くし、風時の密閉性を高め、且つ風時の固定装置としての弁機能としての安定性を高め、さらに、地震時の地震センサーとしての感度を上げるための発明である。

図294〜図295は、この発明のうち滑り型重り20(ボール型重り20-b)による発明である。

1) 風時
風圧力によってピストン状部材7-pにより圧力が液体(気体)等にかかる(液体(気体)等が僅かに流れ始める)。
その圧力により重り20、20-bが弁管20-cpに吸込まれ(液体(気体)等の流れは止まり)、弁管20-cpがスライドし、受け材(固定装置本体に取付けられている)20-csに押し付けられて液体(気体)等の流れは止まる。流れが止まると今度は、弁管20-cpからの重り20、20-bの吸込みが止まり、重り20、20-bが外れる。
重り20、20-bが外れると今度は、弁管20-cpの受け材(固定装置本体に取付けられている)20-csへの押し付けが無くなり、また(重りが弁管(の吸込み口20-cpi)の真近にあるため)重り20、20-bが弁管20-cpに吸込まれる。それを繰返して、液体(気体)等の流れを止め、ピストン状部材7-pの動きを止める。

2) 地震時
地震力によってピストン状部材7-pにより圧力が液体(気体)等にかかる(液体(気体)等が僅かに流れ始める)。
重り20、20-bが弁管20-cpに吸込まれると(液体(気体)等の流れは止まり)、弁管20-cpがスライドし、受け材(固定装置本体に取付けられている)20-csに押し付けられて液体(気体)等の流れは止まる。流れが止まると今度は、弁管20-cpからの重り20、20-bの吸込みが止まり、重り20、20-bが外れる。
重り20、20-bが外れると地震力が働いているので、地震力により重り20、20-bが弁管20-cp(の吸込み口20-cpi)よりずれて、弁管20-cpに吸込まれなくなり、液体(気体)等の流れが始まり、免震し始める。
地震後、重り20、20-bは、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)免震皿36-vmのために、元の位置(弁管(の吸込み口20-cpi)の真近)に戻る。
(弁管(の吸込み口20-cpi)の真近に戻る)戻り方は、免震皿36-vmによらずにバネ復元型(バネ復元型地震センサー振幅装置15)、振り子型(振り子型地震センサー振幅装置13)でも良い。
このことにより、地震センサーとしての地震感度がよく。風時の固定装置としての安定性も高い。

というのは、図298では、風時の固定装置としての弁機能としての安定性は良いが、地震時、重り20、20-bが弁管20-cp吸込まれて地震感度が悪い。図304では、地震感度が良いが、風時には重り20、20-bの弁機能としての安定性に関して不安定になる要素もあった。このように、地震センサーとしての地震感度を良くすれば、風時の固定装置としての安定性もに欠け、風時の固定装置としての安定性を良くすれば、地震センサーとしての地震感度が悪くなる問題を、この発明は解決している。
弁管の支えの開口20-cpsoの意味は、弁管の支え20-cpsとその開口20-cpsoが無い場合は、重り20、20-bが弁管20-cpに吸込まれた後、受け材20-csに押し付けられて液体(気体)等の流れが止まっても弁管20-cpと固定装置本体との隙間での流れが存在して重り20、20-bが吸込まれたままで重り20、20-bが外れないという問題を解消するためで、弁管20-cpと固定装置本体との隙間での流れは、この開口20-cpsoを通るので重り20、20-bを吸込むということは無くなるからである。

図295は、ダンパー兼用の固定装置(8.4.4.1.参照)である。図294の構成に加えて、液体貯槽7-acまたは外部から付属室7-abまたはピストン状部材7-pの挿入筒へ戻る戻り口7-erを設けてそこに弁(逆流を防ぐ弁)7-fsを付ける。
出口・出口経路7-acjの開口面積の大きさは小さくし、戻り口7-erの開口面積の大きさは大きくし、戻り口7-erには、ピストン状部材7-pが筒7-aから出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
出口・出口経路7-acjの開口面積の大きさを小さくしたことと戻り口7-erに設けられた弁の性格とにより、地震時の固定ピン7の、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vm、7-vmcでの中心から周辺への移動に抵抗を与え、
加えて、戻り口7-erの開口面積の大きさを大きくしたことと戻り口7-erに設けられた弁の性格とにより、地震時に固定ピン7の元の位置への戻りに抵抗を与えず速やかにし、そして再度、中心から周辺への移動に抵抗を与えられる。
このようにして固定装置と兼用の変位抑制効果等を持ったダンパーとなる。
また、免震時に固定機構が働かないように、出口・出口経路7-acjに設けられた弁は地震時に開かれた状態にする必要があるが、地震時に開かれた状態を維持するために、図295は、図294に対して、通路口7-abjが重り20、20-bの下にあり、免震時に通路口7-abjから液体(気体)等が吹出して重り20、20-bの元の位置(通常位置)への戻りを遅くしている。そのお陰で出口・出口経路7-acjに設けられた弁(重り20、20-b)は開かれた状態になり、免震時に固定機構が働かないようにしている。
なお、図294〜図295はボール型重り20-bを用いた実施例を示しているが、ボール型重り20-bの代わりに、(滑り型)重り20、もしくは、振り子重り20-eを用いた実施例も可能である。


(14) 実施例
図288は、地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合である。
遅延効果については、図297の実施例とは違い、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjの重り20、20-bによる塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材7-pの戻りに遅延効果を持たせる場合である。
図296は、地震センサー振幅装置の重り20が、すべり部材であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを重り20がすべる方式の地震センサー振幅装置14の場合である。
また、図281と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bが、平面型滑り面部3を滑動(すべり・転がり)し、バネ等9で復元する方式の地震センサー振幅装置15の場合も考えられる。
図297は、図288の実施例より遅延効果を確実にするために、
ピストン状部材7-pによって押出される液体7-ao・気体等が液体貯槽・外部に出る出口・出口経路7-acjと、出口・出口経路7-acjからその押出された液体7-ao・気体等が筒中7-aに戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口・出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路7-acjは大きく、戻り経路7-erは小さく、
戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合には弁は必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中7-aから押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている場合である。
図297においては、ボール型重り20-bが記載されているが、その代わりにすべり部材20を使用することも可能である。
図298は、図288の実施例と同様に地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合であるが、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの下部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合である。
遅延効果については、別経路の戻り経路7-erを設け、弁7-f、7-fbを取り付けることで戻り方向への流れ以外の逆流を防いでいる。
図298においては、ボール型重り20-bが記載されているが、その代わりにすべり部材20を使用することも可能である。
図299は、図298の地震センサー振幅装置の重り20-bが、出口・出口経路7-acjに嵌まり込み、摩擦が大きくなり、地震センサー振幅装置の感度が落ちる問題を解決する発明である。
地震センサー振幅装置の重りが、転がり部材5-e、5-f上の部材20であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmをこの部材20が転がり部材5-e、5-fによって可動する方式の地震センサー振幅装置14の場合であるが、この部材20に球20-bが組込まれおり、球20-bは部材20の内で上下に移動できる空隙を持つ。
この球20-bが、出口・出口経路7-acjに嵌まり込むが、球20-bは部材20に比べて軽いため、その嵌まり込むことによる地震時の可動時(前記空隙へ上移動)の摩擦は、地震センサー振幅装置の重り全体にとって小さく、そのため地震センサーとしての感度を落とさず、逆に球20-bが出口・出口経路7-acjに嵌まり込むことにより風時の弁の密閉度を高め、風揺れ固定の効果を高めることになる。
図300も、図299と同様に、図298の地震センサー振幅装置の重り20-bが、出口・出口経路7-acjに嵌まり込み、摩擦が大きくなり、地震センサー振幅装置の感度が落ちる問題を解決するもう一つの発明である。
地震センサー振幅装置の重りが、球20-bであり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合であるが、この球20-bにさらに小球20-bbが組込まれており、小球20-bbは球20-bの内で上下に移動できる空隙を持つ。
この小球20-bbが、出口・出口経路7-acjに嵌まり込むが、小球20-bbは球20-bに比べて軽いため、その嵌まり込むことによる地震時の可動時(前記空隙へ上移動)の摩擦は、地震センサー振幅装置の重り全体にとって小さく、そのため地震センサーとしての感度を落とさず、逆に小球20-bbが出口・出口経路7-acjに嵌まり込むことにより風時の弁の密閉度を高め、風揺れ固定の効果を高めることになる。
図301は、図288の実施例と同様に地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合であるが、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの側面にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合である。
図301においては、ボール型重り20-bが記載されているが、その代わりにすべり部材20を使用することも可能である。
図302は、図288の実施例と同様に地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合であるが、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの上部及び下部にもピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合である。さらに、上部及び側面に、または下部及び側面に、または上部及び下部及び側面に、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合も考えられる。
図302においては、ボール型重り20-bが記載されているが、その代わりにすべり部材20を使用することも可能である。
図304は、図288の実施例と同様に地震センサー振幅装置の重りが、球であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを球20-bが転がる方式の地震センサー振幅装置14の場合であり(重り20が、図280のようにすべり方式の場合も考えられる)、 地震センサー振幅装置の重り20、20-bの下部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合であるが、図298と違うのは、重り20、20-bがピストン状部材7-pによって液体・気体等の押出される方向に位置していることであり、押し上げる圧力を受ける点である。そのためにその圧力によって押し上がるのを防ぐ上部押え20-bsが設けられている。
図305は、地震センサー振幅装置の重りが、振り子の重り20-eであり、振り子により地震センサーとなる方式の地震センサー振幅装置13の場合である。
地震センサー振幅装置の重り=弁20-eの下部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合であるが、図315と違うのは、重り=弁20-eがピストン状部材7-pによって液体・気体等の押出される方向に位置していることであり、押し上げる圧力を受ける点である。しかし、吊材20-sは剛体(図315では引張力のみに対応すればよいが)で圧縮力を受けて(図315では引張力を受けて)、振り子の支点20-hで、その力に対応できるようになっている。
振り子の重り20-eの形状について言えば、出口・出口経路7-acjの当たる以外の側面は、地震時の可動時の噴出する液体・気体等の圧力によって速やかにより開く方向に力が働くように(図305の重り20-eの形のように)傾斜にするのが有利である。また、この傾斜により感度(敏感/鈍感)を決定できる。このことは、複数個の固定装置の配置のときに利用できる。つまり重心付近の固定装置の地震センサーは鈍感に、周辺のものは敏感にという配置に対応できる(8.3.2.参照)。
遅延効果については、図297の実施例とは違い、別経路の戻り経路7-erを設けずに、出口・出口経路7-acjの重り=弁20-eによる塞ぎを甘くすることにより、ピストン状部材7-pの戻りの遅延効果を持たせる場合である。当然、図297の実施例のように別経路の戻り経路7-erを設けることも考えられる。
図306は、図305の実施例の通路口7-abjに、付属室7-abを設けてそこにボール型弁7-fbを設けて、その付属室の底面を、ピストン状部材7-pの挿入筒7-a方向に向けて下り勾配にして、通常は弁7-fbが閉まるようにしてあり、地震時にピストン状部材7-pが押し下がると、弁7-fbが開くようになっている場合である。それにより遅延効果(弁7-fbが閉まっても完全には密閉されておらずにその隙間から液体・気体等は挿入筒7-a内に戻る)は増す方法である。
図304、図305、図306は共に、弁20-e、20-bに地震時に圧力を受けていても、地震力が働ければ、地震力は圧力と直角方向なので(圧力の分力が0となり)、容易に弁20-e、20-bが開くことができるものである。
さらに、図307は、図305及び図306の実施例 において、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等の高圧力によって、重り=弁20-eによる出口・出口経路7-acjの塞ぎが不安定になるという問題を解消する実施例である。つまり、液体・気体等の圧力がかなり高い場合には、弁20-eの底面の(振り子の支点20-h対する)傾きが少しでもあると、その圧力によって弁が開いてしまう。その問題を解決するのに、出口・出口経路7-acjを経由して付属室7-abまで、振り子を延ばし、出口・出口経路7-acjを付属室7-abの位置から弁20-eで塞ぐようにしたものである。これにより高圧力を受け、 弁20-eの底面の(振り子の支点20-h対する)傾きがあったとしても、弁20-eの不安定さを解消することが可能となる。

図315は、地震センサー振幅装置の重りが、振り子の重り20-eであり、振り子により地震センサーが構成される方式の地震センサー振幅装置13の場合である。
地震センサー振幅装置の重り=弁20-eの下部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合であるが、図305と違うのは、重り=弁20-eがピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等の押出す方向に位置していることであり、押し下げる圧力を受ける点である。しかし振り子の支点20-hによりその圧力に対応できており、液体・気体等の吸引力のために、重り=弁20-eの地震時の開きが悪くなることはない。
遅延効果については、別経路の戻り経路7-erを設け、さらに弁7-f、7-fbを設けて戻りへの流れ以外の逆流を防いでいる。

図316は、図315の風時の弁の密閉度を高め、風揺れ固定の効果を高める発明である。
図315と同様に、地震センサー振幅装置の重りが、振り子の重り20-eであり、振り子により地震センサーが構成される方式の地震センサー振幅装置13の場合であるが、この重り20-eに球20-bが組込まれており、球20-bは重り20-eの内で上下に移動できる空隙を持つ。
この球20-bが、出口・出口経路7-acjに嵌まり込むが、球20-bは振り子の重り20-eに比べて軽いため、その嵌まり込むことによる地震時の可動時(前記空隙へ上移動)の摩擦は、地震センサー振幅装置の重り全体にとって小さく、そのため地震センサーとしての感度を落とさず、逆に球20-bは、出口・出口経路7-acjに嵌まり込むことにより風時の弁の密閉度を高め、風揺れ固定の効果を高めることになる。

図317〜図322は、図288〜図315より地震センサー振幅装置部の地震センサー感度を上げた場合の実施例である。
図317は、地震センサー振幅装置の重りが、振り子の重り20であり、振り子により地震センサーが構成される方式の地震センサー振幅装置13の場合で、重り20と弁20-eとは一体になっており、梃子の原理を利用し、支点20-hを介して梃子36-bの働きにより、重り20とこの重りと一体になった弁20-eとの支点間距離を変えて弁の距離の方を長くして、重り20の動きに比して弁20-eが敏感に働くものであり、地震に対する感度を上げられるものである。
地震センサー振幅装置の重り20と一体になった弁20-eの上部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合であるが、弁20-eがピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等の押出す方向に位置しており、押し上げる圧力を受ける。しかし振り子の支点20-hによりその力に対応できており、液体・気体等の吸引力のために、弁20-eの地震時の開きが悪くなることはない。
以上の、図305〜図317においての支点20-hを、水平方向に 360度回転可能なユニバーサルなジョイントにすると、全方向の地震動に対応の地震センサーが可能になり、かつスムーズに弁と連動する。
図305〜図315では、地震センサーの重り=弁20-eとなっており、図317では、弁20-eが重り20と一体になっているので、ダイレクトな連動が可能になる。
図318は、地震センサー振幅装置の重りが、起き上り小法師の重り20-dであり、起き上り小法師の起き上り運動により地震センサーとなる起き上り小法師型による地震センサー振幅装置の場合で、地震センサー振幅装置の重り20-dが、実質の重り部20-daと弁部20-dcに分かれ(その間に繋ぎ部20-db)、弁部20-dcの上部にピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中7-aから出る出口・出口経路7-acjがある場合で、梃子の原理を利用したもので、支点(=重り部20-da)を介して梃子(=繋ぎ部20-db)の働きにより、重り部20-daの動きに比して弁部20-dcが敏感に働くものであり、地震に対する感度を上げられるものである。
図319は、逆立ち振り子13の場合で、振り子13の重り20-eが上になりそれを支える部分にバネ等20-kを設けて自立させ(もしくは振り子の根元をユニバーサル回転接点等にし、振り子が自立できるように振り子支持材20-jにバネ等を掛渡して自立させ)、地震時にはその弾性で振動して振り子になるものである。
図320は、この図319の逆立ち振り子13の根元に地震センサーとなる重り20を設置し、地震センサー感度を上げた場合のものである。逆立ち振り子13の根元の支点20-hに近い振り子支持材20-j(また振り子支持バネ等20-k)に地震センサーとなる重り20を設置することにより、地震時にこの重り20が支持材20-j(また振り子支持バネ等20-k)に押し当たり、押し当たる位置が支持材20-j(また振り子支持バネ等20-k)の根元ゆえに、増幅して振り子の重りによる弁部20-eが敏感に反応するものである。
図321は、この図319の逆立ち振り子13の根元に弁36-bfを設置することにより、その上の振り子の重りは油等の液体から外に出て、油等の粘性の影響を受けることがなくなる。そのため、地震時に振り子の重り20は敏感に反応することが可能になる。
具体的には、逆立ち振り子13の根元の支点20-hに近い振り子支持材20-j(また振り子支持バネ等20-k)に弁部36-bfを設置し、そこが出口・出口経路7-acj位置になる。そしてその上に振り子の重り20が設けられることにより、油等の液体の上に出ることが可能となる。それによりこの振り子の重り20は油等の粘性の影響を受けなくなるため地震時に敏感に反応するものである。
図322は、図273と同様に、地震センサーの重り20-bに梃子36-bの力点が入り込み、地震時に梃子の原理で増幅して梃子による弁部36-bfが敏感に反応するものである。
下部が球状で自由に転がることのできる形状の重り20-bを免震皿上に乗せ、その上部に梃子36-bの力点が入り込む挿入部36-mを設ける。地震力を受けて重り20-bが転がると、力点36-lも連動して動き、これによって梃子36-bの作用点として弁部36-bfが動くことになる。
このとき力点36-lの動きの振幅は、地震変位振幅に加え、重り20-b(及び挿入部36-m)の回転が力点36-bに与える変位分とからなる。この力点36-lの振幅が、力点36-lから支点36-hの距離と支点36-hから作用点=弁部36-bfの距離との比に応じて増幅され、作用点の動きの振幅となる。この2重に増幅された作用点=弁部36-bfの動きによって、弁部36-bfの動きが増大することになる。
なお、梃子の支点36-hは、全方向に回転する梃子の支点である。
また梃子36-bの力点が入り込む重り20-bの挿入部36-mも、球面またはすり鉢等の凹形状になっており、梃子36-bの先端部が追随でき、全方向からの地震力を伝達できるようなものとなっている。
またこの方式では、重り20-b自体が自由に転がることができるため、図271等で使用されている重り20下のボール(ベアリング)5-eを無しにできる。
図323〜図325は、地震センサー振幅装置部の地震センサーが地震垂直動にも地震センサーとして機能するようしたもので、図319の振り子13と同様に、振り子13の重り20-eを支える部分にバネ等20-kを設けて自立させ、地震時にはその弾性で振動して振り子になるものである。その振り子の重りが弁部20-eとなり、地震時に弁が開き、出口・出口経路7-acjから筒中7-aの液体・気体等は液体貯槽7-acまたは外部に流れ出して、ピストン状部材7-pは作動可能となり、固定ピン等は解除される。
図323は、この振り子を横(水平)に寝かせて、地震垂直動に特に振動するが、地震水平動の一方向にも弾性により振動して振り子になり、地震動を感知するようにしたものである。
図324は、振り子を垂直方向斜めに立ちあげて、地震垂直動及び水平動にも弾性により振動して振り子になり、地震動を感知するようにしたものである。
図325は、振り子を垂直に立ちあげて、振り子13の重り20-eを支える部分のバネ等20-kの弾性により、地震垂直動に伸縮し振動し、しかも水平動にも振動して振り子になり、地震動を感知するようにしたものである。
図326は、複数設けられた出口・出口経路7-acjのそれぞれに、に、地震センサーとなる重り20(図326ではボール形の重り20-b)または重りと一体になった(または重りと連動した)弁20-eを設けることにより、且つ、この重りの周期を個々に変えることにより、地震センサーとしての重りの地盤周期との共振感度に幅を持たせられ、地盤周期への対応に幅を持たせることが可能になる。
図326においては、ボール型重り20-bおよび振り子13の重り20-eが記載されているが、その代わりに、両方ともボール型重り20-b、振り子13の重り20-eを、また片方また両方ともすべり部材20を使用することも可能である。
図327も、図326と同様に出口・出口経路7-acjに、複数個の地震センサーとなる重り20(図327ではボール型重り20-b)すなわち弁で塞ぐ型のもう一つの実施例で、弁の密閉性を上げるもので、風揺れ固定の性能を高める効果を持つものである。図327では、出口・出口経路7-acjの上下を、2個の地震センサーとなる重り20すなわち弁で塞ぐ型の実施例である。
また、図301のように重り20、20-bの側面に出口・出口経路7-acjがある場合は、出口・出口経路7-acjの左右に重り20を設置することになる。
図327においては、ボール型重り20-bが記載されているが、その代わりにすべり部材20もしくは振り子13の重り20-eを使用することも可能である。
図328は、地震センサー振幅装置部と固定装置部とが分離された場合の実施例であり、図284の固定装置部と地震センサー振幅装置部とが連結管7-ecによって連結される場合である。
地震センサー振幅装置部は、前記地震センサー振幅装置等の付属室7-abと液体貯槽7-acまたは外部とからできており、出口・出口経路7-acjにより結ばれている。
付属室7-abの地震センサー振幅装置の重り20、20-bが、バネ等または球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmよって平衡を保たれて、通常では出口・出口経路7-acjを塞ぐ位置にある(地震時に、重り20、20-bが地震力により移動すると、この出口・出口経路7-acjを塞ぐ位置からずれるようになっている)。
さらに付属室7-abに固定装置部との連結口7-jcを持っている。
この地震センサー振幅装置部と固定装置部とが連結管7-ecによって連結された場合の作動機構は、図288と全く同じである。
この地震センサー振幅装置部は、図296と同様に、地震センサー振幅装置の重り20が、すべり部材であり、球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部36-vmを重り20がすべる方式の地震センサー振幅装置14の場合もある。また、図281と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bが、平面型滑り面部3を滑動(すべり・転がり)し、バネ等9で復元する方式の地震センサー振幅装置15の場合も考えられる。
また、この地震センサー振幅装置部は、図297と同様に、図328の実施例より遅延効果を確実にするために、ピストン状部材7-pによって押出される液体7-ao・気体等が液体貯槽・外部に出る出口・出口経路7-acjと、出口・出口経路7-acjからその押出された液体7-ao・気体等が筒中7-aに戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられ、出口・出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口・出口経路7-acjは大きく、戻り経路7-erは小さくし、戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合には弁は必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中7-aから押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている場合もある。
また、この地震センサー振幅装置部は、図298と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの下部に出口・出口経路7-acjがある場合もある。図301と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの側面に出口・出口経路7-acjがある場合もある。
図302と同様に、地震センサー振幅装置の重り20、20-bの上部及び下部に出口・出口経路7-acjがある場合もある。さらに、上部及び側面に、または下部及び側面に、または上部及び下部及び側面に、出口・出口経路7-acjがある場合も考えられる。
図329は、連動作動の場合の固定装置の実施例である。以上の地震センサー振幅装置付き固定装置と地震センサー振幅装置分離型固定装置(固定装置部と地震センサー振幅装置部)と独立型固定装置(図284参照)との連結管7-ecによる連結の場合である。
また、図303のように、以上の形の上下逆の場合もある。つまり、凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7との関係が、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して逆に取付けられる場合もある。
凹形状の挿入部7-vmと当該挿入部に挿入された固定ピン7との関係を除けば、その他の部分は、図288〜図329とほぼ同様である。

さらに、図330は、連結部材弁型固定装置のうちの不可撓連結部材による実施例である。
筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドし、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材7-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒7-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
さらに、この挿入筒7-aの、地震時にピストン状部材7-pによって押出された液体・気体等は、地震センサーとなる重りのある付属室7-abへ、そして、重り20-bが通常時は弁として塞いでいる通常位置から地震力によりずれることにより、出口・出口経路7-acjは開き、液体貯槽7-ac(または外部)部分へ流れ込む。
その場合の実施例である。地震センサー振幅装置部の機構は図288と同じである。

また、図331は、連結部材弁型固定装置のうちの可撓連結部材による実施例である。
図の(a)は通常時、(b)は免震時を表わしている。筒中7-aを液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pがバネ等9-tによって免震される構造体を支持する構造体2と繋がれており、さらに免震される構造体1とは挿入口31、及びフレキシブルジョイント8-fjを介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋がれている。
地震センサー振幅装置部の機構は図288と基本的に同じであるが、図の(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合であるように、風時、免震時の変位する時の、ピストン状部材7-pの動き、液体・気体等の流れが逆になるため弁(重り20、20-b(または重りと一体になった、または重りと連動した弁20-e))への圧力のかかり型が逆になるため出口・出口経路7-acjと重り20、20-b、20-eとの位置関係は逆の方が良い(重りが付属室7-ab側にある時は液体貯槽7-ac側に、液体貯槽7-ac側にある時は付属室7-ab側に)。

なお、図328〜図331において、地震センサー振幅装置部の機構については、地震力により通常位置から弁(重り)が移動することにより弁の開閉を行うものであればよく、当該図に記載のもの以外の地震センサー振幅装置(例えば図288〜図327に記載のもの)の使用も考えられる。
これらには免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、ピストン状部材及びその挿入筒等からなる固定装置との関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。

8.1.2.3. 直接方式(自動制御型固定装置)
直接方式は、地震センサー(振幅)装置からの力または指令により、固定装置の作動部自体を直接制御する方式である。

8.1.2.3.1. 地震センサー振幅装置装備型
直接方式の地震センサー振幅装置装備型の自動制御型固定装置に関するもので、固定装置の作動部に、自動制御装置を設け、
地震時、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーの指令によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除し、
地震後、固定を行う装置である。
直接方式の地震センサー振幅装置装備型に関して、固定ピン型固定装置の場合と連結部材弁型固定装置の場合とが挙げられる。

(1) 固定ピン型固定装置
固定装置の作動部が固定ピンの場合である。
直接方式の地震センサー振幅装置装備型の固定ピン型固定装置(自動制御型固定装置)は、地震センサー(振幅)装置により地震の初期微動を感知し、固定ピン7をその挿入部7-vから引抜くなどして係脱して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除し、地震後にその固定を自動的に復帰する装置である。
直接方式の固定ピン型固定装置は、
a. 固定ピン系
b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
の2つに分かれる。

a. 固定ピン系
図183〜図188は、固定ピン系の、地震センサー振幅装置装備型自動制御型固定装置の実施例を示している。
図183〜図184は、地震センサー振幅装置が重力復元型の場合、図185〜図186は、地震センサー振幅装置がバネ復元型の場合、図187〜図188は、地震センサー振幅装置が振り子型の場合であり、また、図183、図185、図187は中心接点型、図184、図186、図188は周辺接点型の場合を示している。
固定ピン7の上部または下部に(図では固定ピン7も一体となる形で)、固定装置自動制御装置22が設けられる。

b. 連結部材系(不可撓部材と可撓部材)のピン型
図132〜図134、図139は、不可撓部材型連結部材系のピン型で、
地震センサー振幅装置により地震の初期微動を感知し、地震センサー振幅装置の重り20の振動により直接、またはワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8を介して、固定ピン7をその挿入部7-vから引抜きまた挿入を行う場合の、地震センサー振幅装置装備型自動制御型の実施例を示している。
図139は、以下の1)〜2)の地震センサー振幅装置の機構による電気的信号によって、電磁石で固定ピン7をその挿入部7-vから引抜きまた挿入を行う場合の固定装置部分の実施例を示している。
固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合って、通常時はロックされる。
地震時には地震センサーからの信号により、固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動して固定ピン7が解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する機構である。
また、図182は、この発明のうち、可撓部材型連結部材系のピン型である(8.0.1.3.1.参照)。

さらに、地震センサー振幅装置型別に整理すると、
1) 重力復元型・バネ復元型地震センサー振幅装置装備型
a) 中心接点型
図183は、地震センサー振幅装置が重力復元型の場合の実施例を、図185は、バネ復元型の場合の実施例を示している。
重力復元型、バネ復元型(免震皿型)地震センサー振幅装置の場合、地震センサー振幅装置14、15の免震皿上の重り(滑り部)20と、その(地震前また地震後の)停止位置との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、 重り20(滑り部)が停止位置にとどまり、電気等の接点23-cが重なり続けることで、固定装置自動制御装置22が作動し、固定ピンが、セット(=ロック・固定)されている状態が保たれている(そして一定時間が経つと節電状態に入る)。
地震時に、重り(滑り部)20が動いて、通電状態の継続が破られると、固定装置自動制御装置22が作動しなくなり、(バネまたは重力等により)固定ピン7が解除されて、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震後、重り20(滑り部)が、この停止位置に再び継続的にとどまり、通電状態が継続すると、固定装置自動制御装置22が作動して、固定ピン7を免震される構造体1を固定する位置に自動復元させる(そして一定時間が経つと節電状態に入る)。
中心接点型の装置の場合、電気等の接点23-cの大きさが、免震装置の免震感度を決定する。接点が大きければ感度は低くなり、小さければ感度が高くなる。ただし、地震後の残留変位を考慮し、余裕をみた大きさにする必要がある。
また、接点の大きさを調整可能にしておく事により、免震装置の感度を調整できるようにすることが可能となる。

b) 周辺接点型
さらに、上記の中心接点型以外の方法も考えられる。
図184、図186は、その実施例を示しており、図184は、地震センサー振幅装置が重力復元型の場合、図186は、バネ復元型の場合である。
重力復元型、バネ復元型(免震皿型)地震センサー振幅装置14、15の免震皿上の重り20(滑り部)と、その(地震前または地震後の)停止位置以外の周辺部との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、重り20(滑り部)が停止位置にとどまり、接点23-cが接しないため通電せず、固定装置自動制御装置22は作動しない。
地震時に、重り(滑り部)20が停止位置より移動して、双方の電気等の接点23-cが重なり合い通電すると、固定装置自動制御装置22が作動し、固定ピン7が引き抜かれて、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
そして地震後、重り20(滑り部)が再び停止位置にとどまり、通電しなくなると、固定装置自動制御装置22が作動しなくなり、(バネまたは重力等により)固定ピン7が免震される構造体1を固定する元の位置に復帰する。
また、a)中心接点型、b)周辺接点型ともに、免震皿3は、重力復元型の、全方向性を持った球面またはすり鉢状等の凹型滑り面部をもったものが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)でもよい。
また凹面でない平面型滑り面部を有する免震皿3の場合は、バネ復元型となり、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9で重り20(滑り部)を元の位置に復元させる場合である。また、免震皿3の重り20(滑り部)は、単に球形状の場合もある。

2) 振り子型地震センサー振幅装置装備型
a) 中心接点型
図187は、地震センサー振幅装置が振り子型である場合の実施例を示している。
振り子型の地震センサー振幅装置の場合、地震センサー振幅装置13の振り子と、その停止位置との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、 振り子が停止位置にとどまり、電気等の接点23-cが重なり続けることで、固定装置自動制御装置22が作動し、固定ピンが、セット(=ロック・固定)されている状態が保たれている(そして一定時間が経つと節電状態に入る)。
地震時に、振り子が移動して、通電状態の継続が破られると、固定装置自動制御装置22が作動しなくなり、(バネまたは重力等により)固定ピン7が解除されて、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震後、振り子がこの停止位置に再び継続的にとどまり、通電状態が継続すると、固定装置自動制御装置22が作動して、固定ピン7を免震される構造体1を固定する位置に自動復元させるものである(そして一定時間が経つと節電状態に入る)。

b) 周辺接点型
さらに、上記の中心接点型以外の方法も考えられる。
図188は、この実施例を示している。
地震センサー振幅装置13の振り子と、その停止位置以外の周辺部との双方に、電気等の接点23-cが取付けられている。
通常時は、この停止位置に、振り子がとどまり、接点23-cが接しないため通電せず、固定装置自動制御装置22は作動せず、よって固定ピンには作用しない。
地震時に、振り子がこの停止位置より移動して、双方の電気等の接点23-cが重なり合い通電すると、固定装置自動制御装置22が作動し、固定ピン7が引き抜かれて、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震後、この停止位置に、再び振り子がとどまり、通電しなくなると、固定装置自動制御装置22が作動しなくなり、(バネまたは重力等により)固定ピン7は免震される構造体1を固定する元の位置に復帰する。
なお、a)中心接点型、b)周辺接点型ともに、振り子も、全方向性を持ったものが望ましいが、一方向性(往復を含む、以下同じ)でもよい。
図183〜図184は、地震センサー振幅装置14が重力復元型の場合、図185〜図186は、地震センサー振幅装置15がバネ復元型の場合、図187〜図188は、地震センサー振幅装置13が振り子型の場合である。
また、重力復元型、バネ復元型、振り子型のいずれも、固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とに対して、図183〜図188に示されているのとは逆に取り付けられる場合もある。

(2) 連結部材弁型固定装置
連結部材系は、不可撓部材(図145、図287、図330)と可撓部材(図146、図279、図331)とに分かれる。
なお、連結部材弁型固定装置において、弁(固定弁)をロックするロック部材を設けることも可能であり、その場合、連結部材弁型固定装置は、間接方式となる。

a. 不可撓部材の場合
図145は、連結部材系のうちの不可撓部材型の実施例である。
この固定装置Gは、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に設置され、
図145(a)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
図145(b)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体1の部材からなるピストン状部材1-pが、ユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されており、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるその挿入筒2-aが、支持部材2-g及びユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されている。
これらは免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型である。
さらに、この挿入筒1-a、2-aの、ピストン状部材2-p、1-pにより仕切られた端と端とは、管7-eで繋がれており、この途中にこの固定装置Gを固定する弁(固定弁)として、電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが設置される。
この弁(固定弁)7-efが、電動弁、電磁弁等の電気式の場合は、地震センサー振幅装置と電線23によって連動し、機械式弁の場合は、地震センサー振幅装置とワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8によって連動し、
その指令・動き(重り20の振動)によって開閉するものである。通常この電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efは閉じており、挿入筒1-a、2-a内の液体・気体等は、自由に管7-e内を移動できない。
電気式の場合には地震センサー振幅装置が一定以上の地震力を感知すると(1)のような機構から電気信号を送り、機械式の場合には地震センサー振幅装置の重り20が振動して、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが開いて固定装置Gの固定を解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除し、
地震センサー(振幅)装置が地震力が一定以下になったことを感知すると(重り20が振動しなくなると)、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが再び閉じて固定装置Gを固定し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき地震センサー振幅装置が地震力が一定以下になったことを感知してから(重り20が振動しなくなってから)、一定の時間をおいて固定装置を固定させるための、タイマーまたは遅延器(8.5.参照)を設ける場合もある。

b. 可撓部材の場合
可撓部材の場合には、 連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
図146は、この可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
なお、不可撓部材の図287、図330と可撓部材の図279、図331は、8.1.2.2.5.で説明済みである。

8.1.2.3.2. 地震センサー装備型(電気等による自動制御型)
(1) 一般
また、動電型、圧電型、可変抵抗型(しゅう動抵抗式、ひずみゲージ式等)、可変インダクタンス型(空隙変化型変換素子、差動トランス等)、サーボ加速度型等の、あるいはその他地震計等に使用されている形式の振動計を、地震センサーとして装備した自動制御型固定装置も考えられる。
図192、図193(地震センサーがJ-bの時)はその実施例を示している。
地震センサーJ-b、及びこれと信号を伝える電線23により連動する固定装置自動制御装置22が設置され、ある一定以上の地震力(加速度、速度、変位等)になると、地震センサーJ-bがそれを感知し、固定装置自動制御装置22が固定ピン等の固定装置の作動部7を解除するように作動して、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
終了時については、地震力がある一定以下となり、地震センサーJ-bが地震の終了を感知してから一定時間後、固定装置自動制御装置22が固定ピン等の固定装置の作動部7を、免震される構造体1を固定する位置に復帰させる。
なお、この固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、図192〜図193とは逆に取り付けられる場合もある。
「ある一定以上の地震力」、また「ある一定以下の地震力」(固定装置自動制御装置がどのくらいの地震になると固定ピン等の固定装置の作動部を解除させ、またどれくらいまで治まると固定ピン等の固定装置の作動部をセット(=ロック・固定)させるか)に関しては、調整可能にしておき、敷地ごとの状況に応じて設定できるようにする。

(2) 地震発電による地震センサー装備型(8.1.2.2.1. (2) 2)ロ 参照)
上記(1)記載の発明の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の、地震センサーが、7.2.の地震発電装置型地震センサーによる場合である。
8.1.2.3.2.(1) の地震センサー装備型の代わりに、7.1.記載の免震による地震発電装置、または 7.2.記載の地震発電装置型地震センサーを使用して、固定装置の解除を行う場合である。これは、自動制御装置が直接固定装置の作動部の解除を行うタイプである。この場合は固定装置の作動に当たって自身の発電した電気を用いるため、電源設備を必要としない。
図192、図193(地震センサーがJ-kの時)は、この発明の固定装置の実施例を示している。
地震の加速度、速度、または変位がある一定以上になると、地震発電装置型地震センサーJ-kが作動し、その発電した電力により、連動する固定装置自動制御装置22も固定ピン等の固定装置の作動部7を解除するように作動して、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定が解除される。
地震終了時については、地震力がある一定以下となり、地震発電装置型地震センサーJ-kが作動を停止してから一定時間後、固定装置自動制御装置22が固定ピン等の固定装置の作動部7を、免震される構造体1を固定する位置に復帰させる。
なお、この固定装置Gが、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して、図192〜図193とは逆に取り付けられる場合もある。
地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
地震後、地震センサー振幅装置の作動、または地震センサーの指令によって、固定ピン等の固定装置の作動部を自動的に元の位置に戻す装置が設けられていることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
固定ピンの挿入部が、すり鉢形状・球面形状等の凹形状をなしていることを特徴とする地震センサー(振幅)装置装備型固定装置である。

(3) 固定ピン型/連結部材弁型固定装置
以上の(1)(2)に関して、固定ピン型固定装置の場合と連結部材弁型固定装置の場合とがあげられる。

1) 固定ピン型固定装置
図139は、固定ピン型固定装置(不可撓部材型連結部材系)の場合で、地震センサーからの電気等の指令によって、電磁石で固定ピン7をその挿入部7-vから引抜きまた挿入を行う場合の地震センサー装備型自動制御型固定装置の実施例を示している。
固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合って、通常時はロックされる。
地震時には地震センサーからの信号により、固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動して固定ピン7が解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除する機構である。
またこの他に、可撓部材型連結部材系の、また固定ピン系直接方式の固定ピン型固定装置(図192、図193)があげられる。

2) 連結部材弁型固定装置
図145は、連結部材弁型固定装置の場合で、地震センサーからの電気等の指令で、固定装置の作動部の固定を解除する場合の地震センサー装備型自動制御型固定装置の実施例である。
この固定装置Gは、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に設置され、
図145(a)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
図145(b)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体1の部材からなるピストン状部材1-pが、ユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されており、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるその挿入筒2-aが、支持部材2-g及びユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されている。
これらは免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型である。
さらに、この挿入筒1-a、2-aの、ピストン状部材2-p、1-pにより仕切られた端と端とは、管7-eで繋がれており、この途中にこの固定装置Gを固定する弁(固定弁)として、電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが設置される。この弁(固定弁)7-efは地震センサーと電線23によって連動し、その指令によって開閉するものである。通常時はこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efは閉じており、挿入筒1-a、2-a内の液体・気体等は、自由に管7-e内を移動できない。
地震センサーが一定以上の地震力を感知すると、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが開いて固定装置Gの固定を解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除し、
地震センサーが地震力が一定以下になったことを感知すると、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが再び閉じて固定装置Gを固定し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定して、通常時の状態へ戻す機構である。
このとき地震センサーが地震力が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を固定させるための、タイマーを設ける場合もある。

8.1.2.4. 地震センサー(振幅)装置
8.1.2.4.1. 地震センサー(振幅)装置
地震センサー(振幅)装置は、地震センサーと地震センサー振幅装置とに分けられる。

1) 地震センサー振幅装置
地震センサー振幅装置には、重力復元型、バネ復元型、振り子型の3種類がある。
地震センサー振幅装置の重りが、地震力で振動し、重力またはバネ等により元の位置に戻る。
図149〜図150は、地震センサー振幅装置が、重力復元型の場合である。
地震センサー振幅装置14の免震皿3は、球面、またはすり鉢等の凹型滑り面部を有しており、地震時等の振動により振幅が自由にされた重り20(滑り部)は、その面を滑り、免震皿の形状により重力で元の位置に戻る。
図151〜図152は、地震センサー振幅装置が、バネ復元型の場合である。
地震センサー振幅装置15の免震皿3は、平面型滑り面部を有しており、地震時等の振動により振幅が自由にされた重り20(滑り部)は、その面を滑り、重り20(滑り部)に繋げられたバネ・ゴム・磁石等により元の位置に戻る。
図157〜図158は、地震センサー振幅装置が振り子型の場合である。
地震センサー振幅装置13では、地震時等の振動により振幅が自由にされた振り子の重り20は、重力で元の位置に戻る。

2) 地震センサー装備型固定装置
動電型、圧電型、可変抵抗型(しゅう動抵抗式、ひずみゲージ式等)、可変インダクタンス型(空隙変化型変換素子、差動トランス等)、サーボ加速度型等の、あるいはその他地震計等に使用されている形式の電気式振動計を、地震センサーとして使用する。

8.1.2.4.2. 地震センサー(振幅)装置の設置場所
8.1.2.の各装置において、地震センサーまたは地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)の設置場所は、免震される構造体Aと免震される構造体を支持する構造体Bのどちらでもよいが、地震力以外の振動が働かない場所、つまり、免震される構造体を支持する構造体Bのほうがよい。また地震センサーからの指令を電気等で送る場合は、地震力以外の振動が働かない、地下等の場所も可能である。

8.1.2.4.3. 地震センサー(振幅)装置の設計
(1) 地震センサー(振幅)装置の周期
1) 地震センサー(振幅)装置の周期設計
地震センサー(振幅)装置の周期に関する発明である。
8.1.2.の 地震センサー(振幅)装置装備型固定装置の各装置において、地震センサー(振幅)装置の重り等のセンサー部の周期を(地震センサー振幅装置の場合は、重りの周期を)、それが設置される構造体の建てられる敷地の地盤の固有周期に合わせたものである。
地盤周期に同調して共振するような地震センサー(振幅)装置の方が感度が高い。
具体的には、建てられる敷地の地盤種別(1種、2種、3種というような区分)に従い、地震センサー(振幅)装置の重り20の周期を合わせる。
敷地の地盤周期が長周期の場合は、振り子型の場合には振り子の長さを長く取ることが必要になり、振り子型よりも免震皿による重力復元型(球面型)・バネ復元型の地震センサー(振幅)装置が適している。
なお、実際には、重り20の周期を地盤周期に完全に合せることは困難であり、大まかなものであっても実用上の問題はない。

2) 地震センサー振幅装置の重り共振装置
地震センサー振幅装置の重りの共振装置に関する発明である。
地震時に重りを共振させるためには、重り20に繋がる(固定装置へも繋がる)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8に余裕(たるみ)を与える必要がある。
しかし、たるみを与えるとセンサー感度が落ちるので、たるみを与えない方法が望まれる。
そこで、重り20の周りに重りの衝突を受け、重りにもなる周囲材20-aを設け、その周囲材20-aに固定装置に繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8を取付ける。
そうすることにより、 地震時に重り20を地震と共振させることができ、且つ固定装置へ繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8に余裕(たるみ)を与える必要もなくなる。
図274は、その実施例である。
重り20は、地震時共振により弾みをつけて衝突し、周囲材20-aを振動させることになる。
重り20と周囲材20-aの重さの比を変えることにより、周囲材20-a自体の振れと重り20の共振のバランスを考慮して感度に対応できる。
重り20と周囲材20-aの間隔は、重り20の共振できる幅を持たせるのが望ましい。

3) 地震センサー振幅装置の複数個重り共振装置
地震センサー振幅装置の複数個の重りの共振装置に関する発明である。
地盤周期の幅に対応可能なセンサーを考える場合、複数個の重り20を設けて、その重り20ごとに振動周期を変えることにより、地盤周期への対応に幅を持たせることが可能になる。
地震(特に初期微動、P波)の(周期−頻度スペクトルをとり)頻度が多い周期ごとに重り20の周期を合わせる。
図275は、その実施例である。

4) 地震センサー振幅装置の複数共振装置
地震センサー振幅装置の複数共振装置に関する発明である。
地盤周期の幅に対応可能なセンサーを考える場合、地震センサー振幅装置の振り子の支え自体にもバネを設けて、振り子とバネとにより二つの周期が得られるようにして、地盤周期の幅に対応させることが可能になる。
地盤周期(特に初期微動、P波)の(周期−頻度スペクトルをとり)頻度が多い周期の上位2つに振り子とバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)の周期を合わせる。バネは短周期に、振り子は中長周期に合わせるのがよい。
図276、図277は、その実施例である。
地震センサー振幅装置J-aはバネ等9-uによって支えられており、固定装置Gとは分離して設置されていて、バネ等9-uにより水平方向に振動できるようになっている。このバネ等9-uは短周期を、地震センサー振幅装置J-aの重り20及び吊材20-sからなる振り子はそれより長い周期を、それぞれ共振域として持ち、装置全体としては両方の周期で共振が得られるような機構となっている。
そして、この振り子とバネの周期を、地盤周期(特に初期微動、P波)の(周期−頻度スペクトルをとり)頻度が多い周期の上位2つにそれぞれ合わせる。
この機構によって地震時に地震センサー振幅装置J-a全体あるいは重り20が振動すると、その振幅が重り20の吊材20-sに支持点8-yにて接続されたワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8に伝えられ、ついで増幅器の梃子36-bの力点36-lへと伝えられる。ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8が地震センサー振幅装置J-aと固定装置Gとの間を渡る部分は、地震センサー振幅装置J-aの振動を吸収できるフレキシブルな保護カバー36-ta中を通す場合もある。
このワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8には、支持点8-yの付近及び梃子36-bの力点36-lの手前にローラー等のガイド部材19-aが設けられ、地震センサー振幅装置J-aあるいは重り20の振動の方向が、ロック部材11を引き抜く方向の力でない場合でも、増幅器の梃子36-bの力点36-lへは、ロック部材11を引き抜く方向の力として変換されて伝わるようになっている。またワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8と梃子36-bの力点36-lとの接続箇所は、横長な形状の穴36-zに、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8の端部8-eが、引張力を伝えられる形状で、かつ横長な形状の穴36-zの範囲で自由に動けるように係り合い、地震センサー振幅装置J-a及び重り20が静止状態の時に、端部8-eが横長な形状の穴36-zの、地震センサー振幅装置J-aに近い側の端に位置するようになっている。このとき横長な形状の穴36-zの水平方向の大きさは、地震センサー振幅装置J-a及び重り20の最大振幅より大である。この機構により地震センサー振幅装置J-a及び重り20の振動による力は、この増幅器以降には固定ピン7のロック部材11を解除する方向の力しか伝達されないことになる。
この増幅器の梃子36-bによると、力点36-lでの変位は、(支点36-hから作用点36-ja迄の距離)/(支点36-hから力点36-l迄の距離)倍されて作用点36-jaでの変位となり、作用点36-jaに接続されたロック部材11へ伝えられる変位はその分増幅される。但し作用点36-jaでの力は、この倍率にて力点36-lでの力が除された値であるため、その分重り20の重量を大とする必要がある。
図276では、固定装置Gに設けた遅延器は8.5.2)の油空圧シリンダー式と同様の機構となっている。
固定装置Gの内部は粘性のある液体(気体)に浸されており、(挿入筒7-aから弁7-f、7-fbまでの部分)第1の部分と(弁7-f、7-fbより以降の部分)第2の部分とに区分されていて、固定ピン7が引き込まれる時に開くように付けられている弁7-f、7-fbと、この弁より径の小さい管7-e(及びロック部材11の部分)とでつながっている。
地震時にロック部材11が解除されて固定ピン7のピストン状部材7-pが挿入筒7-aに引き込まれると、弁7-f、7-fbを押し開き、液体(気体)は固定ピンの移動した分だけ、この弁7-f、7-fbを通って第1の部分から第2の部分へと移動する。
一旦引き込まれた固定ピン7はバネ等9-cにより押し出される方向に力を受けるが、弁7-f、7-fbが逆流を許さないのでを液体(気体)は弁7-f、7-fbより径の小さい管7-eを通って第2の部分から第1の部分に移動することになる。
この弁7-f、7-fbと管7-eとの性格により、ピストン状部材の先端7-wの動きは、この筒7-aの中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。
固定装置Gの内部にゴミや塵埃あるいは水分等が進入するのを阻み、また固定装置Gの内部から液体(気体)が外部へ漏れ出すことを防ぐために、挿入筒7-aの開口部にシール部材7-pdを持った防塵・防水カバー7-pcを設けることも考えられる。これは図276の場合のように固定装置Gの外部に設置しても、また挿入筒7-aの開口部に直接組み込んでもよい。
図277は、図276の実施例の固定ピン7が二つに分かれている分離型の場合で、風揺れ等の水平力は外部側固定ピン7-psaだけが受けて、内部側固定ピン7-pscには水平力が伝達されずにスムーズに上下運動が可能になる場合である。
このとき外部側固定ピン7-psaの(内部側固定ピン7-pscと接する)端部7-psbと、内部側固定ピン7-pscの(外部側固定ピン7-psaと接する)端部7-psdとを、一方が曲率の小さい凹曲面、もう一方がそれよりやや曲率の大きい凸曲面とし、シリンダーに対して、ピストンとなる外部側固定ピン7-psaの径は小さく、内部側固定ピン7-pscの径はぎりぎり大きくして、つまり、シリンダーに対しての、外部側固定ピン7-psaの径は隙間が大きく、シリンダーに対して内部側固定ピン7-pscの径は隙間を小さくして、そのことにより内部側固定ピン7-pscの油圧ピストンとしての密閉性を高められ、かつ、外部側固定ピン7-psaが受けた水平力を内部側固定ピン7-pscに伝えずに、軸方向の力だけをつたえられ、内部側固定ピン7-pscのシリンダーへのかじり(かみ込み)を防ぐような仕組みとすることも考えられる。この方法は、固定ピン型の全ての固定装置に使用できるものである。特にピストン型の固定ピンの場合になお有利な方法である。

(2) 全方向感度
1) ラッパ形状の孔
図150、図152、図158に示されている地震センサー振幅装置(振り子型13、バネ復元型14、重力復元型15)のいずれの型も、重り20と固定装置に繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8とが結合される方向と、重り20の地震振幅方向とが合えば、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8に伝達される引抜き力または圧縮力の感度がよく、その他の角度の地震振幅、特に直角方向ではその感度は悪くなる。
図266〜図268は、その問題を解決する実施例を示している。地震振幅の全方向に対して、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8への、同等の引抜き力または圧縮力伝達を可能にするものである。
地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)本体の中に、重り20が、全方向に振動しうる形で設置され、重り20の上または下にワイヤー・ロープ・ケーブル等8が接合されて固定装置へと繋がっており、 重り20の直上または直下の、地震センサー振幅装置の筐体あるいは支持枠に(もしくはその内部あるいは外部に)、重り20に接続されたワイヤー・ロープ・ケーブル等8を通すすり鉢状またはラッパ形状の孔31を持つ挿入部を設け、それにより、あらゆる地震力の方向に対して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等8への、同等の引張力または圧縮力の伝達を可能にする。
図266は、地震センサー振幅装置が振り子型の場合、図267は、重力復元型の場合、図268は、バネ復元型の場合である。
図267、図268では、重り20が免震皿上を滑る(すべる、転がる)場合である。図では、高い感度を考えてローラーまたはボールべアリング等によって転がる場合であるが、すべる場合も当然考えられる。
図267は、重力復元型であり、免震皿は、すり鉢型のものと球面型のものとが考えられるが、建てられる敷地の地盤種別1種、2種、3種の地盤周期に合わせることを考えると、免震皿は固有周期を合わせられる球面型のものが適している。

2) ローラー状ガイド部材
地震センサー振幅装置の地震に対する感度が、地震力の方向によらず一定となることを図った地震センサー振幅装置装備型固定装置の発明である。
8.1.2.の地震センサー振幅装置装備型固定装置において、地震センサー振幅装置の重り20の水平方向に、固定装置Gと繋がるワイヤー・ロープ・ケーブル等8を結合し、重り20の(振幅寸法の余裕を取った)すぐ脇にローラー等のガイド部材19-aを(回転軸等を)を垂直方向に二本設けて、このワイヤー・ロープ・ケーブル等8を通すことで、全方向に対して同等の引抜き力または圧縮力の伝達が可能なように構成されてなることにより、前記目的を達成するものである。
図276、図277は、その実施例であり、8.1.2.4.3.の(1) 4)において詳述した。

(3) 増幅器付き地震センサー振幅装置(その1)
増幅器付の地震センサー振幅装置の発明であり、図269〜図272、図205は、その実施例である。
地震センサー振幅装置に、梃子・滑車・歯車等を組込むことによって、地震センサー振幅装置に連結しているワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の、地震時の引張長さまたは圧縮長さを増幅させて、固定装置の、地震に対する感度を高めるという発明である。
図269〜図271は増幅器として梃子が用いられた場合、図272は、増幅器として歯車が用いられた場合の実施例を示している。
図269は、地震センサー振幅装置が振り子型の場合である。
地震時に振り子の重り20が振動すると、その重り20が梃子36-bの力点となり、その振幅が、梃子36-bの支点36-hを経由して、それが梃子36-bのもう一方の端(梃子の作用点)36-jに伝わる際に、力点から支点36-hの距離と、支点36-hから作用点36-jの距離との比に応じて増幅され、続くワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さが増大する。
なお、梃子の支点36-hは、全方向に回転する梃子の支点である。
図270は、地震センサー振幅装置がバネ復元型の場合である。
地震時に重り20が振動すると、重り20の挿入部36-mに挿入された梃子36-bの力点36-lが連動して振動し、その振幅が、梃子の支点36-hを経由して、それが梃子36-bのもう一方の端(梃子の作用点)36-jに伝わる際に、力点36-lから支点36-hの距離と、支点36-hから作用点36-jの距離との比に応じて増幅され、続くワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さが増大する。
なお、梃子の支点36-hは、全方向に回転する梃子の支点である。
図271は、地震センサー振幅装置が重力復元型の場合である。
地震時に重り20が振動すると、重り20の挿入部36-mに挿入された梃子36-bの力点36-lが連動して振動し、その振幅が、梃子の支点36-hを経由して、それが梃子36-bのもう一方の端(梃子の作用点)36-jに伝えられる際に、力点36-lから支点36-hの距離と、支点36-hから作用点36-jの距離との比に応じて増幅され、続くワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さが増大する。
なお、梃子の支点36-hは、全方向に回転する梃子の支点である。
また、免震皿は、すり鉢型のものと球面型のものとが考えられるが、重りの周期を建てられる敷地の地盤種別1種、2種、3種の地盤周期に合わせることを考えると、免震皿は球面型のものが適している。
図272は、増幅器として歯車が用いられた場合の実施例であり、地震センサー振幅装置がバネ復元型の場合を示している。
地震時に重り20が振動すると、その振幅が重り20に付けられたラック36−cから歯車36−dに伝わり、歯車36−dが回転する。場合により、歯車がもう一つ付けられていることもあるが、その場合には歯車36−dの回転が二つめの歯車36−eに伝わる。そして、歯車36−dまたは歯車36−eに連結されたワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が引張られる。このとき、ラック36−cに対する歯車36−dの大きさ、または歯車36−dに対する歯車36−eの大きさの比に応じて、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の引張られる長さが増大する。
なお、図270〜図272の実施例においては、重り20の下部に、ボール(ベアリング)5-eを設置しているが、ボール(ベアリング)5-eに代えてローラー(ベアリング)5-fを使用することも可能である。

図205は、増幅器付き地震センサー振幅装置の実施例である。
地震時に重り20が振動すると、その振幅が重り20に接続されたロッド等8-dに伝えられ、ついで増幅器の梃子36-bの力点36-lへと伝えられる。このロッド等8-dにはフレキシブルジョイント8-jを設け、重り20の振動の方向に関わらず、増幅器の梃子36-bの力点36-lへは一方向の力しか伝達されないようになっている。またロッド等8と梃子36-bの力点36-lとの接続箇所は、横長な形状の穴36-zに、ロッド等8-dの端部8-eが、引張力を伝えられる形状で、かつ横長な形状の穴36-zの範囲で自由に動けるように係り合い、重り20が静止状態の時に、端部8-eが横長な形状の穴36-zの、重り20に近い側の端に位置するようになっている。このとき横長な形状の穴36-zの水平方向の大きさは、重り20の最大振幅より大である。この機構により重り20の振動による力は、この増幅器以降には固定ピン7のロック部材11を解除する方向の力しか伝達されないことになる。
この増幅器の梃子36-bによると、力点36-lでの変位は、(支点36-hから作用点36-j迄の距離)/(支点36-hから力点36-l迄の距離)倍されて作用点36-jでの変位となり、作用点36-jに接続されたロッド等8-dへ伝えられる変位はその分増幅される。但し作用点36-jでの力は、この倍率にて力点36-lでの力が除された値であるため、その分重り20の重量を大とする必要がある。
なお、図272を除き、図269〜図271の梃子の支点36-hは、梃子36-bが全方向に回転できるようなものとなっている。図270〜図271の梃子36-bの力点が入り込む重り20の挿入部36-mも、球面またはすり鉢等の凹形状になっており、梃子36-bの先端部が追随でき、どの方向からの地震力を伝達できるようなものとなっている。
そのため、これらの装置は、8.1.2.4.3.の(2)と同様、地震力がどの方向から働いても、同等の感度(引抜き力または圧縮力の伝達)を可能にするものである。

(4) 増幅器付き地震センサー振幅装置(その2)
増幅器付の地震センサー振幅装置の発明であり、図273は、その実施例である。
下部が球状で自由に転がることのできる形状の重り20-bを免震皿上に乗せ、その上部に梃子36-bの力点が入り込む挿入部36-mを設ける。地震力を受けて重り20-bが転がると、力点36-lも連動して動き、これによって梃子36-bの作用点36-jも動くことになる。
このとき力点36-lの動きの振幅は、地震変位振幅に加え、重り20-b(及び挿入部36-m)の回転が力点36-bに与える変位分とからなる。この力点36-lの振幅が、力点36-lから支点36-hの距離と支点36-hから作用点36-jの距離との比に応じて増幅され、作用点36-jの動きの振幅となる。この2重に増幅された作用点36-jの動きによって、接続されているワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引っ張られる長さが増大する。
なお、梃子の支点36-hは、全方向に回転する梃子の支点である。
また梃子36-bの力点が入り込む重り20-bの挿入部36-mも、球面またはすり鉢等の凹形状になっており、梃子36-bの先端部が追随でき、全方向からの地震力を伝達できるようなものとなっている。
またこの方式では、重り20-b自体が自由に転がることができるため、図271等で使用されている重り20下のボール(ベアリング)5-eを無しにできる。

8.1.3. 連動作動型固定装置
図148、図170〜図178は、連動作動型固定装置の実施例を示している。
連動作動型固定装置は、複数個の固定装置からなり、各固定装置同士が、相互に連動して作動することを特徴とするものである。
複数の固定装置を、相互に連動させずに一つの構造体に設置した場合、地震力が働いたときに、各固定装置が同時に解除されるとは限らず、その場合、構造体は固定されている箇所を中心に、ねじれた動きをしてしまう。連動作動型固定装置の開発は、その問題を解消するために、各固定装置が同時に解除するようにする方法を考えたものである。
複数の固定装置からなり、それぞれの固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置であり、固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に解除するように構成されているものである。

8.1.3.1. 連動作動型固定装置(1)
この連動作動型固定装置(1)は、上記の8.1.1.の剪断ピン型固定装置だけに使用可能なものである。
図148は、
剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなり、それぞれの固定ピン等の固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置である。固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に解除させようとするものである。
具体例の一つとしては、一定以上の地震力により折れるか切れるかする構造をもつ剪断ピン型固定装置(8.1.1.)を含む2つ以上の固定装置において、
剪断ピン型固定装置の固定ピン7と、他の固定装置の作動部をロックするロック部材11とが、相互にワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で繋がれており、
地震時に、地震力によって剪断ピン型固定装置の固定ピン7が折れるか切れるかすると、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で連動して、他の固定装置の前記ロック部材11が解除され、各固定装置が同時に解除され、
免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除するように構成されるものがあげられる。
具体的には、剪断ピン型固定装置の固定ピン7-sと、それ以外の固定装置の、固定ピン7をロックする部材11(以下、「ロック部材」と言う)とが相互にワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で繋がり、引張用のバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tによって引っ張られている。
ロック部材11には、固定ピン7が貫通できる大きさのロック孔11-vが開けられており、ロック孔11-vの縁(へり)と、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cとが嵌まり込むことにより、固定ピン7がロックされている。また、ロック部材11は、固定ピンのロックまたは解除する方向にスライドできるようにされている。
地震時に、地震力によって前記剪断ピン型固定ピン7-sが折れるか切れるかすると、重力またはバネ等9-tの力によりこの剪断ピン7-sは挿入部7-vから引抜かれ、前記ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が緩み、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で連動している他の固定ピン7のロック部材11が、引張用のバネ等9-tにより引張られて固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから外れ、固定ピン7のロックが解除される。
そして、この固定ピン7に付けられた圧縮用のバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-c(引張用のバネ等9-tの場合も当然考えられる)により、固定ピン7が外れて、免震される構造体1の固定が解除される。
また、固定装置Gが免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2に対して図とは逆向きに取り付けられ、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8も逆になる場合もある。
この発明は、8.1.2.地震センサー(振幅)装置装備型固定装置、8.2.風作動型固定装置にも適用できるものである。
これら、8.1.2.、8.2.、8.3.の固定装置が複数個用いられる場合には、電気指令、メカニカル指令等によって各固定装置を同時に作動させる方法を採ることもある。
この装置の開発により、剪断ピン型の固定装置の欠陥である剪断ピン2個以上設置の場合の問題を解決する。つまり、複数の固定ピンが同時に切断されない場合、切断されなかった(ロックが解除されなかった)固定ピンによって、地震力が働くと、固定されている箇所を中心に、捩れた動きをする。その欠点を解消するためには、同時に固定ピンを解除する形が求められた。この装置は、この問題を解決する。
以下に説明する連動作動型固定装置(2)〜(5)は、上記の8.1.1.の剪断ピン型固定装置だけでなく、8.1.2.以下に説明される地震センサー(振幅)装置装備型固定装置においても使用可能なものである。

8.1.3.2. 連動作動型固定装置(2)
図170〜図171は、連動作動型固定装置(2)の実施例を示している。
風揺れ等を防止する固定装置が2個以上用いられ、各固定ピンには、それをロックする機能をもった部材(ロックピン・ロック弁等、以下、「ロック部材」と呼ぶ)が、固定ピンのロックまたは解除する方向にスライドできるような状態で、組み合わされている。ロック部材同士は、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたレリーズ等で連結されている。地震時に、このロック部材の一つに、固定ピンのロックを解除する方向(押出し方向、または引抜き方向)に作用すると、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたレリーズ等の連結により、それぞれの固定ピンのロック部材が、同時に、それぞれの各固定装置を解除する仕組みである。この装置は、 8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型(固定装置用)と、8.1.1.の剪断ピン型(固定装置用)とに分かれ、以下に説明する。

(1) 地震センサー(振幅)装置装備型
図170は、地震センサー(振幅)装置(8.1.2.)を装備した連動作動型固定装置の実施例を示している。
図170は、ロック部材が、ロックピンである場合のものである。
ロック部材11には、固定ピン7をロックするための、固定ピン7が貫通できる大きさのロック孔11-vが開けられており、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cにロック孔11-vの縁が嵌まり込むことにより、固定ピン7がロックされている。
ロック部材11同士は、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で連結されており、ロックが解除される方向に連動し、その逆方向にはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9で戻り(図170では9-c)、地震時に、地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)(8.1.2.4.参照)の振動する重り20が、直接またそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、
また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、地震センサー装置が ロック部材制御装置47等を介して、ロック部材11の一つに、ロック部材11を解除する方向に(図170中の白抜き矢印の押出し、また引抜き方向に)作用し、そのロック部材11にあけられたロック孔11-vに、嵌め込まれてロックされている各固定ピン7が同時に解除される。
また、各ロック部材11が、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8のかわりにレリーズ等8-rで連結される場合は、そのレリーズ等8-rにより押出し方向と引張り方向の両方向に連動可能である。
なお、ロック部材11のロック解除の方向の逆方向には、いずれかのロック部材11の一つにバネ等9(図では9−c)を付けて復元させる必要はある。
図206は、8.1.2.2.4. 2)の固定装置が二個以上設置され、連動作動する場合の実施例を示している。
2つ以上の、この自動復元型固定装置において、
固定ピン7をロックしている第1のロック部材7-l同士をワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたはレリーズ等8-rで繋ぎ、片方が動くと他方も動くように構成する。

(2) 剪断ピン型
図171は、8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなる連動作動型固定装置の実施例を示している。
欠き込み・溝・窪み7-cにロック部材のロック孔11-vの縁に嵌め込まれてロックされている剪断ピン型固定ピン7-sが、地震時に、折れるか切れるかして、重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tの力により挿入部7-vから引抜かれると、ロック孔11-vの縁に嵌まっていた固定ピン7-sの欠き込み・溝・窪み7-cの形状により、ロック部材11が押し出される等して、その動きが、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8またはレリーズ等8-rによって、他の固定装置のロック部材11を、固定ピンのロックを解除する方向に連動させ、それにより、各固定ピン7が同時に解除される。

8.1.3.3. 連動作動型固定装置(3)
図172〜図174は、連動作動型固定装置(3)の実施例を示している。
風揺れ等を防止する複数個の固定装置において、各固定ピンをロックする機能の複数個のロック孔11-vを持ったロック部材が、固定ピンをロックまたは解除する方向に可動(スライド)できるようになっており、地震時にロック部材が押し出されるか引き戻されるかすると、ロックする機能をもつロック孔11-vから、それぞれの固定ピンが外れて、同時に解除されるというものである。
ロック部材の形態としては、固定装置の数に応じ、枝分かれのないもの、三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれしたものなどが考えられる。
この装置は、 8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型(固定装置用)と、8.1.1.の剪断ピン型(固定装置用)とに分かれ、以下に説明する。

(1) 地震センサー(振幅)装置装備型
図172〜図173は、地震センサー(振幅)装置(8.1.2.)を装備した連動作動型固定装置の実施例を示している。
地震時に、地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)の振動する重り20が、直接またはそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、地震センサー装置が ロック部材制御装置47等を介して、ロック部材11の端部の一つに、ロック部材11を解除する方向に(図172〜図173中の白抜き矢印の押出し、また引抜き方向に)作用し、そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされている各固定ピン7が同時に解除される。なお、ロック部材11のロック解除の方向とは逆方向に働くバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9(図172〜図173では9-c)を付けて復元させる必要はある。

(2) 剪断ピン型
図174は、8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなる連動作動型固定装置の実施例を示している。
欠き込み・溝・窪み7-cにロック部材のロック孔11-vの縁が嵌め込まれてロックされている剪断ピン型固定ピン7-sが、地震時に、折れるか切れるかして、重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tの力により外れると、ロック孔11-vの縁に嵌まっていた固定ピン7-sの欠き込み・溝・窪み7-cの形状により、ロック部材11が押し出される等して、固定ピンの解除方向に動き、このロック部材11の他のロック孔11-vの縁に嵌まっていた各固定ピン7が同時に解除される。
なお、図174は、分岐のないロック部材に、2つのロック孔11-vが開けられている場合であり、図172〜図173は、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれているロック部材に個々にロック孔11-vをもち、地震時に同時に解除される場合である。当然のように、図174においても、図172〜図173と同様に、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれているロック部材が考えられる。

8.1.3.4. 連動作動型固定装置(4)
図175〜図178は、連動作動型固定装置(4)の実施例を示している。
風揺れ等を防止する複数個の固定装置において、
各固定ピンをロックする機能の複数個のロック孔11-vを持ったロック部材が、ロック部材の一つの点を軸にして回転できるように取付けられており、地震時に、ロック部材を回転方向へ押出すか引戻すかすることにより、それぞれの固定装置が同時に解除されるものである。
ロック部材の形態としては、固定装置の数に応じ、 枝分かれのないもの、三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれしたものなどが考えられる。図175、図176は、ロック部材が枝分かれしていない場合であり、図177は、ロック部材が三つ又に、図178は、四つ又に分かれている場合である。
この装置は、 8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型(固定装置用)と、8.1.1.の剪断ピン型(固定装置用)とに分かれ、以下に説明する。

(1) 地震センサー(振幅)装置装備型
図175、図177は、地震センサー(振幅)装置(8.1.2.)を装備した連動作動型固定装置の実施例を示している。
図175は、ロック部材が枝分かれしていない場合のものである。
回転できるロック部材の両端に固定ピン7をロックするためのロック孔11-vがあり、地震時に、地震センサー振幅装置の、地震時に自由に振動する重り20が、直接またはそれに連動する部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド8と繋がれて)、または、地震センサー装置が ロック部材制御装置47等を介して、ロック部材11の一端を、固定ピンからロックが外れる回転方向(図175中の白抜き矢印の押出し方向、または引抜き方向)に作動させることにより、そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされている各固定ピン7が同時に解除される。なおロック部材に、ロック解除とは逆の回転方向に働くバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9(図175では9-c)を付けて、復元力をもたせる必要がある。
図177は、ロック部材が枝分かれしている場合のものである。
三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれし、その分岐した個々の端部に固定ピン7をロックするためのロック孔11-vをもったロック部材が、ロック部材の一つの点11-xを軸として回転できるように取付けられており、地震時に、地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)の振動する重り20が、直接またそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、地震センサー装置が ロック部材制御装置47等を介して、このロック部材11の枝分かれした一つに、固定ピン7のロックを解除する回転方向(図177中の白抜き矢印の押出し、また引抜き方向)へ作用し、そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされている各固定ピン7が同時に解除される。なお、ロック部材11にロック解除と逆回転方向に働くバネ等9(図177では9-c)を付けて、復元力を持たせる必要がある。

(2) 剪断ピン型
図176、図178は、8.1.1.の剪断ピン型固定装置を含む複数の固定装置からなる連動作動型固定装置の実施例を示している。
図176は、ロック部材が枝分かれしていない場合のものである。
欠き込み・溝・窪み7-cにロック部材のロック孔11-vの縁が嵌め込まれてロックされている剪断ピン型固定ピン7-sが、地震時に、折れるか切れるかして、重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tの力により挿入部7-vから引抜かれると、ロック孔11-vの縁に嵌まっていた固定ピン7-sの欠き込み・溝・窪み7-cの形状により、ロック部材11が押し出される等して、固定ピンの解除方向に回転し、このロック部材11の他のロック孔11-vの縁に嵌まっていた各固定ピン7が同時に解除される。
図178は、ロック部材が枝分かれしている場合のものである。
欠き込み・溝・窪み7-cにロック部材のロック孔11-vの縁が嵌め込まれてロックされている剪断ピン型固定ピン7-sが、地震時に、折れるか切れるかして、重力またはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tの力により挿入部7-vから引抜かれると、ロック孔11-vの縁に嵌まっていた固定ピン7-sの欠き込み・溝・窪み7-cの形状により、ロック部材11が押し出される等して、固定ピンの解除方向に回転し、このロック部材11の他のロック孔11-vの縁に嵌まっていた各固定ピン7が同時に解除される。
なお、図170〜図178の平面図中の※印の付いた鉤矢印は、その下の断面図の切断方向を表しているものである。
以上の8.1.3.2.連動作動型固定装置(2)〜8.1.3.4.連動作動型固定装置(4)の地震センサー振幅装置(振り子型13、重力復元型14、バネ復元型15)において、そのロック部材11の解除に対する感度を自由に変えられるように、作用部(押出し部・引張り部等)17とロック部材11との距離を、スライド装置24等を設けて調整可能にしておくか、地震センサー振幅装置の重り20とロック部材とを繋いでいるレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド8の長さ(弛みの有無)を調整可能にしておくかにより、または、振り子型等の地震センサー振幅装置を用いる場合には、振り子の吊り長さを調整可能にしておく等の方法により、固定装置の感度(どれだけの地震力になると固定が解除されるか)を自由に設定できるようにすることが可能である。

8.1.3.5. 連動作動型固定装置(5)
地震時に、地震センサーからの電気信号により、同時に1個もしくは複数個の固定ピンが解除される方式の連動作動型固定装置である。
固定の解除の仕方に関して、次の2種類に分かれる。
(1) 電気で固定ピン自体が解除されるもの
地震時に、地震センサーからの電気信号により、1個もしくは複数個の固定ピン自体が解除されるもの。
(2) 電気で固定ピンのロックのみが解除されるもの
地震時に、地震センサーからの電気信号により、1個もしくは複数個の固定ピンのロックが解除され、固定ピン自体は、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)及び地震力等により解除されるもの。
(1) の固定ピンの解除は、速やかさを要求され、大きな電力等を要求されるが、(2) の固定ピンのロック解除のみの場合には、(1)の固定ピンの解除の場合に比べて少ない電力で済み、また簡易な機構で済む。
(2)の電気で固定ピンのロックのみが解除される場合の発明である。
具体的には、8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置を1個または複数個もった固定装置において、それぞれの固定装置の固定が、またはロック部材による固定装置の作動部のロックが、地震センサーからの電気信号によってなされるように構成される。

8.2. 風作動型固定装置
風作動型固定装置は、地震時および風のない通常時は免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除しており、一定以上の風圧時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するという型の固定装置である。
風作動型固定装置は、以下のように分けられる。

(1) 固定装置の固定作動方式
風作動型固定装置も、風そのものの力で反応(作動)する 1)風力反応型と、風センサーからの電気等の指令で作動する 2)風センサー型と、風そのものの力で発電して作動する 3)風力発電型に分かれる。
1) 風力反応型(8.2.2.油圧型、8.2.3.機械型)
2) 風センサー装備型(8.2.1.風センサー装備型固定装置、8.2.4.電気型)
3) 風力発電機型(8.2.5. 風力発電機型風センサー装備型)

(2) 固定装置の作動部制御方式(直接方式・間接方式)
以上のそれぞれは、固定装置の作動部の固定に関して、風力・風センサーからの力で、固定装置の作動部自体を直接制御する直接方式と、固定装置の作動部のロックを制御する間接方式とに分かれる。
1) 間接方式:固定装置の作動部のロックのみを制御するタイプ
2) 直接方式:固定装置の作動部を直接制御するタイプ

(3) 間接方式のロック形式について
上記の間接方式について、固定装置の作動部のロック部材は、ロック形状から、8.1.の地震作動型固定装置と同様に、次の2つに分けられる。
1) ロックピン方式
2) ロック弁方式
以上のそれぞれは、固定装置の作動部のロック方式から、8.1.と同様に、次の2つに分けられる。
1) 一段ロック方式
2) 二段以上ロック方式
さらに、以上のそれぞれは、ロックの個数から、8.1.と同様に、次の2つに分けられる。
1) 一重ロック方式
2) 二重以上ロック方式
また、以上のすべての方式に遅延器付き((1)の2)、または8.5.参照)が考えられる。

8.2.1. 風センサー装備型固定装置(一般型)
風センサーを装備した固定装置(風センサー装備型固定装置)の発明である。
具体的に言えば、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
風センサーによって、ある一定以上の風圧時にのみ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、風揺れ等を防止するように構成されてなることを特徴とする風作動型固定装置である。

1) 固定ピン型固定装置の場合
固定ピン型固定装置( 8.0.1.参照)の場合には、
風センサーの反応によって、一定以上の風力また風圧になると、固定ピン7が挿入部7-vに挿入され、免震される構造体を固定し、一定以下の風力また風圧になると、固定ピン7がまた解除されるものである。

2) 連結部材弁型固定装置の場合
連結部材弁型固定装置( 8.0.1.参照)の場合には、
風センサーの反応によって、一定以上の風力また風圧になると、連結部材弁型固定装置の弁が閉じられ、免震される構造体Aを固定し、一定以下の風力また風圧になると、弁がまた解除されるものである。
「ある一定以上の風力また風圧」、また「ある一定以下の風力また風圧」(風センサーがどのくらいの風力また風圧になると固定装置をセット(=ロック・固定)させるか)させ、またどれくらいまで治まると固定装置を解除に関しては、調整可能にしておき、敷地ごとの状況に応じて設定できるようにする。

(1) 直接方式
風センサー装備型固定装置の直接方式の発明である。
直接方式は、風力・風センサーからの力または指令により、固定装置の作動部自体を直接制御する方式である。
直接方式は、連結形態から、1)固定ピン型固定装置と2)連結部材弁型固定装置の2つの型に分けることができる。

1) 固定ピン型固定装置
風センサー装備型固定装置の直接方式の固定ピン型固定装置の発明である。
図135〜図137は、風作動型固定装置のうち、固定ピン型固定装置(不可撓部材型連結部材系)の実施例である。
この図135〜図137の例では、ピストン状部材2-p、1-pを固定ピン7が直接ロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定する。図135(a)(b)は固定ピン7がピストン状部材2-p、1-pに設けられた固定ピン挿入部7-vに挿入され、ロックされる場合の例、図136は固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合ってロックされる摩擦型固定装置の場合の例、図137は固定ピン7がピストン状部材2-p、1-pに設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入され、地震後の残留変位に対処した場合(8.6.(1)(2)参照)の例である。
この固定装置Gは、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に設置され、
図135(a)、図136では、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
図135(b)、図137では、免震される構造体1の部材からなるピストン状部材1-pが、ユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されており、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるその挿入筒2-aが、支持部材2-g及びユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されている。
これらは免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型である。
この固定ピン7は風センサー7-qとワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって連動し、通常はバネ等9-tによりピストン状部材2-p、1-pをロックしない機構になっている。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、固定ピン7がワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8から、ピストン状部材2-p、1-pをロックする方向の力を受け、固定装置Gをロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、固定ピン7がワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8から、ピストン状部材2-p、1-pをロックする方向の力を受けなくなり、固定装置Gのロックを解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。

図141〜図142(図141は直接方式、図142は間接方式であるが合わせて説明すると)は、固定ピン型固定装置(不可撓部材型連結部材系)の実施例で、共に風センサー7-qからの信号により作動する電気型である。
この図141〜図142の例では、ピストン状部材2-p、1-pを固定ピン7が直接ロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定するが、図141は固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合ってロックされる摩擦型固定装置の場合の例、図142は固定ピン7がピストン状部材2-p、1-pに設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入され、地震後の残留変位に対処した場合(8.6.(1)(2)参照)の例である(なお、図142は間接方式である)。

図141では、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
このタイプにも図135〜図137の場合と同様に、免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。図142についても、図141と同様に対称型がある。
通常時この固定ピン7は、バネ等9-t、9-cにより、ピストン状部材2-p、1-pをロックしない機構になっている。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、図141では固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動し、固定ピン7にピストン状部材2-p、1-pをロックする方向の力を加えることで固定装置Gをロックし、
図142ではロック部材自動制御装置(モーター)46が作動し、固定ピン7がすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmから脱しないよう、ロック部材11を動かして固定ピン7をロックすることで固定装置Gをロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、図141では固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動を止め、固定ピン7は固定装置Gを解除し、図142ではロック部材自動制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11を動かして固定ピン7のロックを解除して固定装置Gを解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。
また、この他に、可撓部材型連結部材系の、また固定ピン系直接方式の固定ピン型固定装置(図209、8.2.2.(1)参照)があげられる。

2) 連結部材弁型固定装置
風センサー装備型固定装置の直接方式の連結部材弁型固定装置の発明である。

連結部材弁型固定装置は、不可撓部材の場合、可撓部材の場合に分かれる。
a. 不可撓部材の場合
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
図145は、この不可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
この固定装置Gは、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に設置され、
図145(a)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
図145(b)では、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドする、免震される構造体1の部材からなるピストン状部材1-pが、ユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されており、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるその挿入筒2-aが、支持部材2-g及びユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されている。
これらは免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型である。
さらに、この挿入筒1-a、2-aの、ピストン状部材2-p、1-pにより仕切られた端と端とは、管7-eで繋がれており、この途中にこの固定装置Gをロックする弁(固定弁)として、電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが設置される。
この弁(固定弁)7-efは、風センサー7-qと信号線7-qlによって連動し(電動弁・電磁弁等の電気式の場合は、風センサー7-qと電線等によって連動し、機械式弁・油空圧式(液圧・空圧)弁の場合は、風センサー7-qとワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等または液体・気体等の通る管によって連動し)、その指令・動きによって開閉するものである。通常この電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efは開いており、挿入筒1-a、2-a内の液体・気体等は、自由に管7-e内を移動できる。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが閉じて固定装置Gをロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、連動するこの電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧式(液圧・空圧)弁等7-efが再び開いて固定装置Gのロックを解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーまたは遅延器(8.5.参照)を設ける場合もある。

b. 可撓部材の場合
可撓部材の場合には、 連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
図146は、この可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例で、風センサー7-qからの信号により作動する電気型である。

(2) 間接方式
間接方式は、風力・風センサーからの力または指令により、固定装置の作動部のロックを制御する方式である。
a) 一般
固定装置とロック部材の組合せの場合である。
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
風センサー等で一定以上の風圧を感知すると、固定装置の作動部をロックするロック部材を働かせて固定装置をロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

b) 固定ピン型の場合
固定ピンとロック部材の組合せの場合である。
これは、
a. 固定ピン系の間接方式のピン型(ロックピン)
b. 固定ピン系の間接方式の弁型(ロック弁)
c. 連結部材系の間接方式ピン型(固定ピンとロック部材(ロックピン、ロック弁))
の3種類に分かれる(8.0.1.固定装置の分類1)。
具体的には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
風センサー等で一定以上の風圧を感知すると、固定ピンをロックするロック部材を働かせて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

c) 地震力による自動復元型
特に、この間接方式の発明は、風作動型の固定ピン型固定装置において、固定ピンの挿入部が、すり鉢形状・球面形状等の、挿入部の中央部に対して凹形状に傾斜させて地震力によって固定ピンの自動復元を可能にする発明(8.1.2.2.3.地震力による自動復元型参照)と組合せることにより、より省電力となり効果的である。
つまり、風作動型固定ピン型固定装置において、
固定ピンの挿入部が、すり鉢形状・球面形状等の凹形状をなすことを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

上記 b)のように、固定装置をロックするロック部材が、ロック弁、ロックピンとに分れることから、以下のようにロック弁方式、ロックピン方式との2つに分れる。

1) ロック弁方式
8.2.1.の風センサー装備型固定装置(風作動型の固定ピン型固定装置)において、
筒中を、液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材等の固定装置の作動部を有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、またはその全てに、ロック弁が設けられており、
通常は、そのロック弁は開いており、固定装置のロックは解除され、固定装置の固定の解除によって、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定の解除がなされており、
一定以上の風圧が働くと、風センサーと連動して、そのロック弁が閉じることにより、固定装置がロックされ、固定装置の固定によって、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定がなされるように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

ここで、固定装置の作動部について説明すると、
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
固定ピンを支持する筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材を伴った固定ピンを有し、
この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに設けた、または全てに設けたロック弁を風センサー等と連動して閉じることにより、固定ピンのロックを行うことにより構成されてなることを特徴とする風作動型固定装置である。
具体的に、地震力による自動復元型の場合で説明すると、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピンの支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材からなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピンをロックするロック弁(ロック部材)が、付いており、
この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりするが、
風センサー等で一定以上の風圧を感知すると、このロック弁(ロック部材)が閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定し、
風センサー等が風圧が一定以下になったことを感知すると、ロック弁(ロック部材)が開いて固定ピンのロックを解除し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除して、通常の状態へ戻すよう構成されている。このとき風センサー等が風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーまたは遅延器(8.5.参照)を設ける場合もある。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系の弁型と基本的に同じ構成である。

2) ロックピン方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

固定ピンの場合について、説明すると、
一定以上の風圧になると、風センサーが指令を出して、ロックピンを作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
また、地震力による自動復元型の場合には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して風揺れ等を防止する固定装置において、
すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、地震時に自由に上がり下がりする固定ピンに、この固定ピンをロックするロックピン(ロック部材)が付いており、
風センサー等で一定以上の風圧を感知すると、このロックピンを作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

図141、図142(図141は直接方式、図142、図143は間接方式であるが合わせて説明すると)は、風作動型固定装置のうち、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置の実施例で、共に風センサー7-qからの信号により作動する電気型である。
この図141、図142の例では、ピストン状部材2-p、1-pを固定ピン7が直接ロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定するが、図141は固定ピン7の先端7-w、及びピストン状部材2-p、1-pの固定ピン7の先端7-wが突き当たる部分が摩擦抵抗の大きくなるような形状であり、相互にかみ合ってロックされる摩擦型固定装置の場合の例、図142は固定ピン7がピストン状部材2-p、1-pに設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入され、地震後の残留変位に対処した場合(8.6.(1)(2)参照)の例である。
図141では、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるピストン状部材2-pが、ユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されており、免震される構造体1の部材からなるその挿入筒1-aが、支持部材1-g及びユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されている。
このタイプにも図135〜図137の場合と同様に、免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。図142についても、図141と同様に対称型がある。
通常時この固定ピン7は、バネ等9-t、9-cにより、ピストン状部材2-p、1-pをロックしない機構になっている。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、図141では固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動し、固定ピン7にピストン状部材2-p、1-pをロックする方向の力を加えることで固定装置Gをロックし、図142ではロック部材自動制御装置(モーター)46が作動し、固定ピン7がすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmから脱しないよう、ロック部材11を動かして固定ピン7をロックすることで固定装置Gをロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、図141では固定装置自動制御装置(電磁石)22-aが作動を止め、固定ピン7は固定装置Gを解除し、図142ではロック部材自動制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11を動かして固定ピン7のロックを解除して固定装置Gを解除し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。
図141〜図142は、風センサーから電気式のロックであるが、図143は、風センサーから機械式によりロック部材11を作動して固定ピン7をロックする方式である。

図147は、風作動型固定装置のうち、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置の実施例で、風センサー7-qからの信号により作動する電気型のものである。
図141〜図142の場合に対して、図147の例は、ピストン状部材1-p、2-pに設けられたラック36-cに組み合わせられた固定ピン(の機能を持つ歯車)7に、ロック部材11をかみ合わせてロックすることで、ピストン状部材1-p、2-pをロックする機構である。このロック部材11を作動させる機構には、ロック部材制御装置(電磁石)を使用する方法と、ロック部材制御装置(モーター)を使用する方法とがあり、この図147は後者の例である。前者の例は図144と同様の機構である。
固定ピン(の機能を持つ歯車)7の歯車の回転軸7-xは、免震される構造体1と固定ピン7が係合する(免震される構造体1のラック36-cと噛み合う)ときは、免震される構造体を支持する構造体2に挿入され、免震される構造体を支持する構造体2と係合するときは、免震される構造体1に挿入される。
免震される構造体1の部材からなるピストン状部材1-pが、ユニバーサル回転接点1-xを介して、免震される構造体1に設置された支持部材1-gに接続されており、免震される構造体を支持する構造体2の部材からなるその挿入筒2-aが、支持部材2-g及びユニバーサル回転接点2-xを介して、免震される構造体を支持する構造体2に設置された支持部材2-gに接続されている。
このタイプにも図135〜図137の場合と同様に、免震される構造体1及び免震される構造体を支持する構造体2と、固定装置Gとの関係が、左右あるいは上下に入れ替わった対称型がある。
通常時このロック部材11は、バネ等9-tにより、固定ピン7をロックしない機構になっている。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動し、ロック部材11を固定ピン7をロックする方向に動かし、この固定ピン7がラック36-cをロックすることで固定装置Gをロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動を止め、固定ピン7のロック及びラック36-cのロックが解除されて固定装置Gが解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。

図210〜図211は、風作動型固定装置のうち、固定ピン系の固定ピン型固定装置の実施例で、風センサー7-qからの信号により作動する電気型である。この例はすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入された固定ピン7に、この固定ピンをロックする方向でロック部材11を差し込み、固定装置Gをロックするタイプである。
この固定ピンを作動させる機構には、ロック部材制御装置(電磁石)を使用する方法と、ロック部材自動制御装置(モーター)を使用する方法とがあり、図210は前者の例、図211は後者の例である。
免震される構造体1に設置された固定装置Gの固定ピン7が、免震される構造体を支持する構造体2に設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入されており、通常時このロック部材11は、バネ等9-tにより、固定ピン11をロックしない機構になっている。
風センサー7-qが一定以上の風圧を感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動してロック部材11を固定ピン7をロックする方向に動かし、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cへ差し込むことで固定ピン7をロックし、固定装置Gを作動させて免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、
風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知すると、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材自動制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11が元に戻って固定ピン7のロックが解除されることで固定装置Gが解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風センサー7-qが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーまたは遅延器(8.5.参照)を設ける場合もある。

(3) 風センサーからの連絡方式(油圧型、機械型、電気型)
風センサーからの反応の送られかたには、8.2.2.のような油圧によるもの(油圧型)、8.2.3.のようなワイヤー等によるもの(機械型)、8.2.4.のような電気信号によるもの(電気型)等があり、1個もしくは複数個の固定ピンが、同時に作動可能なほうがよい。
また、電気型の場合には、固定ピンがセット(=ロック・固定)された後、風圧が一定以下になるまでは解除されないだけでなく、風圧が一定以下になっても、一定時間が経過するまでは解除されないというものも考えられる。
直接方式、間接方式ともに、固定ピンへの風センサーからの反応(力)の送りかたによって、油圧型、機械型、電気型の3つの種類に分けられる。
また、間接方式も、ロックピン(ロック部材)が固定ピンに差込まれるかたちの固定装置の、ロック部材を制御するものと、固定ピンがピストン状部材として作動する形の固定装置の、ロック弁(ロック部材)を制御するもの等が考えられる。
この間接方式のメリットは、風センサーが直接固定ピンを作動させる仕事をしないため、風センサーの出力が小さなもので済むことである。
さらに、固定ピンがピストン状部材として作動する固定装置の場合のメリットとしては、管と弁による遅延効果を利用して、風力が一定以下になってから固定ピンが解除されるまでの時間を長くする方法にもなるということである。また、変位振幅を抑制するダンパーとして使用して、ダンパー効果を与える場合には、水平ダンパーに比べて本数が少なくて済む。水平ダンパーを使用する場合は、水平方向二方向(直交する二方向)に効かせようとすると、最低二本必要であるが、この方式の場合では、一本で済み、少ない設置本数でよいという利点もある。

8.2.2. 風センサー装備型固定装置(油圧型)
風センサーの反応の伝達手段として、風センサーからの管(油等の液体または気体の流れる管)を使用するものである。

(1) 直接方式
直接方式は、連結形態から、1)固定ピン型固定装置と2)連結部材弁型固定装置の2つの型に分けることができる。

1) 固定ピン型固定装置
図209は、風センサー装備型固定装置(油圧型)の直接方式の、固定ピン型固定装置の実施例を示している。
風センサーに風圧を受ける板(風圧版)が設けられており、一定以上の風圧になると、風圧板と連動している油圧ポンプからの油圧力により、固定装置が作動し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

具体的に述べると、風センサー7-qが免震される構造体Aの屋上等に設置され、風センサー7-qの機構として、風圧を受ける板(風圧板)7-rを設け、
風圧板7-rが一定以上の風圧を受けると、風圧板と連動する油圧ポンプ7-tのピストン状部材7-pが押され、それにより、ポンプ内を満たしていた液体が押出され、パイプ等7-ppを通って固定装置Gを作動させる油圧ポンプ7-uに流れだし、油圧ポンプのピストン状部材7-pが押され、固定ピン先端7-wが免震される構造体を支持する構造体2に設けられた固定ピンの挿入部7-vm/vに挿入されて免震される構造体Aが固定される。
風圧が一定以下になると、風圧板7-rは、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまたは重力の働きにより、元の位置に戻り、それにより風圧板7-rと連動する油圧ポンプ7-tのピストン状部材7-pも元の位置に戻る。それによって液体も引き戻され、固定装置Gの油圧ポンプ7-u内のピストン状部材7-pを戻し、免震される構造体Aの固定が解除される。
この固定装置Gの感度は、風圧板7-rと連動する油圧ポンプ7-tと、固定装置Gを作動させる油圧ポンプ7-uとの、シリンダーの大きさの関係で決まる。つまり、固定装置Gを作動させる油圧ポンプ7-uに比べて、風圧板と連動する油圧ポンプ7-tのシリンダーを大きくすればするほど、固定装置Gは風力に対して敏感になる。
また、固定装置が一定以上の風圧にのみ作用するようにするためには、風圧板7-rと油圧ポンプ7-tの間に遊びを設け、一定以上の風圧時にのみ油圧ポンプに作用する形をとればよい。
なお、風圧板7-rとそれに連動する油圧ポンプ7-tは、尾翼7-yを付け、回転心棒7-xの上に乗せることにより、風見鶏のように回転して、常に風上に風圧板7-rを向ける形をとることができ、それにより、この装置は、あらゆる方向の風に対応しうるものとなる。
なお、油圧型と呼んではいるものの、ポンプ内を満たす液体等は、油以外の液体でもよく、さらに気体でもよい。
また、風センサーの中、または風センサーと固定装置の間、または固定装置の中に、8.5.等で後述する遅延器を付けておいて、風力が一定以下になってから固定ピンが解除されるまでの時間を長くする方法もある。

2) 連結部材弁型固定装置
連結部材弁型固定装置は、不可撓部材の場合、可撓部材の場合に分かれる。
a. 不可撓部材の場合
図145は、この不可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済であるが、風センサー7-qと弁(固定弁)7-efとは、風センサーからの管7-qlによって連動する。

b. 可撓部材の場合
図146は、この可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済であるが、風センサー7-qと弁(固定弁)7-efとは、風センサーからの管7-qlによって連動する。

(2) 間接方式
固定ピン等の固定装置の作動部をロックする機構の主要部材であるロック部材が、ロック弁、ロックピンとに分れることから、以下のようにロック弁方式、ロックピン方式との2つに分れる。

1) ロック弁方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
風センサーに風圧を受ける板(風圧版)が設けられており、一定以上の風圧になると、風圧板と連動している油圧ポンプからの油圧力により、固定装置の固定のロックとなっているロック弁を作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
図196は、そのロック弁方式の実施例を示している。
また、図196は、地震力による自動復元型の場合の実施例である。
固定ピンの挿入部7-vmと固定ピン7のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設け、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピン(この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりする)7を挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピン7の支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材7-pからなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端7-wが突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管7-eで繋がれているか、ピストン状部材7-pに孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管7-eか、ピストン状部材7-pにあいている孔か、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピン7をロックするロック弁(ロック部材)7-ef が、付いており、
また、風センサーに風圧を受ける板(風圧板)が設けられており、一定以上の風圧になると、風圧板と連動している油圧ポンプからの油圧力により、このロック弁(ロック部材)を閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

この装置には、以下の二種類がある。
一つは、風センサーの油圧ポンプからの油圧力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)7-efを閉じさせるもの、もう一つは、風センサーの油圧ポンプからの油圧力が、直接にこのロック弁(ロック部材)7-efを閉じさせるものである。
また、風センサーの中、または風センサーと固定装置の間、または固定装置の中に、8.5.等で後述する遅延器を付けておいて、風力が一定以下になってから固定ピンが解除されるまでの時間を長くする方法もある。
固定装置に関して、他は、8.2.4.電気型の(2)と同様である。
また、風センサー7-qに関しては、上記(1)と同じである。
なお、油圧型と呼んではいるものの、ポンプ内を満たす液体等は、油以外の液体でもよく、さらに気体でもよい。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。

2) ロックピン方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
風センサーからの油圧的指令で、このロックピンが作動して固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されるものである。

また、地震力による自動復元型の場合には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、地震時に自由に上がり下がりする固定ピンに、この固定ピンをロックするロックピン(ロック部材)が付いており、
風センサーに風圧を受ける板(風圧板)が設けられており、一定以上の風圧になると、風圧板と連動している油圧ポンプからの油圧力により、このロックピンを作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
この装置には、以下の二種類がある。
一つは、風センサーの油圧ポンプからの油圧力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)を作動させるもの、もう一つは、風センサーの油圧ポンプからの油圧力が、直接にこのロックピン(ロック部材)を作動させるものである。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。

8.2.3. 風センサー装備型固定装置(機械型)
風センサーの反応の伝達手段として、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等を使用するものである。

(1) 直接方式
風センサー装備型固定装置(機械型)の、直接方式についての実施例を示す。
この装置には、以下の二種類がある。
一つは、一定以上の風圧になると、風センサーの反応により、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等が圧縮されまたは引張られ、その機械的力(圧縮力または引張力)が、機械的信号として伝達され、固定装置を作動させ(例えば、固定装置内のモーター等の機構が稼動して、固定装置がセット(=ロック・固定)され)、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが固定されるものであり、
もう一つは、機械的力(圧縮力または引張力)が直接固定装置の作動部に働きかけセットされるものである。
また、風センサーの中、または風センサーと固定装置の間、または固定装置の中に、8.5.で後述する遅延器を付けておいて、風力が一定以下になってから固定装置が解除されるまでの時間を長くする方法もある。

また、直接方式は、連結形態から、1)固定ピン型固定装置と2)連結部材弁型固定装置の2つの型に分けることができる。

1) 固定ピン型固定装置
実施例は、図135〜図137である。
図135〜図137は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置の場合である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済である。

2) 連結部材弁型固定装置
連結部材弁型固定装置は、不可撓部材の場合、可撓部材の場合に分かれる。
a. 不可撓部材の場合
図145は、この不可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済であるが、風センサー7-qと弁(固定弁)7-efとは、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8によって連動する。

b. 可撓部材の場合
図146は、この可撓部材の連結部材弁型固定装置の実施例である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済であるが、風センサー7-qと弁(固定弁)7-efとは、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8によって連動する。

(2) 間接方式
固定ピン等の固定装置の作動部をロックする機構の主要部材であるロック部材が、ロック弁、ロックピンとに分れることから、以下のようにロック弁方式、ロックピン方式との2つに分れる。

1) ロック弁方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
風センサーに風圧を受ける板(風圧版)が設けられており、一定以上の風圧になると、風圧板と連動している油圧ポンプからの油圧力により、固定装置の固定のロックとなっているロック弁を作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
図196は、そのロック弁方式の実施例を示している。
また、図196は、地震力による自動復元型の場合の実施例である。
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピン(この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりする)を挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピンの支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材からなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピンをロックするロック弁(ロック部材)が、付いており、
また、一定以上の風圧になると、風センサーからの機械的力(圧縮力または引張力)により、このロック弁(ロック部材)を閉じさせて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
この装置には、以下の二種類がある。
一つは、風センサーからの機械的力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロック弁(ロック部材)を閉じさせるもの、もう一つは、風センサーからの機械的力が、直接にこのロック弁(ロック部材)を閉じさせるものである。
また、風センサーが、風圧を受ける板(風圧板)をもったものである場合には、その風センサー7-qは屋上等におかれ、風圧板7-rが風圧を受けると、それと連動するピストン状部材7-pが押される。そのことにより、ロック弁(ロック部材)7-efに連結しているワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等7-qlが引張られるか押出されるかして、ロック弁7-efを閉める。
そして風が一定以下になると、前記風圧板7-rは、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cの力または重力によって元の位置にもどり、それにより、この風圧板7-rと連動する前記ピストン状部材7-pも元の位置に戻る。そうすると、ワイヤー・ロープ・ケーブル等7-qlが押出されるか引張られるかして、固定装置のピストン状部材7-pを戻し、免震される構造体Aの固定が解除される。
なお、風圧板7-rとそれに連動する油圧ポンプ7-tは、尾翼7-yを付け、回転心棒7-xの上に乗せることにより、風見鶏のように回転して、常に風上に風圧板7-rを向ける形をとることができ、それにより、この装置は、あらゆる方向の風に対応しうるものとなる。
また、風センサーの中、または風センサーと固定装置の間、または固定装置の中に、8.5.で後述する遅延器を付けておいて、一定風力後の固定ピンの解除までの時間を長くする方法もある。
固定装置に関しては、他は、8.2.4.電気型と同様である。
また、一定以上の風圧にのみ作用するようにするには、風圧板とピストン状部材7-pの間に、遊びを設ければよい。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。

2) ロックピン方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
風センサーからの機械的指令で、このロックピンが作動して固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されるものである。

また、地震力による自動復元型の場合には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、地震時に自由に上がり下がりする固定ピンに、この固定ピンをロックするロックピン(ロック部材)が付いており、
一定以上の風圧になると、風センサーからの機械的力(圧縮力または引張力)により、このロックピンを作動させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
この装置には、以下の二種類がある。
一つは、風センサーからの機械的力が信号として働いて、モーターまた電磁石等を稼動させ、このロックピン(ロック部材)を作動させるもの、もう一つは、風センサーからの機械的力が、直接にこのロックピン(ロック部材)を作動させるものである。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
実施例は、図143である。
図143は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置のロックピン方式の実施例である。

8.2.4. 風センサー装備型固定装置(電気型)
風センサーの反応の伝達手段として、電気を使用するものである。

(1) 直接方式
風センサー装備型固定装置(電気型)の、直接方式ついての実施例を示す。

一定以上の風圧になると、風センサーの反応が、電気信号となって伝達され、その信号が固定装置を作動させ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する。具体的には、電気信号が、固定装置内のモーター等を稼動させ、そのモーターまた電磁石等が、固定ピン等の固定装置の作動部を動かすようになっている。
風力が一定以下になると、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまたは重力の働きにより、固定装置の固定ピン等の固定装置の作動部の固定する部分は元の位置に戻り、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する方式が便利である。
また、風力が一定以下になってから固定装置の作動部が解除されるまでの時間を長くするためのタイマー等を設ける方法もある。
直接方式は、連結形態から、1)固定ピン型固定装置と2)連結部材弁型固定装置の2つの型に分けることができる。
実施例は、図141、図145、図146である。

1) 固定ピン型固定装置の場合
図141は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置の場合である。 8.2.1.(1)で説明済である。

2) 連結部材弁型固定装置の場合
連結部材弁型固定装置は、不可撓部材の場合、可撓部材の場合に分かれる。
図145は、不可撓部材型の連結部材弁型固定装置の場合である。
図146は、可撓部材型の連結部材弁型固定装置の場合である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済である。

(2) 間接方式
固定装置の作動部をロックする機構の主要部材であるロック部材が、ロック弁、ロックピンとに分れることから、以下のようにロック弁方式、ロックピン方式との2つに分れる。

1) ロック弁方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置の固定のロックとなっている機構を作動させる以上の電圧となり、ロック弁を作動(電動器、電磁石等)させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

また、地震力による自動復元型の場合を例に取って説明すると、
図196は、その実施例で、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピン(この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりする)を挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピンの支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材からなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材をもった固定ピンが、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端が突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管で繋がれているか、ピストン状部材に孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管か、ピストン状部材にあいている孔か、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピンをロックするロック弁(ロック部材)が、付いており、
また、一定以上の風圧になると、このロック弁が、風センサーからの指令で閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

具体的に述べると、
風センサーからの電気信号により、固定装置の管7-eのロック部材であるロック弁(電動弁、電磁弁等)7-efを閉める。
挿入部7-v(すり鉢型等を含む)と当該挿入部7-vによって固定される固定ピン7を有し、筒中の液体や空気等を漏らさずスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒(固定ピン取付け部)7-aに挿入され、その外に固定ピン先端7-wが突き出ており、さらに、筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とは管7-eで繋がれている。
そして、ピストン状部材7-pには、この管7-eより開口面積が大きいもしくは小さい孔7-jがあり、開口面積の大きい方にロック弁(ロック部材)7-efがある。このロック弁7-efは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられる。さらに、開口面積の小さい方に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、閉じるように付けられる。
また、その筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oが入り、また重力により、ピストン状部材7-pをもった固定ピン7を押出す役割をする場合もある。
管7-eの開口面積がピストン状部材の孔7-jよりも大きく、ロック弁7-efが筒の管7-eの中に付いている場合について説明すると、
ある一定以上の風が吹くと、風センサーからの電気信号により、電動弁式、電磁弁式等の方法で、固定装置の管7-eのロック弁7-efが閉まる。このロック弁7-efを閉める事により、押し出すことは可能であっても引き込まれることはなくなり、固定ピン等はロックされる。
また、タイマーを付け、ロック弁7-efが閉じている時間を制御する方法もある。
また、管7-eと孔7-jと弁7-fとロック弁7-efの性格により、固定ピン先端7-wは、筒7-a中に入る方向では、速やかであり、出る方向では、遅延される。それにより、地震時には、固定ピン先端7-wは速やかに筒7-a中に入り、免震が始まり、地震力が働いている間は出にくくなる。
また、筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
以上は、固定ピン7が免震される構造体1に、固定ピンの挿入部7-vが免震される構造体を支持する構造体2に、取付けられている場合を述べたものであるが、逆の関係の場合もある。つまり、前記固定ピンの挿入部7-vおよび固定ピン7のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設けることになる。
また、筒7-aの上部に関して、4.6. 同様に、単に止め金が固定されている場合もあるが、筒7-aの上部内側が雌ネジになっていて、そこに雄ネジ7-dが挿入されている場合もある。この雄ネジ7-dは、入り込み方向に回転して締めることにより、バネ等7-oを圧縮して、バネ等7-oの反発力を強め、固定ピン先端7-wの押し出す力を強める機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体Aの残留変位の矯正を可能にしたりする。
また、管7-eと孔7-jとに、バルブを付ける事により、強風時の、手動による強制的固定も可能になる。
また、風力が一定以下になってから固定ピンが解除されるまでの時間を長くするためのタイマー等を設ける方法もある。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。

2) ロックピン方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
風センサーからの電気的指令で、このロックピンが作動して固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されるものである。

また、地震力による自動復元型の場合には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、地震時に自由に上がり下がりする固定ピンに、この固定ピンをロックするロックピン(ロック部材)が付いている。このことにより地震後の固定ピンの復元機能を必要としない。

図210〜図211は、風センサーを装備した風作動型固定装置のうち、ロックピン方式の固定ピン型固定装置の実施例である。
この例では、さらに、地震力による自動復元型の場合のもので、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入された固定ピン7に、この固定ピンをロックする方向でロック部材11を差し込み、固定装置Gをロックするタイプである。
この固定ピンを作動させる機構には、電磁石からなるロック部材制御装置を用いる方式と、モーターからなるロック部材制御装置を用いる方式とがあり、図210は前者の例、図211は後者の例である。
免震される構造体1に設置された固定装置Gの固定ピン7が、免震される構造体を支持する構造体2に設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入されており、通常時このロック部材11は、バネ等9-tにより、固定ピン11をロックしない機構になっている。
一定以上の風圧になると、風センサー7-qよりの指令で、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動してロック部材11を固定ピン7をロックする方向に動かし、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cへ差し込むことで固定ピン7をロックし、固定装置Gを作動させて免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、 一定以下の風圧になると、風センサー7-qよりの指令で、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11が元に戻って固定ピン7のロックが解除されることで固定装置Gが解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風圧が一定以下になったことを風センサー7-qが感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
実施例は、図142、図147である。
図142は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置のロックピン方式の場合である。
図147は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置のロックピン方式の場合である。
以上は、8.2.1.(2)で説明済である。

8.2.5. 風力発電機型風センサー装備型固定装置
風センサーが風力発電機型風センサーであり、風センサーの反応の伝達手段として、風力発電機型風センサーの電気を使用するものである。

(1) 直接方式
風力発電機型風センサー装備型固定装置の、直接方式ついての実施例を示している。
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置を作動させる以上の電圧となり、固定装置を作動させ、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する。具体的には、風力発電機による電気が、固定装置内のモーターまた電磁石等を稼動させ、そのモーター等が、固定装置の作動部を動かすようになっている。
風力が一定以下になると、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cまたは重力の働きにより、固定装置の作動部は元の位置に戻り、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する。
また、風力が一定以下になってから固定装置が解除されるまでの時間を長くするためのタイマー等を設ける方法もある。
直接方式は、連結形態から、1)固定ピン型固定装置と2)連結部材弁型固定装置の2つの型に分けることができる。
実施例は、図141、図145、図146である。

1) 固定ピン型固定装置の場合
図141は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置の場合である。 8.2.1.(1)で説明済である。

2) 連結部材弁型固定装置の場合
連結部材弁型固定装置は、不可撓部材の場合、可撓部材の場合に分かれる。
図145は、不可撓部材型の連結部材弁型固定装置の場合である。
図146は、可撓部材型の連結部材弁型固定装置の場合である。
以上は、8.2.1.(1)で説明済である。

(2) 間接方式
風力発電機による電気型固定装置の、間接方式ついての実施例を示している。
8.2.1.(2)の間接方式の風センサー装備型固定装置において、
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置の作動部をロックするロック部材を作動させる上で必要な電圧以上となり、ロック部材を作動させて固定装置の作動部をロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されるものである。
特に、この発明は、固定ピン型固定装置で、固定ピンの挿入部が、すり鉢形状・球面形状等の凹形状をなす、地震力によって固定ピンの自動復元を可能にする風作動型固定装置の発明と組合せることにより、より省電力となり効果的である。
固定装置の作動部をロックする機構の主要部材であるロック部材が、ロック弁、ロックピンとに分れることから、以下のようにロック弁方式、ロックピン方式との2つに分れる。

1) ロック弁方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置の固定のロックとなっている機構を作動させる以上の電圧となり、ロック弁を作動(電動器、電磁石等)させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

また、地震力による自動復元型の場合を例に取って説明すると、
図196は、その実施例で、
固定ピンの挿入部7-vmと固定ピン7のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設け、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピン(この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりする)7を挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピン7の支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材7-pからなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端7-wが突き出ており、
さらに、この筒の端と端とは管7-eで繋がれているか、ピストン状部材7-pに孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、
そして、この筒の端と端とを繋ぐ管7-eか、ピストン状部材7-pにあいている孔か、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピン7をロックするロック弁(ロック部材)7-ef が、付いており、
また、一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、このロック弁7-efを閉じさせる以上の電圧となり、このロック弁(電動弁、電磁弁等)7-efを閉じて固定ピン7をロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定するように構成されている。
固定装置に遅延機構を備える場合、8.2.4. (2) 間接方式(ロック弁方式)と同様の構成を取る。
さらに、ブレーカー(過剰電流遮断機)を設け、予想以上の強風時において電流または電圧が一定以上になるとブレーカーが下りて、固定装置のロック弁(電動弁、電磁弁等)7-efが閉められたままにする方法もある。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。

2) ロックピン方式
固定装置の作動部が、固定ピンの場合=固定ピン系と、連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合=連結部材系とがある。

a. 固定ピン系
固定ピンの場合について、説明すると、
一定以上の風圧になると、風力発電機の電圧が、固定装置の固定のロックとなっている機構を作動させる以上の電圧となり、ロックピンを作動(電動器、電磁石等)させて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。

また、地震力による自動復元型の場合には、
固定ピンの挿入部と固定ピンのうち、一方を免震される構造体に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体に設け、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部に固定ピンを挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、地震時に自由に上がり下がりする固定ピンに、この固定ピンをロックするロックピン(ロック部材)が付いている。このことにより地震後の固定ピンの復元機能を必要としない。

図210〜図211は、風力発電機型風センサーを装備した風作動型固定装置のうち、ロックピン方式の固定ピン型固定装置の実施例である。
この例では、さらに、地震力による自動復元型の場合のもので、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入された固定ピン7に、この固定ピンをロックする方向でロック部材11を差し込み、固定装置Gをロックするタイプである。
この固定ピンを作動させる機構には、電磁石からなるロック部材制御装置を用いる方式と、モーターからなるロック部材制御装置を用いる方式とがあり、図210は前者の例、図211は後者の例である。
免震される構造体1に設置された固定装置Gの固定ピン7が、免震される構造体を支持する構造体2に設けられたすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmに挿入されており、通常時このロック部材11は、バネ等9-tにより、固定ピン11をロックしない機構になっている。
一定以上の風圧になると、風力発電機型風センサー7-qdの発電する電圧が装置の作動に必要な電圧以上となり、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動してロック部材11を固定ピン7をロックする方向に動かし、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cへ差し込むことで固定ピン7をロックし、固定装置Gを作動させて免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを固定し、一定以下の風圧になると、風力発電機型風センサー7-qdの発電する電圧が装置の作動に必要な電圧以下となり、ロック部材制御装置(電磁石)45あるいはロック部材制御装置(モーター)46が作動を止め、ロック部材11が元に戻って固定ピン7のロックが解除されることで固定装置Gが解除され、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との固定を解除して、通常の状態へ戻す機構である。
このとき風力発電機型風センサー7-qdが風圧が一定以下になったことを感知してから、一定の時間をおいて固定装置を解除させるための、タイマーを設ける場合もある。

b. 連結部材系
連結部材(不可撓部材・可撓部材)の場合についても、ピストン状部材と固定ピンとの関係を除けば、a.固定ピン系と基本的に同じ構成である。
不可撓部材の場合には、
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部ともう一方の構造体とを、不可撓部材の連結部材で繋ぐ。
可撓部材の場合には、連結部材が可撓部材であることを除けば、不可撓部材の場合と基本的に同じ構成である。
免震される構造体を支持する構造体2または免震される構造体1のいずれか一方の構造体に設置された固定装置の作動部7-pともう一方の構造体とを、前記固定装置の設置された構造体側に設けられた挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fの連結部材で繋ぐ。前記もう一方の構造体構造体と可撓部材8-fとの支持点は360度回転可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
実施例は、図142、図147である。
図142は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置のロックピン方式の場合である。
図147は、不可撓部材型連結部材系の固定ピン型固定装置のロックピン方式の場合である。
以上は、8.2.1.(2)で説明済である。

8.2.6. 連動作動風作動型型固定装置
複数の固定装置からなり、それぞれの固定装置の作動部またはロック部材が相互に連動する仕組みをもつ固定装置であり、固定装置の作動部またはロック部材同士を連動させることによって、複数の固定装置を同時に固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。

8.2.6.1. 連動作動風作動型固定装置(1)
連動作動風作動型固定装置(1)の実施例を示す(参考に図170=連動作動(地震作動)型固定装置参照)。
2つ以上の固定装置において、各固定装置をロックする機能をもったロック部材が、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等またはレリーズ等で相互に連結されており、
風時に、風センサーがロック部材の一つを作動させると、各ロック部材が連動して、それぞれの固定装置を同時に固定し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。
具体的には、風揺れ等を防止する固定装置が2個以上用いられ、各固定ピンには、それをロックする機能をもった部材(ロックピン・ロック弁等、以下、「ロック部材」と呼ぶ)が、固定ピンのロックまたは固定する方向にスライドできるような状態で、組み合わされている。ロック部材同士は、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたレリーズ等で連結されている。風時に、このロック部材の一つに、固定ピンのロックする方向(押出し方向、または引抜き方向)に作用すると、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたレリーズ等の連結により、それぞれの固定ピンのロック部材が、同時に、それぞれの各固定装置を固定する仕組みである。
風センサーを装備した連動作動型固定装置の実施例で、ロック部材が、ロックピンである場合のものを示す。
ロック部材11には、固定ピン7をロックするための、固定ピン7が貫通できる大きさのロック孔11-vが開けられており、固定ピン7に設けられた欠き込み・溝・窪み7-cにロック孔11-vの縁が嵌まり込むことにより、固定ピン7がロックされる。
ロック部材11同士は、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8で連結されており、ロックする方向に連動し、その逆方向にはバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9で戻り、
風時に、風センサーが、直接またそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、
また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、風センサーが、ロック部材制御装置47等を介して、
ロック部材11の一つに、ロック部材11を固定する方向に作用し、そのロック部材11にあけられたロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされる形で各固定ピン7が同時に固定される。
また、各ロック部材11が、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8のかわりにレリーズ等8-rで連結される場合は、そのレリーズ等8-rにより押出し方向と引張り方向の両方向に連動可能である。
なお、ロック部材11のロック固定の方向の逆方向には、いずれかのロック部材11の一つにバネ等9を付けて復元させる必要はある。
なお、2つ以上の、この自動復元型固定装置において、固定ピン7をロックしている第1のロック部材7-l同士をワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッドまたはレリーズ等8-rで繋ぎ、片方が動くと他方も動くように構成する。

8.2.6.2. 連動作動風作動型固定装置(2)
連動作動風作動型固定装置(2)の実施例を示す(参考に図172〜図173=連動作動(地震作動)型固定装置参照)。
2つ以上の固定装置において、端部に各固定装置をロックする機能をもった(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれた)ロック部材が、可動するように取付けられており、
風時に、風センサーがこのロック部材を可動方向に作動させ、それにより各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に固定して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。
具体的には、風揺れ等を防止する複数個の固定装置において、
各固定ピンをロックする機能の複数個のロック孔11-vを持ったロック部材が、固定ピンをロックまたは解除する方向に可動(スライド)できるようになっており、
風時にロック部材が押し出されるか引き戻されるかすると、ロックする機能をもつロック孔11-vにより、それぞれの固定ピンが嵌まって、同時に固定されるというものである。
ロック部材の形態としては、固定装置の数に応じ、枝分かれのないもの、三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれしたものなどが考えられる。
風センサーを装備した連動作動型固定装置の実施例を示す。
風時に、風センサーが、直接またはそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、風センサーが ロック部材制御装置47等を介して、
ロック部材11の端部の一つに、ロック部材11を固定する方向に作用し、そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされる形で各固定ピン7が同時に固定される。なお、ロック部材11のロック固定の方向とは逆方向に働くバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9を付けて復元させる必要はある。

8.2.6.3. 連動作動風作動型固定装置(3)
連動作動風作動型固定装置(3)の実施例を示す(参考に図175、図177=連動作動(地震作動)型固定装置参照)。
2つ以上の固定装置において、
端部に各固定装置をロックする機能をもった(枝分かれしていない部材、三つ又、四つ又、またそれ以上にわかれた)ロック部材が、中心を軸として回転できる様に取付けられており、
風時に、風センサーが、このロック部材を回転させ、それにより各端部のロック機能が、それぞれの固定装置を同時に固定して、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されてなることを特徴とする連動作動型固定装置である。
具体的には、風揺れ等を防止する複数個の固定装置において、
各固定ピンをロックする機能の複数個のロック孔11-vを持ったロック部材が、ロック部材の一つの点を軸にして回転できるように取付けられており、
風時に、ロック部材を回転方向へ押出すか引戻すかすることにより、それぞれの固定装置が同時に固定されるものである。
ロック部材の形態としては、固定装置の数に応じ、 枝分かれのないもの、三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれしたものなどが考えられる。図175、図176は、ロック部材が枝分かれしていない場合であり、図177は、ロック部材が三つ又に、図178は、四つ又に分かれている場合である。
風センサーを装備した連動作動型固定装置の実施例を示す。
参考図の図175は、ロック部材が枝分かれしていない場合のものである。
回転できるロック部材の両端に固定ピン7をロックするためのロック孔11-vがあり、
風時に、風センサーが、直接またはそれに連動する部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド8と繋がれて)、または、風センサーが ロック部材制御装置47等を介して、
ロック部材11の一端を、固定ピンをロックする回転方向に作動させることにより、
そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされる形で各固定ピン7が同時に固定される。
なおロック部材に、ロック固定とは逆の回転方向に働くバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9を付けて、復元力をもたせる必要がある。
参考図の図177は、ロック部材が枝分かれしている場合のものである。
三つ又、四つ又、またそれ以上に枝分かれし、その分岐した個々の端部に固定ピン7をロックするためのロック孔11-vをもったロック部材が、ロック部材の一つの点11-xを軸として回転できるように取付けられており、
風時に、風センサーが、直接またそれに連動した部材を介して(例えば、図165のように作用部(押出し部・引張り部等)17を介して、また、図173のようにレリーズ8-r内のワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と繋がれて)、または、風センサーが ロック部材制御装置47等を介して、
このロック部材11の枝分かれした一つに、固定ピン7のロックを固定する回転方向へ作用し、そのロック部材11にあけられた複数個のロック孔11-vの縁に固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに嵌まり込むことによりロックされる形で各固定ピン7が同時に固定される。なお、ロック部材11にロック固定と逆回転方向に働くバネ等9を付けて、復元力を持たせる必要がある。

8.2.6.4. 連動作動風作動型固定装置(4)
8.2.から8.2.5.に記載の風作動型固定装置を、1個または複数個もった固定装置において、
それぞれの固定装置の固定が、またはロック部材による固定装置の作動部のロックが、一個の風センサーからの電気信号により、同時に作動するように構成されてなることを特徴とする固定装置である。

固定の仕方に関して、次の2種類に分かれる。
(1) 電気で固定装置の作動部自体が固定されるもの
風時に、風センサーからの電気信号により、1個もしくは複数個の固定装置の作動部自体が固定されるもの。
(2) 電気で固定装置の作動部のロックのみが固定されるもの
風時に、風センサーからの電気信号により、1個もしくは複数個の固定装置の作動部のロックが固定され、固定装置の作動部自体は、バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)及び風力等により固定されるもの。
(1) の固定装置の作動部の固定は、速やかさを要求され、大きな電力等を要求されるが、(2) の固定装置の作動部のロック固定のみの場合には、(1)の固定装置の作動部の固定の場合に比べて少ない電力で済み、また簡易な機構で済む。
(2)の電気で固定装置の作動部のロックのみが固定される場合の発明である。
具体的には、8.2.から8.2.5.に記載の風作動型固定装置を、1個または複数個もった固定装置において、
それぞれの固定装置の固定が、またはロック部材による固定装置の作動部のロックが、一個の風センサーからの電気信号により、同時になされるように構成されてなることを特徴とする固定装置である。

8.2.7. 遅延器の設置
風センサー装備型固定装置において、
遅延器が装備され、固定ピン等の固定装置の作動部が固定されるときは速やかに、解除するときは緩やかに行われるように構成されてなることを特徴とする風センサー装備型固定装置である。

8.3. 固定装置の設置位置とリレー連動作動型固定装置
8.3.1. 一般
風揺れ等の対策を考えた固定装置の設置位置に関するもので、特許 2575283号の固定装置(固定ピン装置)、および、8.1.〜8.2 記載の固定装置は、風により回転の生じにくい、免震される構造体Aの重心(重心及び免震される構造体の各立面の図心からくる平面上の中心を勘案したもの、以下「重心」と言う)位置またはその近傍の一か所または複数箇所に設置されるというものである。
具体的には、重心近傍に、(その固定装置を中心に)回転が生じない程度離して2箇所設置する方法が、多くの場合に採用されると考えられる。
その場合、複数個の固定装置が、8.1.の地震作動型固定装置である場合には、8.1.3.の連動作動型固定装置で説明されている方法により同時解除され、8.2.風作動型固定装置の場合には、油圧型(8.2.2.)また機械型(8.2.3.)また電気型(8.2.4.)で同時に解除される。
また、8.1.の地震作動型固定装置の、8.1.3.の連動作動型固定装置では困難な、複数個の固定装置の距離の離れた場合には、以下のような方法がある。この方法は、8.2.の風作動型固定装置の場合で、複数個が同時に解除されない場合にも利用できる。

8.3.2. 2個以上の固定装置の設置
(1) 重りをできるだけ重くした、増幅器付き地震センサー振幅装置の採用
複数個の固定装置を同時に解除させることを考えると、地震が大きな振幅になる前に(固定装置が幾つか解除されないことによる捩じれが大きく生じる程度の振幅になる前に、食込み支承(8.7.)の場合には食込み支承から離脱する地震力になる前に)固定装置を解除できるように、地震センサー(振幅)装置の感度を上げることである。
それは、地盤周期に地震センサー(振幅)装置の重り等のセンサーの周期を合わせることであり(8.1.2.4.3.(1))、地震センサー振幅装置の場合には、振動する重りをできるだけ重くすることであり、そして、地震センサー振幅装置に引抜き長さ(圧縮長さ)を増幅させる増幅器を付けた8.1.2.4.3.の(3) 増幅器付き地震センサー振幅装置を採用することである。
特に、増幅器を付ける場合には、引抜き長さまたは圧縮長さに応じて、引抜き力または圧縮力がその増幅倍数分の一に減じられるので、より増幅倍数分重さを大きくする必要がある。

(2) 固定装置(敏感型・鈍感型)の設置による
図214〜図215は、固定装置の設置位置の実施例を示している。
この発明は、複数個設置された固定装置が解除されていく際に、重心位置または重心に近い箇所が一番最後まで固定されているようにすることによって、免震される構造体の、固定されている箇所の偏りにより生じる捩れた動きを、防ぐものである。
固定装置の設置に関しては、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に、固定装置の解除の感度が地震に対して高く敏感な固定装置G-sを設置し、
免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)には、周辺位置の固定装置に比べて、固定装置の解除の感度が地震に対して低く鈍感な固定装置G-dを設置する。
地震感度の高い固定装置G-sとは、地震感度の低い固定装置G-dに対し、より小さい地震力で固定装置が解除され、免震を作動させ易い固定装置ということであり、
例えば、8.1.2.2.のロック部材11が差込む固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-c奥行が小さいもの、固定装置のロック弁7-fの開きが地震力に敏感なもの(8.1.2.2.1. 2)のロック弁方式)、地震の周期と合わせること等により地震センサー(振幅)装置の感度が敏感なもの、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20が重いもの等である。
地震感度の低い固定装置G-dとは、地震感度の高い固定装置G-sに対し、より大きな地震力で固定装置が解除され、免震を作動させ難い固定装置ということであり、
例えば、8.1.2.2.のロック部材11が差込まれる固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-c奥行が大きいもの、固定装置のロック弁7-fの開きが地震力に鈍感なもの(8.1.2.2.1. 2)のロック弁方式)、地震の周期と合わせないことにより地震センサー(振幅)装置の感度が鈍感なもの、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20が軽いもの等である。
平常時は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)と、それ以外の周辺位置との2ヶ所以上で、固定装置によって、免震される構造体Aが、免震される構造体を支持する構造体Bに固定されており、地震時には、周辺位置に設置された地震感度の高い固定装置G-sがまず解除され、その後、重心位置(または重心近傍)の地震感度の低い固定装置G-dが解除されて、免震される構造体Aの固定が解除され免震状態に入る。
図214(a)(b)(c)は、以上に述べた固定装置設置位置の実施例を示しており、
(a) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に1箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合、
(b) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に2箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合、
(c) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に4箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合である。
この方法は、全ての固定装置において、可能な方法である。

8.1.1.の剪断ピン型固定装置の場合は、地震センサー(振幅)装置の感度の代わりに、固定ピンの切断される感度を調整する。
つまり、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に、固定ピンの切断感度が高い(固定ピンが切断されやすい)固定装置G-sを設置し、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)には、周辺位置に比べて、固定ピンの切断感度が低い(固定ピンが切断されにくい)固定装置G-dを設置する。

また、8.2.の、風時に免震される構造体を固定する風作動型固定装置Gにおいては、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に、風センサー感度が低いかまたは固定ピン等の固定装置の作動部がセット(=ロック・固定)されにくい固定装置G-wdを設置し、
免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)には、周辺位置に比べて、風センサー感度が高いかまたは固定ピン等の固定装置の作動部がセットされ易い固定装置G-wsを設置する。
それにより、風時には、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)の風力感度の高い固定装置G-ws の固定ピン等の固定装置の作動部がセット(ロック)され、そして周辺位置の風力感度の低い固定装置G-wd の固定ピン等の固定装置の作動部が、それに続いてセット(ロック)される。つまり免震される構造体Aが、その重心位置(または重心近傍)においてまず固定され、その後、周辺位置でも固定されることになる。
しかし、風作動型固定装置は、電動型を使用できるので、各固定装置が同時に作動するようにすることも可能である。
図215(a)(b)(c)は、この風作動型固定装置Gの設置位置の実施例を示しており、
(a) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に1箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合、
(b) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に2箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合、
(c) は、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)以外の周辺位置に4箇所、免震される構造体Aの重心位置(または重心近傍)に1箇所の場合である。
この風作動型固定装置に比べて、8.1.の地震作動型固定装置は、地震時に停電する可能性もあり、(自家発電設備を全てに設けるのは困難であるし、電池方式にもメンテナンスフリーを考えると問題もあり)、それゆえ電動型を使用しにくいので、以上の方法が必要になる。

8.3.3. リレー連動作動型固定装置
リレー連動作動型固定装置に関するものである。
複数個の固定装置の同時解除の方法に関して、機械式、電気式にしても、実際に確実に同時に行われるかどうかという点で問題があった。特に、地震作動型の固定装置においては時間差を許されず、また、一本でも解除されない場合の問題は大きかった。
この地震作動型の複数個の固定装置を同時に作動(解除/セット=ロック・固定)させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性が高い。また、順次作動のさせ方によっては、固定装置が一個でも解除されない場合の問題も解決する。つまり、固定装置がリレー式に解除され、免震される構造体Aの重心に位置する固定装置が最後に作動する方法を採ることによってである。また、地震後、固定装置が再びセットされる時には、逆に、重心に位置する固定装置が最初にセットされるのがよい。
リレーの伝達方式は、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等の機械式伝達以外に、当然、電気式伝達も考えられる。

8.3.3.1. 地震作動型固定装置の場合
複数個の地震作動型固定装置に関して、固定装置の作動(解除/セット=ロック・固定)連動に関しては、同時に作動させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性がある。また、順次作動のさせ方によっては、一本でも解除されない場合の問題も解決する。つまり、重心の固定装置を最後にリレーさせる方法でその問題は解決する。

複数の固定装置の各固定ピン等の固定装置の作動部がリレー式に解除され、免震される構造体Aの重心に位置する固定装置の固定ピン等の固定装置の作動部が最後に解除される仕組みの、リレー連動作動型固定装置の発明である。
具体的には、
連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本の固定装置(リレー末端固定装置)が、免震される構造体の重心位置またはその近傍に、他の固定装置(リレー中間固定装置)が、周辺位置に設置され、
地震時に、それらの固定装置が順次解除される際に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最後に解除されるように構成される。

地震後に固定ピン等の固定装置の作動部が再びセットされる際に、免震される構造体Aの重心に位置する固定装置の固定ピン等の固定装置の作動部が最初にセットされる仕組みのリレー連動作動型固定装置の発明ある。
具体的には、
連動作動型固定装置の設置に関して、そのうち少なくとも一本の固定装置(リレー末端固定装置)が、免震される構造体の重心位置またはその近傍に設置され、他の固定装置(リレー中間固定装置)が、周辺に設置され、
地震時にこれらの固定装置が順次解除された後、地震終了後に、前記重心位置またはその近傍に設置された固定装置が最初に固定されるように構成される。

図237〜図265は、上記の記載の発明のいずれか、または両方を組み合わせることによって構成されてなることを特徴とするリレー連動作動型固定装置の実施例である。

8.3.3.1.1. リレー中間固定装置
8.3.3.1.1.1. リレー中間固定装置(一般)

そのうち、図237〜図241は、リレー連動作動型固定装置の一部をなす、リレー中間固定装置の実施例である。
リレー中間固定装置には、地震センサー(振幅)装置と直接繋がっているものと、直接は繋がっていないものとがあり、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置(リレー二番目をリレー第2中間固定装置、リレーn番目をリレー第n中間固定装置)と呼ぶ。

各リレー中間固定装置の固定ピン7には、そこに固定ピン7を固定するロック部材11が差し込まれる欠き込み・溝・窪み7-cがあり、このロック部材11は常時、重力により、またバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cの力で、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cに差し込まれている。

リレー第1中間固定装置の場合においては、このロック部材11と、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材とが、図194の地震センサー(振幅)装置のように(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって結ばれ、地震時にこの重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材が振動して、
このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから、ロック部材11が外され(引抜かれ)、固定ピンの固定が解除される。

この固定ピンの固定の解除の方法としては、例えば、地震力によって、固定ピン7が、挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従いながら、解除方向に動く(図237の実施例では下がる、図238の実施例では上の固定ピンが上り、下の固定ピンが下がる、図239の実施例では上がる)ことによる。
また、リレー中間固定装置は、ロック部材11の装備に加えて、固定ピンの作動を次のリレー中間・末端固定装置に連動させる連動機構36を持っている。
リレー第2以降中間固定装置の場合においては、その固定ピンをロックするロック部材11が、直前のリレー中間固定装置が持つ連動機構36(後述)と、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8によって結ばれており、地震時に、直前のリレー中間固定装置の連動機構36によって、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8を介して、固定ピン7の欠き込み・溝・窪み7-cから、ロック部材11が外され(引抜かれ)、固定ピンが解除される。
この固定ピンの固定の解除の方法としては、例えば、固定ピンが、地震力により、挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従って、解除方向に動くことによる。

連動機構36は、図237〜図238の実施例においては、ピンというかたちを取っており、地震時に、固定ピン7の作動により力を受け、次のリレー中間固定ピンまたはリレー末端固定ピンのロック部材11に連動し、そのロック部材11を解除する役割を果たす。
図239〜図241の実施例において、連動機構36は、梃子または滑車または歯車というかたちを取っており、地震時に、固定ピン7の作動により、梃子または滑車または歯車が作動して、次のリレー中間固定ピンまたはリレー末端固定ピンのロック部材11に連動し、そのロック部材11を解除する役割を果たす。

具体的には、連動機構36は、地震時に、地震力によって、挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従い、上ったり下がったりする(図240では上がる)固定ピン7により、ピン36-aが押出され、また梃子36-bが働き、また滑車36-fまた歯車36-dが回転し、梃子36-bまた滑車36-fまた歯車36-dに取り付いたワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8(場合によりレリーズ8-r等で連結された)を引張り、次のリレー(中間、末端)固定ピンのロック部材11を引抜き、このロック部材11を解除する。

このリレー中間固定装置のもうひとつのメリットは、次のリレー中間固定ピンまたはリレー末端固定ピンのロック部材11に対する引抜き力を、増幅する機能を持つことである。
というのは、大抵の場合、リレーが進むごとに伝達される力は弱まるが、この装置の場合は、地震力によって挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従い動く固定ピン7の力により、連動機構36が作動するので、伝達される力は、地震力によって増幅される。

このことにより、リレー中間固定装置においては、リレーによって伝達される力が弱まることなく、その都度、再生され、また増幅される。

図237は、図216〜図217の、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状の場合の固定装置である。
図238は、図228の、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状の場合の固定装置である。
リレー第1中間固定装置と、リレー第2以降中間固定装置またリレー末端固定装置との違いは、ロック部材11と固定ピン7との間の遊びの有無、または固定ピンとその挿入部との遊びの有無である。
リレー第1中間固定装置には、地震力によってリレー式に作動させるためには、この遊びは必要ないが(図242参照)、リレー第2以降中間固定装置及びリレー末端固定装置には、地震力によってリレー式に作動させるために、遊びが必要となる(図243参照)。

図242はリレー第1中間固定装置を示したものである。図243は、リレー末端固定装置を示しているが、第2以降中間固定装置の場合も、このリレー末端固定装置と同じように、ロック部材11と固定ピン7との間の遊びが必要である。
この遊びの大きさは、地震センサー(振幅)装置によりリレー第1中間固定装置の固定ピンが解除された後、免震される構造体がその遊びにより水平移動して、このリレー第1中間固定装置の連動機構36によって、リレー第2以降中間固定装置及びリレー末端固定装置のロック部材11が解除されるために必要な寸法である。また、この寸法が大きすぎると、風によるがたつきの原因になるので、必要最小限の寸法とする。
具体的には、リレー第2以降中間固定装置及びリレー末端固定装置のロック部材11と固定ピン7との間の遊びとして、その遊びによりリレー第1中間固定装置の固定ピン7が挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従って動いて連動機構36が作動し、次のリレー中間固定ピンもしくはリレー末端固定ピンのロック部材11に連動し、このロック部材11の解除が可能であるために必要な寸法を取る。
以上の固定ピンは、固定ピン以外のピストン状部材の固定装置の作動部であっても良い。その場合は、固定装置の作動部をロックするロック部材は、固定ピンとなる。

8.3.3.1.1.2. リレー中間固定装置(増幅器付)
さらに、連動機構36に、梃子または滑車または歯車等の増幅器を加えることにより、固定ピン等の固定装置の作動部7の小さい変位を、大きな変位に増幅させて、次の固定装置に連動させることが可能となる。
この発明のリレー中間固定装置(増幅器付)は、固定装置の連動機構において、梃子また滑車また歯車等を採用して、次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材への引張長さまたは圧縮長さを増幅していることにより構成される。
図239は、そのうちの梃子を使った場合の実施例である。
図240は、そのうちの歯車を使った場合の実施例である。
図241は、そのうちの滑車を使った場合の実施例である。
具体的に説明すると、
図239の梃子を使った実施例の場合、地震時に、ロック部材11が引抜かれると、地震力により、固定ピン7が挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従い動き、それにより連動機構36が作動する。
固定ピンの上がる力は、連動機構36を構成している梃子36-bの一端(梃子の力点)36-lに伝わり、梃子の支点36-hを経由して、それが梃子のもう一方の端(梃子の作用点)36-jに伝えられる際に、力点36-lと支点36-hの距離と、支点36-hと作用点36-jとの距離との比に応じて、続くワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さが増大する。
図240の歯車を使った場合も同様である。地震力により、固定ピン7が振動して挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従って上ったり下がったりする(図240では上がる)と、それにより連動機構36が作動する。
固定ピンの上がる力は、ラック36−cから、連動機構36を構成している歯車36−dに伝わり、歯車36−dが回転する。
場合により、歯車がもう一つ付けられていることもあり、その場合には歯車36−dの回転が二つめの歯車36−eに伝わる。そして、歯車36−dまたは歯車36−eに連結されたワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が引張られる。このとき、ラック36−cに対する歯車36−dの大きさ、または歯車36−dに対する歯車36−eの大きさの比に応じて、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の引張られる長さが増大する。
図241の滑車を使った場合も同様である。
地震力により、挿入部のすり鉢等7-vmの勾配に従い、上ったり下がったりする(図241では下がる)固定ピン7により、連動機構36のピン36−aが力を受ける(押出される)。ピン36−aの受けた力(押される力)は、連動機構36を構成している動滑車36−fの中心軸に伝わる。動滑車36−fにはワイヤー・ロープ・ケーブル等8がかけられており、そのワイヤー・ロープ・ケーブル等8の一端はバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-tを介して固定され、もう一方の端は、定滑車36-gを介して、次のリレー中間固定装置またはリレー末端固定装置に連結している。
動滑車を一つ使用することで、ワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さを二倍に増大させることができる。場合により、動滑車が複数使用されることもあり、動滑車の数に応じて、ワイヤー・ロープ・ケーブル等8の引張られる長さは二倍ずつ増大する。
なお、図237〜図256において、固定ピンの挿入部が、7-vm/vとなっているのは、7-v(固定ピンの挿入部)または7-vm(固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部)という意味である。
以上の固定ピンは、固定ピン以外のピストン状部材の固定装置の作動部であっても良い。

8.3.3.1.2. リレー末端固定装置
地震作動型のリレー末端固定装置の発明であり、この発明は、固定装置のリレー末端固定装置において、固定ピン等の固定装置の作動部をロックするロック部材を複数個持ち、この複数個のロック部材は、複数個の他のリレー中間固定装置の連動機構から、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等で、個々に連結され、地震時に個々に連動して引抜かれて、固定ピン等の固定装置の作動部のロックが解除されるが、この複数個のロック部材が、全て解除されない限り、リレー末端固定装置のロックは完全に解除されないことにより構成される。
図243、図259〜図261は、このリレー末端固定装置の実施例を示している。
この発明におけるリレー末端固定装置の特徴は、固定装置をロックするロック部材11を複数個もつということである(図260のようにロック部材11およびロック部材11をロックするロック部材11-aの2つ(もしくは2つ以上)のロック部材からなる場合もある)。
複数個のロック部材11は、それぞれ、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8(またはレリーズ8-r内のワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8)で、複数個設置された他のリレー中間固定装置の連動機構36と個々に連結されており、地震時に、各ロック部材はそれぞれ、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8によって引抜かれるようになっているが、複数個のロック部材11の全てが引抜かれない限り、リレー末端固定装置のロックは解除されない。
また、このリレー末端固定装置は、免震される構造体の重心部(または重心部近傍)に設置されることによって、効果を発揮する。
つまり、周辺の固定装置全てが解除されない限り、重心部の固定装置は解除されないということであり、複数の固定装置が解除されていく間の、固定未解除箇所に偏りが生じることにより起こる免震される構造体の捩れた動きを、防ぐことができる。
図243、図259、図260は、8.6.(1)(2)のうち、図216〜図217の、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状の場合の固定装置である。
図261は、8.6.(8)上下固定ピン中間滑り部挟み型のうち、図228の、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状の場合の固定装置である。
図260は、固定ピンのロック部材11と固定ピンのロック部材11をロックするロック部材11-aとで固定ピンがロックされ、ロック部材11とロック部材11-aが共に引抜かれない限り、リレー末端固定装置のロックは解除されない場合の実施例である。
なお、図237〜図261において、固定ピン7の取付けられる位置は、図に示されているものと上下の関係が逆の場合もある。つまり、固定ピン7が、免震される構造体1に取付けられる場合、免震される構造体を支持する構造体2に取付けられる場合の両方が考えられる。
以上の固定ピンは、固定ピン以外のピストン状部材の固定装置の作動部であっても良い。

8.3.3.1.3. 遅延器の設置
リレー連動作動型固定装置(リレー中間固定装置・リレー末端固定装置)の固定装置の作動部またはロック部材と、前記地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間に、8.5.のような遅延器を設け、地震時の固定が解除された後の地震振動中の固定装置の作動部またはロック部材の戻り(固定装置の作動部を固定する方向への)を遅延する必要がある。
地震終了程度まで、時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない。
固定装置の作動部またはロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りとの間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間には、地震時に固定装置の作動部またはロック部材が解除された後の地震振動中の固定装置の作動部またはロック部材の戻りを遅延する遅延器を設けていることにより構成される(詳細は8.5.に記載)。

8.3.3.1.4. 引張力限定伝達装置
また、固定装置の作動部またはロック部材11と、前記地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構36との間には、引張力のみを伝達し、圧縮力を伝達しないようにする装置が必要である。
この引張力限定伝達装置をもっている固定装置に関する発明である。
図246は、その引張力限定伝達装置の実施例を示している。これは、二つのL型の部材40を相互に引掛かるように組むことにより、引張力のみを伝達し、圧縮力を伝達しないようにするものである。
なお、図において、この引張力限定伝達装置の取り付け位置が1/2となっているのは、免震される構造体1または免震される構造体を支持する構造体2に取り付けられるという意味である。

8.3.3.1.5. リレー連動作動型固定装置の配置構成
図262〜図265は、リレー連動作動型固定装置の配置の仕方の実施例を示している。
リレー中間固定装置は、免震される構造体の周辺部に設置され、リレー末端固定装置は、免震される構造体の重心部(または重心近傍)に設置される。
前述のとおり、リレー末端固定装置は、重心部におかれることによって、効果を発揮する。免震される構造体の周辺部の固定が全て解除されてはじめて、重心部の固定が解除され、免震が始まるからである。
各固定装置同士の連結・連動の仕方は、地震センサー(振幅)装置Jから、まず、周辺部にあるリレー第1中間固定装置G-m1に連結・連動され、そして、幾つかのリレー第2以降中間固定装置G-m2(リレー二番目)〜G-mn(リレーn番目)に連結・連動された後、最後に、重心部に位置するリレー末端固定装置G-eに連結・連動されるという仕方である。(リレー中間固定装置が一つしか無い場合は、リレー第1中間固定装置G-m1が、直接にリレー末端固定装置G-eに連結・連動される。)
図262、図264は、地震センサー(振幅)装置Jからリレー末端固定装置G-eまでに、リレー中間固定装置G-mが、1個介在する場合、図263、図265は、リレー中間固定装置G-mが、2個介在する場合の実施例である。
最後に位置する、リレー末端固定装置G-eへの連結・連動には、図264、図265のようにリレー中間固定装置G-mn(リレーn番目)による複数経路で伝達される場合があり、その場合、リレー末端固定装置には、その経路の個数分のロック部材11が設けられる。

8.3.3.2. 風作動型固定装置の場合
風作動型固定装置に関しても、複数の固定装置を同時に作動させることは難しく、順次作動させていくことの方が確実性がある。
また、順次作動させる方法によっては、1本でも固定されなかった場合の問題を解決することができる。
つまり、風時には、免震される構造体をその重心において真っ先に固定すればよい。そのために免震される構造体の重心位置に設置された固定装置が一番最初に作動するようにする。
また、風力が一定以下になった後、免震される構造体の固定が解除される際には、免震される構造体の重心位置において最後まで固定されているのがよい。そのために重心位置に設置された固定装置が一番最後に解除されるようにする。
この二つの方法によって、固定装置が1個でも固定されなかった場合の問題、つまり、風による揺れの問題は解消される。
上記の発明のいずれか、または両方を組み合わせることによって構成されてなることを特徴とするリレー連動作動型固定装置もある。

8.3.3.2.1. リレー中間固定装置
リレー中間固定装置は、風センサー7-qまたは直前のリレー中間固定装置に連動している入力連動部37と、次のリレー中間・末端固定装置を連動させる出力連動部38を持つ。
リレー中間固定装置には、風センサーと直接繋がっているものと、直接は繋がっていないものとがあり、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置(リレー二番目をリレー第2中間固定装置、リレーn番目をリレー第n中間固定装置)と呼ぶ。
入力連動部37は、一定以上の風力になると、風センサー7-qまたは直前のリレー中間固定装置の出力連動部38からの指令で、固定装置を固定させ、免震機構を固定する役割をする。
出力連動部38は、次のリレー中間・末端固定装置の入力連動部37へと連結・連動しており、一定以上の風力になると、(当該固定装置の固定ピン7の可動等の力により)、次のリレー中間・末端固定装置の入力連動部37を作動させてこの固定装置を固定させ、免震機構を固定する役割をする。

この風作動型のリレー中間固定装置の発明は、リレー中間固定装置において、この固定装置は、風センサーと直接繋がるリレー(第1)中間固定装置と、風センサーとは直接繋がらないリレー(第2番目以降の)中間固定装置に分かれ、前者をリレー第1中間固定装置、後者をリレー第2以降中間固定装置とし、この固定装置には、この固定ピン等の固定装置の作動部をロックするロック部材が差し込まれる欠き込み・溝・窪みがあり、このロック部材は常時、重力・バネ・ゴム・磁石等で引張られ、この欠き込み・溝・窪みから外されており、
リレー第1中間固定装置の場合には、このロック部材と、風センサーとが連動し、風時に、風センサーにより、この欠き込み・溝・窪みにロック部材が入り、固定装置が固定され、また、リレー第2以降中間固定装置の場合には、このロック部材と、直前のリレー中間固定装置の後述の連動機構とが、(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって繋がれており、風時に、直前の連動機構が作動すると、このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等によって、欠き込み・溝・窪みに、ロック部材が入り、固定装置が固定され、このリレー(第1、第2以降)中間固定装置は、このロック部材の装備に加えて、次のリレー中間・末端固定装置への連動機構を持ち、連動機構は、風時に、固定装置の作動に連動して、次のリレー(中間、末端)固定装置のロック部材に作用し、このロック部材を固定することにより構成される。

8.3.3.2.2. リレー末端固定装置の場合
リレー末端固定装置は、直前のリレー中間固定装置と連動する、入力連動部37を持つ。入力連動部37のみあればよく、出力連動部38をもつ必要は無いが、前記のリレー中間固定装置を、出力連動部38を使用しない形で使うという方法もある。

8.3.3.2.3. リレー連動作動型固定装置の配置構成
風センサー7-qに第一に連結・連動されるリレー中間固定装置(リレー第1中間固定装置)は、免震される構造体の重心部(または重心近傍)に設置され、リレー第1中間固定装置から、周辺部に設置されたリレー第2中間固定装置以降が、順に連結・連動される。
風力が一定以上になると、風センサー7-qからリレー第1中間固定装置へ、リレー第1中間固定装置からリレー第2中間固定装置へ(重心部から周辺部へ)、というように順に指令が送られ、各固定装置が順次作動(セット(=ロック・固定))していき、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体を固定する。
逆に、風力が一定以下になると、周辺部のリレー第2以降中間固定装置から順に重心部のリレー第1中間固定装置へ連動し、各固定装置が順次作動(解除)していき、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との固定を解除する。
また、以上の説明の各固定装置において、固定ピン7等の固定装置の作動部は、免震される構造体1に取り付けられる場合と、免震される構造体を支持する構造体2に取り付けられる場合の、どちらの場合もある。

8.4. 風揺れ等抑制装置・変位抑制装置としての固定装置
8.4.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
8.4.1.1. 風揺れ等抑制装置としての固定装置
図197〜図198は、風揺れ等抑制装置としての固定装置(遅延器付き、遅延器の詳細は8.5.に記載)の実施例を示している。

(1) 風揺れ等抑制装置としての固定装置
風揺れ等の抑制を以下の構成で可能にしている。
固定ピン先端7-wが挿入される方の、挿入部7-vmは、すり鉢形状等の凹形状として、その挿入部7-vmに固定ピン先端7-wを挿入することにより風等に抵抗させ、かつ固定ピン7を支持する方の挿入部7-vmは、抵抗器を採用して(例えば、固定ピン7の取り付けられたピストン状部材7-pが筒中7-aで液体や空気等を漏らさずスライドするスライド機構とし、ピストン状部材7-pがスライドする早さと抵抗を液体や空気等の粘性抵抗によって)固定ピン7の挿入部7-vmへの挿入方向に対する抵抗を調整可能とする。
それにより、固定ピン7の挿入部7-vmの、すり鉢形状等の凹形状の勾配でまず風揺れ等に抵抗するが、固定ピン7がその勾配により持ち上がろうとすると、今度は、抵抗器により(この例では、ピストン状部材7-pによるスライド機構の粘性抵抗により)抵抗を受ける。
以上のことから風揺れの抑制装置となる。
具体的に説明すると、風揺れ等を抑制できる勾配をもった、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmと、先端部が当該挿入部7-vmに入り込む角度をもち、挿入部7-vmに挿入されて固定を行う固定ピン7を有し、筒中7-aで液体や空気等を漏らさずスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒(固定ピン取付け部)7-aに挿入され、筒7-aの外に固定ピン先端7-wが突き出ており、さらに、ピストン状部材に孔7-jが設けられるか、筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とが管7-eで繋がれているかしている。
その管7-eにバルブを持つ場合は、そのバルブを絞り、管中の液体・気体等の流量を調整することによって、スライド機構の流量を変化させることが可能となり、風揺れの抑制の調整も可能となる。なお、図196において、孔7-jと弁7-fと信号線7-qlとが無く、7-efがバルブに置きかわると、その実施例になる。
また、風揺れ抑制機能の調整は、ピストン状部材7-pに開けられた孔7-jの開口面積または管7-eの開口面積の調整によって可能となる。

(2) 風揺れ等抑制装置としての固定装置(遅延器付き)
さらに、(1)の機能に加えて、抵抗器に8.5.の遅延器を使用して、地震時に固定ピンがスライド機構の中に収まっている時間を延長し、免震効果を高める発明も考えられる。
8.5.遅延器の一例で説明すると、
ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きいかもしくは小さい孔7-jが設けられる場合があり、管7-eかピストン状部材孔7-jのうち開口面積の大きい方に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に開くように取付けられる。
この場合は、弁の設置位置に関し、二つのパターンが挙げられる。
一つは、ピストン状部材7-pに、管7-eよりも開口面積が大きい孔7-jがあり、その孔に弁7-fがある。この弁7-fが、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に開くように付けられる場合である。図197は、その実施例である。
もう一つは、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさが逆の場合、つまり、ピストン状部材に、管7-eより開口面積が小さい孔7-jがあって、この管7-eの中に弁7-fがある。この弁7-fが、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に開くように付けられる場合である。図198は、その実施例である。
また、その筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)7-oが入り、また重力により、ピストン状部材7-pをもった固定ピン7を筒外に押出す役割をする場合もある。
この弁7-fの性格により、固定ピン先端7-wの動きは、筒7-a中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。この装置を遅延器という。
それにより、固定ピン先端7-wは、地震力が働くと速やかに筒7-a中に入り、地震力が働いている間は出にくくなる。
筒7-a、及び管7-eとは、潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
図197では、固定ピン7が免震される構造体1に、固定ピンの挿入部7-vmが免震される構造体を支持する構造体2に取付けられているが、逆の関係の場合もある。つまり、固定ピンの挿入部7-vmおよび固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられるということである。
バネ等7-oの設置に関して、4.6. 滑り部垂直変位吸収型の重力復元型免震装置・滑り支承と同様に、筒7-aの内側の材とバネ等7-oの上部とが、単に止め金で固定されている場合もあるが、筒7-aの上部内側が雌ネジになっていて、そこに雄ネジ7-dが挿入され、雌ネジとバネ等7-oが接続されている場合もある。雄ネジ7-dは、入り込み方向に回転して締めることにより、バネ等7-oを圧縮して反発力を強め、固定ピン先端7-wを押し出す力を強める機能をもち、復元力を高めたり、地震後の免震される構造体Aの残留変位の矯正を可能にしたりする。
また、管7-eと孔7-jとに、バルブ7-efを設ける事により、強風時の手動による強制的固定も可能になる。
また、風センサーを設けた場合、風時に風センサーからの電気信号で、固定装置の管7-e、孔7-jの電動弁、電磁弁、バルブ等7-efを閉めることが考えられる。これは、8.2.4.電気型による風作動型固定装置の場合である。
以上の構成から、風等の水平力に対する抵抗力を期待できる。
つまり、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmの勾配を調整すること、また、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさを調整することにより、風等の水平力に対して、勾配に応じた抵抗力を発揮することが期待できる。
また、風等の水平力に対して抵抗できるすり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmの勾配とは、木造住宅では、ピストン状部材7-pが上下しない場合には2/10程度(木造住宅の全荷重がここにかかる場合)の勾配であるが、実際にはピストン状部材7-pが上下するので、それ以上の勾配が必要となり、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさの比率に応じて、計算する必要がある。この管7-eと孔7-jの開口面積の調整によっては、これは、ダンパーとしても考えられる(水平ダンパーを使用する場合は、水平方向二方向(直交する二方向)に効かせようとすると、最低二本必要であるが、この方式の場合では一本で済む)。
これは、8.7.の免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置と、風等の水平力の抵抗に関して同様の考え方であるが、地震時には、8.7.に比べて、免震性能を上げられる。
というのは、8.7.の免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置では、
地震時に、中間滑り部・ボール・ローラー等が中央部窪み形に入り込んでしまうことがあるが、この発明では、遅延器によって、地震時に、固定ピン7がすり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに入り込んでしまうことが少なくなるからである。
以上の(1)(2)に共通して言えることであるが、引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する。

8.4.1.2. 固定装置・中央部窪み形の風揺れ等抑制装置との併用
また、この8.4.1.の風揺れ等抑制装置としての固定装置と、固定装置もしくは 8.7.の免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置のどちらかとを、または両方とを併用することによって、風揺れを抑え、地震時の快適な免震を期待できる。
特に、重心位置等に設置された固定装置1個と併用することで、固定装置1個のみの場合に風によって起こる、設置点を中心にした回転を防ぐことができ、且つ、当該装置のみで全ての風揺れに対応する場合よりも免震性能を向上させることができる。

8.4.2. 固定装置型ダンパー
8.4.2.1. 固定装置型ダンパー1
図199〜図200は、ダンパーの実施例を示している。
この装置は、ダンパーとして、特に変位抑制装置、及び風揺れ等抑制装置をも兼ねる。
挿入部7-vmに固定ピン7を挿入することによって、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との風揺れ時等の動きを抑制する風揺れ等抑制装置において、 固定ピン7を固定する方の挿入部7-vmと固定ピン7を支持する方の挿入部のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設け、
固定ピン7を固定する方の挿入部7-vmは、すり鉢形状等の凹形状として、その挿入部7-vmに固定ピン7を挿入することにより風揺れ等に抵抗させ、
かつ、固定ピン7を支持する方の挿入部は、固定ピン7を形成するピストン状部材7-pとこのピストン状部材7-pがその内をスライドする筒7-aとから構成され、筒7-a中の液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pがその筒7-aに挿入され、その外にピストン状部材7-pの先端つまり固定ピン7が突き出ている。

さらに、この筒7-aの端と端とを繋ぐ管7-eと、ピストン状部材7-pに孔7-jとが設けられており、

管7-eと孔7-jとには開口面積の差をもたせ、この管7-eまたはピストン状部材7-pの孔7-jのうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材7-pが筒7-a中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁7-fが付けられており(図199、図200)、開口面積が一定以下の場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒7-a中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
さらに、重力、また場合によっては筒7-aの中に入れられたバネ・ゴム・磁石等9-cが、このピストン状部材7-pを筒7-aの外に押出す役割をする場合もある。
また、この筒7-aと前記管7-eとは潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
この弁の性格と、開口面積の差とをつけることにより、
前記ピストン状部材7-pは、出る方向では、速やかであり、筒7-aの中に入る方向では、固定する方の挿入部7-vmに対して抵抗して、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制するようにして構成される。

以上により、地震により変位(つまり、ピストン状部材7-pが筒7-aの中に入る方向)が生じると、固定する方の挿入部7-vmに対して固定ピン7が抵抗して変位抑制として働く。そして通常位置(すり鉢形状等の凹形状の挿入部7-vmの底)に戻る方向(つまり、ピストン状部材7-pが筒7-aの中から出る方向)では、固定ピン7が速やかに復帰して、次の地震変位に備えることが可能になり、変位抑制装置として働くことが可能になる。
管7-eと孔7-jのうち、開口面積が小さい方を絞り込めば絞り込むだけ、変位抑制は強く働く。
この装置の効果は、以上の 8.4.全体に共通して言えることであるが、固定ピン7を固定する方の挿入部7-vmは、すり鉢形状等にしていることにより、通常の風揺れ等抑制装置としての水平ダンパーではXY方向に最低1本ずつ必要であるが、この装置であれば1本でXY方向に対応できる。
また、引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する。

8.4.2.2. 固定装置型ダンパー2
固定装置型ダンパーまた縦置き式ダンパーと言えるダンパーの発明である。 図201は、この実施例である。
ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒7-aの中から出る出口経路7-acjと、出口経路7-acjからその押出された液体・気体等が筒7-aの中に戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口経路7-acjが小さく、戻り経路7-erは大きく、
戻り経路7-erには、ピストン状部材7-pが筒7-aの中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており(図201)、
出口経路7-acjは、開口面積が一定以下の場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒7-aの中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
さらに、重力、また場合によっては筒7-aの中に入れられたバネ・ゴム・磁石等9-cが、このピストン状部材7-pを筒7-aの外に押出す役割をする場合もある。
また、この筒7-aまたは経路7-acj、7-erとは潤滑油等の液体で満たされている場合もある。
この弁の性格と、開口面積の差とをつけることにより、
前記ピストン状部材7-pは、出る方向では、速やかであり、筒7-aの中に入る方向では、固定する方の挿入部7-vmに対して抵抗して、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制するようにして構成される。
以上により、地震により変位(つまり、ピストン状部材7-pが筒7-aの中に入る方向)が生じると、固定する方の挿入部7-vmに対して固定ピン7が抵抗して変位抑制として働く。そして通常位置(すり鉢形状等の凹形状の挿入部7-vmの底)に戻る方向(つまり、ピストン状部材7-pが筒7-aの中から出る方向)では、固定ピン7が速やかに復帰して、次の地震変位に備えることが可能になり、変位抑制装置として働くことが可能になる。
出口経路7-acjを絞り込めば絞り込むだけ、変位抑制は強く働く。
図201のような場合は、オイルダンパー等の水平に置かれる場合の問題を解決する。すなわち水平に置かれることにより30〜50年というような期間では油漏れの心配が生じることである。このような縦置きで油が溜まり漏れ出ることのない形であればこのような問題はなくなる。
また、8.4.全体に共通して言えることであるが、固定ピン7を固定する方の挿入部7-vmは、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmにしていることにより、通常の風揺れ等抑制装置としての水平ダンパーではXY方向に最低1本ずつ必要であるが、この装置であれば1本でXY方向に対応できる。
また、引抜き防止装置の併用により、風揺れ等の抑制効果をより発揮する。
また、8.1.2.2.5.に記載のように、8.1.2.2.5.1.の図278〜図287、8.1.2.2.5.2.の図288〜図330においても、出口・出口経路7-acjを絞り込むこと(重り20、20-bによって塞がれているが、重りと出口の隙間調整によって絞り込むこと)によって、同様のことが可能である。

8.4.3. 可撓部材型連結部材系ダンパー
可撓部材型連結部材系ダンパーの発明である。
この方式は、油圧ダンパー等の既成のダンパーのすべてに適用可能である。
図202〜図203は、この実施例である。
免震される構造体を支持する構造体2に設置されたダンパーの作動部(油圧ダンパー等のピストン状部材等の作動部)7-pと免震される構造体1とを免震される構造体を支持する構造体2に設置された挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ。免震される構造体1と可撓部材8-fとの支持点は360度変形可能なフレキシブルジョイント8-fjとなる。
ここで当然、上下が逆の、免震される構造体1に設置されたダンパーの作動部7-pと免震される構造体を支持する構造体2とを免震される構造体1に設置された挿入口31を介して、ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fで繋ぐ場合もある。
挿入口31の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口(図386)、すり鉢状等の形状の挿入口のように、可撓部材8-fとその挿入口31とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、可撓部材8-fに対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口31の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
この構成によって、一個であらゆる方向のダンパーが可能になる。ダンパーは水平置きまた垂直置きでもよい。 垂直置きの場合は、水平置きの問題を解決する。すなわち水平に置かれることにより30〜50年というような期間では油漏れの心配が生じることである。このような縦置きで油が溜まり漏れ出ることのない形であればこのような問題はなくなる。
図202では、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒7-aの中から液体貯槽7-acまたは外部へ出る出口経路7-acjと、出口経路7-acjからその押出された液体・気体等が筒7-aの中に戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせ、出口経路7-acjが大きく、戻り経路7-erは小さく、
出口経路7-acjには、ピストン状部材7-pが筒7-aの中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
戻り経路7-erは、開口面積が一定以下の場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒7-aの中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
この弁の性格と、開口面積の差をつけることにより、
前記ピストン状部材は、筒の中に入る方向では、速やかであり、筒の中から出る方向では、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制する。
さらに、重力、また場合によっては筒7-aの中に入れられたバネ・ゴム・磁石等9-tが、このピストン状部材7-pを復元させる必要がある。
図203では、ピストン状部材7-pに孔7-js、戻り孔7-jrを設け、戻り孔7-jrの開口面積は大きくして、孔7-jsの開口面積を絞り込むことにより、風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制する。
孔7-jsの開口面積を絞り込めば絞り込むだけ、変位抑制効果は増大する。
戻り孔7-jrには、ピストン状部材7-pが筒7-aの中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
孔7-jrは、開口面積が一定以下の場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒7-aの中から出る時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられている。
さらに、筒7-aの中に入れられたバネ・ゴム・磁石等9-tが、このピストン状部材7-pを復元させる必要がある。
なお、図202は、ダンパーの作動部7-pが垂直置きの場合、図203は、水平置きの場合である。それぞれ(a)は通常時の場合、(b)は免震時の変位振幅時の場合である。
この図203の場合は、ラッパ状・すり鉢状等の挿入口31よって閉じられた(ピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーへの)前室7-aaによって、油漏れに関して垂直置きの場合と同様に油を溜め置く形となり、水平置きに拘らず、油漏れの心配が生じる問題は無い。且つ垂直高さが得られない場合に適している。

8.4.4. ダンパー兼用の固定装置
8.4.4.1. ダンパー兼用の固定装置
(1) ロック弁方式 1
固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーの弁(開口面積の大きい方に設けられた弁)が、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。
図196は、その実施例である。
図200の弁7-fが、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、図196において、管7-qlを地震センサー(振幅)装置からの管と考えると、地震作動型の場合であり、管7-qlを風センサーからの管と考えると、風作動型の場合である。
また、図196は、地震力による自動復元型の場合の実施例でもある。
固定ピンの挿入部7-vmと固定ピン7のうち、一方を免震される構造体1に、もう一方を免震される構造体を支持する構造体2に設け、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とを、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部7-vmに固定ピン(この固定ピン等は、水平力が働くと水平移動して、すり鉢形状・球面形状等の凹形状挿入部によって、自由に上がり下がりする)7を挿入することよって固定して、風揺れ等を防止する固定装置において、
固定ピン7の支持部は、筒部とその中に入るピストン状部材7-pからなり、筒中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒に挿入され、その外に固定ピン先端7-wが突き出ており、
さらに、この筒のピストン状部材で区切られた2つの部分は、管7-eで繋がれているか、ピストン状部材7-pに孔が設けられているか、ピストン状部材によって押出される液体・気体等が筒中から出る出口が設けられているかしており、そして、この筒のピストン状部材で区切られた2つの部分を繋ぐ管7-eか、ピストン状部材7-pにあいている孔か、ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中から出る出口かに、または全てに、固定ピン7をロックするロック弁(ロック部材)7-ef が、付いており、
ピストン状部材によって、液体・気体等が、押出される方向の管か孔かは、開口面積を小さく、戻る方向の管か孔かは、開口面積を大きくする。
そして、 開口面積の大きい方に設けられた弁は、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。
この弁の性格と、このような開口面積の差とをつけることにより、
前記ピストン状部材7-pは、出る方向では、速やかであり、筒7-aの中に入る方向では、固定する方の挿入部7-vmに対して抵抗して、緩やかに入るようにして風揺れ等の動きおよび地震時の変位を抑制する。
風作動型の場合は、風センサーからの指令で、このロック弁(ロック部材)を閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
地震作動型の場合は、地震センサー(振幅)装置からの指令で、このロック弁(ロック部材)を開いて固定ピンをのロックを解除し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定を解除するように構成されている。

(2) ロック弁方式 2
固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーの弁(戻り経路に設けられた弁)が、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。
図201の戻り経路に設けられた弁7-fが、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とすると風作動型の場合で、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とすると地震作動型の場合である。
風作動型の場合は、風センサーからの指令で、このロック弁(ロック部材)を閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
地震作動型の場合は、地震センサー(振幅)装置からの指令で、このロック弁(ロック部材)を開いて固定ピンをのロックを解除し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定を解除するように構成されている。

(3) ロック弁方式 3
可撓部材型連結部材系の固定装置とダンパー兼用の発明で、地震作動型、風作動型固定装置両方の場合がある。
ダンパーにおいて、出口経路に設けられた弁が、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とするか、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とするか等により構成される。
図202〜図203の出口経路に設けられた弁7-fが、ロック弁(ロック部材)7-efに代わった場合で、風センサーからの指令で、作動するロック弁とすると風作動型の場合で、地震センサー(振幅)装置からの指令で、作動するロック弁とすると地震作動型の場合である。
風作動型の場合は、風センサーからの指令で、このロック弁(ロック部材)を閉じて固定ピンをロックし、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定するように構成されている。
地震作動型の場合は、地震センサー(振幅)装置からの指令で、このロック弁(ロック部材)を開いて固定ピンをのロックを解除し、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定を解除するように構成されている。

(4) ロック弁方式 4(8.1.2.2.5.(ロック)弁方式型)
8.1.2.2.5.(ロック)弁方式型の固定装置とダンパー兼用の固定装置の発明である。
図332は、この発明のうち滑り型重り20(ボール型重り20-b)による実施例である。
図293も、滑り型重り20(ボール型重り20-b)による実施例であるが、図332と、重り20、20-bと出口・出口経路7-acjとが位置関係が逆である(8.1.2.2.5.2.(ロック)弁方式(2) (12)参照)。
図295も、滑り型重り20(ボール型重り20-b)による実施例である(8.1.2.2.5.2.(ロック)弁方式(2) (13)参照)。
図333は、この発明のうち振り子型重り20-eによる実施例である。

図288、図296、図301、図303〜図305、図317〜図330の固定装置において、
ピストン状部材7-pの挿入筒7-aまたは付属室7-abからの液体貯槽7-acまたは外部への出口・出口経路7-acjにつけられた弁(重り20、20-b、20-e)以外に、液体貯槽7-acまたは外部から付属室7-abまたはピストン状部材7-pの挿入筒へ戻る戻り口7-erを設けてそこに弁(逆流を防ぐ弁)7-fsを付ける。
出口・出口経路7-acjの開口面積の大きさは小さくし、戻り口7-erの開口面積の大きさは大きくする。
出口・出口経路7-acjの開口面積の大きさを小さくしたことにより、地震時の固定ピン7の、すり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vm、7-vmcでの中心から周辺への移動に抵抗を与え、
加えて、戻り口7-erの開口面積の大きさを大きくしたことにより、地震時に固定ピン7の元の位置への戻りに抵抗を与えず速やかにし、そして再度、中心から周辺への移動に抵抗を与えられる。
このようにして固定装置と兼用の変位抑制効果等を持ったダンパーとなる。

また、免震時に固定機構が働かないように、出口・出口経路7-acjに設けられた弁は地震時に開かれた状態にする必要があるが、地震時に開かれた状態を維持するには、

1) 免震時の、重り20、20-b、20-eと弁管20-cpとの接触回数を減らす。
その方法として、弁管20-cpの重りと接する先端部20-cpt等をできるだけ小さくする(図293)。
また、弁管20-cpを免震皿36-vmの中心よりも中心からずらす。
弁管20-cpが免震皿36-vmの中心にあるよりも中心からずれた設置の方がその位置を地震時に重り20、20-bが通る回数が少なくなる(図292)。
また、弁管20-cpを2個以上設置する(図292)。
弁管20-cpを2個以上設置することにより、免震時にいずれかに重り20、20-b、20-e、20-eが接触したとしても、いずれかの弁管20-cpが開いている状態になる。

2) 免震時の、重り20、20-b、20-eの元の位置(通常位置)への戻りを遅くする。
その方法として、振り子重り20-eの場合には、ある一定以上の地震変位振幅時には振り子支点部で摩擦が働くようにして振れが緩慢になるようにする。
重り20、20-bでは、この重り20、20-bを滑動させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部免震皿の勾配を緩くする。またこの免震皿の周辺勾配を緩くする。それにより、ある一定以上の変位振幅時には重り20、20-bの戻りがより遅くなる。
また、図295のように、通路口abjが重り20、20-bの下にあり、免震時に通路口abjから液体・気体等が吹出して重り20、20-b、20-eの元の位置(通常位置)への戻りを遅くする。

8.4.4.2. 挿入部形状
固定装置とダンパー兼用の固定装置の固定ピンの挿入部形状の発明である。
固定装置とダンパー兼用の場合の、固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部7-vmの形状は、風揺れ対策を考えると、挿入部7-vmcの中心部だけ、曲率半径を小さくするか、勾配をきつくする。そして周辺は、曲率半径を大きくするか、勾配を緩くする。
図332〜図333は、この実施例である。

8.5. 遅延器
1) 一般
固定装置の作動部が地震時に解除されるときは速やかに、地震中は固定状態に復しないかもしくは固定状態に復するのが遅延されるようにする遅延器が必要である。
つまり、固定装置(リレー連動作動型固定装置を含む)には、固定ピン等の固定装置の作動部が地震時に解除された後、固定ピン等の固定装置の作動部もしくはロック部材が固定状態に復するのを遅延させるための遅延器が必要である。

遅延器は、固定装置自体に、解除された固定ピン等の固定装置の作動部またはロック部材の戻り(固定への)を遅延するために、取付けられるか、
固定装置・リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材11と、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構36との間を、繋ぐ(リレーする)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8(またはレリーズ内のワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8)に取付けられる。
地震終了程度まで時間を稼ぐ遅延機構が望ましいが、数秒程度時間を稼ぐものでも問題はない。

2)油空圧シリンダー式
遅延器のうち油空圧シリンダー式遅延器の発明である。
筒7-a中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pが、その筒7-aに挿入され、筒7-aの外にピストン状部材7-pの先端7-wが突き出ており、
さらに、この筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とを繋ぐ管7-eと、ピストン状部材7-pにあいている孔7-jとが設けられており、
管7-eと孔7-jとには開口面積の差をもたせた、この管7-eまたはピストン状部材7-pの孔7-jのうち開口面積の大きい方に、ピストン状部材7-pが筒中7-aへ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁7-fが付けられているか、
または、
ピストン状部材7-pによって押出される液体・気体等が筒中から出る出口経路7-acjと、出口経路7-acjからその押出された液体・気体等が筒中に戻る別経路の戻り経路7-erとが設けられており、
出口経路7-acjと戻り経路7-erとには開口面積の差をもたせた出口経路7-acjが大きく戻り経路7-erは小さく、
出口経路7-acjには、ピストン状部材7-pが筒中へ引き込まれる時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
戻り経路7-erは、開口面積が小さい場合には弁が必要無いが、弁を設ける場合には、ピストン状部材7-pが筒中から押出される時に開き、それ以外は閉じている弁が付けられており、
さらに、この筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cが入り、また重力により、このピストン状部材7-pを筒外に押出す役割をする場合もある。
この弁7-fの性格と、開口面積の差をつけることにより、
ピストン状部材の先端7-wの動きは、この筒7-aの中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。

固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材7-pを、固定ピン等の固定装置の作動部7とするか固定装置の作動部7と連動させるかし、遅延器の筒の中へピストン状部材7-pが引き込まれる方向が、固定装置の作動部の解除の方向となるか、

または、この遅延器のピストン状部材7-p(の支持点7-z)を、固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぎ、その繋ぎ方が、遅延器の筒の中へ、ピストン状部材7-pが引き込まれる方向が、ロック部材11の外れる方向(解除方向)となるか、

リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材7-pを、固定ピン等の固定装置の作動部7とするか固定装置の作動部7と連動させるかし、遅延器の筒の中へピストン状部材7-pが引き込まれる方向が、固定装置の作動部の解除の方向となるか、

または、この遅延器のピストン状部材の先端部7-w(の支持点7-z)を、リレー連動作動型固定装置のロック部材11と、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構36との間を繋ぐ(リレーする)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8(またはレリーズ内のワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8)に接続させる。 その繋ぎ方が、遅延器の筒の中へ、ピストン状部材7-pが引き込まれる方向が、ロック部材11の外れる方向(解除方向)となるようにする。

図244は、管7-eより開口面積の大きいピストン状部材孔7-jに弁7-fが取付けられ、ピストン状部材の先端部7-w(の支持点7-z)がワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8(またはレリーズ内のワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8)に接続された例である。
また、遅延器を、固定ピンの装置内に直接組込むことも考えられる。
具体的には、筒7-a中を液体・気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pをもった固定ピン7が、その筒7-aに挿入され、その外に固定ピン先端7-wが突き出ており、さらに、この筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とは管7-eで繋がれている。
このピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きいかもしくは小さい孔7-jがあり、管7-eかピストン状部材孔7-jかの開口面積の大きい孔の方に弁7-fがある。この弁7-fは、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に開くように付けられている
図245の場合、この弁7-f、7-fbは、ボールの形をとっている。
具体的には、ピストン状部材7-pには、この管7-eの開口面積より大きい、孔7-jがあり、その孔に弁7-f、7-fbがある。この弁は、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、孔7-jから出る液体・気体等によって開くように付けられる。または、管7-eと孔7-jの開口面積の大きさがこの逆の場合もある。つまり、この管7-eの開口面積より小さい、孔7-jがあり、この管7-eの孔の中に弁7-f、7-fbがある。この弁は、ピストン状部材7-pが引き込まれる時に、開くように付けられる。
また、図245のように、この筒7-aの中にバネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)9-cが入り、また重力により、このピストン状部材7-pをもった固定ピン7を筒外に押出す役割をする場合もある。
この弁7-f、7-fbの性格と上記筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とを繋ぐ管7-eにより、前記固定ピン先端7-wの動きは、この筒7-aの中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。それにより、固定ピン先端7-wは、地震力が働くと速やかに筒7-aの中に入り、地震力が働いている間は出にくくなっている。
このピストン状部材7-pを伴った固定ピン7の上がり下がりの速度は、この筒7-aのピストン状部材7-pがスライドする端と端とを繋ぐ管7-eと、ピストン状部材7-pにあいている孔7-jとの断面積の比によって設定され、固定ピン7が筒中に入るときは速やかに、筒7-aから出るときは緩やかにする事ができるほか、図196のようにロック弁と併用することで、装置をコンパクト化できる。
なお、図244において、この遅延器の取り付け位置が1/2となっているのは、免震される構造体1または免震される構造体を支持する構造体2に取り付けられるという意味である(図1からの全ての図面に共通することであるが、「/」は「または」の意味である。)。

空圧シリンダー式遅延器の発明である。
この発明は、筒7-aとスライドするピストン状部材7-pから構成され、この筒中7-aを気体等をほぼ漏らさずにスライドするピストン状部材7-pが、その筒7-aに挿入され、その外にピストン状部材7-pの先端が突き出ており、
この筒7-aには気体が筒中7-aから出る孔7-joと筒中7-aへ入る孔7-jiが設けられており、
出る孔には、筒中7-aから気体が出る時には開き、それ以外は閉じる弁7-fが付けられており、
さらに、重力、また場合によっては筒7-aの中に入れられたバネ・ゴム・磁石等9-cが、このピストン状部材7-pを筒7-a外に押出す役割をする場合もあり、 この弁7-fの性格と、気体が筒中7-aへ入る孔の開口面積を絞ることにより、 前記ピストン状部材7-pは、筒7-aの中に入る方向では速やかであり、出る方向では遅延される。
固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材7-pを、固定装置の作動部7とするか固定装置の作動部7と連動させるか(図256参照)、
または、この遅延器のピストン状部材7-pを、固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のピストン状部材7-pを、リレー連動作動型固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間、または直前のリレー中間固定装置の連動機構36との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の間で繋ぎ、
かつ、繋ぎ方は、遅延器の筒7-aの中へ、ピストン状部材7-pを押込む方向が、ロック部材11の解除方向とすることにより構成される。

3)機械式
a) ガンギ車式
機械式遅延器のうち、ガンギ車を使用するタイプを示している。
この発明はガンギ車36-nとアンクル36-o及びラック36-cとから構成され、ラック36-cはその移動によりガンギ車36-nを回転させるようになっており、アンクル36-oはガンギ車36-nの回転に対しある方向については抵抗とならず、その逆の方向については、ガンギ車36-nにアンクル36-oが、(具体的にはこのガンギ車36-nの歯にアンクル36-oの2本のつめ36-p、36-qがそれぞれ交互にかみ合い、アンクル36-oが支点36-rを中心に往復運動できる形で組み合わされて)抵抗となって回転の速度を調節するようになっており、
またこれらの機構は歯車等の連動機構を介して間接に組み合わされている場合もあり、このガンギ車36-nとアンクル36-o及びラック36-cによる機構の性質により、ラック36-cは、力を受けた場合、ある方向には抵抗なく移動できるが、逆の方向には移動の速度が遅延されるようになっている。
固定装置の場合には、
この遅延器のラック36-cを、固定装置の作動部7に設けるか固定装置の作動部7に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
この遅延器のラック36-cを、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間をリレーする(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の間で繋ぎ、その繋ぎ方が、ラックが抵抗なく移動できる方向が、ロック部材の外れる方向(解除方向)となるように構成される。
図252では、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8に固定され、ラック滑り面36-cd上を自由に滑るラック36-cが、ガンギ車36-nの回転軸36-iと同軸の歯車36-eにかみ合う歯車36-dに組み合わされている。このラック36-cは直接歯車36-eに組み合わされてもよいが、回転速度の調整等を考慮すると直接ではない方がよい場合もある。
ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の伝える引張力あるいは圧縮力により、ガンギ車36-nが回転方向の力(図252では左回転方向)を常時受けているとき、ガンギ車36-nが歯一個分回転すると、アンクル36-oの1個目のつめ36-pがガンギ車36-nの回転を一時押さえると同時にアンクル36-oがガンギ車36-nから力を受けて動き、次の瞬間2個目のつめ36-qがガンギ車36-nを歯1個分回すと同時にアンクル36-oは先程と逆の方向に動いてはじめの状態に戻り、再び1個目のつめ36-pがガンギ車36-nの回転を歯1個分に止めるような機構である。
このような機構により、ガンギ車36-nが常時回転方向に力を受けていても、それを一定の設定した時間に合わせて解放でき、かつこの機構は逆回転(図252では右回転方向)は拘束しないため、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8は、固定装置のロックを解除する方向(図252では右方向)の力は小さい抵抗で伝え、一旦解除したロックを再び入れる方向(図252では左方向)の力の伝達には抵抗が加わり、遅延させる効果がある。
このガンギ車式遅延器は、固定装置の中に組み込む場合と、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の途中に設置する場合とがある。図252は後者の場合である。
なお、図252において、この遅延器の取り付け位置が1/2となっているのは、免震される構造体1または免震される構造体を支持する構造体2に取り付けられるという意味である。

b) ラチェット式(重量式重量抵抗型、水車式・風車式粘性抵抗型)
図253は、機械式遅延器のうち、ラチェット式の重量式重量抵抗型の例を示している。
歯車36-daは、回転方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持つ歯車である。この歯車36-daに対し、同様に移動方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持ち、ラック滑り台36-cd上を自由に滑るラック36-caが組み合わされている。このとき双方の歯は、傾斜の大きい面と大きい面、及び小さい面と小さい面とが合うように組み合わせられている。また歯車36-daは、その回転軸36-iが自由にスライドできる形状の軸受36-ilによって支持され、自重によってラック36-caと組合わさっている。このためラック36-caの移動方向が傾斜の小さい面の方向であったときは、この回転軸36-iがスライドして歯車36-daがラック36-caから外れる方向へ移動し、ラックは抵抗なく移動することができる。これに対しラック36-caの移動方向が傾斜の大きい面の方向であったときは、歯車36-daとラック36-caとは歯がかみ合い、歯車36-daはラック36-caから外れることなく、ラックの移動には歯車36-daを回転させる抵抗が伴うこととなる。 この抵抗を与える機構により、この方式は重量式重量抵抗型と水車式・風車式粘性抵抗型とに分かれる。前者は歯車36-daの自重により、またはバネ等により歯車36-daをラック36-caに押し当てて、回転の抵抗を与えるタイプであり、後者は歯車36-daと同軸上かあるいは歯車等の連動機構で結ばれるかした、粘性のある液体(気体)に浸された水車(風車)等の装置によって抵抗を与えるタイプである。またラック36-caは図253の場合のように直接歯車36-daに組み合わされてもよいが、回転速度の調整等を考慮すると、直接ではなく途中に別の歯車等の伝達機構を設けた方がよい場合もある。
固定装置の場合には、
この遅延器のラック36-caを、固定装置の作動部7に設けるか固定装置の作動部7に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
このラック36-caに、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐ(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が接続されている。
このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が、それらの固定装置を解除するための引張力あるいは圧縮力を伝える際、この遅延器の設置方向を、固定ピンのロックを解除する方向を抵抗のない方向(図253では左方向)に、一旦解除された固定ピンのロックを再びかける方向を抵抗の大きい方向(図253では右方向)に、それぞれなるように設置する。
このことにより、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8は、固定装置のロックを解除する方向の力には抵抗をあまり受けず、一旦解除したロックを再び入れる方向の力には大きな抵抗を受けるため、この機構を遅延器として用いることができる。
このラチェット式遅延器は、固定装置の中に組み込む場合と、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の途中に設置する場合とがある。
図257は機械式遅延器のうち、ラチェット式の水車式・風車式粘性抵抗型の遅延器が固定装置Gに組み込まれた場合の実施例を示している。
移動方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持つラック36-caを持ち、固定ピン7から突出するアーム部材7-pmにその部材上の支点36-ccで接続された可動部材36-cb、回転方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持つ歯車36-da、この歯車36-daと同軸の歯車36-d、及びこの歯車36-dとかみ合う水車(風車)36-wと同軸の歯車36-eとによって、固定ピン7と水車(風車)36-wとが連動するように構成されている。このときラック36-caと歯車36-daとの歯は、双方の傾斜の大きい面と大きい面、及び小さい面と小さい面とが合うように組み合わせられている。
また水車(風車)36-wは粘性のある液体(気体)に浸されており、回転する際にはその粘性によって抵抗を受ける。
地震時にロック部材11が解除されて固定ピン7がその挿入筒7-a中に入りこむ場合は、アーム部材7-pmに連動して可動部材36-cbも移動するが、このときラック36-caと歯車36-daとの歯の角度が合わないこと、及び支点36-ccを軸に可動部材36-cbが歯車36-daの抵抗を受けない方向に動くことによって、ラック36-caは歯車36-daを回転させない。従って連動する水車(風車)36-wも回転しないので、固定ピン7の移動には抵抗は生じない。
一旦筒7-a中に入り込んだ固定ピン7は、バネ等9-cにより筒7-aの外に押し出される方向に力を受けて動き出すが、この場合はラック36-caと歯車36-daとの歯の角度が合うこと、及び可動部材36-cbがその自重により、あるいはバネ等を設けそのバネ等の働きによって、歯車36-daにかみ合う方向に力を受けることにより、ラック36-caは歯車36-daを回転させ、これにより連動する水車(風車)36-wも周囲の粘性のある液体(気体)の抵抗を受けながら回転するため、固定ピン7の移動には抵抗が生じる。このとき歯車36-dの径と歯車36-eの径との比によって水車(風車)36-wの回転数が決定され、これが固定ピン7が筒7-aから押し出される際の抵抗となることから、この比を設定することで遅延時間を調節することができる。
またこの固定ピン7の移動の際、装置内の粘性のある液体(気体)7-aoは、固定ピン7が筒7-a中に入り込むときは、固定ピン7が移動する体積分だけ筒7-a内部から通路7-eを通って水車(風車)36-wのある側へ移動し、固定ピン7が筒7-a中から押し出されるときは、同量が逆に水車(風車)36-wのある側から筒7-a内部へ通路7-eを通って戻ってくる。このため固定ピン7は、粘性のある液体(気体)7-aoから水車(風車)36-wによって与えられる分以外には抵抗を受けることはない。
以上の機構により、固定ピンが筒7-aに入り込むときは抵抗を受けないのに対し、筒7-aより押し出されるときは抵抗を受けるため、固定ピンが移動に要する時間は長くなり、この機構を遅延装置として用いることができる。
固定装置の場合には、
この遅延器のアーム部材7-pmを、固定装置の作動部7に設けるか固定装置の作動部7に連動する部材に設けるか(図257)、
または、この遅延器のアーム部材7-pmを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
このアーム部材7-pmに、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐ(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が接続される。さらに図257は固定装置Gに組み込まれた場合である。

c) 重力式
図254は、機械式遅延器のうち、重力式の実施例を示している。
歯車36-dに、ラック滑り台36-cd上を自由に滑るラック36-c、及びガイド36-cgにより支持されてラック滑り台36-cd上を自由に滑る、表面にラックを持つスライド部材36-csが組み合わされている。重さを調節できる重り36-cwはスライド部材36-csと接続され、この重り36-cwは、ラック36-cに対し歯車36-dを介して、その自重がある移動方向に対しては抵抗にならず(力を加える方向になる)、その反対の移動方向に対しては抵抗となるような状態で設置されている。またラック36-c及びスライド部材36-csは図254の場合のように直接歯車36-dに組み合わされてもよいが、回転速度の調整等を考慮すると、直接ではなくその間に別の歯車等の伝達機構を設けた方がよい場合もある。
固定装置の場合には、
このラック36-cを、固定装置の作動部7に設けるか固定装置の作動部7に連動する部材に設けるか、
または、この遅延器のラックを、固定装置のロック部材と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかする。
リレー連動作動型固定装置の場合には、
このラック36-cに、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐ(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が接続されている。
このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が、それらの固定装置を解除するための引張力あるいは圧縮力を伝える際、この遅延器の設置方向は、固定ピンのロックを解除する方向を抵抗のない方向(図254では右方向)に、一旦解除された固定ピンのロックを再びかける方向を抵抗の大きい方向(図254では左方向)に、それぞれなるように設置する。
このことにより、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8は、固定装置のロックを解除する方向の力には抵抗を受けず、一旦解除したロックを再び入れる方向の力には大きな抵抗を受けるため、この機構を遅延器として用いることができる。
この重力式遅延器は、固定装置の中に組み込む場合と、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の途中に設置する場合とがある。

4) 摩擦式
図247〜図251は、摩擦式遅延器を示している。
筒7-aにピストン状部材7-pが挿入されており、
固定装置の場合には、
このピストン状部材7-pを、固定装置の作動部7とするか固定装置の作動部7と連動させるか、
または、この遅延器のピストン状部材7-p(の支持点7-z)を、固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかし、
リレー連動作動型固定装置の場合には、
リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が、ピストン状部材7-pに対し、直接またはピストン状部材の先端7-wに設けられたワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の支持点7-zを介して接続されている。
図247はピストン部材7-pに対し、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が直接接続する場合の、図248はピストン部材7-pに対し、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の支持点7-zを介して接続する場合の例である。筒7-aの内表面もしくはピストン状部材7-pの表面あるいはその両方に表面部材36-uが装備されており、ピストン状部材7-pはワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8からの引張力あるいは圧縮力を受けて筒7-a内を移動する時、移動方向によって異なる摩擦抵抗を受ける。図249はピストン状部材7-pの表面に表面部材36-uが装備されている場合である。
この表面部材36-uは、それ自体の形状により移動方向によって異なる抵抗を与える場合と、バネ・ゴム・磁石等25を利用した機構により移動方向によって異なる抵抗を与える場合とがある。図250〜図251はその例で、図250では表面部材36-uは緩斜面36-ueと急斜面36-usとを持ち、ピストン状部材7-pがこの表面部材36-uと接触しつつ変位するとき、緩斜面36-ue側からの変位に対する場合の方が急斜面36-us側からの変位に対する場合よりも抵抗が小さくなる仕組みである。図251では、支点36-hにより可動な面材36-umが、バネ・ゴム・磁石等25によって押し出されており、力を受けるとバネ・ゴム・磁石等25が圧縮されて面材36-umは押し下げられるため、この面材36-um側からの変位に対する場合の方が逆方向よりも抵抗が小さくなる仕組みである。
このことにより、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8は、固定装置のロックを解除する方向の力には抵抗をあまり受けず、一旦解除したロックを再び入れる方向の力には大きな抵抗を受けるため、この機構を遅延器として用いることができる。
この摩擦式遅延器は、固定装置の中に組み込む場合と、ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の途中に設置する場合とがある。

5) 経路迂回式
図255は、経路迂回式遅延器の例を示している。
筒7-aに、回転心棒7-xを軸として自由に回転する円筒状のピストン状部材7-paが挿入されている。
固定装置の場合には、
このピストン状部材7-paを、固定装置の作動部7とするか固定装置の作動部7と連動させるか、または、この遅延器のピストン状部材7-pa(の支持点7-z)を、固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかし、
リレー連動作動型固定装置の場合には、
図255の例では、ピストン状部材7-paと回転心棒7-xにより連動する部材7-pbが、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8と、部材7-pbの先端部に設けられた支持点7-zを介して接続されている。
このワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8は、ピストン状部材7-paあるいは回転心棒7-xに対し直接接続される場合もある。
ピストン状部材7-paの表面には、移動方向に平行な直線部分7-pkと、その直線部分7-pkの両端を結ぶ曲線部分7-plとからなるループ状のガイド7-pgが、筒7-aにはバネ等9-cによってピストン状部材7-paの方向に押し出されているピン7-phが挿入される筒7-phaが、それぞれ設けられている。ピン7-phはピストン状部材7-paの表面に刻まれたガイド7-pgに嵌まっており、図255の例では通常時(ピストン状部材7-paが最も筒外に出た状態のとき)はガイド上の点7-piに位置している。
地震時にワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が固定ピンを解除する方向の力を伝えるとき、図255の例ではピストン状部材7-paは筒7-aの中へ入り込む方向へ移動する。このときピン7-phはガイド7-pgの直線部分7-pkを抵抗なく経由し、ピストン状部材7-paが最も筒中に入った状態でガイド上の点7ーpjに至る。この点7ーpjにおいて、ガイド7-pgの直線部分7-pkは曲線部分7-plへと変わるが、このとき前者より後者の溝の方がやや深くなっているため、バネ等9-cの働きによりピン7-phは直線部分7-pkから曲線部分7-plへと移行し、かつ逆戻りすることはない。
ピストン状部材7-paは、筒中7-aに最も深く入った状態からバネ等9-cにより筒7-aの外へ押し出されるが、ピン7-phがガイド7-pgの曲線部分7-plにはまっているために、ピン7-phとガイド7-pgの案内に従って回転心棒7-xを中心に回転しつつ、ガイド7-pgの曲線部分7-plを経由して直線部分7-pk上の最初の点7-piへと至る。ここでも前者より後者の溝の方がやや深くなっているため、同様にバネ等9-cの働きによりピン7-phは曲線部分7-plから直線部分7-pkへと移行し、かつ逆戻りすることはない。
このときピン7-phの経由するガイド7-pgの直線部分7-pkと曲線部分7-plとの距離差と曲線部分7-plのなす角度による抵抗とが、ピストン状部材7-paが筒7-aから外へ出る運動に対して遅延効果を与える。
このことにより、固定装置のロックを解除する方向の力は抵抗を受けず速やかに伝達し、一旦解除したロックを再び入れる方向の力は大きな抵抗を受けるためその力の伝達は遅延させることができるため、この機構を遅延器として用いることができる。
この経路迂回式遅延器は、固定装置の中に組み込む場合と、図255のようにワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8の途中に設置する場合とがある。

6)粘性抵抗式
図258は、粘性抵抗式遅延器の実施例を示している。
固定装置の場合には、
ラック36-cを、固定装置の作動部7に設けるか固定装置の作動部と連動する部材に設けるか、または、ラック36-cを、固定装置のロック部材11と、地震センサー振幅装置の地震時に振動する重り20または地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材との間で繋ぐかし、
リレー連動作動型固定装置の場合には、
このラック36-cに、リレー中間固定装置・リレー末端固定装置のロック部材と地震センサー振幅装置の重りまたは地震センサーにより作動するモーターもしくは電磁石等の作動部材または直前のリレー中間固定装置の連動機構との間を繋ぐ(レリーズ中の)ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド等8が接続される。
図258は固定装置Gに組み込まれた場合の例であり、固定ピン7から突出するアーム部材7-pmに設けられたラック36-c、歯車36-d、及びこれにかみ合う水車(風車)36-wと同軸の歯車36-eとによって、固定ピン7と水車(風車)36-wとが連動するように構成されている。また水車(風車)36-wは粘性のある液体(気体)に浸されており、回転する際にはその粘性によって抵抗を受ける。
地震時にロック部材11が解除されて固定ピン7がその挿入筒7-a中に入りこむとき、及び一旦筒7-aに入り込んだ固定ピン7がバネ等9-cによって筒7-aの外に押し出されるとき、固定ピン7の移動に伴ってアーム部材7-pmとラック36-cも移動し、歯車36-d及び36-eを介して水車(風車)36-wが回転する。 ここで水車(風車)36-wの羽根36-waを、抵抗を受けると容易に撓む性質のものとし、また羽根36-waを支持する部材36-wbを、固定ピン7の筒7-aから押し出される方向の移動に対応する水車(風車)36-wの回転方向については、羽根36-waが抵抗を受けても、これを支持して撓まないような位置に設置する。これにより水車(風車)36-wは、固定ピン7が筒7-aの中に入り込む方向の移動に対応する水車(風車)36-wの回転に対しては、羽根36-waが抵抗を受けて撓むために抵抗が小さくなり、逆に固定ピン7の筒7-aから押し出される方向の移動に対応する水車(風車)36-wの回転に対しては、羽根36-waが支持部材36-wbによって拘束されるために大きな抵抗をうける。
この抵抗の差により、固定ピンが筒7-aに入り込むときに対し、筒7-aより押し出されるときの方が固定ピンが移動に要する時間は長くなるので、この機構を遅延装置として用いることができる。このとき歯車36-dの径と歯車36-eの径との比によって水車(風車)36-wの回転数が決定され、この回転数によって抵抗が決定されることから、この比を設定することで遅延時間を調節することができる。
またこの固定ピン7の移動の際、装置内の粘性のある液体(気体)7-aoは、固定ピン7が筒7-a中に入り込むときは、固定ピン7が移動する体積分だけ筒7-a内部から通路7-eを通って水車(風車)36-wのある側へ移動し、固定ピン7が筒7-a中から押し出されるときは、同量が逆に水車(風車)36-wのある側から筒7-a内部へ通路7-eを通って戻ってくる。このため固定ピン7は、粘性のある液体(気体)7-aoから水車(風車)36-wによって与えられる分以外には抵抗を受けることはない。

8.6. 固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状
図216〜図219、図220〜図223、図225、図226、図227、図228、図229、図231、図230、図232、図233〜図236、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状の実施例を示している。
上記の固定装置において、固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状が、これらのずれかに記載の形状をしていることを特徴とする固定装置である。
地震後、固定ピン等は、残留変位のために必しも地震前の停止点に戻るとは限らない。したがって固定ピンが他の位置で停止しても免震される構造体1が固定されうるように、固定ピン挿入部の形状には、地震前の停止点よりも広い範囲(残留変位の生じる範囲)で固定ピンを受け止める(固定させる)ことができ、さらにまた、固定ピンを自然に地震前の停止点に戻すような工夫が必要になる。
つまり、地震前の停止点よりも広い範囲(残留変位の生じる範囲)に、摩擦の加わる形状、凸凹の多い形状を施し、さらにまた、すり鉢状等の凹面形状にして、固定ピンを地震前の停止点に戻るように促す工夫が必要である。

固定ピン挿入部の形状としては、以下の(1)(2)(3)(4)があげられる。その実施例はそれぞれ、図216〜図219に示されている。
(1) 球面
図216は、固定ピン7の挿入部7-vが球面形状の場合である。

(2) すり鉢
図217は、固定ピン7の挿入部7-vがすり鉢形状の場合である。

(3) 凸凹形状
図218は、固定ピン挿入部7-vが固定ピンの地震前の停止位置よりも広い範囲で凸凹形状になっている場合である。

(4) 斜め段々形状型すり鉢
図219は、固定ピン7の挿入部7-vが、凸凹形状で、全体としては円錐形すり鉢形状となっている場合である。
以上の (1)〜(4) の構成は、固定ピン7が免震される構造体1に、その挿入部7-vが免震される構造体を支持する構造体2に、取付けられるている場合の実施例であるが、その逆の関係の場合もある。
また、 (1)の球面型、(2)のすり鉢型の場合、固定装置と重力復元型免震装置とを兼用させることが可能であり、8.1.2.2.3.の地震センサー(振幅)装置装備型自動復元型固定装置を用いることによって、固定ピンを地震前の停止位置に戻すようにすることができる。

固定ピン挿入部の形状としては、以下の(5)(6)があげられる。その実施例はそれぞれ、図220〜図223、図225に示されている。

(5) 凸凹形状が逆
図220、図221は、固定ピン7の挿入部7-vが凸形状で、固定ピン7の先端が凹形状になっている場合である。図220は、凸形状が、尖っている場合、図221は、凸形状の角が取れて丸くなっている場合である。
図222、図223は、図220、図221の固定ピン形状の場合で、かつ固定ピン挿入部が、固定ピンの地震前の停止位置よりも広い範囲で凸凹形状になっている場合である。図222は、固定ピンの凸形状が尖っている場合、図223は、固定ピンの凸形状が尖り、挿入部7-vが、凸凹形状で、全体としては円錐形すり鉢形状となっている場合である。

(6) 固定ピンがアーム型
図224、図225は、固定ピンが、曲がったアーム型をしている場合である。
固定ピン7は、挿入部7-v側とは反対端で、回転軸挿入部7-xによって回転できるような形で取付けられ、固定ピン先端はこの回転軸7-xを中心として回転し挿入部7-vに挿入される。
固定ピン7の挿入部7-vの反対端は、この挿入部7-vが設置されている構造体の反対側の構造体(免震される構造体1にこの挿入部が設けられている場合は、免震される構造体を支持する構造体2に、免震される構造体を支持する構造体2に設けられている場合は、免震される構造体1に)の回転軸挿入部7-xに、回転できる形で挿入され取り付けられている。
図224は、この固定ピンの挿入部7-vが凹形状、固定ピン7が凸形状となっている場合、図225は、その逆の、固定ピンの挿入部7-vが凸形状、固定ピン7が凹形状となっている場合である。
固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状としては、以下の(7)があげられる。その実施例はそれぞれ、図226、図227に示されている。

(7) 上下固定ピンロック型
図226、図227は、上下の固定ピンがあり、下の固定ピンが上がり、上の固定ピンが下がり、噛み合うことにより、免震される構造体1を固定する。
また、下の固定ピンが下がり、上の固定ピンが上がると固定が解除される。
図226は、上下の固定ピンが上がり下がりし、噛み合いロックする型である。
図227は、図226とは凹凸が逆で、上下の固定ピンが上がり下がりし、噛み合いロックする型である。

固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状としては、以下の(8)があげられる。その実施例はそれぞれ、図228、図229、図230、図231に示されている。

(8) 上下固定ピン中間滑り部挟み型
図228、図229、図231、図230 は、上下固定ピン中間滑り部挟み型の実施例を示している。
図228 〜図231 は、上下の固定ピンが上がり下がりし、中間滑り部等を介して、免震装置をロックするものである。
上下に固定ピンがあり、ロック時は、下の固定ピンが上がり、上の固定ピンが下がり、中間滑り部を挟みロックし、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2とを固定する。
解除時は、下の固定ピンが下がり、上の固定ピンが上がり、固定が解除される。

1) 図228は、上下の固定ピン7が上がり下がりして、ローラー・ボール5-e等の転がり型の中間滑り部を上下で挟み、ロックするものである。
具体的には、図49、図81、図83、図84、図86〜図87、図91〜図96、図102等の上側免震皿3-a、下側免震皿3-bの中央部の、ボール5-e等の中間滑り部を挟む位置に固定ピン挿入部7-vを設け、固定ピン7を挿入し、上下の固定ピン7でボール5-e等の中間滑り部を上下で挟むことで、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとを固定させることが可能になる。

2) 図229は、上下の固定ピン7が上がり下がりし、保持器をもったローラー・ボール等の中間滑り部の(保持器に開けられた)中央部の挿入部で重なり合い、周囲にある中間滑り部(保持器)の拘束で、上下の固定ピン7の水平移動が拘束され、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2とを固定する。
具体的には、図79〜図80、図82、図85等の、上側免震皿3-a、下側免震皿3-bの中央部に、固定ピン挿入部7-vを設け、固定ピン7を挿入し、保持器5-gをもったローラー・ボール5-e等の中間滑り部の(保持器に開けられた)中央部の挿入部位置で、この上下の固定ピン7が重なり合い、周囲にある中間滑り部(保持器5-g)の拘束で、上下の固定ピン7の水平移動が拘束され、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとを固定させることが可能になる。

3) 図231は、上下の固定ピン7があり、下の固定ピン7が上がり、上の固定ピン7が下がり、上下の固定ピン7が中間滑り部6に挿入することにより、上下から中間滑り部6をロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2を固定するものである。解除時は、下の固定ピン7が下がり、上の固定ピン7が上がり、ロックを解除する型である。
具体的には、図88、図102、図103〜図104、図105、図106〜図107、図108〜図109等の、上側免震皿3-a、下側免震皿3-bの中央部に、固定ピン挿入部7-vを設け、固定ピン7を挿入し、中間滑り部6の挿入部7-v位置に上下の固定ピン7が挿入すると、上下の固定ピン7の水平移動が拘束され、それにより上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとを固定させることが可能になる。
また、図89は、図230、図231の装置の併用で、ロックが可能になる。

4) 図230は、上の固定ピンと下の固定ピンとの間に、中間滑り部をもつ固定装置において、
固定ピンと中間滑り部の間に、ローラー・ボールの保持器を有し、この保持器の挿入部に、固定ピンが挿入されてロックするように構成されている。
図230では、上下の固定ピン7があり、下の固定ピン7が上がり、上の保持器の挿入部に挿入し、同時に、上の固定ピン7が下がり、下の保持器の挿入部に挿入し、この上下の保持器をロックし、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2を固定するものである。
解除時は、下の固定ピン7が下がり、上の固定ピン7が上がり、ロックを解除する型である。
当然、下また上だけ保持器の場合もある。
具体的には、図90等の、上側免震皿3-a、下側免震皿3-bの中央部に、挿入部7-vを設け、固定ピン7を挿入し、上下の保持器5-gをもったローラー・ボール5-eの中間滑り部の(保持器に開けられた)中央部の挿入部位置に、この上下の固定ピン7を挿入して、この上下の保持器5-gの中間滑り部を固定することで、上側免震皿3-aと下側免震皿3-bとを固定させることが可能になる。
図228〜図231の利点は、二重免震皿免震装置・滑り支承に使えることで、免震皿を二重にすることで、その大きさは一重の場合のほぼ半分とすることが可能であり、地震後の残留変位に対処するためのすり鉢状等の凹面形状の大きさをほぼ半分にできることである。
さらに、固定ピンを上下から各々挿入する仕組みによって、各固定ピンの可動寸法が小さくてすむようになり、例えば、電池等で作動させる場合でも、その負担を小さくすることができ、また地震力のみで作動させる場合でも、微小地震の際の作動を容易にすることができる。
また、(7)の上下固定ピンロック型、(8)の上下固定ピン中間滑り部挟み型ともに、それぞれ地震作動型、風作動型に分かれる。
地震作動型とは、普段は固定ピンがセット(=ロック・固定)されており、地震時に上下固定ピンが同時に抜かれ、解除される型であり、風作動型とは、風時にのみ、上下固定ピンが同時に挿入され、固定ピンがセットされる型である。
固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状としては、以下の(9)があげられ、その実施例は、図232に示されている。

(9) 固定ピン滑り部ロック型
図232の装置と同様の機構で、固定ピン7が一本の場合も当然考えられる。上または下の固定ピン7で、滑り部5また中間滑り部6を固定し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2を固定するものである。
解除時は、固定ピン7が抜かれて、固定を解除する。
具体的には、図110〜図115等の、免震皿3の中央部に、固定ピン挿入部7-vを設け、固定ピン7を挿入し、滑り部5また中間滑り部6の挿入部7-v位置に、この固定ピン7が挿入されることにより、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2を固定するものである。
固定ピン挿入部の形状及び固定ピンの形状としては、以下の(10)があげられる。その実施例はそれぞれ、図233〜図236に示されている。

(10) 固定ピン凹み型
図233〜図236は、固定ピン、またはボール5-e等の中間滑り部に対して、固定ピン挿入部7-vが凹み、固定ピン7または中間滑り部が嵌まり込むことによってロックをおこなうものである。
図235、図236は、
固定ピン7自体は動かずに、その反対側の挿入部7-vが凹むことにより、固定ピンがセット(=ロック・固定)されるものである。
また、この凹んだ挿入部7-vが元の位置に戻り、固定ピン7が挿入部から押出されるとロックが解除される。
挿入部7-vと固定ピン7のうち、どちらか一方が免震される構造体1に、もう一方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられることにより構成される。
図233、図234は、
免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に、すべり型の中間滑り部6、またはローラー・ボール5-e,5-f等の転がり型中間滑り部、または保持器5-gをもったローラー・ボール5-e,5-f等の中間滑り部を有し、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2の一方または両方の、この中間滑り部に接する部分が挿入部7-vをなしている。
中間滑り部に対して、挿入部7-vが凹んで、中間滑り部を固定することにより、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが固定される。また、凹んだ挿入部7-vが元に戻り、中間滑り部が押し出されると固定が解除される。
図233、図234は、この発明を示し、免震される構造体1側と免震される構造体を支持する構造体2側の両方に、挿入部をもつ場合を示している。図233は、挿入部7-vが凹む前の、ボール5-eが転がり可能な状態のもので、図234は挿入部7-vが凹んで、ボール5-eの転がりを阻止し、免震装置をロックするものである。
具体的には、図91等の、上側免震皿3-a、下側免震皿3-bの両方の中央部に、固定ピン挿入部7-vを設け、ボール5-e等の中間滑り部に対して、挿入部7-vが凹んで、中間滑り部を固定することにより、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが固定される。また、凹んだ挿入部7-vが元に戻り、中間滑り部が挿入部から押し出されると、固定が解除される。

以上の(1) 〜(10) の固定装置等は、引抜き力を押さえ込む引抜き防止装置との併用によってより効果を発揮する。

8.7. 免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置(食込み支承)
8.7.1. 免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置
特許 1844024号と特許 2575283号とで記載の免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)、免震装置(免震装置・滑り支承)、また、上記の4.二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、免震皿の滑り面部の中央部が、滑り部、中間滑り部、ボール・ローラーの形状で、また入り込む形状で、窪んだ(凹んだ)形(食込み部)で形成された免震皿をもつことにより構成される免震装置・滑り支承である(以下、「食込み支承」という)。
風等の揺れに対抗できるように、窪んだ(凹んだ)形状を形成したものであり、
それを使用した場合の免震構造である。
その効果は、風揺れの防止である。一般に転がり型免震においては、風揺れの防止が一番大きな課題となるが、食込み支承は、免震皿の滑り面部の中央部を、免震皿に挟まれた、ボールまたはローラーが入り込む形で、さらにそのボールまたはローラーの曲率形状で窪ませる(凹ませる)、という比較的簡単な方法で大きな風揺れ抑制効果を持つものであり、傾斜角を大きくする(すり鉢状免震皿)、曲率半径を小さくする(球面状免震皿)等の方法に比べて、地震時に免震装置が作動した際の免震性能を落とすことがない優れた方法である。
ここで、地震時の免震性能について述べれば、地震時に、中央部窪み形に中間滑り部、ボールまたはローラー等が入り込む心配があるが、 実際は、地震は全方向に動くため、中央部を通過するケースはそれほど多くない。とくに中央部窪み径が小さい場合は、その確率は小さく、免震性能が低下することは少ない。そのため地震時に一旦動きだせば、高い免震性能を保てる。
図95は、この発明のすり鉢状二重免震皿型の場合の実施例(以下、「食込みすり鉢状二重免震皿型支承」という)を示し、図96は、平面状と球面状の二重免震皿型の場合の実施例を示しており、ともに、上側免震皿3-aおよび下側免震皿3-bに、ボール5-eの曲率形状で窪ませ(凹ませ)た窪み35のある場合の実施例である。
以上は二重免震皿の場合であるが、当然、特許 1844024号と特許 2575283号とで記載の免震復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承)、免震装置(免震装置・滑り支承)においても、つまり、図110〜図115等の、滑り部5また中間滑り部6と免震皿3からなる免震装置型においても、免震皿の滑り面部に、滑り部5また中間滑り部6とボール5-eまたローラー5-fの同曲率形状で窪ませる(凹ませる)ことが考えられる。図97は、その実施例であり、免震皿3の滑り面部に、滑り部5の曲率形状で窪ませた窪み35のある場合の実施例である。
また、免震皿の滑り面部に窪ませる(凹ませる)形状の寸法は、以下の式から与えることが可能である。
球また円状に免震皿の滑り面部の一部を窪ませるとして、K=M(免震される構造体の質量)×G(重力加速度)/R(滑り部また中間滑り部とボールまたはローラーの半径)として表され、免震皿の滑り面部の窪ませられた寸法の半分をLとし、同装置の設置個数をN(同装置が、偏心しないようにバランス良く配置されたとして)とすると、K×L×N+摩擦力(免震装置・滑り支承の摩擦)が、免震される構造体にあたる最大風圧力よりも大きい場合は、風圧力によって動く事はない。これが目安になり、免震皿の滑り面部に窪ませる(凹ませる)形状の寸法が決定される。
若しくは、その窪みが免震皿の滑り面部へ切り替わる勾配の差により生じる角度θによって、最大抵抗値が決まる。最大抵抗値は、免震される構造体の質量×sinθ・cosθ≒tanθ≒θ(radian)で求められる。この式は、窪ませる(凹ませる)形状がすり鉢であっても使用できる。
また、当然、必ずしも免震皿に挟まれたボールまたはローラーの曲率形状で窪ませる(凹ませる)必要はなく、ボールまたはローラーが入り込む形状で窪ませる(凹ませる)だけでもよい。

(1) 免震皿と滑り部とからなる免震装置・滑り支承における水平力の抵抗計算
例として、ボールまたはローラーの滑り部5と免震皿3からなり、かつこの免震皿3の滑り面部にこの滑り部5の形状で窪ませられた窪み35が設けられている免震装置・滑り支承を考える。
滑り部5に、水平力Q及び質量Mによる鉛直荷重M×G(重力加速度)が加わっているとき、この滑り部5が窪み35から免震皿3の滑り面部へ脱するための条件は、この窪み35と滑り面部との境界での窪み35の曲面の勾配をtanθとしたとき、Q×cosθ>M×G×sinθ+摩擦力より、Q>M×G×tanθ+摩擦力となる。摩擦係数をμとすればこの式は、Q>M×G×(tanθ+μ)と表せる。以上は窪み35の形状(すり鉢形状、球面形状等)を問わず適用できる。
また、この滑り部5の形状で窪ませられた窪み35の形状が球また円状となる場合、その曲率半径をR、窪み35と滑り面部との境界の描く円の半径をLとしたとき、窪み35の滑り面部の勾配tanθがある程度小さければ、tanθ≒sinθ=L/Rであるから、このときの条件は、上式よりQ>M×G×L/R+摩擦力である。この式を前述のKを用いて書けば、Q>K×L+摩擦力となり、免震装置の設置個数をN個(同装置を偏心しないようにバランス良く配置したとして)とすると、Q>K×L×N+摩擦力となり、前項と一致する。
以上のことから、免震される構造体にあたる最大風圧力よりも水平力Qが大きくなるようにtanθあるいはK及びLを定めることにより、この免震された構造体が風圧力により動くことはないとすることができる。また摩擦力については、不安定なため算定に加えない方がよい場合もある。

(2) 二重(または二重以上の)免震皿型免震装置・滑り支承における水平力の抵抗計算
1) 片面のみの窪みの場合
ボールまたはローラーの滑り部と上部及び下側免震皿とからなり、かつこの上下免震皿の一方だけに、この滑り部の形状で窪ませられた窪みが設けられている 二重(または二重以上の)免震皿型免震装置・滑り支承を用いる場合、食込み部をもたない方の免震皿をすべる中間滑り部のすべりにより水平力抵抗値が規定される。

2) 両面の窪みの場合
例として、ボールまたはローラーの滑り部5と上側免震皿3-a及び下側免震皿3-bとからなり、かつこの免震皿3-aと3-bとにこの滑り部5の形状で窪ませられた窪み35が設けられている 二重(または二重以上の)免震皿型免震装置・滑り支承を考える。この滑り部5は転がり部材として機能し、スリップ等はしないものと考える。
上側免震皿3-aに水平力Q及び質量Mによる鉛直荷重M×G(重力加速度)が加わっている場合、この滑り部5が窪み35から免震皿3の滑り面部へと脱するための条件は、滑り部5と上側免震皿3-a及び下側免震皿3-bの窪み35の曲面との接点での、窪み35の曲面の勾配をtanθとしたとき、滑り面部5がスリップ等をせずに転がるのであれば、この2つの接点における荷重の条件は、滑り面部5の中心について点対称で共通であり、(1)の場合と同様の計算過程となるため、前述の関係式Q>M×G×tanθ+摩擦力を用いることができる。摩擦係数をμとすればこの式は、Q>M×G×(tanθ+μ)と表せる。以上は窪み35の形状(すり鉢形状、球面形状等)を問わず適用できる。
またこの滑り部5の形状で窪ませられた窪み35の形状が球また円状となる場合、その曲率半径をRとし、窪み35と滑り面部との境界の描く円の半径をLとしたとき、Q>K×L×N+摩擦力となるのも前項と同じである。
以上のことから、免震される構造体にあたる最大風圧力よりも水平力Qが大きくなるようにtanθあるいはK及びLを定めることにより、この免震された構造体が風圧力により動くことはないとすることができる。また摩擦力については、不安定なために算定に加えない方がよい場合もある。
また、以上のいずれの場合も風揺れ防止に不足する分は、下記のように 8.7.3.の固定装置との併用することで補う方法もある。

8.7.2. 耐圧性能加味した転がり滑り支承
また、免震皿の滑り面部の中央部を、その免震皿の滑り面部を滑動するボールまたはローラーの曲率形状で窪ませる(凹ませる)ことは、重量構造体(免震皿面にボールまたはローラーが食い込むような重量が大きい構造体)の場合、免震皿の滑り面部の耐圧性能を上げる効果も持つ。
免震皿側の滑り面部の耐圧性能を上げる場合の発明である。
接触面積がそのまま耐圧面積となり、耐圧性能が計算できる。逆に、必要な耐圧性能から必要耐圧面積つまり接触面積を計算して、食込み面積(ほぼ接触面積と同じである)を出せばよい。
耐圧性能を上げる効果と風揺れ防止の効果とを合わせ持たせる場合の発明である。
8.7.1.の計算と上記の計算をすれば良く、耐圧性能だけを満たして、風揺れ防止に不足する分は、下記のように 8.7.3.の固定装置との併用することで補う方法もある。

8.7.3. 固定装置との併用
この免震皿の中央部窪み形の風揺れ等抑制装置と、固定装置(上述を含む風揺れ防止装置全般)との併用は、双方の装置に風圧力を分担させ、従って固定装置の数を少なくさせる。
特に、固定装置1個(重心位置等)との併用は、固定装置1個の場合にありうる、風による免震される構造体の(固定ピン廻りの)回転を防ぎ、かつ、固定装置を使用せずにこの中央部窪み形の風揺れ等抑制装置で全ての風揺れに対応する場合より免震性能を向上させる。

8.8. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
8.8.1. 底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿
重力復元型(一重免震皿または二重(または二重以上の)免震皿)免震装置・滑り支承の免震皿3の凹型滑り面部としては、地震後の残留変位が少なく、固有周期を持たないゆえに共振現象を起こさないすり鉢形状が望ましい。
しかし、風への抵抗を考えると、すり鉢形状の勾配を大きくする必要があり、その場合には、小さい地震には、免震しにくく、大きな地震時も、すり鉢傾斜の大きい分、免震時の(すり鉢の中心付近を通過し、勾配の下りと上りとが急に変化するときの)振動衝撃が大きくなり、スムーズな免震が得にくい。
そこで、すり鉢の底を球面にすることにより、小さい地震も免震可能となり、大きな地震時にも、すり鉢の底での急激な勾配の変化が無くなることで、快適な免震が行われる。
すり鉢形状免震皿をボール5-eが転がる構成の場合(図91)は、特にその効果は顕著であり、すり鉢形状免震皿を球面型滑り面部を持つ滑り部、中間滑り部(図98)がすべる構成の場合でも、効果はある。
上記の発明において、すり鉢の底の球面半径は、地震周期に共振する半径近傍でもって構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承の発明であり、その意味するところは、すり鉢の底の球面半径が、地震周期に共振することによって、初期の小さい加速度から免震を開始することが可能となる。このように初滑動の加速度を小さくするとともに、この球面の範囲外では共振をすり鉢によって押さえることが可能になる。

8.8.2. 微振動用の固定装置を重心に併用
しかし、すり鉢の底を球面にすることより、免震される構造体は小さい風でも球面部内を振動し、(底面の球面部以上の振幅は抑制されるが)揺れてしまう。そこで、底面の球面部内の微振動による揺れ止めのために、固定装置を、特に 8.2.の風作動型固定装置(平常時はロックされ、地震時にロックが解除される固定装置)を、免震される構造体の重心またはその近傍に一本また複数本併用する。
すり鉢形状免震皿をボール5-eが転がる構成の場合(図91)は、特にその効果は顕著であり、すり鉢形状免震皿を球面中間滑り部がすべる構成の場合(図98)でも、効果はある。

8.9. 二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承による風揺れ固定
(1) 凹型免震皿をもった二重免震皿免震装置・滑り支承
地震時以外の常時に上下の免震皿が接し、摩擦が発生する形状の、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承(4.参照)の利用により、風揺れ抑制効果をもたらす。二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承と中間滑り部(転がり型中間滑り部またはすべり型中間滑り部)とにより構成され、二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承のうち、どちらか、あるいは両方が凹型滑り面部を有する免震皿(凹型免震皿)をもつ。そのように構成された二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、
中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置(地震時以外の通常時の停止位置)に納まった時において、上下の二重免震皿の双方の凹型滑り面部以外の周囲が接して(中間滑り部のために双方が接しない場合には、周辺部に縁を立てる等により接して)、摩擦が発生するようにし、風揺れ等に対処する。
ある一定以上の大きさの地震等が発生して、中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置からずれると、上の免震皿が浮き上がり、上下の二重免震皿が接しなくなり、免震性能を下げる摩擦が発生しなくなる。
図99は、その発明の実施例のひとつを示している。
凹型免震皿3-a、3-bをもつ二重免震皿免震装置・滑り支承とボールの中間滑り部5-eとにより構成され、
中間滑り部5-eが、凹型免震皿3-a、3-bの最も底の位置に納まった時(通常時の停止位置)において、上下の二重免震皿3-a、3-bの双方(の縁または双方の立ち上がった縁)が接して、摩擦を発生するようにし、風揺れ等に対処する。
ある一定以上の大きさの地震等が発生して、中間滑り部が、凹型免震皿の最も底の位置からずれると、上の免震皿が浮き上がり、上下の二重免震皿が接しなくなり、摩擦が発生しなくなる。
また、接触面を噛合せて、摩擦をより大きくする場合もある。
さらに、この二重免震皿免震装置・滑り支承に、食込み支承(8.7.)を使用することにより、上下の免震皿の接し方をより確実にし、摩擦をより大きくすることも可能である。
なお、この食込み支承(8.7.)の使用と、上下の二重免震皿の接触面を噛合せることにより、摩擦をより大きくしても、地震時に一旦動きだせば、上の免震皿が浮き上がり、上下の二重免震皿が接しなくなり、摩擦が発生しなくなることは同じである。つまり、なかなか動きにくく、地震時に一旦動きだせば、非常に高い免震性能が得られる。これも固定装置との併用によってより効果を持つ。
また、接触面が与える密閉性のため、食込み支承の中央部窪みに入り込む塵埃等が最小限となる。

(2) 平面型滑り面部同士の免震皿をもった二重免震皿免震装置・滑り支承
さらに、平面型滑り面部同士の免震皿をもった二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、片方が窪み、もう片方が出っ張って、入り込む形状を取り、摩擦を発生して風揺れ等に対する抵抗をなす。
この機構は、(1)の凹型滑り面部以外の接触面においても考えられる。
図76〜図77は、
平面型滑り面部同士の免震皿3-a、3-bをもった二重(または二重以上の)免震皿免震装置・滑り支承において、各免震皿のある部分(図では中央部)に、一方の免震皿は凹部3-v、もう片方は凸部3-uを有し、互いに嵌まり合うように構成されている。
凸部3-uまた凹部3-vの形状は、図76では球面形であり、図77では円錐形である。
この支承は、すべり支承の「食込み支承」ともいうべきものであるが(8.7.は、転がり支承の「食込み支承」)、免震性能を別にすると、風揺れ抵抗は、8.7.の「食込み支承」と同様に、窪み3-vの傾斜角度によって決まり、その窪みが、免震皿の平面形状へ切り替わる勾配の差により生じる角度θによって、最大抵抗値が与えられる。 最大抵抗値は、免震される構造体の質量×tanθとなる。この式は、窪ませる(凹ませる)形状がすり鉢であっても使用可能である。

8.10. 手動型固定装置の併用
(1) 手動型固定装置の併用
免震性能を良くするために固有周期を長くした、積層ゴム免震装置または免震滑り支承の球面・すり鉢等の凹面形状の勾配等をもった免震装置・滑り支承の場合には、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、強風時に手動で固定する固定装置(以下、「手動型固定装置」と言う)を併用する。
また、強風時の安全が保証されている場合で、積層ゴム等のバネ定数、また免震滑り支承のすり鉢等の凹面形状等の勾配、また滑り支承面等の摩擦によっても、強風時にある程度の揺れが生じる場合には、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、手動で固定する固定装置を一本、また複数本併用して、揺れ止めを行う。
具体的には(強風時の安全が保証されている場合で、現実的にはそのようなことが要求される)、免震性能を良くするためには固有周期を長くした結果強風時の揺れが避けられない、積層ゴムの場合、滑り支承とバネ等の併用の場合、球面またはすり鉢等の凹面形状の免震皿支承の場合等の免震装置において、
強風時に手動で、固定ピン7を固定ピンの挿入部7-vに挿入する、または固定装置の作動部をロックするロック部材でロックする等によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを固定する固定装置を、一本また複数本併用することにより、高い免震性能を実現し、且つ強風時の揺れを抑制できる。
また、8.8.の「底面の球面部とそれ以外の周辺部のすり鉢併用の免震皿」におけるように、強風時の抵抗を、底面の球面部を除く周辺部のすり鉢だけでなす場合に、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、強風時用に手動で固定する固定装置を、一本また複数本併用して(底面の球面部での微振動を含めて)揺れ止めを行う。

(2) 自動解除固定手動型固定装置の併用
強風時に手動で固定するが、地震時には自動的に解除される固定装置を併用して、風等による揺れ止めを行う。

地震センサー(振幅)装置装備型固定装置において、
強風時に、手動で固定装置の作動部をロック部材により固定し、
地震時に地震センサー振幅装置の振動する重りの力でまたは地震センサーからの指令で、そのロック部材による固定を解除するように構成されてなることを特徴とする自動解除固定手動型固定装置である。

図181の装置は、その固定ピン型固定装置の実施例である。この装置について、8.1.2.2.4. 1)の説明では、「またバネ等9-cは、すり鉢状等の凹形状挿入部7-vm へ固定ピン7がゆっくりと挿入する程度のものとする」となっていたが、ここでは、バネ等9-cは、固定ピン7を持ち上げるものでよい。
当然、連結部材弁型固定装置の場合の形も存在する。
これらが、適宜配置されて風揺れに対処する。

8.11. 地震後の残留変位への対処
8.11.1. すべり型免震装置の残留変位矯正
すべり型免震装置においては、特に、地震後の残留変位の矯正が困難であった。
それを解決する発明である。この発明は、当然、転がり型免震装置においても使用可能なものである。
免震皿の摩擦面に潤滑剤が潤滑する溝があり、免震皿の外側に、その溝に潤滑剤を流し込むための孔があって、地震後に、この孔から潤滑剤を流し込み、摩擦面を潤滑させ、地震後の残留変位の矯正を容易にするというものである。
この潤滑剤として、揮発性の液体潤滑剤は、摩擦を発生させて風揺れに対処するようなすべり型免震装置においては特に有効である。

8.11.2. 重力復元型免震装置・滑り支承の免震皿の形状
重力復元型免震装置・滑り支承における免震皿の凹型滑り面部の形状は、地震後の残留変位が少ないすり鉢状が望ましく、
さらに、すべり型免震装置においては、凹型滑り面部の底を平らにし、その平らな部分の大きさも滑り部の大きさとほぼ同じにして、滑り部等が底に戻り易くするという工夫も必要である。
また、すべり型・転がり型免震装置両者ともに摩擦係数を小さくする必要もある。
8.1.2.2.2.と8.1.2.2.3.の自動復元型、8.1.2.3.の自動制御型、8.2.の風作動型固定装置の各場合においては、このような免震装置の工夫は不可欠になる。

8.12. 風揺れ対策のための固定装置等の組合せ
軽量建物・構造体、特に軽量(木造・鉄骨系)戸建て住宅の免震における問題は、風揺れ対策である。
この問題に対して、いままで述べた風揺れ対策は、単独でも十分な効果を発揮するが、それらを組合せることにより、単独以上の効果をもつ。

(1) 重心部に固定装置と周辺部にすべり支承または(及び)食込み支承との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)免震される構造体の周辺部に食込み支承(8.7.)を配置する。そのことにより、風揺れに対処できる。これは3つに分かれる。

1) 摩擦発生装置(例、すべり支承)
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に、すべり支承等の摩擦発生装置とを配置する。

2)食込み支承
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に食込み支承(8.7.)を配置する。

3) 摩擦発生装置及び食込み支承
免震される構造体の重心またはその近傍に、固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、すべり支承等の摩擦発生装置及び免震される構造体の周辺部に食込み支承(8.7.)を配置する。そのことにより、風揺れに対処できる。

以上の 1) 2) 3)について説明すると、
すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承(特に、食込みすり鉢状二重免震皿型支承)だけだと、免震性能が落ちる。
逆に、固定装置のみの場合は、重心軸での回転防止対策として、2装置以上必要になり、リレー連動作動型固定装置(8.3.3.参照)等を採用することになるが、この機構は簡易ではなく、メンテナンスなどの面からも固定装置は、一装置としたい。
そこで、固定装置と周辺部にすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承を併用し、双方が風荷重を適当な割合で分担することにより、すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承(特に、食込みすり鉢状二重免震皿型支承)のみの場合よりも免震性能を上げることができる。なおこの場合固定装置は一装置のみでよいので、メンテナンスも容易となって簡易化も図れる。

※ すべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承の配置について
風揺れ防止のためのすべり支承等の摩擦発生装置は、同一直線上にない三カ所以上(同摩擦係数の三装置)に配置し、重心(と考えられる位置:ある程度の誤差は許容される)を三装置を結んでできる三角形の中に含めば任意の配置としてよい。
但し三カ所の摩擦発生装置の摩擦係数が違っている場合のことを考えると、各装置をできるだけ重心より離して配置した方が地震時のねじれ運動を生じない。
※重心(と考えられる位置)の外側三カ所に任意に配置してよいことの証明
すべり支承等の摩擦発生装置と重心位置との位置関係を検討するため、梁を(支持台に対して移動可能な)支持点で支持するモデルを想定する。(このとき摩擦発生装置の摩擦係数はそれ以外の摩擦係数(例、転がり支承)よりも十分に大きいものとする。)
このモデルが梁の軸に対し直交方向の水平力を受けて運動する場合を考えると、安定のためにまず支持点は2カ所以上必要であり、かつねじれ運動を生じないためには、各支持点の摩擦係数はすべて同じでなければならない。
ついで2点で支持されている場合を考えたとき、この支持点の間に重心が無い場合は、支持点のうち重心から遠い方の点に引き抜き力が発生してしまう。このためこの支持点に引き抜き防止装置が配置されている場合に限り、この位置関係が許される。
よって常に支持が安定で、かつねじれ運動が生じないための条件は、2点の支持点の間に重心があり、支持点の摩擦係数が同じである場合となる。
この関係を平面に対して適用した場合、摩擦発生装置の配置の条件は、同一直線上にない3カ所以上であり、重心(と考えられる位置)を3装置を結んでできる三角形の中に含めば任意の配置としてよいということとなる。
但し各摩擦発生装置の摩擦係数が一様でない場合を考えると、重心(と考えられる位置)から各摩擦発生装置への距離をできるだけ離した方が、水平力を受けた場合の回転モーメントを小さくでき、地震時のねじれ振動を抑えることができる。

(2) 重心部に地震作動型固定装置と周辺部に風作動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に地震作動型固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に風作動型固定装置を最低限一箇所とを配置する。
地震作動型固定装置(8.1.)のみの場合は、風時の重心軸での回転対策が必要になるため、その回転対策として、周辺部に風作動型固定装置(8.2.)を最低限一箇所併用する。

(3) 重心部に地震作動型固定装置と、周辺部に風作動型固定装置とすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に地震作動型固定装置を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に風作動型固定装置を最低限一箇所とすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承とを配置する。
地震作動型固定装置(8.1.)のみの場合は、風時の重心軸での回転対策が必要になるため、その回転対策として、周辺部に風作動型固定装置(8.2.)を最低限一箇所とすべり支承等の摩擦発生装置または(及び)食込み支承(8.7.1.)を併用する。

(4) 重心部に固定装置と周辺部に手動型固定装置との併用
免震される構造体の重心またはその近傍に固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)を最低限一箇所と、免震される構造体の周辺部に手動型固定装置(8.10.)を最低限一箇所とを配置する。
手動型固定装置について、風が吹き始めたら(また揺れ始めたら)、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とを、室内から電気等で固定する装置も考えられる。

(5) 自動解除固定手動型固定装置と自動解除自動復元型固定装置との併用
(4)に関して、8.10.(2) 自動解除固定手動型固定装置の採用の場合、その自動解除固定手動型固定装置は、免震される構造体の重心またはその近傍に設置される固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)に比べて、固定装置の解除の感度が地震に対して高く敏感な装置となる。
つまり、免震される構造体の重心またはその近傍に固定装置(8.1.地震作動型固定装置、8.2.風作動型固定装置)が設置され、それに比べて、地震時に解除されやすい自動解除固定手動型固定装置(8.10.(2))が周辺位置に設置されることにより構成されてなることを特徴とする免震構造である。
そのことにより、この自動解除手動型固定装置は重心部設置の固定装置よりも感度が高いため、地震時の、重心部設置の固定装置の固定解除が遅れた場合に生じる捩れた動きの問題も解消される。

(6) 固定装置と回転・捩れ防止装置との併用
固定装置と、10.1.の回転・捩れ防止装置とを、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けることにより構成されてなることを特徴とする免震構造である。
固定装置を最小個数に、できれば一個にし、回転・捩れ防止装置も最小個数にするためには、固定装置を免震される構造体の中央部に、回転・捩れ防止装置を免震される構造体の周辺部に配置するのがよい。
ここで言う「免震される構造体の中央部」とは、免震される構造体の重心部のことではなく、単に中央部分であり、場合によっては、回転・捩れ防止装置の配置される免震される構造体の周辺部の内側(免震される構造体の中央部寄り
)という意味でもよい。
ここで言う「免震される構造体の周辺部」とは、固定装置の配置される免震される構造体よりも外側(免震される構造体の周辺部寄り)という意味でもよい(10.2.参照)。

(7) 連動型でない固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用
連動型でない(連動型でも安定度が増すので併用は勿論可である)固定装置の複数個配置と 10.1.の回転・捩れ防止装置との併用により、
地震時に固定装置が同時解除しない地震作動型固定装置の場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決し、風時の風揺れ抑制の安全さを増する。というのは連動型でない固定装置を複数個配置して、地震時の固定装置の解除に時間差が生じて、重心位置でない位置の免震装置が最後まて解除されずに残り、それにより捩れが起きかけても、回転・捩れ防止装置によって捩れ振動、回転運動が生じずに免震される構造体は固定されており、その固定装置の解除と共に免震がスムーズに始まるからである。
また、風時に固定装置が同時固定しない風作動型固定装置の場合、また全個固定しない場合の風による回転等の不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する(10.3.1.(2)参照)。

以上、(1)〜(7)同士のいろいろな組合せの併用も当然考えられる。

8.13. 杭折れ防止構法
杭折れ防止構法は、上部構造(地上構造物)と杭等の基礎部とを構造的に縁を切り、その両者間をある一定以上の地震力によって折れるか切れるかする固定ピンで繋ぐことにより構成するものである。
ある一定以上の地震力とは、杭折れが起こる地震力以下の地震力である。
上部構造(地上構造物)の柱等と、基礎部との詳細としては、まず、基礎部の柱受けの詳細として、柱より大きな支持板を持ち、周辺は立ちあげて、柱が支持板より外れるのを防ぐ必要もある。
その支持板は、杭折れを防ぐためだけならば、コンクリートでもよい。また形状は、平面でも、すり鉢また球面等の凹面でもよい。同様に、上部構造(地上構造物)の柱等の基礎当たり部の材料は杭折れを防ぐためだけならば、コンクリートでも良く、また形状は、平面でも、基礎部と対称の、台円錐また球面等の曲凸面でもよい。
また固定ピンも、剪断ピン同様、地震時に切断を誘発する誘発切り込みの入ったものでもよい。


9. 緩衝・変位抑制、耐圧性向上支承
9.1. 緩衝材付支承
(1) 減衰ダンパーについて
積層ゴム免震は、(時間軸を横軸、変位を縦軸とすると、)等比級数的な減衰曲線を持ち、減衰しにくいため、必ずと言ってよいほど減衰ダンパーが必要であるが、滑り型免震では(時間軸を横軸、変位を縦軸とすると、)等差級数的な減衰曲線を持ち、すみやかに減衰するため、減衰ダンパーは必要ない。なお滑り型免震に減衰ダンパーを設けた場合には、免震性能を下げる効果しか持たない。また、全ての免震機構に言えることであるが、減衰ダンパーでは、11.1.に記載のように免震される構造体の形態の多様性に対応できない。

(2) 滑り型免震での減衰ダンパー= 緩衝材付支承
ゴム等の弾性材また緩衝材を、免震装置・滑り支承の免震皿等の滑り面(すべり面・転がり面)の周辺また縁に取り付けて、(設計時の)予想を上回る地震変位振幅が入力した場合、その支承周辺の弾性材また緩衝材に滑り部または中間滑り部等を衝突させて対処する。
図437〜図438は、その発明の実施例を示している。
具体的には、ゴムまたスポンジ等の弾性材また緩衝材26を、免震皿3等の免震滑り支承C、Dの周辺また縁に取り付けて、予想を上回る地震変位振幅が入力した場合、その支承C、D周辺のゴム等の弾性材また緩衝材26に滑り部または中間滑り部等を衝突させて対処する。
緩衝材26の幅を大きく持たせ、さらに柔らかいスポンジ等を用いるとより効果的とも考えられる。
また、緩衝材26の幅を同じにするために、ドーナツ型円周形にする方法も考えられる。図438は、その発明の実施例を示している。また図437は、免震皿が方形の場合である。
図437は、凹型滑り面部の免震皿Cの場合、また図438は、平面型滑り面部の免震皿Dの場合であり、図437、図438共に、滑り部と免震皿の一重免震皿免震装置・滑り支承、中間滑り部を挟んだ二重免震皿免震装置・滑り支承の場合もある。また二重免震皿免震装置・滑り支承の場合、弾性材また緩衝材26が上下の免震皿の両方に取り付けられる場合もあり、上免震皿また下免震皿のどちらかに取り付けられる場合もある。しかし、二重免震皿免震装置・滑り支承の場合は、上下の免震皿の両方に取り付けられる場合の方が、上と下の免震皿が衝突時の衝撃によりずれないので望ましい。

9.2. 弾性材・塑性材敷き支承
図439は、弾性材・塑性材敷き支承のうち、
免震皿とその免震皿面を滑動するボールまたはローラーの場合の実施例を示している(図439は、その内のボールの場合の実施例である)。
免震皿3とその免震皿面を滑動する滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fの滑動する免震皿3に弾性材・塑性材3-e(弾塑性材を含む、以下同じ)を敷くか、付着させることにより、構成されている免震装置・滑り支承である。なお、弾性材3-eとは天然ゴム、合成ゴム等の弾性材であり、塑性材3-eとは鉛・合成樹脂材・粘土等の塑性材(弾塑性材を含む、以下同じ)である。
弾性材また塑性材3-eの使用によって、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fが、弾性材また塑性材3-eへ食込むことにより接触面積が増加し、且つ滑動時の摩擦が増大して、
免震皿面を滑動する滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-f等に対する免震皿面の耐圧性能の向上と、地震時の応答変位の抑制とを可能にする。
変位抑制の意味は、予想以上の地震振幅時の、免震皿から滑り部等の外れ及び免震皿の縁等への滑り部等の衝突の防止である。
この発明は、以下のように(1)耐圧性向上、(2)変位抑制とに分かれて発展できる。

(1) 耐圧性向上
a) 基本形
図439は、耐圧性向上を図った弾性材・塑性材敷き支承のうち、免震皿とその免震皿面を滑動するボールまたはローラーの場合の実施例を示している(図439は、その内のボールの場合の実施例である)。
免震皿3とその免震皿面を滑動する滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fとにより構成されている免震装置・滑り支承、特にボール5-eまたはローラー5-fとによる転がり型滑り支承において、
滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fの滑動する免震皿3に弾性材また塑性材3-eを敷くか、付着させることにより、免震皿3への食込みを防止して、免震皿3の耐圧性能の向上に対応するように構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
弾性材また塑性材3-eの使用によって、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fが、弾性材また塑性材3-eへ食込むことにより接触面積が増加し、耐圧性能を向上させ、且つ免震皿3への食込みを防止する。
また当然、変位抑制効果も持つ。

b) ボール食込み孔付き弾性材・塑性材敷き支承
また、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fの、地震時以外の通常位置(中央部)に、その食込む形状に従って弾性材また塑性材3-eに孔を開ける。これは特に弾性材3-eへのへたり(疲労)等の負荷を減らす構成方法である。
この方法により、通常時の弾性材への圧力を排除し、長期にわたり圧力を受けることによる弾性材の疲労を防ぐ。
さらに、耐圧性能を向上させ、食込み支承よりも免震時の免震性能を落とさず、風揺れ防止する。
この孔に滑り部等の大きさよりも余裕を見た場合には、小さい加速度時での免震性能も向上させる。以下の(2) b)のすり鉢形状の弾性材・塑性材敷き支承においても、同様の構成が採用可能である。

(2) 変位抑制
a) 基本形
図439は、変位抑制を図った弾性材・塑性材敷き支承のうち、免震皿とその免震皿面を滑動するボールまたはローラーの場合の実施例を示している(図439は、その内のボールの場合の実施例である)。
免震皿3とその免震皿面を滑動する滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fとにより構成されている免震装置・滑り支承において、
滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fの滑動する免震皿3に弾性材また塑性材3-eを敷くか、付着させることにより、変位抑制に対応するように構成されてなることを特徴とする免震装置・滑り支承である。
弾性材また塑性材3-eの使用によって、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fが、弾性材また塑性材3-eへ食込むことにより接触面積が増加し、滑動時の摩擦が増大して、地震時の応答振幅の変位が抑制される。

b) 一定変位を超えて敷かれた弾性材・塑性材敷き支承
免震皿の滑り面部の中央部から一定範囲まではすべり型免震または転がり型免震をし、その範囲を超えると免震皿の滑り面部の摩擦が大きくなるように、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fの滑動する免震皿3に弾性材また塑性材3-eを敷くか、付着させる発明である。そのことにより地震動のある一定変位から変位抑制され、その範囲以内の変位には免震性能は上げられる。この効果は、予想し得る地震の変位の範囲までは免震性能を上げ、予想を超えるそれ以上の変位の地震に対しては、変位抑制が働き、免震皿の許容変位から滑り部等が超えなくすることができる。

c) すり鉢形状の弾性材・塑性材敷き支承
さらに、この弾性材また塑性材について、厚みが周辺部ほど増すすり鉢また球面等の凹型形状を取ることにより、変位抑制の効果はより期待できる。
図440は、この発明の、すり鉢形状の弾性材・塑性材敷き支承のうち、免震皿とその免震皿面を滑動するボールまたはローラーの場合の実施例を示している(図440は、その内のボールの場合の実施例である)。
免震皿3に敷かれるか、付着させる弾性材また塑性材3-eがすり鉢等の凹形状をしてなることを特徴とする免震装置・滑り支承である(免震皿の滑り面部の中央部分が抜けて、その一定範囲を超えてからすり鉢または球面等が始まる場合もある)。
図440の(b)と(c)の断面図((b)は通常時、(c)は地震振幅時)に示されているように、
弾性材また塑性材3-eが、厚みが周辺部ほど増す、すり鉢また球面等の凹型形状を取ることにより、
地震時の振幅が大きいほど、滑り部5、中間滑り部6、ボール5-e、またはローラー5-fによる弾性材また塑性材3-eへの食込み深さが増して接触面積が増加し、滑動時の摩擦が増大して、地震時の応答振幅の変位が抑制される。
また当然、 a) b)共に、免震皿3の耐圧性能も向上する。

9.3. 変位抑制装置
変位抑制装置として、3.と 8.4. 以外の例である。
図441は、変位抑制装置の実施例を示している。
スライドし合う部材同士1-a、2-pの摩擦によって地震の変位振幅を抑制し、スライドし合う部材同士の一方が免震される構造体1に、他方が免震される構造体を支持する構造体2に設けられることにより構成されてなることを特徴とする免震変位抑制装置である。
スライドし合う部材同士1-a、2-pの接触部の摩擦が大きくなるように、接触部の材料としてゴム等の摩擦係数の大きい材料の選択をすること、
また、ゴム等の弾性材26-bをスライドし合う部材同士1-a、2-pに設け、部材同士1-a、2-pを押し付け合うことも考えられる。
また、この装置は、図132〜図145、図147のように固定装置にも使用できる。

9.4. 衝突衝撃吸収装置
衝突衝撃吸収装置は、
予想を越える変位振幅をもった地震によって、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体とが、外れ止め等で衝突する場合を想定した装置で、
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する外れ止め等の位置に設けられ、その衝突を緩和する発明である。
その衝突緩和の方法に関しては、弾性的反発のある形ではなく、反発係数の低い弾性材(低反発係数型)を用いる、座屈変形(座屈変形型)を利用する、塑性変形(塑性変形型)または塑性材を利用する等によって、反発を最小限に抑えるのが望ましい。というのはそれによって衝突後の免震振動が乱されずに済み、衝突を緩和することができるからである。

(1) 低反発係数型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、低反発係数の緩衝材また弾性材を設けることにより構成されてなることを特徴とする衝突衝撃吸収装置である。

(2) 座屈変形型
図442は、弾性材の座屈による衝突衝撃吸収装置の実施例を示している。
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に弾性材が座屈する細長比以上の弾性材を設けて、その弾性材の座屈によって衝突時の衝撃を吸収するように構成されてなることを特徴とする衝突衝撃吸収装置である。
また、前記の9.3.の変位抑制装置の端部にこの弾性材を付けることも可能であり、またこの装置は、図132〜図145、図147の固定装置にも使用できる。

(3) 塑性変形型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する位置に、衝突時に塑性変形する緩衝材また塑性材を設けることにより構成されてなることを特徴とする衝突衝撃吸収装置である。

(4) 剛性部材挟み型
免震される構造体と、免震される構造体を支持する構造体とが衝突する際の、例えば、ローラー・ボール等が免震皿の縁に衝突する際の、衝撃を吸収させるために、緩衝材・弾性材・塑性材への衝突吸収面積を高める事が有利であるが、そのために、衝突面積よりも大きな面積を持った剛性のある(鋼等の)部材で衝突時の衝撃力を拡散させてから、最低限その拡散した面積をもった緩衝材また弾性材また塑性材で受けるという発明である。その緩衝材・弾性材・塑性材は低反発係数を持った材料のものがよいが、また、上記座屈変形型、塑性変形型も考えられる。
図443は、そのうち、剛性のある(鋼等の)部材26-cが水平方向に長く、衝撃力を水平方向に拡散させてから、その部材に接着させた緩衝材また弾性材また塑性材26により衝撃を吸収させる場合の実施例である。この図443は、図411〜図413(2.12. 引抜き防止装置・滑り支承の改良(4))の引抜き防止装置・滑り支承と同様の構成をもった装置の断面図であり、免震皿の縁の、ローラー・ボール等が衝突する位置に、水平方向に長い剛性のある(鋼等の)部材26-cをもった緩衝材また弾性材また塑性材26が取付けられているものである。
以上の方法により、衝撃を吸収させる能力が格段に向上して、極端に免震皿の面積を小さくすることが可能である。
さらに、衝突時の免震される構造体の加速度が所定の値になるように、緩衝材また弾性材また塑性材26のバネ定数を決定する計算式に基づいて構成された衝突衝撃吸収装置に関する発明である。
緩衝材・弾性材・塑性材26の長さとたわみ長さから可能なバネ定数Kは、以下の近似式から算出される。
予想以上の地震変位により緩衝部材との衝突が発生した場合に、免震される構造体が受ける加速度から弾性材のバネ定数Kは、以下の式から算出される。
免震される構造体の質量Mに対して衝突衝撃吸収装置を1箇所設置した場合を想定し、衝突速度を V kineとする。このとき接触時の運動エネルギーと衝突衝撃吸収装置の弾性エネルギーを等しいものとおき、衝突衝撃吸収装置の(等価)バネ定数をK、たわみ長さをδとすると近似的に、
1/2・M・V^2=1/2・K・δ^2
K=M・V^2/(δ^2) ……(1)
となる。この式は、衝突衝撃吸収装置が完全な弾性材からなりK一定で弾性変形する場合だけでなく、Kが途中で変化する場合や、粘性減衰や履歴減衰などの減衰を伴う場合、あるいは弾性変形と塑性変形を同時に起こすような場合などにも、近似的に適用できる。
また、衝突衝撃吸収装置に減衰装置を設けて、吸収した衝突のエネルギーを減衰させるときや、あるいは緩衝部材自体にエネルギーを減衰させる能力がある等のときは、(1)式にエネルギー減衰の項を設ける場合もある。
ここでこの式に対し、衝突衝撃吸収装置がとりうるたわみ長さをδに代入することで装置のバネ定数Kが与えられ、このKとδとから、免震される構造体全体での反力Fが与えられる。
F=K・δ ……(2)
そして、免震される構造体が受ける加速度Aは、
A=F/M
=K・δ/M ……(3)
である。
ここで衝突衝撃吸収装置を n箇所設置した場合のバネ定数をKn、その場合のたわみ長さをδnとすると、
1/2・M・V^2=1/2・K・δ^2=n・(1/2・Kn・δn^2)
である。ここでたわみ長さδ=δnとすると、Knは前記Kに対してK/nとなり、よって
A'=K・δ/M/n
=M・V^2/(δ^2)・δ/M/n
=V^2/δ/n ……(4)
である。
このA'が、想定した入力地震波の最大加速度よりも小さくなるように、衝突衝撃吸収装置の個数、バネ定数、たわみ長さを調整する。

例として、衝突速度を 50kine、免震される構造体の重量 Mg=50tf、たわみ長さδ=2cm、n箇所設置とした場合を検討する。
(4)より衝突時に免震される構造体の受ける加速度は、
A'=1250/n

ここで衝突衝撃吸収装置の設置個所数を 8としたとき
A'=1250/8 =156gal
同様に衝突衝撃吸収装置の設置個所数を10としたとき
A'=1250/10=125gal
同様に衝突衝撃吸収装置の設置個所数を12としたとき
A'=1250/12=104gal
である。

9.5. 二段式免震(すべり・転がり型免震+ゴム等による免震・減衰・緩衝)
9.5.1. 構成
すべり・転がり型免震において、地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の対処法が望まれた。
そのうち、すべり型免震または転がり型免震において免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えるとゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材により免震・減衰させることを特徴とするものである。

これは以下のように2つに分かれる。
1) すべり型免震+ゴム等による免震・減衰
すべり型免震で免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震をし、その変位を超えるとゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材により免震・減衰させることを特徴とするものである。

2) 転がり型免震+ゴム等による免震・減衰
転がり型免震で免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位までは転がり型免震をし、その変位を超えるとゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材により免震・減衰・緩衝させることを特徴とするものである。

具体的には、滑り支承(すべり支承、転がり支承)による免震で、地震時に免震皿の許容変位を超えた地震変位の場合、その変位を超えるとゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材により免震・減衰させるもので、そのゴム等の弾性材・減衰材・緩衝材を免震支承に付けるか、また別装置として設けるものである。

9.5.2. 運動方程式(記号については、 5.1.3.1. 記号一覧)
以下の運動方程式(記号説明は実施例の5.1.3.1.参照)により構造解析することによって設計されてなる滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造である。
「すべり・転がり型免震+ゴム等による免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(Kとcは、ゴム等のバネ定数と粘性係数)
d(dx/dt)/dt+K/m・(x−XG・sign(x))+c/m・dx/dt
+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}=−d(dz/dt)/dt

9.6. 二段式免震(すべり・転がり型免震+摩擦変化・勾配変化型免震・減衰)
9.6.1. 構成
すべり・転がり型免震において、地震時に免震皿の許容変位を超えた場合の対処法が望まれた。
そのうち、すべり型免震または転がり型免震において免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくするか、勾配を大きくするか、または摩擦を大きくし且つ勾配も大きくするかして免震・減衰させることを特徴とするものである。

これは以下のように3つに分かれる。
1) すべり・転がり型免震+摩擦変化型免震・減衰
すべり型免震または転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくして免震・減衰させることを特徴とするものである。
特に、転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位までは転がり型免震で、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくしたすべり型免震・減衰させる場合が多い。
実施例は、3.1.参照。

2) すべり・転がり型免震+勾配変化型免震・減衰
すべり型免震または転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の勾配を大きくして免震・減衰させることを特徴とするものである。
実施例は、3.2.参照。

3) すべり・転がり型免震+摩擦変化且つ勾配変化型免震・減衰
すべり型免震または転がり型免震における免震皿の許容変位を超えた場合の対処法で、一定変位まではすべり型免震または転がり型免震をし、その変位を超えると免震皿の滑り面部の摩擦を大きくし、且つ勾配を大きくして免震・減衰させることを特徴とするものである。
実施例は、3.3.参照。

9.6.2. 運動方程式(記号については、 5.1.3.1. 記号一覧)
以下の運動方程式(記号説明は実施例の5.1.3.1.参照)により構造解析することによって設計されてなる滑り面部を有する免震皿からなる免震装置・滑り支承、またそれによる免震構造である。
1) 「すべり・転がり型免震+摩擦変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(μ'は、変位(XG)を超えた領域での摩擦係数)
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ'・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt

2) 「すべり・転がり型免震+勾配変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると(θ'は、変位(XG)を超えた領域での摩擦係数)
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ'・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt

3) 「すべり・転がり型免震+摩擦変化且つ勾配変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位(XG)まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位(XG)を超えると
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ'・sign(x)+μ'・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt

9.6.3. 運動方程式(記号については、 5.1.3.1. 記号一覧)
「すべり・転がり型免震+摩擦変化・勾配変化型免震・減衰」の場合の運動方程式について、1質点の場合で考えると、
一定変位まで
d(dx/dt)/dt+(cosθ)^2・g{tanθ・sign(x)+μ・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
その変位を超えると(θ'とμ'は、すべり型免震の勾配と摩擦係数で、θ'とμ'ともに変化させる場合、どちらかだけ変化させる場合に分かれる)
d(dx/dt)/dt+(cosθ')^2・g{tanθ'・sign(x)+μ'・sign(dx/dt)}
=−d(dz/dt)/dt
となるような運動方程式となる。
この場合について、θ'とμ'が一定型と変化型に分かれる。
1) 一定型
θ'=定数、μ'=定数
2) 変化型
θ'=θ'(x)
μ'=μ'(x)


10.回転・捩れ防止装置
固定装置一個だと、風時に、免震される構造体が固定装置を中心として回転するのを止められない。
積層ゴム等のバネ型の復元装置・オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を採用して重心と剛心がずれている場合には、免震時に免震される構造体の捩れ振動が生じる。
その回転及び捩れ振動が生じないようにするには、免震される構造体及びその免震される構造体を支持する構造体の周辺に配置される回転・捩れ防止装置でその運動を押さえ込むことである。この回転・捩れ防止装置は、免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを許容して、回転・捩れを生じなくさせるものである。

10.1. 回転・捩れ防止装置
10.1.1. 回転・捩れ防止装置
回転・捩れ防止装置に関する発明である。
この回転・捩れ防止装置は、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを可能とする回転・捩れ防止装置である。
具体的には、
回転・捩れ防止装置Lは、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、
免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、
上部スライド部材を免震される構造体に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体に設け、その間に中間部スライド部材が入り、
スライドし合うスライド部材同士は、少なくとも片方がもう片方のガイド(上下ガイドスライド部材・部分3-g)に沿ってスライドすることにより、
上部スライド部材は、中間部スライド部材の一辺に平行移動のみを許容され、 下部スライド部材は、中間部スライド部材の一辺に平行移動のみを許容されることにより、
さらに、これらのスライド部材を一層毎に平行移動方向が変わるように、中間部スライド部材が一層の時は、互いに直交方向になるように、中間部スライド部材が複層の時は、一層毎の交差角度の総合計が360度になるように、積層させることによって、
免震される構造体を、免震される構造体を支持する構造体に対して水平方向への並進運動のみを可能とする回転・捩れ防止装置Lである。
なお、中間部スライド部材が複層の場合の、それぞれの層の交差角は、中間部スライド部材の数に応じた360度の等分割が望ましいが、それよりずれていてもよい。
上部スライド部材は、上側(部)免震皿の場合もあり、下部スライド部材も、下側(部)免震皿の場合もあり、
中間部スライド部材も、上下ガイドスライド部材3-gの場合、中間免震皿と上下ガイドスライド部材3-gの場合、上下ガイドスライド部分3-gをもった中間免震皿の場合もある。さらに、上下ガイドスライド部材・部分3-gは、上下繋ぎスライド部材・部分3-sでもよいが、上下繋ぎスライド部材・部分3-sの上下の部材との引掛けを必要としないくても、本来の機能は果たせるものである(図383〜図385とを参照)。
回転・捩れ防止装置Lの実施例として、以下のものがあげられる。
特に、図340〜図380、図394〜図418は、引抜き防止機能を併せ持ち、そのうち図348〜図352、図359〜図363、図370〜図380、図409〜図418は、免震復元機能を併せ持ち、そのうち図348〜図350、図359〜図361、図370〜図372、図375〜図377、図378〜図380、図409〜図410、図411〜図413は、転がり型免震機能を併せ持つことが可能である。

(1) 図394〜図418(2.12.引抜き防止装置・滑り支承の改良(4))の実施例では、
回転・捩れ防止装置Lが、上側(部)免震皿(上部スライド部材)3-a、下側(部)免震皿(下部スライド部材)3-b、上下繋ぎスライド部材(中間部スライド部材)3-sからなる場合である。
図430〜図435の実施例では、図430〜図432は図396〜図398の、図433〜図435は図411〜図413の、上下繋ぎスライド部材3-sが、上下の部材との引掛けをもたない上下ガイドスライド部材3-gの場合である。

(2) 図340〜図380(4.1.2.引抜き防止付き三重(また三重以上の)免震皿免震装置・滑り支承)の実施例では、
回転・捩れ防止装置Lが、上側(部)免震皿(上部スライド部材)3-a、下側(部)免震皿(下部スライド部材)3-b、上下繋ぎスライド部材3-sまたは上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿(中間部スライド部材)3-mからなる場合である。
図419〜図429の実施例では、図419〜図422は図340〜図343の、図423〜図426は図344〜図347の、図427〜図429は図348〜図350の、上下繋ぎスライド部材・部分3-sが、上下の部材との引掛けをもたない上下ガイドスライド部材・部分3-gの場合である。

(3) 図344〜図352、図356〜図363、図367〜図374(4.3.2.平面状また円柱谷面状またV字谷面状重層免震皿(上下繋ぎスライド部分持ち))の実施例では、
回転・捩れ防止装置Lが、上側(部)免震皿(上部スライド部材)3-a、下側(部)免震皿(下部スライド部材)3-b、上下繋ぎスライド部分3-sをもった中間免震皿(中間部スライド部材)3-mからなる場合である。
以上の(1)〜(3)の実施例のうち、ここで触れられていないものに関して、上下繋ぎスライド部分・部分3-sが、上下の部材との引掛けをもたない上下ガイドスライド部材・部分3-gとなる場合もある。
また、以下の、10.2.回転抑制、10.3.捩れ振動抑制にも共通であるが、 回転・捩れ防止装置は、免震される構造体を支持する構造体2に、剛接、つまり(アンカー)ボルト2本以上で回転しないよう接合されなければならない。

(4) 上部スライド部材と中間部スライド部材との間に、また中間部スライド部材と下部スライド部材との間に、ボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟むことで、摩擦係数を下げる方法が考えられる。
図385は、その実施例である。図384は、ボール(ベアリング)5-e、ローラー(ベアリング)5-fを挟まない場合の実施例である。

10.1.2. 回転・捩れ防止装置の回転・捩れ抑制能力計算式
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、上部スライド部材を免震される構造体側に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体側に設け、その間に中間部スライド部材が入る。
上部スライド部材は、中間部スライド部材及び下部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容し、下部スライド部材は、中間部スライド部材及び上部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容される。
以上の構造から、免震される構造体は、免震される構造体を支持する構造体に対し長辺方向及び短辺方向の平行移動のみを許容される。このとき各スライド部材の(スライド部の互いに掛かり合う)長さをl、すきまをdとすると、回転・捩れ防止装置の許す回転角φは、上下合わせた全体で
φ=4d/l ……(1)
で表される。この値は、例えばl=250mm、d=0.5mmの場合、φ=1/125rad程度の値であり、回転・捩れはほとんど完全に抑制できる。

10.2. 回転抑制
10.2.1. 回転抑制
回転・捩れ防止装置によって回転抑制された免震構造に関する発明である。
固定装置と、 回転・捩れ防止装置とを、免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設ける。そのことにより固定装置一個で風揺れ防止が可能になる。
固定装置を最小個数に、できれば一個にし、回転・捩れ防止装置も最小個数にするためには、固定装置を免震される構造体の中央部に、回転・捩れ防止装置を免震される構造体の周辺部に配置するのがよい。
一般的には、固定装置を免震される構造体の中央部に最低一個と、
回転・捩れ防止装置を、免震される構造体の周辺部に(対角位置に)最低2個とを、配置するのがよい。
ここで言う「免震される構造体の中央部」とは、免震される構造体の重心部のことではなく、単に中央部分であり、場合によっては、回転・捩れ防止装置の配置される免震される構造体の周辺部の内側(免震される構造体の中央部寄り)という意味でもよい。
ここで言う「免震される構造体の周辺部」とは、固定装置の配置される免震される構造体よりも外側(免震される構造体の周辺部寄り)という意味でもよい(8.12.(6)参照)。

10.2.2. 回転抑制能力計算式
(1) 回転抑制能力計算式
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、上部スライド部材を免震される構造体側に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体側に設け、その間に中間部スライド部材が入る。
上部スライド部材は、中間部スライド部材及び下部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容し、下部スライド部材は、中間部スライド部材及び上部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容される。
以上の構造から、免震される構造体は、免震される構造体を支持する構造体に対し長辺方向及び短辺方向の平行移動のみを許容される。このとき各スライド部材の(スライド部の互いに掛かり合う)長さをl、すきまをdとすると、回転・捩れ防止装置の許す回転角φは、上下合わせた全体で
φ=4d/l ……(1)
で表される。

(2) 部材断面算定
回転・捩れ防止装置を、長方形平面の免震される構造体に配置し、固定装置を中央部分に配置した場合に、この構面の回転・捩れが抑制されるための部材断面を算定する。
風圧力Fが免震される構造体の平面の端部に集中荷重として作用するとして、固定装置と風圧力の作用線の間の距離R1、及び固定装置と各回転・捩れ防止装置の間の距離R2についてモーメントの釣り合いから、
F・R1=Σ{F'・R2} ……(2)
各回転・捩れ防止装置には、風圧分力F'が働く。

この風圧分力F'によって、回転・捩れ防止装置の上部スライド部材(上側免震皿)及び下部スライド部材(下側免震皿)が角度φ/2ずつ回転する事により、中間部スライド部材(上下繋ぎスライド部分または上下ガイドスライド部分のガイド部)に荷重Pが働く。このPは、
P=F'・φ/2 ……(3)
である。

図436(a)は、図433(a)〜図434(d)及び図435(f)の上下ガイドスライド部分3-gを示したものである。
上下ガイドスライド部分のガイド部 3-dに働く荷重Pから、曲げ応力とせん断応力とたわみ角から部材断面の算定を行う。
中間部スライド部材(上下ガイドスライド部材)3-gから突き出したガイド部3-d(長さh、幅b、厚さt)を片持梁とみなし、ここでhはガイド部3-dの突き出した長さ、tはガイド部3-dの厚さである。
またbは上部スライド部材(上側免震皿)3-a及び下部スライド部材(下側免震皿)3-bが角度φ/2ずつ回転して中間部スライド部材(上下ガイドスライド部分のガイド部)3-dと接触する部分の角を、角度φ/2で面取りした斜辺の長さである。
図436(b)、(c)は上部スライド部材(上側免震皿)3-aまたは下部スライド部材(下側免震皿)3-bと中間部スライド部材(上下ガイドスライド部分)3-gの関係からbを示したものである。
a. 曲げ
(1)、(2)、(3)より、曲げモーメント M=P・h、断面係数 Z=b・t^2/6のとき上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁の曲げ応力度σは、鋼材の長期許容曲げ応力度 fbに対して
σ=M/Z
=(F'・φ/2・h)/(b・t^2/6)
=12・F'd・h/(l・b・t^2)≦ fb ……(4)
の関係を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧2√{(3・F'・d・h)/(l・b・fb)} ……(4')
であることが必要である。
b. せん断
(1)、(2)、(3)より、せん断力 Q=P、断面積 A=b・tのとき上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁のせん断応力度τは、鋼材の長期許容せん断応力度 fsに対して
τ=1.5・Q/A
=3/2・(F'・φ/2)/(b・t)
=3・F'・d/(l・b・t)≦ fs ……(5)
の関係を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧3・F'・d/(l・b・fs) ……(5')
であることが必要である。
c. たわみ角
(1)、(2)、(3)より、Pによる上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁のたわみ角の最大値δは、鋼材のヤング率 E=2.1×10^3 tf/cm^2、断面二次モーメントI=bt^3/12のとき、許容たわみ角αとすると、
δ=P・h^2/(2EI)=(F'・φ/2・h^2)/(2・2.1×10^3・bt^3/12)
=5.7×10^-3・F'・d・h^2/(l・b・t^3)≦α ……(6)
の関係を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧{F'・d・h^2/(175・l・b・α)}^(1/3) ……(6')
であることが必要である。

例として(4)、(5)、(6)について、F'= 50tf(戸建て住宅規模では最大級)、l=25cm、h=4cm、d=0.05cm、b=3cmの場合を検討すると、
〈曲げ〉
fb=1.6として、(4')より
t≧2√{(3・50・0.05・4)/(25・3・1.6)} ……(7)
=1.000
〈せん断〉
fs=fb/√3=0.92として、(5')より
t≧3・50・0.05/(25・3・0.92) ……(8)
=0.109
〈たわみ角〉
α=1/250として、(6')より
t≧{50・0.05・4^2/(175・25・3・1/250)}^(1/3) ……(9)
=0.913
(7)、(8)、(9)より、t=1.0cm以上とすれば回転・捩れ防止装置を1個以上配置することで十分保つといえる。
以上のように、固定装置1個に対し、上記断面の回転・捩れ防止装置を1個以上配置することで、免震される構造体が水平力を受けるもっとも極端な場合(風圧力が平面の端部に点荷重として作用する場合)においても、並進方向の成分は固定装置が、回転方向の成分は回転・捩れ防止装置がそれぞれ負担して風圧力による回転も変位も発生せず、強風時の風揺れは起きない。

10.3. 捩れ振動抑制
10.3.1. 捩れ振動抑制
(1) バネ型復元装置・オイルダンパー等の併用
回転・捩れ防止装置によって捩れ振動抑制された免震構造に関する発明である。
積層ゴム等のバネ型の復元装置、オイルダンパー等の速度比例型の減衰装置を使用の免震構造において、回転・捩れ防止装置を免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設ける。そのことにより捩れ振動矯正が可能になる。
さらに回転・捩れ防止装置による捩れ抑制の効きを大きくしたければ、免震される構造体のできるだけ周辺部に(対角位置に)配置する。 さらに最小個数に抑えたければ、免震される構造体の周辺部に対角位置に最低2個配置する。

(2) 固定装置複数個等の併用
連動型でない(連動型でも安定度が増すので併用は勿論可である)固定装置の複数個配置と回転・捩れ防止装置との併用により、
地震時に固定装置が同時解除しない地震作動型固定装置の場合の免震による不安定さを回転・捩れ防止装置により解決し、風時の風揺れ抑制の安全さを増する。というのは連動型でない固定装置を複数個配置して、地震時の固定装置の解除に時間差が生じて、重心位置でない位置の免震装置が最後まて解除されずに残り、それにより捩れが起きかけても、回転・捩れ防止装置によって捩れ振動、回転運動が生じずに免震される構造体は固定されており、その固定装置の解除と共に免震がスムーズに始まるからである。
また、風時に固定装置が同時固定しない風作動型固定装置の場合、また全個固定しない場合の風による回転等の不安定さを回転・捩れ防止装置により解決する(8.12.(7)参照)。

10.3.2. 捩れ振動抑制能力計算式
(1) 捩れ抑制能力計算式
回転・捩れ防止装置は、上部スライド部材、下部スライド部材、中間部スライド部材からなり、上部スライド部材を免震される構造体側に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体側に設け、その間に中間部スライド部材が入る。
上部スライド部材は、中間部スライド部材及び下部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容し、下部スライド部材は、中間部スライド部材及び上部スライド部材との関係で、長辺方向または短辺方向の平行移動のみを許容される。
以上の構造から、免震される構造体は、免震される構造体を支持する構造体に対し長辺方向及び短辺方向の平行移動のみを許容される。このとき各スライド部材の(スライド部の互いに掛かり合う)長さをl、すきまをdとすると、回転・捩れ防止装置の許す回転角φは、上下合わせた全体で
φ=4d/l ……(1)
で表される。

(2) 部材断面算定
回転・捩れ防止装置を周辺部に配置することにより、重心と剛心がずれている免震構造においても免震時の捩れ振動は抑制できる。
変位抑制のために滑り支承等の摩擦発生装置を装備する場合など、免震される構造体の重心と免震装置層の剛心(抵抗力の中心)がずれている場合、免震時に一般の支承と抵抗が異なることで捩れ振動が発生してしまう。
ここで回転・捩れ防止装置を周辺部に設けることにより、回転・捩れ防止装置の許す回転角φ以上の回転は抑制され、長辺方向及び短辺方向へのみ変位を許容されて捩れ振動矯正が可能になる。
また捩れ振動の原因となる滑り支承等の摩擦発生装置などの配置に関しても、平面内のどこに配置しても問題はなくなる。

免震される構造体の重心と免震装置層の剛心とに対し、回転・捩れ防止装置を長方形平面の免震される構造体に配置した場合に、この構面の回転・捩れが抑制されるための部材断面を算定する。

剛心に作用する力F、重心と剛心に作用する力の作用線の間の距離R1、及び重心と回転・捩れ防止装置の間の距離R2についてモーメントの釣り合いから、
F・R1=Σ{F'・R2} ……(2)
各回転・捩れ防止装置には、分力F'が働く。

この力F'によって、回転・捩れ防止装置の上部スライド部材(上側免震皿)及び下部スライド部材(下側免震皿)が角度φ/2ずつ回転する事により、中間部スライド部材(上下繋ぎスライド部分または上下ガイドスライド部分のガイド部)に荷重Pが働き、このPは、
P=F'・φ/2 ……(3)
である。
図436(a)は、図433(a)〜図434(d)及び図435(f)の上下ガイドスライド部分3-gを示したものである。
上下ガイドスライド部分のガイド部 3-dに働く荷重Pから、曲げ応力とせん断応力とたわみ角から部材断面の算定を行う。
中間部スライド部材(上下ガイドスライド部材3-g)から突き出したガイド部3-d(長さh、幅b、厚さt)を片持梁とみなし、ここでhはガイド部3-dの突き出した長さ、tはガイド部3-dの厚さである。
またbは上部スライド部材(上側免震皿)3-a及び下部スライド部材(下側免震皿)3-bが角度φ/2ずつ回転して中間部スライド部材(上下ガイドスライド部分のガイド部3-d)と接触する部分の角を、角度φ/2で面取りした斜辺の長さである。
図436(b)、(c)は上部スライド部材(上側免震皿)3-a及び下部スライド部材(下側免震皿)3-bと中間部スライド部材(上下ガイドスライド部分)3-gの関係からbを示したものである。
a. 曲げ
(1)、(2)、(3)より、曲げモーメント M=P・h、断面係数 Z=b・t^2/6のとき上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁の曲げ応力度σは、鋼材の長期許容曲げ応力度 fbに対して
σ=M/Z
=(F'・φ/2・h)/(b・t^2/6)
=12・F'd・h/(l・b・t^2)≦ fb ……(4)
を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧2√{(3・F'・d・h)/(l・b・fb)} ……(4')
であることが必要である。
b. せん断
(1)、(2)、(3)より、せん断力 Q=P、断面積 A=b・tのとき上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁のせん断応力度τは、鋼材の長期許容せん断応力度 fsに対して
τ=1.5・Q/A
=3/2・(F'・φ/2)/(b・t)
=3・F'・d/(l・b・t)≦ fs ……(5)
を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧3・F'・d/(l・b・fs) ……(5')
であることが必要である。
c. たわみ角
(1)、(2)、(3)より、Pによる上下ガイドスライド部分のガイド部3-dの、片持梁のたわみ角の最大値δは、鋼材のヤング率 E=2.1×10^3 tf/cm^2、断面二次モーメントI=bt^3/12のとき、許容たわみ角αとすると
δ=P・h^2/(2EI)=(F'・φ/2・h^2)/(2・2.1×10^3・bt^3/12)
=5.7×10^-3・F'・d・h^2/(l・b・t^3)≦α ……(6)
を満足させる。これにより断面の厚さtは
t≧{F'・d・h^2/(175・l・b・α)}^(1/3) ……(6')
であることが必要である。

例として(4)、(5)、(6)についてF'= 50tf(戸建て住宅規模では最大級)、l=25cm、h=4cm、d=0.05cmb=3cmの場合を検討すると、
〈曲げ〉
fb=1.6として、(4')より
t≧2√{(3・50・0.05・4)/(25・3・1.6)} ……(7)
=1.000
〈せん断〉
fs=fb/√3=0.92として、(5')より
t≧3・50・0.05/(25・3・0.92) ……(8)
=0.109
〈たわみ角〉
α=1/250として、(6')より
t≧{50・0.05・4^2/(175・25・3・1/250)}^(1/3) ……(9)
=0.913
(7)、(8)、(9)より、t=1.0cm以上とすれば回転・捩れ防止装置を1個以上配置することで十分保つといえる。
以上のことから、回転・捩れ防止装置を1個以上配置することで、免震される構造体が水平力を受けても、並進方向の成分は固定装置が、回転方向の成分は回転・捩れ防止装置がそれぞれ負担して回転も変位も発生せず、免震時の捩れ運動は起きない。


11.免震装置の組合せと材料仕様
11.1. 形態の多様性に対応
免震される構造体の形態、固定荷重・積載荷重形態が変化に富む場合(変形形態・変形平面・偏心荷重形態)であっても、免震される構造体の各所に設置される復元・減衰装置を、同一性能の装置、つまり単一の性能の装置とすることを可能にする発明である。

(1) 滑り支承と摩擦型減衰・抑制装置と勾配型復元滑り支承の使用
免震と復元と減衰・抑制に関しては、滑り支承(すべり支承、転がり支承)と、すり鉢または球面等の勾配による復元性能を持った滑り支承(勾配型復元滑り支承という)と、摩擦型減衰・抑制装置のみを使用することにより構成されてなることにより前記目的を達成するものである。
というのは、同一性能の復元装置また減衰装置を、免震される構造体を支持する必要箇所に設置する場合、バネ型復元装置または粘性減衰型装置では、それぞれの設置位置において免震される構造体からの荷重による応力が異なると、免震時にきれいな免震がなされず捩じれが生じるからである。
なお、ここでの「きれいな免震」とは、捩じれ等のない、スムーズな免震のことである。
従来、このことは大きな問題であった。
同一性能の復元装置また減衰装置の設置に関しては、復元また減衰性能が支持する荷重の影響を受けるかどうかが問題となる。
このことは、以下の(5)に示される、バネ型復元装置+粘性減衰型装置による免震の運動方程式と、摩擦型減衰・抑制装置+勾配型復元滑り支承による免震の運動方程式との比較から明瞭になる。
つまり、
バネ型復元装置または粘性減衰型装置を使用する場合は、質量の影響を受ける。その結果、同じ性能をもった復元装置の各所設置、同じ性能をもった減衰装置の各所設置では、免震される構造体の平面形(間取)変化による積載・固定荷重の変化に対応できずに、荷重偏心によって免震時に捩れた動きが生じる。
その点、摩擦型減衰・抑制装置とすり鉢または球面形状等の勾配型復元滑り支承を使用する場合は、質量の影響を受けない。そのため、同じ性能をもった復元装置の各所設置、同じ性能をもった減衰・抑制装置の各所設置でも、免震される構造体の平面形(間取)変化による積載・固定荷重の変化に対応でき、荷重偏心があっても免震時に大きな捩れた動きは生じず、きれいな免震が可能になる。
以上のことからわかるように、バネ型復元装置または粘性減衰型装置を使用して偏心荷重時に捩れた動きを伴わずにきれいに免震させるためには、各位置に設置された各バネのバネ定数の調整、各粘性ダンパーの調整をする必要があり、極めて煩雑となる。
その点、摩擦型減衰・抑制装置、勾配型復元滑り支承を使用する場合は、偏心荷重時であっても、各位置に設置される摩擦型減衰・抑制装置、勾配型復元滑り支承は、単一の性能の装置で良く、各支承の調整の煩しさもなく、きれいな免震が可能になる。

1) 摩擦型減衰・抑制装置
摩擦型減衰・抑制装置とは、摩擦型減衰装置、摩擦型抑制装置に分かれ、
摩擦型減衰装置とは、地震後の振幅を摩擦によって減衰させる装置であり、
摩擦型抑制装置とは、風揺れ等を摩擦によって抑制、また地震時の変位振幅を摩擦によって抑制させる装置である。なお、ここでの「摩擦によって」とは、免震される構造体の自重によって生じる摩擦である。それ以外によって生じる摩擦は別のもので、逆に生じさせないようにする必要がある。
図71、図439、図440が、この型の装置と考えられるが、図439に関しては弾性材3-eの厚みが弾性との関係で厚過ぎたりすると摩擦が自重によって変化したり、さらに厚過ぎると粘性抵抗に近付くので、どの位置に置いてもボール5-e等のボール先端部が免震皿3にほぼ接するように、弾性との関係で厚さを決める必要がある。図440も同様であるが、弾性材3-eの厚みが厚過ぎると粘性抵抗に近付くので弾性との関係での厚み調整がより必要となる。
図95〜図97等の食込み支承(8.7.)も、風揺れ等を摩擦によって抑制するこの型の装置の一つと考えられる。

2) 勾配型復元滑り支承
すり鉢または球面形状等の勾配型復元滑り支承とは、滑り支承(すべり支承、転がり支承)の滑り面に、すり鉢または球面等の形状の勾配を与えて、その面を滑動するものを重力により通常位置に復元させる装置である。図1〜図8、図13〜図17、図60〜図62、図64、図67、図68、図83、図85〜図115がその実施例である。
以上のことから、摩擦型減衰・抑制装置、勾配型復元滑り支承の使用に際して、免震される構造体の積載・固定荷重形態の多様性に対応するためには、
免震される構造体の各所に設置される装置の摩擦係数と勾配は、全て同じにする必要がある。

(2) 固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型を除く)の使用
以上のことから、固定装置も、ダンパー型固定装置=免震時にダンパーが働く固定装置の型(例、不可撓部材型連結部材弁型固定装置)は使用できない。基本的には、免震時に抵抗の無い(有っても、免震される構造体の自重によって生じる摩擦であるので問題が無い)固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型(固定ピン)を除く)に限られる。

(3) 座屈変形型・塑性変形型等衝突衝撃吸収装置の使用
9.4.の説明のように、予想を越える地震による応答変位によって、外れ防止等の部材に最終的に衝突させる場合は、弾性的反発のある形では無く、座屈変形型・塑性変形型等の反発を最小限に抑える型が好ましいのは、プランの多様性に対応させることを考えても同様である。

(4) プランの多様性に対応できる免震装置の組合せ
以上のことから、同一性能の復元・減衰装置によって、免震される構造体の荷重形態・プラン(間取り)の多様性に対応できる免震装置の組合せは、
滑り支承(すべり支承、転がり支承)+摩擦型減衰・抑制装置+勾配型復元滑り支承+固定ピン型固定装置(連結部材系のピン型を除く)+低反発係数型・座屈変形型・塑性変形型等衝突衝撃吸収装置、
の中での組合せとなる。

(5) 運動方程式の比較
1) バネ型復元装置+粘性減衰型装置による免震の運動方程式
d(dx/dt)/dt +K/m・x +c/m・dx/dt=−d(dz/dt)/dt
質点応答加速度 復元加速度 減衰加速度 地震動加速度

復元加速度、減衰加速度ともに質点の質量に反比例。重いほど効きが悪くなる。

2) 滑り支承+バネ型復元装置による免震の運動方程式
d(dx/dt)/dt +K/m・x +μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
質点応答加速度 復元加速度 減衰加速度 地震動加速度

減衰加速度は、質点の質量に無関係。
復元加速度は、質点の質量に反比例。重いほど効きが悪くなる。

3) (滑り支承+)勾配型復元滑り支承による免震の運動方程式
1.球面形状の場合
曲率θ'が小さい場合、(cosθ')^2≒1より
d(dx/dt)/dt +g/R・x +μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
質点応答加速度 復元加速度 減衰加速度 地震動加速度

復元加速度、減衰加速度ともに質点の質量に無関係。

2.すり鉢形状の場合(5.1.3.参照)
θが小さい場合、(cosθ)^2≒1、tanθ≒θ(radian)より
d(dx/dt)/dt +θg・sign(x) +μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
質点応答加速度 復元加速度 減衰加速度 地震動加速度

復元加速度、減衰加速度ともに質点の質量に無関係。

4) 滑り支承のみ免震の運動方程式
d(dx/dt)/dt +μg・sign(dx/dt)=−d(dz/dt)/dt
質点応答加速度 減衰加速度 地震動加速度

減衰加速度は、質点の質量に無関係。

(符号)
x :地面=免震皿から見た質点の変位応答(相対変位)
z :不動=絶対点より見た地面の変位応答(絶対変位)
t :時間
m :質点の質量
g :重力加速度
d(dx/dt)/dt:質点の加速度応答(対地面=受け皿、相対加速度)
d(dz/dt)/dt:地震加速度(地面上=受け皿入力値、絶対加速度)
R :免震皿球面の曲率半径
K :バネ定数
θ :すり鉢形状免震皿の勾配
μ :免震皿の動摩擦係数
c :粘性係数

(6) 回転・捩れ矯正装置との併用
以上の装置以外の免震時に捩じれが生じるもの(積層ゴム、ダンパー等を使用したもの、偏芯率の大きいもの)でも、10.の回転・捩れ防止装置との併用をするとその問題は解消される(10.3.参照)。

11.2. 滑り型免震装置・滑り支承の材料仕様
以上の滑り型免震装置・滑り支承の材料は、簡易型の場合、錆びてもよい材料も考えられる。
しかし、一般的には、滑り型免震装置・滑り支承の材料は、ステンレスまた亜鉛溶融メッキ等の錆びない材料によって構成される方がよい。しかし、それほど高い免震性能が要求されない場合、転がり型免震では錆びが生じても積層ゴム免震またはすべり型免震に比べ、性能は格段によいので、錆びは許容されるため、普通鋼材を用いてもよい。
表面研磨は、平面状免震皿の二重による二重免震の場合は、鏡面仕上げでなく、一段階か二段階か何段階か荒くした方がよい。


12.新積層ゴム・バネ、復元バネ
12.1. 新積層ゴム・バネ
図339は、新積層ゴム免震装置の実施例を示している。
中央部に穴を有する鋼等の硬質板28を積み重ねて積層させ、その中央部にゴムまたバネ(空気バネ含む)等29を挿入させることにより構成され、かつ、この硬質板28の最上部の板を免震される構造体1に、最下部の板を免震される構造体を支持する構造体2に設けることにより構成される。
剪断変形に関しては、ゴム自体の性能を期待できるが、耐圧性能に関しては、ゴムの膨脹の問題があった。
ゴムの圧縮力によるこの膨脹の問題、また、ゴムまたバネ等の座屈の問題は、この、中央部の穴を有する鋼等の硬質板28で対応でき、さらに、現状の積層ゴムのようなに一枚一枚ゴムと鋼等を接着する製法上の困難が解消され、生産が容易になる。

12.2. 復元バネ
図386は、復元バネ免震装置の実施例を示している。
図386では、免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2との間に、バネ・ゴム等25が設けられ、免震される構造体を支持する構造体2の挿入口34の中にそのバネ・ゴム等25の端が係合され、このバネ・ゴム等25の反対の端が免震される構造体1に係合されることにより構成されている。
当然のごとく、免震される構造体1の挿入口34の中に、そのバネ・ゴム等25の端が係合され、このバネ・ゴム等25の反対の端が、支持する構造体2に係合される場合もある。
挿入口34の形状に関しては、例えば、一方向(往復を含む、以下同じ)復元性能を持たせる場合は、、角を取ったアール形状の挿入口、コロを介しての挿入口、全方向復元性能を持たせる場合は、角を取ったアール鉢状の挿入口、ラッパ形状の挿入口(図386)、すり鉢状等の形状の挿入口のように、バネ・ゴム等25とその挿入口34とが接する角を丸めるか、コロ等の回転子を介する(その場合は、バネ・ゴム等25に対して直交方向二軸(二軸とは互いに直交方向をなす)に分けてそれに対応してコロ等の回転子を設ける必要がある)等により、摩擦を小さくした方がよい。また挿入口34の材質は、低摩擦材がよく、強度も必要である。
さらに、当然のごとく、バネ・ゴム等25にワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材8-fが接続されて、挿入口34のアールまたはコロと接する形でも良い。
図386(a)は、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に変位が無い時の、図386(b)は、地震等により、免震される構造体1と、免震される構造体を支持する構造体2との間に変位が生じ、バネ・ゴム等25が伸びた時の図である。このように、地震により免震される構造体1と免震される構造体を支持する構造体2とが変位すると、この挿入口34に従い、バネ・ゴム等25は水平方向に曲げられ、水平方向復元力を持つことになり、僅かな変位でも水平方向の復元力を得られる。さらに、このバネ・ゴム等25により、免震される構造体1に働く下方への引張力も最低限にし、免震される構造体1への負荷も小さくしている。
縦型にバネ・ゴム等を設置することは、水平のどの方向にも復元性能を得られる反面、僅かな水平変位での復元力に乏しい。この発明は、その問題を解決し、僅かな変位でも水平方向の復元力を得られるようになっている。またその結果、このバネ・ゴム等により、免震される構造体に働く下方への引張力も、最低限になり、免震される構造体への負荷を小さくしている。


B.免震装置と構造法
13.免震構造による構造体設計法
13.1. 超高層建物・構造体
超高層建物・構造体において、免震装置として、滑り型免震装置・滑り支承を、特に転がり型滑り支承を採用し、免震される構造体としては、風力では揺れない剛性をもつ構造とする発明である。
積層ゴム免震装置では対応しきれなかった長周期の超高層建物・構造体でも、滑り型免震装置・滑り支承の使用によって免震が可能となる。そのことにより、超高層建物・構造体を、地震対策としての柔構造から風力では揺れない程度の剛性をもつ構造(剛構造)にすることができ、風揺れをも防ぐことが可能となる。 そのことにより、免震され、風揺れしない超高層建物が可能になる。

(1) 構造法
滑り型免震等の免震装置上の超高層建物・構造体は、従来の柔構造によらず、風力ではゆれない程度の剛性をもつ構造とする。建物の剛性を上げることは、免震性能を上げることにもつながる。

(2) 免震装置
建物本体の固有周期の長い超高層建物・構造体に関しては、それを上回るかなりの長周期を持つ免震装置でないと免震が働かないため、積層ゴム免震装置では免震性能が得られなかった。しかも、引抜き力が発生するために、積層ゴム免震装置では対応しきれなかった。
特許 1844024号と特許 2575283号との免震復元装置、免震装置、及び本発明の滑り型免震装置・滑り支承を使用すれば、長周期の超高層建物・構造体でも十分に免震する。
また、引抜き力に対しては、引抜き防止装置が、さらに、風揺れに関しては、固定装置がそれぞれ対処する。

以上の(1)(2)により、地震時に免震され、風揺れしない超高層建物が可能となり、風揺れ防止のための制振構造を採用する必要もなくなる。

13.2. 高塔状比建物・構造体
(1) 構造法
(2) 免震装置
ある塔状比以上の構造体は、免震装置・滑り支承等の免震装置に加えて引抜き防止装置を必要とする。
また、ロッキング等の問題を少なくするために、免震装置・滑り支承の摩擦係数をできるだけ下げ、また、1階等の地上に近い階の床等を重くする必要もある。
また、自重に対して、ある一定以上に風圧見つけ面積の大きい構造体は、固定装置を必要とする場合もある。

13.3. 一般中高層建物(8.7.2.同じ)
また、免震皿の中央部を、その免震皿面を滑動するボールまたはローラーの曲率形状で窪ませる(凹ませる)ことは、一般中高層建物のように自重が大きい場合、免震皿側の耐圧性能を上げる効果と風揺れ防止の効果とを合わせ持つ。

13.4. 軽量建物・構造体
(1) 構造法
(2) 免震装置
従来の積層ゴム免震装置では固有周期が長く設定できず、免震性能が得られなかった軽量建物・構造体には、固有周期とは無関係の免震装置・滑り支承等の免震装置で、免震が可能になる。
また、引抜き力が働く場合は、引抜き防止装置によって対処し、風で揺れる場合には、固定装置を必要とする。
免震性能を上げるには、重心を下げることが有効なため、1階等の地上に近い階の床等を重くする必要もある。

13.5. 在来木造戸建て住宅/ 軽量(木造・鉄骨系)戸建て住宅
(1) 構造法
1) 土台床構面の形成
床構面の形成に関しては、固定装置が負担する風圧荷重をスムーズに土台から基礎に伝達するため、固定装置周辺は筋交による土台補強を行う必要がある。それ以外の部分は、在来工法の全面筋交補強で行う方式、在来工法の改良で、土台(基礎の上の横架材)の上全面に構造用合板等を敷き込み、その上にまた土台(横架材)を置くか、直に柱を立てる方式、あるいは枠組み壁工法等で用いられているダイヤフラム構面を用いる方式の内いずれかで形成することが考えられる。このようにして構面が形成される手法で、免震装置・滑り支承の支持構造面をつくる。


14.免震装置設計と免震装置配置
(1) 復元装置の復元能力の設計
復元装置の復元能力の設計に関するものである。
滑り型免震装置のどのような場合にも言える事であるが、復元装置の復元力の設計に関しては、免震される構造体の復元が可能な範囲で最小限の復元力が、免震性能上は一番よい。
つまり、重力復元型免震装置・滑り支承・十字重力復元型免震装置・滑り支承等の凹型滑り面部による復元型の場合においては、復元が得られる限り、曲率半径をできるだけ大きくし、またすり鉢勾配をできるだけ小さくして平坦面に近付ける。バネ等(バネ・ゴム等の弾性体または磁石等)の復元型の場合においても、復元が得られる限り、バネ定数をできるだけ小さくする。
そして、双方ともに、復元力を最小限にするためには、免震装置・滑り支承の摩擦係数を下げる事も必要である。そのことは、また、免震性能を上げる事につながる。
復元装置の全体での復元力は、免震される構造体Aの免震層の全体での摩擦力よりも大きくする必要があり、かつ、施工精度の許容値、特に基礎の施工精度の許容値、また不同沈下の許容値から考えられる免震される構造体の傾斜から発生する力よりも大きくする必要がある。
免震される構造体Aの免震層が、転がり型滑り支承の場合には、免震される構造体Aの全体の免震層の摩擦係数は1/100以下になるので、これら曲率半径、バネ定数、すり鉢勾配の最小の値は、大抵の場合、施工精度、特に基礎の施工精度から(また不同沈下の許容範囲から)決まる。戸建ての場合には、不同沈下の許容傾斜範囲1/150(メーカー保証範囲)以上から、すり鉢状の勾配は、安全率を見て1/50以上という数字が選択される。

(2) 固定装置の設計
固定装置に関しては、箇所数が多いと、固定装置の解除また差し込みのタイムラグの心配があり、箇所数が少ない事に越したことはないが、一箇所だけでは、風力による回転の心配がある。それゆえ、2箇所以上(連動作動型固定装置(8.1.3.)、リレー連動作動型固定装置(8.3.)、8.3.2.等の採用)か、固定装置(一箇所配置)と食込み支承の併用(8.7.3.)か、または固定装置(一箇所配置)と回転・捩じれ防止装置の併用(10)がよい。
特に、固定装置と回転・捩じれ防止装置の併用(10)の場合には、風力による回転が起こらないため、固定装置は一箇所に配置するだけでよい。したがって、この場合、固定装置を多箇所に配置する際に生じる、固定装置の解除また差し込みのタイムラグは問題とならない。
一箇所配置の場合には、免震される構造体Aの重心位置またその近傍がよい。

14.1. 復元装置限定配置による免震装置配置
14.1.1. 概要
免震装置の配置に関するものである。
(1) 復元装置
免震される構造体Aの重心位置またその近傍にのみ、一箇所以上、できれば2箇所以上の復元装置Cを装備し、それ以外は、復元力を持たない免震装置・滑り支承Dとする。
特に、2箇所の場合には 免震される構造体Aの長軸方向における重心位置をはさみ、ほぼ等距離の位置の二箇所に設定するのが望ましい。当然、重心位置を挟み対称位置に設置することもある。また等距離からずれてもよい。

(2) 固定装置
また必要に応じて、固定装置Gを配する。特に固定装置Gに関しては、箇所数が多いと、固定装置の解除また差し込み時のタイムラグの心配があり、箇所数が少ない事に越したことはないが、一箇所では、風力による回転の心配がある。それゆえ、2箇所に設置するのが望ましい。ただし、固定装置と回転・捩じれ防止装置(10)の併用により、一箇所配置の場合においても、回転を防ぐことが可能である。一箇所の場合には、免震される構造体Aの重心位置またその近傍がよい。詳細は、8.3./10に書かれている。

14.1.2. 戸建ての場合
図334〜図337は、戸建ての実施例の場合を示しており、戸建ての標準的柱間隔のプランにおいて、各柱ごとの下に、4.1.の二重(または二重以上の)平面型滑り面部をもった免震皿を有する免震装置・滑り支承D等を装備し、免震される構造体Aの重心位置またその近傍に、復元装置C、また固定装置Gを装備した実施例である。
図334(a)、図335(a) は、全体配置図であり、図334(b)、図335(b) は、その部分断面図である。
図336は、重心位置またその近傍に位置する2.1.の復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承Cの実施図であり、図337は、スラブを取った状態での2.1.の復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承Cの実施図である。
装置ごとの具体的な配置について説明すると、

1) 免震装置・滑り支承の配置
免震装置・滑り支承Dの配置に関して、2.7m、3.6m等の標準的柱間隔で、各柱ごとの下に(間柱等は飛ばす場合あり)、4.1.の二重(または二重以上の)平面型滑り面部をもった免震皿を有する免震装置・滑り支承D等を装備する。
免震装置Dを安価なものにできることで、経済的な理由から免震装置設置間隔を大きくとるといった必要がなくなり、各柱下ごとの免震装置の設置が実現できるようになった。このために、戸建ての構造的形態・仕様を変えずに免震が可能となった。

2) 復元装置の配置
復元装置Cの配置に関して、免震される構造体Aの重心位置またその近傍に、一か所、2箇所、また数箇所(特に2箇所以上に)、復元装置Cを装備するが、当然、2.1.の復元・減衰バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承だけでなく、積層ゴム、4.7. の縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承、4.8.の新重力復元型免震装置、また2.2.の積層ゴム/ゴム/バネ等付き引抜き防止装置・滑り支承でもよい。
特に、4.7. の縁切り型垂直変位吸収重力復元型免震装置・滑り支承と、4.8.の新重力復元型免震装置とは、免震される構造体Aの重心を下げる効果により、安定した免震性能が得られる。

3) 固定装置の配置
また、固定装置Gに関しても同様であり、免震される構造体Aの重心位置またその近傍に1箇所、2箇所、また数箇所設置されるが、特に2箇所とするのがよい。ただし、他の装置と併用する場合は一箇所配置でよい。
固定装置Gの装置の種類に関して、8.1.1.の剪断ピン型固定装置、8.1.2.の地震センサー(振幅)装置装備型固定装置、8.2.風作動型固定装置のいずれかが設置される。8.1.1.の剪断ピン型固定装置の場合には、8.1.3.連動作動型固定装置が必要になる。

14.1.3. 一般ビルの場合
一般ビルの場合も、そのビルの柱間隔に、その柱ごとの下に(小スパン間隔の場合は飛ばす場合あり)、免震装置・滑り支承D等を装備し、中心部に復元装置C、また固定装置Gを装備する。以下、ほぼ同様である。


15.免震装置設置と基礎部分の施工に関する合理化
15.1. 免震装置設置と基礎部分の施工の合理化
図334〜図337は、特に、戸建て用免震装置としての意味がある。
ベタ基礎2、また布基礎2と地面33の上に空隙を設けて、スラブ1-sを打ち、その間に免震装置・滑り支承を入れる。
具体的に施工法を説明すると、ベタ基礎2、また布基礎2と地面33の上に免震装置・滑り支承を配備し、その間を有機溶剤で溶けるスタイロフォーム等のプラスチック30か、水で溶けるプラスチック30で埋めて間隙を作り、それらの上にコンクリートスラブ1-sを打ち、コンクリートが固まるとこのプラスチックを有機溶剤か水で溶かして空間を作る。ベタ基礎2、また布基礎2と地面33の上に、免震装置・滑り支承のみに支えられてコンクリートスラブ1-sが浮く形となり、免震装置・滑り支承の作動が可能となる。
そしてこのコンクリートスラブ1-sには、在来構法・プレハブ構法・2×4構法等の住宅を自由に建てられるように、一定荷重以上を想定した構造設計により、配筋設計をする。また上部構造としてのフレームとしての剛性のなさを補うようなスラブの剛性設計もする。その事により、上部構造の自由がもたらされ、上部構造としてのフレームとしての剛性のなさの問題もスラブの剛性により解決される。
図334は、ベタ基礎に空隙を設けてスラブ1-sを打つ場合であり、図335は、布基礎2と地面33の上に空隙を設けて、スラブ1-sを打つ場合である。
また、ベタ基礎2、また布基礎2と地面33の上に、コンクリートスラブ1-sをつくるその他の方法としては、
1) ベタ基礎、また布基礎と地面の上に、施工後にボルトのネジ操作でジャッキアップできる機能を持ったボルトを一定間隔に設ける。そののちベタ基礎、また布基礎と地面の上に、コンクリートの剥離材また剥離を容易にするシートを設けて、その上にコンクリートスラブを打つ。コンクリートが固まってから、埋めてあったボルトのネジ操作でジャッキアップし、空間を作って、免震装置・滑り支承を配備すると、ベタ基礎、また布基礎と地面の上に、免震装置・滑り支承のみに支えられてコンクリートスラブが浮く形となり、免震装置・滑り支承の作動が可能となる。
2) ベタ基礎、また布基礎と地面の上に、免震装置・滑り支承を配備して、その上にPC版を並べる方法もある。
3) ベタ基礎、また布基礎と地面の上に、免震装置・滑り支承を配備して、その上に鉄骨を梁としてかけ渡し、その鉄骨梁にPC版またALC版をかけ渡す方法もある。
この構法は、汎用戸建て免震に適しているが、それに限定される事はない。

15.2. 免震装置設置の施工の合理化
戸建て住宅等に設置される免震装置の設置の施工の手間を省くためのものである。
基礎上に設置される免震装置の水平性は出しにくいものであるが、本来欲しいのは、土台に対する水平性(平行性)である。そのため、以下の方法が考えられる。
留め具等により、上下の皿を一体にされた二重免震皿装置を、基礎のアンカーボルト位置に据え付け、土台とまず固定する。その後、基礎との間にできた隙間等を無収縮モルタルで埋める。そして、無収縮モルタルが固まった後に、基礎と免震装置とのアンカーボルトを締める。
以上の方法により、土台に対する水平性(平行性)が得られる。

15.3. 滑り型免震装置の水平性維持
滑り型免震装置・滑り支承の水平性維持の施工に関するものである。
免震装置・滑り支承を、免震される構造体の内側(また重心)方向に向かって低く、免震される構造体の外側に向かって高い傾斜を持たせて設置する。そのことにより、滑り型免震装置・滑り支承の施工時及び施工後の水平性維持の問題が解決される。

以上1.〜15.3.記載の全ての発明の組合せにより、様々な要求に応えた免震装置及び支承、および免震構造が可能になる。


A…支持される構造体また免震される構造体、
B…支持される構造体また免震される構造体Aを支持する構造体、
C…復元装置(重力復元型免震装置・滑り支承、積層ゴム型またバネ型を含む)、
D…免震装置・滑り支承、E…外れ防止装置、
F…引抜き防止装置・滑り支承、
G…固定装置、
G-d…地震感度の高い固定装置、
G-s…地震感度の低い固定装置、
G-wd …風力感度の高い固定装置、
G-ws …風力感度の低い固定装置、
G-m…リレー中間固定装置、
G-m1…リレー中間固定装置(リレー一番目)、
G-m2…リレー中間固定装置(リレー二番目)、
G-mn…リレー中間固定装置(リレーn番目)、
G-e…リレー末端固定装置、
H…水平免震装置、
I…垂直免震装置、
J…地震センサー(振幅)装置、
J-a…地震センサー振幅装置、
J-b…地震センサー(地震センサーからの信号により固定装置の固定装置の作動部を作動させる電源付)、
J-k…地震発電装置型地震センサー、
K…地震発電装置、
L…回転・捩れ防止装置、

b…上部(側)免震皿3-a及び下部(側)免震皿3-bが角度φ/2ずつ回転して、上下繋ぎスライド部材・部分3-s、及び上下ガイドスライド部材・部分のガイド部3-dと、接触する部分の角を角度φ/2で面取りした斜辺の長さ、
d…上部(側)免震皿3-a及び下部(側)免震皿3-bと、上下ガイドスライド部分のガイド部3-dとの隙間の間隔、
h…上下繋ぎスライド部材・部分3-s、及び上下ガイドスライド部材・部分3-gのガイド部3-dの、張り出している長さ、
l…上下繋ぎスライド部材・部分3-s、及び上下ガイドスライド部材・部分のガイド部3-dの、移動方向の長さ、
t…上下繋ぎスライド部材・部分3-s、及び上下ガイドスライド部材・部分のガイド部3-dの肉厚、
φ…回転・捩れ防止装置が許容する回転角、

1…免震される構造体およびその部材、
1-s…免震される構造体のスラブ、
1-a…免震される構造体の部材からなるピストン状部材2-pの挿入筒(連結部材)、
1-p…免震される構造体の部材からなるピストン状部材(連結部材)、
1-g…免震される構造体の固定装置の支持部材(連結部材)、
1-x…免震される構造体の固定装置の支持部材同士を繋ぐユニバーサル回転接点(連結部材)、
2…支持される構造体また免震される構造体Aを支持する構造体およびその部材また基礎部分、
2-a…免震される構造体を支持する構造体の部材からなるピストン状部材1-pの挿入筒(連結部材)、
2-p…免震される構造体を支持する構造体の部材からなるピストン状部材(連結部材)、
2-g…免震される構造体を支持する構造体の部材からなる支持部材(連結部材)、
2-x…免震される構造体の部材からなるの支持部材同士を繋ぐユニバーサル回転接点(連結部材)、
3…免震皿、
3-a…上部免震皿、または上側免震皿(二重以上の免震皿免震装置・滑り支承の中間滑り部を挟む上側免震皿)、
3-b…下部免震皿、または下側免震皿(二重以上の免震皿免震装置・滑り支承の中間滑り部を挟む下側免震皿)、
3-m…中間免震皿、
3-m1…中間免震皿(その1)、
3-m2…中間免震皿(その2)、
3-m3…中間免震皿(その3)、
3-m4…中間免震皿(その4)、
3-m5…中間免震皿(その5)、
3-m6…中間免震皿(その6)、
3-t…免震皿の摩擦係数の違う滑り部の区分け線(実際は線などない)、
3-s…上下繋ぎスライド部材・部分(免震皿同士をつなぐスライド部材・部分)、
3-g…上下ガイドスライド部材・部分、
3-c…免震皿の側面の周囲のシールまた防塵カバー、
3-d…上下繋ぎスライド部材・部分3-s、及び上下ガイドスライド部材・部分3-gのガイド部、
3-u…免震皿上の出っ張り、
3-v…免震皿上の窪み(免震皿上の出っ張り3-uの入込む)、
3-e…免震皿に敷かれるか、付着させた弾性材・塑性材、
4…スライド部材、
4-i…内側のスライド部材、
4-o…外側のスライド部材、
4-oi…二番目以降のスライド部材、
4-p…スライド止め金、
4-v…上のスライド孔、
4-a…上部スライド部材、
4-as …上部スライド部材の免震皿、
4-al …上部スライド部材の下部材、
4-al1…上部スライド部材の下部材、
4-al2 …上部スライド部材の下部材、
4-b…下部スライド部材、
4-bs …下部スライド部材の免震皿、
4-bu …下部スライド部材の上部材、
4-bu1 …下部スライド部材の上部材、
4-bu2 …下部スライド部材の上部材、
4-m…中間部スライド部材、
4-mm …中間部スライド部材の中間材、
4-av …上部スライド部材の上のスライド孔、
4-bv …下部スライド部材の上のスライド孔、
4-alv…上部スライド部材の下部材の上のスライド孔、
4-buv…下部スライド部材の上部材の上のスライド孔、
4-c…スライド部材の押さえ部材(プレート等の)、
4-s…スライド部材の押えバネ等(バネ・空気バネ・ゴム・積層ゴム等の弾性体または磁石(磁石同士の反発力吸引力等を使った)等の弾性体を「バネ等」と称する)、
4-fs …スライド部材の押え板バネ等、
4-t … スライド部材を支持する束材
5…ローラー・ボール(ベアリング)部若しくは滑り部(滑り部という)、
5-a…垂直免震装置また滑り部の筒、
5-b…垂直免震装置また滑り部の筒に挿入されるバネ等、
5-c…垂直免震装置また滑り部の筒に挿入されるバネ等の先に取付く滑り部先端、
5-d…垂直免震装置また滑り部の筒のバネ等の押さえ雄ネジ、
5-e…ボール(ベアリング)、
5-f…ローラー(ベアリング)、
5-er …ボールベアリング循環式転がり案内リターン穴・リターンボール列、
5-fr …ローラーベアリング循環式転がり案内リターン穴・リターンローラー列、
5-g…保持器(玉軸受・ころ軸受)、
5-u…滑り部上部(上面)、
5-l…滑り部下部(下面)、
6…中間滑り部またローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部(中間滑り部という)、
6-u…滑り部上部(上面)、
6-l…滑り部下部(下面)、
6-a…第一中間滑り部、
6-b…第二中間滑り部、
6-c…第三中間滑り部、
6-d…ローラー・ボール(ベアリング)をもった中間滑り部のすべり部分、
7…固定ピン、固定係合摩擦材、ピン(以下の枝番に関しては、遅延器・発電機の説明番号にも使用)、
7-a…ピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダー(固定ピン取付け部)、
7-aa…ピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーへの前室、
7-ab…ピストン状部材7-pの挿入筒・シリンダーの付属室(地震センサー振幅装置等の)また通路、
7-abj…ピストン状部材7-pの挿入筒7-aから付属室7-abへの通路口、
7-ac…液体貯槽または外部、
7-acj…ピストン状部材7-pの挿入筒または付属室7-abからの液体貯槽7-acまたは外部への出口・出口経路、
7-ao…挿入筒7-a・付属室7-ab・液体貯槽7-ac等を満たす液体等またはその液体等の高さレベル、
7-b…固定ピンの取付け取外しのためのねじ切り、
7-c…固定ピンのロックのための欠き込み・溝・窪み、
7-d…雄ネジ、
7-e…管、
7-ec…他の固定装置への連結管、
7-er…戻り管・戻り経路・戻り口(液体貯槽7-acまたは外部からのピストン状部材7-pの挿入筒または付属室7-abへの戻り口)、
7-f…弁、
7-fs…逆止弁、
7-fso…逆止弁(弁管)の開口
7-fb…ボール型弁、
7-sf…スライド式ロック弁、
7-sfo…スライド式ロック弁の開口孔、
7-sff…スライド式ロック弁の開口孔でない部分、
7-sfp…スライド式ロック弁の抵抗板、
7-ef…電動弁、電磁弁、機械式弁、油空圧(液圧・空圧)式弁、バルブ
7-mf…手動弁(強風時手動固定用の)
7-g…水平架台
7-h…作用部(押出し部・引張り部等)、
7-i…弁7-fを常に閉じる状態にするバネ等、
7-j…孔、
7-jo…気体が筒中7-aから出る孔、
7-ji…気体が筒中7-aへ入る孔、
7-ja…空気抜き管、
7-jc…他の固定装置への連結口、
7-jcf…連結口7-jcの塞ぎ材(連結口を使用しない場合の)、
7-k…第1のロック部材7-lが差し込まれる欠き込み・溝・窪み、
7-l…第1のロック部材、
7-m…第2のロック部材7-nが差し込まれる欠き込み・溝・窪み、
7-n…第2のロック部材、
7-o…バネ等、
7-p…ピストン状部材(固定装置の作動部・ダンパーの作動部)、
7-pa…表面に溝7-prを持ち、回転心棒7-xにより自由に回転できる円筒状のピストン状部材、
7-pb…ピストン状部材7-paと回転心棒7-xにより連動し、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8の支持点7-zを持つ部材、
7-pc…挿入筒7-a開口部の防塵・防水カバー、
7-pd…防塵・防水カバー7-pcのシール部材、
7-pg…ピストン状部材7-paの表面に設けられたガイド(ピン7-phがその中にはまった状態で、ピストン状部材7-paが動く)
7-ph…ガイド7-pgにはまり込んで、ピストン状部材7-paの動きを規定するピン
7-pha…ピン7-phの挿入筒、
7-pi…ガイド7-pg上で、ピストン状部材7-paが筒7-aの外に最も出たときに、ピン7-phが位置する点
7-pj…ガイド7-pg上で、ピストン状部材7-paが筒7-aの中に最も入ったときに、ピン7-phが位置する点
7-pk…ガイド7-pgの直線部分
7-pl…ガイド7-pgの曲線部分
7-pm…固定ピン7から突出するアーム部材、
7-pp…風センサーのピストン状部材からの液体を送る管、
7-psa…(分離型固定ピンの)外部側固定ピン、
7-psb…外部側固定ピン7-psaの、内部側固定ピン7-pscと接する端部、
7-psc…(分離型固定ピンの)内部側固定ピン、
7-psd…内部側固定ピン7-pscの、外部側固定ピン7-psaと接する端部、
7-q…風センサー(風センサーからの信号により固定装置の固定ピンを作動させる電源付)、
7-qd…風力発電機型風センサー
7-ql…風センサー・地震センサーからの信号線(ワイヤー・ロープ・ケーブル・ロッド、電気コード、または、油等の液体または気体の流れる管)、
7-r…風圧を受ける板(風圧板)、
7-s…剪断ピン型固定ピン、
7-t…風圧板と連動する油圧ポンプ、
7-u…固定装置を作動させる油圧ポンプ、
7-v…固定ピン等の挿入部、
7-vm …固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部、
7-vmc …固定ピンのすり鉢形状・球面形状等の凹形態の挿入部で中心部だけ、曲率半径を小さくするか、勾配をきつくしたもの、
7-vn …固定ピン(あるいはその先端7-w)を受ける平板
7-w…固定ピン先端、
7-wm…摩擦抵抗の大きい摩擦材
7-x…回転軸・回転心棒、回転軸挿入部、
7-y…尾翼、
7-z…ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド8の支持点、
8…ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等、
8-f…ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材(連結部材)、
8-fj…ワイヤー・ロープ・ケーブル等の可撓部材またはバネ等の支持点(フレキシブルジョイント)、
8-d…ロッド等、
8-e…ロッド等8-dの端部、
8-j…ロッド等8-dのフレキシブルジョイント、
8-u…上弦材、
8-l…下弦材、
8-r…レリーズ、
8-rf …レリーズの固定材、
8-y …吊材20-sに設けた、ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8の、引張の調節ができ、回転によるねじれを許容する支持点、
8-z …ロッド等8-dの、垂直方向に拘束され、水平方向には自由に回転できる継手、
9…バネ等、
9-c…圧縮用のバネ等、
9-t…引張用のバネ等、
9-u…水平振動用バネ等、
10…バネ等の止め部材(その直下の免震される構造体(逆の場合は免震される構造体を支持する構造体)等に取付けられている)、
11…固定ピンのロック部材(固定ピンをロックする部材)、
11-a…固定ピンのロック部材のロック部材(固定ピンのロック部材をロックする部材)
11-o…固定ピン7とロック部材11との間の遊び、
11-s…固定ピンのロック部材11のスライドを可能としてスライド方向以外を拘束する固定材、
11-v…固定ピンのロック部材11のロック孔、
11-x…固定ピンのロック部材11の回転心棒、
12…固定ピンの吊材、
12-f…固定ピンの吊材・バネ等の取付け部(取付け部12-fのある方の免震される構造体か、支持される構造体また免震される構造体を支持する構造体かに取付けられる)、
13…地震センサー振幅装置(振り子型)、
14…地震センサー振幅装置(重力復元型)、
15…地震センサー振幅装置(バネ復元型)、
15-s…地震センサー振幅装置15の感度調整ネジ、
16…切断刃、
17…地震センサー(振幅)装置の作用部(押出し部・引張り部等)、
18…クッション材、また粘性材等の緩衝材、
19…ワイヤー、ロープまたケーブル用滑車、
19-a…ワイヤー、ロープ、ケーブル、ロッド等8の変位を引張(圧縮)方向のみに変換し、かつ抵抗にならないローラー等のガイド部材、
19-i…滑車19の回転軸及び取付け部、
20…重り、地震センサー(振幅)装置の地震時に振動する重り(不動点状態は地面から見ると相対化して振動状態に見える。重りの振動数が地震の振動数に近付くと、つまり共振域に近付くと本当に振動する)、
20-a…(重りにもなる)周囲材
20-b…ボール型重り、
20-bb…ボール型重りに組込まれた小球、
20-bs…ボール型重り20-bの上部押え(固定装置本体に取付けられている)、
20-c…ピストン状部材7-pの挿入筒7-aまたは付属室7-abからの液体貯槽7-acまたは外部への出口・出口経路acjと重り20、20-bとの隙間のカバー材、
20-cc…ピストン状部材7-pの挿入筒7-aまたは付属室7-abからの液体貯槽7-acまたは外部への出口・出口経路acjと重り20、20-bとの隙間のカバーとなる管、
20-cp…重り20、20-bの作動によって出口・出口経路acjの弁となる弁管、20-cpt…弁管の重りと接する先端部、
20-cpo…弁管の開口
20-cpi…弁管の吸込み口
20-cps…弁管の支え(固定装置本体に取付けられている)、
20-cpss…弁管の支えと地震センサー振幅装置の重り20、20-bを滑動(すべり・転がり)させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)免震皿兼用のもの(固定装置本体に取付けられている)、
20-cpssu…免震皿20-cpssと平行の曲面の重り20、20-bの上部押え(固定装置本体に取付けられている)、
20-cpso…弁管の支えの開口
20-cs…固定装置本体に取付けられて管20-cpを受けて通常時の管20-cpからの流れを遮断するた受け材(固定装置本体に取付けられている)、
20-d…起き上り小法師型重り、
20-da…起き上り小法師型重り20-dの重り部
20-db…起き上り小法師型重り20-dの繋ぎ部
20-dc…起き上り小法師型重り20-dの弁部
20-e…重りによる弁、
20-f…重り20、20-aの吊材の取付け部(取付け部20-fのある方の免震される構造体か、支持される構造体また免震される構造体を支持する構造体かに取付けられる)、
20-h…重り20、20-a、20-eの(吊材等20-sの)振り子の支点、
20-i…重り20、20-a、20-eの(吊材等20-sの)振り子の支点を受ける支持部、
20-j…重り20、20-a、20-eの(吊材等20-sの)振り子の支持材、
20-k…重り20、20-a、20-eの(吊材等20-sの)振り子の支持バネ等、20-s…重り20、20-aの吊材、
21…固定装置自動復元装置、
22…固定装置自動制御装置、
22-a…固定装置自動制御装置(電磁石)、
22-b…固定装置自動制御装置(モーター)、
23…電線、
23-c…電気等の接点、
24…振幅調整のためのスライド装置、
25…バネ等、
25-a…復元用のバネ等、
25-b…外れ防止用のバネ等、
26…緩衝材・弾性材・塑性材、
26-a…緩衝材、
26-b…弾性材、
26-c…緩衝材・弾性材をもった剛性部材、
27…係合材繋ぎ部材、
27-p…係合材繋ぎ部材の押さえワッシャーまたプレート、
28…硬質板(積層ゴム)、
29…ゴムまたバネ(空気バネ含む)本体、
30…有機溶剤で溶けるプラスチックか水で溶けるプラスチック、
31…(新重力復元型免震装置の、地震センサー(振幅)装置の、固定装置の、ダンパーの)ラッパ状・すり鉢状等の挿入口またはコロを持った挿入口、
32…滑り部垂直変位吸収のスライド装置、
33…地面、
34…復元用のバネ等のラッパ状・すり鉢状等のまたはコロを持った挿入口、
35…免震皿の、滑り部、中間滑り部、ボールまたローラー等の窪み、
36…連動機構、
36-a…ピン、
36-b…梃子、
36-bf…梃子による弁部、
36-c…ラック、
36-ca…移動方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持つラック、
36-cb…ラック36-caを持ち、固定ピン7から突出するアーム部材7-pmに支点36-ccで接続された可動部材、
36-cc…アーム部材7-pmに可動部材36-cbが接続する可動な支点、
36-cd…ラック、重り等の滑り台、
36-cg…ガイド(スライド部材36-csを支持する)、
36-cs…スライド部材(表面にラック36-cを持つ)、
36-cw…重量を自由に変更できる重り
36-d…歯車(大)、
36-da…回転方向毎に異なる角度で傾斜した歯を持つ歯車、
36-e…歯車(小)、
36-f…動滑車、
36-g…定滑車、
36-h…梃子の支点、
36-hs…梃子の支点の支持部、
36-i…滑車・歯車の回転軸及び取付け部、
36-il…滑車・歯車の回転軸を自由にスライドできるように支持する軸受、
36-j…梃子の作用点で、梃子に取付いたワイヤー、ロープ、ロッド等8の支持点、
36-ja…梃子の作用点で、ロック部材11の支持点
36-k…歯車に取付いたワイヤー、ロープ、ロッド等8の支持点、
36-l…梃子の力点で、重り20、20-bからの梃子への力の伝達点、
36-m…梃子の力点の挿入部、
36-n…ガンギ車
36-o…アンクル
36-p…アンクル36-oのつめ(1)
36-q…アンクル36-oのつめ(2)
36-r…アンクル36-oの支点
36-s…フレキシブル材
36-t…フレキシブル継手
36-ta…フレキシブルな保護カバー
36-u…表面部材
36-ue…表面部材36-uの緩斜面
36-us…表面部材36-uの急斜面
36-um…表面部材36-uの面材
36-vm…地震センサー振幅装置の重り20、20-bを滑動(すべり・転がり)させる球面・すり鉢または円柱谷面状・V字谷面状等の凹型滑り面部(すべり・転がり面部、以下同じ)免震皿、
36-w…水車(風車)、
36-wa…水車(風車)の羽根(可撓性のある)、
36-wb…水車(風車)の羽根36-waを(撓まないように)支持する部材、
36-z…横長な形状の穴(増幅器等で引張力のみ伝え、圧縮力を伝えないための、あるいはその逆)、
37…入力連動部、
38…出力連動部、
39…ボルト等でのピン状態固定、
40…(引張力限定伝達装置の)L型の部材、
41…土台等の基礎の上の横架材、
42…構造用合板等、
43…柱、
44…発電機
45…ロック部材制御装置(電磁石)
46…ロック部材制御装置(モーター)
47…ロック部材制御装置

Claims (2)

  1. 免震される構造体と免震される構造体を支持する構造体との間に設けられ、横に細長く開口したスライド孔を有する上部スライド部材と下部スライド部材とが、互いに交差する方向に、双方のスライド孔に係合し、スライドできるように構成され、前記スライド孔の両側に、バネまたはゴムまたは磁石等の緩衝材または弾性体を設けることにより構成され、かつ、前記上部スライド部材を免震される構造体に、下部スライド部材を免震される構造体を支持する構造体に設けることにより、構成されてなることを特徴とする免震装置。
  2. 請求項1項に記載の免震装置において、上部及び下部スライド部材の上にスライド孔を設け、それらのスライド孔を貫く係合材を取り付けることにより構成されてなることを特徴とする免震装置。
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